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特許7679910エレベーター連携装置、自律移動体、エレベーター連携システム、エレベーター連携方法、及び、エレベーター連携プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】エレベーター連携装置、自律移動体、エレベーター連携システム、エレベーター連携方法、及び、エレベーター連携プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20250513BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
B66B1/14 E
B66B3/00 N
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2024111403
(22)【出願日】2024-07-11
【審査請求日】2024-07-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】森 文宏
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-173265(JP,A)
【文献】特開2021-155195(JP,A)
【文献】特開2023-088741(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0033216(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動体がエレベーターにより移動する建物の各階に滞在する利用者の情報を利用者情報として取得する利用者情報取得部と、
前記利用者情報取得部が取得した前記利用者情報に基づいて、前記建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定する行先階選定部と、
前記行先階選定部が選定した前記推奨行先階を前記自律移動体に提供する送信部と、
を備えるエレベーター連携装置。
【請求項2】
前記行先階選定部は、
前記利用者情報取得部が取得した前記利用者情報に基づいて、前記建物の各階の滞在人数を推定する滞在人数推定部と、
前記滞在人数推定部が推定した前記滞在人数に基づいて、前記建物の一つ以上の階を前記推奨行先階として選定する選定部と、
を有する請求項1に記載のエレベーター連携装置。
【請求項3】
前記選定部は、前記滞在人数が閾値を超えない階の中から前記推奨行先階を選定する請求項2に記載のエレベーター連携装置。
【請求項4】
前記利用者情報取得部は、前記エレベーターに設置された測定装置により測定された人数と、乗場に設置された測定装置により測定された人数との少なくともいずれかを含む情報を、前記利用者情報として取得する請求項1に記載のエレベーター連携装置。
【請求項5】
前記行先階選定部は、前記利用者情報取得部が取得した前記利用者情報に基づいて、前記建物の各階で前記エレベーターから降車した降車人数を推定し、前記降車人数に基づいて、前記建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定する請求項4に記載のエレベーター連携装置。
【請求項6】
前記利用者情報取得部は、前記利用者の人数及び属性に関する情報を前記利用者情報として取得し、
前記行先階選定部は、前記利用者情報取得部が取得した前記利用者情報に基づいて、前記建物の各階の属性別滞在人数を推定する属性別滞在人数推定部をさらに有し、
前記選定部は、前記属性別滞在人数推定部が推定した前記属性別滞在人数に基づいて、前記推奨行先階を選定する請求項2に記載のエレベーター連携装置。
【請求項7】
属性に対応するジャンル情報を記憶する記憶部と、
前記推奨行先階として選定された階に滞在する前記利用者の前記属性に対応するジャンル情報を前記記憶部から特定する第1の特定部と、
を備え、
前記送信部は、前記第1の特定部が特定した前記ジャンル情報を前記自律移動体に提供する請求項6に記載のエレベーター連携装置。
【請求項8】
ジャンル情報に対応する属性を記憶する記憶部と、
前記自律移動体からジャンル情報を取得するジャンル情報取得部と、
前記ジャンル情報取得部が取得したジャンル情報に対応する属性を前記記憶部から特定する第2の特定部と、
を備え、
前記選定部は、前記第2の特定部が特定した属性と、前記属性別滞在人数とに基づいて、前記推奨行先階を選定する請求項6に記載のエレベーター連携装置。
【請求項9】
前記自律移動体から前記エレベーターに対する利用要求を受け付ける受付部を備え、
前記行先階選定部は、前記受付部が前記利用要求を受け付けたことを受けて、前記推奨行先階を選定する請求項1から8のいずれか1項に記載のエレベーター連携装置。
【請求項10】
前記自律移動体が前記エレベーターに近づいたことを検知する検知部を備え、
前記受付部は、前記検知部が検知したことを前記利用要求があったものとみなす請求項9に記載のエレベーター連携装置。
【請求項11】
前記行先階選定部が選定した推奨行先階を前記自律移動体の行先階として前記エレベーターに登録する登録部を備え、
前記登録部は、前記推奨行先階が2以上ある場合に、前記自律移動体から前記推奨行先階のいずれかの階を行先階として指定する信号を受信し、前記信号により指定された前記行先階を前記エレベーターに登録する請求項9に記載のエレベーター連携装置。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか1項に記載のエレベーター連携装置と、
前記エレベーターと、
を備えるエレベーター連携システム。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか1項に記載のエレベーター連携装置と、
前記エレベーターと、
前記自律移動体と、
を備えるエレベーター連携システム。
【請求項14】
建物の利用者に報知情報を報知する報知部と、
前記報知部が報知予定である報知情報のジャンル情報を送信するジャンル情報送信部と、
前記建物の一つ以上の階を含む推奨行先階に関する情報を取得する受信部を備え、
前記受信部は、前記ジャンル情報から特定された推奨行先階に関する情報を取得し、
前記受信部が取得した前記推奨行先階に含まれた前記一つ以上の階のいずれかの階に移動する自律移動体。
【請求項15】
前記推奨行先階が2以上ある場合に、前記推奨行先階のいずれかを行先階として決定する行先階決定部を備え、
前記行先階決定部は、前記行先階を指定する信号を発信する請求項14に記載の自律移動体。
【請求項16】
自律移動体がエレベーターにより移動する建物の各階に滞在する利用者の情報を利用者情報として取得するステップと、
前記利用者情報に基づいて、前記建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定するステップと、
前記推奨行先階を前記自律移動体に提供するステップと、
を備えるエレベーター連携方法。
【請求項17】
