(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-09
(45)【発行日】2025-05-19
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10D 30/66 20250101AFI20250512BHJP
H10D 30/01 20250101ALI20250512BHJP
【FI】
H10D30/66 101H
H10D30/66 103Q
H10D30/66 103S
H10D30/66 201A
H10D30/66 102S
H10D30/01 301A
(21)【出願番号】P 2021168912
(22)【出願日】2021-10-14
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名渕 雄太
(72)【発明者】
【氏名】永久 克己
(72)【発明者】
【氏名】酒井 敦
(72)【発明者】
【氏名】下村 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】徳田 悟
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-082770(JP,A)
【文献】特開2009-141185(JP,A)
【文献】特開2006-073740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10D 30/66
H10D 30/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユニットセルが形成されるセル領域と、平面視において前記セル領域を囲む外周領域とを含む半導体装置であって、
前記複数のユニットセルの各々は、
第1導電型の半導体層からなるドリフト領域を有する半導体基板と、
前記セル領域の前記ドリフト領域の表面に形成され、且つ、前記第1導電型と反対の第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域の表面に形成された前記第1導電型のソース領域と、
前記ボディ領域から物理的に離間するように、前記ボディ領域の下方の前記ドリフト領域中に形成され、且つ、平面視における第1方向において互いに離れて
いる前記第2導電型の一対の第1コラム領域と、
その底部が前記ボディ領域よりも深い位置に達するように、前記ドリフト領域中に形成され、且つ、前記第1方向において前記一対の第1コラム領域の間に形成されたトレンチと、
前記トレンチ内にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
を備え、
前記外周領域の前記ドリフト領域の表面には、前記第2導電型の第1不純物領域が形成され、
前記第1不純物領域の下方の前記ドリフト領域中には、前記セル領域を囲むように、前記第1方向および平面視で前記第1方向と交差する第2方向に延在する前記第2導電型の第2コラム領域が形成され、
前記第1不純物領域は、前記ボディ領域に接続され、
前記第2コラム領域は、前記第1不純物領域に接続され
、
前記第1不純物領域の不純物濃度は、前記ボディ領域の不純物濃度よりも低く、
前記第2コラム領域および前記一対の第1コラム領域の各々の不純物濃度は、前記第1不純物領域および前記ボディ領域の各々の不純物濃度よりも高い、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2コラム領域の厚さは、前記一対の第1コラム領域の厚さよりも厚い、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1不純物領域の厚さは、前記ボディ領域の厚さよりも厚い、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2コラム領域の底部の位置は、前記一対の第1コラム領域の底部の位置よりも浅い、半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記複数のユニットセルの各々は、更に、
前記ゲート電極を覆うように、前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、
それらの底部が前記ボディ領域内に位置するように、前記層間絶縁膜および前記ソース領域を貫通し、且つ、平面視において前記一対の
第1コラム領域に重なる位置に設けられた一対の第1孔と、
前記一対の第1孔内を埋め込むように、前記層間絶縁膜上に形成されたソース配線と、
を備え、
前記第2コラム領域には、前記ボディ領域および前記第1不純物領域を介して、前記ソース配線からソース電位が印加される、半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1導電型は、n型であり、
前記第2導電型は、p型である、半導体装置。
【請求項7】
複数のユニットセルが形成されるセル領域と、平面視において前記セル領域を囲む外周領域とを含む半導体装置であって、
前記複数のユニットセルの各々は、
第1導電型の半導体層からなるドリフト領域を有する半導体基板と、
前記セル領域の前記ドリフト領域の表面に形成され、且つ、前記第1導電型と反対の第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域の表面に形成された前記第1導電型のソース領域と、
前記ボディ領域から物理的に離間するように、前記ボディ領域の下方の前記ドリフト領域中に形成され、且つ、平面視における第1方向において互いに離れている前記第2導電型の一対の第1コラム領域と、
その底部が前記ボディ領域よりも深い位置に達するように、前記ドリフト領域中に形成され、且つ、前記第1方向において前記一対の第1コラム領域の間に形成されたトレンチと、
前記トレンチ内にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
