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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】ポリペプチド
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/24 20060101AFI20250513BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250513BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20250513BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
C07K16/24 ZNA
A61K39/395 N
A61P1/04
A61P29/00
A61P37/06
C12N15/13
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021576277
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 GB2020051495
(87)【国際公開番号】W WO2020254826
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】19181870.7
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521555823
【氏名又は名称】ソリッソ ファーマシューティカルズ,インク.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】クロウ,スコット
(72)【発明者】
【氏名】キュービット,マリオン
(72)【発明者】
【氏名】カールトン,ティム
(72)【発明者】
【氏名】マッジョーレ,ルアナ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥアルテ,ルルデス
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ウェスト,マイク
【審査官】長谷川 強
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-525408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/24
A61K 39/395
A61P 1/04
A61P 29/00
A61P 37/06
C12N 15/13
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
AGRICOLA(STN)
BIOTECHNO(STN)
SCISEARCH(STN)
TOXCENTER(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含むポリペプチドであって、
前記免疫グロブリン鎖可変ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR1-CDR3)および4つのフレームワーク領域(FR1-FR4)を含み、CDR1は配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、CDR2は配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、CDR3は配列番号3に記載のアミノ酸配列からなり、ここで、前記免疫グロブリン鎖可変ドメインはVHHである、ポリペプチド。
【請求項2】
配列番号8を含む、請求項に記載のポリペプチド。
【請求項3】
配列番号8からなる、請求項に記載のポリペプチド。
【請求項4】
配列番号48を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
配列番号48からなる、請求項2に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記ポリペプチドは免疫グロブリン鎖可変ドメインからなる、請求項1、4-5のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記ポリペプチドは免疫グロブリン鎖可変ドメインからなる、請求項2または3のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【請求項8】
請求項1-のいずれか1つに記載の少なくとも1つのポリペプチドと、少なくとも1つの異なるポリペプチドとを含む構築物であって、前記異なるポリペプチドはTNF-αに結合する、構築物。
【請求項9】
前記異なるポリペプチドは、配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む、請求項に記載の構築物。
【請求項10】
前記ポリペプチドは、配列番号49を含み、または、配列番号49からなる、少なくとも1つのプロテアーゼ不安定リンカーによって接続される、請求項またはに記載の構築物。
【請求項11】
請求項1および4-6のいずれか1つに記載の少なくとも1つのポリペプチドと、少なくとも1つの異なるポリペプチドとを含む構築物であって、前記構築物は配列番号46を含み、または、配列番号46からなる、構築物。
【請求項12】
5nM以下のEC50で、評価方法AにおいてヒトIL-23を中和する、請求項1-のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記ポリペプチドは、10-6M以下のKdで、IL-23に結合する、請求項1-のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記ポリペプチドは、トリプシンとキモトリプシンに対して耐性を有する、請求項1-のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【請求項15】
請求項1-および1-1のいずれか1つに記載のポリペプチドまたは請求項-1のいずれか1つに記載の構築物と、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤または担体とを含む、医薬組成物。
【請求項16】
少なくとも1つのさらなる活性薬剤を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
薬剤として使用するための、請求項1または1のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項18】
自己免疫疾患および/または炎症性疾患の処置で使用するための、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記医薬組成物は経口投与される、請求項1または1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記自己免疫疾患および/または炎症性疾患はクローン病または潰瘍性大腸炎である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
請求項1-および1-1のいずれか1つに記載のポリペプチドまたは請求項8-1のいずれか1つに記載の構築物をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項22】
前記ポリヌクレオチドは、配列番号10と70%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、配列番号10からなる、請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項23】
前記ポリヌクレオチドは配列番号10を含み、または、配列番号10からなる、請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロイキン23(IL-23)に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメイン(またはICVD)を含むポリペプチドに関し、ならびにこれらのポリペプチドを含む構築物および医薬組成物に関する。本発明はさらに、上記ポリペプチドをコードする核酸、上記ポリペプチドを調製するための方法、上記ポリペプチドをコードする核酸を含むcDNAおよびベクター、上記ポリペプチドを発現するまたは発現できる宿主細胞、ならびに上記ポリペプチド、医薬組成物、または構築物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
IL-23は、生理機能と病態の両方の制御に関与する多面的なサイトカインである。IL-23は炎症と免疫制御に関連する機能を有し、慢性炎症の蔓延と、炎症性腸疾患(IBD、例えば、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC))を含む自己免疫疾患における関連病態に重要であると考えられている(Croxford et al, 2012; Teng et al, 2015: Furfaro et al, 2017))。IBD患者では、腸の炎症部位でIL-23の産生が増加する。IL-23は、病原性T細胞に対する直接的な効果を通じて炎症を組織化し、IL-23は、IBD上皮内リンパ球およびNK細胞の活性化を増強し、自然リンパ球細胞による炎症促進性サイトカインの産生を刺激する(Eken et al,2014)。IL-23は、IL-12サイトカインファミリー内のヘテロ二量体サイトカインである。IL-23とIL-12は共通のp40サブユニットを共有し、これはリガンド特異的なIL-23p19サブユニット(p19、IL-23A、およびインターロイキン-23サブユニットαとも呼ばれる)と二量体化してIL-23を形成し、あるいはIL-12p35と二量体化してIL-12を形成する。炎症性腸疾患の様々なモデルにおける前臨床研究の結果は、IL-23が腸の炎症と病理を促進することを明確に示している。IL-12と構造的に関連しているが、これらのモデルにおけるIL-23特異的中和抗体を用いた研究によれば、IL-23とIL-12は粘膜および全身の免疫反応において多様な役割を持つこと、IL-23の選択的枯渇は全身の免疫反応を温存しつつ腸の炎症を抑制することができることが明らかにされた。
【0003】
抗TNFモノクローナル抗体は、クローン病と潰瘍性大腸炎の処置を一変させた。インフリキシマブやアダリムマブなどの抗体は、TNF活性を中和することにより、粘膜の治癒を促進し、多くの患者で長期的な寛解を誘導する。しかしながら、抗TNF剤を処方された患者の約3分の1は、一次ノンレスポンダーである。一次レスポンダーのうち、その後の反応消失は年間10~50%と幅があることもある(二次非反応)(Colombel et al. 2007; Hanauer et al. 2002, 2006; Sandborn et al. 2007; Schreiber et al. 2007)。一次非反応患者は、二次抗TNF剤に切り替えても効果が得られない可能性が高く、従って、他の炎症経路を標的とする治療戦略が必要である。
【0004】
上記のことは、IL-23はIBDの治療標的となりうることを示唆し、全身投与ではなく局所投与の理論的根拠を与える(McGovern and Powrie, 2007)。さらに、そのような薬剤は、抗TNF抗体が失敗した状況において、IBDの有効な治療法を提供することができる。
【0005】
WO2007005955およびWO2007027714は、抗IL-23p19抗体を開示している。
【0006】
近年、IL-23のp19サブユニットに選択的に結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体であるブラジクマブ(AMG-139)の有効性および安全性が、抗TNFα治療が失敗した、または抗TNFα治療に対する耐容性がない活性なCD患者において検討されている(Sandborn et al 2018, Sands et al 2017)。ブラジクマブを上回る本発明の多くのポリペプチドの優位性は、以下の実施例2と5で実証されている。
【0007】
先行技術のさらなる抗IL-23剤は、抗IL-23p19ドメイン抗体(VHH)である37D5である(Desmyter et al 2017)。37D5を上回る本発明の多くのポリペプチドの優位性は、以下の実施例5で実証されている。
【0008】
本発明のポリペプチドは、少なくともいくつかの実施形態では、従来技術の抗IL-23物質と比較して、以下の利点の1つ以上を有し得る。
(i)IL-23に対する親和性が増加していること、
(ii)IL-23に対する特異性が増加していること、
(iii)IL-23に対する中和能力が増加していること、
(iv)IL-12よりもIL-23に対する特異性が増加していること、
(v)ヒトやカニクイザルなどの異なる種からのIL-23との交差反応性が増加していること、
(vi)例えば、マウス、カニクイザル、またはヒトに投与された場合の免疫原性が低下していること、
(vii)プロテアーゼの存在下、例えば(a)小腸および/または大腸で見られるプロテアーゼおよび/またはIBD炎症性プロテアーゼ、例えば、トリプシン、キモトリプシン、MMP3、MMP10、MMP12、他のMMP、およびカテプシンの存在下、ならびに/あるいは、(b)小腸および/または大腸で見られる微生物細胞の溶解によって活発に分泌および/または放出される、腸共生細菌叢および/または病原細菌からのプロテアーゼの存在下での安定性が増加していること、
(viii)生成中のプロテアーゼ分解に対する安定性が増加していること(例えば、酵母プロテアーゼに対する耐性)、
(ix)経口投与への適合性が増加していること、
(x)経口投与後の腸管および固有層への局所送達に対する適合性が増加していること、
(xi)大腸菌などの細菌、またはアスペルギルス属、サッカロミセス属、クリベロマイセス属、ハンゼヌラ属、またはピキア属に属する酵母、例えば、サッカロミセス・セレビシエまたはピキア・パストリスなどの異種宿主における、発現に対する好適性が増加していること、
(xii)医薬品での使用のための適合性および改善された特性、
(xiii)機能性食品での使用のための適合性および改善された特性、
(xiv)粘膜下固有層にアクセスするために、炎症を起こした結腸粘膜上皮および粘膜下組織の浸透などの組織浸透性が向上していること、
(xv)例えば、ヒト免疫グロブリンとの配列類似性の増加による、ヒトにおける免疫原性が低下していること、
(xvi)多特異性フォーマットにおけるフォーマット化の適合性が増加していること、
(xvii)新規エピトープに結合すること、
【0009】
上記の利点(i)~(xvii)は、一価フォーマット、またはビヘッドフォーマット(例えば、ホモビヘッド(homobihead)またはヘテロビヘッド(heterobihead)フォーマット)などの多価フォーマットで本発明のポリペプチドによって潜在的に実現され得る。
【発明の概要】
【0010】
本発明者らは、IL-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含む、驚くほど有利なポリペプチドを製造した。これらのポリペプチドは、免疫グロブリン鎖可変ドメインID-L253T、10E2、10G10、およびこれらの免疫グロブリン鎖可変ドメインの各々に関連するポリペプチドである。
【0011】
これらのポリペプチドは、先行技術の抗IL-23剤であるブラジクマブや37D5を上回る予想外の利点を有することが分かっている(特に、上記の背景技術の段落と以下の実施例2と5を参照)。
【0012】
これらのポリペプチドは、特に、驚くほど高い効力から利益を得る。それらは、カニクイザルIL-23と交差反応することもでき、小腸と大腸のプロテアーゼに曝露されても安定したままである。一実施形態では、これらのポリペプチドは、操作によりさらに増強されている。これらのさらに増強されたポリペプチドは、上記の利点から利益を得て、腸管を通過する間、IL-23中和活性を保持し、さらに、腸管のプロテアーゼ、例えば、哺乳動物種由来の、例えば、消化性プロテアーゼ、炎症性プロテアーゼ、および微生物プロテアーゼによる分解および/または不活性化に対して抵抗する。
【0013】
これらのポリペプチドは、とりわけ、経口投与される場合、自己免疫疾患および/または炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患(例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎)の予防または治療、あるいは粘膜炎の予防または治療に有用であると期待され得る。
【0014】
本発明の多くのポリペプチドは、ブラジクマブと比較して優れた特性を有することが分かっており、IL-23のp19サブユニットに選択的に結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体は、抗TNFα治療に失敗した、または抗TNFα治療に耐性のない活性CDの患者において検討されてきた。ブラジクマブを上回る本発明の多くのポリペプチドの優位性は、以下の実施例2と5で実証されている。
【0015】
本発明の多くのポリペプチドが、抗IL-23p19ドメイン抗体(VHH)である37D5と比較して優れた特性を有することも分かっている(Desmyter et al 2017)。37D5を上回る本発明の多くのポリペプチドの優位性は、以下の実施例5で実証されている。
【0016】
特定の実施形態では、本発明者らは、抗TNF-αポリペプチドとともに、「バイヘッド」フォーマットの上記のポリペプチドを提供した。本明細書で提供されるデータは、IL-23およびTNF-αの消化管制限拮抗作用を組み合わせた治療アプローチが、いずれかの標的単独に対する単独療法よりも、炎症性腸疾患を抱える患者のより高い割合において、より長い期間、より高い程度の効力を達成し得ることを示す。
【0017】
1つの態様では、本発明は、IL-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含むポリペプチドを提供し、ここで、免疫グロブリン鎖可変ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR1-CDR3)および4つのフレームワーク領域(FR1-FR4)を含み、ここで、CDR1は配列番号1と60%以上の配列同一性を共有する配列を含み、CDR2は配列番号2と50%以上の配列同一性を共有する配列を含み、CDR3は配列番号3と50%以上の配列同一性を共有する配列を含む。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、IL-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含むポリペプチドを提供し、ここで、免疫グロブリン鎖可変ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR1-CDR3)および4つのフレームワーク領域(FR1-FR4)を含み、ここで、CDR1は配列番号14と60%以上の配列同一性を共有する配列を含み、CDR2は配列番号15と50%以上の配列同一性を共有する配列を含み、CDR3は配列番号16と50%以上の配列同一性を共有する配列を含む。
【0019】
さらなる態様では、本発明は、IL-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含むポリペプチドを提供し、ここで、免疫グロブリン鎖可変ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR1-CDR3)および4つのフレームワーク領域(FR1-FR4)を含み、ここで、CDR1は配列番号22と60%以上の配列同一性を共有する配列を含み、CDR2は配列番号23と50%以上の配列同一性を共有する配列を含み、CDR3は配列番号24と50%以上の配列同一性を共有する配列を含む。
【0020】
さらなる態様では、本発明は、本発明に係る2つ以上の同一のポリペプチドを含む構築物を提供する。
【0021】
さらなる態様では、本発明は、本発明に係る少なくとも1つのポリペプチドと、少なくとも1つの異なるポリペプチドとを含む構築物を提供し、異なるポリペプチドはTNF-αに結合する。
【0022】
さらなる態様では、本発明は、本発明に係る少なくとも1つのポリペプチドと、少なくとも1つの異なるポリペプチドとを含む構築物を提供し、異なるポリペプチドはTNF-α以外の標的に結合する。
【0023】
本発明のさらなる態様は本明細書のどこかで開示される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ID-L210Tで処置されたエクスビボのUC炎症性結腸粘膜組織の平均リン-強度(phospho-intensity)値。
図2】ID-L210Tで処置されたエクスビボのUC炎症性結腸粘膜組織の平均リン-強度値(続き)。
図3】TNF-αに対するFA1K(トリプシン切断前後)の中和効力。
図4】IL-23に対するFA1K(トリプシン切断前後)の中和効力。
図5】ヒト糞便上清中で4時間インキュベートした後のFA1K親モノマーID-38FおよびID-L253Tの安定性。
図6】ID-L210TとID-38Fで処置されたエクスビボのUC炎症性結腸粘膜組織の平均リン-強度値。
図7】ID-L210TとID-38Fで処置されたエクスビボのUC炎症性結腸粘膜組織の平均リン-強度値(続き)。
【0025】
配列表の記載
配列番号1-ID-L253T CDR1のポリペプチド配列、
配列番号2-ID-L253T CDR2のポリペプチド配列、
配列番号3-ID-L253T CDR3のポリペプチド配列、
配列番号4-ID-L253T FR1のポリペプチド配列、
配列番号5-ID-L253T FR2のポリペプチド配列、
配列番号6-ID-L253T FR3のポリペプチド配列、
配列番号7-ID-L253T FR4のポリペプチド配列、
配列番号8-ID-L253Tのポリペプチド配列、
配列番号9-ID-L253Tをコードするポリヌクレオチド配列(終止コドンを含む)、
配列番号10-ID-L253Tをコードするポリヌクレオチド配列(終止コドンなし)、
配列番号11-12G1のポリペプチド配列、
配列番号12-1E2のポリペプチド配列、
配列番号13-10E2のポリペプチド配列、
配列番号14-10E2 CDR1のポリペプチド配列、
配列番号15-10E2 CDR2のポリペプチド配列、
配列番号16-10E2 CDR3のポリペプチド配列、
配列番号17-10E2 FR1のポリペプチド配列、
配列番号18-10E2 FR2のポリペプチド配列、
配列番号19-10E2 FR3のポリペプチド配列、
配列番号20-10E2 FR4のポリペプチド配列、
配列番号21-10G10のポリペプチド配列、
配列番号22-10G10 CDR1のポリペプチド配列、
配列番号23-10G10 CDR2のポリペプチド配列、
配列番号24-10G10 CDR3のポリペプチド配列、
配列番号25-10G10 FR1のポリペプチド配列、
配列番号26-10G10 FR2のポリペプチド配列、
配列番号27-10G10 FR3のポリペプチド配列、
配列番号28-10G10 FR4のポリペプチド配列、
配列番号29-ID-L210Tのポリペプチド配列、
配列番号30-ID-L237Tのポリペプチド配列、
配列番号31-ID-L238Tのポリペプチド配列、
配列番号32-ID-L239Tのポリペプチド配列、
配列番号33-ID-L240Tのポリペプチド配列、
配列番号34-ID-L241Tのポリペプチド配列、
配列番号35-ID-L242Tのポリペプチド配列、
配列番号36-ID-L243Tのポリペプチド配列、
配列番号37-ID-L244Tのポリペプチド配列、
配列番号38-ID-L245Tのポリペプチド配列、
配列番号39-ID-L246Tのポリペプチド配列、
配列番号40-ID-L247Tのポリペプチド配列、
配列番号41-ID-L248Tのポリペプチド配列、
配列番号42-ID-L249Tのポリペプチド配列、
配列番号43-ID-L250Tのポリペプチド配列、
配列番号44-ID-L251Tのポリペプチド配列、
配列番号45-ID-L252Tのポリペプチド配列、
配列番号46-FA1Kのポリペプチド配列、
配列番号47-FA1KにおけるID-38Fアームのポリペプチド配列、
配列番号48-FA1KにおけるID-L253Tアームのポリペプチド配列、
配列番号49-FA1Kにおける不安定リンカーのポリペプチド配列、
配列番号50-ID-L210Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号51-ID-L237Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号52-ID-L238Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号53-ID-L239Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号54-ID-L240Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号55-ID-L241Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号56-ID-L242Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号57-ID-L243Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号58-ID-L244Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号59-ID-L245Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号60-ID-L246Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号61-ID-L247Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号62-ID-L248Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号63-ID-L249Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号64-ID-L250Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号65-ID-L251Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号66-ID-L252Tをコードするポリヌクレオチド配列、
配列番号67-ID-38Fのポリペプチド配列、
配列番号68-SpeI部位を含む3’プライマーのポリヌクレオチド配列、
配列番号69-37D5のポリペプチド配列、
配列番号70-ブラジクマブ重鎖、
配列番号71-ブラジクマブ軽鎖、
配列番号72-IL-23p19のポリペプチド配列、
配列番号73-IL-23p40のポリペプチド配列、
配列番号74-プロテアーゼ不安定リンカー式のポリペプチド配列、
配列番号75-プロテアーゼ不安定リンカーのポリペプチド配列、
配列番号76-非プロテアーゼ不安定リンカー式のポリペプチド配列、
配列番号77-非プロテアーゼ不安定リンカーのポリペプチド配列。
【発明を実施するための形態】
【0026】
