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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-08
(45)【発行日】2025-05-16
(54)【発明の名称】自動搬送システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20250509BHJP
【FI】
G05D1/43
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023556455
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2022039693
(87)【国際公開番号】W WO2023074672
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2021178824
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩崇
(72)【発明者】
【氏名】二村 政範
(72)【発明者】
【氏名】横山 彰
(72)【発明者】
【氏名】大熊 雅史
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-061537(JP,A)
【文献】特開2015-232874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分岐点及び複数の停止位置を含む誘導路と、
前記誘導路を移動して搬送物を搬送する搬送車と、
前記搬送車の走行経路を算出するためのプログラムとを備え、
前記誘導路は、一本の一次流路と、前記一次流路に接続されている一本又は複数本の二次流路と、一本又は複数本のk次流路とを有し、
kは、三以上の自然数であり、
前記一次流路は、一つ又は複数の分岐点と複数の停止位置とを含み、
前記二次流路は、前記一次流路に含まれている分岐点に接続されており、
前記k次流路は、一つ又は複数の停止位置を含み、前記誘導路に含まれていてkから一を減じた数に対応する次数の流路に含まれている分岐点に接続されており、
前記誘導路に含まれている前記複数の分岐点及び前記複数の停止位置の各々には、前記誘導路に含まれている流路の最大次数に対応する個数であるk個の番号の組み合わせで特定される位置コードが付与されており、
前記位置コードを特定する前記k個の番号の各々は、前記位置コードに対応する分岐点又は停止位置が含まれている流路と、前記分岐点又は前記停止位置の前記流路の始点からの順番とに基づいて決定されており、
各前記位置コードを特定する番号の組み合わせは、他の前記位置コードを特定する番号の組み合わせと異なっており、
前記プログラムは、複数の前記位置コードに基づいて前記誘導路に含まれている一つの停止位置から他の停止位置までの前記走行経路を算出するためのプログラムであって、
前記搬送車は、前記プログラムに基づいて算出された前記走行経路に基づいて前記誘導路を移動し、
前記誘導路に含まれている複数の流路のうちの一つの流路は、ループ状の経路であり、
前記停止位置には、2個の前記位置コードが付与されている
ことを特徴とする自動搬送システム。
【請求項2】
複数の分岐点及び複数の停止位置を含む誘導路と、
前記誘導路を移動して搬送物を搬送する搬送車と、
前記搬送車の走行経路を算出するためのプログラムとを備え、
前記誘導路は、一本の一次流路と、前記一次流路に接続されている一本又は複数本の二次流路と、一本又は複数本のk次流路とを有し、
kは、三以上の自然数であり、
前記一次流路は、一つ又は複数の分岐点と複数の停止位置とを含み、
前記二次流路は、前記一次流路に含まれている分岐点に接続されており、
前記k次流路は、一つ又は複数の停止位置を含み、前記誘導路に含まれていてkから一を減じた数に対応する次数の流路に含まれている分岐点に接続されており、
前記誘導路に含まれている前記複数の分岐点及び前記複数の停止位置の各々には、前記誘導路に含まれている流路の最大次数に対応する個数であるk個の番号の組み合わせで特定される位置コードが付与されており、
前記位置コードを特定する前記k個の番号の各々は、前記位置コードに対応する分岐点又は停止位置が含まれている流路と、前記分岐点又は前記停止位置の前記流路の始点からの順番とに基づいて決定されており、
各前記位置コードを特定する番号の組み合わせは、他の前記位置コードを特定する番号の組み合わせと異なっており、
前記プログラムは、複数の前記位置コードに基づいて前記誘導路に含まれている一つの停止位置から他の停止位置までの前記走行経路を算出するためのプログラムであって、
前記搬送車は、前記プログラムに基づいて算出された前記走行経路に基づいて前記誘導路を移動し、
前記プログラムは、ループ状の経路を時計回りに回る第1の走行経路と、前記ループ状の経路を反時計回りに回る第2の走行経路とを算出するためのプログラムでもある
ことを特徴とする自動搬送システム。
【請求項3】
複数の分岐点及び複数の停止位置を含む誘導路と、
前記誘導路を移動して搬送物を搬送する搬送車と、
前記搬送車の走行経路を算出するためのプログラムとを備え、
前記誘導路は、一本の一次流路と、前記一次流路に接続されている一本又は複数本の二次流路と、一本又は複数本のk次流路とを有し、
kは、三以上の自然数であり、
前記一次流路は、一つ又は複数の分岐点と複数の停止位置とを含み、
前記二次流路は、前記一次流路に含まれている分岐点に接続されており、
前記k次流路は、一つ又は複数の停止位置を含み、前記誘導路に含まれていてkから一を減じた数に対応する次数の流路に含まれている分岐点に接続されており、
前記誘導路に含まれている前記複数の分岐点及び前記複数の停止位置の各々には、前記誘導路に含まれている流路の最大次数に対応する個数であるk個の番号の組み合わせで特定される位置コードが付与されており、
前記位置コードを特定する前記k個の番号の各々は、前記位置コードに対応する分岐点又は停止位置が含まれている流路と、前記分岐点又は前記停止位置の前記流路の始点からの順番とに基づいて決定されており、
各前記位置コードを特定する番号の組み合わせは、他の前記位置コードを特定する番号の組み合わせと異なっており、
前記プログラムは、複数の前記位置コードに基づいて前記誘導路に含まれている一つの停止位置から他の停止位置までの前記走行経路を算出するためのプログラムであって、
前記搬送車は、前記プログラムに基づいて算出された前記走行経路に基づいて前記誘導路を移動し、
前記誘導路に含まれている前記複数の分岐点及び前記複数の停止位置の各々には、前記位置コードに加えて、隣接する停止位置又は分岐点への進行方向を特定する標識情報が付与されており、
前記搬送車の方向の変更が指示された場合、前記標識情報に基づいて、隣接する二つの場所に付与されている前記位置コードの大小を比較することによって前記搬送車への前進又は後退の指示を判断し、
前記隣接する二つの場所の一方は、停止位置又は分岐点であり、
前記隣接する二つの場所の他方は、停止位置又は分岐点である
ことを特徴とする自動搬送システム。
【請求項4】
複数の分岐点及び複数の停止位置を含む誘導路と、
前記誘導路を移動して搬送物を搬送する搬送車と、
前記搬送車の走行経路を算出するためのプログラムとを備え、
前記誘導路は、一本の一次流路と、前記一次流路に接続されている一本又は複数本の二次流路と、一本又は複数本のk次流路とを有し、
kは、三以上の自然数であり、
前記一次流路は、一つ又は複数の分岐点と複数の停止位置とを含み、
前記二次流路は、前記一次流路に含まれている分岐点に接続されており、
前記k次流路は、一つ又は複数の停止位置を含み、前記誘導路に含まれていてkから一を減じた数に対応する次数の流路に含まれている分岐点に接続されており、
前記誘導路に含まれている前記複数の分岐点及び前記複数の停止位置の各々には、前記誘導路に含まれている流路の最大次数に対応する個数であるk個の番号の組み合わせで特定される位置コードが付与されており、
前記位置コードを特定する前記k個の番号の各々は、前記位置コードに対応する分岐点又は停止位置が含まれている流路と、前記分岐点又は前記停止位置の前記流路の始点からの順番とに基づいて決定されており、
各前記位置コードを特定する番号の組み合わせは、他の前記位置コードを特定する番号の組み合わせと異なっており、
