(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-08
(45)【発行日】2025-05-16
(54)【発明の名称】共用戻り電極を用いたデュアルRF単極電気手術の独立制御
(51)【国際特許分類】
A61B 18/10 20060101AFI20250509BHJP
【FI】
A61B18/10
(21)【出願番号】P 2021085090
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2024-04-22
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド ヘッケル
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド トン
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-530657(JP,A)
【文献】特表2010-526641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0078083(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0281322(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0132062(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0287311(US,A1)
【文献】欧州特許第02753259(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/10
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気手術用発電機であって、
第1の無線周波数源であって、
第1の直流波形を出力するように構成された第1の電源、
前記第1の電源に結合され、前記第1の直流波形から第1の無線周波数波形を生成するように構成された第1の無線周波数インバータ、および
前記第1の無線周波数インバータを制御するように構成された第1のコントローラ
を含む
第1の無線周波数源と、
第2の無線周波数源であって、
第2の直流波形を出力するように構成された第2の電源、
前記第2の電源に結合され、前記第1の無線周波数波形と同時に第2の無線周波数波形を生成するように構成された第2の無線周波数インバータ、および
前記第2の無線周波数インバータを制御するように構成された第2のコントローラ
を含む
第2の無線周波数源と、
少なくとも1つの戻り電極パッドに結合するように構成された共通戻り端子であって、前記第1の無線周波数インバータおよび前記第2の無線周波数インバータに結合された共通戻り端子と
を備える、電気手術用発電機。
【請求項2】
前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラに結合され、前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラの動作を同期させるように構成されたクロック源をさらに備える、請求項1に記載の電気手術用発電機。
【請求項3】
前記第1の無線周波数波形は、第1の周波数を有し、前記第2の無線周波数波形は、
前記
第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する、請求項2に記載の電気手術用発電機。
【請求項4】
前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラは、それぞれ前記第1の無線周波数波形および前記第2の無線周波数波形の周波数ドメイン分析を実行するように構成されている、請求項3に記載の電気手術用発電機。
【請求項5】
前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラの各々は、前記周波数ドメイン分析に基づいて、前記第1の無線周波数源と前記第2の無線周波数源との間の相互コンダクタンスを検出するようにさらに構成されている、請求項4に記載の電気手術用発電機。
【請求項6】
前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラの各々は、前記相互コンダクタンスの検出に応答して、前記第1の無線周波数源および前記第2の無線周波数源の両方を遮断するようにさらに構成されている、請求項5に記載の電気手術用発電機。
【請求項7】
前記第1の無線周波数源は、前記第1の無線周波数インバータに結合され
た第1の能動端子であって、第1の電気手術機器に結合するようにさらに構成されている第1の能動端子をさらに含む、請求項1に記載の電気手術用発電機。
【請求項8】
前記第2の無線周波数源は、前記第2の無線周波数インバータに結合され
た第2の能動端子であって、第2の電気手術機器に結合するようにさらに構成されている第2の能動端子をさらに含む、請求項7に記載の電気手術用発電機。
【請求項9】
前記第1の無線周波数源は、前記第1の無線周波数インバータに結合された一次巻線と、前記第1の能動端子および前記共通戻り端子に結合された二次巻線とを有する第1の絶縁変圧器をさらに含む、請求項
8に記載の電気手術用発電機。
【請求項10】
前記第2の無線周波数源は、前記第2の無線周波数インバータに結合された一次巻線と、前記第2の能動端子および前記共通戻り端子に結合された二次巻線とを有する第2の絶縁変圧器をさらに含む、請求項
9に記載の電気手術用発電機。
【請求項11】
電気手術システムであって、
第1の電気手術機器、
第2の電気手術機器、および
電気手術用発電機
を備え、前記電気手術用発電機は、
第1の無線周波数源であって、
第1の直流波形を出力するように構成された第1の電源、
前記第1の電源および前記第1の電気手術機器に結合された第1の無線周波数インバータであって、前記第1の直流波形からの第1の周波数を有する第1の無線周波数波形を前記第1の電気手術機器に供給するように構成された第1の無線周波数インバータ、ならびに
前記第1の無線周波数インバータを制御するように構成された第1のコントローラ
を含む
第1の無線周波数源と、
第2の無線周波数源であって、
第2の直流波形を出力するように構成された第2の電源、
前記第2の電源および前記第2の電気手術機器に結合された第2の無線周波数インバータであって、前記第1の無線周波数波形と同時に、前記第2の電気手術機器に対して、前記第2の直流波形から第2の無線周波数波形を生成するように構成された第2の無線周波数インバータ、ならびに
