(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】モバイルデバイスのカメラを使用してサンプル中の分析物を検出するための照明条件の適合性を評価する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/483 20060101AFI20250508BHJP
【FI】
G01N33/483 C
(21)【出願番号】P 2020568715
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2019064675
(87)【国際公開番号】W WO2019238501
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-05-19
【審判番号】
【審判請求日】2024-02-09
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】マックス ベルク
(72)【発明者】
【氏名】フレドリック ハイラー
(72)【発明者】
【氏名】ティモ クライン
(72)【発明者】
【氏名】ベルント リンブルク
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー トゥルク
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン メルヒンガー
【合議体】
【審判長】宮澤 浩
【審判官】萩田 裕介
【審判官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-511466(JP,A)
【文献】特開2010-19610(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0117639(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0359458(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0233898(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
G01N 21/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルデバイス(114)のカメラ(112)を使用してサンプル中の分析物を検出するための照明条件の適合性を評価するための方法(110)であって、
a)少なくとも1つの試験片(116)の少なくとも1つの第1の画像をキャプチャするステップであって、前記試験片(116)は、前記サンプル中の前記分析物を検出するように適合され、前記試験片(116)は、前記分析物の存在下で光学的検出反応を実行するための少なくとも1つの試験化学物質を含む少なくとも1つの試験フィールド(118)を含み、前記第1の画像のキャプチャ中に、前記モバイルデバイス(114)の照明源(120)がオフにされるステップ(117)と、
b)前記試験片(116)の少なくとも1つの第2の画像をキャプチャし、前記第2の画像のキャプチャ中に、前記モバイルデバイス(114)の前記照明源(120)がオンになるステップ(122)であって、
前記照明源(120)は、既知のまたは所定のスペクトル組成を有し、前記スペクトル組成は、前記照明源(120)によって生成された照明の強度スペクトルであり、
前記方法は、少なくとも1つのサンプル適用ステップを含み、前記サンプル適用ステップにおいて、前記試験片(116)にサンプルが適用され、前記サンプルは、ステップa)(117)の前に、ステップb)(122)の前に、又はステップa)(117)及びステップb)(122)の前に、前記試験片(116)に適用されるステップ(122)と、
c)前記ステップa)(117)およびb)(122)でキャプチャされた前記第1の画像および前記第2の画像を比較し、それによって前記第1の画像と前記第2の画像との間の照明条件の違いを決定するステップ(124)であって、前記カメラ(112)は、少なくとも1つのカラーチャネルにおけるステップa)およびb)の前記第1の画像および前記第2の画像をキャプチャするように適合され、前記モバイルデバイス(114)の前記カメラ(112)および/またはプロセッサ(132)は、前記第1の画像から少なくとも1つの第1の強度分布を決定し、および前記第2の画像から、少なくとも1つのカラーチャネルについて少なくとも1つの第2の強度分布を決定するように適合され、前記第1の画像および前記第2の画像の比較は、少なくとも1つの前記カラーチャネルの前記第1の強度分布および前記第2の強度分布の比較であり、前記照明源(120)の前記スペクトル組成が既知であるかまたは所定であるため、前記照明源(120)に由来する前記試験片(116)の照明に使用され
る光強度の量を決定することが可能である、ステップ(124)と、
d)前記ステップc)(124)の前記比較から少なくとも1つの適合性情報を導出するステップであって、前記適合性情報は、分析物検出のための前記照明条件の適合性に関する情報を含むステップ(126)、
を含み、
前記適合性情報は、前記試験片(116)の照明に使用される光強度の少なくとも70%が前記照明源(120)に由来する場合にのみ、後続の分析物検出のための前記照明条件の適合性を示すように設定される、
方法(110)。
【請求項2】
前記照明源(120)が、周囲光よりも明るい光を照射する、請求項1に記載の方法(110)。
【請求項3】
前記第1の画像および前記第2の画像は、前記サンプルの適用の前にキャプチャされる、請求項1又は2に記載の方法(110)。
【請求項4】
前記ステップd)(126)で前記適合性情報を導出することは、前記ステップc)(124)で決定された前記照明条件の差を少なくとも1つの閾値と比較することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法(110)。
【請求項5】
前記適合性情報は、前記試験片(116)の照明に少なくとも80%の前記照明源(120)に由来する光強度が使用される場合にのみ、後続の分析物検出のための前記照明条件の適合性を示すように設定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法(110)。
【請求項6】
前記方法(110)は、前記照明源(120)が十分な照明強度を提供するかどうかをチェックおよび/または評価することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法(110)。
【請求項7】
前記モバイルデバイス(114)の前記照明源(120)が、前記モバイルデバイス(114)に統合された少なくとも1つの発光ダイオードを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法(110)。
【請求項8】
モバイルデバイス(114)のカメラ(112)を使用することによってサンプル中の分析物を検出するための検出方法であって、
i)請求項1~7のいずれか一項に記載の照明条件の適合性を評価する方法を用いて照明条件を評価することと、
ii)前記照明条件の前記適合性に関する前記適合性情報が、分析物の検出に適した前記照明条件を示している場合に、次のステップ、すなわち、
A)前記サンプル中の前記分析物を検出するための少なくとも1つの試験片(116)を提供するステップであって、前記試験片(116)は、前記分析物の存在下で光学的検出反応を呈するための少なくとも1つの試験化学物質を含む少なくとも1つの試験フィールド(118)を有するステップと、
B)前記試験片(116)の前記試験フィールド(118)に少なくとも1つのサンプルを適用するステップと、
C)前記カメラ(112)を使用することによって、前記試験フィールド(118)の少なくとも1つの画像をキャプチャするステップであって、前記キャプチャ中に、前記モバイルデバイス(114)の前記照明源(120)がオンになるステップと、
D)ステップC)でキャプチャされた前記画像から、前記サンプル中の分析物濃度を決定するステップと、実行すること
を含む方法。
【請求項9】
コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されている間に照明条件の適合性を評価するための方法を参照する、請求項1~7のいずれか一項に従って照明条件の適合性を評価するための方法(110)を実行するためのプログラム手段を含むコンピュータプログラム。
【請求項10】
コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されている間に検出方法を参照する、請求項8に記載の検出方法を実行するためのプログラム手段を含むコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記コンピュータプログラムがモバイルデバイスのプロセッサ上で実行される、請求項9又は10に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
モバイルデバイス(114)であって、
少なくとも1台のカメラ(112)と、
少なくとも1つの照明源(120)と、
照明条件の適合性を評価するための方法を参照する請求項1~8のいずれか一項に従って、前述照明条件の適合性を評価するための方法(110)を実行するためのプログラム手段を含む、少なくとも1つのプロセッサ(132)、
を備えたモバイルデバイス(114)。
【請求項13】
前記プロセッサ(132)が、請求項8に記載の検出方法(115)を実行するためのプログラム手段をさらに備える、請求項12に記載のモバイルデバイス(114)。
【請求項14】
前記モバイルデバイス(114)は、モバイル通信デバイスである、請求項12又は13に記載のモバイルデバイス(114)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、モバイルデバイスのカメラを使用してサンプル中の分析物を検出するための照明条件の適合性を評価するための方法、およびモバイルデバイスのカメラを使用してサンプル中の分析物を検出するための検出方法に関する。本発明はさらに、本発明による方法を実行するためのプログラム手段を備えたコンピュータプログラムに関する。さらに、本発明はモバイルデバイスに関する。本発明による方法、コンピュータプログラムおよびモバイルデバイスは、1つまたは複数の体液中の1つまたは複数の分析物を定性的または定量的に検出するために、医療診断において使用され得る。しかしながら、本発明の他の応用分野が可能である。
【背景技術】
【0002】
医療診断の分野では、多くの場合、血液、間質液、尿、唾液、または他の種類の体液などの体液のサンプルから1つまたは複数の分析物を検出する必要がある。検出される分析物の例は、グルコース、トリグリセリド、乳酸塩、コレステロール、またはこれらの体液に通常存在する他のタイプの分析物である。分析物の濃度および/または存在に応じて、必要に応じて適切な処理を選択することができる。
【0003】
一般に、当業者に知られているデバイスおよび方法は、検出される分析物の存在下で、光学的に検出可能な検出反応などの1つまたは複数の検出可能な検出反応を呈することができる1つまたは複数の試験化学物質を含む試験要素を利用する。これらの試験化学物質に関しては、例えば、J.Hoenes et al.:The Technology Behind Glucose Meters:Test Strips、Diabetes Technology&Therapeutics、Volume 10、Supplement 1、2008、S-10~S-26が参照され得る。他のタイプの試験化学物質が可能であり、本発明を実施するために使用することができる。
【0004】
分析測定、特に発色反応に基づく分析測定では、1つの技術的課題は、検出反応に起因する色の変化の評価にある。手持ち式の血糖値計などの専用分析装置を使用することに加えて、スマートフォンやポータブルコンピュータなどの一般的に入手可能な電子機器の使用は、近年ますます一般的になっている。国際公開第2012/131386号は、アッセイを実施するための試験装置を開示し、試験装置は、試薬を含む容器であって、試薬は、色またはパターンの変化を発現することにより、適用された試験サンプルに反応する、容器と、例えばプロセッサおよび画像キャプチャデバイスを含む携帯電話またはラップトップであるポータブルデバイスであって、プロセッサは、画像キャプチャデバイスによってキャプチャされたデータを処理し、適用された試験サンプルの試験結果を出力するように構成される、ポータブルデバイスと、を備えている。
