IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -物品収受装置 図1
  • -物品収受装置 図2
  • -物品収受装置 図3
  • -物品収受装置 図4
  • -物品収受装置 図5
  • -物品収受装置 図6
  • -物品収受装置 図7
  • -物品収受装置 図8
  • -物品収受装置 図9
  • -物品収受装置 図10
  • -物品収受装置 図11
  • -物品収受装置 図12
  • -物品収受装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】物品収受装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/122 20060101AFI20250513BHJP
   A47G 29/12 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
A47G29/122 Z
A47G29/12 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021032869
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022018065
(43)【公開日】2022-01-26
【審査請求日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2020120546
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501377139
【氏名又は名称】日本宅配システム株式會社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】淺井 泰夫
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-064456(JP,A)
【文献】特開2018-143642(JP,A)
【文献】特表2019-505319(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0168507(US,A1)
【文献】特開2011-067300(JP,A)
【文献】特開2004-154474(JP,A)
【文献】特開2011-248605(JP,A)
【文献】特開2003-189997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/122
A47G 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ボックスを用いて物品の収受を行う物品収受装置であって、
除菌作用を有する除菌物質を供給する供給手段と、
前記供給手段により供給された除菌物質を含んだ空気を、前記収納ボックスの内部空間を含む前記物品収受装置の内部に流通させる流通手段と、
前記収納ボックス内に収納された物品の底面を、前記除菌物質を含んだ空気に曝露する曝露手段と、
前記供給手段により供給された除菌物質を含んだ空気を、前記物品収受装置の内部から外部へ吹き出す吹出手段と、
前記収納ボックスに前記物品を預け入れるための操作及び/又は前記収納ボックスから前記物品を取り出すための操作に用いられる操作部と、を備え、
前記吹出手段は、前記除菌物質を含んだ空気を前記操作部の表面に当たるように吹き出す第一吹出手段を含み、
前記操作部が、開閉可能な小扉で区画された空間に設けられている、物品収受装置。
【請求項2】
前記収納ボックスは開閉可能な扉を備える、請求項1に記載の物品収受装置。
【請求項3】
前記曝露手段は、前記収納ボックスに物品が収納されたときに前記物品を支持し、前記収納ボックスに収納された前記物品の底面と、前記収納ボックスの内面と、の間に空間を形成する構造物である、請求項1又は2に記載の物品収受装置。
【請求項4】
前記構造物は、前記収納ボックスの底面上に設けられている、請求項3に記載の物品収受装置。
【請求項5】
前記曝露手段は、前記収納ボックスの底面から前記除菌物質を含んだ空気を放出する放出口である、請求項1又は2に記載の物品収受装置。
【請求項6】
前記除菌物質がラジカル又はイオンを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の物品収受装置。
【請求項7】
前記吹出手段による前記除菌物質を含んだ空気の吹き出しを防止するための吹出防止手段を有する、請求項1に記載の物品収受装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納された物品を除菌することができる物品収受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、宅配ボックス(宅配ロッカーとも呼ばれる)や郵便ボックスのような、集合住宅やオフィスビル等の玄関ホール等に設置し、種々の物品(宅配物、郵便物、あるいは食品等の種々の物品)を収受し、これらの受け渡しを管理する物品収受装置が知られている。
