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特許7677966ガス供給システムのための制御および監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】ガス供給システムのための制御および監視システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20250508BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20250508BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20250508BHJP
【FI】
H01L21/31 B
G05B23/02 P
H01L21/02 Z
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2022526236
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 US2020058918
(87)【国際公開番号】W WO2021092037
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】62/930,272
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピツェラ、ミランダ
(72)【発明者】
【氏名】セルビー、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ホガード、チェルシア
(72)【発明者】
【氏名】ブランデス、コリー
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-232200(JP,A)
【文献】特開2003-282387(JP,A)
【文献】特開2017-062822(JP,A)
【文献】特表2010-506269(JP,A)
【文献】特表2004-532449(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0070014(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
G05B 23/02
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス送達システムと、熱システムと、流体フローラインとを含む半導体処理システムを監視するための方法であって、
前記ガス送達システム、前記熱システム、またはそれらの組み合わせからの複数の動作データを取得することと、
前記複数の動作データのうちの1または複数の動作データに基づいて、前記流体フローラインの性能特性を決定することと、
基準仮想モデルにおいて、前記1または複数の動作データに関連する1または複数の位置を識別することと、
前記基準仮想モデル、前記識別された1または複数の位置、および前記決定された性能特性に基づいて、前記流体フローラインのデジタル表現である、前記流体フローラインの動的状態モデルを生成することと
を備え
ここで、前記デジタル表現は、前記流体フローラインの2次元画像および前記流体フローラインの3次元画像の1つであり、さらに前記デジタル表現は、前記流体フローラインの前記性能特性をグラフィカルに示す少なくとも1つの状態領域を含む、方法。
【請求項2】
データベースに格納された複数の基準仮想モデルの中から、前記流体フローラインの前記基準仮想モデルを識別することを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の動作データは、ヒータの温度データ、前記流体フローラインの温度データ、前記ヒータの電気特性データ、ポンプのポンプデータ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電気特性データは、前記ヒータの電圧、前記ヒータの電流、またはそれらの組み合わせを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記性能特性は、ヒータの温度データに基づく流体フロー温度値、前記流体フローラインの温度データ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記性能特性は、前記動作データの統計分析に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記動作データの統計分析は、既定の設定値からの偏差、前記動作データの時間の関数としての統計的表現、またはそれらの組み合わせである、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記動作データの統計分析は、前記熱システムのヒータゾーンの統計的表現であり、前記ヒータゾーンは、前記熱システムの複数のヒータのうちの1または複数のヒータを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記基準仮想モデルは、前記ガス送達システム、前記熱システム、前記流体フローライン、またはそれらの組み合わせのデジタル表現である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基準仮想モデルは、前記流体フローラインに配置された前記熱システムの1または複数のヒータ、前記流体フローラインに配置された1または複数のセンサ、またはそれらの組み合わせの位置を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1または複数のヒータおよび前記1または複数のセンサの前記位置は、前記1または複数のヒータの識別情報に基づいて提供される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動的状態モデルは、前記流体フローラインの熱プロファイル表現である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
表示デバイスを用いて、前記動的状態モデルと、ユーザ入力に応答して前記表示デバイスに前記性能特性のセットを選択的に表示させる1または複数のフィルタユーザインタフェース要素とを表示することを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記半導体処理システムの1または複数の前駆体に基づいて、前記熱システムの1または複数のヒータの動作推奨を生成することを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ガス送達システムと、熱システムと、流体フローラインとを含む半導体処理システムを監視するためのシステムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体と