【0005】
国際公開第2014/025415号は、生物学的材料の色ベースの反応試験を実施するための方法および装置を開示している。この方法には、自動的に較正された環境内で、露光されていない機器と後で露光された機器のデジタル画像をキャプチャして解釈することが含まれる。この機器には、固有識別(Unique Identification:UID)ラベル、画像カラー較正用の標準化された色のサンプルを提供する参照色バー(Reference Color Bar:RCB)、および化学試験パッド(Chemical Test Pads:CTP)のいくつかの試験固有のシーケンスが含まれている。この方法はさらに、画像内の機器の位置特定、UIDの抽出、RCBの抽出、および各画像内の複数のCTPの位置特定を含む。この方法は、CTPの画像ノイズをさらに低減し、RCBで実行された照明測定に従って画像を自動的に較正する。この方法では、CTP画像の色をManufacturer Interpretation Color Chart(MICC)の色と比較することにより、試験結果をさらに決定する。この方法は、これらの結果をグラフィカルモードまたは定量モードで表示する。
【0006】
欧州特許出願公開第1801568号明細書は、生体液サンプル中の分析物濃度を測定するための試験片および方法を開示している。この方法は、カラーインジケータおよび参照色領域を絵で検出するために、試験片にカメラを配置することを含む。カメラと試験片との間の相対位置の測定値が決定され、目的の値の領域と比較される。測定値と所望の値との間のたわみの間、ストリップに対するたわみを減らすためにカメラが動かされる。インジケータに割り当てられた画像領域は、カメラによって検出されるカラー画像にローカライズされる。分析対象物の濃度は、比較値によってサンプル内で決定される。
【0007】
欧州特許第1963828号明細書は、生体液のサンプルに含まれる少なくとも1つの分析物の濃度を測定するための方法を開示しており、a)少なくとも1つの試験点と、少なくとも1つの時間インジケータと、白および/またはカラースケールを含む少なくとも1つの参照色範囲と、を有する試験片が調製され、b)流体サンプルが試験点および時間インジケータと接触させられ、c)分析物の濃度の関数として試験点にカラーインジケータが配置され、d)時間インジケータの色は、流体が試験点と接触した時間の関数として、少なくとも1つの分析物の濃度とは無関係に変化し、e)試験片上にカメラが配置され、f)カメラと試験片との間の相対位置の少なくとも1つの測定値が決定され、公称値範囲と比較され、g)測定値と公称値範囲との間に不一致がある場合、不一致を減らすためにカメラを試験片に対して移動し、ステップf)とg)とを繰り返し、h)少なくともカラーインジケータ、時間インジケータ、および参照色範囲が画像化されているカラー画像をカメラを使用して記録し、j)カラーインジケータ、時間インジケータ、および参照色範囲に関連する画像領域がカラー画像内に局在化され、これらの画像領域の色値が決定され、k)流体サンプルが試験点と接触されてから色画像の記録との間の期間は、時間インジケータに対して決定された色値に基づいて所定の参照値の助けを借りて決定され、l)サンプル中の分析物濃度は、カラーインジケータについて決定された色値および参照色範囲に基づいて、ならびに期間に基づいて、事前に決定された比較値の助けを借りて決定される。
【0008】
モバイルコンピューティングデバイスを使用した分析測定の信頼性と精度は、一般に多くの技術的要因に依存する。具体的には、カメラを備えた膨大な数のモバイルデバイスが市場に出回っており、それらはすべて、分析測定のために考慮しなければならない異なる技術的特性および光学的特性を有している。国際公開第2007/079843号は、生体液のサンプルに含まれる分析物の濃度を測定するための方法を記載している。前記方法では、少なくとも1つの試験点と、白色および/またはカラースケールを包含する少なくとも1つの参照色セクションとを含む試験片が提供される。液体サンプルを試験点に接触させ、分析物の濃度に応じてカラーインジケータを試験点に配置する。試験片にカメラが配置される。カメラと試験片との間の相対位置について少なくとも1つの測定値が検出され、設定値の範囲と比較される。測定値が設定値の範囲から外れると、カメラを試験片に対して動かしてずれを減らす。少なくともカラーインジケータと参照色セクションが表されているカラー画像が、カメラの助けを借りて検出される。カラーインジケータおよびカラーマッチングセクションに割り当てられた画像領域が配置され、前記画像領域の色値が決定される。サンプル中の分析対象物の濃度は、事前定義された比較値を使用して、色の値に基づいて決定される。欧州特許出願公開第3108244号明細書および国際公開第2015/120819号は、ケース、ケース内の試験片、および合わせ面を越えてモバイルコンピューティングデバイスの面まで延びる位置アンカを含む試験片モジュールについて説明している。位置アンカは、モバイルコンピューティングデバイスの表面の特徴に一致する形状を有する。
【0009】
米国特許出願公開第2015/233898号明細書は、ケース、ケース内の試験片、および合わせ面を越えてモバイルコンピューティングデバイスの面まで延びる位置アンカを含む試験片モジュールについて説明している。位置アンカは、モバイルコンピューティングデバイスの表面の特徴に一致する形状を有する。
【0010】
分析測定を実行する目的でモバイルコンピューティングデバイスを使用することに伴う利点にもかかわらず、いくつかの技術的な課題が残っている。具体的には、測定の信頼性および精度を向上させ、保証する必要がある。分析測定の信頼性および精度は、携帯電話のカメラを使用する場合の分析測定用の試験片の画像をキャプチャする際の照明条件に大きく依存する可能性がある。具体的には、周囲光は、例えば、異なる特定の場所に存在する様々な照明手段のため、および/または画像がキャプチャされる場所および画像がキャプチャされる昼夜を問わず、照明条件に重大な影響を与える可能性がある。特に、周囲光は、試験片の試薬フィールドに形成される色の評価を妨げる可能性がある。
【発明の概要】
【0011】
したがって、家庭用電化製品のモバイルデバイスなどのモバイルデバイス、特にスマートフォンやタブレットコンピュータなどの分析測定専用ではない多目的モバイルデバイスを使用して、分析測定の上記の技術的課題に対処する方法およびデバイスを提供することが望ましい。具体的には、測定の信頼性および精度を保証する方法と装置とを提案する必要がある。
【0012】
この問題は、独立請求項の特徴を備えた、モバイルデバイスのカメラを使用してサンプル中の分析物を検出するための照明条件の適合性を評価する方法、モバイルデバイスのカメラを使用してサンプル中の分析物を検出するための検出方法、コンピュータプログラムおよびモバイルデバイスによって対処される。単独で、または任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0013】
以下で使用されるように、用語「有する」、「備える」もしくは「含む」またはそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入された機能に加えて、この文脈で説明されている実在物(entity)にそれ以上の機能が存在しない状況と、1つまたは複数の追加の機能が存在する状況の両方を指す場合がある。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現はいずれも、B以外に他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが排他的にBのみで構成される状況)と、Bに加えて、要素C、要素CおよびD、さらに追加の要素など、1つ以上の要素が実在物Aに存在する状況とを指し得る。
【0014】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在し得ることを示す「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を参照するとき、それぞれの特徴または要素が一回または複数回存在する可能性があるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0015】
さらに、以下で使用されるように、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「とりわけ」、「具体的に」、「より具体的に」または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意選択的な機能と併せて使用される。したがって、これらの用語によって導入される機能は任意選択的な機能であり、特許請求の範囲を制限することを意図したものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実施することができる。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関する制限がなく、本発明の範囲に関する制限がなく、およびそのような方法で導入された特徴を、本発明の他の任意または非任意の特徴と組み合わせる可能性に関する制限がない任意の特徴であることを意図する。
【0016】
第1の態様では、モバイルデバイスのカメラを使用してサンプル中の分析物を検出するための照明条件の適合性を評価するための方法が開示される。この方法は、一例として、所与の順序で実行され得る以下のステップを含む。ただし、別の順序も可能であることに注意されたい。さらに、1つまたは複数の方法ステップを1回または繰り返し実行することも可能である。さらに、2つ以上の方法ステップを同時にまたは適時に重複して実行することが可能である。この方法は、記載されていないさらなる方法ステップを含み得る。
【0017】
この方法は次のステップ:
a)少なくとも1つの試験片の少なくとも1つの第1の画像をキャプチャするステップであって、試験片は、サンプル中の分析物を検出するように適合され、試験片は、分析物の存在下で光検出反応を呈するための少なくとも1つの試験化学物質を含む少なくとも1つの試験フィールドを有し、モバイルデバイスの照明源が第1の画像のキャプチャ中にオフにされる、ステップと;
b)試験片の少なくとも1つの第2の画像をキャプチャするステップであって、第2の画像のキャプチャ中に、モバイルデバイスの照明源がオンになる、ステップと;
c)ステップa)およびb)でキャプチャされた第1の画像および第2の画像を比較するステップであって、それによって第1の画像と第2の画像との間の照明条件の違いを決定する、ステップと;
d)ステップc)の比較から少なくとも1つの適合性情報を導出するステップであって、適合性情報は、分析物検出のための照明条件の適合性に関する情報を含むステップとで構成されている。
【0018】
本明細書で使用される「モバイルデバイス」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、モバイル電子デバイス、より具体的には、携帯電話またはスマートフォンなどのモバイル通信デバイスを指す場合がある。追加的または代替的に、以下でさらに詳細に概説されるように、モバイルデバイスはまた、タブレットコンピュータまたは少なくとも1つのカメラを有する別のタイプのポータブルコンピュータを指す場合がある。
【0019】
本明細書で使用される「試験片」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、色変化検出反応を実行するように構成された任意の要素またはデバイスを指すことができる。試験片は、特に、少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含む試験フィールドを有し得る。例として、試験片は、少なくとも1つの試験フィールドがそれに適用されるか、またはその中に組み込まれた、少なくとも1つのキャリアなどの少なくとも1つの基板を含み得る。一例として、少なくとも1つのキャリアは帯状であり得、それにより、試験要素を試験片にする。これらの試験片は一般的に広く使用されており、入手可能である。1つの試験片は、単一の試験フィールド、またはその中に含まれる同一または異なる試験化学物質を有する複数の試験フィールドを有し得る。試験片には、少なくとも1つのサンプルが適用されていてもよい。
【0020】
