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特許7679839支援装置、システム、支援方法及び支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】支援装置、システム、支援方法及び支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20250513BHJP
【FI】
G08B23/00 510E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022555214
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(86)【国際出願番号】 JP2020038229
(87)【国際公開番号】W WO2022074807
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】谷 真宏
【審査官】弘田 智美
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2016-0001994(KR,A)
【文献】国際公開第2019/234827(WO,A1)
【文献】特開2019-207495(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0102459(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0293875(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0069043(US,A1)
【文献】特開2013-219666(JP,A)
【文献】特開2018-061216(JP,A)
【文献】特開2018-113661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる場所を監視する複数の監視システムと、支援装置とを備え、
前記支援装置は、
サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、前記対象アカウントを保有する対象ユーザを識別可能な個人情報を抽出する個人情報抽出手段と、
前記アカウント情報に基づいて、前記対象ユーザに関連する位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、
前記抽出した個人情報を、前記抽出した位置情報に基づいて選択される前記監視システムに出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、前記位置情報の周辺の混雑度に基づいて前記監視システムを選択する、
システム。
【請求項2】
前記アカウント情報は、前記対象アカウントのアカウント情報または前記対象アカウントに関連する関連アカウントのアカウント情報を含む、
請求項に記載のシステム
【請求項3】
前記関連アカウントは、前記サイバー空間において前記対象アカウントとつながりのあるアカウントである、
請求項に記載のシステム
【請求項4】
前記関連アカウントは、前記対象ユーザが保有する前記対象アカウントとは別の別アカウントを含む、
請求項またはに記載のシステム
【請求項5】
前記支援装置は、前記対象アカウントのアカウント情報と前記関連アカウントのアカウント情報に基づいて、前記別アカウントを特定するアカウント特定手段を備える、
請求項に記載のシステム
【請求項6】
前記アカウント特定手段は、前記関連アカウントのアカウント情報から取得される位置情報に基づいて、前記別アカウントを特定する、
請求項に記載のシステム
【請求項7】
異なる場所を監視する複数の監視システムとともにシステムを構成する支援装置であって、
サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、前記対象アカウントを保有する対象ユーザを識別可能な個人情報を抽出する個人情報抽出手段と、
前記アカウント情報に基づいて、前記対象ユーザに関連する位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、
前記抽出した個人情報を、前記抽出した位置情報に基づいて選択される前記監視システムに出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、前記位置情報の周辺の混雑度に基づいて前記監視システムを選択する、
支援装置。
【請求項8】
異なる場所を監視する複数の監視システムとともにシステムを構成する支援装置により実行される支援方法であって、
サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、前記対象アカウントを保有する対象ユーザを識別可能な個人情報を抽出し、
前記アカウント情報に基づいて、前記対象ユーザに関連する位置情報を抽出し、
前記抽出した個人情報を、前記抽出した位置情報に基づいて選択される前記監視システムに出力し、
前記監視システムへの出力では、前記位置情報の周辺の混雑度に基づいて前記監視システムを選択する、
支援方法。
【請求項9】
異なる場所を監視する複数の監視システムとともにシステムを構成する支援装置のための支援方法をコンピュータに実行させる支援プログラムであって、
サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、前記対象アカウントを保有する対象ユーザを識別可能な個人情報を抽出し、
前記アカウント情報に基づいて、前記対象ユーザに関連する位置情報を抽出し、
前記抽出した個人情報を、前記抽出した位置情報に基づいて選択される前記監視システムに出力し、
前記監視システムへの出力では、前記位置情報の周辺の混雑度に基づいて前記監視システムを選択する、
処理を含む、支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援装置、システム、支援方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ソーシャルメディアなどのインターネットサービスが世界中に普及し広く利用されている。一方、その利便性や匿名性の高さから、サイバー空間を活用した犯罪が増加しており、このような犯罪を未然に防ぐことが望まれている。関連する技術として、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1には、公共施設のゲート設備において、ゲートの通過者と不審人物リストの人物とを照合することで、犯罪からの安全性を確保することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-167931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような関連する技術によれば、予め用意された不審人物リストを用いることで、フィジカル空間(実空間)における、不審人物の監視を可能としている。しかしながら、関連する技術では、サイバー空間を活用した犯罪について考慮されておらず、サイバー空間における情報からフィジカル空間における監視や捜査を効率よく行うことは困難である。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑み、効率よく監視や捜査を行うことを可能にする支援装置、システム、支援方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る支援装置は、サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、前記対象アカウントを保有する対象ユーザを識別可能な個人情報を抽出する個人情報抽出手段と、前記アカウント情報に基づいて、前記対象ユーザに関連する位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、前記抽出した個人情報及び前記抽出した位置情報を、フィジカル空間の前記位置情報の周辺における犯罪防止を支援する支援情報として出力する出力手段と、を備えるものである。
【0007】
本開示に係るシステムは、異なる場所を監視する複数の監視システムと、支援装置とを備え、前記支援装置は、サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、前記対象アカウントを保有する対象ユーザを識別可能な個人情報を抽出する個人情報抽出手段と、前記アカウント情報に基づいて、前記対象ユーザに関連する位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、前記抽出した個人情報を、前記抽出した位置情報に基づいて選択される前記監視システムに出力する出力手段と、を備えるものである。
【0008】
本開示に係る支援方法は、サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、前記対象アカウントを保有する対象ユーザを識別可能な個人情報を抽出し、前記アカウント情報に基づいて、前記対象ユーザに関連する位置情報を抽出し、前記抽出した個人情報及び前記抽出した位置情報を、フィジカル空間の前記位置情報の周辺における犯罪防止を支援する支援情報として出力するものである。
【0009】
本開示に係る非一時的なコンピュータ可読媒体は、サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、前記対象アカウントを保有する対象ユーザを識別可能な個人情報を抽出し、前記アカウント情報に基づいて、前記対象ユーザに関連する位置情報を抽出し、前記抽出した個人情報及び前記抽出した位置情報を、フィジカル空間の前記位置情報の周辺における犯罪防止を支援する支援情報として出力する、処理をコンピュータに実行させるための支援プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、効率よく監視や捜査を行うことを可能にする支援装置、システム、支援方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る支援装置の概要を示す構成図である。
図2】実施の形態1に係るサイバーフィジカル統合監視システムの構成例を示す構成図である。
図3】実施の形態1に係る監視支援装置の構成例を示す構成図である。
図4】実施の形態1に係る監視システムの構成例を示す構成図である。
図5】実施の形態1に係る監視支援装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2に係る別アカウント特定処理の動作例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態3に係る別アカウント特定処理の動作例を示すフローチャートである。
図8】実施の形態4に係るアカウント情報集約処理の動作例を示すフローチャートである。
図9】実施の形態5に係る画像位置特定部の構成例を示す構成図である。
図10】実施の形態5に係る識別器の構成例を示す構成図である。
図11】実施の形態5に係るトレーニング処理の動作例を示すフローチャートである。
図12】実施の形態6に係る活動エリア推定処理の動作例を示すフローチャートである。
図13】実施の形態7に係る活動エリア推定処理の動作例を示すフローチャートである。
