(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】放熱アセンブリ、電子デバイス、及びチップパッケージ構造
(51)【国際特許分類】
H01L 23/40 20060101AFI20250513BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
H01L23/40 E
H01L23/36 D
(21)【出願番号】P 2023526276
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 CN2021106108
(87)【国際公開番号】W WO2022100128
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】202011244298.2
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、チウジ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラオ、チャオジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ソン
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-125078(JP,A)
【文献】特開平08-264689(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1802747(CN,A)
【文献】米国特許第06191478(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0092619(US,A1)
【文献】特開2002-190684(JP,A)
【文献】特開2014-120772(JP,A)
【文献】特開平09-130069(JP,A)
【文献】特開2002-217343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/40
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
要素の放熱アセンブリであって、
前記要素に接触するように構成されたヒートスプレッダ;
前記ヒートスプレッダの位置を制限するように構成されたフレームボディ、ここで前記フレームボディは、前記ヒートスプレッダの側壁を取り囲んでいる;及び
前記フレームボディに固着接続された弾性構造部、ここで前記弾性構造部は、前記ヒートスプレッダのうちの、接触予定の前記要素から離れる方に向いた面に位置し、前記弾性構造部は
、前記フレームボディに接続される接続部分と、前記接続部分に対して対称的に配置され、前記接続部分よりも前記ヒートスプレッダから離れる方向に突出する2つの突出部分を有する、
を備える、放熱アセンブリ。
【請求項2】
前記2つの突出部分のそれぞれの固定された端部が、前記2つの突出部分のそれぞれの他方の端部が可動であるように接続されている、請求項1に記載の放熱アセンブリ。
【請求項3】
前記突出部分が圧縮されたとき、可動の前記他方の端部が前記ヒートスプレッダの表面で摺動し、前記突出部分が圧縮されないとき、前記可動の他方の端部が初期状態に復帰する、請求項2に記載の放熱アセンブリ。
【請求項4】
前記突出部分の延伸方向及び前記ヒートスプレッダの縁部の延伸方向の間に特定の挟角が存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の放熱アセンブリ。
【請求項5】
前記フレームボディの縁部の少なくとも一部分が、前記ヒートスプレッダの表面の縁部の方に曲がっている、請求項1から4のいずれか一項に記載の放熱アセンブリ。
【請求項6】
前記フレームボディが、接触予定の前記要素の側壁を取り囲み、接触予定の前記要素にクランプ留めされるように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の放熱アセンブリ。
【請求項7】
前記フレームボディのうちの、前記ヒートスプレッダからより遠く離れた面の縁部が、接触予定の前記要素の表面と面一になる、請求項6に記載の放熱アセンブリ。
【請求項8】
前記フレームボディの側壁に、内部に向かって突出した突出構造部が存在している、請求項6に記載の放熱アセンブリ。
【請求項9】
前記突出構造部が、前記ヒートスプレッダのうちの、前記弾性構造部から離れる方に向いた面に位置している、請求項8に記載の放熱アセンブリ。
【請求項10】
前記フレームボディの少なくとも2つの対向する側壁に、前記突出構造部が存在している、請求項8に記載の放熱アセンブリ。
【請求項11】
前記フレームボディの少なくとも1つの側壁のそれぞれに、1つ又は複数の前記突出構造部が存在している、請求項8に記載の放熱アセンブリ。
【請求項12】
前記フレームボディの少なくとも2つの対向する縁部に、前記弾性構造部が配置されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の放熱アセンブリ。
【請求項13】
前記弾性構造部がばねプレートであ
る、請求項1から12のいずれか一項に記載の放熱アセンブリ。
【請求項14】
要素及び放熱アセンブリを備える電子デバイスであって、
前記放熱アセンブリが、
前記要素に接触するように構成されたヒートスプレッダ;
前記ヒートスプレッダの位置を制限するように構成されたフレームボディ、ここで前記フレームボディは、前記ヒートスプレッダの側壁を取り囲んでいる;及び
前記フレームボディに固着接続された弾性構造部、ここで前記弾性構造部は、前記ヒートスプレッダのうちの、接触予定の前記要素から離れる方に向いた面に位置し、前記弾性構造部は
、前記フレームボディに接続される接続部分と、前記接続部分に対して対称的に配置され
、前記接続部分よりも前記ヒートスプレッダから離れる方向に突出する2つの突出部分を有する、
を有し、
前記要素が前記放熱アセンブリ内の前記ヒートスプレッダに接触している、電子デバイス。
【請求項15】
下部ハウジング、前記下部ハウジングに固着接続された上部カバー、及びプリント回路基板をさらに備え、
前記プリント回路基板が、前記下部ハウジングに配置されており、前記要素が、前記プリント回路基板のうちの、前記下部ハウジングから離れる方に向いた面に固定されており;
前記上部カバーの前記下部ハウジングに近い面に、放熱ボスが配置されており、前記放熱アセンブリ内の前記弾性構造部が、前記放熱ボスに接触しており、前記弾性構造部が変形している、請求項14に記載の電子デバイス。
【請求項16】
要素及び放熱アセンブリを備える電子デバイスであって、
前記放熱アセンブリが、
前記要素に接触するように構成されたヒートスプレッダ;
前記ヒートスプレッダの位置を制限するように構成されたフレームボディ、ここで前記フレームボディは、前記ヒートスプレッダの側壁を取り囲んでいる;及び
前記フレームボディに固着接続された弾性構造部、ここで前記弾性構造部は、前記ヒートスプレッダのうちの、接触予定の前記要素から離れる方に向いた面に位置している
を有し、
前記要素が前記放熱アセンブリ内の前記ヒートスプレッダに接触している、電子デバイスであって、
下部ハウジング、前記下部ハウジングに固着接続された上部カバー、及びプリント回路基板をさらに備え、
前記プリント回路基板が、前記下部ハウジングに配置されており、前記要素が、前記プリント回路基板のうちの、前記下部ハウジングから離れる方に向いた面に固定されており;
前記上部カバーの前記下部ハウジングに近い面に、放熱ボスが配置されており、前記放熱アセンブリ内の前記弾性構造部が、前記放熱ボスに接触しており、前記弾性構造部が変形している、電子デバイス。
【請求項17】
前記放熱ボス及び前記ヒートスプレッダの間の空間に、第1の熱伝導材料が充填されている、請求項15または16に記載の電子デバイス。
【請求項18】
前記ヒートスプレッダが、第2の熱伝導材料を介して前記要素に接触している、請求項14から17のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項19】
前記第2の熱伝導材料の材料が、シリコーン材料を含む、請求項18に記載の電子デバイス。
【請求項20】
基板、前記基板に固定されたダイ、及びカバープレートを備え、
前記ダイの縁部が、前記基板の縁部の範囲内に位置しており;
前記カバープレートが、前記ダイのうちの、前記基板から離れる方に向いた面に位置しており;
前記カバープレートが、前記基板に近い面に支柱を有し、前記支柱が、前記カバープレートの縁部に固定されており;
前記基板には、前記支柱に対応した位置にノッチが提供されており、前記支柱が、前記ノッチの内面を介して、前記基板に固着接続されており、前記ノッチの前記内面が金属層を有
し;
前記支柱が、内部に向かって突出した固定部分を有し;
前記固定部分が、前記基板の前記カバープレートに近い面の表面に接触している、
チップパッケージ構造。
【請求項21】