自律移動体がエレベーターにより移動する建物の各階に滞在する利用者の情報を利用者情報として取得するステップと、
前記利用者情報に基づいて、前記建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定するステップと、
前記推奨行先階を前記自律移動体に提供するステップと、
をコンピュータに実行させるエレベーター連携プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーター連携装置、自律移動体、エレベーター連携システム、エレベーター連携方法、及び、エレベーター連携プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動体がエレベーターを利用して建物内の階層間移動を行う移動制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-282329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の移動制御システムは、移動体が予め決められた経路に従って移動することを想定したものであり、移動体は各フロアを順次巡回する。そのため、移動体が各階の状況に応じて行先階を変更することができないという課題がある。
【0005】
そこで本開示の目的は、行先階に関する情報を自律移動体に提供できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーター連携装置は、自律移動体がエレベーターにより移動する建物の各階に滞在する利用者の情報を利用者情報として取得する利用者情報取得部と、利用者情報取得部が取得した利用者情報に基づいて、建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定する行先階選定部と、行先階選定部が選定した推奨行先階を自律移動体に提供する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、建物の各階に滞在する利用者の情報から、自律移動体の推奨行先階を選定し、選定した推奨行先階に関する情報を自律移動体に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るエレベーター連携システムの機能構成図である。
図2】実施の形態1に係るエレベーター連携装置の機能構成図である。
図3】実施の形態1に係る記憶部に記憶されている属性に対応するジャンル情報の一例である。
図4】実施の形態1に係る記憶部に記憶されている属性に対応するジャンル情報の一例である。
図5】実施の形態1に係る滞在人数推定部により推定された推定結果の一例である。
図6】実施の形態1に係る滞在人数推定部により推定された推定結果の一例である。
図7】実施の形態1に係る属性別滞在人数推定部により推定された推定結果の一例である。
図8】実施の形態1に係る属性別滞在人数推定部により推定された推定結果の一例である。
図9】実施の形態1に係るエレベーター連携装置により行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図10】実施の形態1に係るエレベーター連携装置のハードウェア構成図である。
図11】実施の形態2に係るエレベーター連携システムの機能構成図である。
図12】実施の形態2に係るエレベーター連携装置の機能構成図である。
図13】実施の形態2に係るエレベーター連携装置により行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
まず、本実施の形態を機能的に概略説明する。
デジタルサイネージロボット等の報知部を備えている自律移動体500がエレベーター11を利用する(乗場呼びをする)際に、エレベーター連携装置100は、エレベーターシステム10等が収集した建物内の利用者に関する情報から人が多い階(報知効果が見込まれる階)を推奨行先階として選定する。
そして、エレベーター連携装置100は、推奨行先階に関する情報を自律移動体500に提供する処理と、推奨行先階を行先階として乗場呼びあるいはかご呼びをエレベーター11の制御部13に登録する処理を行う。
また、自律移動体500の行先階に、その階に降車した利用者の年代、趣味、趣向等の属性に関する情報から、その階における効果的な報知内容のジャンルも併せて提供する。
なお、利用者が極端に多い階や時間帯においては、自律移動体500の移動を制限してもよい。
【0010】
次に、本実施の形態におけるエレベーター連携装置100の詳細について説明する。
図1は、実施の形態1に係るエレベーター連携システム1000の機能構成図を示す図である。
図1に示す通り、エレベーター連携システム1000のエレベーター連携装置100は、エレベーター11を含むエレベーターシステム10と複数の自律移動体500とそれぞれ通信可能に接続されている。
【0011】
エレベーターシステム10は、エレベーター11と測定装置12と制御部13とを備える。エレベーター11はかご(図示せず)を有している。
かごには、利用者及び自律移動体500が乗降可能である。
エレベーター11が設置されている建物には、エレベーター11と同数の昇降路(図示せず)が設けられており、かごが昇降路内を昇降することで、かご内に乗降した利用者及び自律移動体500の一方または両方を建物の各階に運搬する。
ここで、利用者とは、自律移動体500がエレベーター11により移動する建物を利用する人のことを指す。
【0012】
測定装置12は、エレベーター11、または、エレベーター11の乗場等に設置され、利用者に関する情報を広く意味する利用者情報を測定する。
具体的には、エレベーター11のかご内の重量を測定する重量センサ、カメラ、利用者の所持するIDカードからID情報を読み取るIDカードリーダー、生体認証リーダー等の測定装置12が、利用者の人数に関する情報と、利用者の性別、年齢、及びその他身体的特徴等の属性に関する情報等の利用者情報を測定する。
【0013】
制御部13は、エレベーター11の動作全般を制御する。
また、制御部13は、測定装置12の制御も行う構成にしてもよい。
【0014】
自律移動体500は、報知部501と呼出部502と受信部503と通信部504と行先階決定部505とを備える。
自律移動体500は、一例として、報知情報を利用者に報知する報知用ロボットであるが、これに限らず、掃除用ロボット、警備用ロボット、搬送用ロボット等でもよい。
自律移動体500は、受信部503がエレベーター連携装置100から取得した推奨行先階に含まれた一つ以上の階のいずれかの階に移動して、報知、掃除、警備、または、搬送を実施する。
図示していないが、自律移動体500は、報知情報を記憶する報知情報記憶部を有する。記憶部には、報知情報として、ジャンル別に複数種類の情報が記憶されている。
【0015】
報知部501は、利用者に視覚的または聴覚的に、広告情報、案内情報等の報知情報を報知する。
報知部501は、たとえば、表示画面、投影装置、スピーカー等である。
【0016】
呼出部502は、エレベーター連携装置100の受付部102に乗場呼び信号を発信する。
