(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20250513BHJP
B66F 9/075 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
B66F9/24 Z
B66F9/24 L
B66F9/075 E
(21)【出願番号】P 2022023655
(22)【出願日】2022-02-18
【審査請求日】2024-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】石崎 将崇
(72)【発明者】
【氏名】水城 琢
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-217739(JP,A)
【文献】特開2005-132575(JP,A)
【文献】特開2015-120566(JP,A)
【文献】特開2008-044418(JP,A)
【文献】登録実用新案第3198171(JP,U)
【文献】特開2019-031823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に備えられた運転シートと、
前記車体に搭載され、車体後方の障害物を検出する障害物検出器と、
走行の駆動力を発生させる走行駆動装置と、
前記走行駆動装置を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記障害物検出器が障害物を検出するとき、作動制限のない通常モードから作動を停止する作動停止モードに切り替える産業車両において、
前記作動停止モードを一時的に解除するモード切換器が前記運転シートの座面より後方に設けられ、
前記コントローラは、前記モード切換器が操作されると前記作動停止モードを一時的に解除し、低速走行に制限する作動制限モード又は前記通常モードに切り換えることを特徴とする産業車両。
【請求項2】
前記モード切換器は、前記運転シートの後部に設けられる操作ボタンであることを特徴とする請求項1記載の産業車両。
【請求項3】
前記運転シートの上方を覆うヘッドガードと、
前記ヘッドガードを支持し、前記運転シートよりも後方に位置するリヤピラーと、
前記リヤピラーに沿うように設けられるリヤアシストグリップと、を備え、
前記モード切換器は、前記リヤアシストグリップのピラー側と対向して設けられるバー状操作ボタンであることを特徴とする請求項1記載の産業車両。
【請求項4】
車体と、
前記車体に備えられた運転シートと、
前記車体に搭載され、車体後方の障害物を検出する障害物検出器と、
走行の駆動力を発生させる走行駆動装置と、
前記走行駆動装置を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記障害物検出器が障害物を検出するとき、作動制限のない通常モードから作動を停止する作動停止モードに切り替える産業車両において、
前記作動停止モードを一時的に解除するモード切換器が前記運転シートの座面より後方に設けられ、
前記運転シートの上方を覆うヘッドガードを備え、
前記モード切換器は、前記ヘッドガードに下方へ向けて設置される近接センサであり、
前記近接センサは、後方を振り返ったオペレータの頭部の位置に合わせるように設置され、
前記コントローラは、前記近接センサが、前記頭部を検出すると前記作動停止モードを一時的に解除し、低速走行に制限する作動制限モード又は前記通常モードに切り換えることを特徴とす
る産業車両。
【請求項5】
前記コントローラは、前記モード切換器が操作される間は前記作動停止モードを一時的に解除して前記作動制限モードに切り換えることを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項記載の産業車両。
【請求項6】
前記コントローラは、前記作動制限モード時における車速が予め設定した閾値以上のとき、前記通常モードに切り換えることを特徴とする請求項5記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
産業車両に関連する従来技術として、例えば、特許文献1に開示された建設車両が知られている。特許文献1に開示された建設車両は、アクチュエータと、操作装置と、障害物検出装置と、コントローラと、制御解除装置と、を備えている。操作装置はアクチュエータの動作を指示するための装置であり、障害物検出装置は周囲の障害物を検出する装置である。コントローラは、障害物検出装置が障害物を検出した場合にアクチュエータの動作を制限する動作制限制御を行う。制御解除装置は、動作制限制御の解除を指示するための装置である。
【0003】
コントローラは、動作制限制御を有効とした制御モードである通常モードと、動作制限制御を一時的に解除した制御モードである一時解除モードとを有する。通常モードにおいて、制御解除装置の操作に起因して一時解除モードに移行し、一時解除モードにおいて、制御解除装置の操作に起因しない所定の条件が成立した場合に、前記通常モードに復帰する。
【0004】
具体的には、制御解除装置としての制御解除スイッチのON時間が解除モード判別時間に到達する前に制御解除スイッチが押されなくなるボタン短押しであった場合は、制御モード状態を「一時解除」に切り替える。障害物検出装置である3Dセンサが車体周囲の障害物を1つ以上検出している「検知」である場合は、制御モード状態を「一時解除」から切り替えず、非検知時間を初期値にリセットする。なお、制御解除装置としての制御解除スイッチは運転室内に備えられている。
