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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-09
(45)【発行日】2025-05-19
(54)【発明の名称】モータのロータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20250512BHJP
【FI】
H02K1/276 ZHV
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023550928
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2021036199
(87)【国際公開番号】W WO2023053366
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】白砂 貴盛
(72)【発明者】
【氏名】野村 佳寛
(72)【発明者】
【氏名】山口 茂博
(72)【発明者】
【氏名】朝重 大喜
(72)【発明者】
【氏名】本多 真悟
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-236592(JP,A)
【文献】特開2020-191695(JP,A)
【文献】特開2012-114984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
鋼鈑を軸方向に複数積層して構成されるとともに磁石挿入孔を有するロータコアと、
前記磁石挿入孔に挿入される磁石と、
前記磁石挿入孔内に充填されて前記磁石を前記磁石挿入孔内で固定する樹脂部材と、を備えるモータのロータであって、
前記複数の鋼鈑のうち前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑の少なくとも一方は、前記軸方向で内側に位置する他の鋼鈑と同一形状で、前記軸まわりの位相をずらして固定され、
前記複数の鋼鈑は前記軸に対する径方向内側に向かって突出する突出部を有し、
前記シャフトには前記突出部と嵌合する軸方向溝が前記軸方向に沿って設けられ、前記シャフトの前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑の前記突出部が固定される位置に前記軸方向溝から周方向に伸びる周方向溝が形成されている、
モータのロータ。
【請求項2】
前記鋼鈑には、貫通孔が設けられ、
前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑の前記貫通孔から、前記軸方向で内側に位置する他の鋼鈑の前記磁石挿入孔の少なくとも一部が露出した状態で固定される、
請求項1記載のモータのロータ。
【請求項3】
1つの前記磁石挿入孔には、複数の磁石が前記鋼鈑の平面に並んで配置され、
前記並んで配置される磁石の間の隙間が、前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑の前記貫通孔から露出した状態で固定される、
請求項2記載のモータのロータ。
【請求項4】
前記周方向溝の周方向長さは、前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑を固定する前記軸まわりの位相に対応して前記突出部が周方向に移動する寸法と等しく設けられている、
請求項1から3のいずれか記載のモータのロータ。
【請求項5】
前記複数の鋼鈑は前記軸に対する径方向内側に向かって突出する突出部を有し、
前記シャフトは、
前記軸方向に沿って設けられて前記突出部と嵌合する軸方向溝と、
前記軸方向溝とは周方向に異なる位置で前記軸方向に沿って設けられ前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑の前記突出部が嵌合する他の軸方向溝と、
を有する、
請求項1から4のいずれか記載のモータのロータ。
【請求項6】
前記ロータコアは、複数の磁石挿入孔を有し、
前記複数の磁石挿入孔は、前記鋼鈑の周方向に、一定の位相となるように隣接して配置されており、
周方向で隣接する2つの前記磁石挿入孔の間が前記磁石に軸方向視で重なる、
請求項1から5のいずれか記載のモータのロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータのロータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼鈑を複数積層して構成されると共に磁石挿入孔を有するロータコアと、磁石挿入孔に挿入される磁石と、磁石挿入穴内に充填されて磁石を磁石挿入孔内で固定する樹脂部材と、を備えるモータのロータが知られている。
