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特許7680095地震後回復可能な鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造及びその施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】地震後回復可能な鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20250513BHJP
【FI】
E04H9/02 301
E04H9/02 321B
E04H9/02 321F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024118051
(22)【出願日】2024-07-23
【審査請求日】2024-07-23
(31)【優先権主張番号】202410042022.8
(32)【優先日】2024-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513059401
【氏名又は名称】同▲済▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】李 征
(72)【発明者】
【氏名】王 振
(72)【発明者】
【氏名】舒 展
(72)【発明者】
【氏名】何 敏娟
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206607710(CN,U)
【文献】特開2009-299312(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0107520(US,A1)
【文献】特開平05-222861(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第117107943(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02
E04B 2/56
E04B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板せん断壁(1)、集成材フレーム(2)、木製床スラブ(3)、自己復帰式せん断ダンパー(4)、せん断コネクタ(5)、ポストテンションアンボンドプレストレス筋(6)及びアンカー(7)を含み、前記鋼板せん断壁(1)は鋼梁(11)、鋼柱(12)及び鋼腹板(13)を含み、隣接する二層の鋼柱(12)はボルト又は溶接によって接続され、前記木製床スラブ(3)は自己復帰式せん断ダンパー(4)及びせん断コネクタ(5)によって前記鋼梁(11)に接続され、前記集成材フレーム(2)は木製床スラブ(3)に接続され、
鋼腹板(13)の四隅位置に切り欠き(131)を残し、鋼腹板(13)の上下両側は鋼梁(11)に接続され、鋼腹板(13)左右両側は鋼柱(12)に接続され、前記鋼腹板(13)は溶接又はボルトによって鋼梁(11)及び鋼柱(12)に接続され、
木製床スラブ(3)が鋼板せん断壁(1)と集成材フレーム(2)との間に吊り上げて取り付けられ、せん断コネクタ(5)がセルフタッピンねじ穴(51)及びセルフタッピンねじによって木製床スラブ(3)に接続され、せん断コネクタ(5)と自己復帰式せん断ダンパー(4)の第1の摩擦鋼板(41)がせん断コネクタボルト(52)によって接続され、木製床スラブ(3)が自己復帰式せん断ダンパー(4)及びせん断コネクタ(5)によって鋼板せん断壁(1)に接続され、垂直に設置された集成材フレーム(2)が水平に設置された木製床スラブ(3)に接続され、
前記集成材フレーム(2)は木梁(21)、木柱(22)及びノード鋼板(23)を含み、前記木梁(21)に木梁鋼板溝(211)及び木梁ボルト穴(212)が設置され、前記木柱(22)に木柱鋼板溝(221)及び木柱ボルト穴(222)が設置され、前記木梁ボルト穴(212)は木梁ボルト(213)によってノード鋼板(23)に接続され、前記木柱ボルト穴(222)は木柱ボルト(223)によってノード鋼板(23)に接続され、前記木製床スラブ(3)と木梁(21)は重ね継ぎ方式で接続され、隣接する二層の集成材フレーム(2)は前記ノード鋼板(23)によってボルト接続され、
