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特許7678538保存容器収容筒および保存容器収容筒を収容した収容具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-08
(45)【発行日】2025-05-16
(54)【発明の名称】保存容器収容筒および保存容器収容筒を収容した収容具
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/04 20060101AFI20250509BHJP
   A47B 13/02 20060101ALI20250509BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20250509BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20250509BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20250509BHJP
【FI】
B65D83/04 A
A47B13/02
A47B13/00 Z
A47C7/62 A
B65D85/50 100
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024186160
(22)【出願日】2024-10-22
【審査請求日】2024-10-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500361799
【氏名又は名称】株式会社ニューヘイロ
(74)【代理人】
【識別番号】110004428
【氏名又は名称】弁理士法人NT
(72)【発明者】
【氏名】小椋 正得
【審査官】加藤 丈達
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-106226(JP,A)
【文献】実公昭42-018465(JP,Y1)
【文献】特開昭53-091895(JP,A)
【文献】特開2008-184263(JP,A)
【文献】実開平02-012350(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/04
A47B 13/02
A47B 13/00
A47C 7/62
B65D 85/50-85/52
B65G 57/00-57/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長期保存食品が収容された複数の保存容器を上下方向に並べて収容可能な筒本体と、前記筒本体の内側面に配置され、前記保存容器を支持する支持部と、を備えた保存容器収容筒を収容した収容具であって、
前記筒本体は、前記保存容器を先入れ先出し可能に前記上下方向の両端が開口しており、
複数の前記保存容器収容筒を横方向に並べて収容した背部と、前記背部から前方に突出し座面として活用可能な座部とを備えた収容具。
【請求項2】
長期保存食品が収容された複数の保存容器を上下方向に並べて収容可能な筒本体と、前記筒本体の内側面に配置され、前記保存容器を支持する支持部と、を備えた保存容器収容筒を収容した収容具であって、
前記筒本体は、前記保存容器を先入れ先出し可能に前記上下方向の両端が開口しており、
前記保存容器収容筒を縦方向に収容した脚部と、複数の前記脚部に支持され物置台として活用可能なテーブル部とを備えた収容具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期保存食品が収容された保存容器を陳列可能な保存容器収容筒および保存容器収容筒を収容した収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
災害時に利用できる長期保存食品が収容された保存容器を陳列可能な保存食品収容庫が知られている(例えば、特許文献1参照)。長期保存食品は消費期限が長いが、一定期間が過ぎると消費期限が到来し、廃棄する必要があることから、消費期限が近付いた長期保存食品を普段の食事の一部として消費できる仕組みが必要である。
【0003】