乗場呼び信号は、自律移動体500がエレベーター11の利用要求を、エレベーター連携装置100に知らせるために発信される。
受信部503は、エレベーター連携装置100より、建物の一つ以上の階を含む推奨行先階に関する情報を受信する。推奨行先階に関する情報には、推奨行先階の利用者の滞在人数の情報が含まれていてよい。
【0017】
通信部504は、他の自律移動体500と通信可能である。
通信部504は自律移動体500以外の装置とも通信可能である。
通信部504は、エレベーター連携装置100、他の自律移動体500、自律移動体500の運行状況を管理するシステム等より、建物の各階に滞在する自律移動体500の台数に関する情報(以降、台数情報)を取得する。
【0018】
行先階決定部505は、エレベーター連携装置100により提供された推奨行先階が2以上ある場合に、推奨行先階のいずれかを行先階として決定し、エレベーター連携装置100に行先階を指定する信号を発信する。
具体的に、行先階決定部505は、提供された推奨行先階のうち、利用者の滞在人数が最も多い階を行先階として決定する。
あるいは、行先階決定部505は、推奨行先階のうち、自律移動体500がエレベーターの利用要求をする前の所定時間内に滞在した階を除いた階を行先階として決定する。所定時間は任意に設定してよい。
あるいは、行先階決定部505は、推奨行先階のうち、自階を除いた階を行先階として決定する。
あるいは、行先階決定部505は、推奨行先階のうち、自階に最も近い階を行先階として決定する。
あるいは、行先階決定部505は、推奨行先階のうち、閾値を超えない階を行先階として決定する。閾値は、利用者が過密すぎる階への移動を制限するために設けられ、任意に設定することができる。
あるいは、行先階決定部505は、通信部504で取得した台数情報に基づいて、推奨行先階のうち、他の自律移動体500が滞在しない階または、滞在する自律移動体500の台数が少ない階を行先階として決定する。
【0019】
エレベーター連携装置100が複数の自律移動体500に対して同じ推奨行先階を提供する場合があるため、行先階決定部505は自律移動体500の行先階が重複しないように、行先階を決定してよい。
行先階の決定には、通信部504で取得した台数情報が用いられる。台数情報は、各階に滞在する自律移動体500の個体識別が可能な情報、及び、個体識別可能な自律移動体500がエレベーター連携装置100にエレベーター11の利用を要求したか否かに関する情報を含む。
具体的に、行先階決定部505は、台数情報に基づいて、同じ推奨行先階を提供された他の自律移動体500が滞在する階を確認した上で、自階に最も近い階を行先階として決定する。
【0020】
同じ推奨行先階を提供された複数台の自律移動体500が同じ階に滞在している場合、一方の自律移動体500は自階に残り、一方の自律移動体500が推奨行先階の中から行先階に移動するようにしてよい。
具体的に、通信部504を通して自律移動体500が互いに通信し、それぞれの行先階決定部505が自階に残るか、推奨行先階の中から行先階を決定するかを決める。
あるいは、台数情報に基づいて、自階に残るか、推奨行先階の中から行先階を決定する処理を選択してよい。台数情報は、個体識別可能な自律移動体500の各階におけるGPS(Global Positioning System)情報または、個体識別可能な自律移動体500がエレベーター連携装置100にエレベーター11の利用を要求した時刻に関する情報を含む。
具体的に、行先階決定部505は、台数情報に基づいて、他の自律移動体500よりもエレベーター11に近い位置にいる場合は、推奨行先階の中から行先階を決定する。遠い位置にいる場合は、行先階決定部505での処理を終了し、自律移動体500は自階に残る。
あるいは、行先階決定部505は、台数情報に基づいて、他の自律移動体500よりも早くエレベーター連携装置100にエレベーター11の利用を要求していた場合は、推奨行先階の中から行先階を決定する。利用要求が遅かった場合には、行先階決定部505での処理を終了し、自律移動体500は自階に残る。
【0021】
エレベーター連携装置100は、検知部103、受付部102、利用者情報取得部104、記憶部101、行先階選定部105、第1の特定部106、送信部107、及び登録部108を備える。
図2は、実施の形態1に係るエレベーター連携装置100の機能構成図を詳細に示す図である。
図2に示すように、行先階選定部105は、滞在人数推定部105aと属性別滞在人数推定部105bと選定部105cとを備える。
【0022】
検知部103は、自律移動体500がエレベーター11に近づいたことを検知する。
検知部103は、たとえば、建物内に設置されたカメラやセンサから得られた情報から、自律移動体500がエレベーター11近傍の予め設定された領域内に入ったことを検知する。
また、検知部103は、自律移動体500のGPS(Global Positioning System)情報を取得し、その情報に基づいて、自律移動体500がエレベーター11に近づいたことを検知してもよい。
【0023】
受付部102は、自律移動体500からエレベーター11に対する利用要求を受け付ける。
具体的には、受付部102が、自律移動体500の呼出部502から発信された乗場呼び信号を受信する。
また、受付部102は、検知部103が検知したことを、自律移動体500からエレベーター11に対する利用要求とみなしてもよい。
検知部103が自律移動体500を検知した場合は、受付部102が自律移動体500からの乗場呼び信号を受信する処理は省略してもよい。
【0024】
利用者情報取得部104は、自律移動体500がエレベーター11により移動する建物の各階に滞在する利用者の情報を利用者情報として取得する。
具体的には、利用者情報取得部104はエレベーターシステム10から利用者情報を取得する処理を、定期的及び/または非定期的に行う。
利用者情報取得部104は、たとえば、任意のタイミングでエレベーターシステム10から利用者情報を取得してもよいし、後述する滞在人数推定部105aが指定するタイミングで利用者情報を取得してもよい。
利用者情報取得部104は、定期的に利用者情報を取得してもよい。
【0025】
記憶部101は、属性に対応するジャンル情報を記憶する。
属性とは、利用者の属性を指す。
本実施の形態において、ジャンル情報は、報知情報のジャンルを示す報知種別情報を想定しているが、これに限定されない。
属性に対応するジャンル情報を参照することにより、ある属性における利用者に関連のあるジャンル情報を推定することができる。
図3は、記憶部101に記憶された属性に対応するジャンル情報の一例である。
図3には、「10代:ジャンルA、20代:ジャンルA、30代:ジャンルA、40代:ジャンルB、50代:ジャンルB、60代~:ジャンルC」とあるように、年代別に対応するジャンルが示されている。
ジャンル情報に対応する属性は、複数の属性の組み合わせでもよい。
たとえば、図4に示す、記憶部101に記憶された属性に対応するジャンル情報の一例のように、性別ごとに年代をわけて、ジャンル情報と対応づいた情報でもよい。
【0026】