を備え、
前記外周領域の前記ドリフト領域の表面には、前記第2導電型の第1不純物領域が形成され、
前記第1不純物領域の下方の前記ドリフト領域中には、前記セル領域を囲むように、前記第1方向および平面視で前記第1方向と交差する第2方向に延在する前記第2導電型の第2コラム領域が形成され、
前記第1不純物領域は、前記ボディ領域に接続され、
前記第2コラム領域は、前記第1不純物領域に接続され、
前記第2コラム領域の厚さは、前記一対の第1コラム領域の厚さよりも厚い、半導体装置。
【請求項8】
複数のユニットセルが形成されるセル領域と、平面視において前記セル領域を囲む外周領域とを含む半導体装置の製造方法であって、
(a)第1導電型の半導体層からなるドリフト領域を有する半導体基板を用意する工程、
(b)前記セル領域の前記ドリフト領域中に、トレンチを形成する工程、
(c)平面視における第1方向において互いに離
れるように、前記セル領域の前記ドリフト領域中に、前記第1導電型と反対の第2導電型の一対の第1コラム領域を形成する工程、
(d)前記セル領域を囲むように、前記外周領域の前記ドリフト領域中に、前記第1方向および平面視で前記第1方向と交差する第2方向に延在する前記第2導電型の第2コラム領域を形成する工程、
(e)前記トレンチ内に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程、
(f)前記セル領域の前記ドリフト領域の表面に、前記第2導電型のボディ領域を形成する工程、
(g)前記ボディ領域の表面に、前記第1導電型のソース領域を形成する工程、
(h)前記外周領域の前記ドリフト領域の表面に、前記第2導電型の第1不純物領域を形成する工程、
を備え、
前記トレンチは、前記第1方向において前記一対の第1コラム領域の間に形成され、
前記トレンチの底部は、前記ボディ領域よりも深い位置に達し、
前記複数のユニットセルの各々は、前記半導体基板、前記ドリフト領域、前記トレンチ、前記一対の第1コラム領域、前記ゲート絶縁膜、前記ゲート電極、前記ボディ領域および前記ソース領域を備え、
前記一対の第1コラム領域は、前記ボディ領域から物理的に離間するように、前記ボディ領域の下方の前記ドリフト領域中に形成され、
前記第1不純物領域は、前記ボディ領域に接続され、
前記第2コラム領域は、前記第1不純物領域の下方の前記ドリフト領域中に形成され、且つ、前記第1不純物領域に接続され
、
前記第1不純物領域の不純物濃度は、前記ボディ領域の不純物濃度よりも低く、
前記第2コラム領域および前記一対の第1コラム領域の各々の不純物濃度は、前記第1不純物領域および前記ボディ領域の各々の不純物濃度よりも高い、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程は、イオン注入によって行われ、
前記(c)工程において、前記外周領域の前記ドリフト領域にも、前記第1コラム領域が前記第2コラム領域の一部として形成され、
前記(d)工程において、前記外周領域に選択的にイオン注入を行うことで、前記第2コラム領域の一部の上方の前記ドリフト領域に、前記第2コラム領域の他部が形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程および前記(d)工程は、同じイオン注入によって行われ、
前記(h)工程で形成される前記第1不純物領域の厚さは、前記(f)工程で形成される前記ボディ領域の厚さよりも厚い、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程および前記(d)工程は、前記セル領域および前記外周領域の各々の前記ドリフト領域上に、第1絶縁膜および第2絶縁膜の積層膜が形成された状態で、同じイオン注入によって行われ、
前記外周領域の前記積層膜の厚さは、前記セル領域の前記積層膜の厚さよりも厚くなっている、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
(i)前記半導体基板上に、前記ゲート電極を覆うように、層間絶縁膜を形成する工程、
(j)それらの底部が前記ボディ領域内に位置するように、前記層間絶縁膜および前記ソース領域を貫通する一対の第1孔を形成する工程、
(k)前記層間絶縁膜上に、前記一対の第1孔内を埋め込むように、ソース配線を形成する工程、
を更に備え、
前記一対の第1孔は、平面視において前記一対の
第1コラム領域に重なる位置に設けられ、
前記複数のユニットセルの各々は、前記層間絶縁膜、前記一対の第1孔および前記ソース配線を更に備え、
前記第2コラム領域は、前記ボディ領域および前記第1不純物領域を介して、前記ソース配線に電気的に接続される、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1導電型は、n型であり、
前記第2導電型は、p型である、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、ボディ領域の下方にコラム領域を備えた半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子において、耐圧を向上させるための構造として、スーパージャンクション構造(SJ構造)と称されるPN接合の構造がある。n型のMOSFETの場合、n型のドリフト領域内にp型のコラム領域を2次元的に配置することで、p型のコラム領域の周囲を空乏化させ、耐圧を向上させることができる。
【0003】
例えば、特許文献1では、1つのユニットセルに一対のトレンチゲートが備えられたマルチトレンチSJ構造が提案されている。このマルチトレンチSJ構造では、複数のコラム領域が、同一ピッチで各ユニットセルの境界に形成されている。しかし、特許文献1には、各ユニットセルを囲む外周領域におけるコラム領域の配置に関しては、何も開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パワーMOSFETを搭載した半導体装置では、各ユニットセルを囲む外周領域において、耐圧を確保するために、各種の不純物領域などを形成することが行われている。SJ構造のパワーMOSFETの場合も、外周領域における耐圧の確保を行うための工夫が必要とされるが、特許文献1には、そのような工夫について何も開示されていない。
