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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】ツールホルダのアタッチメント
(51)【国際特許分類】
   B23Q 5/04 20060101AFI20250513BHJP
   B23B 29/12 20060101ALI20250513BHJP
   B23B 31/00 20060101ALI20250513BHJP
   B23Q 3/12 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
B23Q5/04 520Z
B23B29/12 Z
B23B31/00 Z
B23Q3/12 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2024563227
(86)(22)【出願日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2024027189
【審査請求日】2024-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】原田 真志
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-194627(JP,A)
【文献】特開2008-194795(JP,A)
【文献】実開昭62-039939(JP,U)
【文献】特開平06-335835(JP,A)
【文献】実開昭62-181337(JP,U)
【文献】実開昭51-136577(JP,U)
【文献】特開2023-151384(JP,A)
【文献】特表2018-535105(JP,A)
【文献】特表2011-518048(JP,A)
【文献】特開2020-104237(JP,A)
【文献】特開2001-096437(JP,A)
【文献】特開2013-202735(JP,A)
【文献】特開平07-060515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 5/04
B23B 29/12
B23B 31/00
B23Q 3/12
B23Q 17/00、09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械に含まれる工具取付部とツールホルダとをつなぐアタッチメント本体と、
前記ツールホルダが加工時に相対的に動作しないように一体的に固定される前記アタッチメント本体に取り付けられ、前記アタッチメント本体の物理量を検知するセンサ部と、を備える、
ツールホルダのアタッチメント。
【請求項2】
前記センサ部は、
前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子と、
前記センサ素子による検知に応じて生じた信号を外部へと送信する無線通信部と、を有する、請求項1に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項3】
前記センサ部は、
前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子と、
前記センサ素子へ電力を供給する電力供給部と、を有する、請求項1に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項4】
前記センサ部は、前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子を有し、
前記アタッチメントは、前記少なくとも1つのセンサ素子が収容されるケースを更に備える、請求項1に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項5】
前記アタッチメントは、
前記アタッチメント本体の外周面と前記ケースとの間において、前記少なくとも1つのセンサ素子を囲むシール部を更に備える、請求項4に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項6】
前記アタッチメント本体は、
基部と、
前記ツールホルダから前記工具取付部に向かう第1の方向に沿って前記基部から突き出ており、前記工具取付部に取り付けられるシャンク部と、
前記工具取付部から前記ツールホルダに向かう第2の方向に沿って前記基部から突き出ており、前記ツールホルダのシャンクが差し込まれる差込穴を含む把持部と、を有し、
前記シャンク部の外周面は、前記第1の方向に進むに従って中心軸に近づくようなテーパ面を含む、請求項1に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項7】
前記アタッチメント本体は、
基部と、
前記ツールホルダから前記工具取付部に向かう第1の方向に沿って前記基部から突き出ており、前記工具取付部に取り付けられるシャンク部と、
前記工具取付部から前記ツールホルダに向かう第2の方向に沿って前記基部から突き出ており、前記ツールホルダのシャンクが差し込まれる差込穴を含む把持部と、を有し、
前記差込穴を取り囲む内周面は、前記第1の方向に進むに従って中心軸に近づくようなテーパ面を含む、請求項1に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項8】
工作機械に含まれる工具取付部とツールホルダとをつなぐアタッチメント本体と、
前記アタッチメント本体に取り付けられ、前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子を有するセンサ部と、を備え、
前記アタッチメント本体は、
基部と、
前記ツールホルダから前記工具取付部に向かう第1の方向に沿って前記基部から突き出ており、前記工具取付部に取り付けられるシャンク部と、
前記工具取付部から前記ツールホルダに向かう第2の方向に沿って前記基部から突き出ており、前記ツールホルダのシャンクが差し込まれる差込穴を含む把持部と、を有し、
前記シャンク部の外周面は、前記第1の方向に進むに従って中心軸に近づくようなテーパ面を含み、
前記第2の方向に直交しかつ前記少なくとも1つのセンサ素子に交差する仮想平面が前記差込穴に交差する、ツールホルダのアタッチメント。
【請求項9】
工作機械に含まれる工具取付部とツールホルダとをつなぐアタッチメント本体と、
前記アタッチメント本体に取り付けられ、前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子を有するセンサ部と、を備え、
前記アタッチメント本体は、
基部と、
前記ツールホルダから前記工具取付部に向かう第1の方向に沿って前記基部から突き出ており、前記工具取付部に取り付けられるシャンク部と、
前記工具取付部から前記ツールホルダに向かう第2の方向に沿って前記基部から突き出ており、前記ツールホルダのシャンクが差し込まれる差込穴を含む把持部と、を有し、
前記差込穴を取り囲む内周面は、前記第1の方向に進むに従って中心軸に近づくようなテーパ面を含み、
前記第2の方向に直交しかつ前記少なくとも1つのセンサ素子に交差する仮想平面が前記差込穴に交差する、ツールホルダのアタッチメント。
【請求項10】
前記少なくとも1つのセンサ素子は、前記物理量が入力される領域である検知領域を含み、
前記検知領域に交差する前記仮想平面が前記差込穴に交差する、請求項8または請求項9に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項11】
前記センサ部は、前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子を有し、
