(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】水分センサ、研磨装置、研磨パッドの水分を測定するための方法
(51)【国際特許分類】
B24B 49/10 20060101AFI20250513BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20250513BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20250513BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20250513BHJP
G01N 27/22 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
B24B49/10
B24B37/10
H01L21/304 622F
G01N27/04 B
G01N27/22 Z
(21)【出願番号】P 2022529093
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(86)【国際出願番号】 FI2020050765
(87)【国際公開番号】W WO2021099682
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-11-07
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】513317138
【氏名又は名称】トゥルク ユリオピスト
【氏名又は名称原語表記】Turun yliopisto
【住所又は居所原語表記】Yliopistonmaki, Turun yliopisto, 20014 Finland
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペルトラ、アルト
(72)【発明者】
【氏名】ペルトラ、タトゥ
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0099545(US,A1)
【文献】特開昭52-050788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0143881(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/10
B24B 37/10
H01L 21/304
G01N 27/04
G01N 27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドと接触する接触面を含む水分センサであって、
互いに電気的に絶縁された第1の電気接触要素と、第2の電気接触要素と、第3の電気接触要素と、を備え、前記電気接触要素は、前記接触面において露出されるよう前記水分センサの内に配置され
、
前記第1の電気接触要素は円柱であり、前記第2の電気接触要素及び前記第3の電気接触要素は、前記第1の電気接触要素の周囲に同心円状に配置された中空円柱であることを特徴とする、水分センサ。
【請求項2】
前記第1の電気接触要素の直径が50mm未満であり、前記第2の電気接触要素及び前記第3の電気接触要素の肉厚が10mm未満であることを特徴とする、請求項
1に記載の水分センサ。
【請求項3】
前記第1の電気接触要素の壁と前記第2の電気接触要素の内壁との間の隙間が10mm未満であり、かつ前記第2の電気接触要素の外壁と前記第3の電気接触要素の内壁との間の隙間が10mm未満であることを特徴とする、請求項
1または請求項2に記載の水分センサ。
【請求項4】
研磨パッドと接触する接触面を含む水分センサであって、
互いに電気的に絶縁された第1の電気接触要素と、第2の電気接触要素と、第3の電気接触要素と、を備え、前記電気接触要素は、前記接触面において露出されるよう前記水分センサの内に配置され、
前記第1の電気接触要素は、前記第2の電気接触要素及び前記第3の電気接触要素が配置される開口を有する平面板であることを特徴とする
、水分センサ。
【請求項5】
研磨パッドと接触する接触面を含む水分センサであって、
互いに電気的に絶縁された第1の電気接触要素と、第2の電気接触要素と、第3の電気接触要素と、を備え、前記電気接触要素は、前記接触面において露出されるよう前記水分センサの内に配置され、
前記第1の電気接触要素と、前記第2の電気接触要素と、前記第3の電気接触要素とは、ロールを形成するためにそれぞれ巻かれた複数の金属シートであり、前記金属シートの各々は電気絶縁シートの間に配置されていることを特徴とする
、水分センサ。
【請求項6】
前記金属シートの厚さが1mm未満であり、前記電気絶縁シートの厚さが1mm未満であることを特徴とする、請求項
5に記載の水分センサ。
【請求項7】