特許文献1に記載の保存食品収容庫は、食品収容庫に12個以上の区画を設け、区画の正面に1月から12月までの月別の表示を加えることで、消費期限となる月を一目で分かるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-30482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の保存食品収容庫は、夫々の区画を月別で表示しているものの、長期保存食品が2年以上の消費期限を有することが多く、年別の区画も設ける必要があり、保存食品収容庫が大型化してしまう。また、区画内部に複数の長期保存食品を収容する際、横置きとなるため、手前側よりも奥側の長期保存食品の方が消費期限の近い食品にも関わらず、手前側の長期保存食品から消費してしまい、結果的に奥側の長期保存食品を廃棄する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、収容スペースを効率的に活用しながら利便性の高い保存容器収容筒および保存容器収容筒を収容した収容具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る保存容器収容筒の特徴構成は、長期保存食品が収容された保存容器を陳列可能な保存容器収容筒であって、複数の前記保存容器を上下方向に並べて収容可能な筒本体と、前記筒本体の内側面に配置され、前記保存容器を支持する支持部と、を備え、前記筒本体は、前記保存容器を先入れ先出し可能に前記上下方向の両端が開口している点にある。
【0008】
本構成では、複数の保存容器を上下方向に並べて収容可能な筒本体を備えているため、保存容器を縦置きに陳列した保存容器収容筒となっている。また、筒本体の内側面には保存容器を支持する支持部が配置されているため、収容スペースを効率的に活用できる。この保存容器収容筒は、複数の保存容器を上下方向に並べた筒状であるため、災害時にはそのまま持ち運ぶことも可能となるばかりか、陳列棚の高さ方向のスペースを有効に活用することが可能となるため、利便性が高い。
【0009】
さらに、本構成の筒本体は、保存容器を先入れ先出し可能に上下方向の両端が開口しているため、例えば、下側から上側に向けて消費期限の近い保存容器を順番に収容しておくと、下側から消費期限の長い新たな保存容器を差し込むことにより、上側にある最も消費期限の近い保存容器を消費することが可能となる。このように、収容スペースを効率的に活用しながら利便性の高い保存容器収容筒となっている。
【0010】
他の特徴構成としては、前記筒本体の上側開口を閉塞する蓋体を更に備え、前記筒本体の内部空間全域に複数の前記保存容器が収容された状態で、前記筒本体の下側から新たな前記保存容器を挿入することにより、前記蓋体が取り外される点にある。
【0011】
本構成のように、筒本体の内部空間全域に複数の保存容器が収容された状態で、筒本体の下側から新たな保存容器を挿入することにより、蓋体が取り外されれば、蓋体を開けて上から手を差し込んで保存容器を取り出す必要がない。これにより、使い勝手の良い保存容器収容筒となっている。
【0012】
他の特徴構成としては、前記支持部は、前記保存容器を内側に付勢する複数の付勢部材で構成されている点にある。
【0013】
本構成のように、支持部が保存容器を内側に付勢する複数の付勢部材で構成すれば、保存容器の支持力が高まり、保存容器の挿入時には付勢部材が弾性変形することから、容易に追加できる。
【0014】
他の特徴構成としては、前記筒本体は、側面の周方向に沿う一部が前記上下方向に亘って開口している点にある。
【0015】
本構成のように、筒本体が側面の周方向に沿う一部が上下方向に亘って開口していれば、上下方向に加えて、横から保存容器を挿入することも可能となるため、利便性が高い。
【0016】
他の特徴構成としては、前記支持部は、前記筒本体の前記内側面に固定される環状基部と、当該環状基部から上側に湾曲するように内側に突出し弾性変形可能な複数の歯部とを有する櫛歯状部材で構成されている点にある。
【0017】
本構成のように、支持部を櫛歯状部材で構成すれば、製造が容易であり、保存容器の筒本体からの落下を防止することができる。また、櫛歯状部材の環状基部を筒本体の内側面に固定し、環状基部から上側に湾曲するように内側に突出し弾性変形可能な複数の歯部を形成すれば、下側から保存容器を挿入しやすく、保存容器が歯部の上側に位置したときには、保存容器の落下を確実に防止できる。
【0018】