前記アタッチメント本体の外周面には、前記少なくとも1つのセンサ素子の少なくとも一部が配置される窪みが形成されている、請求項1、請求項8および請求項9のいずれか一項に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項12】
工作機械に含まれる工具取付部とツールホルダとをつなぐアタッチメント本体と、
前記アタッチメント本体に取り付けられ、前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子を有するセンサ部と、を備え、
前記センサ部は、
基板と、
前記基板と前記少なくとも1つのセンサ素子とを電気的に接続する配線と、
を更に有し、
前記少なくとも1つのセンサ素子は、前記基板に対し、前記工具取付部から前記ツールホルダに向かう第2の方向に位置する領域に配置されている、ツールホルダのアタッチメント。
【請求項13】
前記把持部は、前記少なくとも1つのセンサ素子が配置され、前記把持部における外周面から窪む配置部を有し、
前記把持部に含まれる外周面と前記差込穴を取り囲む内周面との間の厚さは、前記仮想平面と前記内周面との交線に沿う第3の方向において変化するように構成されており、
前記配置部は、前記把持部に含まれる外周面のうち前記厚さの最小値に対応する部位に対し、前記第3の方向にずれた位置に形成されている、請求項8または請求項9に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項14】
前記センサ部は、前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子を有し、
前記少なくとも1つのセンサ素子が力センサ素子を含む、請求項1、請求項8、請求項9および請求項12のいずれか一項に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項15】
前記センサ部は、前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子を有し、
前記少なくとも1つのセンサ素子が加速度センサ素子またはAEセンサ素子を含む、請求項1、請求項8、請求項9および請求項12のいずれか一項に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項16】
前記センサ部は、前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子を有し、
前記少なくとも1つのセンサ素子が温度センサ素子を含む、請求項1、請求項8、請求項9および請求項12のいずれか一項に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項17】
前記アタッチメント本体は、前記アタッチメント本体に含まれる外周面において、前記仮想平面と前記外周面との交線に沿って形成されたスリットを有し、
前記少なくとも1つのセンサ素子は、前記スリットを跨ぐようにして取り付けられた力センサ素子を含む、
請求項8または請求項9に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項18】
前記シャンク部の外周面と前記差込穴を取り囲む内周面とが同一形状である、請求項6から請求項9のいずれか一項に記載のツールホルダのアタッチメント。
【請求項19】
前記シャンク部の外周面と前記差込穴を取り囲む内周面とが異なる形状である、請求項6から請求項9のいずれか一項に記載のツールホルダのアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ツールホルダのアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械を用いて被削材を加工する際に、センサによって切削工具の物理量を測定することにより、切削工具における状態を把握する技術が知られている(例えば、米国特許出願公開第2015/0261207号(特許文献1)、特開2018-54611号公報(特許文献2)、特開2009-285804号公報(特許文献3)、国際公開第2017/002762号(特許文献4)、特許第5988066号(特許文献5)、実用新案登録第3170029号(特許文献6)、特開2015-77658号公報(特許文献7)、国際公開第2015/056495号(特許文献8)、欧州特許出願公開第3292929号(特許文献9)、欧州特許出願公開第3292930号(特許文献10)および米国特許出願公開2009/0235763号(特許文献11)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2015/0261207号
【文献】特開2018-54611号公報
【文献】特開2009-285804号公報
【文献】国際公開第2017/002762号
【文献】特開2016-221665号公報
【文献】実用新案登録第3170029号
【文献】特開2015-77658号公報
【文献】国際公開第2015/056495号
【文献】欧州特許出願公開第3292929号
【文献】欧州特許出願公開第3292930号
【文献】米国特許出願公開2009/0235763号
【発明の概要】
【0004】
本開示に従ったツールホルダのアタッチメントは、工作機械に含まれる工具取付部とツールホルダとをつなぐアタッチメント本体と、前記アタッチメント本体に取り付けられ、前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子を有するセンサ部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、実施の形態において、工作機械の工具取付部に対し、アタッチメントおよびツールホルダが取り付けられた状態を示す概略正面図である。
図2図2は、実施の形態に係るアタッチメントの概略斜視図である。
図3図3は、図2のB-B線を含む断面における概略断面図である。
図4図4は、実施の形態に係るアタッチメントを第2の方向に見た概略平面図である。
図5図5は、実施の形態に係るアタッチメントを第1の方向に見た概略底面図である。
図6図6は、図1のC-C線を含む断面における概略断面図である。
図7図7は、変形例に係るアタッチメントの概略斜視図である。
図8図8は、図7のD-D線を含む断面における概略断面図である。
図9図9は、図8におけるA部分の拡大図である。
図10図10は、変形例に係るアタッチメントを第1の方向に見た概略底面図である。
図11図11は、ケースが取り付けられた状態のアタッチメントの、図7のD-D線を含む断面における概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
センサ部が取り付けられたツールホルダを用いて、切削工具の状態を把握しようとする場合、次の問題がある。成形品の加工の態様に応じて、使用するツールホルダの種類を選択する必要があるため、多種類のツールホルダの各々に、センサ部を取り付ける必要がある。例えば、高負荷な切削加工を行う場合、ツールホルダとして、高い把持力を有するミリングチャックを用いる必要がある。例えば、高精度な切削加工を行う場合、ツールホルダとして、ハイドロチャックまたは焼きばめホルダを用いる必要がある。
【0007】
したがって、センサ部が取り付けられたツールホルダを用いる場合、センサ部の数量が増大するという問題がある。そこで、成形品を切削加工により成形する際に切削工具の状態をセンサ部により把握しようとする場合において、センサ部の数を減らすことができるツールホルダのアタッチメントを提供することが、本開示の目的の1つである。以下、ツールホルダのアタッチメントを、「アタッチメント」という。
【0008】
[本開示の効果]