を備え、前記命令は、
前記ガス送達システム、前記熱システム、またはそれらの組み合わせからの複数の動作データを取得することと、
前記複数の動作データのうちの1または複数の動作データに基づいて、前記流体フローラインの性能特性を決定することと、
基準仮想モデルにおいて、前記1または複数の動作データに関連する1または複数の位置を識別することと、
前記基準仮想モデル、前記識別された1または複数の位置、および前記決定された性能特性に基づいて、前記流体フローラインのデジタル表現である、前記流体フローラインの動的状態モデルを生成することと
を含み、
ここで、前記デジタル表現は、前記流体フローラインの2次元画像および前記流体フローラインの3次元画像の1つであり、さらに前記デジタル表現は、前記流体フローラインの前記性能特性をグラフィカルに示す少なくとも1つの状態領域を含む、システム。
【請求項16】
前記命令は更に、データベースに格納された複数の基準仮想モデルの中から、前記流体フローラインの前記基準仮想モデルを識別することを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の動作データは、ヒータの温度データ、前記流体フローラインの温度データ、前記ヒータの電気特性データ、ポンプのポンプデータ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
ヒータの電気特性データは、前記ヒータの電圧、前記ヒータの電流、またはそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記性能特性は、ヒータの温度データに基づく流体フロー温度値、前記流体フローラインの温度データ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記性能特性は、前記動作データの統計分析に基づいて決定される、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記動作データの統計分析は、既定の設定値からの偏差、前記動作データの時間の関数としての統計的表現、またはそれらの組み合わせである、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記動作データの統計分析は、前記熱システムのヒータゾーンの統計的表現であり、前記ヒータゾーンは、前記熱システムの複数のヒータのうちの1または複数のヒータを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記基準仮想モデルは、前記ガス送達システム、前記熱システム、前記流体フローライン、またはそれらの組み合わせのデジタル表現である、請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
前記基準仮想モデルは、前記流体フローラインに配置された前記熱システムの1または複数のヒータ、前記流体フローラインに配置された1または複数のセンサ、またはそれらの組み合わせの位置を提供する、請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記1または複数のヒータおよび前記1または複数のセンサの前記位置は、前記1または複数のヒータの識別情報に基づいて提供される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記動的状態モデルは、前記流体フローラインの熱プロファイル表現である、請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
前記命令は更に、表示デバイスを用いて、前記動的状態モデルと、ユーザ入力に応答して前記表示デバイスに前記性能特性のセットを選択的に表示させる1または複数のフィルタユーザインタフェース要素とを表示することを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項28】
前記命令は更に、前記半導体処理システムの1または複数の前駆体に基づいて、前記熱システムの1または複数のヒータの動作推奨を生成することを含む、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年11月4日に出願された米国特許出願第62/930,272号の優先権および利益を主張するものである。上記出願の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、ガス送達システムおよびガス排気システムを有する半導体処理システムに関し、特に、ガス送達システムおよびガス排気システムのための制御および監視システムに関する。
【背景技術】
【0003】
本項の記述は、単に本開示に関連する背景情報を提供するものであり、先行技術を構成するものではない場合がある。
【0004】
半導体処理システムは、一般に、処理チャンバと、処理チャンバにプロセスガスを送達し、また処理チャンバの外部に排気ガスを送達するためのガス送達システムとを含む。ヒータは、典型的にはガス送達システムのガスラインの付近に、場合によってはその周囲に設けられる。プロセスガスは、処理チャンバにおけるプロセスガスの反応プロセスを促進するために、プロセスガスがガス源から処理チャンバにガスラインで送達される時に所定の温度まで加熱され得る。排気ガスは、ガス除害システムにおける除害プロセスを促進するために、排気ガスが処理チャンバ外へ送達される時に加熱され得る。
【0005】
しかし、ガスライン内のプロセスガスおよび/または排気ガスを所望の温度まで加熱するために必要な熱をヒータが発生させるのには時間がかかる。ガスラインにコールドスポットが存在する場合、ガスラインに目詰まりが発生することがある。ガスライン内を流れるガスの状態は、通常、オペレータには未知である。その結果、多くの場合、目詰まりが発生する前にコールドスポットの存在を低減するようにオペレータがヒータを制御することは不可能である。
【0006】
本開示によって、様々な問題の中でも特に、ガスラインの監視およびガスを加熱するためのヒータの緩慢な応答に伴うこれらの問題が対処される。
【発明の概要】
【0007】
本項は、本開示の一般的な概要を提供するものであり、本開示の全範囲または全ての特徴を包括的に開示するものではない。
【0008】
本開示は、ガス送達システムと、熱システムと、流体フローラインとを含む半導体処理システムを監視するための方法を提供する。この方法は、ガス送達システム、熱システム、またはそれらの組み合わせからの複数の動作データを取得することと、複数の動作データのうちの1または複数の動作データに基づいて、流体フローラインの性能特性を決定することとを含む。この方法は、基準仮想モデルにおいて、1または複数の動作データに関連する1または複数の位置を識別することと、基準仮想モデル、識別された1または複数の位置、および決定された性能特性に基づいて、流体フローラインの動的状態モデルを生成することとを含み、動的状態モデルは、流体フローラインのデジタル表現である。
