(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】語学学習用ツール及び語学教授方法
(51)【国際特許分類】
G09B 19/06 20060101AFI20250513BHJP
【FI】
G09B19/06
(21)【出願番号】P 2024221680
(22)【出願日】2024-12-18
【審査請求日】2024-12-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2024年3月29日 株式会社ひつじ書房が発行した書籍「音声認識で学べる 英語発音学習帳」にて語学学習用ツールに関する情報を公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592254526
【氏名又は名称】学校法人五島育英会
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】中條 純子
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-117780(JP,A)
【文献】特開2023-136688(JP,A)
【文献】特開2021-139995(JP,A)
【文献】特開2021-022157(JP,A)
【文献】特表2016-519779(JP,A)
【文献】講義動画配信プラットフォーム CLEVAS、株式会社フォトロン,世界のウェブアーカイブ|国立国会図書館インターネット資料収集保存事業[online],2024年10月15日,インターネット URL https://web.archive.org/web/20241015065245/https://www.photron.co.jp/service/recording/products/clevas/,[2025年02月12日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56,17/00-19/26
G06F 3/16
G06Q 50/20
G10L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の言語の単語の学習対象となる発音の目標音を含む単語を表示する第1の工程と、
学習者による前記単語の発音を音声認識手段により単語として認識させる第2の工程と、
前記第1の工程で表示した単語と、前記第2の工程で認識された単
語とが一致するかを判定する第3の工程と、
前記第3の工程で判定結果を前記学習者に表示する第4の工程と、
前記第4の工程で表示された前記判定結果を基に前記第3の工程で不一致と判定された前記単語について、当該不一致の理由を前記学習者が入力するためのコメント欄を表示し
、前記第3の工程で不一致とされた単語の前記第2の工程で認識された単語である誤認識語を表示する第5の工程と
をコンピュータが実行する語学学習用ツール
であって、
前記第1の工程、前記第4の工程及び前記第5の工程により、前記学習者に判定結果画面を表示し、
前記判定結果画面は、
前記学習対象になる発音の目標音を含む単語を表記する学習単語表記欄と、
前記学習者による前記単語の発音を前記音声認識手段により単語として認識させて得た前記単語のスペルと、前記学習単語表記欄に表記された単語のスペルとが一致しているか否かを表記するための正誤欄と、
前記正誤欄に不一致を示す記入がされた場合に、前記音声認識手段により単語として認識させて得た前記単語である前記誤認識語のスペルを表記するための誤認識語欄と、
前記誤認識語欄に表記した前記誤認識語を見て前記学習者が気づいたコメントを前記学習者が入力するためのコメント欄と、
を有している
語学学習用ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音声認識で学習者が自律的に英語等の発音を身に付けるための語学学習用ツール及び語学教授方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、教授者や教材による英語発音知識と音声の提示に基づき、学習者が英語の音声の真似をする受け身型の学習法がとられている。
【0003】
そのため、学習者が自律的に英語の発音習得を進めるための教授法と教材の提案がされている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第二言語習得研究の分野において、言語習得における音声面の重要性は広く認知されている。しかし、カリキュラムや教材、教授法も未発達である。そのため、英語発音の教授は教材に依存する傾向が強い。結果教材の有効性が教授効果の成否に大きく影響する。したがって、効果的に教育現場で導入できる確立した教授法と教授法に基づく教材の開発が必須である。
【0006】
英語発音教育が進展しない理由の一つに英語発音教授法の未確立があげられる。英語発音教授方法と教材、そして、発音技能の定着を目的としたシステム的な教材開発が行われていない。そして既存の教授法や教材には、学習者が実際に声を出し、反復練習通して調音器官を鍛えながら発音技術を体得していくシステム的な枠組みがない。
【0007】
学校教育においても、英語口頭コミュニケーションにおいて国際的に通じる発音を身に付けることは必須の基礎能力であるとの認識は共有している。しかし、現場の教員も発音教育まで手が回らない現状がある。一斉授業で学習者個々の発音の通用性の評価をし、個々に対する改善点の指摘を行うには時間的な制約がある。教員も一定基準をもって個々の学生の発音を一定に評価するには訓練も必要である。教員自身も、発音を学校教育でシステム的に習得した経験が無いため、英語の発音を毎回の授業にシステム的に導入することに消極的である。結果、学習者が英語発音を身に付ける機会が極めて少なく、発音が身につかないままである。
