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特許7680078抗ヒトインターフェロンα受容体1モノクローナル抗体及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】抗ヒトインターフェロンα受容体1モノクローナル抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20250513BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250513BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250513BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20250513BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20250513BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20250513BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20250513BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N5/10
C12N1/21
C12N1/19
C12N1/15
C12P21/08
A61P43/00 111
A61P37/02
A61P3/10
A61P1/04
A61P25/00
A61P17/06
A61P5/14
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P13/12
A61P31/18
A61P37/06
A61K39/395 N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023573257
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 CN2021114951
(87)【国際公開番号】W WO2022247030
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】202110586032.4
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520451681
【氏名又は名称】江蘇▲筌▼信生物医薬股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】QYUNS THERAPEUTICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1310,Building 1,No.907 Yaocheng Avenue,Taizhou,Jiangsu,225300,China
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】裘 霽宛
(72)【発明者】
【氏名】孔 永
(72)【発明者】
【氏名】陳 衛
(72)【発明者】
【氏名】喬 懷耀
(72)【発明者】
【氏名】裘 之華
(72)【発明者】
【氏名】呉 亦亮
(72)【発明者】
【氏名】陳 濤
(72)【発明者】
【氏名】呉 美娟
【審査官】吉門 沙央里
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/023976(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/010140(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/057541(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/156474(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/100309(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つの重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3)と3つの軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3)を含む、単離された抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)モノクローナル抗体であって、
(a)前記CDR-H1のアミノ酸配列は配列番号1に示され;
(b)前記CDR-H2のアミノ酸配列は配列番号2に示され;
(c)前記CDR-H3のアミノ酸配列は配列番号3に示され;
(d)前記CDR-L1のアミノ酸配列は配列番号4に示され;
(e)前記CDR-L2のアミノ酸配列は配列番号5に示され;及び
(f)前記CDR-L3のアミノ酸配列は配列番号6に示される、モノクローナル抗体。
【請求項2】
重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号7に示され、且つ
前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号8に示される、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモノクローナル抗体をコードする、単離された核酸。
【請求項4】
請求項3に記載の核酸を含む、宿主細胞。
【請求項5】
請求項4に記載の宿主細胞を培養して請求項1または2に記載のモノクローナル抗体を産生することを含む、モノクローナル抗体を産生する方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載のモノクローナル抗体及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項7】
インターフェロン媒介シグナル伝達に関連する疾患の治療に使用される医薬組成物であって、
前記インターフェロン媒介シグナル伝達に関連する疾患は、全身性エリテマトーデス、インスリン依存性糖尿病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、自己免疫性甲状腺炎、関節リウマチ、糸球体腎炎、HIV感染症、AIDS、移植拒絶反応及び/または移植片対宿主病である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
インターフェロン媒介シグナル伝達に関連する疾患を治療するための薬剤の調製における使用であって、
前記インターフェロン媒介シグナル伝達に関連する疾患は、全身性エリテマトーデス、インスリン依存性糖尿病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、自己免疫性甲状腺炎、関節リウマチ、糸球体腎炎、HIV感染症、AIDS、移植拒絶反応及び/または移植片対宿主病から選択されるものである、