VHおよびVHHを含む抗体および抗体フラグメントを含んでいるポリペプチド
従来の抗体または免疫グロブリン(Ig)は、4つのポリペプチド鎖:2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖を含むタンパク質である。それぞれの鎖は、定常領域と可変領域に分かれている。重鎖可変ドメインは本明細書ではVHCと省略され、軽鎖可変ドメインは本明細書ではVLCと省略される。これらのドメイン、それに関連するドメイン、およびそれに由来するドメインは、本明細書において免疫グロブリン鎖可変ドメインと呼ばれる。VHCドメインとVLCドメインは、「相補性決定領域」(「CDR」)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分化され、「フレームワーク領域」(「FR」)と呼ばれるより保存性の高い領域に散在され得る。フレームワーク領域と相補性決定領域は正確に定義されている(Kabat et al 1991)。従来の抗体では、VHCとVLCはそれぞれ、以下のFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で、アミノ末端からカルボキシ末端まで配置された3つのCDRと4つのFRで構成されている。2つの免疫グロブリン重鎖と2つの免疫グロブリン軽鎖の従来の抗体四量体は、例えば、ジスルフィド結合によって相互接続された免疫グロブリン重鎖と免疫グロブリン軽鎖で形成され、免疫グロブリン重鎖は類似性接続(similarity connected)されている。重鎖定常領域は、CH1、CH2、およびCH3の3つのドメインを含む。軽鎖定常領域はCLという1つのドメインで構成されている。重鎖の可変ドメインと軽鎖の可変ドメインは、抗原と相互作用する結合ドメインである。抗体の定常領域は典型的には、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)と古典的補体系の第一成分(C1q)を含む宿主組織または因子に対する抗体の結合を媒介する。抗体という用語は、IgA、IgG、IgE、IgD、IgM(およびその亜型)のタイプの免疫グロブリンを含み、免疫グロブリンの軽鎖はカッパ型またはラムダ型であってもよい。2つの同一の重(H)鎖と2つの同一の軽(L)鎖ポリペプチドから組み立てられた免疫グロブリン-γ(IgG)抗体の全体構造は、十分に確立されており、哺乳動物において高度に保存されている(Padlan 1994)。
【0027】
従来の抗体構造に対する例外は、ラクダ科の血清で見られる。従来の抗体に加えて、これらの血清は特別なIgG抗体を有している。これらのIgG抗体は、重鎖抗体(HCAb)として知られ、L鎖ポリペプチドを欠き、第1の定常ドメイン(CH1)を欠いている。そのN末端領域において、ホモ二量体タンパク質のH鎖は、VHHと呼ばれる専用の免疫グロブリン鎖可変ドメインを含み、これはその同族抗原と会合する役割を果たす(Muyldermans 2013,Hamers-Casterman et al 1993,Muyldermans et al 1994)。
【0028】
本明細書で使用されるような抗原結合フラグメント(または「抗体フラグメント」あるいは「免疫グロブリンフラグメント」)は、IL-23に特異的に結合する抗体の一部(例えば、1つ以上の免疫グロブリン鎖が完全長ではないが、IL-23に特異的に結合する分子)を意味する。抗原結合フラグメントという用語の中に包含される結合フラグメントの例としては、以下のものが含まれる。
(i)FAbフラグメント(VLC、VHC、CL、およびCH1のドメインからなる一価フラグメント)、
(ii)F(ab’)2フラグメント(ヒンジ領域でのジスルフィド架橋により結合される2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント)、
(iii)(VHCおよびCH1のドメインからなる)Fdフラグメント、
(iv)(抗体の単一のアームのVLCおよびVHCのドメインからなる)Fvフラグメント、
(v)scFvフラグメント(合成リンカーによって、組換え方法を用いて連結されたVLCドメインとVHCドメインからなり、上記リンカーによって、VLCドメインとVHCドメインは単一のタンパク質鎖として作られ、VLC領域とVHC領域は対になって一価分子を形成する)、
(vi)VH(VHCドメインからなる免疫グロブリン鎖可変ドメイン(Ward et al 1989)、
(vii)VL(VLCドメインからなる免疫グロブリン鎖可変ドメイン)、
(viii)V-NAR(軟骨魚類IgNAR由来のVHCドメインからなる免疫グロブリン鎖可変ドメイン(Roux et al 1998およびGriffiths et al 2013)、
(ix)VHH。
【0029】
VHHまたはVHにおけるアミノ酸残基の総数は110~130の範囲であってよく、好適には115~125であり、最も好適には121である。
【0030】
本発明の免疫グロブリン鎖可変ドメインは、例えば、核酸合成のための技術を使用して免疫グロブリン鎖可変ドメインをコードする核酸を調製し、その後、このようにして得られた核酸を発現させることによって、得ることができる。特定の実施形態によれば、本発明の免疫グロブリン鎖可変ドメインは、天然に存在する抗体のVHドメインまたはVHHドメインなどの天然に存在するポリペプチドのアミノ酸配列とまったく同じ(すなわち、このアミノ酸配列と100%の配列同一性を共有する)アミノ酸配列を有していない。
【0031】
本明細書で提供される例は、IL-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインそれ自体に関する。しかしながら、本明細書に開示される本発明の原理は、抗体および抗体フラグメントなどの、IL-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含む任意のポリペプチドにも等しく適用可能である。例えば、本明細書に開示される抗IL-23免疫グロブリン鎖可変ドメインは、完全長抗体などのポリペプチドに組み込まれてもよい。このようなアプローチは、McCoy et al 2014によって実証されており、McCoyらは二量体構築物として発現される、ヒトFc領域(ヒンジ、CH2、およびCH3のドメインを含む)との融合体として設計された抗HIV VHHを提供している。
【0032】
非ヒト免疫グロブリン可変ドメインのフレームワーク領域における少なくとも1つのアミノ酸残基をヒト可変ドメインからの対応する残基で置換することがヒト化である。可変ドメインのヒト化は、ヒトにおける免疫原性を低下させる可能性がある。
【0033】
好適には、本発明のポリペプチドは、免疫グロブリン鎖可変ドメインを含む。より好適には、本発明のポリペプチドは、免疫グロブリン重鎖可変ドメインなどの免疫グロブリン鎖可変ドメインからなる。好適には、本発明のポリペプチドは抗体または抗体フラグメントである。より好適には、本発明のポリペプチドは抗体フラグメントである。好適には、抗体フラグメントは、VHH、VH、またはVLなどの免疫グロブリン可変ドメインである。好適には、抗体フラグメントは、VHH、VH、VL、V-NAR、scFv、FAbフラグメント、またはF(ab’)2フラグメントである。好適には、抗体フラグメントは免疫グロブリン重鎖可変ドメインである。より好適には、抗体フラグメントはVHHまたはVHであり、最も好適にはVHHである。
【0034】
特異性、親和性、結合活性、および交差反応性
特異性とは、特定の抗原結合ポリペプチドが結合することができる抗原または抗原決定基の異なる種類の数を指す。抗原結合ポリペプチドの特異性とは、抗原結合ポリペプチドが特定の抗原を固有の分子実体として認識し、別の抗原と区別する能力のことである。
【0035】
抗原の抗原結合ポリペプチドとの解離に関する平衡定数(Kd)で表される親和性は、抗原決定基と抗原結合ポリペプチド上の抗原結合部位との間の結合強度を示す指標であり:Kdの値が小さければ小さいほど、抗原決定基と抗原結合ポリペプチドとの間の結合力が強い(代替的に、親和性は親和性定数(Ka)としても表すこともでき、1/Kdとなる)。親和性は、対象となる特定の抗原に応じて、既知の方法によって決定することができる。好適には、親和性は、動的に切り替え可能なバイオ表面(例えば、「switchSENSER」、Knezevic et al 2012を参照)または表面プラズモン共鳴を使用して決定される。
【0036】
結合活性は、抗原結合ポリペプチドと適切な抗原の間に制限する強度の指標である。結合活性は、抗原結合ポリペプチド上の抗原決定基とその抗原結合部位との間の親和性と、抗原結合ポリペプチド上に存在する適切な結合部位の数との両方に関連する。
【0037】
好適には、本発明のポリペプチドは、10-6M以下、より好適には10-7M以下、より好適には10-8M以下、より好適には10-9M以下、より好適には10-10M以下、より好適には10-11M以下、より好適には10-12M以下、より好適には10-13M以下の解離定数(Kd)でIL-23に結合する。
【0038】
10-6M未満のKd値は、結合を示すと考えられる。抗原または抗原決定基への抗原結合ポリペプチドの特異的な結合は、例えば、スキャチャード解析、および/または、放射性免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)などの競合結合アッセイを含む、任意の適切な既知の方法、ならびに、サンドイッチ競合アッセイ、および当該技術分野で知られているその異なる変異体で決定することができる。好適には、ポリペプチドの親和性は、表面プラズモン共鳴によって決定される。
【0039】
一実施形態では、ポリペプチドの親和性は、pH5、10mM酢酸ナトリウム緩衝液中のα-p40捕捉抗体をセンサーチップにアミンカップリングすることによって、25℃で確立される。その後、2μg/mLまたは0.5μg/mLを10μL/分で60秒間流すことにより、IL-23をチップ上に固定化する。これにより、P19サブユニットはポリペプチドに自由に結合する。次に試験ポリペプチドを、pH7.4、0.01MのHEPES、0.15MのNaCl、0.05%のポリソルベート20、および3mMのEDTA緩衝液中で、0.0195~5nM(L253T)または0.8~500nM(ブラジクマブFab製剤)の5種類の異なる濃度で30μl/分にて300秒添加をオンし、300秒添加をオンしない。結合した抗P40は、60秒間、10μl/分にて、10mMのグリシン pH2を用いるサイクルの間に再生成される。この方法論は、以下の実施例5.2で使用された。
【0040】
抗IL-23ポリペプチド、IL-23と相互作用するポリペプチド、またはIL-23に対するポリペプチドは、いずれもIL-23に結合する有効的なポリペプチドである。本発明のポリペプチドは、IL-23上の線状エピトープまたは立体構造のエピトープに結合することができる。
【0041】
好適には、本発明のポリペプチドは、ヒトIL-23に結合する。より好適には、本発明のポリペプチドは、ヒトIL-23と、ヒヒIL-23、マーモセットIL-23、カニクイザルIL-23、およびアカゲザルIL-23からなる群から選択される少なくとも1つの追加の霊長類のIL-23との双方に結合する。より好適には、本発明のポリペプチドは、ヒトIL-23とカニクイザルIL-23の両方に結合する。
【0042】
好適には、本発明のポリペプチドは、ヒトIL-23を中和する。より好適には、本発明のポリペプチドは、ヒトIL-23と、ヒヒIL-23、マーモセットIL-23、カニクイザルIL-23、およびアカゲザルIL-23からなる群から選択される少なくとも1つの追加の霊長類のIL-23との双方を中和する。より好適には、本発明のポリペプチドは、ヒトIL-23とカニクイザルIL23の両方を中和する。
【0043】
好適には、IL-23は、配列番号72(p19サブユニット)および73(p40サブユニット)を含むポリペプチドであり、より好適には、IL-23は、配列番号72および73からなるポリペプチドである。好適には、IL-23p19は、配列番号72を含むポリペプチドである。より好適には、IL-23p19は、配列番号72からなるポリペプチドである。以下の実施例で使用されるp19およびp40のサブユニットも、それぞれ単一のC末端6xHisタグを組み込んだ。
【0044】
ヒトからのIL-23、および別の種からのIL-23、例えば、カニクイザルIL-23と反応することができる(「交差反応」)ポリペプチドは、動物モデルにおいて前臨床研究をより容易に行うことができるため有利である。
【0045】
好適には、本発明のポリペプチドは、IL-23の受容体結合部位に存在する、および/またはその一部を形成するIL-23上のエピトープに対して向けられており、本発明のポリペプチドは、IL-23に結合すると、上記IL-23によって媒介されるIL-23受容体架橋および/またはその受容体架橋によって媒介されるシグナル伝達を阻害または低減することができる。
【0046】
本発明のポリペプチドは、IL-23上の1つ以上のエピトープに結合する。本発明の1つの態様では、ID-L253T、12G1、1E2、10E2、または10G10、より好適にはID-L253Tと同じIL-23上のエピトープに結合するポリペプチドが提供される。本発明のポリペプチドがIL-23のp19サブユニットに特異的であると予想されるため、本明細書全体での「IL-23」の記述は適宜「p19」と置き換えることもできる。
【0047】
好適には、本発明のポリペプチドは単離される。「単離された」ポリペプチドは、その元の環境から除去されたものである。例えば、天然に存在する本発明のポリペプチドは、天然系に共存する物質の一部またはすべてから分離された場合に、単離される。
【0048】
効力、阻害、および中和
効力(potency)とは、所定の強さの効果をもたらすのに必要とされる量の観点から表された治療薬の活性の指標である。低効力の薬剤が低濃度でより小さな反応を引き起こすのと比較して、高効力の薬剤は低濃度でより大きな反応を引き起こす。効力は親和性と有効性の関数である。有効性(efficacy)とは、標的リガンドとの結合時に生物学的反応を引き起こす治療薬の能力と、この反応の量的な大きさを指す。最大の有効濃度(EC50)という用語は、指定された暴露時間後のベースラインと最大濃度との中間の反応を引き起こす治療薬の濃度を指す。治療薬は、抑制または刺激を引き起こす可能性がある。これは一般的に、そして、本明細書でも効力の指標として使用される。
【0049】
本発明の目的のための中和ポリペプチドは、IL-23に結合するポリペプチドであり、実施例の評価方法Aに記載されるELISAなどで測定されるようにIL-23とその同族受容体(IL-23R)の結合を阻害するものである。
【0050】
好適には、本発明のポリペプチドは、IL-23-IL-23R中和ELISA(実施例の評価方法A参照)において、ヒトIL-23を、5nM以下、例えば、4nM以下、例えば、3nM以下、例えば、2nM以下、例えば、1.7nM以下、例えば、1.5nM以下、例えば、1.4nM以下、例えば、1.3nM以下、例えば、1.2nM以下、例えば、1.1nM以下、例えば、1.0nM以下、例えば、0.9nM以下、例えば、0.8nM以下、例えば、0.75nM以下、例えば、0.70nM以下、例えば、0.65nM以下、例えば、0.60nM以下、例えば、0.55nM以下、例えば、0.50nM以下、例えば、0.45nM以下、例えば、0.40nM以下のEC50で中和する。
【0051】
ポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列
2つの密接に関連するポリペプチド配列を比較する目的で、第1のポリペプチド配列と第2のポリペプチド配列との間の「配列同一性%」は、ポリペプチド配列の標準設定(BLASTP)を使用して、NCBI BLAST v2.0を用いて計算することができる。2つの密接に関連するポリヌクレオチド配列を比較する目的で、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間の「配列同一性%」は、ヌクレオチド配列の標準設定(BLASTN)を使用して、NCBI BLAST v2.0を用いて計算することができる。BLASTアルゴリズムのパラメータW、T、およびXは、アラインメントの感度と速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとして、ワード長(W)11、期待値(E)が10、M=5、N=-4、および両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長3、期待値(E)10、BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照)のアラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4、両方の鎖の比較を用いる。BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計的解析も行う(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 90:5873-5787 (1993)を参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小和確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間のマッチが偶然に生じる確率の指標を提供する。例えば、核酸は、試験核酸と参照核酸の比較における最小和確率が約0.2未満、より好適には約0.01未満、最も好適には約0.001未満の場合に、参照配列に類似するとみなされる。
【0052】
ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、その全長にわたって100%の配列同一性を共有する場合に、他のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列と同一または類似であると呼ばれる。配列中の残基は、左から右に、すなわち、ポリペプチドの場合はN末端からC末端へ、ポリヌクレオチドの場合は、5’末端から3’末端まで番号が振られる。
【0053】
配列間の「差」は、第1の配列と比較した、第2の配列の位置における単一のアミノ酸残基の挿入、欠失、または置換を意味する。2つのポリペプチド配列は、1つ、2つ、またはそれ以上のこのようなアミノ酸の差を含むことができる。それ以外に第1の配列と同一(100%配列同一性)である第2の配列に挿入、欠失、または置換を行うと、配列同一性の割合が減少する。例えば、同一の配列が9アミノ酸残基長である場合、第2の配列における1つの置換は、88.9%の配列同一性をもたらす。同一の配列が17アミノ酸残基長である場合、第2の配列における2つの置換は88.2%の配列同一性をもたらす。同一の配列が7アミノ酸残基長である場合、第2の配列における3つの置換は57.1%の配列同一性をもたらす。第1および第2のポリペプチド配列が9アミノ酸残基長であり、6つの同一の残基を共有する場合、第1および第2のポリペプチド配列は66%超の同一性を共有する(第1および第2のポリペプチド配列は66.7%の同一性を共有する)。第1および第2のポリペプチド配列が17アミノ酸残基長であり、16個の同一の残基を共有する場合、第1および第2のポリペプチド配列は94%超の同一性を共有する(第1および第2のポリペプチド配列は94.1%の同一性を共有する)。第1および第2のポリペプチド配列が7アミノ酸残基長であり、3個の同一の残基を共有する場合、第1および第2のポリペプチド配列は42%超の同一性を共有する(第1および第2のポリペプチド配列は42.9%の同一性を共有する)。
【0054】
代替的に、第1の参照ポリペプチド配列を第2の比較ポリペプチド配列と比較する目的で、第2の配列を生成するために第1の配列に加えられた付加、置換、および/または欠失の数を確認することもできる。付加とは、第1のポリペプチドの配列に1つのアミノ酸残基を加えること(第1のポリペプチドのいずれかの末端での付加を含む)である。置換とは、第1のポリペプチドの配列中の1つのアミノ酸残基を1つの異なるアミノ酸残基と置き換えることである。欠失とは、第1のポリペプチドの配列から1個のアミノ酸残基が欠失すること(第1のポリペプチドのいずれかの末端における欠失を含む)である。
【0055】
第1の参照ポリヌクレオチド配列を第2の比較ポリヌクレオチド配列と比較する目的で、第2の配列を生成するために第1の配列に加えられた付加、置換、および/または欠失の数を確認することもできる。付加とは、第1のポリヌクレオチドの配列に1つのヌクレオチド残基を加えること(第1のポリヌクレオチドのいずれかの末端での付加を含む)である。置換とは、第1のポリヌクレオチドの配列中の1つのヌクレオチド残基を1つの異なるヌクレオチド残基と置き換えることである。欠失とは、第1のポリヌクレオチドの配列から1個のヌクレオチド残基が欠失すること(第1のポリヌクレオチドのいずれかの末端における欠失を含む)である。
【0056】
「保存的」アミノ酸置換とは、あるアミノ酸残基が同様の化学構造の別のアミノ酸残基と取り替えられ、かつ、ポリペプチドの機能、活性、またはその他の生物学的特性にほとんど影響を与えないと予想される、アミノ酸置換である。このような保存的置換は、好適には、以下の群内の1つのアミノ酸が、同じ群内からの別のアミノ酸残基で置換される置換である。
【0057】
【表1】
【0058】
好適には、疎水性アミノ酸残基は、非極性アミノ酸である。より好適には、疎水性アミノ酸残基は、V、I、L、M、F、W、またはCから選択される。
【0059】
本明細書で使用されるように、ポリペプチド配列の番号付け、およびCDRとFRの定義は、Kabatシステム(Kabat et al 1991)に従って定義される通りである。第1および第2のポリペプチド配列間の「対応する」アミノ酸残基は、Kabatシステムに従って第2の配列中のアミノ酸残基と同じ位置を共有する第1の配列中のアミノ酸残基であるが、第2の配列中のアミノ酸残基は第1の配列とは同一性が異なる場合がある。フレームワークとCDRがKabatの定義に従って同じ長さである場合、適切に対応する残基は同じ番号(および文字)を共有する。アラインメントは、手動で、または、例えば、標準的な設定を用いたNCBI BLAST v2.0(BLASTPまたはBLASTN)などの配列アラインメントのための既知のコンピュータアルゴリズムを使用して、達成することができる。
【0060】
好適には、本発明で使用されるポリヌクレオチドは単離されている。「単離された」ポリヌクレオチドは、その元の環境から除去されたものである。例えば、天然に存在するポリヌクレオチドは、天然系に共存する物質の一部またはすべてから分離された場合に、単離される。ポリヌクレオチドは、例えば、その自然環境の一部ではないベクターにクローン化されている場合、またはcDNA内に含まれない場合に、単離されているとみなされる。
【0061】
本発明の1つの態様では、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。好適には、ポリヌクレオチドは、配列番号9、10、または50~66と70%以上、例えば、80%以上、例えば、90%以上、例えば、95%以上、例えば、99%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、上記配列からなる。より好適には、ポリヌクレオチドは、配列番号9、10、または50~66のいずれか1つを含むか、またはそれらからなる。さらなる態様では、前記ポリヌクレオチドを含むcDNAが提供される。
【0062】
本発明の1つの態様では、コードされた免疫グロブリン鎖可変ドメインのCDR1、CDR2、またはCDR3をコードする、配列番号9、10、または50~66の一部のいずれか1つと70%以上、例えば、80%以上、例えば、90%以上、例えば、95%以上、例えば、99%以上の配列同一性を共有する配列を含む、または上記配列からなるポリヌクレオチドが提供される。
【0063】
好適には、本発明のポリペプチド配列は、天然の配列に対して少なくとも1つの改変を含む。好適には、本発明のポリヌクレオチド配列は、天然の配列に対する少なくとも1つの改変を含む。好適には、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列に対する改変は、腸管に存在するプロテアーゼ(例えば、トリプシンおよびキモトリプシン)に対するポリペプチドまたはコードされたポリペプチドの安定性を高めるためになされる。
【0064】
本発明の特定のポリペプチドの配列に関する実施態様を以下に概説する。
【0065】
ID-L253Tおよび関連ポリペプチド
KabatフォーマットでのID-L253Tのポリペプチド配列
本発明の特に有利なポリペプチドであるID-L253Tのポリペプチド配列は、Kabatフォーマットで以下に記載される。CDR1(配列番号1)は「CDR-H1」と標識され、CDR2(配列番号2)は「CDR-H2」と標識され、およびCDR3(配列番号3)は「CDR-H3」と標識される。上段は各ポリペプチド残基のKabat番号付け(「H」接頭辞付き)を提供し、中段はポリペプチド残基を提供し、下段は各ポリペプチド残基の連続番号付けを提供する。
【0066】
【表2】
【0067】
ID-L253Tおよび関連ポリペプチドのCDR
好適には、本発明のポリペプチドのCDR1は、配列番号1と80%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0068】
代替的に、本発明のポリペプチドのCDR1は、配列番号1と比較して、2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR1は、配列番号1と比較して、2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR1は、配列番号1と比較して、2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0069】
好適には、配列番号1のそれらの対応する残基と異なるCDR1の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。好適には、CDR1は配列番号1を含み、または、より好適には、配列番号1からなる。
【0070】
好適には、本発明のポリペプチドのCDR2は、配列番号2と55%以上、より好適には60%以上、より好適には70%以上、より好適には75%以上、より好適には80%以上、より好適には85%以上、より好適には90%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より適切に、上記配列からなる。
【0071】
代替的に、本発明のポリペプチドのCDR2は、配列番号2と比較して、8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR2は、配列番号2と比較して、8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR2は、配列番号2と比較して、8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0072】
好適には、配列番号2のそれらの対応する残基と異なるCDR2の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。
【0073】
好適には、配列番号2の残基番号9に対応するCDR2の残基は、DまたはHである。好適には、配列番号2の残基番号10に対応するCDR2の残基は、YまたはDである。好適には、配列番号2の残基番号11に対応するCDR2の残基は、S、G、R、またはA(より好適にはS、R、またはA、より好適にはSまたはA)である。好適には、配列番号2の残基番号14に対応するCDR2の残基は、VまたはAである。