【0009】
いくつかの形態において、方法は更に、データベースに格納された複数の基準仮想モデルの中から、流体フローラインの基準仮想モデルを識別することを含む。
【0010】
いくつかの形態において、デジタル表現は、2次元画像および3次元画像の1つである。
【0011】
いくつかの形態において、複数の動作データは、ヒータの温度データ、流体フローラインの温度データ、ヒータの電気特性データ、ポンプのポンプデータ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0012】
いくつかの形態において、電気特性データは、ヒータの電圧、ヒータの電流、またはそれらの組み合わせを含む。
【0013】
いくつかの形態において、性能特性は、ヒータの温度データに基づく流体フロー温度値、温度データ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0014】
いくつかの形態において、性能特性は、動作データの統計分析に基づいて決定される。
【0015】
いくつかの形態において、統計分析は、既定の設定値からの偏差、動作データの時間の関数としての統計的表現、またはそれらの組み合わせである。
【0016】
いくつかの形態において、統計分析は、熱システムのヒータゾーンの統計的表現であり、ヒータゾーンは、熱システムの複数のヒータのうちの1または複数のヒータを含む。
【0017】
いくつかの形態において、基準仮想モデルは、ガス送達システム、熱システム、流体フローライン、またはそれらの組み合わせのデジタル表現である。
【0018】
いくつかの形態において、基準仮想モデルは、流体フローラインに配置された熱システムの1または複数のヒータ、流体フローラインに配置された1または複数のセンサ、またはそれらの組み合わせの位置を提供する。
【0019】
いくつかの形態において、動的状態モデルは、流体フローラインの熱プロファイル表現である。
【0020】
いくつかの形態において、方法は更に、表示デバイスを用いて、動的状態モデルと、ユーザ入力に応答して表示デバイスに性能特性のセットを選択的に表示させる1または複数のフィルタユーザインタフェース要素とを表示することを含む。
【0021】
いくつかの形態において、方法は更に、半導体処理システムの1または複数の前駆体に基づいて、熱システムの1または複数のヒータの動作推奨を生成することを含む。
【0022】
また本開示は、ガス送達システムと、熱システムと、流体フローラインとを含む半導体処理システムを監視するためのシステムも提供する。このシステムは、プロセッサと、プロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体とを含む。命令は、ガス送達システム、熱システム、またはそれらの組み合わせからの複数の動作データを取得することと、複数の動作データのうちの1または複数の動作データに基づいて、流体フローラインの性能特性を決定することとを含む。命令は、基準仮想モデルにおいて、1または複数の動作データに関連する1または複数の位置を識別することと、基準仮想モデル、識別された1または複数の位置、および決定された性能特性に基づいて、流体フローラインの動的状態モデルを生成することとを含み、動的状態モデルは、流体フローラインのデジタル表現である。
【0023】
いくつかの形態において、命令は更に、データベースに格納された複数の基準仮想モデルの中から、流体フローラインの基準仮想モデルを識別することを含む。
【0024】
いくつかの形態において、デジタル表現は、2次元画像および3次元画像の1つである。
【0025】
いくつかの形態において、複数の動作データは、ヒータの温度データ、流体フローラインの温度データ、ヒータの電気特性データ、ポンプのポンプデータ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0026】
いくつかの形態において、電気特性データは、ヒータの電圧、ヒータの電流、またはそれらの組み合わせを含む。
【0027】
いくつかの形態において、性能特性は、ヒータの温度データに基づく流体フロー温度値、温度データ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0028】
いくつかの形態において、性能特性は、動作データの統計分析に基づいて決定される。
【0029】
いくつかの形態において、統計分析は、既定の設定値からの偏差、動作データの時間の関数としての統計的表現、またはそれらの組み合わせである。
【0030】
いくつかの形態において、統計分析は、熱システムのヒータゾーンの統計的表現であり、ヒータゾーンは、熱システムの複数のヒータのうちの1または複数のヒータを含む。
【0031】
いくつかの形態において、基準仮想モデルは、ガス送達システム、熱システム、流体フローライン、またはそれらの組み合わせのデジタル表現である。
【0032】
いくつかの形態において、基準仮想モデルは、流体フローラインに配置された熱システムの1または複数のヒータ、流体フローラインに配置された1または複数のセンサ、またはそれらの組み合わせの位置を提供する。
【0033】
いくつかの形態において、動的状態モデルは、流体フローラインの熱プロファイル表現である。
【0034】
いくつかの形態において、命令は更に、表示デバイスを用いて、動的状態モデルと、ユーザ入力に応答して表示デバイスに性能特性のセットを選択的に表示させる1または複数のフィルタユーザインタフェース要素とを表示することを含む。
【0035】
いくつかの形態において、命令は更に、半導体処理システムの1または複数の前駆体に基づいて、熱システムの1または複数のヒータの動作推奨を生成することを含む。
【0036】
さらなる適用領域は、本明細書に提供された説明から明らかになる。この説明および具体例は、例示のみを目的とすることが意図され、本開示の範囲を限定することは意図されないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本開示が適切に理解されるために、以下、添付図面を参照して、例として与えられる本開示の様々な形態が説明される。
【0038】
図1】本開示の教示に係る、半導体処理システム、熱制御システム、および半導体処理システムの動作を監視するための監視システムの機能ブロック図である。
図2】本開示の教示に係る、図1の監視システムの機能ブロック図である。
図3】本開示の教示に係る、ユーザインタフェースデバイスのユーザインタフェースの概略図である。
図4】本開示の教示に係る、ユーザインタフェースデバイスのユーザインタフェースの概略図である。
