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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】摩擦材
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20250508BHJP
   F16D 69/02 20060101ALI20250508BHJP
【FI】
C09K3/14 520G
C09K3/14 520C
C09K3/14 520M
F16D69/02 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021565576
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2020046601
(87)【国際公開番号】W WO2021125144
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2019229439
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000516
【氏名又は名称】曙ブレーキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 大介
(72)【発明者】
【氏名】小川 正太
【審査官】河島 拓未
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-053214(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110043589(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110242691(CN,A)
【文献】特開2014-167076(JP,A)
【文献】特開2018-053254(JP,A)
【文献】特開2016-121243(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101177601(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101186709(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110628171(CN,A)
【文献】国際公開第2018/110341(WO,A1)
【文献】特開2000-230168(JP,A)
【文献】特開平6-9948(JP,A)
【文献】特開2014-196445(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108300412(CN,A)
【文献】特開2004-131634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
F16D 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦調整材、結合材及び繊維基材を含む摩擦材であって、
前記繊維基材として、スチール繊維を10~50質量%含有し、
前記摩擦調整材として、非ウィスカー状チタン酸塩を含有し、
前記非ウィスカー状チタン酸塩として、チタン酸リチウムカリウムを含有し、
銅の含有量が銅元素換算で0.5質量%以下である、摩擦材。
【請求項2】
前記非ウィスカー状チタン酸塩として、さらにチタン酸カリウムを含有する、請求項1に記載の摩擦材。
【請求項3】
前記非ウィスカー状チタン酸塩の含有量が1~30質量%である、請求項1又は2に記載の摩擦材。
【請求項4】
前記チタン酸リチウムカリウムの形状が鱗片状である、請求項1~3のいずれか一項に記載の摩擦材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、鉄道車両及び産業機械等に用いられる摩擦材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の高性能化、高出力化に伴い、ブレーキの役割は益々過酷なものとなってきており、ブレーキパッド等に使用される摩擦材にも、熱に対する安定性が求められている。さらに摩擦材は、高速からの制動時には高温となることから、低温低速での制動時とは摩擦状態が異なり、温度変化による摩擦係数の変化が少ない安定した摩擦特性が要求されている。
【0003】
そこで、金属繊維を基材とした摩擦材が種々提案されている。例えば、10~30質量%程度のスチール繊維を含有する摩擦材(以下、「ロースチール摩擦材」と称することがある。)や50質量%程度のスチール繊維を含有する摩擦材(以下、「セミメタリック摩擦材」と称することがある。)が挙げられる。ロースチール摩擦材は、高い摩擦係数を有し、主に欧州で使用されている。
【0004】