前記ノッチは四半円又は半円の穴である、請求項20に記載のチップパッケージ構造。
【請求項22】
前記支柱のうちの、前記カバープレートから離れる方に向いた面の表面が、前記基板のうちの、前記カバープレートから離れる方に向いた面の表面と面一になっている、請求項20又は21に記載のチップパッケージ構造。
【請求項23】
基板、前記基板に固定されたダイ、及びカバープレートを備え、
前記ダイの縁部が、前記基板の縁部の範囲内に位置しており;
前記カバープレートが、前記ダイのうちの、前記基板から離れる方に向いた面に位置しており;
前記カバープレートが、前記基板に近い面に支柱を有し、前記支柱が、前記カバープレートの縁部に固定されており;
前記基板には、前記支柱に対応した位置にノッチが提供されており、前記支柱が、前記ノッチの内面を介して、前記基板に固着接続されており、
前記支柱が、内部に向かって突出した固定部分を有し;
前記固定部分が、前記基板の前記カバープレートに近い面の表面に接触している、
チップパッケージ構造。
【請求項24】
前記ダイ及び前記カバープレートの間の空間に、第3の熱伝導材料が充填されている、請求項20から
23のいずれか一項に記載のチップパッケージ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本願は、2020年11月10日付けで中国国家知識財産局に出願された中国特許出願第202011244298.2号、名称「HEAT DISSIPATION ASSEMBLY, ELECTRONIC DEVICE, AND CHIP PACKAGE STRUCTURE」の優先権を主張し、これは参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、放熱技術の分野に関し、特に放熱アセンブリ、電子デバイス、及びチップパッケージ構造に関する。
【背景技術】
【0003】
電子デバイスの継続的な発展に伴い、人々はますます高度なチップ集積を必要とし、チップの電力消費量も増大している。その結果、チップの放熱が非常に限られており、課題となっている。チップ構造は、
図1に示されてよい。チップは概して、基板11、基板11に固定されたダイ12、及び保護カバー13を含んでいる。保護カバー13は、熱伝導材料を使用することによりダイ12に接合されている。
【0004】
チップの表面実装技術(SMT)において、高温のリフロープロセスは、高温抵抗性能及び熱伝導材料の接着性が良好であることを必要とする。しかしながら、良好な接着性を有し、高温抵抗性である熱伝導材料は、概しておよそ2W/mKしかない低い熱伝導係数を有しており、チップの放熱要件を満たすことができない。結果として、チップの放熱の問題が、ますます明らかになっている。
【発明の概要】
【0005】
本願は、要素の放熱効率を改善するために、放熱アセンブリ、電子デバイス、及びパッケージ構造を提供する。要素は、電子的要素、光学的要素、光電子的要素などを含むが、これらに限定されない。
【0006】
第1の態様によれば、本願は、要素の放熱アセンブリを提供する。放熱アセンブリは、ヒートスプレッダ、フレームボディ、及び弾性構造部を含む。ヒートスプレッダは、要素に接触するように構成されており、要素によって生成された熱を均等に伝導することができる。フレームボディは、ヒートスプレッダの位置を制限するように構成されている。フレームボディは、ヒートスプレッダの側壁を取り囲んでおり、ヒートスプレッダが水平方向に移動するのを防止することができ、それによりヒートスプレッダの移動によって発生する放熱境界面の損傷が回避される。弾性構造部は、フレームボディに固着接続されており、弾性構造部は、ヒートスプレッダのうちの、接触予定の要素から離れる方に向いた側面に位置している。弾性構造部は、電子デバイス内の別のコンポーネントに接触し、それにより変形してよく、それにより要素、ヒートスプレッダ、及びフレームボディが、厚さ方向において確実に固定されて、要素によって生成された熱を円滑に伝導できることが確保される。
【0007】
例えば、要素はチップである。本願のこの実施形態における放熱アセンブリでは、製造プロセスにおいて、チップに対して最初に表面実装技術が実行されてよく、次いで、チップの表面が熱伝導材料でコーティングされ、次いで、放熱アセンブリが取り付けられる。したがって、熱伝導材料の接着強度に対する要件が低減され、それにより、より良好な放熱性能を有する熱伝導材料を選択することができる。このように、要素及び放熱アセンブリの間の熱抵抗が小さく、それによりチップの放熱効率がさらに改善される。
【0008】
可能な実装形態では、フレームボディの縁部の少なくとも一部分が、ヒートスプレッダの表面の縁部の方に曲がっており、それによりフレームボディは、ヒートスプレッダの位置を垂直方向において制限することができる。加えて、ヒートスプレッダに対するフレームボディの被覆面積が小さく、それによりヒートスプレッダの熱伝導性能は影響を受けない。
【0009】
可能な実装形態において、フレームボディは、接触予定の要素の側壁を取り囲み、接触予定の要素にクランプ留めされるように構成されている。この配置により、ヒートスプレッダは要素の表面に固定されることが可能であり、それにより要素、ヒートスプレッダ、及びフレームボディは、水平方向において容易に移動しない。これにより、要素及びヒートスプレッダの間の放熱境界面の安定性がさらに確保される。
【0010】
可能な実装形態において、フレームボディのうちの、ヒートスプレッダからより遠くに離れた面の縁部は、接触予定の要素の表面と面一になる。この配置により、フレームボディ及び要素の間の接触面積が大きくなり、それによりフレームボディ及び要素の間のクランプ留め効果がより良好になる。加えて、フレームボディの縁部は、要素のうちの、ヒートスプレッダから離れる方に向いた面の表面を越えず、それによりフレームボディは、要素の位置にさらに容易に取り付けられることが可能である。さらに、フレームボディは要素の面積を占有せず、要素の周りの空間は、フレームボディを収容するのに十分である。
【0011】
可能な実装形態において、フレームボディ及び要素の間のクランプ力を増大させるために、内部に向かって突出した突出構造部が、フレームボディの側壁に配置されてよい。フレームボディ、ヒートスプレッダ、及び要素が、水平方向において確実に固定されることを確保するために、要素は、突出構造部を使用することによって保持されることが可能である。
【0012】
可能な実装形態において、突出構造部は、ヒートスプレッダのうちの、弾性構造部から離れる方に向いた面に位置している。要素及びヒートスプレッダが、水平方向において移動しないことを確保するために、要素の位置は、突出構造部を使用することによって制限されてよい。加えて、このように、フレームボディは、より容易にクランプ留めされるように要素に接触することができ、フレームボディ及び要素の間のクランプ力が増大し、それにより要素はより移動しにくくなる。
【0013】
可能な実装形態において、フレームボディの少なくとも2つの対向する側壁に、突出構造部が存在している。例えば、突出構造部は、フレームボディのすべての4つの側壁に存在しているか、又は突出構造部は、フレームボディの2つの対向する側壁に存在している。このように、フレームボディのクランプ力をより均等にすることができる。
【0014】
可能な実装形態において、フレームボディの少なくとも1つの側壁のそれぞれに、1つ又は複数の突出構造部が存在している。ヒートスプレッダ及び要素にフレームボディをクランプ留めする効果がより良好になるように、突出構造部の数量は、実際の要件に基づき設定されてよい。
【0015】
可能な実装形態において、弾性構造部は、フレームボディの少なくとも2つの対向する縁部に配置されている。例えば、弾性構造部は、フレームボディのすべての面の縁部に配置されてもよいし、又は弾性構造部は、フレームボディの2つの対向する面の縁部に配置されてもよい。このように、圧縮下で弾性構造部が変形した後に、ヒートスプレッダ及び要素に加えられる弾性力をより均等にすることができる。
【0016】
可能な実装形態において、弾性構造部は、ばねプレートとして構成されてよく、弾性構造部は、少なくとも1つの突出部分を有し、この突出部分は、ヒートスプレッダから離れる方に向いて突出している。このように、圧縮下で弾性構造部が変形するとき、弾性力が生成されることが可能であり、それによりヒートスプレッダ及び要素は互いに密着することができる。
【0017】
可能な実装形態において、突出部分は、円弧形状として構成されてよい。このように、弾性構造部をより容易に変形することができ、弾性構造部の弾性が良好になる。
【0018】
可能な実装形態において、弾性構造部の弾性能力を増大させるために、弾性構造部は、対称に配置された2つの突出部分を有するものとして構成されてよい。加えて、弾性構造部は、一体構造として構成されてよく、それにより弾性構造部の弾性が良好になる。
【0019】