図5】本開示の教示に係る、ユーザインタフェースデバイスのユーザインタフェースの概略図である。
図6】本開示の教示に係る、制御ルーチンの例を示すフローチャートである。
【0039】
本明細書で説明される図面は、単に例示を目的とするものであり、本開示の範囲をいかなるようにも限定することは意図されていない。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の説明は、本質的に単なる例であり、本開示、応用、または用途を限定することは意図されていない。図面全体を通して、対応する参照番号は、同様または対応する部品および特徴を示すことを理解すべきである。
【0041】
図1を参照すると、半導体処理システム10、半導体処理システム10の動作を監視するための監視システム30、熱制御システム120、およびユーザインタフェースデバイス130を含むシステム5が示される。1つの形態において、監視システム30、半導体処理システム10、熱制御システム120、およびユーザインタフェースデバイス130の構成要素は、有線通信プロトコルおよび/または無線通信プロトコル(たとえばBluetooth(登録商標)型プロトコル、セルラプロトコル、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)型プロトコル、近距離無線通信(NFC)プロトコル、超広帯域(UWB)プロトコルなど)を用いて通信可能に結合される。
【0042】
他の形態において、半導体処理システム10は一般に、処理チャンバ12、半導体制御システム13、ガス送達システム14、および熱システム16を含む。1つの形態において、ガス送達システム14は、ガス源18、ガス源18から処理チャンバ12にプロセスガスを送達するためのガス供給ライン20、ガス除害システム22、およびたとえば未使用プロセスガスおよび副産物などの排気ガスを処理チャンバ12からガス除害システム22に送達するための排気ライン24を含む。1つの形態では、半導体ウェハ処理に用いられるプロセスガスは、毒性、発火性、または腐食性であってよい(たとえば、様々なガスの中でも特にアンモニア、シラン、アルゴン、アルシン、および/またはホスフィン)。いくつかの形態では、未使用プロセスガスおよび有害な副産物は、ガス除害システム22に送達され、そこで、未使用プロセスガスおよび副産物は、環境に放出される前に浄化および中和される。以下、プロセスガスおよび排気ガスは集合的に「ガス」と称され得る。
【0043】
1つの形態において、熱システム16は、ガス供給ライン20および排気ライン24内を流れるガスを加熱するためにガス供給ライン20および排気ライン24に沿って様々な位置に配置された複数のヒータ25を含む。1つの形態において、複数のヒータ25は、内部のガスを加熱するためにガス供給ライン20および排気ライン24に巻き付けられた可撓性ヒータである。他の例において、複数のヒータ25は、ガス供給ライン20および排気ライン24を流れるガスを直接加熱するように配置されたカートリッジヒータである。処理チャンバ12およびガス除害システム22に送達される際にガスを加熱することにより、処理チャンバ12におけるウェハ処理およびガス除害システム22における排気ガス処理が促進される。また、ガスを加熱することにより、ガス供給ライン20および排気ライン24の壁に沿って汚染物質が堆積し、ガス供給ライン20および排気ライン24に目詰まりが生じることが抑制される。1つの形態において、複数のヒータ25は、熱制御システム120によって独立して制御される。
【0044】
1つの形態において、熱システム16は、特に、ヒータ25の温度、ヒータ25の電気特性データ(たとえばヒータ25の電圧、電流、電力、および/または抵抗)を含むがこれらに限定されない熱システムデータを測定するための複数の熱センサ26を含む。複数の熱センサ26は、特に、熱電対、抵抗温度検出器、赤外線カメラ、電流センサ、および/または電圧センサを含んでよい。
【0045】
1つの形態において、複数のヒータ25は、性能特性を生成する1または複数の熱センサに代替または追加して、性能特性を生成してよい。一例として、ヒータ25は、抵抗加熱素子の抵抗に基づいて抵抗加熱素子の平均温度を測定するためのセンサとして動作する1または複数の抵抗加熱素子を含む2線式ヒータとして提供される。詳しくは、そのような2線式ヒータは、本出願と共同所有され、その内容の全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,196,295号に開示される。2線式熱システムにおいて、熱システム16は、他を制御しながら電力、抵抗、電圧、および電流を制限するカスタマイズ可能なフィードバック制御システムにおいて、1または複数のこれらのパラメータ(すなわち電力、抵抗、電圧、および電流)を取り入れる制御手段とヒータ設計とを融合する適応型熱システムである。1つの形態において、コントローラは、抵抗加熱素子の抵抗を決定することによって温度を決定するために、抵抗加熱素子に送達される電流、電圧、および電力の少なくとも1つを監視するように構成される。
【0046】
1つの形態において、ガス送達システム14は、流体ラインデータを測定するためにガス供給ライン20および排気ライン24に近接して(すなわち隣接して、および/または付近に)配置された複数の流体ラインセンサ27を含む。一例として、複数の流体ラインセンサ27は、ガス供給ライン20および排気ライン24に取り付けられ、目詰まりの原因となり得るコールドスポット、ヒートシンク、およびシステムの劣化およびダウンタイムを招くホットスポットを監視する。1つの形態において、流体ラインデータは、ガスの温度、流量、および圧力、および使用されているプロセスガスを含んでよいが、これらに限定されない。したがって、流体ラインセンサ27は、温度センサ、圧力センサ、流量計、およびガスセンサを特に含むが、これらに限定されない。
【0047】
1つの形態において、ガス送達システム14は、たとえばポンプの温度および/または圧力などのポンプデータを測定するためにガス源18のポンプ29に近接して配置されたポンプセンサ28を含む。したがって、ポンプセンサ28は、ポンプ29の温度を測定するように構成された温度センサまたは他の同様のセンサを含んでよい。1つの形態において、ポンプの動作温度は、ポンプに近接した位置にあるヒータ25によって発生する温度を制御するために用いられ得る。具体的には、ポンプが高温で動作する場合、ポンプに隣接するヒータは、ほとんど熱を供給しない場合がある。1つの形態において、ポンプ29は、処理チャンバ12からガス除害システム22に排気ガスを移動させるように構成される。いくつかの形態において、ポンプ温度データは、半導体処理システム10の動作を制御するために、半導体処理システム10に提供され得る。
【0048】