本明細書でさらに使用される場合、「試験フィールド」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、材料の1つまたは複数の層を有し、試験化学物質が含まれる試験フィールドの少なくとも1つの層を有する、円形、多角形または長方形の形状のフィールドなどに対するコヒーレントな量の試験化学物質を指す場合がある。他の層は、反射特性などの特定の光学特性を提供し、サンプルを拡散するための拡散特性を提供し、または細胞成分などのサンプルの粒子成分の分離などの分離特性を提供するために存在し得る。
【0021】
本明細書で使用される「試験化学物質」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、化合物、または分析物の存在下で検出反応を呈するのに適した化合物の混合物などの複数の化合物を指すことがあり、検出反応は、光学的に、などのような特定の手段によって検出可能である。検出反応は、具体的には分析物特異的であり得る。試験化学物質は、この場合、具体的には、分析物の存在下で色が変化する色変化試験化学物質などの光学試験化学物質であり得る。色の変化は、特にサンプルに存在する分析物の量に依存する可能性がある。試験化学物質は、例として、グルコースオキシダーゼおよび/またはグルコースデヒドロゲナーゼなどの少なくとも1つの酵素を含み得る。さらに、1つまたは複数の色素、メディエータなどの他の成分が存在し得る。試験化学物質は一般に当業者に知られており、J.Hoenesらの:Diabetes Technology and Therapeutics、Vol.10、補足1、2008、pp.10-26を参照することができる。ただし、他の試験化学物質も使用可能である。
【0022】
本明細書で使用される「分析物」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、特に、これらに限定されないが、検出および/または測定される1つまたは複数の特定の化合物および/または他のパラメータを指す場合がある。一例として、少なくとも1つの分析物は、グルコース、コレステロール、またはトリグリセリドのうちの1つまたは複数など、代謝に関与する化合物であり得る。追加的または代替的に、例えばpH値など、他のタイプの分析物またはパラメータを決定することができる。
【0023】
本明細書で使用される「サンプル中の分析物を検出する」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されない。この用語は、具体的には、限定されないが、任意のサンプル中の少なくとも1つの分析物の定量的および/または定性的決定を指すことがある。例えば、サンプルは、血液、間質液、尿、唾液または他のタイプの体液などの体液を含み得る。一例として、分析測定の結果は、分析物の濃度および/または決定されるべき分析物の存在または不在であり得る。具体的には、一例として、分析測定は血糖測定であり得る。したがって、分析測定の結果は、例えば、血糖濃度であり得る。
【0024】
「適合性」という用語は、限定されないが、1つまたは複数の所定の機能を実行するための要素またはデバイスの特性、およびサンプル中の分析物を検出する信頼性および精度を確保するための周囲条件の適切性を指す場合がある。したがって、この用語は、デバイスの特性と周囲条件の一方または両方を指す。適合性は、所定の要件が満たされているかどうかを判断することによって限定および/または定量化することができる。所定の要件、例えば、少なくとも1つの閾値は、例として、実験から、または、例えば達成される精度によって決定された境界条件から導き出され得る。「適合性情報」という用語は、特に、分析測定を実行するための照明条件の適合性の本件の場合、適合性に関する表示または情報を指す場合があるが、これらに限定されない。一例として、適合性情報の項目は、「適合」または「適合しない」/「不適合」を示すなどのブール情報またはデジタル情報であり得る。しかしながら、追加的または代替的に、適合性情報は、適合性の程度などの定量的結果を含み得る。例えば、適合性情報は、試験片を照明するためのモバイルデバイスの照明源から生じる光強度の十分性に関する情報を含み得る。具体的には、適合性情報は、周囲光強度および/または周囲光条件に関連しておよび/またはそれらと比較して、試験片を照明するためのモバイルデバイスの照明源から生じる光強度の十分性に関する情報を含み得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「照明条件の適合性を評価する」という用語は、照明条件を試験および/または決定および/または評価および/または推定することを指す。本明細書で使用される場合、「照明条件」という用語は、画像キャプチャ条件、具体的には、周囲光条件とモバイルデバイスの照明源によって提供される光強度の両方を指す。「照明条件」という用語はさらに、反射条件、特に、例えば試験片の材料に起因する試験片の反射特性を指す。「周囲光」または「周囲光条件」という用語は、モバイルデバイスの照明源によって提供される照明とは独立して、試験片を照明する利用可能な自然または人工光源からの光を指す。周囲光は、例えばランプのような室内光などの人工光源によって、および/または太陽、月、星明かり、稲妻などの自然光源によって生成および/または提供され得る。照明条件は、時間、特に昼間または夜間に依存する場合がある。照明条件は、特に画像が屋外または屋内でキャプチャされているか、地理的な場所にあるかによって、場所によって異なる。特に屋外測定の場合、照明条件は気象条件に依存する場合がある。屋内測定の場合、照明条件は部屋の照明に依存する場合があり、家庭、スーパーマーケット、劇場などの活動に応じて異なる場合がある。
【0026】
本明細書で使用される「カメラ」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、空間的に分解された一次元、二次元、または三次元の光学情報を記録またはキャプチャするように構成された少なくとも1つの画像化要素を有するデバイスを指すことができる。一例として、カメラは、画像を記録するように構成された少なくとも1つのCCDチップおよび/または少なくとも1つのCMOSチップなどの少なくとも1つのカメラチップを含み得る。例えば、カメラは、以下で詳細に説明するように、少なくとも3つのカラーピクセルを含むカラーカメラであり得る。カメラはカラーCMOSカメラでもよい。例えば、カメラは、白黒ピクセルおよびカラーピクセルを含み得る。カラーピクセルと白黒ピクセルは、カメラの内部で組み合わせることができる。カメラは、少なくとも1つのカラーカメラと、白黒CMOSなどの少なくとも1つの白黒カメラとを備えることができる。カメラは、少なくとも1つの白黒CMOSチップを含み得る。カメラは、一般に、ピクセルなどの画像センサの1次元または2次元アレイを備え得る。一例として、カメラは、各次元に少なくとも10ピクセルなど、少なくとも1つの次元に少なくとも10ピクセルを含み得る。ただし、他のカメラも使用可能であることに注意されたい。カメラは、移動体通信装置のカメラであり得る。本発明は、特に、ノートブックコンピュータ、タブレット、または具体的にはスマートフォンなどの携帯電話などのモバイルアプリケーションで通常使用されるカメラに適用可能でなければならない。したがって、具体的には、カメラは、少なくとも1つのカメラに加えて、1つまたは複数のデータプロセッサなどの1つまたは複数のデータ処理デバイスを含むモバイルデバイスの一部であり得る。ただし、他のカメラも使用できる。カメラは、少なくとも1つのカメラチップまたは画像化チップに加えて、例えば1つまたは複数のレンズなどの1つまたは複数の光学要素などのさらなる要素を含み得る。一例として、カメラは、カメラに対して固定的に調整される少なくとも1つのレンズを有する固定焦点カメラであり得る。しかしながら、代替的に、カメラはまた、自動または手動で調整され得る1つ以上の可変レンズを含み得る。
【0027】
カメラは、具体的にはカラーカメラであり得る。したがって、各ピクセルなどについて、3色R、G、Bの色値などの色情報が提供または生成され得る。各ピクセルに4色など、より多くの色の値も使用できる。カラーカメラは一般に当業者に知られている。したがって、例として、カメラチップの各ピクセルは、3つ以上の異なるカラーセンサ、例えば、赤(R)用の1ピクセル、緑(G)用の1ピクセル、および青(B)用の1ピクセルのようなカラー記録ピクセルを有し得る。R、G、Bなどの各ピクセルについて、それぞれの色の強度に応じて、値は、0から255の範囲のデジタル値などのピクセルによって記録され得る。例として、R、G、Bなどの色の3つ組を使用する代わりに、C、M、Y、KまたはRGGB、BGGR、RGBG、GRGB、RGGBなどの4つ組を使用することができる。ピクセルの色感度は、カラーフィルタアレイなどのカラーフィルタによって、例えば、少なくとも1つのベイヤーフィルタによって、またはカメラピクセルで使用されるセンサ要素の適切な固有の感度によって生成され得る。これらの技術は、一般に当業者に知られている。
【0028】
本明細書で使用される場合、限定されないが、「画像」という用語は、特に、カメラチップのピクセルなどの画像化デバイスからの複数の電子読み取りなど、カメラを使用して記録されたデータに関連し得る。したがって、画像自体はピクセルを含み得、画像のピクセルはカメラチップのピクセルに相関する。したがって、「ピクセル」に言及する場合、カメラチップの単一ピクセルによって生成された画像情報の単位、またはカメラチップの単一ピクセルのいずれかが直接参照される。画像は生のピクセルデータを含み得る。例えば、画像は、RGGB空間内のデータ、R、G、またはBピクセルのうちの1つからの単色データ、ベイヤーパターン画像などを含み得る。画像は、フルカラー画像またはRGB画像などの評価されたピクセルデータを含み得る。生のピクセルデータは、例えば、デモザイクアルゴリズムおよび/またはフィルタリングアルゴリズムを使用することによって評価することができる。これらの技術は、一般に当業者に知られている。
【0029】
「少なくとも1つの画像をキャプチャする」という用語は、画像化、画像記録、画像取得、画像キャプチャのうちの1つまたは複数を指す。「少なくとも1つの画像をキャプチャする」という用語は、単一の画像および/または一連の画像などの複数の画像をキャプチャすることを含み得る。少なくとも1つの画像のキャプチャは、ユーザアクションによって開始され得るか、またはカメラの視野内および/または視野の所定のセクタ内の少なくとも1つの物体の存在が自動的に検出されると、自動的に開始され得る。これらの自動画像取得技術は、例えば、自動バーコード読み取りアプリなどの自動バーコードリーダの分野で知られている。
【0030】
本明細書で使用される場合、「モバイルデバイスの照明源」という用語は、モバイルデバイスの任意の光源を指す。「照明源」という用語は、物体を照明するための光を生成するように適合された少なくとも1つのデバイスを指す。本明細書で使用される場合、「光」という用語は、一般に、可視スペクトル範囲、紫外線スペクトル範囲、および赤外線スペクトル範囲のうちの1つまたは複数の電磁放射を指す。「可視スペクトル範囲」という用語は、一般に、380nm~780nmのスペクトル範囲を指す。好ましくは、本発明内で使用される光は、視覚スペクトル範囲の光である。照明源は、モバイルデバイスに統合された少なくとも1つの発光ダイオードを含み得る。特に、照明源は、モバイルデバイス、特に携帯電話のバックライトであり得る。モバイルデバイスは、ディスプレイを照明する少なくとも1つの照明源などのさらなる照明デバイスを含み得、および/またはディスプレイは、さらなる照明源自体として設計され得る。
【0031】
照明源は、2つの状態、すなわち、それが試験片を照明するための光線を生成するオン状態と、照明源がオフであるオフ状態とを有し得る。本明細書で使用される場合、「オンにされる」という用語は、照明源がアクティブ化および/またはスイッチオンされて試験片を照明することを指す。「オフになっている」という用語は、照明源がオフ状態にあるか、またはアクティブにオフになっていることを指す。上で概説したように、ステップa)において、モバイルデバイスの照明源がオフにされている第1の画像がキャプチャされる。これは、周囲光源のみの光強度を含み、モバイルデバイスの照明源によって提供される照明とは独立した画像をキャプチャすることを可能にし得る。ステップb)において、照明源は、周囲光およびモバイルデバイスの照明源による照明の両方からの照明強度を含む第2の画像を決定することが可能であり得るようにオンにされる。
【0032】