ロースチール摩擦材としては、例えば、特許文献1では、結合材、摩擦調整材及び繊維基材を含み、かつ銅成分を含まない摩擦材であって、アルミニウム及びFe-Al金属間化合物の少なくともいずれか一方、アルミナ、並びにクロマイトを含有し、スチール繊維を10~30質量%含有する摩擦材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開2014-196445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1に記載のロースチール摩擦材やセミメタリック摩擦材(すなわち、10~50質量%程度のスチール繊維を含有する摩擦材。以下、「スチール系摩擦材」と称することがある。)では、相手材の温度によっては摩擦係数が低下してしまう可能性があることが分かった。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、相手材の温度が変化しても安定して高い摩擦係数が得られるスチール系摩擦材を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、スチール系摩擦材に、無機充填材として、非ウィスカー状チタン酸塩を含有させることで、相手材の温度が変化しても安定して高い摩擦係数を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は下記<1>~<3>に関するものである。
<1>摩擦調整材、結合材及び繊維基材を含む摩擦材であって、
前記繊維基材として、スチール繊維を10~50質量%含有し、
前記摩擦調整材として、非ウィスカー状チタン酸塩を含有し、
銅の含有量が銅元素換算で0.5質量%以下である、摩擦材。
<2>前記非ウィスカー状チタン酸塩がチタン酸カリウム及びチタン酸リチウムカリウムのうちの少なくとも1つである、<1>に記載の摩擦材。
<3>前記非ウィスカー状チタン酸塩の含有量が1~30質量%である、<1>又は<2>に記載の摩擦材。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、相手材の温度が変化しても安定して高い摩擦係数が得られるスチール系摩擦材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳述するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、本発明はこれらの内容に特定されるものではない。
【0012】
本発明のスチール系摩擦材(以下、「本発明の摩擦材」と称することがある。)は、摩擦調整材、結合材及び繊維基材を含む。
以下、各成分について詳細に説明する。
【0013】
<繊維基材>
本発明の摩擦材は、繊維基材として、スチール繊維を含有する。
スチール繊維を含有させると、本発明の摩擦材の強度が向上し、高い摩擦係数が得られる摩擦材とすることができる。
【0014】
スチール繊維の摩擦材全体中の含有量は、10~50質量%であり、好ましくは15~45質量%、より好ましくは20~40質量%である。スチール繊維の含有量が10質量%以上であれば、摩擦材の強度を十分に確保することができる。スチール繊維の含有量が50質量%以下であれば、摩擦材が重くなりすぎるのを防ぐことができる。
【0015】
スチール繊維の平均繊維長は0.5~30mmであることが好ましく、0.5~20mmであることがより好ましく、0.5~10mmであることがさらに好ましい。
スチール繊維の平均繊維長が0.5mm以上であれば、摩擦材の強度を確保することができる。スチール繊維の平均繊維長が30mm以下であれば、相手材攻撃性の悪化を抑制することができる。
【0016】
スチール繊維の平均繊維径は10~600μmであることが好ましく、30~500μmであることがより好ましく、50~400μmであることがさらに好ましい。
スチール繊維の平均繊維径が10μm以上であれば、摩擦材の強度を確保することができる。スチール繊維の平均繊維径が600μm以下であれば、相手材攻撃性の悪化を抑制することができる。
【0017】
なお、スチール繊維の平均繊維長及び平均繊維径は、マイクロスコープ等により観察することによって測定できる。
【0018】
スチール繊維以外の繊維基材としては、通常用いられる種々の繊維基材を用いることができる。具体的には、有機繊維、無機繊維が挙げられる。
【0019】
有機繊維としては、例えば、芳香族ポリアミド(アラミド)繊維、耐炎性アクリル繊維等が挙げられる。
【0020】
無機繊維としては、例えば、生体溶解性無機繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、ロックウール等が挙げられる。生体溶解性無機繊維としては、例えば、SiO-CaO-MgO系繊維、SiO-CaO-MgO-Al系繊維、SiO-MgO-SrO系繊維等の生体溶解性セラミック繊維、生体溶解性ロックウール等が挙げられる。これらは各々単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
【0021】
スチール繊維以外の繊維基材は、摩擦材の十分な強度を確保する観点から、摩擦材全体中、好ましくは1~15質量%、より好ましくは1~10質量%用いられる。
【0022】
<摩擦調整材>
本発明の摩擦材は、摩擦調整材として、無機充填材である非ウィスカー状チタン酸塩を含有する。
【0023】