【0003】
近年は、物品収受装置に求められる役割が多様化し、単に物品を収受するだけではない、様々な機能を持った物品収受装置が上市されている。例えば、特許文献1には、所定の特性を有する気体を物品収受装置内部に流通させることで、物品収受装置内部や収納された物品に対し、冷却、保温、加熱、消臭、殺菌、空気浄化などの処理を行う機能を備えた物品収受装置が開示されており、物品収受装置の利便性が向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-64456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に近年は、郵便物や宅配物の安全性が問題となっており、これらの表面に付着している細菌、ウイルスなどを除菌・不活化する技術が求められていることから、上述のような物品収受装置が注目されている。しかしながら、上述のような物品収受装置では、収納された物品の表面全体を除菌処理することが難しい。収納された物品の底面に除菌能力を有する気体を触れさせることが難しいためである。
【0006】
そこで本発明では、収納された物品のほぼ全ての表面を除菌することができる物品収受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、収納ボックスを用いて物品の収受を行う物品収受装置であって、除菌作用を有する除菌物質を供給する供給手段と、前記供給手段により供給された除菌物質を含んだ空気を、前記収納ボックスの内部空間を含む前記物品収受装置の内部に流通させる流通手段と、前記収納ボックス内に収納された物品の底面を、前記除菌物質を含んだ空気に曝露する曝露手段と、を備える物品収受装置を提供する(発明1)。
【0008】
かかる発明(発明1)によれば、収納ボックスに収納された物品の底面を含むほぼ全ての表面を、除菌物質を含んだ空気に触れさせることができることから、当該物品のほぼ全ての表面の除菌を行うことができる。
【0009】
上記発明(発明1)においては、前記収納ボックスは開閉可能な扉を備えていてもよい(発明2)。
【0010】
上記発明(発明1~2)においては、曝露手段は、前記収納ボックスに物品が収納されたときに前記物品を支持し、前記収納ボックスに収納された前記物品の底面と、前記収納ボックスの内面と、の間に空間を形成する構造物であってもよい(発明3)。
【0011】
上記発明(発明3)においては、構造物は、前記収納ボックスの底面上に設けられていてもよい(発明4)。
【0012】
上記発明(発明1~2)においては、曝露手段は、前記収納ボックスの底面から前記除菌物質を含んだ空気を放出する放出口であってもよい(発明5)。
【0013】
上記発明(発明1~5)においては、前記除菌物質がラジカル又はイオンを含んでもよい(発明6)。
【0014】
上記発明(発明1~6)においては、前記供給手段により供給された除菌物質を含んだ空気を、前記物品収受装置の内部から外部へ吹き出す吹出手段を有していてもよい(発明7)
【0015】
上記発明(発明7)においては、前記吹出手段による前記除菌物質を含んだ空気の吹き出しを防止するための吹出防止手段を有していてもよい(発明8)
【0016】
上記発明(発明1~8)においては、前記収納ボックスに前記物品を預け入れるための操作及び/又は前記収納ボックスから前記物品を取り出すための操作に用いられる操作部を有してもよい(発明9)。
【0017】
上記発明(発明9)においては、前記吹出手段は、前記除菌物質を含んだ空気を前記操作部の表面に当たるように吹き出す第一吹出手段を含んでいてもよい(発明10)。
【発明の効果】
【0018】
本発明の物品収受装置によれば、収納された物品のほぼ全ての表面の除菌を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】物品収受装置の一実施形態に係る宅配ボックスの外観を概略的に示す図である。
図2】物品収受装置の一実施形態に係る郵便ボックスと、宅配ボックスと郵便ボックスの複合型の外観を概略的に示す図である。
図3】物品収受装置に備えられた供給手段と、流通手段と、を概略的に示す図である。
図4】物品収受装置に備えられた曝露手段の一実施形態(レール型)を示す図である。
図5】物品収受装置に備えられた曝露手段の一実施形態(板型)を示す図である。
図6】物品収受装置に備えられた曝露手段の一実施形態(連続三角柱型)を示す図である。
図7】物品収受装置に備えられた曝露手段の一実施形態(かまぼこ型)を示す図である。
図8】物品収受装置に備えられた曝露手段の一実施形態(直方体型)を示す図である。
図9】物品収受装置に備えられた曝露手段の一実施形態(棚型)を示す図である。
図10】物品収受装置に備えられた曝露手段の一実施形態(突起物型)を示す図である。