前記鋼梁(11)に第2の鋼梁ボルト穴(112)及び鋼梁矩形穴(113)が設置され、前記自己復帰式せん断ダンパー(4)は第1の摩擦鋼板(41)、第2の摩擦鋼板(42)、圧縮ばね(43)、鋼敷板(44)、ダンパーボルト(45)及び耐圧鋼ブロック(46)を含み、前記第1の摩擦鋼板(41)に摩擦鋼板長円穴(411)及び摩擦鋼板矩形溝(412)が設置され、前記第2の摩擦鋼板(42)に摩擦鋼板ボルト穴(421)が設置され、前記鋼敷板(44)に鋼敷板ボルト穴(441)が設置され、前記ダンパーボルト(45)は、鋼敷板ボルト穴(441)、圧縮ばね(43)、摩擦鋼板ボルト穴(421)、摩擦鋼板長円穴(411)を順次貫通して第2の鋼梁ボルト穴(112)に固定され、
前記せん断コネクタ(5)にセルフタッピングねじ穴(51)及びせん断コネクタボルト(52)が設置され、前記せん断コネクタ(5)はセルフタッピングねじ穴(51)及びセルフタッピングねじによって木製床スラブ(3)に接続され、前記せん断コネクタ(5)はせん断コネクタボルト(52)によって自己復帰式せん断ダンパー(4)の第1の摩擦鋼板(41)に接続され、
前記ポストテンションアンボンドプレストレス筋(6)は鋼梁(11)を貫通し、鋼柱(12)上にアンカー(7)で固定され、前記ポストテンションアンボンドプレストレス筋(6)は、プレストレス鋼より線、プレストレス鋼線束、プレストレス仕上げ圧延螺紋鋼又はプレストレスFRP筋のうちのいずれか1種から選択され
前記アンカー(7)は支持式アンカー、テーパプラグ式アンカー、クリップ式アンカー、グリップ式アンカーのうちのいずれか1種から選択されることを特徴とする鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造。
【請求項2】
鋼梁(11)の両側に前記自己復帰式せん断ダンパー(4)が対称に配置されることを特徴とする請求項1に記載の鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造。
【請求項3】
前記耐圧鋼ブロック(46)は、前記鋼梁矩形穴(113)を貫通して両側の第1の摩擦鋼板(41)上の摩擦鋼板矩形溝(412)に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造。
【請求項4】
前記ノード鋼板(23)は「L」字型であり、前記ノード鋼板(23)にノード鋼板ボルト穴(231)が設置され、前記ノード鋼板ボルト穴(231)は3組設置され、それぞれ垂直方向の両端の木柱(22)及び横方向の木梁(21)上のボルト穴にに合わせて接続されることを特徴とする請求項1に記載の鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造。
【請求項5】
鋼板せん断壁(1)を建てるステップであって、鋼腹板(13)を溶接又はボルトによって鋼梁(11)、鋼柱(12)に接続し、鋼腹板(13)の四隅位置に切り欠き(131)を残し、鋼柱(12)にせん断鋼板(14)を溶接し、せん断鋼板(14)にせん断鋼板長円穴(141)を残し、鋼梁(11)の端部に第1の鋼梁ボルト穴(111)を設け、鋼梁ボルト(15)がせん断鋼板長円穴(141)と第1の鋼梁ボルト穴(111)を貫通して、せん断鋼板(14)と鋼梁(11)を接続し、ポストテンションアンボンドプレストレス筋(6)を鋼梁(11)に貫通させ、鋼柱(12)上にアンカー(7)で固定して、鋼板せん断壁(1)を得るステップS1と、
集成材フレーム(2)に組み立てるステップであって、横方向の木梁(21)とノード鋼板(23)を木梁ボルト(213)で接続し、垂直方向の2つの木柱(22)とノード鋼板(23)を木柱ボルト(223)で接続し、完了した後に前記集成材フレーム(2)を得るステップS2と、
自己復帰式せん断ダンパー(4)を取り付けるステップであって、ダンパーボルト(45)を鋼敷板ボルト穴(441)、圧縮ばね(43)、摩擦鋼板ボルト穴(421)及び摩擦鋼板長円穴(411)に順次貫通させて第2の鋼梁ボルト穴(112)と固定して、自己復帰式せん断ダンパー(4)を得て、自己復帰式せん断ダンパー(4)を鋼梁(11)の両側に沿って対称に配置し、耐圧鋼ブロック(46)を鋼梁矩形穴(113)に貫通させ、両側の第1の摩擦鋼板(41)上の摩擦鋼板矩形溝(412)に挿入するステップS3と、