本開示に係るアタッチメントによれば、成形品を切削加工により成形する際に切削工具の状態をセンサ部により把握しようとする場合において、センサ部の数を減らすことができる。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示に係る実施態様を列記して説明する。本開示に係るアタッチメントは、工作機械に含まれる工具取付部とツールホルダとをつなぐアタッチメント本体と、前記アタッチメント本体に取り付けられ、前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子を有するセンサ部と、を備える。
【0010】
本開示に係るアタッチメントにおいて、アタッチメント本体にセンサ部が取り付けられている。このアタッチメントを用いて、多種類のツールホルダから、必要に応じて選択した1つのツールホルダが工具取付部に装着される。これにより、多種類のツールホルダを用いる場合であっても、アタッチメントに取り付けられたセンサ部によって、切削工具の状態が把握される。この結果、成形品を切削加工により成形する際に切削工具の状態をセンサ部により把握しようとする場合において、センサ部の数を減らすことができる。この結果、センサ部の導入に掛かるイニシャルコストを削減できるうえに、センサ部のメンテナンスの手間を低減してランニングコストも削減できる。切削工具の状態とは、切削工具に生じた物理量に基づく評価(例えば、摩耗、疲労、破損、剥離、塑性変形、割れ)を踏まえた、現状の切削工具の様相を意味する。切削工具の状態を把握することで、例えば、切削工具の交換時期の把握、切削工具における異常の予知を行うことができる。
【0011】
前記アタッチメントにおいて、前記センサ部は、前記センサ素子による検知に応じて生じた信号を外部へと送信する無線通信部を更に有してもよい。この構成により、アタッチメント本体の物理量の情報を含む信号が無線通信部によって、即時に外部へと送信されるため、リアルタイム処理を実行できる。
【0012】
前記アタッチメントにおいて、前記センサ部は、前記センサ素子へ電力を供給する電力供給部を更に有してもよい。この構成により、センサ素子への給電をアタッチメント本体に取り付けられた電力供給部から行うことができる。
【0013】
前記アタッチメントは、前記少なくとも1つのセンサ素子が収容されるケースを更に備えてもよい。この構成により、センサ素子は、切りくず等の異物から保護されやすい。
【0014】
前記アタッチメントは、前記アタッチメント本体の外周面と前記ケースとの間において、前記少なくとも1つのセンサ素子を囲むシール部を更に備えてもよい。この構成により、液体、微細な切りくず等の異物がケース内に入り込む量を減らすことができる。
【0015】
前記アタッチメントにおいて、前記アタッチメント本体は、基部と、シャンク部と、把持部と、を有してもよい。シャンク部は、前記ツールホルダから前記工具取付部に向かう第1の方向に沿って前記基部から突き出ており、前記工具取付部に取り付けられる。把持部は、前記工具取付部から前記ツールホルダに向かう第2の方向に沿って前記基部から突き出ており、前記ツールホルダのシャンクが差し込まれる差込穴を含む。前記シャンク部の外周面は、前記第1の方向に進むに従って中心軸に近づくようなテーパ面を含んでもよい。この構成により、アタッチメントを工具取付部へ装着する際に、シャンク部のテーパ面が工具取付部の内周面に密着しやすく、工具取付部に対するアタッチメントの拘束力が増大しやすい。また、工具取付部の中心軸に対するアタッチメントの中心軸のずれを小さくすることができる。
【0016】
前記アタッチメントにおいて、前記アタッチメント本体は、基部と、シャンク部と、把持部と、を有してもよい。シャンク部は、前記ツールホルダから前記工具取付部に向かう第1の方向に沿って前記基部から突き出ており、前記工具取付部に取り付けられる。把持部は、前記工具取付部から前記ツールホルダに向かう第2の方向に沿って前記基部から突き出ており、前記ツールホルダのシャンクが差し込まれる差込穴を含む。前記差込穴を取り囲む内周面は、前記第1の方向に進むに従って中心軸に近づくようなテーパ面を含んでもよい。この構成により、ツールホルダをアタッチメントへ装着する際に、ツールホルダにおけるシャンクの外周面がアタッチメントの内周面に密着しやすく、アタッチメントに対するツールホルダの拘束力が増大しやすい。また、アタッチメントの中心軸に対するツールホルダの中心軸のずれを小さくすることができる。
【0017】
前記アタッチメントにおいて、前記第2の方向に直交しかつ前記少なくとも1つのセンサ素子に交差する仮想平面が前記差込穴に交差してもよい。この構成により、アタッチメントにおけるツールホルダに近接した部位にセンサ素子を配置できるため、切削工具の状態を把握しやすい。
【0018】
前記アタッチメントにおいて、前記少なくとも1つのセンサ素子は、前記物理量を検知する領域である検知領域を含み、前記検知領域に交差する前記仮想平面が前記差込穴に交差してもよい。この構成により、センサ素子における検知領域が差込穴に近い位置に配置されるため、アタッチメント本体の物理量を検知しやすくなる。
【0019】
前記アタッチメントにおいて、前記アタッチメント本体の外周面には、前記少なくとも1つのセンサ素子の少なくとも一部が配置される窪みが形成されてもよい。この構成により、アタッチメント本体の外周面に対して、センサ素子の配置すべき位置を特定しやすい。
【0020】
前記アタッチメントにおいて、前記センサ部は、基板と、前記基板と前記少なくとも1つのセンサ素子とを電気的に接続する配線と、を更に有してもよい。前記少なくとも1つのセンサ素子は、前記基板に対し、前記工具取付部から前記ツールホルダに向かう第2の方向に位置する領域に配置されてもよい。この構成により、アタッチメント本体において、ツールホルダに近い部位にセンサ素子が配置され、切削工具の状態を把握しやすい。
【0021】
前記アタッチメントにおいて、前記把持部は、前記少なくとも1つのセンサ素子が配置され、前記把持部の外周面から窪む配置部を有してもよい。前記把持部に含まれる外周面と前記差込穴を取り囲む内周面との間の厚さは、前記仮想平面と前記内側面との交線に沿う第3の方向において変化するように構成されてもよい。前記配置部は、前記把持部に含まれる外周面のうち前記厚さの最小値に対応する部位に対し、前記第3の方向にずれた位置に形成されてもよい。この構成により、センサ素子の配置すべき位置を特定しつつ、配置部が形成されたことによって、アタッチメント本体の剛性が低下することを軽減できる。
【0022】
前記アタッチメントにおいて、前記少なくとも1つのセンサ素子が力センサ素子を含んでもよい。この構成により、アタッチメント本体に生じたひずみを把握することができる。
【0023】
前記アタッチメントにおいて、前記少なくとも1つのセンサ素子が加速度センサ素子またはAE(Acoustic Emission)センサ素子を含んでもよい。この構成により、加速度センサ素子またはAEセンサ素子が差込穴に近い部位に配置されるため、アタッチメントに発生した振動を検知しやすい。
【0024】
前記アタッチメントにおいて、前記少なくとも1つのセンサ素子が温度センサ素子を含んでもよい。この構成により、温度センサ素子が差込穴に近い部位に配置されるため、温度センサ素子を、冷却水が通る冷却路から離れた位置に配置しやすい。この結果、温度センサ素子は、冷却水による影響を受けにくく、ツールホルダから伝導する熱を適切に検知できる。
【0025】
前記アタッチメントにおいて、前記アタッチメント本体は、前記アタッチメント本体に含まれる外周面において、前記外側面と前記仮想平面との交線に沿って形成されたスリットを有してもよい。前記少なくとも1つのセンサ素子は、前記スリットを跨ぐようにして取り付けられた力センサ素子を含んでもよい。この構成により、力センサ素子が取り付けられた部分に発生するひずみが局所的に増幅されるため、力センサ素子によるひずみに対する感度を高めやすい。
【0026】