特許文献1,2には、端面板の一部に貫通孔を設け、磁石を表面に露出させた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6075300号公報
【文献】特開2014-212582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の技術では、ロータの複数の電磁鋼鈑のうち積層方向の両端の2枚が異なる形状とされていることで、それぞれが異なる打ち抜き金型により製造される。また、特許文献2記載の技術では、ロータの複数の電磁鋼鈑とは、別部材である固定部材を用いている。これらの技術では、ロータの複数の電磁鋼鈑と両端の部材とを別工程で製造する必要があるため、作業工程を削減したいという要求があり、また、製造に必要な部品点数を減らしたいという要求があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、製造工程を削減でき、製造に必要な部品点数を減らすことの可能なモータのロータを提供するという目的を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した本発明の一態様に係るモータのロータは、
シャフト(20)と、
鋼鈑(11,12)を軸方向に複数積層して構成されるとともに磁石挿入孔(14)を有するロータコア(13)と、
前記磁石挿入孔(14)に挿入される磁石(15)と、
前記磁石挿入孔(14)内に充填されて前記磁石(15)を前記磁石挿入孔(14)内で固定する樹脂部材(16)と、
を備えるモータのロータ(10)であって、
前記複数の鋼鈑(11,12)のうち前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑(12)の少なくとも一方は、前記軸方向で内側に位置する他の鋼鈑(11)と同一形状で、前記軸まわりの位相をずらして固定される。
請求項2に記載した本発明のモータのロータは、
前記鋼鈑(11,12)には、貫通孔(14a,17a)が設けられ、
前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑(12)の前記貫通孔(17a)から、前記軸方向で内側に位置する他の鋼鈑の(11)前記磁石挿入孔(14)の少なくとも一部が露出した状態で固定される、
ことができる。
請求項3に記載した本発明のモータのロータは、
1つの前記磁石挿入孔(14)には、複数の磁石(15)が前記鋼鈑(11)の平面に並んで配置され、
前記並んで配置される磁石(15)の間の隙間(15a)が、前記軸方向最で外側に位置する鋼鈑(12)の前記貫通孔(17a)から露出した状態で固定される、
ことができる。
請求項4に記載した本発明のモータのロータは、
前記複数の鋼鈑(11,12)は前記軸に対する径方向内側に向かって突出する突出部(11a,12a)を有し、前記シャフト(20)には前記突出部(11a,12a)と嵌合する軸方向溝(21)が前記軸方向に沿って設けられ、前記シャフト(20)の前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑(12)の前記突出部(12a)が固定される位置に前記軸方向溝(21)から周方向に伸びる周方向溝(22)が形成されている。
(5)一例において、前記周方向溝(22)の周方向長さは、前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑(12)を固定する前記軸まわりの位相に対応して前記突出部(12a)が周方向に移動する寸法と等しく設けられている。
(6)一例において、前記複数の鋼鈑(11,12)は前記軸に対する径方向内側に向かって突出する突出部(11a,12a)を有し、前記シャフト(20)は、前記軸方向に沿って設けられて前記突出部(11a)と嵌合する軸方向溝(21)と、前記軸方向溝とは周方向に異なる位置で前記軸方向に沿って設けられ前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑の前記突出部(12a)が嵌合する他の軸方向溝(23)と、を有する。
(7)本発明の第2態様に係るモータのロータは、シャフト(20)と、鋼鈑(11,12)を軸方向に複数積層して構成されるとともに磁石挿入孔(14)を有するロータコア(13)と、前記磁石挿入孔(14)に挿入される磁石(15)と、
前記磁石挿入孔(14)内に充填されて前記磁石(15)を前記磁石挿入孔(14)内で固定する樹脂部材(16)と、を備え、前記複数の鋼鈑(11,12)のうち前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑(12)の少なくとも一方は、前記軸方向で内側に位置する他の鋼鈑(11)と同一形状で、前記軸まわりの位相をずらして固定されるとともに、前記複数の鋼鈑(11,12)のうち、前記軸方向で内側に位置する他の鋼鈑(11)は前記軸に対する径方向内側に向かって突出する突出部(11a)を有し、前記シャフト(20)には前記突出部(11a)と嵌合する軸方向溝(21))が前記軸方向に沿って設けられ、前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑(12)は前記突出部が突出しないことを除き前記軸方向で内側に位置する他の鋼鈑(11)と同一形状である。