可能な実装形態において、突出部分はストリップ形状であり、突出部分の延伸方向は、ヒートスプレッダの縁部の延伸方向と同じであるか、又は突出部分の延伸方向及びヒートスプレッダの縁部の延伸方向の間に特定の挟角が存在している。突出部分が、これら2つの方式のうちのいずれかで配置されたとき、ヒートスプレッダのうちの、突出部分によって占有される面積を小さくすることができ、それにより要素の放熱効果は影響を受けない。要素の熱をより効果的に放散するために、突出部分の延伸方向は、要素の特定の構造に基づき設定されてよい。
【0020】
可能な実装形態において、弾性構造部の材料は、弾性のプラスチック材料又は金属材料を含んでよい。例えば、弾性構造部は、弾性の薄鋼板又は板金部品として製造されてよく、それにより弾性構造部は、良好な弾性を有することができる。
【0021】
可能な実装形態において、ヒートスプレッダの形状は、接触予定の要素の輪郭の形状と同じであり、ヒートスプレッダのサイズは、要素の輪郭のサイズと同じである。このように、ヒートスプレッダの熱放散面積を大きくすることができ、それにより要素の放熱効率が改善される。加えて、これにより、フレームボディは、ヒートスプレッダの位置を制限しやすくなり、それによりフレームボディ及び要素の間のクランプ留め効果がより良好になる。
【0022】
可能な実装形態において、ヒートスプレッダの材料は、金属材料を含んでよい。例えば、ヒートスプレッダは、銅、鉄、又はアルミニウムなど、高い熱伝導率を有する材料から作られてよい。金属材料は、強力な熱伝導能力を有する。したがって、ヒートスプレッダが金属材料から作られたとき、要素の熱は迅速に伝導されることが可能であり、それにより要素の放熱効率が改善される。
【0023】
可能な実装形態において、フレームボディ及び弾性構造部は、一体構造であってよい。このように、弾性構造部及びフレームボディは、より堅く接続されることが可能である。製造中に、フレームボディ及び弾性構造部は、同じプロセスを介して直接形成されることが可能であり、それにより製造コストが削減される。
【0024】
可能な実装形態において、フレームボディは、取り外し可能な構造である。このように、フレームボディ、ヒートスプレッダ、及び要素を固定する方式を簡単にすることができる。
【0025】
第2の態様によれば、本願はさらに、電子デバイスを提供する。電子デバイスは、要素、及び第1の態様又は第1の態様の可能な実装形態のうちのいずれか1つによる放熱アセンブリを含んでよく、要素は、放熱アセンブリ内のヒートスプレッダに接触している。本願のこの実施形態で提供される電子デバイスにおいて、放熱アセンブリは、要素の位置に取り付けられており、それにより、要素によって生成された熱は、放熱アセンブリを介して伝導されることが可能であり、それにより電子デバイスの放熱効率が改善される。要素は、電子的要素、光学的要素、光電子的要素などを含むが、これらに限定されない。
【0026】
可能な実装形態において、電子デバイスは、下部ハウジング、下部ハウジングに固着接続された上部カバー、及びプリント回路基板をさらに含んでよい。下部ハウジング及び上部カバーは、プリント回路基板、要素、及び放熱アセンブリを収容できる空間を包囲している。プリント回路基板は、下部ハウジングに配置されている。要素は、プリント回路基板のうちの、下部ハウジングから離れる方に向いた面に固定されている。下部ハウジングに近い上部カバーの面に、放熱ボスが配置されている。放熱アセンブリの弾性構造部が、放熱ボスに接触しており、弾性構造部は変形している。放熱アセンブリは、要素の位置に取り付けられ、ヒートスプレッダの一方の面の表面が要素に接触し、ヒートスプレッダの他方の面の表面が弾性構造部に接触し、弾性構造部が放熱ボスに接触している。加えて、弾性構造部は、特定の範囲まで変形しており、それにより要素、ヒートスプレッダ、及びフレームボディは、厚さ方向において確実に固定されている。このように、要素によって生成された熱は、ヒートスプレッダ及び放熱ボスを介して均等に伝導されることが可能である。
【0027】
可能な実装形態において、放熱ボス及びヒートスプレッダの間の空間に、第1の熱伝導材料が充填されている。例えば、第1の熱伝導材料は、サーマルゲルであってよい。
【0028】
可能な実装形態において、ヒートスプレッダは、第2の熱伝導材料を介して要素に接触している。放熱アセンブリは、熱伝導材料の接着強度に対する要件が低いことから、良好な放熱能力を有する熱伝導材料を、第2の熱伝導材料として選択することができる。例えば、第2の熱伝導材料の材料は、熱伝導係数がおよそ6W/mKであるシリコーン材料を含んでよく、それにより要素の放熱効率が改善される。
【0029】
第3の態様によれば、チップパッケージのレイアウト面積を保護カバーが占有するという問題を解決するために、本願の一実施形態は、チップパッケージ構造をさらに提供する。チップパッケージ構造は、基板、基板に固定されたダイ、及びカバープレートを含んでよい。パッケージングのための十分な空間を取るために、ダイの縁部は、基板の縁部の範囲内に位置している。カバープレートは、ダイのうちの、基板から離れる方に向いた面に位置している。カバープレートは、基板に近い面に支柱を有する。支柱は、カバープレートの縁部に固定されている。基板には、支柱に対応した位置にノッチが提供されている。例えば、ノッチは、四半円の穴、半円の穴などであってよい。支柱は、ノッチの内面を介して基板に固着接続されている。
【0030】
本願のこの実施形態で提供されるチップパッケージ構造では、支柱を有するカバープレートが配置されており、基板には、支柱に対応した位置にノッチが提供されており、支柱は、ノッチの内面を介して基板に固着接続されている。したがって、カバープレートは、要素の面積を占有せず、要素パッケージのレイアウト面積が増大する。
【0031】
可能な実装形態において、支柱のうちの、カバープレートから離れる方に向いた面の表面が、基板のうちの、カバープレートから離れる方に向いた面の表面と面一になっている。この配置により、ダイ及びカバープレートの間の間隙は、過度に大きい間隙に起因して要素及びカバープレートの間の熱抵抗が増大する事例を回避するため、及び過度に小さい間隙に起因して要素が圧搾される事例を回避するために、支柱を使用することによって制御されることが可能である。
【0032】
可能な実装形態において、基板のノッチの内面は、金属層を有する。例えば、基板のノッチに、銅めっきが配置されてよい。したがって、支柱は、金属層を介してノッチの内面に溶接されてよく、それにより支柱及び基板の間の接続がより堅くなる。
【0033】
可能な実装形態において、支柱は、内部に向かって突出した固定部分を有しており、この固定部分が、カバープレートに近い基板の面の表面に接触している。これにより、支柱の支持能力を強化し、ダイ及びカバープレートの間に特定の間隙を保つことを確保することができる。
【0034】
可能な実装形態において、チップパッケージ構造の放熱効率を改善するために、ダイ及びカバープレートの間の空間には、第3の熱伝導材料が充填されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】関連技術におけるチップの構造の概略図である。
【0036】
【
図2】本願の一実施形態による放熱アセンブリの3次元構造の概略図である。
【0037】
【
図3】本願の一実施形態による、要素の位置における放熱アセンブリの取り付けを示す概略図である。
【0038】
【
図4】本願の一実施形態による、光学モジュールへの放熱アセンブリの適用を示す概略図である。
【0039】
【
図5】本願の一実施形態による、放熱アセンブリの構造の概略上面図である。
【0040】
【0041】
【
図7】本願の一実施形態による、放熱アセンブリの構造の別の概略上面図である。
【0042】
【
図8】
図7に対応した放熱アセンブリの側面図である。
【0043】
【
図9】本願の一実施形態による、放熱アセンブリの構造の別の概略上面図である。
【0044】
【
図10】
図9に対応した放熱アセンブリの側面図である。
【0045】
【
図11】本願の一実施形態による、放熱アセンブリの構造の別の概略上面図である。
【0046】
【0047】
【
図13】本願の一実施形態による、放熱アセンブリの構造の別の概略上面図である。
【0048】
【0049】
【
図15】本願の一実施形態による、放熱アセンブリの構造の別の概略上面図である。
【0050】
【0051】
【
図17】光学モジュールである電子デバイスの構造の概略図である。
【0052】
【
図18】本願の一実施形態による、チップパッケージ構造の側面図である。
【0053】
【
図19】本願の一実施形態による、チップパッケージ構造の構造の概略平面図である。
【0054】
【
図20】本願の一実施形態による、チップパッケージ構造の3次元構造の概略図である。
【0055】
【
図21】本願の一実施形態による、チップパッケージ構造の3次元構造の別の概略図である。
【0056】
参照符号は以下の通りである。
1 要素;
11 基板;
12 ダイ;
13 保護カバー;
14 第2の溶接層;
15 第1の溶接層;
2 放熱アセンブリ;
