(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】多機能ポール
(51)【国際特許分類】
G08G 1/095 20060101AFI20250513BHJP
E04H 12/00 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
G08G1/095 C
E04H12/00 Z
(21)【出願番号】P 2023568961
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2021048005
(87)【国際公開番号】W WO2023119588
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2024-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】尾形 一気
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 敏博
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 瞳
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰樹
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-157604(JP,A)
【文献】特開2018-182401(JP,A)
【文献】特開2015-141654(JP,A)
【文献】特開2008-101326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
E04H 5/00 - 5/12
E04H 7/00 - 7/32
E04H 12/00 - 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが所定の機能を有する複数のユニットを含み、
前記複数のユニットが連結されてポールが形成され、
前記複数のユニットは、それぞれ独立して機能し、かつ相互に通信可能であり、
前記複数のユニットは、少なくとも取得したセンサ情報を分析するエッジコンピュータを有するユニットと出力部を有するユニットとを含み、
前記出力部を有するユニットは、前記エッジコンピュータを有するユニットの分析結果に基づいて出力内容を制御する、多機能ポール。
【請求項2】
前記複数のユニットは、それぞれ、第1のインタフェースと第2のインタフェースとを有し、
第1のユニットと第2のユニットとが連結される場合、前記第1のユニットの第1のインタフェースが前記第2のユニットの第2のインタフェースに接続される、請求項1に記載の多機能ポール。
【請求項3】
前記第1のインタフェース及び第2のインタフェースは、それぞれ、電源供給のための電源端子を含む、請求項2に記載の多機能ポール。
【請求項4】
前記第1のインタフェース及び第2のインタフェースは、それぞれ、信号通信のための通信端子を含む、請求項2又は3に記載の多機能ポール。
【請求項5】
前記複数のユニットは、交通信号灯器を含むユニットを含む、請求項1から3何れか1項に記載の多機能ポール。
【請求項6】
前記複数のユニットは、前記交通信号灯器を制御する信号灯器制御回路を含むユニットを含む、請求項5に記載の多機能ポール。
【請求項7】
前記複数のユニットは
、無線通信端末との間で無線通信を行う無線通信装置を含むユニット、周囲を撮影するカメラを含むユニット、センサを含むユニット、照明灯を含むユニットの少なくとも1つを含む、請求項1から6何れか1項に記載の多機能ポール。
【請求項8】
前記複数のユニットは、前記ポールを形成する他のユニットに電源供給を行う電源装置を含むユニットを含む、請求項1から7何れか1項に記載の多機能ポール。
【請求項9】
前記ユニットの長手方向に垂直な平面における断面形状は楕円又は長円形である、請求項1から8何れか1項に記載の多機能ポール。
【請求項10】
前記複数のユニットは、複数の太さのユニットを含み、前記ポールにおいて、第1の太さのユニットは、該第1の太さのユニットより細い第2の太さのユニットよりも下層側に連結される、請求項1から9何れか1項に記載の多機能ポール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多機能ポールに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、特許文献1は、機器の取り付けが可能なポールを開示する。特許文献1に記載のポールは、筒状の支柱と、1以上の連結ポールとを有する。連結ポールは、筒状の胴体を有する。筒状の胴体は、長手方向の一端に設けられる第1接続部と、長手方向の他端に設けられる第2接続部と、機器が取り付けられる機器取付部とを有する。各連結ポールの第1接続部は、他の連結ポールの第2接続部に接続可能に構成される。支柱は、長手方向の一端に設けられる固定部と、長手方向の他端に設けられる第3接続部とを有する。第3接続部は、連結ポールの第1接続部又は第2接続部に接続可能に構成される。
