(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の制御方法、及び電子機器の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B64F 1/02 20060101AFI20250508BHJP
B64F 3/00 20060101ALI20250508BHJP
【FI】
B64F1/02
B64F3/00
(21)【出願番号】P 2021178707
(22)【出願日】2021-11-01
(62)【分割の表示】P 2018102541の分割
【原出願日】2018-05-29
【審査請求日】2021-11-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】神田 冬威
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】横溝 顕範
【審判官】澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-165215号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F1/02
B64C27/08
B64C39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行装置を磁力によって付着させる付着機構と、
前記付着機構が前記飛行装置に作用させる磁力のオンとオフとの切り替えを制御する付着制御部と、
を備え、
前記付着制御部は、
前記飛行装置と前記付着機構との二次元的な位置関係が所定の位置関係を満たし、かつ、前記飛行装置が予め登録された飛行装置の場合に、前記付着機構が前記飛行装置に作用させる磁力をオンにするように制御する
、電子機器。
【請求項2】
前記飛行装置を撮像する撮像部を備え、
前記飛行装置の位置を、前記撮像部による撮像に基づいて判定する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記飛行装置を停留させる際に、前記飛行装置を前記付着機構の下方から付着させる、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
飛行装置を磁力によって付着機構に付着させる付着ステップと、
前記付着機構が前記飛行装置に作用させる磁力のオンとオフとの切り替えを制御する付着制御ステップと、
前記飛行装置と前記付着機構との二次元的な位置関係が所定の位置関係を満たし、かつ、前記飛行装置が予め登録された飛行装置の場合に、前記付着機構が前記飛行装置に作用させる磁力をオンにするように制御す
るステップと、
を含む、電子機器の制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
飛行装置を磁力によって付着機構に付着させる付着ステップと、
前記付着機構が前記飛行装置に作用させる磁力のオンとオフとの切り替えを制御する付着制御ステップと、
前記飛行装置と前記付着機構との二次元的な位置関係が所定の位置関係を満たし、かつ、前記飛行装置が予め登録された飛行装置の場合に、前記付着機構が前記飛行装置に作用させる磁力をオンにするように制御す
るステップと、
を実行させる、電子機器の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器、電子機器の制御方法、及び電子機器の制御プログラムに関する。より詳細には、例えばドローンのような飛行装置を停留させる電子機器、このような電子機器の制御方法、及び、このような電子機器の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばドローンのような、典型的には無人の飛行装置が、急速に普及しつつある。例えば、無人で小型のマルチコプターのような飛行装置に、カメラのような撮像デバイスを搭載させたものが市販されている。このような飛行装置によれば、人間が容易に到達できないような場所から静止画又は動画などを撮影することができる。今後、このような無人で小型の飛行装置は、用途の拡大及び法整備の進展に伴って、ますます普及することが期待されている。
【0003】
上述のような飛行装置がバッテリの電力によって駆動される場合、バッテリの電力がなくなる前に、所定の場所に着地することが求められる。このため、飛行装置が離着陸するための基地となり得る離着陸装置も提案されている。例えば、特許文献1は、飛行装置が正規の位置から少しずれて着陸したとしても、着陸位置を正規の位置に案内する離着陸装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
飛行装置を所定の場所に安全に停留させることが容易にできれば、利便性を高めることができる。また、飛行装置を所定の場所に停留させる際に、飛行装置が占有する土地の問題に対処することができれば、さらに利便性を高めることができる。
【0006】
本開示の目的は、飛行装置を停留させる際の利便性を高める電子機器、電子機器の制御方法、及び電子機器の制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る電子機器は、
飛行装置を磁力によって付着させる付着機構と、
前記付着機構が前記飛行装置に作用させる磁力のオンとオフとの切り替えを制御する付着制御部と、
を備える。
前記付着制御部は、
前記飛行装置と前記付着機構との二次元的な位置関係が所定の位置関係を満たし、かつ、前記飛行装置が予め登録された飛行装置の場合に、前記付着機構が前記飛行装置に作用させる磁力をオンにするように制御する。
【0008】
一実施形態に係る電子機器の制御方法は、
飛行装置を磁力によって付着機構に付着させる付着ステップと、
前記付着機構が前記飛行装置に作用させる磁力のオンとオフとの切り替えを制御する付着制御ステップと、
前記飛行装置と前記付着機構との二次元的な位置関係が所定の位置関係を満たし、かつ、前記飛行装置が予め登録された飛行装置の場合に、前記付着機構が前記飛行装置に作用させる磁力をオンにするように制御するステップと、
を含む。
【0009】
一実施形態に係る電子機器の制御プログラムは、
コンピュータに、
飛行装置を磁力によって付着機構に付着させる付着ステップと、
前記付着機構が前記飛行装置に作用させる磁力のオンとオフとの切り替えを制御する付着制御ステップと、
前記飛行装置と前記付着機構との二次元的な位置関係が所定の位置関係を満たし、かつ、前記飛行装置が予め登録された飛行装置の場合に、前記付着機構が前記飛行装置に作用させる磁力をオンにするように制御するステップと、
を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態によれば、飛行装置を停留させる際の利便性を高める電子機器、電子機器の制御方法、及び電子機器の制御プログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る電子機器をZ軸負方向に見た状態を示す上面図である。
【
図3】一実施形態に係る電子機器をZ軸正方向に見た状態を示す下面図である。
