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特許7679138地震検出の為のコンピューティング・デバイス、コンピュータ・プログラム、及びコンピュータ実装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-09
(45)【発行日】2025-05-19
(54)【発明の名称】地震検出の為のコンピューティング・デバイス、コンピュータ・プログラム、及びコンピュータ実装方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/01 20240101AFI20250512BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20250512BHJP
【FI】
G01V1/01 100
G06Q50/26
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021196739
(22)【出願日】2021-12-03
(65)【公開番号】P2022099267
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2024-06-20
(31)【優先権主張番号】17/131,452
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】カルロ、ジーベンシュー
(72)【発明者】
【氏名】コンラート、エム、アルブレヒト
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス、ヴァルター、シュムーデ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリック、エフ、ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】シユアン、ルー
(72)【発明者】
【氏名】オキ、グナワン
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-096775(JP,A)
【文献】特開平11-006878(JP,A)
【文献】特開2005-037273(JP,A)
【文献】国際公開第2020/095644(WO,A1)
【文献】特開2009-002914(JP,A)
【文献】特表2013-530389(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0061063(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/01
G06Q 50/26
G06T 7/20- 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティング・デバイスであって、
プロセッサと、
前記プロセッサに接続された記憶デバイスと、
地震エンジンと
を備えており、前記プロセッサによる前記地震エンジンの実行が、
複数のカメラの各々から、ネットワークを介して位置の視覚入力を受信すること、
前記複数のカメラからの各視覚入力について、
前記視覚入力を画定する複数の画素の速度ベクトルから前記複数のカメラの速度ベクトルを差し引くことによって、前記視覚入力に対する前記カメラの震動のカップリング補正を実施して、処理された入力を用意すること、及び
前記処理された入力内の識別された震動が所定の閾値を上回るかどうかを前記処理された入力に基づいて判定し、それによって1以上の異常を検出すること、並びに
前記複数のカメラの各々の前記処理された入力内の識別された前記震動に基づいて、地震の位置、マグニチュード又は深さのうちの少なくとも1つを、前記1以上の異常から推測すること
を含む動作を前記コンピューティング・デバイスに実施させるように構成されている、前記コンピューティング・デバイス。
【請求項2】
前記プロセッサによる前記地震エンジンの実行が、前記複数のカメラの各々の前記処理された入力内の識別された前記震動に基づいて、前記地震の震度を判定することを含む動作を前記コンピューティング・デバイスに実施させるようにさらに構成されている、請求項1に記載のコンピューティング・デバイス。
【請求項3】
前記位置、マグニチュード又は深さのうちの前記少なくとも1つの前記推測が、前記視覚入力内の各画素位置に適用される所定の最大画素値の位相遅延と、前記視覚入力の全体における画素位置の最大値の振幅とのうちの少なくとも1つの局所的近似を抽出し及び集約することを含む、請求項2に記載のコンピューティング・デバイス。
【請求項4】
前記震動が、前記処理された入力の1以上の画素毎の変化によって測定される、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンピューティング・デバイス。
【請求項5】
前記プロセッサによる前記地震エンジンの実行が、前記複数のカメラからの少なくとも1つの視覚入力について、
前記視覚入力の少なくとも1つの画像内の前記画素毎の変化の各々の経時的なスペクトル分析を実施すること、及び
前記視覚入力の前記少なくとも1つの画像のスペクトル分解を判定すること
を含む動作を前記コンピューティング・デバイスに実施させるようにさらに構成されている、請求項4に記載のコンピューティング・デバイス。
【請求項6】
前記プロセッサによる前記地震エンジンの実行が、
前記複数のカメラからの前記視覚入力に基づいて地震のパラメータを検出するように、人工知能(AI)モデルを訓練すること、及び
前記訓練されたAIモデルを、離れた位置にある異なる組の複数のカメラからの視覚入力に適用すること
を含む動作を前記コンピューティング・デバイスに実施させるようにさらに構成されている、請求項5に記載のコンピューティング・デバイス。
【請求項7】
前記プロセッサによる前記地震エンジンの実行が、識別された地震の完了後、前記識別された地震の前記マグニチュード、位置、又は深さのうちの少なくとも1つのインジケータを記憶することを含む動作を前記コンピューティング・デバイスに実施させるようにさらに構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のコンピューティング・デバイス。
【請求項8】
前記プロセッサによる前記地震エンジンの実行が、外部地震センサデータを介して前記複数のカメラの較正を改良することを含む動作を前記コンピューティング・デバイスに実施させるようにさらに構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のコンピューティング・デバイス。
【請求項9】
地震を検出する方法を実施するコンピュータ・プログラムであって、
複数のカメラの各々から、ネットワークを介して位置の視覚入力を受信すること、
前記複数のカメラからの各視覚入力について、
前記視覚入力を画定する複数の画素の速度ベクトルから前記複数のカメラの速度ベクトルを差し引くことによって、前記視覚入力に対する前記カメラの震動のカップリング補正を実施して、処理された入力を用意すること、及び
前記処理された入力内の識別された震動が所定の閾値を上回るかどうかを前記処理された入力に基づいて判定し、それによって1以上の異常を検出すること、並びに
前記複数のカメラの各々の前記処理された入力内の識別された前記震動に基づいて、地震の位置、マグニチュード又は深さのうちの少なくとも1つを、前記1以上の異常から推測すること
をコンピューティング・デバイスに実行させる前記コンピュータ・プログラム。
【請求項10】
前記複数のカメラの各々の前記処理された入力内の識別された前記震動に基づいて、前記地震の震度を判定すること
をコンピューティング・デバイスにさらに実行させる、請求項9に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項11】
前記位置、マグニチュード又は深さのうちの前記少なくとも1つの前記推測が、前記視覚入力内の各画素位置に適用される所定の最大画素値の位相遅延、及び前記視覚入力の全体における画素位置の最大値の振幅のうちの少なくとも1つの局所的近似を抽出し及び集約することを含む、請求項10に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項12】
前記震動が、前記処理された入力の1以上の画素毎の変化によって測定され、
前記複数のカメラからの少なくとも1つの視覚入力について、
前記視覚入力の少なくとも1つの画像内の前記画素毎の変化の各々の経時的なスペクトル分析を実施すること、及び
前記視覚入力の前記少なくとも1つの画像のスペクトル分解を判定すること
をコンピューティング・デバイスにさらに実行させる、請求項9に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項13】
前記複数のカメラからの前記視覚入力に基づいて地震のパラメータを検出するように、人工知能(AI)モデルを訓練すること、及び
前記訓練されたAIモデルを、離れた位置にある異なる組の複数のカメラからの視覚入力に適用すること
をコンピューティング・デバイスにさらに実行させる、請求項12に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項14】
識別された地震の完了後、前記識別された地震の前記マグニチュード、位置、又は深さのうちの少なくとも1つのインジケータを記憶すること
をコンピューティング・デバイスにさらに実行させる、請求項9~13のいずれか1項に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項15】
外部地震センサデータを介して前記複数のカメラの較正を改良すること
をコンピューティング・デバイスにさらに実行させる、請求項9~14のいずれか1項に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項16】