請求項1または2に記載のモノクローナル抗体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体医薬の分野に関する。具体的には、本発明は、ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)に対するモノクローナル抗体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
I型インターフェロン(IFN)(IFNα、IFNβ、IFNω、IFNτ)は、抗ウイルス、抗腫瘍、及び免疫調節作用を持つ、構造的に関連したサイトカインのファミリーである(Hardy et al., Blood.97:473,2001;Cutrone and Langer,J.Biol.Chem.276:17140,2001)。ヒトIFNα遺伝子座には2つのサブファミリーが含まれる。1つ目のサブファミリーは、14個の非対立遺伝子と、少なくとも80%の相同性を持つ4個の偽遺伝子とで構成される。2つ目のサブファミリー(αIIまたはω)は、5つの偽遺伝子と1つの機能的遺伝子とを含み、IFNα遺伝子と70%の相同性を示す(Weissmann & Weber,Prog.Nucl.Acid Res.Mol.Biol.,33:251-300,1986)。IFNαのサブタイプは異なる比活性を持っているが、同じ生活域(biochore)を共有し(Streuli et al.,PNAS-USA 78:2848,1981)、同じ細胞受容体を持っている(Agnet M.et al.,「Interferon 5」、1st Edition,Gresser,p.1-22、Academic Press,London,1983)。
【0003】
βインターフェロン(IFNβ)は、IFNαと約50%の相同性を持つ単一遺伝子によってコードされている。
【0004】
すべてのI型インターフェロンは、2つの膜貫通タンパク質IFNAR1とIFNAR2とからなる細胞表面受容体(IFNα受容体、IFNAR)に結合している。IFNAR1は、IFNAR複合体の特異性の違いだけでなく、高親和性結合にも必要であることが文献で報告されている(Cutrone & Langer,J.Biol.Chem.276:17140、2001)。さまざまなI型インターフェロンサブタイプの機能的差異はまだ解明されていないが、それぞれがIFNAR受容体の異なる部分と相互作用し、潜在的に多様なシグナル伝達結果をもたらす可能性があると考えられている(Cook et al.(1996).J.Biol.Chem.271:13448)。特に、IFNAR1とIFNAR2の変異型を使用した研究は、αインターフェロンとβインターフェロンが、対応する鎖と異なる相互作用をすることにより、受容体を介して異なるシグナル伝達を行うことを示唆している(Lewerenz et al.(1998)J.Mol.Biol.282:585)。
【0005】
I型インターフェロンの初期の機能研究は、ウイルス感染に対する先天性防御に焦点を当てていた(Haller et al.,(1981)J.Exp.Med.154:199;Lindenmann et al.,(1981)Methods Enzymol.78:181)。しかし、最近の研究では、I型インターフェロンが適応免疫応答における強力な免疫調節サイトカインであることが示唆されている。特に、I型インターフェロンは、Th1経路に沿ったナイーブT細胞の分化を促進して(Brinkmann et al.,(1993)J.Exp.Med.178:1655)抗体産生を促進し(Finkelman et al.,(1991)J.Exp.Med.174:1179)、メモリーT細胞の機能活性と生存をサポートすることが示されている(Santini et al.,(2000)J.Exp.Med.191:1777;Tough et al.,(1996)Science 272:1947)。
【0006】
多くの研究は、IFNαが樹状細胞(DC)の成熟または活性化を促進できることを示唆している(Santini,et al.,(2000)J.Exp.Med.191:1777;Luft et al.,(1988)J.Immunol.,161:1947;Luft et al.,(2002)Int.Immunol.,14:367;Radvanyi et al.,(1999)Scand.J.Immunol.,50:499)。さらに、I型インターフェロン発現の増加は、多くの自己免疫疾患で報告されている(Foulis et al.,(1987)Lancet,2:1423;Hooks et al.,(1982)Arthritis Rheum 25:396;Hertzog et al.,(1988)Clin.Immunol.immunopathol.48:192;Hopkins and Meager(1988)Clin.Exp.Immunol.73:88;Arvin and Miller(1984)Arthritis Rheum.27:582)。この最も研究されている例としては、どちらもIFNαレベルの上昇と関連しているインスリン依存性糖尿病(IDDM)(Foulis(1987),supra)及び全身性エリテマトーデス(SLE)(Hooks(1982),supra)であり、ならびに関節リウマチ(RA)(Hertzog(1988),Hopkins and Meager(1988),Arvin and Miller(1984),supra)が挙げられ、この疾患において、IFNβがより重要な役割を果たす可能性がある。
【0007】
インターフェロンαの投与は、乾癬及び多発性硬化症患者の疾患を悪化させ、自己免疫疾患の既往歴のない患者ではSLE様症候群を誘発したことが報告されている。インターフェロンαは、正常なマウスでは糸球体腎炎を誘発し、NZB/Wマウスでは自然発生的な自己免疫疾患の発症を促進することも示されている。さらに、IFNα治療は、場合によっては発熱や神経障害などの望ましくない副作用を引き起こすことが示されている。したがって、I型インターフェロン活性を阻害することが患者にとって有益となり得る病態があり、I型インターフェロン活性を効果的に阻害する薬剤が必要とされている。
【0008】
アストラゼネカ社が開発したIFNAR1を標的とするモノクローナル抗体薬であるアニフロルマブは、全身性エリテマトーデス(臨床第III相)やループス腎炎(臨床第II相)などの疾患の治療に使用することを目的としている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、新しい抗ヒトインターフェロンα受容体1のモノクローナル抗体、当該モノクローナル抗体を含む医薬組成物、及び当該モノクローナル抗体の製薬用途を提供することを目的とする。
【0010】
すなわち、本発明は下記を含む。
【0011】
1.3つの重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3)と、3つの軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3)とを含む、単離された抗ヒトインターフェロンα受容体1モノクローナル抗体であって、