図14】実施の形態に係るコンピュータのハードウェアの概要を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図面においては、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0013】
(実施の形態に至る検討)
近年、インターネットやソーシャルメディアの利便性や匿名性の高さから、各種犯罪の軸(計画や準備等)がサイバー空間へ移行している。例えば、テロの9割、あるいは、薬物取引の7割は、ソーシャルメディアを活用しているとも言われている。
【0014】
このような犯罪を未然に防ぐ方法として、対象人物の顔写真をウォッチリストに登録し、登録された人物を監視カメラの映像により検知する方法が考えられる。しかしながら、各種犯罪の手口が複雑化していることから、単純なウォッチリスト照合中心の映像監視では、犯行の防止が困難となっている。例えば、インターネット等を通して過激思想に共鳴するホームグロウンテロ等の犯罪を防ぐことは難しい。特に、予め登録された顔写真のない初犯等の人物を検知することはできない。
【0015】
また、ウォッチリストを使用せずに、映像行動解析により監視カメラ映像から不審な行動(うろつき、荷物の置去り等)を検知する方法も考えられる。しかしながら、この方法では、不審な行動の定義が困難であり、実際には犯行と無関係な行動が多数誤検知される恐れがあるため、犯行の防止が困難である。
【0016】
そこで、以下の実施の形態では、サイバー空間の情報とフィジカル空間の情報を統合し活用することで、サイバー空間上の犯罪(犯行予告等)がフィジカル空間に移行する前に目的人物を特定し、被害発生や拡大を防止することを可能とする。
【0017】
(実施の形態の概要)
図1は、実施の形態に係る支援装置の概要を示している。実施の形態に係る支援装置10は、例えば、法執行機関向けの捜査や警備支援、重要施設の監視支援等に適用可能である。図1に示すように、支援装置10は、個人情報抽出部11、位置情報抽出部12、出力部13を備えている。
【0018】
個人情報抽出部11は、サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、対象アカウントを保有する対象ユーザ(対象人物とも言う)を識別可能な個人情報を抽出する。位置情報抽出部12は、対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、対象ユーザに関連する位置情報を抽出する。対象アカウントから取得されるアカウント情報は、対象アカウントのアカウント情報や対象アカウントに関連する関連アカウントのアカウント情報を含んでもよい。
【0019】
出力部13は、個人情報抽出部11が抽出した個人情報及び位置情報抽出部12が抽出した位置情報を、フィジカル空間の当該位置情報の周辺における犯罪防止を支援する支援情報として出力する。例えば、支援情報は、対象ユーザの監視または捜査を支援するための情報でもよい。監視支援を行う場合、出力部13は、抽出した個人情報を監視対象の人物の情報とし、抽出した位置情報に基づいて選択される監視システムに出力してもよい。また、捜査支援を行う場合、出力部13は、抽出した個人情報を捜査対象の人物の情報とし、抽出した位置情報の周辺を捜査する捜査機関に出力してもよい。
【0020】
このように、実施の形態では、対象アカウントに関連するアカウント情報に基づいて、対象アカウントを保有する対象ユーザの個人情報と位置情報を抽出し、これらの情報を出力することでフィジカル空間の犯罪防止を支援する。これにより、サイバー空間の情報に基づいて特定された位置の周辺で、特定された個人情報の人物を効率よく監視や捜査することができ、サイバー空間を活用した犯罪を効果的に防止することが可能となる。
【0021】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して実施の形態1について説明する。図2は、本実施の形態に係るサイバーフィジカル統合監視システムの構成例を示し、図3は、図2における監視支援装置の構成例を示し、図4は、図2における監視システムの構成例を示している。なお、各装置の構成は一例であり、後述の動作(方法)が可能であれば、その他の構成でもよい。例えば、監視システムの一部を監視支援装置に含めてもよいし、監視支援装置の一部を監視システムに含めてもよい。
【0022】
サイバーフィジカル統合監視システム1は、サイバー空間における対象アカウントの情報をもとに、フィジカル空間における対象人物の監視を行うシステムである。本実施の形態では、サイバー空間上の対象アカウントに関連する投稿情報などのアカウント情報から、対象アカウントを保有する対象人物の個人情報と対象人物の位置情報を取得し、取得した位置情報の周辺に配備された監視システムのウォッチリストに、対象人物の個人情報を登録する。なお、対象人物の監視に限らず、対象人物の捜査やその他の犯罪防止のためのシステム(機関)に、対象人物の個人情報と位置情報(支援情報)を提供してもよい。
【0023】
図2に示すように、サイバーフィジカル統合監視システム1は、監視支援装置100、複数の監視システム200、ソーシャルメディアシステム300を備えている。監視支援装置100と複数の監視システム200との間、及び監視支援装置100とソーシャルメディアシステム300との間は、インターネット等を介して通信可能に接続されている。
【0024】
ソーシャルメディアシステム300は、サイバー空間上でSNS(Social Networking Service)などのソーシャルメディアサービス(サイバーサービス)を提供するシステムである。ソーシャルメディアシステム300は、複数のソーシャルメディアサービスを含んでもよい。ソーシャルメディアサービスは、インターネット(オンライン)上で、複数のアカウント(ユーザ)間で情報を発信(公開)し、コミュニケーションをとることが可能なオンラインサービスである。ソーシャルメディアサービスは、SNSに限らず、チャットなどのメッセージングサービス、ブログや電子掲示板(フォーラムサイト)、動画共有サイトや情報共有サイト、ソーシャルゲームやソーシャルブックマーク等を含む。例えば、ソーシャルメディアシステム300は、クラウド上のサーバとユーザ端末を含む。ユーザ端末は、サーバが提供するAPI(Application Programming Interface)を介して、ユーザのアカウントでログインし、タイムラインの投稿及びチャットの会話等の入力や閲覧を行い、また、友人関係やフォロー関係等のアカウントのつながりを登録する。
【0025】
監視支援装置100は、ソーシャルメディアシステム300の情報をもとに、監視システム200の監視を支援する装置である。図3に示すように、監視支援装置100は、ソーシャルメディア情報取得部101、アカウント特定部102、アカウント情報抽出部103、個人情報抽出部104、位置情報抽出部105、監視システム選択部106、個人情報出力部107、記憶部108を備えている。
【0026】
記憶部108は、監視支援装置100の動作(処理)に必要な情報(データ)を記憶する。記憶部108は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリやハードディスク装置等である。記憶部108は、複数の監視システム200(監視デバイス)とその監視エリア(監視位置)とを関連付けた監視システムリストを記憶する。
【0027】
ソーシャルメディア情報取得部101は、ソーシャルメディアシステム300からソーシャルメディア情報を取得(収集)する。ソーシャルメディア情報は、ソーシャルメディアの各アカウントに関して公開されたアカウント情報である。アカウント情報は、アカウントのプロフィール情報や投稿情報(投稿画像、投稿動画、投稿文、投稿音声等)を含む。
【0028】
ソーシャルメディア情報取得部101は、ソーシャルメディアシステム300から取得可能な全てのソーシャルメディア情報を取得する。ソーシャルメディア情報取得部101は、複数のソーシャルメディアのソーシャルメディア情報を取得してもよい。ソーシャルメディア情報取得部101は、ソーシャルメディアサービスを提供するサーバからAPI(取得ツール)を介して取得してもよいし、予めソーシャルメディア情報が格納されたデータベースから取得してもよい。
【0029】
アカウント特定部102は、個人情報や位置情報を抽出するアカウントを特定する。アカウント特定部102は、監視対象の対象アカウント(対象人物の情報を抽出するためのアカウント)を特定し、また、対象アカウントに関連する関連アカウントを特定する。関連アカウントは、サイバー空間のソーシャルメディアサービスにおいて対象アカウントとつながりのあるアカウントである。関連アカウントは、友人関係が登録されている友人アカウントを含み、フォロー関係(フォローまたはフォロワー)のつながり、投稿によるつながり(投稿へのコメント、リツイートなどの引用、「いいね」などの反応)、会話によるつながり(同じコミュニティでの会話)、各アカウントのプロフィールおよび投稿情報を含むアカウント情報を閲覧した履歴(足あと)によるつながり等のあるアカウントを含む。また、アカウント特定部102は、関連アカウントとして、アカウント照合処理により、対象アカウントと同じユーザが保有する対象アカウントとは別の別アカウントを特定する。すなわち、アカウント特定部102は、対象アカウントを特定する対象アカウント特定部であり、また、別アカウント(関連アカウント)を特定する別アカウント特定部(関連アカウント特定部)でもある。例えば、別アカウント特定部は、対象アカウントのアカウント情報と関連アカウントのアカウント情報に基づいて、別アカウントを特定する。
【0030】
アカウント情報抽出部103は、ソーシャルメディア情報取得部101が収集したソーシャルメディア情報の中から対象アカウントに関連するアカウント情報を抽出する。アカウント情報抽出部103は、対象アカウントに関連するアカウント情報として、特定した対象アカウントのアカウント情報を抽出し、また、特定した関連アカウント(友人アカウントや別アカウント)のアカウント情報を抽出する。
【0031】
個人情報抽出部104は、抽出した対象アカウントに関連するアカウント情報に基づいて、対象ユーザ(対象人物)の個人情報を抽出する。個人情報抽出部104は、テキスト分析や画像解析技術、音声解析技術等により、アカウント情報に含まれるプロフィール情報や投稿情報等から、対象アカウントを保有する対象ユーザの個人情報を抽出する。個人情報は、フィジカル空間において対象ユーザを識別可能な情報である。個人情報は、例えば、顔画像や指紋情報、声紋情報等の生体情報であるが、これに限らず、タトゥー等のソフトバイオメトリック情報、所持品、氏名(アカウント名や識別ID等)、年齢・性別等の属性情報を含んでもよい。個人情報は、監視システム200(フィジカル空間における監視や捜査)で人物を識別するために使用する情報であることが好ましいが、その他の情報を含んでもよい。
【0032】
