(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】積層フィルムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20250513BHJP
B29C 55/12 20060101ALI20250513BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20250513BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
B32B27/30 C
B29C55/12
B32B27/34
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2021529155
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2020025777
(87)【国際公開番号】W WO2021002380
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2019124551
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大葛 貴良
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 彰子
(72)【発明者】
【氏名】赤松 謙
(72)【発明者】
【氏名】西谷 千恵美
(72)【発明者】
【氏名】大野 雅生
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/075461(WO,A1)
【文献】特開2017-002114(JP,A)
【文献】特開2011-083894(JP,A)
【文献】特開2007-112999(JP,A)
【文献】国際公開第2019/131752(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/30
B29C 55/12
B32B 27/34
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド系フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層が設けられた積層フィルムであって、
ポリアミド系フィルムは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを1.0~10.0質量%含有するポリアミド系樹脂組成物からなる延伸フィルムであり、
樹脂層は、ポリ塩化ビニリデン樹脂を含有し、
以下の(A)~(C)の条件を満たすことを特徴とする積層フィルム。
(A)積層フィルムの曇度が10%以下である。
(B)樹脂層とポリアミド系フィルムとの、5℃、55%RH雰囲気下での密着強力が0.5N/cm以上である。
(C)積層フィルムの、5℃、55%RH雰囲気下での1000回繰り返し屈曲疲労テストにおけるピンホール個数が、5個/500cm
2以下である。
【請求項2】
カプロタクタムモノマーの抽出量が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
【請求項3】
積層フィルムにシーラント樹脂層を積層した積層体の、5℃、55%RH雰囲気下での落袋試験において、破袋までの落下回数が70回以上であることを特徴とする請求項1または2記載の積層フィルム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルムを製造する方法であって、下記(a)、(b)、(c)の工程を順に行うことを特徴とする積層フィルムの製造方法。
(a)ポリエステル系熱可塑性エラストマーを1.0~10.0質量%含有するポリアミド系樹脂組成物からなる未延伸フィルムを、水分率が2~10%になるように吸水させる工程。
(b)吸水した未延伸フィルムの少なくとも一方の面にポリ塩化ビニリデン樹脂を含有する樹脂層形成液を塗布する工程。
(c)樹脂層形成液を塗布した未延伸フィルムを、
180~250℃で予熱した後、予熱したフィルムを、MD延伸倍率(X)とTD延伸倍率(Y)がそれぞれ2.2~3.8倍の範囲で、かつ延伸倍率の比(X/Y)が0.8~1.2になるように
170~230℃で二軸延伸する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを含有するポリアミド系樹脂組成物からなるフィルムに、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含有する樹脂層が積層された積層フィルムおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナイロン6やナイロン66などのポリアミド樹脂からなるフィルムは、引張強度、突刺強度、ピンホール強度、耐衝撃強度などの機械的物性に優れ、かつガスバリア性、耐熱性に優れている。このため、ポリアミド樹脂フィルムを基材とし、ポリオレフィンフィルムからなるシーラントをドライラミネートや押出しラミネートなどの方法で貼合した積層フィルムは、ボイルやレトルト等の殺菌処理用の包装材料をはじめとして、幅広い分野に使用されている。
【0003】
近年、包装材料には、被包装物や内容物が変質せずに品質を維持できる性能が、益々厳しく要求され、その改良が求められるようになっている。特に医薬品や食品などの内容物においては、品質保持のため、生産・輸送・消費の過程において、冷蔵や冷凍といった低温環境を保持する物流方式(コールドチェーン)が広く用いられるようになり、包装材料には、特に低温環境における耐ピンホール性能の改良が益々要求されている。
【0004】
包装材料に発生するピンホールには、包装材料の鋭利な角部等が相手包装材料に突刺さることによって発生する突刺しピンホールや、輸送時の振動等によって包装材料が繰り返し屈曲されることによって発生する屈曲ピンホールや、段ボールと繰り返し接触することによって発生する摩擦ピンホールなどが挙げられる。ポリアミド樹脂フィルムは、これら突刺し、屈曲、摩擦などによるピンホールの発生が少ない、耐ピンホール性の高い包装材料とされている。しかしながら、ポリアミド樹脂フィルムは、環境温度が低くなると硬くなることから、特に、屈曲によるピンホールの発生数が著しく増加する傾向にある。
【0005】
低温環境での耐屈曲性の向上のために、ポリアミド樹脂にオレフィン系共重合体やポリアミド系共重合体を添加する方法が提案されている。
例えば、日本国特開2014-014976号公報には、オレフィン系共重合体として、エチレン、n-ブチルアクリレート、無水マレイン酸の3元共重合体を添加することによって、低温環境での耐屈曲性を向上させたポリアミド樹脂フィルムが開示されている。また、日本国特開2003-012921号公報には、ポリアミド系共重合体として、ポリアミド系熱可塑性エラストマーであるポリエーテルエステルアミドエラストマーを添加することによって、低温環境での耐屈曲性を向上させたポリアミド樹脂が開示されている。
【0006】
しかしながら、いずれのポリアミド系フィルムも、低温環境での耐屈曲性が十分に向上しておらず、また、透明性が低く、包装材料として透明性が要求される用途に使用できない。このように、低温環境でも耐屈曲性に優れるとともに透明性に優れる包装材料は未だに提供されていない。