全体を組み立てるステップであって、部材を接続して全体になるように形成し、層ごとに建てて全体構造の施工を完了するステップS4と、を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築工学の分野に関し、特に、地震後回復可能な鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木構造は環境にやさしく、組み立てやすく、耐震性能が高い等の利点を有するため、ますます多くの注目を集めているが、従来の木構造は2~3層の低層建築に適用されることが多く、中国の人口密度が高い現段階では、土地利用率への需要に適応することは困難である。木材の優れた性能を十分に利用するために、多高層木構造及び木コンクリート構造システムを早急に開発する必要がある。しかしながら、多高層木構造では、横抵抗性能が弱い部分である。中国の現行の耐震基準では、耐震対策目標及び設計方法はそれぞれ3レベルの対策及び2段階設計方法であり、従来の純木構造システムは建築材料の延性及び構造変形によって地震作用に抵抗し、地震エネルギーを消耗し、本体構造の安全を保証し、地震後に構造物が倒壊しなかったものの、構造物や部材に大きな残留変形を発生させることが多く、地震後の構造物の修復の困難さと費用を増加させる。鋼・木ハイブリッド構造は木材と鋼材のそれぞれの優位性を十分に発揮し、その耐震性能は純木構造に比べて大幅に向上し、鋼・木構造は多高層及び大スパン構造へ発展することができる。さらに、鋼・木ハイブリッド構造の組み立て化程度が高く、グリーンン建築の提案に合致する。
【0003】
しかしながら、鋼・木ハイブリッド耐震壁の耐震設計における回復可能な機能特性は良好に設計及び実現されておらず、地震作用後、鋼フレーム及び木せん断壁に大きな残留変形が発生し、修復が困難である。登録特許CN105756217Bには地震後の自己復帰機能を備えた鋼・木ハイブリッド耐震壁が提供され、摩擦型ダンパーを用い、中地震又は大地震下で、摩擦型ダンパーにかかるせん断力は滑りせん断力より大きく、ダンパーの摩擦面は滑り始めてエネルギーを消耗し、木せん断壁の損傷を大幅に低減させることができる。ポストテンションアンボンドプレストレス筋は常に弾性引張状態にあり、地震後、梁柱ノードはプレストレス筋の作用で初期状態に戻り、鋼梁及び鋼柱は基本的に損傷せず、構造の残留変形が非常に小さく、摩擦型ダンパーは地震作用で破壊せず、地震後に交換する必要がない。しかしながら、摩擦型ダンパーはエネルギー消耗作用のみを有し、自己復帰機能を有さず、摩擦型ダンパーにおける有機摩擦材料が破損する可能性がある。該特許で提案された耐震壁の単一水平支持力は高くなく、構造システムに応用される場合、このようなせん断壁を多く配置する必要がある可能性があり、木せん断壁は水平往復荷重の作用で損傷しやすい(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許出願公告第105756217号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記従来技術に存在する欠陥を克服するために、多高層木構造の地震災害を減少させる地震後回復可能な鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造及びその施工方法を提供し、多高層純木構造の横抵抗性能が不十分であるという問題を解決することである。本発明は、2種類の材料の特性を十分に発揮することができる。建築面において、該構造システムは建築空間を合理的に利用でき、横抵抗システムにおけるせん断壁の分布に加えて、集成材フレームシステムの建築分離が柔軟である。構造面において、該構造システムは鋼板せん断壁構造の横抵抗能力及び集成材フレーム構造の耐荷重能力の優位性を十分に発揮でき、合理的な設計により、横抵抗システムと耐荷重システムの両者の機能が分離され、それぞれの役割を果たす。さらに、2つのシステムの間のダンパーは多くの地震が発生した場合に変形して地震入力エネルギーを消耗し、設計震度地震及び稀な地震の作用下で、横抵抗システムによってエネルギーを消耗して地震作用に抵抗し、このようにして、構造システムにおける異なる構造部材の階層性及び配置形式を十分に利用して、構造全体に2段階強化型の受力特徴及び地震後の機能回復可能なメカニズムを形成させ、地震後の構造物の修復の費用と難度を低下させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、以下の技術的解決手段によって達成することができる。
【0007】