他の特徴構成としては、前記支持部は、前記筒本体の前記内側面に係止される複数の係止部材で構成されており、前記係止部材は、上方向に移動自在であり、下方向の移動が規制されている点にある。
【0019】
本構成のように、支持部を上方向に移動自在であり下方向の移動が規制された係止部材で構成すれば、同じ形状の係止部材を大量生産すれば済むため、製造効率が高い。
【0020】
他の特徴構成としては、前記支持部は、前記筒本体の前記内側面に固定され、押圧されることで引退し前記押圧が解除されることで突出する複数の押ボタンで構成されており、前記押ボタンは、上側の突出量が下側の突出量よりも大きくなるように下端から傾斜した傾斜部を有している点にある。
【0021】
本構成のように、支持部を上側の突出量が下側の突出量よりも大きくなるように下端から傾斜した傾斜部を有する複数の押ボタンで構成すれば、下側から保存容器を入れれば押ボタンが引退した後、保存容器が押ボタンの上に位置することで押圧が解除されて、押ボタンが保存容器を支持する。このため、簡単な構造でありながら、押ボタンにより保存容器を確実に支持できる。
【0022】
他の特徴構成としては、前記筒本体は、前記上下方向に沿って分割された複数の筒状部材で構成されており、複数の前記筒状部材は、支軸周りに回転可能な状態で当該支軸を介して連結されている点にある。
【0023】
本構成のように、筒本体を分割した複数の筒状部材で構成し、これら筒状部材を回転可能にすれば、消費したい長期保存食品を好きなタイミングで取り出すことができる。
【0024】
他の特徴構成としては、前記筒本体は、空気を排出可能な貫通孔が形成されている点にある。
【0025】
本構成のように、筒本体に空気を排出可能な貫通孔を設ければ、筒本体に沢山の保存容器が収容されていても、下から保存容器を入れやすい。
【0026】
前記保存容器収容筒を収容した収容具であって、複数の前記保存容器収容筒を横方向に並べて収容した背部と、前記背部から前方に突出し座面として活用可能な座部とを備えていてもよい。また、前記保存容器収容筒を収容した収容具であって、前記保存容器収容筒を縦方向に収容した脚部と、複数の前記脚部に支持され物置台として活用可能なテーブル部とを備えていてもよい。
【0027】
本構成のように、保存容器収容筒を収容した収容具であれば、避難場所等に設置される屋内型又は屋外型の椅子又はテーブルにも使用することが可能となり、通常時には上側にある最も消費期限の近い保存容器を消費し、非常時には保存容器収容筒を配れば非常食として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る保存容器収容筒の斜視図である。
図2】第2実施形態に係る保存容器収容筒の一部を示す斜視図である。
図3】第3実施形態に係る保存容器収容筒の一部を示す側面図である。
図4】第4実施形態に係る保存容器収容筒の一部を示す斜視図である。
図5】第5実施形態に係る保存容器収容筒の底面図である。
図6】第6実施形態に係る保存容器収容筒の側面図である。
図7】第6実施形態に係る保存容器収容筒の使用状態を説明する図である。
図8】第7実施形態に係る保存容器収容筒を収容した椅子を説明する図である。
図9】第8実施形態に係る保存容器収容筒を収容したテーブルを説明する図である。
図10】第9実施形態に係る保存容器収容筒の非常時出入口を説明する図である。
図11】第10実施形態に係る保存容器収容筒の非常時出入口を説明する図である。
図12】その他の実施形態にかかる保存容器収容筒の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る保存容器収容筒および保存容器収容筒を収容した収容具の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、保存容器収容筒の一例として、防災食品備蓄用の保存容器収容筒100を用いて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、縦方向(重力方向)に沿った方向を上下方向と称する。
【0030】
