(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-09
(45)【発行日】2025-05-19
(54)【発明の名称】Nrf2活性化剤としてのテトラヒドロイソキノリン化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20250512BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250512BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20250512BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20250512BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20250512BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20250512BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20250512BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20250512BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20250512BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20250512BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20250512BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250512BHJP
A61K 31/4725 20060101ALI20250512BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20250512BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20250512BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20250512BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20250512BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61P43/00 111
A61P1/00
A61P3/00
A61P9/00
A61P11/00
A61P13/00
A61P17/00
A61P19/00
A61P21/00
A61P25/00
A61P35/00
A61K31/4725
A61K31/5377
C07D413/14
C07D471/04 101
A61P7/00
(21)【出願番号】P 2022564519
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 GB2021050973
(87)【国際公開番号】W WO2021214470
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2024-04-19
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521172170
【氏名又は名称】シーフォーエックス・ディスカバリー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】C4X Discovery Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス,キャシー ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ニコラス チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】スワード,アイリーン メアリー
(72)【発明者】
【氏名】ハインド,ジョージ
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特許第7561742(JP,B2)
【文献】国際公開第2013/067036(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/181345(WO,A1)
【文献】国際公開第2003/041641(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
(式中、
R
1は、C
1~4アルキレン-R
4であり;
R
2は、CO
2H及びテトラゾリルから選択され;
R
3は、水素及びメチルから選択され;
Xは、CR
5R
6又はOであり;
R
4は、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル又はピリミジニルであり、前記トリアゾリル又はピリミジニル基は、
C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、C
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキル、ハロ、OH、C
1~3アルコキシ及びシアノから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換され;及び
シクロアルキル又はヘテロシクリル環に任意選択により縮合され;
R
5は、水素、C
1~4アルキル、C
3~7シクロアルキル及びC
1~3ハロアルキルから選択され;及び
R
6は、水素及びC
1~4アルキルから選択されるか;又は
R
5及びR
6は、それらが結合される炭素原子と共に、3又は4員シクロアルキル環を形成し;
mは、0又は1であり;及び
nは、1又は2である)
による化合物又はその医薬的に許容される塩であって、
ただし、前記式Iの化合物は、以下の化合物:
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;又は
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
の1つではないことを条件とする、化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
前記化合物は、以下に示される構造式IA~IK:
【化2】
(式中、R
1~R
6、X及びmは、請求項1に定義されるとおりである)
の1つを有する、請求項1に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
R
1は、CH
2-R
4である、請求項1又は2に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
R
2は、CO
2Hである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
R
3は、メチルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
R
4は、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル及びC
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される1,2,3-トリアゾリルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
R
4は、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル及びC
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される1,2,4-トリアゾリルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
R
4は、C
1~4アルキル及びC
1~3ハロアルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換されるピリミジニルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
R
4は、以下の基:
【化3】
の1つから選択され、前記基は、C
1~4アルキル及びC
1~3フルオロアルキルで任意選択により置換される、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
R
4は、以下の基:
【化4】
の1つから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
Xは、CR
5R
6である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
R
5は、メチルであり、及びR
6は、水素である、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
R
5及びR
6は、それらが結合される炭素原子と共に、シクロプロピル環を形成する、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
mは、1である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項15】
前記化合物は、以下に示される構造式IL:
【化5】
(式中、R
5及びR
6は、請求項1に定義されるとおりであり、且つR
7及びR
8は、水素、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、C
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキル、ハロ、OH、C
1~3アルコキシ及びシアノから独立して選択されるか;又はR
7及びR
8は、それらが結合される原子と合わせて、5又は6員ヘテロシクリル環を形成する)
を有する、請求項1に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項16】
R
5は、メチルであり、及びR
6は、水素である、請求項15に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項17】
R
5及びR
6は、それらが結合される
炭素原子と共に、シクロプロピル環を形成する、請求項15に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項18】
R
7は、メチルであり、及びR
8は、水素、メチル又はジフルオロメチルである、請求項15~17のいずれか一項に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項19】
5-(((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-2-((1R,2S)-2-メチル-2-(1H-テトラゾール-5-イル)シクロヘキサン-1-カルボニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((3-オキソモルホリノ)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-(((R)-4-メチル-2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロペンタン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((4,5-ジメチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;及び
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((5-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
;
から選択される、請求項1に記載の化合物
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される
塩を含む医薬組成物。
【請求項21】
療法における使用のための
、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
Nrf2活性化によって媒介される疾患又は障害の治療における使用のため
の、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項23】
慢性閉塞性肺疾患、急性、慢性及び重症喘息、多臓器不全症候群を伴うか又は伴わない急性肺損傷/急性呼吸促迫症候群、原因不明の肺線維症を含む肺線維症、嚢胞性線維症、COVID-19、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、心筋梗塞及び修復、心臓性組織修復、心不整脈、心肥大、駆出率が保たれた心不全、糖尿病性心筋症、サルコペニア、肥満、代謝症候群、糖尿病、インスリン抵抗性、肺動脈性肺高血圧症、くも膜下出血、脳内出血、虚血性脳卒中、ベータ-サラセミア、鎌状赤血球症、関節リウマチ、過敏性腸障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、放射線誘発皮膚炎、アトピー性皮膚炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、毒性誘導性肝疾患、ウイルス性肝炎及び肝硬変、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、常染色体優性多発性嚢胞腎、1型糖尿病(T1D)に関連するCKD、IgA腎症(IgAN)、アルポート症候群、巣状分節性糸球体硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、フリートライヒ運動失調症、慢性疼痛、統合失調症、肺癌、乳癌、結腸癌、加齢黄斑変性(AMD)、フックス角膜内皮ジストロフィー、ぶどう膜炎又は子癇前症の治療における使用のための
、請求項20に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラヒドロイソキノリン化合物に関する。より具体的には、本発明は、Nrf2活性化剤であるテトラヒドロイソキノリン化合物に関する。本発明は、これらの化合物の調製のためのプロセス、それらを含む医薬組成物並びにNrf2活性化及び/又はKeap1-Nrf2タンパク質-タンパク質相互作用の阻害と関連する疾患又は障害の治療におけるそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
赤血球系転写因子2関連転写因子2(Nrf2)は、塩基性ロイシンジッパー(bZIP)転写因子及び転写因子のCap‘n’Collar(CNC)ファミリーのメンバーである。それは、誘導性細胞防御システムの重要な主装置であり、解毒第I相及び第II相の酵素及び抗酸化タンパク質を含む100を超える酸化ストレス関連遺伝子の発現を媒介する。これらの遺伝子は全て、Nrf2の結合標的であるそれらのプロモーター調節領域中の抗酸化剤応答配列(ARE)を含有する。基底条件下で、Nrf2のレベルは、Nrf2と結合し、Cul3系E3ユビキチンリガーゼ複合体を介してプロテアソーム分解を引き起こす、細胞基質アクチン結合型リプレッサータンパク質であるアダプタータンパク質Keap1によって厳密に制御される。酸化ストレスの条件下で、Keap1は不活性化されて、核に移動し、AREに結合して、細胞保護的遺伝子発現において上方制御をもたらす新規に合成されたNrf2のレベルの増大をもたらす。
【0003】
COPD対象におけるNrf2 mRNA発現は、対照対象におけるものより著しく低く、Nrf2 mRNAは、パック年と負に相関したことが示されている。COPD対象におけるNrf2タンパク質は、対照対象におけるものより著しく低かった。CSE誘導性A549細胞アポトーシスは、時間依存的及び濃度依存的な様式で増加され、且つNrf2ノックダウンによって著しく増加された(Yamada,BMC Pulmonary Medicine,doi:10.1186/s12890-016-0189-1)。したがって、COPD患者の肺におけるNrf2レベルの上昇は、肺の有害な構造的改変及び遅い疾患進行をもたらす炎症性プロセスの低減を引き起こすはずである。Nrf2は、急性、慢性及び重症喘息(Sussan,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol,doi:10.1152/ajplung.00398.2014)、多臓器不全症候群を伴うか又は伴わない急性肺損傷/急性呼吸促迫症候群(Yan,Free Radical Biol Med,doi:10.1016/j.freeradbiomed.2018.04.557;de la Vega Curr Pharmacol Rep,doi:10.1007/s40495-016-0053-2)、原因不明の肺線維症を含む肺線維症(Kikuchi,Respir Res,doi:10.1186/1465-9921-11-31)及び嚢胞性線維症(Chen,PLoS One,doi:10.1371/journal.pone.0003367)などの酸化ストレス構成要素を呈する他の呼吸器疾患において正の利益を示すことも予想され得る。実際に、Nrf2活性化剤により酸化還元及びタンパク質恒常性を回復させ、炎症の回復を促進し、且つ肺における修復を推進することによる細胞保護の組合せは、COVID-19の治療のためのそれらの潜在力に光を当てた(Cuadrado et al,Trends Pharmacol Sci,doi:10.1016/j.tips.2020.07.003)。
【0004】
アテローム性動脈硬化症、虚血、再灌流、心肥大及び心不全のモデルにおけるNrf2の心臓を保護する性質が実証されている(Chen,Physiol Genomics,doi:10.1152/physiolgenomics.00041.2017)。Nrf2活性化剤バルドキソロンメチルは最近、肺動脈性肺高血圧症(PAH)を有する患者における第II相試験を完了し、第III相試験は、6分の歩行距離における著しい改善に基づいて進行中である。バルドキソロンは、Keap1と共有結合的に反応するが、Keap1結合の別の機構を介してNrf2を活性化する化合物も、PAH、特に根底にある強皮症又はエリテマトーデスなどの結合組織障害(CTD)も有する患者において治療的に有用であると予想されるはずである。酸化ストレスは、疾患のある心筋において上昇され、心機能に対して負の影響を及ぼす活性酸素種のレベルの上昇をもたらす(Bolli,Circ,doi:10.1161/circ.76.2.3111744)。Nrf2活性化は、心筋の酸化ストレス、心臓性アポトーシス、肥大化、線維症及び圧負荷のマウスモデルにおける機能障害を抑制し(Wang,J Card Failure,doi:10.1016/j.cardfail.2012.06.003)、且つ齧歯類モデルにおける心虚血性/再灌流傷害に対して保護する(Zhang,J Mol Cell Cardiol,doi:10.1016/j.yjmcc.2010.05.01)ことが示されている。さらに、心血管系における抗酸化防御の損傷における酸化剤の過剰な産生も肥満、代謝症候群及び糖尿病などの代謝性疾患において記載されており、Nrf2の活性化も有望な治療戦略として提案されている(da Costa,Front Pharmacol.,doi:10.3389/fphar.2019.00382)。加えて、Nrf2活性化剤スルホラファンは、2型糖尿病を有する患者において、肝性のグルコース産生を減少させ、且つグルコース制御を改善し(Axelsson,Sci Transl Med.,doi:10.1126/scitranslmed.aah4477)、バルドキソロンメチルは、血糖制御を改善すると共にベースラインBMIに比例して一般に肥満患者において体重減少を誘導することが示された(Chertow et al,J Diabetes Complications,doi:10.1016/j.jdiacomp.2018.09.005)。加齢性ミトコンドリア機能不全及び酸化的損傷は、サルコペニア及び心血管疾患を含む複数の健康問題の主要な原因であり、Nrf2活性化剤スルホラファンによる加齢マウスの治療は、Nrf2活性、ミトコンドリア機能、心機能、運動能力、耐糖能及び骨格筋衛星細胞の活性化/分化を回復させた(Bose et al,Aging cell,doi:10.1111/acel.13261)。したがって、Nrf2の活性化をもたらす薬物は、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、心筋梗塞及び修復、心臓性組織修復、心不整脈、駆出率低下型心不全、糖尿病性心筋症、糖尿病性腎症、代謝症候群、肥満、糖尿病(1型又は2型)並びにインスリン抵抗性を含むが、これらに限定されない、いくつかの心血管及び代謝性疾患に有用であるはずと期待される。
【0005】
くも膜下出血(SAH)は、有効な療法の欠如のために高い罹患率及び死亡率を有する壊滅的な状態である。早期脳損傷(EBI)及び脳血管攣縮(CVS)は、SAHを有する患者に関する脳損傷及び予後不良に関する2つの最も重要な病態生理的機構である(clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT0261474,SFX01 After Subarachnoid Haemorrhage(SAS))。実験的なSAH研究からのエビデンスは、SAH後のEBI及びCVSにおけるNrf2/ARE経路の防御的な役割を示す。SAH後のラットに対するスルホラファン(SFN)の投与は、Nrf2-ARE経路の活性を増強し、脳底動脈における血管攣縮を減弱し、且つ炎症性サイトカインの放出を抑制する(Zhao,Brain Res.,doi:10.1016/j.brainres.2016.09.035)。脳内出血(ICH)は、毎年世界中で発生している1500万人の脳卒中の10~15%において主要な事象である。インビトロ試験は、Nrf2活性化剤が星状細胞におけるHO-1発現を迅速に増加させ、ヘモグロビン又はヘミンに対するそれらの脆弱性を減少させることを実証した。低分子Nrf2活性化剤による全身性の治療は、血管周囲の細胞、特に、星状細胞におけるHO-1発現を増加させた。マウス又はラットICHモデルにおいて試験されるとき、Nrf2活性化剤は、一貫して防御的であり、バリア機能を改善し、浮腫、炎症、神経消失及び神経障害を減弱していた(Chen-Roetling,Curr Pharm Des,doi:10.2174/1381612822666161027150616)。虚血性脳卒中は活性酸素種を誘発し、虚血下の脳において酸化的及び炎症性応答を引き起こす。今日までに、組換え組織プラスミノーゲン活性化剤が、虚血性脳卒中の治療のために唯一利用可能である。しかしながら、治療は、虚血下の脳において酸化ストレス及び炎症を予防しない。D3T、硫黄含有ジチオレチオン化合物は、アブラナ科植物において見出され、Nrf2の活性化を介して抗酸化体遺伝子を誘導することが報告されている。D3Tは、脳梗塞を減弱し、脳卒中動物における神経障害を寛解させることが示されている(Yen,J Immunol 2017,198(1 supplement)206.20)。加えて、D3Tは、虚血下の脳において好中球及び単球を含むCNS浸潤性炎症性免疫細胞を減少させた。さらに、炎症性サイトカイン産生のD3T誘導性の抑制は、Nrf2欠損ミクログリア中ではなく野生型において観察された。さらに、虚血性脳梗塞の減弱に対するD3Tの防御的効果は、Nrf2欠損脳卒中動物及びHO-1阻害剤を投与された脳卒中動物において消失させられた。これらの結果は、虚血下の脳における炎症のD3T媒介性抑制が、Nrf2/HO-1経路を介して媒介され、したがって、Nrf2/HO-1経路を標的化することが、虚血性脳卒中における神経炎症の寛解のための有望な治療戦略であり得ることを示唆している。
【0006】
Nrf2は、ベータ-サラセミア及び鎌状赤血球症(SCD)などのいくつかの異常ヘモグロビン症において重要な役割を果たすと考えられる。SCDは、変異したベータ-グロビンタンパク質ヘモグロビンS(HbS)をもたらす単一のミスセンス変異によって引き起こされる劣性遺伝性障害である。低酸素濃度では、HbSが重合して、破裂して血漿中に遊離ヘムを放出しやすくなる赤血球の変形を引き起こす。結果として生じる酸化ストレス及び炎症は、身体の多臓器において損傷を引き起こす。Keap1の消失及び結果として生じるNrf2の構成的活性化は、SCDモデルマウスにおいて予後の改善をもたらすことが示されている(Zhu,Blood,doi:10.1182/blood-2017-10-810531;Keleku-Lukwete PNAS,doi:10.1073/pnas.1509158112)。Nrf2活性化は、溶血性貧血及び臓器不全の進行を遅くすることが示されており(Ghosh,JCI Insight,doi:10.1172/jci.insight.81090)、Nrf2機能の消失は、トランスジェニックSCDマウスにおけるSCDの病態生理を悪化させる(Zhu,Blood,doi:10.1182/blood-2017-10-810531)。既知の化合物D3TによるNrf2の全体的な活性化は、トランスジェニックSCDマウスのヘム誘導性急性胸部症候群モデルにおいて致死率を低減する(Ghosh,Brit.J.Heamatology doi:10.1111/bjh.15401)。加えて、Nrf2活性化剤は、ガンマ-グロビンプロモーターにおける直接的な結合及びベータ-グロビン座位におけるクロマチン構造の修飾によって胎児ヘモグロビン(HbF)発現を調節することも示されている。鎌状赤血球細胞において、Nrf2は、ヘモグロビンSの重合及び慢性溶血に起因する酸化ストレスに対する防御を阻害するためのHbF誘導を介する固有の利益をもたらす(Zhu et al,Exp Biol Med doi:10.1177/1535370219825859)。したがって、Nrf2の低分子活性化剤の開発は、鎌状赤血球症及びベータ-サラセミアなどのHbFの増加が有利である他の疾患の臨床的重症度を寛解させる潜在力を有する。
【0007】
Nrf2の機能は、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症及びフリートライヒ運動失調症などの多くの神経変性障害において改変される(Dinkova-Kostova,FEBS,doi:10.1111/febs.14379)。Nrf2活性化は、抗酸化防御の上方制御、炎症の阻害、ミトコンドリア機能の改善及びタンパク質恒常性の維持を介してこれらの神経変性障害に関与する複数の発症プロセスを軽減する。Nrf2の低分子薬理学的活性化剤は、神経変性疾患の多数の動物モデル(Joshi,Neurobiol Aging,doi:10.1016/j.neurobiolaging.2014.09.004;Alarcon-Aguilar,Neurobiol Aging,doi:10.1016/j.neurobiolaging.2014.01.143)及び変異体タンパク質を発現するヒト細胞の培養物中において防御的作用を示した。テクフィデラ(フマル酸ジメチル)は、Nrf2を活性化し(他の機構に加えて)、再発寛解型多発性硬化症を治療するために米国で承認されている。現在、遺伝性神経変性障害であるフリードリヒ運動失調症の治療のための第II相試験にあるNrf2活性化剤オマベロキソロン(RTA-408)は、治療の48週間後にプラセボと比較して、改変されたフリードリヒ運動失調症評価尺度(mFARS)における変化の主要評価項目を満たした。したがって、Nrf2シグナル伝達の標的化は、神経変性障害の発症を遅延させ、進行を緩徐化し、且つ症状を寛解させる治療選択肢を提供し得る。酸化ストレスの役割及びCNSの障害におけるミトコンドリア機能不全に起因して、Nrf2活性化剤による慢性疼痛及び統合失調症の治療も示唆されている。