照明源は、モバイルデバイスに統合された少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を含み得る。照明源は、少なくとも1つの白色光LEDを含み得る。白色光LEDは、白色光LEDが明るいフラッシュ光を生成するように適合され得るように、短い電流パルスを使用して制御され得る。照明源は、画像のキャプチャ中に常に試験片を照明するように適合させることができる。電子フラッシュとは対照的に、白色光LEDのフラッシュ持続時間は数100ミリ秒かかる場合がある。これにより、LEDのフラッシュモードで画像をキャプチャしている間、照明源が常に試験片を照らすことができる。あるいは、LEDは、非フラッシュモードで試験片を恒久的に照明するように適合され得る。
【0033】
照明源は、明るさの周囲光を凌駕するように適合させることができる。照明源は、試験片のステップb)で画像をキャプチャするとき、本質的に支配的な光源であり得る。「本質的に優勢」という用語は、照明源の照度が周囲光の照度を超え、周囲光からの低照度が可能であることを指す。モバイルデバイスで使用される白色光LEDによって生成されるフラッシュの照度は、1mの物体距離で80~300ルクスになる可能性がある。したがって、0.1mの物体距離では、白色光LEDによって生成されるフラッシュの照度は8000~30000ルクスになる可能性がある。比較のために、完全な日光は10752ルクス、曇りの日は1075ルクス、非常に暗い日は107ルクス、薄明は10.8ルクスになる可能性がある。https://www.noao.edu/education/QLTkit/ACTIVITY_Documents/Safety/LightLevels_outdoor+indoor.pdf.を参照されたい。照明源は、周囲光の光強度を超える光強度を含む、試験片を照明するための少なくとも1つの光ビームを生成するように適合され得る。照明源によって生成される照明の光強度は、周囲光の光強度を2倍、好ましくは10倍、より好ましくは100倍超えることができる。
【0034】
ステップc)は、ステップa)およびb)でキャプチャされた第1の画像および第2の画像を比較し、それによって第1の画像と第2の画像との間の照明条件の違いを決定するステップを含む。上で概説したように、カメラチップの各ピクセルは、3つ以上の異なるカラーセンサ、例えば、赤(R)用の1ピクセル、緑(G)用の1ピクセル、および青(B)用の1ピクセルのようなカラー記録ピクセルを有し得る。カラーセンサおよび/またはカラー記録ピクセルのそれぞれは、照明に応答して単一の信号または複数のセンサ信号を生成するように適合され得る。センサ信号は、少なくとも1つのアナログ電気信号および/または少なくとも1つのデジタル電気信号などの少なくとも1つの電気信号であり得るか、またはそれを含み得る。さらに、生のセンサ信号を使用するか、またはフィルタにかけるなどによって前処理されるなどの処理または前処理されたセンサ信号を使用することができる。カメラは、ステップa)およびb)の第1および第2の画像を少なくとも1つのカラーチャネル、特にRチャネル、GチャネルおよびBチャネルからなる群から選択される少なくとも1つのカラーチャネルでキャプチャするように適合され得る。カメラは、ステップa)およびb)の各カラーチャネルで第1および第2の画像をキャプチャするように適合され得る。本明細書で使用される場合、「カラーチャネル」という用語は、同じ色のカメラチップのカラー記録ピクセルを指す。カメラおよび/またはプロセッサ、特にモバイルデバイスのプロセッサは、第1の画像から少なくとも1つの第1の強度分布を決定し、第2の画像から少なくとも1つのカラーチャネルについて少なくとも1つの第2の強度分布を決定するように適合され得る。好ましくは、第1の強度分布および第2の強度分布は、カラーチャネルのそれぞれについて決定され得る。少なくとも1つのカラーチャネルについて、カメラおよび/またはプロセッサ、特にモバイルデバイスのプロセッサは、それぞれの第1の強度分布から、それぞれのカラーチャネルの第1の強度スペクトルを、およびそれぞれの第2の強度分布からそれぞれのカラーチャネルの第2の強度スペクトルを決定するように適合され得る。本明細書で使用される場合、「強度スペクトル」という用語は、波長の関数としての強度分布を指す。「第1および第2の画像を比較する」という用語は、少なくとも1つのカラーチャネルの第1の強度分布および第2の強度分布を比較すること、および/または少なくとも1つのカラーチャネルの第1の強度スペクトルおよび第2の強度スペクトルを比較することを指す。比較するステップは、1つのカラーチャネルのカラー記録ピクセルによって生成されたそれぞれのセンサ信号を減算する、および/または1つのカラーチャネルの強度分布を減算する、および/または1つのカラーチャネルの強度スペクトルを減算する、および/または、1つのカラーチャネルのそれぞれのセンサ信号を分割する、および/または1つのカラーチャネルの強度分布を分割する、および/または1つのカラーチャネルの強度スペクトルを分割するなど、少なくとも1つの数学的操作を含み得る。例えば、比較は、少なくとも1つのカラーチャネルの第1の強度分布と第2の強度分布との間の差を決定することを含み得る。具体的には、R、G、およびBチャネルの場合、差Δは次の式で決定できる。
【0035】
Δcolor=Icolor
LEDON-Icolor
LEDOFF、
【0036】
color=R、G、Bの場合、Δcolorはそれぞれのカラーチャネルの差、Icolor
LEDONはそれぞれのカラーチャネルの第2の画像の強度分布、Icolor
LEDOFFはそれぞれのカラーチャネルの第1の画像の強度分布である。追加的または代替的に、比較は、第1の強度分布および第2の強度分布を分割することによって、および/または倍数を分割することによって、および/または第1の強度分布および第2の強度分布の線形結合を少なくとも1つのカラーチャネルで分割することによって商を決定することを含み得る。具体的には、R、G、およびBチャネルの場合、商は次の式で決定できる。
【0037】
Qcolor=Icolor
LEDON/Icolor
LEDOFF、
【0038】
color=R、G、Bの場合、Qcolorはそれぞれのカラーチャネルの商、Icolor
LEDONはそれぞれのカラーチャネルの第2の画像の強度分布、Icolor
LEDOFFはそれぞれのカラーチャネルの第1の画像の強度分布である。カメラおよび/またはプロセッサ、特にモバイルデバイスのプロセッサは、好ましくは少なくとも1つのデータ処理デバイスを使用することによって、より好ましくは少なくとも1つのプロセッサおよび/または少なくとも1つの特定用途向け集積回路を使用することによって、指定された操作を実行するように適合され得る。したがって、一例として、モバイルデバイスは、いくつかのコンピュータコマンドを含むソフトウェアコードが格納された少なくとも1つのデータ処理デバイスを含むことができる。モバイルデバイスは、1つまたは複数の名前付き操作を実行するための1つまたは複数のハードウェア要素を提供し得、および/または1つまたは複数の名前付き操作を実行するために実行されるソフトウェアを1つまたは複数のプロセッサに提供し得る。「差」という用語は、特に強度スペクトルにおける、第1および第2の画像の偏差を指す場合がある。具体的には、「差」という用語は、統計的変動を超える偏差を指す。モバイルデバイスの照明源は、既知のまたは所定のスペクトル組成を有し得る。「スペクトル組成」という用語は、照明源によって生成された照明の強度スペクトルを指す。特に、R、G、Bチャネルのそれぞれの波長の関数としての光強度の少なくとも1つの分布は、既知であるか、または事前に決定され得る。具体的には、白色光LEDの発光スペクトルは、既知であるか、または経験的に決定され得る。スペクトル組成は、テーブルまたはルックアップテーブルに格納され得、例えば、経験的に決定され得、そして一例として、ソフトウェア、具体的にはアプリストアなどからダウンロードしたアプリによってモバイルデバイスの少なくとも1つのデータストレージデバイスに格納され得る。一般に、照射された試験片は特定の波長範囲の光を吸収する可能性があるが、吸収されなかった光は反射され、カメラによってキャプチャされる。したがって、試験片を照らす光のスペクトル特性または組成は、キャプチャされた画像の結果のRGB値に直接影響を与える可能性がある。照明源のスペクトル組成は既知であるかまたは事前に決定されているので、照明源に由来する試験片の照明に使用される光強度の量を決定することが可能である可能性がある。モバイルデバイスは、第1の画像と第2の画像とを比較するように適合され得る少なくとも1つのプロセッサを含み得る。
【0039】
第1の画像および第2の画像は、サンプルを適用する前にキャプチャされ得る。追加的または代替的に、この方法は、少なくとも1つのサンプル適用ステップを含み得、サンプル適用ステップにおいて、サンプルは、試験片に適用され得る。具体的には、サンプルは、ステップa)および/またはb)の前に試験片に適用され得る。
【0040】
ステップd)は、ステップc)の比較から少なくとも1つの適合性情報を導き出すステップを含む。ステップd)で適合性情報を導出することは、ステップc)で決定された照明条件の差を少なくとも1つの閾値と比較することを含み得る。第2の画像と第1の画像との間の照明条件の差が少なくとも閾値に等しい場合にのみ、適合性情報を設定して、分析物検出のための照明条件の適合性を示すことができる。閾値は、周囲光の状態によって異なる。例えば、ユーザおよび/またはプロセッサは、周囲光の状態に応じて閾値を調整および/または選択するように適合され得る。閾値は、テーブルまたはルックアップテーブルに格納され得、例えば、経験的に決定され得、そして一例として、ソフトウェア、具体的にはアプリストアなどからダウンロードしたアプリによって、モバイルデバイスの少なくとも1つのデータストレージデバイスに格納され得る。例えば、適合性情報は、試験片の照明に使用される光強度の少なくとも70%が照明源に由来する場合にのみ、その後の分析物検出のための照明条件の適合性を示すように設定され得る。例えば、適合性情報は、試験片の照明に使用される光強度の少なくとも80%が照明源に由来する場合にのみ、その後の分析物検出のための照明条件の適合性を示すように設定され得る。他の閾値が可能であり得る。例えば、適合性情報は、試験片の照明に使用される光強度の90%が照明源に由来する場合にのみ、後続の分析物検出のための照明条件の適合性を示すように設定され得る。
【0041】
周囲光の組成が照明源によって生成される照明の予想される組成に本質的に対応する場合、明るい周囲光源の場合でさえ、光条件は適切であると示すことができる。「組成」という用語は、照明の色組成、特にそれぞれのカラーチャネルの強度分布の組成を指す。「期待される組成」という用語は、所定のスペクトル組成である
【0042】
「本質的に対応する」という用語は、周囲光の組成が、±30%以下の許容誤差、好ましくは±20%以下の許容誤差で、最も好ましくは±10%以下の許容誤差を有す照明源によって生成される照明の予想される組成に対応する条件を指す。IR
Ambient/IG
Ambient/IB
Ambient≦ε(IR
LEDON/IG
LEDON/IB
LEDON)が満たされている場合、光条件は適切であると示される。ここで、IR
Ambient、IG
Ambient、IB
Ambientは、周囲光、IR
LEDON、IG
LEDONによる照明のそれぞれのカラーチャネルの強度分布、IB
LEDONは、照明源によって生成された照明のそれぞれのカラーチャネルの強度分布であり、ε≦0.3、好ましくはε≦0.2、最も好ましくはε≦0.1である。
【0043】
この方法は、照明源が十分な照明強度を提供するかどうかをチェックおよび/または評価することをさらに含み得る。照明源が十分な照明を提供するように構成されているかどうかのチェックおよび/または評価は、少なくとも1つの閾値方法を使用することができる。照度の十分性は、試験片の表面特性および/または周囲光の状態に依存する可能性がある。特に、高い反射特性を有する試験片の場合、暗いまたは低い反射特性と比較して、より低い光強度で十分であり得る。さらに、例えば太陽光による明るい周囲光条件の場合、遮蔽された周囲光条件と比較して、より高い強度が必要とされる場合がある。
【0044】
本発明のさらなる態様では、モバイルデバイスのカメラを使用することによってサンプル中の分析物を検出するための検出方法が開示される。この方法は、一例として、所与の順序で実行され得る以下のステップを含む。ただし、別の順序も可能であることに注意されたい。さらに、1つまたは複数の方法ステップを1回または繰り返し実行することも可能である。さらに、2つ以上の方法ステップを同時にまたは適時に重複して実行することが可能である。この方法は、記載されていないさらなる方法ステップを含み得る。方法は、以下のステップ:
i)前述の実施形態の1つによる照明条件の適合性を評価するための方法を使用することによって照明条件を評価するステップと;
