(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-07
(45)【発行日】2025-05-15
(54)【発明の名称】磁気薄膜記録ヘッド・モジュール
(51)【国際特許分類】
G11B 5/584 20060101AFI20250508BHJP
G11B 21/10 20060101ALI20250508BHJP
G11B 5/53 20060101ALI20250508BHJP
G11B 21/08 20060101ALI20250508BHJP
G11B 5/31 20060101ALI20250508BHJP
【FI】
G11B5/584
G11B21/10 W
G11B5/53 101C
G11B21/08 V
G11B5/31 L
(21)【出願番号】P 2022541954
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(86)【国際出願番号】 IB2021050066
(87)【国際公開番号】W WO2021148893
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-06-22
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】シーグル、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ビスケボーン、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ロー、カルヴィン
【審査官】松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-052306(JP,A)
【文献】特表2016-524774(JP,A)
【文献】特開2005-122838(JP,A)
【文献】特開2007-287191(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0039082(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B5/31-5/325
5/48-5/53
5/56-5/60
21/08-21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールを備える装置であって、前記モジュールは、
第1のタイプのデータ・トランスデューサの第1のアレイと、
前記第1のタイプのデータ・トランスデューサの第1のアレイの上の第1の電気遮蔽層と、
前記第1の電気遮蔽層の上の第2のタイプのデータ・トランスデューサのアレイと、
前記第2のタイプのデータ・トランスデューサのアレイの上の第2の電気遮蔽層と、
前記第2の電気遮蔽層の上の前記第1または第2のタイプのデータ・トランスデューサの第2のアレイと、
前記第1のアレイにおける前記第1のタイプのデータ・トランスデューサから前記モジュールの第1のパッド・エリアまで延びる第1のリードと、
前記第2のタイプのデータ・トランスデューサから、前記第1のパッド・エリアから離間された前記モジュールの第2のパッド・エリアまで延びる第2のリードと、
前記第2のアレイにおける前記データ・トランスデューサから、前記第1および第2のパッド・エリアから離間された前記モジュールの第3のパッド・エリアまで延びる第3のリードと、
を有
し、
前記第2のタイプのデータ・トランスデューサのアレイに平行な方向における前記電気遮蔽層のうちの少なくとも1つの幅は、前記第2のリードのうちの最も外側のリード間の距離よりも大きい、
装置。
【請求項2】
前記幅は、最も近くに配置された前記第1のパッド・エリア内のパッドと前記第3のパッド・エリア内のパッドとの間の距離未満である、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の電気遮蔽層は前記第1および第2のリード間に配置され、前記第2の電気遮蔽層は前記第2および第3のリード間に配置される、請求項1
または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のリードは第1の平面に沿って置かれ、前記第2のリードは、前記第1の平面から離間された、前記第1の平面の上の第2の平面に沿って置かれ、前記第3のリードは、前記第2の平面から離間された、前記第2の平面の上の第3の平面に沿って置かれる、請求項1ないし
3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記電気遮蔽層は、互いに電気的に接続される、請求項1ないし
4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記電気遮蔽層は、回路グラウンドに電気的に結合される、請求項1ないし
5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記第1のタイプのデータ・トランスデューサの第1のアレイの下の第3の電気遮蔽層と、前記第1または第2のタイプのデータ・トランスデューサの第2のアレイの上の第4の電気遮蔽層とを備える、請求項1ないし6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記第1のタイプのデータ・トランスデューサは読取りトランスデューサであり、
前記第2のタイプのデータ・トランスデューサは書込みトランスデューサである、
請求項1
ないし7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記読取りトランスデューサの側面に位置するサーボ読取りトランスデューサをさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記モジュールの上で磁気媒体を通過させるための駆動機構と、
前記データ・トランスデューサのアレイに電気的に結合されたコントローラと、
をさらに備える、請求項1ないし9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
モジュールを製造するための方法であって、前記方法は、
第1のタイプのデータ・トランスデューサの第1のアレイを形成することと、
前記第1のタイプのデータ・トランスデューサの第1のアレイの上に第1の電気遮蔽層を形成することと、
前記第1の電気遮蔽層の上に第2のタイプのデータ・トランスデューサのアレイを形成することと、
前記第2のタイプのデータ・トランスデューサのアレイの上に第2の電気遮蔽層を形成することと、
前記第2の電気遮蔽層の上に前記第1または第2のタイプのデータ・トランスデューサの第2のアレイを形成することと、
前記第1のアレイにおける前記第1の
タイプのデータ・トランスデューサから前記モジュールの第1のパッド・エリアまで延びる第1のリードを形成することと、
前記第2のタイプのデータ・トランスデューサから、前記第1のパッド・エリアから離間された前記モジュールの第2のパッド・エリアまで延びる第2のリードを形成することと、
前記第2のアレイにおける前記データ・トランスデューサから、前記第1および第2のパッド・エリアから離間された前記モジュールの第3のパッド・エリアまで延びる第3のリードを形成することと、
を含み、
前記第2のタイプのデータ・トランスデューサのアレイに平行な方向における前記第1または第2の電気遮蔽層のうちの少なくとも1つの幅は、前記第2のリードのうちの最も外側のリード間の距離よりも大きい、
方法。
【請求項12】
前記幅は、最も近くに配置された前記第1のパッド・エリア内のパッドと前記第3のパッド・エリア内のパッドとの間の距離未満である、
請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、データ・ストレージ・システムに関し、より詳細には、クロストークを低減するための電気遮蔽層を有する磁気記録ヘッド・モジュール、およびそのようなモジュールを組み込む関連システムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ストレージ・システムにおいて、磁気トランスデューサが磁気記録媒体からデータを読み出し、データを磁気記録媒体上に書き込む。データは、磁気記録トランスデューサを磁気記録媒体上のデータが格納されるべき位置に移動させることによって、この媒体上に書き込まれる。次に、磁気記録トランスデューサは磁場を発生させ、これによりデータを磁気媒体内にエンコードする。データは、磁気読取りトランスデューサを同様に配置し、次いで磁気媒体の磁場を検知することによって媒体から読み取られる。読取りおよび書込み動作は、媒体上の所望の場所に対しデータの読取りおよび書込みを行うことができることを保証するために、独立して媒体の動きと同期させることができる。