前記水分センサは、前記ロールの周囲に同心円状に配置された中空円柱である第4の電気接触要素と、前記第4の電気接触要素の周囲に同心円状に配置された中空円柱である第5の電気接触要素とを備え、前記第4の電気接触要素及び前記第5の電気接触要素は、互いに電気的に絶縁されていることを特徴とする、請求項
5または請求項6に記載の水分センサ。
【請求項8】
前記接触面が平面であることを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載の水分センサ。
【請求項9】
軸の周りを回転可能な研磨プラテンと、
試料を研磨する研磨台に取り付けられた研磨パッドと、
前記研磨パッドと接触する接触面を含む水分センサであって、互いに電気的に絶縁された第1の電気接触要素と、第2の電気接触要素と、第3の電気接触要素と、を備え、前記電気接触要素は、前記接触面において露出されるよう前記水分センサの内に配置され、前記水分センサの前記接触面が前記研磨パッドの表面に接触して配置されている水分センサと、
前記第1の電気接触要素と前記研磨プラテンとの間の静電容量、及び前記第2の電気接触要素と前記第3の電気接触要素との間の抵抗を測定する手段と、
を備えることを特徴とする、研磨装置。
【請求項10】
軸の周りを回転可能な研磨プラテン
と、
試料を研磨する研磨台に取り付けられた研磨パッドと
、
前記水分センサの前記接触面が前記研磨パッドの表面に接触して配置されている、請求項1~
8のいずれか一項に記載の水分センサと、
前記第1の電気接触要素と前記研磨プラテンとの間の静電容量、及び前記第2の電気接触要素と前記第3の電気接触要素との間の抵抗を測定する手段と、
を備えることを特徴とする、研磨装置。
【請求項11】
前記研磨装置が、前記研磨パッドの複数の位置の間で前記水分センサを移動させる手段を備えることを特徴とする、請求項
9または請求項10に記載の研磨装置。
【請求項12】
前記研磨装置が、前記研磨パッドで測定された静電容量または抵抗の値に基づいて、研磨懸濁液を供給する手段を備えることを特徴とする、請求項
9~11のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項13】
前記研磨装置が、前記水分センサを前記研磨パッドの表面に押圧するための押圧要素を含むことを特徴とする、請求項
9~12のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項14】
研磨プラテンに取り付けられる研磨パッドの水分を測定するための方法であって、
請求項1~
8のいずれか一項に記載の水分センサの前記接触面を前記研磨パッドの表面に接触させて配置し、
前記第1の電気接触要素と前記研磨プラテンとの間の静電容量および/または前記第2の電気接触要素と前記第3の電気接触要素との間の抵抗を測定する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前提部に係る、水分センサ及び研磨パッドの水分を測定するための方法に関する。また、本発明は、水分センサを組み込んだ研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研磨懸濁液は、典型的には、研磨結果を高め、研磨パッドの過熱を防止するために、試料の研磨に使用される。研磨パッドにおける研磨懸濁液の量、すなわち研磨パッドの水分含有量は、研磨プロセスに大きな影響を及ぼす。研磨パッドが濡れすぎている場合、試料と研磨パッドの間の摩擦を非常に小さくできるので、試料はほとんど研磨されない。一方、研磨パッドが乾燥しすぎると、試料と研磨パッドとの間の摩擦が増大するため、試料が著しく劣化する危険性がある。
【0003】
上記に鑑みて、研磨パッドの水分を測定する必要性が存在する。各種の水分センサが知られているが、どれも研磨パッドの水分を容易かつ正確に測定するのに適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主たる目的は、上述した従来技術の問題を軽減または排除することである。
【0005】
本発明の目的は、水分センサを提供することである。より詳細には、本発明の目的は、研磨パッドの水分を容易かつ正確に測定することを可能にする水分センサを提供することである。また、本発明の目的は、研磨工程中に研磨パッドの水分を測定することができる研磨装置を提供することである。本発明の更なる目的は、研磨パッドの水分を容易かつ正確に測定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を実現するために、本発明による水分センサ及び方法は、独立請求項の特徴部に示されているものを特徴とする。本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明による水分センサは、研磨パッドと接触するための接触面と、互いに電気的に絶縁された第1の電気接触要素と、第2の電気接触要素と、および第3の電気接触要素と、を備え、電気接触要素は、それらが接触面で露出するように、水分センサに配置される。