図1図6に示すように、保存容器収容筒100は、防災食品(長期保存食品の一例)が収容された保存容器1を陳列可能で、且つ、保存容器1を先入れ先出し可能に構成されている。保存容器収容筒100は、複数の保存容器1を上下方向に並べて収容可能な筒本体2と、筒本体2の内側面に配置され、保存容器1を支持する支持部3と、を備えている。本実施形態における筒本体2は、縦方向に所定の長さ(例えば1m)を有しており、非常時に防災食品として十分な量の保存容器1を収容することができる。この筒本体2は、保存容器1を先入れ先出し可能に上下方向の両端が開口しており、縦方向に沿って保存容器1を並べることができる。「先入れ先出し可能」とは、時間の法則「古いものの上に新しいものを置く」というルールにおいて、消費期限の遠いものから近いものの順に下から上に積み上げることが可能という意味である。なお、筒本体2は、円筒形状に限定されず、断面多角形の角筒形状であってもよく、特に限定されない。
【0031】
このように、複数の保存容器1を上下方向に並べて収容可能な筒本体2を備えているため、保存容器1を縦置きに陳列した保存容器収容筒100となっている。また、筒本体2の内側面には保存容器1を支持する支持部3が配置されているため、収容スペースを効率的に活用できる。この保存容器収容筒100は、複数の保存容器1を上下方向に並べた筒状であるため、災害時にはそのまま持ち運ぶことも可能となるばかりか、陳列棚の高さ方向のスペースを有効に活用することが可能となるため、利便性が高い。
【0032】
さらに、筒本体2は、保存容器1を先入れ先出し可能に上下方向の両端が開口しているため、例えば、下側から上側に向けて消費期限の近くなる保存容器1を順番に収容しておくと、下側から消費期限の長い新たな保存容器1(図1の実線)を差し込むことにより、上側にある最も消費期限の近い保存容器1を消費することが可能となる。このように、収容スペースを効率的に活用しながら利便性の高い保存容器収容筒100となっている。
【0033】
[第1実施形態]
図1には、第1実施形態に係る保存容器収容筒100が示されている。筒本体2は、円筒形状の透明プラスチック容器で構成されており、保存容器1(図1の破線)として缶詰めや飲料ケース等を上下方向に並べて収容することができる。支持部3は、保存容器1を内側に付勢する複数(本実施形態では10つ)の板バネ31(付勢部材の一例)で構成されており、それぞれの板バネ31の付勢部31aが周方向に沿って上下位置が互い違いとなるように、隣り合う板バネ31を上下反転させた状態で、筒本体2の内面に接着等で固定されている。周方向に沿って並んだ複数の板バネ31は、自然状態で内側に保存容器1を差し込むことが可能であり、保存容器1が差し込まれたときに外側に弾性変形して、保存容器1を内側に付勢した状態となる。なお、隣り合う板バネ31を上下反転させずに、付勢部31aの周方向に沿った上下位置が同一であってもよい。また、付勢部材は板バネ31に限定されず、保存容器1を内側に付勢する部材であれば、ゴム等であってもよい。
【0034】
本実施形態における保存容器収容筒100は、筒本体2の上側開口を閉塞する蓋体4を更に備えている。この蓋体4は、筒本体2の内部空間全域に複数の保存容器1が収容された状態で、筒本体2の下側から新たな保存容器1(図1の実線)を挿入することにより、最も上側にある保存容器1に押し出されて取り外される(図1の一点鎖線参照)。その結果、最も上側にある保存容器1が最も古い時期に挿入した保存容器1であるため、消費期限の最も近い保存容器1から取り出すことができる。つまり、筒本体2は保存容器1を先入れ先出し可能に上下方向の両端が開口している。
【0035】
筒本体2は、上下方向に所定長さ(例えば1m)を有する円筒形状であり、上下方向の複数箇所に支持部3が設けられている。また、筒本体2に空気を排出可能な貫通孔2aを設けている。この貫通孔2aの位置や数量は特に限定されず、空気を排出可能な孔であればどのような形態であってもよく、以下の実施形態では図示を省略する。支持部3の周方向の数量や上下方向の数量は、板バネ31の付勢力により、筒本体2の内部空間全域に保存容器1を満杯に積み上げたときに落下しないように設定される。図1に示す例では、上下方向1箇所、周方向10個の板バネ31により、2つの保存容器1を支持している。
【0036】
本実施形態では、筒本体2の内部空間全域に複数の保存容器1が収容された状態で、筒本体2の下側から新たな保存容器1を挿入することにより、蓋体4が取り外されるため、蓋体4を開けて上から手を差し込んで保存容器1を取り出す必要がない。これにより、使い勝手の良い保存容器収容筒100となっている。
【0037】
また、支持部3が保存容器1を内側に付勢する複数の板バネ31で構成しているため、保存容器1の支持力が高まり、保存容器1の挿入時には板バネ31が弾性変形することから、保存容器1を容易に追加できる。