【0008】
関節リウマチ(RA)は、関節の慢性炎症を引き起こす自己免疫疾患であり、疾患再燃及び寛解の期間によって特徴付けられる。複数の関節が冒され、永続的な関節破壊及び変形を引き起こす場合がある。Nrf2は、関節炎マウス及びRA患者の関節において活性化されることが見出されている。Nrf2ノックアウトマウスは、より重篤な軟骨損傷及びさらなる酸化的損傷を有し、Nrf2標的遺伝子の発現は、抗体誘導性関節炎の間にノックアウトマウスではなくNrf2野生型において増強される(Wruck,BMJ Annals of Rheumatic Diseases,doi:10.1136/ard.2010.132720)。さらに、K/BxNトランスジェニックマウスからNrf2(-/-)マウスへの血清の移行を使用する関節リウマチの動物モデルにおいて、Nrf2欠損は、関節炎の発生率を促進し、且つ動物は、前後の足の両方で発症する広範な疾患を示した(Maicas,Antioxidants & Redox Signaling,doi:10.1089/ars.2010.3835)。
【0009】
潰瘍性大腸炎(UC)及びクローン病(CD)は、腸上皮の機能障害によって引き起こされる潰瘍性大腸炎(IBD)の慢性再発寛解型である。腸上皮細胞に対する損傷は、腸上皮のバリア機能を破壊することができ、異常な免疫応答及び炎症状態を促進する。したがって、無傷の腸上皮は、健康な腸にとって非常に重要であり、且つ腸上皮細胞を標的化し得る細胞保護剤は、UC及びCDの治療にとって有益であろう。抗酸化レベル及び酸化ストレスバイオマーカーは、通常、IBDにおける疾患重症度と相関し、いくつかのゲノムワイド関連研究は、酸化ストレスへの応答に関与する複数の遺伝子にIBD関連一塩基多型(SNP)を関連付け、多くはNrf2により調節される(Khor et al,Nature,doi:10.1038/nature10209)。CPUY192018、Keap1-Nrf2タンパク質-タンパク質相互作用の低分子阻害剤(及びしたがって、Nrf2活性化剤)は、NCM460細胞及びマウス結腸の両方においてデキストラン硫酸ナトリウムによって誘発されるUCの実験モデルにおける細胞保護作用を実証した(Lu,Scientific Reports,doi:10.1038/srep26585)。また、Nrf2ノックアウトマウスは、大腸炎関連結腸直腸癌への易罹患性の増大を示すことが示されている(Khor,Cancer Prev Res(Phila),doi:10.1158/1940-6207)。
【0010】
Fumaderm、フマル酸ジメチル(DMF)及びフマル酸モノエチルの3つの塩の混合物は、乾癬の治療のために1994年にドイツにおいて認可された。DMFの可能性のある形態、フマル酸ものメチル(MMF)は、一次マウス角化細胞における全体的及び核Nrf2レベルを増大させ、且つヘムオキシゲナーゼ-1及びペルオキシレドキシン-6などのいくつかのNrf2-下流エフェクターのmRNA発現の増強をもたらすことが示されている。(Helwa,J Pharmacol.Exp.Ther.,doi:10.1124/jpet.116.239715)。放射線誘発皮膚炎/皮膚障害、アトピー性皮膚炎及び創傷治癒などの他の皮膚障害は、Nrf2活性化剤による治療から恩恵を被り得る(Wu et al,Mol Med Rep.2019 Aug;20(2):1761-1771)。
【0011】
Nrf2の活性化は、肝臓及び腎臓の両方の疾患において有利な作用を有することが示されている。NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)は、世界中で慢性肝疾患の主因として認識される。NAFLDは、一連の疾患を表し、そのいくつかは、肝硬変及び肝細胞癌(HCC)へと進展する可能性がある。NAFLDの全てのサブタイプは、心血管イベントのリスク及び死亡率を増加させるが、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)は、患者を肝硬変及び肝臓関連合併症にさせるNAFLDの主要な診断サブタイプである。NAFLD及びNASHに関して現在承認されている薬物治療が存在する。しかしながら、マウスにおけるNrf2のノックアウトは非常に、メチオニン及びコリンを欠く(MCD)食餌(Chowdry,Free Radic Biol Med,doi:10.1016/j.freeradbiomed.2009.11.007)又は高脂肪(HF)食餌(Okada,J Gastroenterol,doi:10.1007/s00535-012-0659-z)のいずれかによって刺激されたNASHの素因になり、Nrf2の薬理学的活性化は、マウスモデルのNASHを回復させることが示されている(Sharma,Cell Mol Gastroenterol Hepatol,doi:10.1016/j.jcmgh.2017.11.016)。毒性誘導性肝疾患、ウイルス性肝炎及び肝硬変などの他の肝疾患は、Nrf2活性化剤による治療から恩恵を被り得る。活性酸素種などの酸化ストレス分子は、Nrf2が一過的且つわずかに活性化される急性腎臓傷害(AKI)に関する動物モデルの腎臓において蓄積する。腎尿細管におけるNrf2活性の遺伝的又は薬理学的増強は、AKIに関連する損傷を著しく寛解させ、酸化ストレスを低減することによってAKIの慢性腎疾患(CKD)への進行を妨げる。しかしながら、ステージ4のCKD及び2型糖尿病(T2DM)を有する患者のためのKEAP1阻害剤であるCDDO-Me又はバルドキソロン-メチルの第III相臨床試験は、心血管イベントの発生により中止となった。最近の基礎研究において、CKDの中等度ステージにおけるKEAP1阻害剤の正の効果が蓄積されてきたため、第II相試験が再開された。進行中のプロジェクトからのデータは、Nrf2活性化剤/KEAP1阻害剤が、安全性の懸念を伴わずにステージ3CKD及びT2DMを有する患者において糸球体濾過率を改善することを実証している(Nezu,Am J Nephrol,doi:10.1159/000475890)。炎症反応及び酸化ストレスは、比較的芳しくない予後及び不十分な治療レジメンを有する一般的な慢性腎疾患である巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)の病理発生において関係づけられる。Nrf2経路を上方制御するCXA-10は現在、巣状分節性糸球体硬化症のための臨床試験中である(FIRSTx-原発性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)における経口CXA-10の試験;clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03422510)。バルドキソロンメチルは、治療の12週後に常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)、1型糖尿病(T1D)と関連するCKD、IgA腎症(IgAN)又はFSGSのいずれかを有する患者における腎機能の著しい改善をもたらすことが第II相試験において示されている(https://www.reatapharma.com/press-releases/reata-announces-positive-phase-2-data-for-bardoxolone-methyl-in-patients-with-focal-segmental-glomerulosclerosis-and-in-patients-from-all-four-cohorts-of-phoenix/)。アルポート症候群は、糸球体基底膜を構築する成分であるIV型コラーゲンの遺伝子異常によって引き起こされる腎不全の原因としては2番目に多い遺伝性疾患である。バルドキソロンメチルは、ミトコンドリア機能不全、炎症及び酸化ストレスに関連する根底にある病理学的プロセスに影響を及ぼすと考えられるため、現在、これらの患者において研究されており、Nrf2活性化剤がこの疾患に有用である可能性が示唆されている。
【0012】
酸化ストレスは、癌の開始及び進行において非常に重要な役割を果たす(Gorrini,Nat Rev Drug Discov.,doi:10.1038/nrd4002)。酸化還元の細胞恒常性の維持における重要性のために、Nrf2は、細胞保護的転写因子及び腫瘍抑制因子であると考えられる。低い恒常性レベルで、Nrf2は、ROS、発癌物質及び他のDNA損傷剤を除去することができ、腫瘍の惹起及び転移の阻害をもたらす(Milkovic et al.Redox Biol.doi:10.1016/j.redox.2017.04.013)。Evgenは現在、ER+/HER-転移性乳癌を含む転移性乳癌(STEM)の治療及び評価(clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02970682)においてSFX-01(スルホラファン-シクロデキストリン複合体)を評価している。バルドキソロン誘導体は、A/Jマウスにおいてカルバミン酸ビニルによって誘発される肺癌を予防することが示されている(Liby,Cancer Res.doi:10.1158/0008-5472)。したがって、Nrf2の活性化剤は、癌の予防において役割を有する可能性がある。
【0013】
加齢黄斑変性(AMD)は、西洋諸国において失明の主要な原因であり、酸化ストレスはAMD病理発生及び進行に大きい役割を果たす。Nrf2活性化剤は、網膜の外層を模倣する培養された細胞を酸化ストレスから保護できることが示されており、初期のAMD患者の視力を維持する可能性が示唆されている(Bellezza,Front Pharmacol.2018;9:1280)。加えて、Nrf2活性化剤は、フックス角膜内皮ジストロフィー及びぶどう膜炎などの他の眼の状態でも有用であり得る。
【0014】
近年、Nrf-2活性化剤も、酸化ストレス及び内皮細胞アポトーシスの抑制を介する子癇前症の治療に利点を有することが示唆されている(Jiang et al,Oxid Med Cell Longev doi:10.1155/2021/8839394)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、複数の適応症におけるNrf2の役割を考慮すると、Nrf2の活性化が可能な薬剤が継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様において、本発明は、本明細書で定義されるとおりの化合物又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0017】
別の態様において、本発明は、本明細書で定義されるとおりの本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩及び1つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0018】
別の態様において、本発明は、療法における使用のための本明細書で定義されるとおりの本発明の化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は本明細書で定義されるとおりの医薬組成物に関する。
【0019】
別の態様において、本発明は、Nrf2活性化によって媒介される疾患又は障害の治療における使用のための本明細書で定義されるとおりの本発明の化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は本明細書で定義されるとおりの医薬組成物に関する。
【0020】
別の態様において、本発明は、Nrf2活性化によって媒介される疾患又は障害の治療における使用のための医薬の製造における、本明細書で定義されるとおりの本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩の使用に関する。
【0021】
別の態様において、本発明は、Nrf2活性化によって媒介される疾患又は障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、治療有効量の、本明細書で定義されるとおりの本発明の化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は本明細書で定義されるとおりの医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0022】
Nrf2活性化によって媒介される疾患又は障害の例としては、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺動脈性肺高血圧症、糖尿病、慢性腎疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、フリートライヒ運動失調症、鎌状赤血球症及び非アルコール性脂肪性肝炎が挙げられる。
【0023】
別の態様において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺動脈性肺高血圧症、糖尿病、慢性腎疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、フリートライヒ運動失調症、鎌状赤血球症又は非アルコール性脂肪性肝炎の治療における使用のための、本明細書で定義されるとおりの化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は医薬組成物を提供する。
【0024】
別の態様において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺動脈性肺高血圧症、糖尿病、慢性腎疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、フリートライヒ運動失調症、鎌状赤血球症又は非アルコール性脂肪性肝炎の治療における使用のための医薬の製造における化合物又は医薬的に許容される塩の使用を提供する。
【0025】
別の態様において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺動脈性肺高血圧症、糖尿病、慢性腎疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、フリートライヒ運動失調症、鎌状赤血球症又は非アルコール性脂肪性肝炎を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、治療有効量の、本明細書で定義されるとおりの化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0026】
本発明は、本明細書において定義する化合物又はその医薬的に許容される塩を合成する方法をさらに提供する。
【0027】
他の態様において、本発明は、本明細書において定義する合成方法により得ることができるか、又は得られるか、又は直接得られる化合物又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0028】
他の態様において、本発明は、本明細書に記載する合成方法のいずれかに使用するのに適した本明細書に定義する新規な中間体を提供する。
【0029】
本発明のいずれかの特定の態様の好ましい特徴、好適な特徴及び任意選択の特徴は、他のいずれかの態様の好ましい特徴、好適な特徴及び任意選択の特徴でもある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
特に断りのない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する以下の語は以下に記載する意味を有する。
【0031】
「治療する」又は「治療」に言及する場合、これはある状態において発現する症状を予防することに加えて、その緩和も含むことを理解すべきである。したがって、ある状態、障害又は病態の「治療」には、(1)ヒトに発生する状態、障害又は病態にかかっているか又はその素因を有している可能性があるが、未だその臨床症状又は準臨床症状を経験していないか又はこれらが出現していない、状態、障害又は病態の発現を阻止又は遅延させること;(2)その状態、障害又は病態を抑制すること、すなわち、疾患の発症若しくは再発(維持療法の場合)又はその臨床症状若しくは準臨床症状の少なくとも1つを停止、軽減又は遅延すること;又は(3)その疾患を除去又は減弱すること、すなわち、その状態、障害若しくは病態又はその臨床症状若しくは準臨床症状の少なくとも1つを後退させることが含まれる。
【0032】
「治療有効量」とは、疾患を治療すべき哺乳動物に化合物を投与する際、その疾患のこのような治療に効果を発揮させるのに十分な量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患及びその重症度並びに治療すべき哺乳動物の年齢や体重等に応じて変化するであろう。
【0033】
本明細書において、用語「アルキル」は、直鎖及び分岐鎖の両方のアルキル基を包含する。「プロピル」等の個々のアルキル基に言及する場合、これは直鎖形態のみに限定され、「イソプロピル」等の個々の分岐鎖アルキル基に言及する場合、これは分岐鎖形態のみに限定される。例えば、「(1~6C)アルキル」には、(1~4C)アルキル、(1~3C)アルキル、プロピル、イソプロピル及びtーブチルが含まれる。他の基に関しても同様の言い換えが適用され、例えば、「フェニル(1~6C)アルキル」には、フェニル(1~4C)アルキル、ベンジル、1-フェニルエチル及び2-フェニルエチルが含まれる。
【0034】
本明細書において、用語「アルキレン」は、直鎖及び分岐鎖二価アルキル基の両方を含む。例えば、「C1~4アルキレン」は、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン及びブチレンを含む。
【0035】
本明細書において、用語「アルコキシ」は、酸素に単結合した直鎖及び分岐鎖アルキル基の両方を含む。例えば、「C1~4アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ及びt-ブトキシを含む。
【0036】
単独で又は接頭語として使用される用語「(m~nC)」又は「(m~nC)基」は、m~n個の炭素原子を有する任意の基を指す。
【0037】
「シクロアルキル」は、炭素原子を含有する炭化水素単環式又は二環式環を意味する。単環式シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが挙げられる。二環式環は、縮合され得るか又はスピロ結合され得る;二環式シクロアルキル基の例としては、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、スピロ[2.4]ヘプタン、ビシクロ[4.1.0]ヘプタン及びビシクロ[2.2.1]ヘプタンが挙げられる。
【0038】
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。
【0039】
本明細書において用いられる用語「ハロアルキル」は、それぞれ1つ以上の水素原子がハロゲン(例えば、フッ素)原子に置き換わっているアルキル基を指す。ハロアルキル基の例としては、フルオロアルキル基(-CHF2、-CH2CF3等)又はパーフルオロアルキル/パーフルオロアルコキシ基(-CF3又は-CF2CF3等)が挙げられる。
【0040】
用語「複素環式」は、非芳香族の飽和若しくは部分飽和の単環式、縮合環式、架橋環式又はスピロ二環式の複素環系を意味する。単環式複素環は、環内に約3~12(好適には3~7つ)の環原子を、1~5つ(好適には1、2又は3つ)の窒素、酸素又は硫黄から選択されるヘテロ原子と一緒に含む。二環式複素環は、環内に7~17の環員原子、好適には7~12の環員原子を含む。二環式複素環は、縮合環系、スピロ環系又は架橋環系であり得る。複素環式基としては、例えば、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサニル及び置換環状エーテル等の環状エーテルが挙げられる。含窒素複素環としては、例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロトリアジニル、テトラヒドロピラゾリル等が挙げられる。典型的な含硫黄複素環としては、テトラヒドロチエニル、ジヒドロ-1,3-ジチオール、テトラヒドロ-2H-チオピラン及びヘキサヒドロチエピンが挙げられる。他の複素環としては、ジヒドロ-オキサチオニル、ジヒドロイソオキサゾリル(4,5-ジヒドロイソオキサゾリルなど)、ジヒドロピリジニル(1,2-ジヒドロピリジニル又は1,6-ジヒドロピリジニルなど)、テトラヒドロ-オキサゾリル、テトラヒドロ-オキサジアゾリル、テトラヒドロ-ジオキサゾリル、テトラヒドロ-オキサチアゾリル、ヘキサヒドロトリアジニル、テトラヒドロ-オキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピリミジニル、ジオキソリニル、オクタヒドロベンゾフラニル、オクタヒドロベンゾイミダゾリル及びオクタヒドロベンゾチアゾリルが挙げられる。含硫黄複素環には、SO基又はSO2基を含む、酸化された含硫黄複素環も包含される。その例として、テトラヒドロチエニル及びチオモルホリニルのスルホキシド形態及びスルホン形態(テトラヒドロチエン1,1-ジオキシド、チオモルホリニル1,1-ジオキシド等)が挙げられる。1つ又は2つのオキソ(=O)又はチオキソ(=S)置換基を有する複素環式基に好適な基としては、例えば、2-オキソピロリジニル、2-チオキソピロリジニル、2-オキソイミダゾリジニル、2-チオキソイミダゾリジニル、2-オキソピペリジニル、2,5-ジオキソピロリジニル、2,5-ジオキソイミダゾリジニル又は2,6-ジオキソピペリジニルが挙げられる。具体的な複素環式基は、窒素、酸素又は硫黄から選択される1、2又は3つのヘテロ原子を含む飽和単環式3~7員環複素環、例えば、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル1,1-ジオキシド、チオモルホリニル、チオモルホリニル1,1-ジオキシド、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル又はホモピペラジニルである。いずれの複素環も炭素原子又は窒素原子等の任意の好適な原子を介して他の基に結合し得ることを当業者は理解するであろう。好適には、「複素環式」という語は、上に定義した4、5、6又は7員環の単環を指すであろう。
【0041】
本明細書は、複数の官能性を含む基を説明するために複合語も利用する。かかる用語は、当業者によって理解されるであろう。例えば、C1~4アルキレン-C3~7シクロアルキルとは、C3~7シクロアルキル基で置換されたC1~4アルキレンを意味する。
【0042】
「任意選択により置換されている」という語は、置換されている基、構造又は分子及び置換されていない基、構造又は分子の両方を指す。
【0043】
任意選択の置換基が「1つ以上の」群から選択される場合、この定義は、全ての置換基を指定した群の1つから選択すること又は置換基を指定した群の2つ以上から選択することを含むと理解されたい。
【0044】
「本発明の化合物」という句は、本明細書に包括的に開示する化合物及び具体的に開示する化合物の両方を意味する。
【0045】
本発明の化合物
第1の態様において、本発明は、式I
【化1】
(式中、
R
1は、C
1~4アルキレン-R
4であり;
R
2は、CO
2H及びテトラゾリルから選択され;
R
3は、水素及びメチルから選択され;
Xは、CR
5R
6又はOであり;
R
4は、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル又はピリミジニルであり、前記トリアゾリル又はピリミジニル基は、
C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、C
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキル、ハロ、OH、C
1~3アルコキシ及びシアノから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換され;及び
シクロアルキル又はヘテロシクリル環に任意選択により縮合され;
R
5は、水素、C
1~4アルキル、C
3~7シクロアルキル及びC
1~3ハロアルキルから選択され;及び
R
6は、水素及びC
1~4アルキルから選択されるか;又は
R
5及びR
6は、それらが結合される炭素原子と共に、3又は4員シクロアルキル環を形成し;
mは、0又は1であり;及び
nは、1又は2である)
の化合物又はその医薬的に許容される塩であって、
ただし、式Iの化合物は、以下の化合物:
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;又は
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
の1つではないことを条件とする、化合物又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0046】
本発明の特定の化合物としては、例えば、式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩が挙げられ、別段の指定がない限り、R
1、R2、R
3、R
4、R
5、R
6、X、n及びmのそれぞれが、上記又は以下のパラグラフ(1)~(54)のいずれかに定義される意味のいずれかを有する。疑義を避けるために明記すると、本発明の範囲は、式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩を包含し、本明細書に定義される置換基の定義のいずれかは、本明細書に定義される他の置換基の定義のいずれかと組み合わされ得る:
(1)R
1はC
1~4アルキレン-R
4であり;
(2)R
1はCH
2-R
4であり;
(3)R
1はCH
2CH
2-R
4であり;
(4)R
2はCO
2Hであり;
(5)R
2はテトラゾリルであり;
(6)R
3は水素であり;
(7)R
3はメチルであり;
(8)R
4は、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、C
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキル、ハロ、OH、C
1~3アルコキシ及びシアノから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される1,2,3-トリアゾリルであり;
(9)R
4は、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル及びC
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される1,2,3-トリアゾリルであり;
(10)R
