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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】燃料電池システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04746 20160101AFI20250508BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20250508BHJP
   H01M 8/04492 20160101ALI20250508BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20250508BHJP
【FI】
H01M8/04746
H01M8/0438
H01M8/04492
H01M8/10 101
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021098089
(22)【出願日】2021-06-11
(65)【公開番号】P2022189490
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2024-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】布川 拓未
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-160412(JP,A)
【文献】特開2019-145338(JP,A)
【文献】特開2007-035508(JP,A)
【文献】特開2017-091682(JP,A)
【文献】特開2016-091833(JP,A)
【文献】国際公開第2013/129521(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックへカソードガスを供給するコンプレッサと、前記燃料電池スタックからカソードオフガスを排出するオフガス通路の通路面積を調節する背圧制御弁と、前記燃料電池スタックへ供給されるカソードガスの一部を前記背圧制御弁よりも下流側へバイパスさせるバイパス通路と、前記バイパス通路の通路面積を調節するバイパス弁と、を備えた燃料電池システムに適用可能な燃料電池システムの制御装置であって、
一つ又は複数のプロセッサと、前記一つ又は複数のプロセッサと通信可能に接続された一つ又は複数のメモリと、を備え、
前記プロセッサは、
前記バイパス弁を全閉状態にして、前記コンプレッサの吐出圧力が所定の目標吐出圧力の状態で前記コンプレッサの動作点がサージ領域及びチョーク領域を除く動作許容領域内となるように前記コンプレッサの出力及び前記背圧制御弁の開度を調節したときの前記コンプレッサの基本吐出流量及び前記背圧制御弁の基本開度を記録し、
前記背圧制御弁の開度を前記基本開度に固定した状態で前記バイパス弁を複数の開度で開弁するとともに、それぞれ前記コンプレッサの吐出圧力が前記所定の目標吐出圧力となるように前記コンプレッサの出力を調節したときの前記コンプレッサの開弁時吐出流量を記録し、
前記開弁時吐出流量と前記基本吐出流量との差分の情報に基づいて前記バイパス弁の開度に対する前記バイパス弁を通過する前記カソードガスの流量の特性を学習する、
ことを含む処理を実行する、燃料電池システムの制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記バイパス弁の開度が所定の開度よりも小さい領域の前記特性を学習する処理と、前記バイパス弁の開度が前記所定の開度よりも大きい領域の前記特性を学習する処理と、を、それぞれ異なる開始条件の成立時に実行する、請求項1に記載の燃料電池システムの制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記バイパス弁の開度が所定の開度よりも小さい領域の前記開弁時吐出流量を測定する場合、
前記燃料電池スタック内の安定状態を判定し、前記燃料電池スタック内が安定状態であると判定したときに前記開弁時吐出流量の測定を開始する、請求項2に記載の燃料電池システムの制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記バイパス弁の開度が所定の開度よりも大きい領域の前記開弁時吐出流量を測定する場合、
前記燃料電池スタック内の乾燥状態を判定し、前記燃料電池スタック内が乾燥状態であると判定したときに前記開弁時吐出流量の測定を開始する、請求項2に記載の燃料電池システムの制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記燃料電池スタック内の乾燥状態を判定し、
前記燃料電池スタック内が乾燥状態であると判定した場合、前記バイパス弁の開度が所定の開度よりも大きい領域から前記開弁時吐出流量の測定を開始し、
前記燃料電池スタック内が乾燥状態でないと判定した場合、さらに前記燃料電池スタック内の安定状態を判定し、
前記燃料電池スタック内が安定状態であると判定した場合、前記バイパス弁の開度が所定の開度よりも小さい領域から前記開弁時吐出流量の測定を開始する、請求項2に記載の燃料電池システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車に搭載される発電システムとして、アノードガスとしての水素ガスと、カソードガスとしての酸素(空気)との電気化学反応によって発電する燃料電池システムが知られている。燃料電システムでは、燃料電池スタックへ供給するアノードガス及びカソードガスの流量及び圧力をそれぞれ調節することで燃料電池の内部状態が調節される。例えばアノードガスの流量及び圧力は、高圧水素が充填された水素タンクと燃料電池スタックとの間のアノードガス供給経路に設けられた流量制御弁と、燃料電池スタックからアノードオフガスを排出するアノードオフガス通路に設けられた背圧制御弁とをそれぞれ制御することにより調節される。
【0003】
また、カソードガスの流量及び圧力は、カソードガス供給経路へ空気を吐出するコンプレッサと、燃料電池スタックからカソードオフガスを排出するカソードオフガス通路に設けられた背圧制御弁と、カソードガス供給経路に設けられて燃料電池スタックへ供給されるカソードガスの一部を背圧制御弁よりも下流側へバイパスさせるバイパス通路の通路面積を調節するバイパス弁とをそれぞれ制御することにより調節される。
【0004】
ここで、空気を圧送するコンプレッサとしてターボコンプレッサを用いる場合等、カソードガスの吐出流量に対してターボコンプレッサの圧力比が過度に高くなるサージングを生じる領域に燃料電池スタックの目標動作点が設定される場合がある。一方、ターボコンプレッサの圧力比を高くしてカソードガス供給経路内で凝縮する水分量を増やし、背圧制御弁によりカソードオフガス通路の通路面積を小さくすることにより、カソードガス供給経路内の湿潤度合いを高めることができることが知られている。
【0005】