ii)照明条件の適合性に関する適合性情報が、分析物の検出に適した照明条件を示している場合は、次の手順を実行するステップ、すなわち、
A)サンプル中の分析物を検出するための少なくとも1つの試験片を提供するステップであって、試験片は、分析物の存在下で光学的検出反応を呈するための少なくとも1つの試験化学物質を含む少なくとも1つの試験フィールドを有する、ステップと;
B)試験片の試験フィールドに少なくとも1つのサンプルを適用するステップと;
C)カメラを使用することによって試験フィールドの少なくとも1つの画像をキャプチャするステップであって、前記キャプチャ中に、モバイルデバイスの照明源がオンにされるステップと;
D)ステップC)でキャプチャされた画像から、サンプル中の分析物濃度を決定するステップと、実行することを含む。
【0045】
実施形態および検出方法の定義に関して、上記の照明条件の適合性を評価するための方法の説明を参照し、以下でさらに詳細に説明する。特に、方法ステップi)に関して、上記の照明条件の適合性を評価するための方法の説明を参照することができる。
【0046】
分析物濃度の決定は、光学的検出を含み得る。本明細書で使用される場合、「光学的検出」という用語は、分析物の存在下で色が変化する色変化試験化学物質などの光学的試験化学物質を使用する反応の検出を指す。色の変化は、特にサンプルに存在する分析物の量に依存する可能性がある。ステップD)は、試験片の試験フィールド上のスポットの色を分析することを含み得、前記スポットは、少なくとも部分的にサンプルを含む。光学的検出によって分析物を決定するための技術、特に試験フィールド上のスポットの色を分析するための技術は、一般に当業者に知られている。少なくとも1つの画像を評価し、その少なくとも1つの分析情報を導出するために、血糖モニタリングの分野などの分析の分野の当業者に一般に知られているいくつかのアルゴリズムを使用することができる。したがって、一例として、少なくとも1つの試験化学物質を有する少なくとも1つの試験フィールドの色などの試験要素の色を評価することができる。一例として、画像を評価する場合、関心領域は、試験要素の試験フィールド内の関心領域など、試験要素の画像内に定義され得、色の分析は、統計分析のように実行され得る。一例として、長方形、正方形、多角形、楕円形、または円形の関心領域を、試験フィールドの画像であると認識される画像の部分内に定義することができる。続いて、関心領域内のピクセルの色の統計分析を実行することができる。一例として、1つまたは複数の色座標をピクセルに対して導出することができ、色座標の統計分析を関心領域にわたって実行することができる。一例として、少なくとも1つの色座標の分布の中心を決定することができる。本明細書で使用される「色座標」という用語は広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、座標を使用して色を記述するために使用される任意の色座標系の座標を指すことができるが、これに限定されない。いくつかの色座標系は、一般に当業者に知られており、本発明の文脈で使用することもできる。したがって、例として、CIE1964色空間、マンセル色システム、またはR、G、B、L、a、bなどの他の座標系などの人間の知覚に基づく比色座標系または座標系を使用することができる。
【0047】
したがって、画像から分析情報を導出するために、例として、試験フィールドなどの試験要素の少なくとも1つの色座標間の所定のまたは決定可能な関係を監視することができる。上で概説したように、統計分析は、少なくとも1つの試験化学物質を含む試験フィールド上および/または少なくとも1つの試験化学物質を含む試験フィールド内の関心領域にわたってなど、試験要素またはその一部に対して実行され得る。したがって、例として、試験要素の画像内の少なくとも1つの試験フィールドは、好ましくは自動的に、例えば、以下の例で説明するパターン認識および/または他のアルゴリズムによって自動で認識され得る。この場合も、1つまたは複数の関心領域を試験フィールドの部分画像内に定義することができる。関心領域、色座標、例えば、この場合も、青色の色座標および/または他の色の座標を決定することができる。ここでも、1つ以上のヒストグラムを使用する。統計分析は、上記のような1つまたは複数のフィッティング曲線を少なくとも1つのヒストグラムにフィッティングすることを含み得、それにより、例えば、ピークの中心を決定する。したがって、色形成反応は、1つまたは複数の画像を使用することによって監視され得、1つまたは複数の画像について、統計分析を使用することによって、ピークの中心を決定することができ、それによって、少なくとも1つの座標内の色シフトを決定することができる。当業者が一般的に知っているように、発色反応が終了するか、または所定のまたは決定可能なエンドポイントに到達すると、血糖モニタリングから、少なくとも1つの色座標または終点の色座標のシフトが決定され得、そして例えば、色座標と濃度の間の所定のまたは決定可能な相関関係を使用することにより、サンプル中の分析物の濃度に変換され得る。例として、変換関数、変換テーブル、またはルックアップテーブルである相関は、例えば経験的に決定され得、一例として、ソフトウェア、特にアプリストアなどからダウンロードしたアプリによってモバイルデバイスの少なくとも1つのデータストレージデバイスに格納され得る。
【0048】
ステップi)における照明条件の評価が、照明条件が適切であることを示すように設定されていない場合、モバイルデバイスは、サンプル中の分析物の検出を中止および/または防止するように適合され得る。追加的または代替的に、ステップi)における照明条件の評価が、照明条件が適切であることを示すように設定されていない場合、モバイルデバイスは、少なくとも1つの警告を生成するように適合され得る。追加的または代替的に、ステップi)における照明条件の評価が、照明条件が適切であることを示すように設定されていない場合、モバイルデバイスは、ステップi)を繰り返すように適合され得る。追加的または代替的に、ステップi)における照明条件の評価が照明条件が適切であることを示すように設定されていない場合、モバイルデバイスは、例えば、別の場所に移動したり、邪魔な光源をオフにしたりするように、周囲光条件を変更するようにユーザに少なくとも1つのプロンプトを生成するように適合され得る。
【0049】
ステップD)の後、照明条件は、本発明による照明条件の適合性を評価するための方法を使用することによって評価され得る。照明条件の適合性に関する適合性情報が、照明条件が分析物の検出に適していないことを示している場合、決定された分析物濃度は拒絶され得る。モバイルデバイスは、モバイルデバイスのディスプレイ上の視覚的警告および/または少なくとも1つの音響的警告などの、ユーザへの警告を生成するように適合され得る。
【0050】
ステップC)は、試験フィールドが少なくとも部分的に標的領域に位置するように、カメラに対して試験片を配置するための視覚的表示をユーザに提供することを含み得る。本明細書で使用される場合、「標的領域」という用語は、画像をキャプチャする間に試験片の試験フィールドが配置されると想定され得る、所定のまたは事前に指定された領域を指す。画像をキャプチャする前に、視覚的ガイダンスなどの視覚的表示をユーザに与えることができる。視覚的表示は、テキストメッセージおよび/またはグラフィック命令などの少なくとも1つの命令を含み得る。例えば、視覚的表示は、試験片または試験片の輪郭および/または輪郭などの試験片の一部の視覚化を含み得る。視覚的表示は、試験片の輪郭または試験片上の参照領域、例えば、モバイルデバイスのディスプレイに重ね合わされ、試験片に対してカメラを配置するための視覚的ガイダンスを提供する、試験片の形状に対応するフレームを含み得る。シャープネス基準および/または空間基準が満たされ得ると決定された場合、特に視覚的表示の試験片の輪郭が試験片に重なると決定された場合、少なくとも1つの画像のキャプチャが自動的に開始され得る。視覚的な表示は、使用する試験片によって異なる。例えば、試験片の輪郭および/または輪郭などの視覚的表示は、経験的に決定され得、および/またはソフトウェアによって、具体的には、アプリストアなどからダウンロードされた少なくとも1つのアプリによって、少なくとも1つのルックアップテーブルおよび/またはモバイルデバイスの少なくとも1つのデータストレージ、例えば、モバイルデバイスに格納され得る。追加的または代替的に、音声ガイダンスまたは他のタイプのガイダンスが与えられ得る。
【0051】
以下でさらに詳細に概説されるように、照明条件の適合性を評価するための方法および検出方法は、完全にまたは部分的に、特にモバイルデバイスのプロセッサなどのモバイルデバイスのコンピュータ上にコンピュータ実装され得る。したがって、具体的には、方法は、照明条件の適合性を評価するための方法の少なくとも方法ステップc)およびd)および/または検出方法の方法ステップD)を実行するための少なくとも1つのプロセッサおよびソフトウェア命令を使用することを含み得る。具体的には、これらの方法は、例えば、AndroidまたはiOS用の、いわゆるアプリとして、完全にまたは部分的に実装され得、例えばアプリストアからダウンロード可能である場合がある。ソフトウェア命令、特にアプリはさらに、照明条件および/または検出方法の適合性を評価するための方法の方法ステップをサポートするために、ディスプレイの1つまたは複数によって、音声命令または他の命令によって、ユーザ命令を提供する場合がある。その中で、上に示したように、方法ステップa)およびb)はまた、試験片がカメラの視野内および/または視野内の特定の範囲内に入ると、カメラを使用することにより、少なくとも1つの試験片の第1および第2の画像を自動的に撮影することによって、完全にまたは部分的にコンピュータで実施され得る。照明条件の適合性を評価するための方法および/または検出方法を実行するためのプロセッサは、具体的には、モバイルデバイスの一部であり得る。
【0052】
上で概説したように、モバイルデバイスは、具体的には、モバイルコンピュータおよび/またはモバイル通信デバイスであり得る。したがって、具体的には、モバイルデバイスは、モバイル通信デバイス、具体的にはスマートフォン、ポータブルコンピュータ、特にノートブック、タブレットコンピュータからなる群から選択され得る。
【0053】
上に示したように、さらなる方法ステップは、特にモバイルデバイスのプロセッサによって、コンピュータで実装されるか、またはコンピュータによって支援され得る。
【0054】
本発明のさらなる態様では、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる照明条件の適合性を評価するための方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムが開示される。具体的には、コンピュータ実行可能命令は、方法ステップa)、b)、c)およびd)のうちの1つまたは複数を実行するのに適している可能性がある。特に、プログラムは、コンピュータまたはコンピュータネットワーク上で、具体的には、少なくとも1つのカメラを有するモバイルデバイスのプロセッサ上で実行される。
【0055】
したがって、一般的に言えば、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに、本明細書に含まれる1つ以上の実施形態において、本開示による照明条件の適合性を評価する方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムがさらに開示および提案される。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアに格納され得る。したがって、具体的には、上に記載したような方法ステップの1つ、2つ以上、またはすべては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して実行され得る。コンピュータは、具体的には、モバイルデバイスに完全にまたは部分的に統合することができ、コンピュータプログラムは、具体的には、ソフトウェアアプリとして具体化することができる。あるいは、しかしながら、コンピュータの少なくとも一部がモバイルデバイスの外に配置されていてもよい。
【0056】
データ構造が格納されたデータキャリアがさらに開示および提案されており、これは、コンピュータまたはコンピュータネットワークのワーキングメモリまたはメインメモリなどのコンピュータまたはコンピュータネットワークにロードした後、本明細書で開示される1つ以上の実施形態による方法を実行し得る。