【0008】
本発明による水分センサは、試料を研磨するために使用される研磨パッドの水分を測定するために使用することができる。測定のために、接触面およびその中の電気接触要素は、研磨パッドの表面に接触して配置される。測定は、研磨パッドの水分の関数として変化する物理量を測定することに基づいている。このような物理量は、例えば、研磨パッドが取り付けられた第1の電気接触要素と研磨プラテンとの間の静電容量、すなわち、研磨パッドの対向する側面間の静電容量である。このような別の物理量は、研磨パッドの表面に接触しているとき、第2の電気接触要素と第3の電気接触要素との間の(電気)抵抗である。
【0009】
接触面は、電気接触要素が研磨パッドの表面に容易に接触して配置できるように、平面であることが好ましい。好ましくは、接触面も円形であり、これにより、水分センサが研磨パッドの表面上を滑らかに摺動できるようになる。平面および円形接触面の直径は、例えば、10~50mmまたは15~25mmであり得る。水分センサの寸法決定は、例えば、研磨パッドの直径、研磨パッドの材料、研磨パッドの構造、使用される研磨懸濁液の組成、研磨された試料の特徴、必要とされる測定精度及び/又は必要とされる測定範囲に依存し得る。研磨パッドの表面が粗いか凹凸である場合、わずかに凸状の接触面を有することが有益である。
【0010】
電気接触要素、すなわち電極は、研磨パッドの電気的特性を測定することができる電気経路を提供する。電気接触要素は、異なる形状およびサイズを有することができる。電気接触要素は、導電性材料で作られており、導電性材料は、好ましくは耐摩耗性および耐腐食性でもある。電気接触要素の好ましい材料は、例えば、鋼及び金-白金合金である。電気接触素子は、短絡を防止するために互いに電気的に絶縁されている。
【0011】
水分センサは、ハウジングを備えることができ、ハウジングの内部には、電気接触要素が配置される。ハウジングは、耐摩耗耐食性セラミック又は金属、又は他の適当な材料で作ることができる。ハウジングは、エポキシ樹脂のような電気絶縁材料で充填することができ、又は電気絶縁は、電気接触要素を互いに電気的に絶縁する立方晶窒化ホウ素(CBN)又は炭化ホウ素(B4C)のような耐摩耗性セラミックから作ることができる。ハウジングは、中空円柱であってもよく、その端部は、接触面として機能する。中空円柱の直径は、例えば、10~50mmまたは15~25mmとすることができ、中空円柱の高さは、例えば、10~20mm、5~10mmまたは1~5mmとすることができる。
【0012】
水分センサは、ワイヤ、ケーブル又はカーボンブラシのような電気接触を有する測定器に電気的に接触することができる。測定器は、研磨パッドが取り付けられた第1の電気接触要素と研磨プラテンとの間の静電容量、及び/又は、研磨パッドの表面に接触しているときの第2の電気接触要素と第3の電気接触要素との間の抵抗を測定するように構成することができる。静電容量と抵抗の値は研磨パッドの水分に依存する。研磨パッドが濡れると、静電容量が大きくなり、抵抗が小さくなる。
【0013】
本発明による水分センサの利点は、研磨パッドの水分を容易かつ正確に測定できることである。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、第1の電気接触要素は円柱であり、第2の電気接触要素及び第3の電気接触要素は、第1の電気接触要素の周囲に同心円状に配置された中空円柱である。第3の電気接触要素は、第2の電気接触要素の周囲に配置される。電気接触要素は、それらの軸が接触面の平面に対して垂直になるように、水分センサ内に配置される。第1の電気接触要素は、丸いロッドから部分を切断することによって作ることができる。第2の電気接触要素及び第3の電気接触要素は、異なる直径を有するパイプから切片を切断することによって作製することができる。この実施形態による水分センサは、電気接触要素がエポキシ樹脂のような電気絶縁材料に埋め込まれるようにして作ることができる。硬化材料は、電気接触要素を互いに電気的に絶縁し、電気接触要素の支持構造としても機能する。水分センサは、中空円柱のようなハウジングを備えることができ、該ハウジングの内部には、電気接触要素が配置される。本実施形態による水分センサの利点は、安価で製造が容易であることである。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、第1の電気接触要素の直径は50mm未満であり、第2の電気接触要素及び第3の電気接触要素の肉厚は10mm未満である。第1の電気接触要素の直径は、35mm未満であることが好ましく、20mm未満であることがより好ましい。前記第2の電気接触要素及び前記第3の電気接触要素の肉厚は5mm未満であるのが好ましく、2mm未満であるのがより好ましい。