【0003】
特許文献1において、支柱の固定部は、ベースプレートを有する。ベースプレートは、地面に設けられた基礎に、固定用のボルトを用いて固定される。支柱の第3接続部には、例えば連結ポールの第2接続部が接続され、支柱の上に連結ポールが接続される。支柱に接続された連結ポールの上には、一の連結ポールの第1接続部に他の連結ポールの第2接続部を接続することで、任意の数の連結ポールを接続することができる。各連結ポールの機器取付部には、照明器具、防犯カメラ、スピーカー、又は自動点滅器などの機器が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、支柱の上に取り付けられる連結ポールの数を変えることで、ポール全体の長さを変えることができる。例えば、連結ポールの数を増やすことでポール全体の長さを伸ばすことができ、連結ポールの数を減らすことでポール全体の長さを短くできる。また、連結ポールは機器取付部を有しており、各連結ポールにおいて、機器取付部に取り付けられる機器を任意に変更することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1では、機器と連結ポールとは別体であり、連結ポールの胴体に機器が外付けされる。特許文献1では、取り付けられる機器が多いほど、外観が煩雑になる。例えば、ポールが公園などに設置された場合に、ポールが、設置される場所における景観と調和せず、景観が損なわれる可能性がある。また、特許文献1では、ユーザは、連結ポールの機器取付部に取り付け可能な機器を、連結ポールとは別に用意する必要があるという問題もある。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑み、見た目が煩雑になることなく、ポールにいくつかの機能を持たせることができる多機能ポールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示は、第1の態様として、多機能ポールを提供する。多機能ポールは、それぞれが所定の機能を有する複数のユニットを含み、前記複数のユニットが連結されてポールが形成される。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る多機能ポールは、見た目が煩雑になることなく、ポールにいくつかの機能を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2A】本開示の一実施形態に係る多機能ポールを示す正面図。
【
図2B】本開示の一実施形態に係る多機能ポールを示す分解斜視図。
【
図3】交通信号機用のモジュールの構成例を示す分解斜視図。
【
図4】多機能ポールに用いられ得るモジュールを示す斜視図。
【
図5】第1の変形例に係る多機能ポールを示す正面図。
【
図6】第2の変形例に係る多機能ポールを示す正面図。
【
図7】第3の変形例に係る多機能ポールを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態の説明に先立って、本開示の概要を説明する。
図1は、本開示に係る多機能ポールを示す。多機能ポール10は、第1のユニット11-1から第nのユニット11-n(nは2以上の整数)を有する。第1のユニット11-1から第nのユニット11-nのそれぞれは、それぞれ所定の機能を有するユニットとして構成される。なお、第1のユニット11-1から第nのユニット11-nは、特に区別する必要がない場合、ユニット11とも呼ばれる。
【0012】
図1では、n個のユニット11-1~11-nが連結されることで、多機能ポール10が形成されている。ユニット11-1~11-nは、交通信号機を含むユニットを含み得る。これに代えて、又は加えて、ユニット11-1~11-nは、無線通信端末との間で無線通信を行う無線通信機を含むユニット、周囲を撮影するカメラを含むユニット、センサを含むユニット、及び、照明灯をユニットの少なくとも1つを含み得る。多機能ポール10において、n個のユニット11-1~11-nの順番は、適宜変更可能に構成され得る。n個のユニット11-1~11-nは必ずしも異なる機能を有する必要はなく、多機能ポール10は、同じ機能を有するユニット11を2つ以上有し得る。