【0003】
データ・ストレージ産業における重要かつ継続的な目標は、媒体上に格納されるデータの密度を高めることである。磁気ストレージ・システムの場合、その目標は、記録媒体上のトラックおよび線形ビット密度を高めること、および、いくつかの場合、磁気記録媒体の厚さを薄くすることにつながった。しかしながら、フットプリントが小さい、より高性能の磁気記録システムの開発は、そうしたシステムで用いるための磁気ヘッド・アセンブリの設計から、媒体寸法の不安定性への対処に至る、種々の問題を生じさせた。
【0004】
これまで磁気ヘッド・アセンブリのさらなる小型化を阻んできた1つの特定の問題は、クロストークの問題である。クロストークは、主に、隣接するリード間の誘導結合および容量結合の結果として生じる。リード間のクロストークは、リードバック信号においてノイズのように見え、これは、重大な信号対雑音比に悪影響を及ぼし、データ速度の制限、読取り誤り率の増大等につながる。
【0005】
いくつかの磁気ストレージ・システムは、書込み時読取り(read-while-write)検証を利用する。ここでは、書き込まれたばかりのデータが後続の(trailing)読取りトランスデューサ・アレイによって読み取られ、データが正しく書き込まれたことが検証される。今日の寸法での近年の磁気ヘッド・アセンブリにおけるライタ・リードとリーダ・リードとの間のクロストークは、これまで、単一のモジュールにおいて同時にアクティブな書込みおよび読取りトランスデューサ・アレイの使用を阻止するほどに深刻であると考えられてきた。したがって、近年の磁気データ・ストレージ・システムは、書込み時読取り検証中に同時にアクティブである読取りトランスデューサのアレイおよび書込みトランスデューサのアレイを収容するために、別個のモジュールを利用してきた。
【0006】
不都合なことに、同時にアクティブなアレイを別個のモジュールに分離する結果として、独自のいくつかの問題が生じる。製造中、各モジュールは、ウェハ後処理をされなくてはならず、それによって3モジュール・ヘッドは3つのウェハ後工程を必要とする。さらに、別個のモジュールにおけるアレイの位置合わせは非常に困難であり、結果としてヘッド間の位置合わせの大きなばらつきが生じる。各モジュールは、別個のケーブルを有し、コストが増大する。加えて、マルチ・モジュール・ヘッドの重量がより大きいことにより、トラック追従のためにより多くの電力が必要となり、ヘッドの動きの軽快さが下がる。
【発明の概要】
【0007】
1つの手法による装置は、読取りトランスデューサの第1のアレイを有するモジュールを備える。第1の電気遮蔽層が読取りトランスデューサの第1のアレイの上に配置される。書込みトランスデューサのアレイが第1の電気遮蔽層の上に配置される。書込みトランスデューサのアレイの上に第2の電気遮蔽層が配置される。第2の電気遮蔽層の上に読取りトランスデューサの第2のアレイが配置される。
【0008】
電気遮蔽層は、中央アレイにおけるトランスデューサおよびそのリード構造を、トランスデューサの外側アレイにおけるトランスデューサおよびそのリード構造から電気的に絶縁し、これによって、それらの間のクロストークを低減するのに役立つ。
【0009】
いくつかの手法では、装置は、第1のアレイにおける読取りトランスデューサからモジュールの第1のパッド・エリアまで延びる第1のリードと、書込みトランスデューサから、第1のパッド・エリアから離間されたモジュールの第2のパッド・エリアまで延びる第2のリードと、第2のアレイにおける読取りトランスデューサから、第1および第2のパッド・エリアから離間されたモジュールの第3のパッド・エリアまで延びる第3のリードとを備える。
【0010】
読取りパッドおよび書込みパッドを別個のグループに分離することによって、リードのセット間のクロストークをさらに低減するのみでなく、ケーブルへの電気接続の導入も可能にし、それによって、分離を維持することができるようにケーブルを設計し、これによりケーブルにおけるクロストークを回避することができる。
【0011】
いくつかの手法では、第1のリードは第1の平面に沿って位置し、第2のリードは、第1の平面の上に第1の平面から離間されてある第2の平面に沿って位置し、第3のリードは、第2の平面の上に第2の平面から離間されてある第3の平面に沿って位置する。この構成によって、各アレイのリード層が電気遮蔽層によって絶縁されること、および読取りトランスデューサ・パッドが書込みトランスデューサ・パッドから解き放されるようにパッドにトランスデューサを接続することを可能にし、それによって、別個のグループ内で各アレイにケーブリングすることが可能になり、これによりさらにクロストークが低減される。
【0012】
1つの手法による装置が、書込みトランスデューサの第1のアレイを有するモジュールを備える。第1の電気遮蔽層が書込みトランスデューサの第1のアレイの上に配置される。読取りトランスデューサのアレイが第1の電気遮蔽層の上に配置される。読取りトランスデューサのアレイの上に第2の電気遮蔽層が配置される。第2の電気遮蔽層の上に書込みトランスデューサの第2のアレイが配置される。
【0013】
電気遮蔽層は、中央アレイにおけるトランスデューサおよびそのリード構造を、トランスデューサの外側アレイにおけるトランスデューサおよびそのリード構造から電気的に絶縁し、これによって、それらの間のクロストークを低減するのに役立つ。
【0014】
いくつかの手法では、装置は、第1のアレイにおける書込みトランスデューサからモジュールの第1のパッド・エリアまで延びる第1のリードと、読取りトランスデューサから、第1のパッド・エリアから離間されたモジュールの第2のパッド・エリアまで延びる第2のリードと、第2のアレイにおける書込みトランスデューサから、第1および第2のパッド・エリアから離間されたモジュールの第3のパッド・エリアまで延びる第3のリードとを備える。
【0015】
読取りパッドおよび書込みパッドを別個のグループに分離することによって、リードのセット間のクロストークをさらに低減するのみでなく、ケーブルへの電気接続の導入も可能にし、それによって、分離を維持することができるようにケーブルを設計し、これによりケーブルにおけるクロストークを回避することができる。
【0016】
いくつかの手法では、第1のリードは第1の平面に沿って位置し、第2のリードは、第1の平面の上に第1の平面から離間されてある第2の平面に沿って位置し、第3のリードは、第2の平面の上に第2の平面から離間されてある第3の平面に沿って位置する。この構成によって、各アレイのリード層が電気遮蔽層によって絶縁されること、および読取りトランスデューサ・パッドが書込みトランスデューサ・パッドから解き放されるようにパッドにトランスデューサを接続することを可能にし、それによって、別個のグループ内で各アレイにケーブリングすることが可能になり、これによりさらにクロストークが低減される。
【0017】
1つの手法による、モジュールを製造するための方法は、第1のタイプのデータ・トランスデューサの第1のアレイを形成することと、データ・トランスデューサの第1のアレイの上に第1の電気遮蔽層を形成することと、第1の電気遮蔽層の上に第2のタイプのデータ・トランスデューサのアレイを形成することとを含む。第2の電気遮蔽層が、第2のタイプのデータ・トランスデューサのアレイの上に形成される。データ・トランスデューサの第2のアレイが、第2の電気遮蔽層の上に形成される。
【0018】
電気遮蔽層は、中央アレイにおけるトランスデューサおよびそのリード構造を、トランスデューサの外側アレイにおけるトランスデューサおよびそのリード構造から電気的に絶縁し、これによって、それらの間のクロストークを低減するのに役立つ。
【0019】
これらの手法のうちの任意のものを、磁気ヘッドと、磁気ヘッドの上で磁気媒体(例えば、記録テープ)を通過させるための駆動機構と、磁気ヘッドに電気的に結合されたコントローラとを備えることができる、テープ・ドライブ・システム等の磁気データ・ストレージ・システムと併せて実施することができる。
【0020】