(非ウィスカー状チタン酸塩)
非ウィスカー状チタン酸塩とは、針状形状(ウィスカー状、アスペクト比3以上)ではないチタン酸塩を意味する。
【0024】
非ウィスカー状チタン酸塩を含有させると、相手材表面に移着被膜が形成されるので、本発明の摩擦材を相手材の温度が変化しても安定して高い摩擦係数が得られる摩擦材とすることができる。
【0025】
非ウィスカー状チタン酸塩の具体的な形状としては、層状(鱗片状)、柱状、板状、フレーク状、粒子状、球状等が挙げられ、これらの中でも、摩擦係数安定化の観点から、層状、柱状、板状、球状が好ましく、層状、柱状、球状がより好ましい。
非ウィスカー状チタン酸塩のメディアン径(D50)は、1~200μmであることが好ましく、より好ましくは3~170μm、さらに好ましくは5~150μmである。
【0026】
なお、本明細書において、メディアン径(D50)とは、ナノ粒子径分布測定装置により粒度分布を求め、測定される体積基準の累積百分率50%相当粒子径のことをいう。
【0027】
非ウィスカー状チタン酸塩を構成するチタン酸塩としては、例えば、チタン酸カリウム、チタン酸リチウム、チタン酸ナトリウム等のチタン酸アルカリ金属塩、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム等のチタン酸アルカリ土類金属塩、チタン酸リチウムカリウム、チタン酸マグネシウムカリウム等のチタン酸複合塩等が挙げられる。これらの中でも、摩擦係数安定化の観点から、チタン酸カリウム、チタン酸リチウムカリウムが好ましい。
【0028】
チタン酸カリウムは、チタン酸リチウムカリウムと比較すると融点が高いため、相手材の温度が低温(0~50℃程度)である場合の摩擦係数の低下を特に抑制することができる。
【0029】
チタン酸リチウムカリウムは、チタン酸カリウムやチタン酸マグネシウムカリウムと比較すると融点が低いため、相手材の温度が高温(300~500℃程度)である場合の摩擦係数の上昇を特に抑制することができる。
【0030】
非ウィスカー状チタン酸塩の摩擦材全体中の含有量は、1~30質量%が好ましく、より好ましくは3~25質量%、さらに好ましくは5~20質量%である。非ウィスカー状チタン酸塩の含有量が1質量%以上であれば、より安定して高い摩擦係数を得ることができる。非ウィスカー状チタン酸塩の含有量が30質量%以下であれば、他の成分を摩擦材に十分量含有させることができ、所望の摩擦特性を摩擦材に付与することができる。
【0031】
(その他の摩擦調整材)
本発明の摩擦材は、耐摩耗性、耐熱性、耐フェード性等の所望の摩擦特性を摩擦材に付与するために、非ウィスカー状チタン酸塩以外のその他の摩擦調整材を含有することができる。
その他の摩擦調整材としては、例えば、非ウィスカー状チタン酸塩以外の無機充填材、研削材、固体潤滑材等を挙げることができる。
【0032】
非ウィスカー状チタン酸塩以外の無機充填材としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、バーミキュライト、マイカ等の無機材料や、アルミニウム、スズ、亜鉛等の金属粉末が挙げられる。これらは各々単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
【0033】
非ウィスカー状チタン酸塩以外の無機充填材の摩擦材全体中の含有量は、摩擦係数安定化の観点から、1~20質量%が好ましく、より好ましくは3~17質量%、さらに好ましくは5~15質量%である。
【0034】
研削材としては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、酸化クロム、四三酸化鉄(Fe)、クロマイト等が挙げられる。これらは各々単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
【0035】
研削材の摩擦材全体中の含有量は、1~30質量%が好ましく、より好ましくは5~27質量%、さらに好ましくは10~25質量%である。
【0036】
固体潤滑材としては、黒鉛(グラファイト)、三硫化アンチモン、二硫化モリブデン、硫化スズ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。これらは各々単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
【0037】
固体潤滑材の摩擦材全体中の含有量は、1~30質量%が好ましく、より好ましくは5~27質量%、さらに好ましくは10~25質量%である。
【0038】
摩擦調整材は、上記所望の摩擦特性を摩擦材に十分付与する観点から、摩擦材全体中、好ましくは40~80質量%、より好ましくは50~70質量%用いられる。
【0039】
なお、本発明の摩擦材は、各種ゴム粉末(生ゴム粉末、タイヤ粉末等)、カシューダスト、タイヤトレッド、メラミンダスト等の有機充填材を含有しないことが好ましい。有機充填材を含有しないことにより、高温時に有機充填材が熱分解し、分解ガスが摩擦材及び相手材の間に介在して起こるフェード現象が原因の摩擦係数低下を抑制できる。
【0040】
<結合材>
