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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】回転式シール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/16 20060101AFI20250513BHJP
   B65B 51/22 20060101ALI20250513BHJP
   B65B 61/08 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
B65B51/16
B65B51/22 100
B65B61/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022019083
(22)【出願日】2022-02-09
(65)【公開番号】P2023116339
(43)【公開日】2023-08-22
【審査請求日】2023-12-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】玉川 幸司
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 充洋
(72)【発明者】
【氏名】飯田 健雄
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-160776(JP,A)
【文献】特開2004-018002(JP,A)
【文献】実開昭57-174303(JP,U)
【文献】特開昭62-078037(JP,A)
【文献】登録実用新案第3192648(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/16
B65B 51/22
B65B 61/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状包装材の搬送路を挟んで相互に反対方向に回転する一対のシール体を備え、該一対のシール体のシール面で筒状包装材を挟持して包装材搬送方向と交差する方向にエンドシールを施す回転式シール装置において、
前記一対のシール体の何れか一方のシール体の本体に画成された収容室内に支持され、当該一方のシール体の回転に連動して往復動手段によって径方向に往復移動される移動部材と、
該移動部材に第1の固定手段によって着脱可能に固定され、前記一方のシール体の回転に連動して前記移動部材が前記本体の収容室内で移動するのに伴って前記一方のシール体に設けた孔を通ってシール面から突出して、該シール面と他方のシール体のシール面とで挟持した前記筒状包装材を切断する切断刃と、
前記一方のシール体に第2の固定手段によって着脱可能に固定され、前記移動部材の往復移動方向と交差する方向に前記収容室を開放する開口を閉鎖する蓋体と、を備え、
前記切断刃は、前記移動部材の往復移動方向の両端側に夫々配置されて、各切断刃に対応した前記第1の固定手段により前記移動部材に対して個別に着脱可能に固定され、
前記一方のシール体から前記蓋体を取り外すことで、前記移動部材の両端側に設けた各切断刃に対応した第1の固定手段の夫々が露出し、当該第1の固定手段を取り外した切断刃を前記移動部材の往復移動方向に移動することで、前記一方のシール体から対応する前記孔を通して取り外し得るよう構成した
ことを特徴とする回転式シール装置。
【請求項2】
前記切断刃を備える一方のシール体をアンビルとすると共に、他方のシール体を振動発生手段により超音波振動するホーンとして構成し、アンビルとホーンとで挟持した前記筒状包装材に超音波振動によるエンドシールを施すようにしたことを特徴とする請求項1記載の回転式シール装置。
【請求項3】
前記一対のシール体は、前記一方のシール体が前記搬送路の下側に位置するよう該搬送路を挟んで上下に位置し、
前記一方のシール体に、前記筒状包装材のシール面による挟持を許容すると共に、前記筒状包装材を下側から支持する弧状の支持材を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の回転式シール装置。
【請求項4】
前記移動部材における前記往復移動方向の両端側の夫々に、前記収容室の開口および前記孔側に開放するように凹んだ受け部が設けられると共に、
前記切断刃には、前記移動部材の受け部に嵌合可能な取着部が設けられており、