行先階選定部105は、利用者情報取得部104が取得した利用者情報に基づいて、建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定する。
具体的には、滞在人数推定部105aが、利用者情報に基づいて、建物の各階の滞在人数を推定し、属性別滞在人数推定部105bが建物の各階の属性別滞在人数を推定し、選定部105cが滞在人数または属性別滞在人数に基づいて、建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定する。
ここで、滞在人数とは、建物の各階の現在状況、混雑状況、人気状況、または、環境状態を示す指標の一例である。以下、滞在人数とは、建物の各階に滞在する利用者の人数または、受付部102が自律移動体500からエレベーター11の利用要求を受け付ける前の所定時間内における各階に移動した利用者の累積数のことを指す。
所定時間は、昼食時間、イベント開催時間、特売時間、一定の単位時間等、任意に設定することができる。
【0027】
滞在人数推定部105aは、利用者情報に含まれる、エレベーター11またはエレベーター11の乗場等に設置された測定装置12により測定された人数に関する情報に基づいて、各階の滞在人数を推定する。
具体的には、滞在人数推定部105aは、建物の開場時刻から現在時刻までの営業時間内に、各階でエレベーター11から降車した降車人数の累積数から各階でエレベーター11に乗車した乗車人数の累積数を減算した人数を各階の滞在人数として計算する。
1階の滞在人数に関しては、利用者情報に含まれる、1階の建物入口付近に設置されたセンサにより取得された建物の来場者数の累積数から、エレベーター11で1階を除く各階に降車した降車人数の累積数を減算して推定する。
あるいは、滞在人数推定部105aは、所定時間内に、各階でエレベーター11から降車した降車人数の累積数から各階でエレベーター11に乗車した乗車人数の累積数から減算した人数を各階の滞在人数として計算する。
あるいは、滞在人数推定部105aは、所定時間内において建物の各階でエレベーター11から降車した降車人数の累積数のみを推定し、各階での滞在人数としてみなしてもよい。
図5は、滞在人数推定部105aにより推定された推定結果の一例を示すものである。
図5は、1時間あたりの各階における降車人数の累積数(滞在人数)である、「1階:100人、2階:20人、3階50人、4階:70人、5階:120人」が示されている。
また、滞在人数推定部105aは、利用者情報を用いて、図6に示す利用者の各階での標準滞在時間を推定し、滞在人数の補正に用いてもよい。利用者情報には、降車時刻が含まれているものとする。滞在人数推定部105aは、利用者情報に基づいて各階の降車人数とともに降車時刻を記憶しておき、標準滞在時間が経過した場合に、滞在人数から降車人数を減算することにより、滞在人数を補正する。
【0028】
属性別滞在人数推定部105bは、利用者情報に含まれる人数及び属性に関する情報に基づいて、各階の滞在人数を属性別に推定する。
具体的には、営業時間内、または、受付部102が自律移動体500からエレベーター11の利用要求を受け付ける前の所定時間内において、建物の各階に滞在する利用者の人数を属性別に推定する。
図7は、属性別滞在人数推定部105bにより推定された推定結果の一例を示すものである。
図7は、1時間あたりの各階における滞在人数が年代別に示されている。
図7に示すように、年代別の滞在人数を階ごとに合計して各階の滞在人数を算出し、滞在人数推定部105aが推定した各階の推定結果と同じものとして用いることもできる。
なお、属性別滞在人数推定部105bが推定する属性別滞在人数の属性は複数の属性の組み合わせでもよい。属性別滞在人数推定部105bは、たとえば、性別ごとに年代をわけて、各階の滞在人数を推定してもよい。
また、属性別滞在人数推定部105bは、利用者情報を用いて、利用者の各階での標準滞在時間を属性別に推定し、属性別滞在人数の補正に用いてもよい。
図8は、ある階での利用者の属性別標準滞在時間を示した図である。
属性別滞在人数推定部105bは、利用者情報に基づいて各階の属性別の降車人数とともに属性別の降車時刻を記憶しておき、属性別標準滞在時間が経過した場合に、属性別滞在人数から属性別の降車人数を減算することにより、属性別滞在人数を補正する。
【0029】
選定部105cは、滞在人数推定部105aが推定した滞在人数に基づいて、建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定する。
具体的には、選定部105cは、滞在人数推定部105aにより推定された滞在人数が最も多い階を含む1以上の階を自律移動体500への推奨行先階として選定する。
選定部105cが、図5に示す各階の滞在人数に基づいて推奨行先階を選定する場合について説明する。
選定部105cは、降車人数(滞在人数)が最も多い階を含む1以上の階を選定する。
この場合においては、「階:5階、降車人数(滞在人数):120人」より、5階を少なくとも含む階が推奨行先階として選定される。
選定部105cは、各階の滞在人数が多い順に推奨行先階を複数選定してよい。
選定部105cは、自律移動体500が位置する自階を除いて、推奨行先階を選定してよい。
また、選定部105cは、滞在人数が閾値を超えない階の中から、滞在人数が最も多い階を含む1以上の階を推奨行先階として選定するようにしてもよい。
閾値は、利用者が過密すぎる階への移動を制限するために設けられ、任意に設定することができる。
【0030】
第1の特定部106は、推奨行先階として選定された階に滞在する利用者の属性に対応するジャンル情報を記憶部から特定する。
具体的には、属性別滞在人数推定部105bにより推定された属性別滞在人数と、記憶部101に記憶されている属性に対応するジャンル情報とに基づいて、推奨行先階における属性別滞在人数が多い属性から順に1つ以上の属性を抽出し、抽出した属性に関連するジャンル情報を特定する。
推奨行先階が5階と選定され、図7に示す属性別滞在人数と図3に示す属性に対応するジャンル情報に基づいて、推奨行先階における利用者に多い属性を抽出し、抽出した属性に関連のあるジャンル情報を特定する場合について説明する。
図7の属性別滞在人数によると、5階に滞在する利用者の属性は、「10代:0人、20代:10人、30代:20人、40代:10人、50代:30人、60代~:50人」であることから、5階には60代以上の利用者が最も多いことがわかる。
続いて、図3の属性に対応するジャンル情報によると、「10代:ジャンルA、20代:ジャンルA、30代:ジャンルA、40代:ジャンルB、50代:ジャンルB、60代~:ジャンルC」であることから、推奨行先階5階において滞在人数の多い60代以上の利用者に関連するジャンルは、ジャンルCであることがわかる。
【0031】
送信部107は、行先階選定部105が選定した推奨行先階と推奨行先階に滞在する利用者に多い属性と関連のあるジャンル情報を自律移動体500の受信部503に提供する。
また、推奨行先階が自階のみであった場合には、送信部107が自律移動体500の受信部503に推奨行先階が自階であることを通知するための自階通知を送ってもよい。