(a)前記CDR-H1(本明細書では、CDR-H1は重鎖CDR1を表す)のアミノ酸配列は配列番号1(SYYMT)に示され;
(b)前記CDR-H2(本明細書では、CDR-H2は重鎖CDR2を表す)のアミノ酸配列は配列番号2(VINVYGGTYYASWAKG)に示され;
(c)前記CDR-H3(本明細書では、CDR-H3は重鎖CDR3を表す)のアミノ酸配列は配列番号3(EDVAVYMAIDL)に示され;
(d)前記CDR-L1(本明細書では、CDR-L1は軽鎖CDR1を表す)のアミノ酸配列は配列番号4(QASQSISNQLS)に示され;
(e)前記CDR-L2(本明細書では、CDR-L2は軽鎖CDR2を表す)のアミノ酸配列は配列番号5(DASSLAS)に示され;及び
(f)前記CDR-L3(本明細書では、CDR-L3は軽鎖CDR3を表す)のアミノ酸配列は配列番号6(LGIYGDGADDGIA)に示される、前記モノクローナル抗体。
【0012】
2.重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号7に示され、そのアミノ酸配列はEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSLSSYYMTWVRQAPGKGLEWVSVINVYGGTYYASWAKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAREDVAVYMAIDLWGQGTLVTVSSであり、且つ
前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号8に示され、そのアミノ酸配列はAIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQSISNQLSWYQQKPGKAPKLLIYDASSLASGVPSRFSGSRSGTKFTLTISSLQPEDFATYYCLGIYGDGADDGIAFGGGTKVEIKである、項1に記載のモノクローナル抗体。
【0013】
3.前記いずれか一項に記載のモノクローナル抗体をコードする、単離された核酸。
【0014】
4.項3に記載の核酸を含む、宿主細胞。
【0015】
前記核酸はベクター上に存在することができる。ベクターは、任意のタイプ、例えば、発現ベクターなどの組換えベクターであってもよい。複数の宿主細胞のいずれかを使用できる。一実施形態では、宿主細胞は、原核細胞、例えば、大腸菌(E.coli)である。別の実施形態では、宿主細胞は真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞である。
【0016】
5.項4に記載の宿主細胞を培養して前記いずれか一項に記載のモノクローナル抗体を産生することを含む、モノクローナル抗体を産生する方法。
【0017】
前記方法は、適切な宿主細胞内において前記抗ヒトインターフェロンα受容体1モノクローナル抗体をコードする組換えベクターを発現させ、それによって前記モノクローナル抗体を産生することを含む。特定の実施形態では、前記方法は、前記抗ヒトインターフェロンα受容体1モノクローナル抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養し、それによって前記核酸を発現させることを含む。前記方法は、宿主細胞培養物または宿主細胞培養培地から前記抗ヒトインターフェロンα受容体1モノクローナル抗体を回収することをさらに含み得る。
【0018】
6.前記いずれか一項に記載のモノクローナル抗体及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【0019】
前記医薬組成物は、追加の治療剤(例えば、異なる抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)抗体)をさらに含んでもよい。
【0020】
7.インターフェロン媒介シグナル伝達に関連する疾患の治療に使用される、項6に記載の医薬組成物。
【0021】
8.前記インターフェロン媒介シグナル伝達に関連する疾患は、全身性エリテマトーデス、インスリン依存性糖尿病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、自己免疫性甲状腺炎、関節リウマチ、糸球体腎炎、HIV感染症、AIDS、移植拒絶反応及び/または移植片対宿主病である、項7に記載の医薬組成物。
【0022】
9.インターフェロン媒介シグナル伝達に関連する疾患を治療するための薬剤の調製における前記いずれか一項に記載のモノクローナル抗体の使用。
【0023】
10.前記インターフェロン媒介シグナル伝達に関連する疾患は、全身性エリテマトーデス、インスリン依存性糖尿病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、自己免疫性甲状腺炎、関節リウマチ、糸球体腎炎、HIV感染症、AIDS、移植拒絶反応及び/または移植片対宿主病である、項9に記載の使用。
【0024】
11.前記いずれか一項に記載のモノクローナル抗体または前記いずれか一項に記載の医薬組成物を、それを必要とする被験者に投与することを含む、
インターフェロン媒介シグナル伝達に関連する疾患を治療する方法。
【0025】
12.前記インターフェロン媒介シグナル伝達に関連する疾患は、全身性エリテマトーデス、インスリン依存性糖尿病、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、自己免疫性甲状腺炎、関節リウマチ、糸球体腎炎、HIV感染症、AIDS、移植拒絶反応及び/または移植片対宿主病である、項11に記載の方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、新しい抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)モノクローナル抗体を提供する。これは、臨床第III相に入った抗ヒトインターフェロンα受容体1モノクローナル(アニフロルマブ)と比較して、IFNAR1に対する結合親和性が同等であり、細胞レベルでの中和活性もアニフロルマブと同等である。
【0027】
本発明のモノクローナル抗体は、細胞レベルでアニフロルマブ(特許公開の配列発現に従って調製)と同等の中和活性を示し、関連疾患の予防及び治療において良好な臨床効果を示すことが期待されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、HZD1203-45一過性発現プラスミドを構築する核酸電気泳動の結果を示す図である。その中で、M:マーカー(Marker);バンド1:PCR生成物362VH-Hu6;バンド2:pHZDCH、HindIII/NheI;バンド3:PCR生成物362VH-Hu20;バンド4:pHZDCK、HindIII/BsiWI。
図2図2は、一過性トランスフェクション発現のフローチャートである。
図3図3は、QX006N(HZD1203-45-IgG4.1)の電気泳動検出図である。
