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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-08
(45)【発行日】2025-05-16
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20250509BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20250509BHJP
【FI】
H05K5/03 B
G06K7/00 056
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021192977
(22)【出願日】2021-11-29
(65)【公開番号】P2023079487
(43)【公開日】2023-06-08
【審査請求日】2024-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】西江 智之
(72)【発明者】
【氏名】森岡 寛紀
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203911992(CN,U)
【文献】特開2017-152466(JP,A)
【文献】特開2008-263490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/03
G06K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の第1の外面に設けられ、かつ、カードが挿抜可能なカード挿抜口と、
前記筐体の第2の外面に設けられ、かつ、電源プラグが挿抜可能な電源挿抜口と、
前記カード挿抜口を覆って設けられ、かつ、回動軸を中心に回動可能な蓋とを備え、
前記蓋が、開状態で前記第2の外面の平面視で前記電源挿抜口と重なる曲部を備え、
前記蓋には、閉状態で前記第2の外面の平面視で前記電源挿抜口と重なる位置に、穴が設けられ
前記電源プラグの挿抜方向を第1の方向とし、
前記蓋の前記開状態において、前記曲部と前記第2の外面との間の前記第1の方向における距離が、前記電源プラグの前記第1の方向の長さよりも短い、
電子機器。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体の第1の外面に設けられ、かつ、カードが挿抜可能なカード挿抜口と、
前記筐体の第2の外面に設けられ、かつ、電源プラグが挿抜可能な電源挿抜口と、
前記カード挿抜口を覆って設けられ、かつ、回動軸を中心に回動可能な蓋とを備え、
前記蓋が、開状態で前記第2の外面の平面視で前記電源挿抜口と重なる曲部を備え、
前記蓋には、閉状態で前記第2の外面の平面視で前記電源挿抜口と重なる位置に、穴が設けられ
前記回動軸から前記曲部の端部への向きを第1の向きとし、
前記蓋の前記開状態において、前記曲部の前記端部と前記筐体との間の前記第1の向きにおける距離が、前記電源プラグの太さよりも短い、
電子機器。
【請求項3】
筐体と、
前記筐体の第1の外面に設けられ、かつ、カードが挿抜可能なカード挿抜口と、
前記筐体の第2の外面に設けられ、かつ、電源プラグが挿抜可能な電源挿抜口と、
前記カード挿抜口を覆って設けられ、かつ、回動軸を中心に回動可能な蓋とを備え、
前記蓋が、開状態で前記第2の外面の平面視で前記電源挿抜口と重なる曲部を備え、
前記蓋には、閉状態で前記第2の外面の平面視で前記電源挿抜口と重なる位置に、穴が設けられ
前記電源プラグの挿抜方向を第1の方向とし、
前記蓋の前記開状態において、前記曲部と前記第2の外面との間の前記第1の方向における距離が、前記電源プラグの前記第1の方向の長さよりも短く、
前記回動軸から前記曲部の端部への向きを第1の向きとし、
前記蓋の前記開状態において、前記曲部の前記端部と前記筐体との間の前記第1の向きにおける距離が、前記電源プラグの太さよりも短い、
電子機器。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか1つに記載の電子機器であり、
前記蓋の前記開状態において、前記カード挿抜口が露出し、
前記蓋の前記閉状態において、前記カード挿抜口が前記蓋に覆われる、
電子機器。
【請求項5】
請求項1から4のうちのいずれか1つに記載の電子機器であり、