1つの形態において、熱制御システム120は、既定の制御プロセスおよび/または監視システム30から受信した熱システムコマンドおよび/またはユーザインタフェースデバイス130から受信したユーザ入力(たとえばヒューマンマシンインタフェース(HMI))に基づいて、熱システム16に供給される電力を制御するように構成される。一例として、熱制御システム120は、熱センサデータに基づいて熱システム16に供給される電力を調整し、それによってヒータ25の少なくとも1つの温度を調整するために、比例-積分-微分(PID)制御ルーチン、モデル予測制御ルーチン、カスケード制御ルーチン、または微分制御ルーチンを既定の制御プロセスとして使用してよい。本明細書で説明するように、ユーザは、ヒータ25を制御するためにユーザインタフェースデバイス130を介して熱システムにコマンドを入力してもよい。
【0049】
1つの形態において、ヒータ25が十分に高い抵抗温度係数(TCR)を有するヒータである場合、熱制御システム120は、ヒータ25の抵抗加熱素子の抵抗に基づいて決定するように構成される。一例として、ヒータ25が2線式ヒータである場合、熱制御システム20は、2線式熱制御システムとして提供される。典型的には、2線式システムにおいて、抵抗加熱素子は、抵抗加熱素子の抵抗の変化に基づいて抵抗加熱素子の平均温度が決定されるように、温度の変化に伴い変化する抵抗を示す材料によって定義される。1つの形態において、抵抗加熱素子の抵抗は、最初に、加熱素子の両端の電圧および加熱素子に流れる電流を測定することによって計算され、その後、オームの法則を用いて抵抗が決定される。1つの形態において、抵抗に基づいて温度を決定するために、抵抗と温度との関連付け(たとえば、特にアルゴリズム、ルックアップテーブル)が用いられる。2線式熱制御システムは、ヒータに印加される所望の電力を決定するために、1または複数の制御プロセスを行うように構成される。2線式制御システムおよび関連する制御プロセスの例は、2017年6月5日に出願された、“POWER CONVERTER FOR A THERMAL SYSTEM”と題された米国共同出願第15/624,060号、および2018年8月10日に出願された、“SYSTEM AND METHOD FOR CONTROLLING POWER TO A HEATER”と題された米国共同出願第16/100,585号において説明され、これらは本出願と共同所有されており、その内容の全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0050】
1つの形態において、半導体制御システム13は、半導体処理システム10を制御するように構成され、半導体処理システム10を制御するための情報を含む。一例として、半導体制御システム13は、原子層堆積(ALD)プロセス中に、前駆体と、前駆体が処理チャンバ12内に導入される時間とを格納する。他の例として、半導体制御システム13は、たとえば目標設定値を実現するために必要な電力の割合または冷却速度などの設定値調整に対しヒータ25がどのように応答するかを示す情報を含む。
【0051】
1つの形態において、熱制御システム120は、熱システムデータを監視システム30に提供するように構成される。たとえばシステム120は、ヒータ25に供給されている電力/エネルギの量を提供する。2線式制御システムの場合、熱制御システム120は、温度、抵抗、電圧、電流、および/または電力を監視システム30に提供するように構成される。
【0052】
図2を参照すると、監視システム30は、情報処理モジュール50、分析モジュール60、動的応答モジュール70、および動的状態モデル生成モジュール80を含む。制御システム40の構成要素のいずれか1つは、同じ位置に設けられ、または(たとえば1または複数のエッジコンピューティングデバイスを介して)異なる場所に分散され、それに応じて通信可能に結合され得ることを容易に理解すべきである。動的応答モジュール70は監視システム30の一部として示されるが、動的応答モジュール70は、他の形態では監視システム30ではなく熱制御システム120の一部として実装され得ることを理解すべきである。
【0053】
1つの形態において、情報処理モジュール50は、ユーザインタフェースデバイス130から受信した動作データおよび/またはユーザ入力を処理し、適当なモジュールに動作データおよび/またはユーザ入力を提供するように構成される。動作データは、ポンプデータ、流体ラインデータ、半導体制御システムデータ、および/または熱システムデータを含む。一例として、情報処理モジュール50は、動的状態モデル生成モジュール80にユーザ入力を提供し、分析モジュール60、動的応答モジュール70、または動的状態モデル生成モジュール80の少なくとも1つに動作データを提供する。
【0054】
1つの形態において、分析モジュール60は、1または複数の動作データに統計分析を行うことによって、流体フローライン(すなわちガス供給ライン20および/または排気ライン24)、熱システム16、および/またはガス源18の性能特性を決定するように構成される。統計分析は、特に、既定の設定値からの(百分率または値としての)偏差、時間の関数としての動作データの統計的表現(たとえば、様々な統計的表現の中でも特に、平均、中央値、標準偏差、分散、最小、最大)、熱システムのヒータゾーンの統計的表現を含んでよいが、これらに限定されない。
【0055】
一例として、ヒータ25の温度に基づいて、分析モジュール60は、性能特性として、流体フローラインの熱プロファイル表現を決定する。1つの形態において、熱プロファイル表現は、特に、数値温度値、および/または流体フローラインの熱マップを提供する。他の例において、ヒータ25に印加される電力を用いて、分析モジュール60は、ヒータ25の温度をヒータ25に印加されたエネルギ量と関連付けるように構成される。具体的には、分析モジュール60は、たとえば期間にわたるヒータの平均温度および/または測定された温度および所望の温度設定値に基づくヒータの温度偏差などのヒータ25の温度特性(複数も可)と共に、ヒータ25に印加されたエネルギを追跡するように構成される。他の例として、分析モジュール60は、性能特性として、流体ラインデータによって示されるように、ガスラインの特定のエリアを所望の温度まで加熱するために必要な時間に基づいて、流体フローライン内の材料形成を決定する。
【0056】
追加の例として、ヒータ25は複数のゾーンにグループ化され、それぞれのゾーンに関連する熱システムデータは、その特定のゾーンにおける性能特性を決定するために用いられる。具体的には、分析モジュール60は、それぞれのゾーンに関連するデータに基づいて各ゾーンの分析を行う。たとえば、温度データの第1のグループが流体ラインシステムの第1のゾーンに関連する場合、分析モジュール60は、温度データの第1のグループの統計的表現に基づいて、性能特性としてゾーン温度を決定する。また他の例において、分析モジュール60は、第1のゾーンのヒータの電気特性(たとえば電力、電流、電圧、エネルギなど)の統計的表現に基づいて、ゾーン電力を決定するように構成される。温度およびエネルギデータに関して特定の例が提供されるが、分析モジュール60は、たとえばポンプデータなどの他の種類の動作データを用いて同様の統計分析を行うように構成される。また他の例として、分析モジュール60は、ポンプセンサ28からの温度データに基づいて、ポンプ29およびガス除害システム22内の排気ガスの除害に関連するデータを決定してよい。
