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特許7679290マシンモニタリングシステム、モニタリング装置、および、モニタリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-09
(45)【発行日】2025-05-19
(54)【発明の名称】マシンモニタリングシステム、モニタリング装置、および、モニタリング方法
(51)【国際特許分類】
   G06M 3/00 20060101AFI20250512BHJP
【FI】
G06M3/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021208608
(22)【出願日】2021-12-22
(65)【公開番号】P2023093153
(43)【公開日】2023-07-04
【審査請求日】2024-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 吉宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 基開
(72)【発明者】
【氏名】青島 傳隼
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特許第6756883(JP,B2)
【文献】特開平7-78232(JP,A)
【文献】特開平4-178894(JP,A)
【文献】特開平5-266275(JP,A)
【文献】特開2001-283181(JP,A)
【文献】特開2012-56132(JP,A)
【文献】特開2014-2694(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0131941(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06M1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニタリング対象設備から出力される生産を示す信号を取得する都度に生産台数値をカウントして揮発性メモリに保持し、所定のカウント最大値に達した場合にラウンドアップし、電源オフ検出時に前記生産台数値を不揮発性メモリに保持し、電源オン時に前記揮発性メモリに書き戻すノード装置と、
前記ノード装置から前記生産台数値を取得し、所定期間ごとの実生産数を管理するモニタリング装置と、を備え、
前記モニタリング装置は、前記ノード装置から取得した最新の生産台数値が前回の生産台数値よりも減少した場合、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が前記カウント最大値の過半数となる所定の閾値を超える場合にラウンドアップと判定して前記実生産数を算出し、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が前記閾値を超えない場合に前記実生産数を増加させない補正処理を行う、
マシンモニタリングシステム。
【請求項2】
前記モニタリング装置は、前記ノード装置から取得した最新の生産台数値が前回の生産台数値よりも減少しなかった場合、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が前記閾値を超えない場合に通常のカウントアップ処理により前記実生産数を算出し、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が前記閾値を超えた場合に前記実生産数を増加させない補正処理を行う、
請求項1に記載のマシンモニタリングシステム。
【請求項3】
前記閾値は、前記カウント最大値の80%の値である、
請求項1または2に記載のマシンモニタリングシステム。
【請求項4】
モニタリング対象設備から出力される生産を示す信号を取得する都度に生産台数値をカウントして揮発性メモリに保持し、所定のカウント最大値に達した場合にラウンドアップし、電源オフ検出時に前記生産台数値を不揮発性メモリに保持し、電源オン時に前記揮発性メモリに書き戻すノード装置から、前記生産台数値を取得し、所定期間ごとの実生産数を管理するモニタリング装置であって、
前記ノード装置から取得した最新の生産台数値が前回の生産台数値よりも減少した場合、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が前記カウント最大値の過半数となる所定の閾値を超える場合にラウンドアップと判定して前記実生産数を算出し、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が前記閾値を超えない場合に前記実生産数を増加させない補正処理を行う、
モニタリング装置。
【請求項5】
モニタリング対象設備から出力される生産を示す信号を取得する都度に生産台数値をカウントして揮発性メモリに保持し、所定のカウント最大値に達した場合にラウンドアップし、電源オフ検出時に前記生産台数値を不揮発性メモリに保持し、電源オン時に前記揮発性メモリに書き戻すノード装置から、前記生産台数値を取得し、所定期間ごとの実生産数を管理するモニタリング装置における方法であって、
