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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0225 20210101AFI20250513BHJP
   H01S 5/0239 20210101ALI20250513BHJP
   G02B 26/10 20060101ALN20250513BHJP
【FI】
H01S5/0225
H01S5/0239
G02B26/10 104Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022504185
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2021039394
(87)【国際公開番号】W WO2022153643
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2024-05-08
(31)【優先権主張番号】P 2021005725
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕美
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-046830(JP,A)
【文献】特開2016-046481(JP,A)
【文献】国際公開第2019/230144(WO,A1)
【文献】特開2019-186551(JP,A)
【文献】国際公開第2013/146313(WO,A1)
【文献】米国特許第08891579(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0245315(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0252863(US,A1)
【文献】特開2017-201652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
G02B 26/10ー26/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を含むベース部材と、
前記第1の面上に搭載され、第1の波長を有する第1の光を出射するように構成された第1半導体発光素子と、
前記第1の面上に搭載され、前記第1の光を反射する第1の反射面を含む第1フィルタと、
前記第1の面上に搭載され、前記第1の波長と異なる第2の波長を有する第2の光を出射するように構成された第2半導体発光素子と、
前記第1の面上に搭載され、前記第2の光を反射する第2の反射面を含む第2フィルタと、を備え、
前記第1の反射面によって反射された前記第1の光が前記第2フィルタを透過し、前記第2の反射面が前記第2の光を反射することにより、前記第1の光と前記第2の光が合波され、
前記第1の面に垂直な方向において、前記第1フィルタの長さは、前記第2フィルタの長さと異なり、
前記第1の面に垂直な方向において、前記第1フィルタが前記第1の面に搭載される高さと前記第2フィルタが前記第1の面に搭載される高さとは、等しい、光モジュール。
【請求項2】
前記第1の反射面は、前記第2半導体発光素子から出射され前記第2フィルタを透過した光および前記第1半導体発光素子から出射され前記第2フィルタによって反射された光の少なくともいずれか1つの光の光路外に位置する、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記第1フィルタと前記第2フィルタとの間隔は、0.1mm以上0.3mm以下である、請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記第1半導体発光素子から出射される前記第1の光または前記第2半導体発光素子から出射される前記第2の光のスポットサイズを変換するレンズをさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記第2フィルタにより合波された光を反射するミラーを含み、前記第2フィルタにより合波された光を走査して出射するミラー駆動機構をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記第1フィルタおよび前記第2フィルタはそれぞれ、板状であり、
前記第1の面に垂直な方向に見て、前記第1フィルタの厚さ方向に垂直な方向の長さは、前記第2フィルタの厚さ方向に垂直な方向の長さよりも短い、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項7】
第1の面を含むベース部材と、
前記第1の面上に搭載され、第1の波長を有する第1の光を出射する第1半導体発光素子と、
前記第1の面上に搭載され、前記第1の光を反射する第1の反射面を含む第1フィルタと、
前記第1の面上に搭載され、前記第1の波長と異なる第2の波長を有する第2の光を出射する第2半導体発光素子と、
前記第1の面上に搭載され、前記第2の光を反射する第2の反射面を含む第2フィルタと、
前記第1の面上に搭載され、前記第1の波長および前記第2の波長と異なる第3の波長を有する第3の光を出射するように構成された第3半導体発光素子と、
前記第1の面上に搭載され、前記第3の光を反射する第3の反射面を含む第3フィルタと、を備え、
前記第1の面に垂直な方向に見て、前記第1フィルタは、前記第2フィルタと前記第3フィルタの間に配置され、
前記第1の反射面によって反射された前記第1の光が前記第2フィルタを透過し、前記第2の反射面が前記第2の光を反射し、前記第3の反射面によって反射された前記第3の光が前記第1フィルタおよび前記第2フィルタを透過することにより、前記第1の光と前記第2の光と前記第3の光とが合波され、
前記第1の面に垂直な方向において、前記第1フィルタの長さは、前記第2フィルタの長さおよび前記第3フィルタの長さよりも長い、光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光モジュールに関するものである。
本出願は、2021年1月18日出願の日本出願第2021―005725号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
発光素子を含む光モジュールが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の光モジュールは、発光素子からの光を直接受けて波長を選択する波長選択フィルタを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-93101号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様に係る光モジュールは、第1の面を含むベース部材と、第1の面上に搭載され、第1の波長を有する第1の光を出射するように構成された第1半導体発光素子と、第1の面上に搭載され、第1の光を反射する第1の反射面を含む第1フィルタと、第1の面上に搭載され、第1の波長と異なる第2の波長を有する第2の光を出射するように構成された第2半導体発光素子と、第1の面上に搭載され、第2の光を反射する第2の反射面を含む第2フィルタと、を備える。第1の反射面によって反射された第1の光が第2フィルタを透過し、第2の反射面が第2の光を反射することにより、第1の光と第2の光が合波される。第1の面に垂直な方向において、第1フィルタの長さは、第2フィルタの長さと異なる。
【0005】