【
図4】一実施形態に係る電子機器の追従部を拡大して示す図である。
【
図5】一実施形態に係る電子機器の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図6】一実施形態に係る電子機器の動作を説明するフローチャートである。
【
図7】一実施形態に係る電子機器の動作を説明するフローチャートである。
【
図8】一実施形態に係る電子機器の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一実施形態に係る電子機器は、飛行装置を停留させる停留装置とすることができる。ここで、飛行装置とは、例えばドローンのような、典型的には無人で小型の飛行装置とすることができる。また、飛行装置を停留させる停留装置とは、例えばドッキングステーションのような、飛行装置を停留させる基地のような用途で用いる装置としてよい。この停留装置は、飛行装置を停留させることにより、飛行装置と通信したりできるものとしてよい。また、この停留装置は、飛行装置を停留させることにより、飛行装置の故障状態を把握したり、飛行装置のバッテリの充電状態の情報を取得したり、飛行装置のバッテリを充電したりできるものとしてよい。以下、一実施形態に係る電子機器について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る電子機器を、飛行装置とともに示す斜視図である。
【0014】
図1に示すように、一実施形態に係る電子機器1は、任意の箇所から吊り下げた状態で設置することができる。以下の説明において、図に示すZ軸の正方向を「上」方向とし、Z軸の負方向を「下」方向として説明する。ここで、「下」方向とは、典型的には鉛直としてもよい。ここで、「下」方向とは、重力が向かう方向としてもよい。また、
図1に示すように、一実施形態に係る電子機器1は、電子機器1の下方から(Z軸の正方向に向けて)飛行装置100のアプローチを受けることができる。このようにして、電子機器1は、飛行装置100を停留させることができる。
【0015】
一実施形態において、飛行装置100は、水平方向の移動速度が低くても空中に浮遊することが可能な各種の飛行機能を有する装置としてよい。例えば、飛行装置100は、典型的には無人で小型のヘリコプター、マルチコプター、ドローン、飛行船、気球、又は無人航空機(Unmanned Aerial Vehicles(UAV))と呼ばれる無人飛行体等としてよい。ここで、ドローンとは、軍事用のUAVに限定されず、軍事目的以外の種々の用途に使用されるものとしてよい。例えば、ドローンは、CCDイメージセンサを備え、飛行中の映像を撮像する用途を含むものとしてよい。また、ドローンは、例えば工場内で使用される部品を、ある場所から他の場所に運搬する用途を含むものとしてもよい。また、一実施形態において、飛行装置100は、無線による遠隔制御が可能なものとしてもよいし、自律制御(自動操縦)が可能なものとしてもよい。
【0016】
飛行装置100は、
図1に示すようなものに限定されず、任意の飛行装置としてよい。また、飛行装置100は、
図1に示すように、(Z軸負方向に見た)上面側に、後述する付着部110を備えてよい。以下の説明において、飛行装置100は、
図1に示すような4つのローターを含むドローンである例について説明する。
【0017】
図1に示すように、一実施形態に係る電子機器1は、外観上、枠部3と、第1スライド機構10A及び10Bと、第2スライド機構20と、追従部30と、を備えている。電子機器1の形状は
図1では四角形であるが、これに限定されない。電子機器1の形状は、円形、楕円形、三角形、四角形その他の多角形のみならず、その他の形状又はこれらの任意の組み合わせの形状としてもよい。
【0018】
枠部3は、電子機器1の基部となる部材である。枠部3は、電子機器1の全体的な大きさを画定する部材としてもよい。一実施形態に係る電子機器1は、枠部3の内部(枠部3を含んでもよい)において、飛行装置100を停留させる。一実施形態において、枠部3は、飛行装置100を停留させる停留装置として適切な大きさとしてよい。具体的には、枠部3は、例えば1.5m四方の大きさの枠として構成してもよい。枠部3は、鉄若しくはアルミニウム、又はカーボングラファイト等のような適度な強度を有する素材で構成してよい。また、枠部3は、ある程度の強度を保つことができれば、例えばレジンのような合成樹脂等の素材で構成してもよい。一実施形態において、枠部3は、枠状部材としての強度を維持できれば、任意の素材によって構成してよい。
【0019】
また、
図1に示すように、枠部3の四隅付近には、ハンガ接続部5A,5B,5C,及び5Dが設けられる。これらのハンガ接続部5A,5B,5C,及び5Dには、それぞれ対応するハンガ7A,7B,7C,及び7Dが接続される。以下、ハンガ接続部5A,5B,5C,及び5Dのそれぞれを区別しない場合、これらを単に「ハンガ接続部5」と記すことがある。同様に、ハンガ7A,7B,7C,及び7Dのそれぞれを区別しない場合、これらを単に「ハンガ7」と記すことがある。
【0020】
ハンガ接続部5は、ハンガ7を接続するために設けられる任意の機構としてよい。ハンガ接続部5は、例えばフックを取り付けた機構として、当該フックにハンガ7が巻きつけられるように構成してもよい。その他、ハンガ接続部5は、ハンガ7が例えば溶接などによって取り付けられる構成としてもよい。ハンガ接続部5は、ハンガ7がある程度強固な接続が維持されるような機構であれば、任意の構成としてよい。
【0021】
ハンガ7は、電子機器1を例えば天井のような任意の箇所から吊り下げる部材である。ハンガ7は、例えば、電子機器1の枠部3の位置を基準として、Z軸正方向の位置に配置されるとしてよい。ハンガ7は、例えば針金又はロープのような、電子機器1を吊り下げる際の荷重に耐え得る任意の素材で構成してよい。ハンガ7をある程度の太さ(径)を有する素材で構成すれば、例えば天井のような任意の箇所から電子機器1を吊り下げる際に、電子機器1を安定して固定することができる。したがって、このような構成によれば、ハンガ7によって吊り下げられる電子機器1のぐらつきを抑えることができる。一方、電子機器1は、ハンガ7及びハンガ接続部5とは別の部材によって、吊り下げた状態で固定されるようにしてもよい。
【0022】
また、電子機器1は、ハンガ7を用いることにより、任意の箇所の天井の天板など、種々の場所に取り付けることができる。また、電子機器1は、例えば建物の屋根の軒下、河川、海及び湖などに架かる橋の橋桁(橋の下)、高速道路、陸橋、電灯、信号機、電信柱、電線、自動車、バス、電車、飛行機、ヘリコプター、樹木、街路樹、広告板、電波等、煙突、建物の壁、駅のホームの天井、トンネルの天井など、その他任意の場所に、吊り下げるようにして取り付けることもできる。
【0023】
図2は、
図1に示した電子機器1を、上からZ軸負方向に見た状態を示す図である。
図2においては、
図1に示したハンガ7の図示は省略してある。
【0024】
図1及び
図2に示すように、枠部3には、第1スライド機構10A及び10Bが取り付けられる。
図1及び
