(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】除草ヘッド
(51)【国際特許分類】
A01M 21/02 20060101AFI20250513BHJP
【FI】
A01M21/02
(21)【出願番号】P 2025035930
(22)【出願日】2025-03-06
(62)【分割の表示】P 2024189338の分割
【原出願日】2024-10-28
【審査請求日】2025-03-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524394955
【氏名又は名称】株式会社カインド
(74)【代理人】
【識別番号】100180976
【氏名又は名称】野村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】車田 浩司
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-117247(JP,A)
【文献】特開平7-163285(JP,A)
【文献】特開2008-263936(JP,A)
【文献】特開2019-080522(JP,A)
【文献】特開2022-96433(JP,A)
【文献】中国実用新案第202496338(CN,U)
【文献】特許第7651227(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 21/00-21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱を備えた除草ヘッドであって、
平板部分を有し、前記平板部分の一方面側の略中央に前記支柱の一端が垂設され、前記平板部分に設けられた孔を介して前記平板部分の他方面側へ熱湯を送るベース部と、
前記ベース部の前記他方面側において前記ベースの縁部分を囲むように設けられ、先端に尖鋭部分が設けられた囲い部と、
を備えた除草ヘッド。
【請求項2】
前記囲い部の囲い内に配置され、先端に尖鋭部分が設けられた刃部をさらに備えた、請求項1に記載の除草ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱湯によって除草を行う除草ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱湯を利用して除草する技術が知られている。例えば、特許文献1には、熱湯を利用して手軽に除草できるようにケトル注ぎ口先端に蓮口を設けた熱湯式除草器が開示され、特許文献2には、熱湯(蒸気ではない)を植生している雑草に対し、安全迅速且つ適確に注湯して枯殺可能とするジョーロが開示される。
【0003】
また、特許文献3には、手押ハンドル付き台車の台上に給湯部と、給湯部のバーナーに燃料を供給する燃料タンクと、給湯部に水を供給する水タンクとを搭載すると共に、給湯部に耐熱ホースを介して噴出ノズルを連結した熱湯除草器が開示される。また、特許文献4には、手押し式台車上に、燃料タンク付バーナー、該バーナーの加熱部に面して噴射液タンク、該噴射液タンクの排出口に関連させた噴射手段ないし噴射管を搭載させて成る除草機が開示される。
【0004】
特許文献5には、自然環境に悪影響を与えることなく線路周辺の除草作業を行うことのできる作業車両が開示される。また、特許文献6には、ボイラーと把持部付熱湯噴出部との間を熱湯送管により接続し、ボイラーには、ポンプとバーナーとを設け、把持部付熱湯噴出部に給湯管開閉バルブを配設してなる植物枯死用熱湯噴出装置が開示される。特許文献7には、雑草を高温熱湯により除草する除草機具が開示される。そして、特許文献8には、ジュール熱による加熱で種子の発芽の抑制および雑草の除去を可能とし、家庭菜園等の使用に適した発芽抑制方法が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-111075号公報
【文献】実用新案登録第3041267号公報
【文献】特開平09-117247号公報
【文献】特開平07-163285号公報
【文献】実用新案登録第3147516号公報
【文献】実開平05-085281号公報
【文献】特開2008-263936号公報