位置情報抽出部105は、抽出した対象アカウントに関連するアカウント情報に基づいて、対象ユーザの位置情報を抽出する。抽出する位置情報は、アカウント情報から抽出される居住地(居住エリア)などの活動拠点、投稿情報を投稿した投稿場所、投稿情報から抽出可能な情報(GPS(Global Positioning System)情報、地名、画像中のランドマーク等)、それらから推定される対象ユーザの活動エリア(行動範囲)を含む。なお、抽出する位置情報は、対象ユーザの現在位置や日常の活動エリアに限らず、投稿文で言及されている場所(犯行予告の場所)でも良い。投稿文で言及されている場所は、例えば、投稿文の自然言語処理によって抽出される。この例では、位置情報抽出部105は、画像位置特定部110及び活動エリア推定部120を含む。画像位置特定部110は、投稿画像の写り込み等から対象ユーザの訪問場所(投稿場所)を特定する。活動エリア推定部120は、対象アカウント及び関連アカウント(友人アカウント含む)の情報から特定される場所に基づいて、対象ユーザの活動エリアを推定する。
【0033】
監視システム選択部106は、抽出した対象ユーザの位置情報に基づいて、複数の監視システム200の中から、適切な監視システム200を選択する。監視システム選択部106は、記憶部108に記憶された監視システムリストを参照し、対象ユーザの活動エリア(位置情報)を監視する監視システム200を選択する。監視システム選択部106は、監視エリアに対象ユーザの活動エリアを含む(監視エリアと活動エリアの一部または全部が重なる)監視システム200を選択する。活動エリアから所定の範囲の場所(活動エリアの周辺)を監視エリアとする監視システム200を選択してもよい。また、該当する監視システム200が複数存在する場合、複数の監視システム200を選択してもよい。個人情報出力部107は、選択された監視システム200へ、抽出した対象ユーザの個人情報を出力する。
【0034】
監視システム200は、公共の施設などに設置され、監視エリアにおける人物を監視するシステムである。例えば、複数の監視システム200は、それぞれ異なる場所(エリア)を監視するが、各監視エリアの一部分は重複していてもよい。図4に示すように、監視システム200は、監視デバイス201、監視人物情報抽出部202、監視人物情報照合部203、照合結果出力部204、ウォッチリスト記憶部205、ウォッチリスト作成部206を備えている。
【0035】
監視デバイス201は、監視エリアの監視人物の情報を検知する検知装置である。例えば、監視デバイス201は、生体情報を識別する生体情報センサや監視カメラ等である。監視デバイス201は、公共施設の出入り口や通路に設置された監視カメラやマイク等でもよいし、入退場ゲートに設置された指紋センサ等でもよい。
【0036】
監視人物情報抽出部202は、監視デバイス201が検知した情報から、監視人物の個人情報を抽出する。監視人物情報抽出部202は、例えば、監視デバイス201がカメラの場合、カメラが撮像した画像から人物の顔画像や指紋を抽出し、監視デバイス201が指紋センサの場合、指紋センサから人物の指紋情報を取得し、監視デバイス201がマイクの場合、マイクが収音した音声から人物の声紋情報を抽出する。その他、ソフトバイオメトリック情報、所持品、氏名、属性情報等については、例えば、カメラの画像を解析することで抽出してもよい。
【0037】
ウォッチリスト記憶部205は、監視対象のリストであるウォッチリストを記憶するデータベースである。例えば、ウォッチリストは、顔画像を記憶する顔データベースや指紋情報を記憶する指紋データベース、声紋情報を記憶する声紋データベース等である。ウォッチリスト作成部(登録部)206は、監視支援装置100から出力された個人情報をウォッチリストに登録する。すなわち、ウォッチリスト作成部206は、対象ユーザの顔画像や指紋情報、声紋情報等の生体情報やソフトバイオメトリック情報、所持品、氏名、属性情報をウォッチリストに登録する。なお、対象ユーザの個人情報(新たな個人情報)を登録する際、既存のウォッチリストに追加してもよいし、別のウォッチリスト(手配犯リストとは違う、要注意リスト等)へ登録してもよい。
【0038】
監視人物情報照合部203は、監視デバイス201から抽出した監視人物の個人情報とウォッチリスト記憶部205に記憶されたウォッチリストの個人情報とを比較し照合する。照合結果出力部204は、監視人物の個人情報とウォッチリストの個人情報の照合結果を監視員へ出力する。照合結果出力部204は、監視人物の個人情報とウォッチリストの個人情報が一致した場合、アラートを表示や音により出力する。個人情報の一致は、例えば、各情報から抽出される特徴の類似度が所定の閾値よりも大きいか否かにより判定してもよい。また、対象ユーザの個人情報を別のウォッチリストに登録した場合、別のウォッチリストの照合結果について、既存のアラートとは別のアラートを出力してもよい。個人情報が複数の情報(生体情報、ソフトバイオメトリック情報、所持品、氏名、属性情報等)を含む場合、各情報の一致度(類似度)や各一致度を合計したスコアを出力してもよい。また、個人情報に含まれる情報のうち、監視デバイス201が検出できない情報については、参考情報として表示等してもよい。
【0039】
図5は、本実施の形態に係る監視支援装置の動作(監視支援方法)の一例を示している。図5に示すように、まず、監視支援装置100は、ソーシャルメディアシステム300からソーシャルメディア情報を取得する(S101)。ソーシャルメディア情報取得部101は、ソーシャルメディアシステム300のサーバやデータベースにアクセスし、公開されており取得可能な全てのアカウントのソーシャルメディア情報を取得する。例えば、ソーシャルメディアサービスのAPI(取得ツール)により可能な範囲でソーシャルメディア情報を取得する。
【0040】
次に、監視支援装置100は、監視対象とする対象アカウントを特定する(S102)。アカウント特定部102は、対象アカウントに関する情報の入力を受け付け、入力された情報に基づいて対象アカウントを特定してもよい。例えば、システムの利用者は、インターネット上の情報に基づいて犯罪に関わる可能性が高い対象者リストを用意し、対象者リストの中の対象アカウントの情報を入力してもよい。対象アカウントのアカウントID(識別情報)を入力することでアカウントを特定してもよいし、入力された名前等からソーシャルメディア情報を検索しアカウントを特定してもよい。また、アカウント特定部102は、犯罪予告等の犯罪に関連する所定のキーワードから対象アカウントを特定してもよい。例えば、所定のキーワードのリストを入力、もしくは記憶部108に登録しておき、キーワードからソーシャルメディア情報を検索し、対象アカウントを特定してもよい。
【0041】
次に、監視支援装置100は、対象アカウントの別アカウントを特定する(S103)。例えば、アカウント特定部102は、対象アカウントに関連する関連アカウントを特定する。アカウント特定部102は、ユーザ間のつながりを表すデータであるソーシャルグラフを用いて、各アカウントに関連する関連アカウントを特定し、特定した関連アカウントのアカウント情報を取得してもよい。例えば、対象アカウントの友人、フォロー、フォロワー等の交友関係を有するアカウントや、対象アカウントの投稿情報を引用した投稿情報を有しているアカウント、対象アカウントの投稿情報に「いいね」等を付与した履歴を有するアカウント、対象アカウントのプロフィールおよび投稿情報を含むアカウント情報を閲覧した履歴を有するアカウントを関連アカウントとしてもよい。ここでは、特に、対象アカウントと同じユーザが保有する別アカウントを特定する。アカウント特定部102は、対象アカウントの情報をもとに、ソーシャルメディア情報から対象アカウントにつながりのある関連アカウントの情報を検索し、同じユーザが保有している可能性の高いアカウントを抽出する。例えば、アカウント特定部102は、対象アカウントのアカウント情報と抽出した関連アカウントのアカウント情報との類似度(類似スコア)を算出し、算出された類似度に基づいて、対象アカウントと同一ユーザのアカウント情報を判別してもよい。
【0042】
次に、監視支援装置100は、特定したアカウントのアカウント情報を集約する(S104)。アカウント情報抽出部103は、取得したソーシャルメディア情報の中から、特定した対象アカウントのアカウント情報と別アカウントのアカウント情報とを抽出し、抽出した情報を集約する。アカウント情報抽出部103は、例えばアカウントのアカウントIDが特定されている場合、アカウントIDに関連付けられたアカウントのプロフィール情報及び投稿情報を抽出し集約する。なお、別アカウントに限らず、必要に応じてその他の関連アカウントのアカウント情報を抽出してもよい。
【0043】
S104に続いて、監視支援装置100は、集約したアカウント情報に基づいて、対象ユーザの個人情報を抽出する(S105)。個人情報抽出部104は、抽出及び集約した対象アカウント及び別アカウントのアカウント情報に基づいて、対象ユーザの個人情報を抽出する。例えば、アカウント情報内のプロフィール情報には、アカウント(ユーザ)のプロフィールを示すテキストやアカウントの画像が含まれており、個人情報抽出部104は、これらをテキスト分析や画像解析することで、対象ユーザの顔画像や、氏名、年齢・性別等の属性情報を抽出する。また、投稿情報には、アカウント(ユーザ)がタイムラインなどに投稿したテキストや画像、動画、音声が含まれており、個人情報抽出部104は、これらをテキスト分析や画像解析、音声解析することで、上記の情報のほか、対象ユーザの指紋や声紋、その他のソフトバイオメトリック情報、所持品等を抽出する。
【0044】
また、S104に続いて、S106及びS107において、監視支援装置100は、集約したアカウント情報に基づいて、対象ユーザの位置情報を抽出する。例えば、位置情報抽出部105は、抽出及び集約したアカウント情報に含まれるプロフィール情報の居住地、出身地等から位置情報を取得してもよい。また、位置情報抽出部105は、アカウント情報に含まれる投稿情報のうち、位置を特定出来る単語から位置情報を取得してもよい。さらに、位置情報抽出部105は、アカウント情報に含まれる投稿情報にGEOタグと称される投稿者の現在の位置が特定出来る情報が付与されている場合、GEOタグから位置情報を取得してもよい。また、位置情報抽出部105は、ジオロケーションを用いて位置情報を取得してもよい。さらに、位置情報抽出部105は、投稿情報およびジオロケーションのいずれかを用いる場合、取得した位置情報のうち、取得回数が最も多い位置情報を用いてもよい。
【0045】
ここでは、画像位置特定処理(S106)と活動エリア推定処理(S107)により、対象ユーザの位置情報を抽出する。画像位置特定処理(S106)では、画像位置特定部110は、集約したアカウント情報に含まれる投稿画像や動画(取得画像)の写り込みから訪問場所(投稿場所)を特定する。写り込みは、例えば、画像に写り込んでいる建物、標識、道路等の場所に関連する物体である。画像位置特定部110は、位置情報が関連付けられた位置情報付き画像データベース(位置画像)を参照し、投稿画像と位置情報付き画像データベースの各位置画像とを照合する。位置情報付き画像データベースは、記憶部108に記憶されていてもよいし、外部のデータベースでもよい。例えば、画像解析により投稿画像に写り込んでいる物体を抽出し、写り込んでいる物体と位置情報付き画像データベースの各位置画像とを照合してもよい。画像位置特定部110は、この照合結果に基づいて、一致した位置画像に関連付けられた位置情報から、投稿画像の撮影場所を特定する。
【0046】