前記アタッチメントにおいて、前記シャンク部の外周面と前記差込穴を取り囲む内周面とが同一形状であってもよい。この構成により、前記アタッチメントとして、エクステンションを用いることができる。
【0027】
前記アタッチメントにおいて、前記シャンク部の内周面と前記差込穴を取り囲む内周面とが異なる形状であってもよい。この構成により、前記アタッチメントとして、アダプタを用いることができる。
【0028】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示に係るアタッチメント10の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図面において、同一または対応する部分には、同一の参照番号を付しその説明は繰り返さない。
【0029】
図1は、本実施の形態に係るアタッチメント10およびツールホルダ4を、工作機械に取り付けた状態の一例を示す概略正面図である。図1を参照して、本実施の形態に係るアタッチメント10は、工作機械が有する工具取付部6と、ツールホルダ4との間に取り付けられる。工作機械は、被削材に対して切削加工を行うことで、成形品を形成する。工作機械としては、マシニングセンタ、フライス盤(汎用フライス盤、NC(Numerical Control)フライス盤等)などの主として転削加工を行う工作機械と、旋盤(汎用旋盤、NC旋盤)などの主として旋削加工を行う工作機械とが挙げられる。本実施の形態では、工作機械の一例として、主として転削加工を行う工作機械を挙げて説明する。
【0030】
図1を参照して、本開示では、ツールホルダ4から工具取付部6に向かう方向を「第1の方向D1」として定義する。工具取付部6からツールホルダ4に向かう方向を「第2の方向D2」として定義する。本実施の形態における工具取付部6は、主軸(スピンドル)である。したがって、本実施の形態では、第1の方向D1および第2の方向D2は、いずれも、ツールホルダ4および工具取付部6(主軸)の回転軸R1に沿っている。
【0031】
回転軸R1を中心とした円弧に沿った互いに反対を向く2つの方向のうち、第2の方向D2に見て、時計回り(右回り)の方向を「第3の方向R3」として定義し、反時計回り(左回り)の方向を「第4の方向R4」として定義する。「第1の方向D1」「第2の方向D2」「第3の方向R3」および「第4の方向R4」の記載は、方向を区別するための標記に過ぎず、優先順位を意味しない。
【0032】
本開示において「平行」には、2つの直線、辺、面等を延長した場合に、互いに交わらない場合だけでなく、交わった場合でも、両者のなす角度が3度以内の範囲である場合も含まれる。「直交」には、2つの直線、辺、面等を延長した場合に、互いに90度に交わる場合だけでなく、90度±3度以内の範囲で交わる場合も含まれる。
【0033】
図1を参照して、工作機械は、アタッチメント10を取付け可能な工具取付部6を有する。工具取付部6には、アタッチメント10だけでなく、ツールホルダ4を直接的に取り付けることもできる。工具取付部6は、開口部(以下、差込み開口部61という)を含む。差込み開口部61には、アタッチメント10におけるシャンク部12と、ツールホルダ4におけるシャンク41とのいずれかを差し込むことができる。
【0034】
ツールホルダ4には、切削工具5が取り付けられる。本実施の形態では、切削工具5として、転削工具が用いられる。転削工具としては、例えば、エンドミル、ドリル、フライスカッタ、ボーリング、リーマ、タップが挙げられる。
【0035】
(アタッチメント10の構造の概要)
図2は、本実施の形態に係るアタッチメント10の構造を示す概略斜視図である。図3は、図2におけるB-B線を含みかつセンサ素子31に交差する断面において切断した概略断面図である。図2および図3においては、ケース7を省略している。図2および図3を参照して、本実施の形態におけるアタッチメント10は、アタッチメント本体1と、アタッチメント本体1内に取り付けられた固定ねじ2と、アタッチメント本体1の外周面に取り付けられたセンサ部3と、ケース7とを備える。図1を参照して、アタッチメント10は、工具取付部6とツールホルダ4との間に配置されることにより、工具取付部6とツールホルダ4とをつなぐことができる。
【0036】
アタッチメント10としては、例えば、エクステンション、アダプタが挙げられる。エクステンションは、工具取付部6とツールホルダ4との間に配置されることで、工具取付部6にツールホルダ4が直接取り付けられる場合に比べて、工具取付部6とツールホルダ4との間の距離を延長できる。エクステンションにおいて、工具取付部6に挿し入れる部分(シャンク部12)の外周面と、ツールホルダ4のシャンク41が挿し入れられる差込穴15を取り囲む把持部内周面141とは同一の形状である。アダプタは、工具取付部6と、工具取付部6に直接装着できないシャンク41を有するツールホルダ4と、の間に配置されることで、工具取付部6にツールホルダ4を取り付けることができる。アダプタにおいて、工具取付部6に挿し入れる部分(シャンク部)の外周面と、ツールホルダ4のシャンク41が挿し入れられる差込穴15を取り囲む把持部内周面141とは異なる形状である。ここでいう「異なる形状」は、相似形状も含む。すなわち、アダプタには、リダクションアダプタも含まれる。本実施の形態では、アタッチメント10として、エクステンションを例に挙げて説明する。
【0037】
本開示において「同一」とは、比較対象同士が同じとみなせるものを含み、厳密な意味での「同一」ではない。本開示において「異なる」とは、比較対象同士が同一以外のものを意味する。
【0038】
(アタッチメント本体1の構造)
アタッチメント本体1は、工具取付部6とツールホルダ4とをつなぐ。図3を参照して、アタッチメント本体1は、基部11と、基部11から第1の方向D1に突き出るシャンク部12と、基部11から第2の方向D2に突き出る把持部13と、を備える。シャンク部12、基部11および把持部13は、第2の方向D2に沿ってこの順で配置されている。アタッチメント本体1の材料としては、例えば、金属が挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム合金、鉄合金(ステンレス鋼などの鋼)が挙げられる。
【0039】
基部11は、シャンク部12と把持部13とを支える部分である。基部11は、第2の方向D2に沿って、第1端部114から第2端部115まで延びている。基部11は、円筒形状に形成されている。基部11の中心軸は、主軸の回転軸R1に一致する。第1端部114における外径と、第2端部115における外径とは同一である。基部11の外周面(以下、基部外周面111)の直径は、第1端部114から第2端部115まで一定である。
【0040】
基部外周面111は、円筒形状に形成されなくてもよい。基部外周面111は、第2の方向D2に見て、例えば、四角形状、五角形状、六角形状などの多角形であってもよい。基部外周面111の直径は、第1端部114から第2端部115まで一定でなくてもよく、第1端部114から第2端部115までの間に、例えば、くびれ部、突起部などの形状を有してもよい。
【0041】
図2を参照して、基部外周面111には、少なくとも1つの溝112が形成されている。本実施の形態に係る基部11は、複数の溝112を備える。複数の溝112は、自動工具交換装置(ATC;Automatic Tool Changer)におけるチェンジャーアームが引掛け可能な形状に形成されている。チェンジャーアームが溝112に差し込まれた後、チェンジャーアームが第1の方向D1または第2の方向D2に移動することで、工具取付部6に対してアタッチメント10が脱着される。各溝112は、第1の方向D1(第2の方向D2)に直交する仮想平面上において、基部外周面111に沿って形成されている。つまり、溝112は、第1の方向に直交する仮想平面と基部外周面111との交線に沿って形成されている。本実施の形態に係る複数の溝112は、基部外周面111において、第3の方向R3に沿って、一定の間隔をおいて断続的に形成されている。