【0013】
本開示において、多機能ポール10は、それぞれが所定の機能を有する複数のユニット11を有する。複数のユニット11は、ユニット同士が連結される場合に、全体としてポールの本体を形成する。本開示において、多機能ポール10は、連結されるユニット11が適宜選択されることで、種々の機能を提供し得る。本開示では、ポールに所定の機能を有する機器を取り付けるのではなく、それぞれが所定の機能を有する複数のユニットを連結することで多機能ポールが形成される。このため、本開示は、ポールに複数の外部機器が取り付けられる場合とは異なり、外観が煩雑になることがなく、景観に調和することができる。
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素、及び同様な要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0015】
図2A及び2Bは、本開示の一実施形態に係る多機能ポールを示す。一実施形態において、多機能ポールは信号機100を構成する。
図2Aは、信号機100を正面から見た正面図であり、
図2Bは、信号機100を斜め方向から見た分解斜視図である。信号機100、互いに連結された複数のモジュール101~109を有する。モジュール101~109は、ユニット、又はASSY(assembly)とも呼ばれ得る。信号機100は、
図1に示される多機能ポール10に対応し、モジュール101~109はユニット11に対応する。
【0016】
モジュール101は、例えば共用部を構成するモジュールである。モジュール101は、内部に、電源装置及びネットワーク装置などの機器を有する。電源装置は、モジュール101~109に搭載される機器に対して電源を供給する。モジュール101は、信号機100における各部の使用電力量をモニタリングするための電力量計を含んでいてもよい。モジュール101は、例えば、ユニットごとに、使用電力量をモニタリングする電力量計を有していてもよい。ネットワーク装置は外部ネットワークに接続される。モジュール102~109に搭載される機器は、モジュール101のネットワーク装置を通じて外部ネットワークと通信可能に構成され得る。モジュール101は、特に限定はされないが、例えば少なくとも一部が地中に埋め込まれてもよい。あるいは、モジュール101は、地上に配置された基礎に、締結ボルトなどを用いて連結されてもよい。モジュール101は、地中に埋め込まれた支柱に連結されてもよい。
【0017】
ここで、共用部を構成するモジュール101は、電源装置などの装置を含むことから、重いと考えられる。重心を考えた場合、モジュール101は、信号機100において低い位置に配置されることが好ましいと考えられる。しかしながら、信号機100におけるモジュール101の位置は、特に低い位置には限定されない。モジュール101は、地上から少し高い位置に配置されてもよい。例えば、モジュール101が低い位置に配置される場合、洪水などが発生すると、モジュール101が水没する可能性がある。信号機100が洪水の可能性がある地点に設置される場合、モジュール101は、信号機100において、洪水時に想定される水位より高い位置に配置されてもよい。
【0018】
モジュール102は、例えばデジタルサイネージの機能を有するモジュールである。モジュール102は、例えば、ディスプレイ、及び制御部(コントローラ)を有する。モジュール102は、スピーカー及びマイクを有していてもよい。さらに、モジュール102は、エッジコンピュータ(MEC(Multi-access/Mobile Edge Computing)サーバ)を有していてもよい。
【0019】
モジュール103及び104は、交通信号機の機能を有するモジュールである。モジュール103は、歩行者用信号機の機能を有するモジュールである。モジュール104は、車両用信号機の機能を有するモジュールである。
【0020】
図3は、モジュール104の構成例を示す。モジュール104は、胴体141と交通信号灯器142とを含む。交通信号灯器142は、青、黄色、及び赤の灯火器を有する。胴体141は、取り付け具144が取り付けられるアタッチメントを有する。交通信号灯器142のアームは、取り付け具144を介して、胴体141に取り付けられる。モジュール104において、胴体141は、取り付け具144が取り付けられるアタッチメントを複数有していてもよい。例えば、胴体141は、4つの側面のそれぞれに1つずつアタッチメントを有していてもよい。胴体141には、交通信号灯器の制御に使用されるカメラが内蔵されていてもよい。胴体141には、カメラを保護するための透明なカバー143が取り付けられ得る。
【0021】