【0005】
特許文献1に開示された建設車両によれば、制御解除装置の操作によって動作制限が作動する通常モードから動作制限が作動しない一時解除モードに移行するため、車体周囲に作業に必要な物体が存在する状況での作業性を確保することが可能となる。また、一時解除モードにおいて制御解除装置の操作に起因しない所定の条件が成立することにより、制御解除装置の操作によらず通常モードに復帰するため、建設機械と周囲作業者の接触による事故発生の可能性を下げることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された建設車両は、運転室内に備えられる制御解除装置であり、オペレータの運転姿勢に必ずしも対応する位置に備えられていないという問題がある。例えば、産業車両としてのフォークリフトでは、後進する場合、オペレータは後方を振り返る姿勢をとり、左手で操舵することがある。この場合、フォークリフトの作動制限を解除する解除スイッチが運転席に備えられても、オペレータによる解除スイッチの操作は困難である。また、特に、フォークリフトの場合では、障害物となり得る棚等に囲まれるような狭隘な場所で前後進を繰り返すことが多いため、オペレータの意思が速やかに反映されるように制限を解除することが要請されている。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、後進時にオペレータが後方を振り返る姿勢をとっても、作動停止モードを一時的に解除して低速走行に制限する作動制限モード又は通常モードに容易に切り換えることができる産業車両の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、車体と、前記車体に備えられた運転シートと、前記車体に搭載され、車体後方の障害物を検出する障害物検出器と、走行の駆動力を発生させる走行駆動装置と、前記走行駆動装置を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記障害物検出器が障害物を検出するとき、作動制限のない通常モードから作動を停止する作動停止モードに切り替える産業車両において、前記作動停止モードを一時的に解除するモード切換器が前記運転シートの座面より後方に設けられ、前記コントローラは、前記モード切換器が操作されると前記作動停止モードを一時的に解除し、低速走行に制限する作動制限モード又は前記通常モードに切り換えることを特徴とする。
【0010】
本発明では、障害物検出器が障害物を検出するとき、走行制限のない通常モードから走行を停止する作動停止モードに切り換えられるが、モード切換器の操作により作動停止モードを一時的に解除して低速走行に制限する作動制限モード又は通常モードに切り換えられる。モード切換器が運転シートの座面より後方に設けられるので、後進時において後方を振り返る姿勢をとるオペレータにとっては、モード切換器は操作が容易な位置となる。したがって、後進時にオペレータが後方を振り返る姿勢をとっても、操舵の操作を行うとともに作動停止モードを一時的に解除して作動制限モード又は通常モードに容易に切り換えることができる。
【0011】
また、上記の産業車両において、前記モード切換器は、前記運転シートの後部に設けられる操作ボタンである構成としてもよい。
この場合、モード切換器は、運転シートの後部に設けられる操作ボタンであるから、後進時において後方を振り返る姿勢をとるオペレータにとっては、運転シートの後部の操作ボタンは操作し易い。
【0012】
また、上記の産業車両において、前記運転シートの上方を覆うヘッドガードと、前記ヘッドガードを支持し、前記運転シートよりも後方に位置するリヤピラーと、前記リヤピラーに沿うように設けられるリヤアシストグリップと、を備え、前記モード切換器は、前記リヤアシストグリップのピラー側と対向して設けられるバー状操作ボタンである構成としてもよい。
この場合、モード切換器がリヤアシストグリップのリヤピラー側と対向して設けられるバー状操作ボタンであるから、後進時において後方を振り返る姿勢をとるオペレータは、リヤアシストグリップを握りつつモード切換器を操作することが可能となる。したがって、作動停止モードを一時的に解除して作動制限モード又は通常モードに切り換える操作がより容易となる。
【0013】
また、本発明は、車体と、前記車体に備えられた運転シートと、前記車体に搭載され、車体後方の障害物を検出する障害物検出器と、走行の駆動力を発生させる走行駆動装置と、前記走行駆動装置を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記障害物検出器が障害物を検出するとき、作動制限のない通常モードから作動を停止する作動停止モードに切り替える産業車両において、前記作動停止モードを一時的に解除するモード切換器が前記運転シートの座面より後方に設けられ、前記運転シートの上方を覆うヘッドガードを備え、前記モード切換器は、前記ヘッドガードに下方へ向けて設置される近接センサであり、前記近接センサは、後方を振り返ったオペレータの頭部の位置に合わせるように設置され、前記コントローラは、前記近接センサが、前記頭部を検出すると前記作動停止モードを一時的に解除し、低速走行に制限する作動制限モード又は前記通常モードに切り換えることを特徴とする。