前記第2の無線周波数インバータを制御するように構成された第2のコントローラ
を含む
第2の無線周波数源と、
少なくとも1つの戻り電極パッドであって、前記電気手術用発電機は、前記少なくとも1つの戻り電極パッドと、前記第1の無線周波数インバータおよび前記第2の無線周波数インバータとに結合された共通戻り端子をさらに含む、少なくとも1つの戻り電極パッドと
を含む、電気手術システム。
【請求項12】
前記電気手術用発電機は、前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラに結合され
たクロック源であって、前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラの動作を同期させるように構成されたクロック源をさらに含む、請求項
11に記載の電気手術システム。
【請求項13】
前記第1の無線周波数波形は、第1の周波数を有し、前記第2の無線周波数波形は、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する、請求項
12に記載の電気手術システム。
【請求項14】
前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラは、それぞれ前記第1の無線周波数波形および前記第2の無線周波数波形の周波数ドメイン分析を実行するように構成されている、請求項
13に記載の電気手術システム。
【請求項15】
前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラの各々は、前記周波数ドメイン分析に基づいて、前記第1の無線周波数源と前記第2の無線周波数源との間の相互コンダクタンスを検出するようにさらに構成されている、請求項
14に記載の電気手術システム。
【請求項16】
前記第1のコントローラおよび前記第2のコントローラの各々は、前記相互コンダクタンスの検出に応答して、前記第1の無線周波数源および前記第2の無線周波数源の両方を遮断するようにさらに構成されている、請求項
15に記載の電気手術システム。
【請求項17】
前記第1の無線周波数源は、前記第1の無線周波数インバータに結合され
た第1の能動端子であって、第1の電気手術機器に結合するようにさらに構成されている第1の能動端子をさらに含み、
前記第2の無線周波数源は、前記第2の無線周波数インバータに結合され
た第2の能動端子であって、第2の電気手術機器に結合するようにさらに構成されている第2の能動端子をさらに含む、請求項
11に記載の電気手術システム。
【請求項18】
前記第1の無線周波数源は、前記第1の無線周波数インバータに結合された一次巻線と、前記第1の能動端子および前記共通戻り端子に結合された二次巻線とを有する第1の絶縁変圧器をさらに含み、
前記第2の無線周波数源は、前記第2の無線周波数インバータに結合された一次巻線と、前記第2の能動端子および前記共通戻り端子に結合された二次巻線とを有する第2の絶縁変圧器をさらに含む、請求項
17に記載の電気手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第63/028,007号、第63/028,012号、第63/028,009号、および第63/028,049号の利益および優先権を主張し、その各々は2020年5月21日に出願された。前述の各出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、電気手術用発電機を制御するためのシステムおよび方法に関する。特に、本開示は、1つ以上の戻り電極を通る共通戻り経路を共用する複数の単極電気手術デバイスを制御することに関する。
【0003】
関連技術の背景
電気手術は、組織を切断、アブレーション、乾燥、または凝固させるために、手術部位に高無線周波電流を印加することを伴う。単極電気手術では、ソース電極または能動電極が、電気手術用発電機からの無線周波数交流電流を標的組織に送達する。患者の戻り電極が、能動電極から離れて配置されて、電流を発電機に戻す。
【0004】
双極電気手術では、戻り電極と能動電極とが、互いに近接して配置されて、(例えば、電気手術鉗子の場合)2つの電極間に電気回路が形成される。このようにして、印加された電流は、電極間に配置された体組織に限定される。したがって、双極電気手術は、一般に、2つの電極間で電気手術エネルギーの集中的な送達を達成することが望まれる機器の使用を伴う。
【0005】
デュアルサイト手術、すなわち2つの電気手術機器を同時に使用することの現在の解決策は、一般に、2つの電気手術用発電機を使用することである。この解決策は、本質的に面倒で、法外な費用がかかる。したがって、共通戻り経路を使用して、単一の電気手術用発電機の複数のポートを独立して制御する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、2つの別個のRF源によって生成される2つの無線周波数(RF)チャンネルを有する電気手術用発電機を含む電気手術システムを提供する。源の各々は、DC電力を出力するように構成された電源と、RF波形を出力するように構成されたRF電力インバータとを含む。個々のRF波形は、対応する単極機器に供給され、各RF波形は、1つ以上の戻り電極パッドを含み得る共通戻り経路を通して戻される。源の各々は、共通クロック源に各々結合されているそれ自体のコントローラによって制御される。電気手術用発電機は、各源の不連続信号または連続信号の広帯域測定を実行し、RF源間の相互コンダクタンスおよびクロストークを同時に検出する。本明細書で使用される場合、相互コンダクタンスは、反対側のチャンネルの接触インピーダンスを通って流れるエネルギーチャンネルの電流であり、クロストークは、電気手術用発電機内のエネルギーチャンネル間の放射干渉である。
【0007】
本開示の1つの実施形態によれば、電気手術用発電機が開示される。電気手術用発電機は、第1の直流波形を出力するように構成された第1の電源、第1の電源に結合され、第1の直流波形から第1の無線周波数波形を生成するように構成された第1の無線周波数インバータ、および第1の無線周波数インバータを制御するように構成された第1のコントローラを有する、第1の無線周波数源を含む。電気手術用発電機はまた、第2の直流波形を出力するように構成された第2の電源、第2の電源に結合され、第1の無線周波数波形と同時に第2の無線周波数波形を生成するように構成された第2の無線周波数インバータ、および第2の無線周波数インバータを制御するように構成された第2のコントローラを有する、第2の無線周波数源を含む。