前記ノード装置から取得した最新の生産台数値が前回の生産台数値よりも減少した場合、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が前記カウント最大値の過半数となる所定の閾値を超える場合にラウンドアップと判定して前記実生産数を算出し、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が前記閾値を超えない場合に前記実生産数を増加させない補正処理をコンピュータが行う、
モニタリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシンモニタリングシステム、モニタリング装置、および、モニタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場に設けられた生産設備等のモニタリング対象設備における所定期間ごと、例えば日替わりの実生産数を管理するために、マシンモニタリングシステムが設けられる場合がある。このようなマシンモニタリングシステムでは、モニタリング対象設備に接続されたノード装置が、モニタリング対象設備から出力される生産を示す信号(パルス信号、デジタル信号等)を取得する都度に生産台数値をカウントする。そして、上位のモニタリング装置がノード装置から生産台数値を取得し、所定期間ごとの実生産数を管理する。
【0003】
ノード装置は、カウントした生産台数値を揮発性メモリに保持し、所定のカウント最大値(例えば、18bitで保持する場合、262,143)に達した場合にラウンドアップするようになっている。日替わりの実生産数を管理するためには、稼働日ごとにノード装置の生産台数値をリセットすることも考えられるが、モニタリング装置からノード装置にカウントリセット信号を送出する場合、データ遅延が発生して正確にカウント集計できないケースや、電源オフ等により応答しないノード装置のハンドリング等に複雑な制御が必要になることから、カウントリセットは行われていない。なお、ノード装置は電源をモニタリング対象設備から得ている。
【0004】
また、ノード装置は、電源オフ時に揮発性メモリ上の生産台数値が消えてしまうことへの対応として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリの書き込み回数の制限を考慮し、電源オフ検出時に生産台数値を不揮発性メモリに保持し、電源オン時に不揮発性メモリから揮発性メモリに書き戻すようにしている。すなわち、電源電圧の低下を検出した際に、コンデンサによる蓄電のもつ時間内に揮発性メモリ上の生産台数値を不揮発性メモリに保持し、電源オン時に不揮発性メモリから生産台数値を読み出して揮発性メモリに書き込むようにしている。
【0005】
上位のモニタリング装置では、ノード装置から取得した生産台数値に基づき、主に次の3つの処理、
・通常のカウントアップ処理
・ラウンドアップ処理
・カウント補正処理
により日替わりの実生産数を管理している。
【0006】
通常のカウントアップ処理は、ノード装置から取得された最新の生産台数値が前回の生産台数値よりも減少しなかった場合(増加したか変化がない場合)の処理であり、前回の生産台数値との差分が実生産数に加算される。
【0007】
ラウンドアップ処理は、ノード装置から取得された最新の生産台数値が前回の生産台数値よりも減少した場合、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差がカウント最大値の過半数となる所定の閾値(例えば、18bitで保持する場合、262,143の80%の209,714)を超える場合にラウンドアップと判定し、カウント最大値を考慮してラウンドアップされた間の数を補って実生産数を算出する。ここでのラウンドアップ処理に類似した技術(計数部の上限値を超えた値までパルス数を計数することのできるパルス計数器)が特許文献1に開示されている。
【0008】
カウント補正処理は、ノード装置から取得された最新の生産台数値が前回の生産台数値よりも減少した場合、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が上記の閾値を超えない場合に、ノード装置から取得した最新の生産台数値に誤りがあるとして、実生産数を増加させない処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6756883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のマシンモニタリングシステムにおいては、カウント補正処理によりほとんどの誤りについては対処可能であったが、ノード装置の自発的なリセットが所定のタイミングで発生した場合、実生産数に異常な増加をもたらしてしまうという問題があった。ここでのノード装置の自発的なリセットとは、ノード装置の電源オフから電源オンまでの時間が短い場合に、電源オンから30[s]~120[s]で稀にリセットがかかってしまう現象をいう。