コンピュータ実装方法であって、
複数のカメラの各々から、ネットワークを介して位置の視覚入力を受信すること、
前記複数のカメラからの各視覚入力について、
前記視覚入力を画定する複数の画素の速度ベクトルから前記複数のカメラの速度ベクトルを差し引くことによって、前記視覚入力に対する前記カメラの震動のカップリング補正を実施して、処理された入力を用意すること、及び
前記処理された入力内の識別された震動が所定の閾値を上回るかどうかを前記処理された入力に基づいて判定し、それによって1以上の異常を検出すること、並びに
前記複数のカメラの各々の前記処理された入力内の識別された前記震動に基づいて、地震の位置、マグニチュード又は深さのうちの少なくとも1つを、前記1以上の異常から推測すること
を含む、前記コンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記複数のカメラの各々の前記処理された入力内の識別された前記震動に基づいて、前記地震の震度を判定することをさらに含む、請求項16に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記位置、マグニチュード又は深さのうちの前記少なくとも1つの前記推測が、前記視覚入力内の各画素位置に適用される所定の最大画素値の位相遅延と、前記視覚入力の全体における画素位置の最大値の振幅とのうちの少なくとも1つの局所的近似を抽出し及び集約することを含む、請求項17に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記震動が、前記処理された入力の1以上の画素毎の変化によって測定され、前記コンピュータ実装方法が、
前記複数のカメラからの少なくとも1つの視覚入力について、
前記視覚入力の少なくとも1つの画像内の前記画素毎の変化の各々の経時的なスペクトル分析を実施すること、及び
前記視覚入力の前記少なくとも1つの画像のスペクトル分解を判定すること
をさらに含む、請求項16~18のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
外部地震センサデータを介して前記複数のカメラの較正を改良することをさらに含む、請求項16~19のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、地震検出システム及び方法に関し、より特には、地震のマグニチュード及び震度を測定するシステム、コンピュータ・プログラム、及びコンピュータ実装方法に関する。本開示は、分散型視覚入力(distributed visual input)による地震検出及び応答に関する。
【背景技術】
【0002】
地震(以下、EQとも云う)は世界中で発生し、数千人の犠牲者及び数十億の損害をもたらしている(例えば、インドネシア(2004年):22万7000人、87億1000万、又は日本(2011年):1万5000人、3600億)。EQは、位置(震央)、深さ、並びにマグニチュード(リヒター・スケール(Richter scale)による)及び震度(例えば、改正されたメルカリ震度階級(Modified Mercalli scale)による)によって表されるその重大度によって特徴付けられる。マグニチュードは、解放された地震エネルギーであり、及び費用集約的な地震計の稠密な観測ネットワークによって記録される。震度は、知覚された震動から建物の構造的損傷に及ぶ地球の表面上での観察される作用である。マグニチュードはEQ作用に関係しないため、震度が、災害対応について本当の関心のある特性である。震度の尺度は、任意のランキング付けに基づいており、EQの後しばらくしてから送付されるアンケート調査によって評価される。リアルタイムの震度測定は、早期の警報メッセージを可能にし、そして避難及び救助の任務が決定される。地震の正確な予報は、現在の方法及び技術では実際的には不可能であると専門家には考えられている。マグニチュードについては、地震警報システム(EWS:earthquake warning systems)が、タイムリーな検出を提供して、数秒以内に警報を発する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、地震検出の為のコンピューティング・デバイス、コンピュータ・プログラム、及びコンピュータ実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
様々な実施態様に従うと、クラウドと連係する複数のカメラによって地震中に異常な震動を認識する非一過性のコンピュータ可読記憶媒体、コンピュータ実装方法、及びコンピュータ・プログラム製品が提供される。複数のカメラの各々から、位置の視覚入力がネットワークを介して受信される。該複数のカメラからの各視覚入力について、該視覚入力を画定する複数の画素の速度ベクトルから該複数のカメラの速度ベクトルを差し引くことによって、該視覚入力に対する該カメラの震動のカップリング補正(coupling correction)を実施して、処理された入力を用意する。該処理された入力内の識別された震動が所定の閾値を上回るかどうかを該処理された入力に基づいて判定し、それによって1以上の異常を検出する。該複数のカメラの各々の該処理された入力内の識別された震動に基づいて、地震の位置、マグニチュード又は深さのうちの少なくとも1つが、1以上の異常から推測される。
【0005】
一つの実施態様において、地震の震度は、該複数のカメラの各々の該処理された入力内の識別された震動に基づいて判定される。
【0006】
一つの実施態様において、位置、マグニチュード又は深さのうちの少なくとも1つの該推測は、該視覚入力内の各画素位置に適用される所定の最大画素値の位相遅延と、該視覚入力の全体における画素位置の最大値の振幅とのうちの少なくとも1つの局所的近似を抽出し及び集約することを含む。
【0007】
一つの実施態様において、該震動は、該処理された入力の1以上の画素毎の変化によって測定される。
【0008】
一つの実施態様において、該複数のカメラからの少なくとも1つの視覚入力について、該視覚入力の少なくとも1つの画像内の該画素毎の変化の各々の経時的なスペクトル分析が実施される。該視覚入力の該少なくとも1つの画像のスペクトル分解が判定される。
【0009】
一つの実施態様において、該複数のカメラからの該視覚入力に基づいて地震のパラメータを検出するように、人工知能(AI:artificial intelligence)モデルを訓練する。該訓練されたAIモデルは、離れた位置にある異なる組の複数のカメラからの視覚入力に適用される。
【0010】
一つの実施態様において、識別された地震の完了後、該識別された地震の該マグニチュード、位置、又は深さのうちの少なくとも1つのインジケータが、所定のメモリ内に記憶される。
【0011】
一つの実施態様において、該複数のカメラの較正が、外部地震センサデータを介して改良される。
【0012】
本明細書に記載された技術は、複数の方法において実装されうる。例示的な実装が、添付の図面を参照して以下に提供されている。
【0013】
該図面は、例示的な実施態様のものである。該図面は、全ての実施態様を示すものではない。他の実施態様が、追加的に又は代替として使用されうる。スペースの節約又はより効果的な説明の為に、明白な又は不要な詳細が省略されうる。幾つかの実施態様は、追加の構成要素若しくはステップ又はそれらの組み合わせを用いて、若しくは示されている構成要素又はステップの全ての構成要素無しに、又は、追加の構成要素若しくはステップ又はそれらの組み合わせを用い且つ示されている構成要素又はステップの全ての構成要素無しに実施されうる。同じ数値が異なる図面に示されているときは、その数値は同じ又は同様の構成要素又はステップを指す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、例示的な実施態様に一致する、地震波を地表面に向かって放出して構造体の震動を引き起こしている地震の位置を示す図である。
図2図2は、例示的な実施態様に一致する、分散型視覚入力を介する地震検出及び応答システムの為の、簡略化されたプロセス・フロー図である。
図3図3は、例示的な実施態様に一致する、分散型視覚入力を介する地震検出及び応答システムの為の、図2のプロセス・フロー図の詳細なバージョンである。
図4図4は、例示的な実施態様に一致する、地震の前の条件に対するブロック図、並びに分散型視覚入力を介する地震検出及び応答システムのグラフィカルな例示的な特徴図である。
図5図5は、例示的な実施態様に一致する、位置を監視すること、及び地震の間の異常な震動を認識することの概念ブロック図である。
図6図6は、例示的な実施態様に一致する、地震の発生の間の画像内の画素単位の変化の補正の概念ブロック図である。
図7図7は、例示的な実施態様に一致する、地震反転(seismic inversion)を介する、地震のマグニチュード、位置及び深さの推測の概念ブロック図である。
図8図8は、例示的な実施態様に一致する、地震の間の、地震の震度の評価の概念ブロック図である。
図9図9は、例示的な実施態様に一致する、地震の間の、地震の震度の評価を提供する概念ブロック図である。
図10図10は、例示的な実施態様に一致する、外部地震センサデータを介した複数のカメラの較正の改良、及び地震の震度の追加の評価の概念ブロック図である。
図11図11は、地震検出エンジンをホストすることができる特別に構成されたコンピューティング・デバイスを実装する為に使用されることができるコンピュータ・ハードウェア・プラットホームの機能ブロック図である。
図12図12は、例示的な実施態様に一致する、クラウド・コンピューティング環境を図示する。
図13図13は、例示的な実施態様に一致する、抽象化モデル層を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概説
