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特許7677872管制システム、配車システム、配車計画作成方法およびコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】管制システム、配車システム、配車計画作成方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20250508BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20250508BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20250508BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20250508BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20250508BHJP
   G08G 1/065 20060101ALI20250508BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/00 X
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
G08G1/065 A
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021180227
(22)【出願日】2021-11-04
(65)【公開番号】P2023068848
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】村山 修
(72)【発明者】
【氏名】森本 恭平
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-034375(JP,A)
【文献】国際公開第2018/138884(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/123
G08G 1/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路における同一地点に対応して上り車線と下り車線とにそれぞれ設けられた2つの休憩施設の混雑状況を示す混雑情報を取得する混雑情報取得部と、
取得した前記混雑情報を用いて、前記2つの休憩施設のうちの一方である駐車施設に駐車される車両に乗車する利用者を搬送可能な搬送車両を前記駐車施設から前記2つの休憩施設のうちの他方である反対車線側施設へ走行させる走行予定を含む配車計画を決定する配車計画決定部を備え、
前記配車計画決定部は、前記混雑情報を用いて前記駐車施設が混雑していると判断した場合に、前記搬送車両を前記駐車施設から前記反対車線側施設へ走行させるように前記搬送車両の走行予定を決定することを特徴とする管制システム。
【請求項2】
前記2つの休憩施設は、それぞれ複数の設備を備え、
前記混雑情報は、前記設備ごとの混雑状況を示す情報を含み、
前記利用者が操作可能な利用者端末から、前記利用者が前記休憩施設を利用する目的を含む利用情報を取得する利用情報取得部、
を備え、
前記配車計画決定部は、前記利用情報取得部が取得した前記利用情報に含まれる前記目的を用いて前記利用者が利用する前記設備の候補を決定し、前記混雑情報を用いて前記候補から前記利用情報に対応する前記設備である目的設備を選択し、選択した前記目的設備に基づいて前記利用情報に対応する前記搬送車両の搬送先を目的地として決定し、決定した前記目的地を用いて前記利用情報に割当てる前記搬送車両の走行予定を決定することを特徴とする請求項1に記載の管制システム。
【請求項3】
有料道路における同一地点に対応して上り車線と下り車線とにそれぞれ設けられた2つの休憩施設に設けられた複数の設備ごとの混雑状況を示す混雑情報を取得する混雑情報取得部と、
取得した前記混雑情報を用いて、前記2つの休憩施設のうちの一方である駐車施設に駐車される車両に乗車する利用者を搬送可能な搬送車両を前記駐車施設から前記2つの休憩施設のうちの他方である反対車線側施設へ走行させる走行予定を含む配車計画を決定する配車計画決定部と、
前記利用者が操作可能な利用者端末から、前記利用者が前記休憩施設を利用する目的を含む利用情報を取得する利用情報取得部と、を備え、
前記配車計画決定部は、
前記利用情報取得部が取得した前記利用情報に含まれる前記目的を用いて前記利用者が利用する前記設備の候補を決定し、
前記混雑情報を用いて、前記駐車施設内の前記候補のうち混雑していない前記候補があると判断した場合に、前記駐車施設内の混雑していない前記候補から前記利用情報に対応する前記設備である目的設備を選択し、前記駐車施設内の前記候補が全て混雑しており前記反対車線側施設の前記候補のうち混雑していない前記候補があると判断した場合に、前記反対車線側施設の前記候補のうち混雑していない前記候補から前記目的設備を選択し、
選択した前記目的設備に基づいて前記利用情報に対応する前記搬送車両の搬送先を目的地として決定し、決定した前記目的地を用いて前記利用情報に割当てる前記搬送車両の走行予定を決定することを特徴とする管制システム。
【請求項4】
前記配車計画決定部は、前記駐車施設内の前記候補のうち混雑していない前記候補がある場合には、当該候補を前記目的設備として選択し、前記駐車施設内の前記候補が全て混雑しており前記反対車線側施設の前記候補のうち混雑していない前記候補がある場合に、当該候補を前記目的設備として選択することを特徴とする請求項に記載の管制システム。
【請求項5】
前記利用情報は、前記搬送車両に乗車する乗車人数を含み、
前記配車計画決定部は、前記利用情報に含まれる前記乗車人数と、前記搬送車両ごとの最大乗車人数とに基づいて、前記利用情報に割当てる前記搬送車両を決定することを特徴とする請求項2から4のいずれか1つに記載の管制システム。
【請求項6】
前記設備は、トイレおよび飲食店街を含み、
前記目的は、トイレの利用および食事のいずれかであることを特徴とする請求項から5のいずれか1つに記載の管制システム。
【請求項7】
前記利用情報は、前記利用者の属性を示す属性情報を含み、
前記配車計画決定部は、前記目的と、前記設備ごとの前記設備が前記属性に対応した付帯設備を有しているか否かを示す付帯情報と、前記属性情報とを用いて、前記候補を決定することを特徴とする請求項から6のいずれか1つに記載の管制システム。
【請求項8】
前記利用情報は、前記利用者の識別情報である利用者識別情報を含み、
前記配車計画決定部は、前記目的と、前記利用者識別情報と前記利用者の属性を示す属性情報との対応を示す対応情報と、前記設備ごとの前記設備が前記属性に対応した付帯設備を有しているか否かを示す付帯情報とを用いて、前記候補を決定することを特徴とする請求項から6のいずれか1つに記載の管制システム。
【請求項9】
前記配車計画決定部は、前記属性情報に基づいて、前記搬送車両の割当てにおける優先度を決定することを特徴とする請求項7または8に記載の管制システム。
【請求項10】
前記利用情報は前記利用者の現在位置を含み、
前記管制システムは、
前記有料道路の渋滞情報および気象情報のうちの少なくとも一方を含む道路情報を取得する道路情報取得部と、
前記利用者が前記駐車施設に到着する前に前記利用情報が取得された場合に、前記道路情報と前記現在位置とを用いて前記駐車施設への到着予想時刻を算出する到着時刻予想部と、
前記到着予想時刻における前記設備の混雑状況を予想する混雑予想部と、
を含み、
前記配車計画決定部は、前記到着予想時刻と前記混雑予想部によって予想された前記混雑状況とを用いて、前記利用情報に割当てる前記搬送車両の走行予定を決定することを特徴とする請求項から9のいずれか1つに記載の管制システム。
【請求項11】
前記配車計画決定部は、前記搬送車両の現在位置と前記休憩施設における混雑状況とに基づいて前記搬送車両が前記利用情報に対応する走行における出発地までの移動に要する移動時間を予想し、予想した移動時間を用いて前記搬送車両の走行予定を決定することを特徴とする請求項10に記載の管制システム。
【請求項12】
前記到着時刻予想部は、前記利用情報に基づく走行予定が決定された後に、前記道路情報を用いて前記到着予想時刻を算出し、算出された前記到着予想時刻と当該走行予定が決定された時点の前記到着予想時刻との差が一定値以上であるか否かを判定し、
前記配車計画決定部は、前記差が一定値以上であると判定された場合に、前記利用情報に対応する走行予定を再決定することを特徴とする請求項10または11に記載の管制システム。
【請求項13】
前記配車計画決定部は、前記目的地までの移動を第1の移動とし、前記第1の移動の前記目的地からの移動である第2の移動に割当てる前記搬送車両を決定し、前記第2の移動における前記搬送車両の走行予定を決定することを特徴とする請求項から12のいずれか1つに記載の管制システム。
【請求項14】
前記搬送車両は、運送車両のドライバおよび前記休憩施設の従業員である特定利用者を搬送可能であり、
前記配車計画決定部は、前記利用情報が前記特定利用者に対応する利用情報である場合、前記第2の移動の目的地と前記第2の移動の到着予定時刻とを、前記特定利用者の勤務計画を用いて決定することを特徴とする請求項13に記載の管制システム。
【請求項15】
前記有料道路の渋滞情報、工事情報、規制情報、プローブ情報および気象情報のうちの少なくとも1つを含む道路情報を取得する道路情報取得部、
を備え、
前記配車計画決定部は、前記道路情報と過去に取得された前記利用情報とを用いて一定時間内に使用されない前記搬送車両の待機場所を前記搬送車両の利用が多いと予想される場所に決定することを特徴とする請求項から9のいずれか1つに記載の管制システム。
【請求項16】
有料道路における休憩施設における設備の混雑状況を示す混雑情報を取得する混雑情報取得部と、
取得した前記混雑情報を用いて、前記休憩施設に駐車される車両に乗車する利用者が利用する前記設備を決定し、決定した前記設備に対応する降車位置まで前記利用者を搬送するように搬送車両を走行させる走行予定を含む配車計画を決定する配車計画決定部を備え、
前記配車計画決定部は、前記混雑情報に応じて混雑していない前記設備に対応する前記降車位置を決定することを特徴とする管制システム。
【請求項17】
前記配車計画決定部は、前記利用者の属性を示す属性情報に基づいて前記配車計画を決定することを特徴とする請求項1に記載の管制システム。
【請求項18】
前記配車計画決定部は、駐車位置から前記駐車施設内の設備までの距離である第1の距離が前記駐車位置から前記駐車施設内の前記搬送車両の停留所までの距離である第2の距離より長く、第1の距離と第2の距離との差がしきい値以上である場合に、前記属性情報に基づいて、前記搬送車両を前記駐車施設から前記反対車線側施設へ走行させる走行予定を含む前記配車計画を決定することを特徴とする請求項17に記載の管制システム。
【請求項19】
有料道路における同一地点に対応して上り車線と下り車線とにそれぞれ設けられた2つの休憩施設の混雑状況を示す混雑情報を管理する施設管理システムと、
前記施設管理システムから前記混雑情報を取得し、前記混雑情報を用いて、前記2つの休憩施設のうちの一方である駐車施設に駐車される車両に乗車する利用者を搬送可能な搬送車両を、前記駐車施設が混雑していると判断した場合に、前記駐車施設から前記2つの休憩施設のうちの他方である反対車線側施設へ走行させる走行予定を含む配車計画を決定する管制システムと、
を備えることを特徴とする配車システム。
【請求項20】
複数の前記搬送車両、
を備え、
前記管制システムは、前記走行予定を対応する前記搬送車両へ送信することを特徴とする請求項19に記載の配車システム。
【請求項21】
前記利用者によって操作可能な利用者端末、
を備え、
前記2つの休憩施設は、それぞれ複数の設備を備え、
前記利用者端末は、前記管制システムへ前記休憩施設を利用する目的を含む利用情報を送信し、
前記管制システムは、前記利用情報に含まれる前記目的を用いて前記利用者が利用する前記設備の候補を決定し、前記混雑情報を用いて前記候補から前記利用情報に対応する前記設備である目的設備を選択し、選択した前記目的設備に基づいて前記利用情報に対応する前記搬送車両の搬送先を目的地として決定し、決定した前記目的地を用いて前記利用情報に割当てる前記搬送車両の走行予定を決定することを特徴とする請求項19または20に記載の配車システム。
【請求項22】
前記利用者端末は、前記搬送車両が前記休憩施設内で停車する停留所に設けられることを特徴とする請求項21に記載の配車システム。
【請求項23】
管制システムにおける配車計画作成方法であって、
有料道路における同一地点に対応して上り車線と下り車線とにそれぞれ設けられた2つの休憩施設の混雑状況を示す混雑情報を取得するステップと、
前記混雑情報を用いて、前記2つの休憩施設のうちの一方である駐車施設に駐車される車両に乗車する利用者を搬送可能な搬送車両を、前記駐車施設が混雑していると判断した場合に、前記駐車施設から前記2つの休憩施設のうちの他方である反対車線側施設へ走行させる走行予定を含む配車計画を決定するステップと、
を含むことを特徴とする配車計画作成方法。
【請求項24】
コンピュータに、
有料道路における同一地点に対応して上り車線と下り車線とにそれぞれ設けられた2つの休憩施設の混雑状況を示す混雑情報を取得するステップと、
前記混雑情報を用いて、前記2つの休憩施設のうちの一方である駐車施設に駐車される車両に乗車する利用者を搬送可能な搬送車両を、前記駐車施設が混雑していると判断した場合に、前記駐車施設から前記2つの休憩施設のうちの他方である反対車線側施設へ走行させる走行予定を含む配車計画を決定するステップと、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、利用者を搬送する車両の配車計画を作成する管制システム、配車システム、車両、配車計画作成方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路をはじめとした有料道路には、サービスエリア、パーキングエリアといった休憩施設が設けられている。このような休憩施設には、駐車場が設けられており、休憩施設の利用者は駐車場に車両を駐車して休憩施設を利用する。休憩施設における駐車場は、多数の車両を駐車可能なように広いことが多く、駐車した位置から休憩施設のトイレ、飲食店街などの建物まで距離があり徒歩での移動に時間を要する場合がある。このため、利用者が駐車場で自身が乗車してきた車両から降りた後に利用できるように、休憩施設のトイレ、飲食店街などの建物へ移動するための車両が運行されると、休憩施設の利用者の利便性が向上する可能性がある。
【0003】