【0008】
学習者の英語発音能力や練習の定着度合いを、手軽に経済的負担をかけずに確認する評価システムまでは開発が至っていない。そのため、学習者も自分の発音能力がどのレベルであるのか確かめる方法を持ち合わせていない。そして、練習をして練習の成果を判断する方法もない。そのため、向上しているのかも分からないまま練習を続ける。そして、実際の英語のコミュニケーションの経験で、通じず困った経験をしても、通じない原因がどこ(どの音)にあるかを見極めることができない上に、練習方も分からないという現状がある。
【0009】
しかしながら、非特許文献1の提案では、日本語母語話者に対する練習の必要な英語の音を網羅していない。加えて、学習者が調音知識を用い、実際に調音できるようになり、安定して発音できるようになるための習得段階に合わせたシステム的な教授方法と教材も提示されていない。
【0010】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされ、効率的且つ効果的に語学を学習及び教授することができる語学学習用ツール及び語学教授方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、所定の言語の単語の学習対象となる発音の目標音を含む単語を表示する第1の工程と、学習者による前記単語の発音を音声認識手段により単語として認識させる第2の工程と、前記第1の工程で表示した単語と、前記第2の工程で認識された単語等とが一致するかを判定する第3の工程と、前記第3の工程で判定結果を前記学習者に表示する第4の工程と、前記第4の工程で表示された前記判定結果を基に前記第3の工程で不一致と判定された前記単語について、当該不一致の理由を前記学習者が入力するためのコメント欄を表示する第5の工程とをコンピュータが実行する語学学習用ツールである。
【0012】
好適には、前記第5の工程は、前記第3の工程で不一致とされた単語の前記第2の工程で認識された単語である誤認識語を表示する。
【0013】
好適には、前記第1の工程、前記第4の工程及び前記第5の工程により、前記学習者に判定結果画面を表示し、前記判定結果画面は、前記学習対象になる発音の目標音を含む単語を表記する学習単語表記欄と、前記学習者による前記単語の発音を前記音声認識手段により単語として認識させて得た前記単語のスペルと、前記学習単語表記欄に表記された単語のスペルとが一致しているか否かを表記するための正誤欄と、前記正誤欄に不一致を示す記入がされた場合に、前記音声認識手段により単語として認識させて得た前記単語である前記誤認識語のスペルを表記するための誤認識語欄と、前記誤認識語欄に表記した前記誤認識語を見て前記学習者が気づいたコメントを前記学習者が入力するためのコメント欄とを有している。
【0014】
本発明は、所定の言語の単語の学習者による学習対象になる発音の目標音の学習前音声認識を行う第11の工程と、前記単語の学習対象になる発音の目標音を画像又は動画を使って視覚的に把握ための調音知識情報を出力する第12の工程と、前記単語の学習対象になる発音の目標音を聴解による把握のために出力する第13の工程と、前記第13の工程で前記学習者が聴解により得たイメージを用いて発音学習を学習者が行う単語を表示する第14の工程と、学習後音声認識を行う第15の工程と、をコンピュータが実行し、前記第11の工程及び前記第15の工程では、前記所定の言語の単語の学習対象となる発音の目標音を含む単語を表示する第1の工程と、前記学習者による前記単語の発音を音声認識手段により単語として認識させる第2の工程と、前記第1の工程で表示した単語と、前記第2の工程で認識された単語等とが一致するかを判定する第3の工程と、前記第3の工程で判定結果を前記学習者に表示する第4の工程と、前記第4の工程で表示された前記判定結果を基に前記第3の工程で不一致と判定された前記単語について、当該不一致の理由を前記学習者が入力するためのコメント欄を表示する第5の工程とをコンピュータが実行する語学教授方法である。
【0015】
好適には、前記第5の工程は、前記第3の工程で不一致とされた単語の前記第2の工程で認識された単語である誤認識語を表示する。
【0016】
好適には、前記第1の工程、前記第4の工程及び前記第5の工程により、前記学習者に判定結果画面を表示し、前記判定結果画面は、前記学習対象になる発音の目標音を含む単語を表記する学習単語表記欄と、前記学習者による前記単語の発音を前記音声認識手段により単語として認識させて得た前記単語のスペルと、前記学習単語表記欄に表記された単語のスペルとが一致しているか否かを表記するための正誤欄と、前記正誤欄に不一致を示す記入がされた場合に、前記音声認識手段により単語として認識させて得た前記単語である前記誤認識語のスペルを表記するための誤認識語欄と、前記誤認識語欄に表記した前記誤認識語を見て前記学習者が気づいたコメントを前記学習者が入力するためのコメント欄と、を有している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、効率的且つ効果的に語学を学習及び教授することができる語学学習用ツール及び語学教授方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る英語教授方法を説明するための図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の英語教授方法を説明するためのフローチャートである。
【
図3】
図3は、ステップST12で表示する調音知識情報を説明するための図である。
【
図4】
図4は、ステップST13で表示する聞き取り用画面を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の学習前音声認識処理及び学習後音声認識処理を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施形態の判定結果画面21を説明するための図である。