【0074】
好適には、配列番号2の残基番号9に対応するCDR2の残基は、DまたはHであり、配列番号2の残基番号10に対応するCDR2の残基は、YまたはDであり、配列番号2の残基番号11に対応するCDR2の残基は、S、G、R、またはA(より好適にはS、R、またはA、より好適にはSまたはA)であり、および、配列番号2の残基番号14に対応するCDR2の残基は、VまたはAである。
【0075】
好適には、CDR2は配列番号2を含み、または、より好適には、配列番号2からなる。
【0076】
好適には、本発明のポリペプチドのCDR3は、配列番号3と、60%以上、より好適には65%以上、より好適には75%以上、より好適には80%以上、より好適には90%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0077】
代替的に、本発明のポリペプチドのCDR3は、配列番号3と比較して、3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR3は、配列番号3と比較して、3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR3は、配列番号3と比較して、3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、いかなる置換も配列番号3のそれらの対応する残基に対して保存的である。
【0078】
好適には、配列番号3のそれらの対応する残基と異なるCDR3の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。
【0079】
好適には、配列番号3の残基番号6に対応するCDR3の残基は、IまたはLである。
【0080】
好適には、(a)配列番号2の残基番号9に対応するCDR2の残基は、DまたはHであり、配列番号2の残基番号10に対応するCDR2の残基は、YまたはDであり、配列番号2の残基番号11に対応するCDR2の残基は、S、G、R、またはA(より好適にはS、R、またはA、より好適にはSまたはA)であり、および、配列番号2の残基番号14に対応するCDR2の残基は、VまたはAであり、および、(b)配列番号3の残基番号6に対応するCDR3の残基は、IまたはLである。
【0081】
ID-L253Tおよび関連ポリペプチドのFR
好適には、本発明のポリペプチドのFR1は、配列番号4と、5%、12%、18%、26%、32%、38%、46%、52%、58%、62%、66%、68%、72%、75%、78%、82%、85%、90%、95%、またはそれ以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0082】
代替的に、本発明のポリペプチドのFR1は、配列番号4と比較して、28以下、より好適には26以下、より好適には24以下、より好適には22以下、より好適には20以下、より好適には18以下、より好適には16以下、より好適には14以下、より好適には13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR1は、配列番号4と比較して、28以下、より好適には26以下、より好適には24以下、より好適には22以下、より好適には20以下、より好適には18以下、より好適には16以下、より好適には14以下、より好適には13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR1は、配列番号4と比較して、28以下、より好適には26以下、より好適には24以下、より好適には22以下、より好適には20以下、より好適には18以下、より好適には16以下、より好適には14以下、より好適には13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0083】
好適には、配列番号4のそれらの対応する残基と異なるFR1の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。
【0084】
好適には、配列番号4の残基番号1に対応するFR1の残基は、DまたはEである。好適には、配列番号4の残基番号11に対応するFR1の残基は、QまたはLである。好適には、配列番号4の残基番号19に対応するFR1の残基は、SまたはRである。好適には、配列番号4の残基番号23に対応するFR1の残基は、EまたはAである。好適には、配列番号4の残基番号24に対応するFR1の残基は、SまたはAである。
【0085】
好適には、配列番号4の残基番号1に対応するFR1の残基は、DまたはEであり、配列番号4の残基番号11に対応するFR1の残基は、QまたはLであり、配列番号4の残基番号19に対応するFR1の残基は、SまたはRであり、配列番号4の残基番号23に対応するFR1の残基は、EまたはAであり、および、配列番号4の残基番号24に対応するFR1の残基は、SまたはAである。
【0086】
好適には、FR1は配列番号4を含み、または、より好適には、配列番号4からなる。
【0087】
好適には、本発明のポリペプチドのFR2は、配列番号5と、10%、15%、25%、30%、40%、45%、55%、60%、70%、75%、85%、90%、またはそれ以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0088】
代替的に、本発明のポリペプチドのFR2は、配列番号5と比較して、13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR2は、配列番号5と比較して、13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR2は、配列番号5と比較して、13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0089】
好適には、配列番号5のそれらの対応する残基と異なるFR2の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。
【0090】
好適には、配列番号5の残基番号2に対応するFR2の残基は、FまたはYである。好適には、配列番号5の残基番号5に対応するFR2の残基は、VまたはAである。好適には、配列番号5の残基番号8に対応するFR2の残基は、KまたはHである。好適には、配列番号5の残基番号9に対応するFR2の残基は、QまたはEである。好適には、配列番号5の残基番号10に対応するFR2の残基は、RまたはLである。好適には、配列番号5の残基番号12に対応するFR2の残基は、LまたはFである。
【0091】
好適には、配列番号5の残基番号2に対応するFR2の残基は、FまたはYであり、配列番号5の残基番号5に対応するFR2の残基は、VまたはAであり、配列番号5の残基番号8に対応するFR2の残基は、KまたはHであり、配列番号5の残基番号9に対応するFR2の残基は、QまたはEであり、配列番号5の残基番号10に対応するFR2の残基は、RまたはLであり、および、配列番号12の残基番号12に対応するFR2の残基は、LまたはFである。
【0092】
好適には、本発明のポリペプチドのFR3は、配列番号6と、8%、15%、20%、26%、32%、40%、45%、52%、58%、65%、70%、76%、80%、82%、85%、90%、92%、95%、またはそれ以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0093】
代替的に、本発明のポリペプチドのFR3は、配列番号6と比較して、29以下、より好適には27以下、より好適には25以下、より好適には23以下、より好適には21以下、より好適には19以下、より好適には17以下、より好適には15以下、より好適には13以下、より好適には11以下、より好適には9以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR3は、配列番号6と比較して、29以下、より好適には27以下、より好適には25以下、より好適には23以下、より好適には21以下、より好適には19以下、より好適には17以下、より好適には15以下、より好適には13以下、より好適には11以下、より好適には9以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR3は、配列番号6と比較して、29以下、より好適には27以下、より好適には25以下、より好適には23以下、より好適には21以下、より好適には19以下、より好適には17以下、より好適には15以下、より好適には13以下、より好適には11以下、より好適には9以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0094】
好適には、配列番号6の残基番号4に対応するFR3の残基は、I、L、またはM(より適切にIまたはM)である。好適には、配列番号6の残基番号13に対応するFR3の残基は、LまたはVである。好適には、配列番号6の残基番号14に対応するFR3の残基は、YまたはFである。好適には、配列番号6の残基番号16に対応するFR3の残基は、QまたはEである。好適には、配列番号6の残基番号18に対応するFR3の残基は、NまたはDである。好適には、配列番号6の残基番号20に対応するFR3の残基は、LまたはVである。好適には、配列番号6の残基番号22に対応するFR3の残基は、PまたはSである。好適には、配列番号6の残基番号25に対応するFR3の残基は、TまたはAである。好適には、配列番号6の残基番号27に対応するFR3の残基は、VまたはRである。好適には、配列番号6の残基番号31に対応するFR3の残基は、AまたはNである。
【0095】
好適には、配列番号6の残基番号4に対応するFR3の残基は、I、L、またはM(より適切にIまたはM)であり、配列番号6の残基番号13に対応するFR3の残基は、LまたはVであり、配列番号6の残基番号14に対応するFR3の残基は、YまたはFであり、配列番号6の残基番号16に対応するFR3の残基は、QまたはEであり、配列番号6の残基番号18に対応するFR3の残基は、NまたはDであり、配列番号6の残基番号20に対応するFR3の残基は、LまたはVであり、配列番号6の残基番号22に対応するFR3の残基は、PまたはSであり、配列番号6の残基番号25に対応するFR3の残基は、TまたはAであり、配列番号6の残基番号27に対応するFR3の残基は、VまたはRであり、および、配列番号6の残基番号31に対応するFR3の残基は、AまたはNである。
【0096】
好適には、配列番号6のそれらの対応する残基と異なるFR3の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。好適には、FR3は配列番号6を含み、または、より好適には、配列番号6からなる。
【0097】
好適には、本発明のポリペプチドのFR4は、配列番号7と、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0098】
代替的に、本発明のポリペプチドのFR4は、配列番号7と比較して、10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR4は、配列番号7と比較して、10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR4は、配列番号7と比較して、10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0099】
好適には、配列番号7のそれらの対応する残基と異なるFR4の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。好適には、FR4は配列番号6を含み、または、より好適には、配列番号7からなる。
【0100】
好適には、配列番号7の残基番号6に対応するFR4の残基は、QまたはRである。
【0101】
ID-L253Tおよび関連ポリペプチドの完全長配列
好適には、本発明のポリペプチドは、配列番号8と、50%以上、より好適には55%以上、より好適には60%以上、より好適には65%以上、より好適には70%以上、より好適には75%以上、より好適には80%以上、より好適には85%以上、より好適には90%以上、より好適には95%以上、より好適には96%以上、より好適には97%以上、より好適には98%以上、より好適には99%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0102】
代替的に、本発明のポリペプチドは、配列番号8と比較して、20以下、より好適には15以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドは、配列番号8と比較して、20以下、より好適には15以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドは、配列番号8と比較して、20以下、より好適には15以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0103】
好適には、ポリペプチドのN末端はDである。好適には、ポリペプチドは配列番号8を含み、または、より好適には、配列番号8からなる。
【0104】
10E2および関連ポリペプチド
10E2および関連ポリペプチドのCDR
好適には、本発明のポリペプチドのCDR1は、配列番号14と80%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0105】
代替的に、本発明のポリペプチドのCDR1は、配列番号14と比較して、2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR1は、配列番号14と比較して、2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR1は、配列番号14と比較して、2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0106】
好適には、配列番号14のそれらの対応する残基と異なるCDR1の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。好適には、CDR1は配列番号14を含み、または、より好適には、配列番号14からなる。
【0107】
好適には、本発明のポリペプチドのCDR2は、配列番号15と55%以上、より好適には60%以上、より好適には70%以上、より好適には75%以上、より好適には80%以上、より好適には85%以上、より好適には90%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より適切に、上記配列からなる。
【0108】
代替的に、本発明のポリペプチドのCDR2は、配列番号15と比較して、8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR2は、配列番号15と比較して、8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR2は、配列番号15と比較して、8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0109】
好適には、配列番号15のそれらの対応する残基と異なるCDR2の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。
【0110】
好適には、CDR2は配列番号15を含み、または、より好適には、配列番号15からなる。
【0111】
好適には、本発明のポリペプチドのCDR3は、配列番号16と、60%以上、より好適には65%以上、より好適には75%以上、より好適には80%以上、より好適には90%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0112】
代替的に、本発明のポリペプチドのCDR3は、配列番号16と比較して、3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR3は、配列番号16と比較して、3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR3は、配列番号16と比較して、3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、いかなる置換も配列番号16のそれらの対応する残基に対して保存的である。
【0113】
好適には、配列番号16のそれらの対応する残基と異なるCDR3の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。
【0114】
10E2および関連ポリペプチドのFR
好適には、本発明のポリペプチドのFR1は、配列番号17と、5%、12%、18%、26%、32%、38%、46%、52%、58%、62%、66%、68%、72%、75%、78%、82%、85%、90%、95%、またはそれ以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0115】
代替的に、本発明のポリペプチドのFR1は、配列番号17と比較して、28以下、より好適には26以下、より好適には24以下、より好適には22以下、より好適には20以下、より好適には18以下、より好適には16以下、より好適には14以下、より好適には13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR1は、配列番号17と比較して、28以下、より好適には26以下、より好適には24以下、より好適には22以下、より好適には20以下、より好適には18以下、より好適には16以下、より好適には14以下、より好適には13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR1は、配列番号17と比較して、28以下、より好適には26以下、より好適には24以下、より好適には22以下、より好適には20以下、より好適には18以下、より好適には16以下、より好適には14以下、より好適には13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0116】
好適には、配列番号17のそれらの対応する残基と異なるFR1の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。
【0117】
好適には、FR1は配列番号17を含み、または、より好適には、配列番号17からなる。
【0118】
好適には、本発明のポリペプチドのFR2は、配列番号18と、10%、15%、25%、30%、40%、45%、55%、60%、70%、75%、85%、90%、またはそれ以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0119】
代替的に、本発明のポリペプチドのFR2は、配列番号18と比較して、13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR2は、配列番号18と比較して、13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR2は、配列番号18と比較して、13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0120】
好適には、配列番号18のそれらの対応する残基と異なるFR2の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。
【0121】
好適には、本発明のポリペプチドのFR3は、配列番号19と、8%、15%、20%、26%、32%、40%、45%、52%、58%、65%、70%、76%、80%、82%、85%、90%、92%、95%、またはそれ以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0122】
代替的に、本発明のポリペプチドのFR3は、配列番号19と比較して、29以下、より好適には27以下、より好適には25以下、より好適には23以下、より好適には21以下、より好適には19以下、より好適には17以下、より好適には15以下、より好適には13以下、より好適には11以下、より好適には9以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR3は、配列番号19と比較して、29以下、より好適には27以下、より好適には25以下、より好適には23以下、より好適には21以下、より好適には19以下、より好適には17以下、より好適には15以下、より好適には13以下、より好適には11以下、より好適には9以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR3は、配列番号19と比較して、29以下、より好適には27以下、より好適には25以下、より好適には23以下、より好適には21以下、より好適には19以下、より好適には17以下、より好適には15以下、より好適には13以下、より好適には11以下、より好適には9以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0123】
好適には、配列番号19のそれらの対応する残基と異なるFR3の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。好適には、FR3は配列番号19を含み、または、より好適には、配列番号19からなる。
【0124】
好適には、本発明のポリペプチドのFR4は、配列番号20と、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0125】
代替的に、本発明のポリペプチドのFR4は、配列番号20と比較して、10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR4は、配列番号20と比較して、10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR4は、配列番号20と比較して、10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0126】
好適には、配列番号20のそれらの対応する残基と異なるFR4の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。好適には、FR4は配列番号20を含み、または、より好適には、配列番号20からなる。
【0127】
10E2および関連ポリペプチドの完全長配列
好適には、本発明のポリペプチドは、配列番号13と、50%以上、より好適には55%以上、より好適には60%以上、より好適には65%以上、より好適には70%以上、より好適には75%以上、より好適には80%以上、より好適には85%以上、より好適には90%以上、より好適には95%以上、より好適には96%以上、より好適には97%以上、より好適には98%以上、より好適には99%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0128】
代替的に、本発明のポリペプチドは、配列番号13と比較して、20以下、より好適には15以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドは、配列番号13と比較して、20以下、より好適には15以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には13以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドは、配列番号13と比較して、20以下、より好適には15以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0129】
好適には、ポリペプチドのN末端はDである。好適には、ポリペプチドは配列番号13を含み、または、より好適には、配列番号13からなる。
【0130】
10G10および関連ポリペプチド
10G10および関連ポリペプチドのCDR
好適には、本発明のポリペプチドのCDR1は、配列番号22と80%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0131】
代替的に、本発明のポリペプチドのCDR1は、配列番号22と比較して、2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR1は、配列番号22と比較して、2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR1は、配列番号22と比較して、2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0132】
好適には、配列番号22のそれらの対応する残基と異なるCDR1の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。好適には、CDR1は配列番号22を含み、または、より好適には、配列番号22からなる。
【0133】
好適には、本発明のポリペプチドのCDR2は、配列番号23と55%以上、より好適には60%以上、より好適には70%以上、より好適には75%以上、より好適には80%以上、より好適には85%以上、より好適には90%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より適切に、上記配列からなる。
【0134】
代替的に、本発明のポリペプチドのCDR2は、配列番号23と比較して、8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR2は、配列番号23と比較して、8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR2は、配列番号23と比較して、8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0135】
好適には、配列番号23のそれらの対応する残基と異なるCDR2の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。
【0136】
好適には、CDR2は配列番号23を含み、または、より好適には、配列番号23からなる。
【0137】
好適には、本発明のポリペプチドのCDR3は、配列番号24と、60%以上、より好適には65%以上、より好適には75%以上、より好適には80%以上、より好適には90%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0138】
代替的に、本発明のポリペプチドのCDR3は、配列番号24と比較して、3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR3は、配列番号24と比較して、3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのCDR3は、配列番号24と比較して、3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、いかなる置換も配列番号24のそれらの対応する残基に対して保存的である。
【0139】
好適には、配列番号24のそれらの対応する残基と異なるCDR3の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。
