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特許7679243外科用ステープル留め器具によってある圧力までクランプおよびステープル留めするためのシステムおよび方法
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  • 特許-外科用ステープル留め器具によってある圧力までクランプおよびステープル留めするためのシステムおよび方法 図1
  • 特許-外科用ステープル留め器具によってある圧力までクランプおよびステープル留めするためのシステムおよび方法 図2A
  • 特許-外科用ステープル留め器具によってある圧力までクランプおよびステープル留めするためのシステムおよび方法 図2B
  • 特許-外科用ステープル留め器具によってある圧力までクランプおよびステープル留めするためのシステムおよび方法 図3
  • 特許-外科用ステープル留め器具によってある圧力までクランプおよびステープル留めするためのシステムおよび方法 図4
  • 特許-外科用ステープル留め器具によってある圧力までクランプおよびステープル留めするためのシステムおよび方法 図5
  • 特許-外科用ステープル留め器具によってある圧力までクランプおよびステープル留めするためのシステムおよび方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-09
(45)【発行日】2025-05-19
(54)【発明の名称】外科用ステープル留め器具によってある圧力までクランプおよびステープル留めするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20250512BHJP
【FI】
A61B17/115
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021111271
(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公開番号】P2022019591
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2024-06-05
(31)【優先権主張番号】63/052,571
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/323,118
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ アール. コーラル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ジェイ. ハート
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド イー. バレンタイン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイリー イー. ストラスナー
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0200998(US,A1)
【文献】特開2006-334417(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0220150(US,A1)
【文献】特表2019-513048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/115
A61B 17/068-17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織をある圧力までクランプおよびステープル留めするための外科用ステープル留め器具を制御するためのコンピュータ実装方法であって、
前記外科用ステープル留め器具が、リロードアセンブリの環状ステープルカートリッジの中に複数のステープルが存在するかどうかを判定することと、
前記複数のステープルが存在するという判定に応答して、前記外科用ステープル留め器具が、アンビルアセンブリを前記環状ステープルカートリッジに対して第1の位置に前進させることにより、所定の組織ギャップ許容範囲内にある前記環状ステープルカートリッジと前記アンビルアセンブリとの間の第1の組織ギャップを画定することと、
前記外科用ステープル留め器具が、前記アンビルアセンブリが前記第1の位置にある状態で、前記第1の組織ギャップ内にクランプされた前記組織の第1の組織圧縮力を測定することと、
前記第1の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、前記外科用ステープル留め器具が、前記外科用ステープル留め器具の発射モードに入ること
を含コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記コンピュータ実装方法は、前記外科用ステープル留め器具が、前記アンビルアセンブリを前記第1の位置から第2の位置に前進させることにより、前記組織ギャップ許容範囲内にある第2の組織ギャップを画定することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記コンピュータ実装方法は、前記外科用ステープル留め器具が、前記アンビルアセンブリが前記第2の位置にある状態で、前記第2の組織ギャップ内にクランプされた前記組織の第2の組織圧縮力を測定することをさらに含む、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記コンピュータ実装方法は、前記第2の組織圧縮力が前記所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、前記外科用ステープル留め器具が、前記外科用ステープル留め器具の前記発射モードに入ることをさらに含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記コンピュータ実装方法は、前記第2の組織圧縮力が前記所定の組織圧縮許容範囲内にない場合に、前記外科用ステープル留め器具が、ディスプレイ上に警告を表示することをさらに含む、請求項4に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記コンピュータ実装方法は、前記組織ギャップが前記所定の組織ギャップ許容範囲内にある状態で、前記測定された第2の組織圧縮力が前記所定の組織圧縮許容範囲内にない場合に、前記外科用ステープル留め器具が、ステープル発射を防止することをさらに含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記所定の組織ギャップ許容範囲は、最大組織ギャップおよび最小組織ギャップを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記コンピュータ実装方法は、前記測定された第1の組織圧縮力が前記所定の組織圧縮許容範囲内にない場合に、前記外科用ステープル留め器具が、前記アンビルアセンブリを前記環状ステープルカートリッジに対して前記最小組織ギャップまで前進させることをさらに含む、請求項7に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記コンピュータ実装方法は、前記外科用ステープル留め器具が、前記組織を前記外科用ステープル留め器具で所定のステープル留め圧力範囲内の目標ステープル留め圧力までステープル留めすることをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記外科用ステープル留め器具が、前記組織を前記目標ステープル留め圧力までステープル留めすることは、