以下の発明の詳細な説明において、関連する教示の完全な理解を提供する為に、多数の具体的な詳細が例として述べられている。しかしながら、そのような詳細無しに、本教示が実施されうることが明らかなはずである。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、若しくは回路又はそれらの組み合わせが、本教示の観点を不必要に曖昧にすることを避ける為に、詳細ではなく相対的に高いレベルで記載されている。
【0016】
地震の前に、監視又は気象観察の為に特定の地域又は位置にわたって配置された複数のインターネット・プロトコル(IP)カメラが、インターネットを介して又は専用のネットワークへオンラインで通信されるビデオ・ストリーム及び座標を提供する。これらのカメラからの映像は、概して、無料で一般的に提供される。本明細書における教示は、そのようなカメラからの情報を収集し、そして1以上の位置での地震活動への有意義な洞察を提供する。
【0017】
一つの観点において、地震の間、捕捉された場面の異常な震動が、複数のインターネット・プロトコル(IP)カメラにわたって認識され、該複数のインターネット・プロトコル(IP)カメラは、クラウド又は専用のネットワークとのインタフェースを介して、位置の分散型視覚入力を用意し、それによって地震検出についてのシステムの少なくとも一部分を画定する。
【0018】
様々な実施態様は、複数のカメラのうちの少なくとも1つに現れる少なくとも1つの画像の画素毎の変化による位置の震動の測定を実施するステップ、又はそのような測定を実行若しくは実装する命令を含む。自然物若しくは人工物又は自然物及び人工物の画素毎の変化のカップリングが、少なくとも1つの画像において、複数のカメラのうちの少なくとも1つの震動によって誘起される画素毎の変化から補正される。地震のマグニチュード、位置又は深さのうちの少なくとも1つが推測されることができる。次に、地震の震度の評価が提供されることができる。
【0019】
一つの実施態様において、スペクトル分解をもたらす為に少なくとも1つの画像における画素毎の変化の経時的なスペクトル分析が実施される。スペクトル分析は、位相遅延、周波数シフト、及び振幅によって、画素毎の変化を、少なくとも1つの画像における場面を表す第1のグループと、複数のカメラのうちの少なくとも1つを表す第2のグループとに経時的に分離されうる。本開示において、観察者がまたカメラに相当することに留意されたい。
【0020】
一つの実施態様において、位相遅延、周波数シフト、及び振幅の局所的近似が抽出されそして集約されて、地震のマグニチュード又は震度のうちの少なくとも1つを推測する。位相遅延、周波数シフト、及び振幅の局所的近似は、1つのグループのカメラ又は複数のカメラの中央に配置されたサーバによって計算される場合に、カメラの位置で生成された地震の局所的な影響であると考えられる。地震の位置及び深さが推測されることができる。
【0021】
EQ(Y)の特性を様々なカメラ(X)の入力から推測することは、X及びYが観察されている間に観察できない機能fを伴う、教師付き回帰の問題である。しかしながら、これらのIPカメラは類似している故に、中央サーバのモデルは再較正される。中央サーバは、モデル(f_estimate)を有し、それ理論上、視覚入力をEQ事象に関係付けるものであり、すなわちf_estimate(X)=Y_estimateである。
【0022】
EQが発生した後(X及びYが利用可能である)、地震観測ネットワーク(seismic network)から生じるYはそのままで、EQ位置等をほぼ完全に推測し(Yに要約される)、モデル誤差(Y_estimate-Y)が評価されることができる。サーバ(例えば、サーバ上で実行されている地震解析エンジン)は、f_estimate_new(X)がYにより厳密に等しくなるように、該モデルをf_estimate_newに再較正することができる。
【0023】
地震の後、地震のマグニチュード、位置、又は深さのうちの少なくとも1つのインジケータ、並びに地震の震度の評価が、好適なメモリ内に記憶されることができる。さらに、システム較正が改良されることができる。例えば、中央サーバは、外部地震センサデータ及び地震の震度の追加の評価を介して、学習済みのEQ推測モデルを改良することができる。加えて、既存のモデルがIPカメラの既存のネットワークからの入力が不足しているようにIPカメラがその地域にまばらに配置されている位置に、より多くのIPカメラが配置されることができる。
【0024】
各EQ(及び幾つかのEQでない「事象」)の後、新しく利用可能なデータに従って、訓練データの記録が付加され、及び既存のAIが再訓練される。このことは、AIのパラメータ値を変化させる(AIを「再較正」する)。しかしながら、該モデル・アーキテクチャ、その入力、及びコードは同じままである。その上、周期的に行うように自動化されることができる。
【0025】
上述されている通り、地震の前に、複数のIPカメラが、監視又は気象観察の為に特定の地域又は位置にわたって配置されている。ビデオ・ストリーム及び座標が、インターネットを介して又は専用のネットワークへオンラインで通信される。本開示の様々な実施態様が、複数のIPカメラからのビデオ・ストリームによって容易にされる。
【0026】
本明細書において論じられる概念によって、地震の発生前に、既に存在する地震計及び震度インジケータが利用される。地震の間、IPカメラによって提供される画像が切り離されることができ、そして、コンピュータ視覚アルゴリズムが生成される。専用の地震知覚ネットワークからの信号が、地震の震度測定のメルカリ震度階級のヒューリスティクスを翻訳及び改善する人工知能(AI)ネットワークによって処理される。
【0027】
AIモデルは、新しい閉回路テレビジョン(CCTV:closed-circuit television)に訓練され又は拡張されて、検出能力を既存のCCTVから新しいCCTVへ伝達することができる。一つの実施態様において、単一のカメラが黒くなると、それが動作不良、取外し等による可能性があり、地震検出に関する十分な情報を提供しない場合がありうる。しかしながら、複数のカメラが黒くなり(例えば、市内)、その位置の周辺の他のカメラがEQ事象に気付いている場合、それはEQが発生したことを示している可能性があり、それは、該市内において停電を引き起こしている(それによって、カメラの多くの電源が切れている)おそれがある。一つの実施態様において、信号損失の場合(時間的及び空間的に密接に相関し、他の機能しているカメラが震動を捕捉した場合)、これはEQを示す。
【0028】
該カメラの該震動は、その視野内のあらゆるオブジェクト(object)と同様に、地震の全体的な周波数からわずかに逸脱することがある。アルゴリズムは、ディープ・ラーニング・システムを介して、異常な震動及び震動のマグニチュードを識別する。一つの実施態様において、複数のカメラ間の三角測量が使用されて、震動の量を識別する。該三角測量は、AIシステムによって暗黙的に学習される。該AIシステムは、1つのシステム内で異なる地理的位置からの入力を関係付けることができる。
【0029】
例えば、AIを介して(例えば、ディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN:deep neural network)によって)埋込みベクトル(embedding vector)にマッピングされた一連のIPカメラ画像を考慮されたい。数百個の浮動小数点数を含みうるこの埋込みベクトルは、ビデオで起こっていることを示す非線形の、低次元のストレージ表現(storage representation)である。これらの埋込みベクトル(及び緯度/経度)は、実際のEQ検出への共同の(後続の)入力として共にマージされる。
【0030】
しかしながら、そのようなAIシステムは「エンドツーエンド」(end-to-end)で学習される故に、埋込み学習及び実際のEQ検出は、1つのAIシステムにおいて一緒にマージされる。それ故に、一つの実施態様において、使用される明示的な三角測量アルゴリズムはない。該システムは、埋込みベクトル並びに緯度及び経度から独自に学習する。該モデルは、その近似位置におけるEQ事象を推測するとき、同じ近傍からのIPカメラ入力を自動的に関係付ける。
【0031】
地震観測ネットワーク(Seismic networks)は、Yと呼ばれるEQ特性(マグニチュード等)のグラウンド・トゥルース(ground truth)を提供する。一例として、地震の間、1分間の継続時間を有するビデオ映像を想定されたい。スペクトル分解を介して、時間t=30秒、ベクトル値Yはその文字列値、マグニチュード、位置から±10秒で位置が推測される。第2のビデオが重ね合わされて、Xティルデ(tilde)(X~)を判定する。Xは内生的モデル入力であり、すなわちビデオ入力Xは元のビデオ入力であることに留意されたい。該X~は、ビデオ画像に沿ってスペクトル分解を計算することによって、導出された入力である。それ故に、これは単に、AIがEQをより正確かつ高速に識別することを可能にする特徴の追加である。従って、本明細書において使用される場合、変数Xは入力全体、生の特徴に導出された特徴を加えたもの、すなわちX:=(X,X~)であると理解される。
【0032】
様々なカメラ(X)の入力からEQ(Y)の特性を推測することは、X及びYが観察されている間に観察できない機能fを伴う、教師付き回帰の問題である。しかしながら、これらのIPカメラは同じであるため、中央サーバ上のモデルは再較正される。該中央サーバは、モデル(f_estimate)を有し、それは理論上、視覚入力をEQ事象に関係付けるものであり、すなわちf_estimate(X)=Y_estimateである。EQが発生した後(X及びYが利用可能である)、地震観測ネットワークから生じるYはそのままで、EQ位置等をほぼ完全に推測し(Yに要約される)、モデル誤差(Y_estimate-Y)を評価することができる。次に、該サーバは、f_estimate_new(X)がYにより密接に等しくなるように該モデルをf_estimate_newに再較正することができる。1つのカメラの画像内の震動は単に、EQの強度(strength)/位置のノイズの多い推定量である可能性がある。