前記孔を通して前記移動部材の往復移動方向に移動した前記切断刃の取着部が前記移動部材の受け部に嵌合して位置決めされると共に、当該取着部に設けた孔と当該受け部に設けた孔とが整列して前記第1の固定手段で固定し得るよう構成した請求項1~3の何れか一項に記載の回転式シール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に反対方向に回転する一対のシール体によって筒状包装材をシールすると共に、筒状包装材を切断する回転式シール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製袋充填機において、一対のシール体で筒状フィルム(包状包装材)を挟持してフィルム搬送方向と交差する方向にエンドシールを施すシール装置として、両シール体が夫々自転する中で所定の回転角で噛合って、その噛合う位置がフィルム搬送方向に移動することがない回転式のシール装置と、対向的に接近・離間移動する一対のシール体が筒状フィルムを挟持しながらフィルム搬送方向に移動する所謂ボックスモーション式のシール装置が知られている。ボックスモーション式のシール装置は、エンドシールを施す際にはシール体を含めた重量のある部品が上下および前後に移動することから、振れや振動が発生し易く、包装に支障のない範囲でのシール動作を行うための包装能力の上限値が制約される。これに対し、回転式のシール装置は、1分間当たりの処理能力が高く、高速化が求められる包装には好適に採用されている。
【0003】
前記シール装置には、シール体によるシール箇所においてフィルム搬送方向と交差する方向に筒状フィルムを切断する切断手段が設けられる。回転式のシール装置における切断手段としては、一方のシール体に設けた当て刃を、他方のシール体に設けた受け刃に筒状フィルムを挟んで当接することで該フィルムを切断する、所謂「当て切り」タイプの切断手段が一般的に採用されている。しかしながら、「当て切り」タイプの切断手段を採用したシール装置では、シール体のシール面に形成されたシール目を合わせる調節とは別に、受け刃に対する当て刃の当たり具合を調節する必要があり、調節作業が煩雑で時間が掛かる問題がある。そこで、受け刃と当て刃との当たり具合を調節する必要のない、所謂「突っ切り」タイプの切断手段を採用した回転式のシール装置が、例えば特許文献1として提案されている。特許文献1のシール装置は、相互に反対方向に回転する一対の回転軸の夫々にシール体が配設され、対をなすシール体のシール面同士が噛合うタイミングで、一方のシール体の内部に収容している切断刃をシール面から突出することで、シール面で挟持している筒状フィルムを切断するよう構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公昭55-29862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シール装置に配設されている切断刃は、刃先が経時的に摩耗して筒状フィルムを良好に切断することができなくなるため、切断刃を交換したり、シール体から切断刃を取り外して刃先を研磨するなど、定期的なメンテナンスを行う必要がある。特許文献1に開示のシール装置は、シール体の内部空間に収容した切断刃に、回転軸の内部を通して駆動源に連繋するカムなどによるリンク機構が接続され、該リンク機構によって切断刃をシール面から突出するよう構成されており、切断刃をシール体から取り外すには、回転軸を装置本体から取り外したり、シール体を回転軸から取り外したりするなど、煩雑な分解作業が必要となるばかりでなく、メンテナンス後の組み付け作業も煩雑であり、切断刃のメンテナンスは非常に煩雑で時間が掛かる問題が指摘される。
【0006】
本発明は、切断刃のメンテナンスを短時間で容易に行うことができる回転式シール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明の回転式シール装置は、
筒状包装材(10)の搬送路を挟んで相互に反対方向に回転する一対のシール体(16,17)を備え、該一対のシール体(16,17)のシール面(23b,25b)で筒状包装材(10)を挟持して包装材搬送方向と交差する方向にエンドシールを施す回転式シール装置において、
前記一対のシール体(16,17)の何れか一方のシール体(17)の本体(24)に画成された収容室(24a)内に支持され、当該一方のシール体(17)の回転に連動して往復動手段(36)によって径方向に往復移動される移動部材(33)と、
該移動部材(33)に第1の固定手段(35)によって着脱可能に固定され、前記一方のシール体(17)の回転に連動して前記移動部材(33)が前記本体(24)の収容室(24a)内で移動するのに伴って前記一方のシール体(17)に設けた孔(28,25a)を通ってシール面(25b)から突出して、該シール面(25b)と他方のシール体(16)のシール面(23b)とで挟持した前記筒状包装材(10)を切断する切断刃(18)と、
前記一方のシール体(17)に第2の固定手段(27)によって着脱可能に固定され、前記移動部材(33)の往復移動方向と交差する方向に前記収容室(24a)を開放する開口(24b)を閉鎖する蓋体(26)と、を備え、