ところで、定められた経路または定められた範囲内を走行する車両を、利用者の要求に応じて配車する配車システムが近年注目されている。特許文献1には、過疎地および郊外ニュータウンなどにオンデマンド交通に適用が期待される技術として、利用者の携帯端末からの配車依頼に応じて乗客に車両を割当てる車両運行管理装置が開示されている。特許文献1に記載の車両運行管理装置は、携帯端末を介して利用者から乗車希望時刻と乗車希望地点と降車希望地点とを含む乗車要求を受け付けると、利用者に当該利用者を搬送するための車両を割当て、割当てた車両を乗車要求に従って配車するように運行スケジュールを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-117691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有料道路の休憩施設は、日時によっては非常に混雑することがある。有料道路には、一般に上りと下りとのそれぞれに休憩施設が設けられるが、上りの休憩施設は混雑しているが下りの休憩施設は空いている、または下りの休憩施設は混雑しているが上りの休憩施設は空いているといったように、上りと下りとで混雑状況が異なる場合がある。このように、有料道路の休憩施設は、一部施設が混雑している一方で施設が有効に利用されていないことがあった。また、混雑により休憩施設における利用者の待ち時間が増加し、利用者の利便性を損なうことがあった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、有料道路の休憩施設を有効に活用し、施設の混雑を緩和することができる搬送車両の管制システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる管制システムは、有料道路における同一地点に対応して上り車線と下り車線とにそれぞれ設けられた2つの休憩施設の混雑状況を示す混雑情報を取得する混雑情報取得部と、取得した混雑情報を用いて、2つの休憩施設のうちの一方である駐車施設に駐車される車両に乗車する利用者を搬送可能な搬送車両を駐車施設から2つの休憩施設のうちの他方である反対車線側施設へ走行させる走行予定を含む配車計画を決定する配車計画決定部を備え、配車計画決定部は、混雑情報を用いて駐車施設が混雑していると判断した場合に、搬送車両を駐車施設から反対車線側施設へ走行させるように搬送車両の走行予定を決定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる管制システムは、有料道路の休憩施設を有効に活用し、施設の混雑を緩和することができるという効果を奏する。また、混雑していない休憩施設に利用者を誘導することができるため、休憩施設における利用者の待ち時間を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる配車システムの構成例を示す図
図2】実施の形態1の上り施設および下り施設の一例を示す図
図3】実施の形態1における利用情報の一例を示す図
図4】実施の形態1における各駐車区画に対応する位置に停車可能な走行経路の一例を示す図
図5】実施の形態1の混雑情報の一例を示す図
図6】実施の形態1の飲食店街に含まれる店舗の一例を示す図
図7】実施の形態1の施設情報の一例を示す図
図8】実施の形態1の搬送車両情報の一例を示す図
図9】実施の形態1の配車計画の一例を示す図
図10】実施の形態1の配車システムにおける動作の一例を示すシーケンス図
図11】実施の形態1の配車計画の作成処理の一例を示すフローチャート
図12】利用情報を用いない場合の実施の形態1における配車計画の作成処理の一例を示すフローチャート
図13】実施の形態1の複数の建物が設けられる上り施設の一例を示す図
図14】実施の形態1の管制システムを実現するコンピュータシステムの構成例を示す図
図15】実施の形態2にかかる配車システムの構成例を示す図
図16】実施の形態2の利用情報の一例を示す図
図17】実施の形態2の搬送車両情報の一例を示す図
図18】実施の形態2の施設情報の一例を示す図
図19】実施の形態2の配車計画の作成処理の一例を示すフローチャート
図20】実施の形態2の優先情報記憶部に格納される対応情報の一例を示す図
図21】実施の形態2の優先情報の一例を示す図
図22】実施の形態2の優先情報の別の一例を示す図
図23】優先度を用いる場合の実施の形態2の配車計画の作成処理の一例を示すフローチャート
図24】実施の形態3にかかる配車システムの構成例を示す図
図25】実施の形態3の休憩施設における駐車場の空情報の表示画面の一例を示す図
図26】実施の形態3の配車計画の作成処理の一例を示すフローチャート
図27】実施の形態3の配車計画の再作成に関するフローチャート
図28】実施の形態4にかかる配車システムの構成例を示す図
図29】実施の形態4の配車規則の一例を示す図
図30】実施の形態4の配車計画の作成処理の一例を示すフローチャート
図31】実施の形態5にかかる配車システムの構成例を示す図
図32】実施の形態5の待機場所の決定処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態にかかる管制システム、配車システム、車両、配車計画作成方法およびコンピュータプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる配車システムの構成例を示す図である。本実施の形態の配車システム2は、管制システム1と、施設管理システム6とを含む。管制システム1は、搬送車両7の配車を管理する。搬送車両7は、有料道路に設けられた休憩施設に車両を駐車した利用者を、施設内の目的地へ搬送可能な車両である。休憩施設は、例えば、サービスエリア、パーキングエリアなどの休憩施設であり、駐車場を備える。休憩施設は、例えば、有料道路における同一地点に対応して上り車線と下り車線とにそれぞれ設けられる施設であり、例えば、上下線同一地点に存在する同じ名称の休憩施設である。以下、利用者を乗せて有料道路を走行し休憩施設に到着する車両を、搬送車両7と区別するために一般車両とも呼ぶ。
【0012】
施設管理システム6は、上り施設および下り施設の混雑状況を管理する。管制システム1は、例えば、携帯端末3、車両搭載端末4および停留所端末5のうちの少なくとも1つである利用者端末から、搬送車両7の利用に関する利用者の要求を示す情報である利用情報を受信する。利用者端末は、利用者が操作可能な端末である。図1では、携帯端末3、車両搭載端末4および停留所端末5を1つずつ図示しているが、携帯端末3、車両搭載端末4および停留所端末5のそれぞれの数は1つに限定されない。施設管理システム6は、利用情報と施設管理システム6から取得した各休憩施設の混雑状況とを用いて、利用者に搬送車両7を割当て、搬送車両7の走行予定を含む配車計画を作成する。なお、利用者が搬送車両7を利用する際の料金は無料であってもよいし有料であってもよい。有料である場合の料金の決定方法および料金の徴収方法に特に制約はなく、どのような方法が用いられてもよい。
【0013】
搬送車両7は、上り施設内を走行するとともに、上り施設から下り施設へ走行することが可能である。同様に、搬送車両7は、下り施設内を走行するとともに、下り施設から上り施設へ走行することが可能である。搬送車両7が走行する上り施設と下り施設との間の経路は、搬送車両7の走行のために専用に設けられた通路であってもよいし、上り施設と下り施設との間で往来が可能なように設けられた既存の専用通路であってもよい。また、搬送車両7が走行する上り施設と下り施設との間の経路に一般道が含まれていてもよい。
【0014】
図2は、本実施の形態の上り施設および下り施設の一例を示す図である。図2に示した例では、有料道路の上り車線201に上り施設8が設けられ、有料道路の下り車線202に下り施設9が設けられている。上り施設8は、一般車両の駐車が可能な駐車場81と、トイレ83-1~83-3と、飲食店街84とを備えている。トイレ83-1~83-3および飲食店街84は建物内に設けられている。また、駐車場81には、大型車用の駐車区画85と、普通車用の駐車区画86とがそれぞれ複数設けられている。下り施設9も、上り施設8と同様に、一般車両の駐車が可能な駐車場91と、トイレ93-1~93-3と、飲食店街94とを備えている。トイレ93-1~93-3および飲食店街94は建物内に設けられている。駐車場91には、大型車用の駐車区画95と、普通車用の駐車区画96とがそれぞれ複数設けられている。なお、図2に示した例では、上り施設8と下り施設9とがほぼ同様の構成となっているが、上り施設8と下り施設9とで構成が異なっていてもよい。
【0015】
図2に示した例では、搬送車両7は、破線で示した走行経路300を走行することが可能であり、走行経路300には、停留所が上り施設8および下り施設9のそれぞれに4か所ずつ設けられている。なお、搬送車両7は、管制システム1から通知された走行予定に含まれる出発地から目的地を走行する。このため、搬送車両7は、走行経路300の全てを走行する必要はなく、一方通行等駐車場内の走行規制の範囲で、走行経路300のうち少なくとも一部を走行する。各停留所には、停留所端末5-1~5-8がそれぞれ設けられている。停留所端末5-1~5-8は、それぞれが図1に示した停留所端末5である。なお、搬送車両7が走行する走行経路は図2に示した走行経路300に限定されず、停留所の数も図2に示した例に限定されない。
【0016】
図2に示すように、搬送車両7は、上り施設8および下り施設9のそれぞれの施設内を走行可能であるとともに、上り施設8から下り施設9へ移動することも可能であり、下り施設9から上り施設8へ移動することも可能である。
【0017】
図1の説明に戻る。携帯端末3は、スマートフォン、タブレットなどの利用者によって携帯される端末である。車両搭載端末4は、一般車両に搭載される端末である。停留所端末5は、搬送車両7が停車する停留所に設置される端末である。携帯端末3、車両搭載端末4および停留所端末5は、いずれも利用者から利用情報の入力を受け付ける利用者端末であり、搬送車両7を予約する処理を実施することが可能である。図1では、携帯端末3、車両搭載端末4および停留所端末5の3種類の利用者端末が図示されているが、これらのうち少なくとも1種類が用いられればよく、3種類の全てが用いられなくてもよい。
【0018】
図1に示すように、携帯端末3は、通信部31、入力受付部32、位置取得部33、利用情報生成部34および情報表示部35を備える。通信部31は、ネットワークを介して、管制システム1と通信を行う。このネットワークは、例えば、携帯電話網、インターネットなどを含むが、これらに限定されずどのようなネットワークであってもよい。入力受付部32は、利用者からの入力操作を受け付け、入力操作に応じた入力情報を利用情報生成部34へ出力する。位置取得部33は、携帯端末3の位置を検出し、検出した位置を示す位置情報を利用情報生成部34へ出力する。位置取得部33は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機などを用いて現在位置を取得する。利用情報生成部34は、入力受付部32から受け取った入力情報に基づいて利用情報を生成し、生成した利用情報を通信部31へ出力する。なお、携帯端末3は、搬送車両7を予約する処理のためのアプリケーションソフトウェアがイントールされることで、搬送車両7を予約する処理を実施してもよいし、管制システム1がWebサーバとしての機能を有し、携帯端末3がWebサイトにアクセスすることで搬送車両7を予約する処理を実施してもよい。
【0019】
図3は、本実施の形態における利用情報の一例を示す図である。図3に示した例では、利用情報は、利用者が搬送車両7への乗車を希望する位置である希望乗車位置と、利用者が搬送車両7への乗車を希望する時刻である乗車希望時刻と、利用者が休憩施設を利用する目的と、乗車人数と、を含む。利用者からの利用情報に含まれる各情報の入力を受け付ける際には、情報表示部35は、例えば、図3の左側に示した各項目の入力を受け付ける入力画面を表示し、右側が入力欄となり、利用者が入力欄に各項目の情報を入力してもよい。この入力画面は、上述したアプリケーションソフトウェアによりまたはWebサイトへのアクセスにより情報表示部35が表示する。
【0020】
希望乗車位置は、休憩施設における停留所を示す情報であってもよいし、利用者が一般車両を駐車した位置を示す情報であってもよい。ここでは、利用者が、休憩施設に到着して休憩施設の駐車場(図2の例の場合には、駐車場81または駐車場91)に一般車両を駐車した後に、利用者が携帯端末3を操作することで携帯端末3が利用情報を送信することとする。例えば、管制システム1が携帯端末3へ休憩施設内の停留所の位置を含む休憩施設の地図を送信し、携帯端末3の通信部31が受信した地図を情報表示部35へ出力し情報表示部35が地図を表示し、利用者が、地図を確認して現在位置である駐車位置に近い停留所を選択して、選択した停留所を示す識別情報を希望乗車位置として入力してもよい。または、駐車場内に停留所の位置を示す地図が表示され、利用者が、地図を確認して現在位置である駐車位置に近い停留所を選択して、選択した停留所を示す識別情報を希望乗車位置として入力してもよい。または、駐車場があらかじめ複数のエリアに分割され、駐車場内でエリアを示す情報が表示されることで、利用者が一般車両を駐車したエリアを示す情報を希望乗車位置として入力してもよい。この場合、管制システム1は、各エリアと最寄りの停留所との対応を保持し、保持している対応を用いて、希望乗車位置に対応する停留所を求めることができる。なお、このように、利用者が、希望乗車位置を入力する場合は、位置取得部33は位置情報を利用情報生成部34へ出力しなくてもよい。また、この場合、携帯端末3は位置取得部33を備えていなくてもよい。
【0021】
また、搬送車両7が一方通行等駐車場内の走行規制の範囲で駐車場内部も走行するように走行経路を決定しておき、停留所を駐車場の各駐車区画に対応する位置としてもよい。この場合、例えば、走行経路における各駐車区画に近い位置が乗車位置となる。例えば、駐車区画と走行経路における乗車位置との対応をあらかじめ定めておくことで、駐車区画に対応する乗車位置が決定される。図4は、停留所が設けられない場合の走行経路の一例を示す図である。図4に示した走行経路301において、各駐車区画に対応する停車位置として定めておき、利用情報生成部34が駐車区画と停車位置との対応を示す駐車位置対応情報を保持しておく。利用情報生成部34は、利用情報における希望乗車位置として駐車区画が指定されると、駐車区画に対応する乗車位置を駐車位置対応情報に基づいて算出する。図4に示した例では、例えば、駐車区画861に対応する停車位置は位置863であり、駐車区画862に対応する停車位置も位置863である。この場合、各停留所に停留所端末5を備えなくてよい。例えば、駐車場における各駐車区画に識別情報が付与され、利用者がこの識別情報を確認し、確認した識別情報を希望乗車位置として入力してもよい。また、希望乗車位置として携帯端末3の位置が用いられてもよい。この場合、利用情報生成部34は、位置取得部33から入力された位置情報を、希望乗車位置として用いて利用情報を生成し、管制システム1は、駐車場における各駐車区画の位置を示す区画位置情報をあらかじめ保持し、区画位置情報と携帯端末3の位置情報とを用いて駐車された駐車区画を識別する。
【0022】
図3の説明に戻る。乗車希望時刻に関しては、利用者が乗車希望時刻を入力してもよいし、利用情報生成部34が現在時刻を乗車希望時刻として設定してもよい。目的は、利用者によって入力される。目的は、例えば、トイレの利用および食事のいずれかである。目的は、例えば、入力画面に選択肢が示され、利用者が選択肢から選択してもよい。また、目的は、食事がさらに細分化され、和食、洋食、ラーメン、軽食などといったように飲食店の種類が指定されてもよい。また、トイレおよび食事以外の例えば買い物などといった目的も選択できるようにしてもよい。
【0023】
なお、ここでは、管制システム1が、1つの地点のサービスエリアの上り施設および下り施設の1組の休憩施設の搬送車両7の配車計画を作成する例を説明するが、これに限らず、Hサービスエリア、FサービスエリアおよびGパーキングエリアなどのように、複数の地点の休憩施設に関して、地点ごとに、すなわち同一名称のサービスエリアごとに、本実施の形態の搬送車両7の配車計画を作成してもよい。この場合、1つの地点に対応する配車計画が本実施の形態で述べる方法で作成され、この処理が各地点のサービスエリアごとに実施されることで、複数の地点のサービスエリアに関する搬送車両7の配車計画がそれぞれ作成される。管制システム1が、複数の地点のサービスエリアに関する搬送車両7の配車計画を作成する場合には、利用情報に、利用者が利用を希望する休憩施設の識別情報が含まれていてもよい。なお、休憩施設の識別情報には、上り施設であるか下り施設であるかを示す情報も含まれる。または、停留所の識別情報が、施設の識別情報を含んでいてもよい。すなわち、停留所の識別情報が管理対象の休憩施設間で重複しないように付与されていてもよい。また、利用情報における希望乗車位置として携帯端末3の位置情報が含まれる場合には、管制システム1が位置情報を用いて、利用情報に対応する一般車両が駐車された設備を判定してもよい。