【
図7】
図7は、学習後の判定結果画面21を説明するため図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る学習者端末装置5の機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る英語学習用ツール3の機能ブロック図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2実施形態の英語学習用ツール103を説明するための図である。
【
図11】
図11は、本発明に適用される教授法と教材による概要と効果を示す図である。
【
図13】
図13は、本実施例に適応されるセルフモニター力・セルフリペアー力の養成を発音練習の最終目的とした自動音声発音活動の教授法手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る英語学習用ツール及び英語教授方法について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る英語教授方法を説明するための図である。
図1に示すように、英語教授方法を実現するための英語学習用ツール3が、ネットワーク9を介して、学習者が使用する学習者端末装置5と通信可能に接続されている。
【0020】
図2は、本実施形態の英語教授方法を説明するためのフローチャートである。
ステップST11:
英語学習用ツール3は、学習前音声認識処理を行う。
当該学習前音声認識処理では、自動音声認識を利用し、学習単語の学習者の発音を事前確認する。
当該学習前音声認識処理については後に詳細に説明する。
【0021】
ステップST12:
英語学習用ツール3は、英語単語の学習対象になる発音の目標音を画像又は動画を使って視覚的に把握ための調音知識情報を学習者端末装置5のディスプレイに表示する処理を行う。
図3は、ステップST12で表示する調音知識情報を説明するための図である。
英語学習用ツール3は、例えば、
図3に示すように、英単語の発音方法を図式した絵柄、画像や、口の動きの動画を学習者端末装置5のディスプレイに表示する処理を行う。
【0022】
ステップST13:
英語学習用ツール3は、英語単語の学習対象になる発音の目標音を聴解による把握のために音声出力を学習者端末装置5に実行させる。
【0023】
図4は、ステップST13で表示する聞き取り用画面を説明するための図である。
英語学習用ツール3は、目標音が含まれる複数の単語と語句の音声を学習者端末装置5に音声出力させるとともに、例えば、
図4に示すように、それを学習者が聞き取った単語等を入力するための画面を学習者端末装置5のディスプレイに表示する。
学習者は、学習者端末装置5から音声出力された単語・語句を聞き取り、そのスペルを
図4の聞き取り用画面の対応する入力欄に入力する。
【0024】
ステップST14:
学習者端末装置5は、英語学習用ツール3からの指示により、自動音声認識を使用して学習者に自主練習を行わせる。音声認識された単語には丸や線などの印をつけ認識されない。単語はステップST12で発音方法を確認し、例えば、3回以上挑戦する。発音するときは、モデル音を参考にして、元のイメージを頭で作ってから発音すると認識されやすくなる。誤認識されている部分を参考に改善点を自己分析する。
英語学習用ツール3は、誤認識されている箇所を学習者が把握可能な画面を学習者端末装置5に表示する。
【0025】
ステップST15:
英語学習用ツール3は、学習後音声認識処理を行う。
当該学習後音声認識処理では、自動音声認識を利用し、学習単語の学習者の発音を確認する。
当該学習後音声認識処理については後に詳細に説明する。
学習後音声認識は、自律的英語発音学習後の音声認識処理である。
【0026】
図5は、本実施形態の学習前音声認識処理及び学習後音声認識処理を説明するためのフローチャートである。
ステップST21:
英語学習用ツール3は、英語単語の学習対象になる発音の目標音(例えばrの音)を含む単語(単語、語句、文等)のスペルを学習者端末装置5に画面表示する。
【0027】
ステップST22:
学習者は、学習者端末装置5の画面を見て、音声認識ツールを使って、当該画面に表示された単語を発話する。
音声認識ツールは、学習者の発話を音声認識し、当該音声認識した単語のスペルデータを生成する。
英語学習用ツール3は、当該スペルデータが示すスペルを学習者端末装置5に画面表示する(判定結果画面21の一部)。
【0028】
ステップST23:
英語学習用ツール3は、ステップST21で画面表示した単語のスペルデータと、ステップST22で生成したスペルデータとを比較し、一致・不一致を判定する。判定結果画面21は、当該判定結果を含む。
【0029】
ステップST24:
英語学習用ツール3は、ステップST21で表示した単語のスペルと、ステップST23で不一致と判定した単語のステップST12で生成したスペルデータ(誤認識語)と、コメント欄とを含む判定結果画面21を学習者端末装置5に表示する。
コメント欄には、スペルが不一致した単語について、その不一致の理由を学習者が分析した結果を学習者が入力するために用いられる。
【0030】
以下、
図4に示すステップST11及びステップST15で表示する判定結果画面21について説明する。
図6は、本実施形態の判定結果画面21を説明するための図である。
図6に示すように、判定結果画面21は、例えば、学習対象単語欄31,学習回数欄33,正誤欄35,誤認識語欄37,コメント欄39を有している。
図6に示すように、判定結果画面21では、学習回数欄33、正誤欄35,誤認識語欄37がマトリクス状に配置されている。