本発明では、モード切換器が、ヘッドガードに設置される近接センサであり、近接センサが後方を振り返ったオペレータの頭部の位置に合わせるように設置されている。このため、後進のためにオペレータが後方を振り返る姿勢をとることで、モード切換器を操作することがなく、停止モードを一時的に解除して作動制限モード又は通常モードにより容易に切り換えることができる。
【0014】
また、上記の産業車両において、前記コントローラは、前記モード切換器が操作される間は前記作動停止モードを一時的に解除して前記作動制限モードに切り換える構成としてもよい。
この場合、モード切換器が操作される間は作動停止モードを一時的に解除して作動制限モードに切り換えられる。モード切換器の操作が行われなくなると、作動停止モードに復帰させることができる。
【0015】
また、上記の産業車両において、前記コントローラは、前記作動制限モードであって車速が予め設定した閾値以上のとき、前記作動停止モードの解除を継続する構成としてもよい。
この場合、作動制限モードであって車速が予め設定した閾値以上のとき、作動停止モードの解除を継続するので、閾値以上の車速ではモード切換器の操作の有無に関わらず走行を停止する作動停止モードに復帰することはなく、走行することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、後進時にオペレータが後方を振り返る姿勢をとっても、作動停止モードを一時的に解除して低速走行に制限する作動制限モード又は通常モードに容易に切り換えることができる産業車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態に係るフォークリフトの側面図である。
【
図2】第1の実施形態に係るフォークリフトの後面図である。
【
図3】第1の実施形態に係るフォークリフトの概略構成図である。
【
図4】(a)は通常モード、作動停止モードおよび作動制限モードの関係を模式的に示す図であり、(b)は作動制限のレベルとパスとの関係を示すリスト図である。
【
図5】フォークリフトの作用を説明するための平面図である。
【
図6】第2の実施形態に係るフォークリフトの後面図である。
【
図8】(a)は第3の実施形態に係るフォークリフトの後面図であり、(b)は同フォークリフトの要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る産業車両としてのフォークリフトについて図面を参照して説明する。本実施形態のフォークリフトは、カウンタウエイトを備えたカウンタウエイト式フォークリフトである。なお、方向を特定する「前後」、「左右」および「上下」については、フォークリフトのオペレータが運転席の運転シートに着座して、フォークリフトの前進側を向いた状態を基準として示す。
【0019】
図1に示すように、フォークリフト10は、車体11の前部に荷役装置12を備えている。車体11の中央付近には運転席13が設けられている。車体11の前部には前輪としての駆動輪14が設けられ、車体11の後部には後輪としての操舵輪15が設けられている。車体11の後部にはカウンタウエイト16が備えられており、カウンタウエイト16は車両重量の調整と車体11における重量バランスを図るためのものである。本実施形態のフォークリフト10は、操舵輪15が一輪である電動フォークリフトである。
【0020】
車体11における運転席13には、運転シート17が備えられている。運転シート17は、フォークリフト10のオペレータが着座する座面を有する座部18と、背もたれ部19と、を備えている。運転シート17は、車体11の車幅方向(左右方向)において中心よりも左に位置するほか、右回りに一定の角度まで水平方向に回動可能である。運転シート17は、車体11の車幅方向において中心よりも左に位置し、右回りに一定の角度まで回動することで、フォークリフト10の後進時においてオペレータは車体11の後方の目視が容易となる。
【0021】
本実施形態のフォークリフト10には、
図1、
図2に示すように、運転シート17に座席基準点SIP(Seat Index Point:SIP)が規定される。座席基準点SIPとは、ISO(ISO 5353)あるいはJIS(JIS A 8318)等で定められ、理論上の運転者の胴と腿との関節の近傍に規定された座席の基準点をいう。
図2に示すように、本実施形態の運転シート17は車体11の車幅方向において中心よりも左に位置するため、座席基準点SIPは車体11の車幅方向において中心よりも左に位置する。
【0022】
荷役装置12はアウタマスト21およびインナマスト22を有するマスト20を備えている。左右一対のアウタマスト21には、アウタマスト21の内側にてスライド可能なインナマスト22が備えられている。車体11とアウタマスト21との間には、油圧により作動するティルトシリンダ(図示せず)が設置されている。マスト20はティルトシリンダの作動により下端部を支点として前後方向に傾動する。マスト20には油圧により作動するリフトシリンダ23が設けられている。リフトシリンダ23の作動により、インナマスト22がアウタマスト21内でスライドして昇降する。
【0023】
マスト20には左右一対のフォーク24がリフトブラケット25を介して設けられ、リフトブラケット25はインナマスト22に対して昇降するように設けられている。つまり、リフトブラケット25はマスト20に対して昇降可能である。なお、左右のフォーク24は互いに同じ構成である。
【0024】