【0007】
また、包装材料の中でも特に食品包装材料においては、内容物の保存性を高める観点から、酸素バリア性、水蒸気バリア性が求められる。その方法として、基材フィルムにバリア性を有する樹脂層を積層する方法が知られている。しかしながら、基材フィルムに上記樹脂層を積層した積層フィルムは、低温環境における、基材フィルムと樹脂層との密着性や、低温環境における耐屈曲性が十分ではなく、得られる包装体は、低温環境において耐破袋性が十分ではないことがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題を解消するものであり、低温環境において、基材フィルムと樹脂層との密着性に優れ、また耐屈曲性に優れピンホール発生数を低減することができ、さらに、バリア性、透明性に優れ、包装体とした際に低温環境において耐破袋性に優れるポリアミド系積層フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記課題を解決するために検討した結果、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを特定量含有するポリアミド系樹脂組成物からなるフィルムに、ポリ塩化ビニリデン樹脂を含有する樹脂層を特定の方法で積層・製膜・延伸したフィルムが、低温環境での耐屈曲性に優れ、かつ低温での密着性、透明性にも優れることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
本発明の積層フィルムは、ポリアミド系フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層が設けられた積層フィルムであり、
ポリアミド系フィルムは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを1.0~10.0質量%含有するポリアミド系樹脂組成物からなる延伸フィルムであり、
樹脂層は、ポリ塩化ビニリデン樹脂を含有し、
以下の(A)~(C)の条件を満たすことを特徴とする。
(A)積層フィルムの曇度が10%以下である。
(B)樹脂層とポリアミド系フィルムとの、5℃、55%RH雰囲気下での密着強力が0.5N/cm以上である。
(C)積層フィルムの、5℃、55%RH雰囲気下での1000回繰り返し屈曲疲労テストにおけるピンホール個数が、5個/500cm2以下である。
本発明の積層フィルムによれば、カプロタクタムモノマーの抽出量が0.1質量%以下であることが好ましい。
本発明の積層フィルムによれば、積層フィルムにシーラント樹脂層を積層した積層体の、5℃、55%RH雰囲気下での落袋試験において、破袋までの落下回数が70回以上であることが好ましい。
本発明の積層フィルムの製造方法は、下記(a)、(b)、(c)の工程を順に行うことを特徴とする。
(a)ポリエステル系熱可塑性エラストマーを1.0~10.0質量%含有するポリアミド系樹脂組成物からなる未延伸フィルムを、水分率が2~10%になるように吸水させる工程。
(b)吸水した未延伸フィルムの少なくとも一方の面にポリ塩化ビニリデン樹脂を含有する樹脂層形成液を塗布する工程。
(c)樹脂層形成液を塗布した未延伸フィルムを、MD延伸倍率(X)とTD延伸倍率(Y)がそれぞれ2.2~3.8倍の範囲で、かつ延伸倍率の比(X/Y)が0.8~1.2になるように二軸延伸する工程。
【発明の効果】
【0011】
本発明の積層フィルムは、低温環境下において、基材フィルムであるポリアミド系フィルムと樹脂層との密着強力が高く、低温での耐屈曲性に優れピンホール発生数を低減することができ、バリア性、透明性にも優れる。本発明の積層フィルムから得られる包装体は、冷蔵環境だけでなく冷凍環境においても耐破袋性に優れており、低温環境で流通される食品や輸液バッグ等の医療用容器に好適に使用することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、ポリアミド系フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層が設けられたものである。
本発明において、積層フィルムを構成するポリアミド系フィルムは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを含有するポリアミド系樹脂組成物からなる延伸フィルムである。ポリアミド系フィルムは、単層構成および複層構成のどちらであってもよいが、単層構成の方が生産性に優れる。
【0013】
上記樹脂組成物を構成するポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1010、ナイロン11、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン10Tおよびそれらの混合物、共重合体が挙げられる。
特に、ナイロン6は、生産性や性能の面で好ましく、コストパフォーマンスに優れる。ナイロン6をフィルム原料として用いる場合には、上記したポリアミド樹脂の中から他のポリアミド成分を、共重合、混合などの方法により、30質量%以下含有してもよい。
【0014】
ポリアミド樹脂は、溶融時のモノマー生成を抑制するために、有機グリシジルエステル、無水ジカルボン酸、安息香酸などのモノカルボン酸、ジアミンなどを、末端封鎖剤として含んでいることが好ましい。
【0015】
ポリアミド樹脂の相対粘度は、特に制限されるものではないが、溶媒として96%硫酸を用い、温度25℃、濃度1g/dlの条件で測定した相対粘度が1.5~5.0であることが好ましく、2.5~4.5であることがより好ましく、2.8~4.0であることがさらに好ましい。ポリアミド樹脂の相対粘度が1.5未満であると、得られるフィルムは、力学的特性が著しく低下しやすくなる。また、相対粘度が5.0を超えるポリアミド樹脂は、フィルムの製膜に支障をきたしやすくなる。
【0016】
ポリアミド樹脂は、必要に応じて、フィルムの性能に悪影響を与えない範囲で、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、無機微粒子等の各種の添加剤を、1種あるいは2種以上含有することができる。
【0017】
また、ポリアミド樹脂は、フィルムのスリップ性を向上させるなどのために、各種無機系滑剤や有機系滑剤を1種あるいは2種以上含有してもよい。滑剤としては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイド、層状ケイ酸塩、エチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
【0018】
本発明において、ポリアミド系フィルムを構成する樹脂組成物は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを1.0~10.0質量%含有することが必要であり、1.3~8.0質量%含有することが好ましく、2.0~6.0質量%含有することが最も好ましい。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーの含有量が1質量%未満の場合、得られるフィルムは、弾性率が高くなり、低温環境における耐屈曲性に劣るものとなる。