前記切断刃(18)は、前記移動部材(33)の往復移動方向の両端側に夫々配置されて、各切断刃(18)に対応した前記第1の固定手段(35)により前記移動部材(33)に対して個別に着脱可能に固定され、
前記一方のシール体(17)から前記蓋体(26)を取り外すことで、前記移動部材(33)の両端側に設けた各切断刃(18)に対応した第1の固定手段(35)の夫々が露出し、当該第1の固定手段(35)を取り外した切断刃(18)を前記移動部材(33)の往復移動方向に移動することで、前記一方のシール体(17)から対応する前記孔(28,25a)を通して取り外し得るよう構成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、シール体から蓋体を取り外すだけで、移動部材に切断刃を固定する第1の固定手段にアクセスできるので、切断刃の着脱を簡単に行うことができ、メンテナンスを短時間で容易に行うことができる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記切断刃(18)を備える一方のシール体(17)をアンビル(17)とすると共に、他方のシール体(16)を振動発生手段(20)により超音波振動するホーン(16)として構成し、アンビル(17)とホーン(16)とで挟持した前記筒状包装材(10)に超音波振動によるエンドシールを施すようにしたことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、超音波振動によって筒状包装材をエンドシールするよう構成したので、アンビルや該アンビルに配設される切断刃は高温とならず、アンビルや切断刃が冷えるのを待つことなくメンテナンスをより短時間で行うことができる。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記一対のシール体(16,17)は、前記一方のシール体(17)が前記搬送路の下側に位置するよう該搬送路を挟んで上下に位置し、
前記一方のシール体(17)に、前記筒状包装材(10)のシール面(25b)による挟持を許容すると共に、前記筒状包装材(10)を下側から支持する弧状の支持材(32)を設けたことを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、エンドシール・切断された製品を下流側に支障なく案内することができる。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記移動部材(33)における前記往復移動方向の両端部の夫々に、前記収容室(24a)の開口(24b)および前記孔(28,25a)側に開放するように凹んだ受け部(34)が設けられると共に、
前記切断刃(18)には、前記移動部材(33)の受け部(34)に嵌合可能な取着部(18b)が設けられており、
前記孔(28,25a)を通して前記移動部材(33)の往復移動方向に移動した前記切断刃(18)の取着部(18b)が前記移動部材(33)の受け部(34)に嵌合して位置決めされと共に、当該取着部(18b)に設けた孔(18c)と当該受け部(34)に設けた孔(34a)とが整列して前記第1の固定手段(35)で固定し得るよう構成したことを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、移動部材に対して切断刃を適正な位置に簡単に位置決めして固定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、切断刃の交換を短時間で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】エンドシール装置を示す概略正面図である。
図2】エンドシール装置の要部概略断面図である。
図3】蓋体を取り外したアンビルを示す概略正面図である。
図4】アンビルの要部概略断面図であって、(a)は切断刃を取り付けた状態を示し、(b)は切断刃を取り外した状態を示している。
図5】(a)は移動部材と組付け治具および本体とシール部材を取り外した状態を示す概略図であり、(b)は移動部材と組付け治具および本体とシール部材を固定した状態を示す概略図である。
図6】移動部材に固定した組付け治具の制限部を、ホーンの凹溝に挿入した状態を示す要部概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る回転式シール装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、回転式シール装置を、横形製袋充填機のエンドシール装置に採用した場合で説明する。
【実施例
【0014】