前記外科用ステープル留め器具が、前記外科用ステープル留め器具のリロードアセンブリの中に複数のステープルが存在するかどうかを判定することと、
前記外科用ステープル留め器具が、目標ステープル留め力に到達しているかまたは、前記外科用ステープル留め器具のステープルプッシャーを第1のステープル位置に前進させることが達成されたのうちの少なくとも1つを判定することと、
前記外科用ステープル留め器具が、前記目標ステープル留め圧力に基づいて前記複数のステープルを形成すること
を含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記コンピュータ実装方法は、前記外科用ステープル留め器具のリロードアセンブリの連続的な非線形バックラッシュ損失に基づいて、前記外科用ステープル留め器具のステープル留めストロークを補償することをさらに含み、
前記ステープルストロークを補償することは、第1のステープル位置または第2のステープル位置を調整することのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
外科用ステープル留め器具であって、前記外科用ステープル留め器具は、
アンビルヘッド前記アンビルヘッドから近位に延在するアンビルセンターロッドを含むアンビルアセンブリと、
複数のステープルを含む環状ステープルカートリッジを含むリロードアセンブリと、
プロセッサと、
命令が記憶されているメモリ
を備え、
前記命令は、実行されると
前記環状ステープルカートリッジの中に複数のステープルが存在するかどうかを判定することと、
前記複数のステープルが存在するという判定に応答して、前記アンビルアセンブリを前記環状ステープルカートリッジに対して第1の位置に前進させることにより、所定の組織ギャップ許容範囲内にあ前記環状ステープルカートリッジと前記アンビルアセンブリとの間の第1の組織ギャップを画定することと、
前記アンビルアセンブリが前記第1の位置にある状態で、前記第1の組織ギャップ内にクランプされ組織の第1の組織圧縮力を測定することと、
前記第1の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、前記外科用ステープル留め器具の発射モードに入ること
前記外科用ステープル留め器具に行わせる、外科用ステープル留め器具。
【請求項13】
前記命令が、実行されると前記アンビルアセンブリを前記第1の位置から第2の位置に前進させることにより、前記組織ギャップ許容範囲内にある第2の組織ギャップを画定すること前記外科用ステープル留め器具にさらに行わせる、請求項12に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項14】
前記命令が、実行されると前記アンビルアセンブリが前記第2の位置にある状態で、前記第2の組織ギャップ内にクランプされた前記組織の第2の組織圧縮力を測定することを前記外科用ステープル留め器具にさらに行わせる、請求項13に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項15】
前記命令が、実行されると前記第2の組織圧縮力が前記所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、前記外科用ステープル留め器具の前記発射モードに入ることを前記外科用ステープル留め器具にさらに行わせる、請求項14に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項16】
前記命令が、実行されると前記第2の組織圧縮力が前記所定の組織圧縮許容範囲内にないときに、ディスプレイ上に警告を表示することを前記外科用ステープル留め器具にさらに行わせる、請求項15に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項17】
前記測定された第2の組織圧縮力が前記所定の組織圧縮許容範囲内になく、前記アンビルアセンブリが前記第2の組織ギャップを超えて前進した場合に、前記命令が、実行されるとステープル発射を防止することを前記外科用ステープル留め器具にさらに行わせる、請求項14に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項18】
前記所定の組織ギャップ許容範囲は、最大組織ギャップおよび最小組織ギャップを含む、請求項12に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項19】
前記測定された第1の組織圧縮力が前記所定の組織圧縮許容範囲内にない場合に、前記命令が、実行されると前記アンビルアセンブリを前記環状ステープルカートリッジに対して前記最小組織ギャップまで前進させることを前記外科用ステープル留め器具にさらに行わせる、請求項18に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項20】
命令を記憶した非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されると組織をある圧力までクランプおよびステープル留めするための外科用ステープル留め器具を制御するための方法を実行することを前記プロセッサに行わせ、
前記方法は、
リロードアセンブリの環状ステープルカートリッジの中に複数のステープルが存在するかどうかを判定することと、
前記複数のステープルが存在するという判定に応答して、アンビルアセンブリを前記環状ステープルカートリッジに対して第1の位置に前進させることにより、所定の組織ギャップ許容範囲内にある前記環状ステープルカートリッジと前記アンビルアセンブリとの間の第1の組織ギャップを画定することと、
前記アンビルアセンブリが前記第1の位置にある状態で、前記第1の組織ギャップ内にクランプされた前記組織の第1の組織圧縮力を測定することと、