車体11には、運転席13の上部を覆うヘッドガード26が設けられている。ヘッドガード26は、車体11の前部から立設されたフロントピラー27と、車体11の後部から立設されたリヤピラー28により支持されている。ヘッドガード26は公知のものである。ヘッドガード26は、中空構造部材によってフロントピラー27と一体となっているサイドビーム29と、左右一対のサイドビーム29の間に設けられる格子状のルーフ部
(図示せず)と、左右一対のサイドビーム29の後端を接続するリヤビーム31と、を有している。
図2に示すように、右のリヤピラー28には、リヤアシストグリップ32が備えられている。リヤアシストグリップ32は握ることができる取手である。リヤアシストグリップ32は、オペレータがフォークリフト10を後進させるとき
、右手でリヤアシストグリップ32を握ることで後方を振り返るオペレータの姿勢を保ち易くする。
【0025】
図2に示すように、リヤビーム31の後端面には、左右一対のリヤコンビネーションランプ33が備えられている。リヤコンビネーションランプ33は、方向指示器34、制動灯35および後退灯36が一体的に組み合わされたランプである。
【0026】
本実施形態のフォークリフト10は、障害物検出器としての前部カメラユニット40および後部カメラユニット41を備えている。前部カメラユニット40は、車体前方の障害物を検出するカメラユニットであり、マスト20に設けられている。また、後部カメラユニット41は、車体後方の障害物を検出するカメラユニットであり、ヘッドガード26のリヤビーム31に設けられている。前部カメラユニット40および後部カメラユニット41は障害物検知器に相当する。前部カメラユニット40および後部カメラユニット41が有するカメラは、例えば、ステレオカメラである。前部カメラユニット40および後部カメラユニット41では撮像された撮像画像を画像処理する。
【0027】
車体11には、フォークリフト10の各部を制御するコントローラ42が搭載されている。
図3に示すように、コントローラ42は、前部カメラユニット40および後部カメラユニット41と接続されている。コントローラ42は、前部カメラユニット40および後部カメラユニット41と接続されているので、画像処理により得られたデータから障害物の有無を判別するほか、障害物の位置や障害物までの距離を算出する。
【0028】
コントローラ42は、走行の駆動力を発生させる走行駆動装置43と接続されている。
図3に示すように、コントローラ42は、演算処理部としてのCPU44と、RAMおよびROM等からなる記憶部45と、を備えている。コントローラ42は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)を備えていてもよい。コントローラ42は、コンピュータプログラムにしたがって動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。
【0029】
走行駆動装置43は、駆動輪14を回転させるための走行用の駆動モータ46と、駆動モータ46への供給電力を制御するモータドライバ47と、を有する。駆動モータ46の回転は動力伝達機構を介して駆動輪14に伝達され、駆動輪14を回転させる。モータドライバ47はコントローラ42からの指令に基づいて駆動モータ46への電力供給を制御する。モータドライバ47では、駆動モータ46の回転数を検出しているので、コントローラ42では回転数に基づいて車速が算出される。
【0030】
コントローラ42は、アクセルペダル48の踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ49および前後進レバー50の位置を検出するレバーポジションセンサ51と接続されている。アクセルペダルセンサ49により検出されるアクセルペダル48の踏み込み量と、レバーポジションセンサ51により検出される前後進レバー50の位置はコントローラ42に伝達される。アクセルペダル48および前後進レバー50は、いずれも運転席13に備えられている。前後進レバー50は、オペレータの操作により前進位置(F)、後進位置(R)および中間位置(N)のいずれかに位置される。また、コントローラ42は警告器52と接続されている。警告器52は、例えば、警告を点灯表示する表示装置(図示せず)やブザー等による警告音を発生する警告音発生器(図示せず)を用いる。本実施形態では、前部カメラユニット40および後部カメラユニット41により障害物が検出された場合に警告器52が作動する。
【0031】
本実施形態では、運転シート17の背もたれ部19の背面には、モード切換器としての操作ボタン53が設けられている(
図2を参照)。操作ボタン53は、後進時にフォークリフト10の主に作動モードを切り換えるためのボタンであり、コントローラ42と接続されている。操作ボタン53は、次に、説明する作動停止モードを一時的に解除して、通常モード又は作動制限モードに切り換える機能を備える。本実施形態では、操作ボタン53は、背面の左右にそれぞれ設けられているが、リヤアシストグリップ32が備えられている右のリヤピラー28側から振り返ることが多い。操作ボタンの位置は、前後方向において座席基準点SIPより後方であり、さらに言うと座部18の座面より後方である。
【0032】
図4(a)に示すように、フォークリフト10は、何の制限も受けることなく自由に走行できる通常モードM1と、制限を受けて走行することができない作動停止モードM2と、所定速度以下の低速走行に制限される作動制限モードM3のいずれかモードとなる。