(8)一例において、前記鋼鈑(11,12)には、貫通孔(14a,17a)が設けられ、前記軸方向で最外側に位置する鋼鈑(12)の前記貫通孔(17a)から、前記軸方向で内側に位置する他の鋼鈑の(11)前記磁石挿入孔(14)の少なくとも一部が露出した状態で固定される。
(9)一例において、1つの前記磁石挿入孔(14)には、複数の磁石(15)が前記鋼鈑(11)の平面に並んで配置され、前記並んで配置される磁石(15)の間の隙間(15a)が、前記軸方向最で外側に位置する鋼鈑(12)の前記貫通孔(17a)から露出した状態で固定される。
【発明の効果】
【0007】
第1態様に係るロータによれば、最外側の鋼鈑(端面板)も他の鋼鈑と同一形状のものを使用するため、金型を分けるまたは複雑化することなく、低コストで製造できる。最外側の鋼鈑は位相をずらして固定することにより、軸方向視して内側の磁石と最外側鋼鈑の磁石挿入孔とが重なるため、磁石の脱落を抑制することができる。同時に、磁石の一部が最外側鋼鈑の磁石挿入孔から露出することができるため、磁石の冷却性能を向上することができる。
【0008】
上記(2)の例において、最外側鋼鈑の貫通孔から内側鋼鈑の磁石挿入孔が露出しているため、磁石挿入孔に異物が混入した場合でも最外側鋼鈑の貫通孔からロータ外部に異物を排出することができる。例えば、ロータの回転遠心力により外側の壁に付いた異物が、ロータの回転速度の変化によって排出されることができる。ここでいう異物とは、埃や結露による水分、モータ摩耗粉などである。
上記(3)の例において、磁石の間の隙間には上述した異物が混入しやすいが、最外側鋼鈑の貫通孔からこの隙間が露出していることにより、異物をロータ外部に排出しやすくすることができる。
【0009】
上記(4)の例において、軸方向溝および周方向溝が設けられるため、鋼鈑とシャフトの位置ずれが起こらない。また、軸方向で最外側の鋼鈑(端面板)が位置するシャフトの外周面に周方向溝が設けられているため、端面板を周方向溝に沿って回転することで、内側の鋼鈑に対して容易に位相をずらして固定することができる。
上記(5)の例において、最外側の鋼鈑を内側の鋼鈑に対してずらす位相に対応する分だけ周方向溝が切られているので、周方向溝の端部に突出部が突き当ることにより、内側の鋼鈑に対する最外側の鋼鈑の位置決めを容易に行うことができる。
【0010】
上記(6)の例において、軸方向溝が設けられるため鋼鈑とシャフトの位置ずれが起こらない。また、軸方向で最外側の鋼鈑(端面板)の突出部と嵌合する他の軸方向溝を有するので、端面板をずらして他の軸方向溝に勘合させることで、内側の鋼鈑に対して容易に位相をずらして固定することができる。
【0011】
第2態様に係るロータによれば、軸方向溝が設けられるため鋼鈑とシャフトの位置ずれが起こらない。また、軸方向で最外側の鋼鈑(端面板)には突出部を設けないため、端面板のシャフトへの組み付け時に突出部が邪魔になることなく、端面板を、軸方向で内側の鋼鈑に対して容易に位相をずらして固定することができる。
【0012】
上記(8)の例において、最外側鋼鈑の貫通孔から内側鋼鈑の磁石挿入孔が露出しているため、磁石挿入孔に異物が混入した場合でも最外側鋼鈑の貫通孔からロータ外部に異物を排出することができる。例えば、ロータの回転遠心力により外側の壁に付いた異物が、ロータの回転速度の変化によって排出されることができる。ここでいう異物とは、埃や結露による水分、モータ摩耗粉などである。
上記(9)の例において、磁石の間の隙間には上述した異物が混入しやすいが、最外側鋼鈑の貫通孔からこの隙間が露出していることにより、異物をロータ外部に排出しやすくすることができる。
【0013】
本発明によれば、製造工程を削減でき、製造に必要な部品点数を減すことの可能なモータのロータを提供することができるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るモータのロータの第1実施形態を示す断面図である。
図2】本発明に係るモータのロータの第1実施形態における軸方向に見た正面図である。
図3】本発明に係るモータのロータの第1実施形態における軸方向の内側の鋼鈑を示す斜視図である。
図4】本発明に係るモータのロータの第1実施形態におけるシャフトを示す斜視図である。
図5】本発明に係るモータのロータの第2実施形態における軸方向に見た図である。