学習回数欄33は、左から右に向けて列報告に複数配置されている。
また、各々の学習回数欄33に対応付けて、正誤欄35、誤認識語欄37が行方向に上から下に向けて配置されている。
また、複数の学習回数欄33の誤認識語欄37の下には、複数の学習回数欄33に跨ってコメント入力欄39が設けられている。
コメント入力欄39に表示する内容は、学習者の上述した学習状況を基に、英語学習用ツール3が自動的に生成してもよい。
【0031】
学習回数欄33の左側には、学習対象単語欄31が配置されている。
また、学習回数欄33の右側には、一致回数欄41と、初一致回数欄43とが表示されている。
一致回数欄41は、正誤欄35の一致の回数を入力(記入、表示)する欄である。
初一致回数欄43は、正誤欄35の初回一致の回数を入力させる欄である。
一致回数欄41及び初一致回数欄43に入力された値を基に、学習者の学習レベルを確認できる。
【0032】
図2に示すステップST11の練習前確認では、判定結果画面21には例えば、
図6の下方のように学習者が入力を行い、ステップST12,ST13及びST14を経て、ステップST15においては、例えば、
図7に示すように学習者が判定結果画面21に記入する。これにより、学習成果を確認できる。
【0033】
以下、学習者端末装置5の構成について説明する。
図8は、本実施形態に係る学習者端末装置5の機能ブロック図である。
図8に示すように、学習者端末装置5は、例えば、ディスプレイ51,操作部/入力部54、通信部55,データベース57,メモリ59及び処理部61を有する。
【0034】
ディスプレイ51は、処理部61からの信号に基づいた画像を表示する。ディスプレイ51は、上述した処理において、学習者端末装置5に表示する画面を表示する。
通信部55は、英語学習用ツール3と通信を行う。
操作部/入力部54は、タッチパネル、キーボードやマウス等の操作手段である。
データベース57は、処理部61で使用する各種データを記憶する。
メモリ59は、処理部61が実行するプログラムを記憶する。
処理部61は、メモリ59に記憶されたプログラムPRG1を実行して、本実施形態で規定する学習者端末装置5の処理を行う。
英語学習用ツール3からの処理により、処理部61によってディスプレイ51には、
図6及び
図7に示すような判定結果画面21が表示される。
【0035】
以下、英語学習用ツール3の構成について説明する。
図9は、本実施形態に係る英語学習用ツール3の機能ブロック図である。
図9に示すように、英語学習用ツール3は、例えば、通信部75、入力部77、メモリ79及び処理部71を有する。
【0036】
通信部75は、学習者端末装置5と通信を行う。
入力部77は、外部からデータを入力する端子等である。
メモリ79は、処理部71が実行するプログラムを記憶する。
処理部71は、メモリ79に記憶されたプログラムPRG2を実行して、本実施形態で規定する英語学習用ツール3の処理を行う。
【0037】
以上説明したように、本実施形態では、英語学習用ツール3を使うことで、学習者が効率的且つ効果的に英語を学習できる。
【0038】
<第2実施形態>
上述した実施形態では、英語学習用ツール3としてコンピュータ処理を用いた場合を例示したが、本実施形態では、紙等のシート状の英語学習用ツール103(語学学習教材)と、それを用いた英語学習方法について説明する。
【0039】
図10は、本発明の第2実施形態に係る英語学習用ツール103を説明するための図である。
図10に示すように、英語学習用ツール103は、例えば、学習対象単語欄31,学習回数欄33,正誤欄35,誤認識語欄37,コメント欄39を有している。
図10に示すように、英語学習用ツール103では、学習回数欄33、正誤欄35,誤認識語欄37がマトリクス状に配置されている。
学習回数欄33は、左から右に向けて列報告に複数配置されている。
また、各々の学習回数欄33に対応付けて、正誤欄35、誤認識語欄37が行方向に上から下に向けて配置されている。
また、複数の学習回数欄33の誤認識語欄37の下には、複数の学習回数欄33に跨ってコメント入力欄39が設けられている。
【0040】
学習回数欄33の左側には、学習対象単語欄31が配置されている。
また、学習回数欄33の右側には、一致回数欄41と、初一致回数欄43とが位置している。
一致回数欄41は、正誤欄35の一致の回数を学習者が入力(記入、表示)する欄である。
初一致回数欄43は、正誤欄35の初回一致の回数を学習者に入力させる欄である。
一致回数欄41及び初一致回数欄43に入力された値を基に、学習者の学習レベルを確認できる。
学習者が、学習過程で、英語学習用ツール103の各欄に記入を行う。
【0041】
英語学習用ツール103を使った英語学習方法は、コンピュータを使わない点を除いて、
図2に示す流れと同じである。
すなわち、学習者は、
図2に示す流れの学習工程のステップST11、ST14及びST15において、学習者が
図10に示す英語学習用ツール103を使って、音声認識を使った学習を行い、その結果を英語学習用ツール103の各欄に筆記具を使って記入する。
ステップST12、ST13は、学習者の学習者端末装置5を使った調音知識情報の表示(発音方法理解)や目標音出力(実践練習)を第1実施形態で前述したように行う。
【0042】
本実施形態の教材は、例えば、書籍であり、
図2に示すステップST11を説明する第1のページと、ステップST12を説明する第2のページと、ステップST13を説明する第3のページと、ステップST14を説明する第4のページと、ステップST15を説明する第5のページとが順に含まれている。少なくとも第1のページ及び第5のページには英語学習用ツール103が表記されている。
なお、学習者は、第1実施形態の英語学習用ツール3と、第2実施形態の英語学習用ツール103とを併用して学習をしてもよい。