【0057】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに、本明細書に含まれる1つ以上の実施形態による照明条件の適合性を評価する方法を実行するために、マシン可読キャリアに格納されたプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品がさらに開示および提案される。本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は一般に、紙のフォーマットなどの任意のフォーマットで、またはコンピュータ可読データキャリア上に存在する。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを介して配布されてもよい。
【0058】
最後に、本明細書に開示および提案されるのは、本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態、具体的には1つまたは複数の実施形態による照明条件の適合性を評価するための方法、具体的には上記の照明条件の適合性を評価するための方法の1つまたは複数のステップを実行するための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号である。
【0059】
具体的には、本明細書では、さらに以下が開示される。
【0060】
少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータまたはコンピュータネットワークであって、プロセッサは、この記述で説明される実施形態のうちの1つによる方法を実行するように適合される。
【0061】
データ構造がコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態の1つによる照明条件の適合性を評価するための方法を実行するように適合されたコンピュータロード可能データ構造。
【0062】
プログラムがコンピュータ上で実行されている間に、この説明に記載された実施形態の1つによる照明条件の適合性を評価するための方法を実行するように適合されたコンピュータプログラム。
【0063】
コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されている間に、この説明に記載された実施形態の1つによる照明条件の適合性を評価するための方法を実行するためのプログラム手段を含むコンピュータプログラム。
【0064】
前実施形態によるプログラム手段を含むコンピュータプログラムであって、プログラム手段は、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体上に格納される。
【0065】
記憶媒体であって、データ構造が記憶媒体に記憶され、データ構造がコンピュータまたはコンピュータネットワークのメイン記憶部および/または作業用記憶部にロードされた後、本明細書に記載された実施形態の1つによる方法を実行するように適合される。
【0066】
プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、プログラムコード手段は、この説明に記載された実施形態の1つによる照明条件の適合性を評価するための方法を実行するために、記憶媒体上に記憶され得る。コード手段は、コンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行される。
【0067】
本発明のさらなる態様では、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる検出方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムが開示される。具体的には、コンピュータで実行可能な命令は、1つまたは複数の方法ステップi)およびii)を実行するのに適している可能性がある。特に、プログラムは、コンピュータまたはコンピュータネットワーク上で、具体的には、少なくとも1つのカメラを有するモバイルデバイスのプロセッサ上で実行される。
【0068】
したがって、一般的に言えば、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに、本明細書に含まれる1つ以上の実施形態において、本開示による検出方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラムがさらに開示および提案される。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアに格納され得る。したがって、具体的には、上に記載したような方法ステップの1つ、2つ以上、またはすべては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して実行され得る。コンピュータは、具体的には、モバイルデバイスに完全にまたは部分的に統合することができ、コンピュータプログラムは、具体的には、ソフトウェアアプリとして具体化することができる。あるいは、しかしながら、コンピュータの少なくとも一部がモバイルデバイスの外に配置されていてもよい。
【0069】
データ構造が格納されたデータキャリアがさらに開示および提案されており、これは、コンピュータまたはコンピュータネットワークのワーキングメモリまたはメインメモリなどのコンピュータまたはコンピュータネットワークにロードした後、本明細書で開示される1つ以上の実施形態による検出方法を実行し得る。
【0070】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに、本明細書に含まれる1つ以上の実施形態による検出方法を実行するために、マシン可読キャリアに格納されたプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品がさらに開示および提案される。本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は一般に、紙のフォーマットなどの任意のフォーマットで、またはコンピュータ可読データキャリア上に存在する。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを介して配布されてもよい。
【0071】
最後に、本明細書に開示および提案されるのは、本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態、具体的には検出方法の1つまたは複数のステップによる上記の検出方法を実行するための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号である。
【0072】
具体的には、本明細書では、さらに以下が開示される。
【0073】
少なくとも1つのプロセッサを備えるコンピュータまたはコンピュータネットワークであって、プロセッサは、この記述で説明される実施形態のうちの1つによる方法を実行するように適合される。
【0074】
データ構造がコンピュータ上で実行されている間に、本明細書に記載された実施形態の1つによる方法を実行するように適合されたコンピュータロード可能データ構造。
【0075】
プログラムがコンピュータ上で実行されている間に、この説明に記載された実施形態のうちの1つによる検出方法を実行するように適合されているコンピュータプログラム。
【0076】
コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されている間に、この説明に記載された実施形態の1つによる検出方法を実行するためのプログラム手段を含むコンピュータプログラム。
【0077】
前実施形態によるプログラム手段を含むコンピュータプログラムであって、プログラム手段は、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体上に格納される。
【0078】
記憶媒体がさらに開示および提案され、データ構造が記憶媒体に記憶され、データ構造がコンピュータまたはコンピュータネットワークのメイン記憶部および/または作業用記憶部にロードされた後、本明細書に記載された実施形態の1つによる方法を実行するように適合される。
【0079】
プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品であって、コンピュータまたはコンピュータネットワーク上でプログラムコード手段が実行された場合に、この説明に記載された実施形態の1つによる検出方法を実行するために、プログラムコード手段を記憶することができる、または記憶媒体上に記憶することができる、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品。
【0080】
本発明のさらなる態様では、分析測定を実行するためのモバイルデバイスが開示されている。モバイルデバイスは、
少なくとも1つのカメラと、
少なくとも1つの照明源と、
先行する実施形態の1つによる照明条件の適合性を評価するための方法を実行するためのプログラム手段を含む、少なくとも1つのプロセッサと、を含む。
【0081】
本明細書で使用されるほとんどの用語および可能な定義については、上記の方法の説明を参照することができる。
【0082】
プロセッサは、前述の実施形態のいずれか1つによる検出方法を実行するためのプログラム手段をさらに含み得る。モバイルデバイスは、モバイル通信デバイスであり得る。
【0083】
本発明による方法および装置は、分析測定のための既知の方法および装置に勝る多くの利点を提供し得る。本発明は、当技術分野で知られているプロセスと比較して、分析測定を実行するプロセスの信頼性および精度を改善することができる。具体的には、本発明は、例えば既知のアプリまたはコンピュータプログラムと比較した、分析測定を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むアプリのような、アプリケーションの信頼性および精度を改善することができる。特に、本発明は、周囲光条件とは無関係に、異なるモバイルデバイスに対して、ロバストな画像キャプチャ条件を保証することを可能にし得る。具体的には、これは、周囲光の影響を回避および/または大幅に低減することによって確保することができる。
【0084】
要約すると、さらに可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定され得る。
【0085】
実施形態1:以下のステップを含む、モバイルデバイスのカメラを使用してサンプル中の分析物を検出するための照明条件の適合性を評価するための方法。
a)少なくとも1つの試験片の少なくとも1つの第1の画像をキャプチャするステップであって、試験片は、サンプル中の分析物を検出するように適合され、試験片は、分析物の存在下で光検出反応を呈するための少なくとも1つの試験化学物質を含む少なくとも1つの試験フィールドを有し、モバイルデバイスの照明源が第1の画像のキャプチャ中にオフにされる、ステップ。
b)試験片の少なくとも1つの第2の画像をキャプチャするステップであって、第2の画像のキャプチャ中に、モバイルデバイスの照明源がオンになる、ステップ。
c)ステップa)およびb)でキャプチャされた第1の画像および第2の画像を比較するステップであって、それによって第1の画像と第2の画像との間の照明条件の違いを決定する、ステップ。
d)ステップc)の比較から少なくとも1つの適合性情報を導出するステップであって、適合性情報は、分析物検出のための照明条件の適合性に関する情報を含む、ステップ。
【0086】
実施形態2:照明源が既知のまたは所定のスペクトル組成を有する、前述の実施形態に記載の方法。
【0087】
実施形態3:照明源が、明るさの周囲光において輝きを放つように適合されている、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態4:サンプルの適用前に第1の画像および第2の画像がキャプチャされる、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態5:方法が少なくとも1つのサンプル適用ステップを含み、サンプル適用ステップにおいてサンプルが試験片に適用され、サンプルがステップa)および/またはb)の前に試験片に適用される、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態6:ステップd)で適合性情報を導出することは、ステップc)で決定された照明条件の差を少なくとも1つの閾値と比較することを含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態7:第2の画像と第1の画像との間の照明条件の差が少なくとも閾値に等しい場合にのみ、適合性情報が、分析物検出のための照明条件の適合性を示すように設定される、前述の実施形態に記載の方法。