これらの尺度を使用する利点は、水分センサが良好な測定感度および精度を提供することである。電気接触要素の高さは、例えば、5~20mmとすることができる。水分センサは使用中に摩耗するため、センサの高さを上げると、より長い作業寿命が得られる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、第1の電気接触要素の壁と第2の電気接触要素の内壁との間の間隙は10mm未満であり、第2の電気接触要素の外壁と第3の電気接触要素の内壁との間の間隙は10mm未満である。前記第1の電気接触要素の壁と前記第2の電気接触要素の内壁との間の間隙は5mm未満であるのが好ましく、2mm未満であるのがより好ましい。前記第2の電気接触要素の外壁と前記第3の電気接触要素の内壁との間の間隙は5mm未満であるのが好ましく、2mm未満であるのがより好ましい。これらの尺度を使用する利点は、水分センサが良好な測定感度を提供することである。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、第1の電気接触要素は、第2の電気接触要素及び第3の電気接触要素が配置される開口を有する平面板である。平面板は、平面板の片側が接触面で露出し、平面板の平面が接触面の平面と平行になるように、水分センサ内に配置される。平面板は円形であり、15~50mmの直径を有することができる。平面プレートの開口は円形であり、5~20mmの直径を有することができる。平面板の厚さは、5~20mmとすることができる。この実施形態では、第2の電気接触要素及び第3の電気接触要素は、平面プレートに触れることなく開口内に適合するという条件で、異なる形状及びサイズを有することができる。第2の電気接触要素および第3の電気接触要素は、例えば、円柱であってもよい。この実施形態による水分センサは、電気接触要素がエポキシ樹脂のような電気絶縁材料に埋め込まれるようにして作ることができる。硬化材料は、電気接触要素を互いに電気的に絶縁し、電気接触要素の支持構造としても機能する。水分センサは、中空円柱のようなハウジングを備えることができ、該ハウジングの内部には、電気接触要素が配置される。本実施形態による水分センサの利点は、機械的に強く、安価で製造が容易であることである。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の電気接触要素は、前記第2の電気接触要素と前記第3の電気接触要素とが互いに金属シートを巻回してロールを形成し、それぞれの前記金属シートが電気絶縁シート間に配置されることを特徴とする。好ましくは、ロールにはエポキシ樹脂が含浸されている。硬化したエポキシ樹脂は、電気接触要素を互いに電気的に絶縁し、電気接触要素の支持構造としても機能する。ロールは、ロールの一端が接触面で露出するように、水分センサに配置される。ロールの軸は接触面の平面に垂直である。金属シートは、例えば、アルミニウム、鋼、銅又は白金-金合金で作ることができる。電気絶縁シートは、例えば、ガラス繊維、布又は紙で作ることができる。本実施形態による水分センサの利点は、製造が容易かつ安価であることである。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、金属シートの厚さは1mm未満であり、電気絶縁シートの厚さは1mm未満である。好ましくは、金属シートの厚さは0.1mm未満であり、電気絶縁シートの厚さは0.1mm未満である。これらの尺度を使用する利点は、水分センサが良好な測定感度を提供することである。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、水分センサは、ロールの周囲に同心円状に配置された中空円柱である第4の電気接触要素と、第4の電気接触要素の周囲に同心円状に配置された中空円柱である第5の電気接触要素とを備え、第4の電気接触要素及び第5の電気接触要素は、互いに電気的に絶縁されている。測定器を使用して、研磨パッドの表面に接触しているときに、第4の電気接触要素と第5の電気接触要素との間の抵抗を測定することができる。第4の電気接触要素及び第5の電気接触要素は、それらの軸が接触面の平面に対して垂直になるように、水分センサに配置される。第4の電気接触要素および第5の電気接触要素は、異なる直径を有するパイプからセクションを切断することによって作製することができる。第4の電気接触要素および第5の電気接触要素は、エポキシ樹脂などの電気絶縁材料に埋め込むことができる。硬化材料は、第4及び第5の電気接触要素を互いに電気的に絶縁し、支持構造としても機能する。第4の電気接触要素及び第5の電気接触要素の肉厚は、10mm未満、好ましくは5mm未満及びより好ましくは2mm未満とすることができる。第4の電気接触要素の外壁と第5の電気接触要素の内壁との間の間隙は、10mm未満、好ましくは5mm未満及びより好ましくは2mm未満とすることができる。本実施形態による水分センサの利点は、異なる寸法の異なるセットの電気接触要素で、研磨パッドの抵抗および静電容量を同時に測定することができることである。これにより、試料、研磨パッド、研磨懸濁液のさまざまな組み合わせに最適な水分モニタリング方法を選択することができる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、接触面は平面である。平面接触面の利点は、研磨パッドの表面と接触する電気接触要素を容易に配置することを可能にすることである。