図6】本発明に係るモータのロータの第2実施形態における軸方向の内側の鋼鈑を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るモータのロータの第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態におけるモータのロータを示す断面図であり、図2は、本実施形態におけるロータコアを示す軸方向に見た正面図であり、図3は、本実施形態におけるモータのロータの軸方向の内側の鋼鈑を示す斜視図であり、図4は、本実施形態におけるシャフトを示す斜視図であり、図において、符号10は、モータのロータである。
【0016】
本実施形態に係るモータのロータ10は、電動車両やハイブリッド車両,燃料電池車両などに搭載される同期電動機のロータとして構成される。
本実施形態に係るモータのロータ10は、図1図3に示すように、中空円板状の電磁鋼鈑(鋼鈑)11,12が複数積層されて構成された中空円筒状のロータコア13と、ロータコア13に形成された複数のスロット(磁石挿入孔)14にそれぞれ挿入される複数の磁石15と、熱硬化性樹脂として構成されてスロット14内に充填されて加熱されることによって磁石15をスロット14内で固定する樹脂部材16と、を備える。
ロータコア13はシャフト20に固定される。
【0017】
複数の電磁鋼鈑11と2枚の電磁鋼鈑12とは、いずれも同じ輪郭形状を有する。電磁鋼鈑(鋼鈑)11,12は、シャフト20の軸線方向に複数積層され、すべての電磁鋼鈑11,12が同一の輪郭形状とされる。シャフト20の軸方向で内側となる電磁鋼鈑11は、略円形輪郭の鋼鈑に、複数のスロット(磁石挿入孔)14と、複数の貫通孔14aと、複数の貫通孔14bと、中心孔13aと、が貫通している。円盤状の電磁鋼鈑11では、複数のスロット(磁石挿入孔)14が周縁に配置される、電磁鋼鈑11では、複数の貫通孔14aと貫通孔14bとが、中心孔13aのまわりに交互に配置される。複数のスロット(磁石挿入孔)14と、複数の貫通孔14aと、複数の貫通孔14bとは、中心孔13aのまわりにシャフト20の軸線に対して対称に形成される。
【0018】
ロータコア13のうち積層方向の両端、つまり、軸方向の最外側となる電磁鋼鈑12は、電磁鋼鈑11と同一の略円形の輪郭形状で、複数のスロット(磁石挿入孔)17、複数の貫通孔17aと、複数の貫通孔17bと、中心孔13aと、が貫通している。
電磁鋼鈑11と電磁鋼鈑12とでは、複数のスロット(磁石挿入孔)14とスロット(磁石挿入孔)17の形状およびその配置、複数の貫通孔14aと貫通孔17aの形状およびその配置、複数の貫通孔14bと貫通孔17bの形状およびその配置、はいずれも対応しており、同じ形状及び配置を有する。
【0019】
スロット14は、電磁鋼鈑11の外周付近に形成されるとともに、図示しないステータからの磁力線を容易に通すように略円弧状に形成される。図に矢印Bとして磁力線の一例を示す。複数のスロット14は、電磁鋼鈑11の周方向に、所定の位相となるように隣接して形成される。
貫通孔14aおよび貫通孔14bは、スロット14よりも電磁鋼鈑11の径方向で内側に形成される。貫通孔14aおよび貫通孔14bは、スロット14および中心孔13aと離間して形成される。
【0020】
貫通孔14aは、径方向の大きさが貫通孔14bよりも大きい。貫通孔14aは、径方向の外側となる位置が、スロット14の径方向と同じ位置まで形成されている。貫通孔14aは、周方向の位置がスロット14とは異なる配置とされる。なお、貫通孔14aよりも貫通孔14bは軸方向視した面積が小さい。また、貫通孔17bは、貫通孔14aと一致する部分を有し、ロータコア13の外部に連通する。
【0021】
電磁鋼鈑11と電磁鋼鈑12とでは、図2に示すように、シャフト20の軸線まわりに、位相をずらしてシャフト20に固定される。軸方向の最外側となる電磁鋼鈑12は、内側の電磁鋼鈑11における隣接するスロット14の位相よりもやや小さい角度だけ軸まわりにずれている。これにより、貫通孔14aがスロット14の一部と一致している。ロータコア13に対して、最外側の電磁鋼鈑12がこのような配置になるため、最外側の1枚ずつの電磁鋼鈑12は、軸方向視して、磁石15と径方向で重なっていない領域を有している。
【0022】
スロット14の内部に配置された隣接する磁石15の間には、隙間15aが形成される。この隙間15aは、軸方向視して貫通孔17aと一致している。つまり、隙間15aは、貫通孔17aを介してロータコア13の外部に連通する。また、電磁鋼鈑12の一部が磁石15に対して軸方向視して重なるように配置される。このため、磁石15の軸方向端面は、電磁鋼鈑12によって覆われないとともに、ロータコア13から外部に出ないように押さえられるようになっている。
【0023】