前記第1の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、前記外科用ステープル留め器具の発射モードに入ることと
を含む非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月16日に出願された米国仮特許出願第63/052,571号の利益および優先権を主張し、その内容全体が、参照により、本明細書によって組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、外科用ステープル留め器具、より具体的には、組織のクランプ圧力に基づいて外科用ステープル留め器具を制御するための方法、および方法を実行するための外科用ステープル留め器具に関する。
【背景技術】
【0003】
吻合は、別々の中空臓器部分を外科的に接合することである。通常、吻合処置は、臓器の罹患または欠陥のある部分が除去され、臓器の残りの端部部分が外科用ステープル留め器具を介して接合される手術に続く。所望の吻合処置に応じて、残りの端部部分は、例えば、円形または側部から側部への臓器再建法によって接合されてもよい。
【0004】
円形吻合処置では、臓器の残りの端部部分が、残りの端部部分を介してステープルの円形アレイを駆動し、同時に臓器内の管状通路を解放するように駆動されたステープルの円形アレイの任意の組織内部をくり抜く外科用ステープル留め器具によって接合される。通常、これらの外科用ステープル留め器具は、ステープルを発射して端部部分を一緒に接合する前に、残りの端部部分を一緒にクランプするために開位置とクランプ位置との間で互いに対して移動可能であるアンビルおよびステープルカートリッジを含む。クランプ位置では、アンビルおよびステープルカートリッジは、所定の組織ギャップを画定する位置に移動する。クランプされる残りの端部部分の厚さに応じて、残りの端部部分に加えられる圧力は大きく異なる。過小圧縮されている組織をステープル留めすると、外科用ステープル留め器具によって形成されたステープルラインを介した血液漏出につながって、感染の可能性が高くなる場合があり、過剰圧縮されている組織をステープル留めすると、血液の供給が断たれて組織の壊死を引き起こす場合がある。
【0005】
組織内にステープルラインを形成する前に、組織の厚さに関係なく、組織に所定のクランプ圧力を加えることができるステープル留め器具の継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、組織をある圧力までクランプおよびステープル留めするための外科用ステープル留め器具を制御するコンピュータ実装方法は、所定の組織ギャップ許容範囲内にあるステープルカートリッジとアンビルアセンブリとの間の第1の組織ギャップを画定するために、アンビルアセンブリをステープルカートリッジに対して第1の位置に前進させることと、アンビルアセンブリが第1の位置にある状態で、第1の組織ギャップ内にクランプされた組織の第1の組織圧縮力を測定することと、第1の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、外科用ステープル留め器具の発射モードに入ることと、を含む。
【0007】
一態様では、方法は、アンビルアセンブリが第2の位置にある第2の組織ギャップ内にクランプされた組織の第2の組織圧縮力を測定することをさらに含んでもよい。
【0008】
別の態様では、方法は、第2の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、外科用ステープル留め器具の発射モードに入ることをさらに含んでもよい。
【0009】
さらに別の態様では、方法は、第2の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にないときに、ディスプレイ上に警告を表示することをさらに含んでもよい。
【0010】
一態様では、方法は、測定された第2の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内になく、組織ギャップが所定の許容可能組織ギャップ範囲内にあるときに、ステープル発射を防止することをさらに含んでもよい。
【0011】
別の態様では、所定の組織ギャップ許容範囲は、最大組織ギャップおよび最小組織ギャップを含んでもよい。
【0012】
さらに別の態様では、方法は、測定された第1の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にない場合に、アンビルアセンブリをステープルカートリッジに対して最小組織ギャップまで前進させることをさらに含んでもよい。
【0013】
さらに別の態様では、方法は、組織を外科用ステープル留め器具で所定のステープル留め圧力範囲内の目標ステープル留め圧力までステープル留めすることをさらに含んでもよい。
【0014】
さらに別の態様では、組織を目標ステープル留め圧力までステープル留めすることは、複数のステープルが外科用ステープル留め器具のリロードアセンブリに存在するかどうかを判定することと、目標ステープル留め力に到達しているかどうか、または、外科用ステープル留め器具のステープルプッシャーを第1のステープル位置に前進させることが達成されたかどうか、のうちの少なくとも1つを判定することと、目標ステープル留め圧力に基づいて複数のステープルを形成することと、を含んでもよい。
【0015】
さらに別の態様では、方法は、外科用ステープル留め器具のリロードアセンブリの連続的な非線形バックラッシュ損失に基づいて、外科用ステープル留め器具のステープル留めストロークを補償することをさらに含んでもよい。ステープルストロークを補償することは、第1のステープル位置および/または第2のステープル位置を調整することを含んでもよい。
【0016】
本開示によれば、外科用ステープル留め器具は、アンビルヘッドおよびアンビルヘッドから近位に延在するアンビルセンターロッドを含むアンビルアセンブリ、複数のステープルを含む環状ステープルカートリッジを含むリロードアセンブリ、プロセッサ、ならびにメモリを含む。メモリは、その上に記憶された命令であって、実行されると、外科用ステープル留め器具に、所定の組織ギャップ許容範囲内の第1の組織ギャップを画定するために、アンビルアセンブリをステープルカートリッジに対して第1の位置に前進させることと、アンビルアセンブリが第1の位置にある状態で、第1の組織ギャップ内にクランプされた組織の第1の組織圧縮力を測定することと、第1の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、外科用ステープル留め器具の発射モードに入ることと、を行わせる、命令を含む。
【0017】
一態様では、命令が、実行されると、外科用ステープル留め器具に、組織ギャップ許容範囲内にある第2の組織ギャップを画定するために、アンビルアセンブリを第1の位置から第2の位置に前進させることをさらに行わせてもよい。