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ノード装置の自発的なリセットが発生しても、実生産数に異常な増加をもたらすことのないマシンモニタリングシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るマシンモニタリングシステムは、ノード装置と、モニタリング装置とを備える。前記ノード装置は、モニタリング対象設備から出力される生産を示す信号を取得する都度に生産台数値をカウントして揮発性メモリに保持し、所定のカウント最大値に達した場合にラウンドアップし、電源オフ検出時に前記生産台数値を不揮発性メモリに保持し、電源オン時に前記揮発性メモリに書き戻す。前記モニタリング装置は、前記ノード装置から前記生産台数値を取得し、所定期間ごとの実生産数を管理する。前記モニタリング装置は、前記ノード装置から取得した最新の生産台数値が前回の生産台数値よりも減少した場合、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が前記カウント最大値の過半数となる所定の閾値を超える場合にラウンドアップと判定して前記実生産数を算出し、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が前記閾値を超えない場合に前記実生産数を増加させない補正処理を行う。
【0013】
本発明の一態様に係るマシンモニタリングシステムは、ノード装置の自発的なリセットが発生しても、実生産数に異常な増加をもたらすことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施形態にかかるマシンモニタリングシステムの構成例を示す図である。
図2図2は、モニタリング装置における日替わり時からノード装置ごとにデータ取得の都度に行われる処理例を示すフローチャートである。
図3図3は、図2における通常のカウントアップ処理の例を示すフローチャートである。
図4図4は、図2におけるラウンドアップ処理の例を示すフローチャートである。
図5図5は、図2におけるカウント補正処理の例を示すフローチャートである。
図6図6は、問題点を含む比較例の処理例を示すフローチャートである。
図7図7は、ノード装置の生産台数値の正常な変化の例を示す図である。
図8図8は、モニタリング装置においてノード装置から取得された生産台数値と、判定された実生産数の例を示す図である。
図9図9は、モニタリング装置においてノード装置から取得された生産台数値が連続した値にならない例を示す図である。
図10図10は、モニタリング装置においてノード装置から取得された生産台数値が不具合で減少した場合の補正の例を示す図である。
図11図11は、誤ったラウンドアップ処理により急激な実生産数の増加が生じてしまった不具合の例を示す図である。
図12図12は、誤った通常のカウントアップ処理により急激な実生産数の増加が生じてしまった不具合の例を示す図である。
図13図13は、実施形態により図12の不具合が解決される例を示す図である。
図14図14は、実施形態により図11の不具合が解決される例を示す図である。
図15図15は、実施形態による正常なラウンドアップ処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態に係るマシンモニタリングシステム、モニタリング装置、および、モニタリング方法について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0016】
図1は、一実施形態にかかるマシンモニタリングシステム1の構成例を示す図である。図1において、工場F1、F2、・・には、生産設備等の複数のモニタリング対象設備2と、それらのモニタリング対象設備2にそれぞれ有線接続された複数のノード装置3とが設けられている。ノード装置3は、電源をモニタリング対象設備2から得るようになっている。また、工場F1、F2、・・には、ノード装置3の所定の台数ごとにモニタリング装置4が設けられ、モニタリング装置4とノード装置3との間はBluetooth(登録商標)Mesh等の近距離無線によって接続されている。
【0017】
各工場F1、F2、・・のモニタリング装置4は、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等を介して管理オフィスAFのファイヤウォール装置5に接続されている。ファイヤウォール装置5には、タイムサーバ装置6および複数の端末装置7が接続されている。タイムサーバ装置6は、モニタリング装置4により日替わり処理等における日時情報の参照に用いられる。端末装置7は、モニタリング装置4が提供するWebサーバ機能により、モニタリング対象設備2ごとの実生産数の参照に用いられる。
【0018】
ノード装置3およびモニタリング装置4はコンピュータ装置であり、演算装置、記憶装置、入出力装置等を備え、記憶装置に格納されたコンピュータプログラムに基づいて所定の処理を実行する。また、ノード装置3およびモニタリング装置4は、背景技術に記載されたような基本的な動作を行う。