このため、特許文献1には、燃料電池スタックにドライアップが生じていると判別されたときに、カソードガスの圧力が上昇カソード圧力になるように背圧制御弁が制御され、ターボコンプレッサの空気吐出流量が増大空気流量に設定され、燃料電池スタックに供給される空気流量が要求空気流量に維持されるようにバイパス弁が制御され、さらに、ドライアップを解消するのに必要なターボコンプレッサの消費電力量を最小にする上昇カソード圧力及び増大空気流量の組み合わせが燃料電池スタックの要求空気流量に基づいて設定される燃料電池システムが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、スタック要求流量よりもコンプレッサ要求流量が大きい場合、コンプレッサ要求流量と、コンプレッサ流量センサで検出されるコンプレッサの吐出流量に基づいてコンプレッサを制御するとともに、スタック要求流量とスタック流量センサで検出されるスタック流量に基づいてバイパス弁を制御する燃料電池システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-091833号公報
【文献】国際公開2013/129521号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池システムは、ターボコンプレッサからの空気吐出流量を検出する流量センサ及びバイパス通路内に送り込まれた空気流量を検出する流量センサを用いて燃料電池スタック内に供給される空気流量を制御している。また、特許文献2に記載の燃料電池システムは、コンプレッサ流量センサ及びスタック流量センサを用いて燃料電池スタック内に供給される空気流量を制御している。いずれの燃料電池システムも2つの流量センサが必要であり、耐熱性の確保、コストの増大及び燃料電池システムの体積の増加を伴うという問題がある。
【0009】
これに対して、コンプレッサの吐出圧力と、バイパス弁の開度と、バイパス通路を流れる空気流量との関係を示す流量特性データをあらかじめ求め、当該流量特性データを用いてバイパス弁の開度を制御することで、コンプレッサの吐出流量を検出する流量センサのみを用いて燃料電池スタック内に供給される空気流量を制御することが考えられる。しかしながら、燃料電池スタック内に供給される空気の圧力損失は、燃料電池スタックの個体差やカソードガス供給経路内の湿潤状態によって異なるおそれがある。また、バイパス弁自体の経年劣化や個体差によっても、バイパス弁の流量特性にずれが生じるおそれがある。
【0010】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的とするところは、一つの流量センサを備えたシステム構成としつつ、バイパス弁の流量特性の学習を可能にし、燃料電池スタック内に供給されるカソードガスの流量を精度よく制御可能な燃料電池システムの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本開示のある観点によれば、燃料電池スタックへカソードガスを供給するコンプレッサと、燃料電池スタックからカソードオフガスを排出するオフガス通路の通路面積を調節する背圧制御弁と、燃料電池スタックへ供給されるカソードガスの一部を背圧制御弁よりも下流側へバイパスさせるバイパス通路と、バイパス通路の通路面積を調節するバイパス弁と、を備えた燃料電池システムに適用可能な燃料電池システムの制御装置であって、一つ又は複数のプロセッサと、一つ又は複数のプロセッサと通信可能に接続された一つ又は複数のメモリと、を備え、プロセッサは、バイパス弁を全閉状態にして、コンプレッサの吐出圧力が所定の目標吐出圧力の状態でコンプレッサの動作点がサージ領域及びチョーク領域を除く動作許容領域内となるようにコンプレッサの出力及び背圧制御弁の開度を調節したときのコンプレッサの基本吐出流量及び背圧制御弁の基本開度を記録し、背圧制御弁の開度を基本開度に固定した状態でバイパス弁を複数の開度で開弁するとともに、それぞれコンプレッサの吐出圧力が所定の目標吐出圧力となるようにコンプレッサの出力を調節したときのコンプレッサの開弁時吐出流量を記録し、開弁時吐出流量と基本吐出流量との差分の情報に基づいてバイパス弁の開度に対するバイパス弁を通過するカソードガスの流量の特性を学習することを含む処理を実行する燃料電池システムの制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本開示によれば、一つの流量センサを備えたシステム構成としつつ、バイパス弁の流量特性の学習が可能になり、燃料電池スタック内に供給されるカソードガスの流量を精度よく制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施の形態に係る燃料電池システムの全体構成の一例を示す模式図である。
図2】同実施形態に係る燃料電池システムの制御装置の構成例を示すブロック図である。
図3】ターボコンプレッサの動作領域を示す説明図である。
図4】同実施形態に係る燃料電池システムの制御装置による流量特性学習処理のメインルーチンを示すフローチャートである。
図5】同実施形態に係る燃料電池システムの制御装置による流量特性学習処理を示すフローチャートである。
図6】バイパス弁の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性の学習処理を示す説明図である。
図7】バイパス弁の開度が所定の開度よりも大きい領域を含む領域の流量特性の学習処理を示す説明図である。
図8】バイパス弁の流量特性学習処理の開始を判定する別の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
<1.燃料電池システムの全体構成>
まず、本開示の実施の形態に係る燃料電池システムの全体構成例を説明する。本実施形態において、燃料電池システム1は燃料電池車両に搭載されるシステムであるが、この例に限定されるものではなく、燃料電池システムは他の用途に用いられるシステムであってもよい。
【0016】
図1は、本実施形態に係る燃料電池システム1の全体構成の一例を示す模式図である。燃料電池システム1は、酸化ガス経路(カソードガス経路)10、アノードガス経路(アノードガス経路)20、複数の燃料電池セルを有する燃料電池スタック5及びシステム全体を制御する制御装置50を備える。燃料電池システム1は、燃料電池スタック5に水素ガス(アノードガス)及び酸化ガス(カソードガス)を供給し、燃料電池セル内で水素ガスと酸化ガスを電気化学反応させることによって発電を行う。燃料電池システム1は、冷媒を循環して燃料電池システム1を冷却する図示しない冷却装置と、燃料電池システム1の発電電力を二次電池に放電したり電気負荷に供給したりする図示しない電気回路とを備える。本実施形態においては、酸化ガスとして空気(酸素)を用いる例を説明する。なお、酸化ガス(酸素)と水素ガスとをまとめて反応ガスと称する場合がある。
【0017】
燃料電池スタック5は、例えば固体高分子電解質型の燃料電池として構成され、複数の燃料電池セルを積層したスタック構造を有する。それぞれの燃料電池セルは、イオン交換膜からなる電解質の一方の面に水素極を有し、他方の面に酸素極を有する。また、燃料電池セルは、水素極及び酸素極を挟むように配置された一対のセパレータを有する。水素極に形成された水素ガス流路に水素ガスが供給され、酸素極に形成された空気流路に空気が供給され、供給された水素ガス及び空気が反応することにより発電が行われる。
【0018】