【文献】特開2019-080522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、熱湯を利用して除草を行う装置や考え方は従来より知られているものの、単に熱湯を雑草にかけただけでは十分な除草効果を得ることはできない。また、広範囲に生える雑草を除去するには、ケトルやジョーロでは不十分である。一方、車両のような大がかりな装置では、狭いスペースに生える除草を除去することは困難である。
【0007】
本発明は、機動的かつ広範囲で効果的に雑草を枯らすことができる除草装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、台車に搭載されたガスボンベと、台車に搭載され、ガスボンベのガスを燃料として水を加熱する給湯器と、給湯器に接続され、給湯器で生成した熱湯を送る可撓性を有する耐熱ホースと、耐熱ホースを介して前記熱湯の供給を受ける除草ヘッドと、を備え、除草ヘッドは、耐熱ホースの一端が接続され、耐熱ホースを介して供給された熱湯を通す中空部を有する支柱と、平板部分を有し、平板部分の一方面側の略中央に支柱の一端が垂設され、支柱の中空部を通った熱湯を平板部分に設けられた孔を介して平板部分の他方面側へ送るベース部と、ベース部の他方面側においてベースの縁部分を囲むように設けられ、先端に尖鋭部分が設けられた囲い部と、を有する除草装置である。
【0009】
このような構成によれば、可搬性を備えた台車にガスボンベおよび給湯器が搭載されているため、熱湯の供給源がコンパクトで場所を選ばず運ぶことができる。また、給湯器で熱湯を生成することから、連続して十分な量の熱湯を生成して供給することができる。除草作業を行う際には、除草ヘッドの支柱を持ってベース部を雑草の上から押し付け、給湯器で生成した熱湯をベース部の他方面側へ送り込む。ベース部の他方面側には囲い部が設けられているため、熱湯は除草ヘッドを押し付けた土壌とベース部との間、すなわち囲い部の囲い内に充填され、雑草が熱湯漬けにされる。また、囲い部の先端には尖鋭部分が設けられているため、除草ヘッドを雑草の上から押し付けることで尖鋭部分によって土壌内の雑草の根を切断し、成長点を根から分離して、成長点に確実に熱湯を浴びせることができる。
【0010】
上記除草装置において、囲い部の囲い内には、先端に尖鋭部分を設けた刃部が設けられていることがより好ましい。これにより、囲い部のみならず、囲い部の囲い内に設けられた刃部の尖鋭部分によっても雑草や根を切断破壊できるようになる。
【0011】
上記除草装置において、支柱には、支柱の中空部を通る熱湯の温度を測定する温度計が設けられていることが好ましい。これにより、吐出する熱湯の温度を作業者の手元で把握することができる。
【0012】
上記除草装置において、台車には、給湯器へ電力を供給する蓄電池が搭載されていてもよい。これにより、外部から電源を得られない場所でも給湯器へ電力を供給して熱湯を生成することができる。
【0013】
上記除草装置において、台車には、給湯器への水の供給量を計測する量水器が設けられていることが好ましい。これにより、外部から水の供給を受ける際に供給量を量水器によって把握することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、機動的かつ広範囲で効果的に雑草を枯らすことができる除草装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る除草装置を例示する全体図である。
【
図2】本実施形態に係る除草装置のベース部を例示する模式斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る除草装置の除草ヘッドを例示する模式断面図である。
【
図4】本実施形態に係る除草装置を用いた実験の様子を例示する図である。
【
図5】(a)および(b)は、本実施形態に係る除草装置の除草効果を例示する図である。
【
図6】(a)および(b)本実施形態に係る除草装置の除草効果を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0017】
(除草装置の構成)
図1は、本実施形態に係る除草装置を例示する全体図である。
図2は、本実施形態に係る除草装置のベース部を例示する模式斜視図である。
図3は、本実施形態に係る除草装置の除草ヘッドを例示する模式断面図である。