図4図4は、HEK Blue IFNα/β細胞におけるヒトインターフェロン誘導性STAT1/2リン酸化を中和するQX006N(HZD1203-45-IgG4.1)及びアニフロルマブの活性を示す図である。
図5図5は、Daudi細胞増殖を阻害するヒトインターフェロンの中和におけるQX006N及びアニフロルマブの活性を示す図である。
図6図6は、ヒトインターフェロンによって誘導される全血からのCXCL10/IP10の放出の中和におけるQX006N及びアニフロルマブの活性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書に記載されている科学技術用語は、当業者が一般に理解している用語と同じ意味を有するが、矛盾する場合には、本明細書の定義に準ずる。
【0030】
一般的にいえば、本明細書で使用されている用語は、以下の意味を有する。
【0031】
本明細書において、「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から分離された抗体をいう。ある一部の実施形態では、抗体を95%または99%を超える純度に精製し、前記純度は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE等電集束(IEF)、毛細管電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって確定される。抗体の純度を評価する方法について、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B848:79-87(2007)を参照されたい。
【0032】
本明細書において、「モノクローナル抗体」とは、実質的に相同な抗体の群から得られた抗体のことであり、すなわち、該群を構成する各抗体は同一であり、及び/または同じエピトープに結合する。可能な変異体抗体(例えば、自然に存在する変異を含むまたはモノクローナル抗体の製品の製造過程において発生するもの)を除き、このような変異体は一般に微量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含む典型的なポリクローナル抗体製品と違って、モノクローナル抗体製品における各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対する。よって、修飾語「モノクローナル」とは、前記抗体が実質的に相同な抗体群から得られる特徴を示し、いずれか特定の方法で調製する必要のある抗体と解釈すべきではない。例えば、本発明により使用されるモノクローナル抗体は複数の技術によって製造することができ、前記技術は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限られていない。本願は、このような方法、及びモノクローナル抗体を調製するその他の例示的な方法を記載している。
【0033】
本明細書において、「親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。別途説明する場合を除き、本明細書で使用されている「結合親和性」とは、結合パートナーメンバー(例えば、抗体と抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。パートナーYに対する分子Xの親和性は、一般的に平衡解離定数(KD)で表すことができる。親和性は、本分野で既知の常用方法によって測定することができる。
【0034】
本明細書において、ヒトインターフェロンα受容体1(Human Interferon alpha/beta Receptor 1、IFNAR1)は、ヒト由来の膜タンパク質を表し、その細胞外領域のアミノ酸配列を配列番号9に示し、ここで、下線部分は、シグナルペプチドを表す。
配列番号9:
MMVVLLGATTLVLVAVAPWVLSAAAGGKNLKSPQKVEVDIIDDNFILRWNRSDESVGNVTFSFDYQKTGMDNWIKLSGCQNITSTKCNFSSLKLNVYEEIKLRIRAEKENTSSWYEVDSFTPFRKAQIGPPEVHLEAEDKAIVIHISPGTKDSVMWALDGLSFTYSLVIWKNSSGVEERIENIYSRHKIYKLSPETTYCLKVKAALLTSWKIGVYSPVHCIKTTVENELPPPENIEVSVQNQNYVLKWDYTYANMTFQVQWLHAFLKRNPGNHLYKWKQIPDCENVKTTQCVFPQNVFQKGIYLLRVQASDGNNTSFWSEEIKFDTEIQAFLLPPVFNIRSLSDSFHIYIGAPKQSGNTPVIQDYPLIYEIIFWENTSNAERKIIEKKTDVTVPNLKPLTVYCVKARAHTMDEKLNKSSVFSDAVCEKTKPGNTSK
【0035】
本明細書において、「抗ヒトインターフェロンα受容体1モノクローナル抗体」とは、ヒトインターフェロンα受容体1を標的とする診断薬及び/または治療薬として使用できるように、十分な親和性でヒトインターフェロンα受容体1に結合できるモノクローナル抗体を意味する。
【0036】
本発明の抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)モノクローナル抗体は、標的の無関係なタンパク質に結合しない。ここで、「無関係なタンパク質」とは、標的としてのヒトインターフェロンα受容体1以外のタンパク質をいい、ここで、「結合しない」とは、本発明の抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)モノクローナル抗体と、その標的となるヒトインターフェロンα受容体1との結合能を100%とした場合、本発明の抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)モノクローナル抗体のその無関係なタンパク質への結合能は10%未満であり、例えば9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%または0であることを指す。
【0037】
本発明の抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)モノクローナル抗体は、他の動物種のインターフェロンα受容体1に結合しない場合がある。ここで、「他の動物種」とは、マーモセット、カニクイザル、ブタ、イヌ、ウサギ、ラット、マウス、モルモットなどのヒト以外の動物種を指す。ここで、「結合しない」とは、本発明の抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)モノクローナル抗体と、その標的となるヒトインターフェロンα受容体1との結合能を100%とした場合、本発明の抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)モノクローナル抗体のその他の動物種のインターフェロンα受容体1への結合能は10%未満であり、例えば9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%または0であることを指す。