【0019】
図2は、モニタリング装置4における日替わり時からノード装置3ごとにデータ取得の都度に行われる処理例を示すフローチャートである。図3は、図2における通常のカウントアップ処理(ステップS5)の例を示すフローチャートである。図4は、図2におけるラウンドアップ処理(ステップS7)の例を示すフローチャートである。図5は、図2におけるカウント補正処理(ステップS8)の例を示すフローチャートである。
【0020】
実施形態における処理を説明する前に、従前の問題点(ノード装置の自発的なリセットが発生した際に実生産数に異常な増加をもたらしてしまうという問題)を説明するために、比較例における処理を先に説明する。図6は、問題点を含む比較例の処理例を示すフローチャートである。
【0021】
図6において、モニタリング装置4は、日替わり時に、変数PreValに日替わり時の生産台数値を設定する(ステップS1’)。図7は、ノード装置3の生産台数値の正常な変化の例を示す図であり、生産台数値は生産検知の都度に1ずつ増加していき、カウント最大値である「262,143」に達すると「1」に戻る。図8は、モニタリング装置4においてノード装置3から取得された生産台数値と、判定された実生産数の例を示す図である。ここでは、「210,000」が日替わり時の生産台数値として変数PreValに設定される。また、この時点の実生産数は「0」となる。
【0022】
次いで、図6において、モニタリング装置4は、ノード装置3から生産台数値を取得した場合、変数CurValに最新の生産台数値を設定し(ステップS2’)、変数CurValが変数PreValより小さい(CurVal<PreVal)か否か判断する(ステップS3’)。なお、モニタリング装置4におけるノード装置3からの生産台数値の取得は、登録されている複数のノード装置3に対して所定の順序でデータ取得要求を行うことにより行われる。
【0023】
そして、モニタリング装置4は、変数CurValが変数PreValより小さくないと判断した場合(ステップS3’のNo)、通常のカウントアップ処理(ステップS5’)を実行する。通常のカウントアップ処理は、図3に示されるのと同様であり、変数ProductCntにその時点の実生産数を設定し(ステップS51)、CurVal-PreValを生産数の増加分とし(ステップS52)、ProductCnt+生産数の増加分を実生産数に設定する(ステップS53)。
【0024】
例えば、図8の左から2番目の枠(日替わり後の最初の取得時)では、変数CurValが「210,001」となり、変数PreVal「210,000」より小さくない(増加している)ため、通常のカウントアップ処理となり、変数ProductCntが直前の実生産数である「0」、生産数の増加分が「1」となって、実生産数が「1」となる。なお、図8ではノード装置3から取得される生産台数値が1ずつ連続して増加しているが、モニタリング装置4がノード装置3から生産台数値を取得する間隔により、生産台数値が連続しない場合もある。図9は、モニタリング装置4においてノード装置3から取得された生産台数値が連続した値にならない例を示す図であるが、この場合も、実生産数は上述のと同様の処理により正確にカウントされる。
【0025】
次いで、図6において、モニタリング装置4は、変数PreValに変数CurValの値を設定し(ステップS9’)、最新の生産台数値の設定(ステップS2’)を待機する。
【0026】
一方、モニタリング装置4は、変数CurValが変数PreValより小さいと判断した場合(ステップS3’のYes)、更に、変数PreValがカウント最大値の過半数となる所定の閾値(例えば、18bitで保持する場合、262,143の80%の209,714)より大きい(PreVal>209,714)か否か判断する(ステップS6’)。
【0027】
そして、モニタリング装置4は、変数PreValがカウント最大値の過半数となる所定の閾値(209,714)より大きいと判断した場合(ステップS6’のYes)、ラウンドアップ処理(ステップS7’)を実行する。ラウンドアップ処理は、図4に示されるのと同様であり、変数ProductCntにその時点の実生産数を設定し(ステップS71)、262,143-PreVal+CurValを生産数の増加分とし(ステップS72)、ProductCnt+生産数の増加分を実生産数に設定する(ステップS73)。
【0028】
例えば、図9の右から3番目の枠で生産台数値「1」が取得された場合、変数PreValはその前の「262,120」、変数CurValは「1」となり、ラウンドアップ処理となり、変数ProductCntが直前の実生産数である「52,120」、生産数の増加分が「24」(=262,143-262,120+1)となって、実生産数が「52,144」(=52,120+24)となる。
【0029】
次いで、図6において、モニタリング装置4は、変数PreValに変数CurValの値を設定し(ステップS9’)、最新の生産台数値の設定(ステップS2’)を待機する。