【0006】
本願の主な目的は、外周領域における耐圧の確保を行い、それによって、半導体装置の信頼性を確保することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0008】
一実施の形態である半導体装置は、複数のユニットセルが形成されるセル領域と、平面視において前記セル領域を囲む外周領域とを含む。前記複数のユニットセルの各々は、第1導電型の半導体層からなるドリフト領域を有する半導体基板と、前記セル領域の前記ドリフト領域の表面に形成され、且つ、前記第1導電型と反対の第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域の表面に形成された前記第1導電型のソース領域と、前記ボディ領域から物理的に離間するように、前記ボディ領域の下方の前記ドリフト領域中に形成され、且つ、平面視における第1方向において互いに離れて隣接する前記第2導電型の一対の第1コラム領域と、その底部が前記ボディ領域よりも深い位置に達するように、前記ドリフト領域中に形成され、且つ、前記第1方向において前記一対の第1コラム領域の間に形成されたトレンチと、前記トレンチ内にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、を備える。ここで、前記外周領域の前記ドリフト領域の表面には、前記第2導電型の第1不純物領域が形成され、前記第1不純物領域の下方の前記ドリフト領域中には、前記セル領域を囲むように、前記第1方向および平面視で前記第1方向と交差する第2方向に延在する前記第2導電型の第2コラム領域が形成され、前記第1不純物領域は、前記ボディ領域に接続され、前記第2コラム領域は、前記第1不純物領域に接続されている。
【0009】
一実施の形態である複数のユニットセルが形成されるセル領域と、平面視において前記セル領域を囲む外周領域とを含む半導体装置の製造方法は、(a)第1導電型の半導体層からなるドリフト領域を有する半導体基板を用意する工程、(b)前記セル領域の前記ドリフト領域中に、トレンチを形成する工程、(c)平面視における第1方向において互いに離れて隣接するように、前記セル領域の前記ドリフト領域中に、前記第1導電型と反対の第2導電型の一対の第1コラム領域を形成する工程、(d)前記セル領域を囲むように、前記外周領域の前記ドリフト領域中に、前記第1方向および平面視で前記第1方向と交差する第2方向に延在する前記第2導電型の第2コラム領域を形成する工程、(e)前記トレンチ内に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程、(f)前記セル領域の前記ドリフト領域の表面に、前記第2導電型のボディ領域を形成する工程、(g)前記ボディ領域の表面に、前記第1導電型のソース領域を形成する工程、(h)前記外周領域の前記ドリフト領域の表面に、前記第2導電型の第1不純物領域を形成する工程、を備える。ここで、前記トレンチは、前記第1方向において前記一対の第1コラム領域の間に形成され、前記トレンチの底部は、前記ボディ領域よりも深い位置に達し、前記複数のユニットセルの各々は、前記半導体基板、前記ドリフト領域、前記トレンチ、前記一対の第1コラム領域、前記ゲート絶縁膜、前記ゲート電極、前記ボディ領域および前記ソース領域を備え、前記一対の第1コラム領域は、前記ボディ領域から物理的に離間するように、前記ボディ領域の下方の前記ドリフト領域中に形成され、前記第1不純物領域は、前記ボディ領域に接続され、前記第2コラム領域は、前記第1不純物領域の下方の前記ドリフト領域中に形成され、且つ、前記第1不純物領域に接続されている、半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
【
図2】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
【
図3】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
【
図4】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図13】変形例における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図18】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
【
図19】実施の形態3における半導体装置を示す断面図である。
【
図20】実施の形態3における半導体装置の製造工程の一例を示す断面図である。
【
図21】実施の形態3における半導体装置の製造工程の他の例を示す断面図である。
【
図22】実施の形態4における半導体装置を示す断面図である。
【
図23】検討例における半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、本願において説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面図」または「平面視」などの表現は、X方向およびY方向によって構成される面を「平面」とし、この「平面」をZ方向から見ることを意味する。
【0014】
(実施の形態1)
図1および
図2は、半導体装置100である半導体チップの平面図である。
図1は、主に半導体基板SUB上に形成される配線を示し、
図2は、上記配線の下方の構造体を示し、半導体基板SUBの表面付近に形成された構造体を示している。
【0015】