【0038】
本発明の抗ヒトインターフェロンα受容体1モノクローナル抗体は、1μM以下、100nM以下、50nM以下、40nM以下の平衡解離定数(K)を有する。
【0039】
実験結果は、本発明の抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)モノクローナル抗体が、ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)に特異的に結合できることを示している。
【0040】
本発明の抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)モノクローナル抗体は、多くの生物学的活性において、現在臨床第III相にあるヒトIFNAR1に対するモノクローナル抗体、すなわちアニフロルマブと同等である。そのような生物学的活性として、例えば、ヒトインターフェロンにより誘導される細胞におけるSTAT1/2のリン酸化を中和する活性、ヒトインターフェロンによるDaudi細胞の増殖阻害を中和する活性、ヒトインターフェロンにより誘導されるヒト全血からのCXCL10/IP10の放出を中和する活性などが挙げられる。
【0041】
一実施形態では、本発明の抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)モノクローナル抗体の重鎖のアミノ酸配列は、配列番号10に示され、軽鎖のアミノ酸配列は、配列番号11に示される。
配列番号10
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSLSSYYMTWVRQAPGKGLEWVSVINVYGGTYYASWAKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAREDVAVYMAIDLWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
配列番号11
AIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQSISNQLSWYQQKPGKAPKLLIYDASSLASGVPSRFSGSRSGTKFTLTISSLQPEDFATYYCLGIYGDGADDGIAFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
その中で、配列番号10と11はいずれもヒト化された配列である。
【0042】
本明細書において、「単離された」核酸とは、その自然環境の成分から分離された核酸分子を意味する。単離された核酸は、通常は核酸分子を含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、前記核酸分子は、染色体外、またはその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0043】
本明細書において、「抗ヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)モノクローナル抗体をコードする単離された核酸」とは、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする1つまたは複数の核酸分子を意味し、単一のベクターまたは別々のベクター中のそのような核酸分子、及び宿主細胞に存在する1つまたは複数の位置に存在するそのような核酸分子を含む。
【0044】
本明細書において、「ベクター」とは、それに連結した別の核酸を増幅することができる核酸分子を意味する。この用語には、自己複製核酸構造であるベクター、及びそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターが含まれる。ある一部のベクターは、それらに操作可能に連結されている核酸の発現を指導することができる。このようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。
【0045】
本明細書において、「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」は互いに置き換えて使用することができ、外因性核酸が導入された細胞を表し、そのような細胞の後代を含む。宿主細胞は、「形質転換体」と「形質転換細胞」とを含み、初代形質転換細胞とそれに由来する後代(継代数を問わず)とを含む。後代は、核酸内容物では親細胞と完全に同じでなくてもよく、突然変異を含んでもよい。最初に形質転換された細胞についてスクリーニングまたは選択された、同じ機能または生物学的活性を有する変異体後代は、本明細書に含まれている。
【0046】
本明細書において、「医薬組成物」とは、その中に含まれている活性成分の生物学的活性を有効にする形を取っており、製剤が投与される被験者に対して許容できない毒性を持つ追加の成分を含まない組成物のような製品を指す。
【0047】
本明細書において、「薬学的に許容される担体」とは、被験者に対して無毒である、医薬組成物における活性成分以外の成分であることを意味する。薬学的に許容される担体は、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または防腐剤を含むが、これらに限られていない。
【0048】
本発明において、「モノクローナル抗体」は一般にヒト抗体であり、当業者に周知の技術を使用して調製することができる。例えば、ヒト抗体は一般に、van Dijk,M.A.and van de Winkel,J.G.,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-374(2001)及びLonberg,N.,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
【0049】
抗体は、抗原攻撃に応答して完全ヒト抗体またはヒト可変領域を有する無傷の抗体の産生を刺激するように修飾されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製できる。これらの動物は通常、内因性免疫グロブリン遺伝子座が置き換えられ、あるいは動物の染色体外に存在するか、ランダムに動物体内に組み込まれているヒト免疫グロブリン遺伝子座の一部またはすべてを含む。このようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は一般に不活性化されており、トランスジェニック動物からヒト抗体を取得する方法の概説については、Lonberg,N.,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。また、例えば、米国特許第6,075,181号及び第6,150,584号に記載されているXENOMOUSE(商標)技術、米国特許第5,770,429号に記載されているHUMAB(登録商標)技術、米国特許第7,041,870号に記載されているK-MMOUSE(登録商標)技術、及び米国特許出願公開番号US2007/0061900号に記載されているVELOCIMOUSE(登録商標)技術をも参照されたい。このような動物から生成された無傷の抗体のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域との組み合わせによってさらに修飾することができる。