【0032】
登録部108は、行先階選定部105が選定した推奨行先階を自律移動体500の行先階として、エレベーター11システムの制御部13に登録する。
登録部108が、制御部13に、行先階に対する乗場呼びもしくはかご呼びを登録することで、エレベーターシステム10は、自律移動体500がエレベーター11に乗り込むかごを配車し、かごを行先階で停車させることが可能となる。
なお、推奨行先階が2以上ある場合、登録部108は、自律移動体500から推奨行先階のいずれかの階を行先階として指定する信号を受信し、その信号により指定された行先階をエレベーター11の制御部13に登録してもよい。
【0033】
次に、図9に示すフローチャートを参照して、エレベーター連携装置100により行われる処理の一例を説明する。
まず、利用者情報取得部104が、エレベーターシステム10から利用者情報を取得する(ステップS11)。
次に、受付部102が自律移動体500からのエレベーター11に対する利用要求を受け付けることにより、または、検知部103が自律移動体500がエレベーター11に近づいたことを検知することにより、次のステップS13の処理を行う(ステップS12)。受付部102が自律移動体500の受付を受け付けていない場合、あるいは、検知部103が検知していない場合は、ステップS11に戻り、利用者情報取得部104が、エレベーターシステム10から最新の利用者情報を取得する。
ステップS13では、滞在人数推定部105aが、利用者情報に基づいて各階の滞在人数を推定する(ステップS13)。
属性別滞在人数推定部105bは、利用者情報に基づいて各階の属性別滞在人数を推定する(ステップS14)。
次いで、選定部105cは、滞在人数推定部105aが推定した各階の滞在人数に基づいて、自律移動体500の推奨行先階を選定する(ステップS15)。
選定部105cが選定した推奨行先階が自階以外を含んでいる場合は、ステップS18の処理を行う(ステップS16)。選定部105cが選定した推奨行先階が、自階以外を含んでいない、つまり、自階のみの場合は、ステップS17の処理を行う。
送信部107は、選定部105cが選定した推奨行先階が自階のみであった場合に、自律移動体500に自階通知を行い、ステップS11に戻る(ステップS17)。
次に、第1の特定部106が、属性別滞在人数推定部105bにより推定された属性別滞在人数と、記憶部101に記憶されている属性に対応するジャンル情報とに基づいて、推奨行先階における属性別滞在人数が多い属性を抽出し、抽出した属性に関連するジャンル情報を特定する(ステップS18)。
送信部107は、選定部105cにより選定された推奨行先階と第1の特定部106により特定されたジャンル情報を、自律移動体500に提供する(ステップS19)。
次いで、登録部108が、推奨行先階を自律移動体500の行先階としてエレベーター11の制御部13に登録する(ステップS20)。登録部108は、推奨行先階が1つのみの場合、推奨行先階を行先階として制御部13に登録する。登録部108は、推奨行先階が2以上ある場合、自律移動体500から推奨行先階のいずれかの階を行先階として指定する信号を受信し、その信号により指定された行先階を制御部13に登録する。
その後、ステップS11に戻る。
【0034】
エレベーター連携装置100の各構成は、図10に示す、プロセッサ901、メモリ902及び信号入出力部903を備えたコンピュータにより構成されている。
検知部103、受付部102、利用者情報取得部104、行先階選定部105、第1の特定部106、送信部107、登録部108の各機能は、このコンピュータにより実現される。
即ち、コンピュータのメモリ902には、検知部103、受付部102、利用者情報取得部104、行先階選定部105、第1の特定部106、及び送信部107、登録部108の各機能を実現するためのプログラム(エレベーター連携プログラム)が格納されている。
また、記憶部101に記憶される情報は、メモリ902に格納される。
プロセッサ901は、メモリ902に格納されたプログラムに基づいて、エレベーター連携装置100の動きを制御するための演算処理を実行する。
【0035】
以上説明したように、実施の形態1のエレベーター連携装置100は、自律移動体500がエレベーター11により移動する建物の各階に滞在する利用者の情報を利用者情報として取得する利用者情報取得部104と、利用者情報取得部104が取得した利用者情報に基づいて、建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定する行先階選定部105と、行先階選定部105が選定した推奨行先階を自律移動体500に提供する送信部107と、を備えている。
これにより、建物の各階に滞在する利用者の情報から、自律移動体500の推奨行先階を選定し、選定した推奨行先階に関する情報を自律移動体500に提供することができる。
【0036】
エレベーター連携装置100が、検知部103と受付部102の一方または両方を備えることにより、自律移動体500からエレベーター11に対する利用要求を受け付け、利用要求の受付を受けて、行先階選定部105の処理が開始される。
【0037】
エレベーター連携装置100が、登録部108をさらに備えることで、登録部108が、推奨行先階を自律移動体500の行先階としてエレベーターシステム10の制御部13に登録し、自律移動体500を推奨行先階へ届けることができる。
【0038】
エレベーター連携装置100が、ジャンル情報に対応する属性を記憶する記憶部101と、推奨行先階として選定された階に滞在する利用者の属性に対応するジャンル情報を記憶部101から特定する第1の特定部106とをさらに備えることで、推奨行先階に滞在する利用者の属性に関連するジャンル情報を自律移動体500に提供することができる。
自律移動体500は、提供されたジャンル情報を基に、行先階での利用者に効果的な報知情報を選択することができる。
【0039】
なお、上記実施の形態では、行先階選定部105が、各階の滞在人数を推定するための機能として、滞在人数推定部105aと属性別滞在人数推定部105bを有する場合について説明したが、必要に応じてどちらか一方の機能のみを有する構成にしてもよい。
また、行先階選定部105が各階の滞在人数を推定するための機能として、滞在人数推定部105aのみを有している場合は、利用者の属性に関した情報を用いる処理(ステップS14)は省略してよい。
【0040】
なお、上記実施の形態では、送信部107が、選定部105cで選定した推奨行先階と第1の特定部106で特定したジャンル情報を自律移動体500に提供する場合について説明したが、これに限定されない。選定部105cは、推奨行先階のみを自律移動体500に提供してもよい。
【0041】
なお、上記実施の形態では、利用者情報取得部104が利用者情報をエレベーターシステム10から取得する場合について説明したがこれに限定されない。建物に設置されたゲート、防犯カメラ等の設備等から、建物の利用者に関する情報が取得できれば、その情報を利用者情報として利用者情報取得部104が取得してよい。
【0042】
実施の形態2.