図1に示されるように、半導体装置100の大部分はソース配線SWで覆われており、ソース配線SWの外周には、ゲート配線GWが形成されている。ここでは図示していないが、ソース配線SWおよびゲート配線GWは、保護膜PIQで覆われている。保護膜PIQの一部には開口部が設けられ、その開口部で露出しているソース配線SWおよびゲート配線GWが、ソースパッドおよびゲートパッドとなる。ソースパッド上およびゲートパッド上に、ワイヤボンディングまたはクリップ(銅板)などの外部接続用端子が接続されることで、半導体装置100が、他チップまたは配線基板などと電気的に接続される。
【0016】
また、半導体装置100は、セル領域CRと、平面視においてセル領域CRを囲む外周領域ORとを含んでいる。セル領域CRは、SJ構造のパワーMOSFETなどのような主要なトランジスタがユニットセルUCとして形成される領域である。
【0017】
図2に示されるように、セル領域CRでは、複数のゲート電極GEがX方向に延在している。外周領域ORとセル領域CRとの境界付近において、複数のゲート電極GEを繋げるゲート引き出し部が形成されている。上記ゲート引き出し部の上方には、孔CH2が設けられ、ゲート配線GWの一部が孔CH2に埋め込まれることで、ゲート配線GWと複数のゲート電極GEとが電気的に接続されている。
【0018】
また、セル領域CRでは、複数のゲート電極GEの間には、X方向に延在する複数のp型のコラム領域PC1が形成されている。外周領域ORでは、セル領域CRを囲むように、X方向およびY方向に延在するp型のコラム領域PC2が形成されている。コラム領域PC2は外周領域ORに複数形成され、ここでは、セル領域CRが2重のコラム領域PC2によって囲まれている場合を例示する。しかし、コラム領域PC2の数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。
【0019】
<本願発明者らによる検討事項>
以下に
図23を用いて、本願発明者らが検討を行った検討例の半導体装置と、その問題点とについて説明する。
図23は、
図1および
図2に示される拡大領域1Aに対応する断面図である。
【0020】
図23に示されるように、検討例の半導体装置は、セル領域CRに複数のユニットセルUCを含んでいる。各ユニットセルUCは、n型のドリフト領域NVを有する半導体基板SUBと、ドリフト領域NVの表面に形成されたp型のボディ領域PBと、ボディ領域PBの表面に形成されたn型のソース領域と、ボディ領域PBの下方に位置するように、ドリフト領域NV中に形成された一対のp型のコラム領域PC1と、ドリフト領域NV中に形成されたトレンチTRと、トレンチTR内にゲート絶縁膜GFを介して形成されたゲート電極GEとを備えている。また、半導体基板SUBの裏面には、n型のドレイン領域NDおよびドレイン電極DEが形成されている。
【0021】
また、各ユニットセルUCにおいて、半導体基板SUB上には層間絶縁膜ILが形成され、層間絶縁膜IL中には、孔CH1が形成されている。層間絶縁膜IL上には、孔CH1内を埋め込むように、ソース配線SWが形成されている。また、孔CH1の底部において、ボディ領域PB内には、ボディ領域PBよりも高い不純物濃度を有する高濃度領域PRが形成されている。
【0022】
セル領域CRでは、複数のコラム領域PC1が、X方向において、同一ピッチで各ユニットセルUCの境界に形成されている。また、外周領域ORでも、セル領域CRのコラム領域PC1と同等なコラム領域PC1が、同一ピッチで形成されている。なお、外周領域ORでは、セル領域CRのコラム領域PC1と区別するために、コラム領域PC1をコラム領域PC2として説明する。
【0023】
また、外周領域ORには、p型のウェル領域PWが形成されている。p型のウェル領域PWおよびコラム領域PC2は、半導体装置の耐圧を確保するために設けられている。ユニットセルUCのオン動作時には、空乏層50が
図23の破線のように広がる。セル領域CRでは、複数のコラム領域PC1が等間隔に配置されているので、空乏層50の広がりは十分になる。しかし、外周領域ORでは、コラム領域PC2がウェル領域PWから物理的に分離しているので、空乏層50が十分に広がらないという問題がある。具体的には、X方向における空乏層50の広がりが、十分とは言えないという問題がある。すなわち、検討例では、半導体装置の信頼性が低下する恐れがあることが判った。
【0024】
<実施の形態1における半導体装置の構造>
本願発明者らは、上述の検討例が抱える問題点を考慮して、実施の形態1における半導体装置100を考案した。以下に
図3を用いて、実施の形態1における半導体装置100について説明する。
図3は、
図1および
図2に示される拡大領域1Aに対応する断面図である。
【0025】
図3に示されるように、実施の形態1の半導体装置100は、検討例と同様に、セル領域CRに複数のユニットセルUCを含み、各ユニットセルUCは、SJ構造を成す。まず、セル領域CRの各ユニットセルUCの構造について説明する。
【0026】
半導体基板SUBは、例えばn型のシリコンからなり、n型の半導体層からなるドリフト領域NVを有している。ドリフト領域NVの表面には、p型のボディ領域が形成されている。ボディ領域PBの表面には、n型のソース領域NSが形成されている。ソース領域NSは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有している。
【0027】
ドリフト領域NV中には、ボディ領域PBの下方に位置するように、一対のコラム領域PC1が形成されている。一対のコラム領域PC1は、X方向に延在し、Y方向において互いに離れて隣接し、Z方向においてボディ領域PBから物理的に離間している。なお、一対のコラム領域PC1は、ボディ領域PBよりも高い不純物濃度を有している。
【0028】
ドリフト領域NV中には、それらの底部がボディ領域PBよりも深い位置に達するように、トレンチTRが形成されている。トレンチTRは、X方向に延在し、Y方向において一対のコラム領域PC1の間に形成されている。トレンチTR内には、それぞれゲート絶縁膜GFを介してゲート電極GEが形成されている。ゲート絶縁膜GFは、例えば酸化シリコン膜であり、ゲート電極GEは、例えばn型の多結晶シリコン膜である。