横形製袋充填機(包装機)は、原反ロールから引き出した帯状フィルム(包装材)を、その長手方向両端縁部を合掌状に重合して筒状フィルム(筒状包装材)10として成形する製袋手段と、筒状フィルム10に向けて物品11を所定間隔毎に供給する供給コンベヤと、前記合掌状に重合した筒状フィルム10の重合部にセンターシールを施すセンターシール装置と、前記筒状フィルム10の重合部を挟持してセンターシール装置に向けて筒状フィルム10を搬送するフィルム搬送手段と、筒状フィルム中に所定間隔毎に供給された物品11の前後位置で筒状フィルム10を挟持し、フィルム搬送方向と交差する方向(幅方向)にエンドシール・切断を施すエンドシール装置と、の夫々を備える。また、横形製袋充填機は、エンドシール装置のフィルム搬送方向の前後に、物品11を筒状フィルム10を介して下側から支持して下流側に搬送する搬送コンベヤ12と搬出コンベヤ13とが設けられ、エンドシール・切断されて上流側の筒状フィルム10から切り離された製品(ピロー包装品)を搬出コンベヤ13によって次工程に搬出するよう構成される(図2参照)。
【0015】
図1図2に示す如く、前記エンドシール装置は、筒状フィルム10の搬送路を挟んで相互に反対方向に回転する一対の回転軸14,15の内の一方の回転軸(第1回転軸)14に配設されたホーン(他方のシール体)16と、他方の回転軸(第2回転軸)15に配設されたアンビル(一方のシール体)17と、該アンビル17に配設されて筒状フィルム10を切断する切断刃18を備える切断手段19と、第1回転軸14に配設された振動発生手段20と、を備える。振動発生手段20は、超音波を発生するコンバータや、超音波を増幅するブースタなどを備え、ホーン16を所定の振幅で超音波振動するよう構成され、前記フィルム搬送手段や搬送コンベヤ12で搬送される筒状フィルム10を、ホーン16とアンビル17とにより所定圧力で挟持して、超音波振動にて幅方向にエンドシールを施すよう構成される。一対の回転軸14,15は、幅方向に離間する一対の支持部材21,21に回転自在に支持されて、一対の支持部材21,21の間において、実施例では搬送路を挟んで上側にホーン16が配置されると共に、下側にアンビル17が配置される。また、アンビル17が配設された第2回転軸15は、アンビル17の後述する本体24の幅方向の一端から延出する軸部15aが、図示しないサーボモータなどの駆動モータに、歯車機構やチェン-スプロケット機構などの伝達機構22を介して連繋され、駆動モータによってホーン16とアンビル17は相互に反対方向に回転駆動される。
【0016】
図1図2に示す如く、前記ホーン16は、回転方向に離間して径方向に延出する複数(実施例では180°間隔で2つ)のシール部23が設けられている。また、シール部23に、外周面から径方向に凹む凹溝23aが幅方向に延在するよう形成されると共に、該凹溝23aを挟んで回転方向の前後両側に、第1シール面23b,23bが幅方向に直線状に延びるように形成されている。
【0017】
図1図3に示す如く、前記アンビル17は、前記第2回転軸15に配設されて一体で回転する本体24と、該本体24に内部画成した収容室24aに収容されて径方向に移動可能な前記切断手段19と、該切断手段19の移動方向に対応する本体24の外周面(外面)に着脱可能に固定されて前記ホーン16の各シール部23と対をなすシール部材25と、本体24に着脱可能に固定されて収容室24aの開口24bを閉鎖する蓋体26と、を備える。本体24は、各シール部材25の配設面(当接面、外面)24cが、アンビル17の回転軸心を中心とする円弧状(弧状)に形成されると共に、両配設面24c,24cから外れた外周部が、切断手段19の移動方向に沿う平面となるよう形成されており、該平面に、収容室24aを外部に開放する開口24bが形成されると共に蓋体26が着脱可能に固定される。蓋体26は、該蓋体26に形成した通孔に挿通した六角穴付きボルトなどの蓋用ボルト(第2の固定手段)27を、本体24に形成したネジ孔に螺挿することで本体24に位置決め固定されており、蓋用ボルト27を外すことで、本体24から蓋体26を取り外して開口24bを開放し、外部から収容室24aへのアクセスが可能となるよう構成される。実施例では、略矩形状の蓋体26における幅方向両側部の夫々を、2箇所ずつで計4箇所を本体24にボルト固定するよう構成される。また、本体24には、各シール部材25の配設部位に対応して、切断手段19の切断刃18が通過可能な径方向に貫通する貫通孔28が、幅方向に所定長さで形成されている。
【0018】