【0042】
基部11は、1つの溝112のみを有するように構成されてもよい。1つの溝112は、基部外周面111において、第3の方向R3の全長にわたって形成されてもよいし、第3の方向R3に連続しかつ第3の方向R3の一部のみが分断してもよい。すなわち、1つの溝112は、環状であってもよいし、C字状であってもよい。自動工具交換装置としては、タレット式の自動工具交換装置であってもよいし、マガジン式の自動工具交換装置であってもよいし、装置内部または装置外部に設置されたロボットアームであってもよい。
【0043】
シャンク部12は、工具取付部6に取り付けられる部分である。図3を参照して、シャンク部12は、筒状に形成されている。ここで、図4はアタッチメント10を第2の方向D2に見た概略平面図である。図4を参照して、本実施の形態に係るシャンク部12は、第2の方向D2に見て、円形状の内周面122と、非円形状の外周面123とを有する。シャンク部12は、内周面122と同心円状の仮想円K2から、120度ごとに径方向に突き出た3つの突部121を有する。仮想円K2の直径は、内周面122よりも大きい。各突部121の先端面は曲面である。外周面123は、シャンク部12が3つの突部121を有することにより、第2の方向D2に見て、いわゆる、ルーローの三角形の形状に形成されている。本実施の形態に係る外周面123は、第2の方向D2に見て、3回回転対称の形状に形成されている。
【0044】
シャンク部12の外周面123は、第1の方向D1に平行な面を含んでもよいし、第1の方向D1に進むに従って回転軸R1に近づくようなテーパ面を含んでもよい。本実施の形態においてシャンク部12の外周面123は、第1の方向D1に進むに従って回転軸R1に近づくようなテーパ面で構成されている。テーパ面の勾配としては、例えば、7/24テーパ、1/10テーパが挙げられる。
【0045】
シャンク部12の外周面123における第2の方向D2の端と回転軸R1(アタッチメント本体1の中心軸)との間の最大距離L1は、基部11の第1端部114の外縁と回転軸R1との間の最小距離L2よりも短い。したがって、基部11の第1端部114は、回転軸R1に直交する面(以下、フランジ面113という)を有する。フランジ面113は、アタッチメント10が工具取付部6に取り付けられると、工具取付部6に対向する。このとき、シャンク部12における外周面123が差込み開口部61の内周面に接触し、かつフランジ面113が、工具取付部6の第2の方向D2の端面に接触する。これにより、アタッチメント10は、工具取付部6に対して、2面拘束によって取り付けられる。工具取付部6に対するアタッチメント10の取付けは、シャンク部12の外周面123と差込み開口部61の内周面との接触のみの拘束であってもよく、すなわち、フランジ面113と工具取付部6との間に隙間が介在してもよい。
【0046】
図3を参照して、把持部13は、ツールホルダ4のシャンク41を保持する部分である。把持部13は、外周壁14と、シャンク41が差し込まれる差込穴15とを有する。外周壁14は、基部11における第2端部115から第2の方向D2に突き出ている。外周壁14は、内周面(以下、把持部内周面141という)と、外周面(以下、把持部外周面142という)と、当たり面143と、を備える。本開示において「アタッチメント本体1における外周面」「アタッチメント本体1に含まれる外周面」とは、基部外周面111と把持部外周面142とから構成された面を意味し、シャンク部12における外周面123を含まないこととする。
【0047】
図5はアタッチメント10を第1の方向D1に見た概略底面図である。図5を参照して、差込穴15を第1の方向D1に見ると、把持部内周面141は非円形の形状を有する。本実施の形態に係る差込穴15の把持部内周面141は、第1の方向D1に見て、いわゆる、ルーローの三角形の形状を有している。つまり、差込穴15を取り囲む把持部内周面141の形状は、第1の方向D1に見て、3回回転対称の形状である。
【0048】
把持部内周面141は、第1の方向D1に平行な面を含んでもよいし、第2の方向D2に進むに従って回転軸R1に近づくようなテーパ面を含んでもよい。本実施の形態において把持部内周面141は、第2の方向D2に進むに従って回転軸R1に近づくようなテーパ面で構成されている。テーパ面の勾配としては、シャンク部12の外周面123と同様に、例えば、7/24テーパ、1/10テーパが挙げられる。差込穴15を取り囲む把持部内周面141は、本実施の形態では、シャンク部12の外周面に対して、同一形状に形成されている。
【0049】
図3を参照して、把持部外周面142は、筒状に形成されている。把持部外周面142の直径は、基部11における外径と同じである。当たり面143は、把持部13における第2の方向D2の端部の面である。当たり面143は、第2の方向D2に直交している。ツールホルダ4におけるシャンク41が差込穴15に差し込まれると、当たり面143は、ツールホルダ4におけるフランジ面に当たる。これによって、把持部13は、差込穴15を形成する把持部内周面141および当たり面143での2面拘束によって、ツールホルダ4を保持することができる。
【0050】
図5を参照して、外周壁14の厚さは、第3の方向R3に沿って連続的に変化する。外周壁14の厚さは、把持部外周面142の半径方向(以下、「径方向」という場合がある)において、把持部内周面141から把持部外周面142までの距離を意味する。第1の方向D1に見て、外周壁14における差込穴15の頂点P2に対応する部位P1の厚さL3は、その他の部分よりも薄い。すなわち、外周壁14において、厚さの最小値をとる部位P1は、第1の方向D1に見た場合の差込穴15の頂点P2に対応する部位である。
【0051】
図3を参照して、外周壁14は、センサ素子31を配置する配置部144を有する。本実施の形態において、配置部144は、把持部外周面142において、他の部分よりも窪んでいる。配置部144が窪んでいることにより、センサ素子31の配置すべき位置を特定しやすい。ただし、配置部144は、把持部外周面142において窪んでいなくてもよく、例えば、印刷によるマークで構成されてもよい。
【0052】
図5を参照して、配置部144は、把持部外周面142のうち、外周壁14の厚さの最小値をとる部位P1に対して、第3の方向R3にずれている。この場合において、各々の配置部144の全ての領域は、部位P1から離れていることが好ましい。これによって、センサ素子31を、把持部13において、最も薄い部位P1に配置することなく、部位P1からずれた位置に配置することができる。ただし、配置部144は、把持部外周面142において部位P1に重なる位置に形成されてもよい。複数の配置部144のうちの一部が、把持部外周面142において部位P1に重なる位置に形成されてもよい。
【0053】
差込穴15は、シャンク41が差し込まれる空間である。図3を参照して、差込穴15は、基部11における第2端部115の端面(以下、穴底面151という場合がある)と、把持部内周面141と、によって形成されている。差込穴15の第2の方向D2の端面は開口面である。差込穴15に対し、開口面を通してツールホルダ4のシャンク41が差し込まれると、穴底面151は、シャンク41の第1の方向D1の端面に対向する。穴底面151には、固定ねじ2を通すための挿通穴152が形成されている。挿通穴152は、穴底面151からシャンク部12の第1の方向D1の端面まで貫通する。
【0054】
図3を参照して、基部11は、固定ねじ2を回転可能に保持する位置規制部116を有する。位置規制部116は、挿通穴152の内周面に形成されている。第1の方向D1に直交する断面における位置規制部116の形状は、円形状である。位置規制部116の直径は、挿通穴152の直径よりも大きい。位置規制部116は、基部11において、第2端部115と第1端部114との間に形成されている。