【0033】
通常モードM1は、後部カメラユニット41が障害物を検出せず、フォークリフト10が何の制限も受けることなく自由に走行できる無条件制限解除のモードである。したがって、オペレータがアクセルペダル48を踏み込めば、コントローラ42はアクセルペダル48の踏み込み量に対応して走行駆動装置43を制御する。車速は最高速度まで増速可能である。
【0034】
作動停止モードM2は、後進中に後部カメラユニット41により障害物が検出される場合に、コントローラ42により切り換えられ、作動制限されているモードである。作動停止モードM2では、コントローラ42が駆動モータ46の出力を停止するように走行駆動装置43を制御し、オペレータがアクセルペダル48を踏み込んでもフォークリフト10は走行せず、停止した状態が維持される。因みに、前進時に前部カメラユニット40が障害物を検出した場合、コントローラ42は、警告器52を作動させるが作動制限を行わない制御を行う。
【0035】
作動制限モードM3は、作動制限が一部解除されている一部制限解除のモードである。具体的には、作動制限モードM3では、コントローラ42が駆動モータ46の出力を抑制するように走行駆動装置43を制御し、フォークリフト10の走行は可能であるが、車速が所定の車速以下(例えば、3[km/h])に抑えられている。したがって、オペレータがアクセルペダル48を踏み込んでもフォークリフト10は所定の車速以下で走行する。
【0036】
本実施形態では、コントローラ42が各モードを制御するほか、特定の条件を満たすことによってモードの切り換えを制御する。また、コントローラ42は、オペレータの操作ボタン53の操作により、モードの切り換えを行う。
【0037】
通常モードM1から作動停止モードM2へのモードの切り換えをパスAとすると、パスAは、通常モードM1において後部カメラユニット41の検出範囲に障害物が存在し、かつ、操作ボタン53の操作による制限解除操作が行われない条件で成立する。また、作動停止モードM2から作動制限モードM3へのモードの切り換えをパスBとすると、パスBは、作動停止モードM2において後部カメラユニット41の検出範囲S(
図5を参照)に障害物が存在し、かつ、操作ボタン53の操作による制限解除操作が行われる条件で成立する。具体的には、作動停止モードM2で操作ボタン53が押し続けられることで成立するように、コントローラ42に設定されている。パスBによる制限解除の解消の条件は、操作ボタン53が押されなくなることである。
【0038】
また、作動制限モードM3から通常モードM1へのモードの切り換えをパスCとすると、パスCは、作動制限モードM3において後部カメラユニット41の検出範囲に障害物がなくなるか、あるいは、後部カメラユニット41の検出範囲と異なる方向に走行する条件で成立する。パスCでは操作ボタン53の操作により制限解除操作が行われない。通常モードM1から作動制限モードM3へのモードの切り換えをパスDとすると、パスDは、通常モードM1において後部カメラユニット41の検出範囲に障害物が存在し、かつ、操作ボタン53の操作による制限解除操作が行われる条件で成立する。
【0039】
作動制限モードM3から作動停止モードM2へのモードの切り換えをパスEとすると、パスEは、作動制限モードM3においてフォークリフト10が停止して制限解除操作が解除されている条件で成立する。パスEでは操作ボタン53の操作により制限解除操作が行われない。作動制限モードM3から通常モードM1へのモードの切り換えをパスFとすると、作動制限モードM3において後部カメラユニット41の検出範囲に障害物が存在し、かつ、操作ボタン53の操作による制限解除操作が行われる条件で成立する。具体的には、作動停止モードM2で操作ボタン53が押し続けられることで成立するように、コントローラ42に設定されている。パスBによる制限解除の解消の条件は、操作ボタン53が押されなくなることである。
【0040】
通常モードM1において通常モードM1以外への切り換えを行わないパスGが設定されており、パスGは、通常モードM1において操作ボタン53の操作による制限解除操作が行われる条件で成立する。具体的には、通常モードM1で操作ボタン53が一度押されることで成立するように、コントローラ42に設定されている。パスB、D、F、Gによる制限解除の解消の条件は、予め設定した時間を超えてフォークリフト10の車速が0となることである。
【0041】
図4(b)に示すように、操作ボタン53の解除操作が必要なパスB、D、F、Gには作動制限レベルがそれぞれ設定されている。レベル1は、解除操作前は通常モードM1であって解除操作後に作動制限を受けないレベルであり、パスGが相当する。レベル2は、解除操作前は通常モードM1であって解除操作後に作動制限を受けるレベルであり、パスDが相当する。レベル3は、解除操作前に作動停止モードM2であって作動制限を受け、解除操作後に作動制限を受けないレベルであり、パスFが相当する。レベル4は、解除操作前に作動停止モードM2であって作動制限を受け、解除操作後も作動制限を受けるレベルであり、パスBが相当する。
【0042】
パスA、C、Eは、操作ボタン53の解除操作を必要としないのでレベルの設定はされていない。なお、レベル3であるパスFの場合には、作動制限の解除操作後の通常モードM1へ切り換わってもパスD、Gへ切り換わることはないように設定されている。なお、コントローラ42は、各レベル1~4および各モードM1~M3を運転席13に備えられる表示装置に表示する。