本発明の1つは、地震後回復可能な鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造を提供し、鋼板せん断壁、集成材フレーム、木製床スラブ、自己復帰式せん断ダンパー、せん断コネクタ、ポストテンションアンボンドプレストレス筋及びアンカーを含む。前記鋼板せん断壁は鋼梁、鋼柱及び鋼腹板を含み、隣接する二層の鋼柱はボルト又は溶接によって接続され、前記ポストテンションアンボンドプレストレス筋は鋼梁を貫通し、鋼柱上にアンカーによって固定され、前記木製床スラブは自己復帰式せん断ダンパー及びせん断コネクタによって前記鋼板せん断壁に接続され、前記集成材フレームは木製床スラブに接続される。
【0008】
さらに、前記鋼腹板の上下両側は鋼梁に接続され、左右両側は鋼柱に接続され、前記鋼腹板は溶接又はボルトによって鋼梁及び鋼柱に接続される。
【0009】
さらに、前記鋼腹板の四隅位置に切り欠きが残される。
【0010】
さらに、前記鋼柱はせん断鋼板に接続され、前記せん断鋼板にせん断鋼板長円穴が設置され、前記鋼梁と鋼柱の接続側の端部に第1の鋼梁ボルト穴が設けられ、鋼梁ボルトは剪断鋼板長円穴と第1の鋼梁ボルト穴を貫通して、せん断鋼板と鋼梁を接続する。
【0011】
さらに、前記鋼梁に第2の鋼梁ボルト穴及び鋼梁矩形穴が設置され、前記自己復帰式せん断ダンパーは、第1の摩擦鋼板、第2の摩擦鋼板、圧縮ばね、鋼敷板、ダンパーボルト及び耐圧鋼ブロックを含み、前記第1の摩擦鋼板に摩擦鋼板長円穴が設置され、前記第2の摩擦鋼板に摩擦鋼板ボルト穴が設置され、前記鋼敷板に鋼敷板ボルト穴が設置され、前記ダンパーボルトは、鋼敷板ボルト穴、圧縮ばね、摩擦鋼板ボルト穴、摩擦鋼板長円穴を貫通して第2の鋼梁ボルト穴に固定される。
【0012】
さらに、前記第1の摩擦鋼板、第2の摩擦鋼板、圧縮ばね、鋼敷板は鋼梁の両側に対称に配置される。
【0013】
さらに、前記せん断コネクタにセルフタッピングねじ穴及びせん断コネクタボルトが設置され、前記せん断コネクタはセルフタッピングねじ穴及びセルフタッピングねじによって木製床スラブに接続され、前記せん断コネクタはせん断コネクタボルトによって自己復帰式せん断ダンパーの第1の摩擦鋼板に接続される。
【0014】
さらに、前記集成材フレームは木梁、木柱及びノード鋼板を含み、前記木梁に木梁鋼板溝及び木梁ボルト穴が設置され、前記木柱に木柱鋼板溝及び木柱ボルト穴が設置され、前記木梁ボルト穴は木梁ボルトによってノード鋼板に接続され、前記木柱ボルト穴は木柱ボルトによってノード鋼板に接続され、前記木製床スラブ3と木梁21は重ね継ぎ方式で接続される。
【0015】
さらに、隣接する二層の集成材フレームは前記ノード鋼板によってボルト接続される。
【0016】
さらに、前記ノード鋼板は「L」字型であり、前記ノード鋼板にノード鋼板ボルト穴が設置され、前記ノード鋼板ボルト穴は3組設置され、それぞれ垂直方向の両端の木柱及び横方向の木梁上のボルト穴にに合わせて接続される。
【0017】
さらに、前記ポストテンションアンボンドプレストレス筋は、プレストレス鋼より線、プレストレス鋼線束、プレストレス仕上げ圧延螺紋鋼又はプレストレスFRP筋のうちのいずれか1種を選択する。
【0018】
さらに、前記アンカーは支持式アンカー、テーパプラグ式アンカー、クリップ式アンカー、グリップ式アンカーのうちのいずれか1種を選択する。
【0019】
本発明の2つは、地震後回復可能な鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造の施工方法を提供し、
鋼板せん断壁を建てること:鋼腹板を溶接又はボルトによって鋼梁及び鋼柱に接続し、鋼腹板の四隅位置に切り欠きを残し、鋼柱にせん断鋼板を溶接し、せん断鋼板にせん断鋼板長円穴を残し、鋼梁の端部に第1の鋼梁ボルト穴を設け、鋼梁ボルトがせん断鋼板長円穴と第1の鋼梁ボルト穴を貫通して、せん断鋼板と鋼梁を接続し、ポストテンションアンボンドプレストレス筋を鋼梁に貫通させ、鋼柱上にアンカーで固定して、鋼板せん断壁を得るステップS1と、
集成材フレームに組み立てること:横方向の木梁とノード鋼板を木梁ボルトで接続し、垂直方向の2つの木柱とノード鋼板を木柱ボルトで接続し、完了した後に前記集成材フレームを得るステップS2と、