磁石15は、長手方向(軸方向)に直交する断面が矩形の四角柱状である。また、複数の磁石15がスロット14に配置され、隣接する磁石15の間に形成される隙間15aには、樹脂部材16が充填されてもよい。磁石15は、スロット14に充填された樹脂部材16によってロータコア13に固定されている。磁石15は、永久磁石でもよい。磁石15は、例えばフェライトやネオジム等の粉末を焼結した棒状の硬磁性体であり、スロット14に収容される前の段階では着磁されずに、ロータコア13に固定された後に着磁されてもよい。
【0024】
電磁鋼鈑11,12には、中心孔13aの外周位置に、中心に向かって突出する突出部11a,12aが形成される。突出部11a,12aは、中心孔13aの中心に対して対称な位置に2箇所設けられる。突出部11a,12aは、中心孔13aの外周から略矩形輪郭として形成される。
【0025】
シャフト20の外周には、軸方向に延在する軸方向溝21が2本形成される。軸方向溝21の本数は、突出部11a,12aの数に対応して設定される。軸方向溝21の断面形状は、突出部11a,12aの輪郭形状に対応する。軸方向溝21には、突出部11a,12aをシャフト20の軸方向に滑られることが可能である。電磁鋼鈑11,12の中心孔13aにシャフト20を挿入した際に、突出部11a,12aが軸方向溝21の内部を軸方向に移動するようにして組み立てる。
【0026】
シャフト20の外周には、図4に示すように、軸方向溝21に周方向に延在する周方向溝22が連接される。周方向溝22は、シャフト20にロータコア13を取り付けた際に、最外側の電磁鋼鈑12に対応する軸方向位置に形成される。周方向溝22は、内側の電磁鋼鈑11に対して最外側の電磁鋼鈑12を所定の位相となるように軸まわりに回転させて固定するための長さに対応する周方向長さを有する。つまり、周方向溝22は、周方向の端部22aに突出部12aを当接することで、内側の電磁鋼鈑11に対して所定の位相となるように軸まわりに回転させて固定する最外側の電磁鋼鈑12の位置設定を行うことができる。
【0027】
本実施形態のモータのロータ10では、薄板状の電磁鋼鈑をプレス加工して電磁鋼鈑11,12を成形する。この際、電磁鋼鈑11および電磁鋼鈑12は、同一の形状として成型する。つまり、スロット14とスロット17、貫通孔14aと貫通孔17a、貫通孔14bと貫通孔17bと、中心孔13a、突出部11aと突出部12aは、いずれも同じ形状、かつ、同じ位置に形成される。そして積層工程として、複数枚の電磁鋼鈑11をその厚み方向に積み上げて積層し、形成されたスロット14も磁石15を挿入し樹脂部材16で固定する。
【0028】
さらに、積層された電磁鋼鈑11の両外側に、スロット14とスロット17、貫通孔14aと貫通孔17a、貫通孔14bと貫通孔17bと、中心孔13a、突出部11aと突出部12aが同じ位置となるように電磁鋼鈑12を位置あわせして、突出部11aおよび突出部12aが軸方向溝21に一致するように、中心孔13aにシャフト20を挿入する。
次いで、電磁鋼鈑12が周方向溝22に対応する軸方向の位置まで移動したら、電磁鋼鈑12を周方向溝22に沿って回転させる。突出部12aが周方向の端部22aに当接することで、電磁鋼鈑12を取り付け位置となるように設定して、図示しない固定具等で、電磁鋼鈑11および電磁鋼鈑12を固定する。
【0029】
本実施形態のモータのロータ10によれば、軸方向で最外側の電磁鋼鈑12も、内側の電磁鋼鈑11と同一形状のものを使用するため、異なるプレス金型を使用する必要がなく、あるいは、金型を複雑化する必要がない。このため、金型が1種類ですむとともに、異なる金型でのプレス工程を削減することができるので、工程数を削減し低コストで製造することができる。
【0030】
また、最外側の電磁鋼鈑12を、内側で積層された電磁鋼鈑11と位相をずらして固定することにより、軸方向視して内側の磁石15と最外側の電磁鋼鈑12の磁石挿入孔17とが重なる位置となる。このため、磁石15の脱落を抑制することができる。同時に、磁石15の一部が最外側の電磁鋼鈑12の磁石挿入孔17から露出することができるため、磁石15の冷却性能を向上することができる。
【0031】
本実施形態のモータのロータ10によれば、軸方向視して最外側の電磁鋼鈑12の貫通孔17aから内側の電磁鋼鈑11の磁石挿入孔14が露出している。このため、磁石挿入孔14に異物が混入した場合でも最外側の電磁鋼鈑12の貫通孔17aからロータコア13の外部に異物を排出することができる。例えば、ロータコア13の回転遠心力により外側の壁に付いた異物が、ロータコア13の回転速度の変化によって排出されることができる。ここでいう異物とは、埃や結露による水分、モータ摩耗粉などである。
さらに、磁石15の間に形成された隙間15aには上述した異物が混入しやすいが、最外側の電磁鋼鈑12の貫通孔17aからこの隙間15aが露出していることにより、異物をロータコア13の外部に排出しやすくすることができる。
【0032】