21 ヒートスプレッダ;
22 フレームボディ;
23 弾性構造部;
231 突出部分;
P 突出構造部;
31 下部ハウジング;
32 上部カバー;
33 プリント回路基板;
34 放熱ボス;
35 光学コンポーネント;
T1 第1のボルト;
T2 第2のボルト;
4 カバープレート;
41 支柱;
411 固定部分;
U ノッチ
【発明を実施するための形態】
【0057】
本願の目的、技術的解決策、及び利点をより明確にするために、以下ではさらに、添付図面を参照して詳細に本願を説明する。
【0058】
本願の実施形態において提供される要素の放熱アセンブリについて理解を促すために、放熱アセンブリの適用シナリオを最初に説明する。本願における放熱アセンブリは、様々な要素が非高温環境で稼働するように、それらの様々な要素の熱を放散させてよく、それにより要素の焼損が回避され、要素の寿命が維持される。要素は、電子的要素、光学的要素、光電子的要素などを含むが、これらに限定されない。例えば、要素はチップであってよく、例えば、無線周波数集積チップ又はドライバチップなどの任意のタイプのチップであってよい。もちろん、本願の要素は、代替的に別のコンポーネントであってもよい。いくつかの実施形態において、放熱アセンブリは、光学モジュールにも適用されてよい。例えば、放熱アセンブリは、光学モジュール内のチップの位置に配置されてよい。放熱アセンブリを光学モジュールに配置することにより、光学モジュール内で高い熱密度を有するチップの放熱問題を効果的に解決することができる。加えて、放熱アセンブリは、電子デバイスの放熱効率を改善するために、携帯電話、タブレットコンピュータ、又はノートブックコンピュータなどの電子デバイスにも適用されてよい。
【0059】
例えば、要素はチップである。チップ集積の要件がますます高度になっていることから、概してチップは、データの交換、制御、及びデジタル/アナログ変換などの複数の機能を有することがあり、チップの電力消費も増大している。その結果、チップの放熱が非常に限られており、課題となっている。
チップの表面実装技術において、高温のリフロープロセスは、高温抵抗性能及び熱伝導材料の接着性が高いことを必要とする。しかしながら、良好な接着性を有し、高温抵抗性である熱伝導材料は、概しておよそ2W/mKしかない低い熱伝導係数を有しており、チップの放熱要件を満たすことができない。結果として、チップの放熱の問題が、ますます明らかになっている。
【0060】
これに基づき、チップの放熱の問題を解決するために、本願の実施形態は、放熱アセンブリ、電子デバイス、及びパッケージ構造を提供する。
【0061】
本明細書において、以下の添付図面における同様の参照符号及び文字は、同様のアイテムを表すことに留意されたい。したがって、添付図面においてアイテムがいったん定義されると、そのアイテムは、以下の添付図面においてさらに定義又は解釈される必要はない。
【0062】
本願の説明において、「中央」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内側」、「外側」などの用語によって示される配向又は位置関係は、添付図面に基づく配向又は位置関係であり、当該の装置又は要素が特定の配向を有する必要があること、又は特定の配向で構築及び操作される必要があることを指示又は示唆するのではなく、本願の説明を容易にすること、及び説明を簡単にすることのみを意図していることに留意されたい。したがって、そのような用語を、本願に対する限定と解釈することはできない。加えて、「第1の」及び「第2の」という用語は、説明のみを目的として使用されており、相対的な重要性を指示又は示唆するものとは解釈されない。
【0063】
本願の説明において、別段に明示的に指定及び限定されない限り、「取り付け」、「相互接続」、及び「接続」という用語は、広義に理解されるべきであることに留意されたい。例えば、そのような用語は、固着接続、取り外し可能な接続、又は一体接続を示してもよく、機械的接続又は電気的接続を示してもよく、直接的な相互接続、中間媒体を介した間接的な相互接続、又は2つの要素間の内部通信を示してもよい。当業者は、特定の状況に基づき、本願における前述の用語の特定の意味を理解することができる。
【0064】
図2は、本願の一実施形態による放熱アセンブリ2の3次元構造の概略図である。
図2に示してあるように、放熱アセンブリ2は、要素1に接触するように構成されたヒートスプレッダ21;ヒートスプレッダ21の位置を制限するように構成されたフレームボディ22、ここでフレームボディ22は、ヒートスプレッダ21の側壁を取り囲んでいる;フレームボディ22に固着接続された弾性構造部23、ここで弾性構造部23は、ヒートスプレッダ21のうちの、接触予定の要素1から離れる方に向いた側面に位置している、を含んでよい。
【0065】
本願のこの実施形態において提供される放熱アセンブリでは、要素によって生成された熱を均等に伝導できるように、要素に接触するように構成されたヒートスプレッダが配置されており;ヒートスプレッダの位置を制限し、それによりヒートスプレッダが水平方向に移動するのを防止し、ヒートスプレッダの移動に起因した放熱境界面への損傷によって発生する放熱性能への影響を回避できるように、フレームボディが配置されており;さらに、フレームボディに固着接続された弾性構造部が配置されており、弾性構造部は、電子デバイス内の別のコンポーネントに接触し、変形してよく、それにより要素、ヒートスプレッダ、及びフレームボディが、厚さ方向において確実に固定されて、要素によって生成された熱を円滑に伝導できることが確保される。さらに、製造プロセスにおいて、最初に表面実装技術がチップに対して実行されてよく、チップの表面が熱伝導材料でコーティングされ、次いで、放熱アセンブリが取り付けられる。したがって、熱伝導材料の接着強度についての要件が低減し、それにより、より良好な放熱性能を有する熱伝導材料を選択することができる。このように、要素及び放熱アセンブリの間の熱抵抗が小さく、チップの放熱効率がさらに改善される。
【0066】
関連技術において、
図1を参照されたい。ダイ12及び保護カバー13が、熱伝導材料を介して互いに接合されており、ダイ12によって生成された熱は、熱伝導材料及び保護カバー13を介して伝導される。しかしながら、表面実装技術において、高温リフロープロセスは、高温抵抗性能及び熱伝導材料の接着性が良好であることを必要とするが、良好な接着性を有し、高温抵抗性である熱伝導材料は、概しておよそ2W/mKしかない低い熱伝導係数を有しており、チップの放熱要件を満たすことができない。保護カバー13がダイ12に接合された、
図1に示す関連技術の解決策に比べて、放熱アセンブリが配置された本願のこの実施形態では、要素の放熱利得は、7℃~11℃に達することができ、要素の電力消費もある程度まで低減し、それにより要素の性能が改善されることが、実験で証明されている。
【0067】
本願のこの実施形態では、要素がチップである一例を使用して、放熱アセンブリについて説明する。実際の適用例において、放熱アセンブリは、別の要素の熱も放散させてよく、放熱アセンブリの適用シナリオは、実際の要件に基づいて選択されてよい。要素は、本願において限定されない。
【0068】
図3は、本願の一実施形態による、要素1の位置における放熱アセンブリの取り付けを示す概略図である。
図2及び
図3を参照すると、要素1によって生成された熱を伝導するために、ヒートスプレッダ21の一方の
面の表面が要素1に接触している。ヒートスプレッダ21の均衡の取れた熱伝導効果を達成するために、ヒートスプレッダ21は、均一な厚さを有するものとして構成されてよい。例えば、ヒートスプレッダ21の厚さは、およそ2mmに設定されてよい。ヒートスプレッダ21の特定の厚さは、要素1の圧力抵抗性及び信頼性に基づき設定されてよい。ヒートスプレッダ21の厚さは、本願において限定されない。弾性構造部23は、ヒートスプレッダ21の、要素1から離れる方に向いた
面に位置している。弾性構造部23が変形した後、要素1、ヒートスプレッダ21、及びフレームボディ22は、厚さ方向の定位置に固定されることが可能であり、それにより要素1によって生成された熱は、ヒートスプレッダ21に伝導されることが可能である。加えて、フレームボディ22は、ヒートスプレッダ21の位置を制限し、それによりヒートスプレッダ21が水平方向に移動するのを防止することができる。したがって、放熱アセンブリ2が要素1の位置に取り付けられた後、ヒートスプレッダ21は、水平方向又は厚さ方向に移動しない。これにより、放熱境界面が安定し、それにより要素1によって生成された熱が円滑に伝導されることが確保される。加えて、弾性構造部23は、フレームボディ22のうちの、ヒートスプレッダ21に近い
面の縁部に位置していてよい。したがって、ヒートスプレッダ21に対する弾性構造部23の被覆面積は小さく、それによりヒートスプレッダ21の熱伝導性能は影響を受けない。
【0069】
オプションで、本願において
図2及び