自己復帰式せん断ダンパーを取り付けること:ダンパーボルトを鋼敷板ボルト穴、圧縮ばね、摩擦鋼板ボルト穴及び摩擦鋼板長円穴に順次貫通させて第2の鋼梁ボルト穴と固定して、自己復帰せん断ダンパーを得て、自己復帰式せん断ダンパーを鋼梁の両側に沿って対称に配置し、耐圧鋼ブロックを鋼梁矩形穴に貫通させ、両側の第1の摩擦鋼板上の摩擦鋼板矩形溝に挿入するステップS3と、
全体の組立:木製床スラブを鋼板せん断壁と集成材フレームとの間に吊り上げて取り付け、せん断コネクタをセルフタッピングねじ穴及びセルフタッピングねじによって木製床スラブに接続し、せん断コネクタと自己復帰式せん断ダンパーの第1の摩擦鋼板をせん断コネクタボルトによって接続し、木製床スラブを自己復帰式せん断ダンパー及びせん断コネクタによって鋼板せん断壁に接続し、次に、垂直に設置された集成材フレームを水平に設置された木製床スラブに接続し、部材を接続して全体になるように形成し、層ごとに建てて構造全体の施工を完了するステップS4と、を含む。
【発明の効果】
【0020】
従来技術に比べて、本発明は以下の利点を有する。
(1)本発明は、木構造に鋼板せん断壁を導入し、構造の横抵抗性能を大幅に向上させる。鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造システムでは、大部分の横力は鋼板せん断壁によって受けられ、木構造部分の破壊を減少させる。
(2)本発明は、衝撃吸収効果が高く、耐震性能に優れる。小地震下で、鋼板せん断壁は良好な横抵抗剛性を有し、水平地震せん断力に抵抗することができ、中地震又は大地震下で、鋼板せん断壁は大部分の横力を受けることができ、同時に鋼板せん断壁と集成材フレームの間の自己復帰式せん断ダンパーは変形することで、エネルギー消耗と衝撃吸収の役割を十分に発揮する。
(3)本発明は、自己復帰機能を有し、構造が地震後に修復しやすく、修復の費用を大幅に低下させる。中地震又は大地震下で、自己復帰式せん断ダンパーの鋼板は相互摩擦によってエネルギーを消耗し、鋼板せん断壁の変形を効果的に制御し、鋼板せん断壁の損傷を大幅に低減させる。鋼板せん断壁の縁部梁上のポストテンションアンボンドプレストレス筋は常に弾性引張状態にあり、プレストレス筋の作用下で、構造が初期状態に戻り、構造の残留変形が非常に小さい。自己復帰式せん断ダンパーは回復不能な変形又は破壊なしに地震作用で弾性を維持する場合、複数回の地震作用に耐えることができる。
(4)本発明は、大量のプレハブ部材を採用し、木構造自体の施工しやすさも相まって、構造の施工速度と進度を大幅に向上させ、建築工業化の発展傾向に適合し、実際の工事応用において巨大な見通しを有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例1の地震後回復可能な鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造の立体概略図である。
図2】本発明の実施例1の地震後回復可能な鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造の単層立体概略図である。
図3】本発明の実施例1の鋼板せん断壁と応力筋及びアンカーとの接続方式の概略図である。
図4】本発明の実施例1のせん断鋼板と鋼梁との接続方式の概略図である。
図5】本発明の実施例1の集成材フレームの構造概略図である。
図6】本発明の実施例1の自己復帰式せん断ダンパーと鋼梁との接続方式の平面図である。
図7】本発明の実施例1の自己復帰式せん断ダンパーと鋼梁との接続方式の分解図である。
図8】本発明の実施例1のせん断コネクタと木製床スラブ及び自己復帰式せん断ダンパーとの接続方式の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本明細書の図面に一般的に記載及び図示されている本発明の実施例の構成要素は、様々な異なる構成で配置及び設計され得る。
【0023】
したがって、図面に提供される本発明の実施例の以下の詳細な説明は、特許請求される本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の選択された実施例を単に表すものである。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を要さずに取得したすべての他の実施例は、本発明の技術的範囲に属する。
【0024】