例えば、第1実施形態で説明した英語学習用ツール3が表示する画面のうち一部は、画面表示ではなく、英語学習用ツール103の対応する箇所やページを参照するように指示を出してもよい。
また、英語学習用ツール103の各ページに、英語学習用ツール3のサービスを学習者端末装置5で利用して練習等をするように指示する表記を設けてもよい。表記は、画面へのリンク等であってもよい。
以上説明したように、本実施形態では、英語学習用ツール103を使うことで、学習者が効率的且つ効果的に英語を学習できる。
【0043】
本発明の英語学習用ツール3,103を用いた英語発音教授法と教材は、自主学習においても、小学校・中学校・高等学校・大学等の一斉授業においても、一定の基準において、自分の発音のフィードバックを瞬時に手軽に受けることができる。そして、そのフィードバックを自己分析する技術(セルフモニター力)と、教材として提示されている明示的な発音方法の情報ベースに自分で練習し、その結果、発音修正のできる技術(セルフリペアー力)を身に付けることができる。その点において、本発明の英語発音教授法と教材は革新的・画期的と言える。
【0044】
また、本実施形態の効果は、学習者が、音声認識を発音学習の中核とした教授法及び教材による英語発音学習により英語発音を自律的に身に付けることである。本教授法及び教材での発音学習では、学習者が従来の音声認識を用い、瞬時に、そして手軽に自らの発音をモニターすることができる。そして、その認識結果を学習者自身が記述分析することで、自らの発音の通用性と改善の必要な音を見極める技術(セルフモニター力)が身につく。そして、学習者は、学習者自身が突き止めた改善の必要な音を、教材内に提示した獲得目標音の解説と図・モデル発音動画・音声等を用いて主体的に練習し、発音を改善することができる。結果、自ら自分の発音を修正できる技術(セルフリペアー)が身につく。この2つの能力は「知識」と「技術」より成る。学習者が発音習得において重要な、セルフモニターとセルフリペアー技術の2つの技術の習得を可能にすることは、学習者が自律的にそして効率的に発音力を向上させる。
日本人英語学習者の多くが、英語で話しても通じない事態に出会うと自信を失う。しかも、なぜ通じないのか分からないことも多い。学習者が、この状況を克服し、結果的に自信も持てるようになる教授法と教材である。なぜ通じないのかを学習者が自分の英語音声の諸相において分析的・診断的に理解でき、その知見を処方的に活用できるのである。その結果、日本語を母語とする英語学習者が、国際英語発音を自ら身に付けることができる。本教授法と教材は、校種や年代を問わず、学習者が、自主学習において、また学校教育の中で、効果的に発音を身に付けることができる。また、英語以外の言語についての発音習得にも広く応用できる教授法と教材である。
【0045】
教科書の導入現場は、半数以上が「英語専門」や「英語教員養成」を目的とした授業での導入であるという特徴があった。この状況は、以前、発音教育が限られた特殊な能力を養成するための領域であるという認識を反映している。そこで、より広い教育現場での導入促進を目的とした本発明に至った。教授者と学習者双方にとって利便性と教育効果を更に高めることが必要であると考えた。
【0046】
本開発では、学習者の発音習得に深くかかわるセルフモニター力とセルフリペアー力技術の養成を中核に置いた。学習者は本教授法と教材を用いた発音学習で、発音習得を進めると同時に、実践で役立つこの2つの技術習得を自律的に身に付ける。セルフモニター力は、自分で自分の英語発音を分析し、意思疎通を阻害する音を突き止める技術能力である。セルフリペアー力は、セルフモニター力によって学習者自身が突き止めた意思疎通を阻害する音を学習者が自分で修正できる技術能力である。この2つの技術を身に付けることは、実際のコミュニケーション場面で意思疎通がうまくいかなかったときに通じなかった音を特定し、自己修正をして会話を続けることが可能となる。音声認識活動を中核とする本教授法と教材は、練習過程において、異なる目的で用いることで、学習者が、自律的に国際英語発音を身に付けていくことを可能とする。
【0047】
図11は、本発明に適用される教授法と教材による概要と効果を示す。
(1)学習目標、(2)学習者の特徴(学習者のニーズ分析)、(3)教授法・教材、(4)学習者の心理面の肯定的変容、(5)学習者の習得技術使用実践場面が図示されている。
【0048】
(1)教授者(教材内における指示)は、学習者が英語の発音の学習を開始する際、学習者が学習により身に付ける学習目標1(発音の到達目標、目標音、セルフモニター技術、そして、セルフリペアー技術)を提示し教授を開始する。学習者の最終到達目標は、学習者が国際英語による口頭コミュニケーションを円滑に進めるための発音技術の習得である。学習者は、本教授法と教材の最大の特徴である、口頭コミュニケーション時の発音による問題や困難を、セルフモニター技術によって個別具体的に取り出す技術とセルフリペアー技術を用い自分の発音を分析し、自己の調音を修正する能力を身に付ける。
【0049】
(2)学習者の特徴2は、学習者の英語発音や発音学習についてのニーズ分析結果である。学習者は、以下の特徴がある。英語で口頭コミュニケーションの経験がほとんどない。英語の発音の練習経験がない。英語の発音練習は難しそうである。通じる発音を身に付けたいが、発音の練習方が分からない。英語を発することに勇気がいる。過去に英語の会話が通じなかった経験から、英語を発することに、心理的な高い障壁がある。しかし、どう克服してよいか分からない。学習者は英語の発音に対しネガティブな思いを持ち合わせている傾向にあることが分かる。
【0050】