図2に示す例においては、枠部3の外形を構成する4辺のうちY軸にほぼ平行な2辺に沿って、第1スライド機構10A及び10Bが設置されている。以下、2つの第1スライド機構10A及び10Bを特に区別しない場合、これらを単に「第1スライド機構10」と記すことがある。
【0025】
第1スライド機構10A及び10Bは、それぞれ枠部3のY軸にほぼ平行な2辺に沿ってスライドする。
図1及び
図2に示すように、第1スライド機構10Aと第1スライド機構10Bとの間には、第2スライド機構20が取り付けられている。したがって、第1スライド機構10A及び10Bのスライドによって、第2スライド機構20は、枠部3上において、Y軸方向にスライドすることができる。
図2に示すように、第1スライド機構10がスライドする方向(Y軸方向)を、「第1方向」とも記す。
【0026】
第1スライド機構10は、第2スライド機構20を枠部3上で少なくとも一方向にスライドさせることができる任意の機構としてよい。例えば、第1スライド機構10は、
図1及び
図2に示すように、枠部3上においてY軸方向に形成された溝に沿ってスライドする機構としてよい。また、
図1及び
図2において、第1スライド機構10は、第2スライド機構20をスライドさせる機構を内蔵する機能部の外形(筐体)のみを示してある。第1スライド機構10の筐体は、鉄若しくはアルミニウム、カーボングラファイト、又はレジンのような合成樹脂等、適度な強度を有する任意の素材で構成してよい。また、電子機器1の屋外設置が想定される場合、第1スライド機構10の筐体内部に雨水などが侵入しないような構造を採用してもよい。
【0027】
第1スライド機構10は、例えばモータを電力で駆動させることにより、枠部3に対してスライドするようにしてもよい。例えば、モータを備える第1スライド機構10が、当該モータの動力によって、枠部3上でスライドするようにしてもよい。具体的には、第1スライド機構10が備えるモータによってスプロケットを回転駆動させることにより、当該スプロケットに組み合わされたローラチェーンを直線運動(スライド)させてもよい。この場合、当該ローラチェーンが枠部3の所定箇所に接続されていれば、第1スライド機構10を枠部3に対してスライドさせることができる。
【0028】
また、例えば、モータを備える枠部3が、当該モータの動力によって、枠部3上で第1スライド機構10をスライドさせてもよい。具体的には、枠部3が備えるモータによってスプロケットを回転駆動させることにより、当該スプロケットに組み合わされたローラチェーンを直線運動(スライド)させてもよい。この場合、当該ローラチェーンが第1スライド機構10の所定箇所に接続されていれば、第1スライド機構10を枠部3に対してスライドさせることができる。
【0029】
また、第1スライド機構10は、上述のようなスプロケット及びローラチェーンの組合せの代わりに、例えばウインチを含む機構を採用してもよい。具体的には、ワイヤロープをドラムに巻いたウインチを、第1スライド機構10又は枠部3が備えるモータによって回転駆動させてもよい。この場合、ワイヤロープが枠部3又は第1スライド機構10の所定箇所に接続されていれば、第1スライド機構10を枠部3に対してスライドさせることができる。
【0030】
また、第1スライド機構10は、上述のようなウインチの代わりに、例えば送りネジを含む機構を採用してもよい。具体的には、枠部3が備えるモータによって、枠部3に内蔵させたネジ軸を回転させることにより、当該ネジ軸に施したネジ切りに係合するナットを直線運動させてもよい。この場合、当該ナットが第1スライド機構10に結合されていれば、第1スライド機構10を枠部3に対してスライドさせることができる。
【0031】
以上のような構成により、第1スライド機構10及び枠部3の一方は、他方に対してスライドすることができる。ここで、第1スライド機構10と枠部3とを別の機能部として説明したが、第1スライド機構10は、第2スライド機構20をスライドさせる任意の機能部とすることができる。したがって、第1スライド機構10は、実施形態によっては、例えば
図1及び
図2に示す第1スライド機構10及び第2スライド機構20並びに枠部3の少なくとも1つの少なくとも一部を含む種々の機能部とすることができる。
【0032】
一実施形態において、第1スライド機構10A及び10Bの双方が、モータなどの動力を有する機構としてもよい。一方、他の実施形態において、第1スライド機構10A及び10Bのうち一方のみがモータなどの動力を有する機構として、他方は自由端として動力を有さずに滑らかにスライドする機構としてもよい。
【0033】
また、一実施形態において、第1スライド機構10A及び10Bの少なくとも一方は、第1方向の正方向及び負方向の双方にスライド可能であってもよい。すなわち、
図1及び
図2に示すように、第1スライド機構10A及び10Bの少なくとも一方は、Y軸の正方向及び負方向のどちらにもスライド可能としてもよい。一方、他の実施形態において、例えば、第1スライド機構10AはY軸正方向にのみスライドする動力を有し、第1スライド機構10BはY軸負方向にのみスライドする動力を有してもよい。
【0034】
上述のように、第1スライド機構10Aと第1スライド機構10Bとの間には、第2スライド機構20が取り付けられている。また、
図1及び
図2に示すように、第2スライド機構20には、追従部30が取り付けられている。したがって、第1スライド機構10A及び10BのY軸方向(
図2に示す第1方向)のスライドによって、第2スライド機構20に取り付けられた追従部30も、第1方向にスライドする。
【0035】
追従部30は、飛行装置100が停留するために電子機器1にアプローチする際に、飛行装置100の動き(又は位置)に追従する機能部である。また、追従部30の下側(例えば下面)は、付着機構32を有している。付着機構32は、飛行装置100を付着させる。典型的には、付着機構32は、飛行装置100の例えば上面側に配置された付着部110に付着することができる。追従部30及び付着機構32については、さらに後述する。
【0036】
図3は、
図1及び
図2に示した電子機器1を、下からZ軸正方向に見た状態を示す図である。
図3は、
図2に示した電子機器1を、Y軸について反転した状態を示す図である。
【0037】
図1から
図3に示すように、第2スライド機構20は、第1スライド機構10Aと第1スライド機構10Bとの間において、X軸にほぼ平行に設置されている。一実施形態において、第2スライド機構20は、X軸にほぼ平行の状態を維持したまま、第1方向にスライドしてもよい。また、第1スライド機構10Aと第1スライド機構10Bとの間に取り付けられた第2スライド機構20は、追従部30をスライドさせる。
【0038】
図1から
図3に示すように、第2スライド機構20には、追従部30が取り付けられている。したがって、第2スライド機構20によって、追従部30は、第2スライド機構20上において、X軸方向にスライドすることができる。
図2及び
図3に示すように、追従部30が第2スライド機構20においてスライドする方向(X軸方向)を、「第2方向」とも記す。追従部30が二次元的な可動範囲を有するように、前述の第1方向と第2方向とは、異なる方向にしてよい。