【0018】
別の態様では、命令が、実行されると、外科用ステープル留め器具に、アンビルアセンブリが第2の位置にある状態で、第2の組織ギャップ内にクランプされた組織の第2の組織圧縮力を測定することをさらに行わせてもよい。
【0019】
さらに別の態様では、命令が、実行されると、外科用ステープル留め器具に、第2の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、外科用ステープル留め器具の発射モードに入ることをさらに行わせてもよい。
【0020】
さらに別の態様では、命令が、実行されると、外科用ステープル留め器具に、第2の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にないときに、ディスプレイ上に警告を表示することをさらに行わせてもよい。
【0021】
さらに別の態様では、測定された第2の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内になく、アンビルアセンブリが第2の組織ギャップを超えて前進した場合に、命令が、実行されると、外科用ステープル留め器具に、ステープル発射を防止することをさらに行わせてもよい。
【0022】
さらに別の態様では、所定の組織ギャップ許容範囲は、最大組織ギャップおよび最小組織ギャップを含んでもよい。
【0023】
さらに別の態様では、測定された第1の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にない場合に、命令が、実行されると、外科用ステープル留め器具に、アンビルアセンブリをステープルカートリッジに対して最小組織ギャップまで前進させることをさらに行わせてもよい。
【0024】
本開示によれば、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、組織をある圧力までクランプおよびステープル留めするための外科用ステープル留め器具を制御する方法を実行させる、命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法が、所定の組織ギャップ許容範囲内の第1の組織ギャップを画定するために、アンビルアセンブリをステープルカートリッジに対して第1の位置に前進させることと、アンビルアセンブリが第1の位置にある状態で、第1の組織ギャップ内にクランプされた組織の第1の組織圧縮力を測定することと、第1の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、外科用ステープル留め器具の発射モードに入ることと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
組織をある圧力までクランプおよびステープル留めするための外科用ステープル留め器具を制御するためのコンピュータ実装方法であって、
所定の組織ギャップ許容範囲内にあるステープルカートリッジとアンビルアセンブリとの間の第1の組織ギャップを画定するために、上記アンビルアセンブリを上記ステープルカートリッジに対して第1の位置に前進させることと、
上記アンビルアセンブリが上記第1の位置にある状態で、上記第1の組織ギャップ内にクランプされた上記組織の第1の組織圧縮力を測定することと、
上記第1の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、上記外科用ステープル留め器具の発射モードに入ることと、を含む、コンピュータ実装方法。
(項目2)
上記組織ギャップ許容範囲内にある第2の組織ギャップを画定するために、上記アンビルアセンブリを上記第1の位置から第2の位置に前進させることをさらに含む、上記項目に記載のコンピュータ実装方法。
(項目3)
上記アンビルアセンブリが上記第2の位置にある状態で、上記第2の組織ギャップ内にクランプされた上記組織の第2の組織圧縮力を測定することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目4)
上記第2の組織圧縮力が上記所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、上記外科用ステープル留め器具の上記発射モードに入ることをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目5)
上記第2の組織圧縮力が上記所定の組織圧縮許容範囲内にないときに、ディスプレイ上に警告を表示することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目6)
上記測定された第2の組織圧縮力が上記所定の組織圧縮許容範囲内になく、上記組織ギャップが上記所定の組織ギャップ許容範囲内にあるときに、ステープル発射を防止することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目7)
上記所定の組織ギャップ許容範囲が、最大組織ギャップおよび最小組織ギャップを含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目8)
上記測定された第1の組織圧縮力が上記所定の組織圧縮許容範囲内にない場合に、上記アンビルアセンブリを上記ステープルカートリッジに対して上記最小組織ギャップまで前進させることをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目9)
上記組織を上記外科用ステープル留め器具で所定のステープル留め圧力範囲内の目標ステープル留め圧力までステープル留めすることをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目10)
上記組織を上記目標ステープル留め圧力までステープル留めすることが、
複数のステープルが上記外科用ステープル留め器具のリロードアセンブリに存在するかどうかを判定することと、
目標ステープル留め力に到達しているかどうか、または、上記外科用ステープル留め器具のステープルプッシャーを第1のステープル位置に前進させることが達成されたかどうか、のうちの少なくとも1つを判定することと、
上記目標ステープル留め圧力に基づいて上記複数のステープルを形成することと、を含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目11)
上記外科用ステープル留め器具のリロードアセンブリの連続的な非線形バックラッシュ損失に基づいて、上記外科用ステープル留め器具のステープル留めストロークを補償することをさらに含み、
上記ステープルストロークを補償することが、第1のステープル位置または第2のステープル位置を調整することのうちの少なくとも1つを含む、上記項目のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