【0024】
図1の説明に戻る。車両搭載端末4は、通信部41、入力受付部42、位置取得部43、利用情報生成部44および情報表示部45を備える。車両搭載端末4は、カーナビゲーションシステムまたは自動運転システムの一部であってもよいし、これらとは別の端末であってもよい。通信部41、入力受付部42、位置取得部43、利用情報生成部44および情報表示部45の機能は、携帯端末3の通信部31、入力受付部32、位置取得部33、利用情報生成部34および情報表示部35のそれぞれの機能と同様であるため重複する説明を省略する。
【0025】
停留所端末5は、通信部51、入力受付部52、利用情報生成部53および情報表示部54を備える。通信部51、入力受付部52、利用情報生成部53および情報表示部54の機能は、携帯端末3の通信部31、入力受付部32、利用情報生成部34および情報表示部35のそれぞれの機能と同様であるため重複する説明を省略する。ただし、停留所端末5の位置が固定されているため、利用情報生成部53は、利用情報内の希望乗車位置としてあらかじめ定められた自身の識別情報(停留所の識別情報)を格納する。なお、停留所端末5は他の停留所端末5を希望乗車位置とする予約を受け付けるようにしてもよく、この場合には、例えば、入力画面において、希望乗車位置に自身の識別情報が初期値として表示され、利用者の入力操作によって初期値から変更できるようにしてもよい。また、ここでは、停留所端末5の位置が固定されている例を説明するが、停留所端末5の位置が変更されてもよい。この場合、停留所端末5に位置取得部が設けられていてもよいし、変更のたびに、施設管理システム6に停留所端末5の位置が設定されてもよい。
【0026】
施設管理システム6は、混雑情報送信部61および混雑管理部62を備える。混雑管理部62は、休憩施設における混雑状況を取得し、取得した混雑状況を示す混雑情報を混雑情報送信部61に出力する。混雑情報は、休憩施設内の設備ごとの混雑状況を含むものであってもよいし、休憩施設単位での混雑状況を含むものであってもよい。混雑管理部62は、例えば、監視カメラの画像を取得し、画像を用いて混雑状況を求めてもよいし、休憩施設の管理者から混雑状況の入力を受け付けることで混雑情報を取得してもよい。また、各個別トイレに使用中であるか否かを検出するセンサが設けられている場合には、混雑管理部62は、センサの検出結果を取得してもよい。混雑情報送信部61は、混雑情報を、ネットワークを介して管制システム1へ送信する。このネットワークは、専用回線であってもよいし、インターネット、携帯電話網などであってもよい。施設管理システム6は、混雑情報を、例えば、定期的に管制システム1へ送信してもよいし、混雑情報が変化したときに、管制システム1へ送信してもよい。
【0027】
図5は、本実施の形態の混雑情報の一例を示す図である。図5に示すように、混雑情報は、例えば、トイレ、飲食店街といった設備ごとの混雑状況を含む。図5に示した例では、図2に例示したように上り施設8がトイレ83-1~83-3の3つのトイレと1つの飲食店街84とを備え、下り施設9がトイレ93-1~93-3の3つのトイレと1つの飲食店街94とを備える例を示している。トイレ83-1~83-3は、それぞれ図5における上り施設のトイレ#1~#3に対応し、トイレ93-1~93-3は、それぞれ図5における下り施設のトイレ#1~#3に対応する。なお、トイレ83-1~83-3,93-1~93-3は、1つ以上の個別トイレが設けられたトイレスペースであるとする。図5に示した例では、混雑状況を、混雑、普通、空き(空いている状態)の3段階で表しているが、混雑状況はこれに限らず、混雑しているか否かの2段階で示されてもよく、4段階以上で示されていてもよい。例えば、トイレであれば、待ち人数が2人以上の場合に混雑、待ち人数が1人以下であり空いている個別トイレの数が全個別トイレの30%未満の場合に普通、空いている全個別トイレが30%以下の場合には空き、といったようにあらかじめ混雑状況を定義しておく。飲食店街も同様であり、空席の比率、待ち人数などに応じて混雑状況が算出される。
【0028】
図5に示した例では、休憩施設は、それぞれトイレ、飲食店街といった複数の設備を備え、混雑情報は、設備ごとの混雑状況を示す情報を含むが、これに限らず、混雑情報は、飲食店街の店舗ごとの混雑状況を含んでもよい。図6は、本実施の形態の飲食店街に含まれる店舗の一例を示す図である。図6では、図2に示した上り施設8の飲食店街84を構成する店舗の一例を示している。混雑情報として、例えば図6に示した店舗ごとの混雑状況を含めておくと、利用情報における目的として、飲食店の種類まで指定される場合に、管制システム1は各店舗の混雑情報に基づいて利用者の目的設備となる店舗を選択することができる。
【0029】
また、混雑情報は、上り施設8、下り施設9といった施設単位の混雑状況であってもよい。この場合には、駐車場の混雑状況により休憩施設単位の混雑状況が判断されてもよい。
【0030】
図1の説明に戻る。管制システム1は、混雑情報取得部11、利用情報取得部12、配車計画決定部13、車両通信部14、施設情報記憶部15、搬送車両情報記憶部16および配車計画記憶部17を備える。
【0031】
混雑情報取得部11は、施設管理システム6から、ネットワークを介して休憩施設の混雑状況を示す混雑情報を受信することで、混雑情報を取得し、取得した混雑情報を配車計画決定部13へ出力する。
【0032】
施設情報記憶部15は、休憩施設内の各設備に関する情報を示す施設情報を記憶する。図7は、本実施の形態の施設情報の一例を示す図である。図7に示した例では、図5に示した例と同様に、図2に例示したように上り施設8がトイレ83-1~83-3の3つのトイレと1つの飲食店街84とを備え、下り施設9がトイレ93-1~93-3の3つのトイレと1つの飲食店街94とを備える例を示している。図7に示すように、施設情報は、各設備と当該設備の位置(設備の出入口の位置)とを含む。図7に示した例では、設備の位置は、停留所の単位ですなわち最寄りの停留所の識別情報で示されている。これに限らず、設備の位置は、座標(出入口の座標)などで示されてもよい。この場合、施設情報記憶部15は、各停留所の位置(座標)を示す停留所位置情報を記憶する。停留所位置情報と施設情報とを用いると、各設備に対応する停留所を求めることができる。各設備に対応する停留所は例えば、各設備の最寄りの停留所である。
【0033】
また、図6を用いて説明したように、店舗ごとの混雑状況を管理する場合には、設備情報も、店舗ごとの情報を含む。図6に示した例では、飲食店街84への出入口として、出入口87-1,87-2の2か所が設けられており、飲食店街84にラーメン店88-1,88-2の2つのラーメン店が含まれている。ラーメン店88-1の最寄りの出入口は出入口87-1であり、出入口87-1の最寄りの停留所は、停留所端末5-4が設置される停留所#4である。ラーメン店88-2の最寄りの出入口は出入口87-2であり、出入口87-2の最寄りの停留所は、停留所端末5-3が設置される停留所#3である。このように、各店舗に対応する停留所を定めておくことができ、例えば、施設情報は、各店舗に対応する位置として、対応する停留所を示す情報が格納される。または、各店舗に対応する出入口の座標が施設情報における位置として格納されてもよい。管制システム1は、ラーメン店88-1,88-2のうち空いている方の店舗を目的地として利用者に提案し、利用者が提案情報を受け入れた場合に、空いている店舗に対応する停留所に利用者を搬送するように配車計画を決定することができる。
【0034】
搬送車両情報記憶部16は、搬送車両情報を記憶する。図8は、本実施の形態の搬送車両情報の一例を示す図である。図8に示すように、搬送車両情報は、搬送車両7ごとの最大乗車人数を含む。搬送車両情報は、さらに、搬送車両7の蓄電池の残量、燃料残量、走行可能距離などを含んでいてもよい。蓄電池の残量は、搬送車両7から取得されるたびに更新される。
【0035】
利用情報取得部12は、携帯端末3、車両搭載端末4および停留所端末5のうちの少なくとも1つである利用者端末から、ネットワークを介して利用情報を受信することで、利用情報を取得し、取得した利用情報を配車計画決定部13へ出力する。
【0036】
配車計画決定部13は、休憩施設の混雑状況を示す混雑情報を用いて、上り車線および下り車線の2つの休憩施設うちの一方である駐車施設に駐車される車両(一般車両)に乗車する利用者を搬送可能な搬送車両7を、駐車施設から2つの休憩施設のうちの他方である反対車線側施設へ走行させる走行予定を含む配車計画を決定する。詳細には、まず、配車計画決定部13は、利用情報における目的と混雑情報とに基づいて、利用者を搬送する目的地を決定する。具体的には、配車計画決定部13は目的に合致する設備の候補を決定し、設備の候補のうち混雑していない設備があれば、混雑していない設備を利用者の目的設備に決定し、利用者の目的設備に対応する停留所を目的地(搬送車両7の目的地)として決定する。
【0037】
そして、配車計画決定部13は、決定した目的地と利用情報と施設情報記憶部15に記憶されている施設情報と搬送車両7の現在位置と搬送車両情報記憶部16に記憶されている搬送車両情報と配車計画記憶部17に記憶されている配車計画とを用いて、利用情報に対応する利用者に割当てる搬送車両7を決定し、当該搬送車両7の走行予定を決定する。配車計画決定部13は、決定した走行予定を用いて配車計画を決定し、決定した配車計画を配車計画記憶部17に格納する。配車計画記憶部17は、配車計画を記憶する。配車計画は、全搬送車両7の走行予定を含む。また、配車計画決定部13は、走行予定を車両通信部14へ出力する。車両通信部14は、走行予定を、ネットワークを介して、対応する搬送車両7へ送信する。配車計画決定部13の動作の詳細については後述する。このネットワークは、専用回線であってもよいし、携帯電話網、インターネットなどであってもよい。また、車両通信部14は、搬送車両7から現在位置を取得する。また、車両通信部14は、搬送車両7が電気自動車である場合、搬送車両7から蓄電池の残量を受信してもよい。
【0038】
図9は、本実施の形態の配車計画の一例を示す図である。図9に示すように、配車計画は、例えば、搬送車両7ごとの乗車予定時刻(出発予定時刻)、乗車位置(出発地)、到着予定時刻、目的地および空席情報を含む。配車計画における各行は、各搬送車両7の1回の運行における走行予定を示す。目的地は、上述したように、利用情報における目的と混雑情報とに基づいて決定される。乗車予定時刻は、利用情報における乗車希望時刻に応じて決定され、乗車位置(出発地)は、利用情報における希望乗車位置に応じて決定される。図9に示した例では、図2に示した停留所端末5-1~5-8に対応する停留所の識別情報をそれぞれ停留所#1~#8として示している。例えば、搬送車両7の1つである車両#1は、上り施設8に一般車両を駐車した利用者を上り施設8内の停留所#1から上り施設8内の停留所#3まで搬送する予定である。この車両#1の走行予定の作成時には、上り施設8内のトイレのうちトイレ#2(トイレ83-2)は混雑しておらず、利用者はトイレ#2(トイレ83-2)に対応する停留所#3に搬送される。また、搬送車両7の1つである車両#2は、上り施設8に一般車両を駐車した利用者を上り施設8内の停留所#2から下り施設9内の停留所#8まで搬送する予定である。この車両#2の走行予定の作成時には、上り施設8内の全てのトイレが混雑しかつ下り施設9は混雑しておらずトイレ#3(トイレ93-3)が空いているため、利用者は下り施設9のトイレ#3に搬送される。このように、本実施の形態では、利用者が一般車両を駐車した休憩施設の設備が混雑し反対車線側の休憩施設の設備が空いている場合には、反対車線側の休憩施設に利用者を搬送するように走行予定が決定される。このように、配車計画決定部13は、混雑情報を用いて利用者が一般車両を駐車した休憩施設が混雑していると判断した場合に、搬送車両7を当該休憩施設から反対車線の休憩施設へ走行させるように搬送車両7の走行予定を決定することができる。
【0039】
また、図9に示した空席情報は、各搬送車両7の最大乗車人数から配車計画において乗車することが計画されている人数を減算した空席の数を示す情報である。例えば、図9に示した例では、車両#2の搬送車両7の最大乗車人数が8人であり、図9の2行目に示した走行予定において乗車予定の人数が5人である場合、空席の数が3となる。図9に示した例では、区間によらず空席の数が一定であるため、1つの数値が記載されているが、空席情報は、走行経路における区間ごとに示される。例えば、停留所#2から停留所#8までを走行する予定であり空席が3つの場合、停留所#2で3人が乗車する予定であり停留所#3が目的地として決定された利用情報が有る場合、停留所#2から停留所#8までを走行する予定の搬送車両7に、当該利用情報に対応する利用者を乗車させることが可能である。この場合、配車計画決定部13は、当該利用情報に、停留所#2から停留所#8までを走行する予定の搬送車両7に、停留所#2から停留所#3乗車させるように走行予定を決定する。そして、配車計画決定部13は、配車計画における当該走行予定に対応する空席情報を、停留所#2-停留所#3の区間は空席無、停留所#3-停留所#8の区間を3停留所#8は3であることを示す情報に更新する。配車計画決定部13は、このように、空席情報を管理することで、搬送車両7において相乗りが行われる配車計画を作成するようにしてもよい。
【0040】
また、図6を用いて説明したように、混雑情報および施設情報が店舗ごとの情報を含み、利用情報における目的として飲食店の種類が指定される場合、配車計画決定部13は、目的に合致する種類の飲食店のなかから混雑していない店舗を、利用者の目的設備として決定することができる。例えば、利用情報において飲食店の種類としてラーメン店が指定され、利用者の一般車両が上り施設8に駐車された場合、ラーメン店88-1,88-2のうち空いている方の店舗に対応する停留所に利用者を搬送するように配車計画を決定することができる。また、下り施設9にもラーメン店があり、上り施設8のラーメン店88-1,88-2がいずれも混雑し、下り施設9のラーメン店が空いている場合には、配車計画決定部13は、下り施設9のラーメン店に対応する停留所に利用者を搬送するように配車計画を作成してもよい。
【0041】
図1の説明に戻る。搬送車両7は、通信部71、計画記憶部72、位置取得部73、車両制御部74および車両構成部品75を備える。ここでは、搬送車両7が自動運転車両である例を説明するが、搬送車両7は乗務員が運転する車両であってもよい。
【0042】
通信部71は、管制システム1から走行予定を受信し、受信した走行予定を計画記憶部72へ格納する。車両構成部品75は、エンジン、ブレーキ、変速機など搬送車両7に搭載される各種機器である。車両制御部74は、車両構成部品75を、人の操作を要せずに制御することが可能である。すなわち、車両制御部74は、自動運転のための制御を行う。車両制御部74は、計画記憶部72に記憶されている走行予定に基づいて搬送車両7の走行を制御する。搬送車両7が、乗務員が運転する車両である場合、管制システム1が乗務員向けの図示しない携帯端末に走行計画を送信し、携帯端末の画面に走行計画が表示されることで、乗務員に対して走行指示が行われてもよいし、搬送車両7内の図示しない表示部に走行計画が表示されることで、乗務員に対して走行指示が行われてもよい。
【0043】