本実施形態のモータのロータ10によれば、シャフト20の外周面に軸方向溝21および周方向溝22が設けられるため、電磁鋼鈑11,12とシャフト20が位置ずれを起こすことなく固定される。また、シャフト20の外周面には、軸方向で最外側の電磁鋼鈑(端面板)12に対応する位置に周方向溝22が設けられているため、シャフト20への電磁鋼鈑11.12の取り付け時に、電磁鋼鈑12を周方向溝22に沿って回転することだけで、突出部11aが軸方向溝21に嵌まり込んでいる内側の電磁鋼鈑11に対して電磁鋼鈑12の位相をずらして容易に固定することができる。
【0033】
本実施形態のモータのロータ10によれば、周方向溝22の周方向長さが、最外側の電磁鋼鈑12を内側の電磁鋼鈑11に対してずらす位相に対応する長さと等しく形成されているので、周方向溝22の端部22aに突出部12aを突き当てるだけで、内側の電磁鋼鈑11に対する最外側の電磁鋼鈑12の位置決めを容易におこなうことが可能となる。
【0034】
本実施形態のモータのロータ10によれば、製造工程を削減でき、製造に必要な部品点数を減らすことの可能なモータのロータを提供することができるという効果を奏することが可能となる。
【0035】
以下、本発明に係るモータのロータの第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図5は、本実施形態におけるロータコアを示す軸方向に見た正面図であり、図3は、本実施形態におけるモータのロータの軸方向の内側の鋼鈑を示す正面図であり、本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、鋼鈑の形状に関する点である。
【0036】
本実施形態に係るモータのロータ30は、第1実施形態と同様に、電動車両やハイブリッド車両,燃料電池車両などに搭載される同期電動機のロータとして構成される。
本実施形態に係るモータのロータ30は、図5図6に示すように、中空円板状の電磁鋼鈑(鋼鈑)31,32が複数積層されて構成された中空円筒状のロータコア33と、ロータコア33に形成された複数のスロット(磁石挿入孔)34にそれぞれ挿入される複数の磁石35と、熱硬化性樹脂として構成されてスロット34内に充填されて加熱されることによって磁石35をスロット34内で固定する樹脂部材36と、を備える。
ロータコア33は、第1実施形態と同様にシャフト20に固定される(図4参照)。
【0037】
複数の電磁鋼鈑31と2枚の電磁鋼鈑32とは、いずれも同じ輪郭形状を有する。電磁鋼鈑(鋼鈑)31,32は、シャフト20の軸線方向に複数積層され、すべての鋼鈑31,32が同一の輪郭形状とされる。つまり、シャフト20の軸方向で内側となる電磁鋼鈑31は、略円形輪郭の鋼鈑に、複数のスロット(磁石挿入孔)34と、複数の貫通孔34aと、中心孔33aと、が貫通している。円形輪郭の電磁鋼鈑31では、複数のスロット(磁石挿入孔)34が周縁に配置される、電磁鋼鈑31では、複数の貫通孔34aが、中心孔33aのまわりでスロット34より径方向内側に配置される。複数のスロット(磁石挿入孔)34と、複数の貫通孔34aとは、中心孔33aのまわりにシャフト20の軸線に対して対称に形成される。
【0038】
ロータコア33のうち積層方向の両端、つまり、軸方向の最外側となる電磁鋼鈑32は、電磁鋼鈑31と同一の略円形の輪郭形状で、複数のスロット(磁石挿入孔)37、複数の貫通孔37aと、中心孔33aと、が貫通している。
電磁鋼鈑31と電磁鋼鈑32とでは、複数のスロット(磁石挿入孔)34とスロット(磁石挿入孔)37の形状およびその配置、複数の貫通孔34aと貫通孔37aの形状およびその配置はいずれも対応しており、同じ形状及び配置を有する。
【0039】
スロット34は、電磁鋼鈑31の外周付近に形成されるとともに、図示しないステータからの磁力線を容易に通すように形成される。複数のスロット34は、電磁鋼鈑31の周方向に、所定の位相となるように隣接して形成される。
貫通孔34aは、スロット34よりも電磁鋼鈑31の径方向で内側に形成される。貫通孔34aは、スロット34および中心孔33aと離間して形成される。貫通孔34aは、略三角形の輪郭に形成される。
【0040】
電磁鋼鈑31と電磁鋼鈑32とでは、図5に示すように、シャフト20の軸線まわりに、位相をずらしてシャフト20に固定される。軸方向の最外側となる電磁鋼鈑32は、内側の電磁鋼鈑31に形成された隣接するスロット34の位相よりもやや小さい角度だけ軸まわりにずれている。これにより、スロット37がスロット34の一部と一致している。ロータコア33に対して、最外側の電磁鋼鈑32がこのような配置になるため、最外側の1枚ずつの電磁鋼鈑32は、軸方向視して、磁石35と径方向で重なっていない領域を有している。
【0041】