4は、C
1~4アルキル及びC
1~3フルオロアルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される1,2,3-トリアゾリルであり;
(11)R
4は、メチル、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される1,2,3-トリアゾリルであり;
(12)R
4は、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、C
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキル、ハロ、OH、C
1~3アルコキシ及びシアノから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される1,2,3-トリアゾリル-4-イルであり;
(13)R
4は、メチル、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される1H-1,2,3-トリアゾリル-4-イルであり;
(14)R
4は、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、C
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキル、ハロ、OH、C
1~3アルコキシ又はシアノで任意選択により置換される1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾリル-4-イルであり;
(15)R
4は、メチル、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルで任意選択により置換される1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾリル-4-イルであり;
(16)R
4は、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、C
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキル、ハロ、OH、C
1~3アルコキシ及びシアノから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される1,2,4-トリアゾリルであり;
(17)R
4は、C
1~4アルキル及びC
1~3フルオロアルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される1,2,4-トリアゾリルであり;
(18)R
4は、メチル、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される1,2,4-トリアゾリルであり;
(19)R
4は、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、C
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキル、ハロ、OH、C
1~3アルコキシ及びシアノから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される4H-1,2,4-トリアゾール-3-イルであり;
(20)R
4は、メチル、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換される4H-1,2,4-トリアゾール-3-イルであり;
(21)R
4は、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、C
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキル、ハロ、OH、C
1~3アルコキシ又はシアノで任意選択により置換される4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イルであり;
(22)R
4は、メチル、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルで任意選択により置換される4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イルであり;
(23)R
4は、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、C
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキル、ハロ、OH、C
1~3アルコキシ及びシアノから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換されるピリミジニルであり;
(24)R
4は、C
1~4アルキル及びC
1~3ハロアルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換されるピリミジニルであり;
(25)R
4は、メチル、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換されるピリミジニルであり;
(26)R
4は、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、C
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキル、ハロ、OH、C
1~3アルコキシ又はシアノから独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換されるピリミジン-5-イルであり;
(27)R
4は、メチル、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルで任意選択により置換されるピリミジン-5-イルであり;
(28)R
4は、シクロアルキル又はヘテロシクリル環に縮合される1,2,3-トリアゾリルであり;
(29)R
4は、シクロアルキル又はヘテロシクリル環に縮合される1,2,3-トリアゾール-4-イルであり;
(30)R
4は、以下の基:
【化2】
の1つから選択され、前記基は、C
1~4アルキル及びC
1~3フルオロアルキルで任意選択により置換され;
(31)R
4は、以下の基:
【化3】
の1つから選択され、前記基は、メチル又はジフルオロメチルで任意選択により置換され;
(32)R
4は、以下の基:
【化4】
の1つから選択され、前記基は、C
1~4アルキル及びC
1~3フルオロアルキルで任意選択によりさらに置換され;
(33)R
4は、以下の基:
【化5】
の1つから選択され、前記基は、メチル、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルで任意選択によりさらに置換され;
(34)R
4は、以下の基:
【化6】
の1つから選択され;
(35)R
1は、CH
2-R
4であり、及びR
4は、以下の基:
【化7】
の1つから選択され;前記基は、C
1~4アルキル及びC
1~3フルオロアルキルで任意選択により置換され;
(36)R
1は、CH
2-R
4であり、及びR
4は、以下の基:
【化8】
の1つから選択され、前記基は、C
1~4アルキル及びC
1~3フルオロアルキルで任意選択によりさらに置換され;
(37)R
1は、CH
2-R
4であり、及びR
4は、以下の基:
【化9】
の1つから選択され;前記基は、メチル、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルで任意選択によりさらに置換され;
(38)R
1は、CH
2-R
4であり、及びR
4は、以下の基:
【化10】
の1つから選択され;
(39)R
1は、CH
2-R
4であり、且つR
4は、以下の基:
【化11】
の1つから選択され;
(40)XはOであり;
(41)XはCR
5R
6であり;
(42)R
5は、水素、メチル、シクロプロピル及びC
1~3フルオロアルキルから選択され;
(43)R
5は、水素及びメチルから選択され;
(44)R
5はメチルであり;
(45)R
6は、水素及びメチルから選択され;
(46)R
6は水素であり;
(47)R
5はメチルであり、且つR
6は水素であり;
(48)R
5及びR
6は、それらが結合される炭素原子と共に、シクロプロピル環を形成し;
(49)nは1であり、且つXはCR
5R
6であり;
(50)nは1であり、XはCR
5R
6であり、R
5はメチルであり、且つR
6は水素であり;
(51)nは1であり、XはCR
5R
6であり、且つR
5及びR
6は、それらが結合される炭素原子と共に、シクロプロピル環を形成し;
(52)nは2であり、且つXはOであり;
(53)mは0であり;
(54)mは1である。
【0047】
好適には、R1は、上記のパラグラフ(1)~(3)又は(35)~(39)のいずれか1つに定義される。一実施形態において、R1は上記のパラグラフ(2)に定義される。一実施形態において、R1は上記のパラグラフ(39)に定義される。
【0048】
好適には、R2は、上記のパラグラフ(4)~(5)のいずれか1つに定義される。一実施形態において、R1は上記のパラグラフ(4)に定義される。
【0049】
好適には、R3は、上記のパラグラフ(6)~(7)のいずれか1つに定義される。一実施形態において、R3は上記のパラグラフ(7)に定義される。
【0050】
好適には、R4は、上記のパラグラフ(8)~(34)のいずれか1つに定義される。一実施形態において、R4は上記のパラグラフ(32)~(34)に定義される。一実施形態において、R4は上記のパラグラフ(34)に定義される。
【0051】
好適には、Xは、上記のパラグラフ(40)~(41)のいずれか1つに定義される。一実施形態において、Xは、上記のパラグラフ(41)に定義される。
【0052】
好適には、R5は、上記のパラグラフ(42)~(44)のいずれか1つに定義される。一実施形態において、R5は、上記のパラグラフ(44)に定義される。
【0053】
好適には、R6は、上記のパラグラフ(45)~(46)のいずれか1つに定義される。一実施形態において、R6は、上記のパラグラフ(46)に定義される。
【0054】
好適には、R5及びR6は、上記のパラグラフ(47)~(48)のいずれか1つに定義される。一実施形態において、R5及びR6は、上記のパラグラフ(48)に定義される。
【0055】
好適には、nは、パラグラフ(49)~(52)のいずれか1つに定義される。一実施形態において、nは、上記のパラグラフ(49)に定義される。
【0056】
好適には、mは、上記のパラグラフ(53)~(54)のいずれか1つに定義される。一実施形態において、mは、上記のパラグラフ(54)に定義される。
【0057】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、以下に示される構造式IA~IK(式Iの部分式である):
【化12】
(式中、R
1~R
6、X及びmは上記で定義されるとおりである)
の1つ又はその医薬的に許容される塩を有する。
【0058】
一実施形態において、化合物は、上記に示す構造式IAを有し、式中、R1は、上記のパラグラフ(1)~(3)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R2は、上記のパラグラフ(4)~(5)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R3は上記のパラグラフ(6)~(7)のいずれか1つに定義されるとおりであり;及びXは、上記のパラグラフ(40)~(41)のいずれか1つに定義されるとおりであり;ただし、式IAの化合物は、以下の化合物:
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;又は
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
の1つではないことを条件とする。
【0059】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、上記に示す構造式IAを有し、式中、R1は、上記のパラグラフ(2)で定義されるとおりであり;R2は、上記のパラグラフ(4)で定義されるとおりであり;R3は、上記のパラグラフ(7)で定義されるとおりであり;及びXは、上記のパラグラフ(41)で定義されるとおりである。
【0060】
一実施形態において、化合物は、上記に示す構造式IBを有し、式中、R1は、上記のパラグラフ(1)~(3)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R2は、上記のパラグラフ(4)~(5)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R3は、上記のパラグラフ(6)~(7)のいずれか1つに定義されるとおりであり;及びXは、上記のパラグラフ(40)~(41)のいずれか1つに定義されるとおりである。
【0061】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、上記に示す構造式IBを有し、R1は、上記のパラグラフ(2)に定義されるとおりであり;R2は、上記のパラグラフ(4)で定義されるとおりであり;R3は、上記のパラグラフ(7)で定義されるとおりであり;及びXは、上記のパラグラフ(41)に定義されるとおりである。
【0062】
一実施形態において、化合物は、上記に示す構造式ICを有し、R1は、上記のパラグラフ(1)~(3)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R2は、上記のパラグラフ(4)~(5)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R3は、上記のパラグラフ(6)~(7)のいずれか1つに定義されるとおりであり;及びmは、上記のパラグラフ(53)~(54)のいずれか1つに定義されるとおりである。
【0063】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、上記に示す構造式ICを有し、R1は、上記のパラグラフ(2)に定義されるとおりであり;R2は、上記のパラグラフ(4)で定義されるとおりであり;R3は、上記のパラグラフ(7)で定義されるとおりであり;及びmは、上記のパラグラフ(54)に定義されるとおりである。
【0064】
一実施形態において、化合物は、上記に示す構造式IDを有し、R1は、上記のパラグラフ(1)~(3)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R2は、上記のパラグラフ(4)~(5)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R3は、上記のパラグラフ(6)~(7)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R5は、上記のパラグラフ(42)~(44)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R6は、上記のパラグラフ(45)~(46)のいずれか1つに定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(47)~(48)のいずれか1つに定義されるとおりであり;及びmは、上記のパラグラフ(53)~(54)のいずれか1つに定義されるとおりであり;ただし、式IDの化合物は、以下の化合物:
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;又は
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
の1つではないことを条件とする。
【0065】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、上記に示す構造式IDを有し、R1は、上記のパラグラフ(2)に定義されるとおりであり;R2は、上記のパラグラフ(4)で定義されるとおりであり;R3は、上記のパラグラフ(7)で定義されるとおりであり;R5は、上記のパラグラフ(44)で定義されるとおりであり;R6は、上記のパラグラフ(46)で定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(48)に定義されるとおりであり;及びmは、上記のパラグラフ(54)で定義されるとおりである。
【0066】
一実施形態において、化合物は、上記に示す構造式IEを有し、R1は、上記の(1)~(3)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R3は、上記のパラグラフ(6)~(7)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R5は、上記のパラグラフ(42)~(44)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R6は、上記のパラグラフ(45)~(46)のいずれか1つに定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(47)~(48)のいずれか1つに定義されるとおりであり;ただし、式IEの化合物は、以下の化合物:
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;又は
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
の1つではないことを条件とする。
【0067】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、上記に示す構造式IEを有し、R1は、上記のパラグラフ(2)に定義されるとおりであり;R3は、上記のパラグラフ(7)に定義されるとおりであり;R5は、上記のパラグラフ(44)に定義されるとおりであり;R6は、上記のパラグラフ(46)に定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(48)に定義されるとおりである。
【0068】
一実施形態において、化合物は、上記に示す構造式IFを有し、R2は、上記のパラグラフ(4)~(5)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R3は、上記のパラグラフ(6)~(7)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R4は、上記のパラグラフ(8)~(34)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R5は、上記のパラグラフ(42)~(44)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R6は、上記のパラグラフ(45)~(46)のいずれか1つに定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(47)~(48)のいずれか1つに定義されるとおりであり;及びmは、上記のパラグラフ(53)~(54)のいずれか1つに定義されるとおりであり;ただし、式IFの化合物は、以下の化合物:
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;又は
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
の1つではないことを条件とする。
【0069】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、上記に示す構造式IFを有し、R2は、上記のパラグラフ(4)に定義されるとおりであり;R3は、上記のパラグラフ(7)に定義されるとおりであり;R4は、上記のパラグラフ(34)に定義されるとおりであり;R5は、上記のパラグラフ(44)に定義されるとおりであり;R6は、上記のパラグラフ(46)に定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(48)に定義されるとおりであり;及びmは、上記のパラグラフ(54)に定義されるとおりである。
【0070】
一実施形態において、化合物は、上記に示す構造式IGを有し、R3は、上記のパラグラフ(6)~(7)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R4は、上記のパラグラフ(8)~(34)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R5は、上記のパラグラフ(42)~(44)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R6は、上記のパラグラフ(45)~(46)のいずれか1つに定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(47)~(48)のいずれか1つに定義されるとおりであり;ただし、式IGの化合物は、以下の化合物:
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;又は
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
の1つではないことを条件とする。
【0071】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、上記に示す構造式IGを有し、R3は、上記のパラグラフ(7)に定義されるとおりであり;R4は、上記のパラグラフ(34)に定義されるとおりであり;R5は、上記のパラグラフ(44)に定義されるとおりであり;R6は、上記のパラグラフ(46)に定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(48)に定義されるとおりである。
【0072】
一実施形態において、化合物は、上記に示す構造式IHを有し、R4は、上記のパラグラフ(8)~(34)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R5は、上記のパラグラフ(42)~(44)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R6は、上記のパラグラフ(45)~(46)のいずれか1つに定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(47)~(48)のいずれか1つに定義されるとおりであり;及びmは、上記のパラグラフ(53)~(54)のいずれか1つに定義されるとおりであり;ただし、式IHの化合物は、以下の化合物:
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;又は
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
の1つではないことを条件とする。
【0073】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、上記に示す構造式IHを有し、R4は、上記のパラグラフ(34)に定義されるとおりであり;R5は、上記のパラグラフ(44)に定義されるとおりであり;R6は、上記のパラグラフ(46)に定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(48)に定義されるとおりであり;及びmは、上記のパラグラフ(54)に定義されるとおりである。
【0074】
一実施形態において、化合物は、上記に示す構造式IJを有し、R4は、上記のパラグラフ(8)~(34)のいずれか1つに定義されるとおりであり;及びmは、上記のパラグラフ(53)~(54)のいずれか1つに定義されるとおりである。
【0075】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、上記に示す構造式IJを有し、R4は、上記のパラグラフ(34)など、パラグラフ(32)~(34)のいずれか1つに定義されるとおりであり;及びmは、上記のパラグラフ(54)に定義されるとおりである。
【0076】
一実施形態において、化合物は、上記に示す構造式IKを有し、R2は、上記のパラグラフ(4)~(5)のいずれか1つに定義されるとおりであり;R4は、上記のパラグラフ(8)~(34)のいずれか1つに定義されるとおりであり;及びmは、上記のパラグラフ(53)~(54)のいずれか1つに定義されるとおりであり;ただし、式IKの化合物は、以下の化合物:
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;又は
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
の1つではないことを条件とする。
【0077】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、上記に示す構造式IKを有し、R2は、上記のパラグラフ(4)に定義されるとおりであり;R4は、上記のパラグラフ(34)に定義されるとおりであり;及びmは、上記のパラグラフ(54)に定義されるとおりである。
【0078】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、以下に示される構造式IL(式Iの部分式である):
【化13】
(式中、R
5及びR
6は、上記で定義されるとおりであり、且つR
7及びR
8は、水素、C
1~4アルキル、C
1~3ハロアルキル、C
3~7シクロアルキル、C
1~4アルキレン-C
3~7シクロアルキル、ハロ、OH、C
1~3アルコキシ及びシアノから独立して選択されるか;又はR
7及びR
8は、それらが結合される原子と合わせて、5又は6員ヘテロシクリル環を形成する)
又はその医薬的に許容される塩を有し;ただし、式ILの化合物は、以下の化合物:
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((1,5-ジメチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-c][1,2,3]トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;又は
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
の1つではないことを条件とする。
【0079】
一実施形態において、化合物は、上記に示す構造式ILを有し、式中、R5は、上記のパラグラフ(42)~(44)のいずれか1つに定義されるとおりであり、R6は、上記のパラグラフ(45)~(46)のいずれか1つに定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(47)~(48)のいずれか1つに定義されるとおりであり;且つR7及びR8は、水素、C1~4アルキル、C1~3ハロアルキル、C3~7シクロアルキル及びC1~2アルキレン-C3~7シクロアルキルから独立して選択され;R7及びR8が、それらが結合される原子と共に6員ヘテロシクリル環を形成する。