前記プログラムは、複数の前記位置コードに基づいて前記誘導路に含まれている一つの停止位置から他の停止位置までの前記走行経路を算出するためのプログラムであって、
前記搬送車は、前記プログラムに基づいて算出された前記走行経路に基づいて前記誘導路を移動し、
前記誘導路に含まれている前記複数の分岐点及び前記複数の停止位置の各々には、前記位置コードの代わりに、前記位置コードとの間で互いに変換可能な位置番号が付与されており、
前記プログラムは、前記位置コードと前記位置番号とを双方向に変換するためのプログラムでもあり、
前記誘導路に含まれている前記複数の分岐点及び前記複数の停止位置の各々には、前記位置番号に加えて、隣接する停止位置又は分岐点への進行方向を特定する標識情報が付与されており、
前記搬送車の方向の変更が指示された場合、前記標識情報に基づいて、隣接する二つの場所に付与されている前記位置番号の大小を比較することによって前記搬送車への前進又は後退の指示を判断し、
前記隣接する二つの場所の一方は、停止位置又は分岐点であり、
前記隣接する二つの場所の他方は、停止位置又は分岐点である
ことを特徴とする自動搬送システム。
【請求項5】
前記位置コードの流路を進む毎に変化する値の増減量の絶対値は、1以外の0より大きい値であり、
前記停止位置と前記分岐点との間に新たな停止位置が増設される場合、前記停止位置の位置コードと前記分岐点の位置コードとの間の値が前記新たな停止位置の位置コードとして付与されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の自動搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送物を搬送する搬送車を有する自動搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送車を誘導路上で自動走行させるには、搬送車をどの分岐点で進路を変更させて走行させ、どの停止位置で停止させるかを表す走行経路が必要である。従来、各停止位置から他の停止位置までの走行経路をあらかじめシステムに記憶させる手法と、各停止位置から他の停止位置までの走行経路を都度算出するダイクストラ法といったアルゴリズムを用いる手法とが知られている。
【0003】
前者の手法では、誘導路のレイアウトを変更又は拡張すると、それに伴って新たな走行経路を追加で記憶させるという手間が必要である。後者の手法では処理の負荷が重いので、処理能力が低い制御機器に後者の手法を実行させることは困難である。これらの課題を解決するための手段として、分岐点に付与した番号に関連付けられた番号を分岐後の誘導路に存在する停止位置に付与する手法(例えば、特許文献1参照)や、分岐点に付与した番号をもとに搬送車の走行経路を算出する手法(例えば、特許文献2参照)が提案された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-288907号公報
【文献】特開昭49-112376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2が開示している手法は、誘導路のレイアウトを変更又は拡張する場合に新たな走行経路を追加で記憶させるという手間をなくしつつ、処理能力が低い制御機器が容易に実行することができるほど処理の負荷を軽くして走行経路を算出することを可能にする。
【0006】
しかしながら、特許文献1では搬送車の後退が考慮されていないため、特許文献1が開示している手法では、搬送車が通り過ぎた停止位置に向かうには迂回が必要となる。特許文献2が開示している手法では、誘導路の分岐が多くなるほど分岐点に付与される番号の桁数が増えると共に、停止位置の情報を別途記憶させなければならないため、多くのメモリ容量が必要となる。
【0007】
このように、従来、誘導路のレイアウトを変更又は拡張する場合に新たな走行経路を追加で記憶させるという手間を必要とせず、搬送車の前進及び後退が可能な自動搬送システムを、PLC(Programmable Logic Controller)のようにメモリ容量が少なく、処理能力が低い制御機器を用いて構築することは困難であるという問題がある。
【0008】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、誘導路のレイアウトの変更又は拡張に係る手間が少なく、搬送車が前進及び後退を行うことができ、多くのメモリ容量を必要とせず、処理能力が低い制御機器を用いて構築することができる自動搬送システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る自動搬送システムは、複数の分岐点及び複数の停止位置を含む誘導路と、誘導路を移動して搬送物を搬送する搬送車と、搬送車の走行経路を算出するためのプログラムとを有する。誘導路は、一本の一次流路と、一次流路に接続されている一本又は複数本の二次流路と、一本又は複数本のk次流路とを有する。kは、三以上の自然数である。一次流路は、一つ又は複数の分岐点と複数の停止位置とを含む。二次流路は、一次流路に含まれている分岐点に接続されている。k次流路は、一つ又は複数の停止位置を含み、誘導路に含まれていてkから一を減じた数に対応する次数の流路に含まれている分岐点に接続されている。誘導路に含まれている複数の分岐点及び複数の停止位置の各々には、誘導路に含まれている流路の最大次数に対応する個数であるk個の番号の組み合わせで特定される位置コードが付与されている。位置コードを特定するk個の番号の各々は、位置コードに対応する分岐点又は停止位置が含まれている流路と、当該分岐点又は当該停止位置の当該流路の始点からの順番とに基づいて決定されている。各位置コードを特定する番号の組み合わせは、他の位置コードを特定する番号の組み合わせと異なっている。プログラムは、複数の位置コードに基づいて誘導路に含まれている一つの停止位置から他の停止位置までの走行経路を算出するためのプログラムである。搬送車は、プログラムに基づいて算出された走行経路に基づいて誘導路を移動する。誘導路に含まれている複数の流路のうちの一つの流路は、ループ状の経路である。停止位置には、2個の位置コードが付与されている。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る自動搬送システムは、誘導路のレイアウトの変更又は拡張に係る手間が少なく、搬送車が前進及び後退を行うことができ、多くのメモリ容量を必要とせず、処理能力が低い制御機器を用いて構築することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る自動搬送システムが有する誘導路のレイアウトを示す図
図2】実施の形態1に係る自動搬送システムが有するプロセッサ及びメモリを示す図
図3】搬送車が走行する際の実施の形態1に係る自動搬送システムの動作の手順を示すフローチャート
図4】搬送車の走行経路を算出する際の実施の形態1に係るプロセッサの動作の手順を示すフローチャート
図5】実施の形態2に係る自動搬送システムが有する誘導路のレイアウトを示す図
図6】搬送車の走行経路を算出する際の実施の形態2に係るプロセッサの動作の手順を示すフローチャート
図7】実施の形態3に係る自動搬送システムが有する誘導路のレイアウトを示す図
図8】搬送車の走行経路を算出する際の実施の形態3に係るプロセッサの動作の手順を示すフローチャート
図9】実施の形態4に係る自動搬送システムが有する誘導路のレイアウトを示す図
図10】搬送車の走行経路を算出する際の実施の形態4に係るプロセッサの動作の手順を示すフローチャート
図11】実施の形態5に係る自動搬送システムが有する誘導路のレイアウトを示す図
図12】実施の形態6に係る自動搬送システムが有する誘導路のレイアウトを示す図
図13】搬送車の走行経路を算出する際の実施の形態6に係るプロセッサの第1の動作の手順を示すフローチャート
図14】搬送車の走行経路を算出する際の実施の形態6に係るプロセッサの第2の動作の手順を示すフローチャート
図15】実施の形態7に係るプロセッサが位置番号から位置コードを算出する際のプロセッサの第1の動作の手順を示すフローチャート
図16】実施の形態7に係るプロセッサが位置番号から位置コードを算出する際のプロセッサの第2の動作の手順を示すフローチャート