【0140】
10G10および関連ポリペプチドのFR
好適には、本発明のポリペプチドのFR1は、配列番号25と、5%、12%、18%、26%、32%、38%、46%、52%、58%、62%、66%、68%、72%、75%、78%、82%、85%、90%、95%、またはそれ以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0141】
代替的に、本発明のポリペプチドのFR1は、配列番号25と比較して、28以下、より好適には26以下、より好適には24以下、より好適には22以下、より好適には20以下、より好適には18以下、より好適には16以下、より好適には14以下、より好適には13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR1は、配列番号25と比較して、28以下、より好適には26以下、より好適には24以下、より好適には22以下、より好適には20以下、より好適には18以下、より好適には16以下、より好適には14以下、より好適には13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR1は、配列番号25と比較して、28以下、より好適には26以下、より好適には24以下、より好適には22以下、より好適には20以下、より好適には18以下、より好適には16以下、より好適には14以下、より好適には13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0142】
好適には、配列番号25のそれらの対応する残基と異なるFR1の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。
【0143】
好適には、FR1は配列番号25を含み、または、より好適には、配列番号25からなる。
【0144】
好適には、本発明のポリペプチドのFR2は、配列番号26と、10%、15%、25%、30%、40%、45%、55%、60%、70%、75%、85%、90%、またはそれ以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0145】
代替的に、本発明のポリペプチドのFR2は、配列番号26と比較して、13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR2は、配列番号26と比較して、13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR2は、配列番号26と比較して、13以下、より好適には12以下、より好適には11以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0146】
好適には、配列番号26のそれらの対応する残基と異なるFR2の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。
【0147】
好適には、本発明のポリペプチドのFR3は、配列番号27と、8%、15%、20%、26%、32%、40%、45%、52%、58%、65%、70%、76%、80%、82%、85%、90%、92%、95%、またはそれ以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0148】
代替的に、本発明のポリペプチドのFR3は、配列番号27と比較して、29以下、より好適には27以下、より好適には25以下、より好適には23以下、より好適には21以下、より好適には19以下、より好適には17以下、より好適には15以下、より好適には13以下、より好適には11以下、より好適には9以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR3は、配列番号27と比較して、29以下、より好適には27以下、より好適には25以下、より好適には23以下、より好適には21以下、より好適には19以下、より好適には17以下、より好適には15以下、より好適には13以下、より好適には11以下、より好適には9以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR3は、配列番号27と比較して、29以下、より好適には27以下、より好適には25以下、より好適には23以下、より好適には21以下、より好適には19以下、より好適には17以下、より好適には15以下、より好適には13以下、より好適には11以下、より好適には9以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0149】
好適には、配列番号27のそれらの対応する残基と異なるFR3の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。好適には、FR3は配列番号27を含み、または、より好適には、配列番号27からなる。
【0150】
好適には、本発明のポリペプチドのFR4は、配列番号28と、5%、10%、28%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0151】
代替的に、本発明のポリペプチドのFR4は、配列番号28と比較して、10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR4は、配列番号28と比較して、10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドのFR4は、配列番号28と比較して、10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0152】
好適には、配列番号28のそれらの対応する残基と異なるFR4の任意の残基は、それらの対応する残基と比べて保存的置換である。好適には、FR4は配列番号28を含み、または、より好適には、配列番号28からなる。
【0153】
10G10および関連ポリペプチドの完全長配列
好適には、本発明のポリペプチドは、配列番号21と、50%以上、より好適には55%以上、より好適には60%以上、より好適には65%以上、より好適には70%以上、より好適には75%以上、より好適には80%以上、より好適には85%以上、より好適には90%以上、より好適には95%以上、より好適には96%以上、より好適には97%以上、より好適には98%以上、より好適には99%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0154】
代替的に、本発明のポリペプチドは、配列番号21と比較して、20以下、より好適には15以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の付加を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドは、配列番号21と比較して、20以下、より好適には15以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の置換を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。好適には、本発明のポリペプチドは、配列番号21と比較して、20以下、より好適には15以下、より好適には10以下、より好適には9以下、より好適には8以下、より好適には7以下、より好適には6以下、より好適には5以下、より好適には4以下、より好適には3以下、より好適には2以下、より好適には1以下の欠失を有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなる。
【0155】
好適には、ポリペプチドのN末端はDである。好適には、ポリペプチドは配列番号21を含み、または、より好適には、配列番号21からなる。
【0156】
ID-L253T、10E2、10G10、および関連ポリペプチドに関するさらなる実施形態
1つの実施形態では、IL-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含むポリペプチドが提供され、ここで、免疫グロブリン鎖可変ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR1-CDR3)および4つのフレームワーク領域(FR1-FR4)を含み、相補性決定領域(および、より好適にはフレームワーク領域)は、本明細書で開示される相補性決定領域(およびフレームワーク領域)から選択される。
【0157】
1つの実施形態では、IL-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含むポリペプチドが提供され、ここで、免疫グロブリン鎖可変ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR1-CDR3)および4つのフレームワーク領域(FR1-FR4)を含み、ここで、
CDR1は、配列番号1、配列番号14、または配列番号22から選択される配列を含み、
CDR2は、配列番号2、配列番号15、または配列番号23から選択される配列を含み、
CDR3は、配列番号3、配列番号16、または配列番号24から選択される配列を含む。
【0158】
好適には、本発明で開示されるポリペプチドは、配列番号8、11、12、13、21、または29-45と70%以上、より好適には80%以上、より好適には90%以上、より好適には95%以上、より好適には98%以上、より好適には99%以上、より好適には99.5%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より適切に、上記配列からなる。
【0159】
1つの実施形態では、配列番号8、11、12、13、21、または29-45と70%以上、より好適には80%以上、より好適には90%以上、より好適には95%以上、より好適には98%以上、より好適には99%以上、より好適には99.5%以上の配列同一性を共有する配列を含み、または、より好適には、上記配列からなるポリペプチドが提供される。
【0160】
リンカーと多量体
本発明に係る構築物は、複数のポリペプチドを含み、好適には多価であり得る。このような構築物は、本発明に係る少なくとも2つの同一のポリペプチドを含み得る。本発明に係る2つの同一のポリペプチドからなる構築物は、「ホモビヘッド」である。本発明の1つの態様では、本発明の2つ以上の同一のポリペプチドを含む構築物が提供される。
【0161】
代替的に、構築物は、異なるが両方とも本発明に係るポリペプチド(「ヘテロビヘッド」)である少なくとも2つのポリペプチドを含み得る。
【0162】
代替的に、このような構築物は、(a)本発明に係る少なくとも1つのポリペプチドと、(b)本発明のポリペプチド(「ヘテロビヘッド」でもある)ではない、抗体またはその抗原結合フラグメントなどの少なくとも1つのポリペプチドとを含んでいてもよい。(b)の少なくとも1つのポリペプチドは、IL-23に(例えば、異なるエピトープを介して(a)のそれに)結合してもよく、または、代替的にIL-23以外の標的に結合してもよい。好適には、異なるポリペプチド(b)は、例えば、インターロイキン(IL-1、IL-1ra、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17、およびIL-18など)、インターロイキン受容体(IL-6RおよびIL-7Rなど)、転写因子(NF-kBなど)、サイトカイン(TNF-α、IFN-γ、TGF-β、およびTSLPなど)、膜貫通タンパク質(gp130およびCD3など)、表面糖タンパク質(CD4、CD20、CD40など)、可溶性タンパク質(CD40Lなど)、インテグリン(a4b7およびAlphaEbeta7など)、接着分子(MAdCAMなど)、ケモカイン(IP10およびCCL20など)、ケモカイン受容体(CCR2およびCCR9など)、抑制タンパク質(SMAD7など)、キナーゼ(JAK3など)、Gタンパク質共役型受容体(スフィンゴシン-1-P受容体など)、ヒトの病理学的プロセスに関与するその他の炎症性メディエーターまたは免疫学的に関連するリガンドに結合する。したがって、異なるポリペプチド(b)は、例えば、IL-6R、IL-6、IL-12、IL-1-β、IL-17A、TNF-α、またはCD3、あるいは、ヒトの病理学的プロセスに関与する他の炎症性メディエーターまたは免疫学的に関連するリガンドに結合する。最も好適には、異なるポリペプチド(b)はTNF-αに結合し、より好適には、異なるポリペプチド(b)はID-38Fである。
【0163】
構築物は、多価および/または多特異的であり得る。多価構築物(二価構築物など)は2つ以上の結合ポリペプチドを含み、したがって、1つ以上の抗原に結合が生じ得る2つ以上の部位を提示する。多価構築物の例は、ホモビヘッドまたはヘテロビヘッドであり得る。多特異性構築物(例えば、二重特異性構築物)は、(a)2つ以上の異なる抗原への結合が生じ得、または(b)同じ抗原上の2つ以上の異なるエピトープへの結合が生じ得る2つ以上の部位を提示する、2つ以上の異なる結合ポリペプチドを含んでいる。多特異性構築物はヘテロビヘッドであり得る。多特異性構築物は多価である。
【0164】
好適には、構築物内に含まれるポリペプチドは抗体フラグメントである。より好適には、構築物内に含まれるポリペプチドは、VHH、VH、VL、V-NAR、scFv、FAbフラグメント、またはF(ab’)2フラグメントからなるリストから選択される。より好適には、構築物内に含まれるポリペプチドはVHまたはVHHであり、最も好適には、VHHである。
【0165】
本発明のポリペプチドは、互いに直接(すなわち、リンカーを使用せずに)、またはリンカーを介して、連結することができる。好適には、リンカーは、プロテアーゼに不安定な(「a labile linker」)または非プロテアーゼ不安定(non-protease-labile)リンカーである。リンカーは好適にはポリペプチドであり、ポリペプチドとそのエピトープへの結合を可能にするように選択される。治療目的で使用される場合、リンカーは、ポリペプチドが投与される対象において、好適には非免疫原性である。
【0166】
好適には、プロテアーゼ不安定リンカーは、
[-(GS)-B-(GS)-]
のフォーマット、
(式中、
aは1~10であり、
bは1~10であり、
xは1~10であり、
yは1~10であり、
zは1~10であり、および、
BはKまたはR(配列番号:74)である)、
および、より好適には、
[-(GS)-B-(GS)-]フォーマットである
(式中、
xは1~10であり、
yは1~10であり、
zは1~10であり、および、
BはKまたはRである)。
【0167】
より好適には、aは2~5であり、bは2~5であり、xは1~3であり、yは1~3であり、zは1であり、およびBはKである。
【0168】
より好適には、プロテアーゼ不安定リンカーは、-(GS)-K-(GS)-(配列番号75)というフォーマットである。
【0169】
好適には、ポリペプチドはすべて非プロテアーゼ不安定リンカーによって接続されている。好適には、非プロテアーゼ不安定リンカーは(GS)というフォーマットのものであり、xは1~10である(配列番号76)。最も好適には、xは6である(配列番号77)。
【0170】
したがって、本発明に係る少なくとも1つのポリペプチドと、少なくとも1つの異なるポリペプチドとを含む構築物が提供され、異なるポリペプチドはTNF-αに結合する。好適には、TNFαに結合するポリペプチドは、ID-38Fまたはその変異体であり、例えば、ID-38F(配列番号67)と少なくとも70%の配列同一性、例えば、少なくとも80%の配列同一性、例えば、少なくとも90%の配列同一性、例えば、少なくとも95%の配列同一性、例えば、少なくとも99%の配列同一性を共有するポリペプチドなどである。より好適には、TNF-αに結合するポリペプチドは、ID-38Fである。一実施形態では、この構築物は、(GS)などの非プロテアーゼ不安定リンカーを含む。代替的に、この構築物は、-(GS)-K-(GS)-などのプロテアーゼ不安定リンカーを含む。好適には、この構築物は、FA1K(配列番号46)と少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%の配列同一性を共有する。
【0171】
構築物が非プロテアーゼ不安定リンカーを含む実施形態では、好適には、構築物全体(すなわち、結合ポリペプチド(免疫グロブリン鎖可変ドメインであってもよい)および非プロテアーゼ不安定リンカー)は、トリプシンおよびキモトリプシンなどのプロテアーゼに対して実質的に耐性を有する。構築物がプロテアーゼ不安定リンカーを含む実施形態では、好適には、ポリペプチド(すなわち、免疫グロブリン鎖可変ドメインであり得る結合ポリペプチド)は、トリプシンおよびキモトリプシンなどのプロテアーゼに対して実質的に耐性を有するが、プロテアーゼ不安定リンカーはトリプシンまたはキモトリプシンなどのプロテアーゼに対して不安定である。
【0172】
ベクターと宿主
「ベクター」という用語は、本明細書に使用されるように、結合された別の核酸を運ぶことができる核酸分子を指すことを意図している。1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、それは、付加的なDNAセグメントがライゲーションされ得る環状の二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、付加的なDNAセグメントはウイルスゲノムへライゲーションされ得る。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律増殖が可能である(例えば、複製およびエピソームの哺乳動物および酵母のベクターの細菌起源を有する細菌ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入に際して宿主細胞のゲノムへ統合することができ、それにより宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、それらが操作自在に結合される遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターは、「組換え発現ベクター」(または単に「組換えベクター」)と本明細書で呼ばれる。一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターはしばしば、プラスミドの形態である。本明細書では、「プラスミド」と「ベクター」は、プラスミドが最も一般的に用いられるベクターの形態であるため、互換的に使用することができる。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)などの発現ベクターの他の形態、ならびにバクテリオファージ系およびファージミド系を含むことを意図している。本発明はさらに、ポリペプチド配列、あるいは多価および/または多特異性構築物をコードするヌクレオチド配列にも関する。本明細書で使用されるように、「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、組換え発現ベクターが導入された細胞を指すことを意図している。このような用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫を指すことも意図している。
【0173】
本発明の1つの態様では、本発明のポリペプチドまたは構築物をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、または前記ポリヌクレオチドを含むcDNAが提供される。本発明のさらなる態様では、本発明のポリペプチドまたは構築物を発現することができる、前記ベクターで形質転換された宿主細胞が提供される。好適には、宿主細胞は、大腸菌などの細菌、アスペルギルス属、サッカロミセス属、クリベロマイセス属、ハンゼヌラ属、またはピキア属に属する酵母、例えば、サッカロミセス・セレビシエまたはピキア・パストリスである。
【0174】
安定性
好適には、本発明のポリペプチドまたは構築物は、経口投与された場合、および腸管への曝露後(例えば、小腸および/または大腸のプロテアーゼならびに/あるいはIBD炎症性プロテアーゼへの曝露後)に、中和能力および/または効力を実質的に保持する。そのようなプロテアーゼとしては、エンテロペプチダーゼ、トリプシン、キモトリプシン、および過敏性腸疾患炎症性プロテアーゼ(MMP3、MMP12、およびカテプシンなど)が挙げられる。小腸および/または大腸のプロテアーゼ、または上記小腸および/または大腸で産生されるプロテアーゼは、腸内共生細菌叢および/または病原性細菌から供給されるプロテアーゼを含み、例えば、プロテアーゼは細胞膜付着プロテアーゼ、排泄プロテアーゼ、および細胞溶解時に放出されるプロテアーゼである。最も好適には、プロテアーゼは、トリプシンおよびキモトリプシンである。
【0175】
好適には、腸管は、イヌ、ブタ、ヒト、カニクイザル、またはマウスの腸管である。より適切に、腸管は、ヒト、カニクイザル、またはマウス、より好適には、マウスまたはヒト、最も好適にはヒトの腸管である。小腸は好適には十二指腸、空腸、および回腸からなる。大腸は好適には盲腸、結腸、直腸、および肛門管からなる。胃腸管は、胃腸管とは対照的に、小腸および大腸のみからなる。
【0176】
本発明のポリペプチドまたは構築物は、本発明のポリペプチドまたは構築物の本来の中和能力の好適には10%以上、より好適には20%以上、より好適には30%以上、より好適には40%以上、より好適には50%以上、より好適には60%以上、より好適には70%以上、より好適には80%以上、より好適には90%以上、より好適には95%以上、または最も好適には100%が、小腸および/または大腸に存在するプロテアーゼ、ならびに/あるいはIBD炎症性プロテアーゼに曝露後も保持されている場合に、中和能力を実質的に保持する。
【0177】
好適には、本発明のポリペプチドまたは構築物は、小腸および/または大腸ならびに/あるいはIBD炎症性プロテアーゼに、例えば、37℃で最大少なくとも1時間、より好適には最大少なくとも2時間、より好適には最大少なくとも3時間、より好適には最大少なくとも4時間、より好適には最大少なくとも7時間、より好適には最大少なくとも16時間曝露後に、中和能力を実質的に保持する。
【0178】
「中和能力を実質的に保持する」とは、好適には、本発明のポリペプチドまたは構築物が、本発明のポリペプチドまたは構築物の中和能力を、10%以上、より好適には20%以上、より好適には30%以上、より好適には40%以上、より好適には50%以上、より好適には60%以上、より好適には70%以上、より好適には80%以上、より好適には90%以上保持することを意味する。
【0179】
好適には、本発明のポリペプチドまたは構築物の中和能力の10%以上、より好適には20%以上、より好適には30%以上、より好適には40%以上、より好適には50%以上、より好適には60%以上、より好適には70%以上は、腸管、より好適には小腸または大腸、より好適にはヒト糞便抽出物の条件に4時間暴露後、保持されている。
【0180】
好適には、本発明のポリペプチドまたは構築物の中和能力の10%以上、より好適には20%以上、より好適には30%以上、より好適には40%以上、より好適には50%以上、より好適には60%以上、より好適には70%以上は、腸管、より好適には小腸または大腸、より好適にはヒト糞便抽出物の条件に7時間暴露後、保持されている。
【0181】
好適には、本発明のポリペプチドまたは構築物の中和能力の10%以上、より好適には20%以上、より好適には30%以上、より好適には40%以上、より好適には50%以上、より好適には60%以上、より好適には70%以上は、腸管、より好適には小腸または大腸、より好適にはヒト糞便抽出物の条件に16時間暴露後、保持されている。
【0182】
好適には、本発明のポリペプチドまたは構築物の中和能力の10%以上、より好適には20%以上、より好適には30%以上、より好適には40%以上、より好適には50%以上、より好適には60%以上、より好適には70%以上は、腸管、より好適には小腸または大腸、より好適にはマウス小腸上清の条件に1時間暴露後、保持されている。
【0183】
好適には、本発明のポリペプチドまたは構築物の中和能力の10%以上、より好適には20%以上、より好適には30%以上、より好適には40%以上、より好適には50%以上、より好適には60%以上、より好適には70%以上は、腸管、より好適には小腸または大腸、より好適にはマウス小腸上清の条件に4時間暴露後、保持されている。
【0184】
好適には、本発明のポリペプチドまたは構築物の投与量の10%以上、より好適には20%以上、より好適には30%以上、より好適には40%以上、より好適には50%以上、より好適には60%以上、より好適には70%以上は、IL-23に対する中和能力を保持し、および、腸管の条件に1、2、3、4、5、6、または7時間曝露後、マウス、カニクイザル、および/またはヒトの糞便(好適には排泄された糞便または腸管から取り出された糞便)中に残っている。
【0185】
本発明のポリペプチドまたは本発明の構築物の投与された量の好適には10%以上、より好適には20%以上、より好適には30%以上、より好適には40%以上、より好適には50%以上、より好適には60%以上、より好適には70%以上、より好適には80%以上、より好適には90%以上、より好適には95%以上、より好適には99%以上、最も好適には100%が、小腸および/または大腸に存在するプロテアーゼならびに/あるいはIBD炎症性プロテアーゼに曝露後、インタクトなままであるときに、本発明のポリペプチドまたは本発明の構築物は実質的にはインタクトなままである。
【0186】
治療用途および送達
本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物の治療上有効量は、対象への単回投与または複数回投与により、対象において有意な程度までIL-23を中和するのに有効な量である。治療上有効な量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重などの因子、ならびに個体において所望の応答を引き出すためのポリペプチド、医薬組成物、または構築物の能力に従って変動し得る。治療上有効な量は、本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物のいかなる毒性または有害な効果も、治療上有益な効果によって上回られるような量である。本発明のポリペプチドまたは構築物は、対象への投与に適した医薬組成物に組み入れることができる。本発明のポリペプチドまたは構築物は、薬学的に許容可能な塩の形態であり得る。
【0187】
本発明の医薬組成物は、好適には、経口、筋肉内、皮下、または静脈内送達のために製剤化され得る。本発明の医薬組成物は、様々な形態であり得る。これらは、例えば、液体、半固体、および固体の剤形、例えば、液体溶液(例えば、注射溶液および注入可能な溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸薬、粉末、リポソーム、および坐薬を含む。固形剤形が好ましい。本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、賦形剤と共に組み込まれ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハースなどの形態で使用されてもよい。
【0188】