【0055】
(固定ねじ2の構造)
固定ねじ2は、アタッチメント本体1に対して、ツールホルダ4を固定する。図3を参照して、固定ねじ2は、軸部21と、頭部22とを有する。頭部22の外形は、第2の方向D2に見て、円形状に形成されている。頭部22の外径は、軸部21の外径よりも大きい。頭部22には、旋回用穴221が形成されている。旋回用穴221は、頭部22において、第1の方向D1の端面に形成されている。旋回用穴221は、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形の形状を有する。固定ねじ2は、頭部22が、位置規制部116に収容され、軸部21が、挿通穴152を通して差込穴15内に突き出る。これによって、固定ねじ2は、アタッチメント本体1に対して回転可能に取り付けられる。
【0056】
軸部21には、ねじ211が形成されている。差込穴15にシャンク41が挿し入れられ、固定ねじ2が旋回することで、アタッチメント本体1に対して、シャンク41が固定される。これによって、アタッチメント10にツールホルダ4を取り付けることができる。
【0057】
アタッチメント10は、中心軸に沿って冷却路16が形成されている。本実施の形態に係る冷却路16は、第1の方向D1の先端面であるシャンク部12の先端面から、基部11および固定ねじ2を通過し、第2の方向D2の先端面である固定ねじ2の先端面まで貫通している。冷却路16は、アタッチメント10にツールホルダ4が接続されると、ツールホルダ4に形成された流通路に通じる。これによって、工作機械から供給された冷却水を、切削工具5の刃先に対して供給できる。
【0058】
(センサ部3の構造)
センサ部3は、アタッチメント本体1の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子31を有する。図2を参照して、センサ部3は、アタッチメント本体1に取り付けられている。本実施の形態では、センサ部3は、アタッチメント本体1における外周面に取り付けられているが、アタッチメント本体1において、把持部外周面142と把持部内周面141との間に配置されてもよいし、把持部内周面141に取り付けられてもよい。センサ部3は、少なくとも1つのセンサ素子31のほか、複数の基板32、電力供給部33、ADコンバータ34、および無線通信部35を有する。
【0059】
センサ素子31としては、例えば、力センサ素子、温度センサ素子、加速度センサ素子、AE(Acoustic Emission)センサ素子が挙げられる。複数のセンサ素子31が用いられる場合、力センサ素子、温度センサ素子、加速度センサ素子およびAEセンサ素子から2種以上のセンサ素子31が選ばれる。加速度センサ素子は、アタッチメント本体1の物理量としての加速度およびアタッチメント本体1に生じる弾性波を検知する。AEセンサ素子は、アタッチメント本体1の物理量としてアタッチメント本体1に生じる弾性波を検知する。弾性波は、アタッチメント本体1における、例えば、亀裂、摩耗、振動、変形によって生じ得る。力センサ素子は、アタッチメント本体1の物理量として、アタッチメント本体1に加わる力を検知する。力センサ素子によれば、アタッチメント本体1に生じたひずみを測定できる。力センサ素子は、ひずみセンサ素子であってもよいし、圧電式応力センサ素子であってもよい。温度センサ素子は、アタッチメント本体1の物理量としての熱を検知する。
【0060】
図3を参照して、センサ素子31は、把持部13における把持部外周面142に取り付けられている。第1の方向D1に直交しかつセンサ素子31に交差する仮想平面K1は、差込穴15にも交差している。言い換えると、センサ素子31は、差込穴15に対して、径方向に並んでいる。センサ素子31に交差する仮想平面K1は複数想定されるが、本実施の形態では、センサ素子31に交差するすべての仮想平面K1が差込穴15に交差する。ただし、本開示では、センサ素子31に交差する仮想平面K1のうちの少なくとも1つの仮想平面K1が差込穴15に交差すればよい。
【0061】
センサ素子31は、検知領域312と、検知領域312に電気的に接続された接続部313とを備える。本実施の形態では、各センサ素子31における検知領域312は、配置部144に配置されている。差込穴15に交差する仮想平面K1は、検知領域312に交差する。検知領域312は、センサ素子31において、アタッチメント本体1の物理量が入力される領域を意味する。例えば、センサ素子31がひずみセンサ素子である場合、検知領域312が金属箔抵抗体におけるグリッド部であり、接続部313がゲージリードである。例えば、センサ素子31が圧電式の加速度センサ素子である場合、検知領域312は圧電体であり、接続部313がリード線である。例えば、センサ素子31がピエゾ抵抗式の加速度センサ素子である場合、検知領域312はピエゾ抵抗体であり、接続部313がリード線である。
【0062】
このように構成されていることで、センサ素子31として加速度センサ素子が用いられた場合、アタッチメント本体1において、厚さが厚い部分(基部11)よりも断面二次モーメントが小さい中空部分に対応する位置に、センサ素子31が配置される。このため、アタッチメント本体1において、たわみ量が比較的大きくなりやすい箇所にセンサ素子31を配置することができる。したがって、この構成により、加速度センサ素子は、アタッチメント10に生じた振動およびたわみの少なくとも一方を検知しやすい。
【0063】
アタッチメント10の差込穴15を取り囲む把持部内周面141が、第1の方向D1に進むに従って回転軸R1に近づくようなテーパ面を含む場合、差込穴15の開口周縁部に切りくずなどの異物が付着していても、ツールホルダ4のシャンク41を差し込むことができる場合がある。この場合、切削工具5の先端の位置が、設計上の位置からずれるため、成形品の精度が損なわれるし、切削工具5およびツールホルダ4において、回転による振動が生じやすい。しかし、加速度センサ素子またはAEセンサ素子の少なくとも一方をアタッチメント10に取り付けることで、シャンク41と差込穴15の間に異物を噛み込んだ際に生じる弾性波を検知することができる。加速度センサ素子またはAEセンサ素子の少なくとも一方が差込穴15に対して、径方向に並んでいると、弾性波の起点との距離が短くなるため、弾性波の減衰を低減でき、よりSN比(信号/ノイズ比)を大きくすることができる。この結果、アタッチメント10における異常の発生を早期に知ることができる。
【0064】
センサ素子31として力センサ素子が用いられた場合、基部11よりも厚さの薄い部位に、力センサ素子が配置される。すなわち、アタッチメント本体1において、ひずみが生じやすい部位に力センサ素子を配置することができる。このため、この構成よれば、力センサ素子を用いて、アタッチメント10に生じたひずみの測定の精度を向上しやすい。
【0065】
センサ素子31として温度センサ素子が用いられた場合、温度センサ素子は、差込穴15に対して、径方向に並んでいるため、ツールホルダ4から伝導する熱を適切に検知できる。すなわち、冷却路16に対して冷却水が通ると、基部11および固定ねじ2は冷却水によって冷却されるが、冷却路16に直接接触していない把持部13の外周壁14は、冷却水による影響を受けにくい。この結果、把持部外周面142に温度センサ素子が配置されることで、冷却水による影響を小さくしながら、ツールホルダ4から伝導する熱を適切に検知できる。
【0066】