【0033】
地震センサが十分に較正されているが、そのような地震センサは高価であり、まばらに配置され、そして追加の知識(例えば、周辺の地質学的特性に関する)を必要とする。この点に関して、その時点で視野枠の外側の知識が提供されているため、IPカメラは、地震活動のノイズの多い推定量であるだけでなく、非常に局所的な推定量である。加えて、IPカメラは、非常に至る所に存在する。活用されるカメラが多ければ多いほど、分散型視覚入力からEQ特性を推測することを自動的に学習するより多くの入力がAIに利用可能である。
【0034】
本明細書において、スペクトル分解(spectral decomposition)は、入力信号を増大する為にカメラ画像に適用されるスペクトル的に動機付けられた簡単な固定の変換を云う。明示的な物理的公式化は埋め込まれていない。一つの実施態様において、該AIモデルは、地震反転等の物理的操作を実施しない。
【0035】
一つの実施態様において、該AIモデルは、EQ検出を、(例えば、増大された)ビデオ入力(X)及びEQ特性(Y)を伴う、エンドツーエンド回帰(end-to-end regression)の問題として扱う。本明細書において定義されているカップリング補正/異常検出は、AIの明示的に定義された/モジュールの構成要素ではなく、現代のAIの内部の働きを云い、ここで、「X」は内生的モデル入力、すなわちビデオ入力、であり、及び「Y」は外生的出力(グラウンド・トゥルース(ground truth)として与えられる)、すなわち地震の特性(緯度、経度、深さ、マグニチュード、及び震度)である。要するに、一つの実施態様において、Yは5次元のベクトルである。
【0036】
一つの実施態様において、Yは、数分かかる可能性がある地震センサ観察ネットワークによって推定される。EQが始まったとき、該地震センサはまだYを得る為の地震反転の処理中であるので、Yは利用可能でない。しかしながら、該AI地震解析エンジンは、ビデオ入力からの推量、そのY(EQの特性)が何でありうるかを計算し、及び所定の(マグニチュード)閾値が超えたと見なされる場合に警報を提供することができる。
【0037】
一つの実施態様において、該地震解析エンジンは、畳み込みニューラル・ネットワークを介してディープ・ラーニングを適用して震動をフィルタリングして除き、Yが自己較正することを可能にする。該カメラは、1つの特有の震動パターン(shaking pattern)を有する。畳み込みニューラル・ネットワークが例として使用されているが、本明細書の教示はこれに限定されない。
【0038】
EQのグラウンド・トゥルースYが後の時間/日に使用され、EQモデルからのY_estimateと比較されるので、自己較正は単にモデル再訓練ステップを云う。すなわち、該自己較正は、1つの新しい観察、すなわち最後に観察されたEQのX及びY、を有するデータに確率的勾配降下法(SGD:stochastic gradient descent)を適用することを云う。
【0039】
図1は、第1の構造体21及び第2の構造体22が位置している地表面15に向かって地震波SW1...SWnを放出する地震EQの位置10を示す。
【0040】
第2の構造体22には、地表面15から高さHに、IPカメラ20が取り付けられている。地震(EQ)の間、IPカメラ20は両方向矢印A-Aの方向に垂直に振動し、第1の構造体21は両方向矢印A’-A’の方向に垂直に振動し、それによって、IPカメラ20によって捕捉された歪んだ画像を生じる。
【0041】
カップリング補正及び地震解析エンジンの適用の非常に簡略化された図として、IPカメラ20によって送信される該歪んだ画像は、より詳細に後に論じられている通り、地震解析エンジンによって適用されるアルゴリズムを介してカップリング補正に付される。IPカメラ20は、第1の構造体21を含む視野25を有する。地震EQの間、第1の構造体21は、矢印A’-A’の方向の速度ベクトルVSを有し、一方、IPカメラ20は、矢印A-Aの方向の速度ベクトルVCを有する。それ故に、該カップリング補正は、基準平面、例えば位置10での地表面15、が確立される構造体の速度ベクトルVSからカメラの速度ベクトルVCを差し引くことによって適用される。IPカメラ20によって捕捉された画像内の各画素は典型的に、地震EQによって発揮される力の差の故に、その独自の別個の速度ベクトルを有する。角速度並びに水平及び斜めの振動の差がまた、画像及びカップリング補正要件に影響する。そのような問題は、ディープ・ラーニング及び畳み込みニューラル・ネットワーク又はスペクトル分解の追加の適用を有する代替の技術によって、対処されることができる。スペクトル分解は、特に油田掘削の為の当技術分野において知られている地震分析技術である。従って、当業者は本開示に照らして該処理が理解されるので、該プロセスは、図面でそれ以上詳細に本明細書において図示されていない。
【0042】
図2は、本開示の実施態様に従う、分散型視覚入力を介する地震検出及び応答システム100についての簡略化されたプロセス・フロー図である。
【0043】
図3は、例示的な実施態様に一致する、分散型視覚入力を介する地震検出及び応答システムのプロセス・フロー図である。地震の前に、及び本開示の実施態様の設置前に、地震の発生を監視することを意図された位置に、複数のIPカメラ20a...20nが事前に配置される。しかしながら、複数のIPカメラ20a...20nは、地震の発生を監視することを意図された位置の観察に専用の地震解析エンジン/サーバ110(図2を参照)の設置と同時に、又はその設置後に配置されうる。実際に、外部のソフトウェア及びハードウェアの相互接続に対して地震解析エンジン/サーバ110を配置するこのタイミングは、様々な機能、例えば図2及び図3に示されている地震警報システム、災害応答管理、及び地震観測ネットワーク等、に適用される。本明細書において、地震解析エンジン/サーバ110は地震解析エンジン110として言及される。
【0044】
複数のIPカメラ20a...20nは、インターネット、クラウド102、及び追加的に又は代替的に、専用のネットワーク104と通信する。IPカメラ20a...20nは、画像データ40a...40nをインターネット・クラウド102又は専用のネットワーク104へ送信する。インターネット・クラウド102又は専用のネットワーク104は、対応する位置及びビデオ・ストリーム40a’...40n’を地震解析エンジン110へ送信する。様々な実施態様において、地震解析エンジン110は、専用のサーバ若しくはクラウド又はそれらの組み合わせで動作するソフトウェア・パッケージでありうる。地震解析エンジン110は、位置及びビデオ・ストリーム40a’...40n’のカップリング補正44を実施して、対応する位置についての処理済みビデオ・ストリーム42a...42nを生成し、そして、対応する位置についての処理済みビデオ・ストリーム42a...42nを、対応する各カメラ及び位置のビデオ・ストリームについての対応する数値インジケータ又はメトリクス(metrics)44a...44nに変換する。
【0045】
カップリング補正44は、画像認識タスク(例えば、オブジェクトの認識、セグメント化等)についての様々なタイプの画像の乱れ(例えば、震動、視野の変化等)をフィルタリングして除く為の人工知能(AI)アルゴリズム(畳み込みニューラル・ネットワークで最も顕著であるが、これに限定されない)の能力を云う。例えば、分散型視覚入力から地震特性を推測するという教師付き学習の問題において、畳み込みは、モデル訓練プロセスの間に適合して、画像の障害、例えばカメラの震動、に対してほぼ変動しないより低い次元の埋込みベクトルを学習して、そのような障害を事実上フィルタリングして除く。インターネット・プロトコル(IP)カメラは、建物の外側又は内側に(通常は堅固に)取り付けられている故に、これらのカメラの震動の振幅は地震事象の間の時間にわたってかなり一定であるのに対して、様々な重量、頑強さ、頑丈さの画像内の(取り付けられていない)オブジェクトは様々な程度に震動することから、様々なAIアルゴリズムが、画像内のオブジェクトに対する地震の衝撃からカメラそれ自体の震動を自動的に分離することは容易であると考えられる。しかしながら、このカップリング補正は正確でない、すなわち画像内の全てのオブジェクトの動きが完全に追跡可能になるわけではない、ことに留意されるべきである。しかしながら、このシステムは単に幾つかの主要な地震特性を推測する為にN個のカメラ入力を取り入れるので、これは兎に角、このシステムの目的又は機能でない。このタスクについて、(近似)カップリング補正が、分散型視覚入力から地震事象を確実に推測するのに十分である。
【0046】
図1に関して上述されている通り、カップリング補正44は、地震エネルギーのより正確な評価のために、複数のカメラ20、20a...20nと複数のカメラによって撮像された場面との結合を補正するように適用される。カップリング補正44は、視覚入力を定義する画素の速度ベクトルからカメラの速度ベクトルVCを差し引くことによって適用される。畳み込みニューラル・ネットワーキング及びスペクトル分解等の適用は、カップリング補正を実施する為に適用される。スペクトル分解は、所与のビデオ・ストリームに対する画素内の経時的な変化に関するスペクトル分析を伴う。画素のスペクトルの分離は、位相遅延、周波数シフト、及び振幅によって、2つの個々のグループ、すなわち観察者、すなわちカメラによって撮像された場面、と、カメラそれ自体とで実施される。
【0047】
本明細書におけるスペクトル分解への各参照は単に、AIに対する視覚入力を増大する為の入力ビデオ(画像)の1セットの提案された固定の変換を云い、それは引き続き、取り入れられ、従って、本開示において本明細書に適用される画素毎の変化を表す。