図1図4に示す如く、前記シール部材25は、幅方向に所定長さで延在するブロック状の部材であって、シール部材25は、幅方向の両側に設けた固定部29に形成した通孔29aに挿通した六角穴付きボルトなどのシール用ボルト(第3の固定手段)30を、本体24に形成したネジ孔31に螺挿することで本体24に位置決め固定される。なお、シール部材25における本体24の前記配設面24cと対向する底面(当接面)は、配設面24cに対応する円弧状(弧状)に形成されている。また、シール部材25には、本体24の前記貫通孔28と対応する位置に、前記切断刃18が通過可能な径方向に貫通する長孔25aが形成されると共に、該長孔25aを挟んでアンビル17の回転方向の前後両側に、前記ホーン16の第1シール面23b,23bと対をなす第2シール面25b,25bが幅方向に延びるように形成されている。そして、搬送中の筒状フィルム10に対してホーン16とアンビル17が回転して、筒状フィルム10中に所定間隔毎に供給された物品11を挟む前後両側において、筒状フィルム10を両シール面23b,25bにより所定圧力で挟持し、ホーン16から発せられる超音波振動が挟持部へ伝達されて熱溶着フィルムが溶融し、筒状フィルム10の搬送方向と交差して、密封されたエンドシール部が形成される。なお、第2シール面25b,25bには、エンドシール部に凹凸を形成する所定形状のシール目が形成されている。
【0019】
図2に示す如く、前記アンビル17の本体24には、前記搬送路を搬送される筒状フィルム10を下側から支持すると共に、筒状フィルム10中に供給された物品11を、筒状フィルム10を介して下側から支持可能な支持材32が着脱可能に配設されている。支持材32は、前記シール部材25が配設される円弧状の配設面24cを除く外周においてアンビル17の回転方向に延在するよう、アンビル17の回転半径に対応する円弧状(弧状)に形成されている。すなわち、支持材32は、第1シール面23bと第2シール面25bとによる筒状フィルム10の挟持および第2シール面25bからの切断刃18の突出を許容すると共に、アンビル17の回転によって筒状フィルム10および筒状フィルム10中の物品11を下側から支持して下流側へ支障なく案内し得るよう構成される。実施例では、前記蓋体26を覆うように支持材32が配設されており、アンビル17の回転によって蓋体26の配設側が上向きとなる状態でも、物品11の搬送レベルを大きく変動することなく該物品11を支持材32で支持し得るようになっている。
【0020】
図2図3に示す如く、前記切断手段19は、前記アンビル17の収容室24a内に支持されて径方向に往復移動自在な移動部材33と、該移動部材33における各シール部材25に対応する部位に着脱可能に固定された切断刃18とを備え、切断手段19は、移動部材33の往復移動によって切断刃18,18が対応する前記貫通孔28および長孔25aを通って第2シール面25bから突出して筒状フィルム10を切断するよう構成される。切断刃18は、所定厚みの板状の部材であって、アンビル17の回転中心側に取着部18bが設けられると共に、アンビル17の回転中心から離間する端に刃が形成された刃先部18aが取着部18bに連設されている。また、移動部材33には、往復移動方向の両端部に、切断刃18における取着部18bに対応する形状で厚み方向の一側から凹む受け部(取付け部)34が夫々形成されており、該受け部34に取着部18bを嵌め込むことで、移動部材33に対して切断刃18が位置決めされる。そして、切断刃18は、取着部18bに形成した通孔18cに挿通した六角穴付きボルトなどの刃用ボルト(第1の固定手段)35を、移動部材33の受け部34内に形成したネジ孔34aに螺挿することで位置決め固定される。実施例では、移動部材33に対して切断刃18を、受け部34と取着部18bとの嵌合構造によって取り付けることで、取着部18bの通孔18cと移動部材33のネジ孔34aとが整列するように切断刃18が位置決めされる。実施例では、切断刃18は、幅方向に離間する複数(2つ)の刃用ボルト35によって、移動部材33に対して傾くことなく固定される。また、切断刃18の取着部18bと受け部34との対向面は平面となっており、取着部18bを受け部34に嵌め込んで対向面を当接した状態で、刃先部18aの厚み方向中央が、前記貫通孔28の幅方向の中央に略整列すると共に、貫通孔28内を本体24に接触することなく移動し得るよう構成される。
【0021】
図3に示す如く、前記刃用ボルト35は、前記収容室24aの開口24bに臨むように位置し、前記蓋体26を前記本体24から取り外すことで、該刃用ボルト35が外部に露出するよう構成される。実施例では、刃用ボルト35を外して前記移動部材33に対する切断刃18の固定を解除することで、切断刃18を貫通孔28および長孔25aを通して本体24から径方向に抜き外し得るよう構成される(図4参照)。
【0022】
前記切断手段19は、該切断手段19を径方向に往復移動する往復動手段36に連繋されている。往復動手段36は、図1図3に示す如く、前記収容室24a内に支持されて前記移動部材33に連繋されたリンク機構37と、該リンク機構37を作動する作動機構38と、該作動機構38を駆動する駆動手段としてのサーボモータなどの駆動モータ39と、を備える。前記第2回転軸15における前記本体24の前記伝達機構22が連繋される軸部15aとは反対側の軸部15bは中空軸として構成されて、該軸部15bに挿通された作動機構38の作動軸がリンク機構37に連繋される。そして、駆動モータ39によって作動機構38の作動軸を介してリンク機構37を作動することで、該リンク機構37が連繋する移動部材33がアンビル17の径方向に往復移動するよう構成される。切断手段19は、移動部材33の往復移動方向の中間位置において、両切断刃18,18が何れも第2シール面25b,25bから突出しないよう構成されると共に、一方の切断刃18が対応する第2シール面25bから突出するときには、他方の切断刃18が対応するシール部材25の長孔25aから貫通孔28側に引っ込むよう構成される。