図17】実施の形態8に係る自動搬送システムが有する誘導路のレイアウトを示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、実施の形態に係る自動搬送システムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る自動搬送システム100が有する誘導路1のレイアウトを示す図である。上述の通り、自動搬送システム100は、誘導路1を有する。自動搬送システム100は、誘導路1を移動して搬送物を搬送する搬送車2を更に有する。図1には、搬送車2も示されている。図1では、誘導路1及び搬送車2は、模式的に示されている。誘導路1は、複数の停止位置3-14と、複数の分岐点15-18とを有する。搬送車2は、誘導路1で前進又は後退をしながら、複数の停止位置3-14のうちのいずれかの停止位置で停止して搬送物の移載を行う。
【0014】
停止位置又は分岐点と、当該停止位置又は当該分岐点に隣接する他の停止位置又は分岐点との間には、搬送車2が前進又は後退することができる一本の経路が存在する。停止位置は、隣接する停止位置又は分岐点の個数の合計が二以下である位置である。分岐点は、隣接する停止位置又は分岐点の個数の合計が三以上である位置である。
【0015】
停止位置及び分岐点では、搬送車2は、搬送車2自身によるスピン、又は搬送車2を載せた状態での分岐点の回転などにより方向を変更することができる。搬送車2は、当該停止位置又は当該分岐点から走行し、当該停止位置又は当該分岐点に隣接する他のどの停止位置又は分岐点にも走行することができる。
【0016】
誘導路1は、一本の一次流路19と、一次流路19に接続されている二次流路20と、一次流路19に接続されている二次流路21と、二次流路20に接続されている三次流路22と、二次流路2に接続されている三次流路23とを有する。つまり、誘導路1は、5本の流路で構成されている。一次流路19及び二次流路20の各々は、二つの分岐点と複数の停止位置とを含む。二次流路21は、複数の停止位置を含む。三次流路22及び三次流路23の各々は、複数の停止位置を含む。
【0017】
二次流路20は一次流路19に含まれている分岐点15から分岐している流路であり、二次流路21は一次流路19に含まれている分岐点16から分岐している流路である。つまり、二次流路20は一次流路19に含まれている分岐点15に接続されており、二次流路21は一次流路19に含まれている分岐点16に接続されている。三次流路22は二次流路20に含まれている分岐点17から分岐している流路であり、三次流路23は二次流路20に含まれている分岐点18から分岐している流路である。つまり、三次流路22は二次流路20に含まれている分岐点17に接続されており、三次流路23は二次流路20に含まれている分岐点18に接続されている。流路は、始点と終点とを結ぶ一本道の経路、又は分岐点から分岐する経路の始点と終点とを結ぶ一本道の経路である。各流路は、一次、二次、三次といった次数を持つ。
【0018】
一次流路19は、始点である停止位置3と終点である停止位置5とを結ぶ経路である。二次流路20は、分岐点15と、分岐点15から停止位置6の方向に一次流路19から分岐している経路の終点である停止位置8とを結ぶ経路である。二次流路21は、分岐点16と、分岐点16から停止位置9の方向に一次流路19から分岐している経路の終点である停止位置10とを結ぶ経路である。三次流路22は、分岐点17と、分岐点17から停止位置11の方向に二次流路20から分岐している経路の終点である停止位置12とを結ぶ経路である。三次流路23は、分岐点18と、分岐点18から停止位置13の方向に二次流路20から分岐している経路の終点である停止位置14とを結ぶ経路である。
【0019】
流路の次数は、どの流路から分岐しているかで決められる。例えば、一次流路から分岐している流路の次数は二次であり、二次流路から分岐している流路の次数は三次である。誘導路1を構成する複数の流路のなかで最も次数が高い流路の次数は、流路の最大次数と定義される。図1が示す誘導路1には三次流路までしか存在しないため、図1が示す誘導路1では、流路の最大次数は3である。
【0020】
誘導路1に含まれている全ての分岐点及び停止位置の各々には、誘導路1に含まれている流路の最大次数に対応する個数である3個の番号の組み合わせで特定される位置コードが付与されている。3個の番号の組み合わせを一つの位置コードとし、16個の位置コードが、複数の停止位置3-14及び複数の分岐点15-18に付与されている。16個の位置コードの各々には、符号24-39のいずれか一つが割り当てられている。なお、16個の位置コード24-39の各々において、左から一つ目の番号は一次流路位置番号と定義され、左から二つ目の番号は二次流路位置番号と定義され、左から三つ目の番号は三次流路位置番号と定義される。
【0021】
位置コードの決定方法について以下に説明する。一次流路19の始点である停止位置3には、(1,0,0)という位置コード24が付与されている。一次流路19に含まれている停止位置及び分岐点には、一次流路19を始点から終点の方向に進む毎に前の停止位置又は分岐点の位置コードの一次流路位置番号のみを1増加させた位置コードが付与されている。
【0022】
分岐点15から分岐した二次流路20の分岐の直後の停止位置6には、分岐点15に付与されている位置コード26の二次流路位置番号のみを1にした位置コード29が付与されている。二次流路20に含まれている停止位置及び分岐点には、二次流路20を始点から終点の方向に進む毎に前の停止位置又は分岐点の位置コードの二次流路位置番号のみを1増加させた位置コードが付与されている。同様に、分岐点16から分岐した二次流路21の分岐の直後の停止位置9には、分岐点16に付与されている位置コード27の二次流路位置番号のみを1にした位置コード34が付与されており、二次流路21に含まれている停止位置及び分岐点には、二次流路21を始点から終点の方向に進む毎に前の停止位置又は分岐点の位置コードの二次流路位置番号のみを1増加させた位置コードが付与されている。
【0023】
分岐点17から分岐した三次流路22の分岐の直後の停止位置11には、分岐点17に付与されている位置コード30の三次流路位置番号のみを1にした位置コード36が付与されている。三次流路22に含まれている停止位置及び分岐点には、三次流路22を始点から終点の方向に進む毎に前の停止位置又は分岐点の位置コードの三次流路位置番号のみを1増加させた位置コードが付与されている。同様に、分岐点18から分岐した三次流路23の分岐の直後の停止位置13には、分岐点18に付与されている位置コード32の三次流路位置番号のみを1にした位置コード38が付与されており、三次流路23に含まれている停止位置及び分岐点には、三次流路23を始点から終点の方向に進む毎に前の停止位置又は分岐点の位置コードの三次流路位置番号のみを1増加させた位置コードが付与されている。
【0024】
上述のように、位置コードを特定する3個の番号の各々は、位置コードに対応する分岐点又は停止位置が含まれている流路と、当該分岐点又は当該停止位置の当該流路の始点からの順番とに基づいて決定されている。各位置コードを特定する番号の組み合わせは、他の位置コードを特定する番号の組み合わせと異なっている。
【0025】
全ての停止位置3-14及び分岐点15-18の各々に付与されている位置コードは、各停止位置及び各分岐点に搬送車2が読み取ることができるバーコードを付けるなどして特定することができるようにされてもよいが、実施の形態1では自動搬送システム100の制御機器の内部のメモリに記憶されている。制御機器は、図示されていない。
【0026】
搬送車2が停止位置又は分岐点に位置している場合、当該停止位置又は当該分岐点を搬送車2の現在地とし、現在地に付与されている位置コードを搬送車2の現在地の位置コードとする。搬送車2は、停止位置又は分岐点に位置している場合、前進、後退又は方向の変更といった何らかの方法により、搬送車2の現在地に隣接する他の停止位置又は分岐点へ走行することができる。
【0027】
搬送車2の現在地の位置コードの把握は、停止位置及び分岐点に付けられたバーコードを搬送車2が読み取るなどによって行われてもよいが、実施の形態1では自動搬送システム100の制御機器によって行われる。すなわち、当該制御機器は、搬送車2の現在地の位置コードを追跡して把握する。