前記第1の外面と前記第2の外面とが、前記筐体の同一の外面である、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、subscriber identity module card(SIMカード)などの通信用ICカードを着脱するためのカード挿抜口を携帯端末の外面に設けるとともに、スライド動作可能な蓋を有する構造などによって、非通電状態のままでカードなどを挿抜することができるものがある(たとえば、特許文献1を参照)。
【0003】
上記のような構造、すなわち、カード挿抜口にスライド動作可能な蓋を設ける構造では、当該蓋の内側に設けられたリブが、携帯端末に別途実装されている挿抜可能な電池と干渉する。
【0004】
よって、携帯端末に電池が実装されている状態においては、カード挿抜口に設けられた蓋は、スライド動作ができない。つまり、カードなどを挿抜する際には電池を取り外すことが必要となるため、携帯端末が非通電状態でカードなどの挿抜作業を行うこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-263490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来技術では、電池が実装された携帯端末などの電子機器が想定されており、スライド動作可能な蓋がスライド動作しようとすると、当該蓋の内側に設けられたリブが着脱可能な電池に邪魔される。そのため、当該蓋がスライド動作することができない構造となっている。
【0007】
カード挿抜口は、スライド動作可能な蓋がスライドした状態でユーザーがアクセス可能な位置に設けられるため、スライド動作可能な蓋がスライドした状態である場合に限り、カードなどの挿抜作業が可能となる。つまり、携帯端末などの電子機器は、電池が取り外された状態で、カード挿抜口の蓋がスライド動作可能となる構造である。
【0008】
上記のように、従来の構造では、スライド動作可能な蓋が設けられる。一方で、スライド動作可能な蓋を電子機器に設置するためには、電子機器にスライド動作のためのレールなどを設ける必要がある。
【0009】
その結果、電子機器には、蓋自体を設けるための領域に加えて、蓋がスライドするための領域も確保されなければならず、電子機器における他の部品の実装を制限してしまう場合がある。
【0010】
また、蓋の円滑なスライド動作が可能となるように、スライド動作における蓋の引っ掛かり防止など、設計上および製造上の工夫が必要となる場合がある。設計上の工夫として、たとえば、蓋の構成部品に低摩擦係数の材料を採用する、または、低摩擦係数の材料をスライド動作における蓋の摺動面に貼り付けるなどが必要となる場合がある。また、製造上の工夫として、たとえば、スライド動作における蓋の摺動面に、潤滑油を塗布するなどの工夫が必要となる場合がある。電気機器においては、設計上および製造上の工夫を要しない、すなわち、実装が簡易である蓋が設けられることが望ましい。
【0011】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、電子機器における、他の部品が実装しやすく、かつ、実装が簡易である蓋に関する技術である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である電子機器は、筐体と、前記筐体の第1の外面に設けられ、かつ、カードが挿抜可能なカード挿抜口と、前記筐体の第2の外面に設けられ、かつ、電源プラグが挿抜可能な電源挿抜口と、前記カード挿抜口を覆って設けられ、かつ、回動軸を中心に回動可能な蓋とを備え、前記蓋が、開状態で前記第2の外面の平面視で前記電源挿抜口と重なる曲部を備え、前記蓋には、閉状態で前記第2の外面の平面視で前記電源挿抜口と重なる位置に、穴が設けられ、前記電源プラグの挿抜方向を第1の方向とし、前記蓋の前記開状態において、前記曲部と前記第2の外面との間の前記第1の方向における距離が、前記電源プラグの前記第1の方向の長さよりも短い

【発明の効果】
【0013】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1の態様によれば、実装が簡易である回動可能な蓋が設けられることによって、他の部品が実装しやすくなる。
【0014】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】Z軸方向にスライド可能な蓋を備える電子機器の構成の例を示す図である。
図2】Z軸方向にスライド可能な蓋を備える電子機器の構成の例を示す図である。
図3】Y軸方向にスライド可能な蓋を備える電子機器の構成の例を示す図である。
図4】Y軸方向にスライド可能な蓋を備える電子機器の構成の例を示す図である。
図5】実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