【0038】
[第2実施形態]
図2には、第2実施形態に係る保存容器収容筒100の底部側の斜視図が示されている。筒本体2は、円筒形状の透明プラスチック容器で構成されており、保存容器1として缶詰めや飲料ケース等を上下方向に並べて収容することができる。支持部3は、筒本体2の内側面に固定される環状基部32aと、環状基部32aから上側に湾曲するように内側に突出し弾性変形可能な複数の歯部32bとが一体成形された櫛歯状部材32で構成されている(図2の破線及びその拡大図参照)。
【0039】
図2の破線及びその拡大図に示すように、支持部3は、複数の保存容器1の落下を防止可能な上向きの付勢力を有しており、保存容器1を下側から挿入したときには上向きに容易に弾性変形するが、保存容器1が筒本体2に収容されたときには、保存容器1の底面が歯部32bに当接した状態で落下が防止される。図2に示す例では、環状基部32aが筒本体2の内側面のうち底部に溶着、一体成形又は接着等で固定されており、複数の歯部32bが複数の保存容器1の重量を分散して支えた状態で、環状基部32aが歯部32bの剥離や破損を防止する。なお、歯部32bは、環状基部32aに近くなるにつれて拡径した台形形状であってもよく、上側に湾曲していればどのような形状であってもよい。
【0040】
本実施形態における環状基部32aの肉厚および歯部32bの個数や形状は、複数の歯部32bの付勢力により、所定数の保存容器1を積み上げたときに落下しないように設定される。支持部3の上下方向の数量は、筒本体2の内部空間全域に保存容器1を満杯に積み上げたときに落下しないように設定される。
【0041】
このように、支持部3を櫛歯状部材32で構成すれば、製造が容易であり、保存容器1の筒本体2からの落下を防止することができる。また、櫛歯状部材32の環状基部32aを筒本体2の内側面に固定し、環状基部32aから上側に湾曲するように内側に突出し弾性変形可能な複数の歯部32bを形成すれば、下側から保存容器1を挿入しやすく、保存容器1が歯部32bの上側に位置したときには、保存容器1の落下を確実に防止できる。
【0042】
[第3実施形態]
図3には、第3実施形態に係る保存容器収容筒100の斜視図が示されている。本実施形態における筒本体2は、第1実施形態に係る筒本体2に対して、側面の周方向に沿う一部が上下方向に亘って開口した開口部21(図3の2点鎖線参照)を有している。この開口部21は、保存容器1が横から収容可能な大きさであればよい。図3には、保存容器1としてペットボトルが保存容器収容筒100に収容される例が示されており、開口部21の箇所には板バネ31を削除している。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。本実施形態のように、筒本体2の側面の周方向に沿う一部が上下方向に亘って開口していれば、上下方向に加えて、横から保存容器1を挿入することも可能となるため、利便性が高い。
【0043】
[第4実施形態]
図4には、第4実施形態に係る保存容器収容筒100の斜視図が示されている。本実施形態における筒本体2は、第2実施形態に係る筒本体2に対して、上下方向に沿って分割された複数の筒状部材22で構成されており、複数の筒状部材22は、支軸23周りに回転可能な状態で支軸23を介して連結されている。図2に示す例では、1点鎖線で示された1つの筒状部材22が支軸23周りに回転されることにより、1つの保存容器1を取り出すことが可能となる。本実施形態のように、筒本体2を分割した複数の筒状部材22で構成し、これら筒状部材22を回転可能にすれば、消費したい長期保存食品を好きなタイミングで取り出すことができる。
【0044】
[第5実施形態]
図5には、第5実施形態に係る保存容器収容筒100の底面図が示されている。本実施形態における支持部3は、筒本体2の内側面に係止される複数の係止部材33(図5の一点鎖線)で構成されており、係止部材33は、上方向に移動自在であり、下方向の移動が規制されている。保存容器1(不図示)を下側から挿入すると、図5の実線で示すように、係止部材33が保存容器1に当接して上方向に移動し、保存容器1が係止部材33の上側に位置すると、図5の一点鎖線で示すように係止部材33が保存容器1の重みで所定位置まで下方向に移動し、保存容器1を支持する。このとき、複数の係止部材33は、それぞれ紐状部材33aで連結されているため、一体的に上下移動させることができる。図5に示す例では、一部の係止部材33しか記載していないが、周方向に連続して係止部材33が位置する。本実施形態のように、支持部3を上方向に移動自在であり下方向の移動が規制された係止部材33で構成すれば、同じ形状の係止部材33を大量生産すれば済むため、製造効率が高い。