このため、本発明は、単一のモジュールにおける読取りトランスデューサのアレイおよび書込みトランスデューサのアレイの同時使用を可能にしながらクロストークを除去しようとする装置を提供する。
【0021】
本発明の他の態様は、図面との関連で解釈するときに本発明の原理を例として示す以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】本発明の1つの手法による、簡略化されたテープ・ドライブ・システムの概略図である。
【
図1B】1つの手法による、テープ・カートリッジの概略図である。
【
図2A】1つの手法による、フラットラップ型(flat-lapped)、双方向単一モジュールの磁気テープ・ヘッドの側面図を示す。
【
図2B】
図2Aの線2Bから見たテープ・ベアリング面の図である。
【
図3A】1つの手法による、書込み/読取り/書込み構成を有するモジュールの部分的なテープ・ベアリング面の図である。
【
図4】1つの手法による、モジュールの部分的なテープ・ベアリング面の図である。
【
図5A】1つの手法による、
図2Cに示されているようなモジュールを形成するためのプロセスを示す図である。具体的には、読取りトランスデューサの1つを示す部分的な媒体対向面の断面図である。
【
図5B】1つの手法による、
図2Cに示されているようなモジュールを形成するためのプロセスを示す図である。具体的には、
図5Aに示された構造を含むウェハの部分的な上面図である。
【
図5C】1つの手法による、
図2Cに示されているようなモジュールを形成するためのプロセスを示す図(断面図)である。
【
図5D】1つの手法による、
図2Cに示されているようなモジュールを形成するためのプロセスを示す図(上面図)である。
【
図5E】1つの手法による、
図2Cに示されているようなモジュールを形成するためのプロセスを示す図(断面図)である。
【
図5F】1つの手法による、
図2Cに示されているようなモジュールを形成するためのプロセスを示す図(上面図)である。
【
図5G】1つの手法による、
図2Cに示されているようなモジュールを形成するためのプロセスを示す図(断面図)である。
【
図5H】1つの手法による、
図2Cに示されているようなモジュールを形成するためのプロセスを示す図(上面図)である。
【
図5I】1つの手法による、
図2Cに示されているようなモジュールを形成するためのプロセスを示す図(断面図)である。
【
図5J】1つの手法による、
図2Cに示されているようなモジュールを形成するためのプロセスを示す図(上面図)である。
【
図6】テープ・テンティング(tape tenting)の原理を示す概略図である。
【
図7】1つの手法による、磁気テープ上に記憶されたファイルおよびインデックスの代表的図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明は、本発明の一般的な原理を説明するためのものであり、本明細書に主張されている本発明の概念を限定することを意図したものではない。さらに、本明細書に記載されている特定の特徴は、記載されている他の特徴と、可能な様々な組合せおよび並べ替えの各々で、組み合わせて使用可能である。
【0024】
本明細書に別様に規定されていない限り、全ての用語は、本明細書から暗示される意味、ならびに当業者によって理解される、または辞書、論文等に規定されている、あるいはその両方である意味を含む、それぞれの可能な最も広い意味を用いて解釈されるものとする。
【0025】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、別様の規定がない限り、単数形(「a」、「an」、および「the」)は複数の指示対象を含むことにも留意されなくてはならない。
【0026】
以下の説明は、磁気データ・ストレージ・システムのいくつかの好ましい態様、ならびにその動作または構成要素あるいはその両方を開示する。
【0027】
1つの概括的な手法において、装置が、読取りトランスデューサの第1のアレイを有するモジュールを備える。第1の電気遮蔽層が読取りトランスデューサの第1のアレイの上に配置される。書込みトランスデューサのアレイが第1の電気遮蔽層の上に配置される。書込みトランスデューサのアレイの上に第2の電気遮蔽層が配置される。第2の電気遮蔽層の上に読取りトランスデューサの第2のアレイが配置される。
【0028】
別の概括的な手法において、装置が、書込みトランスデューサの第1のアレイを有するモジュールを備える。第1の電気遮蔽層が書込みトランスデューサの第1のアレイの上に配置される。読取りトランスデューサのアレイが第1の電気遮蔽層の上に配置される。読取りトランスデューサのアレイの上に第2の電気遮蔽層が配置される。第2の電気遮蔽層の上に書込みトランスデューサの第2のアレイが配置される。
【0029】
さらに別の概括的な手法において、モジュールを製造するための方法が、第1のタイプのデータ・トランスデューサの第1のアレイを形成することと、データ・トランスデューサの第1のアレイの上に第1の電気遮蔽層を形成することと、第1の電気遮蔽層の上に第2のタイプのデータ・トランスデューサのアレイを形成することとを含む。第2の電気遮蔽層が、第2のタイプのデータ・トランスデューサのアレイの上に形成される。データ・トランスデューサの第2のアレイが、第2の電気遮蔽層の上に形成される。
【0030】
図1Aは、本発明との関連において用いることができるテープ・ベースのデータ・ストレージ・システムの簡略化されたテープ・ドライブ100を示す。
図1Aにはテープ・ドライブの特定の一実装が示されているが、本明細書で説明される態様は、任意のタイプのテープ・ドライブ・システムにおいて実装可能であることに留意されたい。
【0031】
図に示されるように、テープ122を支持するために、テープ供給カートリッジ120および巻き取りリール121が提供される。リールのうちの1つまたは複数は取り外し可能カートリッジの一部を形成する場合があり、必ずしもテープ・ドライブ100の一部ではない。
図1Aに示されるようなテープ・ドライブは、テープ供給カートリッジ120を駆動するためのドライブ・モータと、任意のタイプのテープ・ヘッド126の上でテープ122を移動させるための巻き取りリール121とをさらに含み得る。こうしたヘッドは、読取りトランスデューサ(リーダとも呼ばれる)、書込みトランスデューサ(当技術分野ではライタとしても知られる)、またはその両方のアレイを含み得る。
【0032】
ガイド125は、テープ・ヘッド126を横切ってテープ122をガイドする。次に、かかるテープ・ヘッド126は、ケーブル130を介してコントローラ128に結合される。コントローラ128は、ドライブ100の任意のサブシステムを制御するためのプロセッサまたは任意のロジックあるいはその両方であるか、またはこれらを含むことができる。例えば、コントローラ128は、通常、サーボ追従、データ書込み、データ読取り等のヘッド機能を制御する。コントローラ128は、少なくとも1つのサーボ・チャネルおよび少なくとも1つのデータ・チャネルを含むことができ、その各々が、テープ122に書き込まれる、またはテープ122から読み取られる、あるいはその両方の情報の処理または記憶あるいはその両方を行うように構成されたデータ・フロー処理ロジックを含む。コントローラ128は、当該技術分野で知られたロジック、および本明細書で開示された任意のロジックの下で動作することができ、このため、様々な手法において、本明細書に含まれるテープ・ドライブの記述のうちの任意のもののためのプロセッサとみなすことができる。コントローラ128は、コントローラ128によって実行可能な命令を記憶することができる任意の既知のタイプのメモリ136に結合することができる。さらに、コントローラ128は、本明細書に提示する方法のうちのいくつかまたは全てを実行もしくは制御するように構成するかまたはプログラムするかあるいはその両方を行うことができる。このため、コントローラ128は、1つもしくは複数のチップ、モジュールまたはブロックあるいはその組合せにプログラムされたロジック、ソフトウェア、ファームウェア、または1つもしくは複数のプロセッサに利用可能な他の命令、ならびにその組合せによって様々な動作を実行するように構成されるとみなされ得る。
【0033】