図6】実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
図7】実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
図8】実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
図9】実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
図10】実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
図11】実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
図12】実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
図13】実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
図14】実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
図15】実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
図16】実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0017】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化などが図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0018】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0019】
また、本願明細書に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0020】
また、本願明細書に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態の内容はこれらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0021】
また、本願明細書に記載される説明において、「…軸正方向」または「…軸負方向」などの表現は、図示される…軸の矢印に沿う方向を正方向とし、図示される…軸の矢印とは反対側の方向を負方向とするものである。
【0022】
また、本願明細書に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態が実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0023】
また、本願明細書に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「Aの上面に設けられるB」と記載される場合、AとBとの間に別の構成要素「C」が介在することを妨げるものではない。
【0024】
<第1の実施の形態>
以下、本実施の形態に関する電子機器について説明する。説明の便宜上、まず、発明者が知っている電子機器の構成について説明する。
【0025】
図1および図2は、Z軸方向にスライド可能な蓋を備える電子機器の構成の例を示す図である。
【0026】
図1および図2に例が示されるように、筐体1には蓋2が設けられる。蓋2は、筐体1に設けられたスライド用レール3aおよびスライド用レール3bに、摺動可能に取り付けられる。蓋2は、スライド用レール3aおよびスライド用レール3bに沿ってZ軸方向にスライド動作可能である。
【0027】
図1では、蓋2がスライド動作することによって、蓋2がスライド用レール3aおよびスライド用レール3bのZ軸正方向に位置する。蓋2が当該位置に配置されることによって、筐体1に設けられた電源挿抜口4(電源コネクタ)が覆い隠されている。この状態では、通信用ICカード(たとえば、SIMカード)などの着脱口であるカード挿抜口5(カードコネクタ)にはアクセス可能である(すなわち、通信用ICカードなどを、カード挿抜口5に対して挿抜作業可能である)。
【0028】
一方で、図2では、蓋2がスライド動作することによって、蓋2がスライド用レール3aおよびスライド用レール3bのZ軸負方向に位置する。蓋2が当該位置に配置されることによって、筐体1に設けられたカード挿抜口5が覆い隠されている。この状態では、電源挿抜口4にはアクセス可能である(すなわち、電源プラグなどを、電源挿抜口4に対して挿抜作業可能である)。