【0050】
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によっても産生することができる。ヒトモノクローナル抗体の産生に使用されるヒト骨髄腫細胞及びマウス-ヒトハイブリッド骨髄腫細胞が記載されている(例えば、Kozbor,D.,J.Immunol.133:3001-3005(1984);Brodeur,B.R.et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,Marcel Dekker,Inc.,New York(1987),pp.51-63;及びBoerner,P.et al.,Immunol.147:86-95(1991)を参照)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって産生されるヒト抗体は、Li,J.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 103:3557-3562(2006)にも記載されている。他の方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の生成について記載)、及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4);265-268(ヒト-ヒトハイブリドーマについて記載)に記載されているものを含む。また、ヒトハイブリドーマ技術(Trioma技術)は、Vollmers,H.P.and Brandlein,S.,Histology and Histopathology 20:927-937(2005)及びVollmers,H.P.and Brandlein,S.,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27:185-191(2005)にも記載されている。
【0051】
ヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成することもでき、その後、そのような可変ドメイン配列を所望のヒト定常ドメインと組み合わせることができる。
【0052】
ヒト抗体は、自己抗体ライブラリーに基づいて選択することもできる。すなわち、ヒト抗体は、所望の1つまたは複数の活性を有する抗体を組み合わせライブラリーからスクリーニングすることによって単離することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリーを作製し、そのようなライブラリーから所望の結合特性を有する抗体をスクリーニングするための様々な方法が当技術分野で知られている。この方法は、例えば、Hoogenboom,H.R.et al.,Methods in Molecular Biology 178:1-37(2001)に概説されており、さらに、例えば、McCafferty,J.et al.,Nature 348:552-554(1990);Clackson、T.et al.,Nature 352:624-628(1991);Marks,J.D.et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992);Marks,J.D.and Bradbury,A.,Methods in Molecular Biology 248:161-175(2003);Sidhu,S.S.et al.,J.Mol.Biol.338:299-310(2004);Lee,C.V.et al.,J.Mol.Biol.340:1073-1093(2004);Fellouse,F.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:12467-12472(2004);及びLee,C.V.et al.,J.Immunol.Methods 284:119-132(2004)に記載されている。
【0053】
Winter,G.et al.,Ann.Rev.Immunol.12:433-455(1994)に記載されているように、一部のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子の完全なセットをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってそれぞれクローニングし、ファージライブラリー内でランダムに組み換え、その後、前記ファージライブラリー内で抗原結合ファージについてスクリーニングする。ファージは通常、抗体フラグメントを単鎖Fv(scFv)フラグメントまたはFabフラグメントとして表示する。免疫化されたソースからのライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性の抗体を提供する。あるいは、Griffiths,A.D.et al.,EMBO J,12:725-734(1993)に記載されているように、免疫化されていないレパートリーを(例えば、ヒトから)クローニングして、免疫化の非存在下で多数の非自己抗原及び自己抗原に対する単一の抗体源を提供することもできる。最後に、Hoogenboom,H.R.and Winter,G.,J.Mol.Biol.227:381-388(1992)によって記載されているように、幹細胞から再構成されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して非常に可変性の高いCDR3領域をコードし、それらをインビトロで再構成することによって、免疫化されていないライブラリー(非免疫ライブラリー)を合成的に生成することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーを記載する特許公開文書としては、例えば、米国特許第5,750,373号及び米国特許公開第2005/0079574号、2005/0119455号、2005/0266000号、2007/0117126号、2007/0160598号、2007/0237764、2007/0292936及び2009/0002360が挙げられる。
【0054】
