(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-08
(45)【発行日】2025-05-16
(54)【発明の名称】アンカーバッグ回収の必要のないANFO爆薬装填方法
(51)【国際特許分類】
F42D 1/08 20060101AFI20250509BHJP
E21D 9/00 20060101ALI20250509BHJP
【FI】
F42D1/08
E21D9/00 C
(21)【出願番号】P 2021130110
(22)【出願日】2021-08-06
【審査請求日】2024-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】513248957
【氏名又は名称】株式会社アンカー
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】藤居 誠
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-145753(JP,A)
【文献】特開2008-014584(JP,A)
【文献】国際公開第2021/062493(WO,A1)
【文献】中国実用新案第201074990(CN,Y)
【文献】実開平03-128300(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-2162731(KR,B1)
【文献】藤堂和雄、他,爆薬の遠隔装填システムによる装填作業の完全自動化への取り組み,第 74回施工体験発表会(山岳),日本,(一社)日本トンネル技術協会,2014年06月24日,P101-107
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42D 1/08
E21D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ANFO爆薬を、アンカーバッグを用いて発破孔内に装填する発破システムにおいて、
(1)
前記アンカーバックを、バイオプラスチック
を用いて又はバイオプラスチック5~30重量%を含む
軟質ポリエチレン樹脂を用い
て形成し、該アンカーバッグにANFO爆薬を装填し、水封状態でANFO爆薬を削孔内に装填する工程と、(2)発破後発生する土砂内に混入するアンカーバック粉砕物を分別することなく放置し、自然分解させる工程とからなることを特徴とする発破作業工法。
【請求項2】
前記アンカーバッグが、発破孔に対し、その孔径より5%以上
の大径の円筒パイプを形成する長尺袋であって、先端部が
上下斜めに傾斜して先細り、後端部が折り返されて厚手になっていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
アンカーバックの
製造に用いられるバイオプラスチックが、生分解性プラスチック又はバイオマスプラスチックであって、
前記生分解性プラスチックはバクテリアや生物によって生分解されるプラスチックであって、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)からなる群から選ばれる化学合成品、ポリヒドロキシン酪酸、エステル化澱粉、酢酸セルロース、キトサン及び澱粉系グリーンプラからなる天然品から選ばれる一方、前記バイオマスプラスチックは石油化学由来の原料とバイオマス由来の原料からなるバイオPET、バイオPTT、バイオPP、バイオPU、バイオPA610,バイオPE、バイオPA11、バイオPA1010からなる群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硝安油剤爆薬(ANFO爆薬)の発破孔への爆薬装填方法に関し、プラスチックフィルム製長尺のアンカーバッグを用いるANFO爆薬自動装填方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ANFO爆薬は、他の産業用爆薬(ダイナマイト・エマルジョン系含水爆薬)に比べその爆発性能は低いが、安全性が高く、安価で、使用方法によっては強力な力を発揮し、効果的な破砕をもたらす爆薬であるため、近年多くの発破工事で使用されている。そこで、早期完成を目指すトンネル工事を安全かつ効率的に進めるため,切羽での危険性回避,作業姿勢の改善による苦渋作業の軽減を目的に、一連のANFO爆薬装填作業を自動化で行える爆薬の遠隔装填装置が提案されている(非特許文献1)。
【0003】
しかしながら、その爆薬装填作業は、