【0022】
また、本発明は、研磨装置に関する。本発明による研磨装置は、軸を中心に回転可能な研磨プラテンと、試料を研磨するために前記研磨プラテンに取り付けられた研磨パッドと、本発明による水分センサと、前記水分センサの前記接触面が前記研磨パッドの表面に接触するように配置されていることと、前記第1の電気接触要素と前記研磨プラテンとの間の静電容量および前記第2の電気接触要素と前記第3の電気接触要素との間の抵抗を測定する手段と、を備える。
【0023】
本発明による研磨装置は、天然(例えば、岩石、鉱物、鉱石またはいん石)の片、または人工(例えば、金属、コンクリート、セラミック、複合材料または半導体)材料のような固体材料の試料(すなわち、物体)を研磨するために使用することができる。研磨される試料は、試料ホルダで研磨パッドの表面に対して保持することができる。試料ホルダは、研磨パッドに対して1つ以上の試料を保持するように構成することができる。試料ホルダは、例えば、試料がクランプによって固定される1つまたは複数のインサートを含むことができる。試料ホルダは、調整可能な押圧力で試料を研磨パッドに押圧する研磨ヘッドに取り付けることができる。
【0024】
研磨パッドは、繊維状の布(例えば、リアルシルク、ポリエステル又はアセテート)又は合成非繊維状(例えば、ネオプレン、ポリウレタン又は複合材料)材料のような異なる材料で作ることができる。研磨パッドは、円盤形状、すなわち平坦な円形状を有することが好ましい。研磨パッドは、好ましくは多孔質であり、研磨懸濁液を吸収することを可能にする。研磨パッドの直径は、例えば、500mm未満、好ましくは200~400mmとすることができる。研磨パッドの厚さは、例えば、5.0mm未満、好ましくは0.5~3.5mm、より好ましくは1.0~3.0mmとすることができる。
【0025】
研磨パッドは、好ましくは取り外し可能に、回転可能な研磨プラテンの表面に取り付けられる。研磨プラテンが回転すると、研磨パッドは、その表面に対して配置された試料を研磨する。研磨プラテンは、アルミニウム、青銅又はステンレス鋼のような熱伝導性及び耐食性材料、又はプラスチック、ポリマー又は複合材料で作ることができる。研磨プラテンは、その表面に電気絶縁された電気接触要素(例えば、オーステナイト系ステンレス鋼からなり、約0.5mmの厚さを有するシート)を備えることができ、その表面には、測定器の電気接触要素(例えば、カーボンブラシ)を電気的に接続することができる。研磨プラテンは円盤状で熱伝導性であることが好ましい。研磨プラテンの直径は、例えば、500mm未満、好ましくは200~400mmとすることができる。好ましくは、研磨プラテンと研磨パッドの直径は、本質的に同じである。研磨プラテンの厚さは、例えば、20~50mmとすることができる。研磨プラテンの最適な厚さは、研磨プラテンの直径と材質によって異なる。
【0026】
研磨装置は、研磨プラテンを回転させるための電動モータのようなアクチュエータを備えることができる。アクチュエータは、例えば、0~600rpmの回転速度で研磨プラテンを回転させるように構成することができる。アクチュエータによって引き起こされる可能性のある干渉を低減するために、研磨プラテンとアクチュエータの間に電気絶縁層を追加することが有益である場合がある。
【0027】
研磨プラテンの他に、試料ホルダも回転可能である。試料ホルダは、研磨プラテンの回転軸に平行な軸を中心に回転可能である。研磨装置は、試料ホルダを回転させるための電動モータのようなアクチュエータを備えることができる。アクチュエータは、例えば、0~150rpmの回転速度で試料ホルダを回転させるように構成することができる。
【0028】
本発明による研磨装置では、水分センサの電気接触要素は、研磨パッドの表面に接触して配置される。研磨パッドの水分は、第1の電気接触要素と研磨プラテンとの間の静電容量、または第2の電気接触要素と第3の電気接触要素との間の抵抗を測定することによって決定される。静電容量及び抵抗を測定するための手段は、ワイヤ、ケーブル又はカーボンブラシのような電気的接続部と、水分センサの電気接触要素及び研磨プラテンに電気的に接触される測定器を備えることができる。研磨プラテンは、その表面上に電気接触要素を備えることができ、その電気接触要素には、測定器が電気的に接続される。測定器は、第1の電気接触要素と研磨プラテンとの間の静電容量(すなわち、研磨パッドの反対側の間の静電容量)と、第2の電気接触要素と第3の電気接触要素との間の抵抗とを測定することができる。静電容量と抵抗の値は研磨パッドの水分に依存する。研磨パッドが濡れると、静電容量が大きくなり、抵抗が小さくなる。