(項目12)
外科用ステープル留め器具であって、
アンビルヘッドおよび上記アンビルヘッドから近位に延在するアンビルセンターロッドを含むアンビルアセンブリと、
複数のステープルを含む環状ステープルカートリッジを含むリロードアセンブリと、
プロセッサと、
メモリであって、その上に記憶された命令を含み、実行されると、上記外科用ステープル留め器具に、
所定の組織ギャップ許容範囲内にある、上記ステープルカートリッジと上記アンビルアセンブリとの間の第1の組織ギャップを画定するために、上記アンビルアセンブリを上記ステープルカートリッジに対して第1の位置に前進させることと、
上記アンビルアセンブリが上記第1の位置にある状態で、上記第1の組織ギャップ内にクランプされた上記組織の第1の組織圧縮力を測定することと、
上記第1の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、上記外科用ステープル留め器具の発射モードに入ることと、を行わせる、メモリと、を備える、外科用ステープル留め器具。
(項目13)
上記命令が、実行されると、上記外科用ステープル留め器具に、上記組織ギャップ許容範囲内にある第2の組織ギャップを画定するために、上記アンビルアセンブリを上記第1の位置から第2の位置に前進させることをさらに行わせる、上記項目に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目14)
上記命令が、実行されると、上記外科用ステープル留め器具に、上記アンビルアセンブリが上記第2の位置にある状態で、上記第2の組織ギャップ内にクランプされた上記組織の第2の組織圧縮力を測定することをさらに行わせる、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目15)
上記命令が、実行されると、上記外科用ステープル留め器具に、上記第2の組織圧縮力が上記所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、上記外科用ステープル留め器具の上記発射モードに入ることをさらに行わせる、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目16)
上記命令が、実行されると、上記外科用ステープル留め器具に、上記第2の組織圧縮力が上記所定の組織圧縮許容範囲内にないときに、ディスプレイ上に警告を表示することをさらに行わせる、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目17)
上記測定された第2の組織圧縮力が上記所定の組織圧縮許容範囲内になく、上記アンビルアセンブリが上記第2の組織ギャップを超えて前進した場合に、上記命令が、実行されると、上記外科用ステープル留め器具に、ステープル発射を防止することをさらに行わせる、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目18)
上記所定の組織ギャップ許容範囲が、最大組織ギャップおよび最小組織ギャップを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目19)
上記測定された第1の組織圧縮力が上記所定の組織圧縮許容範囲内にない場合に、上記命令が、実行されると、上記外科用ステープル留め器具に、上記アンビルアセンブリを上記ステープルカートリッジに対して上記最小組織ギャップまで前進させることをさらに行わせる、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留め器具。
(項目20)
プロセッサによって実行されると、上記プロセッサに、組織をある圧力までクランプおよびステープル留めするための外科用ステープル留め器具を制御するための方法を実行させる、命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、
所定の組織ギャップ許容範囲内にあるステープルカートリッジとアンビルアセンブリとの間の第1の組織ギャップを画定するために、上記アンビルアセンブリを上記ステープルカートリッジに対して第1の位置に前進させることと、
上記アンビルアセンブリが上記第1の位置にある状態で、上記第1の組織ギャップ内にクランプされた上記組織の第1の組織圧縮力を測定することと、
上記第1の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、上記外科用ステープル留め器具の発射モードに入ることと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
(摘要)
外科用ステープル留め器具は、アンビルアセンブリ、リロードアセンブリ、アダプタアセンブリ、プロセッサ、およびメモリを含む。目標圧力までクランプするときに、命令は、外科用ステープル留め器具に、所定の組織ギャップ許容範囲内の第1の組織ギャップを画定するために、アンビルアセンブリをリロードアセンブリ上で支持されたステープルカートリッジに対して第1の位置に前進させることと、アンビルアセンブリが第1の位置にある状態で、第1の組織ギャップ内にクランプされた組織の第1の組織圧縮力を測定することと、第1の組織圧縮力が所定の組織圧縮許容範囲内にある場合に、外科用ステープル留め器具の発射モードに入ることと、を行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
ある圧力までクランプおよびステープル留めするための外科用ステープル留め器具を制御するためのシステムおよび方法が、図面を参照して本明細書に開示される。
【0026】
図1】本開示による、外科用ステープル留め器具の斜視図である。
図2A】開位置およびクランプ位置にある、図1の外科用ステープル留め器具を示す図である。
図2B】開位置およびクランプ位置にある、図1の外科用ステープル留め器具を示す図である。
図3】本開示によって提供され、図1の外科システムと共に使用するように構成された、コントローラのブロック図である。
図4図1の外科システムのハードストップからのクランプ位置を示す図である。
図5】本開示による、ある圧力までクランプするための外科用ステープル留め器具を制御するための方法のフローチャートである。