【0043】
パスB、Fは、いずれも作動停止モードM2での操作ボタン53の操作により作動制限の解除を行うことになる。作動停止モードM2における作動制限の解除については、オペレータが予めレベルを選択してコントローラ42に設定しておく。これにより、作動停止モードM2で操作ボタン53が押されたとき、設定したレベルのパスに対応して作動制限が解除される。また、パスG、Dは、いずれも通常モードM1での操作ボタン53の操作により作動制限の解除を行うことになる。通常モードM1における作動制限の解除については、オペレータが予めレベルを選択してコントローラ42に設定しておく。これにより、通常モードM1で操作ボタン53が押されたとき、設定したレベルのパスに対応して作動制限が解除される。
【0044】
次に、本実施形態のフォークリフト10の作用について説明する。
図5に示すようにフォークリフト10が棚T1と棚T2との間の通路にて荷役作業を行う場合について説明する。また、フォークリフト10の後進時における作用の説明とする。
図5ではフォークリフト10の後方において一点鎖線で囲まれた範囲は、後部カメラユニット41が障害物を検出する検出範囲Sである。
【0045】
図5に示すように、棚T1と棚T2との間の通路において、フォークリフト10が、例えば、棚T1に荷(図示せず)を載置する場合、フォークリフト10のオペレータは、棚T1と棚T2との間の通路に進入する(
図5に示す矢印P1へ向かうフォークリフト参照)。このとき、フォークリフト10は通常モードM1で走行しており、動作制限を受けない状態にある。フォークリフト10が通路に進入すると、オペレータは、棚T1の載置先に対してフォークリフト10の前後進を繰り返し、棚T1の載置先との位置合わせを行う(
図5に示す矢印P2へ向かうフォークリフト参照)。前進する場合、オペレータは、前後進レバー50を前進位置としてアクセルペダル48を踏み込み、後進する場合、前後進レバー50を後進位置としてアクセルペダル48を踏み込む。
【0046】
棚T1との位置合わせの際にフォークリフト10が後進するときでは、後部カメラユニット41は、検出範囲Sに含まれる後方の棚T2を障害物として検出する。棚T2が障害物として検出され、オペレータが操作ボタン53を操作しないと、コントローラ42は、パスAの成立条件が満たされていると判別し、フォークリフト10は作動停止モードM2となり、作動制限を受ける。作動停止モードM2では、フォークリフト10は走行不可能となる。
【0047】
フォークリフト10の後進時において後部カメラユニット41が障害物を検出する度にフォークリフト10が走行停止するのでは、フォークリフト10による荷役作業の効率が著しく損なわれる。このため、オペレータは後進時に操作ボタン53を押す操作を行う。作動停止モードM2による作動制限を受けてから作動制限を解除する場合と、通常モードM1から作動停止モードM2とならないように制限を受ける前に作動制限を解除する場合と、がある。
【0048】
作動停止モードM2による作動制限を受けてから作動制限を解除する場合では、後進時にオペレータが操作ボタン53を操作する。具体的には、オペレータは、後方を振り返る姿勢をとりつつ、左手でステリングホイール(図示せず)の操舵を行い、右手で操作ボタン53を押し続ける操作を行う。前後進レバー50が後進位置にあり、アクセルペダル48が踏み込まれ、かつ、操作ボタン53が押し続けられる条件では、パスB又はパスFが成立する。
【0049】
コントローラ42に予め設定されているレベルがレベル4であれば、コントローラ42は、パスBによって作動制限モードM3に切り換えるように走行駆動装置43を制御する。コントローラ42に予め設定されているレベルがレベル3であれば、コントローラ42は、パスFによって通常モードM1に切り換えるように走行駆動装置43を制御する。通常モードM1に切り換わると、フォークリフト10は作動制限を受けることなく後進可能である。作動制限モードM3に切り換わると、フォークリフト10は低速に制限されものの後進可能である。
【0050】
次に、通常モードM1から作動停止モードM2とならないように制限を受ける前に作動制限を解除する場合について説明する。この場合、オペレータが、通常モードM1のときに操作ボタン53を一度押す操作を行う。具体的には、オペレータは、例えば、通常モードM1のとき(前進時又は停止時)に右手(又は左手)を運転シート17の背面に回して操作ボタン53を一度押す操作を行う。このとき、パスD又はパスGが成立する。
【0051】
コントローラ42に予め設定されているレベルがレベル2であれば、コントローラ42は、パスDによって作動制限モードM3に切り換えるように走行駆動装置43を制御する。したがって、作動制限モードM3での後進時に後部カメラユニット41が障害物を検出しても、作動停止モードM2に切り換わることはない。コントローラ42に予め設定されているレベルがレベル1であれば、コントローラ42は、パスGによって通常モードM1から作動停止モードM2へ切り換えが行われず通常モードM1が継続するように走行駆動装置43を制御する。パスGによる通常モードM1が継続するので、後進時に後部カメラユニット41が障害物を検出しても、通常モードM1が維持される。フォークリフト10の車速が予め設定した時間を超えて車速0となれば、パスGによる制限解除は解消される。