図3に示してあるように、弾性構造部23は、ヒートスプレッダ21に接触してよく、言い換えれば、弾性構造部23は、フレームボディ22の内側に位置している。このように、放熱アセンブリによって占有される空間は小さく、これは、空間の適切な利用にさらに資するものである。もちろん、代替的に、弾性構造部23はヒートスプレッダ21に接触していなくてもよい。例えば、弾性構造部23は、フレームボディ22の外側に位置していてよい。弾性構造部23が変形した後に、要素1、ヒートスプレッダ21、及びフレームボディ22を厚さ方向の位置に固定できる限り、弾性構造部23の特定の位置は、本願において限定されない。
【0070】
図3を参照されたい。放熱効果をさらに改善するために、ヒートスプレッダ21及び要素1の間の空間が、熱伝導材料で充填されてよい。放熱アセンブリ2は、熱伝導材料の接着強度に対する要件が低いことから、良好な放熱性能能力を有する熱伝導材料を選択することができる。例えば、熱伝導材料は、熱伝導係数がおよそ6W/mKのシリコーン材料であってよく、それにより要素1の放熱効率が改善される。加えて、要素1及びヒートスプレッダ21の間の距離が過度に大きいことによって発生する、要素1からヒートスプレッダ21への熱伝導に対する影響を回避するために、要素1及びヒートスプレッダ21の間の間隙は、0.1mmよりも小さくなるように設定されてよく、例えば0.05mmに設定されてよく、言い換えれば要素1及びヒートスプレッダ21の間に配置される熱伝導材料の厚さは、0.1mmよりも小さい。
【0071】
図4は、本願の一実施形態による、光学モジュールへの放熱アセンブリの適用を示す概略図である。
図4に示してあるように、光学モジュールは、下部ハウジング31、下部ハウジング31に固着接続された上部カバー32、及びプリント回路基板33を含んでよい。上部カバー32は、放熱ボス34を含む。下部ハウジング31及び上部カバー32は、プリント回路基板33、要素1、及び放熱アセンブリ2を収容できる空間を包囲している。オプションで、下部ハウジング31が、第1のボルトT1を使用することにより上部カバー32に固着接続されてよく、プリント回路基板33は、下部ハウジング31上に配置される。オプションで、プリント回路基板33が、第2のボルトT2を使用することにより下部ハウジング31に固着接続されてよい。もちろん、代替的にプリント回路基板33は、本願において限定しない別の方式で下部ハウジング31に配置されてもよい。要素1は、プリント回路基板33に固定されている。オプションで、要素1は、第1の溶接層15を介してプリント回路基板33に固定されてよい。放熱アセンブリ2は、要素1の位置に取り付けられており、ここで、ヒートスプレッダ21の一方の
面の表面は、要素1に接触しており、弾性構造部23は、放熱ボス34に接触している。加えて、弾性構造部23は、特定の範囲まで変形しており、それにより要素1、ヒートスプレッダ21、及びフレームボディ22は、厚さ方向において確実に固定されている。このように、要素1によって生成された熱は、ヒートスプレッダ21及び放熱ボス34を介して均等に伝導されることが可能である。
【0072】
図5は、本願の一実施形態による、放熱アセンブリの構造の概略上面図である。
図2及び
図5に示してあるように、いくつかの実施形態においては、フレームボディ22の縁部の少なくとも一部分が、ヒートスプレッダ21の表面の縁部の方に曲がっている。このように、フレームボディ22は、垂直方向においてヒートスプレッダ21の位置を制限することができる。加えて、フレームボディ22の縁部は、ヒートスプレッダ21の表面の縁部の方に曲がっていることから、ヒートスプレッダ21に対するフレームボディ22の被覆面積が小さく、それによりヒートスプレッダ21の熱伝導性能は影響を受けない。
図6は、破線Lにおける
図5の概略断面図である。
図6に示してあるように、フレームボディ22はヒートスプレッダ21を取り囲んでおり、フレームボディ22はヒートスプレッダ21に接触しており、それにより水平方向におけるヒートスプレッダ21の位置は制限されることが可能である。
【0073】
さらに、本願のこの実施形態に提供される放熱アセンブリにおいては
図3を参照されたい。フレームボディ22は、接触予定の要素1の側壁を取り囲み、接触予定の要素1にクランプ留めされるように構成されている。このように、ヒートスプレッダ21は要素1の表面に固定されることが可能であり、それにより要素1、ヒートスプレッダ21、及びフレームボディ22は、水平方向において容易に移動しない。これにより、要素1及びヒートスプレッダ21の間の放熱境界面の安定性がさらに確保される。フレームボディ22及び要素1の間でクランプ留めを実装するために、フレームボディ22は、要素1の側壁の少なくとも一部分に接触してよい。
【0074】
図3を参照されたい。本願のこの実施形態において、フレームボディ22のうちの、ヒートスプレッダ21からより遠くに離れた
面の縁部は、接触予定の要素1の表面と面一になる。このように、フレームボディ22及び要素1の間の接触面積が大きく、それによりフレームボディ22は要素1にさらに容易にクランプ留めされ、ヒートスプレッダ21は、要素1の表面にさらに堅く固定されることが可能である。加えて、フレームボディ22の
うちの、ヒートスプレッダ21からより遠く離れた
面の縁部は、要素1の、ヒートスプレッダ21から離れる方に向いた
面の表面を越えず、それによりフレームボディ22は、要素1の位置にさらに容易に取り付けられることが可能である。さらに、フレームボディ22は、要素1の面積を占有せず、それにより要素1の元の構造を変更する必要がなく、要素1の周りの空間は、フレームボディ22を収容するのに十分である。したがって、本願における放熱アセンブリは、小型の要素1にも適用することができ、それにより、不十分な空間に起因して放熱コンポーネントを小型の要素1に配置できないという関連技術の問題が解決される。
【0075】
図7は、本願の一実施形態による、放熱アセンブリの構造の別の概略上面図である。
図8は、
図7に対応した放熱アセンブリの側面図である。
図7及び
図8に示してあるように、フレームボディ22の側壁には、内部に向かって突出した突出構造部Pが存在している。このように、要素1は、突出構造部Pを使用することによって保持されることが可能であり、それにより、フレームボディ22及び要素1の間のクランプ力がより大きくなり、それによりフレームボディ22、ヒートスプレッダ21、及び要素1が、水平方向において確実に固定されることが確保され、さらに、要素1及びヒートスプレッダ21の間の放熱境界面の安定性が確保される。
【0076】
オプションで、本願のこの実施形態において提供される放熱アセンブリでは、
図3に示してあるように、ヒートスプレッダ21のうちの、弾性構造部23から離れる方に向いた側面に、突出構造部Pが位置している。弾性構造部23は、フレームボディ22のうちの、ヒートスプレッダ21の近くにある
面の縁部に固定されていることから、ヒートスプレッダ21の位置は、少なくとも弾性構造部23がフレームボディ22に接触する位置に制限されることが可能である。したがって、突出構造部Pは、ヒートスプレッダ21のうちの、弾性構造部23から離れる方に向いた
面に配置され、それにより、要素1の位置は、突出構造部Pを使用することによりさらに制限されることが可能であり、それにより、要素1及びヒートスプレッダ21が、水平方向において移動しないことがさらに確保される。加えて、要素1がチップである一例を使用する。要素1は、基板11及びダイ12を含んでよい。ダイ12は、第2の溶接層14を介して基板11に固定されている。概して、ダイ12のサイズは、基板11のサイズよりも小さい。要素1の側壁の位置に突出構造部Pが配置されているので、フレームボディ22は、より容易にクランプ留めされるように要素1に接触することができ、さらに、フレームボディ22及び要素1の間のクランプ力を増大させることができ、それにより要素1はより移動しにくくなる。加えて、代替的に突出構造部Pは、ヒートスプレッダ21に対応した位置に配置されてもよい。突出構造部Pの特定の位置は、本願において限定されない。ダイ12は、ダイであってよく、半導体材料から作られた、パッケージングされていない集積回路本体の小さいブロックであり、集積回路の所与の機能は、半導体のこの小さい部分に実装される。
【0077】
図9は、本願の一実施形態による、放熱アセンブリの構造の別の概略上面図である。
図10は、
図9に対応した放熱アセンブリの側面図である。
図9及び
図10に示してあるように、突出構造部Pは、フレームボディ22の少なくとも2つの対向する側壁に存在している。例えば、
図9に示してある放熱アセンブリでは、フレームボディ22の4つの側壁すべてに突出構造部Pが存在している。
図11は、本願の一実施形態による、放熱アセンブリの構造の別の概略上面図である。
図12は、
図11に対応した放熱アセンブリの側面図である。
図11及び
図12においては、フレームボディ22の2つの対向する側壁に突出構造部Pが存在している。このように、フレームボディ22のクランプ力をより均等にすることができ、それにより、フレームボディ22の不均等なクランプ力によって発生する要素1及びヒートスプレッダ21の間の相対的な移動が回避される。