図6図1の外科システムのステープル留め力対ステープル位置を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、開示された外科用デバイスについて、図面を参照して詳細に説明し、図面では、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を示す。しかしながら、本開示の態様は、本開示の単なる例示に過ぎず、様々な形態で具現化され得ることを理解されたい。周知の機能または構成は、不必要な詳細で本開示を曖昧にすることを避けるために、詳細には記載されない。ゆえに、本明細書で開示される特定の構造的および機能的な詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に特許請求の範囲の基礎として、かつ本開示を実質的に任意の適切な詳細構造に様々に用いることを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。加えて、前方、後方、上方、下方、上部、底部、遠位、近位、および同様の用語などの方向を示す用語は、説明の理解を助けるために使用され、本開示を限定することを意図しない。
【0028】
本開示は、ステープル留め器具のアンビルアセンブリとカートリッジアセンブリとの間にクランプされる組織に加えられるクランプ圧力に部分的に基づいて、組織のステープル留めを制御する外科用ステープル留め器具を対象とする。本開示の態様では、外科用ステープル留め器具は、アンビルおよびカートリッジアセンブリの接近が、所定の組織ギャップ範囲内にあるように制御する。所定の組織ギャップ範囲は、ステープルのサイズに基づいて選択され、アンビルおよびカートリッジアセンブリが互いに十分に近接していて、適切なステープル形成を達成することができることを保証する。所定の組織ギャップ範囲は、(組織ギャップが所定の組織ギャップ範囲内で最大である)最大組織ギャップおよび(組織ギャップが所定の組織ギャップ範囲内で最小である)最小組織ギャップを含む。組織の壊死につながり得る所定の組織ギャップ範囲内の組織の過剰圧縮、またはステープル留め器具によって形成されたステープルラインを介した血液漏出につながり得る所定の組織ギャップ範囲内の組織の過小圧縮を防止するために、外科用ステープル留め器具は、アンビルおよびカートリッジアセンブリが所定の組織ギャップ範囲を介して接近するときに、組織へのクランプ圧力を測定し、組織が所定の圧縮範囲に圧縮されたときにのみステープル留めが発生することを保証する。開示された外科用ステープル留め器具および使用方法は、外科用ステープル留め器具が組織の厚さ、タイプ、および疾患に適応することを可能にし、より一貫したステープル形成を可能にする。いくつかの異なるステープラーサイズが使用される代わりに、開示された外科用ステープル留め器具および動作方法は、医療提供者の在庫管理単位(SKU)を減らす普遍的なステープラーを可能にする。ある圧力までクランプおよびステープル留めすることは、外科手術中に手術効率を高め、時間を節約する。図1は、概して外科用ステープル留め器具10として示される外科用ステープル留め器具を示す。外科用ステープル留め器具10は、円形ステープル留め器具であり、ハンドルアセンブリ20と、ハンドルアセンブリ20から遠位に延在するアダプタアセンブリ100と、アダプタアセンブリ100の遠位部分上で支持されているリロードアセンブリ16と、アダプタアセンブリ100に動作可能に結合されているアンビルアセンブリ50と、ハンドルアセンブリ20内に支持されたコントローラ300(図3)と、を含む。リロードアセンブリ16は、複数のステープル(図示せず)を含む環状ステープルカートリッジ48を支持する。アンビルアセンブリ50は、ステープル形成面29を含むアンビルヘッド28を含む(図2A)。
【0029】
ハンドルアセンブリ20は、電動アセンブリとして示され、固定グリップ22と、リロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48からのステープル(図示せず)の発射を制御するための作動ボタン24と、開位置とクランプ位置との間のリロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48に向かう、およびステープルカートリッジ48から離れるアンビルアセンブリ50の軸方向変位を制御するための接近ボタン26a、26bと、を含む。例示的な電動ハンドルアセンブリの構造および機能の詳細な説明については、米国特許出願公開第2020/0015820号および第2019/0343517号を参照することができる。本開示は電動アセンブリを図示しているが、本開示の利点は、以下で詳細に説明するように、ロボットで作動する外科用器具および/または手動で操作されるステープラー(例えば、手動での接近が実行されているときに、許容可能なクランプ圧力に到達したことを示す圧力センサを含む)に適用可能であると想定されている。
【0030】
図2Aおよび2Bは、開位置およびクランプ位置にある外科用ステープル留め器具10を示している。開位置(図2A)では、アンビルアセンブリ50は、アンビルアセンブリ50のアンビルヘッド28のステープル形成面29とリロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48との間の組織の配置を容易にするために、リロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48から離間されている。クランプ位置では、アンビルアセンブリ50は、ステープルカートリッジ48と並置された整列に移動し、アンビルアセンブリ50のアンビルヘッド28のステープル形成面29とリロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48との間の組織ギャップ「G」を画定する。手動および電動の両方の現在のステープル留め器具では、ステープル留め器具は、組織ギャップ「G」が所定の範囲内にない限り、ステープル留め器具の発射を防止するためのロックアウトを含む。この所定の範囲は、形成されるステープルのサイズに部分的に基づいて判定され、アンビルアセンブリ50のアンビルヘッド28が、ステープルを適切に形成するためにステープルカートリッジ48に十分に近接していることを保証する。所定の組織ギャップ範囲は、ギャップG最大に許容可能な最大値および許容可能な最小組織ギャップG最小によって画定される。
【0031】
ハンドルアセンブリ20は、コントローラ300(図3)と通信し、かつアンビルアセンブリ50とステープルカートリッジ48との間に組織がクランプされたことに起因する外科用ステープル留め器具10のモータ(図示せず)への負荷を判定するように構成されるひずみゲージ360(図3)などの電気アセンブリを含んでもよい。この判定は、アンビルアセンブリ50とステープルカートリッジ48との間にクランプされている組織への圧縮力を判定するために使用することができる。
【0032】