図3に示すように、発破孔の孔底に、爆薬を紙やプラスチックフィルムなどで包装したカートリッジ爆薬を親ダイとして装填した後、カートリッジ爆薬の周囲に、シュートから圧縮空気+水を用いて硝安油剤爆薬(ANFO)、バルクエマルション爆薬、スラリー爆薬などの流動性爆薬(増ダイ)を装填し、その流動性爆薬の背後にアンコ供給フィーダからアンコを供給し、アンコ成形装置で成型後、装填ホースの装填パイプから発破孔に供給し、アンコ(粘土)で填塞した後、親ダイを起爆させて流動性爆薬を爆発させる必要があり、従来の爆薬装填方式では複雑な爆薬装填装置を使用する必要がある。そこで、本発明者は鋭意研究の結果、爆薬装填作業に発破孔内を覆う長尺のプラスチックフィルム製アンカーバッグを用い、その中に起爆剤となる親ダイを装填パイプの先端に取り付けてアンカーバッグ内に挿入して発破孔の奥の孔底に装填し、その背後にANFO(Ammonium Nitrate Fuel Oil explosive)爆薬を圧送するANFO爆薬の自動装填方法を提案した。ここでは、アンカーバッグとして、軟質の合成樹脂材料を用いて製作されたフレキシブルで、先端が封鎖され、後端が開口破孔よりも大径のホースであることにより、ANFO爆薬の性質上、アンカーバッグが発破孔よりも大径のフレキシブルなホースであることと相まって、発破孔へのANFO爆薬の充填率が100%に限りなく近くなり、十分な発破孔の封止を行うことができ、所定の発破効率が得られることを見出し、ANFO爆薬の自動装填方法を完成した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】爆薬の遠隔装填システムによる装填作業の完全自動化への取り組み(熊谷組)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように爆薬自動装填工法は、発破作業の煩雑性、危険性を解消でき、作業環境を向上させるが、長いプラスチック製アンカーバッグを使うため、発破後の破砕されたアンカーバッグの回収作業が煩雑で、発破作業性及び作業環境を悪化させる。そこで、ANFO爆薬の自動化装填において、アンカーバッグを回収する難点を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために、なされたものであって、ANFO爆薬のアンカーバッグを用いる、発破孔内に装填する発破孔爆薬装填において、(1)バイオプラスチックを一部又は全部に使ったプラスチックフィルム製アンカーバッグを用いて水封状態でANFO爆薬を削孔内に装填する工程と、(2)発破後生成する土砂内に混入するアンカーバッグ粉砕物を分別することなく、放置し、自然分解させる工程とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ANFO爆薬はアンカーバッグを用いて発破孔内に装填するので、発破後ANFO爆薬を装填するために用いたアンカーバッグは発破とともに土砂内に拡散するが、バイオプラスックを一部又は全部とするプラスチック材料で形成されているので、発破に伴い、土砂とともに回収されるが、自然分解性であるため、土砂から分別回収することなく放置されても、時間とともに分解して消失する。したがって、アンカーバッグの破片により掘削工事環境が汚染されることがない。
【0009】
本発明の特徴は起爆剤となる親ダイ又は爆薬の装填に、発破孔よりも大径の軟質バイオプラスチックフィルム製アンカーバッグを用い、しかも親ダイ背後の発破孔にANFO爆薬を圧送充填して封止し、起爆後アンカーバッグを回収せず放置することにある。通常、45cm径の発破孔において、親ダイの背後にパッケージされたANFO爆薬(30cmΦ)を止め込んでも、発破孔の流動性爆薬の装填率は十分でなく、アンコを使って発破孔を封止する必要がある。本発明では装填パイプの先端に起爆剤となる親ダイ又は爆薬を取り付け、装填パイプをアンカーバッグとともに、発破孔に挿入し、親ダイ設定後、装填パイプをアンカーバッグから引き抜きつつ、ANFO爆薬を装填パイプから親ダイのその背後に圧送充填することにより、発破孔の充填率は100%近くまで向上するので、アンコでの封止と同等の十分な発破効率を得ることができる。したがって、本発明を用いると、安全で能率のよい爆薬自動装填を行うことができるので、画期的であるだけでなく、アンカーバッグは分解性バイオプラスチックを用いているので、これを分別回収することなく、放置して分解させるので、環境汚染になることもない。
【0010】
本発明によれば、親ダイはアンカーバックにカバーされ、発破孔内に装入されることになる。また、親ダイの雷管からの0.4~0.42mmΦのリード線の損傷を軟質のアンカーバッグが守る。それだけでなく、フレキシブルなバッグを発破孔径よりやや大きい任意の外径にするので、発破孔内壁が荒れていても、アンカーバッグで被覆されるので、親ダイの爆薬背後にANFO爆薬を圧送することで、充填率を100%に近いものとすることができる。通常、ANFO爆薬を使わないと、火薬の自動装填では発破孔内の少しの突起等の抵抗で、発破孔奥まで火薬が届かない場合があるが、本発明ではこのような突起があってもアンカーバッグでフラットになり、しかもスリップ剤が添加してあるので、さらに奥までの装填が可能となる。よって、特にアンコによる発破孔の入り口を封止する必要ないだけでなく、充填率の向上が図れ、発破孔への爆薬の自動装填を安全かつ簡易により実現することができる。
【0011】
また、トンネル下半は水穴が多いにも拘わらず、バラANFOには耐水性がないので問題となるが、本発明によれば、自動装填にアンカーバッグを使用することで、バラANFOを使って現場で最大径のピースANFOを作成するのと同様の効果を発揮する。そのため、最大限の孔径でANFO爆薬の装填を得ることができるので、充填率が高く、発破効率が高い。