図2を参照して、複数の基板32は、センサ素子31に電気的に接続されている。複数の基板32は、アタッチメント本体1の外周面に沿うようにして取り付けられている。アタッチメント本体1に対する基板32の取付けは、例えば、接着、ねじ止めにより行われる。センサ素子31は、基板32よりも第2の方向D2に位置する領域に配置されている。複数の基板32同士は、配線36によって電気的に接続されている。本実施の形態では、複数のセンサ素子31における検知領域312は、複数の基板32のうちの最も第2の方向D2に位置する端縁に対し、第2の方向D2に間隔をおいて配置されている。このように構成されていることにより、センサ素子31を、基板32上に配置することなく、把持部外周面142上に配置することができる。本実施の形態では、すべての基板32は、アタッチメント本体1における基部外周面111に沿って配置されている。
【0067】
基板32は、基部外周面111に沿って配置されているが、把持部外周面142に沿って配置されてもよい。また、基板32は、基部外周面111と把持部13の外周面とにまたがって配置されてもよい。アタッチメント10は、複数の基板32を有するが、1つのみの基板32を有してもよい。
【0068】
電力供給部33は、基板32に対して、配線36を介して電気的に接続されており、センサ素子31に対して電力を供給する。電力供給部33は、本実施の形態では、二次電池である。電力供給部33は、二次電池に限らず、例えば、一次電池であってもよいし、コンデンサであってもよい。電力供給部33は、アタッチメント本体1の外周面に取り付けられたホルダ331に対して、取外し可能に保持されている。
【0069】
ADコンバータ34は、センサ素子31による検知に応じて生じた電気信号(以下、検知信号という場合がある)をデジタル信号に変換する。検知信号は、ADコンバータ34を通して、無線通信部35に入力される。無線通信部35は、基板32に取り付けられた無線通信モジュールである。無線通信部35は、センサ素子31に対して電気的に接続されており、検知信号から変換されたデジタル信号を受け取ることができる。無線通信部35は、ADコンバータ34から入力されたデジタル信号を外部へと送信する。すなわち、無線通信部35は、センサ素子31による検知に応じて生じた信号を外部へと送信することができる。
【0070】
(ケース7の構造)
図6は、アタッチメント本体1にケース7が取り付けられた状態のアタッチメント10の断面図であり、図1におけるC-C線を含む断面図である。図6において、アタッチメント本体1の一部は省略されている。図6を参照して、ケース7は、アタッチメント本体1の外周面に取り付けられている。ケース7には、少なくともセンサ素子31が収容される。本実施の形態では、ケース7には、センサ部3(複数のセンサ素子31、複数の基板32、電力供給部33、ADコンバータ34および無線通信部35)が収容される。ケース7を構成する材料としては、例えば、合成樹脂、金属が挙げられる。金属としては、例えば、アルミニウム合金、鉄合金(ステンレス鋼などの鋼)が挙げられる。ケース7は、アタッチメント本体1の外周面に対して、取外し可能に取り付けられる。アタッチメント本体1の外周面に対するケース7の取付けは、例えば、ねじ止め、スナップフィット、差し込み、接着により行うことができる。
【0071】
ケース7の材料が、電波遮蔽性の高い材料(例えば、アルミニウム合金、鉄合金)である場合、ケース7の一部を、他の部分よりも電波遮蔽性の低い材料(電波透過性の高い材料)にしてもよい。電波遮蔽性の低い材料としては、例えば、合成樹脂、パルプ、ゴム、木、布が挙げられる。これにより、ケース7によって無線通信部35を覆っても、通信性能の低下(電波強度の低下)を軽減できる。
【0072】
図6を参照して、ケース7は、複数のセンサ素子31、複数の基板32、ADコンバータ34および無線通信部35を収容する第1収容部71と、電力供給部33を収容する第2収容部72と、を備える。第1収容部71は第2収容部72に通じている。ケース7の内部は、ケース7外の空間から仕切られた密閉空間となっている。
【0073】
第1収容部71は、第2の方向D2に沿って見ると、断面円弧状に形成されている。第1収容部71は、アタッチメント本体1の外周面に対して、間隔をおいて配置されている。アタッチメント本体1の外周面と第1収容部71との間の空間内に、複数のセンサ素子31、複数の基板32、ADコンバータ34および無線通信部35が配置される。第2収容部72は、第1収容部71から径方向の外側に突き出ている。第2収容部72の突出先端面には、開口面が形成されており、当該開口面が蓋721によって開閉可能に閉じられている。アタッチメント本体1の外周面と第2収容部72との間の空間内に、電力供給部33が配置される。蓋721を開口面から取り外すと、開口面を通して電力供給部33を取り外すことができる。本実施の形態に係るケース7によれば、蓋721を開口面から取り外すことによって、ケース7の全体を取り外すことなく電力供給部33を交換することができる。
【0074】
アタッチメント10は、アタッチメント本体1の外周面とケース7の外縁部との間に配置されたシール部37を更に備える。図2を参照して、シール部37は、少なくともセンサ素子31を囲んでいる。本実施の形態では、シール部37は、複数のセンサ素子31、複数の基板32、電力供給部33、ADコンバータ34および無線通信部35を囲む。このように構成されていることで、ケース7内に液体(例えば、油、水)が浸入する量を減らすことができる。シール部37としては、例えば、ゴム、軟質樹脂が挙げられる。ゴムとしては、例えば、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムが挙げられる。
【0075】
第1収容部71の内部は、センサ素子31等の部品が配置された状態で、充填材が充填されてもよい。これにより、センサ素子31等の部品は、アタッチメント本体1の外周面だけでなく、ケース7に対しても固定される。センサ素子31等の部品がアタッチメント本体1の外周面およびケース7に固定されることにより、アタッチメント10が回転しても、遠心力による影響を低減できる。第2収容部72の内部は、充填材が充填されなくてもよい。これによって、電力供給部33を交換する作業を妨げにくい。
【0076】
(動作)
図1を参照して、主軸が回転軸R1を中心に回転すると、アタッチメント10は、第3の方向R3または第4の方向R4に回転する。すると、ツールホルダ4が、アタッチメント10の回転に従って回転する。ツールホルダ4に取り付けられた切削工具5が被削材に接触することにより、被削材が加工される。このとき、アタッチメント10に生じたひずみ、温度等の物理量がセンサ素子31により検知される。アナログ信号である物理量の情報は、ADコンバータ34においてデジタル信号に変換された後、無線通信部35により外部へと送信される。この信号は、外部において受信され、分析される。アタッチメント10に生じた物理量を分析した結果、切削工具5の状態が把握される。
【0077】
(第1変形例)
センサ素子31として力センサ素子が採用される場合、アタッチメント10は、次のように形成されてもよい。本変形例に係るセンサ素子31は、力センサ素子311であり、より具体的には、ひずみセンサ素子である。
【0078】
図7は、変形例に係るアタッチメント10の構造を示す概略斜視図である。図8は、変形例に係るアタッチメント10において、基部11および把持部13の概略断面図である。図9は、図8におけるA部分の概略拡大図である。図10は、変形例に係るアタッチメント10を第1の方向D1に見た概略底面図である。図11は、変形例に係るアタッチメント10において、ケース7が取り付けられた状態を示す概略断面図であり、図7のD-D線を含む断面を模式的に示す。図11では、主に、基部11、把持部13およびケース7の模式的な断面図を示している。図7から図10においては、ケース7を省略して図示している。
【0079】