【0029】
本発明による研磨装置の利点は、研磨パッドの水分を、研磨プロセス中に容易かつ正確に測定できることである。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、研磨装置は、水分センサを研磨パッド上の複数の位置の間で移動させる手段を備える。水分センサを移動させる手段は、水分センサを研磨パッドの表面に沿って移動させるように構成される。水分センサを移動させるための手段は、研磨パッドの上方に配置されたアームと、アームに沿って水分センサを移動させるためのアクチュエータとを備えることができる。アームは、直線状であることが好ましく、その長手方向軸は、研磨パッドの平面に平行に配置される。アームは、好ましくは、研磨パッドの中心部から周囲に延びるように、研磨パッドの上方に配置される。これにより、研磨プラテンを回転させると、水分センサを研磨パッド上の可能なすべての位置に移動させることが可能になる。アクチュエータは電動モータとすることができる。水分センサを移動させる手段は、水分センサを研磨パッドに対して保持するように構成された試料ホルダとすることができる。試料ホルダは、例えば、水分センサが自由に動くことができるか、またはクランプによって固定されるインサートを備えることができる。水分センサは、測定器および/またはスプレーノズルを制御する制御ユニットのような遠隔装置と通信するための無線送信器またはトランシーバを含んでもよい。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、研磨装置は、測定された静電容量または抵抗の値に基づいて、研磨パッド上に研磨懸濁液を供給する手段を備える。研磨懸濁液は、研磨作用を強化し、研磨プロセス中の過熱を防止する。研磨懸濁液には、水および/または研磨パッドを湿らせ、冷却し、潤滑するためのアルコール(例えば、エタノール、グリコールまたはイソプロピルアルコール)のような他の適切な液体が含まれる。研磨懸濁液はまた、試料の表面を研磨するために、ダイヤモンド、酸化アルミニウムまたはコロイダルシリカのような研磨粒子を含んでもよい。典型的には、研磨懸濁液(すなわち、スラリーまたは流体)は、液体(複数可)と研磨剤(複数可)の混合物である。研磨懸濁液を供給するための手段は、例えば、前記位置において、抵抗の値が第1の閾値より大きい場合、または前記位置において、静電容量の値が第2の閾値より小さい場合、研磨パッド上の位置に研磨懸濁液を供給するように構成されてもよい。
【0032】
研磨懸濁液を供給するための手段は、研磨パッドの上方に配置されたスプレーノズルと、研磨パッド上の複数の位置の間でスプレーノズルを移動させるための手段とを備えることができる。スプレーノズルを移動させるための手段は、研磨パッドの上方に配置されたアームと、スプレーノズルをアームに沿って移動させるためのアクチュエータとを備えることができる。アームは、直線状であることが好ましく、その長手方向軸は、研磨パッドの平面に平行に配置される。アームは、好ましくは、研磨パッドの中心部から周囲に延びるように、研磨パッドの上方に配置される。これにより、研磨プラテンを回転させると、スプレーノズルを研磨パッド上の可能なすべての位置に移動させることができる。アクチュエータは電動モータとすることができる。スプレーノズルを移動させる手段は、スプレーノズルが取り付けられている試料ホルダとすることができる。
【0033】
研磨懸濁液を供給するための手段は、研磨懸濁液のための容器を含んでもよい。容器は、スプレーノズルにフレキシブルホースで接続することができる。
【0034】
研磨懸濁液を供給するための手段は、スプレーノズル及びアクチュエータを制御するための制御ユニットを備えることができる。制御ユニットは、プロセッサと、コンピュータプログラムコードを含むメモリとを備えることができ、メモリと、コンピュータプログラムコードとは、プロセッサと共に、噴霧ノズルに研磨パッド上の複数の位置に適切な量の研磨懸濁液を供給させるように構成される。各位置に供給される研磨懸濁液の量は、測定された静電容量または抵抗の値に基づいて決定することができる。測定された静電容量または抵抗の値は、供給される研磨懸濁液の量を決定するために、所定の基準値またはプロファイルと比較することができる。あらかじめ定義された基準値またはプロファイルは、研磨パッドの所望の水分レベルに対応する。研磨パッド上のそれぞれの位置に分注される研磨懸濁液の量は、例えば、5μl/cm2未満、2μl/cm2未満または0.5-2μl/cm2とすることができる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、研磨装置は、水分センサを研磨パッドの表面に押圧するための押圧要素を備える。