【0029】
また、半導体基板SUBの裏面には、n型のドレイン領域NDおよびドレイン電極DEが形成されている。n型のドレイン領域NDは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有している。ドレイン電極DEは、例えばアルミニウム膜、チタン膜、ニッケル膜、金膜若しくは銀膜のような単層の金属膜、または、これらの金属膜を適宜積層させた積層膜からなる。
【0030】
半導体基板SUB上には、ゲート電極GEを覆うように、層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜ILは、例えば酸化シリコン膜である。層間絶縁膜IL中には、複数の孔CH1が形成されている。複数の孔CH1は、それらの底部がボディ領域PB内に位置するように、層間絶縁膜ILおよびソース領域NSを貫通している。複数の孔CH1は、平面視において一対のコラム領域PC1に重なる位置に設けられ、X方向に延在している。また、複数の孔CH1の各々の底部において、ボディ領域PB内には、ボディ領域PBよりも高い不純物濃度を有する高濃度領域PRが形成されている。なお、ここでは図示していないが、層間絶縁膜IL中には、複数の孔CH2も形成されている。
【0031】
層間絶縁膜IL上には、複数の孔CH1内を埋め込むように、ソース配線SWが形成されている。ソース配線SWは、ソース領域NS、ボディ領域PBおよび高濃度領域PRに電気的に接続され、これらにソース電位を供給する。ソース配線SW上には、例えばポリイミド膜のような保護膜PIQが形成されている。なお、層間絶縁膜IL上には、ゲート配線GWも形成されている。ここでは図示はしないが、ゲート配線GWは、孔CH2内に埋め込まれ、且つ、ゲート電極GEに電気的に接続されている。ゲート電極GEには、ゲート配線GWからゲート電位が印加される。ソース配線SWおよびゲート配線GWは、例えば、バリアメタル膜と、上記バリアメタル膜上に形成された導電性膜とからなる。上記バリアメタル膜は、例えば窒化チタン膜であり、上記導電性膜は、例えばアルミニウム膜である。
【0032】
なお、ソース配線SWおよびゲート配線GWは、孔CH1内または孔CH2内を埋め込むプラグ層と、層間絶縁膜IL上に形成された上記バリアメタル膜および上記導電性膜とから構成されていてもよい。その場合、上記プラグ層は、窒化チタン膜のようなバリアメタル膜と、タングステン膜のような導電性膜とからなる。
【0033】
半導体装置100は、例えば、DC/DCコンバータに含まれるハイサイド用のMOSFETおよびローサイド用のMOSFETに適用できる。また、DC/DCコンバータをモータ駆動回路として使用する場合、ゲート電極GEをソース配線SWに短絡させることで、ローサイド用のMOSFETをダイオードとして用いることがある。ここで、モータ(インダクタンス)から発生する起電力によって、上記ダイオード用のMOSFETのソースとドレインとの間に電圧Vdsが印加され、出力容量が変化し、逆回復電流が発生する。出力容量の電圧Vdsの依存性が高いと、逆回復電流が急激に発生し、これがノイズとして現れる。このノイズを低減するために、スナバ回路(MIM容量)などを搭載する方法も考えられるが、スナバ回路を設けると、MOSFETの高速動作が制限されるという課題がある。
【0034】
ここで、実施の形態1のコラム領域PC1は、ボディ領域PBから物理的に離間している。それ故、一対のコラム領域PC1にはソース電位が印加されず、一対のコラム領域PC1はフローティング構造となっている。フローティング構造の場合、熱平衡状態時(電圧Vds=0V)に、コラム領域PC1およびボディ領域PBから生じる空乏層が分離している。従って、コラム領域PC1がボディ領域PBと物理的に繋がっている場合と比較して、正バイアス時(電圧Vds>0V)に出力容量の急激な変化を緩和することができる。よって、スナバ回路を搭載しなくても、ノイズを低減することができる。
【0035】
外周領域ORのドリフト領域NVの表面には、p型のウェル領域(不純物領域)PWが形成されている。ウェル領域PWは、ボディ領域PBに接続されている。また、ウェル領域PWの下方のドリフト領域NVには、複数のコラム領域PC2が形成されている。なお、ウェル領域PWの不純物濃度は、ボディ領域PBの不純物濃度よりも低く、コラム領域PC1およびコラム領域PC2の各々の不純物濃度は、ウェル領域PWおよびボディ領域PBの各々の不純物濃度よりも高い。
【0036】
実施の形態1でも検討例と同様に、複数のコラム領域PC1および複数のコラム領域PC2は、等間隔に配置されている。しかしながら、検討例では、コラム領域PC2の厚さがコラム領域PC1の厚さと同じであったが、実施の形態1では、コラム領域PC2の厚さが、コラム領域PC1の厚さよりも厚くなっている。従って、複数のコラム領域PC2は、ウェル領域PWに接続されている。すなわち、複数のコラム領域PC2は、ボディ領域PBおよびウェル領域PWを介して、ソース配線SWに電気的に接続されている。そのため、複数のコラム領域PC2には、ボディ領域PBおよびウェル領域PWを介して、ソース配線SWからソース電位が印加される。
【0037】
ユニットセルUCのオン動作時には、空乏層50が
図3の破線のように十分に広がる。このため、外周領域ORおいて耐圧の確保を図ることができるので、半導体装置100の信頼性を確保することができる。
【0038】
なお、複数のコラム領域PC2のうち全部が、コラム領域PC1の厚さよりも厚くなっていなくてもよく、ウェル領域PWに接続されていなくてもよいが、複数のコラム領域PC2のうち最外周のコラム領域PC2は、コラム領域PC1の厚さよりも厚くなるように形成され、ウェル領域PWに接続されている必要がある。なお、最外周のコラム領域PC2とは、セル領域CRから最も遠くに位置するコラム領域PC2であり、半導体装置100の端部(半導体チップの端部)に最も近いコラム領域PC2である。
【0039】