【0080】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、以下に示される構造式ILを有し、式中、R5は、上記のパラグラフ(44)に定義されるとおりであり、R6は、上記のパラグラフ(46)に定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(48)に定義されるとおりであり;且つR7及びR8は、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル及びCH2-シクロプロピルから独立して選択されるか;又はR7及びR8は、それらが結合される原子と共に6員ヘテロシクリル環を形成する。
【0081】
化合物のさらなるグループにおいて、化合物は、以下に示される構造式ILを有し、式中、R5は、上記のパラグラフ(44)に定義されるとおりであり、R6は、上記のパラグラフ(46)に定義されるとおりであり;又はR5及びR6は、上記のパラグラフ(48)に定義されるとおりであり;R7はメチルであり;且つR8は水素、メチル又はジフルオロメチルである。
【0082】
本発明の特定の化合物は、以下:
5-(((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-2-((1R,2S)-2-メチル-2-(1H-テトラゾール-5-イル)シクロヘキサン-1-カルボニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((3-オキソモルホリノ)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-(((R)-4-メチル-2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロペンタン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((4,5-ジメチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;又は
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((5-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
のいずれか1つ又はその医薬的に許容される塩を含む。
【0083】
一実施形態において、式Iの化合物は、以下の化合物:
5-(((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-2-((1R,2S)-2-メチル-2-(1H-テトラゾール-5-イル)シクロヘキサン-1-カルボニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((3-オキソモルホリノ)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-(((R)-4-メチル-2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロペンタン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((4,5-ジメチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;及び
(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((5-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸;又は
その医薬的に許容される塩から選択される。
【0084】
本発明の化合物を構成する様々な官能基及び置換基は、通常、化合物の分子量が1000を超えないように選択される。より通常には、化合物の分子量は750未満、例えば700未満又は650未満となるであろう。
【0085】
本発明の任意の化合物の好適な特徴又は好ましい特徴は、他の任意の態様の好適な特徴ともなり得る。
【0086】
本発明の化合物の好適な医薬的に許容される塩は、例えば、塩基性が十分に高い本発明の化合物の酸付加塩、例えば、無機酸又は有機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、クエン酸又はマレイン酸)との酸付加塩である。加えて、酸性が十分に高い本発明の化合物の医薬的に許容される好適な塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩又はマグネシウム塩)、アンモニウム塩又は生理学的に許容される陽イオンを生成する有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリン又はトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンとの塩)である。
【0087】
分子式は同じであるが、性質が異なるか、又は原子の結合順序が異なるか、又は原子の空間配置が異なる化合物は「異性体」と称される。原子の空間配置が異なる異性体は「立体異性体」と称される。互いに鏡像関係にない立体異性体は「ジアステレオマー」と称され、互いに重ね合わせられない鏡像である立体異性体は「エナンチオマー」と称される。ある化合物が不斉中心を有する場合、例えば、4つの異なる基に結合している場合、エナンチオマーの対が存在し得る。エナンチオマーはその不斉中心の絶対配置で表示することができ、カーン・プレローグのR及びS順位則によって表示されるか、又は分子が偏光面を回転させる方向で表記され、右施性又は左施性と(すなわち、それぞれ(+)体又は(-)体として)表される。キラル化合物は個々のエナンチオマーとして又はその混合物としてのいずれかで存在することができる。エナンチオマーを等比率で含む混合物は「ラセミ混合物」と称される。
【0088】
本発明の化合物は、典型的には1つ以上の不斉中心を有し;したがって、このような化合物は、個々の(R)体若しくは(S)体又はこれらの混合物として生成することができる。特に指定しない限り、本明細書及び特許請求の範囲における具体的な化合物の説明又は命名は、個々のエナンチオマー、ジアステレオ異性体及びその混合物(ラセミ混合物又はそれ以外の混合物)の両方を包含することを意図している。立体化学を決定するための方法及び立体異性体を分離するための方法(例えば、光学活性を有する出発物質から合成するか、又はラセミ体を分離することによる)は、当技術分野においてよく知られている(“Advanced Organic Chemistry”,4th edition J.March,John Wiley and Sons,New York,2001の第4章の解説を参照されたい)。本発明の化合物の幾つかは、幾何異性中心(E体及びZ体)を有し得る。本発明は、Nrf2活性化活性を有するあらゆる光学異性体、ジアステレオ異性体及び幾何異性体並びにこれらの混合物を包含することを理解すべきである。
【0089】
本発明は、1種以上の同位体置換体を含む本明細書に定義した本発明の化合物も包含する。例えば、Hは、1H、2H(D)、3H(T)等のあらゆる同位体であり得;Cは、12C、13C、14C等のあらゆる同位体であり得;Oは、16O、18O等のあらゆる同位体であり得る。
【0090】
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態のみならず溶媒和形態、例えば水和形態等で存在し得ることも理解すべきである。本発明は、Nrf2活性化活性を有するあらゆるこの種の溶媒和形態を包含することを理解すべきである。
【0091】
本発明の特定の化合物が多形を有する可能性があることと、本発明はNrf2活性化活性を有するあらゆるこの種の形態も包含することとを理解すべきである。
【0092】
本発明の化合物は複数の異なる互変異性形態で存在することができ、本発明の化合物に言及する場合、あらゆるこの種の形態を包含する。誤解を避けるために、ある化合物が幾つかの互変異性形態の1つの形態で存在することができる場合、1種のみが具体的に説明されているか又は提示されていても、他の全ての形態が本発明の化合物に包含される。互変異性形態としては、例えば、次に例示する互変異性体対の形態であるケト体、エノール体及びエノラート体が挙げられる:ケト/エノール(下に例示)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール及びニトロ/アシニトロ。
【化14】
【0093】
アミン官能性を含む本発明の化合物は、N-オキシドを形成し得る。本明細書においてアミン官能性を含む式Iで表される化合物に言及している場合にはN-オキシドも包含される。アミン官能性を含む幾つかの化合物では、1つ又は2つ以上の窒素原子が酸化されて、N-オキシドを形成し得る。N-オキシドの具体例としては、3級アミン又は窒素含有複素環の窒素原子のN-オキシドが挙げられる。N-オキシドは、対応するアミンを過酸化水素又は過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)等の酸化剤で処理することにより形成することができる。例えば、Advanced Organic Chemistry,by Jerry March,4th Edition,Wiley Interscience,pagesを参照されたい。より具体的には、N-オキシドは、L.W.Deady(Syn.Comm.1977,7,509-514)の手順により、アミン化合物をm-クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)と、例えばジクロロメタン等の不活性溶媒中で反応させることにより生成することができる。
【0094】
本発明の化合物は、人体又は動物体内で分解されて本発明の化合物を放出するプロドラッグの形態で投与することができる。プロドラッグは、本発明の化合物の物理特性及び/又は薬物動態特性を改変するために使用することができる。本発明の化合物は、特性を改変する基を結合させることができる好適な基又は置換基を有している場合にプロドラッグを形成することができる。プロドラッグの例としては、本発の化合物におけるカルボキシ基又はヒドロキシ基で形成され得る、生体内で切断可能なエステル誘導体及び本発明の化合物におけるカルボキシ基又はアミノ基で形成され得る生体内で切断可能なアミドが挙げられる。
【0095】
したがって、上に定義した式Iで表される化合物が、有機合成により得ることができる場合及びそのプロドラッグを人体内又は動物体内で切断することにより得ることができる場合、これらの化合物は本発明に包含される。したがって本発明は、有機合成手段により製造される式Iで表される化合物に加えて、人体内又は動物体内で前駆体化合物が代謝されることにより生成するこの種の化合物を包含する。すなわち、式Iで表される化合物は、合成により製造される化合物であっても代謝により産生される化合物であり得る。
【0096】
好適な医薬的に許容される式Iで表される化合物のプロドラッグは、合理的な医学的判断に基づき、人体内又は動物体内に投与するのに適している、望ましくない薬理学的活性を示さず、且つ過度の毒性を有さないものである。
【0097】
プロドラッグの様々な形態は、例えば、次に示す文献に記載されている:
a)Methods in Enzymology,Vol.42,p.309-396,edited by K.Widder,et al.(Academic Press,1985);
b)Design of Pro-drugs,edited by H.Bundgaard,(Elsevier,1985);
c)A Textbook of Drug Design and Development,edited by Krogsgaard-Larsen and H.Bundgaard,Chapter 5“Design and Application of Pro-drugs”,by H.Bundgaard p.113-191(1991);
d)H.Bundgaard,Advanced Drug Delivery Reviews,8,1-38(1992);
e)H.Bundgaard,et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences,77,285(1988);
f)N.Kakeya,et al.,Chem.Pharm.Bull.,32,692(1984);
g)T.Higuchi and V.Stella,“Pro-Drugs as Novel Delivery Systems”,A.C.S.Symposium Series,Volume 14;及び
h)E.Roche(editor),“Bioreversible Carriers in Drug Design”,Pergamon Press,1987。
【0098】
式Iで表される化合物のin vivo効果の一部を、式Iで表される化合物の投与後に人体又は動物体内で生成する1種以上の代謝産物により発揮させることができる。上に述べたように、式Iで表される化合物のin vivo効果は前駆体化合物(プロドラッグ)の代謝を介して発揮させることもできる。
【0099】
式Iで表される化合物に、他の基、例えば、可溶化部分(例えば、PEGポリマー)、これらを固体支持体上に結合可能にする部分(例えば、ビオチン含有部分等)、ターゲティングリガンド(抗体又は抗体断片等)等は、任意の好適な位置で共有結合し得ることも理解すべきである。
【0100】
合成
以下に記載する合成方法の説明及び出発物質の調製に用いる合成方法を参照する際は、提示されている全ての反応条件(溶媒、反応雰囲気、反応温度、実験の継続時間及びワークアップ手順の選択を含む)は当業者が選択できることを理解すべきである。
【0101】
分子の様々な部位に存在する官能基が、利用する試薬及び反応条件と適合性とを有しなければならないことは、有機合成の当業者に理解される。
【0102】
必要な出発物質は標準的な有機化学手順により得ることができる。この種の出発物質の調製は、添付の実施例において、次に示す代表的なプロセスの変形形態と共に説明する。代替的な必要な出発物質は有機化学者の通常の技術範囲内で、例示する手順と類似の手順により得ることができる。
【0103】
以下に定義するプロセスにおいて本発明の化合物を合成する間又は特定の出発物質を合成する間、望ましくない反応を防止するために特定の置換基を保護することが望ましい場合もあることが理解されるであろう。化学分野の当業者は、この種の保護が必要な状況及びこの種の保護基を所定の位置に配置し、後に除去できる方法を理解しているであろう。
【0104】
保護基の例については、この主題に関する多くの一般的な文献のいずれか、例えば、“Protective groups in Organic Synthesis(3rd Ed),John Wiley&Sons,NY(1999)”,T.Greene&P.Wutsを参照されたい。保護基の除去は、文献に記載されているか又は化学分野の当業者に知られている、対象の保護基の除去に適した任意の好都合な方法により行うことができる。この種の方法は、保護基の除去によって分子の他の基に及ぼされる悪影響が最小限になるように選択される。
【0105】
したがって、本明細書に述べる一部の反応体において、反応体が、例えば、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基等の基を含む場合、この基を保護することが望ましい場合もある。
【0106】
一例として、アミノ基又はアルキルアミノ基に好適な保護基は、例えば、アシル基、例えば、アルカノイル基(アセチル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はtert-ブトキシカルボニル基)、アリールメトキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基)又はアロイル基(例えばベンゾイル基)である。上述の保護基の脱保護条件は、必然的に、選択される保護基に応じて変化する。したがって、例えば、アシル基(アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アロイル基等)は、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム)等の好適な塩基で加水分解することにより除去することができる。代わりに、tert-ブトキシカルボニル基等のアシル基は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸等の好適な酸で処理することにより除去することができ、ベンジルオキシカルボニル基等のアリールメトキシカルボニル基は、例えば、炭素上パラジウム等の触媒上で水素化することによるか、又はルイス酸(例えば、BF3・OEt2)で処理することによって除去することができる。1級アミノ基に適した他の保護基は、例えばフタロイル基であり、これはアルキルアミン(例えばジメチルアミノプロピルアミン)又はヒドラジンで処理することにより除去することができる。
【0107】
本発明の化合物は公知の方法により様々な方式で調製し得ることを当業者は承知しているであろう。式Iの化合物は、後述する方法によるか、又は実験項に示す方法によるか、又は類似の方法により調製することができる。ここに記載する経路は、式Iの化合物の合成に用いることができる幾つかの方法の単なる例示であり、当業者は、反応段階の順序は記載された順序に限定されないことを理解するであろう。求核試薬及び求電子試薬の割り当ては本明細書に記載したものに限定されず、場合によっては、割り当てを逆にすることが適切な場合があることも理解されるであろう。化学合成戦略における様々な手法は、“Organic Synthesis:The Disconnection Approach”,2nd edition,S.Warren and P.Wyatt(2008)に記載されている。
【0108】
一般的方法A
【化15】
通常の合成手順において、保護基として使用した場合にフタルイミドは、一般的な試薬(例えば、ヒドラジン)を使用して除去され、アミンを適切な試薬と反応させて、所望のラクタムが組み入れられる。第3工程は、アルキルハロゲン化物若しくは活性化アルコール(例えば、メシレート、トリフレート)でのアルキル化などの従来の方法を介した、必要とされるエーテルの組み入れ又はDBAD若しくはDEADなどの試薬と適切なホスフィンを使用した光延(Mitsunobu)反応を含む。次いで、Boc保護基が、一般にHClでの処理によって除去される。第5工程において、シクロアルキル酸基が、テトラヒドロイソキノリン(THIQ)骨格のアミンとの反応のために活性化され得る。HATU又はCDIなどの一般的なアミドカップリング試薬を使用して、酸の活性化を生じさせる。
【0109】
一般的方法B
【化16】
さらなる一般的手順において、工程の順序は、一般的方法Aと比較して変更することができる。必要とされるエーテルは、上記の一般的方法Aに記載の従来の方法を再び介して、第1工程で組み入れられる。フタルイミド保護基は第2工程で除去され、アミンを適切な試薬と反応させて、所望のラクタムを組み入れる。次いで、Boc保護基を除去し、次いでシクロアルキルアミド部位が第5工程において導入され得る。
【0110】
THIQ骨格は、スキーム1に示す経路に従って構成され得る:
【化17】
スキーム1:a)SOCl
2、EtOAc;b)酢酸アンモニウム、CH
3NO
2、AcOH;c)LiAlH
4、THF;d)DIPEA、DCM;e)NCS、DMF;f)P
2O
5、スルホラン;g)NaBH(OAc)
3、AcOH、DCM;h)BBr
3、DCM;i)キラルSFCクロマトグラフィー。
【0111】
化合物(R
2が-COOHである)は、スキーム2に示すように適切なニトリルとアジドとの反応を介して、テトラゾリルへと転化され得る。
【化18】
スキーム2:a)HATU、DIPEA、NH
4Cl、DMF;b)POCl
3、イミダゾール、ピリジン;c)
nBu
3SnN
3、キシレン。
【0112】
スキーム3に記載の経路に従い、ヒドラジンでのフタルイミド基の除去に続いて、得られた第1級アミンを、適切なラクトン若しくはω-ハロエステルとの反応によるピロリジノンへの転化により、本発明の化合物(-NR
4R
5基がピロリジノンを表す)が中間体(-NR
4R
5基がフタルイミドを表す)から調製され得る。
【化19】
スキーム3:a)N
2H
4、EtOH;b)メチル4-ブロモブタノエート、Et
3N、PhMe。
【0113】
医薬組成物
本発明の化合物は、通常、患者への投与の前に医薬組成物に製剤化されることになるが、これは必ずしも必要ではない。したがって、本発明のさらなる態様によれば、本明細書で前に定義されるとおりの本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩及び1つ以上の医薬的に許容される賦形剤、希釈剤若しくは担体を含む医薬組成物が提供される。
【0114】
本発明の医薬組成物は、バルク形態において調製され、パッケージ化され得るが、安全且つ有効量の本発明の化合物が抽出され、続いて粉末又はシロップなどと共に患者に与えられ得る。代わりに、本発明の医薬組成物は、単位剤形において調製され、且つパッケージ化され得るが、それぞれの物理的に分離した単位は、安全且つ有効量の本発明の化合物を含有する。単位剤形において調製されるとき、本発明の医薬組成物は、通常、1mg~1000mg含有する。
【0115】
本発明の組成物は、経口使用(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、トローチ剤、粉末、シロップ、エリキシル剤、懸濁剤、溶液剤、乳剤、サシェ剤及びカシェ剤として)、局所使用(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、溶液剤、ペースト剤、噴霧剤、フォーム及びゲルとして)、経皮パッチを介するなどの経皮投与、吸入による投与(例えば、乾燥粉末、エアロゾル、懸濁剤及び溶液剤として)、ガス注入による投与(例えば、微細に分割された粉末として)又は非経口投与(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内若しくは筋肉内投与のための滅菌水溶液若しくは油性溶液として又は直腸投与のための坐剤として)のために好適な形態であり得る。
【0116】
本明細書で使用する場合、「医薬的に許容される賦形剤」は、医薬組成物に形態又は調和性を与えることに関与する医薬的に許容される材料、組成物又は溶媒を意味する。各賦形剤は、患者に投与されるときに本発明の化合物の有効性を実質的に低減することになる相互作用及び医薬的に許容されない医薬組成物をもたらすことになる相互作用が回避されるように、混合されるときに医薬組成物の他の成分と適合性であるべきである。加えて、各賦形剤は、それを医薬的に許容されるようにするほど十分に高い純度であるべきである。
【0117】
好適な医薬的に許容される賦形剤は、選択される特定の剤形に応じて変動することになる。加えて、好適な医薬的に許容される賦形剤は、それらが組成物中で働き得る特定の機能について選択され得る。例えば、ある種の医薬的に許容される賦形剤は、均一な剤形の生成を容易にするそれらの能力について選択され得る。ある種の医薬的に許容される賦形剤は、好適な剤形の生成を容易にするそれらの能力について選択され得る。ある種の医薬的に許容される賦形剤は、患者の1つの臓器又は身体の一部から別の臓器又は身体の一部に投与されると、本発明の化合物の輸送又は運搬を容易にする、それらの能力について選択され得る。ある種の医薬的に許容される賦形剤は、患者コンプライアンスを向上させるそれらの能力について選択され得る。
【0118】
好適な医薬的に許容される賦形剤は、以下の種類の賦形剤を含む:希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、滑沢剤、顆粒化剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁剤、乳化剤、甘味料、香味料、香味遮蔽剤、着色料、固化防止剤、保水剤、キレート剤、可塑剤、増粘剤、抗酸化剤、保存剤、安定剤、界面活性剤及び緩衝剤。当業者は、ある種の医薬的に許容される賦形剤が、2つ以上の機能を果たし得、且つ製剤中に存在する賦形剤の量及び製剤中に存在する他の成分に依存して別の機能を果たし得ることを理解するであろう。
【0119】
当業者は、本発明における使用のための適切な量で好適な医薬的に許容される賦形剤を選択できる知識及び技術を有する。加えて、医薬的に許容される賦形剤を記載し、且つ好適な医薬的に許容される賦形剤を選択する際に有用であり得る、当業者に利用可能ないくつかの情報源が存在する。例としては、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives(Gower Publishing Limited)及びThe Handbook of Pharmaceutical Excipients(the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が挙げられる。
【0120】
本発明の医薬組成物は、当業者に知られる手法及び方法を使用して調製される。当技術分野において一般的に使用される方法のいくつかは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)において記載される。
【0121】
単回投与剤形を製造するために1種以上の賦形剤と合一する場合、活性成分の量は必然的に治療される宿主及び具体的な投与経路に応じて変化するであろう。例えば、ヒトに経口投与することが意図された製剤は、一般に、例えば、活性薬剤を0.5mg~0.5g(より好適には0.5~100mg、例えば1~30mg)を含むこととなり、組成物全体の約5~約98重量パーセントの間で変化し得る適切且つ好都合な量の賦形剤と一緒に配合される。
【0122】
治療又は予防目的で使用される式Iの化合物の用量は、当然のことながら、医学の原則に従い、動物又は患者の状態の特質及び重症度、年齢及び性別並びに投与経路に応じて変化する。
【0123】
一般に、本発明の化合物を治療又は予防目的に使用するに当たり、分割投与が必要な場合、一日量が例えば0.1mg/kg体重~75mg/kg体重の範囲となるように投与されるであろう。一般に、非経口経路が採用される場合、より低い投与量で投与されることになる。したがって、例えば静脈内又は腹腔内投与を行う場合、用量は、一般に、例えば0.1mg/kg体重~30mg/kg体重の範囲となるであろう。同様に、吸入投与の場合、用量は例えば0.05mg/kg体重~25mg/kg体重の範囲となる。経口投与、特に錠剤形態の投与が好適な場合もある。通常、単位投与剤形は本発明の化合物を約0.5mg~0.5g含むであろう。
【0124】
投与経路
本発明の化合物又は活性化合物を含む医薬組成物は、対象に、任意の従来の投与経路で、全身/末梢又は局所(すなわち、所望の作用部位)のいずれにも投与することができる。
【0125】
投与経路としては、これらに限定されるものではないが、経口投与(例えば、経口摂取による);頬側投与;舌下投与;経皮投与(例えば、貼付剤(patch)、硬膏剤(plaster)等による);経粘膜投与(例えば、貼付剤、硬膏剤等による);経鼻投与(例えば、点鼻スプレーによる);経眼投与(例えば、点眼薬による);経肺投与(例えば、エアゾールを用いた、例えば、経口的又は経鼻的な、例えば、吸入又は吹送治療(insufflation therapy)による);直腸内投与(例えば、坐剤又は浣腸による);経膣投与(例えば、膣坐剤による);非経口投与、例えば、注射(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、くも膜下腔内(intrathecal)、髄腔内、嚢内(intracapsular)、被膜下(subcapsular)、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、クモ膜下、胸骨内を含む);デポー剤(depot)又はリザーバ(reservoir)の、例えば、皮下又は筋肉内への植込によるものが挙げられる。