図7から図9を参照して、把持部外周面142は、回転軸R1を中心とした円弧に沿って形成されたスリット145を有する。スリット145は、第3の方向R3および第4の方向R4に沿って形成されている。図8を参照して、スリット145の底面と回転軸R1との間の最小距離L4は、配置部144の底面と回転軸R1との間の最小距離L5よりも短い。図9を参照して、把持部外周面142からのスリット145の深さDP2は、把持部外周面142からの配置部144の深さDP1よりも深い。図7を参照して、スリット145は、把持部外周面142において、第3の方向R3の全周にわたって形成されており、円環状に形成されている。スリット145は、第3の方向R3の一部が途切れていてもよく、すなわち、C字状に形成されてもよい。スリット145は、第3の方向R3に沿って連続的に形成されてもよいし、断続的に形成されてもよい。
【0080】
図9を参照して、力センサ素子311における検知領域312は、配置部144内において、スリット145を跨ぐようにして取り付けられる。図10を参照して、第1の方向D1に見て、各力センサ素子311における検知領域312の中心と回転軸R1とをつなぐ線分のなす角θ1は90度である。すなわち、複数の力センサ素子311は、第1の方向D1に見て90度ごとに配置されている。このように構成されていることで、力センサ素子311は、アタッチメント10に生じるひずみを適切に検知しやすい。
【0081】
本変形例において、電力供給部33は2つの二次電池332によって構成されている。図10を参照して、第1変形例に係る電力供給部33は、アタッチメント本体1の外周面において、一定の間隔をおいて配置されている。第1の方向D1に沿ってアタッチメント10を見ると、電力供給部33の中心と回転軸R1とをつなぐ線分同士のなす角θ2は90度である。つまり、複数の電力供給部33は、第3の方向R3に一定の間隔をおいて配置されている。このように構成されていることで、アタッチメント10の重心が回転軸R1上に位置しやすい。したがって、第1変形例に係るアタッチメント10を採用することにより、安定した回転を得ることができ、回転時のバランスが悪化することを軽減できる。
【0082】
図11を参照して、ケース7は、アタッチメント本体1に対して固定されたリング状の固定部材73と、円筒状のカバー部材74とを備える。ケース7は、アタッチメント本体1の回転軸R1を中心とした回転体である。このため、本変形例に係るアタッチメント10は、ケース7がアタッチメント本体1に取り付けられても、安定した回転を得ることができ、回転時のバランスが悪化することを軽減できる。
【0083】
固定部材73は、アタッチメント本体1の外周面に対向する内周面を有する。本変形例では、固定部材73の内周面とアタッチメント本体1の外周面との間に、シール部37としてのOリング371が配置されることにより、固定部材73は、アタッチメント本体1の外周面に対して固定されている。固定部材73は、アタッチメント本体1の外周面に対して圧入により固定されてもよい。固定部材73は、第1の方向D1の両端面を貫通する複数の貫通穴731を有する。複数の貫通穴731の各々には、ねじ具75が挿し入れられる。
【0084】
カバー部材74は、センサ部3(複数のセンサ素子31、複数の基板32、電力供給部33、ADコンバータ34および無線通信部35)を覆う。カバー部材74は、円筒状の外周部741と、外周部の第2の方向D2の端部からテーパ状に突き出る第1取付部742と、外周部の第1の方向D1の端部から中心軸に向かって突き出る第2取付部743と、を備える。第1取付部742において、アタッチメント本体1に対向する部分には、雌ねじ744が形成されている。雌ねじ744は、アタッチメント本体1の外周面(把持部外周面142)に形成された雄ねじ146にねじ込み可能に構成されている。第1取付部742の雌ねじ744が、アタッチメント本体1の雄ねじ146にねじ込まれると、第2取付部743は、固定部材73に隣接する。第2取付部743は、固定部材73の複数の貫通穴731に対応する位置に形成された複数のねじ穴745を有する。第1取付部742の雌ねじ744がアタッチメント本体1の雄ねじ146にねじ込まれた状態において、固定部材73の貫通穴731に通されたねじ具75は、第2取付部743のねじ穴745にねじ込まれる。これによって、ケース7は、アタッチメント本体1の外周面に取り付けられる。
【0085】
(他の変形例)
実施の形態では、第2の方向D2に見て、右回りの方向を第3の方向R3とし、左回りの方向を第4の方向R4としたが、第4の方向R4を、第2の方向D2に見て右回りの方向とし、第3の方向R3を、第2の方向D2に見て左回りの方向としてもよい。
【0086】
実施の形態では、力センサ素子、加速度センサ素子および温度センサ素子のいずれかのセンサ素子31を用いた場合を説明した。センサ素子31としては、力センサ素子、加速度センサ素子および温度センサ素子のうちから選択した複数のセンサ素子31を採用してもよい。例えば、第1のセンサ素子として、力センサ素子を採用し、第2のセンサ素子として温度センサを採用してもよい。例えば、第1のセンサ素子として、加速度センサ素子を採用し、第2のセンサ素子として温度センサを採用してもよい。例えば、第1のセンサ素子として、力センサ素子を採用し、第2のセンサ素子として加速度センサ素子を採用してもよい。センサ部3に含まれるセンサ素子31として、力センサ素子、加速度センサ素子および温度センサ素子以外の他の物理量を検出するセンサ素子31(例えば、ジャイロセンサ素子)が、採用されてもよい。
【0087】
上記実施の形態では、主として転削加工を行う工作機械を挙げて説明したが、工作機械は、複合加工機であってもよいし、汎用旋盤、NC旋盤などの旋盤であってもよい。すなわち、工具取付部6は主軸に限らない。例えば、工作機械が旋盤である場合、工具取付部6は刃物台であってもよい。すなわち、本開示に係るアタッチメント10としては、転削工具用のツールホルダ4に用いられるアタッチメント10に限らず、旋削工具用のツールホルダ4(バイトホルダおよびボーリングバーを含む)に用いられるアタッチメント10であってもよい。切削工具5として、旋削工具(インサートを含む)が用いられてもよい。
【0088】
センサ部3は、基板32上に搭載されるスイッチ、および可変抵抗のうち少なくとも1つの部品を更に含んでもよい。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
10 アタッチメント、1 アタッチメント本体、11 基部、111 基部外周面、112 溝、113 フランジ面、114 第1端部、115 第2端部、116 位置規制部、12 シャンク部、121 突部、122 内周面、123 外周面、13 把持部、14 外周壁、141 把持部内周面、142 把持部外周面、143 当たり面、144 配置部、145 スリット、146 雄ねじ、15 差込穴、151 穴底面、152 挿通穴、16 冷却路、2 固定ねじ、21 軸部、211 ねじ、22 頭部、221 旋回用穴、3 センサ部、31 センサ素子、311 力センサ素子、312 検知領域、313 接続部、32 基板、33 電力供給部、331 ホルダ、332 二次電池、34 ADコンバータ、35 無線通信部、36 配線、37 シール部、371 Oリング、4 ツールホルダ、41 シャンク、5 切削工具、6 工具取付部、61 差込み開口部、7 ケース、73 固定部材、731 貫通穴、74 カバー部材、741 外周部、742 第1取付部、743 第2取付部、744 雌ねじ、745 ねじ穴、75 ねじ具、K1 仮想平面、K2 仮想円、P1 部位、P2 頂点、R1 回転軸、D1 第1の方向、D2 第2の方向、R3 第3の方向、R4 第4の方向。
【要約】
ツールホルダのアタッチメントは、工作機械に含まれる工具取付部とツールホルダとをつなぐアタッチメント本体と、前記アタッチメント本体に取り付けられ、前記アタッチメント本体の物理量を検知する少なくとも1つのセンサ素子を有するセンサ部と、を備える。
図1
図2
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図11