カソードガス経路10は、燃料電池スタック5に供給される空気が流れるカソードガス供給通路12と、燃料電池スタック5から排出された酸化オフガスが流れるカソードオフガス通路18とを含む。カソードガス供給通路12には、ターボコンプレッサ15、冷却器16及びスタック入口弁17が設けられている。ターボコンプレッサ15は、制御装置50により制御され、エアフィルタ13を介して空気を取り込むとともに、取り込んだ空気を加圧して吐出する。冷却器16は、空気を冷却して空気の密度を高め、燃料電池スタック5の発電効率を高める機能を有する。冷却器16としては、例えば車両の走行風又は冷却水を利用したインタークーラーが用いられる。スタック入口弁17は、制御装置50により制御され、燃料電池スタック5の上流側でカソードガス供給通路12を開閉する。スタック入口弁17は、燃料電池スタック5の発電中にカソードガス供給通路12を開放する一方、非発電時にカソードガス供給通路12を閉鎖する。ただし、スタック入口弁17は、カソードガスの圧力又は流量の制御に用いられる比例弁であってもよい。
【0019】
ターボコンプレッサ15の吸入側には流量センサ45が設けられている。流量センサ45は、ターボコンプレッサ15により吸入されて吐出される空気の吐出流量を検出する。また、スタック入口弁17と燃料電池スタック5との間には、空気の供給圧力を検出する圧力センサ14が設けられている。流量センサ45及び圧力センサ14のセンサ信号は、制御装置50へ送信される。
【0020】
カソードガス供給通路12は、複数の燃料電池スタック5に設けられた燃料電池セルのそれぞれの空気流路に接続されている。燃料電池セルのそれぞれの空気流路は、カソードオフガス通路18に接続されている。カソードオフガス通路18には、背圧制御弁19が設けられている。背圧制御弁19は、開度を検出する図示しない背圧制御弁開度センサを備えている。背圧制御弁開度センサは、例えば背圧制御弁19の開度に応じて変位する可動部の位置あるいは変位量に応じた信号を出力するセンサであってよいが、他の構造のセンサであってもよい。背圧制御弁19は、制御装置50により制御され、カソードオフガス通路18の通路面積を調節する。これにより、燃料電池スタック5内の空気の流量及び供給圧力が調節される。カソードオフガス通路18に排出された酸化オフガスは、カソードオフガス通路18とアノードオフガス通路35との合流部分に設けられた希釈器29を介して大気中に排出される。
【0021】
カソードガス経路10は、ターボコンプレッサ15により吐出される空気の一部又は全部を、燃料電池スタック5をバイパスさせてカソードオフガス通路18に導くバイパス通路41を備えている。バイパス通路41は、冷却器16の下流側、かつ、スタック入口弁17の上流側でカソードガス供給通路12から分岐し、背圧制御弁19の下流側でカソードオフガス通路18に接続される。バイパス通路41には、制御装置50により制御され、バイパス通路41の通路面積を調節するバイパス弁43が設けられている。バイパス弁43は、開度を検出する図示しないバイパス弁開度センサを備えている。バイパス弁開度センサは、例えばバイパス弁43の開度に応じて変位する可動部の位置あるいは変位量に応じた信号を出力するセンサであってよいが、他の構造のセンサであってもよい。バイパス弁43により、バイパス通路41を介してカソードオフガス通路18に導かれる空気流量が調節される。
【0022】
アノードガス経路20は、水素供給源21、水素供給源21から燃料電池スタック5に供給される水素ガスが流れるアノードガス供給通路22、燃料電池スタック5から排出された水素ガス(水素オフガス)をアノードガス供給通路22へ戻すための循環流路28と、循環流路28内の水素オフガスをアノードガス供給通路22へ圧送する循環ポンプ25とを含む。また、アノードガス経路20は、循環流路28に設けられた気液分離器27と、気液分離器27に接続された排水流路31及びアノードオフガス通路35とを含む。
【0023】
水素供給源21は、例えば高圧タンク又は水素吸着合金等により構成され、高圧の水素ガスを貯留する。アノードガス供給通路22は、燃料電池スタック5へ供給される水素ガスの圧力を調節する圧力調整弁23を備える。圧力調整弁23は、例えば制御装置50により制御され、水素ガスの圧力をあらかじめ設定された圧力に減圧する減圧弁であってよい。あるいは、圧力調整弁23は、制御装置50によって制御されるインジェクタ等の圧力調整弁であってもよい。圧力調整弁23の上流側に、燃料電池スタック5への水素ガスの供給の可否を切り替える遮断弁を備えていてもよい。アノードガス供給通路22は、燃料電池セルのそれぞれのアノードガス流路に接続されている。また、燃料電池セルのそれぞれのアノードガス流路は、循環流路28に接続されている。
【0024】
循環ポンプ25は、制御装置50により制御され、循環流路28内の水素ガスを燃料電池スタック5へ循環供給する。循環流路28には、気液分離器27が設けられている。気液分離器27は、水素オフガスから水分を分離して回収する。気液分離器27に接続された排水流路31は、水パージ弁33を介して希釈器29に接続されている。水パージ弁33は、制御装置50によって開閉駆動され、気液分離器27で回収した水分を希釈器29へ排出する。
【0025】
また、気液分離器27に接続されたアノードオフガス通路35は、水素パージ弁37を介して希釈器29に接続されている。水素パージ弁37は、制御装置50によって開閉駆動され、燃料電池スタック5から排出される水素オフガスを希釈器29へ導入する。排出される水素オフガスは、希釈器29において酸化オフガスと混合されて希釈され、大気中に離脱される。
【0026】
制御装置50は、燃料電池システム1を動作させる種々の処理を実行する。制御装置50は、燃料電池スタック5による発電を制御する処理を実行する。簡単に説明すると、制御装置50は、車両の駆動用モータに電力を供給する場合、あるいは、駆動用モータに電力を供給する二次電池を充電する場合等において、燃料電池スタック5に発電させる処理を行う。制御装置50は、要求充電電力あるいは要求供給電力に基づいて設定される目標発電電力に応じてターボコンプレッサ15、背圧制御弁19、バイパス弁43及び圧力調整弁23の駆動を制御し、燃料電池スタック5への空気流量及び水素ガス流量を制御する。また、制御装置50は、循環ポンプ25を駆動して燃料電池スタック5から排出される水素ガスを、循環流路28を介してアノードガス供給通路22へ戻し、燃料電池スタック5内に水素ガスを循環させる。これにより、燃料電池スタック5において、空気と水素ガスとの電気化学反応が生じ、発電が行われる。
【0027】
また、制御装置50は、バイパス通路41に設けられたバイパス弁43の流量特性を学習する処理を実行可能に構成されている。以下、バイパス弁43の流量特性を学習する処理について詳しく説明する。
【0028】
<2.制御装置の構成例>
図2は、制御装置50の構成のうち、バイパス弁43の流量特性を学習する処理に関連する機能構成を示すブロック図である。制御装置50は、制御部51及び記憶部69を備えている。制御部51は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の一つ又は複数のプロセッサを含んで構成される。制御部51の一部又は全部は、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0029】