また、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの含有量が10質量%を超える場合、得られる積層フィルムは、透明性が低下したり、ポリアミド系フィルムと樹脂層との低温環境下での密着性に劣る場合があり、包装体とした際のシール強力や耐落体性に劣り、耐破袋性に劣る場合がある。
【0019】
本発明におけるポリエステル系熱可塑性エラストマーは、結晶性芳香族ポリエステル単位からなる結晶性重合体セグメントと、脂肪族ポリエーテル単位からなる重合体セグメントとを主な成分として構成されるものであることが好ましい。
【0020】
結晶性芳香族ポリエステル単位からなる結晶性重合体セグメントとは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールとから形成される結晶性芳香族ポリエステルからなる単位であり、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4-ブタンジオールとから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位であることが好ましい。
ポリエステル単位としては、この他に、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、ジフェニル-4,4′-ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-スルホイソフタル酸、あるいはこれらのエステル形成性誘導体などのジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール、例えば、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p-ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(2-ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4′-ジヒドロキシ-p-ターフェニル、4,4′-ジヒドロキシ-p-クオーターフェニルなどの芳香族ジオールなどから誘導されるポリエステル単位、あるいはこれらのジカルボン酸成分およびジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステル単位であってもよい。また、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分および多官能ヒドロキシ成分などを5モル%以下の範囲で共重合することも可能である。
【0021】
脂肪族ポリエーテル単位からなる重合体セグメントとは、脂肪族ポリエーテルを主な構成成分とする単位である。脂肪族ポリエーテルの具体例としては、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンエーテル)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテルの中でも、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールが、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性が良好であるので好ましい。また、この重合体セグメントの数平均分子量は、共重合された状態において300~6000程度であることが好ましい。
【0022】
ポリエステル系熱可塑性エラストマー中の脂肪族ポリエーテル単位からなる重合体セグメントの含有量は、10~80質量%であることが好ましく、15~75質量%であることがより好ましい。重合体セグメントの含有量が10質量%未満では、得られる樹脂組成物が硬くなる傾向となり、一方、含有量が80質量%を超えると、樹脂組成物が柔軟になり過ぎて、物性が発現しないことがある。
【0023】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、通常用いられる方法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコールおよび重合体セグメントを構成する成分を、触媒の存在下でエステル交換反応させ、得られる反応生成物を重縮合する方法、ジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび重合体セグメントを構成する成分を触媒の存在下でエステル化反応させ、得られる反応生成物を重縮合する方法、および予め調製された結晶性セグメントに重合体セグメント成分を添加してエステル交換反応させてランダム化する方法など、いずれの方法も用いられる。
【0024】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーの市販品としては、三菱ケミカル社製「プリマロイAP(MODIC)」、東洋紡績社製「ペルプレン」、東レ・デュポン社製「ハイトレル」等が挙げられる。
【0025】
本発明の積層フィルムは、バリア性向上の観点で、また基材フィルムであるポリアミド系フィルムとの密着性向上の観点で、ポリアミド系フィルムの少なくとも一方の表面にポリ塩化ビニリデン系樹脂(以下、PVDCと略す場合がある)を含有する樹脂層が設けられたものである。
【0026】
PVDCは、原料としての塩化ビニリデン50~99質量%と、塩化ビニリデンと共重合可能な1種以上の他の単量体1~50質量%とを、公知の乳化重合方法によって重合することにより、媒体に分散したラテックスとして得られる。ラテックス中のPVDCの平均粒径は0.05~0.5μmであることが好ましく、0.07~0.3μmであることが特に好ましい。PVDCには、本発明の効果を損なわない範囲で、例えばアンチブロッキング剤、帯電防止剤等の各種添加剤を併用してもよい。
【0027】
樹脂層の厚みは、0.5~3.5μmであることが好ましく、0.7~3.0μmであることがより好ましく、1.0~2.5μmであることが最も好ましい。樹脂層は、厚みが0.5μm未満であると、ガスバリア性が十分得られず、3.5μmを超えると、造膜性が低下して皮膜の外観が損なわれやすい。また、樹脂層が厚くなると、積層フィルムが硬くなる傾向にあるため、低温環境での屈曲によりピンホールが発生しやすくなる。
【0028】
本発明の積層フィルムは、上記ポリアミド系樹脂組成物とポリ塩化ビニリデン樹脂とを構成成分とするものであり、後述する本発明の積層フィルムの製造方法によって製造することができる。
【0029】
本発明の積層フィルムの透明性を示す特性値である曇度は、10%以下であることが必要であり、8%以下であることが好ましく、6%以下であることが最も好ましい。曇度が10%を超える積層フィルムは、透明性を要求される用途での使用が難しい。また、曇度が10%を超える積層フィルムは、ポリアミド系フィルムにおいてポリエステル系熱可塑性エラストマーの分散状態が不十分であったり、フィルム製造時の延伸工程前の予熱が不足している可能性があり、低温環境での耐屈曲性が低下し、耐落体性が劣る場合がある。
【0030】