【0008】
上記の実施形態の一態様によれば、電気手術用発電機は、第1のコントローラおよび第2のコントローラに結合され、第1のコントローラおよび第2のコントローラの、センササンプリングを含む動作を同期させるように構成されたクロック源をさらに含む。第1の無線周波数波形は、第1の周波数を有し、第2の無線周波数波形は、第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する。第1のコントローラおよび第2のコントローラは、それぞれ第1の無線周波数波形および第2の無線周波数波形の周波数ドメイン分析を実行するように構成されている。第1のコントローラおよび第2のコントローラの各々は、周波数ドメイン分析に基づいて、第1の無線周波数源と第2の無線周波数源との間の相互コンダクタンスを検出するようにさらに構成されている。第1のコントローラおよび第2のコントローラの各々は、相互コンダクタンスの検出に応答して、第1の無線周波数源および第2の無線周波数源の両方を遮断するようにさらに構成されている。
【0009】
上記の実施形態の別の態様によれば、第1の無線周波数源は、第1の無線周波数インバータに結合され、第1の電気手術機器に結合するようにさらに構成された第1の能動端子をさらに含む。第2の無線周波数源は、第2の無線周波数インバータに結合され、第2の電気手術機器に結合するようにさらに構成された第2の能動端子をさらに含む。電気手術用発電機は、少なくとも1つの戻り電極パッドに結合するように構成された共通戻り端子であって、第1の無線周波数インバータおよび第2の無線周波数インバータに結合された共通戻り端子をさらに含む。第1の無線周波数源は、第1の無線周波数インバータに結合された一次巻線と、第1の能動端子および共通戻り端子に結合された二次巻線とを有する第1の絶縁変圧器をさらに含む。第2の無線周波数源は、第2の無線周波数インバータに結合された一次巻線と、第2の能動端子および共通戻り端子に結合された二次巻線とを有する第2の絶縁変圧器をさらに含む。
【0010】
別の実施形態によれば、電気手術システムが開示される。電気手術システムは、第1の電気手術機器、第2電気手術機器、および電気手術用発電機を含み、電気手術用発電機は、第1の直流波形を出力するように構成された第1の電源、第1の電源および第1の電気手術機器に結合された第1の無線周波数インバータであって、第1の直流波形からの第1の無線周波数波形を第1の電気手術機器に供給するように構成された第1の無線周波数インバータ、ならびに第1の無線周波数インバータを制御するように構成された第1のコントローラを有する、第1の無線周波数源を含む。電気手術用発電機は、第2の直流波形を出力するように構成された第2の電源、第2の電源および第2の電気手術機器に結合された第2の無線周波数インバータであって、第1の無線周波数波形と同時に、第2の電気手術機器に対して、第2の直流波形から第2の無線周波数波形を生成するように構成された第2の無線周波数インバータ、ならびに第2の無線周波数インバータを制御するように構成された第2のコントローラを有する、第2の無線周波数源をさらに含む。
【0011】
上記の実施形態の一態様によれば、電気手術用発電機は、第1のコントローラおよび第2のコントローラに結合され、第1のコントローラおよび第2のコントローラの、センササンプリングを含む動作を同期させるように構成されたクロック源をさらに含む。第1の無線周波数波形は、第1の周波数を有し、第2の無線周波数波形は、第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する。第1のコントローラおよび第2のコントローラは、それぞれ第1の無線周波数波形および第2の無線周波数波形の周波数ドメイン分析を実行するように構成されている。第1のコントローラおよび第2のコントローラの各々は、周波数ドメイン分析に基づいて、第1の無線周波数源と第2の無線周波数源との間の相互コンダクタンスを検出するようにさらに構成されている。第1のコントローラおよび第2のコントローラの各々は、相互コンダクタンスの検出に応答して、第1の無線周波数源および第2の無線周波数源の両方を遮断するようにさらに構成されている。
【0012】
上記の実施形態の別の態様によれば、第1の無線周波数源は、第1の無線周波数インバータに結合され、第1の電気手術機器に結合するようにさらに構成された第1の能動端子をさらに含み、第2の無線周波数源は、第2の無線周波数インバータに結合され、第2の電気手術機器に結合するようにさらに構成された第2の能動端子をさらに含む。電気手術システムは、少なくとも1つの戻り電極パッドをさらに含み、電気手術用発電機は、少なくとも1つの戻り電極パッドと、第1の無線周波数インバータおよび第2の無線周波数インバータとに結合された共通戻り端子をさらに含む。第1の無線周波数源は、第1の無線周波数インバータに結合された一次巻線と、第1の能動端子および共通戻り端子に結合された二次巻線とを有する第1の絶縁変圧器をさらに含む。第2の無線周波数源は、第2の無線周波数インバータに結合された一次巻線と、第2の能動端子および共通戻り端子に結合された二次巻線とを有する第2の絶縁変圧器をさらに含む。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
電気手術用発電機であって、
第1の直流波形を出力するように構成された第1の電源、
上記第1の電源に結合され、上記第1の直流波形から第1の無線周波数波形を生成するように構成された第1の無線周波数インバータ、および
上記第1の無線周波数インバータを制御するように構成された第1のコントローラを含む、第1の無線周波数源と、
第2の直流波形を出力するように構成された第2の電源、
上記第2の電源に結合され、上記第1の無線周波数波形と同時に第2の無線周波数波形を生成するように構成された第2の無線周波数インバータ、および
上記第2の無線周波数インバータを制御するように構成された第2のコントローラを含む、第2の無線周波数源と、を備える、電気手術用発電機。
(項目2)
上記第1のコントローラおよび上記第2のコントローラに結合され、上記第1のコントローラおよび上記第2のコントローラの動作を同期させるように構成されたクロック源をさらに備える、上記項目に記載の電気手術用発電機。
(項目3)
上記第1の無線周波数波形は、第1の周波数を有し、上記第2の無線周波数波形は、第上記1の周波数とは異なる第2の周波数を有する、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術用発電機。
(項目4)