なお、位置情報付き画像データベースの画像量が膨大となる場合がある。このため、位置情報付き画像データベースの検索範囲をアカウント情報等に基づいて絞り込んでもよい。すなわち、位置情報付き画像データベースの位置画像のうち、対象アカウントに関連する位置画像と、投稿画像(取得画像)とを照合してもよい。例えば、位置情報付き画像データベースの位置画像のうち、対象アカウントのプロフィール等に記載の居住エリア(例:東京都、神奈川県川崎市)などの活動拠点情報に対応する位置画像や、対象アカウントと繋がりのある関連アカウント(友人アカウント)のプロフィールに記載の居住エリアなどの活動拠点情報に対応する位置画像を照合対象としてもよい。これにより、照合精度や検索速度を向上することができる。
【0047】
また、活動エリア推定処理(S107)では、活動エリア推定部120は、集約したアカウント情報(友人アカウント含む)から抽出される種々の位置情報から対象ユーザの活動エリアを推定する。活動エリア推定部120は、画像位置特定処理により抽出された位置情報を含む複数の位置情報から活動エリアを推定する。例えば、活動エリア推定部120は、対象アカウント(別アカウント含む)及び友人アカウント(関連アカウント)のアカウント情報から、対象ユーザの居住地等の活動拠点や訪問場所を抽出し、友人アカウントのアカウント情報から、友人ユーザの居住地等の活動拠点や訪問場所を抽出し、これらの場所を含むエリアを活動エリアとする。
【0048】
なお、S106、S107の順に各処理を行ってもよいし、S107、S106の順に各処理を行ってもよい。すなわち、位置情報抽出部105は、集約したアカウント情報の投稿画像の写り込みから対象ユーザの訪問場所を特定し(S106)、友人アカウントを含む種々の位置情報(S106で特定した位置を含む)から対象ユーザの活動エリアを推定し(S107)、対象ユーザの活動エリア(位置情報)を抽出してもよい。また、位置情報抽出部105は、集約したアカウント情報(友人アカウント含む)の種々の位置情報から対象ユーザの活動エリアを推定し(S107)、推定した活動エリアの範囲内で、投稿画像の写り込みから対象ユーザの訪問場所を特定し(S106)、対象ユーザの活動エリアを抽出してもよい。
【0049】
次に、監視支援装置100は、S106及びS107で抽出した対象ユーザの位置情報に基づいて、監視システム200を選択する(S108)。監視システム選択部106は、記憶部108に記憶された監視システムリストを参照し、対象ユーザの活動エリア(活動エリア周辺)を監視エリアに含む監視システムを選択する。
【0050】
監視システム選択部106は、対象ユーザの位置情報の周辺にある鉄道や空港等の公共施設の監視システム200を選定しても良い。監視システム選択部106は、例えば、場所や施設の混雑度(人や車両)を算出し、算出した混雑度に基づいて、監視システム200を選択してもよい。例えば、混雑度は、人の数や車両の数等を用いて算出される。監視システム選択部106は、対象ユーザの位置情報の周辺の場所、施設の内、現在または普段混雑している、或いは今後混雑すると予想される場所、施設を選定してもよい。これにより、ソフトターゲットになり得る場所を監視することができる。また、監視システム選択部106は、対象ユーザの位置情報に基づき、対象ユーザの移動経路となり得る、鉄道やバス等の公共交通機関の監視システム200を選定してもよい。
【0051】
また、監視システム選択部106は、対象ユーザの位置情報の候補が複数ある場合、複数の位置情報の周辺の複数の監視システム200を選択してもよい。監視システム選択部106は、例えば、対象ユーザが所在する可能性を示すスコアを対象ユーザの位置情報の候補にスコアを設定し、設定したスコアに基づいて、監視システム200を選択してもよい。スコアは、例えば、対象アカウントや友人アカウントの訪問回数や訪問頻度、場所間の距離、友人関係の重み等に基づいて設定される。監視システム選択部106は、設定したスコアが上位N候補のみの位置情報の周辺の監視システム200を選択しても良い。
【0052】
S105及びS108に続いて、監視支援装置100は、対象ユーザの個人情報を出力する(S109)。個人情報出力部107は、S108で選択された監視システム200へ、S105で抽出した対象ユーザの個人情報を出力する。これにより、対象ユーザの活動エリア周辺に配備された監視システム200のウォッチリストに、抽出した対象ユーザの個人情報が登録される。なお、個人情報出力部107は、全ての監視システム200へ対象ユーザの個人情報と位置情報を出力してもよい。この場合、監視システム200において、受信した対象ユーザの位置情報と自システムの監視エリアを比較し、一致する場合、受信した対象ユーザの個人情報をウォッチエリアに登録する。
【0053】
以上のように、本実施の形態では、監視支援装置において、対象アカウントに関連するアカウント情報から、対象ユーザの個人情報と位置情報を抽出し、抽出した位置情報の周辺に配備された監視システムのウォッチリストに、抽出した個人情報を登録する。これにより、サイバー空間を活用した犯罪に関わる対象人物の位置情報を特定し、対象人物が所在する可能性の高い場所を監視することができる。このため、効率よく対象人物を監視することが可能となり、フィジカル空間での犯罪実行前に対象人物を効果的に検知することができる。
【0054】
一般に、人物の位置情報の取得は困難であり、特に、法執行機関では、サイバー空間を活用した犯罪に関わる人物の所在の特定が難航している。本実施の形態では、対象ユーザの別アカウントを特定するアカウント照合技術と、投稿画像の写り込み等から対象ユーザの訪問場所を特定する画像位置特定技術と、友人ユーザの情報も活用して対象ユーザの活動範囲を推定する活動エリア推定技術とを用いることで、対象ユーザの位置情報を確実に取得することが可能となる。
【0055】
(実施の形態2)
次に、図面を参照して実施の形態2について説明する。本実施の形態では、実施の形態1における別アカウント特定処理(図5のS103)の一例について説明する。なお、監視支援装置100の構成やその他の処理は、実施の形態1と同様である。
【0056】
図6は、本実施の形態に係る別アカウント特定処理の例を示している。ここでは、2つの判定対象のアカウント(判定アカウントと言う)が、同じユーザが保有するアカウントか否か判定する例について説明する。すなわち、最終的に同じユーザが保有するアカウントであると判定された2つのアカウントが、実施の形態1で特定される対象アカウントと別アカウントに相当する。なお、以下の処理は、主に監視支援装置100のアカウント特定部102により実行されるが、必要に応じて他の各部により実行されてもよい。この例では、アカウント特定部102は、関連アカウントのアカウント情報から取得される位置情報に基づいて、別アカウントを特定し、特に、取得された位置情報を位置の粒度レベルに応じて階層化した階層化位置情報を特定し、特定した階層化位置情報に基づいて別アカウントを特定する。
【0057】
図6に示すように、まず、アカウント特定部102は、2つの判定アカウントに関連する関連アカウントの情報を取得する(S201)。アカウント特定部102は、収集したソーシャルメディア情報の中から2つの判定アカウントを特定し、2つの判定アカウントに関連する関連アカウントのアカウント情報を取得する。アカウント特定部102は、実施の形態1と同様に、各判定アカウントとつながりのある関連アカウントを特定し、特定した関連アカウントのアカウント情報を取得してもよい。
【0058】
次に、アカウント特定部102は、各関連アカウントに対応付けられた位置情報を取得する(S202)。実施の形態1の位置情報抽出部105と同様に、関連アカウントの位置情報を取得してもよい。例えば、アカウント特定部102は、関連アカウントのアカウント情報に含まれるプロフィール情報の居住地、出身地等から位置情報を取得してもよいし、関連アカウントのアカウント情報に含まれる投稿情報の画像やテキスト等から位置情報を取得してもよい。
【0059】
次に、アカウント特定部102は、各関連アカウントの位置情報に基づいて、各関連アカウントの階層化位置情報を特定する(S203)。アカウント特定部102は、取得した関連アカウントの位置情報に基づいて、位置の粒度レベルに応じて階層化された位置情報を示す階層化位置情報を特定する。さらに、アカウント特定部102は、判定アカウント毎に、各関連アカウントの階層化位置情報が設定された階層化位置情報テーブルを生成する。
【0060】
粒度レベルは、例えば、国単位、行政区画単位に対応するレベルであってもよい。粒度レベルは、例えば、3つのレベルが定められている場合、最も低いレベルの粒度レベルを国単位のレベルとし、2番目に低いレベルの粒度レベルを都道府県単位とし、3番目に低いレベルの粒度レベルを市区町村単位としてもよい。アカウント特定部102は、取得した位置情報が、どの粒度レベルの位置情報であるかを特定し、取得した位置情報に基づいて、「国」単位の位置情報、「都道府県」単位の位置情報、「市区町村」単位の位置情報を特定する。例えば、SNSが、プロフィール情報に含まれるユーザの居住地や出身地を、「国」、「都道府県」および「市区町村」の情報を登録するフォーマットとして用意している場合、上記フォーマットに従って、「国」、「都道府県」および「市区町村」の粒度レベルの階層化位置情報を特定してもよい。例えば、取得した位置情報が「府中市」である場合、取得した位置情報の階層化位置情報は「市区町村」単位の粒度レベルの位置情報であると特定し、「市区町村」単位よりも粒度レベルが低い「都道府県」単位の階層化位置情報を「東京」と特定し、さらに「国」単位の階層化位置情報を「日本」と特定してもよい。
【0061】
次に、アカウント特定部102は、2つの判定アカウント間の類似度を算出する(S204)。アカウント特定部102は、生成した判定アカウント毎の階層化位置情報テーブルを参照し、階層化位置情報テーブルに設定された階層化位置情報を用いて、判定アカウント間の類似度を算出する。具体的には、アカウント特定部102は、各判定アカウントの階層化位置情報テーブルにおいて、粒度レベル毎に階層化位置情報のデータの数をカウントし、カウントしたデータの数を正規化する。アカウント特定部102は、2つの判定アカウントにおける正規化した値を乗算し、乗算した値を各データの評価値とする。アカウント特定部102は、2つの判定アカウントに共通する全てのデータの評価値の総和を、当該2つの判定アカウント間の粒度レベル毎の類似度として算出する。さらに、アカウント特定部102は、全ての粒度レベル毎の類似度の総和を、2つの判定アカウント間の類似度として算出する。
【0062】
次に、アカウント特定部102は、2つの判定アカウントが同じユーザのアカウントであるか否か判定する(S205)。アカウント特定部102は、算出した判定アカウント間の類似度に基づいて、2つの判定アカウントが、同一ユーザが保有するアカウントであるか否か判定する。具体的には、アカウント特定部102は、2つの判定アカウント間の類似度が、所定の閾値以上である場合、当該2つのアカウントを保有するユーザが同一であると判定する。なお、アカウント特定部102は、ソーシャルメディア情報に含まれる全てのアカウントについて、関連アカウントの位置情報(階層化位置情報テーブル)の類似度から、同一ユーザが保有するアカウントを特定してもよい。
【0063】