【0028】
図2は、実施の形態1に係る自動搬送システム100が有するプロセッサ91及びメモリ92を示す図である。図2は、プロセッサ91及びメモリ92を模式的に示している。自動搬送システム100は、搬送車2の走行経路を算出するためのプログラムが格納されているメモリ92を有する。自動搬送システム100は、メモリ92に格納されているプログラムに基づいて搬送車2の走行経路を算出するプロセッサ91も有する。プログラムは、複数の位置コードに基づいて誘導路1に含まれている一つの停止位置から他の停止位置までの走行経路を算出するためのものである。搬送車2は、プログラムに基づいて算出された走行経路に基づいて誘導路1を移動する。
【0029】
プロセッサ91は、CPU(Central Processing Unit)、処理システム、演算システム、マイクロプロセッサ、又はDSP(Digital Signal Processor)である。メモリ92は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク又はDVD(Digital Versatile Disk)等である。
【0030】
次に、搬送車2の現在地から目的地までの移動方法について説明する。搬送車2の移動は、プロセッサ91が搬送車2の現在地の位置コードと目的地の位置コードとを比較することによって行われる。現在地の位置コードを(a1,a2,a3)とし、目的地の位置コードを(b1,b2,b3)とすると、自動搬送システム100は、図3に示される移動方法に基づいて搬送車2を現在地から目的地まで走行させることができる。図3は、搬送車2が走行する際の実施の形態1に係る自動搬送システム100の動作の手順を示すフローチャートである。
【0031】
まず、プロセッサ91は、搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1と目的地の一次流路位置番号b1とを比較する(S1)。具体的には、プロセッサ91は、ステップS1において、搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1と目的地の一次流路位置番号b1とが一致しているか否かを判断する。
【0032】
搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1と目的地の一次流路位置番号b1とが異なるとプロセッサ91によって判断された場合(S1でNo)、搬送車2は一次流路19を走行して搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1を目的地の一次流路位置番号b1と一致させなければならない。そのためには、搬送車2は一次流路19にいる必要がある。そこで、プロセッサ91は、搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3が0であるか否かを判断する(S2)。
【0033】
搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3が0より大きいとプロセッサ91によって判断された場合(S2でNo)、つまり搬送車2が三次流路にいる場合、搬送車2は、現在地の位置コードの三次流路位置番号a3のみを1減少させた位置コードが付与されている停止位置又は分岐点へ走行する(S3)。ステップS3の動作が実行された後、プロセッサ91は、(a1,a2,a3)をメモリ92に直前に記録された位置コードに置き換えて(S4)、ステップS1の動作を実行する。そして、自動搬送システム100は、ステップS1からステップS4までの動作を、現在地の三次流路位置番号a3が0になるまで繰り返す。これにより、搬送車2は、三次流路を脱し、二次流路に進入することが可能となる。
【0034】
プロセッサ91は、搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3が0であると判断した場合(S2でYes)、搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2が0であるか否かを判断する(S5)。搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2が0より大きいとプロセッサ91によって判断された場合(S5でNo)、つまり搬送車2が二次流路にいる場合、更に言うと搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3が0であってかつ二次流路位置番号a2が0より大きい場合、搬送車2は、現在地の位置コードの二次流路位置番号a2のみを1減少させた位置コードが付与されている停止位置又は分岐点へ走行する(S6)。
【0035】
ステップS6の動作が実行された後、プロセッサ91は、(a1,a2,a3)をメモリ92に直前に記録された位置コードに置き換えて(S4)、ステップS1の動作を実行する。そして、自動搬送システム100は、ステップS1、ステップS2、ステップS5、ステップS6及びステップS4の動作を、現在地の二次流路位置番号a2が0になるまで繰り返す。これにより、搬送車2は、二次流路を脱し、一次流路19に進入することが可能となる。
【0036】
搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2が0であるとプロセッサ91によって判断された場合(S5でYes)、つまり搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2及び三次流路位置番号a3が0であって、搬送車2が一次流路19にいる場合、プロセッサ91は、搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1が目的地の一次流路位置番号b1より大きいか小さいかを判断する(S7)。
【0037】
搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1が目的地の一次流路位置番号b1より大きいとプロセッサ91によって判断された場合(S7でa1>b1)、搬送車2は、現在地の位置コードの一次流路位置番号a1のみを1減少させた位置コードが付与されている停止位置又は分岐点へ走行する(S8)。搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1が目的地の一次流路位置番号b1より小さいとプロセッサ91によって判断された場合(S7でa1<b1)、搬送車2は、現在地の位置コードの一次流路位置番号a1のみを1増加させた位置コードが付与されている停止位置又は分岐点へ走行する(S9)。
【0038】
ステップS8又はステップS9の動作が実行された後、プロセッサ91は、(a1,a2,a3)をメモリ92に直前に記録された位置コードに置き換えて(S4)、ステップS1の動作を実行する。そして、自動搬送システム100は、ステップS1、ステップS2、ステップS5及びステップS7の動作と、ステップS8又はステップS9の動作と、ステップS4の動作とを、現在地の一次流路位置番号a1と目的地の一次流路位置番号b1とが一致するまで繰り返す。
【0039】
プロセッサ91は、搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1と目的地の一次流路位置番号b1とが一致していると判断した場合(S1でYes)、搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2と目的地の二次流路位置番号b2とが一致しているか否かを判断する(S10)。
【0040】
搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2と目的地の二次流路位置番号b2とが異なるとプロセッサ91によって判断された場合(S10でNo)、搬送車2は二次流路を走行して搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2を目的地の二次流路位置番号b2と一致させなければならない。そのためには、搬送車2は二次流路又は二次流路に進入する直前の分岐路にいる必要がある。そこで、プロセッサ91は、搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3が0であるか否かを判断する(S11)。