本開示の別の態様に係る光モジュールは、第1の面を含むベース部材と、第1の面上に搭載され、第1の波長を有する第1の光を出射するように構成された第1半導体発光素子と、第1の面上に搭載され、第1の光を反射する第1の反射面を含む第1フィルタと、第1の面上に搭載され、第1の波長と異なる第2の波長を有する第2の光を出射するように構成された第2半導体発光素子と、第1の面上に搭載され、第2の光を反射する第2の反射面を含む第2フィルタと、第1の面上に搭載され、第1の波長および第2の波長と異なる第3の波長を有する第3の光を出射するように構成された第3半導体発光素子と、第1の面上に搭載され、前記第3の光を反射する第3の反射面を含む第2フィルタと、を備える。第1の面に垂直な方向に見て、第1フィルタは、第2フィルタと第3フィルタの間に配置される。第1の反射面によって反射された第1の光が第2フィルタを透過し、第2の反射面が第2の光を反射し、第3の反射面によって反射された第3の光が第1フィルタおよび第2フィルタを透過することにより、第1の光と第2の光と第3の光とが合波される。第1の面に垂直な方向において、第1フィルタの長さは、第2フィルタの長さおよび第3フィルタの長さよりも長い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施の形態1における光モジュールの外観を示す概略側面図である。
図2図2は、図1に示す光モジュールにおいてキャップを取り外した状態における概略側面図である。
図3図3は、図2に示す光モジュールの概略平面図である。
図4図4は、図3に示す光モジュールの一部を拡大して示す拡大図である。
図5図5は、実施の形態2における光モジュールの一部を拡大して示す概略平面図である。
図6図6は、実施の形態3における光モジュールの一部を拡大して示す概略斜視図である。
図7図7は、図6に示す光モジュールにおいて、キャップを含む平面で切断した場合の概略平面図である。
図8図8は、実施の形態4における光モジュールの概略斜視図である。
図9図9は、図8に示す光モジュールにおいてキャップを取り外した状態における概略斜視図である。
図10図10は、図8に示す光モジュールにおいて、キャップを含む平面で切断した場合の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
複数の半導体発光素子と、複数の半導体発光素子から出射される光を合波するフィルタと、を備える光モジュールは、波長の異なる光が合波された光を出射することができる。光モジュールにおいては、昨今、小型化が求められている。光モジュールの小型化を実現するには、光モジュールを構成する各部品の小型化を図る必要がある。そして、光モジュールの製造時において、小型化した各部品を精度よく配置する必要がある。しかし、特許文献1に開示の光モジュールでは、小型化に対応することが困難な場合がある。
【0008】
そこで、小型化を図ることが容易な光モジュールを提供することを目的の1つとする。
【0009】
[本開示の効果]
上記光モジュールによれば、小型化を図ることが容易となる。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係る光モジュールは、第1の面を含むベース部材と、第1の面上に搭載され、第1の波長を有する第1の光を出射するように構成された第1半導体発光素子と、第1の面上に搭載され、第1の光を反射する第1の反射面を含む第1フィルタと、第1の面上に搭載され、第1の波長と異なる第2の波長を有する第2の光を出射するように構成された第2半導体発光素子と、第1の面上に搭載され、第2の光を反射する第2の反射面を含む第2フィルタと、を備える。第1の反射面によって反射された第1の光が第2フィルタを透過し、第2の反射面が第2の光を反射することにより、第1の光と第2の光が合波される。第1の面に垂直な方向において、第1フィルタの長さは、第2フィルタの長さと異なる。
【0011】
光モジュールにおいては、ベース部材の第1の面上に、第1半導体発光素子、第2半導体発光素子、第1フィルタおよび第2フィルタが搭載される。光モジュールの製造方法の一例としては、たとえば第1半導体発光素子および第2半導体発光素子が搭載されたベース部材の第1の面上に、第1フィルタおよび第2フィルタがベース部材の第1の面上に搭載される。この時、第1フィルタおよび第2フィルタは、第1の面上に塗布された接着剤を利用して第1の面上に接着される。また、第1フィルタおよび第2フィルタは、第1半導体発光素子から出射される第1の光の出射方向や第2半導体発光素子から出射される第2の光の出射方向等を考慮して、第1の面上に搭載される。具体的には、フィルタを挟んで掴むピンセットのような治具を用いて、まず、第1フィルタおよび第2フィルタのうちのいずれかのフィルタを掴み、ベース部材の上方から載置するようにしてベース部材の第1の面上に搭載する。次に、治具をそのフィルタから取り外した後に、他のフィルタを治具によって掴み、ベース部材の上方から載置するようにして、他のフィルタを第1の面上に搭載する。ここで、光モジュールの小型化に際し、光モジュールを構成する各部品の小型化が進むと、第1フィルタと第2フィルタとの間隔も狭くなる。そうすると、後で搭載するフィルタを取り付けて治具を取り外す時に、先に搭載したフィルタと治具とが干渉する可能性がある。その結果、先に搭載したフィルタの位置がずれたり、先に搭載したフィルタが損傷する可能性がある。
【0012】
本開示の光モジュールによると、第1の面に垂直な方向において、第1フィルタの長さは、第2フィルタの長さと異なる。このような光モジュールにおいては、第1フィルタまたは第2フィルタのうち、上記の治具を用いてまず長さの短い方のフィルタを挟んで掴み、その位置を調整して第1の面の所望の位置に搭載する。次に、長さの長い方のフィルタを治具によって挟んで掴み、その位置を調整して第1の面の所望の位置に搭載する。搭載後、治具をフィルタから取り外す際に、後に搭載した方のフィルタの長さの方が先に搭載した方のフィルタの長さよりも長いため、先に搭載した方のフィルタと治具とが干渉する可能性を大きく低減することができる。よって、後にフィルタを搭載する際に、先に搭載したフィルタと治具とが接触して、先に搭載したフィルタの位置がずれたり、損傷する可能性を大きく低減することができる。したがって、後にフィルタを搭載する際に慎重な作業が要求されるといった、小型化した各部品の製造時における労力の軽減を図ることができる。その結果、このような光モジュールによると、小型化を図ることが容易となる。
【0013】
(2)上記光モジュールにおいて、第1の反射面は、第2半導体発光素子から出射され第2フィルタを透過した光および第1半導体発光素子から出射され第2フィルタによって反射された光の少なくともいずれか1つの光の光路外に位置してもよい。第2の光について、第2フィルタにおいては、微量ではあるが第2の反射面によって反射されず、第2フィルタを第2の光が一部透過する光がある。また、第1の光について、第2フィルタにおいては、微量ではあるが、第2の反射面ではない部分において、第1の光が一部反射する光がある。この一部透過した第2の光や一部反射した第1の光が第1フィルタの第1の反射面に到達して反射すると、合波された光と同じ出射方向の迷光となってしまう可能性がある。このような状況は、迷光が光モジュールの外部に出射される可能性があるため、好ましくない。
【0014】
上記光モジュールによると、第1の反射面は、第2半導体発光素子から出射され第2フィルタを透過した光および第1半導体発光素子から出射され第2フィルタによって反射された光の少なくともいずれか1つの光の光路外に位置する。よって、第2半導体発光素子から出射され第2の反射面で反射されず第2フィルタを透過した第2の光および第1半導体発光素子から出射され第2フィルタの第2の反射面ではない部分において反射した第1の光が第1の反射面に到達する可能性を低減することができる。そうすると、第2フィルタを透過した第2の光および第2フィルタによって反射された第1の光が第1の反射面によって反射され、迷光となる可能性を低減することができる。その結果、迷光が光モジュールの外部に出射される可能性を低減することができる。
【0015】
(3)上記光モジュールにおいて、第1フィルタと第2フィルタの間隔は、0.1mm以上0.3mm以下であってもよい。このような光モジュールは、小型化を確実に実現することができる。
【0016】
(4)上記光モジュールにおいて、第1半導体発光素子から出射される第1の光または第2半導体発光素子から出射される第2の光のスポットサイズを変換するレンズをさらに備えてもよい。このようにすることにより、所望のスポットサイズを有する第1の光または第2の光を光モジュールから出射することができる。
【0017】