また、記憶部69は、プロセッサと通信可能に接続され、プロセッサにより実行されるコンピュータプログラムや制御パラメータ、取得した情報等を記録するメモリを含む。記憶部69は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の記憶素子を含んでいてもよく、CD-ROMやストレージ装置等の記憶装置を含んでいてもよい。制御装置50には、圧力センサ14、流量センサ45、バイパス弁開度センサ47及び背圧制御弁開度センサ49のセンサ信号が入力される。
【0030】
制御部51は、コンプレッサ制御部52、スタック入口弁制御部53、バイパス弁制御部54、背圧制御弁制御部55、閉弁時動作量取得処理部61、開弁時動作量取得処理部63及び流量特性学習部65を備える。これらの各部は、プロセッサによるコンピュータプログラムの実行により実現される機能である。ただし、これらの各部の一部又は全部が、アナログ回路により構成されていてもよい。
【0031】
コンプレッサ制御部52は、ターボコンプレッサ15の駆動を制御する。具体的に、コンプレッサ制御部52は、ターボコンプレッサ15への供給電流を制御し、ターボコンプレッサ15のインペラの回転数を調節することにより、ターボコンプレッサ15の吐出流量を制御する。
【0032】
スタック入口弁制御部53は、スタック入口弁17の駆動を制御する。具体的に、スタック入口弁制御部53は、スタック入口弁17への供給電流を制御し、カソードガス供給通路12を開閉する。スタック入口弁17は、通電時に開弁する常閉弁であってもよく、通電時に閉弁する常開弁であってもよい。
【0033】
バイパス弁制御部54は、バイパス弁43の駆動を制御する。具体的に、バイパス弁制御部54は、バイパス弁43への供給電流を制御することによりバイパス弁43の開度を調節する。本実施形態では、ターボコンプレッサ15の吐出圧力と、バイパス弁43の開度と、バイパス弁43を通過する空気流量との関係を示す基本流量特性データが記憶部69に記録され、バイパス弁制御部54は基本流量特性データに基づいてバイパス弁43の開度の目標値を設定する。バイパス弁43は、供給電流の値が大きいほど開度が大きくなる常閉弁であってもよく、供給電流の値が大きいほど開度が小さくなる常開弁であってもよい。
【0034】
背圧制御弁制御部55は、背圧制御弁19の駆動を制御する。具体的に、背圧制御弁制御部55は、背圧制御弁19への供給電流を制御することにより背圧制御弁19の開度を調節することで、空気の供給圧力を制御する。背圧制御弁19は、供給電流の値が大きいほど開度が大きくなる常閉弁であってもよく、供給電流の値が大きいほど開度が小さくなる常開弁であってもよい。
【0035】
コンプレッサ制御部52、スタック入口弁制御部53、バイパス弁制御部54及び背圧制御弁制御部55は、ターボコンプレッサ15、スタック入口弁17、バイパス弁43及び背圧制御弁19をそれぞれ制御することにより、協働して燃料電池スタック5内に供給される空気の供給圧力及び空気流量を制御する。具体的に、スタック入口弁17及びバイパス弁43の開度をそれぞれ調節することにより、ターボコンプレッサ15により吐出される空気のうち、燃料電池スタック5内に流入させる空気流量及びバイパス通路41を通過させる空気流量がそれぞれ制御される。また、背圧制御弁19の開度を調節することにより、燃料電池スタック5内の空気の供給圧力が制御される。
【0036】
図3は、ターボコンプレッサ15の圧力比P_r及び吐出流量Q_cにより定められるターボコンプレッサ15の動作領域を示す。ターボコンプレッサ15の圧力比P_rは、ターボコンプレッサ15の吸入側の圧力に対する吐出側の圧力の比である。ターボコンプレッサ15の吸入側の圧力は大気圧と同等の圧力であり、吐出側の圧力は圧力センサ14により検出されるカソードガス供給通路12内の圧力である。したがって、ターボコンプレッサ15の圧力比P_rは、圧力センサ14により検出される圧力によって定められる。
【0037】
図3に示すように、ターボコンプレッサ15の動作領域は、許容動作領域、サージ領域及びチョーク領域に区分され得る。サージ領域は、ターボコンプレッサ15から吐出される空気の吐出流量及び吐出圧力が大きく振動するサージングが発生し得る動作領域であり、圧力比P_rが大きく、かつ、吐出流量Q_cが少ない領域に定められる。また、チョーク領域は、ターボコンプレッサ15がそれぞれの圧力比P_rの条件でそれ以上の空気を送り込めない状態となるチョーキングが発生し得る動作領域であり、圧力比P_rが小さく、かつ、吐出流量Q_cが多い領域に定められる。
【0038】
許容動作領域は、サージング及びチョーキングが発生しない動作領域であり、サージングを生じない限界ラインL1と、チョーキングを生じない限界ラインL2との間に定められる。許容動作領域には、ターボコンプレッサ15がサージング及びチョーキングを生じることなく少ない消費電力で動作する動作点である安定動作点ラインLsが設定されている。安定動作点ラインLsは、ターボコンプレッサ15の諸元にしたがってあらかじめ設定されている。
【0039】
基本的に、コンプレッサ制御部52、スタック入口弁制御部53、バイパス弁制御部54及び背圧制御弁制御部55は、ターボコンプレッサ15の動作点が燃料電池スタック5に要求される発電量に基づいて設定される目標動作点となるようにターボコンプレッサ15、スタック入口弁17、バイパス弁43及び背圧制御弁19をそれぞれ制御する。このとき、目標動作点がサージ領域に設定される場合には、動作点が許容動作領域内となるように、ターボコンプレッサ15の吐出流量を発電に必要な空気流量よりも増大させるとともに、余剰の空気流量をバイパス通路41側へ流す制御が行われる。
【0040】
例えば特開2016-091833号公報に記載されているように、燃料電池スタック5内の湿潤度合いが過度に低くなると燃料電池スタック5の発電性能が低下することから、背圧制御弁19の開度を小さくしてターボコンプレッサ15の圧力比P_rを上昇させるとともに、動作点が限界ラインL1となるようにターボコンプレッサ15の吐出流量を燃料電池スタック5の発電に必要な空気流量よりも増大させる。そのうえで、要求流量を上回る余剰の空気流量をバイパス通路41側へ流入させ、燃料電池スタック5内に発電に必要な空気流量が供給されるようにする。
【0041】
また、国際公開2013/129521号に記載されているように、燃料電池システム1から排出される水素を希釈するために必要な空気量が発電に必要な空気量を上回る場合、ターボコンプレッサ15の吐出流量を燃料電池スタック5の発電に必要な空気流量よりも増大させる。そのうえで、要求流量を上回る余剰の空気流量をバイパス通路41側へ流入させ、燃料電池スタック5内に発電に必要な空気流量が供給されるようにする。
【0042】
本開示の技術では、制御装置50は、バイパス通路41を流れる空気流量を検出する流量センサ及び燃料電池スタック5内に供給される空気流量を検出する流量センサを用いずに、燃料電池スタック5内に発電に必要な空気流量が供給されるように空気流量を制御する。具体的に、制御装置50は、流量センサ45を用いてターボコンプレッサ15の吐出流量を検出するとともに、バイパス弁43の開度を調節することでバイパス通路41を通過させる空気流量を精度よく調節し、燃料電池スタック5内に発電に必要な空気流量が供給されるように空気流量を制御する。このため、制御装置50は、閉弁時動作量取得処理部61、開弁時動作量取得処理部63及び流量特性学習部65の機能を備えている。