【0029】
図3および図4は、Y軸方向にスライド可能な蓋を備える電子機器の構成の例を示す図である。
【0030】
図3および図4に例が示されるように、筐体1には蓋2が設けられる。蓋2は、筐体1に設けられたスライド用レール3cおよびスライド用レール3dに、摺動可能に取り付けられる。蓋2は、スライド用レール3cおよびスライド用レール3dに沿ってY軸方向にスライド動作可能である。
【0031】
図3では、蓋2がスライド動作することによって、蓋2がスライド用レール3cおよびスライド用レール3dのY軸正方向に位置する。蓋2が当該位置に配置されることによって、筐体1に設けられた電源挿抜口4が覆い隠されている。この状態では、カード挿抜口5にはアクセス可能である。
【0032】
一方で、図4では、蓋2がスライド動作することによって、蓋2がスライド用レール3cおよびスライド用レール3dのY軸負方向に位置する。蓋2が当該位置に配置されることによって、筐体1に設けられたカード挿抜口5が覆い隠されている。この状態では、電源挿抜口4にはアクセス可能である。
【0033】
以上のように、図1から図4に例が示される構成では、電源挿抜口4またはカード挿抜口5のいずれか一方がアクセス可能である場合に、他方は蓋2に覆われてアクセス不可となる。
【0034】
<電子機器の構成について>
図5図6図7および図8は、本実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
【0035】
図5に例が示されるように、筐体6に設けられた蓋7は、電源挿抜口9(電源コネクタ)およびカード挿抜口11(カードコネクタ)を覆う構造である。カード挿抜口11は、筐体6の外面に設けられる。また、カード挿抜口11は、カードが挿抜可能である。電源挿抜口9は、筐体6の外面に設けられる。また、電源挿抜口9は、電源プラグ8が挿抜可能である。
【0036】
ここで、図5および図6に例が示されるように、蓋7には穴7aが設けられる。蓋7が電源挿抜口9を覆っている状態(すなわち、図5および図6に示される状態)で、穴7aは、筐体6aおよび筐体6bによって形成される穴と平面視で重なる位置に設けられる。なお、筐体6aおよび筐体6bは、筐体6を構成する。さらに、蓋7が電源挿抜口9を覆っている状態で、穴7aは、電源挿抜口9と平面視で重なる位置に設けられる。
【0037】
そのため、蓋7が電源挿抜口9を覆っている状態で、電源プラグ8が、穴7aおよび筐体6の穴を介して電源挿抜口9に挿入可能である。
【0038】
蓋7は、蓋7のZ軸負方向の端部に設けられた回動軸であるヒンジ7bを中心に(すなわち、Y軸を中心に)回動可能である。図6では、蓋7がヒンジ7bを中心に回動することによって筐体6に対して閉じている状態が示されている。また、図7および図8では、蓋7がヒンジ7bを中心に回動することによって筐体6に対して開いている状態が示されている。なお、ヒンジ7bは、図6および図8においては筐体6のうちの筐体6bに取り付けられているが、ヒンジ7bが筐体6のうちの筐体6aに取り付けられていてもよい。それに伴って、筐体6bにおけるヒンジ7bが収納される収納空間は、筐体6aにおいて設けられてもよい。また、蓋7は、ヒンジ7bとは反対側の端部に曲部7cを備える。筐体6aにおける、曲部7cが収納される収納空間は、筐体6bにおいて設けられてもよい。また、筐体6aと筐体6bとは、同一の部品であってもよいし、異なる部品であってもよい。また、ヒンジ7bは、蓋7に設けられてもよいし、筐体6に設けられてもよい。
【0039】
上記のとおり、図5および図6のように蓋7が筐体6に対して閉じている状態では、電源プラグ8が、穴7aを介して電源挿抜口9に挿入可能である。すなわち、筐体6を備える電子機器を導通状態にすることができる。また、図5および図6のように蓋7が筐体6に対して閉じている状態では、蓋7が電源挿抜口9およびカード挿抜口11を覆っているため、カード挿抜口11にはアクセスすることができない。ここで、電源挿抜口9およびカード挿抜口11は、ともに基板10の上面に配置されている。
【0040】
つまり、蓋7が筐体6に対して閉じている状態にすることで、筐体6を備える電子機器が導通状態となり、かつ、カード挿抜口11にはアクセスすることができない状態を実現することができる。
【0041】
これに対して、蓋7が筐体6に対して開いている状態では、図7に示されるように、カード挿抜口11が蓋7に覆われずに露出しており、アクセス可能な状態となる。一方で、図7に示されるように、電源挿抜口9は、平面視で蓋7の曲部7cに覆われる。