【0030】
一方、モニタリング装置4は、変数PreValがカウント最大値の過半数となる所定の閾値(209,714)より大きくないと判断した場合(ステップS6’のNo)、カウント補正処理(ステップS8’)を実行する。カウント補正処理は、図5に示されるのと同様であり、変数ProductCntにその時点の実生産数を設定し(ステップS81)、「0」を生産数の増加分とし(ステップS82)、ProductCnt+生産数の増加分「0」を実生産数に設定する(ステップS83)。
【0031】
図10は、モニタリング装置4においてノード装置3から取得された生産台数値が不具合で減少した場合の補正の例を示す図である。図10において、網掛けで示された枠において、変数CurValが「0」となると、変数PreValはその直前の「102」であり、カウント補正処理となり、変数ProductCntが直前の実生産数である「2」、生産数の増加分が「0」となって、実生産数が「2」のままとなる。
【0032】
次いで、図6において、モニタリング装置4は、変数PreValに変数CurValの値を設定し(ステップS9’)、最新の生産台数値の設定(ステップS2’)を待機する。
【0033】
次に、比較例における第1の問題点は次のようになる。図11は、誤ったラウンドアップ処理(ステップS7’)により急激な実生産数の増加が生じてしまった不具合の例を示す図である。図11において、左から4番目の枠の時点においてノード装置3において短時間に電源オフ(OFF)-オン(ON)が発生し、揮発性メモリの生産台数値「210,003」が不揮発性メモリ(Flash RAM)へ書き込まれ、不揮発性メモリ(Flash RAM)から揮発性メモリに「210,003」が読み戻されたとする。
【0034】
その後の30[s]~120[s]の間に、短時間の電源オフ-オンに起因してノード装置3で自発的なリセットが発生したのが右から2番目の枠の時点であるとする。この場合、リセットにより、不揮発性メモリ(Flash RAM)から揮発性メモリに読み出された「210,003」がモニタリング装置4により取得される生産台数となり、直前の「210,005」よりも小さくなってしまう。また、変数PreVal「210,005」はカウント最大値の過半数となる所定の閾値(209,714)より大きいため、ラウンドアップ処理(ステップS7’)が実行される。その結果、前述の処理により、生産台数は「5」から「262,146」という、カウント最大値(262,143)に近い増加となってしまう。
【0035】
次に、比較例における第2の問題点は次のようになる。図12は、誤った通常のカウントアップ処理(ステップS5’)により急激な実生産数の増加が生じてしまった不具合の例を示す図である。図12において、左から2番目の枠の時点においてノード装置3において短時間に電源オフ(OFF)-オン(ON)が発生し、揮発性メモリの生産台数値「262,412」が不揮発性メモリ(Flash RAM)へ書き込まれ、不揮発性メモリ(Flash RAM)から「262,412」が読み戻されたとする。
【0036】
その後の30[s]~120[s]の間に、短時間の電源オフ-オンに起因してノード装置3で自発的なリセットが発生したのが右から4番目の枠の時点であるとする。この場合、リセットにより、不揮発性メモリ(Flash RAM)から揮発性メモリに読み出された「262,412」がモニタリング装置4により取得される生産台数となり、直前の「1」よりも大きくなっている。そのため、通常のカウントアップ処理(ステップS5’)が実行される。その結果、前述の処理により、生産台数は「3」から「262,414」という、カウント最大値(262,143)に近い増加となってしまう。
【0037】
以下、図2図5の実施形態において、上記の問題点が解消される処理例を含め、全般的な処理について説明する。
【0038】
図2において、モニタリング装置4は、日替わり時に、変数PreValに日替わり時の生産台数値を設定する(ステップS1)。
【0039】
次いで、モニタリング装置4は、ノード装置3から生産台数値を取得した場合、変数CurValに最新の生産台数値を設定し(ステップS2)、変数CurValが変数PreValより小さい(CurVal<PreVal)か否か判断する(ステップS3)。
【0040】
そして、モニタリング装置4は、変数CurValが変数PreValより小さくないと判断した場合(ステップS3のNo)、更に、変数CurValから変数PreValを引いた値がカウント最大値の過半数となる所定の閾値(209,714)より大きい(CurVal-PreVal>209,714)か否か判断する(ステップS4)。
【0041】
そして、モニタリング装置4は、変数CurValから変数PreValを引いた値がカウント最大値の過半数となる所定の閾値(209,714)より大きくないと判断した場合(ステップS4のNo)、通常のカウントアップ処理(ステップS5)を実行する。通常のカウントアップ処理(ステップS5)は、図3に示されたとおりである。
【0042】