図11】物品収受装置に備えられた曝露手段の一実施形態(放出口型)を示す図である。
図12】物品収受装置に備えられた吹出手段を概略的に示す図である。
図13】物品収受装置に備えられた第一吹出手段を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
図1(a)は、本発明の物品収受装置の一実施形態に係る宅配ボックス1Aの外観を示した斜視図である。図1(b)は本発明の物品収受装置の一実施形態に係る、複数の収納ボックス10を備えた宅配ボックス1Aの外観を示した斜視図である。図2(a)は本発明の物品収受装置の一実施形態に係る郵便ボックス1Bの外観を示した斜視図である。図2(b)は本発明の物品収受装置の一実施形態に係る複数の収納ボックス10を備えた宅配ボックス1Aと複数の収納ボックス10を備えた郵便ボックス1Bとの複合型1Cの外観を示した斜視図である。
【0022】
本実施形態に係る物品収受装置の一実施形態である宅配ボックス1A及び郵便ボックス1Bは、例えば宅配物(例えば、宅配業者によって配達される荷物や、新聞、広告ビラ、回覧板等を含む)や郵便物等の物品50を収受するための装置である。図1及び2に示すように、本実施形態に係る宅配ボックス1A及び郵便ボックス1Bは収納ボックス10を備えている。
【0023】
収納ボックス10は、例えば、金属(例えばアルミニウム、ステンレス等の合金を含む)や硬質のプラスチック等から構成されており、例えば一枚又は複数枚のプレートを折り曲げて溶接することにより、前面側が開口した矩形の箱状に形成されている。
【0024】
収納ボックス10は開閉可能な扉11を備えていてもよい。扉11は収納ボックス10の前面において水平方向に回動可能に設けられており、例えば蝶番(図示省略)によって収納ボックス10の幅方向(図中X方向)一端側に取り付けられている。また、扉11は収納ボックス10の前面において垂直方向に回動可能に設けられていてもよく、例えば蝶番(図示省略)によって収納ボックス10の縦方向(図中Z方向)一端側に取り付けられている。
【0025】
扉11は、例えば、収納ボックス10と同様の材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。また、扉11は、例えばダイヤル錠等の施錠装置や電子錠装置(図示省略)を備え、施錠装置の開錠/施錠を行うことにより、収納ボックス10を開閉してもよい。収納ボックス10が扉11を有することにより、物品収受装置内部に後述する除菌物質を含んだ空気を留めることができるため、収納された物品50の表面の除菌を効率よくすることができる。また、物品収受装置外部からカビや細菌等を含んだ空気の侵入を防ぐこともできる。
【0026】
図2(a)に示すように、物品収受装置が郵便ボックス1Bである場合には、物品50を投入するための投函口12が設けられている。投函口12は扉11に設けられていてもよいし、収納ボックス10の扉11とは反対側の面に設けられていてもよい。投函口12には背面側において投函口12を開閉する開閉蓋13が設けられていてもよい。開閉蓋13は、収納ボックス10又は扉11と同様の材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。開閉蓋13は、例えば、自重あるいはスプリング(図示省略)の付勢力により投函口12を塞ぐように、又は、該付勢力に抗して投函口12を開放するように、扉11の内側面に設けられた回動軸を中心に回動するように取り付けられている。
【0027】
本実施形態に係る物品収受装置が設置される場所は、特に制限されないが、例えば、集合住宅やオフィスなど共有スペースでもよいし、各戸の玄関周辺でもよいし、戸建て住宅の玄関先でもよい。また、駅頭やコンビニエンスストアの店頭など、公共の場所または半公共の場所に設置されてもよい。
【0028】
以下は主として本発明の物品収受装置が宅配ボックス1Aである場合を例に説明するが、本発明の物品収受装置が郵便ボックス1Bである場合や、宅配ボックス1Aと郵便ボックス1Bの複合型1Cである場合も、同様の構成を持つことができる。
【0029】
本発明の実施形態に係る物品収受装置は、供給手段20を備える。供給手段20とは、例えば、除菌作用を有する除菌物質を供給する装置20aであり、当該除菌物質を供給することができれば、供給のための方法は制限されない。また、当該装置は、例えば、図3に示すように収納ボックス10の天井部や、収納ボックス10の壁内側など、物品収受装置の内部に配置されている。なお、図3では、後述する曝露手段40の図示は省略する。
【0030】