本発明の実施例の説明において、理解すべきこととして、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などにより示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、或いは本発明の製品が使用される際に通常置かれる方位又は位置関係であり、或いは当業者が通常認識している方位又は位置関係であり、本発明の説明及び説明の簡単化のためのものに過ぎず、示される装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成又は操作されたりすることを指示又は暗示するものではなく、したがって、本発明を限定するものとして理解すべきではない。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解し得る。
【0025】
実施例1
図1に示すように、本実施例は、単層の地震後回復可能な鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造を提供する。図2に示すように、単層構造は、鋼板せん断壁1、集成材フレーム2、木製床スラブ3、自己復帰式せん断ダンパー4、せん断コネクタ5、ポストテンションアンボンドプレストレス筋6及びアンカー7を含む。水平に設置された木製床スラブ3は、対称に設置された2組の自己復帰式せん断ダンパー4及びせん断コネクタ5によって垂直に設置された鋼板せん断壁1に固定して接続される。集成材フレーム2は木製床スラブ3に接続される。
【0026】
図3に示すように、鋼板せん断壁1は、鋼梁11、鋼柱12及び鋼腹板13を含む。鋼腹板13の上下両側は鋼梁11に接続され、左右両側は鋼柱12に接続され、前記鋼腹板13は溶接又はボルトによって鋼梁11及び鋼柱12に接続される。ポストテンションアンボンドプレストレス筋6は鋼梁11を貫通し、鋼柱12上にアンカー7によって固定して接続される。鋼腹板13の四隅位置に切欠き131が設けられる。
【0027】
図4に示すように、鋼柱12はせん断鋼板14に接続され、前記せん断鋼板14にせん断鋼板長円穴141が設置され、前記鋼梁11と鋼柱12の接続側の端部に第1の鋼梁ボルト穴111が設けられ、鋼梁ボルト15はせん断鋼板長円穴141と第1の鋼梁ボルト穴111を貫通して、せん断鋼板14と鋼梁11を接続する。
【0028】
図5に示すように、集成材フレーム2は木梁21、木柱22及び「L」字型のノード鋼板23を含む。木梁21に木梁鋼板溝211及び木梁ボルト穴212が設置され、木柱22に木柱鋼板溝221及び木柱ボルト穴222が設置される。
【0029】
ここで、木梁ボルト穴212は木梁ボルト213によってノード鋼板23に接続され、木柱ボルト穴222は木柱ボルト223によってノード鋼板23に接続される。ノード鋼板23にノード鋼板ボルト穴231が設置され、ノード鋼板ボルト穴231は3組設置され、それぞれ垂直方向の両端の木柱及び横方向の木梁上のボルト穴に合わせて接続される。
【0030】
図6及び図7に示すように、自己復帰式せん断ダンパー4は、第1の摩擦鋼板41、第2の摩擦鋼板42、圧縮ばね43、鋼敷板44、ダンパーボルト45及び耐圧鋼ブロック46を含む。
【0031】
ここで、第1の摩擦鋼板41に摩擦鋼板長円穴411及び摩擦鋼板矩形溝412が設置され、第2の摩擦鋼板42に摩擦鋼板ボルト穴421が設置され、鋼敷板44に鋼敷板ボルト穴441が設置される。ダンパーボルト45は、ダンパークリュー451及びダンパーナット452で構成される。ダンパークリュー451は、鋼敷板ボルト穴441、圧縮ばね43、摩擦鋼板ボルト穴421、摩擦鋼板長円穴411を順次貫通して、第2の鋼梁ボルト穴112に固定して接続される。
【0032】
ここで、耐圧鋼ブロック46は、前記鋼梁矩形穴113を貫通して、両側の第1の摩擦鋼板41上の摩擦鋼板矩形溝412に挿入される。
【0033】
図8に示すように、せん断コネクタ5にセルフタッピングねじ穴51及びせん断コネクタボルト52が設置され、せん断コネクタ5はセルフタッピングねじ穴51及びセルフタッピングねじによって木製床スラブ3に接続され、せん断コネクタ5と自己復帰式せん断ダンパー4の第1の摩擦鋼板41は、せん断コネクタボルト52によって接続される。
【0034】
実施例2
本実施例は、地震後回復可能な鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造の施工方法を提供し、