上記第1のコントローラおよび上記第2のコントローラは、それぞれ上記第1の無線周波数波形および上記第2の無線周波数波形の周波数ドメイン分析を実行するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術用発電機。
(項目5)
上記第1のコントローラおよび上記第2のコントローラの各々は、上記周波数ドメイン分析に基づいて、上記第1の無線周波数源と上記第2の無線周波数源との間の相互コンダクタンスを検出するようにさらに構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術用発電機。
(項目6)
上記第1のコントローラおよび上記第2のコントローラの各々は、上記相互コンダクタンスの検出に応答して、上記第1の無線周波数源および上記第2の無線周波数源の両方を遮断するようにさらに構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術用発電機。
(項目7)
上記第1の無線周波数源は、上記第1の無線周波数インバータに結合され、第1の電気手術機器に結合するようにさらに構成されている第1の能動端子をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術用発電機。
(項目8)
上記第2の無線周波数源は、上記第2の無線周波数インバータに結合され、第2の電気手術機器に結合するようにさらに構成されている第2の能動端子をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術用発電機。
(項目9)
少なくとも1つの戻り電極パッドに結合するように構成された共通戻り端子であって、上記第1の無線周波数インバータおよび上記第2の無線周波数インバータに結合された共通戻り端子をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術用発電機。
(項目10)
上記第1の無線周波数源は、上記第1の無線周波数インバータに結合された一次巻線と、上記第1の能動端子および上記共通戻り端子に結合された二次巻線とを有する第1の絶縁変圧器をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術用発電機。
(項目11)
上記第2の無線周波数源は、上記第2の無線周波数インバータに結合された一次巻線と、上記第2の能動端子および上記共通戻り端子に結合された二次巻線とを有する第2の絶縁変圧器をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術用発電機。
(項目12)
電気手術システムであって、
第1の電気手術機器、
第2の電気手術機器、および
電気手術用発電機を備え、上記電気手術用発電機は、
第1の直流波形を出力するように構成された第1の電源、
上記第1の電源および上記第1の電気手術機器に結合された第1の無線周波数インバータであって、上記第1の直流波形からの第1の周波数を有する第1の無線周波数波形を上記第1の電気手術機器に供給するように構成された第1の無線周波数インバータ、ならびに
上記第1の無線周波数インバータを制御するように構成された第1のコントローラを含む、第1の無線周波数源と、
第2の直流波形を出力するように構成された第2の電源、
上記第2の電源および上記第2の電気手術機器に結合された第2の無線周波数インバータであって、上記第1の無線周波数波形と同時に、上記第2の電気手術機器に対して、上記第2の直流波形から第2の無線周波数波形を生成するように構成された第2の無線周波数インバータ、ならびに
上記第2の無線周波数インバータを制御するように構成された第2のコントローラを含む、第2の無線周波数源と、を含む、電気手術システム。
(項目13)
上記電気手術用発電機は、上記第1のコントローラおよび上記第2のコントローラに結合され、上記第1のコントローラおよび上記第2のコントローラの動作を同期させるように構成されたクロック源をさらに含む、上記項目に記載の電気手術システム。
(項目14)
上記第1の無線周波数波形は、第1の周波数を有し、上記第2の無線周波数波形は、上記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術システム。
(項目15)
上記第1のコントローラおよび上記第2のコントローラは、それぞれ上記第1の無線周波数波形および上記第2の無線周波数波形の周波数ドメイン分析を実行するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術システム。
(項目16)
上記第1のコントローラおよび上記第2のコントローラの各々は、上記周波数ドメイン分析に基づいて、上記第1の無線周波数源と上記第2の無線周波数源との間の相互コンダクタンスを検出するようにさらに構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術システム。
(項目17)
上記第1のコントローラおよび上記第2のコントローラの各々は、上記相互コンダクタンスの検出に応答して、上記第1の無線周波数源および上記第2の無線周波数源の両方を遮断するようにさらに構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術システム。
(項目18)
上記第1の無線周波数源は、上記第1の無線周波数インバータに結合され、第1の電気手術機器に結合するようにさらに構成されている第1の能動端子をさらに含み、
上記第2の無線周波数源は、上記第2の無線周波数インバータに結合され、第2の電気手術機器に結合するようにさらに構成されている第2の能動端子をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術システム。
(項目19)
少なくとも1つの戻り電極パッドをさらに備え、上記電気手術用発電機は、上記少なくとも1つの戻り電極パッドと、上記第1の無線周波数インバータおよび上記第2の無線周波数インバータとに結合された共通戻り端子をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術システム。
(項目20)
上記第1の無線周波数源は、上記第1の無線周波数インバータに結合された一次巻線と、上記第1の能動端子および上記共通戻り端子に結合された二次巻線とを有する第1の絶縁変圧器をさらに含み、
上記第2の無線周波数源は、上記第2の無線周波数インバータに結合された一次巻線と、上記第2の能動端子および上記共通戻り端子に結合された二次巻線とを有する第2の絶縁変圧器をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の電気手術システム。