典型的には、医薬組成物は、本発明のポリペプチドまたは構築物と、薬学的に許容可能な希釈剤または担体とを含む。薬学的に許容可能な担体の例としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等の1つ以上、および、これらの組み合わせが挙げられる。薬学的に許容可能な担体はさらに、本発明のポリペプチドまたは構築物の有効期間または有効性を高める、湿潤剤あるいは乳化剤、保存料、または緩衝剤などの補助物質を少量含んでいてもよい。医薬組成物は、付着防止剤(antiadherents)、結合剤、コーティング、崩壊剤、香料、着色料、潤滑剤、吸着剤、保存料、甘味料、凍結乾燥賦形剤(リオプロテクタント(lyoprotectant)を含む)または圧縮補助剤を含んでもよい。
【0189】
最も好適には、本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、経口投与される。経口投与の重要な問題は、十分なポリペプチド、医薬組成物、または構築物が、それが必要とされる腸管の領域に確実に到達することである。本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物が、それが必要とされる腸管の領域に到達することを妨げる要因としては、本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物を分解することができる消化器分泌物中のプロテアーゼの存在が挙げられる。好適には、本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、ポリペプチドまたは構築物自体の固有の特性により、そのようなプロテアーゼの1つ以上の存在下で実質的に安定している。好適には、本発明のポリペプチドまたは構築物は、医薬組成物に組み込まれる前に凍結乾燥される。
【0190】
本発明のポリペプチドには、腸溶性コーティングが提供されてもよい。腸溶性コーティングは、胃の低pHからポリペプチドを保護するのに役立つ、経口薬に適用されるポリマーバリアである。腸溶性コーティングに用いられる材料としては、脂肪酸、ワックス、シェラック、プラスチック、および植物繊維が挙げられる。適切な腸溶性コーティング成分としては、アクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、アルギン酸ナトリウム、およびステアリン酸が挙げられる。適切な腸溶性コーティング剤としては、pH依存性放出ポリマーが挙げられる。これらは、胃の中で見られる強酸性のpHでは不溶性であるが、弱酸性のpHでは急速に溶解するポリマーである。したがって、好適には、腸溶性コーティングは、胃の酸性ジュース(pH~3)では溶解しないが、小腸(pH6以上)または結腸(pH7.0以上)に存在する高いpH環境では溶解する。pH依存性放出ポリマーは、本発明のポリペプチドまたは構築物が、投与量が小腸に到達する頃に放出されるように選択される。
【0191】
本発明のポリペプチド、構築物、または医薬組成物は、水性溶媒または非水性溶媒、例えば、植物油または他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高脂肪酸のエステルまたはプロピレングリコールへの溶解、懸濁、または乳化により、および、望ましくは、従来の添加剤、例えば、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤、および保存料を用いて、注射用の調製物へ製剤化可能である。許容可能な担体、賦形剤、および/または安定剤は、使用された投与量と濃度でレシピエントに無毒であり、緩衝液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸;アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニン、およびクエン酸を含む抗酸化剤;保存料(エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-chlor-m-クレゾール、メチルパラベンまたはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、あるいはこれらの組み合わせ);アルギニン、グリシン、オルニチン、リジン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリン、およびこれらの組み合わせなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、および他の炭水化物;低分子量(約10未満の残基)ポリペプチド;ゼラチンまたは血清アルブミンなどのタンパク質;EDTAなどのキレート剤;トレハロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N-メチルグルコサミン、ガラクトサミン、およびノイラミン酸などの糖;ならびに/あるいは、ポリソルベート、POEエーテル、ポロキサマー、トリトン-X、またはポリエチレングリコールなどの非イオン界面活性剤を含む。
【0192】
本発明の医薬組成物は、(例えば、乾癬または湿疹などの自己免疫疾患の処置で使用するための)皮膚に局所的に送達されてもよい。このような医薬組成物は、好適には、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、フォーム、経皮パッチ、粉末、ペースト、またはチンキの形態であってよく、好適には、ビタミンD3アナログ(例えば、カルシポトリオールおよびマキサカルシトール)、ステロイド(例えば、プロピオン酸フルチカゾン、吉草酸ベタメタゾン、およびプロピオン酸クロベタゾール)、レチノイド(例えば、タザロテン)、コールタール、ならびにジトラノールを含み得る。局所用薬物はしばしば、互いに組み合わせて(例えば、ビタミンD3とステロイド)、またはサリチル酸などのさらなる薬剤と組み合わせて使用される。本発明の医薬組成物が乾癬または湿疹の治療のために局所的に送達される場合、好適には、乾癬または湿疹の治療に有効であると考えられるさらなる物質が、ヒドロコルチゾン(例えば、1%ヒドロコルチゾンクリーム)などのステロイド、とりわけ、クラス4またはクラス5のステロイド;シクロスポリン、または同様のマクロライド剤あるいはレチノイドなどの組成物に含まれてもよい。
【0193】
すべての送達様式について、本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、組成物のpHを、5~50、または、より好適には15~40、または、より好適には25~30g/リットルの間の濃度で安定化させるために、緩衝液中で製剤化されてもよい。適切な緩衝液成分の例としては、クエン酸ナトリウムおよび/またはクエン酸などの生理的食塩が挙げられる。好適には、緩衝液は100~200、より好適には125~175mMの生理的食塩、例えば、塩化ナトリウムを含む。好適には、緩衝液は、組成物のpHまたは患者の生理的pHに近いpKaを有するように選択される。
【0194】
医薬組成物中の例示的なポリペプチドまたは構築物の濃度は、約1mg/mL~約200mg/mL、または約50mg/mL~約200mg/ml、または約150mg/mL~約200mg/mlの範囲であり得る。
【0195】
本発明のポリペプチド、構築物、または医薬組成物の水性製剤は、pH緩衝溶液、例えば、約4.0~約7.0または約5.0~約6.0の範囲、あるいは、代替的に約5.5のpHで調製され得る。適切な緩衝液の例としては、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、酢酸緩衝液、および他の有機酸緩衝液が挙げられる。緩衝液の濃度は、例えば、緩衝液および製剤の所望の張性に応じて、約1mM~約100mM、または約5mM~約50mMであり得る。
【0196】
医薬組成物の張性は、張性調節剤(tonicity modifier)を含めることによって変えることができる。このような張性調節剤は、荷電または非荷電の化学種であり得る。代表的な非荷電張性調節剤としては、糖または糖アルコールまたは他のポリオール、好ましくはトレハロース、スクロース、マンニトール、グリセロール、1,2-プロパンジオール、ラフィノース、ソルビトールまたはラクチトール(特にトレハロース、マンニトール、グリセロール、または1,2-プロパンジオール)が挙げられる。代表的な荷電張性調節剤としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、またはカルシウムイオンと、塩化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、亜硫酸イオン、硝酸イオン、乳酸イオン、コハク酸イオン、酢酸イオン、またはマレイン酸イオン(特に塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウム)との組み合わせなどの塩;あるいは、アルギニンまたはヒスチジンなどのアミノ酸が挙げられる。好適には、水性製剤は等張性であるが、高張性または低張性の溶液が適している場合もある。「等張」という用語は、生理食塩液または血清などの、比較対象となる一部の他の溶液と同じ張力を有する溶液を表す。等張化剤は、約5mM~約350mMの量、例えば、1mM~500nMの量で使用されてもよい。好適には、少なくとも1つの等張化剤が組成物中に含まれる。
【0197】
製剤化されたポリペプチドまたは構築物の凝集を低減し、および/または製剤中の微粒子の形成を最小化し、および/または吸着を低減するために、界面活性剤を医薬組成物に添加することもできる。例示的な界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton-X)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(ポロキサマー、プルロニック(登録商標))、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。適切なポリオキシエチレンソルビタン-脂肪酸エステルの例としては、ポリソルベート20およびポリソルベート80が挙げられる。界面活性剤の例示的な濃度は、約0.001%w/v~約10%w/vの範囲であり得る。
【0198】
凍結乾燥プロセス中に不安定化条件から本発明のポリペプチドまたは構築物を保護するために、リオプロテクタントも添加され得る。例えば、既知のリオプロテクタントは、糖類(グルコース、スクロース、マンノース、およびトレハロースを含む)、ポリオール(マンニトール、ソルビトール、およびグリセロールを含む)、およびアミノ酸(アラニン、グリシン、およびグルタミン酸を含む)を含む。リオプロテクタントは、約10mM~500mMの量で含まれ得る。
【0199】
本発明のポリペプチド、医薬組成物、または本発明の構築物の投与のための投与量範囲は、所望の治療効果を生成するためのものである。必要な投与量範囲は、本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物の正確な性質、投与経路、製剤の性質、患者の年齢、患者の疾患の性質、程度、あるいは重症度、(もしあれば)禁忌、および主治医の判断に依存する。これらの投与量レベルの変動は、最適化のための標準的で経験的な方法を使用して調節することができる。
【0200】
本発明のポリペプチド、医薬組成物、または本発明の構築物の適切な毎日の投与量は、1kg当たり50ng~50mgの範囲であり、例えば、体重の1kg当たり50ug~40mg、例えば、1kg当たり5~30mgである。単位投与量は、100mg未満から変動する場合があるが、典型的には1投与当たり250~2000mgの範囲であり、単位投与量は、毎日またはより頻繁で、例えば、1日当たり2、3、あるいは4回、またはより少ない頻度で、例えば、一日おきに、あるいは週に1回、2週間に1回、または月に1回投与されてもよい。
【0201】
本発明の一態様では、自己免疫疾患の処置のための薬剤の製造における、本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物の使用が提供される。本発明のさらなる態様では、必要とする人に治療上有効な量の本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物を投与する工程を含む、自己免疫疾患を処置する方法が提供される。
【0202】
「処置」との用語は、治療用処置と同様に予防も包含するように意図される。疾患の処置はその悪化の処置も包含し、および、疾患症状の再発を防ぐために、疾患症状から寛解している患者の処置も包含する。
【0203】
併用療法
本発明の医薬組成物は、1つ以上の活性薬剤(例えば、本明細書で記載される疾患を処置するのに適切な活性薬剤)も含み得る。自己免疫疾患の処置で通常使用される他の確立されている治療の補助剤として、あるいはその確立されている治療と組み合わせて、自己免疫疾患の処置のための治療方法で本発明の医薬組成物を使用することは、本発明の範囲内である。
【0204】
IBD(クローン病または潰瘍性大腸炎などの)の処置の場合、可能性のある組み合わせとしては、例えば、5-アミノサリチル酸、またはそのプロドラッグ(スルファサラジン、オルサラジン、あるいはビサラジド(bisalazide)など);コルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、あるいはブデソニド);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、メトトレキセート、アザチオプリン、あるいは6-メルカプトプリン);抗TNF-α抗体(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、あるいはゴリムマブ);抗IL12/IL23抗体(例えば、ウステキヌマブ);抗IL6R抗体あるいは小分子IL12/IL23阻害剤(例えば、アピリモド(apilimod));抗α-4-β-7抗体(例えば、ベドリズマブ);MAdCAM-1遮断薬(例えば、PF-00547659);細胞接着分子α-4-インテグリンに対する抗体(例えば、ナタリズマブ);IL2受容体αサブユニットに対する抗体(例えば、ダクリズマブあるいはバシリキシマブ);JAK3阻害剤(例えば、トファシチニブあるいはR348);Syk阻害剤、およびそのプロドラッグ(例えば、ホスタマチニブならびにR-406);ホスホジエステラーゼ-4阻害剤(例えば、テトミラスト);HMPL-004;プロバイオティクス;デルサラジン(Dersalazine);セマピモド(semapimod)/CPSI-2364;および、プロテインキナーゼC阻害剤(例えば、AEB-071)を含むリストから選択される1つ以上の活性薬剤との組み合わせが挙げられる。最も適切な組み合わせ剤は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴ、またはゴリムマブである。
【0205】
したがって、本発明の別の態様は、1つ以上のさらなる有効な薬剤、例えば、上に記載される1つ以上の活性薬剤と組み合わせた、本発明の医薬組成物を提供する。
【0206】
本発明のさらなる態様では、ポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、上記リストから選択される少なくとも1つの活性薬剤と順次に、同時に、あるいは別々に投与される。
【0207】
同様に、本発明の別の態様は、
(A)本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物、および
(B)1つ以上の他の活性薬剤
を含む組み合わせ製品を提供し、ここで、成分(A)と(B)の各々は、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈液、または担体と混合して製剤化される。本発明のこの態様では、組み合わせ製品は、単一(組み合わせ)製剤またはキット・オブ・パーツ(kit-of-parts)のいずれかであり得る。したがって、本発明のこの態様は、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈液、または担体と混合された、本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物、および別の治療剤を含む組み合わせ製剤を包含する。
【0208】
本発明は、
(i)薬学的に許容可能なアジュバント、希釈液、または担体と混合された、本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物、
(ii)薬学的に許容可能なアジュバント、希釈液、または担体と混合された、1つ以上の他の活性薬剤を含む製剤
の成分を含むキット・オブ・パーツも包含し、成分(i)と(ii)はそれぞれ、他方と組み合わせて投与するのに適した形態で提供される。
【0209】
したがって、キット・オブ・パーツの成分(i)は、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈液、または担体と混合された上記成分(A)である。同様に、成分(ii)は、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈液、または担体と混合された上記成分(B)である。1つ以上の他の活性薬剤(つまり、上記成分(B))は、例えば、IBD(例えば、クローン病および/または潰瘍性大腸炎)などの自己免疫疾患の処置に関して上述された、薬剤のいずれかであり得る。成分(B)が1つを超える活性薬剤の場合、これらのさらなる活性薬剤は、互いと製剤化されるか、成分(A)と製剤化されるか、または、これらは別々に製剤化され得る。一実施形態では、成分(B)は1つの他の治療剤である。別の実施形態では、成分(B)は2つの他の治療剤である。本発明のこの態様の組み合わせ製品(組み合わせた製剤またはキット・オブ・パーツのいずれか)は、自己免疫疾患(例えば、本明細書で述べられる自己免疫疾患)の処置または予防で使用されてもよい。
【0210】
本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、薬剤としての使用に適しており、自己免疫疾患および/または炎症性疾患の処置での使用により適している。
【0211】
自己免疫疾患および/または炎症性疾患
免疫系が正常な体組織に有害に反応する場合、自己免疫疾患が発症する。自己免疫疾患は、体組織の損傷、異常な臓器の成長、および/または臓器機能の変化を結果としてもたらし得る。障害は、1つの臓器あるいは組織のタイプのみに影響を及ぼし得るか、または複数の臓器および組織に影響を及ぼし得る。自己免疫疾患によって一般に影響を受けた臓器および組織は、血液成分、例えば、赤血球、血管、結合組織、内分泌腺、例えば、甲状腺または膵臓、筋肉、関節、および皮膚を含む。炎症性疾患は、炎症によって特徴付けられる疾患である。多くの炎症性疾患は自己免疫疾患であり、その逆もまた同様である。
【0212】
GITの自己免疫疾患および/または炎症性疾患
小児と成人の両方を苦しめる慢性の炎症性腸疾患(IBD)クローン病および潰瘍性大腸炎は、GITの自己免疫疾患および炎症性疾患の例である(Hendricksonら、2002)。潰瘍性大腸炎は、炎症反応および形態変化が依然として結腸に限局されている状態として定義される。直腸は、患者の95%に関与する。炎症は、大部分は粘膜に制限され、結腸の長さに沿った潰瘍、浮腫、および出血を伴う、可変重症度の連続的な障害からなる(Hendricksonら、2002)。潰瘍性大腸炎は通常、排便の通過中の最も重度の下部の腹部痙攣とともに、便が混ざった血液と粘液の存在によって明示される。臨床的に、血液と粘液を伴う下痢の存在により、潰瘍性大腸炎と、血液が存在しない過敏性腸症候群とが区別される。潰瘍性大腸炎とは異なり、クローン病の症状は通常微妙であり、これが診断の遅れにつながる。障害の位置、範囲、および重症度などの因子は、胃腸症状の範囲を決定する。回結腸の障害(ileocolonic involvement)を有する患者は通常、食後の腹痛症を有し、右下腹部の圧痛、および時折、炎症性腫瘤を伴う。胃十二指腸のクローン病に関連する症状には、早期の満腹、悪心、嘔吐、心窩部痛、または嚥下障害が含まれる。肛門皮膚垂(anal tags)、深い裂肛、およびフィステルを伴う肛門周囲の疾患は、一般的である(Hendricksonら、2002)。GITの他の疾患としては、例えば、炎症性疾患粘膜炎(適切に薬物誘導性粘膜炎および放射線誘導性粘膜炎)が挙げられる。粘膜炎では、病変が口から肛門までのいかなる場所にも生じる場合があり、口と食道の病変の場合、可変ドメインを含有する口腔洗浄薬またはクリームの調製物が使用され得る。肛門と直腸の病変の場合、可変ドメインを含有する坐薬、クリーム、またはフォームが、局所適用に適している。免疫グロブリン鎖可変ドメインは、炎症部位での血流中への吸収を介して、またはリンパ管クリアランス(lympatic clearance)とその後の血流への流入を介して、固有層あるいは他の炎症性部位から除去される。したがって、ドメインは、血流により肝臓に到達し、腎臓中の糸球体濾過により除去される。それゆえ、ドメインは、自己免疫性肝炎、II型糖尿病、および糸球体腎炎などの疾患において治療的に機能するという十分な論理的根拠が存在する。
【0213】
好適には、本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、IL-23が疾患の病態に寄与するGI(胃腸)管の自己免疫疾患および/または炎症性疾患の処置で使用される。
【0214】
好適には、本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸疾患(irritable bowel disease)、糖尿病II型、糸球体腎炎、自己免疫性肝炎、シェーグレン症候群、セリアック病、および薬物誘導性あるいは放射線誘発性の粘膜炎(より好適にはクローン病もしくは潰瘍性大腸炎、最も好適には潰瘍性大腸炎)からなるリストから選択されるGI管の自己免疫疾患および/または炎症性疾患の処置で使用される。
【0215】
免疫グロブリン鎖可変ドメインの経口送達は、IL-23が病態の少なくともある割合に寄与し、かつ免疫グロブリン鎖可変ドメインがIL-23が生物学上活性である組織に到達できる炎症性疾患を理想的に治療する。
【0216】
皮膚の自己免疫疾患および/または炎症性疾患
乾癬は、衰弱性で自己免疫性の皮膚科学的な疾患である。尋常性乾癬は、上記疾患の最も一般的な形態であり、銀色の鱗屑で覆われた紅色皮膚を特徴とする。組織学的には、画像は、炎症細胞浸潤を伴う乾癬プラーク内のケラチノサイトの無秩序な分化および過増殖の1つである(Ortonne、1999年)。乾癬皮膚病変は、特徴的な銀色の光沢のある鱗屑を伴う、様々な形状の炎症性の赤くはっきりと区切られたプラークである。乾癬との用語は、乾癬、および、紅斑、皮膚の厚化/隆起、ならびに鱗屑を含む乾癬の症状を含む。
【0217】
乾癬の処置に有用である生物学的製剤は、抗TNFα治療剤(TNFに対するモノクローナル抗体、例えば、アダリムマブおよびインフリキシマブ、あるいはTNFα受容体融合タンパク質、例えば、エタネルセプトなど)、CD11a(エファリズマブ)のヒト化された抗体、またはアレファセプトなどのCD2に結合する薬剤(それにより、CD2 LFA3相互作用を遮断する)を含む。本明細書で示される生物学的製剤のすべてが、乾癬の処置での使用に承認されているとは限らないことに留意されたい。
【0218】
本発明のポリペプチドは、IL-23がそのような病変の病態に寄与する炎症性の皮膚病変への投与のために、クリーム/軟膏あるいは他の局所的担体に取り込まれ得る。
【0219】
好適には、本発明のポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、天疱瘡、乾癬、湿疹、および強皮症からなるリストから選択される皮膚の自己免疫疾患および/または炎症性疾患の処置で使用される。
【0220】
好適には、ポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、IL-23が観察された病態のある割合の原因となる他の自己免疫疾患/炎症性疾患の処置で使用される。
【0221】
調製方法
本発明のポリペプチドは、例えば、Green and Sambrook 2012 Molecular Cloning:A Laboratory Manual 4th Edition Cold Spring Harbour Laboratory Pressで開示される技術を使用して取得または操作することができる。
【0222】
モノクローナル抗体は、組織培養中で増大するその能力と抗体鎖合成の非存在のために選択された骨髄腫(B細胞癌)細胞を、特異的抗体を産生するB細胞と融合させることによって、ハイブリドーマ技術を使用して産生することができる。
【0223】
決定された抗原に対して向けられるモノクローナル抗体は、例えば、
a)ハイブリドーマを形成するために、決定された抗原で、不死の細胞で、および好ましくは骨髄細胞であらかじめ免疫化された動物の末梢血から得られたリンパ球を不死化すること、
b)形成された不死化細胞(ハイブリドーマ)を培養し、所望の特異性を有する抗体を産生する細胞を回収すること、によって得られ得る。
【0224】
あるいは、ハイブリドーマ細胞の使用は必要とされない。したがって、モノクローナル抗体は、
a)ベクターへと、特にファージ、より具体的には糸状バクテリオファージへと、(好適に、決定された抗原であらかじめ免疫された)動物のリンパ球、特に末梢血リンパ球から得られたDNAあるいはcDNA配列をクローニングする工程、
b)抗体の産生を可能にする条件で、上記ベクターで原核細胞を形質転換する工程、
c)抗体を抗原-親和性の選択にさらすことによって、抗体を選択する工程、
d)所望の特異性を有する抗体を回収する工程、
を含むプロセスによって得られ得る。
【0225】
ラクダ科の動物を免疫化し、血液中を循環するB細胞のVHHレパートリーをクローニングし(ChomezynnskiとSacchi 1987)、および、ファージ、酵母、あるいはリボソームディスプレイを使用して、免疫(Arbabi-Ghahroudiら、1997)および非免疫(Tanhaら、2002)のライブラリからの抗原特異性VHHを単離するための方法は既知である(WO92/01047、Nguyenら、2001年、およびHarmsenら、2007)。
【0226】
scFvフラグメントおよびFvフラグメントなどの抗体の抗原結合フラグメントは単離され、大腸菌で発現される(Mietheら 2013年、Skerraら 1988年、Wardら 1989)。
【0227】
ポリペプチドのアミノ酸配列についてはサイレントであるが、特定の宿主での翻訳に好ましいコドンをもたらすポリペプチドをコードする突然変異を、DNAあるいはcDNAに対して作ることができる。例えば、大腸菌、S.cerevisiaeにおける核酸の翻訳に好ましいコドンは既知である。
【0228】
ポリペプチドの突然変異は、例えば、ポリペプチドをコードする核酸への置換、付加、または欠失によって達成され得る。ポリペプチドをコードする核酸への置換、付加、または欠失は、例えば、エラープローンPCR、シャッフリング、オリゴヌクレオチド指向性突然変異、アセンブリPCR、PCR突然変異誘発、インビボの突然変異誘発、カセット変異誘発、繰り返しアンサンブル突然変異誘発、指数的アンサンブル突然変異誘発、部位特異的な突然変異誘発(Lingら 1997)、遺伝子再構成、遺伝子部位飽和変異誘発(GSSM)、合成ライゲーション再構成(SLR)、またはこれらの方法の組み合わせを含む多くの方法で導入することができる。核酸への修飾、付加、または欠失はまた、組換え、繰り返し配列組換え、ホスホチオエート修飾されたDNA変異誘発、ウラシル含有鋳型変異誘発、ギャップ付き二重鎖変異誘発、点ミスマッチ修復変異誘発、修復-欠損宿主株変異誘発、化学変異誘発、放射原性(radiogenic)変異誘発、欠失変異誘発、制限-選択変異誘発、制限-精製変異誘発、アンサンブル変異誘発、キメラ核酸多量体生成、またはそれらの組合せを含む方法によって導入することができる。