【0039】
第2スライド機構20は、追従部30を第2スライド機構20上で少なくとも一方向にスライドさせることができる任意の機構としてよい。例えば、第2スライド機構20は、
図3に示すように、第2スライド機構20上においてX軸方向に形成された溝に沿って追従部30をスライドさせる機構としてよい。また、
図1から
図3において、第2スライド機構20は、追従部30をスライドさせる機構を内蔵する機能部の外形(筐体)のみを示してある。第2スライド機構20の筐体は、鉄若しくはアルミニウム、カーボングラファイト、又はレジンのような合成樹脂等、適度な強度を有する任意の素材で構成してよい。また、電子機器1の屋外設置が想定される場合、第2スライド機構20の筐体内部に雨水などが侵入しないような構造を採用してもよい。
【0040】
第2スライド機構20は、例えばモータを電力で駆動させることにより、追従部30をスライドさせてもよい。例えば、モータを備える第2スライド機構20が、当該モータの動力によって、追従部30をスライドさせてもよい。また、例えば、モータを備える追従部30が、当該モータの動力によって、第2スライド機構20に対してスライドするようにしてもよい。第2スライド機構20が追従部30をスライドさせる構成は、第1スライド機構10が第2スライド機構20をスライドさせる構成と同様に、種々の構成を採用し得る。このため、第2スライド機構20のより詳細な説明は省略する。
【0041】
このような構成により、第2スライド機構20及び追従部30の一方は、他方に対してスライドすることができる。ここで、第2スライド機構20と追従部30とを別の機能部として説明したが、第2スライド機構20は、追従部30をスライドさせる任意の機能部とすることができる。したがって、第2スライド機構20は、実施形態によっては、例えば
図1から
図3に示す第1スライド機構10、第2スライド機構20、枠部3、及び追従部30の少なくとも1つの少なくとも一部を含む、種々の機能部とすることができる。
【0042】
以上のように、一実施形態において、第1スライド機構10により、第2スライド機構20は第1方向に自在にスライドすることができる。また、一実施形態において、第2スライド機構20により、追従部30は第2方向に自在にスライドすることができる。このため、一実施形態において、第1スライド機構10及び第2スライド機構20の少なくとも一方によって、追従部30は、枠部3内における位置を可変にすることができる。なお、第2スライド機構20のスライドする第1方向は、Y軸に平行な場合に限定されず任意の方向、例えばX軸に対して45°の角度の線の方向などでよい。また、追従部30がスライドする第2方向は、X軸に平行な場合に限定されず任意の方向、例えばX軸に対して30°の角度の線の方向などでよい。第1方向と第2方向とのなす角度は、任意の角度であるとしてよい。
【0043】
以下、追従部30について、さらに説明する。
【0044】
図1から
図3において、追従部30は、飛行装置100を付着させる機能などを内蔵する機能部の外形(筐体)を示してある。追従部30の筐体は、鉄若しくはアルミニウム、カーボングラファイト、又はレジンのような合成樹脂等、適度な強度を有する任意の素材で構成してよい。また、電子機器1の屋外設置が想定される場合、追従部30の筐体内部に雨水などが侵入しないような構造を採用してもよい。
【0045】
図4は、
図3に示した電子機器1の追従部30を拡大して示す図である。
図4に示すように、追従部30は、付着機構32と、接点34A及び34Bと、撮像部36と、発光部38A,38B,38C,及び38Dと、を備えている。
【0046】
付着機構32は、飛行装置100を付着させる機能部である。付着機構32は、飛行装置100を磁力によって付着させてもよい。付着機構32は、例えば、適度な粘着性を有する素材を塗布した部材として、停留などを求めて電子機器1にアプローチしてくる飛行装置100を付着させてもよい。また、付着機構32は、Z軸方向に適度な厚さを有するように、すなわち下方向に適度に突出した形状を有するように構成してもよい。このような構成により、追従部30の付着機構32が、飛行装置100の付着部110に付着した状態においても、飛行装置100の回転するローターが他の部材に接触することを回避することができる。
【0047】
また、電子機器1の付着機構32に飛行装置100を付着させるだけでなく、停留している飛行装置100を電子機器1から分離させる観点から、付着機構32は、付着機能の有無を切り替え可能に構成してもよい。磁力により付着させる付着機構32は、付着機能の有無を切り替え可能に構成するため、磁力有無をオンオフして切り替えるとしてもよい。
【0048】
この場合、例えば付着機構32に永久磁石を含めて構成することで、飛行装置100が鉄などの強磁性体を有していれば、付着機構32に飛行装置100を引き寄せて付着させることができる。飛行装置100は、付着機構32による磁力の作用が及ぶように、
図1に示すように、(Z軸負方向に見た)上面側に、鉄などの強磁性体で構成される付着部110を備えてよい。また、例えば飛行装置100の付着部110を永久磁石で構成すれば、付着機構32は単に鉄などの強磁性体で構成することができる。このように、付着機構32は、飛行装置100の付着部110を付着させることができる。
【0049】
また、例えば付着機構32に電磁石を含めて構成し、飛行装置100が鉄などの強磁性体を有していれば、電磁石をオンにすることで、付着機構32に飛行装置100を引き寄せて付着させることができる。また、この場合、電磁石をオフにすることで、付着機構32から飛行装置100を分離させることもできる。この場合も、飛行装置100は、付着機構32による磁力の作用が及ぶように、
図1に示すように、(Z軸負方向に見た)上面側に、鉄などの強磁性体で構成される付着部110を備えてよい。
【0050】
また、付着機構32は、例えばマグネットベースのように、飛行装置100に作用させる磁力のオンとオフとの切り替える機能部を含めて構成してもよい。市販のマグネットベースは、例えばレバー又はダイヤルなどの切替スイッチを操作することで、マグネットベースの所定箇所に発生する磁力のオンとオフとを切り替えることができる。すなわち、マグネットベースは、磁石として鉄などの強磁性体を引き寄せる機能のオンとオフとを切り替えることができる。したがって、例えば、サーボモータなど任意の動力機構によってマグネットベースの切替スイッチを操作することで、飛行装置100に作用させる磁力のオンとオフとを切り替えることができる。この場合、付着機構32において電力が必要になるのは、切替スイッチを切り替え操作するためにモータなどを駆動する時のみである。したがって、上述した電磁石とは異なり、磁力を作用させている間は電力が消費されないため、消費電力を節約することができる。
【0051】
接点34A及び34Bは、抵抗値が低い銅などで構成される電気的な接点としてよい。
図4においては、例として2つの接点34A及び34Bを示してあるが、必要に応じて任意の数の接点を設けてよい。以下、2つの接点34A及び34Bを特に区別しない場合、これらを単に「接点34」と記すことがある。また、接点34のそれぞれの形状も、