【0023】
前記往復動手段36は、ホーン16およびアンビル17の回転に連動して、前記第1シール面23bと第2シール面25bとが筒状フィルム10を挟持するタイミングにおいて、該第2シール面25bから切断刃18の刃先部18aを突出するように前記移動部材33を移動するよう構成される。なお、往復動手段36は、包装機を停止した状態で、手動でアンビル17を回転する場合においても連動して作動して、切断刃18を包装機の運転時と同じタイミングで第2シール面25bから突出させるように移動部材33を移動する。
【0024】
実施例のエンドシール装置は、前記アンビル17の本体24に対して前記シール部材25を、前記切断刃18に代えて移動部材33に取り付けた組付け治具40によって位置決め固定し得るよう構成されているので、該組付け治具40について説明する。
【0025】
図5図6に示す如く、前記組付け治具40は、前記移動部材33の受け部34に嵌め込むことで位置決めされる取着部40aと、該取着部40aに連設される制限部40bとからなる板状の部材であって、取着部40aの幅および高さ(移動部材33の往復移動方向の長さ)寸法は、前記切断刃18の取着部18bと同じに設定されている。また、取着部40aには、受け部34に形成したネジ孔34aに対応する通孔40cが形成されており、組付け治具40は、前記刃用ボルト35によって移動部材33に位置決め固定可能に構成される。前記制限部40bは、取着部40aに対して幅寸法が長く設定されると共に、前記本体24の貫通孔28およびシール部材25の長孔25aを通過可能な寸法に設定される。また、制限部40bの高さは、切断刃18における刃先部18aの高さと略同一寸法に設定されており、組付け治具40を固定した移動部材33を径方向に移動することで、制限部40bの先端部を、切断刃18と同様に前記ホーン16の凹溝23aに挿入可能な位置まで突出し得るよう構成される。また、制限部40bの先端部は、アンビル17の回転方向に弧状となるように突出形成されている。
【0026】
前記制限部40bの厚みは、前記切断刃18における刃先部18aの厚みより大きく、かつ前記シール部材25の長孔25aにおける長手方向(幅方向)に沿って所定長さに亘って挿入した状態で、該シール部材25のアンビル17の回転方向への移動を、所定範囲内に制限し得る寸法に設定されている。シール部材25の回転方向への移動を制限する所定範囲は、長孔25aを挟んで回転方向の前後に位置する前記第2シール面25b,25bと、前記ホーン16の対応する第1シール面23b,23bとのずれ量が、筒状フィルム10を挟持して適正なシール目をエンドシール部に形成し得る許容量以下となるよう設定される。また、組付け治具40の取着部40aを移動部材33の受け部34に嵌め込んでボルト固定した状態で、制限部40bの厚み方向中央が、前記貫通孔28の幅方向の中央に略整列するよう構成される。実施例では、長孔25aにおける延在方向と交差する短手方向の幅が4mmに設定されるのに対し、制限部40bの厚みを3.7~3.8mmに設定して、長孔25aに制限部40bが挿入された状態でのシール部材25の回転方向の前後移動量を、0.15mm以下に制限するよう構成される。すなわち、制限部40bは、長孔25aに挿入した状態で、該長孔25aの内壁との間には極僅かな隙間しかなく、長孔25aに挿入した制限部40bによって、シール部材25におけるアンビル17の回転方向への移動を略規制し得るよう構成されている。なお、組付け治具40は、刃用ボルト35を外して固定を解除することで、本体24の貫通孔28およびシール部材25の長孔25aを通って本体24から径方向に抜き外すことができるよう構成される。
【0027】
次に、実施例に係るエンドシール装置の作用について説明する。