【0041】
搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3が0より大きいとプロセッサ91によって判断された場合(S11でNo)、つまり搬送車2が三次流路にいる場合、搬送車2は、現在地の位置コードの三次流路位置番号a3のみを1減少させた位置コードが付与されている停止位置又は分岐点へ走行する(S12)。ステップS12の動作が実行された後、プロセッサ91は、(a1,a2,a3)をメモリ92に直前に記録された位置コードに置き換えて(S4)、ステップS1の動作を実行する。そして、自動搬送システム100は、ステップS1、ステップS10、ステップS11、ステップS12及びステップS4の動作を、現在地の三次流路位置番号a3が0になるまで繰り返す。これにより、搬送車2は、三次流路を脱し、二次流路に進入することが可能となる。
【0042】
プロセッサ91は、搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3が0であると判断した場合(S11でYes)、つまり搬送車2が二次流路又は二次流路に進入する直前の分岐路にいる場合、搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2が目的地の二次流路位置番号b2より大きいか小さいかを判断する(S13)。
【0043】
搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2が目的地の二次流路位置番号b2より大きいとプロセッサ91によって判断された場合(S13でa2>b2)、搬送車2は、現在地の位置コードの二次流路位置番号a2のみを1減少させた位置コードが付与されている停止位置又は分岐点へ走行する(S14)。搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2が目的地の二次流路位置番号b2より小さいとプロセッサ91によって判断された場合(S13でa2<b2)、搬送車2は、現在地の位置コードの二次流路位置番号a2のみを1増加させた位置コードが付与されている停止位置又は分岐点へ走行する(S15)。
【0044】
ステップS14又はステップS15の動作が実行された後、プロセッサ91は、(a1,a2,a3)をメモリ92に直前に記録された位置コードに置き換えて(S4)、ステップS1の動作を実行する。そして、自動搬送システム100は、ステップS1、ステップS10、ステップS11及びステップS13の動作と、ステップS14又はステップS15の動作と、ステップS4の動作とを、現在地の二次流路位置番号a2と目的地の二次流路位置番号b2とが一致するまで繰り返す。
【0045】
プロセッサ91は、搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2と目的地の二次流路位置番号b2とが一致していると判断した場合(S10でYes)、搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3と目的地の三次流路位置番号b3とが一致しているか否かを判断する(S16)。
【0046】
搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3と目的地の三次流路位置番号b3とが異なるとプロセッサ91によって判断された場合(S16でNo)、搬送車2は三次流路を走行して搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3を目的地の三次流路位置番号b3と一致させなければならない。そこで、プロセッサ91は、搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3が目的地の三次流路位置番号b3より大きいか小さいかを判断する(S17)。
【0047】
搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3が目的地の三次流路位置番号b3より大きいとプロセッサ91によって判断された場合(S17でa3>b3)、搬送車2は、現在地の位置コードの三次流路位置番号a3のみを1減少させた位置コードが付与されている停止位置又は分岐点へ走行する(S18)。搬送車2の現在地の三次流路位置番号a3が目的地の三次流路位置番号b3より小さいとプロセッサ91によって判断された場合(S17でa3<b3)、搬送車2は、現在地の位置コードの三次流路位置番号a3のみを1増加させた位置コードが付与されている停止位置又は分岐点へ走行する(S19)。
【0048】
ステップS18又はステップS19の動作が実行された後、プロセッサ91は、(a1,a2,a3)をメモリ92に直前に記録された位置コードに置き換えて(S4)、ステップS1の動作を実行する。そして、自動搬送システム100は、ステップS1、ステップS10、ステップS16及びステップS17の動作と、ステップS18又はステップS19の動作と、ステップS4の動作とを、現在地の三次流路位置番号a3と目的地の三次流路位置番号b3とが一致するまで繰り返す。
【0049】
上述の動作によって、搬送車2の現在地の位置コード(a1,a2,a3)と目的地の位置コード(b1,b2,b3)とが一致し(S16でYes)、搬送車2は、位置コード(b1,b2,b3)で特定される目的地へ走行する(S20)。上述のようにして、自動搬送システム100は、搬送車2を目的地まで走行させることができる。
【0050】
次に、搬送車2の走行経路の算出方法について説明する。図4は、搬送車2の走行経路を算出する際の実施の形態1に係るプロセッサ91の動作の手順を示すフローチャートである。図4は、図3のステップS3、ステップS6、ステップS8、ステップS9、ステップS12、ステップS14、ステップS15、ステップS18、ステップS19及びステップS20における「へ走行」という文言が「を記録」という文言に置き換えられた図である。
【0051】
図4では、図3のステップS3、ステップS6、ステップS8、ステップS9、ステップS12、ステップS14、ステップS15、ステップS18、ステップS19及びステップS20は、ステップS3A、ステップS6A、ステップS8A、ステップS9A、ステップS12A、ステップS14A、ステップS15A、ステップS18A、ステップS19A及びステップS20Aに置き換えられている。プロセッサ91は、図4に示されている全てのステップの動作を実行する。
【0052】
つまり、搬送車2を現在地から目的地まで走行させる際の図3のフローにおいて、搬送車2が実際に走行する代わりに、図4に示されるように、プロセッサ91は、搬送車2の行先を都度メモリ92に記録して記憶させ、直前に記録させた行先の位置コードと目的地の位置コードとの比較を繰り返す。
【0053】
これにより、搬送車2が実際に走行することなく、プロセッサ91は、搬送車2が通過する全ての位置に付与されている位置コードを算出することができる。プロセッサ91は、搬送車2が通過する全ての位置に付与されている位置コードを算出する作業を行うことにより、搬送車2の現在地から目的地までの走行経路を算出することができる。
【0054】
四則演算、数の大小比較、及び位置コードの記録さえ行うことができれば上述の走行経路の算出方法を実行することが可能であるため、PLCのような処理能力が比較的低い制御機器を用いて上述の走行経路の算出方法を実行することが可能である。自動搬送システム100では、流路の分岐前の停止位置と分岐後の停止位置とに、互いを関連付ける番号を含む位置コードが付与されているので、搬送車2は、前進も後退も行うことができる。自動搬送システム100では、流路の次数と同じ個数の番号の組み合わせで特定される位置コードが全ての停止位置及び分岐点に付与されているので、分岐が多くなっても流路の最大次数が変わらない限り必要なメモリ容量は多くならない。つまり、実施の形態1に係る自動搬送システム100では、誘導路1のレイアウトの変更又は拡張に係る手間が少なく、搬送車2が前進及び後退を行うことができ、多くのメモリ容量を必要とせず、処理能力が低い制御機器を用いて自動搬送システム100を構築することができる。
【0055】
実施の形態2.