【0012】
本発明方式で用いるアンカーバッグは、本来軟質合成樹脂材料を用いてフレキシブルに作成するが、発破後の回収を不要とするため、プラスチック材料の一部又は全部としてバイオプラスチックを用いる。これにより、発破後のアンカーバッグは土砂に分散し、混入するが自然分解するので回収は不要である。ここで、バイオプラスチックとは微生物よって生分解される「生分解プラスチック」と、バイオマス(デンプンやセルロース等の生物物有機資源)を原料として製造される「バイオマスプラスチック」との総称であり、特に前者は「グリーンプラスチック」「グリーンプラ」と呼称され、識別表示される制度があり、環境保全に貢献している。ここで、生分解性プラスチックとはバクテリアや生物によって生分解されるプラスチックであって、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)からなる群から選ばれる化学合成品、ポリヒドロキシン酪酸、エステル化澱粉、酢酸セルロース、キトサン及び澱粉系グリーンプラからなる天然品が挙げられる。アンカーバッグの一部又は全部を生分解性プラスチックで構成すると、本発明方法で使用することができる。典型的には軟質ポリエチレンに生分解性プラスチックを5以上30重量%混合すると、軟質プラスチック製フィルムの発破後の分解性を高めることができる。他方、バイオマスプラスチックには石油化学由来の原料とバイオマス由来の原料からなるバイオPET、バイオPTT、バイオPP、バイオPU、バイオPA610,バイオPE、バイオPA11、バイオPA1010が挙げられ、アンカーバッグの一部又は全部を構成することができる。典型的には軟質ポリエチレンにバイオマスプラスチック5以上30重量%を混合添加し、成形してアンカーバッグを生成することができる。また、帯電防止処理を行うのが好ましい。例えば、バッグの合成樹脂材料に、導電性繊維、導電性粉末、金属繊維、金属粉粒又は金属線を混入し、分散し又は内蔵することによって帯電防止処理を行うことができる。また、必要に応じてスリップ剤をバッグに添加し、バッグ表面に塗布するのが好ましい。
【0013】
バッグの外径は通常、発破孔の径が45φmmであるので、それより5%以上、好ましくは10~15%大きい外径の、アンカーバッグを用いるANFOの圧送充填でほぼ100%の充填密度が得られることが見出されている。先端は斜めにすると、発破孔に挿入しやすくなるが平坦であってもよい。他方、装入口は折り返して強度を持たせるのが、装填パイプが挿入しやすいので好ましい。また、バッグの厚みは薄すぎると破れやすく、厚すぎると発破孔内に沿わず、圧送されるANFO爆薬の充填率を低下させる。そこで、アンカーバッグは、厚み0.02mm~0.2mm程度のフィルムを用いて柔軟性を持たせるのが適当であり、発破孔の状態及びANFO爆薬の流動性などを考慮し、圧送充填により高い充填効率が得られる好ましい形態が選択される。充填効率に優れ、分解性に優れるアンカーバッグとしては軟質プラスチックスにバイオマスプラスチック又はグリーンプラスチックを5重量%以上30重量%混合し、フレキシブル性と分解性を持たせるのが好ましいが、使用用途に応じて混合比率を変えて物性を調整することができる。
【0014】
本発明で用いるANFO爆薬は硝酸アンモニウムと燃料油(引火点50℃以上)からなり、他の火薬、爆薬、金属粉等を含まない爆薬で工業雷管又は電気雷管では起爆しないものをいい、広く市販されている。配合例としては硝安94%と燃料油6%からなるものが挙げられる。通常、起爆には他の爆薬(ダイナマイト等)を雷管として起爆し、伝爆するものとして通常供給されている。親ダイ又はカートリッジ爆薬の周囲には硝安油剤爆薬(ANFO)とともに、バルクエマルション爆薬、スラリー爆薬などの流動性爆薬をANFO爆薬の一部に代えて混合し、流動性を調整し、装填することもできる。本発明においては、かかるANFO爆薬に代表される流動性爆薬の物性を利用して充填率を上げ、発破孔のアンコによる封止を解消することができるが、アンコ封止は従来通り行ってもよい。ANFO爆薬の充填密度は一様であってもよいし、奥から入り口にかけて充填密度を上げるようにしてもよい。ANFO充填によりアンコによる発破孔封止の効果を得るためである。アンカーバッグの最終端は折り返して肉厚に仕上げてあるので、アンコとともに発破孔の端部に詰め込んでおいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明で用いる爆薬自動装填システムの概要を示す全体図である。
【
図2A】本発明の爆薬自動装填方式の工程(1)から(4)を示す工程図で、(1)装填パイプ10の先端に親ダイ20を取り付け、(2)生分解性プラスチック製アンカーバック20を用意し、(3)このアンカーバッグ20に親ダイ21を取り付けた装填パイプ10を挿入し、(4)アンカーバッグ20とともにそこに挿入された親ダイ付装填パイプ10を発破孔30に装填する。
【