ケーブル130は、テープ122に記録されることになるデータをテープ・ヘッド126に送信し、テープ122からテープ・ヘッド126によって読み取られたデータを受信するための、読取り/書込み回路を含むことができる。アクチュエータ132は、テープ122に対するテープ・ヘッド126の位置を制御する。
【0034】
当業者であれば全て理解するように、データの送受信のためのテープ・ドライブ100とホスト(内部または外部)との間での通信のために、ならびに、テープ・ドライブ100の動作を制御し、テープ・ドライブ100のステータスをホストに通信するために、インターフェース134も提供され得る。
【0035】
図1Bは、1つの手法による、例示的なテープ・カートリッジ150を示す。このようなテープ・カートリッジ150は、
図1Aに示されたシステムのようなシステムと共に用いることができる。図に示されるように、テープ・カートリッジ150は、ハウジング152と、ハウジング152内のテープ122と、ハウジング152に結合された不揮発性メモリ156とを含む。いくつかの手法において、不揮発性メモリ156は、
図1Bで示されるように、ハウジング152の内部に埋め込むことができる。さらなる手法において、不揮発性メモリ156は、ハウジング152を変更せずにハウジング152の内部または外部に取り付けることができる。例えば、不揮発性メモリは、粘着ラベル154内に埋め込むことができる。1つの好ましい手法において、不揮発性メモリ156は、テープ・カートリッジ150の内部もしくは外部に埋め込まれたまたは結合された、フラッシュ・メモリ・デバイス、リードオンリー・メモリ(ROM)デバイス等とすることができる。不揮発性メモリは、テープ・ドライブおよびテープ操作ソフトウェア(ドライバ・ソフトウェア)、または別のデバイスあるいはその組合せによりアクセス可能である。
【0036】
別の手法において、テープ・ベースのデータ・ストレージ・システムは、磁気記録テープおよびドライブ構成要素が埋込みシステムに封入されているシステムとすることができる。そのような埋込みシステムは、上記で説明したテープ・ドライブと類似した構成要素を有することができる。1つまたは複数の磁気記録テープは、埋込みシステム、例えば1つまたは複数のスプール、1つまたは複数のガイド等において磁気記録テープを支持するための支持構造と共に、埋込みシステムと統合される。
【0037】
磁気記録テープは、埋込みシステムの一部分を分解することによることを除いて、取り外し不可能であることが好ましい。さらに、いくつかの手法では、いくつかの専用磁気記録テープが存在する。1つの態様において、埋込みシステムは、必要に応じて少なくとも磁気ヘッドをテープ間で動かすように構成された機構を備える。別の態様において、同時に複数のテープで動作が可能となるように、いくつかの磁気ヘッドが存在し得る。
【0038】
いくつかの手法において、磁気記録テープ、およびドライブ構成要素のうちのいくつかは、外気に開放されている。好ましい手法において、テープおよびドライブ構成要素は、例えば、埋込みシステムの寿命を延ばすために、画定された気体構造のハウジング内に封止される。
【0039】
取り外し不可能なテープを有する埋込みシステムは、同じ磁気記録テープに対し動作する異なるドライブに関連付けられた既知の問題が回避されるという点で、テープ・カートリッジを用いて動作するドライブを上回る利点を有する。
【0040】
図2Aは、1つの手法による、フラットラップ型(flat-lapped)、双方向単一モジュールの磁気テープ・ヘッド126およびケーブル130を示す。図に示されるように、ヘッドはモジュール204を備える。各モジュール204は、読出しおよび書込みデータ・トランスデューサ214、216が形成される、一般に「ギャップ」と呼ばれる薄膜部分を間に備えた、基板204Aおよびクロージャ204Bを含む。使用中、テープ208は、データ・トランスデューサを用いたテープ208上でのデータの読取りおよび書込みについて示したように、モジュール204の上を媒体(テープ)ベアリング面209に沿って移動される。平坦な媒体支持面209に出入りするエッジでのテープ208のラップ角度(wrap angle)θは、通常、約0.1度から約3度の間である。
【0041】
基板204Aは、典型的にはセラミック等の耐摩耗性材料で構成される。クロージャ204Bは、基板204Aと同一または同様のセラミックから作製することができる。
【0042】
図2Bは、
図2Aの線2Bから見たモジュール204のテープ・ベアリング面209を示す。代表的なテープ208が破線で示されている。モジュール204は、好ましくは、ヘッドがデータ帯域間に入ったときにテープを十分支持できる長さである。
【0043】
この例では、テープ208は4から32のデータ帯域を含み、
図2Bに示されるように、例えば2分の1インチ(1.27cm)幅のテープ208上に16のデータ帯域および17のサーボ・トラック210を備える。データ帯域はサーボ・トラック210間で定義される。各データ帯域はいくつかのデータ・トラック、例えば1024のデータ・トラック(図示せず)を含むことができる。読取り/書込み動作の間、読取りトランスデューサまたは書込みトランスデューサ214、216あるいはその両方は、データ帯域のうちの1つの帯域内の特定のトラック位置に配置される。サーボ読取りトランスデューサまたはサーボ・リーダと呼ばれることのある外側読取りトランスデューサは、サーボ・トラック210を読み取る。次にサーボ信号を使用して、読取り/書込み動作の間、読取りトランスデューサまたは書込みトランスデューサ214、216あるいはその両方がトラックの特定のセットと位置合わせされるように維持する。
【0044】
図2Cは、
図2Bの円2C内のモジュール204上のギャップ218内に形成される、データ・トランスデューサ214、216の複数のアレイを示す。
図2Cに示されるように、データ・トランスデューサ214、216のアレイは、例えば、16の第1のトランスデューサ214の内側アレイ、および内側アレイの反対側に配置された16の第2のトランスデューサ216の2つの外側アレイを含むが、各アレイ内の要素数は変動し得る。例示的な手法は、アレイごとに8、16、32、40、および64のアクティブ・データ・トランスデューサ214、216を含む。例示的な手法は、読取りトランスデューサのアレイあたり32の読取りトランスデューサ、および書込みトランスデューサのアレイあたり32の書込みトランスデューサを含み、トランスデューサ要素の実際の数は、例えば、アレイごとに33、34等、より大きくし得ることに留意されたい。複数の同時に動作するトランスデューサにより、高いデータ転送速度を維持しながら、テープが低速で進行することを可能にする。速度によるトラッキングからの機械的困難を低減させるために、より低い速度が望ましい。
【0045】
1つまたは複数のサーボ読取りトランスデューサ212を、アレイのうちの1つまたは複数に隣接して配置することができる。サーボ読取りトランスデューサ212は、
図2Cでは外側アレイに沿って示されているが、さらにまたは代替的にあるいはその両方で、内側アレイに沿って存在してもよい。好ましくは、1つのアレイのサーボ読取りトランスデューサ212は、別のアレイのサーボ読取りトランスデューサ212と独立して動作する。この独立動作は、より高いトラック追従精度、サーボ読取りトランスデューサ212のうちの1つの損失時の動作継続機能等のための冗長サーボのようなものを可能にする。
【0046】
データ・トランスデューサ214、216およびサーボ読取りトランスデューサ212は、従来の設計、構造および動作とすることができる。
【0047】
通常、磁気テープ媒体は、従来行われるように、方向を交互にして、矢印220によって示されるような前方向および逆方向に移動する。磁気テープ媒体およびモジュール204のトランスデューサは、当該技術分野において知られているように、変換関係で動作する。
【0048】
1つの手法において、トランスデューサは読取り-書込み-読取り(RWR)構成で配列され、それによって、内側アレイ内のトランスデューサ214は書込みトランスデューサであり、外側アレイ内のトランスデューサ216は読取りトランスデューサである。
図2Aおよび
図2B~
図2Cを合わせて検討することによって示されるように、データ・トランスデューサ214、216のアレイの配置は、2方向読取りおよび書込み、書込み時読取り機能、後方互換性等を可能にすることができる。
【0049】