図4に示すような形態に限定されず、三角形、四角形、任意の多角形、楕円形その他適宜な形状又はこれらの組み合わせなど必要に応じて任意の形態としてよい。
【0052】
接点34は、付着機構32が飛行装置100の付着部110に付着する際に、電子機器1と飛行装置100とを導通させる。このため、飛行装置100の付着部110又は付着部110付近にも、接点34と接触する接点を設けてよい。電子機器1と飛行装置100とが接点34を介して導通することで、電子機器1は、例えば飛行装置100に電力を供給することができる。したがって、電子機器1は、接点34を介して、飛行装置100のバッテリを充電することができる。また、電子機器1と飛行装置100とが接点34を介して導通することで、電子機器1は、例えば飛行装置100とデータ通信を行ってもよい。電子機器1と飛行装置100とが接点34を介して導通することで、電子機器1と飛行装置100とがドッキングした際に各種のやりとりを行ってよい。
【0053】
撮像部36は、CCDイメージセンサなど、各種の撮像デバイスで構成してよい。撮像部36は、電子機器1にアプローチしてくる飛行装置100を撮像する。
図4においては、例として撮像部36を1つのみ示してあるが、必要に応じて任意の数及び任意の形態及び構成の撮像部を設けてよい。また、一実施形態においては、例えば通信などによって電子機器1において飛行装置100の位置をある程度詳細に把握できる場合、撮像部を設けなくてもよい。
【0054】
発光部38A,38B,38C,及び38Dは、例えば発光ダイオードなど、各種の発光デバイスで構成してよい。
図4においては、例として4つの発光部38A,38B,38C,及び38Dを示してあるが、必要に応じて任意の数の発光部を任意の箇所に設けてよい。また、一実施形態においては、簡略な構成として、発光部を設けなくてもよい。以下、4つの発光部38A,38B,38C,及び38Dを特に区別しない場合、これらを単に「発光部38」と記すことがある。また、発光部38の形状も、
図4に示すような形態に限定されず、必要に応じて任意の形態としてよい。
【0055】
このように、一実施形態に係る電子機器1は、付着機構32と、第1スライド機構10と、第2スライド機構20と、を備える。一実施形態において、付着機構32は、飛行装置100を付着させる。例えば、付着機構32は、飛行装置100を磁力によって付着させてよい。また、一実施形態において、第1スライド機構10は、付着機構32を第1方向(例えばY軸方向)にスライドさせる。また、一実施形態において、第2スライド機構20は、付着機構32を第1方向(例えばY軸方向)と異なる第2方向(例えばX軸方向)にスライドさせる。さらに、一実施形態に係る電子機器1は、撮像部36を備えてもよい。撮像部36は、飛行装置100を撮像する。
【0056】
また、
図1に示すように、一実施形態に係る電子機器1において、付着機構32は、電子機器1の下方からアプローチする飛行装置100を付着させることができる。このように、電子機器1は、飛行装置100を停留させる際に、飛行装置100を付着機構32の下方から付着させてよい。
【0057】
図5は、一実施形態に係る電子機器1の構成を概略的に示す機能ブロック図である。以下、一実施形態に係る電子機器1の機能的な構成について説明する。
【0058】
図5に示すように、一実施形態に係る電子機器1は、第1スライド機構10と、第2スライド機構20と、付着機構32と、撮像部36と、発光部38と、制御部40と、通信部50と、を備える。第1スライド機構10、第2スライド機構20、付着機構32、撮像部36、及び発光部38については、上述の通りであるため、より詳細な説明は省略する。
【0059】
制御部40は、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、例えばCPU(Central Processing Unit)のような、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。制御部40は、まとめて1つのプロセッサで実現してもよいし、いくつかのプロセッサで実現してもよいし、それぞれ個別のプロセッサで実現してもよい。プロセッサは、単一の集積回路として実現されてよい。集積回路は、IC(Integrated Circuit)ともいう。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。一実施形態において、制御部40は、例えばCPU及び当該CPUで実行されるプログラムとして構成してよい。制御部40は、制御部40の動作に必要なメモリのような記憶部を適宜含んでもよい。この記憶部は、制御部40において実行されるプログラム、及び、制御部40において実行された処理の結果などを記憶してよい。また、この記憶部は、制御部40のワークメモリとして機能してよい。一実施形態に係る制御部40の動作は、さらに後述する。
【0060】
また、制御部40は、スライド制御部42と、付着制御部44とを含むものとしてもよい。スライド制御部42は、主として、第1スライド機構10及び第2スライド機構20の少なくとも一方を制御する機能部としてよい。付着制御部44は、主として、付着機構32を制御する機能部としてよい。スライド制御部42及び付着制御部44は、制御部40の一部として構成してもよいし、制御部40とは別体として構成してもよい。スライド制御部42及び付着制御部44の動作も、さらに後述する。
【0061】
通信部50は、無線通信をはじめとする各種の機能を実現することができる。通信部50は、例えばLTE(Long Term Evolution)等の種々の通信方式による通信を実現してよい。通信部50は、例えばITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)において通信方式が標準化されたモデムを含んでよい。通信部50は、例えばアンテナを介して、例えば外部サーバ又はクラウドサーバのような外部機器と、ネットワークを介して無線通信してよい。一実施形態において、通信部50は、例えば外部サーバ又はクラウドサーバなどの外部のデータベースから、飛行装置100に関する各種の情報を受信してよい。例えば、通信部50は、飛行装置100の任意の時刻における位置情報などを受信してよい。また、このようにして通信部50が受信した各種の情報は、任意の場所に設けた記憶部に記憶してもよい。また、通信部50は、電子機器1が他の機器と各種の情報を有線通信するためのインタフェースとしてもよい。
【0062】
さらに、通信部50は、例えばWiFi又はBluetooth(登録商標)等の種々の方式による無線通信を実現してよい。通信部50は、例えばアンテナを介して、例えば飛行装置100の通信部と無線通信してもよい。一実施形態において、通信部50は、例えば飛行装置100などの各種の飛行装置から、それら飛行装置に関する各種の情報を受信してよい。例えば、通信部50は、飛行装置の任意の時刻における位置情報などを受信してよい。
【0063】
上述した制御部40及び通信部50は、電子機器1の各機能部の任意の位置に配置してもよいし、電子機器1とは別体として例えば電子機器1の近傍などに配置してもよい。