【0043】
閉弁時動作量取得処理部61は、バイパス弁43を全閉状態にし、ターボコンプレッサ15の吐出圧力が所定の目標吐出圧力の状態でターボコンプレッサ15の動作点が動作許容領域内となるようにターボコンプレッサ15の吐出流量(出力)及び背圧制御弁19の開度を調節したときのターボコンプレッサ15の吐出流量(基本吐出流量)及び背圧制御弁19の開度(基本開度)の情報を取得し記録する処理を実行する。ターボコンプレッサ15の吐出流量及び背圧制御弁19の開度は、それぞれ流量センサ45及び背圧制御弁開度センサ49のセンサ信号に基づいて取得される。また、閉弁時動作量取得処理部61は、上記のようにターボコンプレッサ15の吐出流量(出力)及び背圧制御弁19の開度を調節したときの燃料電池スタック5の出力電流を学習時電流値として記録する。燃料電池スタック5の出力電流は、燃料電池スタック5に設けられた図示しない電流センサのセンサ信号に基づいて検出することができる。
【0044】
開弁時動作量取得処理部63は、背圧制御弁19の開度を基本開度に固定した状態でバイパス弁43を複数の開度で開弁するとともに、それぞれターボコンプレッサ15の吐出圧力が所定の目標圧力となるようにターボコンプレッサ15の出力を調節したときのターボコンプレッサ15の吐出流量(開弁時吐出流量)の情報を取得し記録する処理を実行する。設定されるバイパス弁43の開度は、実際に使用が想定される開度の範囲内に設定される。設定されるバイパス弁43の開度の数が多いほど、全範囲における流量特性を精度よく学習することができる一方で学習に要する時間が増える。このため、補間計算により流量特性の精度が許容範囲となるように、設定されるバイパス弁43の開度の数が設定されることが好ましい。
【0045】
流量特性学習部65は、取得した開弁時吐出流量と基本吐出流量との差分の情報と、バイパス弁43の開度の情報とに基づいて、バイパス弁43の開度に対するバイパス弁43を通過する空気流量(以下、「バイパス側流量」ともいう)の特性を学習する処理を実行する。つまり、燃料電池スタック5内に供給される空気の供給圧力を一定に保持した状態でバイパス弁43の開度を変化させたときの、ターボコンプレッサ15の吐出流量の変化により、バイパス弁43の開度に対するバイパス側流量の特性を学習する。また、流量特性学習部65は、流量特性の学習処理を開始するか否かを判定する機能を有し、流量特性の学習処理を開始すると判定された後に閉弁時動作量取得処理部61及び開弁時動作量取得処理部63によりそれぞれの処理が実行されるように構成される。
【0046】
閉弁時動作量取得処理部61及び開弁時動作量取得処理部63は、例えば実際に使用が想定される複数の吐出圧力をそれぞれ目標吐出圧力として、バイパス弁43を全閉状態にしたときの基本吐出流量と、バイパス弁43を複数の開度で開弁したときの開弁時吐出流量とを取得する。これにより、実際に想定される条件下でのバイパス弁43の流量特性を学習することができる。
【0047】
また、本実施形態では、流量特性学習部65は、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性を学習する処理と、所定の開度よりも大きい領域の流量特性を学習する処理とを、それぞれ異なる開始条件の成立時に開始するように構成されている。具体的に、バイパス弁43の開度が相対的に小さい領域の流量特性を学習する場合、バイパス弁43の開度を段階的に大きくしてもターボコンプレッサ15の動作領域がチョーク領域に進入するおそれが小さいため、燃料電池スタック5の内部状態が安定しやすい安定動作点上で基本吐出流量を取得する処理を開始する。
【0048】
燃料電池スタック5の内部状態が安定しやすい安定動作点上では、燃料電池スタック5の内部の湿潤状態も安定し、圧力損失状態が安定する。このため、流量特性の学習中に燃料電池スタック5内に供給される空気の流量が変化しにくくなって、取得される基本吐出流量の精度を高めることができる。なお、燃料電池システム1では、この安定動作点上でターボコンプレッサ15の効率が高くなるようにターボコンプレッサ15の制御条件が設定される。
【0049】
一方、バイパス弁43の開度が相対的に大きい領域の流量特性を学習する場合、バイパス弁43の開度を段階的に大きくするとターボコンプレッサ15の動作領域がチョーク領域に進入するおそれがあるため、安定動作点よりも吐出流量が少ない動作点から基本吐出流量を取得する処理を開始する。このとき、サージ領域に近づくほどカソードガス供給通路12内の湿潤度合いが高くなって水分が増加しやすいことから、流量特性学習部65は、燃料電池スタック5内の湿潤度合いが低い乾燥状態となっていると判定されたときに基本吐出流量を取得する処理を開始させる。
【0050】
<3.動作>
以下、制御装置50によるバイパス弁43の流量特性の学習処理(流量特性学習処理)の動作について詳細に説明する。
【0051】
図4は、制御装置50による流量特性学習処理のメインルーチンを示すフローチャートである。
まず、制御装置50の流量特性学習部65は、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性の学習処理を実行するか否かを判定する(ステップS11)。バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域と大きい領域のいずれの流量特性の学習を実行するかの設定方法は特に限定されない。例えばバイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域と大きい領域のいずれの流量特性の学習処理を先に実行するかが任意に設定され、先に実行するように設定された領域の流量特性の学習が終了した場合に記憶部69に記録されるように構成される。あるいは、任意の時間間隔又は燃料電池システム1の起動ごとに、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域と大きい領域の流量特性の学習処理が交互に実行されるように設定されてもよい。所定の開度は、任意の開度に設定されてよいが、例えばバイパス弁43の駆動範囲又は実際に想定される開度の範囲の中央値に相当する開度に設定される。
【0052】
バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性の学習処理を実行すると判定された場合(S11/Yes)、流量特性学習部65は、燃料電池スタック5が安定状態にあるか否かを判定する(ステップS13)。例えば流量特性学習部65は、燃料電池スタック5内の湿潤度合いが燃料電池スタック5による発電処理上適切な状態であること、カソードガス(空気)の供給圧力又は供給流量が安定していること、燃料電池スタック5の温度があらかじめ設定された所定の温度範囲にあること、燃料電池スタック5の出力電圧又は出力電流が安定していること、のうちの少なくとも一つが成立しているかを判定する。
【0053】