また、モニタリング装置4は、変数CurValから変数PreValを引いた値がカウント最大値の過半数となる所定の閾値(209,714)より大きいと判断した場合(ステップS4のYes)、カウント補正処理(ステップS8)を実行する。カウント補正処理(ステップS8)は、図5に示されたとおりである。
【0043】
次いで、モニタリング装置4は、通常のカウントアップ処理(ステップS5)またはカウント補正処理(ステップS8)の後、変数PreValに変数CurValの値を設定し(ステップS9)、最新の生産台数値の設定(ステップS2)を待機する。
【0044】
ここで、前述の第2の問題点(図12)は、ノード装置3の自発的なリセットにより生産台数値が大幅に増加しているにもかかわらず、通常のカウントアップ処理を実行してしまったことにより起こっていた。そこで、本実施形態では、生産台数値が増加した場合、直前の生産台数値との差がカウント最大値の過半数となる所定の閾値(209,714)より大きい場合には、通常のカウントアップ処理(ステップS5)ではなく、カウント補正処理(ステップS8)を実行するようにしている。
【0045】
図13は、実施形態により図12の不具合が解決される例を示す図である。図13において、左から2番目の枠の時点においてノード装置3において短時間に電源オフ(OFF)-オン(ON)が発生し、揮発性メモリの生産台数値「262,412」が不揮発性メモリ(Flash RAM)へ書き込まれ、不揮発性メモリ(Flash RAM)から揮発性メモリに「262,412」が読み戻されたとする。
【0046】
その後の30[s]~120[s]の間に、短時間の電源オフ-オンに起因してノード装置3で自発的なリセットが発生したのが右から4番目の枠の時点であるとする。この場合、リセットにより、不揮発性メモリ(Flash RAM)から揮発性メモリに読み出された「262,412」がモニタリング装置4により取得される生産台数となり、直前の「1」よりも大きくなっている(ステップS3のNo)。しかし、直前の「1」との差「262,411」が閾値(209,714)よりも大きいため(ステップS4のYes)、カウント補正処理(ステップS8)に移行し、前述の図5の処理により、実生産数は直前の「3」から変化しない。
【0047】
次に、図2において、モニタリング装置4は、変数CurValが変数PreValより小さいと判断した場合(ステップS3のYes)、更に、変数PreValから変数CurValを引いた値がカウント最大値の過半数となる所定の閾値(209,714)より大きい(PreVal-CurVal>209,714)か否か判断する(ステップS6)。
【0048】
そして、モニタリング装置4は、変数PreValから変数CurValを引いた値がカウント最大値の過半数となる所定の閾値(209,714)より大きいと判断した場合(ステップS6のYes)、ラウンドアップ処理(ステップS7)を実行する。ラウンドアップ処理(ステップS7)は、図4に示されたとおりである。
【0049】
また、モニタリング装置4は、変数PreValから変数CurValを引いた値がカウント最大値の過半数となる所定の閾値(209,714)より大きくないと判断した場合(ステップS6のNo)、カウント補正処理(ステップS8)を実行する。
【0050】
次いで、モニタリング装置4は、ラウンドアップ処理(ステップS7)またはカウント補正処理(ステップS8)の後、変数PreValに変数CurValの値を設定し(ステップS9)、最新の生産台数値の設定(ステップS2)を待機する。
【0051】
ここで、前述の第1の問題点(図11)は、ノード装置3の自発的なリセットにより生産台数値が少しだけ減少しているにもかかわらず、ラウンドアップ処理を実行してしまったことにより起こっていた。そこで、本実施形態では、生産台数値が減少した場合、直前の生産台数値との差がカウント最大値の過半数となる所定の閾値(209,714)より小さい場合には、ラウンドアップ処理(ステップS7)ではなく、カウント補正処理(ステップS8)を実行するようにしている。
【0052】
図14は、実施形態により図11の不具合が解決される例を示す図である。図14において、左から4番目の枠の時点においてノード装置3において短時間に電源オフ(OFF)-オン(ON)が発生し、揮発性メモリの生産台数値「210,003」が不揮発性メモリ(Flash RAM)へ書き込まれ、不揮発性メモリ(Flash RAM)から揮発性メモリに「210,003」が読み戻されたとする。
【0053】
その後の30[s]~120[s]の間に、短時間の電源オフ-オンに起因してノード装置3で自発的なリセットが発生したのが右から2番目の枠の時点であるとする。この場合、リセットにより、不揮発性メモリ(Flash RAM)から揮発性メモリに読み出された「210,003」がモニタリング装置4により取得される生産台数となり、直前の「210,005」よりも小さくなってしまう(ステップS3のYes)。しかし、直前の「210,005」との差「2」が閾値(209,714)よりも小さいため(ステップS6のNo)、カウント補正処理(ステップS8)に移行し、前述の図5の処理により、実生産数は直前の「5」から変化しない。