ここで除菌作用を有する除菌物質とは、カビや細菌などの微生物を減少させることができる特性、及びアレルゲンやウイルスを不活化することができる特性のうち、少なくとも一つの特性を持った物質を言う。加えて、当該除菌物質は臭気を取り除くことができる(脱臭することができる)特性を有していてもよい。除菌物質は、これらの特性を有していれば特に制限されないが、空気中に拡散可能であるものが好ましく、イオンやラジカル、オゾンを含むことが好ましい。除菌物質が物品収受装置内に供給されることにより、例えば、収納された物品50の表面に付着しているカビや細菌などの微生物を減少させたり、アレルゲンやウイルスを不活化したりすることができる。なお、本明細書において、単に、「除菌」や「除菌する」と述べた場合も、カビや細菌などの微生物を減少させること、及びアレルゲンやウイルスを不活化することのうち、少なくとも一方を意味することとする。
【0031】
本発明の実施形態に係る物品収受装置は、流通手段30を備える。流通手段30とは、供給手段20により供給された除菌物質を含んだ空気を、収納ボックス10の内部空間を含む物品収受装置の内部に流通させる手段である。流通手段30は、物品収受装置の内部に当該除菌物質を含んだ空気を流通させることができれば、特に制限されないが、例えば、電動ファンなどの送風装置が該当する。
【0032】
また、物品収受装置が図3(b)のように複数の収納ボックス10を備える場合は、流通手段30として、隣接する収納ボックス10を画成する隔壁に、隣接する収納ボックス10を連通させる開口部30aが設けられていてもよい。当該開口部30aを介して、供給手段20により供給された除菌物質を含んだ空気を物品収受装置内の複数の収納ボックス10に流通させることで、複数ある収納ボックス10に収納された物品50の除菌を実施することが可能となる。開口部30aは、上述の送風装置と併用することもできる。
【0033】
また、流通手段30は、物品収受装置の側壁内空間に配置したパイプやダクトであってもよく、当該パイプやダクトを通じて除菌物質を含んだ空気を各収納ボックス10へ流通させることができる。
【0034】
本発明の実施形態に係る物品収受装置は、曝露手段40を備える。曝露手段40とは、収納ボックス10内に収納された物品50の底面を、除菌物質を含んだ空気に曝露するための手段である。曝露手段40により、収納ボックス10へ収納された物品50の底面を除菌処理することが可能になる。
【0035】
曝露手段40は、収納ボックス10へ収納された物品50の底面を、除菌物質を含んだ空気に曝露することができれば、特に制限されないが、収納ボックス10に物品50が収納されたときに物品50を支持し、収納ボックス10に収納された物品50の底面と、収納ボックス10の内面と、の間に空間を形成する構造物であってもよい。収納された物品50の底面と、収納ボックス10の内面と、の間に空間が形成されることにより、除菌物質を含んだ空気が当該空間へ入り込むことが可能となり、物品50の底面が当該空気に曝露され、除菌される。すなわち、物品収受装置が当該構造物を備えることにより、物品50の底面を除菌物質を含んだ空気に効率的に曝露し、除菌することが可能となる。
【0036】
ここで、本明細書において、物品50の底面とは、物品50の表面における底の面を意味するが、例えば、物品50が底の面を有さない場合(例えば、物品50が球体である場合)などは、物品50の表面の最下部を意味する。また、本明細書において収納ボックス10の内面とは収納ボックス10の内側の面を意味し、収納ボックス10の底面とは収納ボックス10の内面における底の面を意味する。
【0037】
図4図10は、曝露手段40に係る種々の構造物を有する宅配ボックス1Aの斜視図と正面図を示している。これらの曝露手段40に係る構造物は、収納ボックス10の側面自体や底面自体の一部から形成されたものであってもよいし、収納ボックス10の側面上や底面上に設置されたものであってもよいが、製造コストを低減させる観点から、収納ボックス10の側面上や底面上に設置されたものが好ましい。なお、ここでは供給手段20、流通手段30の図示は省略する。
【0038】
図4に示す曝露手段40に係る実施形態は、レール型の構造物40aである。当該レール型の構造物40aは、収納ボックス10の底面の一部から形成されたものであってもよいし、又は底面上に設置されたものであってもよい。図4(b)に示したように、物品50を収納ボックス10内に収納すると、当該物品50の底面の一部がレール型の構造物40aに支持されるため、物品50の底面と、収納ボックス10の内面と、の間に空間を形成することができる。
【0039】
図5に示す曝露手段40に係る実施形態は、板状の構造物40bである。当該板状の構造物40bは、収納ボックス10の双方の側面の一部から形成されたものであってもよいし、又は収納ボックス10の双方の側面上に設置されたものであってもよい。物品50を収納ボックス10内に収納すると、図5(b)に示したように、当該物品50は板状の構造物40bに支持されるため、物品50の底面と、収納ボックス10の内面と、の間に空間を形成することができ、効率的に物品50の底面を除菌物質を含んだ空気に曝露することができる。
【0040】