燃料電池スタック5内の湿潤度合いは、燃料電池スタック5の内部インピーダンスを測定する公知の手法により判定することができる。また、カソードガスの供給圧力が安定しているか否かは、大気圧の変動の有無及び水素供給源21に設けられた圧力センサのセンサ信号に基づいて判定することができる。カソードガスの供給流量が安定しているか否かは、流量センサ45のセンサ信号に基づいて判定することができる。燃料電池スタック5の温度は、燃料電池スタック5に設けられた温度センサのセンサ信号に基づいて判定することができる。燃料電池スタック5の出力電圧及び出力電流は、燃料電池スタック5に設けられた電圧センサ又は電流センサのセンサ信号に基づいて判定することができる。ただし、燃料電池スタック5が安定状態にあるか否かを判定する条件は上記の例に限られない。
【0054】
燃料電池スタック5が安定状態にあると判定されない場合(S13/No)、流量特性学習部65は、燃料電池スタック5が安定状態にあると判定されるまでステップS13の判定処理を繰り返し実行する。一方、燃料電池スタック5が安定状態にあると判定された場合(S13/Yes)、流量特性学習部65は、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性の学習処理を実行する設定を行う(ステップS15)。
【0055】
上記のステップS11において、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性の学習処理を実行すると判定されない場合(S11/No)、流量特性学習部65は、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも大きい領域の流量特性の学習処理を実行するか否かを判定する(ステップS17)。例えばすでにバイパス弁43の開度の全領域において流量特性の学習処理の実行が完了している場合等にはバイパス弁43の開度が所定の開度よりも大きい領域の流量特性の学習処理を実行すると判定されず(S17/No)、流量特性学習部65は、本ルーチンの処理を終了させる。
【0056】
一方、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも大きい領域の流量特性の学習処理を実行すると判定された場合(S17/Yes)、流量特性学習部65は、燃料電池スタック5が乾燥状態にあるか否かを判定する(ステップS19)。上述のとおり、燃料電池スタック5内の湿潤度合いは、燃料電池スタック5の内部インピーダンスを測定する公知の手法により判定することができる。燃料電池スタック5が乾燥状態にあると判定されない場合(S19/No)、流量特性学習部65は、燃料電池スタック5内を乾燥させる処理を実行する(ステップS21)。燃料電池スタック5内を乾燥させる処理は、公知の技術を用いて実行されてよい。例えば流量特性学習部65は、燃料電池スタック5の出力電流を低下させた状態で燃料電池スタック5へ空気を供給し、燃料電池スタック5内の水分をカソードオフガス通路18を介して外部に排出する掃気処理を実行することにより、燃料電池スタック5内を乾燥させる。燃料電池スタック5内を乾燥させる処理は、ステップS19において肯定判定されるまで繰り返される。
【0057】
燃料電池スタック5が乾燥状態にあると判定された場合(S19/Yes)、流量特性学習部65は、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも大きい領域を含む領域の流量特性の学習処理を実行する設定を行う(ステップS23)。
【0058】
ステップS15でバイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性の学習処理を実行するように設定された場合、あるいは、ステップS23でバイパス弁43の開度が所定の開度よりも大きい領域を含む領域の流量特性の学習処理を実行するように設定された場合、閉弁時動作量取得処理部61、開弁時動作量取得処理部63及び流量特性学習部65は、バイパス弁43の流量特性学習処理を実行する(ステップS25)。
【0059】
図5は、流量特性学習処理を示すフローチャートである。
まず、流量特性学習部65は、ターボコンプレッサ15の目標吐出圧力を設定する(ステップS31)。ターボコンプレッサ15の目標吐出圧力は、バイパス弁43の流量特性を学習するターボコンプレッサ15の圧力比P_rと大気圧P_0から導かれる値であり、実際の使用範囲内においてあらかじめ設定された複数の吐出圧力から選択される。例えばあらかじめ設定された複数の吐出圧力のうち、大きい方又は小さい方の値から順次目標吐出圧力に設定されてもよく、ランダムに設定されてもよい。
【0060】
ターボコンプレッサ15の目標吐出圧力が設定されると、閉弁時動作量取得処理部61は、バイパス弁43を全閉状態にする(ステップS33)。次いで、閉弁時動作量取得処理部61は、圧力センサ14により検出されるカソードガス供給通路12内の圧力が目標吐出圧力の状態でターボコンプレッサ15の動作点が動作許容領域内となるようにターボコンプレッサ15の吐出流量及び背圧制御弁19の開度を調節する(ステップS35)。本実施形態に係る燃料電池システム1の構成の場合、スタック入口弁17を全開にするとともにターボコンプレッサ15の吐出流量及び背圧制御弁19の開度を調節する。
【0061】
次いで、閉弁時動作量取得処理部61は、ステップS35で得られたターボコンプレッサ15の吐出流量及び背圧制御弁19の開度をそれぞれ基本吐出流量及び基本開度として記憶部69に記録する(ステップS37)。併せて、閉弁時動作量取得処理部61は、上記のようにターボコンプレッサ15の吐出流量(出力)及び背圧制御弁19の開度を調節したときの燃料電池スタック5の出力電流を学習時電流値として記録する。
【0062】
図6は、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性の学習処理を説明するための図であり、図7は、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも大きい領域を含む領域の流量特性の学習処理を説明するための図である。
【0063】
図6に示すように、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性の学習処理を実行する場合、閉弁時動作量取得処理部61は、ターボコンプレッサ15の動作点が安定動作点(OS)となるようにターボコンプレッサ15の吐出流量及び背圧制御弁19の開度を調節する。これにより、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性の学習処理を実行する間の燃料電池スタック5内の湿潤度合いの変化が抑制される。そして、閉弁時動作量取得処理部61は、背圧制御弁19の開度を基本開度として記録するとともに、ターボコンプレッサ15の吐出流量を基本吐出流量Q_sとして記録する。併せて、閉弁時動作量取得処理部61は、上記のようにターボコンプレッサ15の吐出流量(出力)及び背圧制御弁19の開度を調節したときの燃料電池スタック5の出力電流を学習時電流値として記録する。
【0064】