【0057】
1つの形態において、動的応答モジュール70は、半導体制御システムデータを受信し、ヒータ25の動作推奨を熱制御システム120に動的に提供する。一例として、動的応答モジュール70は、前駆体の種類、および前駆体がいつ処理チャンバ12内に導入されるかに関連する半導体制御システムデータを受信する。既定の制御モデルおよび/またはアルゴリズムおよび分析モジュール60からのデータを用いて、動的応答モジュール70は、1または複数のヒータの動作推奨(たとえばヒータ25の推奨設定値)を決定し、その推奨を熱制御システム120に提供する。前駆体の例は、処理チャンバ内に導入される新たなウェハ、新たなガスおよび/または追加のガス、および/または洗浄サイクルの時間を含むが、これらに限定されない。1つの形態において、既定の制御モデルおよび/またはアルゴリズムは、所与の前駆体がシステム10に作用した場合の半導体処理システム10の応答を示す履歴データおよび/または実験に基づいて決定される。したがって、動的応答モジュール70からの動作推奨を用いて、熱制御システム120は、たとえば新たなウェハまたはプロセスの開始前にヒータ25の設定値を調整し、ヒータ25の応答を改善してよい。
【0058】
1つの形態において、動的状態モデル生成モジュール80は、対応する流体フローラインおよび分析モジュール60によって決定された性能特性を表す2次元または3次元画像の1つである、流体フローラインの動的状態モデルを生成するように構成される。1つの形態において、動的状態モデル生成モジュール80は、基準仮想モデルデータベース90、マッピングモジュール100、およびユーザインタフェースモジュール110を含む。
【0059】
1つの形態において、基準仮想モデルデータベース90は、複数の基準仮想モデルを含み、各基準仮想モデルは、半導体処理システム10におけるそれぞれの構成要素およびその位置のデジタル表現である。一例として、第1の基準仮想モデルは、ガス供給ライン20のサイズおよび位置のデジタル表現に対応し、第2の基準仮想モデルは、排気ライン24のサイズおよび位置のデジタル表現に対応する。また、追加の基準仮想モデルは、ヒータ25、熱センサ26、処理チャンバ12、および/または半導体処理システム10の他の任意の構成要素のサイズおよび/または位置に対応してよい。
【0060】
1つの形態において、マッピングモジュール100は、識別された基準仮想モデル内の1または複数の動作データに関連する1または複数の位置を識別する。一例として、マッピングモジュール100は、熱センサ26および/または対応するヒータ25を一意に識別する熱システムデータの識別情報に基づいて、熱センサ26および/または対応するヒータ25の位置を識別する。1つの形態において、マッピングモジュール100は、基準仮想モデル、識別された1または複数の位置、および/または決定された性能特性に基づいて、動的状態モデルを生成する。1つの形態において、動的状態モデルは、流体フローラインおよび分析モジュール60によって決定された性能特性(たとえば熱プロファイル表現)を表す2次元画像である。
【0061】
1つの形態において、ユーザインタフェースモジュール110は、ユーザによる表示および視覚化のために、ユーザインタフェースコマンドとして、動的状態モジュールをユーザインタフェースデバイス130に提供する。いくつかの形態において、ユーザインタフェースモジュール110は、ユーザによる表示および視覚化のために、動作データ、統計分析、および/または動的応答をユーザインタフェースデバイス130に提供してもよい。
【0062】
応用例において、動的応答モジュール70は、動作データ、性能特性(たとえば統計分析)、および調整推奨をマッピングモジュール100に提供する。それに応じて、マッピングモジュール100は、基準仮想モデル、動作データに関連する識別された1または複数の位置、および決定された性能特性に基づいて、動的状態モデルを生成する。また、マッピングモジュール100は、動的応答モジュール70によって生成された調整推奨に基づいて、熱システム14を制御するための動的応答レポートおよびユーザインタフェース要素を生成する。その後、ユーザインタフェースモジュール110は、動的状態モデル、動的応答レポート、およびユーザインタフェース要素を表示するようにユーザインタフェースデバイス130にユーザインタフェースコマンドを送信する。ユーザインタフェース要素は、ユーザが、たとえば熱システムコマンドを介して熱システム16に提供される電力およびヒータ25の少なくとも1つの温度を調整することなど、熱システム14のパラメータを調整することを可能にし得る。いくつかの形態において、ユーザインタフェース要素は、ユーザが、半導体処理システム10の所望の動作データのみを閲覧するために動的応答レポートをフィルタリングすることを可能にし得る。
【0063】
図3を参照すると、ユーザインタフェースモジュール110によって生成され、ユーザインタフェースデバイス130によって表示されるインタフェース例300が示される。インタフェース300は、半導体処理システム10の流体フローラインの2次元仮想画像である動的状態モデルを含む。いくつかの形態において、動的状態モデル302は、それぞれの流体フローラインが予想される動作状態(たとえば正常動作状態)で動作しているか、予想外の動作状態(たとえば異常動作)で動作しているかを示す既定の色または他の区別可能なグラフィックを選択的に出力する、オーバレイ状態領域304を含む。たとえば、オーバレイ状態領域304は、正常動作の場合は緑色、異常動作の場合は赤色、動作状態が所定の閾値範囲内にある場合は黄色として示され得る。いくつかの形態において、インタフェース300は、アラームの種類および/または予想外/最適未満の動作状態に関連する時間を示すアラームバー要素306を含む。
【0064】
いくつかの形態において、インタフェース300は、ユーザによって選択されると、ユーザインタフェースデバイス130に、選択されたフィルタ要素に関連する関連情報を表示させる、メニューフィルタ要素310、312、314、316、318、320、322、324を含む。一例として、フィルタ要素310の選択により、ユーザインタフェースデバイス130は、動的状態モデル402と、対応する位置におけるそれぞれの流体フローラインが予想される動作状態で動作しているか予想外の動作状態で動作しているかを示す既定の色または他の区別可能なグラフィックを選択的に出力する状態領域404、406とを含む、図4に示すユーザインタフェース400を表示してよい。また、ユーザインタフェース400は、動作データの傾向を時間の関数として示すトレンドグラフ408を含んでよい。