本発明の積層フィルムは、ポリアミド系フィルムと樹脂層との、5℃、55%RH雰囲気下での密着強力が、0.5N/cm以上であることが必要であり、1.5N/cm以上であることが好ましい。密着強力が0.5N/cm未満であると、積層フィルムは、冷蔵や冷凍環境下時に、ポリアミド系フィルムと樹脂層の密着性が低下し、十分なシール強力得られなくなり、得られる包装体は、落下時に破袋する可能性がある。
【0031】
ポリアミド系フィルムと樹脂層との密着強力は、たとえば、後述する、積層フィルム中のカプロラクタムモノマー量を低減することや、後述する積層フィルムの製造において、水分率調整工程後かつ延伸前のモノマーが少ない段階のポリアミド系フィルムに樹脂層を形成することにより、向上させることができる。
【0032】
本発明の積層フィルムの低温環境における耐屈曲性は、ゲルボフレックステスターを用いた、5℃、55%RH雰囲気下での1000回繰り返し屈曲疲労テストにおけるピンホールの個数によって評価する。本発明の積層フィルムは、この個数が5個/500cm2以下であることが必要であり、中でも4.0個/500cm2以下であることが好ましく、3.5個/500cm2以下であることより好ましく、3.0個/500cm2未満であることが最も好ましい。ピンホール個数が5個/500cm2を超える積層フィルムは、包装体とした時の強度が不足し、特に、低温環境における屈曲疲労の結果生じるピンホールにより、内容物が液体である場合は、漏れ出すような問題が生じる。
【0033】
上記したように、本発明の積層フィルムは、低温環境における耐ピンホール性に影響する特性である、突刺強力と耐摩耗性にも優れるものである。
まず、本発明の積層フィルムの低温環境における突刺強力は、5℃、55%RH雰囲気下での突刺強力によって評価する。本発明の積層フィルムは、この強力が1μmあたり、0.60N/μm以上であることが好ましく、0.65N/μm以上であることがより好ましい。突刺強力が0.60N/μmより低い積層フィルムは、耐ピンホール性を要求される用途での使用が難しくなる場合がある。
【0034】
本発明の積層フィルムの低温環境における耐摩耗性は、学振型摩擦試験機を用いた、5℃、55%RH雰囲気下での繰り返し接触によって、ピンホールが発生するまでの摺動回数によって評価する。本発明の積層フィルムは、この回数が200回以上であることが好ましく、250回以上であることがより好ましい。ピンホールが発生するまでの摺動回数が200回より低い場合、耐ピンホール性を要求される用途での使用が難しくなる場合がある。
【0035】
本発明の積層フィルムは、カプロラクタムモノマーの抽出量が0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。積層フィルムは、カプロラクタムモノマー抽出量が0.1質量%を超えると、ポリアミド系フィルムと樹脂層との、5℃、55%RH雰囲気下での密着強力が低下し、0.5N/cm未満となることがある。
【0036】
本発明の積層フィルムのMD(長さ方向)とTD(幅方向)の弾性率はそれぞれ1.0~2.3GPaであることが好ましく、かつMDとTDの弾性率の比(MD/TD)は0.9~1.5であることが好ましい。本発明の積層フィルムは、MD、TDのそれぞれの弾性率と弾性率比が上記範囲であれば、低温環境における耐屈曲性を向上させることが可能となり、透明性にも優れたものとすることができる。
一般に、ポリアミド系積層フィルムにおけるピンホールの発生を低減させるには、耐屈曲性とともに、突刺強力と耐摩耗性の特性も重要である。本発明の積層フィルムは、構成するポリアミド系フィルムが特有の優れた突刺強力や耐摩耗性も兼ね備えているため、低温環境下においても優れた耐ピンホール性を示すものとなる。
【0037】
本発明の積層フィルムのMDとTDの弾性率は、上記のように1.0~2.3GPaであることが好ましく、1.2~2.1GPaであることがより好ましく、1.4~1.9GPaであることがさらに好ましい。積層フィルムは、弾性率が1.0GPaより低いと、低温環境における耐屈曲性や透明性に劣るものとなり、また、突刺強力や耐摩耗性も低下する。一方、積層フィルムは、弾性率が2.3GPaより高いと、ポリアミド系フィルムがポリエステル系エラストマーを本発明で規定した範囲で含有しても、低温環境における耐屈曲性に劣るものとなったり、透明性に劣るものとなる。
【0038】
本発明の積層フィルムのMDとTDの弾性率の比(MD/TD)は、上記のように0.9~1.5であることが好ましく、1.0~1.4であることがより好ましく、1.1~1.35であることがさらに好ましい。弾性率比が上記範囲を外れると、低温環境における耐屈曲性や透明性に劣るものとなり、また、突刺強力や耐摩耗性も低下する。
【0039】
積層フィルムの厚みは、包装用途に使用する場合には、10~50μmであることが好ましく、10~30μmであることがより好ましい。
【0040】
本発明の積層フィルムにシーラント樹脂層を積層した積層体は、包装体として使用することができる。本発明の積層フィルムは、前述のように、ポリアミド系フィルムと樹脂層との密着強力が高く、低温での耐屈曲性に優れピンホール発生数を低減することができるため、得られる包装体は、耐破袋性に優れている。たとえば、水を充填した包装体は、冷蔵環境や冷凍環境下において繰り返し落下しても、破袋にいたるまでの落下回数が多いものとなる。本発明の積層フィルムは、積層フィルムにシーラント樹脂層を積層した積層体の、5℃、55%RH雰囲気下での落袋試験において、破袋までの落下回数が70回以上であることが好ましく、150回以上であることがより好ましく、200回以上であることがさらに好ましい。なお、落袋試験は、水1000mlを充填した包装体(200mm×300mmの積層体2枚を使用して10mm幅でヒートシールしたもの)を1.2mの高さから落下して実施する。
【0041】
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について説明する。
本発明の積層フィルムの製造方法は、下記(a)、(b)、(c)の工程を順に行う方法である。
(a)ポリエステル系熱可塑性エラストマーを1.0~10.0質量%含有するポリアミド系樹脂組成物からなる未延伸フィルムを、水分率が2~10%になるように吸水させる工程。
(b)吸水した未延伸フィルムの少なくとも一方の面にポリ塩化ビニリデン樹脂を含有する樹脂層形成液を塗布する工程。
(c)樹脂層形成液を塗布した未延伸フィルムを、MD延伸倍率(X)とTD延伸倍率(Y)がそれぞれ2.2~3.8倍の範囲で、かつ延伸倍率の比(X/Y)が0.8~1.2になるように二軸延伸する工程。
【0042】
上記(a)工程について説明する。
まず、ポリアミド樹脂とポリエステル系熱可塑性エラストマーとを溶融混練してポリエステル系熱可塑性エラストマーを1.0~10.0質量%含有するポリアミド系樹脂組成物を製造する。
溶融混練に使用する押出機は、シリンダー内にスクリューを1つ有する一軸押出機もしくは、スクリューを複数有する多軸押出機のいずれであってもよい。そして、シリンダー内にポリエステル系熱可塑性エラストマーとポリアミド樹脂を投入する際には、シリンダーの入り口付近から同時に投入することが好ましいが、シリンダーの入り口付近からポリアミド樹脂を投入した後に、シリンダーの途中からポリエステル系熱可塑性エラストマーを投入してもよい。