【0042】
また、図7および図8に示される、蓋7が筐体6に対して開いている状態となるには、電源プラグ8が電源挿抜口9から抜去されていることが必要となる。これは、電源プラグ8が電源挿抜口9に挿入された状態(図6に示される状態)では、蓋7がヒンジ7bを中心として回動しようとすると、電源プラグ8と穴7aとが物理的に干渉してしまうからである。よって、電子機器に電流が流れていない状態(非導通状態)を実現することができる。
【0043】
また、図8に示される寸法A、すなわち、蓋7が筐体6に対して開いている状態における、穴7aを挟んでヒンジ7bとは反対側に位置する曲部7cの端部と筐体6との間の距離(具体的には、外面となる筐体6aとの間の距離)は、電源プラグ8の長さ方向の寸法Bよりも小さくなるように設定される。寸法A<寸法Bとすることによって、蓋7が筐体6に対して開いている状態では、電源プラグ8がZ軸正方向から侵入する場合であっても、電源挿抜口9に電源プラグ8を挿入することができない。よって、電子機器に電流が流れていない状態(非導通状態)を実現することができる。
【0044】
つまり、蓋7が筐体6に対して開いている状態にすることで、電子機器が非導通状態となり、かつ、カード挿抜口11にアクセス可能な状態を実現することができる。
【0045】
以上より、本実施の形態によれば、通信用ICカードなどをカード挿抜口11に対して挿抜する場合、電子機器に電流が流れていない状態(非通電状態)での、通信用ICカードなどの挿抜作業が可能となる。
【0046】
なお、図5図6図7および図8においては、カード挿抜口11と電源挿抜口9とは同一の外面に設けられている。すなわち、図5および図7における紙面手前側の面であり、図6および図8におけるX軸負方向に向く面に、カード挿抜口11と電源挿抜口9とが設けられている。しかしながら、カード挿抜口11と電源挿抜口9とは、それぞれ別々の外面に設けられていてもよい。
【0047】
たとえば、カード挿抜口11のみが、図5図6図7および図8におけるZ軸正方向に向く面に設けられている場合、Z軸正方向に向く面において蓋7の曲部7cに覆われる位置にカード挿抜口11が設けられていれば、本実施の形態における場合と同様に、蓋7が筐体6に対して閉じている状態にすることで、電源挿抜口9にはアクセス可能であり、かつ、カード挿抜口11にはアクセスすることができない状態を実現することができる。同様の構成で同様の効果を得ることができる。このことは、以下の実施の形態においても同様である。
【0048】
<第2の実施の形態>
本実施の形態に関する電子機器について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0049】
<電子機器の構成について>
図9図10図11および図12は、本実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
【0050】
図9に例が示されるように、筐体60に設けられた蓋70は、電源挿抜口9およびカード挿抜口11を覆う構造である。
【0051】
ここで、図9および図10に例が示されるように、蓋70には穴70aが設けられる。蓋70が電源挿抜口9を覆っている状態(すなわち、図9および図10に示される状態)で、穴70aは、電源挿抜口9と平面視で重なる位置に設けられる。
【0052】
そのため、蓋70が電源挿抜口9を覆っている状態で、電源プラグ8が、穴70aを介して電源挿抜口9に挿入可能である。
【0053】
蓋70は、蓋7のZ軸正方向の端部に設けられたヒンジ70bを中心に(すなわち、Y軸を中心に)回動可能である。図10では、蓋70が筐体60に対して閉じている状態が示されている。また、図11および図12では、蓋70が筐体60に対して開いている状態が示されている。なお、ヒンジ70bは、図10および図12においては筐体60のうちの筐体60aに取り付けられているが、ヒンジ70bが筐体60のうちの筐体60bに取り付けられていてもよい。また、筐体60aと筐体60bとは、同一の部品であってもよいし、異なる部品であってもよい。
【0054】
上記のとおり、図9および図10のように蓋70が筐体60に対して閉じている状態では、電源プラグ8が、穴70aを介して電源挿抜口9に挿入可能である。すなわち、筐体60を備える電子機器を導通状態にすることができる。また、図9および図10のように蓋70が筐体60に対して閉じている状態では、蓋70が電源挿抜口9およびカード挿抜口11を覆っているため、カード挿抜口11にはアクセスすることができない。ここで、電源挿抜口9およびカード挿抜口11は、ともに基板10の上面に配置されている。