【0052】
作動制限モードM3から作動停止モードM2への切り換わりは、パスEが成立する場合であるが、パスEは、パスBによる制限解除が解消され、かつ、後進時に後部カメラユニット41が障害物を検出する条件を満たせばよい。パスEの条件を満たすことで、コントローラ42は、作動制限モードM3から作動停止モードM2へ切り換えるように走行駆動装置43を制御する。また、作動制限モードM3から通常モードM1への切り換わりは、パスCが成立する場合である。パスCは、後部カメラユニット41に検出されていた障害物が消失するか、もしくは、後部カメラユニット41が障害物を検出しなくなる方向へフォークリフト10が移動することにより成立する(
図5における矢印P3へ向かうフォークリフト10を参照)。
【0053】
本実施形態に係るフォークリフト10は以下の効果を奏する。
(1)障害物検出器である後部カメラユニット41が障害物を検出するとき、走行制限のない通常モードM1から走行を停止する作動停止モードM2に切り換えられるが、モード切換器である操作ボタン53の操作により作動停止モードM2を一時的に解除して低速走行に制限する作動制限モードM3又は通常モードM1に切り換えられる。操作ボタン53が運転シート17の座面より後方に設けられるので、後進時において後方を振り返る姿勢をとるオペレータにとっては、操作ボタン53は操作が容易な位置となる。したがって、後進時にオペレータが後方を振り返る姿勢をとっても、操舵の操作を行うとともに作動停止モードM2を一時的に解除して低速走行に制限する作動制限モードM3又は通常モードM1に容易に切り換えることができる。
【0054】
(2)モード切換器は、運転シート17の後部に設けられる操作ボタン53である。このため、後進時において後方を振り返る姿勢をとるオペレータにとっては、運転シート17の後部の操作ボタン53は操作し易い。また、運転シート17に操作ボタン53を設けるは、操作ボタン53とコントローラ42とを接続するハーネスの取り回し面で都合がよく、操作ボタン53の組付作業がし易くなる。
【0055】
(3)コントローラ42は、操作ボタン53が操作される間は作動停止モードM2を一時的に解除して作動制限モードM3に切り換える。このため、操作ボタン53の操作が行われなくなると、作動停止モードM2に切り換えることができる。
【0056】
(4)後進時にオペレータが後方を振り返る姿勢をとっても、操舵の操作を行うとともに作動制限を一時的に解除することができるので、障害物で囲まれる狭隘な環境であっても、オペレータの意思を優先的に反映させたフォークリフト10の走行が可能となる。その結果、障害物の検出による作動制限による荷役作業の効率低下を防止することができる。
【0057】
(5)予めレベルに応じた制限解除のパスを選択してコントローラ42に設定することができるので、オペレータの意思が操作ボタン53による作動制限の解除により反映され易くなる。また、各オペレータが好みに応じて予めレベルに応じた制限解除のパスを選択してコントローラ42に設定することができる。
【0058】
(6)作動停止モードM2では、オペレータが操作ボタン53を押し続けることで作動制限を解除し、操作ボタン53を押すことを止めることで作動停止モードM2に復帰させることができる。このため、オペレータは、障害物の検出による制限と操作ボタン53の操作による制限解除を、直感的に把握することができる。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るフォークリフトについて説明する。本実施形態では、モード切換器の構成が第1の実施形態と相違する。本実施形態では、第1の実施形態と同じ構成については第1の実施形態の説明を援用し、共通の符号を用いる。
【0060】
図6に示すように、本実施形態のフォークリフト60は、操作ボタン62を備えたリヤアシストグリップ61を有する。リヤアシストグリップ61は、右のリヤピラー28において運転シート17と対向するように備えられている。
【0061】
図7に示すように、リヤアシストグリップ61は、グリップ部63、上脚部64、下脚部65と、を有する。グリップ部63は、リヤアシストグリップ61においてリヤピラー28にほぼ平行に沿う部位である。上脚部64は、リヤアシストグリップ61においてグリップ部63の上端からリヤピラー28に向けて延在され、リヤピラー28と固定されている。下脚部65は、リヤアシストグリップ61においてグリップ部63の下端からリヤピラー28に向けて延在され、リヤピラー28と固定されている。なお、上脚部64には、オペレータの操作により警告音を発生させるためのホーンボタン(図示せず)が備えられている。
【0062】
操作ボタン62は、グリップ部63においてグリップ部63の長手方向に沿うバー状ボタンであり、リヤピラー28と対向する位置に備えられている。このため、オペレータにとっては、後進時にリヤアシストグリップ61を握りつつ操作できる操作し易いボタンとなっている。
【0063】
本実施形態では、コントローラ42は、パスB、Fによる制限解除の場合、操作ボタン62が一度押されることで制限解除とするように、走行駆動装置43を制御する。そしてコントローラ42は、作動停止モードM2の作動制限の解除による作動制限モードM3であって、車速が予め設定した閾値以上のとき、通常モードM1に切り換えるように走行駆動装置43を制御する。車速の閾値は、例えば、作動制限モードM3における最高速(例えば、3[km/h])である。なお、車速の閾値は、作動制限モードM3における最高速に限定されない。