位置取得部73は、搬送車両7の現在位置を取得し、取得した現在位置を通信部71へ出力する。位置取得部73は、例えば、GPS受信機などを用いて現在位置を取得する。通信部71は、現在位置を管制システム1へ送信する。また、通信部71は、搬送車両7の蓄電池の残量、燃料残量、残走行可能距離などを管制システム1へ送信してもよい。
【0044】
次に、本実施の形態の動作について説明する。図10は、本実施の形態の配車システムにおける動作の一例を示すシーケンス図である。図10では、利用者端末として携帯端末3が用いられる例を示すが、利用者端末として車両搭載端末4または停留所端末5が用いられる場合も同様の動作が行われる。利用者は、搬送車両7の予約を行うために、携帯端末3を操作する。これによって、図10に示すように、携帯端末3は、利用者からの入力を受け付ける(ステップS1)。詳細には、入力受付部32が、利用者からの入力を受け付け、受け付けた入力内容を示す入力情報を利用情報生成部34へ出力する。なお、入力される項目は、例えば、希望乗車位置と乗車希望時刻と目的と人数とを含むが、上述したように、乗車希望時刻は入力されずに現在時刻が用いられてもよい。
【0045】
携帯端末3は、利用情報を生成し(ステップS2)、生成した利用情報を管制システム1へ送信する(ステップS3)。詳細には、利用情報生成部34が入力受付部32から受け取った入力情報を用いて利用情報を生成し、生成した利用情報を通信部31へ出力する。通信部31は、利用情報生成部34から受け取った利用情報を管制システム1へ送信する。
【0046】
一方、施設管理システム6は、定期的または混雑情報に変化があった場合などに、混雑情報を管制システム1へ送信する(ステップS4)。詳細には、混雑管理部62は、休憩施設における混雑状況を取得し、取得した混雑状況を示す混雑情報を混雑情報送信部61に出力する。混雑情報送信部61は、混雑情報を管制システム1へ送信する。
【0047】
また、各搬送車両7は、現在位置を管制システム1へ送信する(ステップS5)。詳細には、位置取得部73が、例えば、定期的に搬送車両7の現在位置を取得し、取得した現在位置を通信部71へ出力する。通信部71は、位置取得部73から受け取った現在位置を管制システム1へ送信する。
【0048】
管制システム1は、利用情報を受信すると、配車計画を作成する(ステップS6)。配車計画の作成方法については後述する。管制システム1は、作成した配車計画のうち利用者に通知する情報を予約結果として携帯端末3へ送信する(ステップS7)。予約結果は、例えば、作成した配車計画のうち、ステップS3で受信した利用情報に対応する走行予定の乗車予定時刻、乗車位置、到着予定時刻および目的地である。
【0049】
なお、配車計画決定部13は、利用情報と混雑情報とに基づいて、利用者の目的設備を決定した後に、利用者の目的設備を反映した配車計画を作成する前に、利用情報取得部12に決定結果(利用者の目的設備)を出力し、利用情報取得部12が、利用情報の送信元の携帯端末3へ決定結果を送信することで、利用者の承認を求めるようにしてもよい。携帯端末3は、受信した決定結果を表示し、利用者は、表示された決定結果を確認し、決定された目的設備を承認するか否かを判断する。利用者は、判断結果、すなわち決定結果を承認するか否かの判断結果を携帯端末3へ入力し、携帯端末3は判断結果を管制システム1へ送信する。管制システム1は、受信した判断結果が決定結果を承認することを示す場合に、配車計画の作成処理を行う。受信した判断結果が決定結果を承認しないことを示す場合、管制システム1は、当該目的設備を除外して再度、目的設備を決定し、決定結果を携帯端末3へ送信する。管制システム1は、これらの処理を携帯端末3から決定結果を承認することを示す判断結果を受信するまで繰り返す。または、管制システム1は、混雑情報に基づいて目的設備の候補を複数選択し、選択した複数の目的設備を携帯端末3へ送信してもよい。利用者は、複数の目的設備のなかから目的設備を選択して携帯端末3へ選択結果を入力し、携帯端末3は選択結果を管制システム1へ送信する。管制システム1は、利用者に選択された目的設備を用いて配車計画を作成する。
【0050】
また、管制システム1は、搬送車両7に、配車計画のうち当該搬送車両7の走行予定を送信する(ステップS8)。以降、搬送車両7は、受信した走行予定に従って走行する。これらの動作によって、利用情報に応じた配車が実現される。
【0051】
次に、管制システム1における配車計画の作成処理、すなわち図10におけるステップS6の処理について説明する。図11は、本実施の形態の配車計画の作成処理の一例を示すフローチャートである。配車計画決定部13は、利用情報を用いて、利用する設備の候補を決定する(ステップS11)。具体的には、配車計画決定部13は、利用情報取得部12から受け取った利用情報における目的を用いて、目的に合致する設備を、利用者が利用する設備の候補として決定する。例えば、配車計画の作成の対象となる休憩施設が、図2に示した上り施設8および下り施設9である場合、利用情報における目的がトイレであれば、トイレ83-1~83-3,93-1~93-3が利用する設備の候補となる。また、目的が食事である場合には、飲食店街84,94が利用する設備の候補となる。上述したように、目的において飲食店の種類も指定される場合には、利用する設備の候補は店舗単位で決定される。
【0052】
次に、配車計画決定部13は、駐車施設内の設備の候補のうち混雑していない設備があるか否かを判断する(ステップS12)。詳細には、配車計画決定部13は、混雑情報取得部11から受け取った混雑情報から、ステップS11で決定した設備の候補のうち駐車施設内の設備の混雑状況を抽出し、抽出した混雑状況に基づいて混雑していない設備があるか否かを判断する。駐車施設とは、利用情報に対応する利用者が搬送車両7に乗車する施設である。例えば、配車計画の作成の対象となる休憩施設が、図2に示した上り施設8および下り施設9であり、利用者が上り施設8に一般車両を駐車した場合には、上り施設8から搬送車両7に乗車することになる。この場合、上り施設8が駐車施設である。また、駐車施設と反対車線側の休憩施設を反対車線側施設と呼ぶ。上り施設8が駐車施設である場合、反対車線側施設は下り施設9であり、下り施設9が駐車施設である場合、反対車線側施設は上り施設8である。
【0053】
駐車施設内の設備の候補のうち混雑していない設備がある場合(ステップS12 Yes)、配車計画決定部13は、駐車施設内で目的地を決定する(ステップS13)。詳細には、配車計画決定部13は、駐車施設内の設備の候補(利用する設備の候補として決定された設備)のうち混雑していない設備のなかから、利用者が利用する設備である目的設備を決定し、目的設備に対応する目的地を決定する。例えば、配車計画決定部13は、混雑情報を用いて、駐車施設内の設備の候補のうち混雑していない設備のなかから最も空いている設備を目的設備に決定する。配車計画決定部13は、最も空いている設備が複数存在する場合には、例えば、これらのなかから利用情報における希望乗車位置に最も近い設備を目的設備に決定してもよいし、ラウンドロビンなどあらかじめ定められた基準によりこれらのなかから目的設備を決定してもよい。配車計画決定部13は、施設情報記憶部15に記憶されている施設情報を参照し、決定した目的設備に対応する位置を目的地に決定する。
【0054】
次に、配車計画決定部13は、決定した目的地と利用情報と搬送車両情報と配車計画と各搬送車両7の現在位置とを用いて、利用情報に応じた搬送を行う搬送車両7を決定する(ステップS14)。
【0055】
詳細には、利用情報における希望乗車位置と決定した目的地とを用いて乗車希望位置から目的地までを搬送車両7が走行する際の所要時間を算出する。例えば、配車計画決定部13は、搬送車両7の走行経路における各停留所間の距離をあらかじめ定めておき、各停留所間の距離とあらかじめ定められた搬送車両7の平均速度とを用いて所要時間を算出する。配車計画決定部13は、利用情報における乗車希望時刻と所要時間とを用いて目的地への到着予定時間を算出する。そして、配車計画決定部13は、配車計画に基づいて、既に走行予定が定められている搬送車両7のうち、利用情報に対応する希望乗車位置から目的地までの区間を含む走行が予定されており、かつ当該区間の空席の数が利用情報における乗車人数以下であり、かつ当該希望乗車位置の到着予定時刻と利用情報における乗車希望時刻との差がしきい値以下の搬送車両7がある場合、当該搬送車両7に利用情報に対応する利用者を乗車させるようにすなわち相乗りを行うように配車計画を作成する。また、配車計画決定部13は、相乗り可能な搬送車両7が無い場合、配車計画および搬送車両情報に基づいて、当該乗車希望時刻から到着予定時間までの間に走行の予定がない搬送車両7を抽出する。配車計画決定部13は、搬送車両情報記憶部16に記憶されている搬送車両情報と利用情報における乗車人数とを用いて、抽出した搬送車両7のうち利用情報における乗車人数が乗車可能な搬送車両7を求める。配車計画決定部13は、求めた搬送車両7が複数ある場合には、これら複数の搬送車両7の現在位置に基づいて、利用情報に応じた搬送を行う搬送車両7を決定する。例えば、複数の搬送車両7のうち希望乗車位置に現在位置が最も近い搬送車両7を利用情報に応じた搬送を行う搬送車両7に決定する。また、例えば、乗車予定時刻が現在より一定時間以上先の場合には、配車計画に基づいて、複数の搬送車両7のうち希望乗車位置に現在位置が最も近い搬送車両7を利用情報に応じた搬送を行う搬送車両7に決定する。
【0056】
また、乗車希望時刻から到着予定時間までの間に走行の予定がない搬送車両7が存在しない場合、配車計画決定部13は、乗車希望時刻を一定時間遅い時間に更新し、同様の処理を行う。乗車希望時刻を一定時間遅い時間に更新しても、走行の予定がない搬送車両7が存在しない場合には、さらに乗車希望時刻を一定時間遅い時間に更新して、同様の処理を繰り返す。なお、乗車希望時刻を定められた時間以上遅くしても、走行の予定がない搬送車両7が存在しない場合には、配車計画決定部13は、搬送車両7の予約不可と判定し、予約不可である旨を、利用情報取得部12を介して、利用情報の送信元の利用者端末へ送信してもよい。
【0057】
なお、図9に示した配車計画には、各搬送車両7の走行予定が示されているが、各搬送車両7が使用されていない時間帯すなわち予定の無い時間帯も配車計画に示されていてもよい。例えば、配車計画において、搬送車両7ごとに、将来一定時間までのスケジュールが、走行予定のある時間帯と空き時間帯とがわかるように示されていてもよい。配車計画に、各搬送車両7の空き時間が示されていない場合には、配車計画決定部13は、配車計画と搬送車両情報とを参照することで、走行予定のない搬送車両7を把握することができる。また、配車計画決定部13は、搬送車両7を定められた走行経路をあらかじめ定められた時刻表に応じて巡回させるように計画を立てておき、利用情報と決定した目的地とに基づいて、対応する区間に空席のある搬送車両7に利用者を割当てるように配車計画を作成してもよい。また、この場合、利用情報に基づいて、利用者が多い場合いは走行させる便数を増やし、利用者が少ない場合には便数を減らしてもよい。以上述べた配車計画の作成方法は、一例であり、配車計画の作成方法は上述した例に限定されない。
【0058】
次に、配車計画決定部13は、決定した搬送車両7の走行予定を決定し、決定した走行予定を用いて配車計画を更新し(ステップS15)、処理を終了する。ステップS15では、詳細には、配車計画決定部13は、ステップS14までの処理で得られた乗車希望時刻、希望乗車位置、到着予定時刻および目的地を、それぞれ、ステップS14で決定した搬送車両7の走行予定における乗車予定時刻(出発予定時刻)、乗車位置(出発地)、到着予定時刻および目的地に決定する。そして、配車計画決定部13は、配車計画記憶部17に記憶されている配車計画に、決定した走行予定を追加することで配車計画を更新し、更新した配車計画を配車計画記憶部17に記憶する。
【0059】
また、ステップS12でNoと判定された場合、配車計画決定部13は、反対車線側施設内の設備の候補のうち混雑していない設備があるか否かを判断する(ステップS16)。詳細には、配車計画決定部13は、混雑情報取得部11から受け取った混雑情報から、ステップS11で決定した設備の候補のうち反対車線側施設内の設備の混雑状況を抽出し、抽出した混雑状況に基づいて混雑していない設備があるか否かを判断する。
【0060】
反対車線側施設内の設備の候補のうち混雑していない設備がある場合(ステップS16 Yes)、配車計画決定部13は、反対車線側施設内で目的地を決定し(ステップS17)、処理をステップS14へ進める。ステップS17は、詳細には、配車計画決定部13は、反対車線側施設設内の設備の候補(利用する設備の候補として決定された設備)のうち混雑していない設備のなかから、ステップS13と同様に、利用者が利用する設備である目的設備を決定し、目的設備に対応する目的地を決定する。
【0061】
ステップS16でNoと判定された場合、配車計画決定部13は、処理をステップS13へ進める。この場合のステップS13では、配車計画決定部13は、駐車施設内の混雑している、利用する設備の候補のなかから目的設備を決定する。ステップS16でNoとなる場合には、利用情報に対応する設備は、駐車施設および反対側施設の両方において混雑していることになるため、利用者に近い駐車施設内の設備を目的設備として決定してもよいし、他の設備と比較して混雑していない設備を目的設備として決定するようにしてもよい。
【0062】
上述したように、配車計画決定部13は、利用情報取得部12が取得した利用情報に含まれる目的を用いて利用者が利用する設備の候補を決定する。そして、配車計画決定部13は、混雑情報を用いて利用する設備の候補から利用情報に対応する設備である目的設備を選択し、選択した目的設備に基づいて利用情報に対応する搬送車両7の目的地を決定し、決定した目的地を用いて利用情報に割当てる搬送車両7の走行予定を決定する。また、配車計画決定部13は、駐車施設内の候補のうち混雑していない候補がある場合には、当該候補を目的設備として選択し、駐車施設内の候補が全て混雑しており反対車線側施設の利用する設備の候補のうち混雑していない候補がある場合に、当該候補を目的設備として選択する。また、配車計画決定部13は、利用情報に含まれる乗車人数と、搬送車両7ごとの最大乗車人数とに基づいて、利用情報に割当てる搬送車両7を決定する。
【0063】
なお、管制システム1が搬送車両7から蓄電池の残量を受信する場合には、配車計画決定部13は、搬送車両7の蓄電池の残量も考慮して配車計画を作成してもよい。また、この場合、配車計画決定部13は、蓄電池の残量と搬送車両7の走行予定とを用いて搬送車両7の充電予定についても決定し、充電期間についても配車計画に含めるようにしてもよい。
【0064】
以上のように、配車計画決定部13は、利用情報における目的に応じた目的地を、混雑状況に応じて決定する。これにより、配車計画決定部13は、休憩施設における混雑を緩和するように、休憩施設の利用者を搬送する搬送車両7の配車計画を決定することができる。また、混雑していない休憩施設に利用者を誘導することができるため、休憩施設における利用者の待ち時間を減少させることができる。
【0065】
特に、有料道路では、例えば、平日においては朝の時間帯に上り車線が混雑し夕方は下り車線が混雑し、休日においては朝の時間帯に下り車線が混雑し夕方は上り車線が混雑するといったように、上り車線と下り車線とで混雑している時間帯が異なる場合がある。また、連休の前半では下り車線が混雑し連休の後半では上り車線が混雑するといったように、上り車線と下り車線とで混雑している日が異なる場合がある。上り下りのそれぞれの車線に対応する休憩施設の混雑状況は、それぞれの車線の混雑状況にそれぞれに依存する。このため、上り施設8と下り施設9とのうち一方が混雑し他方が混雑していない時間帯がある。このような時間帯では、混雑している休憩施設の利用者を他方の休憩施設へ搬送することで、混雑を緩和することができる。