【0126】
好ましい実施形態において、本明細書で定義されるとおりの本発明の化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は本明細書で定義されるとおりの医薬組成物は、経口又は吸入を介して投与される。
【0127】
治療的使用及び適用
本発明の化合物は、Nrf2の活性化剤である。結果として、それらは、Nrf2活性化によって媒介される疾患又は状態の治療にとって潜在的に有用な治療剤である。
【0128】
したがって、一態様において、本発明は、療法における使用のための本明細書で定義されるとおりの本発明の化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は本明細書で定義されるとおりの医薬組成物に関する。
【0129】
別の態様において、本発明は、Nrf2活性化によって媒介される疾患又は障害の治療における使用のための本明細書で定義されるとおりの本発明の化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は本明細書で定義されるとおりの医薬組成物に関する。
【0130】
別の態様において、本発明は、Nrf2活性化によって媒介される疾患又は障害の治療における使用のための医薬の製造における、本明細書で定義されるとおりの本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩の使用に関する。
【0131】
別の態様において、本発明は、Nrf2活性化によって媒介される疾患又は障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、治療有効量の、本明細書で定義されるとおりの本発明の化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は本明細書で定義されるとおりの医薬組成物を投与することを含む方法に関する。
【0132】
式(I)の化合物及びそれらの医薬的に許容される塩が治療のために使用され得る特定の疾患又は状態の例としては、以下のいずれか1つ:慢性閉塞性肺疾患、急性、慢性及び重症喘息、多臓器不全症候群を伴うか又は伴わない急性肺損傷/急性呼吸促迫症候群、原因不明の肺線維症を含む肺線維症、嚢胞性線維症、COVID-19、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、心筋梗塞及び修復、心臓性組織修復、心不整脈、心肥大、駆出率が保たれた心不全、糖尿病性心筋症、サルコペニア、肥満、代謝症候群、糖尿病、インスリン抵抗性、肺動脈性肺高血圧症、くも膜下出血、脳内出血、虚血性脳卒中、ベータ-サラセミア、鎌状赤血球症、関節リウマチ、過敏性腸障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、放射線誘発皮膚炎、アトピー性皮膚炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、毒性誘導性肝疾患、ウイルス性肝炎及び肝硬変、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、常染色体優性多発性嚢胞腎、1型糖尿病(T1D)に関連するCKD、IgA腎症(IgAN)、アルポート症候群、巣状分節性糸球体硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、フリートライヒ運動失調症、慢性疼痛、統合失調症、肺癌、乳癌、結腸癌、加齢黄斑変性(AMD)、フックス角膜内皮ジストロフィー、ぶどう膜炎又は子癇前症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
特に、本発明の化合物(医薬的に許容される塩を含む)は、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺動脈性肺高血圧症、糖尿病、慢性腎疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、フリートライヒ運動失調症、鎌状赤血球症又は非アルコール性脂肪性肝炎の治療において使用され得る。
【0134】
別の態様において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、急性、慢性及び重症喘息、多臓器不全症候群を伴うか又は伴わない急性肺損傷/急性呼吸促迫症候群、原因不明の肺線維症を含む肺線維症、嚢胞性線維症、COVID-19、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、心筋梗塞及び修復、心臓性組織修復、心不整脈、心肥大、駆出率が保たれた心不全、糖尿病性心筋症、サルコペニア、肥満、代謝症候群、糖尿病、インスリン抵抗性、肺動脈性肺高血圧症、くも膜下出血、脳内出血、虚血性脳卒中、ベータ-サラセミア、鎌状赤血球症、関節リウマチ、過敏性腸障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、放射線誘発皮膚炎、アトピー性皮膚炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、毒性誘導性肝疾患、ウイルス性肝炎及び肝硬変、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、常染色体優性多発性嚢胞腎、1型糖尿病(T1D)に関連するCKD、IgA腎症(IgAN)、アルポート症候群、巣状分節性糸球体硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、フリートライヒ運動失調症、慢性疼痛、統合失調症、肺癌、乳癌、結腸癌、加齢黄斑変性(AMD)、フックス角膜内皮ジストロフィー、ぶどう膜炎又は子癇前症の治療における使用のための、本明細書で定義されるとおりの化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は医薬組成物を提供する。
【0135】
別の態様において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺動脈性肺高血圧症、糖尿病、慢性腎疾患、フリートライヒ運動失調症、鎌状赤血球症又は非アルコール性脂肪性肝炎の治療における使用のための、本明細書で定義されるとおりの化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は医薬組成物を提供する。
【0136】
別の態様において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、急性、慢性及び重症喘息、多臓器不全症候群を伴うか又は伴わない急性肺損傷/急性呼吸促迫症候群、原因不明の肺線維症を含む肺線維症、嚢胞性線維症、COVID-19、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、心筋梗塞及び修復、心臓性組織修復、心不整脈、心肥大、駆出率が保たれた心不全、糖尿病性心筋症、サルコペニア、肥満、代謝症候群、糖尿病、インスリン抵抗性、肺動脈性肺高血圧症、くも膜下出血、脳内出血、虚血性脳卒中、ベータ-サラセミア、鎌状赤血球症、関節リウマチ、過敏性腸障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、放射線誘発皮膚炎、アトピー性皮膚炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、毒性誘導性肝疾患、ウイルス性肝炎及び肝硬変、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、常染色体優性多発性嚢胞腎、1型糖尿病(T1D)に関連するCKD、IgA腎症(IgAN)、アルポート症候群、巣状分節性糸球体硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、フリートライヒ運動失調症、慢性疼痛、統合失調症、肺癌、乳癌、結腸癌、加齢黄斑変性(AMD)、フックス角膜内皮ジストロフィー、ぶどう膜炎又は子癇前症の治療における使用のための医薬の製造における化合物又はその医薬的に許容される塩の使用を提供する。
【0137】
別の態様において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺動脈性肺高血圧症、糖尿病、慢性腎疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、フリートライヒ運動失調症、鎌状赤血球症又は非アルコール性脂肪性肝炎の治療における使用のための医薬の製造における化合物又はその医薬的に許容される塩の使用を提供する。
【0138】
別の態様において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、急性、慢性及び重症喘息、多臓器不全症候群を伴うか又は伴わない急性肺損傷/急性呼吸促迫症候群、原因不明の肺線維症を含む肺線維症、嚢胞性線維症、COVID-19、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、心筋梗塞及び修復、心臓性組織修復、心不整脈、心肥大、駆出率が保たれた心不全、糖尿病性心筋症、サルコペニア、肥満、代謝症候群、糖尿病、インスリン抵抗性、肺動脈性肺高血圧症、くも膜下出血、脳内出血、虚血性脳卒中、ベータ-サラセミア、鎌状赤血球症、関節リウマチ、過敏性腸障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、放射線誘発皮膚炎、アトピー性皮膚炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、毒性誘導性肝疾患、ウイルス性肝炎及び肝硬変、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、常染色体優性多発性嚢胞腎、1型糖尿病(T1D)に関連するCKD、IgA腎症(IgAN)、アルポート症候群、巣状分節性糸球体硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、フリートライヒ運動失調症、慢性疼痛、統合失調症、肺癌、乳癌、結腸癌、加齢黄斑変性(AMD)、フックス角膜内皮ジストロフィー、ぶどう膜炎又は子癇前症を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、治療有効量の、本明細書で定義されるとおりの化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0139】
別の態様において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺動脈性肺高血圧症、糖尿病、慢性腎疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、フリートライヒ運動失調症、鎌状赤血球症又は非アルコール性脂肪性肝炎を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、治療有効量の、本明細書で定義されるとおりの化合物若しくはその医薬的に許容される塩又は医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0140】
別の態様において、本発明は、Nrf2をインビトロで活性化する方法であって、有効量の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0141】
別の態様において、本発明は、Nrf2をインビボで活性化する方法であって、有効量の化合物又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0142】
別の態様において、本発明は、Nrf2をインビトロ及び/又はインビボで活性化する方法であって、有効量の、本明細書で定義されるとおりの化合物又はその医薬的に許容される塩を細胞と接触させることを含む方法を提供する。
【0143】
組合せ療法
本発明の化合物は、単剤療法として単独で投与することができるか、又は1種以上のさらなる治療剤と組み合わせて投与することができる。当然のことながら、この1種以上のさらなる治療剤の選択は、治療すべき疾患又は状態及びその重症度に応じて変化するであろう。
【0144】
特定の病状を治療するために組合せ療法を用いることは、一般的なことである。
【0145】
本発明の特定の態様によれば、本明細書で前に定義されるとおりの本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩及び別の治療剤を含む、Nrf2活性化と関係づけられる疾患又は状態の治療における使用に好適な組合せが提供される。
【0146】
本発明の態様によれば、慢性閉塞性肺疾患、急性、慢性及び重症喘息、多臓器不全症候群を伴うか又は伴わない急性肺損傷/急性呼吸促迫症候群、原因不明の肺線維症を含む肺線維症、嚢胞性線維症、COVID-19、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、心不全、心筋梗塞及び修復、心臓性組織修復、心不整脈、心肥大、駆出率が保たれた心不全、糖尿病性心筋症、サルコペニア、肥満、代謝症候群、糖尿病、インスリン抵抗性、肺動脈性肺高血圧症、くも膜下出血、脳内出血、虚血性脳卒中、ベータ-サラセミア、鎌状赤血球症、関節リウマチ、過敏性腸障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、放射線誘発皮膚炎、アトピー性皮膚炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、毒性誘導性肝疾患、ウイルス性肝炎及び肝硬変、慢性腎疾患、糖尿病性腎症、常染色体優性多発性嚢胞腎、1型糖尿病(T1D)に関連するCKD、IgA腎症(IgAN)、アルポート症候群、巣状分節性糸球体硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症、多発性硬化症、フリートライヒ運動失調症、慢性疼痛、統合失調症、肺癌、乳癌、結腸癌、加齢黄斑変性(AMD)、フックス角膜内皮ジストロフィー、ぶどう膜炎又は子癇前症の予防又は治療における使用に好適な組合せであって、本明細書で前に定義されるとおりの本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩及び1つ以上の追加の治療剤を含む組合せが提供される。
【0147】
本発明のさらなる態様では、本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩と、1種以上のさらなる治療剤との組合せが提供される。
【0148】
本明細書において「組合せ」という語が用いられる場合、これは、同時投与、異時投与又は連続投与を意味すると理解すべきである。本発明の一態様では、「組合せ」は同時投与を指す。本発明の他の態様において、「組合せ」は異時投与を指す。本発明のさらなる態様において、「組合せ」は連続投与を指す。連続投与又は異時投与を行う場合、第2成分の投与の遅延は、組合せの有利な効果が失われないようにすべきである。
【0149】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の化合物又はその医薬的に許容される塩と、1種以上のさらなる治療剤との組合せを、医薬的に許容される希釈剤又は担体と一緒に含む医薬組成物が提供される。
【0150】
1つ以上の追加の治療剤は、本発明の化合物をさらに含み得る。したがって、ある実施形態において、医薬的に許容される希釈剤若しくは担体に付随して、本発明の2つの化合物又はその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物が提供される。
【0151】
本発明の特定の態様によれば、アレルギー性疾患、炎症性疾患若しくは自己免疫疾患(例えば、喘息又はCOPD);心血管若しくは代謝性疾患(例えば、糖尿病);神経変性疾患;慢性腎疾患若しくは肝疾患;鎌状赤血球症;肺動脈性肺高血圧症;癌の予防若しくは治療における使用;又は移植を助けるための使用に好適な組合せが提供される。
【0152】
本発明の特定の態様では、慢性閉塞性肺疾患、喘息、肺動脈性肺高血圧症、糖尿病、慢性腎疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、フリートライヒ運動失調症、鎌状赤血球症又は非アルコール性脂肪性肝炎の予防又は治療における使用に好適な組合せが提供される。
【0153】
本発明の化合物との組合せ療法の一部として使用され得る他の治療剤の例(例えば、二重又は三重の組合せの一部としての2つ以上の活性薬剤の1つとしての)は、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
(i)サルメテロール、サルブタモール、ホルモテロール、サルメファモール、フェノテロール、カルモテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、フレルブテロール、レプロテロール、バンブテロール、インダカテロール、テルブタリン、ビランテロール、オロダテロール及びその塩を含むベータ2-アドレナリン受容体アゴニスト(ラセミ体又は単一のエナンチオマーであり得る);
(ii)イプラトロピウム(例えば、アトロベントという名称の下で販売されるブロミド、CAS 22254-24-6として)、オキシトロピウム及びチオトロピウム(例えば、スピリーバという名称の下で販売されるブロミド、CAS 136310-93-5)、レバトロパート、LAS-34273、アクリジニウム、グリコピロニウム、ウメクリジニウム及びその塩を含むムスカリン受容体でのアンタゴニストとして作用する抗コリン剤;
(iii)コルチコステロイド抗炎症剤。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、ベクロメタゾンエステル(例えば、17-プロピオン酸エステル又は17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えば、フロ酸モメタゾン)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド、プロピオン酸ブチキソコルト、RPR-106541及びST-126が挙げられる;
(iv)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含む抗炎症剤。NSAIDの例としては、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤又は混合型PDE3/PDE4阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、JAK阻害剤、Pi3K阻害剤、ロイコトリエン合成の阻害剤(例えば、モンテルカスト)、iNOS阻害剤、トリプターゼ及びエラスターゼ阻害剤、ベータ-2インテグリンアンタゴニスト及びアデノシン受容体アゴニスト又はアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、ケモカインアンタゴニスト、CCR3アンタゴニストなど)又はサイトカイン合成の阻害剤又は5-リポキシゲナーゼ阻害剤が挙げられる;
(v)エポプロステノール(フローラン)、トレプロスチニル(リモジュリン)、イロプロスト(ベンテイビス)、トレプロスチニル(タイバソ)、ボセンタン(トラクリア)、アンブリセンタン(レタイリス)、シルデナフィル(レバチオ)、タダラフィル(アドシルカ)を含む血管拡張薬及び抗増殖性薬剤(例えば、プロスタノイド及びPDE5阻害剤);
(vi)インスリン、ビグアナイド(例えば、メトホルミン)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド)、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例えば、シタグリプチン)、インクレチン模倣物/GLP-1類似体(例えば、リラグルチド、エキセナチド、デュラグルチド)、ナトリウムグルコースコトランスポーター-2(SGLT2)阻害剤(例えば、カナグリフロジン、ダパグリフロジン及びエンパグリフロジン)及びα-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)を含む抗糖尿病薬物;
(vii)L-グルタミン、NCX1443、GBT440(ボクセロトール)、汎セレクチンアンタゴニスト(GMI-1070、リビパンセル)、ヒト化抗P-セレクチン抗体(SelG1、クリナリズマブ)、P-セレクチンアプタマー、セブパリン、レガデノソン、チカグレロル、N-アセチル-システイン(NAC)、ホスホジエステラーゼ9阻害剤(例えば、PF-04447943、IMR-687、BAY 73-6691、BAY 41-2271)などの、鎌状赤血球症を治療するために使用されるヒドロキシ尿素及び他の薬剤;並びに
(viii)セロンセルチブなどのASK1阻害剤、オベチコール酸などのFXRアゴニスト、GS-9674、Px-102、GS-0976などのACC阻害剤及びエラフィブラノルなどのPPARα/δアゴニスト。
【0154】
上で参照される組合せは、医薬製剤の形態における使用のために便利に提示され得、したがって、医薬的に許容される希釈剤又は担体と合わせた上で定義されるとおりの組合せを含む医薬製剤は、本発明のさらなる態様となる。
【0155】
そのような併用/組合せ治療は、治療の個々の成分を同時に、連続的に又は異時に投与することにより行われ得る。一実施形態において、個々の化合物は、組み合わされた医薬製剤において同時に投与されることになる。
【0156】
この種の組合せ療法は、本明細書に記載した範囲の用量の本発明の化合物と、認可されている範囲の用量及び/又は関連する公開参考文献に記載されている用量等、他の医薬活性を有する薬剤とを使用する。
【実施例】
【0157】
一般手順:
以下に示す実施例に本発明の化合物を調製するための手順を例示する。出発物質は、当技術分野において知られている手順若しくは本明細書に例示する手順に従って調製されるか、又は商業的に入手可能である。市販の試薬はさらなる精製を行うことなく使用した。反応温度が記載されていない場合、反応は室温(通常18~27℃)で行った。
【0158】
本発明において記載される化合物が、1H NMR分光法によって特徴付けられる場合、スペクトルは、500MHz Bruker、400MHz Bruker、250MHz Bruker、300MHz JEOL又は400MHz JEOL装置上で記録された。温度が含まれない場合、スペクトルは、周囲温度で記録された。化学シフト値は、百万分率(ppm)で表される。NMRスペクトルが、相互変換する異性体の存在により複雑である場合、シグナルのおおよその部分的な積分が報告されるか、又は主要な異性体に関する特徴付けのみが報告される。次の略称は、NMRシグナルの多重度のために使用される:s=一重線、b=ブロード、t=三重線、q=四重線、m=多重線、d=二重線。
【0159】
分析的LCMS
本発明において記載される化合物が、LCMSデータによって特徴付けられる場合、保持時間及び分子量は、下の表において列挙される方法を使用して決定される。本発明の化合物が、ゆっくりと相互変換する立体異性体として現れる場合、複数の保持時間が報告される。
【0160】
【0161】
分取キラルSFC
以下に示す方法の変形を用いて、分取キラルSFCを行った。
【0162】
方法1:
Waters Thar Prep100分取SFCシステム(P200 CO2ポンプ、2545改質剤(modifier)ポンプ、2998 UV/VIS検出器、スタック注入モジュール(Stacked Injection Module)を備えた2767液体ハンドラー)。
カラム:40℃で維持されるDiacel Chiralpak IA/IB/IC、YMCアミロース/セルロースC(5μm、20~21.2×250mm)。条件:指定のように、Me2NH、ギ酸から選択される改質剤と共に、超臨界流体CO2及びMeOH、EtOH、IPA、MeCN、EtOAc、THFから選択される溶離剤。指定の勾配/アイソクラティック。
【0163】
【0164】
中間体の合成
中間体1:(E)-1-フルオロ-2-メトキシ-4-(2-ニトロビニル)ベンゼン
【化20】
酢酸(150mL)中の4-フルオロ-3-メトキシベンズアルデヒド(57g、370mmol;CAS:128495-46-5)、酢酸アンモニウム(14.25g、185mmol)及びニトロメタン(100.14mL、1850mmol)の溶液を100℃で5時間加熱した。反応混合物を一晩室温に冷却した。得られた固体を濾過によって収集し、ジエチルエーテルで洗浄し、その固体を真空内で乾燥させた。固体をDCM(1L)に懸濁し、水で洗浄した。有機層を濾過して、沈殿物を除去し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空内で濃縮して、標題化合物(42g、200mmol、54%)を得た。沈殿物を2-MeTHFに溶解し、有機層を水、ブラインで洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)及び蒸発させて、最終生成物を黄色の固体として得た(11g、55.2mmol、収率15%)。酢酸母液を蒸発させ、IMSで希釈した。得られた固体を濾過によって収集し、IMSで洗浄して、生成物のもう1つのバッチを得た(1.5g)。これらのバッチを合わせて、さらに精製することなく使用される標題化合物(54.5g、74%)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ 7.95(d,1H),7.52(d,1H),7.16-7.08(m,3H),3.95(s,3H).
【0165】
中間体2:2-(4-フルオロ-3-メトキシフェニル)エタン-1-アミン
【化21】
氷-塩浴中で予め冷却されたTHF中の水素化アルミニウムリチウムの攪拌溶液(2M;12.7g、335mmol)に、硫酸(8.92mL、167mmol)を窒素下において一滴ずつ添加した。すべてのガスの発生が収まるまで、混合物を15分間攪拌した。2-MeTHF(660mL)中の中間体1(22g、112mmol)の溶液を一滴ずつ添加し、温度を<20℃に確実に維持した。冷却浴を取り除き、混合物を還流下において5分間加熱し、次いで氷-塩浴中中で冷却した。IPA(57mL)を一滴ずつ添加し、続いて水酸化ナトリウム(2M、39mL)を添加した。MgSO
4を添加し、混合物を30分間攪拌し、次いでCelite(登録商標)を通して濾過した。濾過ケークを2-MeTHF/IPA約98:2(約1.5L)で洗浄し、続いてDCM(約1.5L)中の10%MeOHで洗浄した。濾液を真空内で濃縮して、さらに精製することなく使用される表題化合物(18.8g、99%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.02-6.97(m,1H),6.80(dd,1H),6.74-6.68(m,1H),3.89-3.88(s,3H),2.96(t,2H),2.71(t,2H),1.24-1.18(m,2H).