横形製袋充填機において、前記エンドシール装置を挟んでフィルム搬送方向の前後に配置された搬送コンベヤ12および搬出コンベヤ13の上方には、前記支持部材21,21の間に位置する前記ホーン16やアンビル17に対してフィルム搬送方向の前または後から作業者がアクセス可能な空間がある。そこで、前記切断刃18の交換などのメンテナンスを行う場合は、包装機を停止したもとで、前記アンビル17を回転して前記蓋体26の配設側を、該蓋体26に対してエンドシール装置外からアクセス可能なフィルム搬送方向の前側または後側に向ける。アンビル17の前記本体24から支持材32を取り外したもとで、前記蓋体26を本体24に固定している複数の蓋用ボルト27を外し、蓋体26を本体24から取り外す。本体24から蓋体26を取り外すことで、図3図4(a)に示す如く、前記収容室24aの開口24bは外部に開放し、前記切断手段19における切断刃18を移動部材33に固定している刃用ボルト35が開口24bを介して露出する。該刃用ボルト35を外すことで、移動部材33に対する切断刃18の固定は解除されるので、図4(b)に示す如く、切断刃18を、本体24の貫通孔28およびシール部材25の長孔25aを通して本体24から抜き外すことができる。なお、刃用ボルト35を外す際には、アンビル17を、本体24の貫通孔28およびシール部材25の長孔25aが、搬送方向の前後を向く姿勢(切断刃18が長孔25aを出入りする方向が搬送方向と概ね平行となる姿勢)とすることで、切断刃18を長孔25aから落下させることなく抜き外すことができる。これにより、切断刃18の交換や、外部での切断刃18の刃先を研磨することができる。
【0028】
新しい切断刃18や刃先を研磨した切断刃18をアンビル17に組み付ける作業は、取り外し時とは逆の手順で行うことができる。すなわち、切断刃18を、前記取着部18b側から第2シール部材25の長孔25aおよび本体24の貫通孔28に通し、取着部18bを、前記移動部材33の受け部34に嵌め込む。そして、刃用ボルト35で切断刃18を移動部材33に固定した後、前記蓋体26を蓋用ボルト27によって本体24に固定し、前記支持材32を本体24に配設する。移動部材33に対して切断刃18は、受け部34と取着部18bとの嵌合構造によって、取着部18bの通孔18cと移動部材33のネジ孔34aとが整列するように位置決めされるので、刃用ボルト35の固定作業に手間どることなく、移動部材33に対して切断刃18を適正な位置に簡単に固定することができる。
【0029】
実施例のエンドシール装置では、アンビル17の蓋体26を本体24から取り外すだけで、収容室24aに収容されている切断刃18と移動部材33とを固定している刃用ボルト35に外部からアクセスできるので、切断刃18のメンテナンスは非常に容易となり、作業時間を短縮することができる。また、超音波振動によるシール方式では、アンビル17や切断刃18は高温とはならないので、切断刃18のメンテナンスに際し、ヒータ等による加熱シール方式のようにアンビル17や切断刃18が作業に支障を来たさない温度となるまで低下するのを待つ必要はなく、包装機の停止後直ぐにメンテナンスを開始することができ、作業時間をより短縮することができる。また、アンビル17の本体24には、筒状フィルム10を介して物品11を下側から支持可能な支持材32を、前記蓋体26を覆うように配設してあるので、該蓋体26が上向きとなる姿勢となってもエンドシール・切断された製品を下流側に支障なく案内することができる。なお、超音波振動によるシール方式では、超音波振動させるホーン16に切断刃18や支持材32を配設すると、超音波振動に係る不具合が発生する恐れがあるが、実施例では搬送路の下側にアンビル17を配置し、該アンビル17に切断刃18や支持材32を配設しているので、超音波振動に係る不具合を生ずることなく筒状フィルム10の切断および物品11の下流側への案内を良好に行うことができる。
【0030】
次に、前記シール部材25を交換する場合の作用について説明する。
シール部材25を交換する場合は、図5(a)に示す如く、該シール部材25を本体24に固定している複数のシール用ボルト30を外し、シール部材25を本体24から取り外したもとで、前述したように、前記蓋体26を本体24から取り外し、前記切断刃18を移動部材33に固定している刃用ボルト35を開口24bを介して露出させる(図3参照)。刃用ボルト35を外して切断刃18を移動部材33から取り外し、代りに前記組付け治具40を、前記取着部40a側から本体24の貫通孔28に通して、該取着部40aを移動部材33の受け部34に嵌め込んで位置決めしたもとで、刃用ボルト35で取着部40aを受け部34に位置決め固定する(図5(b)参照)。組付け治具40が固定された移動部材33を、前記アンビル17を手動で回転することで前記往復動手段36を介して径方向に移動し、前記制限部40bを本体24の配設面24cから突出させた状態で、前記長孔25aに制限部40bを挿入するようにしてシール部材25を配設面24cに配置する。
【0031】