押圧要素は、センサを、適当な押圧力で研磨パッドの表面に接触させ続けることを可能にする。押圧要素の押圧力は調整可能である。押圧要素は、例えば、ばねとすることができる。押圧要素は、空気圧、重力、又は適当な押圧力を発生させる際に磁気力又は電磁力を利用することができる。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、研磨装置は、研磨プラテンを冷却する手段を備える。研磨プラテンの底面側に水を噴霧することにより、研磨プラテンを冷却することができる。研磨装置は、冷却水の霧が研磨パッド上に逃げるのを防止するスプラッシュガードを備えることができる。スプラッシュガードは、例えばプラスチックで作ることができる。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、研磨装置は、研磨パッドから研磨懸濁液を蒸発させる手段を備える。研磨懸濁液は、圧縮空気の流れと共に蒸発させて、研磨パッド上の所望の位置にすることができる。
【0038】
また、本発明は、研磨プラテンに取り付けられた研磨パッドの水分を測定する方法に関する。本発明による方法は、本発明による水分センサの接触面を研磨パッドの表面に接触させて配置するステップと、第1の電気接触要素と研磨プラテンとの間の静電容量および/または第2の電気接触要素と第3の電気接触要素との間の抵抗を測定するステップとを含む。
【0039】
本発明による方法の利点は、研磨パッドの水分を容易かつ正確に測定できることである。
【0040】
本文において提示された本発明の例示的実施形態は、特許請求範囲の適用性に限定を与えるものと解釈されない。「構成すべき」という動詞は、同じく引用されていない特徴の存在を除外しないオープンな制限として、この文中で使用される。従属クレームに記載された特徴は、特に明示的に記載されていない限り、相互に自由に組み合わせ可能である。
【0041】
本文で提示される例示的な実施形態およびそれらの利点は、これが必ずしも別個に言及されるとは限らないが、水分センサ、研磨装置、ならびに本発明による方法に適用可能な部品によって関連する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の第1の実施の形態による水分センサを示す。
【
図2】本発明の第2の実施の形態による水分センサを示す。
【
図3】本発明の第3の実施の形態による水分センサを示す。
【
図4】本発明の第4の実施の形態による水分センサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図面において、同じ参照符号は、異なる実施形態において同じ又は同様の構成要素で使用される。
【0044】
図1は、(
図1には示されていない)研磨パッドの水分を測定するための、本発明の第1の実施形態による水分センサを示す。水分センサ100は、電気接触要素101、102及び103を備え、これらは、水分センサ100の接触面105で露出するように円柱ハウジング104内に配置される。電気接触要素101、102及び103は、互いに電気的に絶縁されており、これらは、研磨パッドの電気特性を測定することができる電気経路を提供する。測定のために、接触面105および電気接触要素101、102および103は、研磨パッドの表面と接触して配置される。測定は、研磨パッドの水分の関数として変化する物理量を測定することに基づいている。
【0045】
水分センサ100は、電気接触要素101、102及び103を
図1には示されていない)測定器(に電気的に接続するためのマルチワイヤケーブル106を備えている。測定器は、研磨パッドが取り付けられた電気接触要素101と研磨プラテン(
図1には図示せず)との間の静電容量、及び/又は、研磨パッドの表面に接触しているときの電気接触要素102と103との間の抵抗を測定するように構成することができる。
【0046】
図1では、電気接触要素101は円柱であり、電気接触要素102及び103は中空円柱である。電気接触要素102及び103は、電気接触要素101の周囲に同心円状に配置される。電気接触要素101、102及び103は、それらの軸が接触面105の平面に対して垂直になるように、水分センサ100内に配置される。
【0047】
図2は、(
図2には示されていない)研磨パッドの水分を測定するための、本発明の第2の実施形態による水分センサを示す。
図2の水分センサは、電気接触要素101、102および103が異なる点で、
図1の水分センサとは異なる。図では。2, 電気接触要素101は、円形平面板であり、この平面板は、電気接触要素102及び103が配置された円形の開口を有する。電気接触要素101は、円形平面板の片側が接触面105で露出し、円形平面板の平面が接触面105の平面と平行になるように、水分センサ100内に配置される。電気接触要素102及び103は円柱である。