(5)上記光モジュールにおいて、第2フィルタにより合波された光を反射するミラーを含み、第2フィルタにより合波された光を走査して出射するミラー駆動機構をさらに備えてもよい。このような光モジュールは、第1の光および第2の光を合波した光を所望の経路に沿って走査することにより、文字や図形などを描画することができる。
【0018】
(6)上記光モジュールにおいて、第1フィルタおよび第2フィルタはそれぞれ、板状であってもよい。第1の面に垂直な方向に見て、第1フィルタの厚さ方向に垂直な方向の長さは、第2フィルタの厚さ方向に垂直な方向の長さよりも短くてもよい。このようにすることにより、第2半導体発光素子から出射され第2フィルタを透過した光および第1半導体発光素子から出射され第2フィルタによって反射された光の少なくともいずれか1つの光の光路外に第1の反射面を位置させることが容易となる。したがって、迷光が生ずる可能性を低減することが容易となる。
【0019】
(7)本開示の別の態様に係る光モジュールは、第1の面を含むベース部材と、第1の面上に搭載され、第1の波長を有する第1の光を出射するように構成された第1半導体発光素子と、第1の面上に搭載され、第1の光を反射する第1の反射面を含む第1フィルタと、第1の面上に搭載され、第1の波長と異なる第2の波長を有する第2の光を出射するように構成された第2半導体発光素子と、第1の面上に搭載され、第2の光を反射する第2の反射面を含む第2フィルタと、第1の面上に搭載され、第1の波長および第2の波長と異なる第3の波長を有する第3の光を出射するように構成された第3半導体発光素子と、第1の面上に搭載され、前記第3の光を反射する第3の反射面を含む第2フィルタと、を備える。第1の面に垂直な方向に見て、第1フィルタは、第2フィルタと第3フィルタの間に配置される。第1の反射面によって反射された第1の光が第2フィルタを透過し、第2の反射面が第2の光を反射し、第3の反射面によって反射された第3の光が第1フィルタおよび第2フィルタを透過することにより、第1の光と第2の光と第3の光とが合波される。第1の面に垂直な方向において、第1フィルタの長さは、第2フィルタの長さおよび第3フィルタの長さよりも長い。
【0020】
本開示の別の態様に係る光モジュールの製造においては、上記の治具を用いて、まず、第1の面に垂直な方向において、第1フィルタよりも長さの短いフィルタ、つまり第2フィルタまたは第3フィルタのいずれかを挟んで掴み、その位置を調整して第1の面の所望の位置に搭載する。次に、第1フィルタよりも長さの短いもう1つのフィルタを挟んで掴み、その位置を調整して第1の面の所望の位置に搭載する。後で搭載したフィルタから治具を取り外す際には、第2フィルタと第3フィルタの間隔は比較的大きいため、先に搭載したフィルタと治具とが干渉する可能性を大きく低減することができる。次に、第1の面に垂直な方向において、長さの最も長いフィルタ、つまり第1フィルタを治具によって挟んで掴み、その位置を調整して第1の面の所望の位置に搭載する。搭載後、治具を第1フィルタから取り外す際に、後に搭載した第1フィルタの長さが先に搭載した第2フィルタおよび第3フィルタの長さよりも長いため、第2フィルタおよび第3フィルタと治具とが干渉する可能性を大きく低減することができる。よって、第1フィルタを搭載する際に、先に搭載した第2フィルタおよび第3フィルタと治具とが接触して、第2フィルタまたは第3フィルタの位置がずれたり、損傷する可能性を大きく低減することができる。したがって、後に第1フィルタを搭載する際に慎重な作業が要求されるといった、小型化した各部品の製造時における労力の軽減を図ることができる。したがって、本開示の別の態様では、3つのフィルタを備え、波長の異なる3つの光を合波して出射する光モジュールの小型化を図ることが容易となる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の光モジュールの一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0022】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1における光モジュールの構成について説明する。図1は、実施の形態1における光モジュールの外観を示す概略側面図である。図2は、図1に示す光モジュールにおいてキャップを取り外した状態における概略側面図である。図3は、図2に示す光モジュールの概略平面図である。図4は、図3に示す光モジュールの一部を拡大して示す拡大図である。
【0023】
図1図2図3および図4を参照して、実施の形態1における光モジュール11aは、基板12と、ベース部材13と、キャップ14aと、複数のリードピン15aと、光を形成する光形成部20aと、を含む。
【0024】
基板12は、円板状である。基板12は、基板12の第1の主面12aと、基板12の第1の主面12aとは異なる第2の主面12bと、を含む。第1の主面12aおよび第2の主面12bは、X-Z平面に沿っている。複数のリードピン15aは、第1の主面12aから第2の主面12bに貫通している。複数のリードピン15aはそれぞれ、Y方向に延びるよう設けられている。複数のリードピン15aはそれぞれ、第1半導体発光素子41等の後述する光形成部20aを構成する各部品と、図示しない配線等により電気的に接続されている。
【0025】
ベース部材13は、平板状である。ベース部材13は、ベース部材13の第1の面13aと、ベース部材13の第1の主面13aとは異なる第2の面13bと、第1の面13aおよび第2の面13bに接続される第3の面13cと、を含む。第1の面13aおよび第2の面13bはそれぞれ、X-Y平面に沿っている。第3の面13cは、X-Z平面に沿っている。ベース部材13の第1の面13a上に、光形成部20aを構成する各部品が搭載される。ベース部材13は、第3の面13cが基板12の第1の主面12aと接触するように配置されている。
【0026】
キャップ14aは、基板12に対して溶接された蓋部である。キャップ14aは、光形成部20aおよびベース部材13を覆うように第1の主面12a上に接触して配置される。すなわち、光形成部20aおよびベース部材13は、基板12とキャップ14aによって取り囲まれる空間内に配置される。キャップ14aには、光形成部20aからの光が透過する出射窓14bが形成されている。出射窓14bには、ガラスから構成されており、光が透過する透過板が配置されている。
【0027】
光形成部20aは、第1ベースブロック21aと、第2ベースブロック22aと、第3ベースブロック23aと、第1の波長を有する第1の光を出射するように構成された第1半導体発光素子41と、第2の波長を有する第2の光を出射するように構成された第2半導体発光素子42と、第3の波長を有する第3の光を出射するように構成された第3半導体発光素子43と、第1フィルタ61aと、第2フィルタ71aと、を含む。光形成部20aにより形成された光は、出射窓14bを通過して光モジュール11a外に出射される。
ここでは、第1半導体発光素子41は緑色レーザダイオードであり、第2半導体発光素子42は青色レーザダイオードであり、第3半導体発光素子43は赤色レーザダイオードである。したがって、第1の波長を有する第1の光は緑色の光であり、第2の波長を有する第2の光は青色の光であり、第3の波長を有する第3の光は赤色の光である。
【0028】
第1ベースブロック21a、第2ベースブロック22aおよび第3ベースブロック23aはそれぞれ、ベース部材13の第1の面13a上にそれぞれ間隔をあけて配置される。第1ベースブロック21a上に第1半導体発光素子41が配置される。第2ベースブロック22a上に第2半導体発光素子42が配置される。第3ベースブロック23a上に第3半導体発光素子43が配置される。第1半導体発光素子41、第2半導体発光素子42および第3半導体発光素子43は、第1の面13a上に搭載されている。第1半導体発光素子41による緑色の光の出射方向と、第2半導体発光素子42による青色の光の出射方向とは、いずれもX方向である。すなわち、緑色の光の光軸L11と、青色の光の光軸L12とは、平行である。第3半導体発光素子43による赤色の光の出射方向は、第1半導体発光素子41による緑色の光の出射方向および第2半導体発光素子42による青色の光の出射方向と直交するY方向である。すなわち、赤色の光の光軸L13と、緑色の光の光軸L11および青色の光の光軸L12とはそれぞれ直交している。
【0029】