スロット34の内部に配置された隣接する磁石35の間には、隙間35aが形成される。この隙間35aは、軸方向視してスロット37と一致している。つまり、隙間35aは、スロット37を介してロータコア33の外部に連通する。また、電磁鋼鈑32の一部が磁石35に対して軸方向視して重なるように配置される。このため、磁石35の軸方向端面は、電磁鋼鈑32によって覆われないとともに、ロータコア33から外部に出ないように押さえられるようになっている。
【0042】
磁石35は、長手方向(軸方向)に直交する断面が矩形に近い略四角板状である。また、複数の磁石35がスロット34に配置され、隣接する磁石35の間に形成される隙間35aには、樹脂部材36が充填されてもよい。磁石35は、スロット34に充填された樹脂部材36によってロータコア33に固定されている。磁石35は、永久磁石でもよい。磁石35は、例えばフェライトやネオジム等の粉末を焼結した棒状の硬磁性体であり、スロット34に収容される前の段階では着磁されずに、ロータコア33に固定された後に着磁されてもよい。
【0043】
電磁鋼鈑31,32には、中心孔33aの外周位置に、中心に向かって突出する突出部31a,32aが形成される。突出部31a,32aは、中心孔33aの中心に対して対称な位置に2箇所設けられる。突出部31a,32aは、中心孔33aの外周から略矩形輪郭として形成される。
【0044】
シャフト20の外周には、第1実施形態と同様に、軸方向に延在する軸方向溝21が2本形成される。軸方向溝21の本数は、突出部31a,32aの数に対応して設定される。軸方向溝21の断面形状は、突出部31a,32aの輪郭形状に対応する。軸方向溝21には、突出部31a,32aをシャフト20の軸方向に滑られることが可能である。電磁鋼鈑31,32の中心孔33aにシャフト20を挿入した際に、突出部31a,32aが軸方向溝21の内部を軸方向に移動するようにして組み立てる。
【0045】
シャフト20の外周には、第1実施形態の図4に示すように、軸方向溝21に周方向に延在する周方向溝22が連接される。周方向溝22は、シャフト20にロータコア33を取り付けた際に、最外側の電磁鋼鈑32に対応する軸方向位置に形成される。周方向溝22は、内側の電磁鋼鈑31に対して最外側の電磁鋼鈑32を所定の位相となるように軸まわりに回転させて固定するための長さに対応する周方向長さを有する。つまり、周方向溝22は、周方向の端部22aに突出部32aを当接することで、内側の電磁鋼鈑31に対して所定の位相となるように軸まわりに回転させて固定する最外側の電磁鋼鈑32の位置設定を行うことができる。
【0046】
本実施形態のモータのロータ30では、薄板状の電磁鋼鈑をプレス加工して電磁鋼鈑31,32を成形する。この際、電磁鋼鈑31および電磁鋼鈑32は、同一の形状として成型する。つまり、スロット34とスロット37、貫通孔34aと貫通孔37a、中心孔33a、突出部31aと突出部32aは、いずれも同じ形状、かつ、同じ位置に形成される。そして積層工程として、複数枚の電磁鋼鈑31をその厚み方向に積み上げて積層し、形成されたスロット34も磁石35を挿入し樹脂部材36で固定する。
【0047】
さらに、積層された電磁鋼鈑31の両外側に、スロット34とスロット37、貫通孔34aと貫通孔37a、中心孔33a、突出部31aと突出部32aが同じ位置となるように電磁鋼鈑32を位置あわせして、突出部31aおよび突出部32aが軸方向溝21に一致するように、中心孔33aにシャフト20を挿入する。
次いで、電磁鋼鈑32が周方向溝22に対応する軸方向の位置まで移動したら、電磁鋼鈑32を周方向溝22に沿って回転させる。突出部32aが周方向の端部22aに当接することで、電磁鋼鈑32を取り付け位置となるように設定して、図示しない固定具等で、電磁鋼鈑31および電磁鋼鈑32を固定する。
【0048】
本実施形態のモータのロータ30によれば、軸方向で最外側の電磁鋼鈑32も、内側の電磁鋼鈑31と同一形状のものを使用するため、異なるプレス金型を使用する必要がなく、あるいは、金型を複雑化することがない。このため、金型が1種類ですむとともに、異なる金型でのプレス工程を削減することができるので、工程数を削減し低コストで製造することができる。
【0049】
また、最外側の電磁鋼鈑32を、内側で積層された電磁鋼鈑31と位相をずらして固定することにより、軸方向視して内側の磁石35と最外側の電磁鋼鈑32の磁石挿入孔37とが重なる位置となる。このため、磁石35の脱落を抑制することができる。同時に、磁石35の一部が最外側の電磁鋼鈑32の磁石挿入孔37から露出することができるため、磁石35の冷却性能を向上することができる。
【0050】
本実施形態のモータのロータ30によれば、軸方向視して最外側の電磁鋼鈑32のスロット37から内側の電磁鋼鈑31の磁石挿入孔34が露出している。このため、磁石挿入孔34に異物が混入した場合でも最外側の電磁鋼鈑32のスロット37からロータコア33の外部に向けて異物を排出することができる。例えば、ロータコア33の回転遠心力により外側の壁に付いた異物が、ロータコア33の回転速度の変化によって排出されることができる。異物は、例えば埃や結露による水分、モータ摩耗粉などである。