また、図7に示すように、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも大きい領域を含む領域の流量特性の学習処理を実行する場合、閉弁時動作量取得処理部61は、ターボコンプレッサ15の動作点が安定動作点よりも吐出流量が少ない側の動作点(OL)となるようにターボコンプレッサ15の吐出流量、背圧制御弁19の開度及びスタック入口弁17の開度を調節する。これにより、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも大きい領域を含む領域の流量特性の学習処理を実行する間にターボコンプレッサ15の動作点がチョーク領域に進入するおそれが低減される。そして、閉弁時動作量取得処理部61は、背圧制御弁19の開度を基本開度として記録するとともに、ターボコンプレッサ15の吐出流量を基本吐出流量Q_sとして記録する。併せて、閉弁時動作量取得処理部61は、上記のようにターボコンプレッサ15の吐出流量(出力)及び背圧制御弁19の開度を調節したときの燃料電池スタック5の出力電流を学習時電流値として記録する。
【0065】
バイパス弁43が全閉状態となっていることから、ターボコンプレッサ15の基本吐出流量Q_sは、背圧制御弁19の開度を基本開度に設定した状態でターボコンプレッサ15の吐出圧力を目標吐出圧力としたときに燃料電池スタック5に流れ込む空気流量を表す。
【0066】
図5に戻り、ターボコンプレッサ15の基本吐出流量Q_s及び背圧制御弁19の基本開度が記録された後、開弁時動作量取得処理部63は、スタック入口弁17を全開で保持したまま背圧制御弁19の開度を基本開度に固定する(ステップS39)。また、開弁時動作量取得処理部63は、以降の学習処理の実行中の燃料電池スタック5の出力電流が、記録された学習電流値で維持されるように設定する。学習電流値は、例えば燃料電池スタック5側に供給するカソードガス(空気)の流量の目標値の関数として設定される。次いで、開弁時動作量取得処理部63は、バイパス側流量を測定するバイパス弁43の開度を設定する(ステップS41)。ターボコンプレッサ15の動作点がサージ領域に近づくことのないように、複数のバイパス弁43の開度のうち、バイパス弁43の開度が小さい方から順に設定されることが好ましい。
【0067】
バイパス弁43の開度が所定の開度よりも大きい領域を含む領域の流量特性を学習する場合、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域から所定の開度よりも大きい領域へと変化させて、全範囲についての流量特性を学習してもよく、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域(例えば図7中の領域X)をスキップして、所定の開度よりも大きい領域について流量特性を学習してもよい。
【0068】
次いで、開弁時動作量取得処理部63は、バイパス弁43の開度をステップS41で設定した値に固定し、圧力センサ14で検出されるカソードガス供給通路12内の圧力がステップS31で設定した目標吐出圧力となるようにターボコンプレッサ15の吐出流量を調節する(ステップS43)。このとき、開弁時動作量取得処理部63は、燃料電池スタック5の出力電流を、記録された学習電流値で維持する。次いで、開弁時動作量取得処理部63は、ステップS43で得られたターボコンプレッサ15の吐出流量をそれぞれ開弁時吐出流量として記憶部69に記録する(ステップS45)。
【0069】
次いで、開弁時動作量取得処理部63は、記録した開弁時吐出流量と基本吐出流量との差分を求め、バイパス側流量として記憶部69に記録する(ステップS47)。背圧制御弁19の開度を基本開度に固定した状態でターボコンプレッサ15の吐出圧力が目標吐出圧力に調節された状態では、燃料電池スタック5に流れ込む空気流量は基本吐出流量Q_sとなる。したがって、図6及び図7に示すように、ターボコンプレッサ15の吐出流量Q_cから基本吐出流量Q_sを引いた値がバイパス弁43を介してバイパス通路41を流れるバイパス側流量Q_bとして求められる。
【0070】
次いで、開弁時動作量取得処理部63は、今回のルーチンで設定した目標吐出圧力、バイパス弁43の開度及びバイパス側流量の情報を記憶部69に記録する(ステップS49)。次いで、開弁時動作量取得処理部63は、バイパス側流量を測定するようにあらかじめ設定されたすべての開度についてのバイパス側流量の情報を取得したか否かを判定する(ステップS51)。バイパス側流量を未取得の開度がある場合(S51/No)、開弁時動作量取得処理部63は、ステップS41に戻り、バイパス側流量を測定する開度を新たに設定して以降のステップの処理を実行する。
【0071】
一方、すべての開度についてのバイパス側流量の情報を取得した場合(S51/Yes)、流量特性学習部65は、記憶部69に記録された情報に基づいて、基本流量特性データを更新する(ステップS53)。例えば流量特性学習部65は、今回設定した目標吐出圧力について記録されている元の流量特性データを、今回のルーチンで学習したバイパス弁43の開度に対するバイパス側流量のデータに置き換える。あるいは、今回設定した目標吐出圧力について記録されている元の基本流量特性データを更新せず、バイパス弁43のそれぞれの開度について、今回のルーチンで測定したバイパス側流量と、記録されている基本流量特性データでのバイパス側流量との差分を求め、当該差分の値を補正量として記録してもよい。なお、流量特性データを更新する方法は特に限定されない。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る燃料電池システム1の制御装置50は、ターボコンプレッサ15の吐出流量及び吐出圧力(カソードガス供給通路12内の圧力)に対して、バイパス弁43の開度に応じたバイパス側流量を学習することができる。したがって、ターボコンプレッサ15の吐出流量を検出する一つの流量センサ45のみを備えた燃料電池システム1であっても、ターボコンプレッサ15の吐出流量及び吐出圧力に応じてバイパス弁43の開度を制御することにより、燃料電池スタック5の個体差やカソードガス供給通路12内の湿潤状態にかかわらず燃料電池スタック5へ供給され空気流量を精度よく制御することができる。
【0073】
また、本実施形態に係る燃料電池システム1の制御装置50は、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性を学習する処理と、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも大きい領域の流量特性を学習する処理とをそれぞれ異なる開始条件の成立時に実行する。これにより、流量特性学習処理の実行中に燃料電池スタック5内に水分が付着して燃料電池スタック5側を流れる空気の流量が基本流量特性データから変化したり、ターボコンプレッサ15の動作点がチョーク領域に進入して消費電力量や熱損失が増加したりすることを抑制することができる。
【0074】
<4.他の実施の形態>
上記の実施形態では、流量特性を学習するバイパス弁43の開度やその順序が、所定開度より小さい領域又は大きい領域のいずれかに設定されている例を説明した(図4を参照)。流量特性学習処理の開始を判定する処理は、上記実施形態で説明した例に限られない。例えば燃料電池スタック5の状態に応じて、流量特性を学習するバイパス弁43の開度の領域を決定し、流量特性学習処理を開始してもよい。
【0075】