【0065】
他の例として、フィルタ要素324の選択により、ユーザインタフェースデバイス130は、それぞれの流体フローラインの各ヒータゾーンに関するヒータゾーン情報(たとえば、特に温度、ワット数、電圧、圧力、抵抗)を示すメニュー502を含む、図5に示すユーザインタフェース500を表示してよい。特定の例が示されたが、ユーザインタフェースは、様々な情報の中でも特に、仮想画像、流体フローラインの状態を提供するために、様々な適切な方法で構成され得る。
【0066】
図6を参照すると、半導体処理システム10を監視するためのルーチン600が示され、監視システム30によって行われる。604において、監視システム30は、ガス送達システム、熱システム、またはそれらの組み合わせからの複数の動作データを取得する。608において、監視システム30は、動作データに基づいて流体フローラインの性能特性を決定する。612において、監視システム30は、流体フローラインに関連する基準仮想モデルにおいて、動作データに関連する1または複数の位置を識別する。616において、監視システム30は、基準仮想モデル、識別された1または複数の位置、および決定された性能特性に基づいて、流体フローラインの動的状態モデルを生成する。
【0067】
本明細書で説明される監視システム30により、異なるプロセスガスが流体フローラインを流れる時の半導体処理システム10の変化、およびそれらが上述した変数に及ぼす影響を視覚化することが可能である。ラインに供給されるエネルギは、それぞれの制御ゾーンに視覚化され、半導体処理システム10は、効率に関して最適化されることが可能である。加えて、目詰まりをもたらし得るガス供給ライン20または排気ライン24におけるコールドスポットがシステムメンテナンスのために識別および位置特定され得る。目詰まり予測位置をマッピングすることにより、メンテナンスチームは、ラインを取り外して交換する必要のある場所を特定することができる。一例として、熱データは、流体ラインセンサ27によって収集され得る。動的状態モデル生成モジュール80は、熱データをコンパイルし、温度に基づいて異なる色で熱データを示し得る仮想画像にフォーマット化する。したがって、オペレータは、色に基づいて、流体フローライン上で温度が均一であるか、および/またはコールドスポットの位置を決定することができる。
【0068】
また、本明細書で説明される監視システム30は、測定データおよびその統計分析に基づいて仮想マッピングを行い、オペレータに関心のあるデータの仮想表現を提供する仮想画像を生成する。したがって、オペレータは、目詰まりが発生する前に、コールドスポットの位置および目詰まりの可能性を識別することができる。また、監視システム30は、ガス源18の動作を向上させ、またはガス源18の動作を検証する命令を提供することができる。本明細書で説明される監視システム30を用いることにより、熱損失を低減し効率を高めるために、収集および分析されたデータの視覚化が用いられ得る。
【0069】
本明細書において特に明示されない限り、機械/熱特性、組成割合、寸法および/または公差、または他の特性を示す全ての数値は、本開示の範囲を説明する上で「約」または「およそ」という言葉で修飾されるものとして理解すべきである。この修飾は、工業的慣行、材料、製造、および組立ての交差、および試験性能を含む様々な理由により望まれる。
【0070】
本明細書で用いられる場合、A、B、およびCの少なくとも1つという表現は、非排他的論理和を用いた論理値(AまたはBまたはC)を意味するものと解釈すべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つ」を意味するものと解釈すべきではない。
【0071】
本開示の説明は本質的に単なる典型例であり、したがって本開示の本質から逸脱するものではない変形例は、本開示の範囲内であることが意図されている。そのような変形例は、本開示の主旨および範囲からの逸脱と見なされてはならない。
【0072】
図において、矢尻で示すような矢印の方向は、一般に、図に関する(たとえばデータまたは命令などの)情報の流れを示す。たとえば、要素Aおよび要素Bが様々な情報を交換するが、要素Aから要素Bに送信される情報が図に関連する場合、矢印は要素Aから要素Bを指し得る。この一方向の矢印は、要素Bから要素Aに他の情報が送信されないことを意味するものではない。また、要素Aから要素Bに送信される情報に関して、要素Bは、情報の要求または受信確認を要素Aに送信してよい。
【0073】
本出願において、コントローラという用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル、アナログ、またはアナログ/デジタル混合のディスクリート回路、デジタル、アナログ、またはアナログ/デジタル混合の集積回路、組み合わせ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサ回路(共有、専用、またはグループ)、プロセッサ回路によって実行されるコードを格納するメモリ回路(共有、専用、またはグループ)、たとえば特に動作ドライバおよびシステム、トランシーバ、ルータ、入力/出力インタフェースハードウェアなどであるがこれらに限定されない説明された機能を提供する他の適当なハードウェア部品、またはたとえばシステムオンチップなどの上記の一部または全ての組み合わせを指し、その一部であり、またはそれらを含んでよい。
【0074】
メモリという用語は、コンピュータ可読媒体という用語のサブセットである。コンピュータ可読媒体という用語は、本明細書で用いられる場合、媒体を通って(たとえば搬送波上で)伝搬する一時的な電気または電磁信号を包括せず、コンピュータ可読媒体という用語は、有形かつ非一時的であると考えられ得る。非一時的な有形コンピュータ可読媒体の例は、不揮発性メモリ回路(たとえばフラッシュメモリ回路、消去可能プログラマブル読取専用メモリ回路、またはマスク読取専用回路など)、揮発性メモリ回路(たとえば静的ランダムアクセスメモリ回路または動的ランダムアクセスメモリ回路など)、磁気記憶媒体(たとえばアナログまたはデジタル磁気テープまたはハードディスクドライブなど)、および光学記憶媒体(たとえばCD、DVD、またはBlu-ray(登録商標)ディスクなど)である。
【0075】
本出願で説明される装置および方法は、コンピュータプログラムにおいて具体化される1または複数の機能を実行するように汎用コンピュータを構成することによって作られた専用コンピュータによって部分的または完全に実現され得る。上述した機能ブロック、フローチャートの構成要素、および他の要素は、熟練した技術者またはプログラマのルーチンワークによってコンピュータプログラムに書き換えられ得るソフトウェア仕様書としての機能を果たす。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