モジュール104は、胴体141の内部に、交通信号灯器142を制御する信号灯器制御回路を有していてもよい。信号灯器制御回路は、必ずしもモジュール104に配置されている必要はなく、他のモジュールに配置されていてもよい。また、信号灯器制御回路は、必ずしも信号機100の何れかのモジュールに配置されている必要はない。例えば、信号灯器制御回路は、信号機100の外部に配置されてもよい。その場合、信号灯器制御回路は、ネットワークを介してモジュール104と通信を行い、ネットワークを介して交通信号灯器142を制御してもよい。
【0022】
なお、歩行者用信号機の機能を有するモジュール103の構成は、交通信号灯器が歩行者用になることを除けば、モジュール104の構成と同様でよい。モジュール103には、取り付け具を介して歩行者用信号灯器を取り付けられるアタッチメントが4つ設けられ、取り付け位置を適宜選択することで、歩行者用信号灯器の方向が決定されてもよい。モジュール104についても、同様に、胴体に複数のアタッチメントが設けられ、交通信号灯器142の向きが選択可能であってもよい。
【0023】
なお、モジュール103とモジュール104とは、必ずしも分離されている必要はない。モジュール103及びモジュール104は、単一のモジュールとして構成されていてもよい。また、モジュール103及びモジュール104は、どちらのモジュールとしても使用可能な共通のモジュールとして構成されていてもよい。その場合、共通のモジュールには、車両用信号灯器と歩行者用信号灯器とのどちらかが選択的に接続され得る。その場合において、共通のモジュールには、接続される信号灯器に対応した制御装置が配置され得る。
【0024】
モジュール105は、セキュリティカメラの機能を有するモジュールである。モジュール105は、例えば、周囲を撮影するカメラと、カメラ制御回路とを有する。モジュール106及び107は、ポールの高さ又は長さを調整するためのモジュールである。モジュール106及び107には、機能部が搭載されていなくてよい。例えば、モジュール106及び107の内部は、空洞であってもよい。
【0025】
モジュール108は、公共WiFi(登録商標)基地局の機能を有するモジュールである。モジュール108は、例えば、無線アンテナとWiFi送受信機(無線通信装置)とを有する。モジュール109は、5G(5th Generation)アンテナ基地局の機能を有するモジュールである。モジュール109は、例えば、無線アンテナと5G送受信機(無線通信装置)とを有する。信号機100に搭載される無線通信機能の通信方式は、5G及び公共WiFiには限定されない。信号機100は、MCA(Multi-Channel Access)アドバンスやC-V2X(Cellular V2X(Vehicle to X))などの通信方式の無線通信装置を含むモジュールを有していてもよい。信号機100において、モジュール109の上には、再生可能エネルギーで発電するモジュール、例えばソーラパネルを内蔵するモジュール110が取り付けられる。無線通信は、5Gには限定されず、次世代の通信規格に準拠した無線通信であってもよい。信号機100は、無線基地局の機能を有するモジュールに代えて、又はこれに加えて、無線通信端末を含むモジュールを有していてもよい。
【0026】
信号機100において、地面から所定の高さ、例えば5.5mまでの領域は、交通に関連する省庁、例えば交通当局が使用する領域であるとする。信号機100において、モジュール102、103、104、及び105は、交通当局が使用する領域に配置される。信号機100において、5.5mよりも高い領域は、交通局以外が使用できる開放領域であるとする。民間企業、自治体、交通局以外の国の機関は、開放領域に任意のモジュールを設置することができる。信号機100において、モジュール108、及び109は、開放領域に配置される。
【0027】
図4は、モジュール101~109に用いられ得るモジュールを示す。モジュール120は、筒状の胴体123を有する。胴体123は、例えば金属などの材料で形成される。胴体123は、モジュールに要求される強度、及びモジュールに許容される重量に応じて、種々の材料で形成され得る。例えば、信号機100において、高い場所に設置されることが想定されるモジュールは、カーボンファイバなどの軽い材料で形成されてもよい。
【0028】
モジュール120は、胴体123の内部に、所定の機能を提供するための機器を内蔵し得る。モジュール120の長手方向に垂直な平面における断面形状は、特に限定はされないが、楕円又は長円形であってもよい。断面形状を楕円形又は長円形とする場合、円形とする場合に比べて、機器を効率的に収容することができる。また、見た目の印象を向上させることができる。各モジュールの長さ(ポール長手方向の長さ)は相互に異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0029】