【0055】
これに対して、蓋70が筐体60に対して開いている状態では、図11に示されるように、カード挿抜口11が蓋70に覆われずに露出しており、アクセス可能な状態となる。一方で、図11に示されるように、電源挿抜口9は、蓋70の曲部70cに覆われる。

【0056】
また、図11および図12に示される、蓋70が筐体60に対して開いている状態となるには、電源プラグ8が電源挿抜口9から抜去されていることが必要となる。これは、電源プラグ8が電源挿抜口9に挿入された状態(図10に示される状態)では、蓋70がヒンジ70bを中心として回動しようとすると、電源プラグ8と穴70aとが物理的に干渉してしまうからである。よって、電子機器に電流が流れていない状態(非導通状態)を実現することができる。
【0057】
また、図12に示される寸法C、すなわち、蓋70が筐体60に対して開いている状態における、ヒンジ70bと挟んで穴70aが形成される側とは反対側に位置する曲部70cの端部と筐体60との間の距離(具体的には、突部である筐体60bとの間の距離)は、電源プラグ8の太さ方向の寸法Dよりも小さくなるように設定される。寸法C<寸法Dとすることによって、蓋70が筐体60に対して開いている状態では、電源プラグ8がX軸負方向から侵入する場合であっても、電源挿抜口9に電源プラグ8を挿入することができない。よって、電子機器に電流が流れていない状態(非導通状態)を実現することができる。
【0058】
つまり、蓋70が筐体60に対して開いている状態にすることで、電子機器が非導通状態となり、かつ、カード挿抜口11にアクセス可能な状態を実現することができる。
【0059】
以上より、本実施の形態によれば、通信用ICカードなどをカード挿抜口11に対して挿抜する場合、電子機器に電流が流れていない状態(非通電状態)での、通信用ICカードなどの挿抜作業が可能となる。
【0060】
<第3の実施の形態>
本実施の形態に関する電子機器について説明する。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態で説明された構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略するものとする。
【0061】
<電子機器の構成について>
図13図14図15および図16は、本実施の形態に関する電子機器の構成の例を示す図である。
【0062】
図13に例が示されるように、筐体160に設けられた蓋170は、電源挿抜口9およびカード挿抜口11を覆う構造である。
【0063】
ここで、図13および図14に例が示されるように、蓋170には穴170aが設けられる。蓋170が電源挿抜口9を覆っている状態(すなわち、図13および図14に示される状態)で、穴170aは、電源挿抜口9と平面視で重なる位置に設けられる。
【0064】
そのため、蓋170が電源挿抜口9を覆っている状態で、電源プラグ8が、穴170aを介して電源挿抜口9に挿入可能である。
【0065】
蓋170は、蓋170のY軸正方向の端部に設けられたヒンジ170bを中心に(すなわち、Z軸を中心に)回動可能である。図14では、蓋170が筐体160に対して閉じている状態が示されている。また、図15および図16では、蓋170が筐体160に対して開いている状態が示されている。なお、ヒンジ170bは、図14および図16においては筐体160のうちの筐体160cに取り付けられているが、ヒンジ170bが筐体160のうちの筐体160dまたは筐体160eに取り付けられていてもよい。それに伴って、筐体160cにおけるヒンジ170bが収納される収納空間は、筐体160dまたは筐体160eにおいて設けられてもよい。また、筐体160c、筐体160dおよび筐体160eは、同一の部品であってもよいし、異なる部品であってもよい。
【0066】
上記のとおり、図13および図14のように蓋170が筐体160に対して閉じている状態では、電源プラグ8が、穴170aを介して電源挿抜口9に挿入可能である。すなわち、筐体160を備える電子機器を導通状態にすることができる。また、図13および図14のように蓋170が筐体160に対して閉じている状態では、蓋170が電源挿抜口9およびカード挿抜口11を覆っているため、カード挿抜口11にはアクセスすることができない。ここで、電源挿抜口9およびカード挿抜口11は、ともに基板10の上面に配置されている。
【0067】
つまり、蓋170が筐体160に対して閉じている状態にすることで、筐体160を備える電子機器が導通状態となり、かつ、カード挿抜口11にはアクセスすることができない状態を実現することができる。