第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aは、たとえば波長選択性フィルタである。また、第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aは、誘電体多層膜フィルタである。赤色の光は第1フィルタ61aを透過し、第1フィルタ61aは緑色の光を反射する。赤色の光および緑色の光は第2フィルタ71aを透過し、第2フィルタ71aは青色の光を反射する。
【0030】
第1フィルタ61aは、平板状である。第1フィルタ61aは、厚さ方向に見て矩形状である。フィルタの厚さ方向は、X-Y平面に沿った方向である。第1フィルタ61aは、透明の板状部材62aと、誘電体多層膜63aと、を含む。板状部材62aの材質としては、たとえばガラス、具体的には、パイレックス(登録商標)や石英、BK7(登録商標)、テンパックス(登録商標)等が用いられる。誘電体多層膜63aは、板状部材62aの厚さ方向の2つの面のうちいずれかの面上に設けられている。第1フィルタ61aは、第1の面である第1の反射面64aと、第1の反射面とは異なる第2の面65aと、第3の面66aと、第4の面67aと、第5の面68aと、第6の面69aと、を含む。第3の面66a、第4の面67a、第5の面68aおよび第6の面69aはそれぞれ、第1の反射面64aおよび第2の面65aに接続される。第3の面66aおよび第4の面67aはそれぞれ、X-Y平面に沿っている。第1の反射面64aと第2の面65aとは平行である。第3の面66aと第4の面67aとは平行である。第5の面68aと第6の面69aとは平行である。第5の面68aは、第1の反射面64a、第2の面65a、第3の面66aおよび第4の面67aにそれぞれ垂直な平面である。第6の面69aは、第1の反射面64a、第2の面65a、第3の面66aおよび第4の面67aにそれぞれ垂直な平面である。誘電体多層膜63aは、第1の反射面64aを含むように構成されている。第1の反射面64aは、第1の波長を有する第1の光である緑色の光を反射する面である。すなわち、第1フィルタ61aは、第1の光である緑色の光を反射する第1の反射面64aを含む。また、第3の波長を有する第3の光である赤色の光は、第1フィルタ61aを透過する。
【0031】
第2フィルタ71aは、平板状である。第2フィルタ71aは、厚さ方向に見て矩形状である。第2フィルタ71aは、透明の板状部材72aと、誘電体多層膜73aと、を含む。板状部材72aの材質としては、板状部材62aと同様のものが採用される。誘電体多層膜73aは、板状部材72aの厚さ方向の2つの面のうちいずれかの面上に設けられている。第2フィルタ71aは、第1の面である第2の反射面74aと、第1の面とは異なる第2の面75aと、第3の面76aと、第4の面77aと、第5の面78aと、第6の面79aと、を含む。第3の面76a、第4の面77a、第5の面78aおよび第6の面79aはそれぞれ、第2の反射面74aおよび第2の面75aに接続される。第3の面76aおよび第4の面77aはそれぞれ、X-Y平面に沿っている。第2の反射面74aと第2の面75aとは平行である。第3の面76aと第4の面77aとは平行である。第5の面78aと第6の面79aとは平行である。第5の面78aは、第2の反射面74a、第2の面75a、第3の面76aおよび第4の面77aにそれぞれ垂直な平面である。第6の面79aは、第2の反射面74a、第2の面75a、第3の面76aおよび第4の面77aにそれぞれ垂直な平面である。誘電体多層膜73aは、第2の反射面74aを含むように構成されている。第2の反射面74aは、第2の波長を有する第2の光である青色の光を反射する面である。すなわち、第2フィルタ71aは、第2の光である青色の光を反射する第2の反射面74aを含む。また、第1の光である緑色の光および第3の光である赤色の光は、第2フィルタ71aを透過する。
【0032】
第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aは、第1の面13a上に搭載される。具体的には、第1フィルタ61aの第4の面67aと第1の面13aとが対向するように配置される。また、第2フィルタ71aの第4の面77aと第1の面13aとが対向するように配置される。第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aはそれぞれ紫外線硬化樹脂等から構成される接着剤を利用して第1の面13aに取り付けられる。
【0033】
第1の面13aに垂直な方向において、第1フィルタ61aの長さは、第2フィルタ71aの長さと異なる。具体的には、図2中で示される第1フィルタ61aの第3の面66aと第4の面67aとの間隔である第1フィルタ61aの長さHは、第2フィルタ71aの第3の面76aと第4の面77aとの間隔である第2フィルタ71aの長さHよりも長い。本実施形態においては、第1フィルタ61aと第2フィルタ71aとは、厚さ方向に見て同じ矩形状であり、第1フィルタ61aは、長手方向が第1の面13aに取り付けられたいわゆる横向きの状態であり、第2フィルタ71aは、短手方向が第1の面13aに取り付けられたいわゆる縦向きの状態である。
【0034】
第1フィルタ61aは、第1の反射面64aにおいて、緑色の光を反射し、赤色の光が透過する位置に配置されている。第2フィルタ71aは、第2の反射面74aにおいて、青色の光を反射し、緑色の光および赤色の光が透過する位置に配置されている。第1フィルタ61aの第1の反射面64aおよび第2フィルタ71aの第2の反射面74aはそれぞれ、第1半導体発光素子41および第2半導体発光素子42から出射される光の出射方向に対して傾斜している。具体的には、第1フィルタ61aの第1の反射面64aおよび第2フィルタ71aの第2の反射面74aはそれぞれ、第1半導体発光素子41および第2半導体発光素子42から出射される緑色の光の光軸L11および青色の光の光軸L12に対して45°傾斜している。本実施形態においては、第1フィルタ61aの第1の反射面64aおよび第2フィルタ71aの第2の反射面74aはそれぞれ、第3半導体発光素子43から出射される赤色の光の光軸L13に対しても45°傾斜している。その結果、第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aは、第1半導体発光素子41、第2半導体発光素子42および第3半導体発光素子43から出射される光を合波する。合波された光の光軸L14は、出射窓14bを通過するように構成されている。
【0035】
第1半導体発光素子41、第2半導体発光素子42および第3半導体発光素子43から出射される光はそれぞれ拡散光である。第2半導体発光素子42から出射される光の光路のうちの第1半導体発光素子41側に拡散する光路については、光路L15で示される。ここで、第1の反射面64aは、光路L15に沿って第2半導体発光素子42から出射され第2フィルタ71aを透過した青色の光の光路L16外に位置する。本実施形態においては、第1の面13aに垂直な方向に見て、第1フィルタ61aの厚さ方向に垂直な方向の長さDは、第2フィルタ71aの厚さ方向に垂直な方向の長さDよりも短い。このようにすることにより、第2半導体発光素子42から出射され第2フィルタ71aを透過した青色の光の光路L16外に、第1の反射面64aが位置するよう構成している。
【0036】
また、第1フィルタ61aと第2フィルタ71aとの間隔Dは、0.1mm以上0.3mm以下である。本実施形態においては、第1フィルタ61aと第2フィルタ71aとの間隔Dは、第1フィルタ61aの第1の反射面64aと第2フィルタ71aの第2の面75aとの距離である。
【0037】
次に、光モジュール11aの製造方法の一例について、簡単に説明する。まず、第1ベースブロック21a、第2ベースブロック22a、第3ベースブロック23a、第1半導体発光素子41、第2半導体発光素子42および第3半導体発光素子43がベース部材13に設けられた基板12を準備する。そして、ベース部材13の第1の面13a上の所定の位置、具体的には、第1フィルタ61aを取り付ける所望の位置および第2フィルタ71aを取り付ける所望の位置に接着剤を塗布する。その後、第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aを接着剤上に取り付けて、第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aをベース部材13の第1の面13a上に搭載する。