モジュール120は、長手方向の一端に第1のインタフェース121を有し、長手方向の他端に第2のインタフェース122を有する。第1のインタフェース121及び第2のインタフェース122は、例えば、電源供給のための電源端子を含む。これに代えて、又は加えて、第1のインタフェース121及び第2のインタフェース122は、信号通信のための通信端子を含む。複数のモジュールは、一のモジュール(第1のモジュール)120の第1のインタフェース121と、他のモジュール(第2のモジュール)120の第2のインタフェース122とを接続することで、連結され得る。複数のモジュール120が連結され、第1のインタフェース121の端子と第2のインタフェース122の端子とが接続されることで、共用部を構成するモジュール101と、その上部のモジュール102~109のそれぞれとが、電気的に接続され得る。
【0030】
第1のモジュール(その第1のインタフェース)と第2のモジュール(その第2のインタフェース)とは、直接に接続されてもよい。あるいは、第1のインタフェースと第2のインタフェースとは、それらを接続するための接続部材を介して接続されてもよい。その場合、接続部材は、電源端子をバイパスする機能、及び信号通信端子をバイパスする機能を有していてもよく、各モジュールが接続部材を介して電気的に接続されてもよい。
【0031】
なお、
図2Bに示されるモジュール101から109の順序は一例であり、信号機100におけるモジュールの順序は特に限定されない。各モジュールは、第1のインタフェース121と第2のインタフェース122とを有しており、信号機100におけるモジュールの並び順は、任意に変更可能である。また、信号機100において、最も下に配置されるモジュールは、第2のインタフェース122を有していればよく、第1のインタフェース121を有していなくてもよい。
【0032】
信号機100は、例えば通常の信号機の機能に加えて、デジタルサイネージを用いて、周囲の人に情報を提供する機能を有する。例えば、モジュール102に含まれるエッジコンピュータは、モジュール105に含まれるカメラから映像を取得し、カメラ映像を解析する。例えば、エッジコンピュータは、信号機100が設置される交差点に、支援が必要な人がいるかどうかを解析する。エッジコンピュータは、支援が必要な人がいる場合、デジタルサイネージ(ディスプレイ)を用いて、その人を支援する。信号機100が車両とV2I(vehicle to infrastructure)通信を行う路側機(RU:Roadside Unit)を含む場合、エッジコンピュータは、路側機を介して、周囲の車両に、支援が必要な人がいる旨を通知してもよい。本実施形態においては、モジュール102にエッジコンピュータが含まれる例を説明したが、他のモジュールにエッジコンピュータが搭載されていてもよいし、エッジコンピュータのみが搭載されたモジュールがあってもよい。
【0033】
エッジコンピュータは、カメラ映像を解析し、信号機100が設置される交差点付近において、事故、事件、又は災害などの事象が発生しているか否かを解析してもよい。エッジコンピュータは、事故、事件、又は災害などの事象が発生していると判断した場合、関連機関に自動的に通報してもよい。また、エッジコンピュータは、デジタルサイネージにAED(Automated External Defibrillator)が設置される場所を表示し、周囲の人にAEDの場所を通知してもよい。エッジコンピュータは、災害が発生していると判断した場合、デジタルサイネージに避難場所を表示し、周囲の人を避難場所に誘導してもよい。
【0034】
本実施形態では、複数のモジュール101から109を適宜組み合わせることで、信号機100のポールが形成される。各モジュールは、所定の機能を有しており、信号機100のポールとして用いられるモジュールを適宜選択することで、信号機100に種々の機能を追加できる。本実施形態では、ポールを形成するモジュール101から109は、信号機100が提供する機能を有している。このため、信号機100は、ポールに各種機器を取り付ける場合に比べて、電柱など既に煩雑化した景観において、街並みのノイズとならない整然とした印象を与えることができる。
【0035】
本実施形態において、信号機を構成する多機能ポールは、設置場所や求められる機能に応じて、必要なモジュールを組み合わせることで形成され得る。例えば、ある1つの交差点において、4つの信号機が設置される場合を考える。4つの信号機のうちの1つは、信号機の機能を有するモジュールに加えて、セキュリティカメラの機能を有するモジュールと公共WiFi基地局の機能を有するモジュールとを含む。残り3つの信号機は、信号機の機能を有するモジュールを有するが、セキュリティカメラの機能を有するモジュールと公共WiFi基地局の機能を有するモジュールとを含まない。この例のように、4つのうちの1つの信号機を多機能信号機とし、残り3つの信号機をシンプルな構成の信号機としてもよい。