いずれの場合も、両樹脂が投入された直後の混練開始時のシリンダー温度を180~200℃に設定し、両樹脂が混練された組成物の出口付近のシリンダー温度を(ポリアミド樹脂の融点+10℃)~(ポリアミド樹脂の融点+30℃)に設定して、溶融混練を行なうことが好ましい。
このような温度設定で溶融混練を行なうことにより、ポリアミド樹脂中に添加するポリエステル系熱可塑性エラストマーの分散性が向上する。
混練開始時のシリンダー温度が180℃未満の場合、ポリアミド樹脂は、溶融がシリンダー後半部に移行し、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとの混練が不十分となり、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの分散粒子径が大きくなることにより、得られるフィルムは、耐屈曲性が不十分となることや、曇度が上昇することがある。一方、混練開始時のシリンダー温度が200℃を超える場合、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが、投入直後から溶融し、シリンダーへ巻きつき、ポリアミド樹脂の押出が不安定となり、均一な膜厚の未延伸フィルムの採取が困難となることがある。
また、両樹脂が混練された組成物の出口付近のシリンダー温度が、(ポリアミド樹脂の融点+10℃)未満の場合、未溶融のポリアミド樹脂が存在する可能性があり、連続した未延伸フィルムの採取が困難となることがある。一方、出口付近のシリンダー温度が、(ポリアミド樹脂の融点+30℃)を超える場合は、ポリアミド樹脂やポリエステル系熱可塑性エラストマーが熱分解し、連続した未延伸フィルムの採取が困難となることがある。
【0043】
次に、両樹脂を含む樹脂組成物を押出機で加熱溶融してTダイよりフィルム状に押出し、エアーナイフキャスト法、静電印加キャスト法など公知のキャスティング法により回転する冷却ドラム上で冷却固化して未延伸フィルムを製膜する。
未延伸フィルムの平均厚みは、特に限定されないが、一般的には15~500μm程度であり、50~300μmであることが好ましい。このような範囲内に設定することによって、より効率的に延伸工程を実施することができる。
【0044】
さらに、得られた未延伸フィルムを水分率が2~10質量%になるように吸水させる。
吸水前の未延伸フィルムは、通常水分率が0.1質量%であり、従来技術では、そのような水分率の未延伸フィルムについて延伸が実施されている。これに対し、本発明では、未延伸フィルムに水分を加えて、水分率を上記範囲に調整することを特徴とする。
すなわち、本発明では、未延伸フィルムの水分率は、上記のように2~10質量%とすることが必要であり、中でも3.5~8.5質量%とすることが好ましい。未延伸フィルムは、水分率が2質量%未満であると、可塑剤となる水分量が少ないため、延伸時の応力が高くなる。このため、フィルム中のポリアミド樹脂と分散しているポリエステル系熱可塑性エラストマー粒子との間に大きな空隙や多数の空隙が生じ、フィルムの曇度が大きくなったり、フィルムの切断が多発する。一方、水分率が10質量%を超えると、未延伸フィルムは、厚み斑が大きくなり、延伸工程を経て得られる延伸フィルムも、厚み斑が大きくなり、耐屈曲性に劣るものとなる。
【0045】
水分率の調整方法は、未延伸フィルムの水分率を増加させることができる方法であれば特に限定されない。例えば、未延伸フィルムに水または水蒸気を噴霧する方法、未延伸フィルムにローラーで水を付与する方法、未延伸フィルムを水に浸漬する方法等のいずれであってもよい。例えば、未延伸フィルムを水槽に一定時間浸漬する方法等を好適に採用することができる。
水分率の調整に使用する水は、純水、水道水等のいずれであってもよく、特に限定されない。また、本発明の効果を妨げない限り、水に他の成分が分散または溶解していてもよい。水分率の調整に使用する水のpHは、6.5~9.0であることが好ましい。
水の温度は20~70℃であることが好ましく、30~65℃であることがより好ましく、40~55℃であることがさらに好ましい。水の温度が20℃未満では、短時間で水分率調整を行うことが困難になることがある。水の温度が70℃を超えると、未延伸フィルムに皺が入りやすくなり、延伸が不均一となって、延伸フィルムの品質が低下し、また、延伸時にフィルムが切断や、フィルム端部の掴みはずれなどのトラブルが発生しやすく、操業性が低下する。
未延伸フィルムを水槽に浸漬する時間は、0.5~10分であることが好ましい。
【0046】
次に工程(b)について説明する。
工程(b)は、水分率が2~10質量%になるように吸水させた未延伸フィルムの少なくとも一方の面にポリ塩化ビニリデン樹脂を含有する樹脂層形成液を塗布する工程である。
上記範囲に水分率を調製した未延伸フィルムの少なくとも一方の面にポリ塩化ビニリデン樹脂を含有する樹脂層形成液を塗布して設け、次工程で延伸することで、ポリアミド系フィルムと樹脂層との密着強力を0.5N/cm以上とすることができる。
【0047】
ポリアミド系フィルムにポリ塩化ビニリデン樹脂を含有する樹脂層を設けるために、樹脂層形成液を塗布する方法は特に限定されないが、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、エアーナイフコーティング、ダイコーティング、カーテンダイコーティング等の通常の方法を用いることができる。
ポリアミド系フィルムには、上記塗布の直前に、コロナ放電処理等が行われてもよい。
【0048】
ポリ塩化ビニリデン樹脂を含有する樹脂層形成液を塗布した未延伸フィルムは、延伸工程に先立って、予熱(乾燥)する工程を経ることが好ましい。予熱温度は180~250℃であることが好ましく、中でも190~240℃であることがより好ましく、200~230℃であることがさらに好ましく、210~230℃であることが最も好ましい。
予熱温度が180℃未満では、未延伸フィルムは、延伸に必要とするフィルム温度が得られにくくなるため、延伸応力が高くなり、ポリエステル系熱可塑性エラストマーと密着しているポリアミド樹脂が延伸応力により急激に剥離し、フィルム中に大きな空隙が生じたり、多数の空隙が生じることがあるため、空隙率が高くなり、曇度が大きくなることがある。また、ネック延伸が発生したり、ボーイング現象が顕著になったり、切断が多発することがある。
一方、予熱温度が250℃を超えた場合、未延伸フィルムは、吸水した水分の蒸発速度が速くなり、そのため、フィルム温度が高くなりすぎ、ドロー延伸となり、分子配向しにくくなるため、得られる延伸フィルムは、厚み斑が生じるものとなりやすく、さらには、耐屈曲性に劣るものとなりやすい。
【0049】
未延伸フィルムを予熱する方法も限定されない。例えば、延伸機の予熱ゾーンを走行するフィルムに吹き付ける熱風の温度を上記の温度範囲に設定することによって行うことが好ましい。そして、未延伸フィルムが予熱ゾーンを走行する時間(予熱時間)は、0.5~5秒間とすることが好ましい。
【0050】
工程(c)について説明する。
上記のようにして製造された未延伸フィルムを、延伸工程において延伸する。