(摘要)
電気手術用発電機は、第1の直流波形を出力するように構成された第1の電源、第1の電源に結合され、第1の直流波形から第1の無線周波数波形を生成するように構成された第1の無線周波数インバータ、および第1の無線周波数インバータを制御するように構成された第1のコントローラを有する、第1の無線周波数源を含む。電気手術用発電機はまた、第2の直流波形を出力するように構成された第2の電源、第2の電源に結合され、第1の無線周波数波形と同時に第2の無線周波数波形を生成するように構成された第2の無線周波数インバータ、および第2の無線周波数インバータを制御するように構成された第2のコントローラを有する、第2の無線周波数源を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示は、後続の詳細な説明と併せて検討するときに、添付の図面を参照することによって理解され得る。
【0014】
【
図1】本開示の一実施形態による電気手術システムの斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、
図1のデュアルRF源電気手術用発電機の正面図である。
【
図3】本開示の一実施形態による、
図1の電気手術用発電機の概略図である。
【
図4】本開示による、
図1の電気手術用発電機の第1のRF源の第1のコントローラおよび第2の制御源の第2のコントローラに結合されたクロック源の概略図である。
【
図5】本開示による、
図1の電気手術用発電機によって生成された連続RF波形の周波数応答プロットである。
【
図6】本開示による、
図1の電気手術用発電機によって生成された不連続RF波形の周波数応答プロットである。
【
図7】本開示の一実施形態による、
図1の電気手術用発電機を動作させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の電気手術システムの実施形態を、図面を参照して詳細に説明するが、図中、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を示す。本明細書で使用される場合、用語「遠位」は、結合された手術器具の、患者により近い部分を指し、用語「近位」は、患者からより遠い部分を指す。
【0016】
用語「アプリケーション」は、ユーザの利益のために機能、タスク、またはアクティビティを実行するように設計されたコンピュータプログラムを含み得る。アプリケーションは、例えば、スタンドアロンプログラムとしてもしくはウェブブラウザ内でローカルにもしくはリモートで動作するソフトウェア、または当業者によってアプリケーションであると理解される他のソフトウェアを指し得る。アプリケーションは、コントローラ上で、または、例えばモバイルデバイス、IOTデバイス、サーバシステム、もしくは任意のプログラマブルロジックデバイスを含むユーザデバイス上で、動作し得る。
【0017】
以下の説明では、周知の機能または構成は、不必要な詳細で本開示を不明瞭にすることを避けるために、詳細には説明されない。当業者は、本開示が、内視鏡機器、腹腔鏡機器、または開腹機器のいずれかでの使用に適合され得ることを理解するであろう。異なる電気的および機械的接続ならびに他の考慮事項が各特定のタイプの機器に適用され得ることも理解されるべきである。
【0018】
本開示による電気手術用発電機は、例えば、切断、凝固、アブレーション、および血管シーリング手順を含む、単極および/または双極電気手術手順で使用され得る。発電機は、さまざまな超音波および電気手術機器(例えば、超音波ディセクタおよび止血鉗子、単極機器、戻り電極パッド、双極電気手術鉗子、フットスイッチなど)とインターフェースするための複数の出力を含み得る。さらに、発電機は、さまざまな電気手術モード(例えば、切断、混合、凝固、止血を伴う分割、電光破壊、スプレーなど)および手順(例えば、単極、双極、血管シーリング)で動作する超音波機器および電気手術デバイスに電力供給するのに特に好適な無線周波数エネルギーを生成するように構成された電子回路を含み得る。
【0019】
図1を参照すると、患者の組織を治療するための1つ以上の能動電極23’および23”(例えば、電気手術切断プローブ、アブレーション電極など)を有する1つ以上の単極電気手術機器20’よび20”を含む電気手術システム10が示されている。システム10は、使用中、患者との全体的接触面積を最大化することによって組織損傷の可能性を最小化するために患者に配置される複数の戻り電極パッド26を含み得る。電気手術交流RF電流が、発電機100によって供給ライン24’および24”を介して機器20’および20”に供給される。発電機100は、個々のRF源から機器20’および20”の各々に別個のRF波形を供給するように構成されたデュアルソースRF発電機である。交流RF電流は、戻り電極パッド26を通って戻りライン28を介して発電機100に戻される。さらに、発電機100および戻り電極パッド26は、発電機と患者との接触を監視して、それらの間に十分な接触が存在することを保証するように構成され得る。実施形態では、システム10はまた、患者の組織を治療するための1つ以上の電極を有する1つ以上の双極電気手術機器、例えば双極電気手術鉗子(図示せず)を含み得る。さらなる実施形態では、本開示による発電機100はまた、以下に記載される方法で双極電気手術機器を同時に作動させるように構成され得る。
【0020】
図2を参照すると、発電機100の正面102が示されている。発電機100は、さまざまなタイプの電気手術機器に対応するための複数のポート110、112、114、116と、戻り電極パッド26に結合するためのポート118とを含み得る。発電機100は、さまざまな出力情報(例えば、強度設定、治療完了インジケータなど)をユーザに提供するためのディスプレイ120を含む。ディスプレイ120は、機器(例えば、より多くの単極電気手術機器20’および20”、電気手術鉗子など)に対応するメニューを表示するように構成されたタッチスクリーンである。したがって、ユーザは、対応するメニューオプションをタッチするだけで入力を調整する。発電機100は、発電機100を制御するための好適な入力制御122(例えば、ボタン、アクティベータ、スイッチ、タッチスクリーンなど)を含む。
【0021】
発電機100は、さまざまなモードで動作するように構成され、選択されたモードに基づく単極波形を出力するように構成されている。実施形態では、発電機100は、切断、混合、止血を伴う分割、電光破壊およびスプレーを含むがこれらに限定されないモードで動作し得る。各モードは、負荷(例えば、組織)のさまざまなインピーダンス範囲でどれくらいの電力が発電機100によって出力されるかを決定する事前プログラムされた電力曲線に基づいて動作する。各電力曲線には、ユーザが選択した強度設定と測定された負荷の最小インピーダンスとによって定義される、電力、電圧、および電流の制御範囲が含まれる。