【0036】
あるいは、1つの交差点に4つの信号機が設置される場合に、4つの信号機のうちの1つを無線基地局の機能を有するモジュールを含む信号機とし、残り3つの信号機を、無線通信端末を含むモジュールを信号機としてもよい。その場合、無線通信端末を含むモジュールを含む信号機は、無線基地局の機能を有するモジュールを含む信号機との間で無線通信を行うことができる。
【0037】
さらに、複数の交差点のそれぞれにおいて、各交差点に配置される信号機のうちの1つを、信号機100のような多機能信号機としてもよい。例えば、各交差点に設置される4つの既存の信号機のうちの1つを、信号機100で置き換えてもよい。その場合において、各交差点に設置された信号機100は、通信可能範囲内にある他の交差点に配置された信号機100との間で無線通信を行ってもよい。その場合、複数の交差点間で、情報のやり取りを行うことができる。
【0038】
なお、上記実施形態において、各モジュールは、提供する機能に必要な回路や制御部などの全てを、単一のモジュール内に有している必要はない。例えば、信号機100において、車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器を制御する信号灯器制御回路は、共用部であるモジュール101に配置されていてもよい。その場合、信号灯器制御回路を、モジュール103及び104の位置より低い位置に配置することができ、保守作業などが容易になる。あるいは、5GのRU(Radio Unit)、DU(Distributed Unit)、CU(Centralized Unit)、及びアンテナは、いくつかのモジュールに分散して配置されていてもよく、それらが連動することで、信号機100において5G無線通信の機能が提供されてもよい。
【0039】
上記実施形態において、各モジュールの太さ(長手方向に垂直な平面におけるサイズ及び形状)は同じであってもよいし、異なっていてもよい。各モジュールの太さが単一である場合、各モジュールを連結した場合に、信号機100(多機能ポール)の太さが一律となり、外観がよい。また、モジュールの組み合わせ(高さ)の変更の自由度が高くなる。例えば、信号機100が設置される場所に応じて、カメラを設置したい高さが異なる場合があり得る。太さが単一の場合、信号機におけるカメラを含むモジュールの位置を任意に変更可能であるため、任意の高さにカメラを含むモジュールを配置することができる。
【0040】
1つのポールは、複数の太さのモジュールを連結することで形成されてもよい。例えば、信号機100は、第1の太さのいくつかのモジュールと、第2の太さのいくつかのモジュールと、第3の太さのいくつかのモジュールとを含み得る。この場合において、第1の太さが最も太く、第3の太さが最も細く、第2の太さはその中間であるとする。信号機100において、下部に第1の太さのモジュールが配置され、中間部に第2の太さのモジュールが配置され、上部に第3の太さのモジュールが配置されてもよい。すなわち、信号機100は、下部が最も太く、上に向かうに従って太さが細くなっていくような構成であってもよい。その場合、同じ太さのモジュールの間で、モジュールの順番が入れ替え可能であってもよい。太いモジュールを下部に配置し、細いモジュールを上部に配置することは、強度及び安定度の点で有利である。
【0041】
上記実施形態では、多機能ポールの例として、モジュール101から109を含む信号機100を説明した。本開示において、多機能ポールは信号機には限定されない。また、多機能ポールに組み込み可能なモジュールは、上記したモジュール101~109には限定されない。例えば、多機能ポールに使用可能なモジュールは、電気自動車を充電するためのモジュール、道路や周囲の構造物に光を投射するプロジェクタを含むモジュール、照明灯を含むモジュールを含み得る。多機能ポールに使用可能なモジュールは、センサを含むモジュールを含み得る。センサは、例えば、LiDAR(light detection and ranging)、及び風速、雨量、又は積雪量を計測するためのセンサを含み得る。多機能ポールに使用可能なモジュールは、ビーコン受信機を含むモジュールを含んでいてもよい。多機能ポールは、例えば公園、ショッピングセンター、及び店舗に配置され得る。多機能ポールの長さは特に限定されず、多機能ポールは、数メートルから十数メートル程度の長さを有し得る。
【0042】