図6に示す曝露手段40に係る実施形態は、三角柱が連続した形状の構造物40cである。当該構造物40cは、収納ボックス10の底面自体を当該形状に形成したものであってもよいし、収納ボックス10の底面上に設置されたものでもよい。図6(b)に示すように、収納ボックス10内に物品50を収納すると、三角柱が連続した形状の構造物40cの三角形の頂点部分で物品50の底面の一部が支持されることにより、物品50の底面と収納ボックス10の内面との間に空間を形成することができ、効率的に物品50の底面を除菌物質を含んだ空気に曝露することができる。
【0041】
図7に示す曝露手段40に係る実施形態は、かまぼこ型の構造物40dである。当該構造物40dは、収納ボックス10の底面の一部から形成されたものであってもよいし、収納ボックス10の底面上に設置されたものでもよい。図7(b)に示すように、収納ボックス10に物品50を収納すると、物品50の底面の一部が、かまぼこ型の構造物40dの弧の一部に支持されることにより、物品50の底面と収納ボックス10の内面との間に空間を形成することができる。
【0042】
図8に示す曝露手段40に係る実施形態は、直方体型の構造物40eである。当該構造物40eは、収納ボックス10の側面及び/又は底面の一部から形成されたものであってもよいし、収納ボックス10の側面上及び/又は底面上に設置されたものであってもよい。図8(b)に示すように、収納ボックス10に物品50を収納すると、物品50の底面の一部が、直方体型の構造物40eの面の一部に支持されることにより、物品50の底面と収納ボックス10の内面との間に空間を形成することができる。
【0043】
ここで、上述の構造物40a、40b、40c、40d及び40eのような曝露手段40に係る実施形態において、構造物又は構造物の構成物の延在方向は特に制限されず、構造物又は構造物の構成物はいずれの方向を長手方向として延在させることができる。例えば、レール型の構造物40a、板状の構造物40b、かまぼこ型の構造物40d及び直方体型の構造物40eは、図4、5、7及び8に示したようにY軸方向を長手方向として延在させてもよいし、X軸方向(図示なし)を長手方向として延在させてもよい。また、三角柱が連続した形状の構造物40cの構成物である三角柱は、図6に示したようにY軸方向を長手方向として延在させてもよいし、X軸方向(図示なし)を長手方向として延在させてもよい。例えば、流通手段30に起因する収納ボックス10内の空気の流通方向と同じ方向を長手方向として構造物又は構造物の構成物を延在させることにより、より効率的に物品50の底面を除菌物質を含んだ空気に曝露することができる。
【0044】
図9に示す曝露手段40に係る実施形態は、網目状の棚型の構造物である。当該構造物は、例えば、図9(b)に示した通り、収納ボックス10の側面の一部から形成された、又は収納ボックス10の側面に設けられた4つの支持体40fに、網板40gが支持されることによって形成される。収納ボックス10に物品50を収納すると、網目状の棚の上に物品50が置かれることにより、網目を介して、物品50の底面と収納ボックス10の内面との間に空間を形成することができる。
【0045】
図10に示す曝露手段40に係る実施形態は、突起物を複数備えた構造物40hである。当該構造物40hは、収納ボックス10の底面の一部から形成されたものであってもよいし、収納ボックス10の底面上に設置されたものであってもよい。構造物40hにおける突起物の数や大きさは、収納される物品50を支持することができ、さらに当該物品50の底面に除菌物質を含んだ空気を触れさせることができる範囲であれば、特に制限されない。図10(b)に示すように、収納ボックス10に物品50を収納すると、物品50の底面の一部が、突起物の上端部に支持されることにより、物品50の底面と収納ボックス10の内面との間に空間を形成することができる。なお、図10には突起物として、半球形状のものを記載したが、これに限定されず、例えば、円錐形状や三角錐形状など、様々な形状の突起物を採用することができる。
【0046】
なお、ここでは曝露手段40としての構造物について種々の実施形態を例示したが、これらの構造に限られず、収納された物品50の底面と、収納ボックス10の内面と、の間に空間を形成することができれば、どのような形状の構造物を採用してもよい。
【0047】
また、曝露手段40は、例えば、図11に示すように、収納ボックス10の底面から除菌物質を含んだ空気を放出する放出口40iであってもよい。放出口40iの数や大きさは、収納ボックス10の底面が収納される物品50を支持することができ、さらに当該物品50の底面に除菌物質を含んだ空気を触れさせることができれば、特に制限されない。図11(b)に示した通り、収納ボックス10の底面に備えられた放出口40iから、矢印方向に向かって除菌物質を含んだ空気が放出されることで、収納ボックス10の底面を当該空気に曝すことができるため、効率よく除菌することができる。
【0048】