【0022】
第1および第2のRF波形は、連続または不連続のいずれかであり得、約200kHz~約500kHzの搬送周波数を有し得る。本明細書で使用される場合、連続波形は、100%のデューティサイクルを有する波形である。実施形態では、組織に切断効果を与えるために、連続波形が使用される。逆に、不連続波形は、例えば100%未満の非連続デューティサイクルを有する波形である。実施形態では、組織に凝固効果を提供するために、不連続波形が使用される。
【0023】
切断モードでは、発電機100は、約100Ω~約2000Ωのインピーダンスで、約1.5のクレストファクタを有する所定の搬送周波数(例えば、472kHz)の連続正弦波形を供給し得る。切断モード電力曲線は、低インピーダンスへの定電流、中インピーダンスへの定電力、高インピーダンスへの定電圧の3つの領域を含み得る。混合モードでは、発電機は、所定の周波数の正弦波形のバーストを供給し得、バーストは、第1の所定の割合(例えば、約26.21kHz)で再発生する。1つの実施形態では、バーストのデューティサイクルは、約50%であり得る。1周期の正弦波形のクレストファクタは、約1.5であり得る。バーストのクレストファクタは、約2.7であり得る。
【0024】
止血を伴う分割モードは、第2の所定の割合(例えば、約28.3kHz)で再発生する、所定の周波数(例えば、472kHz)の正弦波形のバーストを含み得る。バーストのデューティサイクルは、約25%であり得る。1つのバーストのクレストファクタは、約100Ω~約2000Ωのインピーダンスで約4.3であり得る。電光破壊モードは、第3の所定の割合(例えば、約30.66kHz)で再発生する、所定の周波数(例えば、472kHz)の正弦波形のバーストを含み得る。バーストのデューティサイクルは、約6.5%であり得、1つのバーストサイクルのクレストファクタは、約100Ω~約2000Ωのインピーダンス範囲で約5.55であり得る。スプレーモードは、第4の所定の割合(例えば、約21.7kHz)で再発生する、所定の周波数(例えば、472kHz)の正弦波形のバーストを含み得る。バーストのデューティサイクルは、約4.6%であり、1つのバーストサイクルのクレストファクタは、約100Ω~約2,000Ωのインピーダンス範囲で約6.6であり得る。
【0025】
図3を参照すると、発電機100は、個々別々のDC電源によって各々が電力供給される個々別々のRFインバータによって各RF源が供給される、デュアルソースRFアーキテクチャを含む。より具体的には、発電機100は、第1のRF源202および第2のRF源302を含む。源202および302の各々は、第1のコントローラ204および第2のコントローラ304、第1の電源206および第2の電源306、ならびに第1のRFインバータ208および第2のRFインバータ308を含む。電源206および306は、共通AC電源(例えば、線間電圧)に接続された高電圧のDC電源であり得、高電圧のDC電力をそれぞれのRFインバータ208および308に提供し、次いで、RFインバータ208および308は、DC電力を、それぞれの能動端子210および310を通る第1のRF波形および第2のRF波形に変換する。エネルギーは、共用戻り端子312を介してそこに戻される。特に、ポート110および112に結合された単極電気手術機器20’および20”にエネルギーを与えるための電気手術エネルギーは、能動端子210および310を通して送達され、ポート118に結合された戻り電極パッド26を通して戻され、次いで、ポート118は、戻り端子312に結合されている。
【0026】
能動端子210および戻り端子312は、絶縁変圧器214を通してRFインバータ208に結合されている。絶縁変圧器214は、RFインバータ208に結合された一次巻線214aと、能動端子210および戻り端子312に結合された二次巻線214bとを含む。同様に、能動端子310および戻り端子312は、絶縁変圧器314を通してRFインバータ308に結合されている。絶縁変圧器314は、RFインバータ308に結合された一次巻線314aと、能動端子310および戻り端子312に結合された二次巻線314bとを含む。
【0027】
RFインバータ208および308は、複数のモードで動作するように構成され、その間、発電機100は、特定のデューティサイクル、ピーク電圧、クレストファクタなどを有する対応する波形を出力する。他の実施形態では、発電機100は、他のタイプの好適な電源トポロジに基づき得ることが想定される。RFインバータ208および308は、図示されたように、共振RF増幅器または非共振RF増幅器であり得る。非共振RF増幅器は、本明細書で使用される場合、RFインバータと負荷、例えば組織との間に配置された調整部品、すなわち導体、コンデンサなどを欠く増幅器を意味する。
【0028】
コントローラ204および304は、メモリ(図示せず)に動作可能に接続されたプロセッサ(図示せず)を含み得、メモリは、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、またはフラッシュメモリなどの、揮発性、不揮発性、磁気的、光学的、または電気的媒体のうちの1つ以上を含み得る。プロセッサは、限定はされないが、ハードウェアプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、およびそれらの組み合わせを含む、本開示に記載される動作、計算、および/または命令のセットを行うように適合された任意の好適なプロセッサ(例えば、制御回路)であり得る。プロセッサは、本明細書に記載の計算および/または命令セットを実行するように適合された任意の論理プロセッサ(例えば、制御回路)を使用することによって代用され得ることが、当業者には理解されよう。
【0029】
コントローラ204および304の各々は、それぞれの電源206および306ならびに/またはRFインバータ208および308に動作可能に接続され、プロセッサが、開いたおよび/または閉じた制御ループ方式のいずれかにしたがって、発電機100の第1のRF源202および第2のRF源302の出力を制御することを可能にする。閉ループ制御方式は、複数のセンサがさまざまな組織およびエネルギー特性(例えば、組織インピーダンス、組織温度、出力電力、電流および/または電圧など)を測定し、コントローラ204および304の各々にフィードバックを提供する、フィードバック制御ループである。次いで、コントローラ204および304は、それぞれの電源206および306、ならびに/またはDCおよび/もしくはRF波形を調整するRFインバータ208および308をそれぞれ制御する。