【0229】
特に、人工遺伝子合成が使用されてもよい(Nambiarら 1984年、SakamarとKhorana 1988、ウェルら 1985年、およびGrundstromら 1985)。本発明のポリペプチドをコードする遺伝子は、例えば、固相DNA合成によって合成的に産生され得る。遺伝子全体は、前駆体鋳型DNAを必要とせずに、デノボ合成され得る。所望のオリゴヌクレオチドを得るために、ビルディングブロックは、産物の配列によって必要とされる順序で、成長しているオリゴヌクレオチド鎖に順次にカップリングされる。鎖集合が完成すると、産物は固相から溶液へと放出され、脱保護され、採取される。産物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって単離され、高純度の所望のオリゴヌクレオチドが得られ得る(VermaとEckstein 1998)。
【0230】
VHとVHHなどの免疫グロブリン鎖可変ドメインの発現は、細菌、例えば、大腸菌などの原核細胞などの適切な発現ベクターを使用して達成することができる(例えば、WO94/04678で開示されるプロトコルに従って(この文献は参照により本明細書に組み込まれ、以下でさらに詳述される))。VHとVHHなどの免疫グロブリン鎖可変ドメインの発現はまた、真核細胞、例えば、昆虫細胞、CHO細胞、Vero細胞、または、Aspergillus属、Saccharomyces属、Kluyveromyces属、Hansenula属、あるいはPichia属に属する酵母などの適切な酵母菌を使用して、達成することができる。好適には、S.cerevisiaeが使用される(例えば、WO94/025591で開示されるプロトコルに従って(この文献は参照により本明細書に組み込まれ、以下でさらに詳述される))。
【0231】
具体的に、VHHは、
a)Bluescriptベクター(Agilent Technologies)中に、任意にHis-タグを含むVHH(例えば、ラクダ科の動物のリンパ球から得られるか、または合成的に産生される)をコードするDNAまたはcDNAの配列をクローニングする工程、
b)XhoI部位を含有するVHHに特異的な5’プライマー、および配列TC TTA ACT AGT GAG GAG ACG GTG ACC TG(配列番号68)を有するSpeI部位を含有する3’プライマーを使用した増幅後に、クローン化されたフラグメントを回収する工程、
c)XhoIとSpeIの制限酵素を用いたベクターの消化の後に、Immuno PBSベクター(Huseら 1989)において同相(in phase)で回収されたフラグメントをクローニングする工程、
d)工程cの組換えImmuno PBSベクターでのトランスフェクションによって、宿主細胞、特に大腸菌を形質転換する工程、
e)例えば、プロテインA、陽イオン交換、あるいはVHHがHisタグを含む場合、ニッケル親和性樹脂を使用したカラムでのクロマトグラフィーなどのアフィニティー精製によって、VHHコード配列の発現産物を回収する工程、を含むプロセスによって、大腸菌細胞を使用して、WO94/04678で開示される方法に従って調製することができる。
【0232】
あるいは、VHとVHHなどの免疫グロブリン鎖可変ドメインは、
a)決定された特異的抗原結合部位を有する、VHHをコードするDNAまたはcDNAの配列を得る工程、
b)開始コドンおよびHindlll部位を含有する5’プライマーと、XhoI部位を有する終止コドンを含有する3’プライマーとを使用して、得られたDNAまたはcDNAを増幅する工程、
c)プラスミドpMM984のHindlll(位置2650)部位とXhoI(位置4067)部位へと、増幅されたDNAまたはcDNAを組み換える工程(Merchlinskyら 1983)、
d)許容細胞、特にNB-E細胞(Faisstら 1995)を組換えプラスミドでトランスフェクトする工程、
e)得られた産物を回収する工程、を含むプロセスによって得ることができる。
【0233】
さらに、VHHまたはVHなどの免疫グロブリン鎖可変ドメインは、以下のように、大腸菌またはS.cerevisiaeを使用して、Frenkenら、2000年およびWO99/23221(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)で開示される方法に従って産生することができる。
【0234】
免疫化されたラマから血液試料を採取し、フィコール(水溶液に容易に溶解する、中性の非常に分岐した高質量で親水性の多糖類-Pharmacia)の不連続のグラジエント遠心分離によりリンパ球集団を濃縮し、酸性グアニジウムチオシアネート抽出(acid guanidium thiocyanate extraction)(ChomezynnskiとSacchi 1987)によって全RNAを単離し、第1の鎖cDNA合成(例えば、RPN 1266 Amersham)などのcDNAキットを使用)を行った後、WO99/23221の22ページと23ページ目に詳述される特異的なプライマーを使用して、VHHとVHフラグメントをコードするDNAフラグメントおよび短いヒンジ領域または長いヒンジ領域の一部は、PCR使用によって増幅される。PstIおよびHindIIIまたはBstEIIを有するPCRフラグメント消化の際に、約300~450bpの長さのDNAフラグメントは、アガロースゲル電気泳動によって精製され、大腸菌ファージミドベクターpUR4536あるいはエピソームのS.cerevisiae発現ベクターpUR4548にそれぞれライゲーションされる。pUR4536はpHEN(Hoogenboomら、1991)に由来し、ラマVHHとVH遺伝子のクローニングを可能にするために、lacI遺伝子と特有の制限部位とを含有する。pUR4548はpSY1(Harmsenら、1993)に由来する。leu2遺伝子中のBstEII部位は、PCRによってこのプラスミドから除去され、SUC2シグナル配列とターミネーターとの間のクローニング部位は、VH/VHH遺伝子フラグメントのクローニングを促進するために置き換えられる。VH/VHHは検出のために、C末端にc-mycタグを有する。個々の大腸菌JM109コロニーは、1%のグルコースおよび100mgのL-1アンピシリンを補充した150mlの2TY培地を含む、96ウェルマイクロタイタープレートに移される。一晩増殖させた後(37℃)、プレートは、100mgのL-1アンピシリンおよび0.1mMのIPTGを含む2TY培地中で2つ組みとする。さらに一晩インキュベーションし、任意選択で凍結および解凍した後、細胞は、遠心分離され、ペレット化され、上清はELISAにおいて使用され得る。個別のS.cerevisiaeコロニーは、選択的な最少培地(必須アミノ酸および塩基を補充した、0.7%の酵母窒素原基礎培地(yeast nitrogen base)、2%のグルコース)を含む試験管に移され、30℃で48時間増殖される。その後、培養物は、YPGal培地(1%の酵母エキス、2%のbactoペプトン、および5%のガラクトースを含む)中で10倍希釈される。24時間および48時間の増殖後、細胞はペレット化され、培養液上清はELISAで分析され得る。600nm(OD600)の吸光度が任意選択で測定される。
【0235】
さらに、VH/VHHなどの免疫グロブリン鎖可変ドメインは、以下のような手順を使用して、S.cerevisiaeを使用して産生することができる。
【0236】
VH/VHHをコードする天然に存在するDNA配列を単離するか、または、5’-UTR、シグナル配列、終止コドンを含み、かつSacI部位とHindIII部位と隣接した、VH/VHHをコードする合成的に生成されたDNA配列を得る(そのような合成配列は上に概説されるように生成することができるか、あるいは、例えば、Geneart(Life Technologies)などの商業的供給業者に注文してもよい)。
【0237】
マルチコピー組込み(MCI)ベクターpUR8569またはpUR8542へとVH/VHH遺伝子を移すために、制限部位を以下のように使用する。25ulのVHH DNA(GeneartプラスミドあるいはMCIベクター)、1ulのSacI、1ulのHindIII、NEB緩衝液1(New England Biolabs)などの二重消化(double digestion)に適切な3ulの緩衝液を使用して、シャトルベクター、カセット、または他の合成遺伝子構築物内に任意選択で含まれるVHHをコードするDNA配列、およびSacIとHindIIIを有するMCIベクターを、37度℃で一晩切断する。VHHをコードする消化されたDNA25ul、および消化されたMCIベクター25ulを、1xTAE緩衝液を含む1.5%のアガロースゲル上で泳動させ、その後、例えば、QIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を使用してゲル抽出を実施する。消化されたMCIベクターおよびVH/VHHをコードする消化されたDNAのライゲーションを、100ngのベクター、30ngのVHH遺伝子、1.5ulの10×リガーゼ緩衝液、1ulのT4DNAリガーゼ、およびddHOに設定する。その後、ライゲーションを16℃で一晩実施する。
【0238】
次に、大腸菌細胞を形質転換する。化学コンピテントXL-1ブルー細胞の場合、200ulの熱コンピテントXL-1ブルー細胞を解凍し、氷上で5ulのライゲーションミックスを約30分添加し、その後、42℃で90秒間熱ショックを実施する。その後、2%のグルコースを補充した800ulのLuria-Bertani低塩培地を添加し、細胞を37℃で2時間回復させる。Luria-Bertani寒天およびアンピシリン(100ug/ml)プレート上に細胞をプレーティングし、37℃で一晩維持した。電気コンピテントTG1大腸菌細胞の場合、エレクトロポレーションキュベットを使用する。エレクトロポレーションキュベットで:50ulの電気コンピテントTG1細胞および1ulのライゲーションミックスを約15分間氷上で解凍する。ホルダーにキュベットを置き、パルスをかける。500ulの2TY培地を添加し、37℃で30分間細胞を回復させる。アンピシリン(100ug/ml)および2%のグルコースを含むLuria-Bertani、寒天プレート上に100ulの細胞をプレーティングする。プレートを37℃で一晩維持する。
【0239】
上に詳述されるようにVH/VHH遺伝子を大腸菌にクローニングした後、S.cerevisiaeを線形化されたMCIベクターで形質転換することができる。形質転換を実施する前に、いくつかの工程を行う:(i)DNAは消化によって環状から線形に変化されなければならないか、そうでなければDNAは酵母ゲノムに統合することができない、および(ii)消化されたDNAは、エタノール沈澱によって不純物が除去されなければならない。さらに、変化プロセス中に酵母菌は半透過性になり、そのためDNAが細胞膜を通ることができる。
【0240】
酵母形質転換の準備:以下のように、VH/VHH遺伝子を発現する選択された大腸菌コロニーから調製されたミディプレップ(midi-prep)のHpaI消化を実施する。20ngのミディプレップ、5ulのHpaI、NEB4緩衝液(BioLabs)などの10ulの適切な緩衝液、およびddHOを含む100ulの溶液を調製する。
【0241】
HpaIを有するDNAを室温で一晩切断する。次に、エタノール沈澱を実施する(および、HpaI消化からの5ulの試料を片側に置く)。300ulのエタノール100%を、95ulのHpaIの消化されたミディプレップに添加し、ボルテックスし、フルスピードで5分間回転させる。ペレットが存在する場合、慎重にデカントし、100ulのエタノール70%を添加し、その後、5分間再びフルスピードで回転させる。再び試料をデカントし、ペレットが乾燥するまで50~60℃で維持する。ペレットを50ulのddHOに再懸濁する。5ulを、5ulのHpaI消化試料と並べてゲル上で泳動させる。
【0242】
酵母形質転換:YNBgluプレートを調製する。10gの寒天+425mlの水(殺菌済み)、25mlの濾過した20×YNB(25mlの殺菌したHO中の3.35gのYNB(酵母窒素原基礎培地))、および50mlの無菌20%グルコースを使用し、ペトリ皿に注ぐ。マスタープレートから1つの酵母コロニーを取り、3mlのYPD(酵母エキスペプトンデキストロース(Yeast Extract Peptone Dextrose))中で30℃で一晩増殖させる。次の日、約600mlのYPDを調製し、これを使用して、3つのフラスコを275ml、225ml、および100mlのYPDで充填する。27.5ulの酵母YPD培養物を第1のフラスコに添加し、穏やかに混合する。第1のフラスコから75mlをとり、第2のフラスコ入れ、穏やかに混合する。第2のフラスコから100mlをとり、第3のフラスコに入れ、穏やかに混合する。1~2のOD660に到達するまで増殖させる。このODに到達したフラスコを、4つのFalconチューブにそれぞれ±45mlで分ける。4200rpmで2分間回転させる。上清を廃棄する。45mlのHOを含む2つのFalconチューブにペレットを溶解する(チューブの数を4から2に減らす)。4200rpmで2分間回転させる。45mlのHOにペレットを溶解する(チューブを2つから1に)。4200rpmで2分間回転させる。5mlの酢酸リチウム(LiAc)(100mM)にペレットを穏やかに溶解し、数秒間回転させる。慎重に一部のLiAcを廃棄し、LiAcの半分以上をチューブ内に保持する。細胞をボルテックスし、担体DNAを5分間沸騰させ、氷水中で素早く冷却する。240ulのPEG、50ulの細胞、36uLiAc(1M)、25ulの担体DNA、45ulのエタノール沈殿したVH/VHHを含む15mlチューブに添加する。各工程後に穏やかに混合する(ブランク試料を同様に処理する、ただし、エタノール沈殿VH/VHHを用いない)。30℃で30分間インキュベートし、3~4回穏やかに反転させ、その後、42℃で20~25分間熱ショックを行う。最大6000rpmで短時間回転させる。上清を穏やかに取り除き、250ulのddHOを添加し、混合する。そのすべてを、プレートが乾燥するまでYNBgluプレート上にストリークし、30℃で4~5日間増殖させる。最後に、6つの等しい部分にプレートを分けることによってYNBgluを調製し、その部分を1から6に番号を付け、最も大きなコロニーを播種し、番号1をストリークする。大きいものから小さいものへ、1から6へと、他のコロニーに対して繰り返す。コロニーが産生されるまで、30℃で3~4日間大きく増殖させる。VH/VHHクローンは、炭素源としてグルコースを使用して増殖させ、VH/VHH発現の誘導は、0.5%のガラクトースの添加により、ガラクトース-7-プロモーターを活性化することによって行われる。3mLの小規模培養を実施してコロニーを試験し、VHまたはVHHの最良の発現を示すものを選択する。その後、このコロニーを精製で使用する。
【0243】
精製:VH/VHHは、強力なアニオン樹脂(Capto Sなど)による陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製される。1日目に、5mlのYPD培地(YP培地+2%のグルコース)に、VH/VHHを発現する選択された酵母コロニーを播種し、25mLの密封した滅菌チューブ内で細胞を30℃で一晩増殖させる(180rpmで振盪させながら)。2日目に、5mlの一晩の培養物を、50mLの新たに調製したYP培地+2%のグルコース+0.5%のガラクトースに希釈し、250mlの曝気し調節されたフラスコ内で細胞を30℃で2晩かけて増殖させる(180rpmで振盪させながら)。4日目に、心分離機において細胞を4200rpmで20分間回転させて沈殿させた。強力なアニオン樹脂を使用した陽イオン交換精製工程:リガンドを含む上清のpHを3.5に調節する。50mLの上清につき0.75mlの樹脂(+/-0.5mLのスラリー)を50mLのddHOで洗浄し、その後、結合緩衝液で3回洗浄する。洗浄した樹脂を上清に添加し、振盪機上で、懸濁液を4℃で1.5時間インキュベートする。500gで2分間の遠心分離によって樹脂に結合したVH/VHHをペレット化し、これを洗浄緩衝液で洗浄する。上清をデカントし、10mLの結合緩衝液で樹脂を再懸濁する。PD-10カラム内にフィルターを置き、カラムに樹脂を注ぎ、樹脂をしばらくの間沈降させ、その後、樹脂の上にフィルターを加える。結合緩衝液がすべて流れ出るまで待つ。6×0.5mlの溶出緩衝液でVH/VHHを溶出する。エッペンドルフチューブ内に溶出液画分を集める。Nanodropにより、6つの溶離した画分のタンパク濃度を測定する。VHHを含む画分をプールし、3,500Daのカットオフの透析膜に溶液を移す。3LのPBSに対して、精製されたタンパク質溶液を4℃で一晩透析する。5日目に、2Lの新鮮なPBSに対して、精製されたタンパク質溶液を4℃でさらに2時間透析する。最後に、BCAによって最終濃度を計算する。VH/VHHに関して述べられているが、上述される技術は、必要に応じて、scFv、Fab、Fv、および他の抗体フラグメントに使用されてもよい。
【0244】
複数の抗原結合フラグメント(好適にはVH/VHH)は、Blattlerら、1985などによって記載される有機誘導体化剤とアミノ酸残基を反応させることによって、化学的架橋によって融合され得る。あるいは、抗原結合フラグメントは、DNAレベルで遺伝学的に融合さてもよく、すなわち、1つ以上の抗原結合フラグメントを含む完全なポリペプチドの構築物をコードするポリヌクレオチド構築物が形成されてもよい。遺伝子経路を介して複数の抗原結合フラグメントを接合する1つの方法は、抗原結合フラグメントをコードする配列を、直接あるいはペプチドリンカーを介して連結することによるものである。例えば、第1の抗原結合フラグメントのカルボキシ末端は、次の抗原結合フラグメントのアミノ末端に連結され得る。この連結モードは、トリ-、テトラ-などの官能性の構築物の構築のために抗原結合フラグメントを連結するべく、拡張することができる。多価(二価など)のVHHポリペプチド構築物を産生する方法は、WO96/34103(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で開示されている。
【0245】
好適には、本発明のポリペプチド(特に、本発明のVHH)は、WO02/48382で開示された方法に従って、酵母(例えば、S.cerevisiae)などの真菌において産生することができ、これは炭素源を含む培地上での真菌の増殖を含み、ここで、50~100wt%の前記炭素源はエタノールである。S.cerevisiaeにおけるVHHフラグメントの大規模産生は、Thomassenら 2002に記載されている。
【0246】
本発明の一態様では、本発明のポリペプチドまたは構築物の調製のためのプロセスが提供され、上記プロセスは、
i)本発明のポリヌクレオチドをプラスミドなどのベクターにクローニングする工程、
ii)本発明のポリペプチドまたは構築物を産生することができる細菌細胞あるいは酵母細胞などの細胞を、ポリペプチドまたは構築物の産生を可能にする条件において、前記ベクターで形質転換する工程、
iii)親和性クロマトグラフィーなどによって、ポリペプチドまたは構築物を回収する工程を含む。
【0247】
本発明の実施形態さらに設定する項は、以下の通りである。
1.IL-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含むポリペプチドであって、ここで、上記免疫グロブリン鎖可変ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR1-CDR3)と4つのフレームワーク領域(FR1-FR4)とを含み、ここで、CDR1は配列番号1と60%以上の配列同一性を共有する配列を含み、CDR2は、配列番号2と50%以上の配列同一性共有する配列を含み、CDR3は、配列番号3と50%以上の配列同一性を共有する配列を含む、ポリペプチド。
2.CDR3は、配列番号3と80%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項1に記載のポリペプチド。
3.CDR3は、配列番号3と80%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項2に記載のポリペプチド。
4.配列番号3にそれらの対応する残基とは異なるCDR3の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換(conservative substitutions)である、項2または3のいずれかに記載のポリペプチド。
5.配列番号3の残基番号6に対応するCDR3の残基はIである、項2または3のいずれかに記載のポリペプチド。
6.配列番号3の残基番号6に対応するCDR3の残基はLである、項2または3のいずれかに記載のポリペプチド。
7.配列番号3の残基番号6に対応するCDR3の残基は、IまたはLであり、配列番号3中のそれらの対応する残基とは異なるCDR3の任意の他の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項4に記載のポリペプチド。
8.CDR3は配列番号3を含む、項2に記載のポリペプチド。
9.CDR3は配列番号3からなる、項3に記載のポリペプチド。
10.CDR1は、配列番号1と80%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項1-9のいずれか1つに記載のポリペプチド。
11.CDR1は、配列番号1と80%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項10に記載のポリペプチド。
12.配列番号1中のそれらの対応する残基とは異なるCDR1の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項1-9のいずれか1つに記載のポリペプチド。
13.CDR1は配列番号1を含む、項11に記載のポリペプチド。
14.CDR1は配列番号1からなる、項13に記載のポリペプチド。
15.CDR2は、配列番号2と55%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項1-14のいずれか1つに記載のポリペプチド。
16.CDR2は、配列番号2と55%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項15に記載のポリペプチド。
17.配列番号2の残基番号9に対応するCDR2の残基はDあるいはHであり、および/または、配列番号2の残基番号10に対応するCDR2の残基はYあるいはDであり、および/または、配列番号2の残基番号11に対応するCDR2の残基はS、G、R、あるいはA(例えば、S、R、あるいはA、例えば、SあるいはA)、および/または、配列番号2の残基番号14に対応するCDR2の残基はVあるいはAである、項1-16のいずれか1つに記載のポリペプチド。
18.配列番号2中のそれらの対応する残基とは異なるCDR2の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項1-17のいずれか1つに記載のポリペプチド。
19.CDR2は配列番号2を含む、項15に記載のポリペプチド。
20.CDR2は配列番号2からなる、項19に記載のポリペプチド。
21.FR1は、配列番号4と5%以上の配列同一性を共有する、例えば、12%以上の配列同一性を共有する、例えば、18%以上の配列同一性を共有する、例えば、26%以上の配列同一性を共有する、例えば、32%以上の配列同一性を共有する、例えば、38%以上の配列同一性を共有する、例えば、46%以上の配列同一性を共有する、例えば、52%以上の配列同一性を共有する、例えば、58%以上の配列同一性を共有する、例えば、62%以上の配列同一性を共有する、例えば、66%以上の配列同一性を共有する、例えば、68%以上の配列同一性を共有する、例えば、72%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、78%以上の配列同一性を共有する、例えば、82%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する、例えば、95%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項1-20のいずれか1つに記載のポリペプチド。
22.FR1は、配列番号4と5%以上の配列同一性を共有する、例えば、12%以上の配列同一性を共有する、例えば、18%以上の配列同一性を共有する、例えば、26%以上の配列同一性を共有する、例えば、32%以上の配列同一性を共有する、例えば、38%以上の配列同一性を共有する、例えば、46%以上の配列同一性を共有する、例えば、52%以上の配列同一性を共有する、例えば、58%以上の配列同一性を共有する、例えば、62%以上の配列同一性を共有する、例えば、66%以上の配列同一性を共有する、例えば、68%以上の配列同一性を共有する、例えば、72%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、78%以上の配列同一性を共有する、例えば、82%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する、例えば、95%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項21に記載のポリペプチド。
23.配列番号4の残基番号1に対応するFR1の残基は、DまたはEである、項1-22のいずれか1つに記載のポリペプチド。
24.配列番号4の残基番号1に対応するFR1の残基はDである、項23に記載のポリペプチド。
25.配列番号4の残基番号1~5に対応するFR1の残基は、DVQLVである、項24に記載のポリペプチド。
26.配列番号4にそれらの対応する残基とは異なるFR1の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項1-25のいずれか1つに記載のポリペプチド。
27.FR1は配列番号4を含む、項21に記載のポリペプチド。
28.FR1は配列番号4からなる、項27に記載のポリペプチド。
29.FR2は、配列番号5と10%以上の配列同一性を共有する、例えば、15%以上の配列同一性を共有する、例えば、25%以上の配列同一性を共有する、例えば、30%以上の配列同一性を共有する、例えば、40%以上の配列同一性を共有する、例えば、45%以上の配列同一性を共有する、例えば、55%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項1-28のいずれか1つに記載のポリペプチド。
30.FR2は、配列番号5と10%以上の配列同一性を共有する、例えば、15%以上の配列同一性を共有する、例えば、25%以上の配列同一性を共有する、例えば、30%以上の配列同一性を共有する、例えば、40%以上の配列同一性を共有する、例えば、45%以上の配列同一性を共有する、例えば、55%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項29に記載のポリペプチド。
31.配列番号5中のそれらの対応する残基とは異なるFR2の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項1-30のいずれか1つに記載のポリペプチド。
32.FR2は配列番号5を含む、項29に記載のポリペプチド。
33.FR2は配列番号5からなる、項32に記載のポリペプチド。