本実施形態に係る物品収受装置は、供給手段20により供給された除菌物質を含んだ空気を、物品収受装置の内部から外部へ吹き出す吹出手段60を有していてもよい。吹出手段60は、当該除菌物質を含んだ空気を物品収受装置の内部から外部に吹き出すことができれば、特に制限されないが、例えば、図12(a)に示したように物品収受装置の側壁に設けられた吹出口60aであってもよく、また図12(b)に示したように物品収受装置の扉11の正面や側面に設けられた吹出口60bであってもよい。それぞれの吹出口には除菌物質を含んだ空気を、物品収受装置の周辺の空間に拡散するための電動ファンなどの送風装置が備えられていてもよい。
【0049】
当該吹出手段60を有することにより、除菌物質を含んだ空気を、物品収受装置の内部に流通させるだけでなく、外部にも吹き出すことができるため、物品収受装置周辺の空間に除菌物質を含んだ空気を拡散させ、当該空間を除菌することが可能となり、物品収受装置の利便性が向上する。
【0050】
本実施形態に係る物品収受装置は、吹出手段60による除菌物質を含んだ空気の吹き出しを、必要に応じて防止するための吹出防止手段70を有していてもよい。吹出防止手段70は、吹出手段60による空気の吹き出しを防止できれば特に制限されないが、例えば、吹出手段60を覆う蓋や、吹出手段60からの吹き出しを遮断する板であってもよい。当該吹出防止手段70を有することにより、物品収受装置の内部を重点的に除菌する必要があるときは、吹き出しを防止し、除菌物質を含んだ空気を物品収受装置内に十分に滞留させることができる。また、物品収受装置周辺の空間を除菌する必要があるときは吹出防止手段70を解除することにより、物品収受装置から除菌物質を含んだ空気が吹き出し、周辺の空間を除菌することができる。
【0051】
本実施形態に係る物品収受装置は、図1(b)及び図2(b)に示すように操作部15を有する。操作部15は収納ボックス10に物品50を預け入れるための操作及び/又は収納ボックス10から物品50を取り出すための操作に用いられる。操作部15には、図1及び図2に示した通り、情報を表示するための表示部16と、情報を入力するための入力部17と、が設けられている。本実施形態では、入力部17は、ファンクションキーやテンキー等から構成されたキーボード17aと、バーコードあるいは二次元コード(例えばQR(Quick Response)コード(登録商標))等を読み取るリーダー17bと、を含み得る。操作部15はカメラを備えていてもよく、ユーザ等の撮影及び/又は録画を行うことができる。また、操作部15は表示部16と入力部17が一体となったタッチパネルであってもよい。
【0052】
図13は、図1(b)又は図2(b)に示した一実施形態に係る操作部15をX軸方向から見た断面図である。物品収受装置の吹出手段60は、当該操作部15の表面に除菌物質を含んだ空気が当たるように、除菌物質を含んだ空気を物品収受装置の内部から外部へと吹き出す、第一吹出手段80を含んでいてもよい。
【0053】
第一吹出手段80は、特に制限されないが、物品収受装置の一部に設けられた通気口80aであってもよい。また、第一吹出手段80は、通気口80aと、電動ファンなどの送風装置とを併用することもできる。
【0054】
第一吹出手段80では、例えば、図13に示すように、物品収受装置の操作部付近に通気口80aを設け、物品収受装置の内部から矢印の方向に除菌物質を含む空気を吹き出すことによって、除菌物質を含んだ空気を物品収受装置周辺の空間に拡散させるだけではなく、操作部15の表面に除菌物質を含んだ空気を操作部15に集中的に当てることができる。
【0055】
第一吹出手段80を設けることにより、物品収受装置の周辺空間の空気を除菌することに加え、操作者が触れることで菌やウイルス等が付着しやすい操作部15を十分に除菌することができるため、操作部15を介して操作者の手が菌やウイルス等に汚染されることを防ぐことができる。
【0056】
当該操作部15は、図13(b)に示すように、開閉可能な小扉18を設けることができる。小扉18を設けることにより、第一吹出手段80により物品収受装置の内部から吹き出された除菌物質を含んだ空気が小扉18と操作部15との間の空間に留まることができるため、操作部15の表面をより集中的に除菌することができる。操作者は、操作をする際には、小扉18を開いて操作をすることができる。また、小扉18を開いた状態にすることで、物品収受装置の周辺空間の空気を除菌することもできる。
【0057】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0058】
1A…宅配ボックス
1B…郵便ボックス
1C…宅配ボックスと郵便ボックスの複合型
10…収納ボックス
11…扉
12…投函口
13…開閉蓋
15…操作部
16…表示部
17…入力部
18…小扉
20…供給手段
30…流通手段
40…曝露手段
50…物品
60…吹出手段
70…吹出防止手段
80…第一吹出手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13