【0045】
[第6実施形態]
図6には、第6実施形態に係る保存容器収容筒100の側面図が示されている。本実施形態における支持部3は、筒本体2の内側面に固定され、押圧されることで引退し押圧が解除されることで突出する複数の押ボタン34で構成されており、押ボタン34は、上側の突出量が下側の突出量よりも大きくなるように下端から傾斜した傾斜部34aを有している。本実施形態における筒本体2は、上述した実施形態の筒本体2のように円筒形状ではなく、四角柱形状に形成されており、保存容器1が長期保存食品としてのレトルト食品(図6の破線参照)等を載置可能な上面が開口したボックス皿形状をしている。図7に示すように、新たな保存容器1を下から挿入すると、傾斜部34aに当接した新たな保存容器1によって押ボタン34がバネ34bの付勢力に対抗して引退しながら、押ボタン34に支持された保存容器1が上に押し上げられ、押ボタン34の上に新たな保存容器1が支持されることとなる。なお、新たな保存容器1が押ボタン34を乗り越えるように、土台を設けて新たな保存容器1を押し上げることが望ましい。本実施形態では、ボックス皿形状の保存容器1を筒本体2の内部に積み上げたが、大型のペットボトルで構成される保存容器1を横にした状態で積み上げてもよい。
【0046】
本実施形態では、支持部3を上側の突出量が下側の突出量よりも大きくなるように下端から傾斜した傾斜部34aを有する複数の押ボタン34で構成しているため、下側から保存容器1を入れれば押ボタン34が引退した後、保存容器1が押ボタン34の上に位置することで押圧が解除されて、押ボタン34が保存容器1を支持する。このため、簡単な構造でありながら、押ボタン34により保存容器1を確実に支持できる。
【0047】
[第7実施形態]
図8には、第7実施形態に係る保存容器収容筒100を収容した収容具Xが示されている。本実施形態における収容具Xは、複数の保存容器収容筒100を横方向に並べて収容した背部41と、背部41から前方に突出し座面として活用可能な座部42とを備えた、屋内型又は屋外型の椅子で構成されている。背部41の上面は収容具Xの管理者のみが開くことができるように、蓋体4が施錠されているとよい。図8の例では、背部41に保存容器収容筒100を収容したが、座部42にも保存容器収容筒100を収容してもよいし、座部42に他の非常用備品を収容してもよい。
【0048】
[第8実施形態]
図9には、第8実施形態に係る保存容器収容筒100を収容した収容具Xが示されている。本実施形態における収容具Xは、保存容器収容筒100(図9の一点鎖線参照)を縦方向に収容した脚部51と、複数の脚部51に支持され物置台として活用可能なテーブル部52とを備えた、屋内型又は屋外型のテーブルで構成されている。図9には1つの脚部51に収容された保存容器収容筒100を記載しているが、他の脚部51にも保存容器収容筒100が収容されている。脚部51の下部領域には、バネ51aにより上側に付勢された押圧部51bが外部から視認可能で、保存容器1を挿入可能な開口窓51cが形成されている。この押圧部51bが楔形状になっており、開口窓51cから挿入された保存容器1により押圧部51bが下に移動した後、筒本体2に収容された保存容器1がバネ51aの付勢力により上側に移動し、支持部3により支持される。このとき、最も上側にある保存容器1は、テーブル部52から排出され、最も消費期限の近い保存容器1を取り出すことができる。
【0049】
第7実施形態や第8実施形態のように、保存容器収容筒100を収容した収容具Xであれば、避難場所等に設置される屋内型又は屋外型の椅子又はテーブルにも使用することが可能となり、通常時には上側にある最も消費期限の近い保存容器1を消費し、非常時には保存容器収容筒100を配れば可搬性のある非常食として活用することができる。
【0050】
[第9実施形態]