【0092】
実施形態8:試験片の照明に使用される光強度の少なくとも80%が照明源に由来する場合にのみ、適合性情報が、後続の分析物検出のための照明条件の適合性を示すように設定される、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
実施形態9:照明源が十分な照明強度を提供するかどうかをチェックおよび/または評価することをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
実施形態10:カメラが移動通信装置のカメラである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
実施形態11:モバイルデバイスの照明源が、モバイルデバイスに統合された少なくとも1つの発光ダイオードを含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態12:モバイルデバイスのカメラを使用することによってサンプル中の分析物を検出するための検出方法であって、以下を含む方法。
前述の実施形態のいずれか1つによる照明条件の適合性を評価するための方法を使用することによる照明条件の評価すること。
ii)照明条件の適合性に関する適合性情報が、分析物の検出に適した照明条件を示している場合は、次の手順を実行するステップ。
A)サンプル中の分析物を検出するための少なくとも1つの試験片を提供するステップであって、試験片は、分析物の存在下で光学的検出反応を呈するための少なくとも1つの試験化学物質を含む少なくとも1つの試験フィールドを有する、ステップ。
B)試験片の試験フィールドに少なくとも1つのサンプルを適用するステップ。
C)カメラを使用することによって試験フィールドの少なくとも1つの画像をキャプチャするステップであって、前記キャプチャ中に、モバイルデバイスの照明源がオンにされるステップ。
D)ステップC)でキャプチャされた画像から、サンプル中の分析物濃度を決定するステップ。
【0097】
実施形態13:ステップD)が、試験片の試験フィールド上のスポットの色を分析することを含み、前記スポットが少なくとも部分的にサンプルを含む、前述の実施形態に記載の検出方法。
【0098】
実施形態14:ステップC)が、試験フィールドが少なくとも部分的に標的領域に位置するように、カメラに対して試験片を配置するための視覚的表示をユーザに提供することを含む、前述の2つの実施形態のいずれか1つに記載の検出方法。
【0099】
実施形態15:ステップD)の後、照明条件の適合性に関する適合性情報が、分析物の検出に適さない照明条件を示している場合、照明条件は、決定された分析物濃度が拒絶される、前述の実施形態のいずれか1つに記載の照明条件の適合性を評価するための方法を使用することによって評価される、前述の実施形態のいずれか1つに記載の検出方法。
【0100】
実施形態16:コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で、特に、モバイルデバイスのプロセッサ上で実行されている間に照明条件の適合性を評価するための方法を参照する、前述の実施形態の1つに記載の照明条件の適合性を評価するための方法を実行するためのプログラム手段を含むコンピュータプログラム。
【0101】
実施形態17:コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上、特にモバイルデバイスのプロセッサ上で実行されている間に検出方法を参照する、前述の実施形態のうちの1つに記載の検出方法を実行するためのプログラム手段を含むコンピュータプログラム。
【0102】
実施形態18:
少なくとも1つのカメラと、
少なくとも1つの照明源と、
照明条件の適合性を評価するための方法を参照する前述の実施形態の1つに従って、前述照明条件の適合性を評価するための方法を実行するためのプログラム手段を含む、少なくとも1つのプロセッサと、を含むモバイルデバイス。
【0103】
実施形態19:プロセッサが、検出方法を参照する前述の実施形態のいずれか1つに記載の検出方法を実行するためのプログラム手段をさらに備える、前述の実施形態に記載のモバイルデバイス。
【0104】
実施形態20:モバイルデバイスがモバイル通信デバイスである、前述の2つの実施形態のいずれか1つに記載のモバイルデバイス。
【0105】
さらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。その中で、それぞれの任意選択的な特徴は、当業者が理解するように、孤立した方法で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現することができる。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に示されている。その中で、これらの図の同一の参照番号は、同一または機能的に比較可能な要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【
図1】照明条件の適合性を評価するための方法および分析物を検出するための方法のフローチャートを示す。
【
図2】照明条件の適合性を評価するための方法を実行するためのモバイルデバイスの実施形態の斜視図を示す。
【
図3A】標準光源の相対スペクトルパワー分布と、カメラ画像に対する周囲光の影響の実験結果を示す。
【
図3B】標準光源の相対スペクトルパワー分布と、カメラ画像に対する周囲光の影響の実験結果を示す。
【
図3C】標準光源の相対スペクトルパワー分布と、カメラ画像に対する周囲光の影響の実験結果を示す。
【
図3D】標準光源の相対スペクトルパワー分布と、カメラ画像に対する周囲光の影響の実験結果を示す。
【
図3E】標準光源の相対スペクトルパワー分布と、カメラ画像に対する周囲光の影響の実験結果を示す。
【
図3F】標準光源の相対スペクトルパワー分布と、カメラ画像に対する周囲光の影響の実験結果を示す。
【
図3G】標準光源の相対スペクトルパワー分布と、カメラ画像に対する周囲光の影響の実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0107】
サンプル中の分析物を検出するための照明条件の適合性を評価するための方法110のフローチャート、および分析物115を検出するための方法のフローチャートを示す。適合性を評価するための方法110は、以下のステップを含む。
a)(参照番号117で示される)少なくとも1つの試験片116の少なくとも1つの第1の画像をキャプチャするステップであって、試験片116は、サンプル中の分析物を検出するように適合され、試験片116は、分析物の存在下で光学的検出反応を呈するための1つの試験化学物質を含む少なくとも1つの試験フィールド118を有し、第1の画像のキャプチャ中に、モバイルデバイス114の照明源120がオフにされるステップ。
b)(参照番号122で示される)試験片116の少なくとも1つの第2の画像をキャプチャするステップであって、第2の画像のキャプチャ中に、モバイルデバイス114の照明源120がオンになるステップ。
c)(参照番号124で示される)ステップa)117およびb)122でキャプチャされた第1および第2の画像を比較し、それによって第1の画像と第2の画像との間の照明条件の違いを決定するステップ。
d)(参照番号126で示される)ステップc)124の比較から少なくとも1つの適合性情報を導出するステップであって、適合性情報は、分析物検出のための照明条件の適合性に関する情報を含むステップ。
【0108】
図2には、照明条件の適合性を評価するための方法110を実行するためのモバイルデバイス114が斜視図で示されている。モバイルデバイス114は、モバイル電子デバイス、より具体的には、携帯電話またはスマートフォンなどのモバイル通信デバイスであり得る。追加的または代替的に、モバイルデバイス114はまた、少なくとも1つのカメラを有するタブレットコンピュータまたは別のタイプのポータブルコンピュータを指し得る。さらに、少なくとも1つの試験片116が示されている。試験片118は、少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの試験化学物質を含む試験フィールド118を有する。例として、試験片116は、少なくとも1つの試験フィールド118がそれに適用されるか、またはその中に組み込まれた、少なくとも1つのキャリアなどの少なくとも1つの基板を含み得る。
【0109】
モバイルデバイス114は、少なくとも1つのカメラ112を備える。カメラ112は、画像を記録するように構成された少なくとも1つのCCDチップおよび/または少なくとも1つのCMOSチップなど、ここには示されていない少なくとも1つのカメラチップを含み得る。カメラ112は、一般に、ピクセルなどの画像センサの1次元または2次元アレイを備え得る。カメラ112は、移動通信装置のカメラであり得る。カメラ112は、具体的にはカラーカメラであり得る。カメラ112は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の、少なくとも3色の色値を生成するように適合させることができる。一例として、カメラチップの各ピクセルは、3つ以上の異なるカラーセンサ、例えば、Rの1ピクセル、Gの1ピクセル、Bの1ピクセルのようなカラー記録ピクセルを有し得る。
【0110】
照明条件の適合性を評価するための方法110は、モバイルデバイス114のカメラ112を用いた画像キャプチャに対する周囲光の影響を決定することを含み得る。例えば、適合性情報は、試験片116を照明するためのモバイルデバイス114の照明源120から生じる光強度の十分性に関する情報を含み得る。具体的には、適合性情報は、周囲光強度および/または周囲光条件に関連して、および/またはそれらと比較して、試験片116を照明するためのモバイルデバイス114の照明源120から生じる光強度の十分性に関する情報を含み得る。周囲光は、例えばランプのような室内光などの人工光源によって、および/または太陽、月、星明かり、稲妻などの自然光源によって生成および/または提供され得る。照明条件は、時間、特に昼間または夜間に依存する場合がある。照明条件は、特に画像が屋外または屋内でキャプチャされているか、地理的な場所にあるかによって、場所によって異なる。特に屋外測定の場合、照明条件は気象条件に依存する場合がある。屋内測定の場合、照明条件は部屋の照明に依存する場合があり、家庭、スーパーマーケット、劇場などの活動に応じて異なる場合がある。
【0111】
照明源120は、モバイルデバイス114に統合された少なくとも1つの発光ダイオードを含み得る。特に、照明源120は、モバイルデバイス114、特に携帯電話のバックライトであり得る。モバイルデバイス114は、少なくとも1つのディスプレイ128を照明する少なくとも1つの照明源などのさらなる照明デバイスを含み得、および/またはディスプレイ128は、さらなる照明源自体として設計され得る。
【0112】
照明源120は、2つの状態、すなわち、試験片116を照明するための光線を生成するオン状態と、照明源120がオフであるオフ状態とを有し得る。上で概説したように、ステップa)117において、モバイルデバイス114の照明源120がオフにされている第1の画像がキャプチャされる。これは、周囲光源のみの光強度を含み、モバイルデバイス114の照明源120によって提供される照明とは独立した画像をキャプチャすることを可能にし得る。ステップb)122において、照明源120は、周囲光およびモバイルデバイス114の照明源120による照明の両方からの照明強度を含む第2の画像を決定することが可能であり得るようにオンにされる。
【0113】
モバイルデバイス114に統合された発光ダイオードは、少なくとも1つの白色光LEDを含み得る。白色光LEDは、白色光LEDが明るいフラッシュ光を生成するように適合され得るように、短い電流パルスを使用して制御され得る。照明源120は、画像のキャプチャ中に常に試験片116を照明するように適合され得る。電子フラッシュとは対照的に、白色光LEDのフラッシュ持続時間は数100ミリ秒かかる場合がある。これは、照明源120が、LEDのフラッシュモードで画像をキャプチャしている間、常に試験片116を照明することを可能にし得る。あるいは、LEDは、非フラッシュモードで試験片を恒久的に照明するように適合されてもよく、LEDは、試験片116を照明するための少なくとも1つの光ビームを連続的に生成するように適合される。
【0114】