図5は、第1の変形例に係る多機能ポールを示す。
図5の例において、信号機100aは、
図2Bに示されるモジュール101、102、及び104を有する。信号機100aは、歩行者用信号機のモジュール103を有していてもよい。また、信号機100aは、デジタルサイネージのモジュール102を有していなくてもよい。その場合、モジュール102の位置には、高さ調整用のモジュールが連結され得る。
【0043】
図6は、第2の変形例に係る多機能ポールを示す。この例において、信号機100bは、
図2Bに示されるモジュール101から109に加えて、照明用のモジュールを有する。照明用のモジュールは、照明灯161を有する。この例において、何れかのモジュールに含まれるエッジコンピュータは、カメラ映像を解析し、解析結果に応じて照明灯を制御してもよい。例えば、エッジコンピュータは、信号機100bの周囲に人がいる場合、照明灯161を点灯し、交差点を明るく照らしてもよい。エッジコンピュータは、人がいるか否かに応じて、照明灯161の明るさ及び色を変化させてもよい。
【0044】
図7は、第3の変形例に係る多機能ポールを示す。この例において、多機能ポール160は、2つの照明灯161を有する。第3の変形例では、多機能ポール160は、照明用のポールとして用いられる。この例においても、何れかのモジュールに含まれるエッジコンピュータは、多機能ポール160の周囲に人がいる場合、照明灯161を点灯し、多機能ポール160が設置された場所を明るく照らしてもよい。また、エッジコンピュータは、人がいるか否かに応じて、照明灯161の明るさ及び色を変化させてもよい。
【0045】
以上、本開示の実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記した実施形態に限定されない。本開示は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に対して変更や修正を加えたものも含む。
【0046】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0047】
[付記1]
それぞれが所定の機能を有する複数のユニットを含み、
前記複数のユニットが連結されてポールが形成される、多機能ポール。
【0048】
[付記2]
前記複数のユニットは、それぞれ、第1のインタフェースと第2のインタフェースとを有し、
第1のユニットと第2のユニットとが連結される場合、前記第1のユニットの第1のインタフェースが前記第2のユニットの第2のインタフェースに接続される、付記1に記載の多機能ポール。
【0049】
[付記3]
前記第1のインタフェース及び第2のインタフェースは、それぞれ、電源供給のための電源端子を含む、付記2に記載の多機能ポール。
【0050】
[付記4]
前記第1のインタフェース及び第2のインタフェースは、それぞれ、信号通信のための通信端子を含む、付記2又は3に記載の多機能ポール。
【0051】
[付記5]
前記複数のユニットは、交通信号灯器を含むユニットを含む、付記1から3何れか1項に記載の多機能ポール。
【0052】
[付記6]
前記複数のユニットは、前記交通信号灯器を制御する信号灯器制御回路を含むユニットを含む、付記5に記載の多機能ポール。
【0053】
[付記7]
前記複数のユニットは、エッジコンピュータを含むユニット、無線通信端末との間で無線通信を行う無線通信装置を含むユニット、周囲を撮影するカメラを含むユニット、センサを含むユニット、照明灯を含むユニットの少なくとも1つを含む、付記1から6何れか1項に記載の多機能ポール。
【0054】
[付記8]
前記複数のユニットは、前記ポールを形成する他のユニットに電源供給を行う電源装置を含むユニットを含む、付記1から7何れか1項に記載の多機能ポール。
【0055】
[付記9]
前記ユニットの長手方向に垂直な平面における断面形状は楕円又は長円形である、付記1から8何れか1項に記載の多機能ポール。
【0056】
[付記10]
前記複数のユニットは、相互に同じ太さをする、付記1から9何れか1項に記載の多機能ポール。
【0057】
[付記11]
前記複数のユニットは、複数の太さのユニットを含み、前記ポールにおいて、第1の太さのユニットは、該第1の太さのユニットより細い第2の太さのユニットよりも下層側に連結される、付記1から9何れか1項に記載の多機能ポール。
【符号の説明】
【0058】
10:多機能ポール
11:ユニット
100:信号機
101-110:モジュール
120:モジュール
121:第1のインタフェース
122:第2のインタフェース
123:胴体
141:胴体
142:交通信号灯器
143:カバー
144:取り付け具
160:多機能ポール
161:照明灯