【0078】
オプションで、本願の実施形態では、フレームボディ22の少なくとも1つの側壁のそれぞれに、1つ又は複数の突出構造部Pが存在している。
図13は、本願の一実施形態による放熱アセンブリの構造の別の概略上面図である。
図14は、
図13に対応した放熱アセンブリの側面図である。
図13及び
図14に示してあるように、フレームボディ22の少なくとも1つの側壁のそれぞれに、1つの突出構造部Pが存在してよい。
図15は、本願の一実施形態による、放熱アセンブリの構造の別の概略上面図である。
図16は、
図15に対応した放熱アセンブリの側面図である。
図15及び
図16に示してあるように、代替的には、フレームボディ22の少なくとも1つの側壁のそれぞれに、複数の突出構造部Pが存在してよい。このように、フレームボディ22のクランプ力を増大させることができ、それによりヒートスプレッダ21及び要素1に対するフレームボディ22のクランプ留めのより良好な効果が達成され、それによりヒートスプレッダ21及び要素1が、より移動しにくくなる。
図15及び
図16においては、フレームボディ22の1つの側壁に3つの突出構造部Pが存在する一例を、図解のために使用しており、突出構造部Pの数量は限定されない。加えて、
図7~
図16においては、フレームボディ22の側壁の中央区域の近くに突出構造部Pがある一例を、図解のために使用している。実際の適用例では、突出構造部Pの位置は、実際の要件に基づき設定されてよい。突出構造部Pの位置は、本願において限定されない。
【0079】
本願のすべての添付図面において、限定された数量の突出構造部P及び弾性構造部23が、図解のための一例として使用されているが、これは、突出構造部P及び弾性構造部23の数量に限定を課すものではない。加えて、本願のすべての添付図面において、突出構造部Pが正方形である一例を、図解のために使用している。実際の適用例では、代替的に突出構造部Pは、円形、台形、又は別の形状として構成されてもよい。突出構造部Pの形状は、本願において限定されない。
【0080】
オプションで、本願の実施形態における放熱アセンブリにおいては、
図5に示してあるように、弾性構造部23が、フレームボディ22の少なくとも2つの対向する縁部に配置されている。このように、弾性構造部23が圧縮下で変形した後、ヒートスプレッダ21及び要素1に加えられる弾性力がより均等になり、それにより、ヒートスプレッダ21及び要素1に加えられる不均等な弾性力によって発生する相対的な移動が回避される。例えば、
図5及び
図6では、弾性構造部23は、フレームボディ22のすべての
面の縁部に配置されている;
図9及び
図10に示してあるように、弾性構造部23は、フレームボディ22の2つの対向する
面の縁部に配置されている。
【0081】
本願の一実施形態において、
図5及び
図6に示してあるように、弾性構造部23はばねプレートである。
【0082】
弾性構造部23は、少なくとも1つの突出部分231を有する。突出部分231は、ヒートスプレッダ21から離れる方に向いて突出している。
【0083】
弾性構造部23は、ばねプレートとして構成されており、少なくとも1つの突出部分231が提供されており、それにより、圧縮下で弾性構造部23が変形したとき、弾性力が生成されることが可能であり、ヒートスプレッダ21及び要素1は、互いに密着することができる。加えて、突出部分231の一方の端部は固定されてよく、その一方で他方の端部は可動であり、それにより、突出部分231が圧縮されたとき、可動端部は、ヒートスプレッダ21の表面上を摺動することができ、突出部分231が圧縮されていないときには、可動端部は、初期状態に戻ることができる。このように、弾性構造部23の弾性能力が強力になる。
【0084】
オプションで、本願の実施形態における放熱アセンブリにおいて、
図6に示してあるように、突出部分231は円弧形状であってよい。このように、弾性構造部23は、より容易に変形することができ、弾性構造部23の弾性が良好になる。
【0085】
いくつかの実施形態において、本願の実施形態において提供される放熱アセンブリでは、
図5に示してあるように、対称的に配置された2つの突出部分231を弾性構造部23が有しており、それにより弾性構造部23の弾性能力が増大する。2つの突出部分231の固定端部は、2つの突出部分231の他方の端部がなお可動であるように接続されてよい。例えば、弾性構造部23は、弾性構造部23の弾性が良好になるように、一体構造部として構成されてよい。
図11及び
図12に示してあるように、代替的に弾性構造部23は、1つの突出部分231を有してもよい。
図12は
図11の側面図であることから、
図12では2つの突出部分231が存在しているが、これら2つの突出部分231は、同じ弾性構造部に属していないことに留意されたい。もちろん、代替的に弾性構造部23は、より多くの突出部分231を有してもよい。弾性構造部23における突出部分231の数量は、本願において限定されない。
【0086】
オプションで、本願の実施形態における放熱アセンブリでは、
図5に示してあるように、突出部分231はストリップ形状であってよい。
【0087】
図5及び
図6に示してあるように、突出部分231の延伸方向は、ヒートスプレッダ21の縁部の延伸方向と同じである。代替的に、
図13及び
図14に示してあるように、突出部分231の延伸方向及びヒートスプレッダ21の縁部の延伸方向の間に、特定の挟角が存在している。突出部分231が、これら2つの方式のうちのいずれかで配置されたとき、ヒートスプレッダのうちの、突出部分231によって占有される面積が小さくなり、それにより要素の放熱効果は影響を受けない。実際の適用例においては、要素の熱をより効果的に放散するために、突出部分231の延伸方向は、要素の特定の構造に基づき設定されてよい。
【0088】
本願のいくつかの実施形態において、弾性構造部の材料は、弾性のプラスチック材料又は金属材料を含んでよい。弾性構造部が、弾性のプラスチック材料又は金属材料から作られたとき、弾性構造部は良好な弾性を有することができる。例えば、弾性構造部は、弾性の薄鋼板又は板金部品として製造されてよい。もちろん、代替的に弾性構造部は、別の弾性材料から作られてもよい。例えば、代替的に弾性構造部は、プラスチック材料から作られてもよい。これは、本願において限定されるものではない。
【0089】
オプションで、本願の実施形態において提供される放熱アセンブリでは、
図3に示してあるように、ヒートスプレッダ21の形状は、接触予定の要素1の輪郭の形状と同じであり、ヒートスプレッダ21のサイズは、要素1の輪郭のサイズと同じである。
【0090】
本願における要素1の輪郭は、要素1の最も外側の縁部によって包囲された形状として理解されてよいことに留意されたい。要素1がチップである一例を使用する。要素1内の基板11のサイズは、ダイ12のサイズよりも大きく、したがって、要素1の輪郭は、基板11の輪郭であってよい。
【0091】
ヒートスプレッダ21の形状及びサイズは、要素1の輪郭の形状及びサイズと同じになるように設定されている。このように、ヒートスプレッダ21の熱放散面積を大きくすることができ、それにより要素1の放熱効率が改善される。加えて、これにより、ヒートスプレッダ21の位置をフレームボディ22が制限しやすくなり、フレームボディ22及び要素1の間でより良好なクランプ留め効果も達成され、それによりヒートスプレッダ21及び要素1は、容易に移動せず、それによりヒートスプレッダ21及び要素1の間の放熱境界面の安定性が確保される。
【0092】
いくつかの実施形態において、本願の実施形態で提供される放熱アセンブリでは、ヒートスプレッダの材料が金属材料を含んでよい。金属材料は、強力な熱伝導能力を有する。ヒートスプレッダが金属材料から作られたとき、要素の熱は迅速に伝導されることが可能であり、それにより要素の放熱効率が改善される。例えば、ヒートスプレッダは、銅、鉄、又はアルミニウムなど、高い熱伝導率を有する材料から作られてよい。もちろん、代替的にヒートスプレッダは、強力な熱伝導能力を有する別の材料から作られてもよい。ヒートスプレッダの材料は、本願において限定されない。本願の実施形態においては、ヒートスプレッダ及び要素の間の間隙が小さく、例えば0.1mmよりも小さくなるように設定されてよく、ヒートスプレッダの熱伝導能力が強力であり、例えばヒートスプレッダが銅から作られたとき、ヒートスプレッダの熱伝導性は400W/mKに達することができるので、要素によって生成される熱は、均等且つ迅速に伝導されることが可能である。
【0093】
オプションで、本願の実施形態において