以上のように、本実施の形態では、判定アカウントに関連する関連アカウントのアカウント情報から取得される位置情報に基づいて、同一ユーザが保有する別アカウントを特定する。また、関連アカウントの位置情報に基づいて、位置の粒度レベルに応じて階層化された位置情報を示す階層化位置情報を特定し、特定した階層化位置情報を用いて別アカウントを特定する。さらに、判定アカウントごとに階層化位置情報を特定し、階層化位置情報を用いて判定アカウント間の類似度を算出し、算出された類似度に基づいて、別アカウントを特定する。これにより、判定アカウントの情報に虚偽の内容が含まれている場合や実際の情報と異なる情報が登録されている場合であっても、同一ユーザが保有するアカウントを精度良く特定することが出来る。したがって、ユーザが登録している情報に依らずに、ユーザが同一であるアカウントを精度良く特定することが可能となる。
【0064】
(実施の形態3)
次に、図面を参照して実施の形態3について説明する。本実施の形態では、実施の形態1における別アカウント特定処理(図5のS103)の他の例について説明する。なお、監視支援装置100の構成やその他の処理は、実施の形態1と同様である。
【0065】
図7は、本実施の形態に係る別アカウント特定処理の例を示している。ここでは、2つの判定対象のアカウント(判定アカウントと言う)が同じユーザが保有するアカウントか否か判定する例について説明する。すなわち、最終的に同じユーザが保有するアカウントであると判定された2つのアカウントが、実施の形態1で特定される対象アカウントと別アカウントに相当する。なお、以下の処理は、主に監視支援装置100のアカウント特定部102により実行されるが、必要に応じて他の各部により実行されてもよい。この例では、アカウント特定部102は、関連アカウントのアカウント情報から取得されるコンテンツデータに基づいて、別アカウントを特定する。
【0066】
図7に示すように、まず、アカウント特定部102は、第1の判定アカウントに関連する関連アカウントのコンテンツを取得する(S301)。アカウント特定部102は、収集したソーシャルメディア情報の中から第1の判定アカウントを特定し、第1の判定アカウントに関連する関連アカウントのアカウント情報を取得する。アカウント特定部102は、実施の形態1と同様に、第1の判定アカウントとつながりのある関連アカウントを特定し、特定した関連アカウントのアカウント情報を取得してもよい。さらに、アカウント特定部102は、取得した関連アカウントのアカウント情報から、関連アカウントに関連付けられているコンテンツを抽出する。例えば、コンテンツは、関連アカウントに関連付けてアップロードされた画像データなどであり、アカウント情報の投稿情報からコンテンツを取得する。
【0067】
次に、アカウント特定部102は、第2の判定アカウントに関連する関連アカウントのコンテンツを取得する(S302)。アカウント特定部102は、S301と同様に、第2の判定アカウントを特定し、第2の判定アカウントに関連する関連アカウントのアカウント情報を取得し、取得したアカウント情報から関連アカウントに関連付けられているコンテンツを抽出する。
【0068】
次に、アカウント特定部102は、第1の判定アカウントと第2の判定アカウントが同じユーザのアカウントか否か判定する(S303)。具体的には、アカウント特定部102は、取得した第1の判定アカウントに関連する関連アカウントのコンテンツと第2の判定アカウントに関連する関連アカウントのコンテンツが類似しているか否か判定し、類似している場合、2つの判定アカウントは同じユーザが保有するアカウントであると判定する。例えば、類似度が所定の閾値よりも高い場合、同じユーザが保有するアカウントであると判定してもよい。
【0069】
アカウント特定部102は、取得した全てのコンテンツの類似度を判定してもよいし、画像データのように、所定の種類のコンテンツのみを判定してもよい。アカウント特定部102は、例えば、画像データから検出されるオブジェクトの類似度を求めてもよい。判定するオブジェクトは、任意の種類のオブジェクトであってもよいし、特定の種類のオブジェクトであってもよい。特定の種類のオブジェクトを判定する場合、例えば画像データに含まれるオブジェクトのうち、人物のみの類似度を求めてもよい。
【0070】
また、アカウント特定部102は、コンテンツに含まれる画像データのトピックの類似度を求めてもよい。トピックとは、そのデータによって表現されている主たる物事や事象であり、例えば、仕事、食事、スポーツ、旅行、ゲーム、又は政治等である。さらに、アカウント特定部102は、コンテンツに含まれるテキストデータからキーワードを抽出し、テキストデータの類似度を求めてもよい。また、アカウント特定部102は、コンテンツに含まれる音声単体のデータや動画に含まれる音声のデータなどの音声データからキーワードや声紋を抽出し、音声データの類似度を求めてもよい。なお、アカウント特定部102は、ソーシャルメディア情報に含まれる全てのアカウントについて、関連アカウントのコンテンツの類似度から、同一ユーザが保有するアカウントを特定してもよい。
【0071】
以上のように、本実施の形態では、判定アカウントに関連する関連アカウントのアカウント情報から取得されるコンテンツデータに基づいて、同一ユーザが保有する別アカウントを特定する。また、判定アカウントごとに、判定アカウントに関連付けられているコンテンツデータを取得し、取得したコンテンツデータが類似しているか否か(類似度)に応じて、別アカウントを特定する。同じユーザが保有するアカウントでは、ユーザが類似する情報を公開している蓋然性が高いため、ユーザが同一であるアカウントを精度良く特定することができる。
【0072】
(実施の形態4)
次に、図面を参照して実施の形態4について説明する。本実施の形態では、実施の形態1~3におけるアカウント情報集約処理(図5のS104)の一例について説明する。なお、監視支援装置100の構成やその他の処理は、実施の形態1~3と同様である。
【0073】
図8は、本実施の形態に係るアカウント情報集約処理の例を示している。ここでは、判定対象のアカウント(判定アカウントと言う)の信頼度を算出し、集約するアカウントを判定する例について説明する。例えば、実施の形態1において、対象アカウントの信頼性よりも、特定した別アカウントの信頼性が高い場合、別アカウントのみの情報を集約してもよい。すなわち、対象アカウントと別アカウントを含む判定アカウントのうち、最終的に信頼度が高いアカウントであると判定されたアカウントのアカウント情報を集約してもよい。なお、以下の処理は、主に監視支援装置100のアカウント情報抽出部103により実行されるが、必要に応じて他の各部により実行されてもよい。アカウント情報抽出部103は、対象アカウントおよび関連アカウント(別アカウント)の信頼度を算出する信頼度算出部であるとも言える。例えば、個人情報抽出部104および位置情報抽出部105は、対象アカウントおよび関連アカウントのうちいずれかのアカウントのアカウント情報に基づいて、個人情報および位置情報を抽出し、特に、対象アカウントおよび関連アカウントのうち信頼度が高いアカウントのアカウント情報に基づいて、個人情報および位置情報を抽出する。この例では、信頼度は、対象アカウント及び関連アカウントのアカウント情報から取得される人物属性情報に基づいている。
【0074】
図8に示すように、まず、アカウント情報抽出部103は、判定アカウントの人物属性情報を取得する(S401)。アカウント情報抽出部103は、実施の形態1と同様に、収集したソーシャルメディア情報の中から判定アカウントのアカウント情報を取得してもよい。さらに、アカウント情報抽出部103は、取得した判定アカウントのアカウント情報から、プロフィール情報に含まれる人物属性情報を抽出する。
【0075】
次に、アカウント情報抽出部103は、関連アカウントの人物属性情報を取得する(S402)。アカウント情報抽出部103は、実施の形態1と同様に、収集したソーシャルメディア情報の中から判定アカウントに関連する関連アカウントのアカウント情報を取得してもよい。さらに、アカウント情報抽出部103は、取得した関連アカウントのアカウント情報から、プロフィール情報に含まれる人物属性情報を抽出する。例えば、関連アカウントは、判定アカウントの友人アカウントリストに含まれる友人アカウントでもよい。
【0076】
次に、アカウント情報抽出部103は、判定アカウントのユーザ(判定ユーザ)の人物属性を推定する(S403)。アカウント情報抽出部103は、取得した関連アカウント(友人アカウント)の人物属性情報に基づいて,判定アカウントを保有する判定ユーザの人物属性を推定する。例えば、関連アカウントの人物属性情報に居住地が含まれる場合、居住地からの物理的距離に基づき、判定ユーザの居住地を推定する。
【0077】
次に、アカウント情報抽出部103は、S401で取得した判定アカウントの人物属性情報と、S403で推定した判定ユーザの人物属性との距離を算出する(S404)。例えば、アカウント情報抽出部103は、取得された人物属性情報と推定された人物属性のうち、同じカテゴリの情報で距離を算出する。具体的には、アカウント情報抽出部103は、判定アカウントのプロフィールに含まれる居住地と、関連アカウントから推定された判定ユーザの居住地との物理的距離を算出してもよい。
【0078】
また、距離を算出するカテゴリは、年齢、性別、所得、学歴(例えば、偏差値や分野間距離)、職業(例えば、ブルーカラーまたはホワイトカラー、業種間距離)、家族構成等のデモグラフィック(人工統計学的)属性の差の少なくとも1つであってもよい。分野間/業種間距離(例えば、異なる分野/業種への転科/転職率(遷移確率))に基づく方法で算出されてもよい。また、距離を算出するカテゴリは、趣味嗜好(例えば、インドア/アウトドア)、購買傾向等のサイコグラフィック(心理学的)属性の差の少なくとも1つであってもよい。
【0079】
次に、アカウント情報抽出部103は、算出された距離に基づいて、判定アカウントの信頼度を算出する(S405)。信頼度は、距離で求められた数値指標であってもよい。
【0080】
次に、アカウント情報抽出部103は、算出された信頼度に基づいて、集約するアカウントを判定する(S406)。アカウント情報抽出部103は、判定アカウントの信頼度が所定の閾値より大きい場合、当該判定アカウントは、集約するアカウントであると判定する。例えば、2つの判定アカウント(対象アカウントと別アカウント)の信頼度を算出し、信頼度が高い方のアカウントのみを集約するアカウントであると判定してもよい。
【0081】
以上のように、本実施の形態では、判定アカウントごとに、判定アカウントのアカウント情報から取得される人物属性情報に基づいて、判定アカウントの信頼度を算出する。また、判定アカウントに関連する関連アカウントの人物属性情報に基づいて、判定アカウントの信頼度を算出する。さらに、関連アカウントの人物属性情報に基づいて判定アカウントの人物属性を推定し、取得される判定アカウントの人物属性情報と推定される判定アカウントの人物属性との距離に基づいて、判定アカウントの信頼度を算出する。これにより、判定アカウントの信頼性(フェイク・アカウントか否かなど)を判定できるため、信頼性の高いアカウントの情報のみを集約することができる。なお、本実施の形態で算出した信頼度を用いて、同じユーザが保有する別アカウントを特定してもよい。
【0082】
(実施の形態5)
次に、図面を参照して実施の形態5について説明する。本実施の形態では、実施の形態1~4における画像位置特定部(図3の画像位置特定部110)及び画像位置特定処理(図5のS106)の一例について説明する。なお、監視支援装置100のその他の構成やその他の処理は、実施の形態1~4と同様である。
【0083】