【0166】
中間体3:2-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)-N-(4-フルオロ-3-メトキシフェネチル)アセトアミド
【化22】
氷-塩浴中で窒素下において冷却されたDCM(250mL)中の中間体2(49.3g、291mmol)及びDIPEA(101.5mL、583mmol)の溶液に、DCM(1.25L)中の中間体1(65.2g、291mmol)の溶液を一滴ずつ添加した。混合物を2時間にわたって、0℃から室温に温めながら攪拌した。得られた沈殿物を濾過によって単離し、DCMで完全に洗浄した。固体を真空内で乾燥させて、さらに精製することなく使用される標題化合物(83g、80%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.89-7.86(m,2H),7.77-7.74(m,2H),6.90(dd,1H),6.78(dd,1H),6.66(ddd,1H),5.75(s,1H),4.29(s,2H),3.88(s,3H),3.52(q,2H),2.79(t,2H).
【0167】
中間体4:N-(2-クロロ-4-フルオロ-5-メトキシフェネチル)-2-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)アセトアミド
【化23】
DMF(780mL)中の中間体3(82.6g、232mmol)とNCS(34.05g、255mmol)の混合物を50℃に加熱し、50℃で1時間攪拌し、次いで真空内で冷却及び濃縮した。得られた残留物に水(約2L)を添加し、得られた沈殿物を1時間攪拌した。固体を濾過によって単離し、水、Et
2Oで洗浄し、空気乾燥及び真空内で乾燥させて、さらに精製することなく使用される標題化合物(85.8g、94%)を得た。LCMS(方法2):1.43分,391.3[M+H]
+.
【0168】
中間体5:2-((5-クロロ-7-フルオロ-8-メトキシ-3,4-ジヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)イソインドリン-1,3-ジオン
【化24】
スルホラン(794mL、8330mmol)と中間体4(30.0g、76.8mmol)の懸濁液を90℃に加熱し、その結果、固体が溶解した。五酸化リン(65.4g、461mmol;CAS:1314-56-3)を一度に添加し、混合物を90~100℃で1時間攪拌した。混合物を約30℃に冷却し、攪拌された水(3L)に注いだ。溶液をNa
2CO
3でpH7.5に中和し、混合物を濾過した。沈殿物をDCM(500mL)に希釈し、有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、真空内で濃縮して、標題化合物を得た(27.0g、68.8mmol、収率90%)。LCMS(方法2):1.64分,373.2[M+H]
+.
【0169】
中間体6:2-((5-クロロ-7-フルオロ-8-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)イソインドリン-1,3-ジオン
【化25】
アルゴン下での、DCM(600mL)中の中間体5(50.3g、135mmol)の攪拌懸濁液を氷浴で冷却した。これに、酢酸(15.5mL、270mmol)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(57.2g、270mmol)を30分間にわたって、少しずつ添加した。混合物を室温に温めながら18時間攪拌した。次いで、混合物に、さらなる酢酸(3.09mL、54.0mmol)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(11.4g、54.0mmol)を添加し、攪拌を2.5時間続けた。混合物をDCMで希釈し、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液で中和した。これをさらなるDCMで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空内で濃縮して、標題化合物(48.8g、77%)を得た。LCMS(方法1):0.96分,375.0[M+H]
+.
【0170】
中間体7:2-((5-クロロ-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)イソインドリン-1,3-ジオン臭化水素酸塩
【化26】
窒素下での氷浴中で冷却されたDCM(500mL)中の中間体6(37.0g、98.7mmol)の攪拌懸濁液に、DCM中の三臭化ホウ素(1M;395mL、395mmol;CAS:10294-33-4)を一滴ずつ添加し、反応混合物を室温に温め、72時間攪拌した。氷水に一滴ずつ添加することによって液体をクエンチし、固体が沈殿した。反応フラスコ中の残りの残留物に氷水を添加し、混合物を0.5時間音波処理し、固体が沈殿した。両方の懸濁液を濾過し、回収された固体を合わせ、水で洗浄し、メタノールで共沸し、真空内で乾燥させて標題化合物(43.0g、99%)を得た。LCMS(方法1):0.92分,361.0[M+H]
+.
【0171】
中間体8:tert-ブチル(S)-5-クロロ-1-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート
【化27】
窒素下でのDCM(900mL)中の中間体7(43.0g、97.4mmol)の懸濁液に、DIPEA(67.5mL、389mmol)を添加し、続いてジ-tert-ブチルジカーボネート(19.1g、87.6mmol;CAS:24424-99-5)を少量ずつ添加し、ガスの発生が確認されなくなるまで、得られた混合物を攪拌した。反応混合物を水で希釈し、DCMで抽出し、合わせた有機相を水(×4)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、真空内で濃縮した。残留物をMeCN(900mL)中で2時間還流し、冷却し、濾過によって固体を単離して、ベージュ色の固体を得て、それを18時間空気乾燥させて、ラセミ物質34gを得た。ラセミ化合物をSFC(方法1:YMCアミロース-C 20×250mm、5um 20/80EtOH(0.1%DEA)/CO2、100ml/分、120bar、40℃、DAD 230nm)によって分離し、標題化合物(最初に溶出する鏡像異性体;15.9g、収率35%)を得た。鏡像異性体2から生じるカルボン酸最終化合物の小分子X線結晶学によって絶対立体配置が確認された。LCMS(方法2):1.50分,459.2[M-H]-.
1H NMR(400MHz;DMSO-d
6)δ 7.95-7.80(m,4H),7.42-7.37(m,1H),5.60-5.45(m,1H),4.19-3.75(m,3H),3.45-3.35(m,1H),2.83-2.79(m,1H),2.63-2.53(m,1H),1.03-0.95(m,9H).
【0172】
中間体9:(1R,2S)-2-[(2,4-ジメトキシフェニル)メトキシカルボニル]シクロヘキサン-カルボン酸;(1R)-1-フェニルエタンアミン
【化28】
トルエン(80ml)中の(2,4-ジメトキシフェニル)メタノール(43.6g、259mmol、CAS:7314-44-5)の溶液を、-5℃のトルエン(150ml)中のシス-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物(20.0g、130mmol、CAS:13149-00-3)及び(S)-(6-メトキシ-4-キノリル)-[(2R,4S,5R)-5-ビニルキヌクリジン-2-イル]メタノール(46.3g、143mmol、CAS:56-54-2)の懸濁液に一滴ずつ添加した。次いで、その溶液を冷蔵庫に移し、4日間静置した。反応混合物を室温に温め、洗浄されたものがpH1になるまで、1M HCl水溶液(200mL)で洗浄し、水、ブライン(100mL)で有機相を洗浄し、相セパレーターを通して濾過し、真空内で濃縮した。残留物をトルエン(100mL)で希釈し、これに(1R)-1-フェニルエタンアミン(16.5mL、130mmol;CAS3886-69-9)を添加した。前のバッチからの固体物質の数個の結晶で混合物をシーディングし、室温において24時間攪拌した。得られた固体を収集し、トルエンで洗浄し、Et
2Oで粉砕し、固体をさらに、Et
2O中で音波処理し、真空内で濾過し、乾燥させて、標題化合物(45.9g、80%)を得た。LCMS(方法1):1.44分,345.0[M+Na]
+.
【0173】
中間体10:(1R,2S)-2-(((2,4-ジメトキシベンジル)オキシ)カルボニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸
【化29】
クエン酸(10%水溶液;300mL)とEtOAc(300mL)との間に中間体9(45.9g、103mmol)を分配した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空内で濾過し、濃縮し、真空内で乾燥させて、さらに精製することなく使用される標題化合物(33.7g、仮定される定量的な)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 7.22-7.20(m,1H),6.46-6.43(m,2H),5.15-5.04(q,2H),3.80(s,3H),3.79(s,3H),2.89-2.81(m,2H),2.08-2.00(m,2H),1.81-1.73(m,2H),1.58-1.38(m,4H).
【0174】
中間体11:(1R,2S)-2-(((2,4-ジメトキシベンジル)オキシ)カルボニル)-2-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
【化30】
アルゴン下において-25℃に冷却された無水THF(150mL)中の中間体10(20.4g、63.1mmol)の攪拌溶液に、LDA(THF/ヘキサン中に2M;158mL、158mmol)を一滴ずつ添加した。混合物を-25℃で30分間攪拌し、次いでヨードメタン(11.8mL、189mmol)を一滴ずつ添加し、反応混合物を4時間にわたって室温に温めた。反応を飽和NH
4Cl水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出し、合わせた有機相を10%クエン酸水溶液で洗浄し、水層をさらにEtOAcで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空内で濾過し、濃縮して、標題化合物(23.6g、仮定される定量的な)を得た。LCMS(方法1):1.60分,359.1[M+Na]
+.
【0175】
中間体12:2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)1-(2,4-ジメトキシベンジル)(1S,2R)-1-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート
【化31】
アルゴン下において室温でのDMF(112mL)中の中間体11(21.2g、63.1mmol)の攪拌溶液に、HATU(31.2g、82.1mmol;CAS:148893-10-1)を添加し、反応混合物を5分間攪拌した。混合物にDIPEA(12.1mL、69.5mmol)を添加し、混合物を室温で18時間攪拌した。混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出し、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空内で濾過し、濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(330gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~50%EtOAc)での精製により、標題化合物(25.0g、87%)を得た。LCMS(方法1):1.70分,477.2[M+Na]
+.
【0176】
中間体13:(1R,2S)-2-[(2,4-ジメトキシフェニル)メトキシカルボニル]シクロペンタン-カルボン酸;(1R)-1-フェニルエタンアミン
【化32】
トルエン(100mL)中の(3aR,6aS)-4,5,6,6a-テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ-[c]フラン-1,3-ジオン(14.8g、106mmol、CAS:35878-28-5)及び(S)-(6-メトキシ-4-キノリル)-[(2R,4S,5R)-5-ビニルキヌクリジン-2-イル]メタノール(37.7g、117mmol、CAS:56-54-2)の攪拌懸濁液に、-5℃のトルエン(70mL)中の(2,4-ジメトキシフェニル)メタノール(35.5g、211mmol)を一滴ずつ添加した。次いで、溶液を冷蔵庫に移し、4日間静置しておいた。溶液を室温に温め、pH1になるまで、1M HCl水溶液(400mL)で洗浄し、水、ブラインで有機層を洗浄し、相セパレーターを通して濾過し、真空内で濃縮した。残留物をトルエン(90mL)で希釈し、これに(1R)-1-フェニルエタンアミン(13.4mL、106mmol;CAS3886-69-9)を添加し、反応混合物を室温において24時間攪拌した。得られた固体を収集し、トルエンで洗浄し、Et
2Oで粉砕し、固体をさらに、Et
2O中で音波処理し、真空内で濾過し、乾燥させて、標題化合物(34.0g、75%)を得た。LCMS(方法1):1.34分,331.0[M+Na]
+.
【0177】
中間体14:(1R,2S)-2-(((2,4-ジメトキシベンジル)オキシ)カルボニル)シクロペンタン-1-カルボン酸
【化33】
10%クエン酸水溶液(300mL)及びEtOAc(300mL)の間に、中間体13(34.0g、79.1mmol)を分配した。水溶液をさらに、EtOAcで抽出し、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空内で濾過し、濃縮して、さらに精製することなく使用される標題化合物(24.9g、仮定される定量的な)を得た。LCMS(方法1):1.33分,331.0[M+Na]
+.
【0178】
中間体15:(1R,2S)-2-(((2,4-ジメトキシベンジル)オキシ)カルボニル)-2-メチルシクロペンタン-1-カルボン酸
【化34】
アルゴン下において-78℃の無水HF(3.6mL)中のジイソプロピルアミン(0.57mL、4.05mmol;CAS:108-18-9)の攪拌溶液に、n-ブチルリチウム(THF中に2.5M;1.6mL、4.05mmol)を添加し、反応混合物を-78℃で15分間攪拌した。これに、無水THF(3.6mL)中の中間体14(500mg、1.62mmol)を一滴ずつ添加し、反応混合物を-78℃で15分間攪拌した。次いで、ヨードメタン(0.3mL、4.86mmol)を添加し、反応混合物を-78℃で15分間攪拌し、次いで1時間にわたって0℃に温めた。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)及び10%クエン酸水溶液で希釈し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空内で濾過し、濃縮して、さらに精製することなく使用される標題化合物(561mg、仮定される定量的な)を得た。LCMS(方法1):1.47分,345.0[M+Na]
+.
【0179】
中間体16:2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)1-(2,4-ジメトキシベンジル)(1S,2R)-1-メチルシクロペンタン-1,2-ジカルボキシレート
【化35】
DMF(1.5mL)中の中間体15(561mg、1.74mmol)の攪拌溶液に、HATU(728g、1.91mmol)を添加し、得られた混合物をアルゴン下において室温で5分間攪拌した。DIPEA(0.33mL、1.91mmol)を添加し、得られた混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(40gシリカカラムPuriflash HC、イソヘキサン中に0~50%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(307mg、40%)を得た。LCMS(方法1):1.62分,463.1[M+Na]
+.
【0180】
実施例の合成
実施例1:5-(((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-2-((1R,2S)-2-メチル-2-(1H-テトラゾール-5-イル)シクロヘキサン-1-カルボニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン
【化36】
工程a
窒素下での室温のDMF(14mL)中の中間体8(3.65g、7.92mmol)の攪拌溶液に、4-(クロロメチル)-5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-トリアゾール(1.87g、10.3mmol;CAS:2138555-23-2)及び炭酸セシウム(7.74g、23.8mmol)を添加し、反応混合物を室温で18時間攪拌した。これに、水を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空内で濾過し、濃縮した。残留物をTeledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(120gシリカカラムPuriflash HC、100%DCMに続いて、DCM中で0~30%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、tert-ブチル(S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)-7-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(4.07g、85%)を得た。LCMS(方法1):1.78分,628.1[M+Na]
+.
【0181】
工程b
EtOH(34mL)中の上記の中間体(4.07g、6.72mmol)の攪拌溶液に、ヒドラジン一水和物(1.26mL、16.8mmol;CAS:7803-57-8)を添加し、得られた混合物を75℃で2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、冷たいMeCNで希釈し、濾過し、濾液を真空内で濃縮し、真空内で乾燥させ、tert-ブチル(S)-1-(アミノメチル)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(3.04g、95%)を得た。LCMS(方法1):1.12分,476.2[M+H]+.
【0182】
工程c
トルエン(26mL)中の上記の中間体(3.04g、6.39mmol)の攪拌溶液に、メチル2-[1-(ブロモメチル)シクロプロピル]アセテート(1.46g、7.03mmol;CAS:855473-50-6)及びトリエチルアミン(1.34mL、9.58mmol)を添加し、還流下において16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮し、残留物をDCMとブラインの間に分配した。有機相を分離し、水溶液をさらに、DCM(×2)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空内で濃縮した。残留物をTeledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(80gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、tert-ブチル(S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(3.06g、84%)を得た。LCMS(方法1):1.66分,592.2[M+Na]+.
【0183】
工程d
ジオキサン(4M;26.8mL)中のHCl中の上記の中間体(3.06g、5.37mmol)の溶液を室温において1時間攪拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、クロロホルムと共沸し、真空内で濃縮して、(S)-5-((5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン塩酸塩(2.93g、定量的)を得た。LCMS(方法1):0.98分,470.1[M+H]+.
【0184】
工程e
DMF(16mL)中の上記の中間体(6.93g、13.7mmol)及び中間体12(9.33g、20.5mmol)の攪拌溶液に、DIPEA(4.74mL、27.4mmol)を添加し、得られた混合物を室温でアルゴン下において5日間攪拌した。DMF(6.3mL)中の上記の中間体(2.72g、5.37mmol)及び中間体12(3.66g、8.05mmol)の攪拌溶液に、DIPEA(1.86mL、10.74mmol)を添加し、得られた混合物を室温でアルゴン下において4日間攪拌した。2つの反応混合物を合わせ、EtOAc及び飽和重炭酸ナトリウム溶液で希釈し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(300gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100% EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、2,4-ジメトキシベンジル(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキシレート(4.1g、27%)を得た。LCMS(方法2):3.39分,788.5[M+H]+.純粋でない生成物含有画分を合わせ、真空内で濃縮し、さらにTeledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(200gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100% EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物の別のバッチ(7.06g、8.96mmol)を得た。LCMS(方法2):3.40分,788.6[M+H]+.両方のバッチを合わせて、さらに精製することなく使用される、2,4-ジメトキシベンジル(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ-[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロ-ヘキサン-1-カルボキシレート(11.16g、14.158mmol、55%)を得た。
【0185】
工程f
DCM(68mL)中の上記の中間体(11.16g、14.16mmol)の攪拌溶液に、トリエチルシラン(2.26mL、14.16mmol)に続いてTFA(1.09mL、14.16mmol)を添加し、得られた混合物を室温で2時間攪拌した。さらなるTFA(0.28mL、3.54mmol)を添加し、混合物を0.5時間攪拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、残留物を真空内で18時間乾燥させた。残留物をDCMに取り込み、濾過し、Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(300gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーに続いて、Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(120gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~50%酢酸メチル)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー、次いでTeledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(300gシリカカラムPuriflash HC、DCM中に1~10%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって濾液を精製して、(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸を固体(4.4g)として得た。純粋でない生成物含有画分を合わせ、真空内で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、追加の生成物(1.26g)を得た。両方のバッチを合わせて、(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸(5.66g、63%)を得た。LCMS(方法4):4.68分,638.1[M+H]+.1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.20(d,1H),6.82(t,1H),5.48(dd,1H),5.40(d,1H),5.23(d,1H),4.16(s,3H),4.06(dd,1H),4.00-3.89(m,1H),3.83(m,1H),3.24(d,1H),3.13(d,1H),3.08(dd,1H),2.99(m,1H),2.67(m,1H),2.57(dd,1H),2.47-2.36(m,2H),2.07(d,1H),1.85-1.72(m,2H),1.70-1.43(m,3H),1.41-1.23(m,1H),1.12(s,3H),1.03(m,1H),0.69-0.50(m,4H).
【0186】
工程g
DMF(1.6mL)中の上記の中間体(315mg、0.49mmol)、HATU(206mg、0.54mmol;CAS:148893-10-1)及び塩化アンモニウム(29mg、0.54mmol)の攪拌溶液に、DIPEA(0.17mL、0.99mmol)を添加し、反応混合物を室温で18時間攪拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機相を水及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflash HC、DCM中に0~5%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し、(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド(270mg、86%)を得た。LCMS(方法2):2.53分,637.4[M+H]+.
【0187】
工程h
DCM(2.5mL)中の上記の中間体(240mg、0.38mmol)の攪拌溶液に、無水トリフルオロ酢酸(0.16mL、1.13mmol)を添加し、得られた混合物を室温において窒素下で3時間攪拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflash HC、DCM中に0~5%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し、(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボニトリル(197mg、84%)を得た。LCMS(方法1):1.56分,619.3[M+H]+.