【0038】
ここで、第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aの取り付けについては、まず長さHの短い第2フィルタ71aから取り付ける。ここでは、第2フィルタ71aの上部分、すなわち第3の面76aに近い領域を治具により第2フィルタ71aの厚さ方向に挟み込むようにチャックして持ち上げる。そして、第2フィルタ71aを第2フィルタ71aの取り付け位置に取り付ける。具体的には、第2の反射面74aの位置が、第2半導体発光素子42により出射される青色の光と第1半導体発光素子41により出射され、第1の反射面64aによって反射される緑色の光および第3半導体発光素子43により出射される赤色の光とが交わる部分に位置するように、第2フィルタ71aが取り付けられる。その後、治具を第2フィルタ71aの厚さ方向に開けて、第2フィルタ71aから治具を取り外す。
【0039】
次に、長さHの長い第1フィルタ61aを取り付ける。この場合も、第1フィルタ61aの上部分、すなわち、第3の面66aに近い領域を治具により第1フィルタ61aの厚さ方向に挟み込むようにチャックして持ち上げる。そして、第1フィルタ61aを第1フィルタ61aの取り付け位置に取り付ける。具体的には、第1の反射面64aの位置が、第1半導体発光素子41により出射される緑色の光と第3半導体発光素子43により出射される赤色の光とが交わる部分に位置するように、第1フィルタ61aが取り付けられる。その後、治具を第1フィルタ61aの厚さ方向に開けて、第1フィルタ61aから治具を取り外す。次に、接着剤を硬化させた後、複数のリードピン15aを基板12に取り付け、リードピン15aへの配線等を施し、最後にキャップ14aを取り付ける。このようにして、光モジュール11aを組み立て、製造する。
【0040】
光モジュール11aでは、第1の面13aに垂直な方向において、第1フィルタ61aの長さHは、第2フィルタ71aの長さHと異なる。光モジュール11aにおいては、第1フィルタ61aまたは第2フィルタ71aのうち、上記の治具を用いて、まず長さの短い方のフィルタ、この場合は第2フィルタ71aを挟んで掴み、その位置を調整して第1の面13aの所望の位置に搭載する。次に、長さの長い方のフィルタ、この場合は第1フィルタ61aを治具によって挟んで掴み、その位置を調整して第1の面13aの所望の位置に搭載する。搭載後、治具を第1フィルタ61aから取り外す際に、後に搭載した方である第1フィルタの長さHの方が先に搭載した方である第2フィルタ71aの長さHよりも長いため、先に搭載した方の第2フィルタ71aと治具とが干渉する可能性を大きく低減することができる。よって、後に第1フィルタ61aを搭載する際に、先に搭載した第2フィルタ71aと治具とが接触して、先に搭載した第2フィルタ71aの位置がずれたり、損傷する可能性を大きく低減することができる。したがって、後に第1フィルタ61aを搭載する際に慎重な作業が要求されるといった、小型化した各部品の製造時における労力の軽減を図ることができる。その結果、光モジュール11aによると、小型化を図ることが容易となる。
【0041】
光モジュール11aにおいて、第2フィルタ71aは、第2半導体発光素子42から出射される第2の光である青色の光を反射する第2の反射面74aを含む。ここで、第2フィルタ71aにおいては、微量ではあるが、第2の反射面74aによって反射されず、第2フィルタ71aを第2の光である青色の光が一部透過する光がある。この一部透過した青色の光が第1フィルタ61aの第1の反射面64aに到達して反射すると、合波された光と同じ出射方向の迷光となってしまう可能性がある。このような状況は、迷光が光モジュール11aの外部に出射される可能性があるため、好ましくない。
【0042】
光モジュール11aによると、第1の反射面64aは、光路L15に沿って第2半導体発光素子42から出射され第2フィルタ71aを透過した青色の光の光路L16外に位置するため、第2の反射面74aで反射されず第2フィルタ71aを透過した青色の光が、第1の反射面64aに到達する可能性を低減することができる。そうすると、第2フィルタ71aを透過した青色の光が第1の反射面64aによって反射され、迷光となる可能性を低減することができる。その結果、迷光が光モジュール11aの外部に出射される可能性を低減することができる。
【0043】
光モジュール11aにおいて、第1フィルタ61aと第2フィルタ71aの間隔Dは、0.1mm以上0.3mm以下である。このような光モジュール11aは、小型化を確実に実現することができる。
【0044】
光モジュール11aにおいて、第1の面13aに垂直な方向に見て、第1フィルタ61aの厚さ方向に垂直な方向の長さDは、第2フィルタ71aの厚さ方向に垂直な方向の長さDよりも短い。よって、光路L15に沿って第2半導体発光素子42から出射され第2フィルタ71aを透過した青色の光の光路L16外に第1の反射面を位置させることが容易となる。したがって、迷光が生ずる可能性を低減することが容易となる。
【0045】
なお、上記の実施の形態においては、第1の反射面64aは、光路L15に沿って第2半導体発光素子42から出射され第2フィルタ71aを透過した光の光路L16外に位置することとしたが、これに限らず、第1の反射面64aは、光路L17に沿って第1半導体発光素子41から出射され第2フィルタ71aによって反射された光の光路L18外に位置してもよい。なお、第1半導体発光素子41から出射される光の光路のうちの第3半導体発光素子43側に拡散する光路については、光路L17で示される。すなわち、第1の反射面64aは、第2半導体発光素子42から出射され第2フィルタ71aを透過した光および第1半導体発光素子41から出射され第2フィルタ71aによって反射された光の少なくともいずれか1つの光の光路外に位置してもよい。このようにすることにより、第2半導体発光素子42から出射され第2の反射面74aで反射されず第2フィルタ71aを透過した第2の光である青色の光および第1半導体発光素子41から出射され第2フィルタ71aの第2の反射面74aではない部分において反射した第1の光である緑色の光の少なくともいずれか1つの光が、第1の反射面64aに到達する可能性を低減することができる。そうすると、第2半導体発光素子42から出射され第2フィルタ71aを透過した青色の光および第1半導体発光素子41から出射され第2フィルタ71aによって反射された緑色の光が第1の反射面64aによって反射され、迷光となる可能性を低減することができる。その結果、迷光が光モジュール11aの外部に出射される可能性を低減することができる。
【0046】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図5は、実施の形態2における光モジュールの一部を拡大して示す概略平面図である。実施の形態2の光モジュールは、第1フィルタの構成が実施の形態1の場合と異なっている。
【0047】
図5を参照して、実施の形態2の光モジュール11bに含まれる光形成部20bにおいて、第1の面13aに垂直な方向に見て(つまりX-Y平面において)、第1フィルタ61bの厚さ方向に垂直な方向の長さDは、第2フィルタ71aの厚さ方向に垂直な方向の長さDよりも長い。第1フィルタ61bは、第1の面である第1の反射面64bと、第1の面とは異なる第2の面65bと、第3の面66bと、第4の面67bと、第5の面68bと、第6の面69bと、を含む。長さDは、第5の面68bから第6の面69bに至る長さである。そして、第1フィルタ61bに含まれる誘電体多層膜63bは、板状部材62bの厚さ方向の2つの面のうちいずれかの面の全面に設けられているのではなく、一部に設けられている。具体的には、第1フィルタ61bは、板状部材62bと、誘電体多層膜63bと、を含む。板状部材62bは、第1の反射面64b側において、誘電体多層膜63bが形成されていない領域70bを含む。領域70bは、板状部材62bがそのまま配置されている部分であり、領域70bでは、光は反射せずに透過する。