前記抗体はまた、二重特異性抗体などの多重特異性抗体であってもよい。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を持つモノクローナル抗体である。多重特異性抗体を生成するための技術には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein,C.and Cuello,A.C.,Nature 305:537-540(1983);WO93/08829;及びTraunecker,A.et al.,EMBO J.10:3655-3659(1991)を参照)、及び「protuberance-into-cavity」エンジニアリング(例えば、米国特許第5,731,168号を参照)が含まれるが、これらに限定されない。また、多重特異的抗体は、抗体Fcヘテロ二量体分子の生成のための静電的ステアリング効果(国際公開第2009/089004号)、2つ以上の抗体またはフラグメントの架橋(例えば、米国特許第4,676,980号及びBrennan,M.et al.,Science 229:81-83(1985)を参照)、ロイシンジッパーを使用した二重特異性抗体の生成(例えば、Kostelny,S.A.et al.,J.Immunol.148:1547-1553(1992)を参照)、二重特異性抗体フラグメントを生成するための「二重抗体」技術の使用(例えば、Holliger,P.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)を参照)、単鎖Fv(scFv)二量体の使用(例えば、Gruber,M.et al.,J.Immunol.152:5368-5374(1994)を参照)、及び三重特異性抗体の調製(例えば、Tutt,A.et al.,J.Immunol.147:60-69(1991)を参照)によって生成することができる。
【0055】
本明細書に記載のモノクローナル抗体は、「タコ抗体」を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された改変抗体も含む(例えば、米国特許第2006/0025576号を参照)。
【0056】
本明細書の抗体はまた、WO2009/080251、WO2009/080252、WO2009/080253、WO2009/080254、WO2010/112193、WO2010/115589、WO2010/136172、WO2010/145792、及びWO2010/145793、WO2011/117330、WO2012/025525、WO2012/025530、WO2013/026835、WO2013/026831、WO2013/164325、またはWO2013/174873に記載の多重特異性抗体も含む。
【0057】
本明細書に記載のモノクローナル抗体は、例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合には、抗体変体であってもよい。抗体のアミノ酸配列変体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって調製することができる。このような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、及び/または挿入、及び/または置換を含む。最終構築物が抗原結合などの所望の特性を有する限り、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせを行って最終構築物を得ることができる。したがって、特定の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する抗体変体が提供され、置換変異の対象部位には、HVR及びFRが含まれ、例えば、アミノ酸置換を対象抗体に導入し、保持/改善された抗原結合性、低下した免疫原性、または改善されたADCCもしくはCDCなど、必要な活性を有する生成物をスクリーニングすることができる。
【実施例
【0058】
以下、実施例を通して本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限られていないことを理解されたい。
【0059】
実施例1 抗ヒトインターフェロンα受容体1モノクローナル抗体QX006Nの調製
ニュージーランドウサギの免疫のためのヒトインターフェロンα受容体1(IFNAR1)を上海近岸科技有限公司(Shanghai Novoprotein Scientific Co.,Ltd.)から購入し、B細胞クローニング技術を使用して抗原結合特異的抗体クローンを得、さらにヒトIFNAR1阻害活性を有する、ヒトIFNAR1に結合しているモノクローナル抗体をスクリーニングした。まず、binding ELISAにより細胞上澄みを検出し、ヒトIFNAR1に結合するクローンを選択した後、HEK Blue IFN α/βレポーター遺伝子細胞法により検出し、ヒトIFNAR1阻害活性を有するクローンを選択した。上記の免疫及びスクリーニングプロセスは、商業会社に委託されて完成された。
【0060】
組換え発現のために37のクローンを選択してシーケンシングした。362#と1203#が最も優れた細胞中和活性を有しており、2つのクローンの配列は非常に類似していることが判明した。したがって、まず362#をヒト化して、1203#をスクリーニングして、1203#の活性が優れていることが判明したため、362#のヒト化に基づいて1203#クローンをヒト化した。NCBI IgBlastによりヒトIgG生殖系列配列(Germline)の同一性比較を行い、IgGHV3-66*01を重鎖CDR移植テンプレートとして選択して、1203#クローン重鎖のCDR領域(すなわち、CDR-H1(配列番号1)、CDR-H2(配列番号2)、及びCDR-H3(配列番号3))をIgGHV3-66*01のフレームワーク領域に移植し、IGKV1-6*01を選択して軽鎖CDR移植テンプレートとし、1203#クローン軽鎖のCDR領域(すなわち、CDR-L1(配列番号4)、CDR-L2(配列番号5)、及びCDR-L3(配列番号6))をIGKV1-6*01のフレームワーク領域に移植した。フレームワーク領域の特定の部位に対して復帰変異を行って本発明のモノクローナル抗体QX006N可変領域を得た。最後に、ヒト化された重鎖可変領域の配列は配列番号7に示され、ヒト化された軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号8に示される。
【0061】
上記の重鎖可変領域(配列番号7)の遺伝子及び軽鎖可変領域(配列番号8)の遺伝子は、362#ヒト化抗体の遺伝子配列を鋳型とし、PCRにより増幅して得られた。HindIIIとNheIを使用して重鎖発現プラスミドpHZDCHを二重消化させ、HindIIIとBsiWIを使用して軽鎖発現プラスミドpHZDCKを二重消化させ、インフュージョンリコンビナーゼを使用して、PCR増幅遺伝子を対応する発現プラスミドに挿入し、重鎖発現プラスミドpHZDCH-362VH-Hu6及び軽鎖発現プラスミドpHZDCK-362VK-Hu20を構築した。ヒト化プロセス中に、1203#ヒト化抗体の遺伝子には362という番号が付けられ、タンパク質には1203という番号が付けられる。
【0062】
プラスミドの二重消化を核酸電気泳動で検出した結果を図1に示す。図1の結果から分かるように、抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域のPCR増幅の結果、及び重鎖と軽鎖の発現プラスミドを二重消化させた結果として、重鎖と軽鎖のプラスミドのサイズは約10000bpであり、軽鎖可変領域は約447bpであり、重鎖可変領域は約471bpである。
【0063】