【0188】
工程i
上記の中間体(145mg、0.23mmol)及びアジドトリブチルスズ(IV)(0.41mL、1.5mmol;CAS:17846-68-3)の攪拌溶液に、α,α,α-トリフルオロトルエン(4.0mL)を添加し、得られた混合物を180℃で19時間、マイクロ波照射下において加熱した。別のチューブで、上記の中間体(25mg、0.04mmol)及びアジドトリブチルスズ(IV)(0.09mL、0.32mmol;CAS:17846-68-3)の攪拌溶液に、α,α,α-トリフルオロトルエン(0.8mL)を添加し、得られた混合物を180℃で19時間、マイクロ波照射下において加熱した。反応混合物を合わせ、真空内で濃縮し、Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(40gシリカカラムPuriflash HC、DCM中に0~5%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーに続いて、Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(12gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物含有画分を合わせ、真空内で濃縮した。MeCN/水(1:1)に残留物を溶解し、凍結乾燥させて、標題化合物(51mg、33%)を得た。LCMS(方法3):4.54分,662.2[M+H]+.1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 15.53(bs,1H),7.53(d,1H),7.18(t,1H),5.40-5.28(m,2H),5.20(m,1H),4.09-3.96(m,4H),3.90(dd,1H),3.56(m,1H),3.18(m,1H),2.92(d,1H),2.88-2.78(m,2H),2.75(m,1H),2.68(d,1H),2.30-2.10(m,2H),2.02(d,1H),1.93-1.76(m,2H),1.75-1.61(m,2H),1.61-1.37(m,3H),1.30(s,3H),0.73-0.24(m,4H).
【0189】
実施例2:(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((3-オキソモルホリノ)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
【化37】
工程a
0℃に冷却されたDMF(10mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液;1.33g、33.3mmol;CAS:7646-69-7)の懸濁液に、メチル2-ヒドロキシアセテート(2.14mL、27.8mmol;CAS:96-35-5)を一滴ずつ添加し、得られた混合物を室温においてアルゴン下で0.5時間攪拌した。これに、2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロピラン(4.61mL、30.5mmol;CAS:17739-45-6)を添加し、得られた混合物を室温に温め、4時間攪拌した。これに水を添加し、混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(120gシリカカラムPuriflash HC/Biotage SNAP、シクロヘキサン中に0~50%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し、メチル2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)アセテート(2.14g、35%)を得た。
1H NMR(400MHz;CDCl
3)δ 4.64(dd,1H),4.20-4.19(m,2H),3.93-3.83(m,2H),3.78-3.75(m,5H),3.68-3.62(m,1H),3.54-3.48(m,1H),1.90-1.50(m,6H).
【0190】
工程b
MeOH(20mL)中の上記の中間体(2.14g、9.81mmol)の攪拌溶液に、ピリジニウムp-トルエンスルホネート(49mg、0.20mmol;CAS:24057-28-1)を添加し、得られた混合物を還流下において2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮し、Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(40gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、メチル2-(2-ヒドロキシエトキシ)アセテート(1.12g、85%)を得た。1H NMR(400MHz;CDCl3)δ 4.16(s,2H),3.78-3.74(m,5H),3.71-3.68(m,2H),2.71(t,1H).
【0191】
工程c
氷浴で冷却された、Et2O(4.2mL)及びMeCN(2.1mL)中の上記の中間体(1.12g、8.4mmol)、イミダゾール(0.85g、12.5mmol)及びトリフェニルホスフィン(2.85g、10.9mmol)の攪拌溶液に、ヨウ素(2.97g、11.7mmol)を添加し、得られた混合物を0℃で2時間攪拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、濾過し、濾液を亜硫酸ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(80gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~50%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し、メチル2-(2-ヨードエトキシ)アセテート(1.39g、68%)を得た。1H NMR(400MHz;CDCl3)δ 4.16(s,2H),3.83(t,2H),3.77(s,3H),3.30(t,2H).
【0192】
工程d
トルエン(2.5mL)中のtert-ブチル(S)-1-(アミノメチル)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(290mg、0.61mmol;実施例1、工程b)の攪拌溶液に、上記の中間体(193mg、0.79mmol)及びトリエチルアミン(0.13mL、0.910mmol)を添加し、反応混合物を120℃で18時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮した。残留物をブラインで希釈し、DCMで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、tert-ブチル(S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((3-オキソモルホリノ)メチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(229mg、67%)を得た。LCMS(方法1):1.56分,582.2[M+Na]+.
【0193】
工程e
塩酸溶液(ジオキサン中に4M;2.04mL、8.18mmol)を、上記の中間体(229mg、0.410mmol)に添加し、得られた反応混合物を室温で1時間攪拌した。混合物を真空内で濃縮し、トルエンで共沸し、(S)-4-((5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)モルホリン-3-オン塩酸塩(219mg、定量的)を得た。LCMS(方法1):0.85分,460.1[M+H]+.
【0194】
工程f
DMF(1mL)中の上記の中間体(203mg、0.41mmol)及び中間体12(279mg、0.61mmol)の攪拌溶液に、DIPEA(0.14mL、0.82mmol)を添加し、反応混合物を室温でアルゴン下において6日間攪拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で希釈し、EtOAcで抽出し、合わせた有機相を水及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し、2,4-ジメトキシベンジル(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((3-オキソモルホリノ)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキシレート(173mg、54%)を得た。LCMS(方法1):1.70分,778.3[M+H]+.
【0195】
工程g
DCM(2mL)中の上記の中間体(173mg、0.22mmol)の攪拌溶液に、トリエチルシラン(0.04mL、0.22mmol)に続いてTFA(0.02mL、0.22mmol)を添加し、得られた混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(12gシリカカラムPuriflash HC、15um、DCM中に0~5%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製した。目的の生成物を含有する画分を合わせ、真空内で濃縮し、残留物をMeCN/水(1:1)に取り込み、凍結乾燥させて、標題化合物(94.3mg、67%)を得た。LCMS(方法3):4.45分,628.0[M+H]+.1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 11.88(bs,1H),7.54(d,1H),7.34(t,1H),5.52(dd,1H),5.44(d,1H),5.25(d,1H),4.31(dd,1H),4.14(s,3H),3.98(d,1H),3.90(m,1H),3.84-3.70(m,2H),3.69-3.50(m,2H),3.26(m,1H),2.98-2.86(m,2H),2.84-2.83(m,2H),2.62(m,1H),2.19(m,1H),1.68-1.49(m,3H),1.47-1.19(m,4H),1.10(s,3H).
【0196】
実施例3:(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-(((R)-4-メチル-2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
【化38】
工程a
-20℃のEtOH(250mL)中の(R)-4-メチルジヒドロフラン-2(3H)-オン(13.4g、134mmol、CAS:65284-00-6)の攪拌溶液に、トリメチルシリルヨージド(38.1mL、268mmol)を一滴ずつ添加した。溶液を-20℃で30分間攪拌した。次いで、オルトギ酸トリエチル(22.3mL、134mmol)を添加し、反応を還流において18時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中に5%EtOAc)粗生成物を精製し、エチル(R)-4-ヨード-3-メチルブタノエート(24.3g、71%)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ 4.15(q,2H),3.32-3.23(m,2H),2.46(dd,1H),2.24(dd,1H),2.07-1.99(m,1H),1.30-1.25(t,3H),1.06(d,3H).
【0197】
工程b
トルエン(1.3mL)中のtert-ブチル(S)-1-(アミノメチル)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(145mg、0.30mmol;実施例1、工程b)の攪拌溶液に、上記の中間体(101mg、0.40mmol)及びトリエチルアミン(0.06mL、0.46mmol)を添加し、反応混合物を120℃で18時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮した。残留物をブラインで希釈し、DCMで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflash HC、15um、シクロヘキサン中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し、tert-ブチル(S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-(((R)-4-メチル-2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(89mg、52%)を得た。LCMS(方法1):1.63分,580.2[M+Na]+.
【0198】
工程c
塩酸(ジオキサン中に4M;0.8mL、3.2mmol)を上記の中間体(89mg、0.16mmol)に添加し、得られた反応混合物を室温で1時間攪拌しておいた。反応混合物を真空内で濃縮し、トルエンで共沸して、(R)-1-(((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)-4-メチルピロリジン-2-オン塩酸塩(83mg、定量的)を得た。LCMS(方法1):0.93分,458.1[M+H]+.
【0199】
工程d
DMF(0.5mL)中の上記の中間体(79mg、0.16mmol)の攪拌溶液に、中間体12(109mg、0.24mmol)及びDIPEA(0.06mL、0.32mmol)を添加し、得られた混合物を室温でアルゴン下において6日間攪拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で希釈し、EtOAcで抽出し、合わせた有機相を水及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(12gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製から、2,4-ジメトキシベンジル(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((5-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-(((R)-4-メチル-2-オキソピロリジン-1-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキシレート(44mg、36%)を得た。LCMS(方法1):1.75分,776.3[M+H]+.
【0200】
工程e
DCM(0.5mL)中の上記の中間体(44mg、0.060mmol)の攪拌溶液に、トリエチルシラン(0.01mL、0.06mmol)に続いてTFA(0.004mL、0.06mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間攪拌した、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(12gシリカカラムPuriflash HC、15um、DCM中に0~5%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。目的の生成物を含有する画分を合わせ、真空内で濃縮した。残留物をアセトニトリル/水(1:1)に取り込み、凍結乾燥させて、標題化合物(26mg、71%)を得た。LCMS(方法3):4.61分,626.0[M+H]+.1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 11.97(bs,1H),7.52(d,1H),7.35(t,1H),5.48-5.38(m,2H),5.21(d,1H),4.14(s,3H),3.98-3.80(m,2H),3.56(m,1H),3.02(m,1H),2.95-2.71(m,4H),2.70-2.57(m,1H),2.37-2.22(m,2H),2.16(m,1H),1.73-1.50(m,4H),1.48-1.15(m,4H),1.08(s,3H),0.98(d,3H).
【0201】
実施例4:(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロペンタン-1-カルボン酸
【化39】
工程a
MeCN(83mL)中のメチル2-(ピリジン-2-イル)アセテート(5.0g、33.1mmol、CAS:1658-42-0)の攪拌溶液に、4-アセトアミドベンゼンスルホニルアジド(7.95g、33.1mmol、CAS:2158-14-7)を添加し、反応混合物をアルゴン下において0℃に冷却した。これに、DBU(3.97mL、33.1mmol)を10分にわたって一滴ずつ添加した。反応混合物を室温に温め、3時間攪拌した。これに、飽和塩化アンモニウム溶液を添加し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Interchim 4125(120gシリカカラムPuriflash HP、DCM中に0~15%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製から、メチル[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレート(5.48g、89%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 8.86-8.83(m,1H),8.31-8.28(m,1H),7.56(ddd,1H),7.19-7.15(m,1H),4.06(s,3H).
【0202】
工程b
EtOH(455mL)中の上記の中間体(2.0g、11.3mmol)の攪拌溶液に、Pd/C(10%;1.20g、11.3mmol)を添加し、反応混合物を脱気し、水素で充填した(×3)。反応混合物を水素雰囲気下において気圧で3時間攪拌した。Celite(登録商標)を通して混合物を濾過し、真空内で濃縮して、メチル4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-カルボキシレート(1.98g、99%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ:4.41(t,2H),3.94(s,3H),3.11(t,2H),2.13-2.06(m,2H),1.98-1.91(m,2H).
【0203】
工程c
THF(88mL)中の上記の中間体(1.96g、11.1mmol)の攪拌懸濁液に、水素化ホウ素リチウム(THF中に2M;10.0mL、19.9mmol)を10分にわたって一滴ずつ添加した。反応を室温でアルゴン下において20時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、10%クエン酸(33mL)で希釈し、次いでDCMで抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、真空内で濃縮した。Interchim PuriFlash(登録商標)4100(80gシリカカラムPuriflash HP、DCM中に0~30%EtOAc)によって粗生成物を精製し、(4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メタノール(620mg、35%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 4.76(s,2H),4.38(t,2H),2.92-2.88(m,3H),2.17-2.10(m,2H),2.05-1.95(m,2H).
【0204】
工程d
塩化チオニル(0.59mL、8.1mmol)を上記の中間体(620mg、4.1mmol)に添加した。クロロホルム(6.5mL)を添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、トルエンで共沸し(×2)、真空内で濃縮して、さらに精製することなく使用される3-(クロロメチル)-4,5,6,7-テトラヒドロトリアゾロ[1,5-a]ピリジン(702mg、仮定される定量的な)を得た。LCMS(方法1):0.90分,171.9[M+H]+.
【0205】
工程e
DMF(3mL)中の中間体8(434mg、0.94mmol)の攪拌溶液に、上記の中間体(210mg、1.22mmol)及び炭酸セシウム(920mg、2.82mmol)を添加し、反応混合物を室温で窒素下において18時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出し、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(40gシリカカラムPuriflash HC、DCM中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製から、tert-ブチル(S)-5-クロロ-1-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)-7-フルオロ-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(425mg、76%)を得た。LCMS(方法1):1.76分,596.2[M+H]+.
【0206】
工程f
EtOH(3.6mL)中の上記の中間体(425mg、0.71mmol)の攪拌溶液に、ヒドラジン一水和物(0.13mL、1.78mmol;CAS:7803-57-8)を添加し、反応混合物を75℃で1.5時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、冷たいMeCNで希釈し、濾過し、濾液を真空内で濃縮して、tert-ブチル(S)-1-(アミノメチル)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(298mg、85%)を得た。LCMS(方法1):1.07分,466.2[M+H]+.
【0207】
工程g
トルエン(3mL)中の上記の中間体(298mg、0.64mmol)の攪拌溶液に、メチル2-[1-(ブロモメチル)シクロプロピル]アセテート(146mg、0.70mmol;CAS:855473-50-6)及びトリエチルアミン(0.13mL、0.96mmol)を添加し、混合物を還流下において16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮した。残留物をブラインで希釈し、DCMで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(40gシリカカラムPuriflash HC、DCM中に0~90%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーの精製から、tert-ブチル(S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(321mg、90%)を得た。LCMS(方法1):1.66分,582.3[M+Na]+.
【0208】
工程h
塩酸(ジオキサン中に4M;2.9mL、11.5mmol)を上記の中間体(321mg、0.57mmol)に添加し、得られた反応混合物を室温で1時間攪拌しておいた。反応混合物を真空内で濃縮し、トルエンで共沸して、(S)-5-((5-クロロ-7-フルオロ-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン塩酸塩(294mg、98%)を得た。LCMS(方法1):1.01分,460.2[M+H]+.
【0209】
工程i
DMF(0.4mL)中の上記の中間体(135mg、0.27mmol)及び中間体16(204mg、0.47mmol)の攪拌溶液に、DIPEA(0.1mL、0.60mmol)を添加し、反応混合物を室温でアルゴン下において18時間間攪拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で希釈し、EtOAcで抽出し、合わせた有機相を水及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(40gシリカカラムPuriflash HC、DCM中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製から、2,4-ジメトキシベンジル(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-8-((4,5,6,7-テトラヒドロ-[1,2,3]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロペンタン-1-カルボキシレート(154mg、74%)を得た。LCMS(方法1):1.68分,764.4[M+H]+.
【0210】
工程j
0℃のDCM(2.0mL)中の上記の中間体(154mg、0.20mmol)の攪拌溶液に、トリエチルシラン(0.14mL、0.89mmol)に続いてTFA(0.03mL、0.45mmol)を添加し、得られた混合物を室温において1時間15分間攪拌した。さらなるトリエチルシラン(0.04mL、0.22mmol)及びTFA(0.02mL、0.22mmol)を添加し、攪拌を室温でさらに45分間続けた。反応混合物を真空内で濃縮し、残留物をトルエンで共沸した(×2)。Interchim PuriFlash(登録商標)4125(40g15μmシリカカラムPuriflash HP、DCM中に0~5%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製から、標題化合物(57mg、43%)を得た。LCMS(方法3):4.33分,614.1[M+H]+.1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.11(d,1H),5.60(dd,1H),5.23(m,1H),5.15(m,1H),4.42(m,1H),4.31(m,1H),4.01(dd,1H),3.84(m,2H),3.35(d,1H),3.13-3.01(m,2H),2.94(m,1H),2.87-2.65(m,5H),2.55(m,1H),2.34(d,1H),2.21-2.00(m,4H),1.98-1.65(m,4H),1.44(m,1H),1.28(s,3H),0.66-0.50(m,4H).
【0211】
実施例5:(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((4,5-ジメチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
【化40】
工程a
DMF(1.2mL)中の中間体8(300mg、0.65mmol)の攪拌溶液に、3-(クロロメチル)-4,5-ジメチル-1,2,4-トリアゾール(123mg、0.85mmol;CAS:881845-16-5)及び炭酸セシウム(636mg、1.95mmol)を添加し、反応混合物を室温において窒素下で4時間攪拌した。さらなる3-(クロロメチル)-4,5-ジメチル-1,2,4-トリアゾール(19mg、0.13mmol)及び炭酸セシウム(106mg、0.33mmol)を添加し、得られた混合物をさらに1時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出し、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflashHC、DCM中に0~5%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製から、tert-ブチル(S)-5-クロロ-8-((4,5-ジメチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メトキシ)-1-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)-7-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(331mg、89%)を得た。LCMS(方法1):1.47分,570.2[M+H]
+.
【0212】
工程b
EtOH(3mL)中の上記の中間体(331mg、0.58mmol)の攪拌溶液に、ヒドラジン一水和物(0.11mL、1.45mmol;CAS:7803-57-8)を添加し、得られた混合物を75℃で1時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、冷たいMeCNで希釈し、濾過し、濾液真空内で濃縮して、tert-ブチル(S)-1-(アミノメチル)-5-クロロ-8-((4,5-ジメチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(229mg、90%)を得た。LCMS(方法1):1.00分,440.1[M+H]+.
【0213】
工程c
トルエン(2.1mL)中の上記の中間体(229mg、0.52mmol)の攪拌溶液に、メチル2-[1-(ブロモメチル)シクロプロピル]アセテート(119mg、0.57mmol;CAS:855473-50-6)及びトリエチルアミン(0.11mL、0.780mmol)を添加し、反応混合物を還流下において16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮した。残留物をブラインで希釈し、DCMで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflash HC、DCM中に0~5%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製から、tert-ブチル(S)-5-クロロ-8-((4,5-ジメチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(95mg、34%)を得た。LCMS(方法1):1.36分,534.2[M+H]+.
【0214】
工程d
塩酸(ジオキサン中に4M;0.89mL、3.56mmol)を上記の中間体(95mg、0.18mmol)に添加し、得られた反応混合物を室温で2時間攪拌しておいた。反応混合物を真空内で濃縮し、トルエンで共沸して、(S)-5-((5-クロロ-8-((4,5-ジメチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン塩酸塩(110mg、仮定される定量的な)を得た。LCMS(方法2):1.90分,434.3[M+H]+.
【0215】
工程e
DMF(0.5mL)中の上記の中間体(84mg、0.18mmol)及び中間体12(121mg、0.27mmol)の攪拌溶液に、DIPEA(0.06mL、0.36mmol)を添加し、得られた混合物を室温でアルゴン下において3日間攪拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で希釈し、EtOAcで抽出し、合わせた有機相を水及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflash HC、DCM中に0~5%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、2,4-ジメトキシベンジル(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-8-((4,5-ジメチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メトキシ)-7-フルオロ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキシレート(72mg、54%)を得た。LCMS(方法1):1.51分,752.3[M+H]+.