【0068】
これに対して、蓋170が筐体160に対して開いている状態では、図15に示されるように、カード挿抜口11が蓋170に覆われずに露出しており、アクセス可能な状態となる。一方で、図15に示されるように、電源挿抜口9は、蓋170の曲部170cに覆われる。
【0069】
また、図15および図16に示される、蓋170が筐体160に対して開いている状態となるには、電源プラグ8が電源挿抜口9から抜去されていることが必要となる。これは、電源プラグ8が電源挿抜口9に挿入された状態(図14に示される状態)では、蓋170がヒンジ170bを中心として回動しようとすると、電源プラグ8と穴170aとが物理的に干渉してしまうからである。よって、電子機器に電流が流れていない状態(非導通状態)を実現することができる。
【0070】
また、図16に示される寸法E、すなわち、蓋170が筐体160に対して開いている状態における、ヒンジ170bを挟んで穴170aとは反対側に位置する曲部170cの端部と筐体6との間の距離(具体的には、突部である筐体160dとの間の距離)は、電源プラグ8の太さ方向の寸法Dよりも小さくなるように設定される。寸法E<寸法Dとすることによって、蓋170が筐体160に対して開いている状態では、電源プラグ8がX軸負方向から侵入する場合であっても、電源挿抜口9に電源プラグ8を挿入することができない。よって、電子機器に電流が流れていない状態(非導通状態)を実現することができる。
【0071】
つまり、蓋170が筐体160に対して開いている状態にすることで、電子機器が非導通状態となり、かつ、カード挿抜口11にアクセス可能な状態を実現することができる。
【0072】
以上より、本実施の形態によれば、通信用ICカードなどをカード挿抜口11に対して挿抜する場合、電子機器に電流が流れていない状態(非通電状態)での、通信用ICカードなどの挿抜作業が可能となる。
【0073】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。すなわち、以下では便宜上、対応づけられる具体的な構成のうちのいずれか1つのみが代表して記載される場合があるが、代表して記載された具体的な構成が対応づけられる他の具体的な構成に置き換えられてもよい。
【0074】
また、当該置き換えは、複数の実施の形態に跨ってなされてもよい。すなわち、異なる実施の形態において例が示されたそれぞれの構成が組み合わされて、同様の効果が生じる場合であってもよい。
【0075】
以上に記載された実施の形態によれば、電子機器は、筐体6(または、筐体60、筐体160)と、カード挿抜口11と、電源挿抜口9と、蓋7(または、蓋70、蓋170)とを備える。カード挿抜口11は、筐体6の第1の外面に設けられる。また、カード挿抜口11は、カードが挿抜可能である。電源挿抜口9は、筐体6の第2の外面に設けられる。また、電源挿抜口9は、電源プラグ8が挿抜可能である。蓋7は、カード挿抜口11および電源挿抜口9を覆って設けられる。また、蓋7は、回動軸を中心に回動可能である。蓋7は、曲部7cを備える。曲部7cは、開状態で、第1の外面の平面視でカード挿抜口11と重なる。蓋7には、閉状態で第2の外面の平面視で電源挿抜口9と重なる位置に、穴7aが設けられる。
【0076】
このような構成によれば、回動可能な蓋7が筐体6に対して閉じている状態にすることで、筐体6を備える電子機器が導通状態となり、かつ、カード挿抜口11にはアクセスすることができない状態を実現することができる。また、回動可能な蓋7が筐体6に対して開いている状態にすることで、電子機器が非導通状態となり、かつ、カード挿抜口11にアクセス可能な状態を実現することができる。すなわち、回動可能な蓋7によって上記の状態が実現されるため、電子機器において、蓋自体を設けるための領域に加えて、蓋がスライドするための領域を確保する必要がない。また、蓋の円滑なスライド動作のための、設計上の工夫を行う必要もない。
【0077】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0078】
また、以上に記載された実施の形態によれば、蓋7の開状態において、電源挿抜口9に対し電源プラグ8を挿抜不可であり、かつ、カード挿抜口11に対しカードを挿抜可能である。また、蓋7の閉状態において、電源挿抜口9に対し穴7aを介して電源プラグ8を挿抜可能であり、かつ、カード挿抜口11に対しカードを挿抜不可である。このような構成によれば、回動可能な蓋7が筐体6に対して閉じている状態にすることで、筐体6を備える電子機器が導通状態となり、かつ、カード挿抜口11にはアクセスすることができない状態を実現することができる。また、回動可能な蓋7が筐体6に対して開いている状態にすることで、電子機器が非導通状態となり、かつ、カード挿抜口11にアクセス可能な状態を実現することができる。