別の手法において、トランスデューサは書込み-読取り-書込み(RWR)構成で配列され、それによって、内側アレイ内のトランスデューサ214は読取りトランスデューサであり、外側アレイ内のトランスデューサ216は書込みトランスデューサである。ここでもまた、
図2Aおよび
図2B~
図2Cを合わせて検討することによって示されるように、データ・トランスデューサ214、216のアレイの配置は、2方向読取りおよび書込み、書込み時読取り機能、後方互換性等を可能にすることができる。
【0050】
したがって、マルチ・アレイ・モジュールの変形には、RWR構成(
図2A)、WRW構成、RRW構成、WWR構成等が含まれる。さらに他の変形では、トランスデューサ214、216の4つ以上のアレイが、例えば、WRRW、RWWR配列等で単一のモジュール上に存在し得る。簡略化するために、本明細書では、本発明の多くの可能な手法のうちの1つのみを例示するためにRWR構成が主に用いられる。本明細書の教示を知った当業者であれば、RWR構成以外の構成に対し、本発明の並べ替えをどのように適用するかを理解するであろう。
【0051】
図2Cに示されるように、第1の電気遮蔽層240は、読取りトランスデューサの下側アレイの上に、この下側アレイと、その上の書込みトランスデューサのアレイとの間に配置される。第2の電気遮蔽層242は、書込みトランスデューサのアレイ上に、書込みトランスデューサのアレイと、読取りトランスデューサの最上アレイとの間に配置される。
【0052】
電気遮蔽層240、242の様々な構成、特徴および機能が以下でより詳細に提供されるが、概して、電気遮蔽層240、242は、ファラデー遮蔽またはファラデー・ケージと類似の方式で、中央アレイにおけるトランスデューサおよびそのリード構造を、トランスデューサ216の外側アレイにおけるトランスデューサおよびそのリード構造から絶縁するのに役立つ。以下でより詳細に説明するように、各アレイのリード構造は専用リード層に配置することができる。この構成によって、各アレイのリード層が電気遮蔽層240、242によって絶縁されること、および読取りトランスデューサ・パッドが書込みトランスデューサ・パッドとは絡まないようにパッドにトランスデューサを接続することを可能にし、それによって、別個のグループ内で各アレイに配線することが可能になり、これによりさらにクロストークが低減される。例えば、ケーブルは、低グラウンド抵抗によって分離された3セットのトレースに分割することができる。
【0053】
電気遮蔽層240、242は、隣接するトランスデューサ214、216、特にそのリード構造間のクロストークを主に低減する所望の機能を提供する任意の導電性材料から構築することができる。通常、より高い導電率を有する材料が好ましい。例示的な材料は、銅、金等を含む。金属の合金、セラミック等も様々な手法において用いることができる。各電気遮蔽層240、242は、隣接するトランスデューサ間で検出可能なクロストークの少なくとも50%の低減を、理想的には、電気遮蔽層がないが他の点では同一の構造に対し、検出可能なクロストークが少なくとも80%低減をもたらすのに十分厚くあるべきである。銅または金の場合、例示的な厚みの範囲は、1~10マイクロメートル厚である。電気遮蔽層240、242は、任意の従来の工程、例えば、めっき、スパッタリング等から形成することができる。
【0054】
いくつかの手法では、電気遮蔽層240、242間に延びる側部シールド243が存在してもよい。側部シールド243は、電気遮蔽層240、242と類似の構造および共通の寸法を有してもよく、またはこれと異なっていてもよい。好ましくは、側部シールド243は、電気遮蔽層240、242を互いに電気的に接続する。
【0055】
別の手法では、電気遮蔽層240、242は、ビア、ワイヤ・ボンド等のより小さな導体によって互いに電気的に接続される。しかしながら、別の手法では、電気遮蔽層240、242はモジュールにおいて互いに電気的に接続されていない(しかし、効果的には、共通グラウンドを介して電気的に結合され得る)。
【0056】
好ましい手法では、電気遮蔽層240、242は、回路グラウンド、例えば、リーダおよびライタ回路が基準とする電子機器のグラウンドに結合される。いくつかの手法では、基板およびクロージャは、そのような回路グラウンドに意図的に接続される。その場合、電気遮蔽層240、242は、基板および/またはクロージャまたはそのパッド、にのみ接続されればよい場合がある。他の手法において、電気遮蔽層240、242は、電気遮蔽層240、242のうちの少なくとも1つからモジュールの外側のグラウンド・パッドまで延びるリードに結合することができる。ケーブルの別個のパッド/リードは、グラウンディングを提供するようにグラウンディング・パッドに結合することができる。
【0057】
他の手法において、電気遮蔽層240、242は、浮遊しており、すなわちグラウンドに電気的に結合されていない。さらなる手法において、電気遮蔽層240、242は、回路グラウンド以外の所定の電位に結合される。
【0058】
図2Dは、
図2Cの円2Dから見た部分的なテープ・ベアリング面の図を示す。示される例において、トランスデューサ214、216は、RWR構成で配列される。当業者であれば、WRWおよび他の構成が類似の特徴を有し、それぞれのトランスデューサが、所望の構成および機能を提供するように配列されることを理解するであろう。
【0059】
RWR構成を有するモジュール204が構築される際、層は、概ね以下の順序で、すなわち、読取りトランスデューサ216の下側アレイ、第1の電気遮蔽層240、書込みトランスデューサ214のアレイ、第2の電気遮蔽層242、および読取りトランスデューサ216の上側アレイの順序で、例えばALTiCの導電性基板204A(部分的に示される)の上に作成されたギャップ218内に形成される。
【0060】
好ましくは、
図2DにおいてCMPをマーク付された面のうちの少なくともいくつかは、例えば、従来の化学機械研磨(CMP)、またはトランスデューサのアレイを互いの上に形成するのを支援する他の既知の平坦化プロセスにより平坦化される。
【0061】
トランスデューサ214、216は、任意の既知の構造を有することができる。単なる例として提示される1つの例示的な手法において、各読取りトランスデューサ216は、典型的には、NiFe(例えば、パーマロイとしても知られる約80/20 at%のNiFe)、コバルト・ジルコニウム・タンタル(CZT)またはAl-Fe-Si(センダスト)等の鉄合金の第1のシールド232、磁気媒体上のデータ・トラックを感知するためのセンサ234、および典型的にはニッケル鉄合金(例えば、パーマロイ)の第2のシールド238を有する。書込みトランスデューサ214は、第1のおよび第2のライタ・ポール228、230およびコイル(図示せず)を有する。センサは、磁気抵抗(MR)、GMR、AMR、トンネル磁気抵抗(TMR)等に基づくものを含む任意の既知のタイプのセンサとすることができる。
【0062】
第1および第2のライタ・ポール228、230は、CoFe等の高磁気モーメント材料から作製することができる。これらの材料は例示の目的のみで提供され、他の材料が用いられてもよいことに留意されたい。シールドまたはポール・チップあるいはその両方間の絶縁、およびセンサを取り囲む絶縁層等の追加の層が存在してもよい。絶縁のための例示的な材料には、アルミナおよび他の酸化物、絶縁性ポリマー等が含まれる。
【0063】
再び
図2Cおよび
図2Dを参照すると、トランスデューサ214、216は、クロストークを大幅に被らない単一のモジュールにおける書込み時読取り機能を提供するために単一の物理的モジュールを形成するように構築される。
【0064】
書込み時読取り動作は、内側アレイの書込みトランスデューサ、および後続のアレイにおける読取りトランスデューサを活性化することによって行われる。読取りトランスデューサは、書込みトランスデューサと、それを横切る媒体進行方向に平行な方向において位置合わせされるため、後続のアレイ内の読取りトランスデューサは、書き込まれたばかりのデータを読み取ることができる。
【0065】
図2A~
図2Dに示される様々な層および構造に関するさらなる詳細が、単なる例として、例示的な製造プロセスを参照して以下に提示される。当業者は、本明細書に記載の教示を知ると、本発明の追加の態様として本明細書に記載の様々な他のモジュール構成を作成するように例示的な製造プロセスをどのように変更することができるかを理解するであろう。
【0066】
図3A~