図9は、本実施の形態に係る監視支援装置100の画像位置特定部110の構成例を示している。図9に示すように、画像位置特定部110は、検索部111、識別器(discriminator)112、位置データベース113を備えている。例えば、位置データベース113は、監視支援装置100の記憶部108に含まれてもよい。
【0084】
画像位置特定部110には、地上視画像が入力される。地上視画像は、歩行者や車などの地上のカメラから、ある場所(位置)を地上視で撮影した画像である。地上画像は、360度の視野を持つパノラマ画像でもよいし、360度未満の所定の視野の画像でもよい。例えば、入力される地上視画像は、実施の形態1における対象アカウントのアカウント情報に含まれる投稿画像である。
【0085】
位置データベース113は、位置情報付き画像データベースであり、位置情報が関連付けられた複数の俯瞰画像(位置画像)を記憶する。例えば、位置情報は、俯瞰画像を撮影した位置のGPS座標等である。俯瞰画像は、ドローンや飛行機、衛星などの上空のカメラから、ある場所を俯瞰視(平面視)で撮影した画像である。
【0086】
検索部111は、位置情報を特定するための地上視画像を取得する。検索部111は、取得した地上視画像と一致する俯瞰画像を位置データベース113から検索し、地上視画像が撮影された位置を決定する。具体的には、地上視画像と一致する俯瞰画像が検出されるまで、位置データベース113から俯瞰画像を順次取得する処理を繰り返す。この例では、地上視画像と俯瞰画像を識別器112に入力し、識別器112の出力が地上視画像と俯瞰画像の一致を示すか否かを判定することで、地上視画像が撮影された位置を含む俯瞰画像を探し出す。検索部111は、検出された俯瞰画像に関連付けられた位置情報により、地上視画像(投稿画像などの取得画像)が撮影された位置を特定する。
【0087】
識別器112は、地上視画像と俯瞰画像とを取得し、取得した地上視画像と俯瞰画像とが一致するか否かを識別する。なお、「地上視画像と俯瞰画像が一致する」とは、地上視画像を撮影した位置が俯瞰画像に含まれることである。識別器112による識別は、種々の方法で実現することができる。例えば、識別器112は、地上視画像の特徴と俯瞰画像の特徴とを抽出し、地上視画像の特徴と俯瞰画像の特徴との類似度を算出する。識別器112は、算出された類似度が高い場合(例えば、所定のしきい値以上の場合)、地上視画像と俯瞰画像とが一致すると判定し、一方、算出された類似度が低い場合(例えば、所定のしきい値未満の場合)、地上視画像と俯瞰画像とが一致しないと判定する。例えば、識別器112は、地上視画像と複数の俯瞰画像との関係を予め機械学習(トレーニング)することにより生成されている。
【0088】
図10は、本実施の形態に係る識別器112の構成例を示している。図10は、識別器112を複数のニューラルネットワークによって実装した例である。図10に示すように、識別器112は、抽出ネットワーク114、抽出ネットワーク115、判定ネットワーク116を備えている。
【0089】
抽出ネットワーク(第1の抽出部)114は、地上視画像を取得し、取得した地上視画像の特徴マップを生成し(地上視画像の特徴を抽出し)、生成した特徴マップを出力するニューラルネットワークである。抽出ネットワーク(第2の抽出部)115は、俯瞰画像を取得し、取得した俯瞰画像の特徴マップを生成し(俯瞰画像の特徴を抽出し)、生成した特徴マップを出力するニューラルネットワークである。判定ネットワーク(判定部)116は、生成された地上視画像の特徴マップと生成された俯瞰画像の特徴マップを解析して、地上視画像と俯瞰画像とが一致するか否かを出力するニューラルネットワークである。
【0090】
図11は、本実施の形態に係る識別器112のトレーニング処理(学習方法)を示している。このトレーニング処理は、監視支援装置100で行われてもよいし、その他のトレーニング装置(不図示)で行われてもよい。ここでは、トレーニング装置で行うものとして説明する。
【0091】
まず、トレーニング装置は、トレーニングデータセットを取得する(S501)。トレーニング装置は、予め用意された、位置情報に関連付けられた地上視画像及び俯瞰画像を含むトレーニングデータセットを取得する。トレーニングデータセットは、地上視画像、俯瞰画像のポジティブ例、俯瞰画像の第1レベルのネガティブ例、俯瞰画像の第2レベルのネガティブ例を含む。なお、ポジティブ例とは、対応する地上視画像と一致する(画像間の距離が所定の閾値以下の)俯瞰画像である。ネガティブ例とは、対応する地上視画像と一致しない(画像間の距離が所定の閾値よりも大きい)俯瞰画像である。
【0092】
第1レベルのネガティブ例の地上視画像に対する類似度と、第2レベルのネガティブ例の地平視画像に対する類似度とが異なる。例えば、各俯瞰画像は、その俯瞰画像に含まれる風景の種類を示す情報が関連付けられている。第1レベルのネガティブ例は、対応する地上視画像に含まれる風景とは異なる種類の風景を含み、第2レベルのネガティブ例は、対応する地上視画像に含まれる風景と同じ種類の風景を含む。これは、第1レベルのネガティブ例の対応する地上視画像に対する類似度が、第2レベルのネガティブ例の対応する地上視画像に対する類似度よりも低いことを意味する。
【0093】
次に、トレーニング装置は、識別器112の第1段階のトレーニングを実行する(S502)。トレーニング装置は、地上視画像及びポジティブ例を識別器112に入力し、識別器112の出力を用いて、識別器112のパラメータを更新する。また、地上視画像と第1レベルのネガティブ例を識別器112に入力し、識別器112の出力を用いて、識別器112のパラメータを更新する。まず、第1段階のトレーニングでは、地上視画像、ポジティブ例、ポジティブ例の損失関数(ポジティブ損失関数)を用いて、ニューラルネットワークのセットをトレーニングする。ポジティブ損失関数は、識別器112をトレーニングして、地上視画像とポジティブ例との類似度をより大きく出力するように設計される。
【0094】
図10の識別器112において、地上視画像とポジティブ例をそれぞれ抽出ネットワーク114と抽出ネットワーク115に入力する。そして、ニューラルネットワークのセットからの出力をポジティブ損失関数に入力し、算出した損失に基づいて、識別器112を構成するニューラルネットワークにおけるノード間の各接続に割り当てられたパラメータ(重み)を更新する。さらに、第1段階のトレーニングでは、地上視画像、ネガティブ例、ネガティブ例の損失関数(ネガティブ損失関数)を用いて、ニューラルネットワークのセットをトレーニングする。ネガティブ損失関数は、識別器112をトレーニングして、地上視画像とネガティブ例との類似度をより小さく出力するように設計される。
【0095】
また、図10の識別器112において、地上視画像とネガティブ例をそれぞれ抽出ネットワーク114と抽出ネットワーク115に入力する。そして、ニューラルネットワークのセットからの出力をネガティブ損失関数に入力し、算出した損失に基づいて、識別器112を構成するニューラルネットワークにおけるノード間の各接続に割り当てられたパラメータ(重み)を更新する。
【0096】
次に、トレーニング装置は、識別器112の第2段階のトレーニングを実行する(S503)。第2段階のトレーニングは、第2レベルのネガティブ例を使用すること以外は、第1段階のトレーニングと同様である。すなわち、地上視画像及びポジティブ例を識別器112に入力し、識別器112の出力を用いて、識別器112のパラメータを更新する。また、地上視画像と第2レベルのネガティブ例を識別器112に入力し、識別器112の出力を用いて、識別器112のパラメータを更新する。
【0097】
以上のように、本実施の形態によれば、予め位置情報が関連付けられた俯瞰画像と地上視画像とを用いてトレーニング(学習)し、得られた識別器を用いることで、地上視画像を撮影した場所を特定する。これにより、投稿画像を撮影した場所を確実に特定することができる。
【0098】
(実施の形態6)
次に、図面を参照して実施の形態6について説明する。本実施の形態では、実施の形態1~5における活動エリア推定処理(図5のS107)の一例について説明する。なお、監視支援装置100の構成やその他の処理は、実施の形態1~5と同様である。
【0099】
図12は、本実施の形態に係る活動エリア推定処理の例を示している。ここでは、投稿場所の日常性/非日常性を判定する例について説明する。すなわち、日常性が高いと判定された場所が、実施の形態1における対象ユーザの活動エリアに含まれる場所となる。なお、以下の処理は、主に監視支援装置100の活動エリア推定部120により実行されるが、必要に応じて他の各部により実行されてもよい。この例では、活動エリア推定部120は、対象アカウントや関連アカウントのアカウント情報から特定される場所が対象ユーザの日常的または非日常的な活動場所であるか否かに応じて、対象ユーザの活動エリアを推定する。
【0100】
図12に示すように、まず、活動エリア推定部120は、関連アカウントの居住地情報を取得する(S601)。活動エリア推定部120は、実施の形態1と同様に、収集したソーシャル情報の中から対象アカウントに関連する関連アカウントのアカウント情報を取得してもよい。さらに、活動エリア推定部120は、取得した関連アカウントのアカウント情報から関連アカウントの居住地情報(活動拠点情報)を取得する。例えば、活動エリア推定部120は、関連アカウントのアカウント情報に含まれるプロフィール情報の居住地、出身地等から居住地情報を取得してもよいし、関連アカウント情報に含まれる投稿情報から、居住地を特定できる単語に基づき居住地情報を取得してもよい。
【0101】
居住地情報は、アカウントを保有するユーザの居住地を地理的に特定する情報である。ユーザの居住地とは、ユーザの生活の拠点となる場所であり、例えば都道府県や市町村などの地域のことを意図しているが、どの単位で地域を区切るかは特に限定されない。例えば、東西南北端点の経緯度で特定される地域を、ユーザの居住地としてもよい。また、ユーザの居住地は、地理的に離れた複数の地域を含んでいてもよい。さらに、ユーザの居住地は、関連ユーザの勤務地や通勤経路上の駅などを含んでいてもよい。
【0102】
次に、活動エリア推定部120は、対象ユーザの居住地を推定する(S602)。活動エリア推定部120は、取得した関連アカウントの居住地情報に基づいて、対象アカウントを保有する対象ユーザの居住地(活動拠点)を推定する。活動エリア推定部120は、関連アカウントの複数の居住地情報をそれぞれ対象ユーザの居住地候補とし、居住地候補のそれぞれについて、対象ユーザが当該居住地候補に居住する可能性を表すスコアを算出し、スコアが最大の居住地候補、或いは上位Nスコア(Nは1以上の正の整数)のN個の居住地候補を、対象ユーザの居住地と推定する。例えば、スコアは、友人関係の有無、友人の居住地間の距離等に基づいてもよい。
【0103】
推定する居住地(推定居住地)は、居住地情報から推定された対象ユーザの居住地を地理的に特定する情報である。推定居住地は、関連アカウントの居住地情報から推定されるため、推定元の居住地情報と同様、例えば都道府県や市町村などの地域を表す。また、推定居住地は、例えば東西南北端点の経緯度で特定される地域を表してもよいし、地理的に離れた複数の地域を含んでいてもよいし、勤務地や通勤経路上の駅などを含んでいてもよい。
【0104】