1203#をヒト化することにより、ヒト化抗体HZD1203-45が得られた。抗体のADCC効果を低減するために、HZD1203-45重鎖発現プラスミドpHZDCH-362VH-Hu6のヒトIgG1定常領域をヒトIgG4で置き換えて、重鎖発現プラスミドpHZDCH-362VH-Hu6-IgG4.1を得た。
【0064】
配列が正しい重鎖発現プラスミドpHZDCH-362VH-Hu6-IgG4.1と軽鎖発現プラスミドpHZDCK-362VK-Hu20をExpiCHO-S細胞を同時トランスフェクションした。トランスフェクションの前日、ExpiCHO-S細胞を3×10細胞/mlに希釈して、トランスフェクション前の継代を行った。トランスフェクション当日、細胞密度を6×10細胞/mlに希釈し、トランスフェクションのために25mlの細胞を125mlの振とうフラスコに入れた。トランスフェクションと発現のプロセスを図2に示す。
【0065】
トランスフェクション後4~8日目に、培養上澄みを採取し、Protein Aを使用してワンステップで精製した。精製された抗体をSDS-PAGE電気泳動で検出し、QX006N(HZD1203-45-IgG4.1)と名付けた。その重鎖のアミノ酸配列を配列番号10に示し、軽鎖のアミノ酸配列を配列番号11に示す。当該抗体をタンパク質電気泳動で検出した結果を図3に示す。タンパク質電気泳動は変性還元ゲルで検出され、図3に示される結果から分かるように、2つのバンドがあり、2つのバンドのサイズはそれぞれ約50kDaと25kDaであり、重鎖(48.9kDa)と軽鎖(23.4kDa)の理論上の分子量と一致している。
【0066】
実施例2 平衡解離定数(K)の測定
BiacoreT200を使用してQX006N(HZD1203-45-IgG4.1)とヒトIFNAR1の親和性を検出し、すべてのプロセスを25℃で行った。市販のProtein Aタンパク質チップを使用し、Rmaxが約50RU、捕捉流量が10μl/分になるように、捕捉法によって適切な量の抗体を固定した。抗原を段階的に希釈し、機器の流量を30μl/分に切り替え、濃度が低いものから高いものへの順番で参照チャネルと抗体固定チャネルを流し、ネガティブコントロールとして緩衝液を流した。各結合と解離が完了した後、pH1.5グリシンでチップを再生した。機器に付属されているソフトウェアを使用して、Kineticsのオプションにおける1:1結合モデルを選択してフィッティングさせ、抗体の結合速度定数k、解離速度定数k、及び平衡解離定数Kの値を計算した。
【0067】
また、QX006N(HZD1203-45-IgG4.1)と、すでに臨床第III相に入ったヒトIFNAR1に対するモノクローナル抗体、すなわち、アニフロルマブとの親和性を比較した。既知の抗体に対する検出方法は、QX006Nに対する検出方法と同じであった。結果を表1に示す。ここで、アニフロルマブは、特許WO2009100309A2によって提供される9D4配列に基づき、発現プラスミドを構築して、ExpiCHO-S細胞を一時的にトランスフェクトすることによって自己産生された。
【0068】
【表1】
【0069】
実施例3 QX006N及びアニフロルマブの、HEK Blue IFNα/β細胞におけるヒトインターフェロン誘導性STAT1/2リン酸化を中和する活性
HEK Blue IFNα/βレポーター遺伝子細胞株を使用して、インターフェロンがIFNAR1によって媒介した細胞内シグナル伝達分子STAT1/2リン酸化に拮抗するQX006Nの活性を測定した。培地中の細胞をウェルあたり4×10細胞で96ウェルプレートに添加し、37℃及び5%COの条件下で一晩培養した。0~5μg/mlの範囲の抗体濃度の段階希釈液を細胞に添加し、0.2ng/mlのIFNα.2bを添加した。その後、37℃及び5%COの条件下で24時間培養した後、細胞培養上澄みを回収し、10%QUANTI-Blue(商標)検出試薬を加え、37℃及び5%COの条件下で1時間反応させた。次にOD630nm値を検出し、用量反応曲線を作成し、抗体の拮抗活性を分析した。用量反応曲線を図4に示す。
【0070】
図4に示す結果から分かるように、QX006Nは、HEK Blue IFNα/β細胞におけるヒトインターフェロン誘導性STAT1/2リン酸化を阻害でき、HEK Blue IFNα/β細胞におけるヒトインターフェロン誘導性STAT1/2リン酸化を阻害するQX006Nの活性のIC50は5.23ng/mlであり、HEK Blue IFNα/β細胞におけるインターフェロン誘導性1/2リン酸化を阻害するアニフロルマブの活性のIC50は4.43ng/mlであった。
【0071】
実施例4 ヒトインターフェロンによるDaudi細胞増殖阻害の中和におけるQX006N及びアニフロルマブの活性
Daudiヒトリンパ腫細胞株を使用して、インターフェロンがIFNAR1によって誘導される細胞増殖に拮抗するQX006Nの活性を測定した。培地中の細胞をウェルあたり4×10細胞で96ウェルプレートに添加し、37℃及び5%COの条件下で一晩培養した。0~20μg/mlの範囲の抗体濃度の段階希釈液を細胞に添加し、0.8ng/mlのIFNα.2bを添加した。その後、37℃及び5%COの条件下で72時間培養した後、細胞培養物を回収し、CellTiter-Gloを用いて細胞増殖を検出し、用量反応曲線を作成し、抗体の拮抗活性を分析した。用量反応曲線を図5に示す。
【0072】
図5に示す結果から分かるように、QX006Nはインターフェロンによって誘導されるDaudi細胞増殖を阻害でき、インターフェロンによって誘導されるDaudi細胞増殖を阻害するQX006Nの活性のIC50が29.9ng/mlであり、インターフェロンによって誘導されるDaudi細胞増殖を阻害するアニフロルマブの活性のIC50が31.7ng/mlであった。
【0073】
実施例5 ヒトインターフェロンによって誘導される全血からのCXCL10/IP10の放出の中和におけるQX006N及びアニフロルマブの活性
ヒト全血を使用して、インターフェロンがIFNAR1によって誘導されるCXCL10/IP10の放出に拮抗するQX006Nの活性を測定した。全血を100μl/ウェルで96ウェルプレートに添加し、37℃及び5%COの条件下で一時保存した。0~40μg/mlの範囲の抗体濃度の段階希釈液を全血に添加し、8ng/mlのIFNα.2b及び40ng/mlのTNF-αを添加した。その後、37℃及び5%COの条件下で48時間培養した後、細胞培養上澄みを収集し、サンドイッチELISA法を使用して上澄み中のCXCL10/IP10の発現を検出し、用量反応曲線を作成し、抗体の拮抗活性を分析した。用量反応曲線を図6に示す。
【0074】
図6に示す結果から分かるように、QX006Nはインターフェロンによって誘導される全血からのCXCL10/IP10の放出を阻害でき、インターフェロンによって誘導される全血からのCXCL10/IP10の放出を阻害するQX006Nの活性のIC50が698ng/mlであり、インターフェロンによって誘導される全血からのCXCL10/IP10の放出を阻害するアニフロルマブの活性のIC50が562ng/mlであった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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