図1を引き続き参照すると、アダプタアセンブリ100は、ハンドルアセンブリ20に取り外し可能に結合されているインターフェース部分232と、インターフェース部分232から遠位に延在する管状シャフト234と、アダプタアセンブリ100内で移動可能に支持されているドライブカップリングアセンブリ(図示せず)と、アンビルアセンブリ50のアンビルシャフト52に結合されている駆動シャフト(図示せず)と、を含む。ドライブカップリングアセンブリ(図示せず)は、ハンドルアセンブリ20と係合して、それによって駆動され、ドライブシャフトの軸方向変位を制御して、アンビルアセンブリ50をステープルカートリッジ48に対して開位置とクランプ位置との間で移動させる。
【0033】
リロードアセンブリ16は、アダプタアセンブリ100の遠位部分上で支持され、ステープルカートリッジ48を支持するシェルハウジング46を含む。本開示の態様では、ステープルカートリッジ48は、ステープル受容ポケット48aの環状列を画定する(図1)。本開示のいくつかの態様では、リロードアセンブリ16は、アダプタアセンブリ100の遠位部分に解放可能に結合されて、各使用後の環状ステープルカートリッジ48の交換を容易にする。
【0034】
ステープルカートリッジ48のステープル受容ポケット48aの各々は、ハンドルアセンブリ20の作動ボタン24の作動を介してステープルカートリッジ48から発射することができるステープル(図示せず)を支持する。リロードアセンブリ16のシェルハウジング46は、環状空洞60を画定する。環状空洞60は、ステープルカートリッジ48に対して移動可能であるステープルプッシャー(図示せず)および環状ナイフ(図示せず)を支持して、ステープルカートリッジ48からステープルを排出し、ステープルカートリッジ48によって画定された環内に位置決めされた組織を切り裂く、または切断する。ステープル(図示せず)がステープルカートリッジ48から発射されると、ステープルは、アンビルアセンブリ50のアンビルヘッド28のステープル形成面29のステープル形成ポケット内に駆動され、その中で形成される。
【0035】
図3は、本開示による、コンピュータ可読ストレージ媒体またはメモリ330に接続されているプロセッサ320を含むコントローラ300を示している。コンピュータ可読ストレージ媒体またはメモリ330は、揮発性タイプのメモリ、例えば、RAM、または不揮発性タイプのメモリ、例えば、フラッシュ媒体、ディスク媒体などであってもよい。本開示の様々な態様において、プロセッサ320は、限定しないが、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、ASIC、グラフィックス処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または中央処理ユニット(CPU)などの別のタイプのプロセッサであってもよい。本開示の特定の態様では、プロセッサとは対照的に、メミスターとして、化学的に、または他の推論計算として実装される重みを有する、ネットワーク推論もまたシステム内で達成されてもよい。
【0036】
本開示の態様では、メモリ330は、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、磁気ディスクメモリ、固体メモリ、光学的ディスクメモリ、および/または別のタイプのメモリであり得る。本開示のいくつかの態様では、メモリ330は、コントローラ300とは別個とすることができ、回路基板の通信バスを通して、かつ/またはシリアルATAケーブルもしくは他のタイプのケーブルのなどの通信ケーブルを通して、プロセッサ320と通信することができる。メモリ330は、コントローラ300を動作させるためにプロセッサ320によって実行可能である、コンピュータ可読命令を含む。本開示の他の態様では、コントローラ300は、他のコンピュータまたはサーバと通信するためのネットワークインターフェース340を含んでもよい。データを記憶するために、ストレージデバイス310が使用されてもよい。
【0037】
本開示の態様では、ひずみゲージ(図示せず)はプロセッサに結合され、開示された方法は、コントローラ300上で、または、例えば、モバイルデバイス、IoTデバイス、もしくはサーバシステム上を含め、ユーザデバイス上で実行される。
【0038】
図4は、外科用ステープル留め器具のハードステップからのクランプ位置を示す図を含む。ハードストップは、ドライブアセンブリ上のナットがネジフランジの底にある機械的なエンドストップである。これは、トルクのしきい値に達するまで、それぞれの機能を近位に移動させることによって実現される。
【0039】
ステープル留め器具では、ハンドルアセンブリは、駆動部材を所定のストロークを介して前進させて、アンビルアセンブリ50を開位置からクランプ位置に移動させて、ステープルカートリッジ48とアンビルアセンブリ50との間の所定の組織ギャップを画定するようにプログラムされる。本開示によれば、駆動部材は、ハンドルアセンブリ20によって制御されて、アンビルアセンブリ50をクランプ位置に向かって移動させて、アンビルアセンブリ50とステープルカートリッジ48との間にクランプされた組織を所定の圧縮範囲内に圧縮する。しかしながら、組織ギャップ「G」(図2B)もまた、適切なステープル形成が達成され得るように、所定の範囲内になければならない。本開示のシステムおよび方法は、調整可能かつ構成可能なパラメータに基づいて目標最小力でクランプすることを可能にしながら、事前定義された範囲内の目標クランプ圧力でステープル留めを実施する。
【0040】
上記のように、所定の組織ギャップ許容範囲内、すなわち、G最大が所定の許容可能ギャップ範囲内の最大組織ギャップであり、G最小が所定の許容可能ギャップ範囲内の最小組織ギャップである場合のG最大とG最小の間に組織ギャップ「G」を画定するために、アンビルアセンブリ50がステープルカートリッジ48に向かって移動するまで、ステープルがステープルカートリッジ48からアンビルアセンブリ50内に発射されないことが重要である。上に要約した理由により、組織の効果的なステープル留めおよび接合を提供するために、ステープル留めされる組織が過剰圧縮されたり、または過小圧縮されたりしないことも重要である。適切な程度に、すなわち所定の圧縮範囲内に圧縮されている組織をステープル留めすることは、ステープル留め器具が組織の厚さに応じてステープルクリンプの量を調整して、組織の過剰圧縮および過小圧縮を最小限に抑えることを可能にする。
【0041】
図5は、組織を事前定義された範囲内の圧力までクランプするための外科用ステープル留め器具を制御するためのコンピュータ実装方法500のフロー図を示す。開示された外科用ステープル留め器具10を使用して端から端までの吻合を形成する方法は、2つのクランプ段階を含む。第1のクランプ段階の間、アンビルアセンブリ50(図1)は、ステープルカートリッジ48に対して、開位置から、アンビルアセンブリ50とステープルカートリッジ48との間に画定された組織ギャップが適切なステープル形成を容易にするための所定の許容可能なギャップ範囲内にあるクランプ位置に移動する。より具体的には、第1のクランプ段階において、アンビルアセンブリ50は、G最大の組織ギャップを画定するために、リロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48に対して接近する(ステップ502)。本開示の態様では、G最大は、約0.037インチから約0.024インチであってもよい。しかしながら、G最大の値は、ステープルカートリッジ48内のステープルのサイズに応じて変化する。