鋼板せん断壁1を建てること:鋼腹板13を溶接又はボルトによって鋼梁11及び鋼柱12に接続し、鋼腹板13の四隅位置に切り欠き131を残し、鋼柱12にせん断鋼板14を溶接し、せん断鋼板14にせん断鋼板長円穴141を残し、鋼梁11の端部に第1の鋼梁ボルト穴111を設け、鋼梁ボルト15がせん断鋼板長円穴141と第1の鋼梁ボルト穴111を貫通して、せん断鋼板14と鋼梁11を接続し、ポストテンションアンボンドプレストレス筋6を鋼梁11に貫通させ、鋼柱12上にアンカー7で固定して、鋼板せん断壁1を得るステップS1と、
集成材フレーム2を組み立てること:横方向の木梁21とノード鋼板23を木梁ボルト213で接続し、垂直方向の2つの木柱22とノード鋼板23を木柱ボルト223で接続し、完了した後に前記集成材フレーム2を得るステップS2と、
自己復帰式せん断ダンパー4を取り付けること:ダンパーボルト45を鋼敷板ボルト穴441、圧縮ばね43、摩擦鋼板ボルト穴421及び摩擦鋼板長円穴411に順次貫通させて第2の鋼梁ボルト穴112と固定して、自己復帰式せん断ダンパー4を得て、自己復帰式せん断ダンパー4を鋼梁11の両側に沿って対称に配置し、耐圧鋼ブロック46を鋼梁矩形穴113に貫通させ、両側の第1の摩擦鋼板41上の摩擦鋼板矩形溝412に挿入するステップS3と、
全体の組立:木製床スラブ3を上記鋼板せん断壁1と集成材フレーム2との間に吊り上げて取り付け、せん断コネクタ5をセルフタッピングねじ穴51及びセルフタッピングねじによって木製床スラブ3に接続し、せん断コネクタ5と上記自己復帰式せん断ダンパー4の第1の摩擦鋼板41をせん断コネクタボルト52によって接続し、木製床スラブ3を自己復帰式せん断ダンパー4及びせん断コネクタ5によって鋼板せん断壁1に接続し、次に、垂直に設置された集成材フレーム2を水平に設置された木製床スラブ3に接続し、部材を接続して全体になるように形成し、層ごとに建てて構造全体の施工を完了するステップS4と、を含む。
【0035】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明した。理解すべきこととして、当業者は、創造的な労働を必要とせずに本発明の構想に基づいて多くの修正及び変更を行うことができる。したがって、当業者であれば、本発明の構想に基づいて従来技術の上で論理解析、推論又は限られた実験により得られた技術的解決手段は、いずれも特許請求の範囲により限定された保護範囲内にあるべきである。
【符号の説明】
【0036】
1 鋼板せん断壁
11 鋼梁
111 第1の鋼梁ボルト穴
112 第2の鋼梁ボルト穴
113 鋼梁矩形穴
12 鋼柱
13 鋼腹板
131 切り込み
14 せん断鋼板
141 せん断鋼板長円穴
15 鋼梁ボルト
2 集成材フレーム
21 木梁
211 木梁鋼板溝
212 木梁ボルト穴
213 木梁ボルト
22 木柱
221 木柱鋼板溝
222 木柱ボルト穴
223 木柱ボルト
23 ノード鋼板
231 ノード鋼板ボルト穴
3 木製床スラブ
4 自己復帰式せん断ダンパー
41 第1の摩擦鋼板
411 摩擦鋼板長円穴
412 摩擦鋼板矩形溝
42 第2の摩擦鋼板
421 摩擦鋼板ボルト穴
43 圧縮ばね
44 鋼敷板
441 鋼敷板ボルト穴
45 ダンパーボルト
451 ダンパースクリュー
452 ダンパーナット
46 耐圧鋼ブロック
5 せん断コネクタ
51 セルフタッピングねじ穴
52 せん断コネクタボルト
6 ポストテンションアンボンドプレストレス筋
7 アンカー

【要約】      (修正有)
【課題】多高層木構造の地震災害を減少させ、地震後回復可能な鋼板せん断壁-木フレームのハイブリッド構造及びその施工方法を提供する。
【解決手段】鋼板せん断壁1、集成材フレーム2、木製床スラブ3、自己復帰式せん断ダンパー、せん断コネクタ、ポストテンションアンボンドプレストレス筋及びアンカーを含み、自己復帰式せん断ダンパー及びせん断コネクタは、鋼板せん断壁と木製床スラブを接続するために用いられ、ポストテンションアンボンドプレストレス筋は鋼板せん断壁に用いられる。鋼板せん断壁1の横抵抗性能により木構造システムが高層へ発展する耐震難題を解決することを助けるだけでなく、木材と鋼材を組み合わせることにより、建築構造のさらなる環境保護と持続可能な開発も達成し、また、大量のプレハブ部材を使用して、それに木構造自体が容易に組立・施工できるため、構造全体の施工速度が大幅に向上する。
【選択図】図1
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