図10には、第9実施形態に係る保存容器収容筒100の非常時出入口6が示されている。本実施形態における保存容器収容筒100は、第1実施形態~第5実施形態におけるものを想定している。保存容器1は保存容器収容筒100の内部に誤って投入されたり、利用目的が異なったりして、急遽取り出さなければならない場合がある。そこで、本実施形態では、保存容器収容筒100の下部開口近くに非常時出入口6を設け、外部からロックする構造としている。図10に示す例では、保存容器収容筒100の下部開口に非常時出入口6を設けているが、保存容器収容筒100の内部から保存容器1を取り出すことができれば、形状や位置は限定されない。
【0051】
[第10実施形態]
図11には、第10実施形態に係る保存容器収容筒100の非常時出入口6が示されている。本実施形態における保存容器収容筒100は、第6実施形態におけるものを想定している。第9実施形態と同様の理由で、保存容器1を非常時に取り出すことが可能な非常時出入口6が、保存容器収容筒100の一側面に設けられている。本実施形態では、保存容器1がボックス皿形状であるため、保存容器1を一側面全体から取り出すことが可能な大きな扉とし、外部からロックする構造としている。図11に示す例では、保存容器収容筒100の一側面全体に非常時出入口6を設けているが、保存容器収容筒100の内部から保存容器1を取り出すことができれば、形状や位置は限定されない。
【0052】
[その他の実施形態]
(1)図12に示すように、第2実施形態に示す櫛歯状部材32と、第5実施形態に示す係止部材33とを組み合わせてもよい。これにより、支持部3の支持力を更に高めることができる。このように、上述した実施形態は適宜組み合わせてもよい。
(2)上述した実施形態において、筒本体2に空気を排出可能な貫通孔2aを設けたが、筒本体2の内部の空気が抜ける構造であれば、貫通孔2aがなくてもよい。
(3)保存容器1は、上述したように缶詰めや飲料ケースに限定されず、長期保存食品を収容することが可能な容器であれば、如何なる容器であってもよい。
(4)保存容器収容筒100に、QRコード(登録商標)などの商品コードやGPSなどの位置情報を設けてもよい。これにより、所有者がどの避難先にいるかを把握可能となり、防災グッズとして商品価値を高めることができる。このQRコード(登録商標)は、保存容器1の販売会社が利用することも可能であり、保存容器1の購入履歴を利用者の許諾のもと保管し、利用の状況に応じてインターネットにアクセスし、一括受発注、あるいは一品一品選択しながら受発注することができる。例えば、PCやスマートフォン等の画面に「あなたが過去に購入した商品の一覧」が表示され、所定のボタンをクリックすると、「一括再購入」や「選択された商品一覧」が表示されることにより、利用者が購入することができる。
(5)本製品は、用途によって異なるシステムを付随する。
(a)家庭用災害対策備蓄システム
保存容器収容筒100の円筒形状は長さ1m未満である。缶詰めやペット食品を収容し、QRコード(登録商標)を読み込むと、
・現在位置の登録
・現在写真の登録
・必要補給商品の受発注
ができるようにする。設置場所は、家庭内の柱や台所壁、玄関のドアにマジックテープ(登録商標)などで張り付けるものとする。
(b)企業用防災対策機器として備蓄
職場のデッドスペースに高さ3m延長し、下から管理する。保存容器収容筒100は積み上げやすい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、長期保存食品が収容された保存容器を陳列可能な保存容器収容筒に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 :保存容器
2 :筒本体
2a :貫通孔
3 :支持部
4 :蓋体
22 :筒状部材
23 :支軸
31a :付勢部
32 :櫛歯状部材
32a :環状基部
32b :歯部
33 :係止部材
34 :押しボタン
34a :傾斜部
41 :背部
42 :座部
51 :脚部
52 :テーブル部
100 :保存容器収容筒
X :収容具

【要約】
【課題】収容スペースを効率的に活用しながら利便性の高い保存容器収容筒および保存容器収容筒を収容した収容具を提供する。
【解決手段】長期保存食品が収容された保存容器1を陳列可能な保存容器収容筒100であって、複数の保存容器1を上下方向に並べて収容可能な筒本体2と、筒本体2の内側面に配置され、保存容器1を支持する支持部3と、を備え、筒本体2は、保存容器1を先入れ先出し可能に上下方向の両端が開口している。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12