図3Bは、1つの手法による、WRW構成を有するモジュール204を示す。オプションとして、本発明のモジュール204は、他の図面を参照して説明されるもの等の、本明細書に列挙される任意の他の態様からの特徴と併せて実施することができる。しかし、当然ながら、本明細書に提示されるそのようなモジュール204および他のモジュールを、本明細書に列挙される例示的な手法において特に説明される場合もされない場合もある様々な用途または置き換えあるいはその両方において用いてもよい。さらに、本明細書において提示されるモジュール204は、複数のカートリッジに対し読取りまたは書込みを行うのに用いられるドライブ、埋込みシステム等の専用テープを有するドライブ等の任意の所望の環境において用いることができる。
【0067】
図に示されるように、
図3A~
図3Bのモジュール204は、
図2C~
図2Dのモジュールと類似の特徴を有し、共通の要素は同じ符号を保持する。しかしながら、外側アレイにおけるデータ・トランスデューサ216は書込みトランスデューサであり、内側アレイにおけるデータ・トランスデューサ214は読取りトランスデューサである。
【0068】
サーボ読取りトランスデューサ212が読取りトランスデューサの内側アレイに隣接して示されることに留意されたい。他の手法において、サーボ読取りトランスデューサ212はまた、代替的に外側アレイに沿って、あるいはその両方に、配置することができるが、これは、外側アレイが書込みトランスデューサを含むとき、上述したクロストークの問題によってあまり好ましくない。
【0069】
図4は、1つの手法による代替的な電気遮蔽層構造を有するモジュール204を示す。オプションとして、本発明のモジュール204は、他の図面を参照して説明されるもの等の、本明細書に列挙される任意の他の手法からの特徴と併せて実施することができる。しかしながら、当然ながら、本明細書に提示されるそのようなモジュール204および他のモジュールを、本明細書に列挙される例示的な手法において特に説明される場合もされない場合もある様々な用途または置き換えあるいはその両方において用いてもよい。さらに、本明細書に提示されるモジュール204は、任意の所望の環境において用いることができる。
【0070】
図に示されるように、
図4のモジュール204は、
図2C~
図2Dのモジュールと類似の特徴を有し、共通の要素は同じ符号を保持する。しかしながら、追加の電気遮蔽層240、242が存在する。示される手法において、電気遮蔽層240、242の2つのセットは、それぞれの外側アレイを挟持する。本明細書の他の箇所に述べたように、電気遮蔽層240、242は、全て共に電気的に結合されている、図に示されているように対で結合されている、グラウンド接続されている、浮遊している等であり得る。
【0071】
図5A~
図5Jは、1つの手法による、
図2Cに示されているようなRWRモジュール204を形成するためのプロセスのグラフィック表現を示す。オプションとして、本発明のプロセスは、本明細書を読んだときに当業者によって理解されるように適切な変形を用いて、他の図面を参照して説明されるもの等の、本明細書に列挙される任意の他の手法からの特徴と併せて実施することができる。しかし、当然ながら、本明細書に提示されるそのようなプロセスおよび他のプロセスを、本明細書に列挙される例示的な手法において特に説明される場合もされない場合もある様々な用途または置き換えあるいはその両方において用いてもよい。さらに、本明細書に提示されるプロセスは、任意の所望の環境において用いることができる。その上、従来の製造技術は、様々な構造を構築するように、本明細書における教示に基づいて適応させることができる。最終的に、当業者は、前のステップにおいて作成された層/構造がいくつかの図面に示されているが、これは、様々な構成要素の相対的な場所を理解するのを支援するために行われていることを理解するであろう。そのような以前に形成された層は、様々な処理段階において上から見た場合に重なっている層によって覆われる可能性が高い。
【0072】
読取りトランスデューサ216のアレイが、従来の技術により、基板204Aの上に形成される。
図5Aは、結果として得られる読取りトランスデューサ216のうちの1つを示す部分的な媒体対向面の断面図である。
【0073】
ウェハの部分的な上面図である
図5Bに示されるように、アレイ内の読取りトランスデューサ216からモジュール204の第1のパッド・エリア504まで延びるリード502は、従来の技術により形成される。サーボ読取りトランスデューサ212から第1のパッド・エリア504まで延びるリード502も形成される。好ましくは、リード502の主要部分は同一平面であり、例えば、共通面における形成によって共通平面に沿って置かれる。
【0074】
再び
図5Aを参照すると、オーバーコート層506が形成され、例えばCMPにより平坦化される。オーバーコート層506は、例えば、アルミナまたは他の誘電材料あるいはその両方を含む従来の構造とすることができる。
【0075】
図5C~
図5Dを参照すると、電気遮蔽層240が、オーバーコート層506の平坦化された表面の上に形成され、これにより、下側アレイから延びるリード502の上の平面にある。
【0076】
電気遮蔽層240は、好ましくは、トランスデューサ216のアレイ(の長手方向軸)に平行な方向においてトランスデューサ216の基礎をなすアレイと少なくとも同じ広さであり、これによって、リード502と、その上に形成されるリードとの間の所望の遮蔽を提供する。電気遮蔽層240は、好ましくは、サーボ読取りトランスデューサ212間の距離よりも広い。このため、電気遮蔽層240は、最大でモジュール204の幅までの幅を有することができる。
【0077】
電気遮蔽層240は、モジュールの媒体対向面の予測場所からわずかに陥凹させ、その腐食または摩耗あるいはその両方を回避することができる。陥凹は、好ましくは、媒体対向面の予測場所から3マイクロメートル未満である。電気遮蔽層の媒体対向側面と、モジュールの媒体対向面の予測場所との間の領域は、被覆、例えばアルミナでの裏込め等を行うことができる。
【0078】
電気遮蔽層240の上にアンダーコート層510が形成される。アンダーコート層510は、例えば、アルミナまたは他の誘電材料あるいはその両方を含む従来の構造とすることができる。アンダーコート層510は、トランスデューサの上に重なるアレイの構築および電気的絶縁の準備のために平坦化される。
【0079】
図5E~
図5Fを参照すると、従来の技術により、アンダーコート層510の上に書込みトランスデューサ214のアレイが構築される。
【0080】
アレイ内の書込みトランスデューサ214からモジュール204の第2のパッド・エリア514まで延びるリード512は、従来の技術により形成される。好ましくは、リード512の主要部分は同一平面であり、例えば、共通面における形成によって共通平面に沿って置かれる。第2のパッド・エリア514は、リードの絶縁を支援するために、第1のパッド・エリア504から離間され、これによりクロストークが低減する。読取りパッドおよび書込みパッドを別個のグループに分離することによって、ケーブルへの電気接続の導入も可能にし、それによって、分離を維持することができるようにケーブルを設計し、これによりケーブルにおけるクロストークを回避することができる。
【0081】
図5Eを参照すると、オーバーコート層516が形成され、例えばCMPにより平坦化される。オーバーコート層516は、例えば、アルミナまたは他の誘電材料あるいはその両方を含む従来の構造とすることができる。オーバーコート層516は、オーバーコート層506と類似していてもよく、オーバーコート層605と異なる組成または構造あるいはその両方を有していてもよい。
【0082】
図5G~
図5Hを参照すると、電気遮蔽層242が、オーバーコート層516の平坦化された表面の上に形成され、これにより、中央アレイから延びるリード512の上の平面にある。
【0083】
電気遮蔽層242は、本明細書の他の箇所において論じた電気遮蔽層240、242として、任意の形状、幅または構造あるいはその組合せを有することができる。さらに、電気遮蔽層240、242は、互いに類似していてもよく、異なる組成または構造あるいはその両方を有していてもよい。
【0084】
電気遮蔽層242の上にアンダーコート層520が形成される。アンダーコート層520は、例えば、アルミナまたは他の誘電材料あるいはその両方を含む従来の構造とすることができる。アンダーコート層520は、トランスデューサの上に重なるアレイの構築の準備のために平坦化される。アンダーコート層520は、その上に形成されるアレイの、電気遮蔽層242からの電気的絶縁を提供する。