<半導体装置の製造方法>
以下に
図4~
図12を用いて、実施の形態1における半導体装置100の製造方法について説明する。
図4~
図12は、
図3と同様に、
図1および
図2に示される拡大領域1Aに対応する断面図である。
【0040】
まず、
図4に示されるように、n型の半導体層からなるドリフト領域NVを有する半導体基板SUBを用意する。ドリフト領域NVは、例えばn型のシリコン基板上に、エピタキシャル成長法によって燐(P)を導入しながらシリコン層を成長させることで形成できる。
【0041】
図5に示されるように、セル領域CRのドリフト領域NV中に、トレンチTRを形成する。まず、半導体基板SUB上に、例えばCVD法によって、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF1を形成する。次に、絶縁膜IF1上に、フォトリソグラフィ法によって、開口部を有するレジストパターンRP1を形成する。次に、レジストパターンRP1をマスクとして上記開口部から露出している絶縁膜IF1およびドリフト領域NVに対してドライエッチング処理を行うことで、ドリフト領域NV中にトレンチTRを形成する。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP1を除去し、例えばフッ酸を用いたウェットエッチング処理によって絶縁膜IF1を除去する。
【0042】
図6に示されるように、セル領域CRおよび外周領域ORのドリフト領域NV中に、p型のコラム領域PC1を形成する。まず、トレンチTR内を埋め込むように、半導体基板SUB上に、例えばCVD法によって、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF2を形成する。次に、例えばCMP法またはドライエッチング処理によって、一対のトレンチTRの外部に位置する絶縁膜IF2を除去する。
【0043】
次に、半導体基板SUB上に、例えばCVD法によって、絶縁膜IF3、絶縁膜IF4および絶縁膜IF5を順番に形成する。絶縁膜IF3および絶縁膜IF5は、例えば酸化シリコン膜であり、絶縁膜IF4は、例えば窒化シリコン膜である。なお、絶縁膜IF5の厚さは、絶縁膜IF3および絶縁膜IF4の各々の厚さよりも厚くなっている。
【0044】
次に、絶縁膜IF5上にレジストパターンRP2を形成し、レジストパターンRP2をマスクとしてドライエッチング処理を行うことで、絶縁膜IF5を選択的にパターニングし、絶縁膜IF5に、絶縁膜IF4に達する開口部を形成する。次に、レジストパターンRP2および絶縁膜IF5をマスクとし、絶縁膜IF3および絶縁膜IF4を半導体基板SUBの表面を保護するための保護膜として、例えばホウ素(B)などをイオン注入する。これにより、絶縁膜IF5の開口部の下方に位置するドリフト領域NV中に、p型のコラム領域PC1が形成される。
【0045】
なお、外周領域ORのドリフト領域NV中に形成されたコラム領域PC1は、コラム領域PC2の一部として形成される。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP2を除去する。
【0046】
図7に示されるように、外周領域ORのドリフト領域NV中に、p型のコラム領域PC2を形成する。まず、絶縁膜IF5上に、セル領域CRの絶縁膜IF5の開口部を覆い、外周領域ORの絶縁膜IF5の開口部を露出するようなパターンを有するレジストパターンRP3を形成する。次に、レジストパターンRP3および絶縁膜IF5をマスクとして、外周領域ORに、例えばホウ素(B)などを選択的にイオン注入する。これにより、コラム領域PC2の一部(コラム領域PC1)の上方のドリフト領域NVに、コラム領域PC2の他部が形成される。
【0047】
なお、
図7のイオン注入は、
図6のイオン注入よりも低い注入エネルギーで、複数回に分けて行われる。注入エネルギーを適切に調整することで、後の工程でウェル領域PWに接するような厚さを有するコラム領域PC2を形成できる。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP3を除去する。
【0048】
図8に示されるように、ウェットエッチング処理によって、絶縁膜IF5、絶縁膜IF4、絶縁膜IF3および絶縁膜IF2を順次除去する。まず、例えばフッ酸を用いたウェットエッチング処理によって絶縁膜IF5を除去する。次に、例えばリン酸を用いたウェットエッチング処理によって絶縁膜IF4を除去する。次に、例えばフッ酸を用いたウェットエッチング処理によって絶縁膜IF3および絶縁膜IF2を除去する。これにより、トレンチTR内を含む半導体基板SUBの表面が露出する。
【0049】
図9に示されるように、トレンチTR内に、それぞれゲート絶縁膜GFを介してゲート電極GEを形成する。まず、トレンチTR内を含む半導体基板SUB上に、例えば熱酸化法によって、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GFを形成する。次に、ゲート絶縁膜GFを介してトレンチTR内を埋め込むように、半導体基板SUB上に、例えばCVD法によって、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコン膜を形成する。次に、例えばCMP法またはドライエッチング処理によって、トレンチTRの外部に位置する多結晶シリコン膜を除去する。
【0050】
図10に示されるように、まず、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法によって、外周領域ORのドリフト領域NVの表面にホウ素(B)などを導入することで、p型のウェル領域PWを形成する。次に、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法によって、セル領域CRのドリフト領域NVの表面にホウ素(B)などを導入することで、p型のボディ領域PBを形成する。次に、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法によって、ボディ領域PBの表面に砒素(As)などを導入することで、n型のソース領域NSを形成する。