実施の形態1では、分岐点から分岐した流路の分岐の直後の停止位置又は分岐点には、分岐元となった分岐点に付与されている位置コードの当該流路と同じ次数の流路位置番号のみを1にした位置コードが付与されている。加えて、実施の形態1では、分岐後の流路に含まれる停止位置及び分岐点には、当該流路を始点から終点の方向に進む毎に前の停止位置又は分岐点の位置コードの当該流路と同じ次数の流路位置番号のみを1増加させた位置コードが付与されている。
【0056】
実施の形態2では、図1が示す実施の形態1に係る誘導路1が有する停止位置又は分岐点と同じ停止位置又は分岐点には、実施の形態1において説明された位置コードが付与されている。実施の形態2では、図1が示す実施の形態1に係る誘導路1が有する流路に加えて新たな流路が存在すると共に、誘導路1が有する停止位置又は分岐点に加えて、新たな停止位置が存在する。更に言うと、新たな分岐点が存在してもよい。実施の形態2では、実施の形態1との相違点を主に説明する。
【0057】
実施の形態2では、分岐点から分岐した一つの流路の分岐の直後の停止位置又は分岐点には、分岐元となった分岐点に付与されている位置コードの当該一つの流路と同じ次数の流路位置番号のみを-1にした位置コードが付与される。実施の形態2では、分岐後の当該一つの流路に含まれる停止位置及び分岐点には、当該一つの流路を始点から終点の方向に進む毎に前の停止位置又は分岐点の位置コードの当該一つの流路と同じ次数の流路位置番号のみを1減少させた位置コードが付与される。
【0058】
図5は、実施の形態2に係る自動搬送システム100Aが有する誘導路1Aのレイアウトを示す図である。誘導路1Aは、実施の形態1に係る自動搬送システム100が有する誘導路1が有する流路、停止位置及び分岐点に加えて、分岐点15に接続されている二次流路42を更に有する。二次流路42は、位置コード43が付与されている停止位置40と、位置コード44が付与されている停止位置41とを有する。
【0059】
図5に示されるように、分岐点15から分岐した二次流路42の分岐の直後の停止位置40には、分岐点15に付与されている位置コードの二次流路位置番号のみを-1にした位置コード(3,-1,0)が付与されている。二次流路42に含まれる停止位置41には、停止位置41の前の停止位置40の位置コードの二次流路位置番号のみを1減少させた位置コード(3,-2,0)が付与されている。
【0060】
このように、一つの二次流路に含まれている停止位置及び分岐点の各々には、当該二次流路を始点から終点の方向に進む毎に前の停止位置又は分岐点の位置コードの二次流路位置番号のみを1減少させた位置コードが付与されてもよい。
【0061】
図6は、搬送車2の走行経路を算出する際の実施の形態2に係るプロセッサ91の動作の手順を示すフローチャートである。実施の形態2に係る自動搬送システム100Aも、プロセッサ91及びメモリ92を有する。実施の形態2では、プロセッサ91が搬送車2の走行経路を算出するフローの中で、流路位置番号と0とを比較した結果、流路位置番号が0より小さい場合(S2でa3<0,S5でa2<0,S11でa3<0)、当該流路位置番号のみを1増加させた位置コードをメモリ92に記録するという動作(S21,S22及びS23)が追加される。
【0062】
プロセッサ91は、実施の形態1で説明した動作に加えて、ステップS21、ステップS22及びステップS23の動作を行うことにより、実施の形態1と同様に、搬送車2の走行経路を算出することができる。すなわち、実施の形態2のプロセッサ91は、一つの分岐点から二つの方向に分岐する流路を持つ誘導路1Aについても、位置コードをもとに搬送車2の走行経路を算出することができる。
【0063】
上述のように、位置コードを特定する各番号は、正の値、0又は負の値である。
【0064】
実施の形態3.
実施の形態1及び実施の形態2では、分岐点から分岐した流路の分岐の直後の停止位置又は分岐点には、分岐元となった分岐点に付与されている位置コードの流路と同じ次数の流路位置番号のみを1又は-1にした位置コードが付与されている。加えて、実施の形態1及び実施の形態2では、分岐後の当該流路に含まれる停止位置及び分岐点には、当該流路を始点から終点の方向に進む毎に前の停止位置又は分岐点の位置コードの当該流路と同じ次数の流路位置番号のみを1増加又は1減少させた位置コードが付与されている。
【0065】
実施の形態3では、分岐点から分岐した流路の分岐の直後の停止位置又は分岐点に付与される位置コードのうち、当該流路と同じ次数の流路位置番号の絶対値は、1ではなく0より大きい。当該流路を始点から終点の方向に進む毎に前の停止位置又は分岐点の位置コードの流路と同じ次数の流路位置番号のみを増加又は減少させる場合の増減量も、1ではなく0より大きい。つまり、実施の形態3では、位置コードの流路を進む毎に変化する値の増減量の絶対値は、1以外の0より大きい値である。実施の形態3では、実施の形態1又は実施の形態2との相違点を主に説明する。
【0066】
図7は、実施の形態3に係る自動搬送システム100Bが有する誘導路1Bのレイアウトを示す図である。誘導路1Bは、停止位置45を除き、分岐点から分岐した流路の分岐の直後の停止位置又は分岐点に付与される位置コードのうち、当該流路と同じ次数の流路位置番号は10である。当該流路に含まれる停止位置及び分岐点の各々において、当該流路を始点から終点の方向に進む毎に前の停止位置又は分岐点の位置コードの流路と同じ次数の流路位置番号のみを増加又は減少させる場合の増減量も、10である。
【0067】
図8は、搬送車2の走行経路を算出する際の実施の形態3に係るプロセッサ91の動作の手順を示すフローチャートである。実施の形態3に係る自動搬送システム100Bも、プロセッサ91及びメモリ92を有する。
【0068】
図8に示されるように、実施の形態3では、プロセッサ91が搬送車2の走行経路を算出するフローの中で、位置コードをメモリ92に記憶させる処理の前に、直前で算出された位置コードを全ての位置コードから検索する動作(S24,S25,S26,S27,S28,S29,S30,S31,S32)が実行される。加えて、ステップS24、ステップS25、ステップS26、ステップS27、ステップS28、ステップS29、ステップS30、ステップS31及びステップS32の動作が行われた後に、直前で算出された位置コードが全ての位置コードの中に存在するか否かを判断する動作(S33)が行われる。
【0069】
プロセッサ91は、算出された位置コードが存在すると判断した場合(S33でYes)、直前に検索した位置コードをメモリ92に記録する(S34)。プロセッサ91は、ステップS34の動作を行った後、ステップS4の動作を行う。プロセッサ91は、算出された位置コードが存在しないと判断した場合(S33でNo)、直前に検索した位置コードを搬送車2の現在地の位置コードに置き換える(S35)。プロセッサ91は、ステップS35の動作を行った後、ステップS1の動作を行う。実施の形態3においても、プロセッサ91は、搬送車2の走行経路を算出することができる。
【0070】
図7に示されるように、停止位置4と分岐点15との間に新たな停止位置45が増設される場合、位置コード25の一次流路位置番号の20と位置コード26の一次流路位置番号の30との間の値、例えば25を一次流路位置番号とする位置コード(25,0,0)が停止位置45に付与される。当該位置コードには、符号46が付与されている。誘導路1Bから停止位置又は分岐点が削減される場合、当該停止位置又は当該分岐点に隣接する停止位置又は分岐点に付与されている位置コードは変更されない。この場合においても、プロセッサ91は、図8に示されるフローにより搬送車2の走行経路を算出することができる。つまり、実施の形態3に係る自動搬送システム100Bによれば、誘導路1Bのレイアウトの変更時に新たな位置コードを付与し直す手間を省くことができる。
【0071】
実施の形態4.