【0085】
図5I~
図5Jを参照すると、従来の技術により、アンダーコート層520の上に読取りトランスデューサ216のアレイが構築される。読取りトランスデューサ216のアレイは、
図5A~
図5Bを参照して上述したように構築することができるが、他の構造も企図される。モジュールの下側部分におけるように、サーボ読取りトランスデューサ212を同様に構築することができる。アレイ内の読取りトランスデューサ216からモジュール204の第3のパッド・エリア524まで延びるリード522は、従来の技術により形成される。第3のパッド・エリア524は、第1および第2のパッド・エリア504、514から離間される。オーバーコート層526をその上に形成し、平坦化することができる。従来の技術を用いて、プロセスの様々な段階中に、リード502、512、522をモジュールの外面のボンディングパッドに接続する導電性ビアを形成することができる。従来の技術を用いて、ケーブルを結合するためのボンディングパッド532をパッド・エリア504、514、524に形成することができる。クロージャは構造に結合することができる。
【0086】
従来の技術を用いて、モジュールの媒体対向面を、ウェハ後処理中に画定することができる。
【0087】
最終モジュール204は、各々が他の平面から離間されたそれぞれの平面に沿って置かれたリード構造の3つの層を含む。
【0088】
電気遮蔽層240、242は、リード間を遮蔽し、それによってリードの層間のクロストークを低減する遮蔽を提供する。好ましくは、一方または双方の電気遮蔽層240、242は、第2のアレイから延びるリード512のうちの最も外側のリード間の距離よりも大きい。この幅は、リード502、512、522間のクロストークを最小化する。例えば、電気遮蔽層240、242のうちの少なくとも1つの幅は、最も近くに配置された第1のパッド・エリア内のパッドと第3のパッド・エリア内のパッドとの間、例えば第2のパッド・エリアの側面に位置するパッド間の距離未満とすることができる。
【0089】
電気遮蔽層240、242のうちの1つ、および好ましくは双方の電気遮蔽層240、242が、グラウンド、好ましくは回路グラウンドに結合される。ケーブルのグラウンディング・リードに結合するために、一方または双方の電気遮蔽層240、242をグラウンディング・パッド530に結合するための別個のリードを形成することができる。別の手法において、一方または双方の電気遮蔽層240、242が、ストレージ・システムまたはモジュール基板あるいはその両方の回路グラウンド、例えば、モジュール内のストレージ・システムまたは電子機器が動作するグラウンドに結合される。例えば、導電性ビア、ワイヤ・ボンディング、ケーブリング等の形成によって、既知の技術を用いて接続を行うことができる。
【0090】
パッド・エリア504、514、524は、好ましくは、単一のケーブルに結合するように配列された従来のパッドを含むが、このパッドは、2つ以上のケーブル、例えば、アレイごとの独自のケーブルに結合するために配列され得る。
【0091】
リード502、512、522の各セットが方向付けられるパッド・エリア504、514、524は、通常、重要でないことにも留意されたい。したがって、例えば
図5Jにおいて、下側リード502が第1のパッド・エリア504まで延びるが、リード502は、代わりに他のパッド・エリア514、524のうちの1つまで延びてもよい。
図5Jにおけるそのパッド・エリア内に示されるリードは、同様に、代わりに異なるパッド・エリア504、514まで延び、以下同様である。
【0092】
使用時に、読取りまたは書込みあるいはその両方が、例えば低い誤り率で、効率的に実行されるように、テープがモジュールの上を進むときに、テープがモジュール上の磁気トランスデューサの十分近くを通るのが好ましい。いくつかの手法によれば、テープが、磁気トランスデューサを有するモジュールの一部の十分近くを通ることを保証するために、テープ・テンティングが使用されてもよい。この工程をよく理解するために、
図6(A)~(C)がテープ・テンティングの原理を示している。
図6(A)は、対向するエッジ604、606の間に広がる上側テープ・ベアリング面602を有するモジュール600を示している。エッジ604、606に巻き付いている静止したテープ608が示されている。図に示されているように、テープ608の曲げ剛性が、テープをテープ・ベアリング面602から持ち上げる。
図6(A)に示されているように、テープの張力がテープの形状を平らにする傾向がある。テープの張力が最小である場合、テープの曲率は、図に示されているより放物線状になる。
【0093】
図6(B)は、移動中のテープ608を示している。先行のエッジ(すなわち、移動しているときにテープが遭遇する最初のエッジ)は、空気をテープから剥ぐ働きをすることがあり、それによって、テープ608とテープ・ベアリング面602の間に準大気気圧(subambient air pressure)を作り出す。
図6(B)では、テープが左から右に移動している場合、先行のエッジが左のエッジであり、右のエッジが後続のエッジである。その結果、テープの上の大気圧が、テープをテープ・ベアリング面602の方向に強制し、それによってエッジの各々の近傍でテープ・テンティングを作り出す。テープの曲げ剛性が大気圧の影響に抵抗し、それによって先行のエッジと後続のエッジの両方の近傍にテープ・テンティングを引き起こす。モデル化は、2つのテントの形状が極めて似ているということを予測する。
【0094】
図6(C)は、後続のガイド610がテープ・ベアリング面の平面の上に配置される場合でも、準大気圧がどのようにテープ608をテープ・ベアリング面602の方向に押し付けるかを示している。
【0095】
したがって、テープがモジュールの上を通るときの進路を方向付けるために、テープ・テンティングを用いることができる。前述したように、好ましくは、読取りまたは書込みあるいはその両方が、例えば低い誤り率で効率的に実行されるように、テープが、磁気トランスデューサを有するモジュールの一部の十分近くを通ることを保証するために、テープ・テンティングを用いることができる。
【0096】
磁気テープは、テープ・カートリッジに格納することができ、ひいては、データ・ストレージ・ライブラリ内のストレージ・スロット等に格納することができる。テープ・カートリッジは、物理的に取り出すためにアクセスできるように、ライブラリに格納することができる。データ・ストレージ・ライブラリは、磁気テープおよびテープ・カートリッジに加えて、データを磁気テープに格納するか、またはデータを磁気テープから取り出すか、あるいはその両方を行う、データ・ストレージ・ドライブを含むことができる。さらに、テープ・ライブラリおよびそれらに含まれている構成要素は、テープおよびテープに格納されたデータにアクセスできるようにするファイル・システムを実装することができる。
【0097】
データがメモリに格納され、メモリから取り出される方法を制御するために、ファイル・システムを用いることができる。このため、ファイル・システムは、オペレーティング・システムがメモリ内のファイルを追跡するために用いるプロセスおよびデータ構造、例えば、ファイルがメモリ内で構造化される方式を含むことができる。リニア・テープ・ファイル・システム(LTFS:Linear Tape File System)は、適合するテープにアクセスできるようにするために、既定のライブラリ内で実装され得るファイル・システムの例示的な形式である。本明細書における様々な態様が、例えばIBM Spectrum Archive Library Edition(LTFS LE)を含む、広範囲のファイル・システム形式を使用して実装され得るということが、理解されるべきである。しかしながら、LTFSは単なる例として列挙され、特許請求の範囲において定義されている本発明に対する限定であるとみなされるべきではない。
【0098】
テープ・カートリッジは、カートリッジをテープ・ドライブに挿入することによって「装着する」ことができ、テープ・カートリッジは、テープ・カートリッジをテープ・ドライブから取り外すことによって「取り出す」ことができる。カートリッジ内のテープは、テープ・ドライブ内に装着すると、テープ・カートリッジからテープ(磁気記録部分)を物理的に引っ張り、テープ・ドライブの磁気ヘッドの上に通すことによって、ドライブに「通す」ことができる。さらに、テープを磁気ヘッドの上で動かすために、テープが巻き取りリール(例えば、上記の