【0066】
なお、以上説明した例では、休憩施設の設備単位で混雑状況を管理したが、休憩施設単位の混雑状況と利用情報とを用いて搬送車両7の走行予定を決定してもよいし、休憩施設単位の混雑状況を用いて利用情報を用いずに搬送車両7の走行予定を決定してもよい。この場合、混雑情報は、上り施設8および下り施設9のそれぞれの混雑状況を含む。混雑状況は、各休憩施設の駐車場の混雑状況であってもよいし、駐車場の混雑状況と各設備の混雑状況との両方が考慮された混雑状況であってもよい。一般に、休憩施設が空いている場合には、利用者は一般車両をトイレ、飲食店街などの設備の近くに駐車することが多い。一方、休憩施設が混んでいる場合には、設備から遠い位置に駐車する一般車両が増加し、設備までの移動に搬送車両7を利用したい利用者が増加する。また、上り施設8が混雑して下り施設9が空いている場合には、上り施設8から下り施設9へ向かう搬送車両7を運行すると、利用者を空いている下り施設9へ誘導することができる。
【0067】
したがって、例えば、利用情報を用いずに、すなわち、予約を必要とせずに、搬送車両7を休憩施設単位の混雑状況に応じて、混雑の度合いが高いほど、運行便が増えるように配車計画を作成すると、休憩施設における混雑を緩和するように、休憩施設の利用者を搬送することができる。この場合、図10に示したステップS1,S2,S3,S7が実施されないことになる。例えば、搬送車両7が図2に破線で示した走行経路300を各停留所#1~#8で停車しながら巡回する運行便の数が、上り施設8の混雑の度合いが高いほど増えるように配車計画を作成する。例えば、混雑状況として混雑の度合いを複数段階で示し、各段階に応じて運行便の時間間隔を定めておいてもよい。
【0068】
また、利用情報を用いる場合に、利用情報に目的を含めなくてもよい。休憩施設を利用する目的は、一般に、トイレ、食事および買い物のうちのいずれかであるため、管制システム1は、利用情報を受信することで、利用者がトイレ、食事および買い物のうちのいずれかを目的としていると見做すことができる。したがって、例えば、搬送車両7の目的地となる停留所を、上り施設8および下り施設9の建物の近くの2か所としておき、配車計画決定部13は、この2か所のいずれかを目的地に決定してもよい。例えば、上り施設8に一般車両を駐車した利用者から利用情報を受信した場合に、配車計画決定部13は、上り施設8内が混雑していない場合には上り施設8の停留所を目的地とし、上り施設8内が全体として混雑し下り施設9が空いている場合には、利用情報に対応する目的地を下り施設9の停留所に決定してもよい。
【0069】
また、配車計画決定部13は、上り施設8および下り施設9のうちいずれか一方が混雑し他方が混雑していないときに、混雑している一方から混雑していない他方へ向かう運行便を運行するように配車計画を作成してもよい。例えば、上り施設8および下り施設9のうちいずれか一方が混雑し他方が混雑していないときに、図2における停留所#4と停留所#8との間を往復する便を運行するように配車計画を作成してもよい。上り施設8および下り施設9のうちいずれか一方が混雑しているときには、例えば、混雑している休憩施設内の停留所端末5またはサイネージなどに反対側車線の休憩施設が混雑していないことを示す情報を表示するとともに反対側車線への搬送車両7の乗り場の停留所の場所を表示することで、反対側車線への利用者の移動を促してもよい。なお、混雑している一方から混雑していない他方へ向かう運行便を運行する場合、上り施設8内および下り施設9内を周回する経路は設けられてもよいし設けられなくてもよい。すなわち、上り施設8内および下り施設9内で、停留所が複数設けられてもよいし1つの休憩施設に1つの停留所が設けられてもよい。
【0070】
図12は、利用情報を用いない場合の本実施の形態における配車計画の作成処理の一例を示すフローチャートである。配車計画決定部13は、例えば、定められた周期で、すなわち、定められた時間が経過するごとに、図12に示した処理を実施する。図12に示した例では、配車計画決定部13は、上り施設8が混雑しているか否かを判定する(ステップS21)。詳細には、配車計画決定部13は、混雑情報を用いて上り施設8が混雑しているか否かを判定する。上り施設8が混雑している場合(ステップS21 Yes)、下り施設9が混雑しているか否かを判定する(ステップS22)。下り施設9が混雑している場合(ステップS22 Yes)、配車計画決定部13は、処理を終了する。
【0071】
下り施設9が混雑していない場合(ステップS22 No)、すなわち、上り施設8が混雑しかつ下り施設9が混雑していない場合、配車計画決定部13は、配車計画および搬送車両7の現在位置を用いて、走行させる搬送車両7を決定する(ステップS23)。詳細には、配車計画決定部13は、配車計画記憶部17に記憶されている配車計画を参照し、一定時間内に走行予定がない搬送車両7のなかから、定められた出発地に現在位置が近い搬送車両7を、走行させる搬送車両7に決定する。定められた出発地は、混雑している休憩施設における定められた停留所である。ステップS21でYesとなりステップS22でNoとなる場合は、混雑している休憩施設は上り施設8であり、例えば上り施設8の停留所#4である。また、後述するステップS21でNoとなりステップS25でYesとなった場合にも、ステップS23が実施されるが、この場合は、混雑している休憩施設は下り施設9である。この場合、定められた出発地は下り施設9内の定められた停留所であり、例えば、停留所#8である。
【0072】
次に、配車計画決定部13は、決定した搬送車両7の走行予定を決定し、決定した走行予定を用いて配車計画を更新し(ステップS24)、処理を終了する。詳細には、配車計画決定部13は、決定した搬送車両7の現在位置から乗車予定時刻(出発予定時刻)を決定し、乗車予定時刻と所要時間とを用いて到着予定時刻を決定する。配車計画決定部13は、例えば、決定した搬送車両7の現在位置から出発地までに要する時間の推定値を、現在時刻に加え、さらに、利用者の乗車のための一定時間を加えた時刻を、乗車予定時刻とする。目的地は、混雑していない休憩施設の定められた停留所である。例えば、ステップS21でYesとなりステップS22でNoとなった場合には、混雑していない休憩施設は下り施設9であるため、目的地は、下り施設9の定められた停留所である。配車計画決定部13は、配車計画記憶部17に記憶されている配車計画に、決定した走行予定を追加することで配車計画を更新し、更新した配車計画を配車計画記憶部17に記憶する。
【0073】
ステップS21でNoの場合、配車計画決定部13は、下り施設9が混雑しているか否かを判定する(ステップS25)。下り施設9が混雑している場合(ステップS25 Yes)、すなわち、上り施設8が混雑しておらず下り施設9が混雑している場合、配車計画決定部13は、処理をステップS23へ進める。下り施設9が混雑していない場合(ステップS25 No)、配車計画決定部13は、処理を終了する。
【0074】
図12に示した処理を定められた周期で実施することで、管制システム1は、上り施設8および下り施設9のうちのうちいずれか一方が混雑し他方が混雑していないときに、混雑している一方から混雑していない他方へ向かう運行便を、定められた周期間隔で運行する配車計画を決定することができる。また、管制システム1は、上り施設8および下り施設9の両方が混雑していないとき、および上り施設8および下り施設9のいずれも混雑しているときには、搬送車両7を走行させないため効率的に搬送車両7を運行させることができる。なお、図12に示した例では、上り施設8内および下り施設9内を周回する経路の走行を考慮していないが、上り施設8と下り施設9との間を走行する経路とは別に、混雑している休憩施設内を周回する経路を走行する便を定期的に運行させてもよい。また、混雑していない場合にも休憩施設内を周回する経路を走行する便を運行し、運行間隔を休憩施設の混雑の度合いに応じて決定してもよい。例えば、混雑の度合いが高いほどすなわち混雑しているほど運行間隔を短くしてもよい。
【0075】
また、以上説明した例では、搬送車両7が上り施設8と下り施設9との間を移動したが、搬送車両7は、1つの休憩施設内で運行されてもよい。例えば、休憩施設が広く飲食店街も複数設けられている場合、または上下線で共通の休憩施設が設けられている場合などには、1つの休憩施設内で搬送車両7を運行させてもよい。
【0076】
図13は、本実施の形態の複数の建物が設けられる上り施設8の一例を示す図である。図13に示した例では、破線で示した走行経路302を搬送車両7が走行し、停留所端末5-1~5-7のそれぞれに対応する7つの停留所が設けられている。図13に示した例では、上り施設8には、トイレ83-1~83-3の3か所のトイレが設けられ、飲食店街84-1,84-2の2か所の飲食店街が設けられている。この場合、管制システム1は、混雑情報を用いて上り施設8内の各設備の混雑状況に応じて、利用情報における目的に応じた設備のうち混雑していない設備を目的設備に決定し、目的設備に対応する目的地を決定する。そして、管制システム1は、図11に示した例と同様に、ステップS14,S15を実施することで配車計画を決定することができる。このように、配車計画決定部13は、混雑情報を用いて、休憩施設に駐車される車両に乗車する利用者が利用する設備を決定し、決定した設備に対応する降車位置まで利用者を搬送するように搬送車両7を走行させる走行予定を含む配車計画を決定してもよい。
【0077】
次に、本実施の形態の管制システム1のハードウェア構成について説明する。本実施の形態の管制システム1は、コンピュータシステム上で、管制システム1における処理が記述されたコンピュータプログラムであるプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムが管制システム1として機能する。図14は、本実施の形態の管制システム1を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。図14に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
【0078】
図14において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、本実施の形態の管制システム1における処理が記述されたプログラムを実行する。なお、制御部101の一部が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用ハードウェアにより実現されてもよい。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムの使用者が、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、ディスプレイ、LCD(液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムの使用者に対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部106は、プリンタなどである。なお、図14は、一例であり、コンピュータシステムの構成は図14の例に限定されない。
【0079】
ここで、本実施の形態のプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、コンピュータプログラムが記憶部103にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部103から読み出されたプログラムが記憶部103の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムに従って、本実施の形態の管制システム1としての処理を実行する。
【0080】
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、管制システム1における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
【0081】
本実施の形態のコンピュータプログラムは、たとえば、コンピュータに、有料道路における同一地点に対応して上り車線と下り車線とにそれぞれ設けられた2つの休憩施設の混雑状況を示す混雑情報を取得するステップと、混雑情報を用いて、2つの休憩施設うちの一方である駐車施設に駐車される車両に乗車する利用者を搬送可能な搬送車両7を駐車施設から2つの休憩施設のうちの他方である反対車線側施設へ走行させる走行予定を含む配車計画を決定するステップとを実行させる。
【0082】
図1に示した配車計画決定部13は、図14に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図14に示した制御部101により実行されることにより実現される。図1に示した配車計画決定部13の実現には、図14に示した記憶部103も用いられる。図1に示した施設情報記憶部15および搬送車両情報記憶部16は、図14に示した記憶部103の一部である。図1に示した混雑情報取得部11、利用情報取得部12および車両通信部14は、図14に示した通信部105により実現される。混雑情報取得部11、利用情報取得部12および車両通信部14の実現には制御部101も用いられる。また、管制システム1は複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、管制システム1は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0083】
携帯端末3、車両搭載端末4および停留所端末5も、同様に、例えば、図14に示した構成のコンピュータシステムにより実現される。図1に示した利用情報生成部34,44,53は、制御部101によって実現される。利用情報生成部34,44,53の実現には、図14に示した記憶部103も用いられる。図1に示した通信部31,41,51は、図14に示した通信部105により実現される。通信部31,41,51の実現には、制御部101も用いられる。図1に示した入力受付部32,42,52は、図14に示した入力部102により実現される。図1に示した情報表示部35,45,54は、図14に示した表示部104により実現される。位置取得部33,43は、例えば、図示しないGPS受信機と制御部101によって実現される。
【0084】
施設管理システム6も、同様に、例えば、図14に示した構成のコンピュータシステムにより実現される。図1に示した混雑管理部62は、図14に示した通信部105および制御部101によって実現される。混雑管理部62の実現には、図14に示した記憶部103も用いられる。図1に示した混雑情報送信部61は、図14に示した通信部105により実現される。混雑情報送信部61の実現には、制御部101も用いられる。施設管理システム6は複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、施設管理システム6は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0085】
以上説明したように、本実施の形態の管制システム1は、有料道路における休憩施設の混雑情報に基づいて、休憩施設を利用するために休憩施設に一般車両を駐車した利用者を搬送する搬送車両7の配車計画を作成するようにした。このため、本実施の形態の管制システム1は、有料道路の休憩施設における混雑を緩和するように、搬送車両7の配車計画を決定することができる。また、混雑による休憩施設における利用者の待ち時間を抑制し、利用者の利便性を向上させることができる。
【0086】
実施の形態2.