実施の形態1から実施の形態3まででは、流路の最大次数が3であって、次数が4以上の流路を持たない誘導路1,1A,1Bが例示されている。しかしながら、誘導路は次数が4以上の流路を持っていてもよい。図9は、実施の形態4に係る自動搬送システム100Cが有する誘導路1Cのレイアウトを示す図である。実施の形態4では、実施の形態1から実施の形態3までとの相違点を主に説明する。
【0072】
図9に示されるように、実施の形態4に係る誘導路1Cでは、三次流路23に含まれている分岐点50から四次流路51が分岐している。つまり、誘導路1Cは、四次流路51を有する。四次流路51には、停止位置48及び停止位置49が含まれている。実施の形態4では、流路の最大次数は4である。そのため、実施の形態4では、全ての停止位置及び分岐点に付与される位置コードは4個の番号で構成されている。分岐点50には、位置コード52が付与されている。三次流路23には、位置コード53が付与されている停止位置47が含まれている。停止位置48には位置コード54が付与されており、停止位置49には位置コード55が付与されている。
【0073】
図10は、搬送車2の走行経路を算出する際の実施の形態4に係るプロセッサ91の動作の手順を示すフローチャートである。実施の形態4に係る自動搬送システム100Cも、プロセッサ91及びメモリ92を有する。
【0074】
実施の形態4では、図10に示されるように、四次流路を脱して三次流路に進入する処理、及び四次流路を仮想的に走行させて搬送車2の現在地の位置コードの四次流路位置番号と目的地の位置コードの四次流路位置番号とを一致させる処理(S36,S37,S38,S39,S40,S41,S42,S43,S44,S45)とが追加されている。これにより、プロセッサ91は、実施の形態4においても実施の形態1から実施の形態3までと同様に、搬送車2の走行経路を算出することができる。
【0075】
なお、実施の形態1のステップS4の動作は、「(a1,a2,a3,a4)を直前に記録した位置コードに置き換える」ステップS4Bの動作に変更されている。実施の形態1のステップS20の動作は、「(a1,a2,a3,a4)を記録」するステップS20Bの動作に変更されている。同様に、実施の形態1のステップS3、ステップS6、ステップS8、ステップS9、ステップS12、ステップS14、ステップS15、ステップS18及びステップS19は、ステップS3B、ステップS6B、ステップS8B、ステップS9B、ステップS12B、ステップS14B、ステップS15B、ステップS18B及びステップS19Bに変更されている。
【0076】
四次より大きい次数の流路を有する誘導路においても、プロセッサ91は、搬送車2の走行経路を算出することができる。すなわち、プロセッサ91は、分岐の数が多い誘導路についても、位置コードをもとに走行経路を算出することができる。
【0077】
実施の形態5.
図11は、実施の形態5に係る自動搬送システム100Dが有する誘導路1Dのレイアウトを示す図である。自動搬送システム100Dも、プロセッサ91及びメモリ92を有する。実施の形態5では、実施の形態1から実施の形態4までとの相違点を主に説明する。
【0078】
誘導路は、上下左右のいずれかに曲がった形状の流路を有してもよい。誘導路1Dでは、一次流路19の形状は上下に曲がった形状であり、二次流路20の形状は左に曲がった形状である。この場合においても、プロセッサ91は、実施の形態1から実施の形態4までと同様に、搬送車2の走行経路を算出することができる。このように、実施の形態5に係る自動搬送システム100Dが有するプロセッサ91は、複雑に曲がる誘導路についても、位置コードをもとに走行経路を算出することができる。
【0079】
なお、実施の形態5では、停止位置4には実施の形態1の位置コード26が付与されており、停止位置5には実施の形態1の位置コード27が付与されており、停止位置6には実施の形態1の位置コード28が付与されており、停止位置7には(2,1,0)という位置コード56が付与されており、停止位置8には(2,2,0)という位置コード57が付与されている。停止位置10には(6,2,0)という位置コード58が付与されており、停止位置11には(6,1,1)という位置コード59が付与されている。一次流路19は(7,0,0)という位置コード60が付与されている停止位置61を有し、二次流路20は(2,3,0)という位置コード62が付与されている停止位置63を有する。分岐点15には実施の形態1の位置コード25が付与されており、分岐点16には(6,0,0)という位置コード64が付与されており、分岐点17には(6,1,0)という位置コード65が付与されている。
【0080】
実施の形態6.
誘導路に含まれる一つの流路は、ループ状の経路であってもよい。図12は、実施の形態6に係る自動搬送システム100Eが有する誘導路1Eのレイアウトを示す図である。自動搬送システム100Eも、プロセッサ91及びメモリ92を有する。実施の形態6では、実施の形態1から実施の形態5までとの相違点を主に説明する。
【0081】
誘導路1Eでは、一次流路19の始点と終点とがともに停止位置3であって、一次流路19は、始点から終点の方向の向きが時計回りであるループ状の経路である。実施の形態6では、停止位置3には、位置コード24と、(7,0,0)という位置コード66との2個の位置コードが付与されている。一次流路19は、位置コード67が付与されている停止位置68を更に有する。
【0082】
図13は、搬送車2の走行経路を算出する際の実施の形態6に係るプロセッサ91の第1の動作の手順を示すフローチャートである。図14は、搬送車2の走行経路を算出する際の実施の形態6に係るプロセッサ91の第2の動作の手順を示すフローチャートである。図13は、搬送車2が一次流路19を時計回りに移動する場合のフローチャートである。図14は、搬送車2が一次流路19を反時計回りに移動する場合のフローチャートである。
【0083】
図13に示されるフローでは、プロセッサ91は、搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2が0であると判断した場合(S5でYes)、搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1が6であるか否かを判断する(S46)。プロセッサ91は、搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1が6でないと判断した場合(S46でNo)、現在地の位置コードの一次流路位置番号a1のみを1増加させた位置コードをメモリ92に記録する(S47)。プロセッサ91は、搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1が6であると判断した場合(S46でYes)、(1,0,0)の位置コードをメモリ92に記録する(S48)。
【0084】
図14に示されるフローでは、プロセッサ91は、搬送車2の現在地の二次流路位置番号a2が0であると判断した場合(S5でYes)、搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1が1であるか否かを判断する(S49)。プロセッサ91は、搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1が1でないと判断した場合(S49でNo)、現在地の位置コードの一次流路位置番号a1のみを1減少させた位置コードをメモリ92に記録する(S50)。プロセッサ91は、搬送車2の現在地の一次流路位置番号a1が1であると判断した場合(S49でYes)、(6,0,0)の位置コードをメモリ92に記録する(S51)。
【0085】
図13及び図14に示されるように、プロセッサ91は、一次流路19を仮想的に走行させて搬送車2の現在地の位置コードの一次流路位置番号を目的地の位置コードの一次流路位置番号と一致させる処理を、一次流路19を時計回り又は反時計周りにのみ移動させる処理とすることで、2種類の走行経路を算出することができる。実地の形態6のプログラムは、ループ状の経路である一次流路19を時計回りに回る第1の走行経路と、一次流路19を反時計回りに回る第2の走行経路とを算出するためのプログラムでもある。
【0086】
2種類の走行経路のうちから一方の走行経路を選択すれば、搬送車2の走行経路を算出することができたこととなる。すなわち、実施の形態6に係る自動搬送システム100Eが有するプロセッサ91は、ループ状の経路を持つ誘導路1Eについて、位置コードをもとに走行経路を算出することができる。
【0087】
実施の形態7.