【0064】
次に、一実施形態に係る電子機器1の動作について説明する。
図6は、一実施形態に係る電子機器1の動作を説明するフローチャートである。
【0065】
図6に示す動作が開始する時点において、例えば
図1に示すように、飛行装置100は、近くに存在する電子機器1に対する停留を試みようとしているものとする。このような状況として、例えば飛行中の飛行装置100においてバッテリの残量が少なくなったため、飛行装置100が電子機器1に停留して当該バッテリの充電を試みようとしている場面などが想定される。また、上述のような状況として、例えばこれから天候の不順(雨及び/又は強風など)が予想されるため、飛行装置100が一時的な退避場所として電子機器1に停留しようとしている場面なども想定される。また、上述のような状況として、例えば電子機器1を出発した飛行装置100が、所定の作業を終えて、電子機器1に帰還しようとしている場面なども想定される。
【0066】
また、
図6に示す動作が開始する時点において、
図1に示すように、飛行装置100の位置におけるX座標及びY座標は、電子機器1の枠部3内にあるものとする。ここで、飛行装置100の位置におけるX座標及びY座標が電子機器1の枠部3内にある状態まで、飛行装置100は、無線による遠隔制御又は自律制御(自動操縦)によって飛行可能なものとする。さらに、この場合、上述したように、飛行装置100は、電子機器1の下方から付着機構32にアプローチするものとする。
【0067】
図6に示す動作が開始すると、電子機器1の制御部40は、電子機器1に停留を試みようとしている飛行装置100の位置を取得する(ステップS1)。ステップS1において、制御部40は、例えば通信部50から飛行装置100の位置を受信してもよい。この場合、飛行装置100の位置は、例えば外部サーバ又はクラウドサーバなどの外部のデータベースから取得してもよい。この場合、飛行装置100の位置情報は、外部のデータベースなどにおいて時々刻々と更新されるように管理してもよい。また、飛行装置100と通信可能な場合は、飛行装置100から位置情報を直接取得してもよい。この場合、飛行装置100は、例えばGPSなどを用いて飛行装置100の位置を取得してもよい。
【0068】
さらに、ステップS1において、制御部40は、例えば撮像部36による撮像に基づいて、飛行装置100の位置を判定してもよい。具体的には、撮像部36が飛行装置100を撮像する場合、制御部40は、撮像部36が撮像した画像及び撮像部36が撮像可能な画角などから、電子機器1に対する飛行装置100の位置を判定することができる。また、制御部40は、撮像部36が撮像した画像に公知の画像処理又は画像認識などの技術を適用することにより、飛行装置100又は飛行装置100の位置などを判定してもよい。このように、一実施形態に係る電子機器1において、制御部40は、飛行装置100の位置を、撮像部36による撮像に基づいて判定してもよい。この場合、例えば夜間のように周囲光が不足する場合には、発光部38を発行させて、飛行装置100を照らすようにしてもよい。
【0069】
また、制御部40は、上述した飛行装置100の位置情報に基づいて、
図6に示す動作をトリガしてもよい。すなわち、制御部40は、飛行装置100の位置情報に基づいて、電子機器1に停留を試みようとしている飛行装置100の位置におけるX座標及びY座標が電子機器1の枠部3内にあると判定した場合、
図6に示す動作を開始してもよい。
【0070】
ステップS1において飛行装置100の位置が取得されたら、制御部40は、当該取得した飛行装置100の位置に応じて、第1スライド機構10及び第2スライド機構20の少なくとも一方を制御する(ステップS2)。ステップS2においては、制御部40は、付着機構32を備える追従部30が飛行装置100に追従するように、第1スライド機構10及び第2スライド機構20の少なくとも一方を制御してよい。ステップS2において、制御部40は、付着機構32が、飛行装置100の付着部110に追従するように、第1スライド機構10及び第2スライド機構20の少なくとも一方を制御してよい。ここで、第1スライド機構10及び第2スライド機構20の少なくとも一方の制御は、スライド制御部42が行ってもよい。
【0071】
図7は、スライド制御部42が行うスライド制御を、より詳細に説明するフローチャートである。
図7は、
図6のステップS2に示した処理の一例を、より詳細に示すものである。
【0072】
図7に示す動作が開始すると、スライド制御部42は、飛行装置100(の付着部110)と付着機構32との間の距離が所定の距離を超えているか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21において上記距離が所定の距離を超えていないと判定された場合、スライド制御部42は、
図7に示す動作を終了して、
図6に示すステップS3の処理を行う。一方、ステップS21において上記距離が所定の距離を超えていると判定された場合、スライド制御部42は、飛行装置100(の付着部110)と付着機構32との間の距離が減少するように制御する(ステップS22)。ここで、スライド制御部42は、ステップS22において、付着機構32が、飛行装置100の付着部110に追従するように、第1スライド機構10及び第2スライド機構20の少なくとも一方を制御してよい。ステップS22の処理の後、スライド制御部42は、
図7に示す動作を終了して、
図6に示すステップS3の処理を行う。
【0073】
上述のように、ステップS21の時点で、飛行装置100の位置におけるX座標及びY座標は、電子機器1の枠部3内にある。ここで、ステップS22における所定の距離とは、例えば飛行装置100の位置におけるX座標及びY座標に追従部30の付着機構32を追従させる必要がある距離として、予め設定しておいてよい。例えば、飛行装置100のXY平面における位置と、付着機構32のXY平面における位置とが10cm以上離れると、飛行装置100の付着部110を付着機構32に付着させることが安全かつ容易でなくなるリスクが高まるものとする。この場合、一実施形態において、上述所定の距離を10cmとしてよい。
【0074】
そして、スライド制御部42は、ステップS21において飛行装置100のXY平面における位置と、付着機構32のXY平面における位置とが10cm以上離れている場合、ステップS22における処理を行う。ステップS22において、スライド制御部42は、飛行装置100のXY平面における位置と、付着機構32のXY平面における位置との間の距離が減少するように、第1スライド機構10及び第2スライド機構20の少なくとも一方を制御する。
【0075】
このように、一実施形態において、スライド制御部42は、付着機構32のスライドを制御してよい。具体的には、スライド制御部42は、第1スライド機構10及び第2スライド機構20の少なくとも一方による、付着機構32のスライドを制御してもよい。この場合の制御として、例えば、スライド制御部42は、飛行装置100が付着機構32に付着するまでの飛行装置100の位置に応じて、付着機構32をY軸方向及びX軸方向の少なくとも一方にスライドさせるように制御してもよい。