【0030】
本開示による発電機100はまた、発電機100の第1のRF源202および第2のRF源302の出力を各々が監視する、複数のセンサ216および316を含み得る。センサ216および316は、任意の好適な電圧、電流、電力、およびインピーダンスセンサであり得る。
図3に示された実施形態では、センサ216は、RFインバータ208のリード線220aおよび220bに結合されている。リード線220aおよび220bは、RFインバータ208を変圧器214の一次巻線214aに結合する。センサ316は、RFインバータ308のリード線320aおよび320bに結合されている。リード線320aおよび320bは、RFインバータ308を変圧器314の一次巻線314aに結合する。したがって、センサ216および316は、能動端子210および310ならびに戻り端子312に供給されるエネルギーの電圧、電流、および他の電気的特性を検知するように構成されている。
【0031】
さらなる実施形態では、センサ216および316は、電源206および306に結合され得、RFインバータ208および308に供給されるDC電流の特性を検知するように構成され得る。コントローラ204および304はまた、発電機100のディスプレイ120および入力制御122ならびに/または機器20’および20”から入力信号を受信する。コントローラ204および304は、発電機100によって出力される電力を調整し、および/または入力信号に応答して、他の制御機能を発電機100に実行する。
【0032】
RFインバータ208および308は、Hブリッジトポロジに配置された複数のスイッチング素子228a~228dおよび328a~328dをそれぞれ含む。実施形態では、RFインバータ208および308は、ハーフブリッジ、フルブリッジ、プッシュプルなどを含むがこれら限定されない、任意の好適なトポロジにしたがって構成され得る。好適なスイッチング素子には、トランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)、それらの組み合わせなどの電圧制御デバイスが含まれる。実施形態では、FETは、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、または任意の他の好適な広バンドギャップ材料から形成され得る。
【0033】
コントローラ204および304は、それぞれのRFインバータ208および308、特にスイッチング素子228a~228dおよび328a~328dと通信する。コントローラ204および304は、パルス幅変調(「PWM」)信号であり得る制御信号をスイッチング素子228a~228dおよび328a~328dに出力するように構成されている。特に、コントローラ204は、RFインバータ208のスイッチング素子228a~228dに供給される制御信号d1を変調するように構成され、コントローラ304は、RFインバータ308のスイッチング素子328a~328dに供給される制御信号d2を変調するように構成されている。制御信号d1およびd2は、それぞれの選択された搬送周波数でRFインバータ208および308を動作させるPWM信号を提供する。さらに、コントローラ204および304は、発電機100の第1のRF源202および第2のRF源302の出力の電力特性を計算し、RFインバータ208および308の出力における電圧、電流、および電力を含むがこれらに限定されない、測定された電力特性に少なくともに部分的に基づいて、第1のRF源202および第2のRF源302の出力を制御するように構成されている。
【0034】
図3および
図4を参照すると、コントローラ204および304の各々は、コントローラ204および304の各々に対して共通周波数源として作用するクロック源340に結合され、したがってコントローラ204および304は同期される。クロック源340は、コントローラ204および304の動作を同期させるためのクロック信号を生成する電子発振回路である。特に、コントローラ204および304のサンプリング動作は同期される。コントローラ204および304の各々は、クロック源340からのクロック信号および選択されたモードに基づいてRF波形を生成する。したがって、ユーザが電気手術モードのうちの1つを選択すると、コントローラ204および304の各々は、それぞれのRFインバータ208および308を制御して、選択されたモードに対応する第1および第2のRF波形を出力するために使用される、第1および第2の制御信号を出力する。第1のRF源202および第2のRF源302の各々に対して選択されたモード、ならびに対応するRF波形は、同じであっても異なってもよい。
【0035】
RF波形は、異なる搬送周波数を有し、したがって、第1のRF波形は、第1の搬送周波数を有し、第2のRF波形は、第2の搬送周波数を有する。2つの異なる搬送周波数は、コントローラ204および304が周波数ドメインで測定データを弁別または分別できるように選択される。測定データは、第1のRF源202および第2のRF源302の出力を監視するセンサ216および316によって収集される。コントローラ204および304は、任意の好適なバンドパス技術、または離散フーリエ変換(DFT)および高速フーリエ変換(FFT)などの周波数ドメインに測定データを変換する任意の技術を使用して、それぞれの第1および第2のRF波形を分析する。実施形態では、コントローラ204および304は、連続波形(例えば、切断モード中に使用されるもの)に対しては、RF波形の搬送周波数およびその高調波に向けられたゲルツェルフィルタのアレイを使用し得る。不連続波形に関しては、ゲルツェルフィルタは、分析されている波形の繰り返し周波数の繰り返し速度および高調波に向けられる。測定データのフィルタリングは、コントローラ204および304によって実行可能なアプリケーション、例えばソフトウェア命令によって実行され得る。
【0036】
第1および第2のRF波形の周波数は、バンドパスゲルツェルフィルタによって決定されるような、第1のRF波形および第2のRF波形の搬送周波数間の十分なチャンネル分離を提供するように選択される。
図5の周波数応答プロット350を参照すると、連続波形の反対側のRFポートの周波数は、周波数応答のヌルポイントにあるように選択される。これにより、源と源との分離が最大化される。
【0037】
不連続波形の周波数応答プロット360を示す