【0054】
図15は、実施形態による正常なラウンドアップ処理の例を示す図である。図15において、左から5番目の枠において直前の生産台数「262,413」の後に生産台数「1」が取得されると、CurVal<PreValとなり(ステップS3のYes)、PreVal-CurVal>209,714となる(ステップS6のYes)ことから、ラウンドアップ処理(ステップS7)が実行される。そして、図4の処理により、生産数の増加分は「1」となり、実生産数は直前の「3」から「4」になる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0056】
以上のように、実施形態に係るマシンモニタリングシステムは、モニタリング対象設備から出力される生産を示す信号を取得する都度に生産台数値をカウントして揮発性メモリに保持し、所定のカウント最大値に達した場合にラウンドアップし、電源オフ検出時に生産台数値を不揮発性メモリに保持し、電源オン時に揮発性メモリに書き戻すノード装置と、ノード装置から生産台数値を取得し、所定期間ごとの実生産数を管理するモニタリング装置と、を備え、モニタリング装置は、ノード装置から取得した最新の生産台数値が前回の生産台数値よりも減少した場合、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差がカウント最大値の過半数となる所定の閾値を超える場合にラウンドアップと判定して実生産数を算出し、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が閾値を超えない場合に実生産数を増加させない補正処理を行う。これにより、ノード装置の自発的なリセットが発生しても、実生産数に異常な増加をもたらすことを防止することができる。
【0057】
また、モニタリング装置は、ノード装置から取得した最新の生産台数値が前回の生産台数値よりも減少しなかった場合、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が閾値を超えない場合に通常のカウントアップ処理により実生産数を算出し、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が閾値を超えた場合に実生産数を増加させない補正処理を行う。これにより、ノード装置の自発的なリセットに起因する他の不都合に対しても、実生産数に異常な増加をもたらすことを防止することができる。
【0058】
また、閾値は、カウント最大値の80%の値である。これにより、実用上、不都合のない管理が可能となる。
【0059】
また、モニタリング対象設備から出力される生産を示す信号を取得する都度に生産台数値をカウントして揮発性メモリに保持し、所定のカウント最大値に達した場合にラウンドアップし、電源オフ検出時に生産台数値を不揮発性メモリに保持し、電源オン時に揮発性メモリに書き戻すノード装置から、生産台数値を取得し、所定期間ごとの実生産数を管理するモニタリング装置であって、ノード装置から取得した最新の生産台数値が前回の生産台数値よりも減少した場合、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差がカウント最大値の過半数となる所定の閾値を超える場合にラウンドアップと判定して実生産数を算出し、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が閾値を超えない場合に実生産数を増加させない補正処理を行う。これにより、モニタリング装置の改良により対処が可能となる。
【0060】
また、モニタリング対象設備から出力される生産を示す信号を取得する都度に生産台数値をカウントして揮発性メモリに保持し、所定のカウント最大値に達した場合にラウンドアップし、電源オフ検出時に生産台数値を不揮発性メモリに保持し、電源オン時に揮発性メモリに書き戻すノード装置から、生産台数値を取得し、所定期間ごとの実生産数を管理するモニタリング装置における方法であって、ノード装置から取得した最新の生産台数値が前回の生産台数値よりも減少した場合、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差がカウント最大値の過半数となる所定の閾値を超える場合にラウンドアップと判定して実生産数を算出し、前回の生産台数値と最新の生産台数値との差が閾値を超えない場合に実生産数を増加させない補正処理をコンピュータが行う。これにより、モニタリング装置における処理方法の改良により対処が可能となる。
【0061】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 マシンモニタリングシステム,2 モニタリング対象設備,3 ノード装置,4 モニタリング装置,5 ファイヤウォール装置,6 タイムサーバ装置,7 端末装置,F1 工場,F2 工場,AF 管理オフィス
図1
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