【0051】
図11に示されるように、半導体基板SUB上に層間絶縁膜ILを形成し、セル領域CRの層間絶縁膜IL中に孔CH1を形成し、ボディ領域PBに高濃度領域PRを形成する。まず、半導体基板SUB上に、ゲート電極GEを覆うように、例えばCVD法によって、例えば酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜ILを形成する。次に、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング処理によって、層間絶縁膜ILおよびソース領域NSを貫通する孔CH1を形成する。孔CH1の底部は、ボディ領域PB内に位置している。次に、孔CH1の底部において、ボディ領域PB内にホウ素(B)などをイオン注入することで、ボディ領域PBよりも高い不純物濃度を有するp型の高濃度領域PRを形成する。
【0052】
その後、図示はしないが、ゲート引き出し部に設定されているゲート電極GEの一部上に位置する層間絶縁膜ILの一部に、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング処理によって、孔CH2を形成する。
【0053】
図12に示されるように、層間絶縁膜IL上にソース配線SWを形成し、ソース配線SW上に保護膜PIQを形成する。まず、層間絶縁膜IL上に、孔CH1内を埋め込むように、スパッタリング法またはCVD法によって、例えば窒化チタン膜からなるバリアメタル膜と、例えばアルミニウム膜からなる導電性膜との積層膜を形成する。次に、上記積層膜をパターニングすることで、ソース配線SWを形成する。ここでは図示はしないが、ソース配線SWを形成する工程と同じ工程によって、層間絶縁膜IL上に、孔CH2内を埋め込むように、ゲート配線GWも形成される。次に、ソース配線SW上およびゲート配線GW上に、例えば塗布法によって、例えばポリイミド膜からなる保護膜PIQを形成する。その後、図示はしないが、保護膜PIQの一部を開口し、ソース配線SW上およびゲート配線GW上に、ソースパッドおよびゲートパッドとなる領域を露出させる。
【0054】
図12の後、まず、必要に応じて半導体基板SUBの裏面を研磨する。次に、半導体基板SUBの裏面に、イオン注入法によって、例えば砒素(As)などを導入することで、n型のドレイン領域NDを形成する。次に、ドレイン領域ND上に、スパッタリング法によって、ドレイン電極DEを形成する。
【0055】
以上の工程を経て、
図3に示される半導体装置100が製造される。
【0056】
(変形例)
以下に
図13~
図17を用いて、変形例における半導体装置の製造方法について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0057】
変形例では、コラム領域PC1などの各構成を製造する順番が、実施の形態1と異なっているが、各構成を製造する工程自体は、実施の形態1とほぼ同様である。従って、以下では各構成の順番を主に説明し、その工程自体の詳細な説明を省略する。
【0058】
変形例における半導体装置の製造方法は、
図5までは実施の形態1と同様である。
図5の工程の後、
図13に示されるように、外周領域ORのドリフト領域NVの表面にウェル領域PWを形成する。次に、セル領域CRのドリフト領域NV中に、トレンチTRを形成する。
【0059】
次に、
図14に示されるように、トレンチTR内に、それぞれゲート絶縁膜GFを介してゲート電極GEを形成する。次に、
図15に示されるように、セル領域CRのドリフト領域NVの表面にボディ領域PBを形成し、ボディ領域PBの表面にソース領域NSを形成する。
【0060】
次に、
図16に示されるように、半導体基板SUB上のゲート絶縁膜GF上に、例えばCVD法によって、絶縁膜IF3、絶縁膜IF4および絶縁膜IF5を順番に形成する。次に、絶縁膜IF5上にレジストパターンRP2を形成し、レジストパターンRP2をマスクとしてドライエッチング処理を行うことで、絶縁膜IF5を選択的にパターニングし、絶縁膜IF5に、絶縁膜IF4に達する開口部を形成する。
【0061】
次に、レジストパターンRP2および絶縁膜IF5をマスクとし、例えばホウ素(B)などをイオン注入する。これにより、絶縁膜IF5の開口部の下方に位置するドリフト領域NV中に、p型のコラム領域PC1が形成される。なお、実施の形態1と同様に、外周領域ORのドリフト領域NV中に形成されたコラム領域PC1は、コラム領域PC2の一部として形成される。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP2を除去する。
【0062】
次に、
図17に示されるように、絶縁膜IF5上に、実施の形態1と同様のレジストパターンRP3を形成する。次に、レジストパターンRP3および絶縁膜IF5をマスクとして、外周領域ORに、例えばホウ素(B)などを選択的にイオン注入する。これにより、コラム領域PC2の一部(コラム領域PC1)の上方のドリフト領域NVに、コラム領域PC2の他部が形成される。
【0063】
その後、アッシング処理によってレジストパターンRP3を除去し、ウェットエッチング処理によって、絶縁膜IF5、絶縁膜IF4および絶縁膜IF3を順次除去する。ここで、半導体基板SUB上のゲート絶縁膜GFについては、絶縁膜IF3と共に除去されていてもよいし、残されていてもよい。また、絶縁膜IF3を除去せずに残しておいてもよい。
【0064】
その後、実施の形態1で説明した
図11以降の工程が行われる。このように、変形例における半導体装置の製造方法であっても、
図3の半導体装置100を製造できる。
【0065】
(実施の形態2)
以下に
図18を用いて、実施の形態2における半導体装置100について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0066】