図15は、実施の形態2にかかる配車システムの構成例を示す図である。図15に示したように、本実施の形態に配車システム2aは、管制システム1の代わりに管制システム1aを備える以外は、図1に示した配車システム2と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は図1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0087】
管制システム1aは、実施の形態1の配車計画決定部13の代わりに配車計画決定部13aを備え、優先情報記憶部18が追加される以外は、実施の形態1の管制システム1と同様である。ただし、本実施の形態では、施設情報記憶部15に格納される施設情報は付帯情報を含み、搬送車両情報記憶部16に記憶される搬送車両情報に各搬送車両7の付帯情報を含む。付帯情報は、車椅子に対応可、おむつ交換スペースあり、などといったように、利用者の属性に応じた機能を有しているか否かを示す情報である。本実施の形態では、管制システム1aは、利用情報における目的と利用者の属性とに応じて目的設備を決定するとともに、属性に応じた搬送車両7を利用者に割当てる。また、利用者の識別情報と属性情報との対応を管制システム1aが保持し、利用情報に利用者の識別情報を含めることで、管制システム1aが利用者の属性情報を把握できるようにしてもよい。また、管制システム1aは、さらに、利用者の属性情報に基づいて、配車の優先度を決定し、決定した優先度を用いて配車計画を作成する。利用者の属性を示す属性情報は、例えば、利用情報に含まれていてもよい。図15では、優先度に基づく配車計画を作成する場合の構成例を示しているが、優先度は考慮せずに属性に応じた設備および搬送車両7の割当てを行う場合には、図15に示した優先情報記憶部18は設けられなくてもよい。
【0088】
図16は、本実施の形態の利用情報の一例を示す図である。図16に示すように、本実施の形態の利用情報は、要求情報と、属性情報と、利用者の識別情報(利用者識別情報)である利用者ID(Identifier)とを含む。要求情報は、図3に示した利用情報と同様の情報と、利用者が利用を希望する休憩施設である駐車予定施設とを含む。本実施の形態では、利用者は休憩施設に到着する前に予約を行うため、利用者の現在位置からは希望する休憩施設を特定することができない場合がある。したがって、図16に示すように、要求情報に駐車予定施設を含めてもよい。利用者IDは、搬送車両7の予約を行うためのユーザ登録時に決定されるものであってもよいし、搬送車両7の予約を含む有料道路に関する総合的なサービスの利用のためのユーザ登録時に決定されるものであってもよい。なお、図16に示した例では、利用情報は利用者IDと属性情報との両方を含んでいるが、利用情報は利用者IDと属性情報とのうちいずれか一方を含まなくてもよい。
【0089】
図16に示した例では、属性情報として、車椅子の利用の有無、高齢者の乗車の有無、ペットの乗車の有無、乳幼児の乗車の有無が記載されている。また、車椅子を利用する場合には、属性情報に車椅子の台数を含めてもよい。なお、図16に示す属性情報は、一例であり、図16に示した項目のうち少なくとも1つが用いられてよく、また、図16に示した項目以外が属性情報として用いられてもよい。
【0090】
図17は、本実施の形態の搬送車両情報の一例を示す図である。本実施の形態の搬送車両情報は、図17に示すように、実施の形態1の搬送車両情報に付帯情報が追加されている。図17に示した例では、付帯情報において、車椅子での乗車の可否、ペットの乗車の可否、チャイルードシートの有無が示されている。
【0091】
図18は、本実施の形態の施設情報の一例を示す図である。本実施の形態の施設情報は、図18に示すように、実施の形態1の施設情報に付帯情報が追加されている。図18に示した例では、付帯情報において、上り施設8のトイレ#1およびトイレ#3と下り施設9のトイレ#1およびトイレ#3とが、車椅子に対応していることが示されている。付帯情報は、これに限らず、おむつ交換スペースがあるなど他の付帯設備を備えていることを示す情報を含んでいてもよい。
【0092】
次に、本実施の形態の動作について説明する。本実施の形態の配車システム2aにおける全体の動作は、ステップS6の配車計画の作成処理の内容が一部異なる以外は、図10のシーケンス図に示した動作と同様である。
【0093】
図19は、本実施の形態の配車計画の作成処理の一例を示すフローチャートである。図19に示すように、配車計画決定部13aは、要求情報と属性情報と設備付帯情報とを用いて、利用する設備の候補を決定する(ステップS31)。要求情報および属性情報は、上述したように、例えば利用情報に含まれている。設備付帯情報は、施設情報における各設備の付帯情報である。配車計画決定部13aは、詳細には、施設情報に含まれる設備のなかから、付帯情報を参照して利用者の属性情報に合致する設備を選択する。例えば、属性情報において車椅子を使用することが示されている場合には、配車計画決定部13aは、要求情報における目的に合致する設備のうち車椅子に対応する設備を抽出し、抽出した設備を利用する設備の候補とする。このように、配車計画決定部13aは、目的と、設備ごとの設備が属性に対応した付帯設備を有しているか否かを示す付帯情報と、属性情報とを用いて、利用する設備の候補を決定する。
【0094】
ステップS12,S13,S16,S17は実施の形態1と同様である。ステップS13で目的地が決定されると、配車計画決定部13aは、決定した目的地と要求情報と属性情報と搬送車両情報と配車計画と各搬送車両7の現在位置とを用いて、利用情報に応じた搬送を行う搬送車両7を決定する(ステップS32)。詳細には、配車計画決定部13aは、搬送車両情報の付帯情報を参照し、属性情報に合致する搬送車両7を抽出する。そして、配車計画決定部13aは、抽出した搬送車両7のなかから、決定した目的地と要求情報と搬送車両情報と配車計画と各搬送車両7の現在位置とを用いて実施の形態1のステップS14と同様に、利用情報に応じた搬送車両7を決定する。ステップS32の後のステップS15は実施の形態1と同様である。図19に示した処理により、管制システム1aは、利用者の属性に応じた目的地および搬送車両7を利用者に割当てることができる。
【0095】
さらに、管制システム1aは、属性情報に基づく利用者の優先度に応じて配車計画を作成してもよい。優先度に応じて配車計画を作成する場合には、優先情報記憶部18に優先度に関するポリシーを定めた優先情報があらかじめ格納される。ポリシーは、車椅子使用、高齢者といった利用情報に含まれる属性情報に基づいて優先度を決めるポリシーであってもよいし、特定の契約がある利用者などを優先するポリシーであってもよいし、休憩施設または有料道路の利用回数の多い利用者を優先するポリシーであってもよいし、これらを組み合わせたポリシーであってもよい。特定の契約は、例えば、料金を支払うことで搬送車両7を優先的に配車する契約である。
【0096】
特定の契約(以下、特定契約という)に基づいて優先度を決定する場合には、優先情報記憶部18に、利用者IDと特定契約の有無を示す情報との対応を示す対応情報が記憶される。また、休憩施設または有料道路の利用回数に基づいて優先度を決定する場合には、優先情報記憶部18に、利用者IDごとの利用回数が記憶される。特定契約の有無を示す情報も利用回数も属性情報の一例である。
【0097】
また、管制システム1aは、例えば、同じ店舗、設備内を細分化して、細分化した単位で混雑状況が含まれてもよい。例えば、混雑情報に、トイレの設備ごと、男女別、多機能トイレ、レストランのグループ席などの単位での混雑状況が含まれ、管制システム1aは、属性情報に応じた混雑状況を用いて目的地を決定してもよい。
【0098】
図20は、本実施の形態の優先情報記憶部18に格納される対応情報の一例を示す図である。図20に示した例では、対応情報に、利用者IDと特定契約の有無と利用回数とが含まれる。利用回数として休憩施設の利用回数が用いられる場合、例えば、各休憩施設に、利用者の利用を検出するための端末が設けられ、利用者が携帯端末3のアプリケーションソフトウェアを起動して携帯端末3を端末へタッチすることにより携帯端末3が休憩施設の利用を検出して利用者IDを携帯端末3から取得してもよい。または、利用者が搬送車両7の予約のためのアプリケーションソフトウェアを起動すると当該アプリケーションソフトウェアが携帯端末3の位置を検出することで休憩施設の利用を検出し、携帯端末3から休憩施設を利用したことを示す情報が管制システム1aへ送信されてもよい。管制システム1aは、上記の端末または携帯端末3から休憩施設を利用した利用者の利用者IDを取得することで利用者の休憩施設の利用が検出されるごとに、属性情報の利用回数を1回増加させる。また、有料道路の利用回数に基づいて優先度を決定する場合には、管制システム1aは、ETC(登録商標)(Electronic Toll Collection System)などの料金徴収システムから利用履歴を取得して利用回数を求めてもよい。図20には、属性情報として特定契約の有無と利用回数との両方が含まれているが、優先度の算出にいずれか一方を使用しない場合には、優先度の算出に使用しない項目は属性情報に含まれていなくてもよい。
【0099】
図21は、本実施の形態の優先情報の一例を示す図である。図21に示した例では、優先度を3段階で示している。図21に示した例では、乗車する利用者に、車椅子を使用する人が含まれる場合、および高齢者が含まれる場合に優先度を“1”とし、乳幼児が含まれる場合に優先度を“2”とし、これら以外の場合を優先度“3”としている。なお、ここでは、優先度の数値が小さいほど高優先であることを示すとする。なお、優先度は3段階に限らず何段階で設定されてもよく、また、図21は例示であり、優先度と属性との対応は、図21に示した例に限定されない。
【0100】
図22は、本実施の形態の優先情報の別の一例を示す図である。図22に示した例では、優先度を2段階で示している。図22に示した例では、乗車する利用者が特定契約のある利用者である場合に、優先度を“1”とし、それ以外を優先度“2”としている。
【0101】
図23は、優先度を用いる場合の本実施の形態の配車計画の作成処理の一例を示すフローチャートである。図19では1つの利用情報を受信した場合の処理を示しているが、優先度を用いる場合には、一定時間内に受信した1つ以上の利用情報に対してまとめて搬送車両7の割当て処理を行う。図23に示すように、配車計画決定部13aは、要求情報と属性情報と設備付帯情報とを用いて、利用する設備の候補を、利用情報ごとに決定する(ステップS34)。要求情報は、上述したように利用情報に含まれる。属性情報は、利用情報に含まれるものと優先情報記憶部18に記憶されているものとがある。ステップS34で用いられる属性情報は目的設備を決定するための属性情報であり、例えば図19に示した例と同様の属性情報が用いられる。また、例えば、飲食店街に特定契約のあるなどのように特定の条件を満たす利用者だけが利用できる設備が設けてある場合、特定の条件を満たす利用者に関して、この設備を利用する設備の候補として選択してもよい。すなわち、配車計画決定部13aは、上述した対応情報と利用情報における利用者IDとから取得される属性情報と設備付帯情報とを用いて、利用する設備の候補を決定してもよい。
【0102】
ステップS12,S13,S16,S17は実施の形態1と同様である。ステップS13で目的地が決定されると、配車計画決定部13aは、決定した目的地と要求情報と属性情報と搬送車両情報と配車計画と各搬送車両7の現在位置と優先情報とを用いて、利用情報に応じた搬送を行う搬送車両7を決定する(ステップS35)。詳細には、配車計画決定部13aは、搬送車両情報の付帯情報を参照し、属性情報に合致する搬送車両7を抽出する。そして、配車計画決定部13aは、優先情報を用いて、高優先の利用者に対応する利用情報から順に、抽出した搬送車両7のなかから、決定した目的地と要求情報と搬送車両情報と配車計画と各搬送車両7の現在位置とを用いて実施の形態1のステップS14と同様に、利用情報に応じた搬送車両7を決定する。これにより、高優先の利用者に対応する利用情報に優先して搬送車両7を割当てることができる。このように、配車計画決定部13aは、属性情報に基づいて、搬送車両7の割当てにおける優先度を決定してもよい。ステップS35の後のステップS15は実施の形態1と同様である。
【0103】
なお、配車計画決定部13aは、駐車位置と同じ側の休憩施設である駐車施設の建物までの距離が遠く、利用情報における属性情報において高齢者、足の不自由な利用者であることが示されており、かつ同じ側の休憩施設の建物へ搬送する走行経路が設けられていない場合に、駐車位置と同じ側の休憩施設が混雑しているか否かに関わらず、目的地を反対側施設に設定した配車計画を作成してもよい。すなわち、配車計画決定部13aは、利用者の属性を示す属性情報に基づいて、搬送車両7を駐車位置と同じ側の休憩施設である駐車施設から反対車線側施設へ走行させる走行予定を含む配車計画を作成してもよい。また、配車計画決定部13aは、例えば、配車計画決定部13aは、駐車位置から駐車施設内の設備までの距離である第1の距離が駐車位置から駐車施設内の停留所までの距離である第2の距離より長く、第1の距離と第2の距離との差がしきい値以上である場合に、駐車施設の混雑状況にかかわらず、利用者の属性を示す属性情報に基づいて、搬送車両7を駐車位置と同じ側の休憩施設である駐車施設から反対車線側施設へ走行させる走行予定を含む配車計画を作成してもよい。通常の休憩施設では、駐車場の混雑等により休憩施設から離れた場所に駐車せざるを得ない場合、駐車位置から休憩施設まで徒歩移動の距離が長くなり利用者の利便性を損なうことがあるが、本実施の形態では、利用者の属性を示す属性情報に基づいて、搬送車両7を駐車位置と同じ側の休憩施設である駐車施設から反対車線側施設へ走行させる走行予定を含む配車計画を作成することにより、利用者の利便性を向上させることができる。
【0104】
本実施の形態の管制システム1aも実施の形態1の管制システム1と同様にコンピュータシステムにより実現される。図15に示した配車計画決定部13aは、図14に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図14に示した制御部101により実行されることにより実現される。図15に示した配車計画決定部13aの実現には、図14に示した記憶部103も用いられる。図15に示した優先情報記憶部18は、図14に示した記憶部103の一部である。また、管制システム1aは複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、管制システム1aは、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0105】
以上説明したように、本実施の形態の管制システム1aは、有料道路における休憩施設の混雑情報に加えて利用者の属性情報に基づいて、休憩施設を利用するために休憩施設に一般車両を駐車した利用者を搬送する搬送車両7の配車計画を作成するようにした。このため、本実施の形態の管制システム1aは、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、利用者の属性に応じた配車を行うことができる。
【0106】
実施の形態3.