結合材としては、通常用いられる種々の結合材を用いることができる。具体的には、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0041】
変性フェノール樹脂としては、例えば、エラストマー変性フェノール樹脂等が挙げられる。エラストマー変性フェノール樹脂としては、例えば、アクリルゴム変性フェノール樹脂やシリコーンゴム変性フェノール樹脂、ニトリルゴム(NBR)変性フェノール樹脂等が挙げられる。これらは各々単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
【0042】
結合材は、摩擦材の成形性の観点から、摩擦材全体中、好ましくは1~20質量%、より好ましくは3~15質量%用いられる。
【0043】
なお、本発明の摩擦材全体中の銅成分の含有量は、環境負荷低減の観点から、銅元素換算で0.5質量%以下であり、本発明の摩擦材は銅成分を含有しないことが好ましい。
【0044】
<摩擦材の製造方法>
本発明の摩擦材は、公知の製造工程により製造できる。本発明の摩擦材は、例えば、上記各成分を配合し、その配合物を通常の製法に従って予備成形、熱成形、加熱、研摩等の工程を経て製造することができる。
【0045】
摩擦材を備えたブレーキパッドの製造方法は、一般的に以下の工程を有する。
(a)板金プレスによりプレッシャプレートを所定の形状に成形する工程
(b)上記プレッシャプレートに脱脂処理、化成処理及びプライマー処理を施し、接着剤を塗布する工程
(c)摩擦調整材、結合材及び繊維基材等の原料を配合し、混合により十分に均質化して、常温にて所定の圧力で成形して予備成形体を作製する工程
(d)上記予備成形体と接着剤が塗布されたプレッシャプレートとを、所定の温度及び圧力を加えて両部材を一体に固着する熱成形工程(成形温度130~180℃、成形圧力30~80MPa、成形時間2~10分間)
(e)アフターキュア(150~300℃、1~5時間)を行って、最終的に研摩、スコーチ、及び塗装等の仕上げ処理を施す工程
【実施例
【0046】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0047】
(実施例1~6、比較例1)
表1に示す配合材料を、混合撹拌機に一括して投入し、常温で5分間混合し、混合物を得た。得られた混合物を以下の予備成形(i)、熱成形(ii)、加熱およびスコーチ(iii)の工程を経て、摩擦材を作製した。
【0048】
なお、チタン酸カリウムは、大塚化学株式会社製「TERRACESS DP-R」(メディアン径(D50)80μm、球状)を用いた。チタン酸リチウムカリウムは、大塚化学株式会社製「TERRACESS L-SS」(メディアン径(D50)2.5μm、鱗片状)を用いた。
【0049】
(i)予備成形
混合物を予備成形プレスの金型に投入し、常温にて20MPaで10秒間成形を行い、予備成形体を作製した。
(ii)熱成形
この予備成形体を熱成形型に投入し、予め接着剤を塗布した金属板(プレッシャプレート)を重ね、150℃、50MPaで6分間加熱加圧成形を行った。
(iii)加熱、スコーチ
この加熱加圧成形体に、250℃、3時間の熱処理を実施した後、研摩した。
次いで、この加熱加圧成形体の表面にスコーチ処理を施し、仕上げに塗装を行い、摩擦材を得た。
【0050】
実施例1~6及び比較例1で得られた摩擦材について、ダイナモメータを用いて、以下の試験条件にて評価を行った。
【0051】
制動前ブレーキ温度50℃、制動初速度50km/h、制動終速度0km/h、液圧1.0~10.0MPa(1.0MPa刻み)の条件でそれぞれ制動させた。
【0052】
さらに、制動初速度及び制動終速度を、制動初速度100km/h、制動終速度50km/h;制動初速度150km/h、制動終速度100km/h;制動初速度200km/h、制動終速度150km/h;制動初速度250km/h、制動終速度200km/hにした以外は上記と同じ条件にて試験を行い、摩擦係数を測定し、相手材の温度が50℃の場合の摩擦材の平均摩擦係数を求めた。
【0053】
制動前ブレーキ温度を100、200、300、400、500℃とした以外は上記と同じ条件にて試験を行い、相手材の温度が100℃、200℃、300℃、400℃、及び500℃の場合の、摩擦材の平均摩擦係数を求めた。結果を表1に示す。
【0054】
(摩擦係数の変化)
相手材の温度変化による摩擦係数の変化の大きさを下記基準に基づき判定した。結果を表1に示す。
◎:平均摩擦係数の最大値と最小値の差が0.06未満であった。
〇:平均摩擦係数の最大値と最小値の差が0.06以上0.10以下であった。
×:平均摩擦係数の最大値と最小値の差が0.10より大きかった。
【0055】
【表1】
【0056】
表1の結果から、実施例1~6に係る摩擦材は、相手材の温度が変化しても安定して高い摩擦係数が得られる摩擦材であることがわかった。
【0057】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2019年12月19日出願の日本特許出願(特願2019-229439)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。