【0048】
次に、処理済みビデオ・ストリーム42a...42n及びメトリクス44a...44nが、地震解析エンジン110によって異常検出46に付される。1以上の異常が検出された場合、地震解析エンジン110は、地震検出120及びデータ・ストレージ130の機能を実施し、そして、地震解析エンジン110は、内部で地震発生動作モードに入る。次に、地震検出システム120は、地震解析エンジン110を介して、マグニチュード、位置及び深さについての地震反転122及び震度測定124を実施して、地震EQの重大度と地震EQによって引き起こされた損害の大きさとを評価する。
【0049】
本明細書に記載されている地震検出及び応答システム100は、地震解析エンジン110によって実行される実質的にサブシステムである特徴を有することを認識することが重要である。この理由の為に、一つの例として、地震検出システム120はシステムと呼ばれるが、実際には、全体的な地震検出及び応答システム100に対するサブシステムであると見なされうる。他の機能、例えば地震反転122及び震度測定124等、がまた、地震検出及び応答システム100のサブシステムであると見なされることができる。
【0050】
地震反転122及び震度測定124の分析結果はいずれも、地震早期警報又は応答システム140、応答管理システム150、及び既存の地震観測ネットワーク160へ転送される。ビデオ・ストリーム126及び地震インジケータ値128がまた、データ・ストレージ130から地震早期警報又は応答システム140、応答管理システム150、及び既存の地震観測ネットワーク160へ転送される。
【0051】
地震に続いて、既存の地震観測ネットワーク160は、再較正処理170のために、地震計分析48を地震解析エンジン110へ転送し、地震解析エンジン110は、差し迫っている余震及び将来の地震の発生を補正するために、再較正済みの分析50を地震検出システム120及び異常検出46へ転送する。
【0052】
例示的なアーキテクチャ
図4図10は、例示的な実施態様に一致する、分散型視覚入力を介する地震検出及び応答システム100の地震の前、地震の間、及び地震の後の状態に対する組み合わせ方法ブロック図である。より特には、図4は、本開示の実施態様に従う、分散型視覚入力を介する地震検出及び応答システム100の作動前の、地震の前の状態に対する組み合わせ方法ブロック図である。地震EQの前に、複数のIPカメラ20a...20nが監視又は気象観察の為に特定の地域又は位置Lにわたって配置され、そして、画像データ40a...40nをインターネット・クラウド102又は専用のネットワーク104に送信する。カメラ位置42a...42nのビデオ・ストリーム及び座標が、インターネット102又は専用のネットワーク104を介して、一般的に直接料金なしで、オンラインで通信される。本開示の様々な実施態様は、複数のIPカメラ20a...20nからの位置42a...42nのビデオ・ストリームによって容易になる。様々な既存のカメラの位置は、分散型視覚入力を介する地震検出システム100のありうる範囲(span)に近似する。実用的な目的で、地震EQは、その位置がIPカメラのそのようなネットワーク内(IPカメラ20a...20nのネットワークからそれほど遠くない)で発生したときに推測することができる。地域に配置されているIPカメラが密集していればいるほど、地震事象に関して推測される特性がより確実になる。それとは関係なく、分散入力を介した有用な地震検出を容易にする為に、地域内のカメラの数又はカメラの密度についての閾値は必要とされない。それ故に、事前訓練されたEQ検出システム(地球上の1つの地域から)が使用されて、世界の反対側の単一のIPカメラから地震事象を推測することができるが、地震特性が大まかに推定されるだけであるため、これは理想からは程遠い。
【0053】
その上、固定された空間分解能は必要とされない。IPカメラのシステムは、市、州/地域、国全体、又は世界に及ぶことができる。図4及び図5は、地震検出システム120によって地震事象EQが検出されたIPカメラのサブセットを構成する。図示された画像は、同じ近傍における被災地を表示する(ただし、全てのIPからの入力がEQ検出システム120によって考慮される)。
【0054】
図4と同様の様式で、図5は地震EQの発生を図示し、ここで、地震解析エンジン110は、位置Lの分散型視覚入力を用意する複数のカメラ20a...20nにわたって異常な震動を認識する。ビデオ・ストリーム42a0...42n0は、時間t0における位置Lでの視覚入力を表し、一方、ビデオ・ストリーム42a1...42n1は、時間t1における位置Lでの視覚入力を表す。
【0055】
図6は、例示的な実施態様に一致する、地震の発生中の画像内の画素毎の変化の補正の概念ブロック図である。例えば、地震EQの発生の間、地震解析エンジン110は、複数のカメラ20a...20nのうちの少なくとも1つの震動によって誘起された画素毎の変化から、少なくとも1つの画像42a1...42n1内の自然物若しくは人工物又は自然物と人工物の両方の画素毎の変化のカップリング(番号44)を補正して、画像46a...46nとして異常検出46へ送信されるインジケータ44a...44nをもたらす。
【0056】
ここで図7を参照すると、図7は、例示的な実施態様に一致する、地震反転による地震EQのマグニチュード、位置、及び深さの推測の概念ブロック図である。一つの実施態様において、異常検出46に関して、地震解析エンジン110によって実施されるカップリング補正44は、位相遅延、周波数シフト及び振幅によって、画素毎の変化の経時的なスペクトル分析を、少なくとも1つの画像40a...40n内の場面を表す第1のグループと、複数のカメラ20a...20nのうちの少なくとも1つを表す第2のグループとに分離することをさらに含みうる。
【0057】
経時的なスペクトル分析の分離は、転送学習(transfer learning)、すなわち、学習したAIを含む1組のIPカメラ20a...20nを有した後、学習したAIを新しい1組のIPカメラ(すなわち、世界の完全に異なる地域)に適用することを云う。第1の地域(第1の「グループ」のカメラを有する)からのモデルを、新しい地域(第2の「グループ」のIPカメラを有する)内で使用されることができる。しかしながら、該モデルは再訓練される(すなわち、EQ事象が発生した後)。
【0058】
本明細書において定義されている位相遅延(秒単位)は、最大画素値(事前定義されたビデオ内の各画素位置に適用される)間の時間遅延である。本明細書において定義されている振幅は、入力ビデオの全体にわたる画素位置の最大値である。
【0059】
一つの実施態様において、異常検出46に関して、地震解析エンジン110は、位相遅延、周波数シフト及び振幅の局所的近似を抽出し、そして集約して、少なくとも地震EQのマグニチュード122及び震度124を推測することをさらに含みうる。異常検出46に関してさらに、地震解析エンジン110は、地震EQの位置及び深さ122を推測することをさらに含みうる。異常検出46、厳密には分離補正44、は、モデルによって暗黙的に学習される。地震事象の場合に分散型視覚入力X及びX~が地震特性Yを学習する為に使用されるのと同様に、該モデルは、視覚入力X及びX~によるY(マグニチュード0、深さ0、任意の緯度、経度)の推定によって、地震が存しないことを常に推測する。それ故に、異常検出46は単に、それぞれの特徴の普通でない値の存在を云う。地震センサとは対照的に、地震が存すること/存しないことを推測する為に、IPカメラ20a...20nからの視覚入力がそれらの位置とともにエンドツーエンドで学習されるので、関与する特徴(速度ベクトル等)の物理的導出はない。
【0060】
図9は、例示的な実施態様に一致する、地震の後の地震(EQ)の震度の評価の概念ブロック図である。例えば、地震EQの後、地震解析エンジン110は、地震EQのマグニチュード、位置又は深さのうちの少なくとも1つの主要ビデオ・ストリーム126及び地震インジケータ値128としてのインジケータ122、並びに地震の震度の評価124を記憶する(図2及び図3を参照)。
【0061】
図10は、例示的な実施態様に一致する、外部地震センサデータによる複数のカメラ20a...20nの較正(図2及び図3の再較正処理170及び再較正分析50参照)の改良及び地震の震度の追加の評価の概念ブロック図である。例えば、地震の後、地震解析エンジン110は、AIモデル・アーキテクチャ及び視覚入力を固定の状態で維持する。しかしながら、次に、地震解析エンジン110は、再訓練ステップ、すなわち再較正処理170、によって、AIモデル・パラメータが再評価されることをもたらす。ここで、次に、視覚入力及び地震事象特性の以前の履歴記録に、新しい1対の視覚入力及び地震特性が付加される。このAIモデル再訓練ステップは、周期的に行われることができ、及び固定された周期(例えば、毎日、毎週、毎月)で自動的にトリガーされることができる。地震検出システム120は、様々なタイプの分散型視覚入力について、地震と地震以外の事象とを区別することができるように、該履歴記録は、地震事象だけでなく地震以外の事象(マグニチュード値0、震度値0、及び任意の緯度/経度を有する)も含む。
【0062】
例示的なコンピュータ・プラットホーム
上記で論じられている通り、図1図10に示されている通り、地震の間に、クラウド又は専用のネットワークとインタフェースすることを介して位置の分散型視覚入力を用意する複数のインターネット・プロトコル(IP)カメラにわたって異常な震動を認識することに関係する機能は、無線通信又は有線通信を介してデータ通信の為に接続された1以上のコンピューティング・デバイスを使用することによって実施されることができる。図11は、ネットワーク化された様々な構成要素、例えばネットワーク化されたIPカメラ、クラウド等、と通信することができるコンピュータ・ハードウェア・プラットホームの機能ブロック図である。特に、図11は、サーバ、例えば図2の地震解析エンジン110、を実装する為に使用されうるネットワーク又はホスト・コンピュータ・プラットホーム1100を図示する。