図18に示されるように、実施の形態2におけるコラム領域PC2は、コラム領域PC1と同じ構成とされ、コラム領域PC1と同じイオン注入によって形成される。このため、コラム領域PC2の厚さは、セル領域CRのコラム領域PC1の厚さと同じである。その代わりに、実施の形態2では、ウェル領域PWの厚さは、ボディ領域PBの厚さよりも厚くなっている。このため、実施の形態2においても、コラム領域PC2は、ウェル領域PWに接続されている。従って、空乏層50が十分に広がるので、外周領域ORおいて耐圧の確保を図ることができ、半導体装置100の信頼性を確保することができる。
【0067】
なお、実施の形態2におけるウェル領域PWは、各々の注入エネルギーが異なるように、ウェル領域PW用のイオン注入を複数回に分けて行うことで形成できる。このようにウェル領域PWが形成されるので、実施の形態2では、ウェル領域PWの形成のために新たにマスクを追加する必要がない。
【0068】
また、コラム領域PC2は、
図6に示されるレジストパターンRP2を用いて、コラム領域PC1と同じイオン注入によって形成されるので、
図7に示されるレジストパターンRP3を用いて行われるイオン注入を省略できる。従って、実施の形態2では、実施の形態1と比較して、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0069】
(実施の形態3)
以下に
図19~
図21を用いて、実施の形態3における半導体装置100について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0070】
図19に示されるように、実施の形態3では、コラム領域PC2の厚さがセル領域CRのコラム領域PC1の厚さとほぼ同じになっているが、コラム領域PC2の底部の位置は、コラム領域PC1の底部の位置よりも浅くなっている。実施の形態3においても、コラム領域PC2は、ウェル領域PWに接続されている。従って、空乏層50が十分に広がるので、外周領域ORおいて耐圧の確保を図ることができ、半導体装置100の信頼性を確保することができる。
【0071】
実施の形態3におけるコラム領域PC2は、コラム領域PC1と同じイオン注入によって形成される。このイオン注入は、ドリフト領域NV上に形成されている絶縁膜IF3および絶縁膜IF4の積層膜が形成された状態で行われるが、実施の形態3では、外周領域ORの積層膜の厚さが、セル領域CRの積層膜の厚さと異なっており、セル領域CRの積層膜の厚さよりも厚くなっている。このため、外周領域ORおよびセル領域CRに同じイオン注入を行うと、外周領域ORのコラム領域PC2の底部の位置が、セル領域CRのコラム領域PC1の底部の位置よりも浅くなる。
【0072】
このようなイオン注入は、実施の形態1の
図6および
図7に代えて、
図20または
図21のような状態で行われる。
【0073】
図20では、外周領域ORの絶縁膜IF4の厚さが、セル領域CRの絶縁膜IF4の厚さよりも厚くなっている。このような状態とするためには、実施の形態1よりも厚い厚さの絶縁膜IF4を形成後、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング処理によって、セル領域CRの絶縁膜IF4の厚さを選択的に薄くすればよい。その後、実施の形態1と同様に、絶縁膜IF5およびレジストパターンRP2を形成し、絶縁膜IF5に開口部を形成した後、イオン注入を行う。
【0074】
図21では、外周領域ORの絶縁膜IF3の厚さが、セル領域CRの絶縁膜IF3の厚さよりも厚くなっている。このような状態とするためには、実施の形態1よりも厚い厚さの絶縁膜IF3を形成後、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング処理によって、セル領域CRの絶縁膜IF3の厚さを選択的に薄くすればよい。その後、実施の形態1と同様に、絶縁膜IF4、絶縁膜IF5およびレジストパターンRP2を形成し、絶縁膜IF5に開口部を形成した後、イオン注入を行う。
【0075】
なお、このようなイオン注入を変形例の製造方法に適用する場合、変形例の
図16および
図17に代えて、
図20または
図21の技術思想を適用すればよい。
【0076】
(実施の形態4)
以下に
図22を用いて、実施の形態4における半導体装置100について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0077】
実施の形態4の各ユニットセルUCは、一対のトレンチTRおよび一対のゲート電極GEが備えられたマルチトレンチSJ構造を成す。Y方向において、一対のトレンチTRは一対のコラム領域PC1の間に位置するが、一対のトレンチTRの間には、コラム領域PC1が設けられていない。このようなユニットセルUCをセル領域CRに適用することで、規格化オン抵抗(Rsp)の低減を図ることができる(特許文献1を参照)。また、実施の形態4でも、外周領域ORおいて耐圧の確保を図ることができ、半導体装置100の信頼性を確保することができる。
【0078】
なお、実施の形態4に開示されたマルチトレンチSJ構造のユニットセルUCを、実施の形態2または実施の形態3に適用することもできる。
【0079】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0080】
50 空乏層
100 半導体装置
1A 拡大領域
CH1、CH2 孔
CR セル領域
DE ドレイン電極
GE ゲート電極
GF ゲート絶縁膜
GW ゲート配線
IF1~IF5 絶縁膜
IL 層間絶縁膜
ND ドレイン領域
NS ソース領域
NV ドリフト領域
OR 外周領域
PB ボディ領域
PC1、PC2 コラム領域
PIQ 保護膜
PR 高濃度領域
RP1~RP3 レジストパターン
PW ウェル領域(不純物領域)
SUB 半導体基板
SW ソース配線
TR トレンチ
UC ユニットセル