図6を参照すると、別個のゲルツェルフィルタが、分析されているRF波形の基本繰り返し速度と偶数および奇数の高調波とに向けられている。基本周波数は完全には直交していないので、特定の高調波のオーバーラップが存在する。高調波のセットのオーバーラップにより、ゲルツェルアレイプロットに不連続性が生じる。これは、1つのRF源からの有意な相互コンダクタンスが別のRF源のセンサ216または316で発生しているかどうかを検出するために使用される。組み合わされた情報を複数の高調波のうちの1つだけに含む源を分離することが望まれる場合、影響を受けていない高調波が、あるパーセンテージの影響を受けた高調波と組み合わせて使用される。別個の相互コンダクタンス情報は、過剰な相互コンダクタンス状況を検出するための用量モニタとして使用される。
【0038】
第1のRF波形および第2のRF波形の両方が不連続である実施形態では、限定的な周波数空間が制約的となり得る。不連続波形は、約20KHz~約490KHzの繰り返し速度および付随関連高調波を有し得る。繰り返し速度は、基本周波数を整数値で割ったものである。繰り返し速度は、信号処理の観点から完全に直交する解を与えない。独立制御に使用されるべき第1のRF源202および第2のRF源302の各々の電力値を決定するための技術は、相互コンダクタンスのレベルに依存する。相互コンダクタンスにより、実際の電力が接触インピーダンスに蓄積される。したがって、制御する電力は、接触インピーダンス部位に蓄積された相互コンダクタンス電力と、接触インピーダンスに蓄積されたポートソース電力との合計に基づく。実施形態では、非接触組織インピーダンスおよび戻り電極パッド26に蓄積された電力もまた、特定のRFポートの全体的な較正に含まれ得る。周波数弁別が電力制御に使用される場合、発電機100を使用する前に、機器20’および20”、ならびに戻り電極パッド26が、供給ライン24’および24”ならびに戻りライン28のケーブル補償と、高調波オーバーラップおよび相互コンダクタンスとの両方を考慮に入れる較正手順で使用される。相互コンダクタンスは、潜在的な用量エラーの軽減策としても監視され得る。
【0039】
実施形態では、第1および第2のRF波形の一方が連続であり、他方が不連続である場合、連続RF波形は、約481KHzのより高いゲルツェル周波数であり得、不連続RF波形は、約433KHzのより低い周波数であり得、そうすると、ゲルツェルの周波数応答が45で割り切れることと(
図5および
図6を参照)、不連続エネルギーの集中がその搬送周波数433KHz以下であることとにより、源間で発生する干渉がほとんどない。
【0040】
第1および第2のRF波形が連続である実施形態では、連続波形は一般に完全な正弦波ではないので、事前選択された433KHzおよび481KHzの固有搬送周波数はまた、他方の源からの建設的または破壊的な干渉性信号の減衰を提供するためのゲルツェルフィルタと併せて連続RF源を分離するために使用されるコヒーレントサンプリング規則に従う。バンドパスフィルタは、信号通過帯域領域と下限/上限信号阻止領域を提供する。阻止のレベルは可変であり、設計されたバンドパスフィルタのタイプに基づく。有限インパルス応答(FIR)フィルタは、シンク関数(sin x/x)タイプの振幅対周波数応答を提供する。計算効率の高いゲルツェルフィルタの実装は、
図5および
図6のプロット350および360に示すように、サンプリング関数のように作用する。
【0041】
図7を参照して、発電機100を制御するための方法を開示する。方法は、第1のRF源202およびRF第2のRF源302の同時のデュアル作動を提供する。最初に、第1のRF源202および第2のRF源302の各々は、所望の動作モードを選択することによって構成される。上記したように、各モードは、連続または不連続であり得る所定のRF波形に関連付けられており、所望の組織効果に基づいている。RF源202および第2のRF源302の各々は、同じまたは異なるモードで動作し得る。動作中、機器20’および20”ならびに戻り電極パッド26は、第1および第2のRF波形が同時に供給されている間、組織と接触し、一方、センサ216および316は、第1および第2のRF波形の特性を測定する。単極搬送周波数と凝固繰り返し速度とは、タイムクリティカルな電力計算更新速度の下でコヒーレントサンプリングを提供するように選択され得る。
【0042】
センサ216および316は、それぞれのコントローラ204および304と連動して、各第1および第2のRF波形の広帯域測定を実行し、同時に、第1のRF源202と第2のRF源302との間の相互コンダクタンスを検出する。さらに、動作中、コントローラ204および304はまた、戻り電極パッド26を通る総電流を監視することによって、デュアル作動中の過電流保護を提供する。コントローラ204および304は、約15秒~約60秒であり得る任意の好適な期間中の可動値として瞬間電流値を2乗すること(I2)によって過電流値を計算する。可動値は、毎秒、または他の好適な繰り返し速度で、計算され得る。次いで、過電流値は、約30A2であり得る過電流閾値と比較され、設定速度(例えば、毎秒1回)で監視されているときにいずれかの60秒ウィンドウ内で閾値を超えると、RF源202および第2のRF源302の両方が遮断される。
【0043】
コントローラ204および304の各々はまた、信号処理技術、すなわち、上記のゲルツェルアレイプロットを利用して、同時に作動された第1のRF源202および第2のRF源302を弁別する。コントローラ204および304はまた、信号処理弁別技術を使用して、もしあれば、第1のRF源202と第2のRF源302との間の相互コンダクタンスのレベルを決定するように構成されている。相互コンダクタンスのレベルが決定された後、相互コンダクタンスのレベルは、同時単極RF動作中の安全緩和策として、つまり用量エラーモニタとして使用される。特に、コントローラ204または304のいずれかによる相互コンダクタンスの検出時に、コントローラ204および304の各々は、相互コンダクタンスの用量エラーに応答して、出力および警告し、かつ/または第1のRF源202および第2のRF源302の両方をシャットダウンするように構成されている。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態を図面に示し、かつ/または本明細書に説明したが、本開示は、当該技術分野が許容する広い範囲にわたり、本明細書も同様に読み取られることを意図しているので、本開示はこれらの実施形態に限定されるとは意図されない。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲内で他の変更を想定するであろう。