【0064】
本実施形態に係るフォークリフト60は、第1の実施形態の効果(1)、(4)、(5)と同等の効果を奏する。また、作動制限モードM3であって車速が予め設定した閾値以上のとき、作動停止モードM2の作動制限の解除を継続するので、閾値以上の車速では操作ボタン62の操作の有無に関わらず走行を停止する作動停止モードM2に復帰することはなく、走行することができる。また、操作ボタン62はバー状ボタンであることから、複数の指を使って押し易いほか、掌底でも押すことができる。さらに、リヤピラー28と対向する側に操作ボタン62があることで、物が操作ボタン62に干渉し難く、オペレータが意図しない制限解除が発生し難い。
【0065】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るフォークリフトについて説明する。本実施形態では、モード切換器の構成が第1の実施形態と相違する。本実施形態では、第1の実施形態と同じ構成については第1の実施形態の説明を援用し、共通の符号を用いる。
【0066】
図8(a)、
図8(b)に示すように、本実施形態のフォークリフト70では、ヘッドガード26にモード切換器としての近接センサ71が備えられている。近接センサ71は受発光部72を有する光電センサであり、ヘッドガード26のリヤビーム31付近において受発光部72を下方に向けて固定されている。受発光部72の位置は、前後方向において運転シート17よりも後方に位置する。近接センサ71はコントローラ42と接続されており、受発光部72からの光線が下方には車体上面において反射し、受発光部72が反射光を受光するが、反射光が遮られると信号をコントローラ42へ伝達する。
【0067】
近接センサ71は、オペレータが後方を振り返る姿勢で、オペレータの頭部を検出でき、かつ、オペレータが前方を向いた姿勢でオペレータの頭部を検出しない位置に備えられている。つまり、近接センサ71が後方を振り返ったオペレータの頭部の位置に合わせるように設置されている。
【0068】
本実施形態では、後進時に障害物が検出されても、近接センサ71が後方を振り返る姿勢のオペレータの頭部を検出することで、作動停止モードM2の作動制限を解除することができる。つまり、モード切換器が近接センサ71であることから、後進のためにオペレータが後方を振り返る姿勢をとることで、モード切換器を操作することがなく、作動停止モードM2を一時的に解除して通常モードM1又は作動制限モードM3により容易に切り換えることができる。
【0069】
(変形例)
次に、変形例について説明する。
図9に示す変形例は、リヤアシストグリップを備えないリヤピラー81に操作ボタン82を設けた例である。操作ボタン82は、後進時にリヤピラー81を握りつつ操作できる操作し易いボタンである。
【0070】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0071】
○ 上記の実施形態(変形例を含む)では、運転シート又はリヤアシストグリップ等のいずれかに設けられたがこれに限定されない。運転シートやリヤアシストグリップ等のそれぞれにモード切換器を備えるようにしてもよい。
○ 上記の第2の実施形態では、産業車両としてフォークリフトが備えるリヤピラーのリヤアシストグリップにモード切換器としてのバー状操作ボタンを設けたが、これに限定されない。モード切換器は、バー状操作ボタンに代えてリヤアシストグリップに近接センサ(光電センサ又は超音波センサ)を設けるようにしてもよい。この場合、リヤアシストグリップを握ったときに制限解除が可能となり、モード切換器を操作する必要が無い。
○ 第1の実施形態では、モード切換器としての操作ボタンを運転シートの背もたれ部に設けたが、これに限らない。座席基準点又は座面よりも後方であってオペレータの手が届く範囲であれば、座部や運転シートの付属品に操作ボタンを設けてもよい。
○ 上記の実施形態(変形例を含む)では、操作ボタンを押し続けて制限解除するか、あるいは、操作ボタンを一度押すことで制限解除を行うようにしたが、これに限らない。操作ボタンの操作回数に特に限定はない、操作ボタンの操作回数によって複数の制限解除のパスからいずれかのパスが選択されるようにしてもよい。
○ 上記の実施形態(変形例を含む)では、産業車両としてのフォークリフトを例示して説明したがこれに限定されない。産業車両は、フォークリフトだけでなく、例えば、トーイングトラクタであってもよく、また、オペレータが後方を振り返りつつ後進することが可能な建設車両であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
10、60、70 フォークリフト
11 車体
12 荷役装置
13 運転席
17 運転シート
26 ヘッドガード
28、81 リヤピラー
32、61 リヤアシストグリップ
40 前部カメラユニット
41 後部カメラユニット
42 コントローラ
43 走行駆動装置
46 駆動モータ
47 モータドライバ
48 アクセルペダル
49 アクセルペダルセンサ
50 前後進レバー
51 レバーポジションセンサ
53、62、82 操作ボタン(モード切換器)
70 フォークリフト
71 近接センサ(モード切換器)
A、B、C、D、E、F、G パス
M1 通常モード
M2 作動停止モード
M3 作動制限モード
S 検出範囲
T1、T2 棚