図3を参照されたい。フレームボディ22及び弾性構造部23は、一体構造であってよい。このように、弾性構造部23及びフレームボディ22は、より堅く接続されることが可能である。さらに、製造中に、フレームボディ22及び弾性構造部23は、同じプロセスを介して直接形成されることが可能であり、それにより製造段階が減少し、製造コストが削減される。もちろん、代替的に弾性構造部23及びフレームボディ22は、2つの別個のコンポーネントであってよく、その場合、弾性構造部23は、溶接又は接合などの方式でフレームボディ22の縁部の位置に固定される。フレームボディ22及び弾性構造部23を配置する特定の方式は、本願において限定されない。
【0094】
いくつかの実施形態において、本願の実施形態で提供される放熱アセンブリでは、フレームボディは取り外し可能な構造である。製造プロセスにおいて、チップに対して最初に表面実装技術が実行されてよく、次いで、チップの表面が熱伝導材料でコーティングされ、次いで、放熱アセンブリが取り付けられる。したがって、熱伝導材料の接着強度についての要件が低減し、それにより、より良好な放熱性能を有する熱伝導材料を選択することができ、それによりチップの放熱効率がさらに改善される。加えて、フレームボディが取り外し可能な構造として配置されたとき、フレームボディ、ヒートスプレッダ、及び要素を固定する方式が簡単になる。
【0095】
同じ技術的概念に基づき、本願の一実施形態はさらに、電子デバイスを提供する。
図17に示してあるように、電子デバイスは、上で説明した要素1及び任意の放熱アセンブリ2を含む。要素1は、放熱アセンブリ2内のヒートスプレッダに接触している。本願のこの実施形態で提供される電子デバイスにおいて、放熱アセンブリは、要素の位置に取り付けられており、それにより、要素によって生成された熱は、放熱アセンブリを介して伝導されることが可能であり、それにより電子デバイスの放熱効率が改善される。要素は、電子的要素、光学的要素、光電子的要素などを含むが、これらに限定されない。
【0096】
図17では、電子デバイスが光学モジュールである一例を、図解のために使用している。光学モジュールは、光から電気への変換及び電気から光への変換を実装するコンポーネントであり、光通信デバイスの重要な機能的モジュールである。
図17に示してあるように、電子デバイスはさらに、光学コンポーネント35を含んでよい。本願においては、電子デバイスが光学モジュールである例を、説明のために使用している。もちろん、代替的に電子デバイスは、放熱を必要とする別のデバイスであってよく、放熱アセンブリは、電子デバイス内で放熱を必要とする要素の位置に取り付けられさえすればよい。電子デバイスのタイプは、本願において限定されない。
【0097】
本願のこの実施形態においては、
図4を参照されたい。電子デバイスは、下部ハウジング31、下部ハウジング31に固着接続された上部カバー32、及びプリント回路基板33をさらに含んでよい。プリント回路基板33は、下部ハウジング31に配置されている。要素1は、プリント回路基板33のうちの、下部ハウジング31から離れる方に向いた
面に固定されている。下部ハウジング31に近い上部カバー32の
面に、放熱ボス34が配置されている。放熱アセンブリ2の弾性構造部23が、放熱ボス34に接触しており、弾性構造部23は変形している。
【0098】
下部ハウジング31及び上部カバー32は、プリント回路基板33、要素1、及び放熱アセンブリ2を収容することができる空間を包囲している。オプションで、下部ハウジング31は、第1のボルトT1を使用することにより、上部カバー32に固着接続されてよく、プリント回路基板33は、第2のボルトT2を使用することにより、下部ハウジング31に固着接続されてよい。代替的に、プリント回路基板33は、本願において限定されない別の方式で、下部ハウジング31に配置されてもよい。要素1は、プリント回路基板33に固定されている。オプションで、要素1は、第1の溶接層15を介してプリント回路基板33に固定されてよい。放熱アセンブリ2は、要素1の位置に取り付けられ、この位置において、ヒートスプレッダ21の一方の面の表面が要素1に接触し、ヒートスプレッダの他方の面の表面が弾性構造部23に接触し、弾性構造部23が放熱ボス34に接触している。加えて、弾性構造部23は、特定の範囲まで変形しており、それにより要素1、ヒートスプレッダ21、及びフレームボディ22は、厚さ方向において確実に固定されている。このように、要素1によって生成された熱は、ヒートスプレッダ21及び放熱ボス34を介して均等に伝導されることが可能である。
【0099】
いくつかの実施形態において、本願のこの実施形態で提供される電子デバイスでは、
図4を参照されたい。放熱ボス34及びヒートスプレッダ21の間の空間には、第1の熱伝導材料(図示せず)が充填されている。例えば、第1の熱伝導材料は、サーマルゲルであってよい。弾性構造部23及び第1の熱伝導材料のための十分な空間を取るために、放熱ボス34及びヒートスプレッダ21の間の間隙は、0.5mmよりも小さくなるように設定されてよい。加えて、第1の熱伝導材料は軟質材料であり、弾性構造部23が圧縮及び伸長したとき、第1の熱伝導材料は、弾性構造部23とともに流れることができ、それにより、弾性構造部23の弾性能力に第1の熱伝導材料が影響を及ぼすことが防止される。
【0100】
オプションで、本願のこの実施形態で提供される電子デバイスにおいては、
図4を参照されたい。ヒートスプレッダ21は、第2の熱伝導材料(図示せず)を介して要素1に接触している。放熱アセンブリ2は、熱伝導材料の接着強度に対する要件が低いことから、良好な放熱能力を有する熱伝導材料を、第2の熱伝導材料として選択することができる。例えば、第2の熱伝導材料の材料は、熱伝導係数がおよそ6W/mKであるシリコーン材料を含んでよく、それにより要素1の放熱効率が改善される。加えて、代替的に第2の熱伝導材料の材料は、高い熱伝導率を有する別の材料であってもよい。これは、本願において限定されるものではない。加えて、要素1及びヒートスプレッダ21の間の距離が過度に大きいことによって発生する、要素1からヒートスプレッダ21への熱伝導に対する影響を回避するために、要素1及びヒートスプレッダ21の間の間隙は、0.1mmよりも小さくなるように設定されてよく、例えば0.05mmに設定されてよく、つまり要素1及びヒートスプレッダ21の間に配置される熱伝導材料の厚さは、0.1mmよりも小さい。
【0101】
図1に示してある関連技術において、チップは概して、基板11、基板11に固定されたダイ12、及び保護カバー13を含んでよい。保護カバー13は、熱伝導材料を使用することによりダイ12に接合されている。加えて、保護カバー13は、チップの4つの角部又は周囲に接合されており、したがって、保護カバー13は、チップパッケージのレイアウト面積を占有している。
【0102】
これに基づき、チップパッケージのレイアウト面積を保護カバーが占有するという問題を解決するために、本願の一実施形態は、チップパッケージ構造を提供する。
図18は、本願の一実施形態による、チップパッケージ構造の側面図である。
図18に示してあるように、チップパッケージ構造は、基板11、基板11に固定されたダイ12、及びカバープレート4を含んでよい。ダイ12の縁部は、基板11の縁部の範囲内に位置している。オプションで、ダイ12は、第2の溶接層14を介して基板11に固定されてよい。
図19は、本願の一実施形態による、チップパッケージ構造の構造の概略平面図である。パッケージングのための十分な空間を取るために、ダイ12の縁部が、基板11の縁部の範囲内に位置しており、つまりダイ12のサイズが、基板11のサイズよりも小さいことを、
図19から明確に確認することができる。ダイは、ダイであってよく、半導体材料から作られた、パッケージングされていない集積回路本体の小さいブロックであり、集積回路の所与の機能は、半導体のこの小さい部分に実装される。
【0103】
図20及び
図21は、本願の一実施形態による、チップパッケージ構造の3次元構造の別の概略図である。
図20及び
図21を一緒に参照されたい。ダイ12のうちの、基板11から離れる方に向いた
面に、カバープレート4が位置しており;カバープレート4は、基板11に近い
面に支柱41を有しており、この支柱41は、カバープレート4の縁部に固定されており;基板11には、支柱41に対応した位置にノッチUが提供されており;支柱41は、ノッチUの内面を介して基板11に固着接続されている。オプションで、ノッチUは、基板11の4つの角部又は側面縁部に配置されてよい。これは、本願において限定されるものではない。ノッチUは、四半円の穴又は半円の穴であってもよいし、又は別の形状であってもよく、これは本願において限定されない。
【0104】
本願のこの実施形態で提供されるチップパッケージ構造では、支柱を有するカバープレートが配置されており、カバープレートには、支柱に対応した位置にノッチが提供されており、支柱は、ノッチの内面を介して基板に固着接続されている。したがって、カバープレートは、要素の面積を占有せず、要素パッケージのレイアウト面積が増大する。本願のカバープレートでは、要素のレイアウト面積をおよそ9%増やせることが、実験により証明されている。
【0105】
本願のこの実施形態では、
図18に示してあるように、支柱41のうちの、カバープレート4から離れる方に向いた