図24は、実施の形態3にかかる配車システムの構成例を示す図である。図24に示したように、本実施の形態に配車システム2bは、管制システム1の代わりに管制システム1bを備える以外は、図1に示した配車システム2と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は図1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0107】
本実施の形態の管制システム1bは、道路情報システム400から道路情報を取得する。道路情報は、有料道路の渋滞情報、気象情報などの有料道路の走行に影響する情報であり、例えば、有料道路の渋滞情報、工事情報、規制情報、プローブ情報および気象情報のうちの少なくとも1つを含む。プローブ情報は、プローブ交通情報とも呼ばれ、走行する車両から得られた情報に基づいて生成される道路交通情報である。本実施の形態の管制システム1bは、利用者が休憩施設に到着する前にも搬送車両7の予約を受け付ける。利用者が休憩施設に到着する前に搬送車両7を予約する場合には、搬送車両7の乗車希望時刻を決定するためには、休憩施設への到着予想時刻が必要となる。ここでは、利用情報には、実施の形態1に記載した乗車希望時刻の代わりに一般車両の現在位置を示す情報が含まれるとし、管制システム1bが、現在位置に基づいて到着予想時刻を求め、到着予想時刻を乗車希望時刻として用いる。すなわち、管制システム1bは、利用者が休憩施設に到着する前に予約を受け付けた場合には、利用情報における道路情報を用いて、利用者の一般車両の到着時刻を予想し、到着予想時刻を用いて配車計画を作成する。なお、ここでは、管制システム1bが到着予想時刻を求める例を説明するが、管制システム1bが、利用者の一般車両におけるカーナビゲーションシステムが求めた到着予想時刻を車両搭載端末4から取得して取得した到着予想時刻を用いてもよい。または、カーナビゲーションシステムが求めた到着予想時刻に基づいて、利用者が到着予想時刻を利用情報として入力してもよい。
【0108】
また、本実施の形態の管制システム1bは、道路情報が予約の確定した後に変わることにより、利用者の到着予想時刻が予約時より一定時間以上変化した場合には、配車計画を再作成する。また、管制システム1bは、搬送車両7の走行経路における混雑を考慮して配車計画を作成してもよい。搬送車両7は、主に休憩施設内または上下線の休憩施設間の専用経路などを走行するが、休憩施設が混雑していると、一般車両、利用者などが増加することにより、搬送車両7の走行に時間がかかることになる。また、荒天時には、搬送車両7の走行に時間がかかることになる。このため、管制システム1bは、休憩施設の混雑状況、気象情報などに応じて、配車計画の作成時における搬送車両7の予想される移動速度を変更してもよい。また、搬送車両7が上下線の休憩施設間の移動に一般道を経由する場合には、一般道の渋滞情報を用いて搬送車両7の予想される移動速度を変更してもよい。
【0109】
本実施の形態の管制システム1bは、実施の形態1の配車計画決定部13の代わりに配車計画決定部13bを備え、道路情報取得部19、到着時刻予想部20、混雑情報記憶部21および混雑予想部22が追加される以外は、実施の形態1の管制システム1と同様である。
【0110】
道路情報取得部19は、ネットワークを介して道路情報システム400から道路情報を受信することで、道路情報を取得し、取得した道路情報を到着時刻予想部20へ出力する。本実施の形態では、利用情報取得部12は、利用情報を配車計画決定部13bおよび到着時刻予想部20へ出力する。また、本実施の形態では、利用者が休憩施設に到着する前に、搬送車両7を予約可能であり、利用者が休憩施設に到着する前に搬送車両7を予約する場合には、搬送車両7の乗車希望時刻を決定するためには、休憩施設への到着予想時刻が必要となる。ここでは、利用情報には、実施の形態1に記載した乗車希望時刻の代わりに一般車両の現在位置を示す情報が含まれるとし、管制システム1bが、現在位置に基づいて到着予想時刻を求め、到着予想時刻を乗車希望時刻として用いる。
【0111】
到着時刻予想部20は、利用情報取得部12から受けとった利用情報に含まれる現在位置と、道路情報取得部19から受け取った道路情報とを用いて、利用情報に対応する一般車両の休憩施設への到着予想時刻を算出する。道路情報に基づく到着予想時刻の算出方法としてはどのような方法が用いられてもよい。到着時刻予想部20は、算出した到着予想時刻を混雑予想部22および配車計画決定部13bへ出力する。また、到着時刻予想部20は、配車計画決定部13bから設備の候補の通知を受け、設備の候補を混雑予想部22へ出力する。なお、設備の候補は、実施の形態1で述べた目的に対応した設備であり利用する設備の候補である。なお、設備の候補は、配車計画決定部13bから混雑予想部22へ直接通知されてもよい。
【0112】
本実施の形態では、混雑情報取得部11は、取得した混雑情報を配車計画決定部13bへ出力するとともに、混雑情報記憶部21に記憶する。混雑予想部22は、混雑情報記憶部21に記憶されている混雑情報を用いて、到着時刻予想部20から受け取った到着予想時刻における休憩施設の設備の候補の混雑状況を予想する。混雑予想部22は、混雑状況の予想値を配車計画決定部13bへ出力する。例えば、混雑情報における混雑状況を数値で表しておき、平日、休日に分けて、過去の混雑情報の1日の時間帯ごとの混雑状況の平均値を算出しておく。そして、混雑情報取得部11は、到着予想時刻に対応する時間帯の平均値を混雑状況の予想値としてもよいし、当日の最新の混雑状況に、当該混雑状況の取得された時刻に対応する時間帯の平均値に対する到着予想時刻に対応する時間帯の平均値の比を乗じた値を混雑状況の予想値としてもよい。さらに、混雑予想部22は、平日、休日だけでなく天候別に過去の混雑情報の1日の時間帯ごとの混雑状況の平均値を算出しておいてもよい。また、過去の混雑状況を正解データとし、当該混雑状況に対応する平日であるか休日であるかの情報、天候、時間帯などの入力情報と正解データとを用いて機械学習モデルを生成し、機械学習モデルに、予想対象の日時の平日であるか休日であるかの情報、天候、時間帯などの入力情報を入力することで混雑状況を算出してもよい。混雑状況の予想方法はどのような方法であってもよく、上述した例に限定されない。
【0113】
配車計画決定部13bは、実施の形態1と同様に配車計画を作成するが、混雑状況については、混雑予想部22から受け取った混雑状況の予想値を用い、乗車予定時刻として到着時刻予想部20によって算出された到着予想時刻を用いて、配車計画を作成する。
【0114】
なお、利用者が休憩施設に到着する前にも搬送車両7の予約を受け付ける場合、利用者は一般車両を休憩施設に駐車していないため、一般車両を駐車する駐車区画も決まっていない。このため、利用者は、希望乗車位置については、例えば、駐車する予定のおおよその位置に基づいて決定する。または、管制システム1bが利用者に駐車場の空状況を提示し、利用者が空状況を確認して駐車する駐車区画のおおよその位置を決定してもよい。例えば、管制システム1bの混雑情報取得部11が施設管理システム6から休憩施設における駐車場の空情報を取得して配車計画決定部13bへ出力し、配車計画決定部13bが利用情報取得部12を介して休憩施設における駐車場の空情報を利用者端末に送信してもよい。
【0115】
図25は、本実施の形態の休憩施設における駐車場の空情報の表示画面の一例を示す図である。図25に示した表示画面の例では、駐車場をA~Fのエリアに分け、各エリアの位置を地図上に示すとともに、各エリアにおける駐車区画の空状況が示されている。配車計画決定部13bは、例えば、図25に示したような画面を表示するための情報を空情報として利用者端末へ表示し、利用者端末が図25に例示した表示画面を表示する。また、図25に示すように、空いているエリアに対応する停留所を示す情報を空情報に追加しておくことで、利用者は、駐車予定のエリアを選択するとともに対応する停留所を把握することができる。
【0116】
図26は、本実施の形態の配車計画の作成処理の一例を示すフローチャートである。ステップS11は、実施の形態1と同様である。ステップS11の後、ただし、利用情報には乗車希望時刻の代わりに現在位置が格納されているとする。次に、配車計画決定部13bは、設備の候補(利用する設備の候補)を混雑予想部22へ通知する。
【0117】
到着時刻予想部20は、道路情報と利用情報とを用いて利用者の到着予想時刻を算出する(ステップS41)。到着時刻予想部20は、到着予想時刻を混雑予想部22および配車計画決定部13bへ出力する。次に、混雑予想部22は、到着予想時刻における設備の候補の混雑状況を予想する(ステップS42)。混雑予想部22は、設備の候補の混雑状況の予想値を、配車計画決定部13bへ出力する。ステップS12,S13,S16,S17は実施の形態1と同様であるが、ステップS12,S13,S16,S17における混雑状況として混雑状況の予想値が用いられる。ステップS13の後、配車計画決定部13bは、決定した目的地と、利用情報と搬送車両情報と配車計画と各搬送車両7の現在位置と到着予想時刻(一般車両の到着予想時刻)とを用いて、利用情報に応じた搬送を行う搬送車両7を決定する(ステップS43)。ステップS43は、実施の形態1の乗車希望時刻の代わりに到着予想時刻を用いるすなわち乗車希望時刻として到着予想時刻を用いる以外は、実施の形態1のステップS14と同様である。ステップS15は実施の形態1と同様である。
【0118】
本実施の形態では、到着時刻予想部20が、利用者が駐車施設に到着する前に利用情報が取得された場合に、道路情報と現在位置とを用いて駐車施設への到着予想時刻を算出する。混雑予想部22が、到着予想時刻における設備の混雑状況を予想し、配車計画決定部13bは、到着予想時刻と混雑予想部22によって予想された混雑状況とを用いて、利用情報に割当てる搬送車両7の走行予定を決定する。また、配車計画決定部13bは、搬送車両7の現在位置と休憩施設における混雑状況とに基づいて搬送車両7が利用情報に対応する走行における出発地までの移動に要する移動時間を予想し、予想した移動時間を用いて搬送車両7の走行予定を決定してもよい。
【0119】
利用者の一般車両の到着予想時刻を算出する方法は、どのような方法を用いてもよいが、例えば、現在時刻と予想所要時間により算出し、予想所要時間を、目的地までに走行する道路種別、道路の混雑状態、距離などに基づいて算出する。例えば道路種別と状態(道路の状態)と平均時速との対応を下記のようなテーブルにより定めておき、到着時刻予想部20は、利用者の一般車両の現在位置から休憩施設までの距離と、当該現在位置から休憩施設まで道路種別と状態とに基づいて予想所要時間を算出する。
道路種別 状態 平均時速[km/h]
高速道路 通常 80
高速道路 混雑 40
高速道路 渋滞 20
幹線道路 通常 40
幹線道路 混雑 30
幹線道路 渋滞 10
【0120】
例えば、一般車両の現在位置から休憩施設までの距離が55kmであり、当該現在位置から休憩施設までの経路の内訳が、幹線道路が15kmであり高速道路が40kmであり、幹線道路が混雑状態であり、高速道路が通常状態であったとする。この場合、例えば、予想所要自時間は、以下の式(1)により算出することができる。なお、テーブルは固定であっても可変であってもよく、道路種別および状態の分け方は上記の例に限定されない。また、到着時刻予想部20における予想方法はこの例に限定されない。
15[km]/30[km/h]+40[km]/80[km/h]=1.0[h]
・・・(1)
【0121】
また、本実施の形態では、図26に示した処理により、一旦、利用情報に対応する走行予定が決まった後に、すなわち予約が確定した後に、道路情報が変化した場合、到着予想時刻を再度算出し、再算出された到着予想時刻と予約が確定した時の到着予想時刻との差が一定時間以上の場合には、配車計画を作成する。
【0122】
図27は、本実施の形態の配車計画の再作成に関するフローチャートである。到着時刻予想部20は、ステップS41で算出した到着予想時刻と当該到着予想時刻の算出に用いられた道路情報および利用情報とを保持しておき、道路情報取得部19から受け取った道路情報と保持している道路情報とに変化のある利用情報については、図27に示した処理を実施する。
【0123】
図27に示すように、到着時刻予想部20は、利用者の車両(一般車両)の到着予想時刻が、配車計画の作成時の到着予想時刻から一定時間以上変化したか否かを判断する(ステップS44)。詳細には、到着時刻予想部20は、道路情報取得部19から受け取った道路情報と保持している道路情報とに変化のある利用情報について、利用情報における現在位置と道路情報取得部19から受け取った道路情報とを用いて到着予想時刻を算出する。到着時刻予想部20は、算出した到着予想時刻が保持している到着予想時刻すなわち配車計画の作成時の到着予想時刻から一定時間以上変化したか否かを判断する。
【0124】
利用者の車両の到着予想時刻が、配車計画の作成時の到着予想時刻から一定時間以上変化した場合(ステップS44 Yes)、配車計画決定部13bは、配車計画を再作成する(ステップS45)。詳細には、利用者の車両の到着予想時刻が、配車計画の作成時の到着予想時刻から一定時間以上変化した場合、到着時刻予想部20は、算出した到着予想時刻と対応する利用情報とを配車計画決定部13bおよび混雑予想部22へ出力し、配車計画決定部13bおよび混雑予想部22へ再計算を指示する。これにより、図26に示したステップS41以降の処理が再度実施され、配車計画が再作成される。なお、配車計画決定部13bは、到着予想時刻から一定時間以上変化した利用者に対応する搬送車両7が他の利用者にも割当てられている場合には、到着予想時刻から一定時間以上変化した利用者に別の搬送車両7を割当てる。
【0125】
配車計画決定部13bは、再作成した配車計画に基づいて、各搬送車両7へ走行予定を通知する(ステップS46)。詳細には、利用情報取得部12を介して各搬送車両7へ、対応する走行予定を通知する。配車計画の作成時の到着予想時刻から一定時間以上変化していない場合(ステップS44 No)、配車計画決定部13bは、処理を終了する。
【0126】
このように、到着時刻予想部20は、利用情報に基づく走行予定が決定された後に、道路情報を用いて到着予想時刻を算出し、算出された到着予想時刻と当該走行予定が決定された時点の到着予想時刻との差が一定値以上であるか否かを判定する。配車計画決定部13bは、到着時刻予想部20によって上記の差が一定値以上であると判定された場合に、利用情報に対応する走行予定を再決定する。
【0127】
なお、以上述べた例では、一般車両の到着予想時刻を算出したが、配車計画決定部13bは、搬送車両7の走行経路における混雑を考慮して配車計画を作成してもよい。例えば、配車計画決定部13bは、搬送車両7が出発地へ到着する時間を休憩施設内の混雑状況を考慮して算出してもよい。また、搬送車両7へ搬送車両7が出発地へ到着する時間が予約時から一定時間変化した場合に、配車計画を再作成してもよい。
【0128】
また、休憩施設の駐車場の少なくとも一部を予約制とし、管制システム1bは、駐車場の予約の受け付けと管理とを行ってもよい。この場合には、駐車場の予約結果に基づいて希望乗車位置を決定することができる。または、休憩施設の駐車場の少なくとも一部を予約制とし、管制システム1bは、図示しない駐車場の予約管理システムから駐車場の予約結果を取得し、取得した予約結果に基づいて希望乗車位置を決定してもよい。
【0129】
本実施の形態の管制システム1bも実施の形態1の管制システム1と同様にコンピュータシステムにより実現される。図24に示した配車計画決定部13b、到着時刻予想部20および混雑予想部22は、図14に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図14に示した制御部101により実行されることにより実現される。図24に示した配車計画決定部13b、到着時刻予想部20および混雑予想部22の実現には、図14に示した記憶部103も用いられる。図24に示した混雑情報記憶部21は、図14に示した記憶部103の一部である。図24に示した道路情報取得部19は、図14に示した通信部105により実現される。また、管制システム1bは複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、管制システム1bは、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0130】
以上説明したように、本実施の形態の管制システム1bは、利用者が休憩施設に到着する前にも搬送車両7の予約を受け付け、利用者が休憩施設に到着する前に搬送車両7を予約する場合には、到着予想時刻を算出し、到着予想時刻を乗車希望時刻とし、到着予想時刻における混雑状況を考慮して配車計画を作成するようにした。このため、本実施の形態の管制システム1bは、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、休憩施設に到着する前に利用者は搬送車両7を予約することができるため、休憩施設に到着すると速やかに搬送車両7を利用することができる。また、到着予想時刻が一定時間変化した場合には、配車計画を再作成することで、有料道路の状況が変化した場合に、適切に配車を行うことができる。例えば、到着予想時刻が予約時から遅延すると配車計画を変更しない場合には搬送車両7が利用者の到着まで待機しなければならず待ち時間が生じるが、到着予想時間を更新して配車計画を再作成することで搬送車両7を有効に活用することができる。
【0131】
なお、実施の形態2と本実施の形態とを組み合わせて、実施の形態2のように属性情報を考慮する場合にも、利用者が休憩施設に到着する前に搬送車両7の予約を受け付け、到着予想時刻を算出して配車計画を作成してもよい。
【0132】
実施の形態4.