(3)本実施例に適用される開発教授法と教材3は、個々の英語学習者を対象とした英語発音の自律学習教材である。「書籍1冊」と「スマートフォンやPCなどのディバイスに搭載されている既存の音声認識機能」が一式で構成されている。タブレット等携帯端末に電子版書籍教材と音声認識装置を一体としたものでもよい。
【0051】
音声認識活動を中核とする教授法と教材での学習を通して、学習者は学習目標音を5つのステップで発音の知識と技術を積み上げ身に付けていく。本教授法と教材は、中核に音声認識活動を据えた。そして、学習者が目標学習音を実際に声を出しながら、発音学習を進めていく枠組みとしくみを構築した。学習者がいつでも手軽に気兼ねなく瞬時に自分の発した発音のフィードバックを得てセルフモニターを行う。そして、セルフリペアーにより自分の発音を修正しながらシステム的に学習者が英語発音学習に能動的思考をもちながら発音を向上していく特徴をもつ本教授法と教材である。
【0052】
この教材で扱う音声学的要素は、日本語を第一言語とする英語学習者が発音練習することによって通用性が格段に上がるものに絞った。対象音は、子音16音、17音計23音である。調音時の動きが分かりやすい子音から導入する方略をとった。
【0053】
学習者が目標音の発音知識を分かりやすく獲得するための明示的アプローチの方略もとった。調音法をステップごとに解説した文字での説明、調音器官のイメージを視覚的に提示するための図が
図10を作成した。加えて、目標音と目標音を調音するための調音器官の動きを聴覚的・視覚的にイメージし、モデル発音の模倣できるよう、計110本の音源と12本の動画も開発した。音源と動画は、学習者がインターネット上からQRコード(登録商標)よりアクセスし、いつでも何度でも視聴できる提供方法とした。
【0054】
発音技能の習得には、実際に調音器官を実際に動かすことが不可欠である。実際に調音器官を動かすことを繰り返し、反復して練習を続ける結果、安定して調音できるようになる。学習者が新しい音を練習し始めた時には調音器官や調音周辺器官に不必要に力が入っていて、第三者から見てもぎこちなさが分かる。段階的な反復練習を積むことで、調音器官を効果的に動かす運動能力が鍛えられる。そして次第に過度な意識をすることなく安定して調音器官を動かすことができるようになる。
【0055】
本教授法と教材は、音声認識活動を行うことで、実際に声を出して練習しなければ学習者が教材内のタスクを完成できないしくみを設計した。教材は、学習者が主体となり、自らが小さな活動にステップごとに取り組み、積み上げていく教授方略をとり教材を開発した。
【0056】
発音練習は、単調で機械的になりがちである。しかし、調音を安定するには反復練習が欠かせない。そのような発音練習を楽しみながら無理なく続けられるような仕組みも盛り込んだ。学習者の情意面に肯定的に働きかける効果のあるリズムベースの活動を複数設計した。
【0057】
本教授法と教材の最大の特徴は、学習者の発音を判定する方法を開発した点にある。本開発教授法の音声認識活動は、学習者自身が自分の発音を一定の基準で評価できる。そして多額の費用や時間もかけることなく、いつでも、どこでも何度でも気軽に練習することができる。人間相手ではないので、気兼ねする必要もない。そして、学習者が開発教授法と教材で提示した音声認識活動で学習することにより、学習者の発音の向上と実践に役に立つセルフモニター力とセルフリペアー力の技術習得も可能とする。学習者が能動的思考を養いながら、気づきをもち、かつ自律的に学習をコントロールしながら発音能力を身につけていくシステム的な英語発音教授法と教材である。
【0058】
(4)本教授法・教材は、学習者の心理面の肯定的変容4も教授の目的とした。実際に声に出して発音練習に取り組むことで、英語口頭コミュニケーションへの興味・関心・モチベーションを高め、実際に英語を使ってみたいという気持ちをはぐくむ。同時に、英語による口頭コミュニケーションをとることに自信をつける。学習者が実践で困ったときに発音による逸脱したコミュニケーションの軌道修正を行うセルフモニター技術とセルフリペアー技術とを身に付けておくことで、英語の発話に対する心理的な負担も軽減することができる。学習者が自らの英語発音や英語コミュニケーションに対する心理的変容を振り返ることを目的とした、複数回の自己確認教材も設計した。
【0059】
(5)学習者の習得技術使用実践場面5は、身に付けた発音技術を実践で応用できる場面を示す。ここで有効になるのが、本教授法と教材により学習者が身に付けた発音知識と発音技術、そしてセルフモニター技術とセルフリペアー技術である。
【0060】
学習者が実際の英語使用中に、意思疎通がうまくいかないと感じた瞬間に、自分の発話をセルフモニターし、その結果自分の発音に修正する必要があると気づく。学習者の習得技術使用実践場面5では、学習者が海外でバニラ味のアイスクリームを注文したにもかかわらず、店員である対話者が学習者の発音を理解できず、学習者の発した音に近そうな語を店員の認知機能を使い探しだし、コミュニケーションを成り立たせようとする。しかし、店員は、学習者が注文した味とは異なる味と認識した。
【0061】
そこで、学習者は、自分の発した単語と店員が推察した単語の音声的におけるセルフモニターを行う。そして、学習中に獲得した発音知識を用い発音修正箇所を突き止める。そして、学習で身に付けた発音で発音修正の必要な個所を修正する、セルフリペアーを行う。結果、学習者が口頭コミュニケーションを成り立たせ、目的を達成することができる。
【0062】
図12は、学習者が使用する教材全体の構成を示す。学習者には学習開始時にこれから取り組む練習の全体像を示す役割を果たす。教授法と教材全体を通して、難解に聞こえがちである音声学・音韻論で用いられる用語限定し、分かりやすい言葉に置き換え使用した。専門用語を用いるときには説明を加えた。
【0063】