34.FR3は、配列番号6と8%以上の配列同一性を共有する、例えば、15%以上の配列同一性を共有する、例えば、20%以上の配列同一性を共有する、例えば、26%以上の配列同一性を共有する、例えば、32%以上の配列同一性を共有する、例えば、40%以上の配列同一性を共有する、例えば、45%以上の配列同一性を共有する、例えば、52%以上の配列同一性を共有する、例えば、58%以上の配列同一性を共有する、例えば、65%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、76%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、82%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する、例えば、92%以上の配列同一性を共有する、例えば、95%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項1-33のいずれか1つに記載のポリペプチド。
35.FR3は、配列番号6と8%以上の配列同一性を共有する、例えば、15%以上の配列同一性を共有する、例えば、20%以上の配列同一性を共有する、例えば、26%以上の配列同一性を共有する、例えば、32%以上の配列同一性を共有する、例えば、40%以上の配列同一性を共有する、例えば、45%以上の配列同一性を共有する、例えば、52%以上の配列同一性を共有する、例えば、58%以上の配列同一性を共有する、例えば、65%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、76%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、82%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する、例えば、92%以上の配列同一性を共有する、例えば、95%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項34に記載のポリペプチド。
36.配列番号6中のそれらの対応する残基とは異なるFR3の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項1-35のいずれか1つに記載のポリペプチド。
37.FR3は配列番号6を含む、項34に記載のポリペプチド。
38.FR3は配列番号6からなる、項37に記載のポリペプチド。
39.FR4は、配列番号7と5%以上の配列同一性を共有する、例えば、10%以上の配列同一性を共有する、例えば、20%以上の配列同一性を共有する、例えば、30%以上の配列同一性を共有する、例えば、40%以上の配列同一性を共有する、例えば、50%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項1-38のいずれか1つに記載のポリペプチド。
40.FR4は、配列番号7と5%以上の配列同一性を共有する、例えば、10%以上の配列同一性を共有する、例えば、20%以上の配列同一性を共有する、例えば、30%以上の配列同一性を共有する、例えば、40%以上の配列同一性を共有する、例えば、50%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項39に記載のポリペプチド。
41.配列番号7中のそれらの対応する残基とは異なるFR4の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項1-40のいずれか1つに記載のポリペプチド。
42.FR4は配列番号7を含む、項39に記載のポリペプチド。
43.FR4は配列番号7からなる、項42に記載のポリペプチド。
44.配列番号8と50%以上の配列同一性を共有する、例えば、55%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、65%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する、例えば、95%以上の配列同一性を共有する、例えば、96%以上の配列同一性を共有する、例えば、97%以上の配列同一性を共有する、例えば、98%以上の配列同一性を共有する、例えば、99%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項1-43のいずれか1つに記載のポリペプチド。
45.配列番号8と50%以上の配列同一性を共有する、例えば、55%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、65%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する、例えば、95%以上の配列同一性を共有する、例えば、96%以上の配列同一性を共有する、例えば、97%以上の配列同一性を共有する、例えば、98%以上の配列同一性を共有する、例えば、99%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項44に記載のポリペプチド。
46.ポリペプチドのN末端はDである、項1-45のいずれか1つに記載のポリペプチド。
47.配列番号8を含む、項44に記載のポリペプチド。
48.配列番号8からなる、項47に記載のポリペプチド。
49.IL-23を結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含むポリペプチドであって、ここで、上記免疫グロブリン鎖可変ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR1-CDR3)と4つのフレームワーク領域(FR1-FR4)とを含み、ここで、
(a)CDR1は、配列番号1と60%以上の配列同一性を共有する配列からなり、CDR2は、配列番号2と70%以上の配列同一性を共有する配列からなり、および、CDR3は、配列番号3と70%以上の配列同一性を共有する配列からなる、
(b)FR1は、配列番号4と70%以上の配列同一性を共有する配列からなり、FR2は、配列番号5と70%以上の配列同一性を共有する配列からなり、FR3は、配列番号6と70%以上の配列同一性を共有する配列からなり、および、FR4は、配列番号7と70%以上の配列同一性を共有する配列からなる、ならびに、
(c)ポリペプチドは、配列番号8と70%以上の配列同一性を共有する配列からなる、ポリペプチド。
50.IL-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含むポリペプチドであって、ここで、上記免疫グロブリン鎖可変ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR1-CDR3)と4つのフレームワーク領域(FR1-FR4)とを含み、ここで、CDR1は、配列番号14と60%以上の配列同一性を共有する配列を含み、CDR2は、配列番号15と50%以上の配列同一性を共有する配列を含み、および、CDR3は、配列番号16と50%以上の配列同一性を共有する配列を含む、ポリペプチド。
51.CDR3は、配列番号16と60%以上の配列同一性、例えば、80%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項50に記載のポリペプチド。
52.CDR3は、配列番号16と60%以上の配列同一性、例えば、80%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項51に記載のポリペプチド。
53.配列番号16中のそれらの対応する残基とは異なるCDR3の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項50-52のいずれか1つに記載のポリペプチド。
54.CDR3は配列番号16を含む、項51に記載のポリペプチド。
55.CDR3は配列番号16からなる、項54に記載のポリペプチド。
56.CDR1は、配列番号14と80%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項50-55のいずれか1つに記載のポリペプチド。
57.CDR1は、配列番号14と80%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項56に記載のポリペプチド。
58.配列番号14中のそれらの対応する残基とは異なるCDR1の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項50-57のいずれか1つに記載のポリペプチド。
59.CDR1は配列番号14を含む、項56に記載のポリペプチド。
60.CDR1は配列番号14からなる、項59に記載のポリペプチド。
61.CDR2は、配列番号15と55%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項50-60のいずれか1つに記載のポリペプチド。
62.CDR2は、配列番号15と60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項61に記載のポリペプチド。
63.配列番号15中のそれらの対応する残基とは異なるCDR2の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項50-62のいずれか1つに記載のポリペプチド。
64.CDR2は配列番号15を含む、項61に記載のポリペプチド。
65.CDR2は配列番号15からなる、項64に記載のポリペプチド。
66.(a)FR1は、配列番号17と5%以上の配列同一性を共有する、例えば、12%以上の配列同一性を共有する、例えば、18%以上の配列同一性を共有する、例えば、26%以上の配列同一性を共有する、例えば、32%以上の配列同一性を共有する、例えば、38%以上の配列同一性を共有する、例えば、46%以上の配列同一性を共有する、例えば、52%以上の配列同一性を共有する、例えば、58%以上の配列同一性を共有する、例えば、62%以上の配列同一性を共有する、例えば、66%以上の配列同一性を共有する、例えば、68%以上の配列同一性を共有する、例えば、72%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、78%以上の配列同一性を共有する、例えば、82%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する、例えば、95%以上の配列同一性を共有する配列を含む、
(b)FR2は、配列番号18と10%以上の配列同一性を共有する、例えば、15%以上の配列同一性を共有する、例えば、25%以上の配列同一性を共有する、例えば、30%以上の配列同一性を共有する、例えば、40%以上の配列同一性を共有する、例えば、45%以上の配列同一性を共有する、例えば、55%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列を含む、
(c)FR3は、配列番号19と8%以上の配列同一性を共有する、例えば、15%以上の配列同一性を共有する、例えば、20%以上の配列同一性を共有する、例えば、26%以上の配列同一性を共有する、例えば、32%以上の配列同一性を共有する、例えば、40%以上の配列同一性を共有する、例えば、45%以上の配列同一性を共有する、例えば、52%以上の配列同一性を共有する、例えば、58%以上の配列同一性を共有する、例えば、65%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、76%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、82%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する、例えば、92%以上の配列同一性を共有する、例えば、95%以上の配列同一性を共有する配列を含む、ならびに/あるいは、
(d)FR4は、配列番号20と5%以上の配列同一性を共有する、例えば、10%以上の配列同一性を共有する、例えば、20%以上の配列同一性を共有する、例えば、30%以上の配列同一性を共有する、例えば、40%以上の配列同一性を共有する、例えば、50%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項50-65のいずれか1つに記載のポリペプチド。
67.FR1は配列番号17を含み、および/またはFR2は配列番号18を含み、および/またはFR3は配列番号19を含み、および/またはFR4は配列番号20を含む、項66に記載のポリペプチド。
68.配列番号13と50%以上の配列同一性を共有する、例えば、55%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、65%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する、例えば、95%以上の配列同一性を共有する、例えば、96%以上の配列同一性を共有する、例えば、97%以上の配列同一性を共有する、例えば、98%以上の配列同一性を共有する、例えば、99%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項50-67のいずれか1つに記載のポリペプチド。
69.配列番号13を含むか、または配列番号13からなる、項68に記載のポリペプチド。
70.L-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含むポリペプチドであって、ここで、上記免疫グロブリン鎖可変ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR1-CDR3)と4つのフレームワーク領域(FR1-FR4)とを含み、ここで、CDR1は、配列番号22と60%以上の配列同一性を共有する配列を含み、CDR2は、配列番号23と50%以上の配列同一性を共有する配列を含み、および、CDR3は、配列番号24と50%以上の配列同一性を共有する配列を含む、ポリペプチド。
71.CDR3は、配列番号24と60%以上の配列同一性、例えば、80%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項70に記載のポリペプチド。
72.CDR3は、配列番号24と60%以上の配列同一性、例えば、80%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項71に記載のポリペプチド。
73.配列番号24中のそれらの対応する残基とは異なるCDR3の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項70-72のいずれか1つに記載のポリペプチド。
74.CDR3は配列番号24を含む、項71に記載のポリペプチド。
75.CDR3は配列番号24からなる、項74に記載のポリペプチド。
76.CDR1は、配列番号22と80%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項70-75のいずれか1つに記載のポリペプチド。
77.CDR1は、配列番号22と80%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項76に記載のポリペプチド。
78.配列番号22中のそれらの対応する残基とは異なるCDR1の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項70-77のいずれか1つに記載のポリペプチド。
79.CDR1は配列番号22を含む、項76に記載のポリペプチド。
80.CDR1は配列番号22からなる、項79に記載のポリペプチド。
81.CDR2は、配列番号23と55%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項70-80のいずれか1つに記載のポリペプチド。
82.CDR2は、配列番号23と60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列からなる、項81に記載のポリペプチド。
83.配列番号23中のそれらの対応する残基とは異なるCDR2の任意の残基は、それらの対応する残基に関する保存的置換である、項70-82のいずれか1つに記載のポリペプチド。
84.CDR2は配列番号23を含む、項81に記載のポリペプチド。
85.CDR2は配列番号23からなる、項84に記載のポリペプチド。
86.(a)FR1は、配列番号25と5%以上の配列同一性を共有する、例えば、12%以上の配列同一性を共有する、例えば、18%以上の配列同一性を共有する、例えば、26%以上の配列同一性を共有する、例えば、32%以上の配列同一性を共有する、例えば、38%以上の配列同一性を共有する、例えば、46%以上の配列同一性を共有する、例えば、52%以上の配列同一性を共有する、例えば、58%以上の配列同一性を共有する、例えば、62%以上の配列同一性を共有する、例えば、66%以上の配列同一性を共有する、例えば、68%以上の配列同一性を共有する、例えば、72%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、78%以上の配列同一性を共有する、例えば、82%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する、例えば、95%以上の配列同一性を共有する配列を含む、
(b)FR2は、配列番号26と10%以上の配列同一性を共有する、例えば、15%以上の配列同一性を共有する、例えば、25%以上の配列同一性を共有する、例えば、30%以上の配列同一性を共有する、例えば、40%以上の配列同一性を共有する、例えば、45%以上の配列同一性を共有する、例えば、55%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列を含む、
(c)FR3は、配列番号27と、8%以上の配列同一性を共有する、例えば、15%以上の配列同一性を共有する、例えば、20%以上の配列同一性を共有する、例えば、26%以上の配列同一性を共有する、例えば、32%以上の配列同一性を共有する、例えば、40%以上の配列同一性を共有する、例えば、45%以上の配列同一性を共有する、例えば、52%以上の配列同一性を共有する、例えば、58%以上の配列同一性を共有する、例えば、65%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、76%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、82%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する、例えば、92%以上の配列同一性を共有する、例えば、95%以上の配列同一性を共有する配列を含む、ならびに/あるいは、
(d)FR4は、配列番号28と、5%以上の配列同一性を共有する、例えば、10%以上の配列同一性を共有する、例えば、20%以上の配列同一性を共有する、例えば、30%以上の配列同一性を共有する、例えば、40%以上の配列同一性を共有する、例えば、50%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項70-85のいずれか1つに記載のポリペプチド。
87.FR1は配列番号25を含み、および/またはFR2は配列番号26を含み、および/またはFR3は配列番号27を含み、および/またはFR4は配列番号28を含む、項86に記載のポリペプチド。
88.配列番号21と50%以上の配列同一性を共有する、例えば、55%以上の配列同一性を共有する、例えば、60%以上の配列同一性を共有する、例えば、65%以上の配列同一性を共有する、例えば、70%以上の配列同一性を共有する、例えば、75%以上の配列同一性を共有する、例えば、80%以上の配列同一性を共有する、例えば、85%以上の配列同一性を共有する、例えば、90%以上の配列同一性を共有する、例えば、95%以上の配列同一性を共有する、例えば、96%以上の配列同一性を共有する、例えば、97%以上の配列同一性を共有する、例えば、98%以上の配列同一性を共有する、例えば、99%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項70-87のいずれか1つに記載のポリペプチド。
89.配列番号21を含むか、または配列番号21からなる、項88に記載のポリペプチド。
90.ポリペプチドは抗体である、項1-89のいずれか1つに記載のポリペプチド。
91.ポリペプチドは抗体フラグメントである、項90に記載のポリペプチド。
92.VHH、VH、VL、V-NAR、Fabフラグメント、およびF(ab’)2フラグメントからなるリストから選択される、項91に記載のポリペプチド。
93.ポリペプチドはVHHである、項92に記載のポリペプチド。
94.ポリペプチドはVHである、項92に記載のポリペプチド。
95.項1-94のいずれか1つに記載の2つ以上の同一のポリペプチドを含む構築物。
96.項1-94のいずれか1つに記載の少なくとも1つのポリペプチドと、少なくとも1つの異なるポリペプチドとを含む構築物であって、ここで、上記異なるポリペプチドはTNFαに結合する、構築物。
97.項1-94のいずれか1つに記載の少なくとも1つのポリペプチドと、少なくとも1つの異なるポリペプチドとを含む構築物であって、ここで、上記異なるポリペプチドはTNFα以外の標的に結合する、構築物。
98.ポリペプチドは、少なくとも1つのプロテアーゼ不安定性リンカーによって接続される、項95-97のいずれか1つに記載の構築物。
99.プロテアーゼ不安定性リンカーは下記フォーマット
[-(GS)-B-(GS)-]
のものであり、
ここで、
aは1~10であり、
bは1~10であり、
xは1~10であり、
yは1~10であり、
zは1~10であり、および、
BはKまたはRである、項98に記載の構築物。
100.aは2~5であり、bは2~5であり、xは1~3であり、yは1~3であり、zは1であり、および、BはKである、項99に記載の構築物。
101.構築物は、配列番号46を含むか、またはより好適には配列番号46からなる、項100に記載の構築物。
102.ポリペプチドはすべて、非プロテアーゼ不安定性リンカーによって接続される、項95-97のいずれか1つに記載の構築物。
103.非プロテアーゼ不安定性リンカーは下記フォーマット
(GS)
のものであり、
ここで、
xは1~10である、項102に記載の構築物。
104.xは6である、項103に記載の構築物。
105.5nM以下、例えば、4nM以下、例えば、3nM以下、例えば、2nM以下、例えば、1.7nM以下、例えば、1.5nM以下、例えば、1.4nM以下、例えば、1.3nM以下、例えば、1.2nM以下、例えば、1.1nM以下、例えば、1.0nM以下、例えば、0.9nM以下、例えば、0.8nM以下、例えば、0.75nM以下、例えば、0.70nM以下、例えば、0.65nM以下、例えば、0.60nM以下、例えば、0.55nM以下、例えば、0.50nM以下、例えば、0.45nM以下、例えば、0.40nM以下、例えば、0.35nM以下、例えば、0.30nM以下、例えば、0.25nM以下、例えば、0.20nM以下のEC50で、IL-23-IL-23R中和ELISA(評価方法A)においてヒトIL-23を中和する、項1-104のいずれか1つに記載のポリペプチドまたは構築物。
106.1つ以上のプロテアーゼに対して実質的に耐性である、項1-105のいずれか1つに記載のポリペプチドまたは構築物。
107.1つ以上のプロテアーゼは、胃、または、小腸あるいは大腸に存在する、項106に記載のポリペプチドまたは構築物。
108.1つ以上のプロテアーゼは小腸に存在する、項107に記載のポリペプチドまたは構築物。
109.1つ以上のプロテアーゼは、エンテロペプチダーゼ、トリプシン、キモトリプシン、および炎症性腸疾患炎症性プロテアーゼからなる群から選択される、項106に記載のポリペプチドまたは構築物。
110.1つ以上のプロテアーゼは、トリプシン、キモトリプシン、および炎症性腸疾患炎症性プロテアーゼからなる群から選択される、項109に記載のポリペプチドまたは構築物。
111.炎症性腸疾患炎症性プロテアーゼは、MMP3、MMP12、およびカテプシンからなる群から選択される1つ以上のプロテアーゼである、項109または110のいずれかに記載のポリペプチドまたは構築物。
112.プロテアーゼはトリプシンおよびキモトリプシンである、項110に記載のポリペプチドまたは構築物。
113.項1~112のいずれか1つに記載のポリペプチドまたは構築物と、1つ以上の薬学的に許容可能な希釈液または担体とを含む、医薬組成物。
114.上記医薬組成物は、腸溶性コーティングされた(enterically coated)形態で提示される、項113に記載の医薬組成物。
115.少なくとも1つのさらなる活性薬剤を含む、項113または114のいずれかに記載の医薬組成物。
116.少なくとも1つのさらなる活性薬剤は、5-アミノサリチル酸、またはそのプロドラッグ(スルファサラジン、オルサラジン、あるいはビサラジド(bisalazide)など);コルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、あるいはブデソニド);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、メトトレキセート、アザチオプリン、あるいは6-メルカプトプリン);抗TNFα抗体(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、あるいはゴリムマブ);抗IL12/IL23抗体(例えば、ウステキヌマブ);抗IL6R抗体あるいは小分子IL12/IL23阻害剤(例えば、アピリモド(apilimod));抗α-4-β-7抗体(例えば、ベドリズマブ);MAdCAM-1遮断薬(例えば、PF-00547659);細胞接着分子α-4-インテグリンに対する抗体(例えば、ナタリズマブ);IL2受容体αサブユニットに対する抗体(例えば、ダクリズマブあるいはバシリキシマブ);JAK3阻害剤(例えば、トファシチニブあるいはR348);Syk阻害剤、およびそのプロドラッグ(例えば、ホスタマチニブならびにR-406);ホスホジエステラーゼ-4阻害剤(例えば、テトミラスト);HMPL-004;プロバイオティクス;デルサラジン(Dersalazine);セマピモド(semapimod)/CPSI-2364;および、プロテインキナーゼC阻害剤(例えば、AEB-071)を含むリストから選択される、項115に記載の医薬組成物。
117.少なくとも1つのさらなる活性薬剤は5-アミノサリチル酸である、項116に記載の医薬組成物。
118.薬剤として使用される、項1~117のいずれか1つに記載のポリペプチド、医薬組成物、または構築物。
119.自己免疫疾患および/または炎症性疾患の処置で使用される、項118に記載のポリペプチド、医薬組成物、または構築物。
120.自己免疫疾患および/または炎症性疾患は、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸疾患、糖尿病II型、糸球体腎炎、自己免疫性肝炎、シェーグレン症候群、セリアック病、薬物誘導性あるいは放射線誘導性の粘膜炎、天疱瘡、乾癬、湿疹、および強皮症からなるリストから選択される、項119に記載のポリペプチド、医薬組成物、または構築物。
121.自己免疫疾患および/または炎症性疾患はクローン病である、項120に記載のポリペプチド、医薬組成物、または構築物。
122.経口投与される、項118~121のいずれか1つに記載のポリペプチド、医薬組成物、または構築物。
123.皮膚に局所投与される、項118~119のいずれか1つに記載のポリペプチド、医薬組成物、または構築物。