前記アンビル17を手動で回転し、前記ホーン16のシール部23の凹溝23aと、前記本体24の配設面24cに組付け治具40を介して配置した前記シール部材25の長孔25aとが対向するのに伴って、アンビル17の回転に連動して前記移動部材33が径方向に移動することで、組付け治具40の制限部40bがシール部材25の第2シール面25bから突出する。そして、第2シール面25bから突出する制限部40bの先端部が、シール部23の凹溝23aに挿入された(達した)位置で、前記シール部材25を、前記シール用ボルト30で本体24に位置決め固定する。前記刃用ボルト35を外して移動部材33に対する組付け治具40の固定を解除し、該組付け治具40を、本体24の貫通孔28およびシール部材25の長孔25aを通して本体24から抜き外す。組付け治具40に代えて切断刃18を、取着部18bを介して移動部材33に位置決め固定する(取り付ける)ことで、該切断刃18における、シール部材25の長孔25aおよびホーン16の凹溝23aとの位置関係が適正な状態となる。なお、刃用ボルト35を外す際には、切断刃18を抜き外す場合と同様に、アンビル17を、本体24の貫通孔28およびシール部材25の長孔25aが、搬送方向の前後を向く姿勢とすることで、組付け治具40を長孔25aから落下させることなく抜き外すことができる。
【0032】
実施例のエンドシール装置では、移動部材33に切断刃18を位置決めする受け部34に取着部40aを介して固定した組付け治具40の制限部40bに、長孔25aを挿入するようにしてシール部材25をアンビル17の本体24に固定し得るよう構成したので、組付け治具40を取り外した移動部材33に切断刃18を固定すれば、該切断刃18とシール部材25の長孔25aとを適正な位置関係とすることができ、エンドシール装置の作動時に切断刃18とシール部材25とが接触して損傷するのを防ぐことができる。また、シール部材25の固定位置は、組付け冶具40の制限部40bにシール部材25の長孔25aを挿入するだけで機械的に決まるので、作業者の熟練度などに関係なくシール部材25を適正な位置に精度よく短時間で組み付けることができる。また、組付け治具40の制限部40bを、ホーン16の凹溝23aに挿入した状態で、シール部材25をアンビル17の本体24に固定することで、凹溝23aと切断刃18との位置関係も適正にすることができ、切断刃18とホーン16とが接触して損傷するのも防ぐことができる。更に、凹溝23aおよび長孔25aを挟んで回転方向の前後に位置する第1シール面23bと第2シール面25bとが位置ずれするのも制限でき、筒状フィルム10に適正なエンドシールを施すことができる。
【0033】
前記アンビル17の本体24における配設面24cと、前記シール部材25の底面とを対応する円弧状に形成してあるので、配設面24cに底面を当接するようにシール部材25を本体24に配置するだけで、シール部材25は、アンビル17の回転軸方向に沿うよう簡単に位置決めできる。また、組付け治具40の制限部40bにおける先端部を、アンビル17の回転方向に弧状に形成したので、組付け治具40を移動部材33に固定したまま誤ってエンドシール装置を運転した場合であっても、制限部40bがホーン16に接触するのを防ぐことができる。また、組付け治具40を取り扱う際に、制限部40bの先端部に触れても安全である。
【0034】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) アンビル17に設けるシール部材25は、2つに限らず1つであってもよく、移動部材33に配設する切断刃18の数やホーン16に設けるシール部23の数は、シール部材25の配設数に対応していればよい。
(2) 支持材32は、蓋体26に一体で設ける構成を採用することができ、この構成では、支持材32の蓋用ボルト27に対応する位置に切欠きや通孔を設けたり、支持材32を蓋用ボルト27を外れた位置にのみ設けたりすることで、蓋用ボルト27を外部からアクセス可能な構成とすればよい。
(3) 搬送路の上側にアンビル17を配置すると共に下側にホーン16を配置する構成を採用することができ、この構成ではアンビル17の支持材32を省略することができる。
(4) 切断刃18や蓋体26を固定する固定手段は、ボルト35,27やネジなどの工具を用いて着脱する構成に限らず、工具を用いることなくロック状態とロック解除状態とに切り替え可能な各種のロック機構など、公知の各種手段を採用することができる。
(5) エンドシール装置は、シール体にヒータなどの加熱源を配設した加熱シール方式であってもよい。
(6) 包装材は、合成樹脂製のフィルムに限らず、紙を基材として熱溶着性のフィルムを重ね合わせた複合包装材であってもよい。
(7) 縦形製袋充填機のエンドシール装置として採用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 筒状フィルム(筒状包装材),11 物品,16 ホーン(他方のシール体)
17 アンビル(一方のシール体),18 切断刃,20 振動発生手段
23b 第1シール面(シール面),24a 収容室,24b 開口
25b 第2シール面(シール面),26 蓋体,27 蓋用ボルト(第2の固定手段)
32 支持材,33 移動部材,35 刃用ボルト(第1の固定手段),36 往復動手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6