実施の形態1から実施の形態6まででは、停止位置及び分岐点には、流路の最大次数に対応する個数の番号の組み合わせで特定される位置コードが付与されている。実施の形態7では、停止位置及び分岐点には、位置コードの代わりに、位置コードとの間で互いに変換可能な位置番号が付与されている。実施の形態7のプログラムは、位置コードと位置番号とを双方向に変換するためのプログラムでもある。実施の形態7では、実施の形態1から実施の形態6までとの相違点を主に説明する。
【0088】
実施の形態7では、位置コードが(c1,c2,c3)である場合、当該位置コードから下記の式(1)で得られる位置番号pが、当該位置コードが付与されている停止位置及び分岐点に付与される。
【0089】
【数1】
【0090】
c1は一次流路位置番号であり、c2は二次流路位置番号であり、c3は三次流路位置番号である。c1maxは、一次流路位置番号の最大値であり、c2maxは、二次流路位置番号の最大値である。
【0091】
図15は、実施の形態7に係るプロセッサ91が位置番号pから位置コード(c1,c2,c3)を算出する際のプロセッサ91の第1の動作の手順を示すフローチャートである。実施の形態7に係る自動搬送システムも、プロセッサ91及びメモリ92を有する。プロセッサ91は、位置番号pから位置コード(c1,c2,c3)を算出する場合、pをc1maxで除算し(S61)、ステップS61の動作で得られた計算結果の剰余をc1とする(S62)。プロセッサ91は、ステップS61の動作で得られた計算結果の商をc2maxで除算し(S63)、ステップS63の動作で得られた計算結果の剰余をc2とする(S64)。プロセッサ91は、ステップS63の動作で得られた計算結果の商をc3とする(S65)。
【0092】
プロセッサ91は、図15に示されるフローによって、全ての流路位置番号を算出することができ、これにより位置番号を位置コードに変換することが可能である。
【0093】
停止位置及び分岐点に位置コードの代わりに位置番号が付与される場合、プロセッサ91は、搬送車2の走行経路を算出する前に、位置番号を図15に示されるフローによって位置コードに変換し、記録された走行経路を式(1)をもとに位置番号に再度変換することで、搬送車2の走行経路を算出することができる。
【0094】
実施の形態7では、停止位置及び分岐点に付与される番号が一つで足りるため、メモリ容量が少ない制御機器を使用した自動搬送システムを構築することが可能となる。
【0095】
なお、実施の形態2で説明されたように位置コードに負の値が含まれている場合、式(1)を用いず、下記の式(2)を用いることによって、負の値を含む位置コードから位置番号pを得ることができる。
【0096】
【数2】
【0097】
c1minは、一次流路位置番号の最小値であり、c2minは、二次流路位置番号の最小値であり、c3minは、三次流路位置番号の最小値である。
【0098】
図16は、実施の形態7に係るプロセッサ91が位置番号pから位置コード(c1,c2,c3)を算出する際のプロセッサ91の第2の動作の手順を示すフローチャートである。プロセッサ91は、式(2)によって得られた位置番号pから位置コード(c1,c2,c3)を算出する場合、pを(c1max-c1min)で除算し(S71)、ステップS71の動作で得られた計算結果の剰余にc1minを加えた値をc1とする(S72)。プロセッサ91は、ステップS71の動作で得られた計算結果の商を(c2max-c2min)で除算し(S73)、ステップS73の動作で得られた計算結果の剰余にc2minを加えた値をc2とする(S74)。プロセッサ91は、ステップS73の動作で得られた計算結果の商にc3minを加えた値をc3とする(S75)。
【0099】
プロセッサ91は、図16に示されるフローによって、全ての流路位置番号を算出することができ、これにより位置番号を位置コードに変換することが可能である。更に言うと、プロセッサ91は、搬送車2の走行経路を算出することができる。
【0100】
実施の形態8.
実施の形態1では、搬送車2は、停止位置及び分岐点において、搬送車2自身によるスピンや、搬送車2を載せた状態での分岐点の回転などにより方向を変更した後で走行するなどして、上記の停止位置又は分岐点に隣接する他のどの停止位置又は分岐点にも走行することができる。実施の形態8では、停止位置及び分岐点には、位置コードに加えて、標識情報が付与されている。標識情報は、隣接する停止位置又は分岐点への進行方向を特定する情報である。位置コードは、実施の形態7で説明された位置番号に置き換えられてもよい。実施の形態8に係る自動搬送システムは、標識情報と、位置コード又は位置番号とに基づいて、搬送車2の進行及び方向の変更の指示を行う。実施の形態8では、実施の形態1から実施の形態7までとの相違点を主に説明する。
【0101】
図17は、実施の形態8に係る自動搬送システム100Fが有する誘導路1Fのレイアウトを示す図である。誘導路1Fでは、複数の停止位置及び複数の分岐点の各々には、当該停止位置又は当該分岐点を含む流路を終点の方向に進む際の方向を示す第1の矢印を含む第1の標識情報71,72,74,76と、第1の標識情報71,72,74,76と別の第2の標識情報73,75とのうちのいずれかが付与されている。第2の標識情報73,75は、第1の矢印と、別の流路に分岐する際の方向を示す第2の矢印とを含む情報である。第1の矢印には、「同流路」という文言が付与されている。第2の矢印には、「分岐」という文言が付与されている。搬送車2は、進行方向を変更する場合、第1の矢印又は第2の矢印も用いて進行方向を変更する。
【0102】
例えば、分岐点15に位置する搬送車2は、停止位置4に向かう場合、搬送車2の前面が図17の左の向きになるように進行方向を変更し、停止位置6に向かう場合、搬送車2の前面が図17の上の向きになるように進行方向を変更する。これにより、搬送車2の前面は、次に走行する流路の停止位置の向きに必ず向く。
【0103】
搬送車2が進行方向を変更した後に、プロセッサ91が搬送車2に前進又は後退の指示を出すことで、搬送車2は流路を走行することができる。プロセッサ91は、搬送車2の前進又は後退の指示を出す場合、搬送車2の現在地に付与されている位置コード又は位置番号と、搬送車2が次に向かう停止位置又は分岐点に付与されている位置コード又は位置番号との大小を比較する。
【0104】
例えば、分岐点15に位置する搬送車2が停止位置6に向かう場合、搬送車2の現在地に付与されている位置コードの二次流路番号が0であり、搬送車2が次に向かう停止位置の位置コードの二次流路番号が1であるため、前者の値より後者の値の方が大きい。この場合、プロセッサ91が搬送車2に前進の指示を出すことで、搬送車2は次に向かう停止位置の方向に走行することができる。逆に、前者の値より後者の値の方が小さい場合、プロセッサ91が搬送車2に後退の指示を出すことで、同様に搬送車2は次に向かう停止位置の方向に走行することができる。
【0105】
自動搬送システム100Fは、搬送車2の進行方向の変更が指示された場合、隣接する二つの場所に付与されている位置コード又は位置番号の大小を比較することによって搬送車2への前進又は後退の指示を判断する。隣接する二つの場所の一方は、停止位置又は分岐点である。隣接する二つの場所の他方も、停止位置又は分岐点である。
【0106】
搬送車2に前進を行わせることも後退を行わせることもできるのは、停止位置及び分岐点に付与されている位置コード又は位置番号には、流路の終点の方向に向かうにつれて必ず大きな値が設定されるという特徴があり、かつ、搬送車2が標識情報に基づいて進行方向を変更することにより、搬送車2の前面が次に走行する向きに必ず向くようになっているためである。プロセッサ91が搬送車2の前進又は後退の指示を低処理負荷で都度判断することが可能であるため、処理能力が低い制御機器を使用した自動搬送システム100Fを構築することが可能である。
【0107】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略又は変更することも可能である。
【符号の説明】
【0108】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F 誘導路、2 搬送車、3-14,40,41,45,47-49,61,63,68 停止位置、15-18,50 分岐点、19 一次流路、20,21,42 二次流路、22,23 三次流路、24-39,43,44,46,52-60,62,64-67 位置コード、51 四次流路、71,72,74,76 第1の標識情報、73,75 第2の標識情報、91 プロセッサ、92 メモリ、100,100A,100B,100C,100D,100E,100F 自動搬送システム。
図1
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