【0048】
図3は、(
図3には示されていない)研磨パッドの水分を測定するための、本発明の第3の実施形態による水分センサを示す。
図3の水分センサは、電気接触要素101、102及び103が異なる点で、
図1の水分センサとは異なる。図では。3, 電気接触要素101、102および103は、ロールを形成するために互いに金属シートが巻かれ、ここで、各金属シートは(
図3には示されていない)電気絶縁シートの間に配置される。ロールは、ロールの一端が接触面105で露出するように、水分センサ100に配置される。ロールの軸は、接触面105の平面に垂直である。
【0049】
図4は、(
図4には示されていない)研磨パッドの水分を測定するための、本発明の第4の実施形態による水分センサを示す。
図4の水分センサは、
図3の水分センサとは異なり、水分センサ100は、2つのさらなる電気接触要素401および402をさらに含む。電気接触要素401は、ロールの周囲に同心円状に配置された中空円柱である。電気接触要素402は、電気接触要素401の周囲に同心円状に配置された中空円柱である。電気接触要素401及び402は、互いに電気的に絶縁されている。(
図4には示されていない)測定器は、それらが研磨パッドの表面に接触しているときに、電気接触要素401と402との間の抵抗を測定するように構成することができる。電気接触要素401及び402は、それらの軸が接触面105の平面に対して垂直になるように、水分センサ100に配置される。
【0050】
図5は、本発明の一実施形態による研磨装置を示す。研磨装置は、アクチュエータ502を備えた軸を中心に回転させることができる研磨プラテン501を備える。研磨パッド503が研磨プラテン501に取り付けられている。研磨パッド503は、試料ホルダ505で研磨パッド503に対して保持される試料504を研磨するために使用される。試料ホルダ505は、アクチュエータ506と共に、研磨プラテン501の回転軸に平行な軸を中心に回転させることができる。研磨プラテン501および試料ホルダ505が回転されると、研磨パッド503が試料504を研磨する。
【0051】
研磨装置は、研磨パッド503の水分を検出するための、
図1による水分センサを備える。水分センサ100は、電気接触要素101、102、及び103を含み、これらは研磨パッド503の表面と接触して配置されている。電気接触要素101、102及び103は、マルチワイヤケーブル106を介して測定器507に電気的に接続される。測定器507は、電気接触要素102と103との間の抵抗、および電気接触要素101と研磨プラテン501との間の、すなわち研磨パッド503の対向する側面の間の静電容量を測定することができる。電気接触要素102と103との間の抵抗、および電気接触要素101と研磨プラテン501との間の静電容量は、研磨パッド503上の測定位置における水分を示す。
【0052】
水分センサ100は、研磨パッド503の上方に位置するアーム509にロッド508で取り付けられる。アーム509は、中央から研磨パッド503の周囲まで延びている。水分センサ100は、アーム509に沿ってアクチュエータ510と共に移動させることができ、したがって、研磨パッド503上の異なる位置の間で水分センサ100を移動させることができる。ロッド508には、水分センサ100を研磨パッド503の表面に押し付けるためのバネ511が設けられている。ばね511は、電気接触要素101、102および103を、研磨パッド503の表面に適切な押圧力で接触させ続けることを可能にする。
【0053】
研磨装置は、研磨パッド503上に研磨懸濁液を供給するためのスプレーノズル512を備える。スプレーノズル512は、研磨パッド503の上方に位置するアーム513に取り付けられる。アーム513は、中央から研磨パッド503の周囲に延びている。スプレーノズル512は、アーム513に沿ってアクチュエータ514と共に移動することができ、したがって、研磨パッド503の上方の異なる位置の間でスプレーノズル512を移動させることができる。
【0054】
研磨懸濁液は容器515に収容され、そこからフレキシブルホース516を通して研磨パッド503上に供給されるスプレーノズル512に搬送される。研磨装置は、研磨懸濁液の供給を制御するための制御ユニット517を備える。制御ユニット517は、研磨パッド503上の所望の位置に適量の研磨懸濁液を供給するようにスプレーノズル512を制御する。各位置に供給される研磨懸濁液の量は、決定された水分または各位置の摩擦に基づいて決定される。
【0055】
図には、本発明の有利な例示的実施形態のみが記載されている。発明が上記に提示された例のみに限定されるものではないことは当業者にとって明らかであるが、発明は、以後提示されるクレームの限界内で変化する可能性がある。本発明のいくつかの可能な実施形態は従属クレームに記載されており、それらはそのような発明の保護の範囲を制限するものとは考えられない。