面の表面が、基板11のうちの、カバープレート4から離れる方に向いた
面の表面と面一になる。このように、過度に大きい間隙に起因して要素1及びカバープレート4の間の熱抵抗が増大する事例を回避し、過度に小さい間隙に起因して要素1が圧搾される事例を回避するために、ダイ12及びカバープレート4の間の間隙は、支柱41を使用することによって制御されることが可能である。
【0106】
オプションで、
図21を参照されたい。支柱41に対応したノッチUを形成するために、基板11上の、支柱41に対応した位置がフライス加工されてよく、支柱41は、接合材料を使用することにより、ノッチUの内面に固定される。オプションで、基板11のノッチUの内面は、金属層を有してよい。例えば、基板11のノッチUに、銅めっきが配置されてよい。したがって、支柱41は、金属層を介してノッチUの内面に溶接されてよく、それにより支柱41及び基板11の間の接続がより堅くなる。もちろん、代替的に別の接合材料を使用して、支柱41がノッチUの内面に固定されてもよい。例えば、強い接着力を有する接着剤が使用されてよい。接合材料は、本願において限定されない。
【0107】
さらに、本願のこの実施形態において提供されるチップパッケージ構造では、支柱41は、
図21に示してあるように、内部に向かって突出した固定部分411を有しており、この固定部分411が、カバープレート4に近い基板11の
面の表面に接触している。支柱41には、固定部分411が提供されており、固定部分411は、基板11の表面に接触しており、それにより支柱41の支持能力がさらに強化されることが可能であり、それによりダイ12及びカバープレート4の間で特定の間隙を保持することが確保される。加えて、本願のこの実施形態において、
図18を参照されたい。ダイ12及びカバープレート4の間の空間には、第3の熱伝導材料(図示せず)が充填されてよい。ダイ12によって生成された熱は、第3の熱伝導材料を介して伝導され、それによりチップパッケージ構造の放熱効率が改善される。
【0108】
前述の説明は、本願の具体的な実装例に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本願で開示された技術的範囲内で当業者が容易に想到する任意の変形又は置換は、本願の保護範囲に含まれるものとする。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
(他の可能な項目)
(項目1)
要素の放熱アセンブリであって、
前記要素(1)に接触するように構成されたヒートスプレッダ(21);
前記ヒートスプレッダ(21)の位置を制限するように構成されたフレームボディ(22)、ここで前記フレームボディ(22)は、前記ヒートスプレッダ(21)の側壁を取り囲んでいる;及び
前記フレームボディ(22)に固着接続された弾性構造部(23)、ここで前記弾性構造部(23)は、接触予定の前記要素(1)から離れる方に向いた前記ヒートスプレッダ(21)の面に位置している
を備える、放熱アセンブリ。
(項目2)
前記フレームボディ(22)の縁部の少なくとも一部分が、前記ヒートスプレッダ(21)の表面の縁部の方に曲がっている、項目1に記載の放熱アセンブリ。
(項目3)
前記フレームボディ(22)が、接触予定の前記要素(1)の側壁を取り囲み、接触予定の前記要素(1)にクランプ留めされるように構成されている、項目1に記載の放熱アセンブリ。
(項目4)
前記ヒートスプレッダ(21)からより遠く離れた、前記フレームボディ(22)の面の縁部が、接触予定の前記要素(1)の表面と面一になる、項目3に記載の放熱アセンブリ。
(項目5)
前記フレームボディ(22)の側壁に、内部に向かって突出した突出構造部(P)が存在している、項目3に記載の放熱アセンブリ。
(項目6)
前記突出構造部(P)が、前記弾性構造部(23)から離れる方に向いた前記ヒートスプレッダ(21)の面に位置している、項目5に記載の放熱アセンブリ。
(項目7)
前記フレームボディ(22)の少なくとも2つの対向する側壁に、突出構造部(P)が存在している、項目5に記載の放熱アセンブリ。
(項目8)
前記フレームボディ(22)の少なくとも1つの側壁のそれぞれに、1つ又は複数の突出構造部(P)が存在している、項目5に記載の放熱アセンブリ。
(項目9)
前記フレームボディ(22)の少なくとも2つの対向する縁部に、弾性構造部(23)が配置されている、項目1に記載の放熱アセンブリ。
(項目10)
前記弾性構造部(23)がばねプレートであり;
前記弾性構造部(23)が少なくとも1つの突出部分(231)を有し、前記突出部分(231)が、前記ヒートスプレッダ(21)から離れる方に向いて突出している、項目1から9のいずれか1項に記載の放熱アセンブリ。
(項目11)
前記突出部分(231)が円弧形状である、項目10に記載の放熱アセンブリ。
(項目12)
前記弾性構造部(23)が、対称に配置された2つの突出部分(231)を有する、項目10に記載の放熱アセンブリ。
(項目13)
前記突出部分(231)がストリップ形状であり;
前記突出部分(231)の延伸方向が、前記ヒートスプレッダ(21)の縁部の延伸方向と同じであるか;又は
前記突出部分(231)の延伸方向及び前記ヒートスプレッダ(21)の縁部の延伸方向の間に特定の挟角が存在している、項目10に記載の放熱アセンブリ。
(項目14)
前記弾性構造部(23)の材料が、弾性のプラスチック材料又は金属材料を含む、項目1に記載の放熱アセンブリ。
(項目15)
前記ヒートスプレッダ(21)の形状が、接触予定の前記要素(1)の輪郭の形状と同じであり;
前記ヒートスプレッダ(21)のサイズが、前記要素(1)の前記輪郭のサイズと同じである、項目1に記載の放熱アセンブリ。
(項目16)
前記ヒートスプレッダ(21)の材料が、金属材料を含む、項目1に記載の放熱アセンブリ。
(項目17)
前記フレームボディ(22)及び前記弾性構造部(23)が一体構造である、項目1から16のいずれか1項に記載の放熱アセンブリ。
(項目18)
前記フレームボディ(22)が取り外し可能な構造である、項目1から16のいずれか1項に記載の放熱アセンブリ。
(項目19)
要素(1)及び項目1から18のいずれか1項に記載の放熱アセンブリ(2)を備える電子デバイスであって、前記要素(1)が、前記放熱アセンブリ(2)内のヒートスプレッダに接触している、電子デバイス。
(項目20)
下部ハウジング(31)、前記下部ハウジング(31)に固着接続された上部カバー(32)、及びプリント回路基板(33)をさらに備え、
前記プリント回路基板(33)が、前記下部ハウジング(31)に配置されており、前記要素(1)が、前記プリント回路基板(33)のうちの、前記下部ハウジング(31)から離れる方に向いた面に固定されており;
前記下部ハウジング(31)に近い前記上部カバー(32)の面に、放熱ボス(34)が配置されており、前記放熱アセンブリ(2)の弾性構造部(23)が、前記放熱ボス(34)に接触しており、前記弾性構造部(23)が変形している、項目19に記載の電子デバイス。
(項目21)
前記放熱ボス(34)及び前記ヒートスプレッダ(21)の間の空間に、第1の熱伝導材料が充填されている、項目20に記載の電子デバイス。
(項目22)
前記ヒートスプレッダ(21)が、第2の熱伝導材料を介して前記要素(1)に接触している、項目19から21のいずれか1項に記載の電子デバイス。
(項目23)
前記第2の熱伝導材料の材料が、シリコーン材料を含む、項目22に記載の電子デバイス。
(項目24)
基板(11)、前記基板(11)に固定されたベアダイ(12)、及びカバープレート(4)を備え、
前記ベアダイ(12)の縁部が、前記基板(11)の縁部の範囲内に位置しており;
前記カバープレート(4)が、前記ベアダイ(12)のうちの、前記基板(11)から離れる方に向いた面に位置しており;
前記カバープレート(4)が、前記基板(11)に近い面に支柱(41)を有し、前記支柱(41)が、前記カバープレート(4)の縁部に固定されており;
前記基板(11)には、前記支柱(41)に対応した位置にノッチ(U)が提供されており、前記支柱(41)が、前記ノッチ(U)の内面を介して、前記基板(11)に固着接続されている
チップパッケージ構造。
(項目25)
前記支柱(41)のうちの、前記カバープレート(4)から離れる方に向いた面の表面が、前記基板(11)のうちの、前記カバープレート(4)から離れる方に向いた面の表面と面一になっている、項目24に記載のチップパッケージ構造。
(項目26)
前記基板(11)の前記ノッチ(U)の前記内面が、金属層を有する、項目24に記載のチップパッケージ構造。
(項目27)
前記支柱(41)が、内部に向かって突出した固定部分(411)を有し;
前記固定部分(411)が、前記カバープレート(4)に近い前記基板(11)の面の表面に接触している、項目24から26のいずれか1項に記載のチップパッケージ構造。
(項目28)
前記ベアダイ(12)及び前記カバープレート(4)の間の空間に、第3の熱伝導材料が充填されている、項目24から26のいずれか1項に記載のチップパッケージ構造。