【0048】
このような構成によっても、第1の反射面64bを第2半導体発光素子42から出射される青色の光の光路L16外に位置させることができる。よって、領域70bにおいては、光路L15に沿って第2半導体発光素子42から出射され第2フィルタ71aを透過した青色の光が第1フィルタ61bに到達し、到達した光が第1フィルタ61bによって反射する可能性を低減することができる。したがって、迷光が生ずる可能性を低減することができる。
【0049】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。図6は、実施の形態3における光モジュールの一部を拡大して示す概略斜視図である。図7は、図6に示す光モジュールにおいて、キャップを含む平面で切断した場合の概略平面図である。実施の形態3の光モジュールは、レンズを含む点およびTEC(Thermo-Electric Cooler)を含む点等において、実施の形態1の場合と異なっている。なお、図6においては、光モジュールに含まれるキャップの図示を省略している。
【0050】
図6および図7を参照して、実施の形態3の光モジュール11cは、基板16と、ベース部材17と、キャップ18aと、複数のリードピン15cと、光を形成する光形成部20cと、を含む。
【0051】
基板16は、平板状である。基板16は、基板16の第1の主面16aと、基板16の第1の主面16aとは異なる第2の主面16bと、を含む。第1の主面16aおよび第2の主面16bは、X-Y平面に沿っている。複数のリードピン15cは、第1の主面16aから第2の主面16bに貫通している。複数のリードピン15cはそれぞれ、Z方向に延びるよう設けられている。複数のリードピン15cはそれぞれ、第1半導体発光素子41等、後述する光形成部20cを構成する各部品と電気的に接続されている。
【0052】
ベース部材17は、平板状である。ベース部材17は、ベース部材17の第1の面17aと、ベース部材17の第1の面17aとは異なる第2の面17bと、を含む。第1の面17aおよび第2の面17bはそれぞれ、X-Y平面に沿っている。ベース部材17の第1の面17a上に、光形成部20cを構成する各部品が搭載される。
【0053】
光モジュール11cは、電子冷却モジュールであるTEC31cを含む。TEC31cは、放熱板32cと、吸熱板33cと、複数の半導体柱34cと、を含む。放熱板32cおよび吸熱板33cは、それぞれ一枚の平板状である。放熱板32cと吸熱板33cとは、ベース部材17の厚さ方向に離れて配置される。複数の半導体柱34cは、それぞれ間隔をあけて配置される。複数の半導体柱34cは、1つの端部が放熱板32cに接続され、もう1つの端部が吸熱板33cに接続されるようにして取り付けられる。TEC31cは、基板16と、ベース部材17との間に配置される。TEC31cは、基板16の第1の主面16aと放熱板32cとが接触し、ベース部材17の第2の面17bと吸熱板33cとが接触するように配置されている。TEC31cに電流を流すことにより、ベース部材17の熱が基板16側へと移動し、ベース部材17、さらには光形成部20cを構成する各部品が、冷却等、温度調節される。
【0054】
光形成部20cは、第1ベースブロック21cと、第2ベースブロック22cと、第1半導体発光素子41と、第2半導体発光素子42と、第3半導体発光素子43と、第1フィルタ61aと、第2フィルタ71aと、第1レンズ51cと、第2レンズ52cと、第3レンズ53cと、を含む。第1レンズ51cは、ベース部材17の厚さ方向に見て、第1半導体発光素子41と第1フィルタ61aとの間に配置される。第1レンズ51cは、第1半導体発光素子から出射される第1の光である緑色の光のスポットサイズを変換する。この場合、第1レンズ51cは、第1半導体発光素子41から出射される拡散光を、コリメート光に変換する。第2レンズ52cは、ベース部材17の厚さ方向に見て、第2半導体発光素子42と第2フィルタ71aとの間に配置される。第2レンズ52cは、第2半導体発光素子42から出射される第2の光である青色の光のスポットサイズを変換する。この場合、第2レンズ52cは、第2半導体発光素子42から出射される拡散光を、コリメート光に変換する。第3レンズ53cは、ベース部材17の厚さ方向に見て、第3半導体発光素子43と第1フィルタ61aとの間に配置される。第3レンズ53cは、第3半導体発光素子43から出射される第3の光である赤色の光のスポットサイズを変換する。この場合、第3レンズ53cは、第3半導体発光素子43から出射される拡散光を、コリメート光に変換する。このようにすることにより、所望のスポットサイズを有する緑色の光、青色の光および赤色の光を光モジュール11cから出射することができる。光形成部20cにより形成された光は、出射窓18bを通過して光モジュール11c外に出射される。
【0055】
第1ベースブロック21cおよび第2ベースブロック22cはそれぞれ、ベース部材17の第1の面17a上にそれぞれ間隔をあけて配置される。第1ベースブロック21c上に第1サブマウント24cおよび第2サブマウント25cが配置される。第1サブマウント24c上に第1半導体発光素子41が配置される。第2サブマウント25c上に第2半導体発光素子42が配置される。第2ベースブロック22c上に第3サブマウント26cが配置される。第3サブマウント26c上に第3半導体発光素子43が配置される。第1半導体発光素子41、第2半導体発光素子42および第3半導体発光素子43は、第1の面13a上に搭載されている。第1半導体発光素子41による緑色の光の出射方向と、第2半導体発光素子42による青色の光の出射方向とは、いずれもX方向である。すなわち、緑色の光の光軸L31と、青色の光の光軸L32とは、平行である。第3半導体発光素子43による赤色の光の出射方向は、第1半導体発光素子41による緑色の光の出射方向および第2半導体発光素子42による青色の光の出射方向と直交するY方向である。すなわち、赤色の光の光軸L33と、緑色の光の光軸L31および青色の光の光軸L32とはそれぞれ直交している。
【0056】
第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aは、第1の面17a上に搭載される。第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aはそれぞれ紫外線硬化樹脂等から構成される接着剤を利用して第1の面17aに取り付けられる。
【0057】
第1の面17aに垂直な方向において、第1フィルタ61aの長さは、第2フィルタ71aの長さと異なる。具体的には、第1の面17aに垂直な方向における第1フィルタ61aの長さは、第1の面17aに垂直な方向における第2フィルタ71aの長さよりも長い。
【0058】
第1フィルタ61aは、第1の反射面64aにおいて、緑色の光を反射し、赤色の光が透過する位置に配置されている。第2フィルタ71aは、第2の反射面74aにおいて、青色の光を反射し、緑色の光および赤色の光が透過する位置に配置されている。第1フィルタ61aの第1の反射面64aおよび第2フィルタ71aの第2の反射面74aはそれぞれ、第1半導体発光素子41および第2半導体発光素子42から出射される光の出射方向に対して傾斜している。具体的には、第1フィルタ61aの第1の反射面64aおよび第2フィルタ71aの第2の反射面74aはそれぞれ、第1半導体発光素子41および第2半導体発光素子42から出射される緑色の光の光軸L31および青色の光の光軸L32に対して45°傾斜している。本実施形態においては、第1フィルタ61aの第1の反射面64aおよび第2フィルタ71aの第2の反射面74aはそれぞれ、第3半導体発光素子43から出射される赤色の光の光軸L33に対しても45°傾斜している。その結果、第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aは、第1半導体発光素子41、第2半導体発光素子42および第3半導体発光素子43から出射される光を合波する。合波された光の光軸L34は、出射窓18bを通過するように構成されている。
【0059】