照明源120は、明るさの周囲光において輝きを放つように適合させることができる。照明源120は、試験片116のステップb)122で画像をキャプチャするとき、本質的に支配的な光源であり得る。モバイルデバイスで使用される白色光LEDによって生成されるフラッシュの照度は、1mの物体距離で80~300ルクスになる可能性がある。したがって、0.1mの物体距離では、白色光LEDによって生成されるフラッシュの照度は8000~30000ルクスになる可能性がある。比較のために、完全な日光は10752ルクス、曇りの日は1075ルクス、非常に暗い日は107ルクス、薄明は10.8ルクスになる可能性がある。https://www.noao.edu/education/QLTkit/ACTIVITY_Documents/Safety/LightLevels_outdoor+indoor.pdf.を参照されたい。照明源120は、周囲光の光強度を超える光強度を含む試験片116を照明するための少なくとも1つの光ビーム130を生成するように適合され得る。照明源120によって生成された光ビーム130の光強度は、周囲光の光強度を2倍、好ましくは10倍、より好ましくは100倍超えてもよい。
【0115】
ステップc)124は以下を含む。ステップa)117およびb)122でキャプチャされた第1および第2の画像を比較し、それによって第1の画像と第2の画像との間の照明条件の違いを決定するステップ。上で概説したように、カメラチップの各ピクセルは、3つ以上の異なるカラーセンサ、例えば、赤(R)用の1ピクセル、緑(G)用の1ピクセル、および青(B)用の1ピクセルのようなカラー記録ピクセルを有し得る。例えば、カメラ112は、少なくとも1つのベイヤーセンサを含み得る。カメラチップは、R、G、Bチャネルのそれぞれに対して少なくとも1つのセンサ信号を生成するように適合され得る。カメラチップは、それぞれのR、G、Bチャネルの強度スペクトルを決定するように適合させることができる。カメラ112は、ステップa)117およびb)122において、少なくとも1つのカラーチャネル、特に、Rチャネル、Gチャネル、およびBチャネルからなる群から選択される少なくとも1つのカラーチャネルにおいて、第1および第2の画像を取り込むように適合され得る。カメラ112は、ステップa)117およびb)122の各カラーチャネルにおいて第1および第2の画像をキャプチャするように適合され得る。モバイルデバイス114は、少なくとも1つのプロセッサ132を備える。カメラ112および/またはプロセッサ132は、第1の画像から少なくとも1つの第1の強度分布を決定し、第2の画像から少なくとも1つのカラーチャネルの少なくとも1つの第2の強度分布を決定するように適合され得る。好ましくは、第1の強度分布および第2の強度分布は、カラーチャネルのそれぞれについて決定され得る。少なくとも1つのカラーチャネルについて、カメラ112および/またはプロセッサ132は、それぞれの第1の強度分布からそれぞれのカラーチャネルの第1の強度スペクトルを決定し、それぞれの第2の強度分布からそれぞれのカラーチャネルの第2の強度スペクトルを決定するように適合され得る。例えば、比較は、少なくとも1つのカラーチャネルの第1の強度分布と第2の強度分布との間の差を決定することを含み得る。具体的には、R、G、およびBチャネルの場合、差Δは次の式で決定できる。
【0116】
Δcolor=Icolor
LEDON-Icolor
LEDOFF、
【0117】
color=R、G、Bの場合、Δcolorはそれぞれのカラーチャネルの差、Icolor
LEDONはそれぞれのカラーチャネルの第2の画像の強度分布、Icolor
LEDOFFはそれぞれのカラーチャネルの第1の画像の強度分布である。追加的または代替的に、比較は、第1の強度分布および第2の強度分布を分割することによって、および/または倍数を分割することによって、および/または第1の強度分布および第2の強度分布の線形結合を少なくとも1つのカラーチャネルで分割することによって商を決定することを含み得る。具体的には、R、G、およびBチャネルの場合、商は次の式で決定できる。
【0118】
Qcolor=Icolor
LEDON/Icolor
LEDOFF、
【0119】
color=R、G、Bの場合、Qcolorはそれぞれのカラーチャネルの商、Icolor
LEDONはそれぞれのカラーチャネルの第2の画像の強度分布、Icolor
LEDOFFはそれぞれのカラーチャネルの第1の画像の強度分布である。プロセッサ132は、第1および第2の画像を比較するように適合された計算手段を備え得る。
【0120】
モバイルデバイス114の照明源120は、既知のまたは所定のスペクトル組成を有し得る。特に、R、G、Bチャネルのそれぞれの波長の関数としての光強度の少なくとも1つの分布は、既知であるか、または事前に決定され得る。具体的には、白色光LEDの発光スペクトルは、既知であるか、または経験的に決定され得る。スペクトル組成は、テーブルまたはルックアップテーブルに格納され得、例えば、経験的に決定され得、そして一例として、ソフトウェア、具体的にはアプリストアなどからダウンロードしたアプリによってモバイルデバイスの少なくとも1つのデータストレージデバイスに格納され得る。照明源120のスペクトル組成は既知であるかまたは所定であるため、照明源120に由来する試験片116の照明に使用される光強度の量を決定することが可能であり得る。
【0121】
第1の画像および第2の画像は、サンプルを適用する前にキャプチャすることができる。追加的または代替的に、この方法は、少なくとも1つのサンプル適用ステップを含み得、サンプル適用ステップにおいて、サンプルは、試験片116に適用され得る。具体的には、サンプルは、ステップa)117および/またはb)122の前に試験片116に適用され得る。
【0122】
ステップd)126は以下を含む。ステップc)124の比較から少なくとも1つの適合性情報を導出するステップ。ステップd)126で適合性情報を導出することは、ステップc)124で決定された照明条件の差を少なくとも1つの閾値と比較することを含み得る。第2の画像と第1の画像との間の照明条件の差が少なくとも閾値に等しい場合にのみ、適合性情報を設定して、分析物検出のための照明条件の適合性を示すことができる。閾値は、周囲光の状態によって異なる。例えば、ユーザおよび/またはプロセッサ132は、周囲光の状態に応じて閾値を調整および/または選択するように適合され得る。閾値は、テーブルまたはルックアップテーブルに格納され得、例えば、経験的に決定され得、そして一例として、ソフトウェア、具体的にはアプリストアなどからダウンロードしたアプリによって、モバイルデバイスの少なくとも1つのデータストレージデバイスに格納され得る。例えば、適合性情報は、試験片116の照明に使用される光強度の少なくとも80%が照明源120に由来する場合にのみ、後続の分析物検出のための照明条件の適合性を示すように設定され得る。例えば、適合性情報は、試験片116の照明に使用される光強度の90%が照明源120に由来する場合にのみ、後続の分析物検出のための照明条件の適合性を示すように設定され得る。
【0123】
図3Aは、380nm~780nmまでのCIE標準光源A、B、Cの相対的なパワー分布を示している。https://en.wikipedia.org/wiki/Standard_illuminantを参照されたい。
図3Bは、標準光源Aで照射された100mg/dlの血液サンプルについて、波長λ(nm)の関数として決定されたRGB信号の強度Iを示している。
図3Cは、標準光源Bで照射された100mg/dlの血液サンプルについて、波長λ(nm)の関数として決定されたRGB信号の強度Iを示している。
図3Dは、標準光源Cで照射された100mg/dlの血液サンプルについて、波長λ(nm)の関数として決定されたRGB信号の強度Iを示している。波長の関数として決定されたRGB信号の強度は、それぞれの光源A、B、またはCによる照明に応じて変化することが観察される。
図3Eは、100mg/dlの血液サンプルの波長λ(nm)の関数として決定されたRGB信号の強度Iを示しており、サンプルは標準光源Aから10%の光強度で、光源120、この場合はSamsungGalaxy(登録商標)J7スマートフォンの発光ダイオードから90%の光強度で照射されている。波長の関数として決定されたRGB信号の強度は、それぞれの光源による照明に依存しないことが観察される。照明源120から生じる照明は、照明条件を支配する。
【0124】
図1を参照すると、検出方法115は、ステップi)134を含み、照明条件の適合性を評価するための方法を使用することによる照明条件が評価される。検出方法115は、ステップii)136を含み、照明条件の適合性に関する適合性情報が、照明条件が分析物検出に適していることを示している場合、以下のステップが実行される。
A)(参照番号138で示されている)サンプル中の分析物を検出するための少なくとも1つの試験片116を提供ステップであって、試験片116は、分析物の存在下で光学的検出反応を呈するための少なくとも1つの試験化学物質を含む少なくとも1つの試験フィールド118を有するステップ。
B)(参照番号140で示される)少なくとも1つのサンプルを試験片116の試験フィールド118に適用するステップ。
C)(参照番号142で示される)カメラ112を使用することによって試験フィールド118の少なくとも1つの画像をキャプチャするステップであって、前記キャプチャ中に、モバイルデバイスの照明源120がオンにされるステップ。
D)(参照番号144で示されている)ステップC)でキャプチャされた画像から、サンプル中の分析物濃度を決定するステップ。
【0125】
ステップC)142は、試験フィールド118が少なくとも部分的に標的領域に位置するように、カメラ112に対して試験片116を配置するための視覚的表示をユーザに提供することを含み得る。画像をキャプチャする前に、視覚的ガイダンスなどの視覚的表示をユーザに与えることができる。視覚的表示は、テキストメッセージおよび/またはグラフィック命令などの少なくとも1つの命令を含み得る。例えば、視覚的表示は、試験片116または試験片116の輪郭および/または輪郭などの試験片116の一部の視覚化を含み得る。視覚的表示は、試験片116の輪郭または試験片116上の参照領域、例えば、モバイルデバイス114のディスプレイ128に重ね合わされた、試験片116の形状に対応するフレームを含み得、試験片116に対してカメラ112を配置するための視覚ガイダンスを提供する。
【0126】
ステップi)134における照明条件の評価が、照明条件が適切であることを示すように設定されていない場合、モバイルデバイス114は、サンプル中の分析物の検出を中止および/または防止するように適合され得る。追加的または代替的に、ステップi)134における照明条件の評価が、照明条件が適切であることを示すように設定されていない場合、モバイルデバイス114は、少なくとも1つの警告を生成するように適合され得る。追加的または代替的に、ステップi)134における照明条件の評価が、照明条件が適切であることを示すように設定されていない場合、モバイルデバイス114は、ステップi)134を繰り返すように適合され得る。追加的または代替的に、ステップi)における照明条件の評価が、照明条件が適切であることを示すように設定されていない場合、モバイルデバイス114は、周囲光条件を変更するようにユーザに少なくとも1つのプロンプトを生成するように適合され得る。別の場所に移動したり、邪魔な光源をオフにしたりする例。
【0127】
ステップD)144の後、照明条件は、上記のように照明条件の適合性を評価するための方法110を使用することによって評価され得る。照明条件の適合性に関する適合性情報が、照明条件が分析物の検出に適していないことを示している場合、決定された分析物濃度は拒絶され得る。照明条件の適合性に関する適合性情報が、分析物検出中に照明条件が適切でなかったことを示す場合、モバイルデバイス114は、少なくとも1つのエラーメッセージを生成するように適合され得る。モバイルデバイス114は、モバイルデバイス114のディスプレイ128上の視覚的警告および/または少なくとも1つの音響的警告などの、ユーザへの警告を生成するように適合され得る。
【符号の説明】
【0128】
110 照明条件の適合性を評価する方法
112 カメラ
114 モバイルデバイス
115 分析物を検出する方法
116 試験片
117 ステップa)
118 試験フィールド
120 照明源
122 ステップb)
124 ステップc)
126 ステップd)
128 表示
130 光ビーム
132 プロセッサ
134 ステップi)
136 ステップii)
138 ステップA)
140 ステップB)
142 ステップC)
144 ステップD)