延伸方法としては、特に制限されず、例えば、チューブラー法、テンター式同時二軸延伸法、テンター式逐次二軸延伸法等のいずれも適用可能である。チューブラー法は、装置の設備コストが他の方法より安い点で有利であるが、フィルムの厚み精度を高めることが難しく、品質安定性、寸法安定性、生産性の面でも、テンター式二軸延伸法の方が優れている。従って、本発明の積層フィルムを製造する方法としては、テンター式二軸延伸法が好ましく、特にテンター式同時二軸延伸法は、フィルムの中央部と端部での物性値のバラつきや歪みが小さくなる傾向にあるため、上記弾性率、弾性率比を有するフィルムの製造方法として好ましい。
【0051】
上記のように、未延伸フィルムを特定の水分率とした後に、延伸、熱固定処理をすることにより、延伸時の延伸応力を抑えることができ、ポリエステル系熱可塑性エラストマーと密着しているポリアミド樹脂が延伸応力により剥離することなく延伸することが可能となり、フィルム中に大きな空隙が生じたり、多数の空隙が生じることを効果的に抑制ないしは防止することができる。
【0052】
延伸工程においては、ポリ塩化ビニリデン樹脂を含有する樹脂層形成液を塗布した未延伸フィルムを、長さ方向の延伸倍率(MD延伸倍率、X)と幅方向の延伸倍率(TD延伸倍率、Y)がそれぞれ2.2~3.8倍の範囲で、延伸倍率の比(X/Y)が0.8~1.2になるように二軸延伸を行う。中でも、XとYはそれぞれ2.3~3.7倍であることが好ましく、X/Yは、0.9~1.1であることが好ましい。
XとYのいずれかが2.2倍未満であると、未延伸フィルムが十分に延伸されないため、得られる積層フィルムは、フィルムの配向結晶が十分に進まない結果、弾性率が低いものとなり、また、厚み斑が大きくなる。その結果、耐屈曲性に劣るものとなり、さらには衝撃強度や引張強度、引張伸度等にも劣ることがある。一方、XとYのいずれかが3.8倍を超えると、フィルムの配向結晶化が進み過ぎた結果、得られる積層フィルムは、弾性率が高くなる傾向にあり、また、延伸工程でフィルムの切断が生じやすくなる。
延伸倍率の比(X/Y)が上記範囲から外れると、得られた積層フィルムは、弾性率の異方性が大きくなる傾向にあり、耐屈曲性や耐摩耗性が低下する。
また、延伸倍率の積(X×Y)は、8.5~11.0であることが好ましく、9.0~10.0であることがより好ましい。延伸倍率の積(X×Y)が8.5未満であると、得られる積層フィルムは、弾性率が低くなる場合があり、耐摩耗性が低下する場合がある。一方、延伸倍率の積(X×Y)が11.0を超えると、得られる積層フィルムは、フィルムの弾性率が高くなる場合があり、耐屈曲性が低下することがある。
【0053】
延伸温度は、170~230℃であることが好ましく、180℃~220℃であることがより好ましい。延伸温度が170℃未満では、延伸に必要とするフィルム温度が得られにくくなるため、延伸応力が高くなり、積層フィルムは、耐屈曲性や衝撃強度等の物理的特性が低下し、また、切断が多発する。一方、延伸温度が230℃を超えた場合、フィルム温度が高くなりすぎて、ドロー延伸となり、分子配向がされにくくなるため、得られる積層フィルムは、衝撃強度等の物理的特性が低下する。
【0054】
二軸延伸が行われた積層フィルムは、延伸処理が行われたテンター内において150~220℃の温度で熱固定され、必要に応じて0~10%、好ましくは2~6%の範囲で、MDおよび/またはTDの弛緩処理が施されることが好ましい。
【実施例】
【0055】
次に、本発明を、実施例によって具体的に説明する。なお、下記の実施例、比較例における各種物性の評価方法は、次のとおりである。
【0056】
<相対粘度>
ポリアミド樹脂のペレットを、濃度が1g/dlになるように96%硫酸に溶解し、温度25℃の条件で測定した。
【0057】
<水分率>
延伸前の未延伸フィルムを採取し、秤量瓶に入れた後、150℃で20時間乾燥し、乾燥前後の質量変化から算出した。
【0058】
<操業性>
水槽を通過する未延伸フィルムの状態を目視で観察し、皺、蛇行等の発生の状況を判定した。下記の「○」「△」「×」の3段階で評価した。「○」と「△」を合格とし、「○」であることが好ましい。
〇:走行中の未延伸フィルムに、皺、蛇行等が発生しない
△:延伸は可能なものの、走行中の未延伸フィルムに、皺、蛇行等が発生する
×:走行中の未延伸フィルムに、皺、蛇行等の発生が頻発し、延伸フィルムの切断が頻発する
【0059】
<フィルム中のカプロラクタムモノマー抽出量>
[測定試料の調製]
得られた積層フィルムを凍結粉砕し、0.5g精秤、10mlヘッドスペース瓶にとり、超純水10mlを添加し、ブチルゴム製栓とアルミキャップで密封した後、沸騰水浴中(100℃)で2時間抽出を行った。これを冷却後、0.45μmディスクフィルターでろ過し、測定試料とした。
[検量線の作成]
カプロラクタム0.1gを100mlの超純水に溶解し、1000ppm溶液とし、これをさらに希釈し、100、50、20、10、5、2ppmの標準溶液を調製し、作成した。
[HPLC条件]
装置:HewlettPackard社製 HP1100HPLCsystem、カラム:Waters Pureisil 5μm C18 120Å 4.6mm×250mm(40℃)、検出器:UV210nm、注入量:10μl、流速:0.7ml/min、溶離:メタノール/水(容積比:35/75)液で12分間実施、その後、3分かけてメタノール/水(容積比:100/0)液に切り替えて30分間実施し、その後5分かけてメタノール/水(容積比:35/75)液に切り替えてから20分間実施
[計算方法]
上記条件にて検出された試料のモノマー濃度から、試料中のモノマーの質量を計算し、フィルムの質量で割った値をモノマーの抽出量(質量%)とした。
【0060】
<弾性率、弾性率比>
得られた積層フィルムを23℃、50%RHに調整した環境試験室内で2時間放置した後、フィルムのMD、TDの測定方向に長さ150mm(標線間距離100mm)、幅10mmの短冊状に裁断してサンプルを得た。1kN測定用のロードセルとサンプルチャックとを取り付けた引張試験機(島津製作所製AG-IS)を用いて、試験速度500mm/minにて引張試験を実施した。荷重-伸び曲線の勾配から弾性率を算出し、弾性率比(MD/TD)を算出した。サンプル数5で測定を行い、それぞれの平均値を算出した。
【0061】
<曇度>
日本電色工業社製ヘーズメーターを用いて、JIS K7136に準じてヘーズを測定した。サンプル数3で測定を行い、平均値を算出した。
【0062】
<耐屈曲性(耐ピンホール性1)(屈曲疲労テスト)>
得られた積層フィルムを、5℃、55%RHに調整した環境試験室内で2時間放置した後、ゲルボフレックステスター(テスター産業社製、BE-1005)を用いて1000回の屈曲疲労テスト(ねじり角は440゜)を行った。フィルムサンプル(チャック間距離178mm、直径89mm)について、ピンホール個数を、濾紙上でインキの透過箇所の個数を計測することによって求めた。サンプル数3で測定を実施し、500cm2あたりのピンホール個数の平均値を算出した。
【0063】
<突刺強力(耐ピンホール性2)>
得られた積層フィルムを、5℃、55%RHに調整した環境試験室内で2時間放置した後、内径30mmのドーナツ状の板枠にフィルムを緊張させて固定し、この試料の中央部に、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を、50mm/分の速度で試料面に垂直に当てて突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重をフィルムが破れる際の強力として測定した。サンプル数5で測定を行い、フィルムの厚み1μmあたりの強力値の平均値を算出した。