次に、活動エリア推定部120は、対象アカウントのアカウント情報から投稿場所を抽出する(S603)。活動エリア推定部120は、実施の形態1と同様に、対象アカウント(関連アカウントを含んでもよい)のアカウント情報に含まれる投稿情報(取得可能な画像等)を取得し、取得した投稿情報を投稿した投稿場所を抽出する。活動エリア推定部120は、投稿されたコンテンツに撮影場所や今居る場所の経緯度がGEOタグなどの情報によって紐付けられている場合、紐付けられた情報から投稿場所の経緯度を取得してよい。また、活動エリア推定部120は、GEOタグなどの情報が投稿に紐付けされていない場合、投稿文中に含まれる地域特有の言葉やハッシュタグ等を利用して投稿位置を推定してよい。投稿場所は、対象ユーザからソーシャルメディアにコンテンツが投稿された場所を地理的に特定する情報である。投稿場所は、投稿場所の住所であってもよいし、投稿場所の経緯度であってもよい。
【0105】
次に、活動エリア推定部120は、S603で取得した投稿場所とS602で推定した居住地を比較する(S604)。活動エリア推定部120は、取得した対象アカウントのアカウント情報の投稿場所と、推定した対象ユーザの居住地を比較する。比較結果は、例えば、投稿場所が、推定居住地内であるか、あるいは、推定居住地外であるかを示す。
【0106】
次に、活動エリア推定部120は、投稿場所の日常性または非日常性を判定する(S605)。活動エリア推定部120は、取得した投稿場所と推定した居住地の比較結果に基づいて、投稿場所が、対象ユーザの日常的な活動場所であるか、あるいは、非日常的な活動場所であるかを判定する。活動エリア推定部120は、例えば、比較結果が、投稿場所が推定居住地内であることを示す場合、投稿場所が対象ユーザの日常的な活動場所であると判定する。また、活動エリア推定部120は、比較結果が、投稿場所が推定居住地外であることを示す場合、投稿場所が対象ユーザの非日常的な活動場所であると判定する。例えば、投稿場所が対象ユーザの日常的な活動場所であると判定された場合、その投稿場所は対象ユーザの活動エリアと推定される。
【0107】
以上のように、本実施の形態では、アカウント情報から取得される投稿場所が対象ユーザの日常的または非日常的な活動場所であるか否かに応じて、対象ユーザの活動エリアを特定可能とする。本実施の形態によれば、何らかのつながりがある友人同士は地理的に近い場所に居るという知見に基づき、対象アカウントに関連する関連アカウントの居住地情報(活動拠点情報)から対象ユーザの居住地(活動拠点)を推定する。そして、関連アカウントから推定された居住地と、対象アカウントの投稿情報の投稿場所とを比較することにより、投稿場所の日常性/非日常性を判定する。これにより、精度よく対象ユーザの活動エリアを推定することができる。
【0108】
なお、対象ユーザとフィジカル空間において交流がある他のユーザ(オフライン友人)の居住地情報から対象ユーザの居住地を推定してもよい。例えば、居住地を推定する際に、オフライン友人と判定された関連ユーザの居住地候補に重み付けしてスコアを算出してもよい。関連ユーザの中から、関連アカウントが特定の地域に関連したローカルアカウントである関連ユーザを、対象ユーザのオフライン友人として選択してもよい。
【0109】
また、投稿場所の属性を表す場所属性と対象ユーザの属性を表す人物属性との関係に基づいて、投稿場所の日常性/非日常性を判定してもよい。例えば、場所属性は、投稿場所が有名な観光地であるか否か、高級レストランであるか否かなどを表す情報である。例えば、人物属性は、対象ユーザの趣味嗜好、収入、職業などを表す情報である。場所属性と人物属性とに関連性が有る(関連性が高い)場合、投稿場所は日常的な活動場所であると判定される。
【0110】
さらに、対象ユーザの過去の行動履歴および今後のスケジュールと投稿日時との関係に基づいて、対象ユーザの投稿日時のスケジュールが日常的か、非日常的かを判定してもよい。投稿日時のスケジュールと場所属性とに関連性が有れば、投稿日時の対象ユーザのスケジュールが日常的か、非日常的かを、行動の目的や周期性などの観点に基づいて判定する。例えば、投稿日時のスケジュールが、一定期間あるいは一定頻度で実施されている通院である場合、日常的と判定する。また、投稿日時のスケジュールが、一定期間の出張や帰省、或いは毎年参加しているイベントへの参加である場合、日常的と判定する。また、投稿日時のスケジュールが、単発的なイベントへの参加や出張の場合、非日常的と判定する。
【0111】
また、投稿場所と友人アカウントの友人投稿エリアとの関係に基づいて、投稿場所の日常性/非日常性を判定してもよい。友人投稿エリアは、関連アカウントのユーザがソーシャルメディアにコンテンツを投稿した場所に基づいて生成された当該関連ユーザの投稿場所のエリアに関する情報である。友人投稿エリアと投稿場所とを地理的に比較し、投稿場所と推定居住地の比較結果と、友人投稿エリアと投稿場所の比較結果に基づいて、日常・非日常性を判定する。例えば、投稿場所が推定居住地外であることを示す場合、投稿場所が友人投稿エリア内であることを示していれば、投稿場所は対象ユーザの日常的な活動場所内であると判定する。また、投稿場所が推定居住地内であることを示す場合、投稿場所は対象ユーザの日常的な場所であると判定する。
【0112】
(実施の形態7)
次に、図面を参照して実施の形態7について説明する。本実施の形態では、実施の形態1~5における活動エリア推定処理(図5のS107)の他の例について説明する。なお、監視支援装置100の構成やその他の処理は、実施の形態1~5と同様である。
【0113】
図13は、本実施の形態に係る活動エリア推定処理の例を示している。なお、以下の処理は、主に監視支援装置100の活動エリア推定部120により実行されるが、必要に応じて他の各部により実行されてもよい。この例では、活動エリア推定部120は、対象アカウントとフィジカル空間において友人関係にある関連アカウント(オフライン友人)のアカウント情報から特定される場所に基づいて、対象アカウントの活動エリアを推定する。
【0114】
図13に示すように、まず、活動エリア推定部120は、友人アカウントの情報を取得する(S701)。活動エリア推定部120は、実施の形態1と同様に、収集したソーシャル情報の中から対象アカウントに関連する友人アカウント(関連アカウント)のアカウント情報を取得する。
【0115】
次に、活動エリア推定部120は、友人アカウントのユーザ(友人ユーザ)がオフライン友人か否かを判別する(S702)。活動エリア推定部120は、取得した友人アカウントのアカウント情報に基づいて、友人アカウントを保有する各友人ユーザが、対象ユーザとフィジカル社会においても友人であるか、又はフィジカル社会では友人ではないかを判定する。
【0116】
活動エリア推定部120は、オフライン友人の判定結果として、友人ユーザと対象ユーザとの間にフィジカル空間(オフライン)においても友人関係が形成されているか否かを表すオフライン友人度を計算する。例えば、対象ユーザの友人アカウントごとに、オフライン友人の度合いを示すスコアを計算し、スコアが一定のしきい値を超える場合、オフライン友人度を、オフライン友人である旨を示す値(例えば「1」)とし、スコアがしきい値以下の場合、オフライン友人度を、オフライン友人ではない旨を示す値(例えば「0」)としてもよい。
【0117】
また、活動エリア推定部120は、対象ユーザの友人アカウントが特定の地域に関連したローカルアカウントであるか否かを判定してもよい。例えば、ローカルアカウントは、ソーシャルメディアアカウントのうち、ある特定の場所や地域などを対象として運営されているソーシャルメディアのアカウントである。ローカルアカウントの例として、地方紙や地方自治体、個人経営の飲食店などの地域密着型企業が運営するアカウントがある。活動エリア推定部120は、友人アカウントがローカルアカウントであるか否かの判定結果に基づいて、友人ユーザのオフライン友人度を計算してもよい。
【0118】
さらに、活動エリア推定部120は、各友人アカウントが対象とする地域の行政レベルに応じてオフライン友人度を算出してもよい。例えば、対象領域が狭い市区町村の公式アカウントのオフライン友人度は高い値(例えば「1」)とし、都道府県レベルを対象とするアカウントのオフライン友人度を中間程度の値(例えば「0.7」)とし、国レベルを対象とするアカウントのオフライン友人度を小さい値(例えば「0.2」)としてもよい。
【0119】
また、活動エリア推定部120は、友人アカウントがローカルアカウントであるか否かが不明であると判定した場合、その友人アカウントのさらに友人情報を参照し、友人アカウントがローカルアカウントであるか否かを判定してもよい。例えば、友人アカウントのさらに友人のアカウントがローカルアカウントであるか否かに基づいて、対象ユーザの友人アカウントがローカルアカウントであるか否かを判定してもよい。
【0120】
活動エリア推定部120は、オフライン友人度に加えて、オフライン友人度(判定結果)に対する信頼度を計算してもよい。信頼度は、オフライン友人との判定結果に対する信頼性を示す。例えば、信頼度は、どのような情報や手法を用いてオフライン友人の判定を行ったかに応じて決定される。例えば、対象アカウントの友人アカウントの友人情報に基づいて対象ユーザの友人ユーザがオフライン友人であると判定した場合、その判定の信頼性は高いとみなし、友人アカウントの友人の友人情報に基づいて友人アカウントがオフライン友人であると判定した場合、信頼性は低いとみなしてもよい。
【0121】
次に、活動エリア推定部120は、判別した各友人ユーザに付与する重みを決定する(S703)。活動エリア推定部120は、算出したオフライン友人度及びその信頼度に基づいて、友人情報を重視する度合いを示す重みを決定する。活動エリア推定部120は、オフライン友人と判定された友人ユーザについては、友人情報の重みを比較的大きな値とし、オフライン友人ではないと判定された友人ユーザについては、友人情報の重みを比較的小さな値にする。また、重みの決定では信頼度に基づいて、重みの増減を調整してもよい。
【0122】
次に、活動エリア推定部120は、重みが付与された友人ユーザの情報に基づいて、対象ユーザの活動候補位置に対するスコアを算出する(S704)。活動エリア推定部120は、重み付き友人情報に基づいて、各候補位置における対象ユーザの活動可能性を表すスコアを計算する。このスコアは、各候補位置で対象ユーザが活動する可能性を示す。ここで、「候補位置」とは、対象ユーザが活動していると考えられる空間の候補を指す。候補位置は、あらかじめ選定されていてもよいし、友人ユーザの活動位置から候補位置を選定してもよい。
【0123】
活動エリア推定部120は、例えば、各候補位置と各友人ユーザの活動位置との距離を算出し、友人関係の有無と距離の関係を表すスコアを算出する。スコアの算出では、計算した各友人の重みに応じて、友人情報を重視する程度を加減してもよい。例えば、重みの値が大きいほど、その友人情報を重視してスコアを計算する。言い換えると、重みの値が大きいほど、友人情報がスコアの計算に与える影響を大きくする。
【0124】
次に、活動エリア推定部120は、算出したスコアに基づいて活動範囲(活動エリア)を推定する(S705)。活動エリア推定部120は、各候補位置に対するスコアに基づいて候補位置を選択し、対象ユーザに関連する任意の活動範囲を判別する。例えば、スコアが最も高い候補位置を検索してもよい。スコアが最も高い候補位置は、対象ユーザの居住地又は職場など、対象ユーザが拠点とする場所に対応していると考えられる。活動エリア推定部120は、スコアが最も高い候補位置を、ユーザの活動範囲として選択する。この場合、対象ユーザが拠点とする場所を推定することができる。