本教材は、本編を16章(Day0-Day15の)で構成した。巻頭に「あいさつ」と「音声と動画の利用方法」、巻末に本編の練習問題の「解答」と「あいさつ」で構成した。学習者はDay0の「本書の使い方」の説明を読み学習の全体像を把握することから学習を始める。
【0064】
学習者の習得目標音である分節音は16の子音と7母音、計23音である。習得目標音素は、著者のアメリカでの英語母語話者、非母語話者、計43名の実地聞き取り調査と文献研究より精選した。日本人が訓練により音声コミュニケーションの阻害が減るものに限った。そして、学習者にとって発音調音器官の動きが外から観察しやすい子音から練習を開始する方略を取った。
【0065】
そして、超分節音である、ストレス、リズム、イントネーションは、Coffee Break5で明示的アプローチを用い導入する構成とした。そして、学習者の発音についての理解と気づきが深まるよう、「英語の発音のしくみ」の教材を開発しCoffee Beak 4に配列した。「英語の発音のしくみ」学習教材は、日本語による英語発音構造の説明と練習問題から成る。
【0066】
また、学習者が練習の成果を異なる方法で自己確認できるよう発音知識と技術の両面で確認する復習ユニットを配列した(Day1、Day5, Unit 8、Unit 11)。学習者が自分の発音を録音し、評価する活動である。
【0067】
実際の会話の中で発音における意思疎通がうまくいかなかった例を紹介する「通じないあるある」という項目をCoffee Break1とCoffee Break6に提示した。セルフモニターとセルフリペアー技術がどのように実践で役に立つのかを提示する役割を持つ。また、学習者自らに能動的思考を働かせる教材も作成した。発音による口頭コミュニケーションが成り立たなかった例を例示し学習者に、意思疎通がうまくいかなかった理由とその修正法を考える教材を開発した。
【0068】
図12は本実施例に適応されるセルフモニター力・セルフリペアー力の養成を発音練習の最終目的とした自動音声発音活動の教授法手順を示す。第一に教授者(教材内の指示)が、学習者に対し目標音を含む語、語句、又は文レベルの提示を行う。ここでは「語」レベルの例vanillaという単語を用いる。学習目標音は/v/である。
【0069】
学習者に、音声認識を用い、目標音を含む語vanillaの発音確認を指示する。学習者の音声認識の結果「学習目標音を含む語」vanillaと「学習者が発音した語」vanillaが一致した場合は、確認終了となる。
【0070】
不一致の場合は、学習者に音声認識で誤認識された語 bananaとメモを取り記録をするように指示する。そして「学習目標音を含む語」vanillaと「誤認識語」bananaの違いを音声的側面より自己分析するように学習者に指示する。学習者が分析の結果、/v/と/l/の発音が誤認識されていることを突き止め、2音の修正が必要であると認識する。
【0071】
図13は、本実施例に適応される発音練習の最終目的であるセルフモニター力と・セルフリペアー力の養成を目的とした英語発音の教授法手順を示す図である。本教授法は、学習者に、5段階で目標音の発音を教授する。教授対象音は、超分節音である、子音と母音である。
【0072】
ステップ1では、練習前の学習者の学習対象になる目標音の発音能力を単語レベルで確認する指示である。ステップ2では、英語単語の学習対象になる発音の目標音を明示的アプローチで調音知識を教授する。ステップ3では、英語単語の学習対象になる発音の目標音の実践練習を指示する。まず、文字(文字による調音方法の段階的解説、そして、図による調音器官と位置の視覚的提示により調音のポイントを理解させ、その後、学習者にQRコード(登録商標)より動画にアクセスして学習するように指示をする。動画と音を参照させることにより、調音器官の動きと動きから出てくる音により発音のイメージをつかむ。そして目標音に関する文字による学習音声に関する調音法のコツや日本語の代替え音として見られる音の説明や、目標音とつづりの関係などの周辺知識を説明する。ステップ4は、英語単語の学習対象になる発音の目標音の音声認識を単語、フレーズ、文と段階的にレベルを上げながら練習と確認を行うよう指示をする。そして、ステップ5は、英語単語の学習対象になる発音の目標音の練習後の音声認識活動を行う。音声認識を行う単語は、ステップ1と同じ6語である。
【0073】
図3は、教材で提示する発音知識情報の例である。個々の学習者により、調音知識を理解する際に、より理解しやすい方法が異なる。多角的に学習者に調音方法の情報を提示することで、個々の学習者に合った情報を提示することで、個々の学習者に合った情報の提示をした。情報は、文字(文字によろう調音方法の段階的指示)、図(調音器官と調音一の視覚的提示)、動画と音(調音器官の動きと動きから出てくる音)文字による学習音声に関する調音法のコツや日本語の代替え音として見られる音の説明、目標音とつづりの関係などの周辺知識が格納されている。学習者はまず調音方法の文字説明を読む。そして文字説明の情報を基に、図から調音法の理解を深める。調音方法で理解したポイントが、図を見るときに図を読み解く役割を果たす。
【0074】
次に学習者が動画にQRコード(登録商標)にアクセスする。学習者がいつでも何度でもアクセスできる。学習者はその動画と音を繰り返し聞き、そして実際の音と口の動きを音と調音の実際の動きを確認する。動画は調音に必要な口元だけが大きく映っている。視聴時に見るポイントを限定でることが目的である。確認時には文字や図で得た調音知識を用い真似をする。言語聴覚士のアメリカ英語母語話者が発音モデルである。動画では、発音モデル者が、単元の学習音を5回読み上げ、その後、新規学習音が子音の場合は、子音+/a/、母音の場合は母音のみを読み上げる。その後目標学習音を単語の語頭、語中、語尾、に配列しそれぞれ3回ずつ読み上げる。発音モデルが発音する音はキャプションが動画の画面に表示される。>この方法以外でもよい?