【0064】
<耐摩耗性(耐ピンホール性3)>
後述する<密着強力>の欄に記載の方法で作製したラミネートフィルムを、5℃、55%RHに調整した環境試験室内で2時間放置した後、ポリアミド系フィルム面が外側になるように四つ折にし、学振型摩擦試験機において、折り重ねたフィルムの頂点を坪量400g/m2のボール紙に垂直に接触させた後、フィルムに対して50gの荷重を加え治具に固定した。ボール紙は折り重ねたフィルムの縦方向に120mm、30回/分の条件で摺動させ、摺動10回ごとにピンホール発生の確認を行い、ピンホールが発生した時点での摺動回数を記録した。サンプル数3で試験を行い、その内の最も少ない摺動回数で耐摩耗性を評価した。ピンホール発生までの摺動回数は実質的には150回以上が求められ、250回以上が好ましい。
ピンホールの発生の有無は、ボール紙と接触していた折り重ねたフィルムの頂点に酢酸エチルを滴下して、白色紙の上への酢酸エチルの浸透の有無によって判定した。
【0065】
<厚み斑>
β線透過式厚み計を用いて、積層フィルムの幅方向に沿って10cmおきに全幅にわたって厚みを測定し、次式から厚み斑を算出し、下記3段階で評価した。「○」と「△」を合格とし、「○」であることが好ましい。
厚み斑=(幅方向に沿った最大厚み-幅方向に沿った最小厚み)÷平均厚み×100
○:10%以下
△:10%を超え、15%以下
×:15%を超える
【0066】
<酸素透過度>
モコン社製の酸素バリア測定器(OX-TRAN 2/20)を用いて、温度20℃、90%RHの雰囲気下における積層フィルムの酸素透過度を測定することにより、ガスバリア性を評価した。サンプル数2で測定を行い、平均値を算出した。酸素透過度が100ml/(m2・d・MPa)未満であれば合格とし、90ml/(m2・d・MPa)未満であると好ましい。
【0067】
<密着強力>
積層フィルムの樹脂層の表面に、ウレタン系接着剤(DIC社製、ディックドライLX-401A/SP-60)を乾燥塗布量が3.0g/m2となる様に塗布し、その後に80℃で熱処理を行った。そして、熱処理後の接着剤面に、未延伸ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ社製、T.U.X MCS、50μm)を、80℃に加熱した金属ロール上で490kPaのニップ圧力でドライラミネートした。さらに接着剤推奨のエージングを施して、ラミネートフィルムを得た。
得られたラミネートフィルムから幅15mmの試験片を採取し、5℃、55%RH雰囲気中で、試験片の端部のポリエチレンフィルムと樹脂層との界面を剥離した。そののち、引張試験機(島津製作所製AGS-100G)を用いて、引張速度300mm/minにて、ポリエチレンフィルムと積層フィルムとがT形をなすようにしてラミネート強力を測定した。
このラミネート強力測定において、剥離は、樹脂層とポリアミド系フィルムとの界面で生じるか、あるいはポリエチレンフィルムと樹脂層との界面で生じることになる。強力測定後のサンプルにおいて、ポリアミド系フィルムと樹脂層との層間で剥離していないとき、ポリアミド系フィルムと樹脂層との層間の剥離強力は、少なくともこの測定値以上の値を有しているものとみられる。密着強力が0.5N/cm以上を合格とした。
【0068】
<シール強力>
上記<密着強力>に記載の方法で作製したラミネートフィルムを200mm×300mmサイズに2枚切り出し、ポリエチレンフィルム同士を合わせて、三方の辺を10mm幅でヒートシールし、三方袋を作製した。シール条件は、160℃×1秒とした。
得られた三方袋から、幅15mmのシール部試験片を切り出し、5℃、55%RH雰囲気中で、試験片の端部(ラミネートフィルム部)を、引張試験機(島津製作所製AGS-100G)を用いて、引張速度300mm/minにて、シール強力を測定した。下記の3段階で評価した。「○」と「△」を合格(すなわち、25N/cm以上を合格)とし、「○」であることが好ましい(すなわち、35N/cm以上が好ましい)。
○:35N/cm以上
△:25N/cm以上、35N/cm未満
×:25N/cm未満
【0069】
<耐落体性(耐破袋性)>
上記<シール強力>に記載の方法で作製した三方袋に、水1000mlを充填し、袋内の空気を逃がし、残り一方の辺を10mm幅でヒートシールし、密封した試験サンプルを作製した。シール条件は160℃×1秒とした。
試験サンプルを、その下端が、水平に置かれた0.5mm厚の平滑なSUS板の上方1.2mになる高さから、試験サンプルの一方のフィルム面がSUS板に当たるようにして落下させる試験Aと、次いで、試験サンプルの一方の短辺がSUS板に当たるようにして落下させる試験Bとを、それぞれ交互に、試験サンプルが破袋するまで行い、破袋するまでの試験AまたはBの落下回数を測定した。なお、試験サンプルには、フィルム面と短辺がそれぞれ2つずつあるが、同じフィルム面や同じ短辺がそれぞれSUS板に当たるように落下させた。サンプル数3で評価し、平均値を算出した。試験は5℃、55%RH雰囲気中と、-2℃雰囲気中で行い、試験サンプルを3時間その雰囲気中に静置してから試験を行った。
冷蔵環境である5℃、55%RH雰囲気中での破袋までの回数は、実質的には70回以上が求められ、150回以上が好ましく、200回以上がより好ましい。また、冷凍環境である-2℃雰囲気中での破袋までの回数は、実質的には50回以上が求められ、100回以上が好ましく、150回以上がより好ましい。
【0070】
実施例・比較例において使用した原料は、以下のとおりである。
【0071】
[ポリアミド樹脂]
撹拌機を備えた密閉反応容器に、ε-カプロラクタム100質量部と、安息香酸0.12質量部(ε-カプロラクタムに対して10mmol/kg)と、水3質量部とを投入して昇温し、制圧力0.5MPa、温度260℃で重縮合反応をおこない、反応容器から払い出した後、チップ状にカッティングし、これを精錬、乾燥して、ポリアミド樹脂を得た。このポリアミド樹脂のチップの相対粘度は3.03であった。
[マスターチップ]
ポリアミド樹脂100質量部と、シリカ微粒子(水澤化学工業社製 サイロイドSY-150)6質量部とを溶融混合して、マスターチップを作成した。
【0072】
[ポリエステル系熱可塑性エラストマー]
・プリマロイ:三菱ケミカル社製 プリマロイAP GQ131(MODIC GQ131)
・ハイトレル:東レ・デュポン社製 ハイトレル 5577
[ポリアミド系熱可塑性エラストマー]
・PEBAX:アルケマ社製 PEBAX 3533
[オレフィン系共重合体]
・レクスパール:日本ポリエチレン社製 レクスパールET230X
【0073】
実施例1
ポリアミド樹脂と、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのプリマロイと、マスターチップとを、プリマロイの含有量が4.0質量%、無機微粒子の含有量が0.05質量%となるようにブレンドして、押出機に投入し、混練開始時温度190℃、シリンダー出口部温度230℃に加熱したシリンダー内で溶融し、Tダイオリフィスよりシート状に押し出し、10℃に冷却された回転ドラムに密着させて急冷し、厚さ250μmの未延伸フィルムを得た。