本実施形態に係る除草装置1は、熱湯Hを利用して雑草Wを枯らす装置である。除草装置1は、台車Cに搭載されたガスボンベ10および給湯器20と、給湯器20で生成した熱湯Hを送る耐熱ホース30と、除草ヘッド40と、を備える。熱湯Hを生成するための給湯器20およびガスボンベ10は台車Cに搭載されているため、作業者1人が人力で容易に持ち運ぶことができる。
【0018】
給湯器20としては、例えば市販の業務用ガス給湯器(32号など)が用いられる。台車Cには給湯器20のコントローラ21が取り付けられる。給湯器20はガスボンベ10のガスを燃料として水を加熱する。これにより、32号程度の業務用ガス給湯器であれば、60℃以上(例えば、84℃以上)の熱湯Hを毎分32Lで連続供給することができる。除草に用いる熱湯Hの温度は高いほどよいが、60℃以上あればよい。また、熱湯Hの供給量は毎分20L以上あるとよい。
【0019】
給湯器20に供給する水は、外部(例えば、蛇口)から図示しないホースによって水道水を送り込むようにする。また、川やプールなどの水をポンプで組み上げて給湯器20へ供給するようにしてもよい。この場合、水に含まれるゴミなどをフィルタによって除去してから供給することが好ましい。また、台車Cに水のタンクを搭載して給湯器20へ供給してもよいが、可搬性や長時間の連続使用を考慮すると外部から供給を受けることが好ましい。
【0020】
台車Cには、給湯器20への水の供給量を計測する量水器60が設けられていることが好ましい。これにより、外部から供給を受ける水の供給量を量水器60によって把握することができる。例えば、作業現場で蛇口から水道水を借りる場合、量水器60によって借りた分の水量を計測して、清算に利用することができる。
【0021】
給湯器20の電源は外部(例えば、単層100Vのコンセント)から得てもよいし、台車Cに搭載した蓄電池50から得てもよい。台車Cに蓄電池50を搭載しておけば、外部から電源を得られない場所でも給湯器20へ電力を供給して熱湯を生成することができる。
【0022】
給湯器20で生成した熱湯を除草ヘッド40へ送る耐熱ホース30は可撓性を有しており、適宜の長さに設けられる。耐熱ホース30の一端は給湯器20の熱湯出口に接続され、他端(反対側の一端)は除草ヘッド40に接続される。
【0023】
除草ヘッド40は、支柱41と、ベース部42と、囲い部43とを有する。支柱41は、ベース部42の平板部分421の略中央に垂設される。支柱41には耐熱ホース30の一端が接続される。耐熱ホース30を介して供給された熱湯は支柱41の中空部410を通してベース部42側へ送られる。支柱41の一例としては、耐熱塩化ビニルパイプが挙げられる。
【0024】
支柱41にはバルブ411が設けられているとよい。作業者は手元のバルブ411で熱湯の吐出、停止および吐出量調整を行うことができる。また、支柱41には、支柱41の中空部410を通る熱湯の温度を測定する温度計70が設けられていることが好まし熱湯Hい。これにより、吐出する熱湯Hの温度を作業者の手元で把握することができる。
【0025】
ベース部42は、平板部分421を有する。平板部分421の一方面側の略中央には孔420が設けられる。この孔420に支柱41の一端が垂設され、支柱41の中空部410と孔420とが連通することになる。
【0026】
平板部分421の大きさは、例えば縦×横で300mm×300mm程度であり、作業者1人が片足や両足で踏みつけできる程度の大きさになっている。平板部分421には、例えば縞鋼板が用いられる。
【0027】
ベース部42の平板部分421の他方面側(支柱41が垂設された側とは反対側)には囲い部43が設けられる。囲い部43は、ベース部42の平板部分421の他方面側において、ベース部42(平板部分421)の縁部分を囲むように設けられる。さらに、囲い部43の先端側には尖鋭部分431が設けられている。
【0028】
囲い部43は、例えば直線状の囲い辺430を4つ用いて矩形状に囲いをつくるように配置し、平板部分421の他方面側にボルトおよびナットや溶接などによって取り付けて構成される。囲い辺430は、取り付けや入手の容易性からアルミニウム等のL字型アングルを用いてもよい。囲い部43の内側(囲い内)には熱湯Hがある程度溜められるようになっている。このため、囲い辺430には孔や隙間が設けられていないことが好ましい。なお、囲い辺430に僅かな孔や隙間を設けておき、囲い内に熱湯Hを溜めつつ囲い部43の外へ熱湯Hを意図的に拡散させるようにしてもよい。