第1半導体発光素子41、第2半導体発光素子42および第3半導体発光素子43から出射される光はそれぞれ拡散光である。第1半導体発光素子41から出射される光の光路のうちの第3半導体発光素子43側に拡散する光路については、光路L35で示される。光路L35に沿って第1半導体発光素子41から出射された緑色の光は、第1レンズ51cを通って光路L36に沿って進行し、第1フィルタ61aの第1の反射面64aによって反射する。その後、光路L37に沿って進行する。そして、光路L37に沿って進行した微量の光が第2フィルタ71aの第2の面75aにおいて反射する。ここで、第1の反射面64aは、第1半導体発光素子41から出射され第2フィルタ71aの第2の面75aによって反射された緑色の光の光路L38外に位置する。本実施形態においては、第1の面17aに垂直な方向に見て、第1フィルタ61aの厚さ方向に垂直な方向の長さは、第2フィルタ71aの厚さ方向に垂直な方向の長さよりも短い。このようにすることにより、第1半導体発光素子41から出射され第2フィルタ71aの第2の面75aによって反射された緑色の光の光路L38外に第1の反射面64aが位置するよう構成されている。
【0060】
次に、光モジュール11cの製造方法の一例について、簡単に説明する。まず、基板16の第1の主面16a上にTEC31aを接着する。その後、第1サブマウント24cおよび第2サブマウント25cを含む第1ベースブロック21c、第3サブマウント26cを含む第2ベースブロック22c、第1半導体発光素子41、第2半導体発光素子42および第3半導体発光素子43がベース部材17に設けられた基板16をTEC31a上に接着する。そして、ベース部材17の第1の面17a上の所定の位置、具体的には、第1フィルタ61aを取り付ける所望の位置および第2フィルタ71aを取り付ける所望の位置に接着剤を塗布する。その後、第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aを接着剤上に取り付けて、第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aをベース部材17の第1の面17a上に搭載する。
【0061】
ここで、第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aの取り付けについては、まず第2フィルタ71aから取り付ける。ここでは、第2フィルタ71aの上部分を治具により第2フィルタ71aの厚さ方向に挟み込むようにチャックして持ち上げる。そして、第2フィルタ71aを第2フィルタ71aの取り付け位置に取り付ける。具体的には、第2の反射面74aの位置が、第2半導体発光素子42により出射される青色の光と、第1半導体発光素子41により出射され、第1の反射面64aによって反射される緑色の光および第3半導体発光素子43により出射される赤色の光とが交わる部分に位置するように、第2フィルタ71aが取り付けられる。その後、治具を第2フィルタ71aの厚さ方向に開けて、第2フィルタ71aから治具を取り外す。
【0062】
次に、第1フィルタ61aを取り付ける。この場合も、第1フィルタ61aの上部分を治具により第1フィルタ61aの厚さ方向に挟み込むようにチャックして持ち上げる。そして、第1フィルタ61aを第1フィルタ61aの取り付け位置に取り付ける。具体的には、第1の反射面64aの位置が、第1半導体発光素子41により出射される緑色の光と第3半導体発光素子43により出射される赤色の光とが交わる部分に位置するように、第1フィルタ61aが取り付けられる。その後、治具を第1フィルタ61aの厚さ方向に開けて、第1フィルタ61aから治具を取り外す。次に、接着剤を硬化させる。その後、複数のリードピン15cを基板16に取り付け、リードピン15cへの配線等を施し、最後にキャップ18aを取り付ける。このようにして、光モジュール11cを組み立て、製造する。
【0063】
光モジュール11cにおいても、第1の面17aに垂直な方向において、第1フィルタ61aの長さは、第2フィルタ71aの長さと異なる。光モジュール11cにおいては、第1フィルタ61aまたは第2フィルタ71aのうち、上記の治具を用いて、まず長さの短い方のフィルタ、この場合は第2フィルタ71aを挟んで掴み、その位置を調整して第1の面13aの所望の位置に搭載する。次に、長さの長い方のフィルタ、この場合は第1フィルタ61aを治具によって挟んで掴み、その位置を調整して第1の面13aの所望の位置に搭載する。搭載後、治具を第1フィルタ61aから取り外す際に、後に搭載した方である第1フィルタ61aの長さの方が先に搭載した方である第2フィルタ71aの長さよりも長いため、先に搭載した方の第2フィルタ71aと治具とが干渉する可能性を大きく低減することができる。よって、後に第1フィルタ61aを搭載する際に、先に搭載した第2フィルタ71aと治具とが接触して、先に搭載した第2フィルタ71aの位置がずれたり、損傷する可能性を大きく低減することができる。したがって、後に第1フィルタ61aを搭載する際に慎重な作業が要求されるといった、小型化した各部品の製造時における労力の軽減を図ることができる。その結果、光モジュール11cによると、小型化を図ることが容易となる。
【0064】
光モジュール11cでは、第1の反射面64aは、第1半導体発光素子41から出射され第2フィルタ71aの第2の面75aによって反射された緑色の光の光路L38外に位置するため、第2フィルタ71aの第2の反射面74aではない部分、この場合は、第2の面75aにおいて反射し光路L38に沿って進行する緑色の光が、第1の反射面64aに到達する可能性を低減することができる。そうすると、第2フィルタ71aによって反射された緑色の光が第1の反射面64aによって反射され、迷光となる可能性を低減することができる。その結果、迷光が光モジュール11cの外部に出射される可能性を低減することができる。
【0065】
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。図8は、実施の形態4における光モジュールの概略斜視図である。図9は、図8に示す光モジュールにおいてキャップを取り外した状態における概略斜視図である。図10は、図8に示す光モジュールにおいて、キャップを含む平面で切断した場合の概略平面図である。実施の形態4の光モジュールは、ミラー駆動機構を含む点等において、実施の形態3の場合と異なっている。なお、図9においては、光モジュールに含まれるキャップの図示を省略している。
【0066】
図8図9および図10を参照して、実施の形態4の光モジュール11dは、基板16と、ベース部材17と、出射窓19bが設けられたキャップ19aと、複数のリードピン15cと、TEC31cと、光を形成する光形成部20dと、を含む。ベース部材17の第1の面17a上に、光形成部20dを構成する各部品が搭載される。
【0067】
光形成部20dは、第1ベースブロック21cと、第1半導体発光素子41と、第2半導体発光素子42と、第3半導体発光素子43と、第1フィルタ61aと、第2フィルタ71aと、第3フィルタ81dと、第1レンズ51cと、第2レンズ52cと、第3レンズ53cと、を含む。第1フィルタ61aは、第1の反射面64aが第1半導体発光素子41から出射され第2フィルタ71aの第2の面75aによって反射された緑色の光の光路L45外に位置するよう配置されている。
【0068】
第3フィルタ81dは、たとえば波長選択性フィルタである。また、第3フィルタ81dは、誘電体多層膜フィルタである。第3フィルタ81dは、第3半導体発光素子43から出射される第3の波長を有する光である赤色の光を反射する。第3フィルタ81dは、平板状である。第3フィルタ81dは、厚さ方向に見て矩形状である。第3フィルタ81dの構成は、反射する光の波長が異なる以外は、第2フィルタ71aの構成と同等であるため、その説明を省略する。
【0069】
第3レンズ53cは、ベース部材17の厚さ方向に見て、第3半導体発光素子43と第3フィルタ81dとの間に配置される。第3フィルタ81dは、第1の面17a上に搭載される。第3フィルタ81dは、X方向において、第1フィルタ61aの横に取り付けられる。すなわち、第1フィルタ61aは、X方向において、第2フィルタ71aと第3フィルタ81dとの間に配置されることとなる。言い換えると、ベース部材17の第1の面17aに垂直な方向に見て、第1フィルタ61aは、第2フィルタ71aと第3フィルタ81dとの間に配置されることとなる。第3フィルタ81dは紫外線硬化樹脂等から構成される接着剤を利用して第1の面17aに取り付けられる。