【0063】
コンピュータ・プラットホーム1100は、中央演算処理装置(CPU:central processing unit)1104、ハード・ディスク・ドライブ(HDD:hard disk drive)1106、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)若しくは読取り専用メモリ(ROM:read only memory)1108、又はそれらの組み合わせ、キーボード1110、マウス1112、ディスプレイ1114、及び通信インタフェース1116を備えていることができ、それらはシステム・バス1102に接続されている。
【0064】
一つの実施態様において、HDD1106は、本明細書に記載されている様式において、様々なプロセスを実行することができるプログラム、例えば地震解析エンジン1140、を記憶することを有する能力を有する。地震解析エンジン1140は、異なる機能を実施するように構成された様々なモジュールを有しうる。例えば、カップリング補正モジュール1142が設けられ得、カップリング補正モジュール1142は、カメラによって表示される画像についての視覚入力を画定する複数の画素の速度ベクトルから、カメラの速度ベクトルを差し引くように適用される。該カップリング補正は、カップリング補正モジュール1142によって実行される畳み込みニューラル・ネットワーキング及びスペクトル分解によって実施されることができる。
【0065】
ビデオ処理及びインジケータ・モジュール1144が設けられ得、ビデオ処理及びインジケータ・モジュール1144は、該カップリング補正に付されたビデオ・ストリームを処理し、そして該カップリング補正されたビデオ・ストリームを、ビデオ・ストリーム内の個々の各画像の位置及び時間に発生した動きのインジケータに変換する。
【0066】
異常検出モジュール1146が設けられ得、異常検出モジュール1146は、処理済みビデオ・ストリーム及びインジケータを分析して、カメラによって撮像された1以上の構造体の異常な動きの発生を判定する。次に、そのような異常な動きは、モジュール1146によって異常として識別される。
【0067】
地震検出モジュール1148が設けられ得、地震検出モジュール1148は、異常検出モジュールから受信した1以上の異常を処理し、そして、地震反転及び震度評価を実施する。
【0068】
地震反転及び震度評価モジュール1150が設けられ得、地震反転及び震度評価モジュール1150は、地震のマグニチュード、位置及び深さを計算し、そして、震度評価を実施する。次に、この情報は、地震早期警報システムへ及び災害応答管理の為に伝達される。
【0069】
データ・ストレージ・モジュール1152が設けられ得、データ・ストレージ・モジュール1152は、異常検出モジュール1146によって識別された異常及び異常検出モジュール1146から受信された異常を記憶する。
【0070】
主要ビデオ・ストリーム及び地震インジケータ値モジュール1154が設けられ得、主要ビデオ・ストリーム及び地震インジケータ値モジュール1154は、より高い優先順位のビデオ・ストリーム及び地震インジケータ値をデータ・ストレージ・モジュール1152から受信し、次に、それらのビデオ・ストリーム及びインジケータ値を地震早期警報システムへ及び災害応答管理の為に送信する。
【0071】
既存の地震観測ネットワークモジュール1156が設けられ得、既存の地震観測ネットワークモジュール1156は、地震反転及び震度評価モジュール1150からのデータ並びに地震の後の再較正の為にデータを転送しうる主要ビデオ・ストリーム及び地震インジケータ値モジュール1154からのデータを受信する。
【0072】
再較正モジュール1158が設けられ得、再較正モジュール1158は、地震反転及び震度評価モジュール1150からのデータ並びに主要ビデオ・ストリーム及び地震インジケータ値モジュール1154からのデータを再較正し、次に、差し迫っている余震及び将来の地震の精度を改善する為に、これらの結果を異常検出モジュール1146に及び地震検出モジュール1148に転送する。
【0073】
例示的なクラウド・プラットホーム
上記で論じられている通り、分散型視覚入力を介する地震検出及び応答に関係する機能は、クラウド102又はネットワーク104を備えうる(図2を参照)。本開示はクラウド・コンピューティングに関する詳細な説明を含むが、本明細書に記載されている教示の実装は、クラウド・コンピューティング環境に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、本開示の実施態様は、現在知られている又は後に開発される任意の他のタイプのコンピューティング環境に関連して実装されることができる。
【0074】
クラウド・コンピューティングは、最小限の管理労力又はサービスのプロバイダとの相互作用で迅速にプロビジョニングされ且つ解放されることができる構成可能なコンピューティングリソース(例えば、ネットワーク、ネットワーク帯域幅、サーバ、処理(processing)、メモリ、ストレージ、アプリケーション、仮想マシン、及びサービス)の共有プールへの便利なオンデマンドネットワークアクセスを可能にする為のサービス提供のモデルである。このクラウドモデルは、少なくとも5つの特徴、少なくとも3つのサービスモデル、及び少なくとも4つのデプロイメント(deployment)モデルを含みうる。
【0075】
特徴は下記の通りである。
【0076】
オンデマンドセルフサービス:クラウドコンシューマ(cloud consumer)は、サービスのプロバイダとのヒューマンインターラクション(human interaction)を必要とせずに、必要に応じて、コンピューティング機能、例えばサーバ時間及びネットワークストレージ、を一方的にプロビジョニングすることができる。
【0077】
ブロードネットワークアクセス:機能は、ネットワークを介して利用可能であり、及び異種のシン(thin)クライアント・プラットフォーム又はシック(thick)クライアント・プラットフォーム(例えば、携帯電話、ラップトップ、及びPDA)による使用を促進する標準的なメカニズムを介してアクセスされる。
【0078】
リソースのプーリング:プロバイダのコンピューティングリソースは、マルチテナントモデルを使用して複数のコンシューマにサービスを提供するためにプールされ、及び様々な物理リソースと仮想リソースが需要に従って動的に割り当てられ及び再割り当てされる。コンシューマは一般的に、提供されたリソースの正確な場所についての制御又は知識を有していないが、より高いレベルの抽象化での場所(例えば、国、州又はデータセンター)を特定できうるという点で、場所に依存しないといえる。
【0079】
迅速な順応性:機能は、迅速かつ弾力的にプロビジョニングされ、場合によっては自動的に、迅速にスケールアウトされ、迅速にリリースされて迅速にスケールインされうる。コンシューマにとって、プロビジョニングに利用可能な機能はしばしば、無制限であり及びいつでも任意の量で購入されることができる。
【0080】
測定されたサービス:クラウド・システムは、サービスのタイプ(例えば、ストレージ、処理、帯域幅、及びアクティブなユーザアカウント)に適した何らかの抽象化レベルでの計量機能を用いることによって、リソースの使用を自動的に制御し及び最適化する。リソース使用は監視され、制御され、及び報告され、利用されるサービスのプロバイダ及びコンシューマの両方についての透明性を提供することができる。
【0081】
サービスモデルは下記の通りである。
【0082】
サービスとしてのソフトウェア(SaaS:Software as a Service):クラウド・インフラストラクチャにおいて実行しているプロバイダのアプリケーションを使用する為に、コンシューマに提供される機能である。該アプリケーションは、シン・クライアント・インターフェース、例えばウェブブラウザ(例えば、ウェブ・ベースの電子メール)、を通じて、様々なクライアントデバイスからアクセス可能である。該コンシューマは、制限されたユーザ固有のアプリケーション構成設定のありうる例外として、基礎をなすクラウド・インフラストラクチャ、例えばネットワーク、サーバ、オペレーティングシステム、ストレージ、又は個々のアプリケーション機能さえも包含する基礎をなすクラウド・インフラストラクチャ、を管理又は制御しない。
【0083】
サービスとしてのプラットフォーム(PaaS Platform as a Service):プロバイダによってサポートされるプログラミング言語及びツールを用いて生成された、コンシューマが生成した又は取得したアプリケーションを、クラウド・インフラストラクチャ上に配備する為に、該コンシューマに提供される機能である。該コンシューマは、基礎をなすクラウド・インフラストラクチャ、例えばネットワーク、サーバ、オペレーティングシステム、又はストレージを包含する基礎をなすクラウド・インフラストラクチャ、を管理又は制御しないが、展開されたアプリケーション、及び場合によってはアプリケーション・ホスティング環境構成に対して制御を有する。
【0084】
サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS:Infrastructure as a Service):コンシューマが、オペレーティングシステム及びアプリケーションを含むことができる任意のソフトウェアを展開及び実行することができる、処理、ストレージ、ネットワーク、及び他の基本的なコンピューティングリソースをプロビジョニンングする為に、該コンシューマに提供される機能である。該コンシューマは、基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理又は制御しないが、オペレーティングシステム、ストレージ、展開されたアプリケーションに対する制御、及び場合によっては、ネットワーク・コンポーネント(例えば、ホストのファイアウォール)の選択することの制限された制御を有する。