【0216】
工程f
DCM(0.9mL)中の上記の中間体(72mg、0.10mmol)の攪拌溶液に、トリエチルシラン(0.02mL、0.10mmol)に続いて、TFA(0.01mL、0.10mmol)を添加し、反応混合物を室温において1時間攪拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflash HC、15um、DCM中に0~5%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製した。目的の生成物を含有する画分を合わせ、真空内で濃縮した。MeCN/水(1:1)に残留物を取り込み、凍結乾燥させて、標題化合物(24mg、41%)を得た。LCMS(方法3):3.78分,602.0[M+H]+.1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 11.84(bs,1H),7.55(d,1H),5.61(dd,1H),5.38-5.26(m,2H),4.03-3.88(m,2H),3.57(m,1H),3.51(s,3H),3.06(d,1H),3.00(m,1H),2.87(dd,1H),2.80(dd,1H),2.72-2.59(m,2H),2.40-2.24(m,4H),2.21(d,1H),2.07(d,1H),1.72-1.48(m,3H),1.47-1.17(m,4H),1.11(s,3H),0.63-0.43(m,4H).
【0217】
実施例6:(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
【化41】
工程a
DMF(1.2mL)中の中間体8(300mg、0.65mmol)の攪拌溶液に、4-(クロロメチル)-1-メチル-トリアゾール(111mg、0.85mmol;CAS:269726-46-7)及び炭酸セシウム(636mg、1.95mmol)を添加し、反応混合物を室温において窒素下で18時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出し、合わせた有機相を水、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、tert-ブチル(S)-5-クロロ-1-((1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)メチル)-7-フルオロ-8-((1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(332mg、92%)を得た。LCMS(方法1):1.68分,578.2[M+Na]
+.
【0218】
工程b
エタノール(3mL)中の上記の中間体(332mg、0.60mmol)の攪拌溶液に、ヒドラジン一水和物(0.11mL、1.49mmol;CAS:7803-57-8)を添加し、得られた混合物を75℃で1時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、冷たいMeCNで希釈し、濾過し、濾液を真空内で濃縮して、tert-ブチル(S)-1-(アミノメチル)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(264mg、仮定される定量的な)を得た。LCMS(方法1):1.05分,426.1[M+H]+.
【0219】
工程c
トルエン(2.4mL)中の上記の中間体(254mg、0.60mmol)の攪拌溶液に、メチル2-[1-(ブロモメチル)シクロプロピル]アセテート(136mg、0.66mmol;CAS:855473-50-6)及びトリエチルアミン(0.12mL、0.89mmol)を添加し、反応混合物を還流下において16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮した。残留物をブラインで希釈し、DCMで抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、tert-ブチル(S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(199mg、64%)を得た。LCMS(方法1):1.54分,542.2[M+Na]+.
【0220】
工程d
塩酸(ジオキサン中に4M;1.9mL、7.65mmol)を上記の中間体(199mg、0.38mmol)に添加し、得られた反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、トルエンで共沸して、(S)-5-((5-クロロ-7-フルオロ-8-((1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン塩酸塩(217mg、仮定される定量的な)を得た。LCMS(方法1):0.90分,420.1[M+H]+.
【0221】
工程e
DMF(0.5mL)中の上記の中間体(175mg、0.38mmol)及び中間体12(261mg、0.58mmol)の攪拌溶液に、DIPEA(0.13mL、0.77mmol)を添加し、反応混合物を室温でアルゴン下において3日間攪拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で希釈し、EtOAcで抽出し、合わせた有機相を水及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し、2,4-ジメトキシベンジル(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキシレート(177mg、63%)を得た。LCMS(方法1):1.66分,738.3[M+H]+.
【0222】
工程f
DCM(2.2mL)中の上記の中間体(177mg、0.24mmol)の攪拌溶液に、トリエチルシラン(0.04mL、0.24mmol)に続いてTFA(0.02mL、0.24mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を真空内で濃縮し、Teledyne ISCO CombiFlash(登録商標)Rf+(25gシリカカラムPuriflash HC、15um、DCM中に0~5%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。目的の生成物を含有する画分を合わせ、真空内で濃縮し、標題化合物(94mg、67%)を得た。MeCN/水(1:1)に生成物44mgを溶解し、凍結乾燥させて、標題化合物(37mg、25%)を得た。LCMS(方法3):4.26分,588.0[M+H]+.1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 11.91(bs,1H),8.18(s,1H),7.50(d,1H),5.68(dd,1H),5.30(m,1H),5.22(m,1H),4.03(s,3H),4.00-3.88(m,2H),3.57(m,1H),3.28(d,1H),3.05-2.95(m,2H),2.84-2.71(m,2H),2.64(m,1H),2.35-2.16(m,2H),2.10(d,1H),1.73-1.48(m,3H),1.47-1.19(m,4H),1.10(s,3H),0.65-0.44(m,4H).
【0223】
実施例7:(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((5-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸
【化42】
工程a
アジドメチル2,2-ジメチルプロパノエート(2.36g、15mmol;CAS:872700-68-0)と2-ブチン-1-オール(1.05g、15mmol;CAS:764-01-2)との混合物を、密閉バイアル内でアルゴン下において110℃で12時間加熱した。混合物を室温に冷却し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、シクロヘキサン中に0~80%EtOAc)によって精製し、(4-(ヒドロキシメチル)-5-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチルピバレート(1.5g、44%)を得た。LCMS(方法1):1.05分,228.1[M+H]
+.
【0224】
工程b
EtOH(100mL)中の中間体8(5g、10.9mmol)の攪拌懸濁液に、ヒドラジン一水和物(2.03mL、27.12mmol;CAS:7803-57-8)を添加し、得られた混合物を85℃で1時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、冷たいMeCNで希釈し、濾過し、濾液を真空内で濃縮して、tert-ブチル(S)-1-(アミノメチル)-5-クロロ-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(3.7g、95%)を得た。LCMS(方法2):2.17分,331.2[M+H]+
【0225】
工程c
トルエン(75mL)中の上記の中間体(3.4g、10.8mmol)の攪拌溶液に、トルエン(75mL)中のメチル1-(ブロモメチル)シクロプロパンアセテート(2.6g、12.3mmol;CAS:855473-50-6)及びトリエチルアミン(2.6mL、18.5mmol)を添加し、還流下において16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、真空内で濃縮し、EtOAcと水の間に残留物を分配した。有機相を分離し、水層をさらに、DCMで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空内で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、DCM中の0~50%EtOAc)によって粗生成物を精製し、tert-ブチル(S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-カルボキシレート(2.6g、60%)を得た。LCMS(方法1)1.61分,447.1[M+Na]+
【0226】
工程d
1,4-ジオキサン(2mL)中の上記の中間体(1g、2.4mmol)の懸濁液に、ジオキサン中のHCl(4M;5.6mL、23.5mmol)を添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。混合物を濾過し、固体をMeOHで、次いでMeOH/トルエンで共沸して、(S)-5-((5-クロロ-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-1-イル)メチル)-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-6-オン塩酸塩(0.85g、定量的)を得た。LCMS(方法1):0.83分,324.9[M+H]+.
【0227】
工程e
DMF(6mL)中の上記の中間体(0.85g、2.35mmol)及び中間体12(1.6g、3.53mmol)の攪拌溶液に、DIPEA(1mL、5.88mmol)を添加し、得られた混合物を室温で24時間攪拌した。中間体12(1g、2.2mmol)及びDIPEA(1mL、5.88mmol)の追加分を添加し、混合物を室温で3日間攪拌した。反応混合物をEtOAc及び飽和クエン酸溶液で希釈し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相を水及びブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空内で濃縮した。Biotage Isolera Four(商標)(40gシリカカラムPuriflash HC、シクロヘキサン中に0~100%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、2,4-ジメトキシベンジル(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-ヒドロキシ-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキシレート(0.59g、39%)を得た。LCMS(方法1):1.68分,643.2[M+H]+
【0228】
工程f
THF(5mL)中の上記の中間体(0.58g、0.9mmol)、(4-(ヒドロキシメチル)-5-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)メチルピバレート(0.23g、0.99mmol、実施例7、工程a)及びトリフェニルホスフィン(0.31g、1.17mmol)の溶液に、DEAD(0.21mL、1.35mmol)を一滴ずつ添加した。混合物を室温において1時間攪拌し、次いで真空内で濃縮した。Biotage Isolera Four(商標)(40gシリカカラムPuriflash HC 50μM、シクロヘキサン中に0~50%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、次いでBiotage Isolera Fourr(商標)(40gシリカカラムPuriflash HC 50μM、シクロヘキサン中に0~40%EtOAc)により粗生成物を精製して、2,4-ジメトキシベンジル(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((5-メチル-1-((ピバロイルオキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキシレート(0.56g、73%)を得た。LCMS(方法1)1.93分,852.3[M+H]+.
【0229】
工程g
DCM(3.6mL)中の上記の中間体(0.55g、0.65mmol)の溶液に、トリエチルシラン(0.52mL、3.23mmol)に続いてTFA(0.2mL、2.6mmol)を添加し、得られた混合物を室温で1時間攪拌した。混合物を水及びDCMで希釈し、相を分離した。有機相を水で洗浄し、相セパレーターを通して濾過した。Biotage Isolera Four(商標)(40gシリカカラムPuriflash HC 50μM、DCM中に0~5%MeOH)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し、(1S,2R)-2-((S)-5-クロロ-7-フルオロ-8-((5-メチル-1-((ピバロイルオキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メトキシ)-1-((6-オキソ-5-アザスピロ[2.4]ヘプタン-5-イル)メチル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-カルボニル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボン酸(0.35g、77%)を得た。LCMS(方法1):1.70分,702.3[M+H]+.
【0230】
工程h
THF(4mL)中の上記の中間体(0.35g、0.49mmol)の溶液に、水(0.5mL)中の水酸化リチウム一水和物(82.4mg、1.97mmol)の溶液を添加し、得られた溶液を室温で1時間攪拌した。アンモニア(30~33重量%水溶液;0.5mL)を添加し、混合物を室温で18時間攪拌した。その溶液をEtOAc及び水で希釈し、次いでHCl(1M)を一滴ずつ添加してpH5に酸性化した。混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空内で濃縮した。Biotage Isolera Four(商標)(40gシリカカラムPuriflash HC 15μm、シクロヘキサン中に5~80%EtOAc)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、標題化合物(60mg、21%)を得た。LCMS(方法3)4.27分,588.1[M+H]+.1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 14.78(bs,1H),11.92(bs,1H),7.52(d,1H),5.79(dd,1H),5.28(dd,1H),5.18(dd,1H),4.03-3.90(m,2H),3.58(m,1H),3.18(d,1H),3.01(m,1H),2.90(dd,1H),2.80(dd,1H),2.67(m,1H),2.55(d,1H),2.36-2.23(m,4H),2.19(d,1H),2.09(d,1H),1.72-1.47(m,3H),1.46-1.15(m,4H),1.11(s,3H),0.63-0.42(m,4H).
【0231】
生物学的アッセイ
KEAP1ケルヒ蛍光偏光(FP)アッセイ法
ケルヒドメイン-NRF2相互作用の阻害を、黒色384ウェルマイクロプレート中の蛍光偏光に基づく競合アッセイを使用して決定した。化合物を、1:3において段階希釈された10μMの開始濃度で試験して、Biomek FXロボット上で12点の用量反応曲線を作成した。各ウェルは、様々な濃度の試験化合物の存在下でアッセイ緩衝液(50mM Tris-HCl pH8.0、100mM NaCl、5mM MgCl2、0.005% Tween-20、0.005% BSA、0.5% DMSO)の20μLの最終体積中において2nM FITC標識NRF2ペプチド(FITC-LDEETGEFL-NH2)及び25nMヒトKEAP1(N末端、残基321~609)酵素を含有した。50μMの非標識ペプチド(LDEETGEFL-NH2)(陰性対照)及び0.5% DMSO(陽性対照)を使用して、アッセイウインドウを決定した。
【0232】
室温で1時間後、蛍光偏光(励起470nm/発光530nm)は、Envisionプレートリーダーを使用して測定された。IC50値は、データをActivityBase内のXLift又はXE Runnerを使用して、4パラメーターロジスティックフィットにフィッティングすることによって決定された。アッセイ限界は、10nM未満の化合物を区別できない場合である。実施例化合物のIC50値を表1に示す(NT=未試験)。
【0233】
【0234】
Beas2B NQO1 mRNA細胞系アッセイ
NRF2媒介性遺伝子NAD(P)H:キノン受容体オキシドレダクターゼ1(NQO1)の上方制御は、以下のアッセイ方法を使用して測定された:BEAS-2B細胞(ATCC CRL-9609)を、75μLの細胞培養培地中の20,000細胞/ウェルにおいて96ウェル透明プレート中に播種し、一晩インキュベートした(37℃、5% CO2)。2日目において、25μLの化合物又は対照を細胞に24時間加えた。3日目において、培地をプレートから吸引し、Cells-to-CT(商標)1-Step TaqMan(登録商標)キット(Ambion A25603)を使用して、製造業者の指示書に従ってRNA精製を伴わずに培養細胞から直接的に発現分析を実施した。
【0235】
簡潔に述べると、細胞を、氷冷PBSで洗浄し、22.5μLの室温DNアーゼ/溶解溶液を細胞に加え、室温で5分間インキュベートした。反応を停止させるために、2.25μLの停止溶液を、細胞可溶化物に加えた。試料を、ヌクレアーゼフリー水を使用して1:5に希釈し、2.5μLをPCRプレートに移した。リアルタイムPCRを、内部標準としてヒトベータアクチンを使用して、C-1000サーマルサイクラー(Bio-Rad)を使用して実施した。cDNAを、1-ステップ RT-PCRマスターミックス(Ambion Cells-to-CT(商標)1-Step TaqMan(登録商標)キット A25603)を使用して、NQO1のための特異的なプライマーで増幅させた。cDNAの増幅のために使用されたプライマー/プローブセットは、TaqMan遺伝子発現アッセイ(Applied Biosystems)から得られた。比較CT(ΔΔCT)相対定量化法を使用して、Applied Biosystems Chemistry Guideにおいて記載されるとおりに標的遺伝子NQO1の相対mRNAレベルを計算した。データは、溶媒(0.1% DMSO)対照と比較した標的遺伝子mRNAの増加として表され、EC50値は、データをActivityBase内のXLift又はXE Runnerを使用して、4パラメーターロジスティックフィットにフィッティングすることによって決定された。実施例化合物に関するEC50値は、表2において示される(NT=試験せず)。
【0236】
【0237】
PK/PD方法
雄ウィスターハンラット(Charles River labs)は、指定の用量濃度で経口又は静脈内に試験物品を投与された。静注用量は、尾静脈を介して緩徐な大量投与として投与された。経口製剤は、胃管栄養によって胃に投与された。実際の用量時間が記録された。
【0238】
指定の時点で、2×0.25mLの血液試料は、尾静脈を介してK2EDTA血液チューブに回収された。次に、回収された血液試料は、血漿に関して遠心分離されたか又は650μLのRNAlaterを含有する1.5mLのPCR RNAlaterチューブにデカントされた。
【0239】
回収の直後に、血液試料を、湿った氷上に置いた。事実上可能なかぎり速やかに、K2EDTA中の0.25mL血液試料を遠心分離し(+4℃、1500g、10分)、得られた血漿を適切に標識されたポリプロピレンチューブに入れて、血漿薬物動態を測定するまで-80℃の温度を維持するように設定された冷凍庫に保管した。650μLのRNAlaterを含有する1.5mL PCR RNAlaterチューブ中の追加の0.25mL血液試料を、血液薬物動態を測定するまで4℃で冷蔵庫に保管した。
【0240】
最後の試料回収の後、各動物を、事実上可能なかぎり速やかにペントバルビトンNaのIP注射による麻酔薬の過剰投与によって屠殺し、死亡は、頸椎脱臼によって確認された。
【0241】
各動物から肺を除去し、摘出の直後に4つの等しい小片に分割した。肺の最初の2つの切片(左及び右と標識された)を、5mLのRNAlater安定化試薬を含有する5mLのRNAlater組織保護チューブに入れ、4℃で保管してRNAを安定化させた(PD分析)。残りの2つの切片(左及び右と標識された)を秤量し、ポリプロピレンチューブ内において液体窒素中に浸漬させて急速凍結した(PK分析)。
【0242】
肝臓も各動物から回収された。異なる領域からの6つの代表的な小片(肺の小片より小さいサイズ)(厚さ0.5cm以下)が回収された。4つの小片(厚さ0.5cm以下)を、5mLのRNAlater安定化試薬を含有する2本の別々の(チューブ当たり2つの小片)5mLのRNAlater組織保護チューブに入れ(組織切片はRNAlater溶液に完全に浸した)、4℃で保管した(PD分析)。残りの2つの小片を秤量し、別々のポリプロピレンチューブ内において液体窒素中に浸漬させて急速凍結した(チューブ当たり最大0.5g、PK分析)。
【0243】
いくつかの試験において、心臓、脾臓及び脳も各動物から回収された。これらの組織を、同じサイズの4つの小片に切断し、2つの小片を5mLのRNAlater安定化試薬を含有する5mLのRNAlater組織保護チューブに入れ、4℃で保管した。残りの2つの小片を秤量し、個別にポリプロピレンチューブに入れ、液体窒素中に浸漬させて急速凍結した。
【0244】
RNAlater RNA安定化試薬を含有する試験試料チューブを、約+4℃で保管して、RNA安定化試薬を組織に灌流させた。急速凍結された切片を、-80℃の温度を維持するように設定された冷凍庫に保管した。
【0245】
PK試験試料は、タンパク質沈殿及びLC-MS/MS分析に基づく方法を使用して定量化された。分析の前に、解凍された組織試料を秤量し、HPLCグレード水の添加の後にOmni-Prep Bead Ruptor(Omni Inc.、Kennesaw、GA)を使用して4℃でホモジナイズした。血漿及び組織ホモジネート試料を、内部標準を含有する0.1% ギ酸で酸性化されたアセトニトリルによるタンパク質沈殿を使用して抽出した。試料を混合し、4000rpmにおいて4℃で30分間遠心分離して、沈殿したタンパク質を除去し、上清を、96ウェルプレート中のHPLCグレード水で適切に希釈した。血漿及び組織ホモジネートの代表的な分割量を、マトリックス適合較正曲線及び品質管理標準物質に対して、Waters Xevo TQ-S(Waters、Elstree、UK)を使用してLC-MS/MSによって試験物品についてアッセイした。標準物質を、対照の血漿及び組織ホモジネートの分割量に試験物品を添加することによって調製し、実験試料について記載されるとおりに抽出した。
【0246】
インビボPD試験におけるNQO1遺伝子発現のためのRNA抽出及びリアルタイムPCR分析は、下に詳述されるとおりに実施された。
【0247】
総RNAを、製造業者の指示書に従ってRNeasy plus mini RNA単離キット(Qiagen)又はマウスRibopure(商標)-血液RNA単離キット(ThermoFisher Scientific)を使用して単離し、Agilent 6000 Nano機器を使用して定量化した。リアルタイムPCRを、内部標準としてラットベータアクチンを使用して、C-1000サーマルサイクラー(Bio-Rad)を使用して実施した。cDNAを、ユニバーサルマスターミックス(Applied Biosystems)を使用して、NQO1/Nqo1のための特異的なプライマーで増幅させた。cDNAの増幅のために使用されたプライマー/プローブセットは、TaqMan遺伝子発現アッセイ(Applied Biosystems)から得られた。比較CT(ΔΔCT)相対定量化法を使用して、Applied Biosystems Chemistry Guideにおいて記載されるとおりの標的遺伝子NQO1の相対mRNAレベルを計算する。データは、各組織型について処理された溶媒対照と比較した標的遺伝子mRNAの増加として表される。