【0042】
アンビルアセンブリ50が、G最大の組織ギャップを画定するために、ステープルカートリッジ48に対して移動すると、ステープルカートリッジ48とアンビルアセンブリ50との間にクランプされた組織に対する組織圧縮力が測定される(ステップ504)。上記のように、アンビルアセンブリ50とシェルアセンブリのステープルカートリッジ48との間にクランプされた組織のクランプ圧力は、コントローラ300と通信するひずみゲージ360を使用して測定することができる。あるいは、他の圧力測定デバイスを使用して、アンビルアセンブリ50とステープルカートリッジ48との間にクランプされた組織のクランプ圧力を測定してもよい。組織に対する圧縮力が所定の圧縮許容範囲内にある場合に、外科用ステープル留め器具10は、発射モードに入り、外科医が外科用ステープル留め器具10を選択的に発射して組織をステープル留めできるようにする(ステップ506)。所定の圧縮許容範囲は、治療される組織のタイプに応じて異なる。
【0043】
最小圧縮力がG最大位置の組織上に見出されない場合に、アンビルアセンブリ50はG最小位置に向かって移動する(ステップ508)。アンビルアセンブリ50がステープルカートリッジ48に向かってG最小位置に向かって移動すると、組織に対する圧縮力が継続的に測定される。アンビルアセンブリ50がG最小位置に到達する前に組織に対する圧縮力が所定の圧縮範囲に入る場合に、外科用ステープル留め器具10は発射モードに入り、外科医が外科用ステープル留め器具10を選択的に発射して組織をステープル留めできるようにする(ステップ506)。アンビルアセンブリ50がG最小位置に到達し、組織に対する圧縮力が所定の圧縮許容範囲内にない場合に、外科用ステープル留め器具10は発射モードに入らない。したがって、外科用ステープル留め器具10は、組織が所定の圧縮範囲内の圧力または力までクランプされず、アンビルアセンブリ50とステープルカートリッジ48との間に画定された組織ギャップ「G」(図2B)は、所定の組織ギャップ範囲内、すなわち、G最大からG最小にない限り、発射モードに入ることを防止される。本開示のいくつかの態様では、コントローラは、例えば、外科医が外科用ステープル留め器具10を組織上に再位置決めすることができるように、外科用ステープル留め器具のハンドルアセンブリ上のディスプレイに警告を提供して、組織に対する圧縮力が所定の圧縮範囲内にないことを外科医に警告してもよい。
【0044】
本開示は、電動外科用ステープル留め器具を対象とするが、本開示の原理は、手動によるステープル留め器具に適用可能であると想定される。例えば、ステープル留め器具が所定の許容可能な組織ギャップ範囲を通って移動すると、ステープル留め器具のアンビルアセンブリとステープルカートリッジとの間にクランプされた組織に対するクランプ圧力を測定することができる。このようなデバイスでは、ライトなどのインジケータを器具に提供することができる。組織のクランプ圧力が、所定のギャップ許容範囲内で器具を用いて所定の圧縮許容範囲に入るときに、インジケータを作動させて、器具は発射する準備ができていることを外科医に通知することができる。
【0045】
本開示の態様は、円形ステープル留め器具に関連付けられて図示されているが、線形ステープル留めデバイス、血管シーリングデバイス、および組織部分を一緒に接合するための他のデバイスを含む他のタイプのステープル留め器具に等しく適用可能であることが想定される。
【0046】
当業者は、方法500の1つ以上の動作が、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる順序で実行され、繰り返され、かつ/または省略されてもよいことを認識するであろう。様々な態様では、図示される方法500は、コントローラ300(図3)において、リモートデバイスにおいて、または別のサーバもしくはシステムにおいて動作させることができる。他の変形例も、本開示の範囲内にあると想到される。方法500の動作は、コントローラ、例えば、外科用ステープル留め器具10(図3)のコントローラ300(図3)に関して記載するが、図示される動作も同様に、他のシステムおよびその構成要素に適用可能であることが理解されるであろう。
【0047】
外科用ステープル留め器具10が外科的処置を実施するために使用されるときに、外科用ステープル留め器具10は、ステープルカートリッジ48とアンビルアセンブリ50との間に組織を位置決めするように操作される。外科用器具が組織を治療するために組織に対して適切に位置決めされると、ハンドルアセンブリ20が作動して、アンビルアセンブリ50をクランプ位置に向かってG最小位置に移動させる。
【0048】
図6は、外科用ステープル留め器具のステープル留め力対ステープル位置を示すグラフである。本開示の態様では、外科用ステープル留め器具10を用いてステープルを発射することは、低速で行われ、3つの段階を有する。第1の段階は、ソフトウェアが、ステープルがリロードアセンブリ16のステープルカートリッジ48に存在するかどうかを判定する、ステープル検出プロセス(S0からS1)である。第2の段階は、ステープルがアンビルアセンブリ50に接触し、曲がり始める中間ゾーン(S1からS2)である。第3の段階は、ステープルが完全に形成され、所定の目標ステープル留め力が最小ステープル位置と最大ステープル位置との間で検出される場合に、ステープル留めが終了するステープル形成(S2からS3)である。
【0049】
手術中、許容可能なステープルギャップ範囲(例えば、G最大とG最小との間の所定の組織ギャップ範囲)内で許容可能な程度の圧縮(例えば、目標圧縮力)に到達すると、ステープルの発射が開始され得る。ステープルを発射するために、外科医は、ハンドルアセンブリ20の作動ボタン24を作動させる。方法は、ステープルがリロードアセンブリに存在するかどうかを判定することができ、存在する場合に、方法は、目標のステープル留め力に到達しているかどうかを判定する。
【0050】
当業者であれば、本明細書において具体的に説明され、添付の図面に図示される器具および方法が非限定的であることを理解するであろう。本開示の範囲を逸脱することなく、本要素および特徴を、別の要素および特徴と組み合わせ得ることが想定される。同様に、当業者であれば、本開示のさらなる特徴および利点を理解するであろう。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6