図2B】本発明の爆薬自動装填方式の工程(5)から(7)を示す工程図で、(5)装填パイプ10の先端から親ダイ20を取り外し、(6)装填パイプを発破孔から引き抜きつつバラANFO爆薬をアンカーバック20内に圧送し、親ダイ21の背後にANFO爆薬を充填していく。そして(7)十分にANFO爆薬を充填し、そのままで、又はアンコを詰めるようにして起爆してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る爆薬自動装填方式は工程(1)から工程(7)からなり、
図2Aおよび
図2Bに示される。
図2Aに示す工程は、(1)装填パイプ10の先端に親ダイ21を取り付ける工程、(2)装填パイプ10を挿入する、生分解性プラスチック製アンカーバッグ20を準備する工程、(3)親ダイ21を先端に取り付けた装填パイプ10をアンカーバッグ20内に挿入する工程、(4)発破孔30内に、装填パイプ10を内包したアンカーバッグ20を挿入する工程からなる、このアンカーバッグ20に封入された装填パイプ10は
図2Bに示すように、(5)発破孔30に挿入し、その奥に親ダイ21を設置し、この親ダイ21を装填パイプ10から切り離し、装填パイプ10を発破孔30から引き抜きつつ、発破孔30の奥にアンカーバッグ20を介して配置した親ダイ21の背後に、徐々に粒状ANFO爆薬を圧送して充填する工程と、(6)装填パイプ10を引き抜きつつ、親ダイ21の背後にほぼ100%の充填密度でANFO爆薬22を圧送充填する工程、(7)ANFO充填22を完了し、アンカーバック20の端部20aを発破孔30に詰め込んで封止する工程からなる。 本発明においては、発破後は、発破後の土砂から爆散したアンカーバッグの切れ端を分別回収することなく、同時に回収する工程からなる。アンカーバッグが生分解性プラスチックからなるため、従来のように、土砂から分別回収することがなく、放置することにより、分解消滅するからである。
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る爆薬自動装填方式に用いる装置の概要図で、図 に示すとおり,台車40は削岩機41と装填器42を備え、後方車両50に搭載した遠隔装填装置51から装填ホース11,装填パイプ10を操作するようになっており、爆薬の遠隔装填装置51は爆薬供給・アンコ供給・ 装填機の各装置とこれらを制御するコンピュータで構成されている.この装置における現在の装薬手順は,まず親ダイ(爆薬+雷管) を装填パイプの先端に取り付け,発破孔の 孔尻へエア圧送する.次に,増ダイ(爆薬 のみ)は手元の操作ボタンで所定の数量を設定し,増しダイ発射指令ボタンを押すと, 設定数の増ダイが連続的に孔内を圧送・装填される。すべての増ダイの装填が確認されると,次にアンコ装填指令で,所定数の連続整形されたアンコが同じ装填装置を 通って圧送されるになっているが、本発明では.装填パイプ10の先端にアンカーバッグ20を装着し、
図2Aに示す工程(1)から(4)及び
図2Bに示す工程(5)から(7)を繰り返し、各発破孔30に爆薬を遠隔操作で自動装填できるようになっている。
以上のように,親ダイ21をパイプ10の先端にセットし,アンカーバッグ20内にセットし、発破孔30内に挿入後は手元の ボタン操作のみで,親ダイ21を装填パイプ10から切り離し、ANFO爆薬を後方の台車よりホースを経由して全自動で圧送・装填が可能である。 従来の人力による装填作業では,作業員は切羽に長時間密着した状況で,木製の込め棒で突きながら親ダイ,増しダイ,アンコ を挿入し,装填するという作業となっていたが、爆薬の遠隔操作による自動装填方式による装填作業は,切羽から 1.5m 程度離れたところから,比較的楽な姿勢で装薬作業を行え、切羽 作業の安全向上はもとより,楽な体勢で装填作業が行えることから肉体的 疲労も軽減される。しかも,ANFO爆薬の充填によりアンコによる発破孔の封止が必要なくなると自動装填作業も軽減されるので、実行容易である。
【0017】
本発明では、爆薬の自動装填において、生分解性プラスチックで製造されるアンカーバック100を用いる。 バッグ100は生分解性合成樹脂材料、例えばサトーキビを原料とするバイオマスプラスチックを軟質ポリエチレン樹脂に5~20重量%混合して得られる分解性軟質プラスチックを用い、要すれば帯電防止剤及びスリップ剤を添加し、押出し成形等によって発破孔30の径よりも大径のホース状に製作されるとともに、先端は封鎖され、後端は開口されている。例えば、発破孔40の径が45φmmの場合、外径D48φmm~52φmm、厚み0.02mm~0.2mmのホース状に製作されている。また、装入口20aは発破孔30の径よりも大径に製作されている。例えば、発破孔30の径が45φmmの場合、装入口20aの外径は切削径よりやや大径が採用される。
【0018】
上記実施例では、生分解性プラスチックとしてサトーキビを起源とするバイオマスプラスチックを用いたが、その他の生分解性プラスチック又はバイオマスプラスチックを用いてもよい。当業者によれば、本発明の要旨を逸脱することなく、一部変更することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0019】
10 装填パイプ
20 分解性アンカーバッグ
21 親ダイ
22 ANFO爆薬
30 発破孔