【0076】
さらに、例えば、スライド制御部42は、飛行装置100と付着機構32との距離がY軸方向及びX軸方向の少なくとも一方において所定の距離を超えていると、付着機構32のスライドを制御してもよい。この場合、例えば、スライド制御部42は、飛行装置100と付着機構32との距離がY軸方向及びX軸方向の少なくとも一方において減少するように、付着機構32のスライドを制御してもよい。なお、スライド制御部42は、飛行装置100と付着機構32との距離がY軸方向及びX軸方向の少なくとも一方において所定の距離を越えた場合に、付着機構32のスライドを制御してもよい。この場合、例えば、スライド制御部42は、飛行装置100と付着機構32との距離がY軸方向及びX軸方向の少なくとも一方において減少するように、付着機構32のスライドを制御してもよい。この場合の処理は、
図7において、ステップS21のYesとNoの移行先を入れ替えたものとなる。
【0077】
図7に示すステップS22の処理が終了すると、すなわち
図6に示すステップS2の処理が終了すると、制御部40は、ステップS3に示す処理を行う。
【0078】
ステップS3において、制御部40は、ステップS1で取得した飛行装置100の位置に応じて、付着機構32のオンとオフとを切り替えるように制御を行う。例えば、ステップS3においては、制御部40は、追従部30の付着機構32と飛行装置100の付着部110とのZ軸方向の距離が近くなった時点で、付着機構32が付着部110に作用させる磁力がオンになるように制御してよい。ここで、付着機構32の制御は、付着制御部44が行ってもよい。
【0079】
図8は、付着制御部44が行う付着機構32の制御を、より詳細に説明するフローチャートである。
図8は、
図6のステップS3に示した処理の一例を、より詳細に示すものである。
【0080】
図8に示す動作が開始すると、付着制御部44は、飛行装置100(の付着部110)と付着機構32との間の距離が所定の距離以内であるか否かを判定する(ステップS31)。特に、ステップS31においては、飛行装置100の付着部110と、付着機構32との間のZ軸方向の距離が所定の距離以下であるか否かを判定してもよい。ステップS31において上記距離が所定の距離以下でないと判定された場合、付着制御部44は、
図8に示す動作を終了して、
図6に示すステップS3の処理を終了する。一方、ステップS31において上記距離が所定の距離以下であると判定された場合、付着制御部44は、付着機構32が飛行装置100(の付着部110)に作用させる磁力をオンにするように制御する(ステップS32)。ステップS32の処理の後、付着制御部44は、
図8に示す動作を終了、すなわち
図6に示すステップS3の処理を終了する。
【0081】
ここで、ステップS32における所定の距離とは、例えば付着機構32の磁力を飛行装置100の付着部110に作用させることにより、付着機構32に付着部110を容易に付着させることができる距離として、予め設定しておいてよい。例えば、飛行装置100の付着部110が、付着機構32にZ軸方向において5cm以下まで接近すると、飛行装置100の付着部110が付着機構32に容易に付着するものとする。この場合、一実施形態において、上述所定の距離を5cmとしてよい。
【0082】
そして、付着制御部44は、ステップS31において、飛行装置100の付着部110と、付着機構32との間のZ軸方向の距離が5cm以下である場合、ステップS32における処理を行う。ステップS32において、付着制御部44は、付着機構32が飛行装置100の付着部110に作用させる磁力をオンに切り替えるように制御する。これにより、子機器1の追従部30に接近した飛行装置100の付着部110は、付着機構32に付着する。
【0083】
ここで、付着制御部44は、上述のように、例えば付着機構32と付着部110との間のZ軸方向の(一次元的な)距離に基づいて、付着機構32の磁力のオン/オフを制御してもよい。また、付着制御部44は、例えば付着機構32のXY平面における位置と、付着部110のXY平面における位置との(二次元的な)位置関係に基づいて、付着機構32の磁力のオン/オフを制御してもよい。さらに、付着制御部44は、上述した付着機構32と付着部110との位置関係を組み合わせた(三次元的な)位置関係に基づいて、付着機構32の磁力のオン/オフを制御してもよい。
【0084】
このように、一実施形態において、付着制御部44は、付着機構32が飛行装置100に作用させる磁力のオンとオフとの切り替えを制御してもよい。具体的には、付着制御部44は、飛行装置100が付着機構32に付着するまでの飛行装置100の二次元的又は三次的な位置に応じて、付着機構32が飛行装置100に作用させる磁力のオンとオフとの切り替えを制御してもよい。また、この場合、付着制御部44は、飛行装置100と付着機構32との距離が所定の距離以下になると、付着機構32が飛行装置100に作用させる磁力をオンにするように制御してもよい。
【0085】
図6に示す動作は、ステップS1からステップS3までの一連の動作を繰り返すように制御してもよい。すなわち、制御部40は、ステップS3の処理が終了すると、即座に、又は所定時間経過後に、ステップS1の処理を再び開始してもよい。このように、一実施形態に係る電子機器1は、飛行装置100が付着機構32に付着するまでの飛行装置100の位置に応じて、付着機構32を備える追従部30の位置を追従させることができる。また、一実施形態に係る電子機器1は、飛行装置100が付着機構32に接近すると、付着機構32の磁力を作用させて、飛行装置100を付着機構32に付着させることができる。したがって、飛行装置100が電子機器1に停留を試みてアプローチした際に、例えば風向きが安定しないなどの原因により、飛行装置100が浮遊する位置がある程度ずれたとしても、電子機器1に安全かつ容易に停留させることができる。
【0086】
以上説明したように、一実施形態に係る電子機器1によれば、例えば飛行装置100を、電子機器1における所定の場所に、安全かつ容易に停留させることができる。すなわち、一実施形態に係る電子機器1によれば、例えば飛行装置100が停留する際に風にあおられたりしてドッキングが成功せずに、飛行装置100が破損したり、不具合が生じたりするといったリスクは低減される。また、一実施形態に係る電子機器1によれば、飛行装置100の位置に応じて追従部30が追従するため、飛行装置100がドッキングする際の操縦(操縦者による操縦又は自動操縦)を容易にすることができる。さらに、一実施形態に係る電子機器1によれば、例えば飛行装置100を所定の場所に停留させる際に、飛行装置100が占有する土地の問題に対処することができる。したがって、一実施形態に係る電子機器1によれば、飛行装置100などを停留させる際の利便性を高めることができる。
【0087】
以下、一実施形態に係る電子機器1の他の特徴について説明する。
【0088】
一実施形態に係る電子機器1は、