【0085】
デプロイメントモデル(Deployment Models)は下記の通りである。
【0086】
プライベート・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、ある組織の為のみに運営される。該クラウド・インフラストラクチャは、該組織又は第三者によって管理され得、及びオンプレミス(on-premises)又はオフプレミス(off-premises)に存在しうる。
【0087】
コミュニティ・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、幾つかの組織によって共有され、及び共通の関心事項(例えば、ミッション、セキュリティ要件、ポリシー、及びコンプライアンス考慮事項)を有する特定のコミュニティをサポートする。該クラウド・インフラストラクチャは、該組織又は第三者によって管理され得、及びオンプレミス又はオフプレミスに存在しうる。
【0088】
パブリック・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、一般公衆又は大規模な業界グループに対して利用可能であり、及びクラウドサービスを販売する組織によって所有される。
【0089】
ハイブリッド・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、固有のエンティティのままであるが、データ及びアプリケーションの移行性を可能にする標準化された又は専用の技術(例えば、クラウド間の負荷分散のためのクラウド・バースティング)によって一緒にされる2以上のクラウド(プライベート、コミュニティ、又はパブリック)の混成物である。
【0090】
クラウド・コンピューティング環境は、無国籍性(statelessness)、低結合性、モジュール性、及びセマンティック相互運用性(semantic interoperability)に焦点を有する指向されたサービスである。クラウド・コンピューティングの中核(heart)は、相互接続されたノードのネットワークを含むインフラストラクチャである。
【0091】
ここで図12を参照すると、説明的なクラウド・コンピューティング環境1200が図示されている。示されている通り、クラウド・コンピューティング環境1200は、1以上のクラウド・コンピューティング・ノード1210を備えており、クラウド・ユーザによって使用されるローカル・コンピューティング・デバイス、例えばパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)若しくはセルラー電話1254A、デスクトップ・コンピュータ1254B、ラップトップ・コンピュータ1254C、若しくは自動車コンピュータ・システム1254N又はそれらの組み合わせ等、が、そのようなクラウド・コンピューティング・ノード1210と通信しうる。複数のノード1210は、互いに通信することができる。ノード1210は、1以上のネットワーク、例えば、本明細書に上述されているプライベート、コミュニティ、パブリック若しくはハイブリッド・クラウド又はこれらの組み合わせ、に、物理的に又は仮想的にグループ化されうる(図示されていない)。このことは、クラウド・コンピューティング環境1250が、インフラストラクチャ、プラットフォーム若しくはソフトウェア又はそれらの組み合わせをサービスとして提供することを許し、そのためにクラウドコンシューマがローカル・コンピューティング・デバイス上でリソースを維持する必要はない。図12に示されているこれらのタイプのコンピューティング・デバイス1254A~Nは、例示のみであることが意図されていること、及びコンピューティング・ノード1210及びクラウド・コンピューティング環境1250は、任意のタイプのネットワーク若しくはネットワークアドレス可能接続(例えば、ウェブ・ブラウザを使用)又はそれらの組み合わせを介して、任意のタイプのコンピュータ化されたデバイスと通信することができることが理解される。
【0092】
ここで図13を参照すると、クラウド・コンピューティング環境1250(図12)によって提供される1組の機能抽象化層が示されている。図13に示されている構成要素、層、及び機能は例示のみが意図されており、本開示の実施態様はそれに限定されないことが事前に理解されるべきである。図示されている通り、下記の層及び対応する機能が提供される。
【0093】
ハードウェア及びソフトウェア層1360は、ハードウェア及びソフトウェア構成要素を備えている。ハードウェア構成要素の例は、メインフレーム1361、RISC(縮小命令セットコンピュータ)アーキテクチャに基づくサーバ1362、サーバ1363、ブレード・サーバ1364、ストレージ・デバイス1365、並びにネットワーク及びネットワーキング構成要素1366を包含する。幾つかの実施態様において、ソフトウェア構成要素は、ネットワーク・アプリケーション・サーバ・ソフトウェア1367及びデータベース・ソフトウェア1368を包含する。
【0094】
仮想化層1370は抽象化層を提供し、この抽象化層から、仮想実体の下記の例が提供されうる:仮想サーバ1371、仮想ストレージ1372、仮想ネットワーク1373、例えば仮想プライベート・ネットワークを包含する仮想ネットワーク1373、仮想アプリケーション及びオペレーティングシステム1374、並びに仮想クライアント1375。
【0095】
一つの例において、管理層1380は、下記に記載されている機能を提供しうる。リソース提供1381は、クラウド・コンピューティング環境内でタスクを実施する為に利用されるコンピューティングリソース及び他のリソースの動的な調達を提供する。計量及び価格設定1382は、リソースがクラウド・コンピューティング環境内で利用されるときの費用追跡、及びこれらのリソースの消費についての請求書又はインボイスの作成を提供する。一つの例において、これらのリソースは、アプリケーション・ソフトウェア・ライセンスを含むことができる。セキュリティは、クラウド・ユーザ及びタスクに関する本人確認、並びにデータ及び他のリソースの保護を提供する。ユーザ・ポータル1383は、コンシューマ及びシステム管理者にクラウド・コンピューティング環境へのアクセスを提供する。サービス・レベル管理1384は、必要とされるサービス・レベルが満たされるように、クラウド・コンピューティング・リソースの割り当て及び管理を提供する。サービス・レベル合意(SLA:Service Level Agreement)の計画及び履行1385は、SLAに従って将来の要件が予想されるクラウド・コンピューティング・リソースの事前配置及び調達を提供する。
【0096】
ワークロード層1390は、クラウド・コンピューティング環境が利用されうる機能の例を提供する。この層から提供することができるワークロード及び機能の例は、本明細書において論じられている通り、マッピング及びナビゲーション1391、ソフトウェア開発及びライフサイクル管理1392、仮想化クラスルーム教育送信(virtual classroom education delivery)1393、データ解析処理1394、トランザクション処理1395、並びに地震解析エンジン1396が包含される。
【0097】
結論
本発明の様々な実施態様の記述は、例示の目的の為に示されているが、網羅的であることを意図されるものでなく、開示された実施態様に限定されることを意図されるものでもない。同様に、本明細書に記載された本開示の実施態様の特徴又は機能の例は、特定の実施態様説明において使用されるか又は例として記載されるかにかかわらず、本明細書に記載された本開示の実施態様を限定すること、又は本明細書に記載された例に開示を限定することを意図するものでない。記述された実施態様の範囲及び精神から逸脱すること無しに、多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。本明細書において使用されている語は、実施態様の原理、市場で見られている技術に対する実際の適用若しくは技術的改善を説明する為に、又は当業者が本明細書において開示された実施態様を理解できることを可能にする為に選択された。
【0098】
上記では、最良の形態若しくは他の例又はそれらの組み合わせであると考えられる内容について説明したが、これには様々な変更が行われ得、本明細書に開示する主題は様々な形態及び例で実装され得、これらの教示は多数の応用例で適用する得、その一部のみが本明細書に記載されていることが理解されるであろう。教示の本当の範囲内に入る任意の及び全ての応用例、変更形態及び変形形態を請求することが添付の特許請求の範囲によって意図されている。
【0099】
本明細書において論じられている構成要素、ステップ、特徴、目的、利益、及び利点は、単なる例示である。これら又はこれらに関する議論はいずれも、保護範囲を限定することが意図されたものでない。様々な利点が本明細書において記載されているが、必ずしも全ての実施態様が全ての利点を有するとは限らないことが理解されるであろう。別途記載されていない限り、特許請求の範囲を含めて、本明細書において述べる全ての測定、値、等級、位置、大きさ、サイズ、及び他の仕様は近似であり、厳密なものでない。これらは、これらが関係する機能及び当技術分野での通例に一貫している合理的な範囲を有することが意図されたものである。
【0100】
多数の他の実施態様がまた企図されている。これらは、より少数、追加、若しくは別個、又はそれらの組み合わせの構成要素、ステップ、特徴、目的、利益、及び利点を有する実施態様を包含する。これらはまた、構成要素若しくはステップ又はそれらの組み合わせが異なる配置若しくは順序又はそれらの組み合わせになっている実施態様を包含する。
【0101】