【0079】
また、以上に記載された実施の形態によれば、第1の外面と第2の外面とが、筐体6の同一の外面である。このような構成によれば、同一の外面に設けられたカード挿抜口11と電源挿抜口9とに対し、回動可能な蓋7が筐体6に対して閉じている状態にすることで、筐体6を備える電子機器が導通状態となり、かつ、カード挿抜口11にはアクセスすることができない状態を実現することができる。また、同一の外面に設けられたカード挿抜口11と電源挿抜口9とに対し、回動可能な蓋7が筐体6に対して開いている状態にすることで、電子機器が非導通状態となり、かつ、カード挿抜口11にアクセス可能な状態を実現することができる。
【0080】
また、以上に記載された実施の形態によれば、電源プラグ8の長さ方向を第1の方向とする。そして、蓋7の開状態において、曲部7cと第1の外面との間の第1の方向における距離(たとえば、寸法A)が、電源プラグ8の第1の方向の長さ(たとえば、寸法B)よりも短い。このような構成によれば、電源プラグ8がその長さ方向とは交差する方向(太さ方向)から侵入する場合であっても、曲部7cと筐体6との間の(電源プラグ8の長さ方向に沿う)距離が電源プラグ8の長さよりも短いため、電源挿抜口9に電源プラグ8を挿入することができない。
【0081】
また、以上に記載された実施の形態によれば、電源プラグ8の太さ方向を第2の方向とする。そして、蓋70(または、蓋170)の開状態において、曲部70c(または、曲部170c)と第1の外面における突部(たとえば、図12における筐体60b、または、図16における筐体160d)との間の第2の方向における距離(たとえば、寸法Cまたは寸法E)が、電源プラグ8の第2の方向の太さ(たとえば、寸法D)よりも短い。このような構成によれば、電源プラグ8がその太さ方向とは交差する方向(長さ方向)から侵入する場合であっても、曲部7cと筐体6との間の(電源プラグ8の太さ方向に沿う)距離が電源プラグ8の太さよりも短いため、電源挿抜口9に電源プラグ8を挿入することができない。
【0082】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではないものとする。
【0083】
したがって、例が示されていない無数の変形例と均等物とが、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施の形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態における構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0084】
また、以上に記載された実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【0085】
また、矛盾が生じない限り、以上に記載された実施の形態において「1つ」の構成要素が備えられる、と記載された場合に、当該構成要素が「1つ以上」備えられていてもよいものとする。
【0086】
さらに、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素は概念的な単位であって、本願明細書に開示される技術の範囲内には、1つの構成要素が複数の構造物から成る場合と、1つの構成要素がある構造物の一部に対応する場合と、さらには、複数の構成要素が1つの構造物に備えられる場合とを含むものとする。
【0087】
また、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素には、同一の機能を発揮する限り、他の構造または形状を有する構造物が含まれるものとする。
【0088】
また、本願明細書における説明は、本技術に関連するすべての目的のために参照され、いずれも、従来技術であると認めるものではない。
【符号の説明】
【0089】
1 筐体、2 蓋、4 電源挿抜口、5 カード挿抜口、6 筐体、6a 筐体、6b 筐体、7 蓋、7a 穴、7c 曲部、8 電源プラグ、9 電源挿抜口、11 カード挿抜口、60 筐体、60a 筐体、60b 筐体、70 蓋、70a 穴、70c 曲部、160 筐体、160c 筐体、160d 筐体、160e 筐体、170 蓋、170a 穴、170c 曲部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図16