ガス送達システムと、熱システムと、流体フローラインとを含む半導体処理システムを監視するための方法であって、
前記ガス送達システム、前記熱システム、またはそれらの組み合わせからの複数の動作データを取得することと、
前記複数の動作データのうちの1または複数の動作データに基づいて、前記流体フローラインの性能特性を決定することと、
基準仮想モデルにおいて、前記1または複数の動作データに関連する1または複数の位置を識別することと、
前記基準仮想モデル、前記識別された1または複数の位置、および前記決定された性能特性に基づいて、前記流体フローラインのデジタル表現である、前記流体フローラインの動的状態モデルを生成することと
を備える方法。
[2]
データベースに格納された複数の基準仮想モデルの中から、前記流体フローラインの前記基準仮想モデルを識別することを更に備える、[1]に記載の方法。
[3]
前記デジタル表現は、2次元画像および3次元画像の1つである、[1]に記載の方法。
[4]
前記複数の動作データは、ヒータの温度データ、前記流体フローラインの温度データ、前記ヒータの電気特性データ、ポンプのポンプデータ、またはそれらの組み合わせを含む、[1]に記載の方法。
[5]
前記電気特性データは、前記ヒータの電圧、前記ヒータの電流、またはそれらの組み合わせを含む、[4]に記載の方法。
[6]
前記性能特性は、前記ヒータの前記温度データに基づく流体フロー温度値、前記温度データ、またはそれらの組み合わせを含む、[4]に記載の方法。
[7]
前記性能特性は、前記動作データの統計分析に基づいて決定される、[1]に記載の方法。
[8]
前記統計分析は、既定の設定値からの偏差、前記動作データの時間の関数としての統計的表現、またはそれらの組み合わせである、[7]に記載の方法。
[9]
前記統計分析は、前記熱システムのヒータゾーンの統計的表現であり、前記ヒータゾーンは、前記熱システムの複数のヒータのうちの1または複数のヒータを含む、[7]に記載の方法。
[10]
前記基準仮想モデルは、前記ガス送達システム、前記熱システム、前記流体フローライン、またはそれらの組み合わせのデジタル表現である、[1]に記載の方法。
[11]
前記基準仮想モデルは、前記流体フローラインに配置された前記熱システムの1または複数のヒータ、前記流体フローラインに配置された1または複数のセンサ、またはそれらの組み合わせの位置を提供する、[1]に記載の方法。
[12]
前記1または複数のヒータおよび前記1または複数のセンサの前記位置は、前記1または複数のヒータの識別情報に基づいて提供される、[11]に記載の方法。
[13]
前記動的状態モデルは、前記流体フローラインの熱プロファイル表現である、[1]に記載の方法。
[14]
表示デバイスを用いて、前記動的状態モデルと、ユーザ入力に応答して前記表示デバイスに前記性能特性のセットを選択的に表示させる1または複数のフィルタユーザインタフェース要素とを表示することを更に備える、[1]に記載の方法。
[15]
前記半導体処理システムの1または複数の前駆体に基づいて、前記熱システムの1または複数のヒータの動作推奨を生成することを更に備える、[1]に記載の方法。
[16]
ガス送達システムと、熱システムと、流体フローラインとを含む半導体処理システムを監視するためのシステムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体と
を備え、前記命令は、
前記ガス送達システム、前記熱システム、またはそれらの組み合わせからの複数の動作データを取得することと、
前記複数の動作データのうちの1または複数の動作データに基づいて、前記流体フローラインの性能特性を決定することと、
基準仮想モデルにおいて、前記1または複数の動作データに関連する1または複数の位置を識別することと、
前記基準仮想モデル、前記識別された1または複数の位置、および前記決定された性能特性に基づいて、前記流体フローラインのデジタル表現である、前記流体フローラインの動的状態モデルを生成することと
を含む、システム。
[17]
前記命令は更に、データベースに格納された複数の基準仮想モデルの中から、前記流体フローラインの前記基準仮想モデルを識別することを含む、[16]に記載のシステム。
[18]
前記デジタル表現は、2次元画像および3次元画像の1つである、[16]に記載のシステム。
[19]
前記複数の動作データは、ヒータの温度データ、前記流体フローラインの温度データ、前記ヒータの電気特性データ、ポンプのポンプデータ、またはそれらの組み合わせを含む、[16]に記載のシステム。
[20]
前記電気特性データは、前記ヒータの電圧、前記ヒータの電流、またはそれらの組み合わせを含む、[19]に記載のシステム。
[21]
前記性能特性は、前記ヒータの前記温度データに基づく流体フロー温度値、前記温度データ、またはそれらの組み合わせを含む、[19]に記載のシステム。
[22]
前記性能特性は、前記動作データの統計分析に基づいて決定される、[16]に記載のシステム。
[23]
前記統計分析は、既定の設定値からの偏差、前記動作データの時間の関数としての統計的表現、またはそれらの組み合わせである、[22]に記載のシステム。
[24]
前記統計分析は、前記熱システムのヒータゾーンの統計的表現であり、前記ヒータゾーンは、前記熱システムの複数のヒータのうちの1または複数のヒータを含む、[22]に記載のシステム。
[25]
前記基準仮想モデルは、前記ガス送達システム、前記熱システム、前記流体フローライン、またはそれらの組み合わせのデジタル表現である、[16]に記載のシステム。
[26]
前記基準仮想モデルは、前記流体フローラインに配置された前記熱システムの1または複数のヒータ、前記流体フローラインに配置された1または複数のセンサ、またはそれらの組み合わせの位置を提供する、[16]に記載のシステム。
[27]
前記1または複数のヒータおよび前記1または複数のセンサの前記位置は、前記1または複数のヒータの識別情報に基づいて提供される、[26]に記載のシステム。
[28]
前記動的状態モデルは、前記流体フローラインの熱プロファイル表現である、[16]に記載のシステム。
[29]
前記命令は更に、表示デバイスを用いて、前記動的状態モデルと、ユーザ入力に応答して前記表示デバイスに前記性能特性のセットを選択的に表示させる1または複数のフィルタユーザインタフェース要素とを表示することを含む、[16]に記載のシステム。
[30]
前記命令は更に、前記半導体処理システムの1または複数の前駆体に基づいて、前記熱システムの1または複数のヒータの動作推奨を生成することを含む、[16]に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6