さらに、磁石35の間に形成された隙間35aには上述した異物が混入しやすいが、最外側の電磁鋼鈑32の貫通孔であるスロット37からこの隙間35aが露出していることにより、異物をロータコア33の外部に排出しやすくすることができる。
【0051】
本実施形態のモータのロータ30によれば、シャフト20の外周面に軸方向溝21および周方向溝22が設けられるため、電磁鋼鈑31,32とシャフト20が位置ずれを起こすことなく固定される。また、シャフト20の外周面には、軸方向で最外側の電磁鋼鈑 (端面板)32に対応する位置に周方向溝22が設けられているため、シャフト20への電磁鋼鈑31.32の取り付け時に、電磁鋼鈑32を周方向溝22に沿って回転することだけで、突出部31aが軸方向溝21に嵌まり込んでいる内側の電磁鋼鈑11に対して、電磁鋼鈑32の位相をずらして容易に固定することができる。
【0052】
本実施形態のモータのロータ30によれば、周方向溝22の周方向長さが、最外側の電磁鋼鈑32を内側の電磁鋼鈑31に対してずらす位相に対応する長さと等しく形成されているので、周方向溝22の端部22aに突出部32aを突き当てるだけで、内側の電磁鋼鈑31に対する最外側の電磁鋼鈑32の位置決めを容易におこなうことが可能となる。
【0053】
本実施形態のモータのロータ30によれば、製造工程を削減でき、製造に必要な部品点数を減らすことが可能であるという効果を奏することが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態においては、以下のような構成も可能である。
シャフト20には、図4に2点鎖線で示すように、軸方向溝21に加えて、軸方向溝21とは周方向に異なる位置で軸方向に沿って設けられる他の軸方向溝23を設けることができる。この場合、軸方向溝21には、上述した構成と同様に、突出部11a、31aが嵌合するとともに、他の軸方向溝23には、あらかじめ位相をずらした電磁鋼板12,32の突出部12a,32aが嵌合する。
また、この場合、シャフト20には、軸方向溝21と他の軸方向溝23のみで、周方向溝22は設けないことができる。また、他の軸方向溝23は、周方向溝22に沿って端部22aまで回転させた突出部12a,32aが固定される位置に対応して、その形状が形成されることができる。
【0055】
これにより、軸方向溝21と他の軸方向溝23とが設けられるため、電磁鋼鈑11,12とシャフト20との位置ずれ発生を防止することができる。また、外側の電磁鋼鈑(端面板)12,32の突出部12a,32aと嵌合する他の軸方向溝23をシャフト20に有するので、電磁鋼板11,31の突出部11a,31aを軸方向溝21に嵌合するとともに、端面板12,32をずらして他の軸方向溝23に突出部11a,31a勘合させることで、内側の電磁鋼板11,31に対して電磁鋼鈑12,32の位相を容易にずらして固定することができる。
【0056】
さらに、軸方向でロータコア13、33の両端となる端面板12,32に対して、それぞれ他の軸方向溝23を形成することもできる。この場合、軸方向溝21に対して周方向の両側に1本ずつ他の軸方向溝23を形成することが可能である。また、2本の他の軸方向溝23の軸方向に形成される長さが、軸方向でロータコア13、33の両端となる端面板12,32の固定位置に対して、それぞれ対応する端部位置を有するように異なる長さに形成されることも可能である(図示せず)。
【0057】
あるいは、シャフト20には、軸方向溝21のみで、周方向溝22は設けないことができる。この場合、最外側の電磁鋼鈑12,32は、突出部12a,32aが設けられておらず、中心孔13a,33aの輪郭形状は、シャフト20の外周面に対応する円形輪郭となることができる。
【0058】
これにより、軸方向溝21が設けられるため、電磁鋼鈑11,31とシャフト20との位置ずれ発生を防止することができる。また、最外側の電磁鋼鈑(端面板)12,32には突出部12a,32aを設けないため、内側の電磁鋼板11,31のシャフト20への組み付け時に、突出部12a,32aが邪魔になることなく、端面板12,32を、軸方向で内側の電磁鋼鈑11,31に対して容易に位相をずらして固定することができる。
【符号の説明】
【0059】
10,30…ロータ
11,31…電磁鋼鈑(鋼鈑)
12,32…電磁鋼鈑(鋼鈑;端面板)
11a,12a,31a,32a…突出部
13,33…ロータコア
13a,33a…中心孔
14,17,34,37…スロット(磁石挿入孔)
14a,14b,17a,17b,34a,37a…貫通孔
15,35…磁石
15a,35a…隙間
16,36…樹脂部材
20…シャフト
21…軸方向溝
22…周方向溝
22a…端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6