【0029】
囲い部43の先端側(囲い辺430の先端側)に設けられる尖鋭部分431は、例えば、L字型アングルの先端をグラインダ等でカッターの刃状に鋭利にするようにして構成される。この尖鋭部分431によって雑草Wを分断(切断)することができる。また、土壌Sの表面から中に囲い部43が食い込みやすく、土壌S内の雑草Wの根Rを分断(切断)することができる。
【0030】
囲い部43の囲い内には、先端に尖鋭部分441を設けた刃部44が設けられていることがより好ましい。刃部44は直線状に設けられる。例えば、囲い部43の囲い内に所定の間隔で複数本の刃部44が並置される。平板部分421の他方面と刃部44との間には隙間が設けられていることが好ましい。これにより、孔420から吐出される熱湯Hの流路を十分に確保することができる。刃部44が設けられていることで、囲い部43のみならず、囲い部43の囲い内に設けられた刃部44の尖鋭部分441によっても雑草Wや雑草Wの根Rを切断破壊することができる。
【0031】
(除草装置の使用方法)
次に、本実施形態に係る除草装置1の使用方法を説明する。
除草作業を行うには、
図3に示すように、除草ヘッド40の支柱41を持ってベース部42を雑草Wが生えている土壌Sの上に置いて上から押し付けるようにする。この際、作業者は支柱41を持ってベース部42に力を加えたり、支柱41を持ちながらベース部42の平板部分421に足をかけて踏みつけたりして体重を乗せるようにしてもよい。
【0032】
除草ヘッド40を雑草Wの上から押し付けることで囲い部43や刃部44が土壌S内に食い込み、尖鋭部分431、441によって雑草Wや土壌S内の雑草Wの根Rの切断(分断)、雑草Wや根Rに対する傷付けが行われる。これにより、雑草Wの根Rの成長点が根Rから切り離される。そして、この状態で給湯器20から熱湯Hを送り込む。
【0033】
給湯器20で生成された熱湯Hは耐熱ホース30から支柱41の中空部410を通り、平板部分421の孔420から囲い部43の囲い内に送り込まれる。熱湯Hは土壌Sとベース部42の間の囲い部43に充填されつつ、土壌S内に浸透していく。
【0034】
雑草Wは囲い部43の囲い内に充填された熱湯Hによって熱湯漬け(蒸し焼きや茹でるような状態)にされる。除草ヘッド40の押し付けによって尖鋭部分431、441により雑草Wや根Rが切断(分断)、傷付けが行われているため、その部分から雑草Wや根Rに熱湯Hが効率良く浸透していく。給湯器20から熱湯Hが連続して供給されるため、囲い部43の下の雑草Wや根Rに集中して十分な量の熱湯Hが送り込まれていく。これにより、雑草Wが枯れていくことになる。
【0035】
ここで、雑草Wに単に熱湯Hを掛けただけでは根Rに対して効果的なダメージを与えることができない。本実施形態に係る除草装置1では、雑草Wや根Rの分断および破壊、熱湯漬け、分断箇所からの熱湯Hの染み込み、が同時に行われ、雑草Wや根Rに壊滅的なダメージを短時間で与えることができる。
【0036】
1箇所の作業が終わったら、次の作業箇所へ除草ヘッド40を移動させて同様な作業を繰り返していく。除草ヘッド40は支柱41を持つことで簡単に持ち上げられるとともに、コンパクトなベース部42によって狭い場所の除草にも対応可能である。
【0037】
(除草実験)
図4は、本実施形態に係る除草装置を用いた実験の様子を例示する図である。
実験は、屋外の雑草Wに対して本実施形態に係る除草装置1を用いて除草作業を行った。
実験当日の天候は晴れ、気温35℃、給湯器20の給湯条件は、設定温度を84℃、1分間に約21Lの給湯である。
【0038】
給湯器20のコントローラ21の温度設定を84℃にして、給湯器20にガスボンベ10と水道水のホースを接続して除草ヘッド40に熱湯Hを送り、除草ヘッドのベース部42を踏みつける要領で、土壌Sに熱湯Hを浸透させる。この熱湯Hにて地中のRの成長点を破壊する。熱湯Hの供給と同時に足で踏みつけることにより、除草ヘッドの囲い部43および刃部44の尖鋭部分431、441が、地上部分の茎や葉を倒したり、切り付けたりして、雑草Wや根Rにダメージを与える。また、囲い辺430や刃部44が土壌Sに食い込んで、囲い内に熱湯Hを貯めて雑草Wや根Rを茹でる状態にして、細胞を破壊する。
【0039】