本開示の態様は、本開示の実施態様に従う方法、装置(システム)、及びコンピュータ・プログラム製品のコール・フロー図若しくはブロック図又はそれらの組み合わせに関連して本明細書に記載されている。流れ図若しくはブロック図又はそれらの組み合わせの各ステップ、及びコール・フロー図若しくはブロック図又はそれらの組み合わせにおけるブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装されることができることが理解されるであろう。
【0102】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、該コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令がコール・フロー・プロセス若しくはブロック図又はそれらの組み合わせの1以上のブロックにおいて特定された機能/動作を実装するための手段を生成するように、コンピュータのプロセッサ又は他のプログラム可能なデータ処理装置に提供されて、マシンを作り出しうる。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、記憶された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、該フローチャート図若しくはブロック図又はそれらの組み合わせの1以上のブロックにおいて特定される機能/動作の観点を実装する命令を含む製造品を含むように、コンピュータ・プログラム可能なデータ処理装置若しくは他のデバイス又はこれらの組み合わせに特定の様式で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体中に記憶されうる。
【0103】
該コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ上、他のプログラム可能なデータ処理装置上又は他のデバイス上で実行される命令が、該フローチャート若しくはブロック図若しくはそれらの組み合わせの1以上のブロックにおいて特定される機能/動作を実装するように、上記のコンピュータ上、他のプログラム可能なデータ処理装置上又は他のデバイス上にロードされて、コンピュータ、他のプログラム可能な装置又は他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させて、コンピュータに実装されたプロセスを生成しうる。
【0104】
該図における流れ図及びブロック図は、本開示の様々な実施態様に従う、システム、方法及びコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能及び動作を図示する。これに関して、コール・フロー・プロセス又はブロック図の各ブロックは、命令のモジュール、セグメント又は部分を表し得、これらの命令は、特定の1以上の論理機能を実装する為の1以上の実行可能な命令を含む。幾つかの代替の実装において、これらのブロックに記載された機能は、該図に示されている順序以外で行いうる。例えば、関与する機能に応じて、連続して示されている2つのブロックを実際には実質的に同時に実行され得、又はこれらのブロックを場合により逆の順序で実行されうる。ブロック図若しくはコール・フロー図又はそれらの組み合わせの各ブロック及びブロック図若しくはコール・フロー図又はそれらの組み合わせにおけるブロックの組み合わせは、特定の機能若しくは動作又は特別の目的のハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実施する特別の目的のハードウェアに基づくシステムによって実装されることができることにまた留意されるであろう。
【0105】
上記について例示的な実施態様に関連して説明されているが、語「例示的」は、最良又は最適ではなく、単に一つの例であることを意味することが理解される。上記された場合を除いて、記載された又は図示された内容はいずれも、特許請求の範囲に記載されているか否かにかかわらず、いかなる構成要素、ステップ、特徴、目的、利益、利点、又は均等物の一般への供与が意図されたものではなく、又はそのように解釈されるべきでない。
【0106】
本明細書において使用される語及び表現は、特有の意味が本明細書に別途記載されている場合を除いて、対応するそれぞれの探求及び研究領域に関してそのような語及び表現に与えられる一般的な意味を有することが理解されるであろう。第1及び第2等の関係を示す語は、実体又は動作を互いに区別するためだけに使用することができ、必ずしもそのような実体又は動作間の実際のそのような関係又は順序を必要としたり示唆したりするものでない。「備えている、包含する(comprises)」、「備えている、包含する(comprising)」という語、又はこれらのあらゆる他の変形体は、非排他的な包含を含むことを意図したものであり、従って要素の一覧を含むプロセス、方法、物品、又は装置は、それらの要素を有するだけでなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置に明白に列挙されていない又は固有でない他の要素も含みうる。一つ(「a」又は「an」)に続く要素は、さらなる制約を受けずに、その要素を含むプロセス、方法、物品、又は装置における追加の同一の要素の存在を除外するものでない。
【0107】
本開示の要約書は、技術的開示の性質を読み手が迅速に確認することを可能にする為に提供されている。それは、特許請求の範囲又は意味を解釈又は限定する為に使用されるものでないことを理解した上で提出される。加えて、上記の発明を実施するための形態において、本開示を簡略化する目的で、様々な特徴が様々な実施態様でともにグループ化されていることが分かる。この開示方法は、特許請求されている実施態様が各請求項に明白に記載されたものよりも多くの特徴を有するという意図を反映すると解釈されるべきでない。むしろ、別途の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、開示された単一の実施態様の全ての特徴にあるわけではない。従って、別途の特許請求の範囲は、本明細書によって発明を実施する為の形態に組み込まれており、各請求項は、別個に特許請求される主題としてそれ独自に存在する。
【符号の説明】
【0108】
10 位置
15 地表面
20 IPカメラ
20a...20n IPカメラ
21 第1の構造体
22 第2の構造体
25 視野
40a...40n 画像データ
40a’...40n’ 位置及びビデオ・ストリーム
42a...42n 処理済みビデオ・ストリーム
42a0...42n0 ビデオ・ストリーム
42a1...42n1 ビデオ・ストリーム
44 カップリング補正
44a...44n 数値インジケータ又はメトリクス
46 異常検出
46a...46n 画像
48 地震計分析
50 再較正済みの分析
100 地震検出及び応答システム
102 インターネット・クラウド
104 専用のネットワーク
110 地震解析エンジン/サーバ
120 地震検出システム
122 地震反転
124 震度測定
126 ビデオ・ストリーム
128 地震インジケータ値
130 データ・ストレージ
140 地震早期警報又は応答システム
150 応答管理システム
160 既存の地震観測ネットワーク
170 再較正処理
1100 ネットワーク又はホスト・コンピュータ・プラットホーム
1102 システム・バス
1104 中央演算処理装置(CPU)
1106 ハード・ディスク・ドライブ(HDD)
1108 ランダム・アクセス・メモリ(RAM)又は読み取り専用メモリ(ROM)
1110 キーボード
1112 マウス
1114 ディスプレイ
1116 通信インタフェース
1140 地震解析エンジン
1142 カップリング補正モジュール
1144 ビデオ処理及びインジケータ・モジュール
1146 異常検出モジュール
1148 地震検出モジュール
1150 地震反転及び震度評価モジュール
1152 データ・ストレージ・モジュール
1154 主要ビデオ・ストリーム及び地震インジケータ値モジュール
1156 既存の地震観測ネットワークモジュール
1158 再較正モジュール
1200 クラウド・コンピューティング環境
1210 クラウド・コンピューティング・ノード
1250 クラウド・コンピューティング環境
1254A パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)又はセルラー電話
1254B デスクトップ・コンピュータ
1254C ラップトップ・コンピュータ
1254N 自動車コンピュータ・システム
1360 ハードウェア及びソフトウェア層
1361 メインフレーム
1362 RISC(縮小命令セットコンピュータ)アーキテクチャに基づくサーバ
1363 サーバ
1364 ブレード・サーバ
1365 ストレージ・デバイス
1366 ネットワーク及びネットワーキング構成要素
1367 ネットワーク・アプリケーション・サーバ・ソフトウェア
1368 データベース・ソフトウェア
1370 仮想化層
1371 仮想サーバ
1372 仮想ストレージ
1373 仮想ネットワーク
1374 仮想アプリケーション及びオペレーティングシステム
1375 仮想クライアント
1380 管理層
1381 リソース提供
1382 計量及び価格設定
1383 ユーザ・ポータル
1384 サービス・レベル管理
1385 サービス・レベル合意(SLA)の計画及び実現
1390 ワークロード層
1391 マッピング及びナビゲーション
1392 ソフトウェア開発及びライフサイクル管理
1393 仮想化教室教育送達
1394 データ分析処理
1395 トランザクション処理
1396 地震解析エンジン
EQ 地震
H 高さ
L 位置
SW1...SWn 地震波
t0 時間
t1 時間
VC IPカメラ20の速度ベクトル
VS 第1の構造体21の速度ベクトル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13