図28は、実施の形態4にかかる配車システムの構成例を示す図である。図28に示したように、本実施の形態に配車システム2cは、管制システム1の代わりに管制システム1cを備える以外は、図1に示した配車システム2と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は図1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0133】
本実施の形態の管制システム1cは、利用者が搬送車両7を予約する際に、目的地までの移動である第1の移動だけではなく目的地からの移動(第2の移動)についても配車計画を作成する。また、本実施の形態の管制システム1cは、有料道路を走行し休憩施設を利用する休憩施設利用者だけでなく、搬送車両7の乗務員、休憩施設における各店舗、この場合、事務所などの従業員である施設従業員についても、搬送車両7の利用者として考慮することもできる。搬送車両7の乗務員および休憩施設の従業員を、以下、施設従業員も呼ぶ。管制システム1cは、搬送車両7の利用者が施設従業員である場合には、勤務計画、乗務計画などを管理する外部情報提供システム401から勤務計画、乗務計画を取得し、利用者が乗務員または従業員である場合には、勤務計画、乗務計画に基づいて第2の移動の配車計画を作成する。
【0134】
本実施の形態の管制システム1cは、実施の形態1の配車計画決定部13の代わりに配車計画決定部13cを備え、外部情報取得部23、外部情報記憶部24および配車規則記憶部25が追加される以外は、実施の形態1の管制システム1と同様である。
【0135】
外部情報取得部23は、外部情報提供システム401から、勤務計画および乗務計画を受信することで、勤務計画および乗務計画を取得し、取得した勤務計画および乗務計画を外部情報として外部情報記憶部24に格納する。配車規則記憶部25は、利用者の種別ごとの第2の移動の配車の規則である配車規則を記憶する。利用者の種別は、例えば、休憩施設利用者、施設従業員のいずれであるかを示す種別である。休憩施設利用者を、観光バス、路線バスなどのバスに乗車して休憩施設に到着する利用者と、トラックなどの運送車両のドライバと、それ以外の利用者である一般利用者とに分けてもよい。配車計画決定部13cは、利用情報を受け取ると、第1の移動に関しては実施の形態1と同様に配車計画を作成し、第1の移動の目的地からの移動である第2の移動の目的地を決定し、第2の移動に関する配車計画を作成する。
【0136】
図29は、本実施の形態の配車規則の一例を示す図である。図29に示した例では、休憩施設利用者を、観光バス、路線バスなどのバスに乗車して休憩施設に到着する利用者(図29では、「観光バス、路線バス」と記載)と、物流に用いられる運送車両のドライバと、それ以外の利用者である一般利用者とに分けて配車規則を定めている。なお、バスに乗車して休憩施設に到着する利用者を区別して配車計画を作成する場合には、図示しないバスの管理システムまたは施設管理システム6から、バスが休憩施設を出発する予定時刻である出発予定時刻を含む移動計画をあらかじめ取得する。また、運送車両のドライバに関して、一般利用者を区別して配車計画を作成する場合には、管制システム1cは、例えば、運送車両のドライバの勤務計画(乗務計画)を図示しない物流管理システムから取得する。なお、第1の移動の予約に対応する利用情報は、携帯端末3、車両搭載端末4、停留所端末5などから送信される例に限定されず、例えば、バスの管理システム、物流管理システム、その他の外部のシステムから送信されてもよい。
【0137】
図29に示した例では、第2の移動における出発地は、いずれも第1の移動の目的地である。また、一般利用者に関しては、第2の移動における出発時刻は、「第1の移動の到着予定時刻または到着時刻+施設の利用予想時間」であり、第2の移動における目的地は、第1の移動の乗車位置である。また、施設の利用完了時刻が利用者から指定される場合には、一般利用者の配車規則における第2の移動における出発時刻は、施設の利用完了時刻の一定時間後である。施設の利用完了時刻は、例えば、利用者の一般車両が電気自動車である場合に一般車両を充電中の場合は、充電完了の通知時刻であり、また利用者が飲食店を利用する場合には飲食店の利用終了時刻である。管制システム1cは、例えば、休憩施設内の充電設備を管理する施設管理システム6から充電完了の時刻を通知される。また、飲食店の利用の終了時刻については、例えば、会計時刻、または事前会計の場合はその時刻から一定時間経過後に施設管理システム6に飲食店から管制システム1cに通知される。なお、施設の利用完了時刻の取得方法はこれらの例に限定されない。また、バスに乗車して休憩施設に到着する利用者に関しては、第2の移動における出発時刻は、バスの移動計画による施設の出発予定時刻の一定時間前であり、第2の移動における目的地は、第1の移動の乗車位置またはバスの出発予定位置である。また、運送車両ドライバに関しては、第2の移動における出発時刻は、勤務(乗務)計画による乗務予定の運送車両の出発予定時刻の一定時間前であり、第2の移動における目的地は、第1の移動の乗車位置または乗務予定の運送車両の出発予定位置である。また、施設従業員に関しては、第2の移動における出発時刻は、勤務計画による勤務開始予定時刻の一定時間前であり、第2の移動における目的地は、勤務予定場所である。図29に示した規則は例示であり、施設従業員に関しては、どのような状況を考慮して第2の移動の配車計画を定めるかを休憩施設の管理者などが決定し、決定した内容に沿って配車規則を定めればよい。
【0138】
図30は、本実施の形態の配車計画の作成処理の一例を示すフローチャートである。ステップS11,S12,S13,S16,S17は実施の形態1と同様である。ただし、本実施の形態では、バスに乗車する利用者に関しては、代表して行う管理者が利用情報を作成し、利用情報においてバスに乗車する利用者の利用であることを示す情報を含めておく。運送車両ドライバまたは施設従業員が予約を行う際も同様に、利用情報に利用者が運送車両ドライバであることを示す情報、または施設従業員であることを示す情報を含めておく。
【0139】
ステップS13の後、配車計画決定部13cは、ステップS14と同様に第1の移動の搬送車両7を決定する(ステップS51)。すなわち、配車計画決定部13cは、決定した目的地と、利用情報と搬送車両情報と配車計画と各搬送車両7の現在位置とを用いて、利用情報に応じた第1の移動の搬送を行う搬送車両7を決定する。配車計画決定部13cは、実施の形態1のステップS15と同様に、第1の移動に用いる搬送車両7の走行予定を決定する(ステップS52)。
【0140】
次に、配車計画決定部13cは、第1の移動に関する情報と配車規則とを用いて第2の移動の搬送を行う搬送車両7を決定する(ステップS53)。なお、第2の移動の配車計画の作成は、第1の移動の配車計画の作成に続いて行われてもよいし、すぐには行われずに第2の移動の時間が近づいてから行われてもよい。ステップS53では、詳細には、配車計画決定部13cは、第1の移動の目的地および到着予定時刻と配車規則記憶部25に記憶されている配車規則とを用いて第2の移動の目的地および出発予定時刻を決定し、決定した結果を用いて、搬送車両情報と配車計画とを用いて第2の移動に割当てる搬送車両7を決定する。例えば、配車計画決定部13cは、利用情報が、運送車両のドライバおよび施設従業員である特定利用者に対応する利用情報である場合、第2の移動の目的地と第2の移動の到着予定時刻とを、特定利用者の勤務計画を用いて決定する。次に、第2の移動に用いる搬送車両7の走行予定を決定する(ステップS54)。そして、配車計画決定部13cは、第1の移動の走行予定と第2の移動の走行予定とを用いて配車計画を更新する(ステップS55)。第1の移動の走行予定と第2の移動の走行予定とは、それぞれ対応する搬送車両7に送信される。
【0141】
本実施の形態の管制システム1cも実施の形態1の管制システム1と同様にコンピュータシステムにより実現される。図28に示した配車計画決定部13cは、図14に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図14に示した制御部101により実行されることにより実現される。図28に示した配車計画決定部13cの実現には、図14に示した記憶部103も用いられる。図28に示した外部情報記憶部24および配車規則記憶部25は、図14に示した記憶部103の一部である。図28に示した外部情報取得部23は、図14に示した通信部105により実現される。また、管制システム1cは複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、管制システム1cは、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0142】
以上説明したように、本実施の形態の管制システム1cは、利用者が目的地に向かう第1の移動だけでなく第1の移動の目的地からの移動である第2の移動についても配車計画を作成するようにした。このため、本実施の形態の管制システム1cは、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、第2の移動の予約を利用者が行う手間を省くことができ、利用者の利便性が向上するとともに、配車計画の作成を効率的に行うことができる。
【0143】
なお、実施の形態2と本実施の形態とを組み合わせて、実施の形態2のように属性情報を考慮する場合にも、第2の移動の配車計画を作成してもよい。実施の形態3と本実施の形態とを組み合わせて、実施の形態3のように到着前に利用者が予約を行う場合にも、第2の移動の配車計画を作成してもよい。実施の形態2および実施の形態3と本実施の形態を組み合わせてもよい。
【0144】
実施の形態5.
図31は、実施の形態5にかかる配車システムの構成例を示す図である。図31に示したように、本実施の形態に配車システム2dは、管制システム1の代わりに管制システム1dを備える以外は、図1に示した配車システム2と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は図1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0145】
本実施の形態の管制システム1dは、実施の形態1と同様に搬送車両7の走行予定を決定するとともに、走行予定のない時間帯における搬送車両7の待機場所についても決定する。
【0146】
図31に示すように、管制システム1dは、配車計画決定部13の代わりに配車計画決定部13dを備え、実施の形態2と同様の道路情報取得部19が追加される以外は、実施の形態1の管制システム1と同様である。道路情報取得部19は、実施の形態2と同様の道路情報システム400から道路情報を取得し、取得した道路情報を配車計画決定部13dへ出力する。
【0147】
配車計画決定部13dは、実施の形態1と同様に、利用情報に対応する搬送車両7を決定し搬送車両7の走行予定を決定する。さらに、配車計画決定部13dは、道路情報に基づいて、上りまたは下りの休憩施設の少なくとも一方で搬送車両7の利用が多いと予想される場合には、走行予定のない搬送車両7の待機場所を利用の多い停留所、または当該停留所の付近に決定し、搬送車両7に指示する。また、休憩施設内が混雑しているときに、走行予定のない搬送車両7の待機場所を利用の多い停留所、または当該停留所の付近に決定し、搬送車両7に指示してもよい。または、配車計画決定部13dは、待機場所として1か所を指定するのではなく利用の多い停留所に停車しながら周回する周回経路を指定してもよい。利用の多い停留所については、あらかじめ定められてもよいし、例えば、過去の利用情報で出発地および目的地として指定された回数の多い停留所である。配車計画決定部13dは、過去に指定された出発地と決定した目的地とを記憶しておき、過去の実績に基づいて利用の多い停留所を決定してもよい。すなわち、配車計画決定部13dは、道路情報と過去に取得された利用情報とを用いて一定時間内に使用されない搬送車両7の待機場所を決定してもよい。
【0148】
図32は、本実施の形態の待機場所の決定処理の一例を示すフローチャートである。配車計画決定部13dは、例えば、道路情報を用いて、搬送車両7の利用が多いと予想される場合に、図32に示す処理を実施する。搬送車両7の利用が多いと予想される場合は、有料道路が混雑しているとき、雨天、降雪、暴風などのときである。例えば、搬送車両7の利用が多いと予想されると判定する条件は、あらかじめ定めておき、配車計画決定部13dは、道路情報を用いてこの条件を満たすと判定した場合に、搬送車両7の利用が多いと予想されると判断する。また、混雑情報または駐車場の混雑状況を用いて、休憩施設内が混雑しているときに、搬送車両7の利用が多いと予想されると判定してもよい。
【0149】
図32に示すように、一定時間の間使用されない搬送車両7があるか否かを判断する(ステップS61)。詳細には、配車計画決定部13dは、配車計画記憶部17に記憶されている配車計画を参照して、現時点から一定時間の間使用されない搬送車両7があるか否かを判断する。
【0150】
一定時間の間使用されない搬送車両7がある場合(ステップS61 Yes)、一定時間の間使用されない搬送車両7の待機場所を決定し(ステップS62)、待機場所の決定処理を終了する。詳細には、配車計画決定部13dは、例えば、道路情報を参照して上り車線が混んでいると判断した場合には、一定時間の間使用されない搬送車両7のうちの少なくとも一部の搬送車両7の待機場所を、上り施設8における利用の多い停留所または当該停留所の近くの待機場所に決定する。同様に、配車計画決定部13dは、下り車線が混んでいると判断した場合には、一定時間の間使用されない搬送車両7のうちの少なくとも一部の搬送車両7の待機場所を、下り施設9における利用の多い停留所または当該停留所の近くの待機場所に決定する。また、ステップS62で、待機場所の決定対象とする搬送車両7は、一定時間の間使用されない全搬送車両7であってもよいし、待機場所の決定対象とする搬送車両7の台数の上限値を定めておき、一定時間の間使用されない全搬送車両7が上限値を超える場合には、上限値の台数分の搬送車両7の待機場所を決定する。なお、待機場所の決定対象とする搬送車両7が複数の場合には、配車計画決定部13dは、これらを複数の待機場所に待機させてもよい。例えば、利用の多い停留所が複数存在する場合には、これらの停留所に分散させて搬送車両7を待機させてもよい。また、上述したように、待機場所は、利用の多い停留所を含む周回経路であってもよい。
【0151】
待機場所の決定処理の後、配車計画決定部13dは、決定した待機場所を反映することで配車計画を更新し、車両通信部14を介して、待機場所を指定する対象の搬送車両7に対応する待機場所を送信する。
【0152】
なお、上述した例では、道路情報を参照して、搬送車両7の利用が多いと予想される場合に図32に示す処理を実施するようにしたが、道路情報などに依存せずにすなわち混雑の状況、気象情報などに依存せずに、定期的に図32の処理を実施するようにしてもよい。
【0153】
また、過去の道路情報と過去の利用情報における希望乗車位置とを用いて、道路情報と希望乗車位置との相関を統計処理または機械学習などにより求めておき、求めておいた相関と現在の道路情報とを用いて、待機場所を決定してもよい。これにより、道路情報に応じて希望乗車位置として指定される可能性の高い場所を待機場所とすることができる。
【0154】
本実施の形態の管制システム1dも実施の形態1の管制システム1と同様にコンピュータシステムにより実現される。図31に示した配車計画決定部13dは、図14に示した記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムが図14に示した制御部101により実行されることにより実現される。図31に示した配車計画決定部13dの実現には、図14に示した記憶部103も用いられる。図31に示した道路情報取得部19は、図14に示した通信部105により実現される。また、管制システム1dは複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、管制システム1dは、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0155】
以上説明したように、本実施の形態の管制システム1dは、実施の形態1と同様に配車計画を作成するとともに、道路情報を参照して、一定時間の間使用されない搬送車両7の待機場所を、搬送車両7の利用が多いと予想される場所に決定するようにした。このため、本実施の形態の管制システム1dは、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、利用者が休憩施設に到着して搬送車両7を予約する際に、希望乗車位置まで搬送車両7が移動する時間が短くなる確率を高めることができるため、利用者の待ち時間の平均値を低減することができる。
【0156】
なお、実施の形態2、実施の形態3および実施の形態4のうちいずれか1つ以上と本実施の形態とを組み合わせてもよい。
【0157】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0158】
1,1a,1b,1c,1d 管制システム、2,2a,2b,2c,2d 配車システム、3 携帯端末、4 車両搭載端末、5,5-1~5-8 停留所端末、6 施設管理システム、7 搬送車両、8 上り施設、9 下り施設、11 混雑情報取得部、12 利用情報取得部、13,13a,13b,13c,13d 配車計画決定部、14 車両通信部、15 施設情報記憶部、16 搬送車両情報記憶部、17 配車計画記憶部、18 優先情報記憶部、19 道路情報取得部、20 到着時刻予想部、21 混雑情報記憶部、22 混雑予想部、23 外部情報取得部、24 外部情報記憶部、25 配車規則記憶部、31,41,51,71 通信部、32,42,52 入力受付部、33,43,73 位置取得部、34,44,53 利用情報生成部、35,45,54 情報表示部、61 混雑情報送信部、62 混雑管理部、72 計画記憶部、74 車両制御部、75 車両構成部品、81,91 駐車場、83-1~83-3,93-1~93-3 トイレ、84,84-1,84-2,94 飲食店街、85,86,95,96,861,862 駐車区画、87-1,87-2 出入口、88-1,88-2 ラーメン店、300,301,302 走行経路、400 道路情報システム、401 外部情報提供システム。
図1
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