まず、本実施の形態を機能的に概略説明する。
デジタルサイネージロボット等の自律移動体600から報知したい報知情報のジャンルを取得すると、エレベーター連携装置200はそのジャンルに関連のある(関心が高い)利用者が多く滞在する階または、多く降車した階を推奨行先階として選定する。
【0043】
次に、本実施の形態におけるエレベーター連携装置200の詳細について説明する。
図11は、実施の形態2に係るエレベーター連携システム2000の機能構成図を示す図である。
図11に示す通り、実施の形態2は、エレベーター連携装置200が、自律移動体600からジャンル情報を取得するジャンル情報取得部209と、ジャンル情報取得部209が取得したジャンル情報に対応する属性を記憶部101から特定する第2の特定部210と、を備え、行先階選定部205が有する選定部205cは、第2の特定部210が特定した属性と、属性別滞在人数とに基づいて、推奨行先階を選定する点で実施の形態1と相違する。
また、実施の形態2は、第1の特定部206が特定したジャンル情報が、ジャンル情報取得部209により取得されたジャンル情報と一致する場合には、他のジャンル情報をさらに特定する点でも実施の形態1と相違する。
また、実施の形態2は、送信部207が、選定部205cが選定した推奨行先階と、ジャンル情報取得部209が取得したジャンル情報と、第1の特定部206が特定したジャンル情報を、自律移動体600の受信部603に提供する点でも実施の形態1と相違する。
また、実施の形態2は、自律移動体600が、報知予定である報知情報に対応するジャンル情報をエレベーター連携装置200に送信するジャンル情報送信部606を備える点でも実施の形態1と相違する。
以下の説明では、この相違点を中心に説明し、実施の形態1と同様の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
自律移動体600は、ジャンル情報送信部606をさらに備える。
ジャンル情報送信部606は、報知予定である報知情報に対応するジャンル情報をエレベーター連携装置200に送信する。
このジャンル情報は、予め自律移動体600の報知情報記憶部に記憶されたジャンル情報でもよいし、自律移動体600を管理するシステム等から受信したジャンル情報でもよい。
【0045】
図12は、実施の形態2に係るエレベーター連携装置200の機能構成図を詳細に示す図である。
図12に示すように、エレベーター連携装置200は、ジャンル情報取得部209と第2の特定部210をさらに備える。
また、選定部205c、第1の特定部206、及び、送信部207は、実施の形態1とは相違する。
【0046】
ジャンル情報取得部209は、自律移動体600のジャンル情報送信部606より、自律移動体600が報知予定である報知情報に対応するジャンル情報を取得する。
【0047】
第2の特定部210は、記憶部101が記憶しているジャンル情報に対応する属性を基に、ジャンル情報取得部209が取得したジャンル情報に対応する属性を特定する。
具体的に、自律移動体600の報知予定の報知情報のジャンルが「ジャンルC」である場合、ジャンル情報取得部209は「ジャンルC」というジャンル情報を取得し、第2の特定部210は「ジャンルC」に対応する属性を特定する。
記憶部101が記憶している、図3に示す属性に対応するジャンル情報(ジャンル情報に対応する属性と同等)によると、「ジャンルC」は、属性が「60代~」の利用者と対応付けられていることがわかる。
【0048】
選定部205cは、第2の特定部210が特定した属性と、属性別滞在人数推定部105bが推定した属性別滞在人数とに基づいて、推奨行先階を選定する。
具体的に、第2の特定部210が特定した年代に関する属性が「60代~」であり、図7に示す各階の属性別滞在人数を用いて、選定部205cが推奨行先階を選定する場合について説明する。
図7に示す属性別滞在人数の、属性が「60代~」である利用者の各階における滞在人数に着目すると、「1階:0人、2階:0人、3階:10人、4階:0人、5階:50人」である。
選定部205cは、第2の特定部210が特定した属性「60代~」の利用者が多く滞在していると推定される5階を少なくとも含む階を推奨行先階とする。
【0049】
第1の特定部206は、推奨行先階として選定された階に滞在する利用者の属性に対応するジャンル情報を記憶部から特定する。
具体的には、属性別滞在人数推定部105bにより推定された属性別滞在人数と、記憶部101に記憶されている属性に対応するジャンル情報とに基づいて、推奨行先階における属性別滞在人数が多い属性から順に1つ以上の属性を抽出し、抽出した属性に関連するジャンル情報を特定する。
特定したジャンル情報が、ジャンル情報取得部209により取得されたジャンル情報と一致する場合には、他のジャンル情報をさらに特定する。
具体的には、推奨行先階における属性別滞在人数が多い属性から順に属性を抽出し、抽出した属性に関連するジャンル情報を特定する処理を、ジャンル情報取得部209により取得されたジャンル情報以外のジャンル情報を特定できるまで繰り返す。
【0050】
送信部207は、選定部205cが選定した推奨行先階と、ジャンル情報取得部209が取得したジャンル情報と、第1の特定部206が特定した推奨行先階に滞在する利用者に多い属性と関連のあるジャンル情報を、自律移動体600の受信部603に提供する。
【0051】
次に、図13に示すフローチャートを参照して、エレベーター連携装置200により行われる処理の一例を説明する。
図13に示す処理内容は、滞在人数推定部105aでの処理(ステップS13)及び、属性別滞在人数推定部105bでの処理(ステップS14)の後に行われる、ジャンル情報取得部209、第2の特定部210、及び選定部205cでの処理が実施の形態1とは異なる。