実験では、ベース部42の平板部分421のサイズは縦×横で300mm×300mmである。このサイズを一箇所の除草範囲として、一箇所につき約15秒の踏みつけ、および熱湯Hの供給を行い、順次隣りの除草範囲に進んでいく形で行った除草作業を進めた。
【0040】
図5(a)および(b)、
図6(a)および(b)は、本実施形態に係る除草装置の除草効果を例示する図である。
図5(a)および
図6(a)には元の雑草の状態が示され、
図5(b)および
図6(b)には本実施形態に係る除草装置1を用いて除草作業を行って3日経過後の状態が示される。
上記実験によって除草を行った結果、3日経過後には雑草Wの枯れが確認された。
【0041】
実験のように、本実施形態に係る除草装置1を用いることで、一箇所につき十数秒程度踏みつけつつ熱湯Hを供給するといった非常に簡単かつ短時間で雑草Wを枯らすことができることが分かった。これは、単に熱湯Hを掛けるだけではなく、囲い部43や刃部44の尖鋭部分431、441によって雑草Wや根Rを切断(分断)、傷付けを行い、さらに囲い部43の囲い内に熱湯を溜め込むようにして、雑草Wおよび根Rを熱湯漬け(蒸し焼きや茹でるような状態)にするため、これらの相乗効果によって効果的な除草を行うことができるものと考えられる。つまり、雑草Wの根Rの成長点の細胞を確実に破壊することにより、根Rそのものが壊死し、やがて雑草Wの全体を枯らすことができる。
【0042】
一方、従来の草刈りでは根Rが生きているため、すぐにまた伸びてきてしまうという問題がある。本実施形態に係る除草装置1を用いることで雑草Wの根Rが死んでいるため、もとに戻るまで時間がかかり、従来よりも除草に掛ける手間や人件費を節約できるメリットがある。
【0043】
また、本実施形態に係る除草装置1は除草剤等の薬剤を一切使う必要がないことから、田んぼや畑の近くでも問題なく使用することができる。また、学校や保育施設、ペットのいる家庭でも安心して使うことができ、環境保全にも寄与する。また、高価な除草剤を使う必要がないため、費用の節約にもなる。さらには、刃が回転する刈払機(草刈り機)とは異なり、雑草Wの散在や飛び石も発生せず、駐車場などの除草にも最適である。
【0044】
このように、本実施形態では、可搬性を備えた台車Cにガスボンベ10および給湯器20が搭載されているため、熱湯の生成源がコンパクトで場所を選ばず作業場所やその近傍まで容易に運ぶことができる。また、除草ヘッド40を雑草Wの上から押し付けることで尖鋭部分431、441によって土壌S内の雑草Wや根Rを切断して成長点を根Rから分離し、切断箇所から成長点に確実に熱湯を浴びせて枯らすことができる。
【0045】
なお、上記に本実施形態およびその適用例(変形例、具体例)を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態またはその適用例(変形例、具体例)に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、除草ヘッド40を耐熱ホース30から外し、シャワーヘッドに交換することによって災害時の非常用シャワー設備としても好適に利用可能である。この際、水源として自治体の施設(学校など)の受水槽、市販の揚水ポンプ、エンジン発電機、テントなどを用意すれば簡単に対応可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1…除草装置
10…ガスボンベ
20…給湯器
21…コントローラ
30…耐熱ホース
40…除草ヘッド
41…支柱
42…ベース部
43…囲い部
44…刃部
50…蓄電池
60…量水器
70…温度計
410…中空部
411…バルブ
420…孔
421…平板部分
430…囲い辺
431…尖鋭部分
441…尖鋭部分
C…台車
H…熱湯
R…根
S…土壌
W…雑草
【要約】
【課題】機動的かつ広範囲で効果的に雑草を枯らすことができる除草ヘッドを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、支柱を備えた除草ヘッドであって、平板部分を有し、平板部分の一方面側の略中央に支柱の一端が垂設され、平板部分に設けられた孔を介して平板部分の他方面側へ熱湯を送るベース部と、ベース部の他方面側においてベースの縁部分を囲むように設けられ、先端に尖鋭部分が設けられた囲い部と、を備えた除草ヘッドである。
【選択図】
図1