図1Aの121を参照)に取り付けることができる。
【0099】
カートリッジ内のテープは、テープ・ドライブに通されると、テープ上のメタデータを読み取り、テープを、LTFSがテープをファイル・システムの構成要素として使用できる状態にすることによって、「マウントする」ことができる。さらに、テープを「アンマウントする」ために、メタデータが(例えば、インデックスとして)最初にテープに書き込まれるのが好ましく、その後、LTFSがテープをファイル・システムの構成要素として用いることを可能にされた状態から、テープを取り除くことができる。最後に、テープを「抜き取る」ために、テープが巻き取りリールから取り外され、テープ・カートリッジの内部に再び物理的に配置される。カートリッジは、テープが抜き取られた後でも、例えば別の読取り要求または書込み要求あるいはその両方を待ちながら、テープ・ドライブ内に装着されたままであってもよい。しかし、他の例では、テープ・カートリッジは、例えば前述したようにテープが抜き取られるときに、テープ・ドライブから取り出されてもよい。
【0100】
磁気テープは、シーケンシャル・アクセス媒体である。このため、以前に書き込まれたデータの末尾にデータを追加することによって、新しいデータがテープに書き込まれる。したがって、1つのパーティションのみを有するテープにデータが記録される場合、データが頻繁に更新され、それに応じてテープに再び書き込まれるときに、メタデータ(例えば、割り当て情報)が以前に書き込まれたデータの末尾に連続的に追加される。その結果、テープが最初にマウントされたときに、このテープに対応するメタデータの最新のコピーにアクセスするために、最後尾の情報が読み取られる。しかし、この読取りは、既定のテープをマウントするプロセスに、かなりの量の遅延をもたらす。
【0101】
単一のパーティションのテープ媒体に起因する遅延を克服するために、LTFS形式は、インデックス・パーティションおよびデータ・パーティションを含む2つのパーティションに分割されたテープを含む。インデックス・パーティションは、例えば、ファイル割り当て情報(インデックス)等のメタデータ(メタ情報)を記録するように構成することができ、一方、データ・パーティションは、データの本体、例えば、データ自体を記録するように構成することができる。
【0102】
図7を参照すると、1つの手法による、インデックス・パーティション702およびデータ・パーティション704を有する磁気テープ700が示されている。図に示されているように、データ・ファイルおよびインデックスがテープに格納されている。本明細書を読むときに当業者によって理解されるように、LTFS形式は、インデックス情報をテープ706の先頭にあるインデックス・パーティション702に記録できるようにする。
【0103】
インデックス情報が更新されるときに、以前のバージョンのインデックス情報を上書きするのが好ましく、それによって、現在更新されているインデックス情報にテープの先頭にあるインデックス・パーティション内でアクセスできるようにする。
図7に示されている特定の例によれば、最新バージョンのメタデータのインデックス3が、テープ706の先頭にあるインデックス・パーティション702に記録される。反対に、3つ全てのバージョンのメタデータのインデックス1、インデックス2、インデックス3、およびデータのファイルA、ファイルB、ファイルC、ファイルDが、テープのデータ・パーティション704に記録される。インデックス1およびインデックス2は古い(例えば、更新されていない)インデックスであるが、前述したように、以前に書き込まれたデータの末尾に情報を追加することによって、情報がテープに書き込まれるため、これらの古いインデックスであるインデックス1、インデックス2は、上書きされずにテープ700上のデータ・パーティション704に格納されたままになる。
【0104】
インデックス・パーティション702またはデータ・パーティション704あるいはその両方に含まれるメタデータは、望ましい手法に応じて、同じように更新されても、異なって更新されてもよい。いくつかの態様によれば、例えば、テープが再びマウントされるときにインデックスをインデックス・パーティションから迅速に読み取ることができるように、インデックス・パーティション702またはデータ・パーティション704あるいはその両方のメタデータは、テープがアンマウントされることに応答して更新することができる。メタデータは、例えばバックアップのオプションとして、データ・パーティション704に記録されたメタデータを用いてテープをマウントすることができるように、好ましくは、データ・パーティション704にも書き込まれる。
【0105】
本発明を限定するよう全く意図されていない1つの例によれば、例えば、突然の停電の発生時にデータ損失を軽減できるように、ユーザがシステムに明示的に指示したとき、またはユーザによって設定できる既定の期間によって指定された時間に、インデックスをデータ・パーティションに書き込む機能を提供するために、LTFS LEを用いることができる。
【0106】
本明細書に記載の本発明の様々な態様は、多数の利点を提供する。本明細書に記載の各手法は、以下の利点のうちの少なくとも1つを提供し、ほとんどの場合、以下の利点のうちのいくつかを提供する。
【0107】
電気遮蔽層が別個のアレイ内のトランスデューサを絶縁する単一モジュール設計により、書込み時読取りの検証を行うことが可能になる。
【0108】
読取りトランスデューサの2つのアレイを有する手法において、従来のリードバック・チャネルを用いて、トラックあたり2つのリーダを用いて経年劣化したトラックからのデータを1つのパスで復元することができる。
【0109】
複数のアレイにおけるサーボ読取りトランスデューサを有する手法において、冗長サーボ・リードバック機能により、サーボ読取りトランスデューサのうちの1つの損失時に、ストレージ・システムの連続使用が可能になる。
【0110】
複数のアレイ内にサーボ読取りトランスデューサを有する手法において、より良好なトラック追従のために冗長サーボ処理を行うことができる。
【0111】
現行のマルチ・モジュール・ヘッドに対し、本明細書に提示される単一モジュール設計は、媒体ベアリング面画定等のウェハ後処理を可能にし、モジュールごとの個々のウェハ後処理動作と、例えば3モジュール・ヘッドの場合は3つと置き換わる。同様に、製造は、1つのウェハ後単一材料コストのみを被る。
【0112】
現行のマルチ・モジュール・ヘッドに対し、単一モジュール設計は、低減されたコストで単一のケーブルを用いることができる。
【0113】
現行のマルチ・モジュール・ヘッドに対し、単一モジュール設計は、結果としてモジュールのアレイ間のビルトイン・スキューを生じる、通常の100×位置合わせ不良でモジュールを接着するのではなく、例えば、10nmのウェハレベルの位置合わせにより、ウェハ処理における様々なアレイの位置合わせをリソグラフィ許容範囲で行うことを可能にする。
【0114】
現行のマルチ・モジュール・ヘッドに対し、本明細書に提示される単一モジュール設計は、より低い質量および体積を有し、それによってより高速なトラック追従およびスキュー調節を可能にする。
【0115】
アレイが相対的に比較的より近いところに近接していることにより、読取り検証のバッファおよびタイミング変動が低減する。
【0116】
磁気記録テープにおける従来のシングル・ガード・バンド・サイズは、RWR構成を用いるとき、双方向において同じライタが書き込むことにより、低減することができる。
【0117】
上記のシステムまたは方法あるいはその両方の様々な特徴を任意の方式で組み合わせ、上記で提示した説明からの複数の組合せを生成することができることは明らかであろう。
【0118】
本発明の様々な態様の説明が、例示の目的で提示されたが、包括的であることも、開示される手法に限定されることも意図されていない。本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には多くの変更形態および変形形態が明らかとなろう。本明細書において用いられる用語は、手法の原理、実際の用途、もしくは市場に見られる技術を上回る技術の改善を最も良好に説明し、他の当業者が、本明細書に開示される態様を理解することを可能にするために選択された。