滞在人数推定部105aが、各階における滞在人数を推定し(ステップS13)、属性別滞在人数推定部105bが各階における属性別滞在人数を推定した後(ステップS13)、ジャンル情報取得部209が自律移動体600からジャンル情報を取得することにより、次のステップS22に進む(ステップS21)。ジャンル情報取得部209がジャンル情報を取得していない場合は、ステップS23の処理に進む。
次に、第2の特定部210が、記憶部101が記憶しているジャンル情報に対応する属性を基に、ジャンル情報取得部209が取得したジャンル情報に対応する属性を特定する(ステップS22)。
次いで、選定部205cが、第2の特定部210が特定した属性と、属性別滞在人数推定部105bが推定した属性別滞在人数とに基づいて、推奨行先階を選定する(ステップS23)。なお、ジャンル情報取得部209がジャンル情報を取得していない場合は、滞在人数推定部105aが推定した各階の滞在人数に基づいて、推奨行先階を選定する。
次に、第1の特定部206は、推奨行先階として選定された階に滞在する利用者の属性に対応するジャンル情報を記憶部101から特定する(ステップS24)。なお、抽出したジャンル情報が、ジャンル情報取得部209により取得されたジャンル情報と一致する場合には、他のジャンル情報をさらに特定する。
送信部207は、選定部205cが選定した推奨行先階と、ジャンル情報取得部209が取得したジャンル情報と、第1の特定部206が特定した推奨行先階に滞在する利用者に多い属性と関連のあるジャンル情報を、自律移動体600の受信部603に提供する(ステップS25)。
その他の処理に関しては、基本的に実施の形態1での説明に準ずる。
【0052】
以上説明したように、実施の形態2のエレベーター連携装置200は、自律移動体600がエレベーター11により移動する建物の各階に滞在する利用者の情報を利用者情報として取得する利用者情報取得部104と、利用者情報取得部104が取得した利用者情報に基づいて、建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定する行先階選定部205と、行先階選定部205が選定した推奨行先階を自律移動体600に提供する送信部207と、を備えている。
これにより、建物の各階に滞在する利用者の情報から、自律移動体600の推奨行先階を選定し、選定した推奨行先階に関する情報を自律移動体600に提供することができる。
【0053】
また、実施の形態2のエレベーター連携装置200は、ジャンル情報に対応する属性を記憶する記憶部101と、自律移動体600からジャンル情報を取得するジャンル情報取得部209と、ジャンル情報取得部209が取得したジャンル情報に対応する属性を記憶部101から特定する第2の特定部210とを備える。
これにより、自律移動体600が報知予定である報知情報のジャンルに関連のある利用者が多く滞在する階を推奨行先階として選定し、選定した推奨行先階に関する情報を自律移動体600に提供することができる。自律移動体600は、報知予定の報知情報に関心の高い利用者が多く滞在する階に移動することができる。
【0054】
なお、上記実施の形態では、送信部207が、選定部205cで選定した推奨行先階と、ジャンル情報取得部209が取得したジャンル情報と、第1の特定部206で特定したジャンル情報を、自律移動体600に提供する場合について説明したが、これに限定されない。
送信部207は、推奨行先階のみを自律移動体600に提供してもよい。この場合、第1の特定部206による処理(ステップS24)は省略してよい。
あるいは、送信部207は、推奨行先階と、第1の特定部206で特定したジャンル情報からジャンル情報取得部209で取得したジャンル情報を除いた情報を、自律移動体600に提供してもよい。
自律移動体600が複数のジャンル情報を受信した場合は、複数のジャンル情報を交代で報知すればよい。
【0055】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
自律移動体がエレベーターにより移動する建物の各階に滞在する利用者の情報を利用者情報として取得する利用者情報取得部と、
前記利用者情報取得部が取得した前記利用者情報に基づいて、前記建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定する行先階選定部と、
前記行先階選定部が選定した前記推奨行先階を前記自律移動体に提供する送信部と、
を備えるエレベーター連携装置。
(付記2)
前記行先階選定部は、
前記利用者情報取得部が取得した前記利用者情報に基づいて、前記建物の各階の滞在人数を推定する滞在人数推定部と、
前記滞在人数推定部が推定した前記滞在人数に基づいて、前記建物の一つ以上の階を前記推奨行先階として選定する選定部と、
を有する付記1に記載のエレベーター連携装置。
(付記3)
前記選定部は、前記滞在人数が閾値を超えない階の中から前記推奨行先階を選定する付記1または付記2のいずれか1項に記載のエレベーター連携装置。
(付記4)
前記利用者情報取得部は、前記エレベーターに設置された測定装置により測定された人数と、乗場に設置された測定装置により測定された人数との少なくともいずれかを含む情報を、前記利用者情報として取得する付記1から3のいずれか1項に記載のエレベーター連携装置。
(付記5)
前記行先階選定部は、前記利用者情報取得部が取得した前記利用者情報に基づいて、前記建物の各階で前記エレベーターから降車した降車人数を推定し、前記降車人数に基づいて、前記建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定する付記1から4のいずれか1項に記載のエレベーター連携装置。