【0125】
また、活動エリア推定部120は、スコアとしきい値を比較し、スコアがしきい値以上の1つ又は複数の候補位置を、ユーザの活動範囲として選択してもよい。スコアがしきい値以上の候補位置は、対象ユーザの居住地などの拠点、及び日常生活における移動範囲に対応していると考えられる。この場合、対象ユーザが拠点とする場所、及び日常範囲における移動範囲を推定できる。
【0126】
以上のように、本実施の形態では、対象アカウントの対象ユーザと対象アカウントに関連する関連アカウントの関連ユーザ(友人ユーザ)とのフィジカル空間における友人関係の度合いを示すオフライン友人度に基づいて、対象ユーザの活動エリアを特定する。また、友人ユーザのオフライン友人度に基づいて候補位置のスコアを算出し、算出したスコアから対象ユーザの活動エリアを推定する。これにより、精度よく対象ユーザの活動エリアを推定することができる。
【0127】
なお、取得される友人情報のうちアクティブユーザの情報のみを利用して、対象ユーザの活動範囲を推定してもよい。対象ユーザの友人ユーザのそれぞれが、ソーシャルメディアを活用しているアクティブユーザであるか、又は非アクティブユーザであるかを判定する。例えば、友人アカウントの投稿頻度に基づいて、友人ユーザがアクティブユーザであるあるか否かを判定してもよいし、友人アカウントのログインに関する情報を受け、その間隔に基づいて友人ユーザがアクティブユーザか否かを判定してもよい。
【0128】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0129】
上述の実施形態における各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。各装置及び各機能(処理)を、図14に示すような、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ21及び記憶装置であるメモリ22を有するコンピュータ20により実現してもよい。例えば、メモリ22に実施形態における方法(監視支援方法等)を行うためのプログラムを格納し、各機能を、メモリ22に格納されたプログラムをプロセッサ21で実行することにより実現してもよい。
【0130】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0131】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0132】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0133】
(付記1)
サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、前記対象アカウントを保有する対象ユーザを識別可能な個人情報を抽出する個人情報抽出手段と、
前記アカウント情報に基づいて、前記対象ユーザに関連する位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、
前記抽出した個人情報及び前記抽出した位置情報を、フィジカル空間の前記位置情報の周辺における犯罪防止を支援する支援情報として出力する出力手段と、
を備える、支援装置。
(付記2)
前記支援情報は、前記対象ユーザの監視または捜査を支援するための情報である、
付記1に記載の支援装置。
(付記3)
前記アカウント情報は、前記対象アカウントのアカウント情報または前記対象アカウントに関連する関連アカウントのアカウント情報を含む、
付記1または2に記載の支援装置。
(付記4)
前記関連アカウントは、前記サイバー空間において前記対象アカウントとつながりのあるアカウントである、
付記3に記載の支援装置。
(付記5)
前記関連アカウントは、前記対象ユーザが保有する前記対象アカウントとは別の別アカウントを含む、
付記3または4に記載の支援装置。
(付記6)
前記対象アカウントのアカウント情報と前記関連アカウントのアカウント情報に基づいて、前記別アカウントを特定するアカウント特定手段を備える、
付記5に記載の支援装置。
(付記7)
前記アカウント特定手段は、前記関連アカウントのアカウント情報から取得される位置情報に基づいて、前記別アカウントを特定する、
付記6に記載の支援装置。
(付記8)
前記アカウント特定手段は、前記取得された位置情報を位置の粒度レベルに応じて階層化した階層化位置情報を特定し、前記特定した階層化位置情報に基づいて前記別アカウントを特定する、
付記7に記載の支援装置。
(付記9)
前記アカウント特定手段は、前記関連アカウントのアカウント情報から取得されるコンテンツデータに基づいて、前記別アカウントを特定する、
付記6に記載の支援装置。
(付記10)
前記個人情報抽出手段及び前記位置情報抽出手段は、前記対象アカウント及び前記関連アカウントのうちいずれかのアカウント情報に基づいて、前記個人情報及び前記位置情報を抽出する、
付記3乃至9のいずれか一項に記載の支援装置。
(付記11)
前記個人情報抽出手段及び前記位置情報抽出手段は、前記対象アカウント及び前記関連アカウントのうち信頼度が高いアカウントのアカウント情報に基づいて、前記個人情報及び前記位置情報を抽出する、
付記10に記載の支援装置。
(付記12)
前記信頼度は、前記対象アカウント及び前記関連アカウントのアカウント情報から取得される人物属性情報に基づいている、
付記11に記載の支援装置。
(付記13)
前記アカウント情報は、プロフィール情報または投稿情報を含む、
付記1乃至12のいずれか一項に記載の支援装置。
(付記14)
前記個人情報は、前記対象ユーザの生体情報、ソフトバイオメトリック情報、所持品、氏名、および属性情報のいずれかを含む、
付記1乃至13のいずれか一項に記載の支援装置。
(付記15)
前記位置情報抽出手段は、前記アカウント情報から取得される取得画像の写り込みに基づいて、前記位置情報を特定する、
付記1乃至14のいずれか一項に記載の支援装置。
(付記16)
前記位置情報抽出手段は、前記取得画像と予め位置情報が関連付けられた複数の位置画像との照合に基づいて、前記位置情報を特定する、
付記15に記載の支援装置。
(付記17)
前記位置情報抽出手段は、前記複数の位置画像のうち、前記対象アカウントに関連する位置画像と前記取得画像とを照合する、
付記16に記載の支援装置。
(付記18)
前記取得画像は、地上視で撮像された地上視画像であり、前記複数の位置画像は、俯瞰視で撮像された複数の俯瞰画像である、
付記16または17に記載の支援装置。
(付記19)
前記位置情報抽出手段は、前記地上視画像と前記複数の俯瞰画像との関係を機械学習した識別器により、前記取得画像と一致する前記俯瞰画像を特定する、
付記18に記載の支援装置。
(付記20)
前記識別器は、
前記地上視画像の特徴を抽出する第1の抽出手段と、
前記俯瞰画像の特徴を抽出する第2の抽出手段と、
前記抽出した前記地上視画像の特徴と前記俯瞰画像の特徴とに基づいて、前記地上視画像と前記俯瞰画像が一致するか否か判定する判定手段と、
を備える、付記19に記載の支援装置。
(付記21)
前記位置情報抽出手段は、前記抽出する位置情報として、前記対象ユーザの活動エリアを推定する、
付記1乃至20のいずれか一項に記載の支援装置。
(付記22)
前記位置情報抽出手段は、前記対象アカウント及び前記対象アカウントに関連する関連アカウントのアカウント情報から特定される場所に基づいて、前記活動エリアを推定する、
付記21に記載の支援装置。
(付記23)
前記位置情報抽出手段は、前記アカウント情報から特定される場所が前記対象ユーザの日常的または非日常的な活動場所であるか否かに応じて、前記活動エリアを推定する、
付記21または22に記載の支援装置。
(付記24)
前記位置情報抽出手段は、前記対象アカウントとフィジカル空間において友人関係にある前記関連アカウントのアカウント情報に基づいて、前記活動エリアを推定する、
付記22に記載の支援装置。
(付記25)
異なる場所を監視する複数の監視システムと、支援装置とを備え、
前記支援装置は、
サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、前記対象アカウントを保有する対象ユーザを識別可能な個人情報を抽出する個人情報抽出手段と、
前記アカウント情報に基づいて、前記対象ユーザに関連する位置情報を抽出する位置情報抽出手段と、
前記抽出した個人情報を、前記抽出した位置情報に基づいて選択される前記監視システムに出力する出力手段と、
を備える、システム。
(付記26)
前記監視システムは、前記出力された個人情報を、監視対象のリストであるウォッチリストに登録する、
付記25に記載のシステム。
(付記27)
前記出力手段は、前記位置情報の周辺の公共施設における前記監視システムを選択する、
付記25または26に記載のシステム。
(付記28)
前記出力手段は、前記対象ユーザが所在する可能性を示すスコアに基づいて前記監視システムを選択する、
付記25乃至27のいずれか一項に記載のシステム。
(付記29)
前記出力手段は、前記位置情報の周辺の混雑度に基づいて前記監視システムを選択する、
付記25乃至28のいずれか一項に記載のシステム。
(付記30)
前記出力手段は、前記位置情報から推定される前記対象ユーザの移動経路の公共交通機関における前記監視システムを選択する、
付記25乃至29のいずれか一項に記載のシステム。
(付記31)
サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、前記対象アカウントを保有する対象ユーザを識別可能な個人情報を抽出し、
前記アカウント情報に基づいて、前記対象ユーザに関連する位置情報を抽出し、
前記抽出した個人情報及び前記抽出した位置情報を、フィジカル空間の前記位置情報の周辺における犯罪防止を支援する支援情報として出力する、
支援方法。
(付記32)
サイバー空間において対象アカウントから取得されるアカウント情報に基づいて、前記対象アカウントを保有する対象ユーザを識別可能な個人情報を抽出し、
前記アカウント情報に基づいて、前記対象ユーザに関連する位置情報を抽出し、
前記抽出した個人情報及び前記抽出した位置情報を、フィジカル空間の前記位置情報の周辺における犯罪防止を支援する支援情報として出力する、
処理をコンピュータに実行させるための支援プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0134】
1 サイバーフィジカル統合監視システム
10 支援装置
11 個人情報抽出部
12 位置情報抽出部
13 出力部
20 コンピュータ
21 プロセッサ
22 メモリ
100 監視支援装置
101 ソーシャルメディア情報取得部
102 アカウント特定部
103 アカウント情報抽出部
104 個人情報抽出部
105 位置情報抽出部
106 監視システム選択部
107 個人情報出力部
108 記憶部
110 画像位置特定部
111 検索部
112 識別器
113 位置データベース
114 抽出ネットワーク
115 抽出ネットワーク
116 判定ネットワーク
120 活動エリア推定部
200 監視システム
201 監視デバイス
202 監視人物情報抽出部
203 監視人物情報照合部
204 照合結果出力部
205 ウォッチリスト記憶部
206 ウォッチリスト作成部
300 ソーシャルメディアシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14