次に、この未延伸フィルムを、水分率調整工程として、pH7.9、温度53℃に設定した水槽に導き、1分間水中に浸漬し、吸水させることで、フィルムの水分率を5.8質量%とした。
次に、吸水させた未延伸フィルムの片面にPVDCラテックス(旭化成社製 サランラテックス L536B(固形分濃度49質量%))をエアーナイフコーティング法により塗布し、温度110℃の赤外線照射機により30秒間乾燥処理を行って、ラテックス中の水分を蒸発乾燥した。
PVDCを含む樹脂層が積層された未延伸フィルムを同時二軸延伸機に導き、220℃、2秒の予熱処理を行った後、MD延伸倍率(X)3.0倍、TD延伸倍率(Y)3.3倍で、195℃で同時二軸延伸を施した。続いて、温度210℃で熱処理し、横方向に5%の弛緩処理を行い、ポリアミド系フィルム25μm、樹脂層の厚みが1.5μmの積層フィルムを得た。
【0074】
実施例2~14、16~19、比較例1~5、7、9~11、13
エラストマーの種類と含有量、フィルムの製造条件を、表1、3に記載のように変更した以外は実施例1と同様の方法で、積層フィルムを得た。なお、実施例9においては、PVDCラテックスとして、旭化成社製 サランラテックス L549B(固形分濃度48質量%)を使用した。
【0075】
実施例15
実施例1と同様にして、厚さ250μmの未延伸フィルムを得た。
次に、この未延伸フィルムを、水分率調整工程として、pH7.9、温度53℃に設定した水槽に導き、1分間水中に浸漬し、吸水させることで、フィルムの水分率を5.8質量%とした。
次に、吸水させた未延伸フィルムを周速の異なる加熱ローラー群からなるMD延伸機により、55℃、MD延伸倍率(X)3.0倍で縦延伸した。その後、縦延伸フィルムの片面にPVDCラテックス(旭化成社製 サランラテックス L536B(固形分濃度49質量%)をグラビアコーティング法により塗布した。さらに、この縦延伸フィルムを、180℃、1秒の予熱処理を行った後、180℃、TD延伸倍率(Y)3.3倍で横延伸して、逐次延伸処理をおこなった。
この後、テンター内で徐々に温度を上げて最高到達温度210℃で熱処理し、さらに210℃でTDに2%のリラックスを施した。その後、100℃で冷却し、厚みが1.5μmの樹脂層が積層された厚さ25μmの積層フィルムを得た。
【0076】
比較例6
PVDCラテックスを塗布する代わりにPVA水溶液(日本酢ビ・ポバール社製ポリビニルアルコールJF-05、ケン化度98~99モル%、濃度10質量%)を、吸水させた未延伸フィルムの片面に塗布した以外は、実施例1と同様の方法で、厚みが1.5μmの樹脂層が積層された厚さ25μmの積層フィルムを得た。
【0077】
比較例8
吸水させた未延伸フィルムに赤外線照射機による110℃、30秒間乾燥処理を行い、未延伸フィルムの水分率を1.3質量%に調整した以外は、実施例1と同様の方法で、厚みが1.5μmの樹脂層が積層された厚さ25μmの積層フィルムを得た。
【0078】
比較例12
水分調整工程後にポリ塩化ビニリデン樹脂層を積層せずに、実施例1と同様の方法で、厚さ25μmのポリアミド系フィルムを得た。得られたフィルムに、PVDCラテックスを厚みが1.5μmとなるようにコーティングし、乾燥温度110℃で15秒乾燥し、積層フィルムを得た。
【0079】
実施例1~19、比較例1~13で得られた積層フィルムの構成、製造条件、評価結果を表1~4に示す。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
表1~4から明らかなように、実施例1~19の積層フィルムは、本発明で規定する範囲のポリエステル系熱可塑性エラストマーを含有したポリアミド系フィルムに、PVDCを含有する樹脂層が積層されているため、低温環境においても、ポリアミド系フィルムと樹脂層との密着性に優れ、耐屈曲性、突刺強力、耐摩耗性といった耐ピンホール性に優れており、ガスバリア性、透明性にも優れていた。また、積層フィルムを使用した包装体は、耐破袋性に優れていた。
【0085】
一方、比較例1の積層フィルムは、ポリアミド系フィルムがポリエステル系熱可塑性エラストマーを含有しないため、また、比較例2の積層フィルムは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの含有量が本発明で規定する範囲より少なかったため、いずれも、低温環境下での耐屈曲性、耐破袋性に劣るものとなった。比較例3の積層フィルムは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの含有量が本発明で規定する範囲より多いため、曇度の値が大きく、透明性に劣るものとなり、また、低温環境下でのポリアミド系フィルムと樹脂層との密着性が劣り、耐破袋性に劣るものとなった。
比較例4のポリアミド系フィルムは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーに代えて、オレフィン系共重合体を含有するため、水分率調整工程において走行中の未延伸フィルムにシワが発生し、積層フィルムは、延伸が不均一となった結果、厚み斑が非常に大きく、切断が多発して操業性に劣るため、物性を評価しなかった。比較例5の積層フィルムは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーに代えて、アミド系熱可塑性エラストマーを含有するため、低温環境下でのポリアミド系フィルムと樹脂層との密着性が劣り、耐破袋性に劣るものとなった。
比較例6の積層フィルムは、樹脂層がPVDCに代えてPVAを含有するものであったため、ガスバリア性に劣り、さらに、低温環境下でのポリアミド系フィルムと樹脂層との密着性が劣り、耐破袋性に劣るものとなった。
比較例7の積層フィルムは、ポリアミド系フィルムが水分率調整工程を通過しなかったため、透明性が劣り、また、カプロラクタムモノマーの抽出量が多いため、低温環境下でのポリアミド系フィルムと樹脂層との密着性が低く、さらには耐屈曲性、耐破袋性に劣るものとなった。比較例8の積層フィルムは、水分率が本発明で規定した範囲より低い未延伸フィルムを延伸して製造したため、透明性が劣り、低温環境下での耐屈曲性、耐破袋性に劣るものとなった。比較例9の積層フィルムは、水分率が本発明で規定した範囲より高いフィルムを延伸して製造したため、厚み斑が大きく、低温環境下での耐屈曲性、突刺強力、耐摩耗性、耐破袋性に劣るものとなった。
比較例10の積層フィルムは、縦方向の延伸倍率が小さかったため、厚み斑が大きく、低温環境下での耐屈曲性、突刺強力、耐摩耗性、耐破袋性に劣るものとなった。比較例11の積層フィルムは、縦方向の延伸倍率が大きかったため、幅方向の延伸工程で切断が多発して操業性に劣るため、物性を評価しなかった。
比較例12の積層フィルムは、水分調整し延伸されたポリアミド系フィルムに、ポリ塩化ビニリデン樹脂層をポストコート法で積層したために、ポリアミド系フィルムと樹脂層との密着性が低く、耐破袋性に劣るものとなった。
比較例13の積層フィルムは、比較例1と同様にポリアミド系フィルムがポリエステル系熱可塑性エラストマーを含有しないため、低温環境下での耐屈曲性、耐破袋性に劣るものとなった。