【0070】
第1ベースブロック21cは、ベース部材17の第1の面17a上に配置される。第1ベースブロック21c上に第1サブマウント24c、第2サブマウント25cおよび第3サブマウント26cが配置される。第1サブマウント24c上に第1半導体発光素子41が配置される。第2サブマウント25c上に第2半導体発光素子42が配置される。第3サブマウント26c上に第3半導体発光素子43が配置される。第1半導体発光素子41、第2半導体発光素子42および第3半導体発光素子43は、第1の面13a上に搭載されている。第1半導体発光素子41による緑色の光の出射方向と、第2半導体発光素子42による青色の光の出射方向と、第3半導体発光素子43による赤色の光の出射方向とは、いずれもX方向である。すなわち、緑色の光の光軸L41と、青色の光の光軸L42と、赤色の光の光軸L43とは、平行である。
【0071】
第1の面17aに垂直な方向において、第1フィルタ61aの長さは、第3フィルタ81dの長さと異なる。具体的には、第1の面17aに垂直な方向における第1フィルタ61aの長さは、第1の面17aに垂直な方向における第3フィルタ81dの長さよりも長い。また、本実施形態においては、第1の面17aに垂直な方向における第1フィルタ61aの長さは、第1の面17aに垂直な方向における第2フィルタ71aの長さよりも長い。つまり、第1の面17aに垂直な方向において、第1フィルタ61aの長さは、第2フィルタ71aの長さおよび第3フィルタ81dの長さよりも長い。
【0072】
第3フィルタ81dは、第3の反射面84dにおいて、赤色の光を反射する位置に配置されている。第3フィルタ81dの第3の反射面84dは、第3半導体発光素子43から出射される光の出射方向に対して傾斜している。具体的には、第3フィルタ81dの第3の反射面84dは、第3半導体発光素子43から出射される赤色の光の光軸L43に対して45°傾斜している。その結果、第1フィルタ61aおよび第2フィルタ71aは、第1半導体発光素子41、第2半導体発光素子42および第3半導体発光素子43から出射される光を合波する。
【0073】
光モジュール11dに含まれる光形成部20dは、ミラー駆動機構91dを含む。ミラー駆動機構91dは、第2フィルタ71aにより合波された光を反射するミラー92dを含む。ミラー駆動機構91dは、TEC31c上に配置されている。具体的には、第2フィルタ71aによって合波された光軸L44の光が、揺動するミラー92dに当たって反射し、その反射した光が出射窓19bから出射することができるように、ミラー駆動機構91dは配置されている。ミラー駆動機構91dは、第2フィルタ71aにより合波された光を走査して出射する。すなわち、光形成部20dにより形成された光は、出射窓19bを通過して光モジュール11d外に出射される。光モジュール11dは、第1の光である緑色の光、第2の光である青色の光および第3の光である赤色の光を合波した光を所望の経路に沿って走査することにより、文字や図形などを描画することができる。
【0074】
光モジュール11dにおいても、第1の面17aに垂直な方向において、第1フィルタ61aの長さは、第2フィルタ71aの長さと異なる。光モジュール11dにおいては、第1フィルタ61a、第2フィルタ71aまたは第3フィルタ81dのうち、上記の治具を用いて、まず長さの短い方のフィルタ、この場合は第2フィルタ71aまたは第3フィルタ81dのいずれか、たとえば第2フィルタ71aを挟んで掴み、その位置を調整して第1の面13aの所望の位置に搭載する。次に、第3フィルタ81dを挟んで掴み、その位置を調整して第1の面13aの所望の位置に搭載する。この場合、搭載後、治具を第3フィルタ81dから取り外す際に、後に搭載した方である第3フィルタ81dと第2フィルタ71aとの間隔が大きいため、先に搭載した方の第2フィルタ71aと治具とが干渉する可能性を大きく低減することができる。次に、長さの長い方のフィルタ、この場合は第1フィルタ61aを治具によって挟んで掴み、その位置を調整して第1の面13aの所望の位置に搭載する。搭載後、治具を第1フィルタ61aから取り外す際に、後に搭載した方である第1フィルタ61aの長さの方が先に搭載した方である第2フィルタ71aおよび第3フィルタ81dの長さよりも長いため、先に搭載した方の第2フィルタ71aおよび第3フィルタ81dと治具とが干渉する可能性を大きく低減することができる。よって、後に第1フィルタ61aを搭載する際に、先に搭載した第2フィルタ71aおよび第3フィルタ81dと治具とが接触して、先に搭載した第2フィルタ71aまたは第3フィルタ81dの位置がずれたり、損傷する可能性を大きく低減することができる。したがって、後に第1フィルタ61aを搭載する際に慎重な作業が要求されるといった、小型化した各部品の製造時における労力の軽減を図ることができる。その結果、光モジュール11dによると、小型化を図ることが容易となる。
【0075】
光モジュール11dでは、第1の反射面64aは、第1半導体発光素子41から出射され第2フィルタ71aの第2の面75aによって反射された緑色の光の光路L45外に位置するため、第1半導体発光素子41から出射され第2フィルタ71aの第2の反射面74aではない部分、この場合は、第2の面75aにおいて反射した緑色の光が、第1の反射面64aに到達する可能性を低減することができる。そうすると、第1半導体発光素子41から出射され第2フィルタ71aによって反射された緑色の光が第1の反射面64aによって反射され、迷光となる可能性を低減することができる。その結果、迷光が光モジュール11dの外部に出射される可能性を低減することができる。
【0076】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、光モジュールは、第1半導体発光素子と、第2半導体発光素子と、第3半導体発光素子とを含むこととしたが、これに限らず、光モジュールは、第3半導体発光素子を含まないよう構成してもよい。この場合、第1半導体発光素子と第2半導体発光素子との組み合わせについては、それぞれ波長の異なる光であればよい。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本開示の範囲は上記の説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
11a,11b,11c,11d 光モジュール、 12,16 基板、 12a,16a 第1の主面、12b,16b 第2の主面、 13,17 ベース部材、 13a,17a 第1の面、 13b,17b,65a,65b,75a 第2の面、 13c,66a,66b,76a 第3の面、 14a,18a,19a キャップ、 14b,18b,19b 出射窓、 15a,15c リードピン、 20a,20b,20c,20d 光形成部、 21a,21c 第1ベースブロック、 22a,22c 第2ベースブロック、 23a 第3ベースブロック、 24c 第1サブマウント、 25c 第2サブマウント、 26c 第3サブマウント、 31c TEC、 32c 放熱板、 33c 吸熱板、 34c 半導体柱、 41 第1半導体発光素子、 42 第2半導体発光素子、 43 第3半導体発光素子、 51c 第1レンズ、 52c 第2レンズ、 53c 第3レンズ、 61a,61b 第1フィルタ、62a,62b,72a 板状部材、 63a,63b,73a 誘電体多層膜、 64a,64b 第1の反射面、 67a,67b,77a 第4の面、 68a,68b,78a 第5の面、 69a,69b,79a 第6の面、 70b 領域、 71a 第2フィルタ、 74a 第2の反射面、 81d 第3フィルタ、 84d 第3の反射面、 91d ミラー駆動機構、 92d ミラー、 D,D,D4,,H 長さ、 D 間隔、 L11,L12,L13,L14,L31,L32,L33,L34,L41,L42,L43,L44 光軸、 L15,L16,L17,L18,L35,L36,L37,L38,L45 光路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10