図1に示すように、任意の箇所から吊り下げた状態で設置することを想定して説明した。このようにすれば、上述のように、電子機器1は、例えば橋の下などにおいて飛行装置100を停留させることができる。このため、飛行装置100に主として河川上を飛行させる際に有利である。飛行装置100を地面などに着地させると、飛行装置100ごとに停留させるための場所(土地)が必要になる。しかしながら、一実施形態に係る電子機器1は、所定の箇所から吊り下げた状態で電子機器1を設置することにより、飛行装置100を地面に着地させる必要がない。このため、今後ドローンのような飛行装置100の普及が進んだ際に、停留場所の問題にも対処し得る。
【0089】
また、一実施形態に係る電子機器1は、必ずしも静止した状態で設置する使用態様に限定されず、例えばトラック、バス、又は電車などの各種の移動体の天板に配置してもよい。このような使用態様によれば、電子機器1は、飛行装置100を停留させたまま移動することもできる。
【0090】
一方、一実施形態において、例えば、
図1に示した上下方向を逆にした状態で、電子機器1を使用してもよい。この場合、飛行装置100の付着部110は、飛行装置100の下側に設置してよい。また、この場合、飛行装置100の付着部110及び電子機器1における追従部30の付着機構32を省略してもよい。
【0091】
一実施形態に係る電子機器1において、追従部30が備える撮像部36を使用した飛行装置100又は飛行装置100の位置などの判定は、既存の各種の技術を用いて行うことができる。例えば、制御部40は、撮像部36が常時又は所定の時間間隔で撮像する画像において、フレームごとの色又は形状などの差分を解析することで、飛行装置100の存在を判定してもよい。また、例えば飛行装置100側にも、所定の色及び/又は輝度の発光部を搭載させることにより、電子機器1において撮像部36を用いて認識し易くしてもよい。その他、例えば飛行装置100において、所定の色の蛍光テープを張り付けるなどして、電子機器1において撮像部36を用いて認識し易くするためのマーキングとしてもよい。
【0092】
電子機器1において飛行装置100のバッテリを充電するために、例えば電子機器1に太陽電池を接続して、太陽光を利用して発電する電力を、所定の蓄電池に充電しておいてもよい。また、電子機器1において飛行装置100のバッテリを充電する際には、非接触充電としてもよいし、例えば接点34によって接続した上で充電してもよい。
【0093】
一実施形態に係る電子機器1において、飛行装置100が停留することの可否について判定してもよい。例えば、予め所定の契約などによって所定の電子機器1おいて登録されている飛行装置100は、当該電子機器1に停留することを許可されるようにしてよい。この場合、例えば、予め所定の契約をしておらず所定の電子機器1おいて登録されていない飛行装置100は、当該電子機器1に停留することを許可されないようにしてよい。停留を許可されていない飛行装置100が電子機器1に停留を試みると、制御部40は、電子機器1の追従部30を飛行装置100の動きに追従させない、又は、追従部の付着機構32が電子機器に付着しない、などの措置が講じられるように制御してもよい。
【0094】
上述のように、飛行装置100の停留の可否について判定する場合、複数の飛行装置100の識別も、種々の態様を想定することができる。例えば、電子機器1は、飛行装置100と直接無線通信などを行うことにより、複数の飛行装置100の識別を行ってもよい。また、例えば、電子機器1は、例えば外部サーバ又はクラウドサーバなどの外部のデータベースから取得した情報に基づいて、複数の飛行装置100の識別を行ってもよい。また、例えば、電子機器1は、飛行装置100が接近した際に、飛行装置100に貼り付けされたQRコード(登録商標)を撮像部36によって読み取ることにより、複数の飛行装置100の識別を行ってもよい。また、例えば、飛行装置100にRFタグを貼り付けておくことによって、電子機器1からの電力供給を受けて(飛行装置100の電力を使わずに)、飛行装置100のRFタグを読み取ることにより、識別をしてもよい。
【0095】
上述した実施形態において説明した電子機器1は、説明の便宜のため、飛行装置100を1台停留させる場合について説明した。しかしながら、一実施形態に係る電子機器1は、複数の飛行装置100を停留させてもよい。この場合、例えば、1つの電子機器1において、複数の追従部30を設置してもよい。また、1つの追従部30を備える電子機器1において、飛行装置100が追従部30の付着機構32に付着すると、追従部30が所定の格納庫まで飛行装置100を移動させてから、当該飛行装置を解放してもよい。この場合、飛行装置100を所定の格納庫まで移動させたら、電子機器1は、次の飛行装置100の到来に備えることができる。また、所定の格納庫においては、複数の飛行装置100を格納できるようにしてもよい。
【0096】
飛行装置100が電子機器1に停留を試みようとして、飛行装置100が電子機器1にアプローチする際、飛行装置100が電子機器1に接近したことを判定する態様も、種々想定することができる。例えば、飛行装置100が発信する電波又は超音波などを検出することにより、停留を試みようとしている飛行装置100のアプローチを検出してもよい。
【0097】
また、飛行装置100が電子機器1にアプローチしたことを検出することにより、飛行装置100における処理を変更してもよい。例えば、飛行装置100が電子機器1にアプローチしたことが検出されるまでは、制御部40は、電子機器1をスリープモードにして、消費電力を抑制してもよい。また、例えば、飛行装置100が電子機器1にアプローチしたことが検出されるまでは、制御部40は、電子機器1において撮像部36が撮像するフレームレートなどを比較的低く設定してもよい。この場合、飛行装置100が電子機器1にアプローチしたことが検出されると、制御部40は、電子機器1において撮像部36が撮像するフレームレートなどを比較的高くしてもよい。
【0098】
上述した実施形態において、飛行装置100は、自動操縦によって自律的に飛行又は浮遊するものとしてもよいし、遠隔操作によって人間が操縦するものとしてもよい。
【0099】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能である。複数の機能部等は、1つに組み合わせられたり、分割されたりしてよい。上述した本開示に係る各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施され得る。
【0100】
上述した実施形態は、電子機器1としての実施のみに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態は、電子機器1のような機器の制御方法として実施してもよい。さらに、例えば、上述した実施形態は、電子機器1のような機器の制御プログラムとして実施してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 電子機器(停留装置)
3 枠部
5 ハンガ接続部
7 ハンガ
10 第1スライド機構
20 第2スライド機構
30 追従部
32 付着機構(マグネットベース)
34 接点
36 撮像部
38 発光部
40 制御部
42 スライド制御部
44 付着制御部
50 通信部
100 飛行装置(ドローン)
110 付着部