(付記6)
前記利用者情報取得部は、前記利用者の人数及び属性に関する情報を前記利用者情報として取得し、
前記行先階選定部は、
前記利用者情報取得部が取得した前記利用者情報に基づいて、前記建物の各階の属性別滞在人数を推定する属性別滞在人数推定部をさらに有し、
前記選定部は、前記属性別滞在人数推定部が推定した前記属性別滞在人数に基づいて、前記推奨行先階を選定する付記1から5のいずれか1項に記載のエレベーター連携装置。
(付記7)
属性に対応するジャンル情報を記憶する記憶部と、
前記推奨行先階として選定された階に滞在する前記利用者の前記属性に対応するジャンル情報を前記記憶部から特定する第1の特定部と、
を備え、
前記送信部は、前記第1の特定部が特定した前記ジャンル情報を前記自律移動体に提供する付記1から6のいずれか1項に記載のエレベーター連携装置。
(付記8)
ジャンル情報に対応する属性を記憶する記憶部と、
前記自律移動体からジャンル情報を取得するジャンル情報取得部と、
前記ジャンル情報取得部が取得したジャンル情報に対応する属性を前記記憶部から特定する第2の特定部と、
を備え、
前記選定部は、前記第2の特定部が特定した属性と、前記属性別滞在人数とに基づいて、前記推奨行先階を選定する付記1から7のいずれか1項に記載のエレベーター連携装置。
(付記9)
前記自律移動体から前記エレベーターに対する利用要求を受け付ける受付部を備え、
前記行先階選定部は、前記受付部が前記利用要求を受け付けたことを受けて、前記推奨行先階を選定する付記1から8のいずれか1項に記載のエレベーター連携装置。
(付記10)
前記自律移動体が前記エレベーターに近づいたことを検知する検知部を備え、
前記受付部は、前記検知部が検知したことを前記利用要求があったものとみなす付記1から9に記載のエレベーター連携装置。
(付記11)
前記行先階選定部が選定した推奨行先階を前記自律移動体の行先階として前記エレベーターに登録する登録部を備え、
前記登録部は、前記推奨行先階が2以上ある場合に、前記自律移動体から前記推奨行先階のいずれかの階を行先階として指定する信号を受信し、前記信号により指定された前記行先階を前記エレベーターに登録する付記1から10に記載のエレベーター連携装置。
(付記12)
付記1から11のいずれか1項に記載のエレベーター連携装置と、
前記エレベーターと、
を備えるエレベーター連携システム。
(付記13)
付記1から11のいずれか1項に記載のエレベーター連携装置と、
前記エレベーターと、
前記自律移動体と、
を備えるエレベーター連携システム。
(付記14)
建物の一つ以上の階を含む推奨行先階に関する情報を取得する受信部を備え、
前記受信部が取得した前記推奨行先階に含まれた前記一つ以上の階のいずれかの階に移動する自律移動体。
(付記15)
前記推奨行先階が2以上ある場合に、前記推奨行先階のいずれかを行先階として決定する行先階決定部を備え、
前記行先階決定部は、前記行先階を指定する信号を発信する付記14に記載の自律移動体。
(付記16)
前記建物の利用者に報知情報を報知する報知部と、
前記報知部が報知予定である報知情報のジャンル情報を送信するジャンル情報送信部と、
前記受信部は、前記ジャンル情報から特定された推奨行先階に関する情報を取得する付記14または15のいずれか1項に記載の自律移動体。
(付記17)
自律移動体がエレベーターにより移動する建物の各階に滞在する利用者の情報を利用者情報として取得するステップと、
前記利用者情報に基づいて、前記建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定するステップと、
前記推奨行先階を前記自律移動体に提供するステップと、
を備えるエレベーター連携方法。
(付記18)
自律移動体がエレベーターにより移動する建物の各階に滞在する利用者の情報を利用者情報として取得するステップと、
前記利用者情報に基づいて、前記建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定するステップと、
前記推奨行先階を前記自律移動体に提供するステップと、
をコンピュータに実行させるエレベーター連携プログラム。
【符号の説明】
【0056】
10 エレベーターシステム
11 エレベーター
12 測定装置
13 制御部
100 エレベーター連携装置
101 記憶部
102 受付部
103 検知部
104 利用者情報取得部
105 行先階選定部
105a 滞在人数推定部
105b 属性別滞在人数推定部
105c 選定部
106 第1の特定部
107 送信部
108 登録部
200 エレベーター連携装置
205 行先階選定部
205c 選定部
206 第1の特定部
207 送信部
209 ジャンル情報取得部
210 第2の特定部
500 自律移動体
501 報知部
502 呼出部
503 受信部
504 通信部
505 行先階決定部
600 自律移動体
603 受信部
606 ジャンル情報送信部
901 プロセッサ
902 メモリ
903 信号入出力部
1000 エレベーター連携システム
2000 エレベーター連携システム
【要約】
【課題】行先階に関する情報を自律移動体に提供できるようにする。
【解決手段】自律移動体がエレベーターにより移動する建物の各階に滞在する利用者の情報を利用者情報として取得する利用者情報取得部104と、利用者情報取得部104が取得した利用者情報に基づいて、建物の一つ以上の階を推奨行先階として選定する行先階選定部105と、行先階選定部105が選定した推奨行先階を自律移動体に提供する送信部107と、を備えるエレベーター連携装置を提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13