図8は、流量特性学習処理の開始を判定する別の処理の例を示すフローチャートである。図8に示した例では、流量特性学習部65は、燃料電池スタック5が乾燥状態であるか否かを判定する(ステップS61)。燃料電池スタック5が乾燥状態であると判定された場合(S61/Yes)、流量特性学習部65は、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも大きい領域を含む領域の流量特性の学習処理を実行する設定を行う(ステップS63)。
【0076】
一方、燃料電池スタック5が乾燥状態であると判定されない場合(S61/No)、流量特性学習部65は、燃料電池スタック5が安定状態にあるか否かを判定する(ステップS65)。燃料電池スタック5が安定状態にあると判定された場合(S65/Yes)、流量特性学習部65は、バイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性の学習処理を実行する設定を行う(ステップS67)。一方、燃料電池スタック5が安定状態にあると判定されない場合(S65/No)、流量特性学習部65は、燃料電池スタック5内を乾燥させる処理を実行する(ステップS69)。燃料電池スタック5内を乾燥させる処理を実行した後は、ステップS61に戻って上述した各ステップの処理を繰り返し実行する。
【0077】
ステップS63でバイパス弁43の開度が所定の開度よりも大きい領域を含む領域の流量特性の学習処理を実行するように設定された場合、あるいは、ステップS67でバイパス弁43の開度が所定の開度よりも小さい領域の流量特性の学習処理を実行するように設定された場合、閉弁時動作量取得処理部61、開弁時動作量取得処理部63及び流量特性学習部65は、図5に示したフローチャートの例に沿って、バイパス弁43の流量特性学習処理を実行する(ステップS71)。
【0078】
このように、燃料電池スタック5の状態に応じて、流量特性を学習するバイパス弁43の開度の領域を決定し、流量特性学習処理を開始することにより、燃料電池スタック5の状態に応じて、カソードガス供給通路12内に水分を付着させたり、ターボコンプレッサ15の動作点がチョーク領域に進入して消費電力量を増加させたりすることなく、流量特性を学習する領域を適切に設定することができる。
【0079】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0080】
例えば上記実施形態では、ターボコンプレッサ15の吐出圧力として、圧力センサ14により検出されるカソードガス供給通路12内の圧力の値を用いていたが、カソードガス供給通路12内の圧力の値の代わりに、燃料電池スタック5内の空気圧の値が用いられてもよい。また、上記実施形態では、カソードガス供給通路12にスタック入口弁17が設けられていたが、スタック入口弁17を備えておらず、背圧制御弁19のみを用いてカソードガスの供給圧力を調節するシステム構成であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態における以下に例示する態様も本開示の技術的範囲に属する。
プロセッサは、
バイパス弁の開度が所定の開度よりも小さい領域の開弁時吐出流量を測定する場合、
基本吐出流量を測定するときのコンプレッサの動作点を、あらかじめ設定された安定動作点に設定する燃料電池システムの制御装置。
【0082】
プロセッサは、
バイパス弁の開度が所定の開度よりも大きい領域の開弁時吐出流量を測定する場合、
基本吐出流量を測定するときのコンプレッサの動作点を、あらかじめ設定された安定動作点よりも、コンプレッサの吐出流量が小さい領域の動作点に設定する燃料電池システムの制御装置。
【0083】
プロセッサは、
バイパス弁の開度が所定の開度よりも大きい領域の開弁時吐出流量を測定する場合、
燃料電池スタック内の水分を排出させる掃気処理を実行させる燃料電池システムの制御装置。
【0084】
プロセッサは、
バイパス弁の制御に用いる、コンプレッサの吐出圧力と、バイパス弁の制御量と、バイパス弁を通過するカソードガスの流量と、の関係を示す基本流量特性データを、学習した特性に基づいて補正する燃料電池システムの制御装置。
【0085】
燃料電池スタックへカソードガスを供給するコンプレッサと、燃料電池スタックからカソードオフガスを排出するオフガス通路の通路面積を調節する背圧制御弁と、燃料電池スタックへ供給されるカソードガスの一部を背圧制御弁よりも下流側へバイパスさせるバイパス通路と、バイパス通路の通路面積を調節するバイパス弁とを備えた燃料電池システムに適用可能な燃料電池システムの制御装置であって、
バイパス弁を全閉状態にして、コンプレッサの吐出圧力が所定の目標吐出圧力の状態でコンプレッサの動作点がサージ領域及びチョーク領域を除く動作許容領域内となるようにコンプレッサの出力及び背圧制御弁の開度を調節したときのコンプレッサの基本吐出流量及び背圧制御弁の基本開度を記録する処理を実行する閉弁時動作量取得処理部と、
背圧制御弁の開度を基本開度に固定した状態でバイパス弁を複数の開度で開弁するとともに、それぞれコンプレッサの吐出圧力が所定の目標吐出圧力となるようにコンプレッサの出力を調節したときのコンプレッサの開弁時吐出流量を記録する処理を実行する開弁時動作量取得処理部と、
開弁時吐出流量と基本吐出流量との差分の情報に基づいてバイパス弁の制御量に対するバイパス弁を通過するカソードガスの流量の特性を学習する処理を実行する流量特性学習部と、を備えた燃料電池システムの制御装置。
【0086】
燃料電池スタックへカソードガスを供給するコンプレッサと、燃料電池スタックからカソードオフガスを排出するオフガス通路の通路面積を調節する背圧制御弁と、燃料電池スタックへ供給されるカソードガスの一部を背圧制御弁よりも下流側へバイパスさせるバイパス通路と、バイパス通路の通路面積を調節するバイパス弁とを備えた燃料電池システムに適用可能なコンピュータプログラムであって、
プロセッサに、
バイパス弁を全閉状態にして、コンプレッサの吐出圧力が所定の目標吐出圧力の状態でコンプレッサの動作点がサージ領域及びチョーク領域を除く動作許容領域内となるようにコンプレッサの出力及び背圧制御弁の開度を調節したときのコンプレッサの基本吐出流量及び背圧制御弁の基本開度を記録することと、
背圧制御弁の開度を基本開度に固定した状態でバイパス弁を複数の開度で開弁するとともに、それぞれコンプレッサの吐出圧力が所定の目標吐出圧力となるようにコンプレッサの出力を調節したときのコンプレッサの開弁時吐出流量を記録することと、
開弁時吐出流量と基本吐出流量との差分の情報に基づいてバイパス弁の制御量に対するバイパス弁を通過するカソードガスの流量の特性を学習することと、を含む処理を実行させるコンピュータプログラム、並びに当該コンピュータプログラムを記録した記録媒体。
【符号の説明】
【0087】
1…燃料電池システム、5…燃料電池スタック、10…カソードガス経路、12…カソードガス供給通路、14…圧力センサ、15…ターボコンプレッサ、17…スタック入口弁、18…カソードオフガス通路、19…背圧制御弁、20…アノードガス経路、41…バイパス通路、43…バイパス弁、45…流量センサ、50…制御装置、51…制御部(プロセッサ)、52…コンプレッサ制御部、53…スタック入口弁制御部、54…バイパス弁制御部、55…背圧制御弁制御部、61…閉弁時動作量取得処理部、63…開弁時動作量取得処理部、65…流量特性学習部、69…記憶部(メモリ)
図1
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図8