【0075】
教授者は、
図3の文字と図による説明とQRコード(登録商標)からアクセスするモデル音声と動画を使用し、学習者に発音法を確認・練習するよう指示をする。加えて教授者は、学習者が練習の過程においても、音声認識を用いて随時自分の発音を確認、そして修正しながら練習をするよう指示をする。学習者は、自主学習を行う。学習者は「学習目標音を含む語」と「学習者が発音した語」が一致するように音声認識も使用しながら練習をする。
【0076】
図6は本実施例に適用される発音のセルフモニターの為の音声認識教材である。学習対象になる英語単語の発音の目標音を配置した易しい英語単語を提示する。1つ目の項目は、学習者が発音した学習対象の英語単語の発音を音声認識手段が認識した結果が学習対象の英語単語の発音と一致している場合〇、異なる場合は音声認識手段が認識した結果の英語単語を記入する。このセルフモニターを複数回実行し結果を記入する。
【0077】
1単語における音声認識の確認を3回とし、それぞれの回数を1回目、2回目、3回目として学習者が認識結果の記入を可能としている。また、この学習の認識結果や分析結果を記入するコメント欄を設ける。さらに、右隣に複数回実行しセルフモニターの結果の認識回数、セルフモニターの結果が最初から認識されたことを記入する認識初回という欄を設けている。このように発音のセルフモニターの為の音声認識教材を用いることにより、学習者は、学習対象の英語単語の発音に対して、現状で発音能力が十分かどうか、どの部分の音素に発音の修正練習が必要か明確になる。
【0078】
図6、
図7及び
図10は音声認識活動の取り組み方を学習者に説明する教材である。学習者は、本書による学習開始時に、記入例を参考にし、記入方法を文字と図で理解する。
【0079】
セルフモニター活動の教材は、教授目標や目的に合わせ複数の形式に応用した。
図10は、その1例である。新規音の練習開始前の現状把握の音声認識活動である。例として、/r/が目標音の音声認識活動を上げる。この音声認識に使用されるのは、単語1rain、 単語2right、単語3work、 単語4pray、 単語5ring、 単語6grassの6単語である。単語に/r/の音が含まれる。語彙レベルが易しく、利用頻度の高い単語を抽出した。学習者は1つの単語につき
図10に示した記載例と上記の説明における手順で音声認識活動を完了させる。学習者は単語1~単語6の順に認識活動を行う。そして、学習者が6音の発音認識を行った結果を記入する。記入するのは、6音それぞれの認識初回の合計と認識回数の合計である。最後に、学習者自身の活動の結果を受けての分析と感想を記入する。
【0080】
本教授法と教材の中核に位置付けた音声認識結果は学習者がセルフリペアー力をつける材料になる。学習者が音声認識結果により自分の意図した発音とは異なる認識結果が表出された結果を記入した「誤認識語」がセルフリペアー力を養うための材料となる。教材内には、調音知識を獲得するための情報が格納されている。学習者はそれらを参照し、学習者自身でセルフモニターの結果より発音の修正練習が可能になる。
【0081】
本実施例に適用される開発教授法と教材では、調音知識獲得(文字説明・図・音声・動画)に加え、リズムベースの情意効果のある活動による楽しい反復調音練習も組み込んだ。また、知識の獲得と技術の獲得の度合いを見るために、知識を確認する練習問題も盛り込んだ。学習者が練習問題を解き、巻末の回答を自分で確認する。その結果、学習者の知識の獲得の成否の判断を学習者が行える。練習問題の回答が間違っていた場合は間違っていた音の発音法や解説を改めて確認する。そして理解できた時点で、実践に移る機会となる。
【0082】
本発明の教授法教材を用いることで、学習者が知識の獲得と音をイメージするだけでなく、実際に声に出し調音精度を高める効果をもつ。また、実際に声を出さずには活動を完成させることができない仕組みである。手軽に瞬時そのフィードバックを得て、誤認識語を書き込み、結果を分析するというプロセスを記録にとり学習を進めていくという自律的な学習スタイルを確立させた。自主学習において、単調な発音練習においても、学習者が練習成果を確認できることは、学習者が効率的にそしてモチベーションを持続しながら発音の練習を続けていくことができる。本発明は、学習者と教授者双方にとっての利便性と教育効果を高める教授法と教材である。より広い教育現場や学習者に対する英語音声の教授を促進することが可能である。そして英語発音指導を通して、日本語母語話者の英語の通用性を高め、英語口頭コミュニケーションの向上を可能とした。
【0083】
この開発の最大の新規性は、学習者自らが音声認識活動を行いその結果を、自分自身で認識記録として記入し、獲得した音声知識を用いて自己分析による発音向上に必要な音を抽出し、修正し、コミュニケーションを成り立たせる技術を身に付けることである。この教授法と教材は、実際に学習者が声を出す仕組みを作った実践型である。そしてこの一連のプロセスの結果を学習者が記録として残すしくみ作りは、練習プロセスと個々の学習者の上達の見える化を可能とした。この方略により、学習者が学習の振り返りを行う時に、達成感を感じることができる。これは口頭コミュニケーションや、更なる発音改善への練習を続けるための原動力となる。
【0084】
教材内の指示に従って小さな活動を積み重ね、練習の成果も逐一確認できる。これは学習者のモチベーションにも直結する。練習をしていても上達しているか分からない、またやみくもに音を出しているのではなく、確実にできるようになっていることが確認できると学習者はディバイス相手でも嬉しいと感じる。また発音できない音がこのシステムで逐一抽出できるため、必要な音を効率的にトレーニングできる。
【0085】
本教授法と教材で発音練習をすることにより、英語発音に対する興味・関心・モチベーションを持続する。また、そして実践練習を積み上げやすい点において、発音することに対する心理的な壁が低くなる。実際の会話で通じなかったらどうしようと心配する必要もない。話し相手に気兼ねする必要もなく、いつでも何度でも気軽に繰り返して自分の発音能力を確認することができる。
【0086】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0087】
例えば、上述した実施形態では、本発明を英語学習に適用した場合を例示したが、本発明を英語以外の語学学習に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は英語学習用システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
3,103…英語学習用ツール
5…学習者端末装置
21…判定結果画面
31…学習対象単語欄
33…学習回数欄
35…正誤欄
37…誤認識語欄
41…一致回数欄
43…初一致回数欄
【要約】
【課題】 効率的且つ効果的に語学を学習及び教授することができる語学学習用ツール及び語学教授方法を提供する。
【解決手段】 所定の言語の単語の学習対象となる発音の目標音を含む単語を表示する。学習者による前記単語の発音を音声認識手段により単語として認識させる。前記表示した単語と、前記認識された単語等とが一致するかを判定し、その結果を表示する。判定結果を基に不一致と判定された前記単語について、当該不一致の理由を学習者が入力するためのコメント欄を表示する。
【選択図】
図5