124.自己免疫疾患および/または炎症性疾患の処置のための薬剤の製造における、項1~117のいずれか1つに記載のポリペプチド、医薬組成物、または構築物の使用。
125.自己免疫疾患および/または炎症性疾患は、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸疾患、糖尿病II型、糸球体腎炎、自己免疫性肝炎、シェーグレン症候群、セリアック病、薬物誘導性あるいは放射線誘導性の粘膜炎、天疱瘡、乾癬、湿疹、および強皮症からなるリストから選択される、項124のいずれか1つに記載のポリペプチド、医薬組成物、または構築物の使用。
126.自己免疫疾患および/または炎症性疾患はクローン病である、項125に記載の使用。
127.薬剤は経口投与される、項124~126のいずれか1つに記載の使用。
128.薬剤は皮膚に局所投与される、項124に記載の使用。
129.自己免疫疾患および/または炎症性疾患を処置する方法であって、それを必要とする人に、項1~117のいずれか1つに記載の治療上有効な量のポリペプチド、医薬組成物、または構築物を投与する工程を含む、方法。
130.自己免疫疾患および/または炎症性疾患は、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、糖尿病II型、糸球体腎炎、自己免疫性肝炎、シェーグレン症候群、セリアック病、薬物誘導性あるいは放射線誘導性の粘膜炎、天疱瘡、乾癬、湿疹、および強皮症からなるリストから選択される、項129に記載の自己免疫疾患および/または炎症性疾患を処置する方法。
131.自己免疫疾患はクローン病である、項130に記載の自己免疫疾患を処置する方法。
132.ポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、経口投与される、項129~131のいずれか1つに記載の自己免疫疾患を処置する方法。
133.ポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、皮膚に局所投与される、項129に記載の自己免疫疾患を処置する方法。
134.ポリペプチド、医薬組成物、あるいは構築物は、5-アミノサリチル酸あるいはそのプロドラッグ(スルファサラジン、オルサラジン、あるいはビサラジド);コルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、あるいはブデソニド);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、メトトレキセート、アザチオプリン、あるいは6-メルカプトプリン);抗TNFα抗体(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、あるいはゴリムマブ);抗IL12/IL23抗体(例えば、ウステキヌマブ);抗IL6R抗体あるいは小分子IL12/IL23阻害剤(例えば、アピリモド(apilimod));抗α-4-β-7抗体(例えば、ベドリズマブ);MAdCAM-1遮断薬(例えば、PF-00547659);細胞接着分子α-4-インテグリンに対する抗体(例えば、ナタリズマブ);IL2受容体αサブユニットに対する抗体(例えば、ダクリズマブあるいはバシリキシマブ);JAK3阻害剤(例えば、トファシチニブあるいはR348);Syk阻害剤、およびそのプロドラッグ(例えば、ホスタマチニブならびにR-406);ホスホジエステラーゼ-4阻害剤(例えば、テトミラスト);HMPL-004;プロバイオティクス;デルサラジン(Dersalazine);セマピモド(semapimod)/CPSI-2364;および、プロテインキナーゼC阻害剤(例えば、AEB-071)を含むリストから選択される少なくとも1つの活性薬剤と、順次に、同時に、あるいは別々に投与される、項118~133のいずれか1つに記載のポリペプチド、医薬組成物、構築物、使用、または方法。
135.ポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、もしくはゴリムマブと、順次に、同時に、あるいは別々に投与される、項134に記載のポリペプチド、医薬組成物、構築物、または方法。
136.コードされた免疫グロブリン鎖可変ドメインのCDR1、CDR2、またはCDR3をコードする配列番号10の部分のいずれか1つと70%以上、例えば、80%以上、例えば、90%以上、例えば、95%以上、例えば、99%以上の配列同一性を共有する配列を含むか、またはその配列からなるポリヌクレオチド。
137.項1~135のいずれか1つに記載のポリペプチドまたは構築物をコードするポリヌクレオチド。
138.ポリヌクレオチドは、配列番号10と70%以上、例えば、80%以上、例えば、90%以上、例えば、95%以上、例えば、99%以上の配列同一性を共有する配列を含むか、またはその配列からなる、項137に記載のポリヌクレオチド。
139.ポリヌクレオチドは配列番号10を含むか、または配列番号10からなる、項138に記載のポリヌクレオチド。
140.項136~139のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを含むcDNA。
141.項136~140のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドまたはcDNAを含むベクター。
142.項141に記載のベクターで形質転換され、かつ項1~112のいずれか1つに記載のポリペプチドまたは構築物を発現することができる、宿主細胞。
143.宿主細胞は、S.cerevisiaeまたはP.pastorisなどの酵母細胞である、項142に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
144.宿主細胞は大腸菌などの細菌細胞である、項142に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
145.項1~112のいずれか1つに記載のポリペプチドまたは構築物を調製するためのプロセスであって、上記プロセスは、
i)項136~139のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドを、プラスミドなどのベクターへとクローニングする工程と、
ii)ポリペプチドまたは構築物の産生を可能にする条件下で、項1~112のいずれか1つに記載のポリペプチドまたは構築物を産生することができる細菌細胞あるいは酵母細胞などの細胞を、前記ベクターで形質転換する工程と、
iii)親和性クロマトグラフィーなどによって、ポリペプチドまたは構築物を回復する工程と、
を含む、プロセス。
【0248】
本発明のさらなる実施形態を説明するさらなる項は以下の通りである。
1.IL-23に結合する免疫グロブリン鎖可変ドメインを含むポリペプチドであって、ここで、上記免疫グロブリン鎖可変ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR1-CDR3)と4つのフレームワーク領域(FR1-FR4)とを含み、ここで、CDR1は配列番号1と60%以上の配列同一性を共有する配列を含み、CDR2は、配列番号2と50%以上の配列同一性共有する配列を含み、CDR3は、配列番号3と50%以上の配列同一性を共有する配列を含む、ポリペプチド。
2.CDR1は、配列番号1と80%以上の配列同一性を共有する配列を含み、CDR2は、配列番号2と80%以上の配列同一性を共有する配列を含み、および、CDR3は、配列番号3と80%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項1に記載のポリペプチド。
3.CDR1は配列番号1からなり、CDR2は配列番号2からなり、および、CDR3は配列番号3からなる、項3に記載のポリペプチド。
4.FR1は、配列番号4と80%以上の配列同一性を共有する配列を含み、FR2は、配列番号5と80%以上の配列同一性を共有する配列を含み、FR3は、配列番号6と80%以上の配列同一性を共有する配列を含み、および、FR4は、配列番号7と80%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項1-3のいずれか1つに記載のポリペプチド。
5.配列番号8と70%以上の配列同一性を共有する配列を含む、項1-4のいずれか1つに記載のポリペプチド。
6.ポリペプチドは抗体またはそのフラグメントである、項1-5のいずれか1つに記載のポリペプチド。
7.ポリペプチドはVHまたはVHHである、項6に記載のポリペプチド。
8.項1~7のいずれか1つに記載の少なくとも1つポリペプチドと、少なくとも1つの異なるポリペプチドとを含む、構築物であって、ここで、上記異なるポリペプチドはTNF-αに結合する、ポリペプチド。
9.ポリペプチドは、少なくとも1つのプロテアーゼ不安定性リンカーによって接続される、項8に記載の構築物。
10.ポリペプチドまたは構築物は、2nM以下のEC50で、IL-23-IL-23R中和ELISA(評価方法A)においてヒトIL-23を中和する、項1-9のいずれか1つに記載のポリペプチドまたは構築物。
11.ポリペプチドまたは構築物は、小腸に存在する1つ以上のプロテアーゼに対して実質的に耐性である、項1-10のいずれか1つに記載のポリペプチドまたは構築物。
12.プロテアーゼはトリプシンおよびキモトリプシンである、項11に記載のポリペプチドまたは構築物。
13.自己免疫疾患および/または炎症性疾患の処置で使用される、項1~12のいずれか1つに記載のポリペプチド、医薬組成物、または構築物。
14.上記ポリペプチド、医薬組成物、または構築物は、経口投与される、項13に記載のポリペプチド、医薬組成物、または構築物。
15.項1~14のいずれか1つに記載のポリペプチドまたは構築物をコードするポリヌクレオチド。
次に、以下の非限定的な例によって本発明をさらに説明する。
【実施例
【0249】
実施例で使用される評価方法
評価方法A:IL-23-IL-23R中和ELISA
Maxisorp 96ウェルプレートを、50μl/ウェルの0.3μg/mlのIL-23R-Fcで一晩コーティングし、その後、4%のミルク、1%のBSAで遮断した。ICVDを、4%のミルク、1%のBSA中で連続的に希釈し、40ng/mlの組換えヒトIL-23と1:1に混合した。その後、IL-23と混合したICVDを、IL-23Rでコーティングしたプレートに添加した。結合したIL-23を、BAF219抗p40ビオチン化pAb(R&D systems)で、その後、Extravidin-HRPで検出した。これにより、試料中のIL-23中和活性を計算することができる。
【0250】
評価方法B:高塩濃度緩衝液(high salt buffer)を使用するIL-23-IL-23R中和ELISA
糞便抽出物中の抗IL-23 ICVD濃度を測定するために、高塩濃度IL-23-IL-23R ELISAを使用した。このELISAは、糞便上清の希釈液およびIL-23調製物に使用した緩衝液が、0.6M NaCl、0.05%のTween20、およびプロテアーゼ阻害剤を含むPBS中の1%のBSA、4%のミルクであるという点を除いて、上のELISA(評価方法A)と同じであった。
【0251】
評価方法C:マウス脾細胞アッセイ
脾細胞をマウス脾臓から単離し、20ng/mLのマウスIL-2(2xアッセイ濃度)を含む培地中において、4x10細胞/50μL/ウェルで96ウェル丸底マイクロプレートにプレーティングした。ICVDのトップ濃度(top concentrations)を、10ng/mLのTHP-1由来のnhIL-23(2xアッセイ濃度)を含む培地中で、300nM(2x)で調製し、その後、2.6倍の希釈液を、nhIL-23(2x)を含む培地中で直接作成した。その後、50μLの各ICVDミックス(2x)を細胞(50μL)上に移し、ICVD、hIL-23、およびmIL-2の最終の1xアッセイ濃度を得た。培養液上清中のマウスIL-17刺激および分泌のために、「mIL-2のみ」と「mIL-2+hIL-23」を、陰性対照と陽性対照としてそれぞれ使用した。37℃、5%のCOで3日間のインキュベーション後、プレートを2000rpmで2分間回転させ、50μLの培養液上清を各ウェルから回収した。IL-17結合ELISAを使用して、培養液上清中のmIL-17のレベルを測定し、hIL-23の中和を決定した。
【0252】
実施例1:大腸菌中のICVDの免疫化、ファージライブラリ選択、マスタープレートスクリーニング、および産生
実施例1.1:免除化およびファージライブラリ構築
ラマを可溶性ヒト組換えIL-23で免疫化し、血清抗体の良好な力価を両方の動物で得た。IL-23の数回のブースト免疫化の後に、各ラマから採取した白血球からRNAを単離した。
【0253】
各免疫相の終わりに各ラマから採取した末梢血単核細胞(PBMC)を、7つの別個のファージディスプレイライブラリを生成するために使用した。ICVDファージディスプレイライブラリの構築、およびIL-23結合活性を有するICVDを発現するファージの一次選択を、標準的な試薬とプロトコルとを使用して実施した。一般に、全RNAを、免疫化されたラマの各々から単離した末梢血リンパ球から抽出した。その後、RNAを使用してcDNAを生成し、PCRを実施して、ICVD重鎖のみの抗体の可変領域を特異的に増幅した。ICVDレパートリーをコードするcDNAフラグメントを、ファージミドベクターへクローン化し、ライブラリを大腸菌に導入した。ヘルパーファージで大腸菌を培養し、結果として生じるICVDを表示するファージを沈澱させることによって、ファージライブラリを産生した。各ライブラリ数は、様々な希釈での対数期大腸菌株TG1の滴定および感染によって決定した。ライブラリは、6x10~5x10の間のICVD配列を含むと推測した。
【0254】
実施例1.2:ヒトIL-23結合活性を有するファージのためのライブラリ選択:周辺質抽出物の増殖および生成
ファージライブラリ選択戦略を、IL-23p19サブユニットに特異的に結合するICVDを濃縮するために設定した。ファージを、可溶性hIL-12の存在下で、hIL-23またはビオチン化hIL-23のいずれか上でパニングすることによって選択した。結合したICVDは異なる方法を使用して洗浄し、IL-23Rによる特定の溶出またはTEAによる総溶出のいずれかを使用してプレートから取り出した。選択および溶出の条件は、IL-23の活性な可溶性形態で存在し、かつIL-23受容体(IL-23R)へのIL-23の結合を妨害するp19のエピトープに高親和性で結合するICVDを単離するために確立した。
【0255】
選択からの溶出液に存在するファージは、大腸菌TG1細胞を感染させるために使用した。コロニーを、12の96ウェルマスタープレートに無作為選び取り、クローン培養物を生成するために増殖させた。ICVDを含有する周辺質画分(本明細書では「周囲(peri)」とも呼ばれる)を放出するために、細菌細胞外膜を凍結融解によって溶解した。細胞片は遠心分離によって除去し、上清は、ICVD特性の評価のために新鮮な96ウェルプレートに移した。
【0256】
実施例1.3:周辺質抽出物のスクリーニング
IL-23シグナル伝達の阻害に特異的なICVDを同定するために、周辺質抽出物を、3つの相互作用、すなわち、1)IL-23RへのIL-23の結合、2)IL-12Rβ1へのIL-23の結合、および3)IL-12Rβ1へのIL-12の結合を妨害するそれらの能力に関して試験した。これらの相互作用は、各ELISAによって試験した。
【0257】
3つのプレート-ELISAフォーマットを開発し、これによって、ICVDを含む周辺質抽出物を適切なサイトカインと混合した後に、適切なサイトカイン受容体でコーティングされたMaxisorpプレートに混合物を適用した。これにより、ICVDによるサイトカイン受容体結合の妨害がない状態で、サイトカインを補足することが可能になり、すべての場合で、ビオチン化抗p40抗体と、それに続くExtravidin-HRPとによって検出することができる。各ICVDの中和活性は、「無関係の」VHH対照と比べて、その受容体へのサイトカインの結合を減少させる能力として測定された。大腸菌での産生とさらなる評価のために、見込みがあるICVDクローンを選択した。
【0258】
実施例1.4:大腸菌での選択されたクローンの産生
選択されたICVDのDNA配列を、大腸菌での産生のために、ベクターpMEK222へと再度クローン化し(したがって、C末端FLAGおよび6xHisタグを導入し)、より詳細な評価試験のために、ICVD親和性を6xHisタグによってTalon樹脂上で精製した。大腸菌からうまく発現できなかったICVDは、さらなる分析から除外した。
【0259】
実施例2:精製された一次クローンの効力
ヒトIL-23に対する効力を評価するために、精製されたICVDのIL-23-IL-23R中和活性を、IL-23-IL-23R中和ELISA(評価方法A)で評価した。比較例のモノクローナル抗体ブラジクマブ(brazikumab)(重鎖配列番号70、軽鎖配列番号71)よりも高い効力を有することが分かったICVDを、下記表に示す。
【0260】
【表3】
【0261】
ファミリーLクローン(12G1および1E2)は顕著に強力であり、IL-23-IL-23R ELISAにおいて、比較例の抗IL-23抗体ブラジクマブよりも高い効力を示すだけでなく、サブナノモル効力さえも示すことが、ELISAの結果により示された。クローン10E2および10G10はまた、このアッセイにおいて、ブラジクマブ比較例よりも高い効力を示した。
【0262】
10E2、12G1、および1E2も、カニクイザルIL-23-IL-23R中和ELISAで試験し、そのすべてが、このアッセイ(データは示さず)において、標準IL-23-IL-23R ELISAにおいて示された効力と同様の高い中和効力を示した。これらのクローンが、IL-23とIL-12Rの相互作用またはIL-12とIL-12Rの相互作用を中和することができないことも立証された。理論に縛られることを望まないが、本発明者らは、これらのクローンがIL-23のp19サブユニットに特異的であると考える。
【0263】
実施例3:精製された一次クローンの内因性プロテアーゼの安定性
経口投与したICVDは、小腸および大腸を通過する間にタンパク質分解性消化の影響を受ける可能性が高い。腸のプロテアーゼに対する耐性をさらに調査するために、マウスの小腸の上清と、プールしたヒト糞便試料から調製した上清の両方の存在下でインキュベートした後に、精製したICVDの効力(の保持)を試験した。
【0264】
マウスの小腸の上清:7匹のC57BL/6オスマウスからの小腸の内容物を、0.9%の生理食塩水で取り出し、組み合わせて、均質化し、遠心分離を行った。結果として生じる上清を取り出し、アリコートし、冷凍した。
【0265】
ヒト糞便の上清:5人のヒトからの糞便試料を、1xPBSの添加によりスラリーにした。その後、スラリーをプールし、遠心分離し、上清を取り出し、アリコートし、-80℃で保存した。このプロセスにより、任意の細胞物質を含む糞便マトリックスを取り出した。
【0266】
ICVDを37℃で様々な期間にわたってインキュベートした後、「消化された」ICVD試料の抗IL-23活性を、IL-23-IL-23R中和ELISA(評価方法B)を使用して分析し、「未消化」ICVDから「消化された」ICVDまで維持された活性の割合を計算した。その結果を以下の表に示す。
【0267】
【表4】
【0268】
ICVDは、マウス小腸の材料およびヒト糞便の材料中に存在するプロテアーゼに対する実質的な内因性の安定性を示した。ファミリーL ICVD 12G1を、その効力と内因性プロテアーゼ耐性に基づいて、さらなる最適化のために選択した。
【0269】
実施例4:12G1の最適化された変異体の産生および特性付け
ファミリーL ICVD 12G1を、複数の変異体ICVDを産生するために、配列修飾に供した。これらの変異体ICVDは、上に詳述される効力とプロテアーゼ安定性のアッセイで試験した。変異体ICVD、ID-L253Tへのそれらの突然変異、およびこれらのアッセイでのそれらのパフォーマンスを、以下の表で詳述する(ここで、EC50値はnMで示され、「マウス脾細胞」は、上の評価方法Cを使用して得られたデータを指し、残基は、Kabat番号付けとは対照的に、N末端からC末端への番号付けを用いて番号付けした)。
【0270】
高い効力とプロテアーゼ安定性が一般に、変異体ICVDで維持されたことが認められた。したがって、ID-L253Tの変異体が一般に、高い効力とプロテアーゼ安定性を実質的に維持することが予想され得る。
【0271】
これらの変異体ICVDのうち、ID-L253Tを最終的に選択し、さらなる特徴づけのために進めた。12G1は、以下の突然変異によってID-L253Tとは異なる:E1D、L11Q、R19S、A23E、A24S、Y37F、A60S、M69I、V78L、F79Y、E81Q、D83N、V85L、A90T、N96A、L103I、およびR116Q(Kabat番号付けとは対照的に、N末端からC末端への番号付けを使用)。
【0272】
【表5】
【0273】
実施例5:比較例のブラジクマブおよび37D5と比較した、ID-L253Tの効力、結合親和性、およびプロテアーゼ安定性
ブラジクマブは、IL-23のp19サブユニットに選択的に結合する、先行技術の完全にヒトIgGモノクローナル抗体である。37D5は、IL-23のp19サブユニットに選択的に結合する、従来技術のドメイン抗体(VHH)である(Desmyterら 2017、配列番号69)。ID-L253Tの効力、結合親和性、およびプロテアーゼ安定性は、従来技術のこれらの抗IL-23薬剤と比較して評価した。
【0274】
実施例5.1:ブラジクマブと比較したID-L253Tの効力
ID-L253Tおよび臨床的対照薬ブラジクマブを、IL-23-IL-23R阻害ELISA(評価方法A)において、効力について比較試験した。その結果を以下の表に要約する。
【0275】
【表6】
【0276】
前駆体ICVD 12G1および上述のID-L253Tの変異体の効力に基づいて予測されるように、ID-L253Tは、IL-23-IL-23R ELISAにおいてブラジクマブよりも高い効力を示した。
【0277】
実施例5.2:ブラジクマブ Fabと比較したID-L253Tの親和性
ID-L253Tの結合キネティクスをブラジクマブ Fab(市販のFab調製物キットを使用して調製)と比較し、Biacore試験で評価した。抗p40 mAbをBiacoreセンサプレートに固定し、組換えヒトIL-23をロードした。そのp40サブユニットによるIL-23の繋留は、p19サブユニット(ブラジクマブとID-L253Tの両方に特異的である)が、抗IL-23ID-253T ICVDおよびブラジクマブ FAbフラグメントと相互作用することを可能し、これらは、結合を検出するために後にチップ上に流される。ID-L253Tは32pMの平均Kを有するが、ブラジクマブ Fab調製物は1200pMというはるかに高い平均Kを有しており、これにより、ブラジクマブ FabがID-L253Tよりもはるかに低い結合親和性を有していることが示された。これらのデータを下記の表に要約する。
【0278】
【表7】
【0279】
理論に縛られることを望まないが、上に提供されるデータに基づいて、本発明者らは、ID-L253TがIL-23のp19サブユニットに結合すると予想する。
【0280】
実施例5.3:37D5と比較したID-L253Tのプロテアーゼ安定性
マウス小腸の材料中のID-L253Tの安定性を試験し、比較例37D5の安定性と比較した。「消化された」ICVD試料の抗IL-23活性を、IL-23-IL-23R中性ELISA(評価方法B)を使用して分析し、「未消化の」ICVDから「消化された」ICVDまで維持された活性の割合を計算した。これらのデータを下記の表に要約する。
【0281】
【表8】
【0282】
37D5に関しては、マウス小腸の材料での2時間の消化後にELISAシグナルが確立されなかったが、ID-L253Tは、2倍のインキュベーション期間後に51%の生存率を達成したことが、これらのデータから明らかである。したがって、ID-L253Tは、この消化のマトリックスにおいて比較例37D5よりも顕著に安定している。ID-L253Tに関してここで提供されるデータは、実施例4において上に詳述されるのと同じアッセイに対応し、37D5に関してここで提供されるデータは、異なる場合の別個のアッセイで生成されたことに留意されたい。
【0283】
実施例6:ヒトIL-23のためのID-L253T特異性
実施例6.1:毒物学的な種からのIL-23との交差反応性
カニクイザルIL-23-IL-23R中和ELISAを実施した。そのために、Maxisorp 96ウェルプレートを、50μl/ウェルの0.5μg/mlのカニクイザルIL-23R-Fcで一晩コーティングし、その後、4%のミルク、1%のBSAで遮断した。ICVDを、4%のミルク、1%のBSA中で連続的に希釈し、40ng/mlの組換えカニクイザルIL-23(cIL-23)と1:1に混合し、その後、30分間インキュベートして結合させてから、cIL-23Rでコーティングしたプレートに添加した。結合したcIL-23は、BAF219抗p40 pAbで、その後、Extravidin-HRPで検出し、cIL-23Rに結合するcIL-23のICVDによる中和レベルを決定した。
【0284】
ID-L253Tは、カニクイザルIL-23-IL-23R中和アッセイ(データは示さず)で活性であり、カニクイザルを任意の前臨床開発試験に適切な毒物学種にした。
【0285】
実施例6.2:非標的サイトカインに対する特異性
結合ELISAまたは阻害ELISAのいずれかにおいて、IL-23に関連するサイトカインあるいはIL-23に関連しないサイトカインに対する選択性について、ID-L253Tを試験した。IL-12は、IL-23とp40サブユニットを共有し、したがって、ヒトにおいて最も密接に関連するサイトカインである。IL-12サイトカインファミリーのさらなるメンバー(IL-27)とともに、ヒトおよびアカゲザルのIL-12を、このアッセイで試験した。重要だが非関連であるさらなる炎症性サイトカインTNFα、IL-6、およびIFNγも試験した。ID-L253Tは、試験したサイトカインとの相互作用を示さなかった。このことは、オフターゲット分子へのID-L253Tの結合が、ヒトと非ヒト霊長類において非常に可能性が低いことを示す。
【0286】
実施例7:ID-L253Tに関するさらなるプロテアーゼ安定性の調査-胃腸のマトリックスメタロプロテイナーゼに対する耐性およびマウス胃腸の通過
実施例7.1:胃腸マトリックスメタロプロテイナーゼに対する耐性
活性化されたマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)のレベルは、炎症性腸疾患患者の炎症を起こした粘膜中で増加する。これらのMMPは、ヒトIgG足場を含有する天然のヒトIgGおよび治療剤を消化することができる(Biancheri 2015年ら)。抗TNFα治療エタネルセプトの場合には、この消化が、TNFα中和効力の有意な減少を引き起こす。ID-L253TがMMPに対して耐性があることを確認するために、ID-L253Tを、活性化された組換えヒトMMP3およびMMP12の存在下で、約20時間インキュベートした。ID-L253Tは、約20時間にわたって完全な生存を示したが、エタネルセプトは同じ酵素製剤によって分解された。
【0287】
ID-L253Tは、37℃で約20時間にわたってMMP3とMMP12による消化に対して完全に耐性がある。このことにより、MMPのレベルが引き上げられる場合、ID-L253TがIBD腸の炎症を起こした環境で高い安定性を保持するはずであることが示される。この知見は、一般的なプロテアーゼ耐性に関する上の知見と共に、本発明のポリペプチドがIBDのための経口治療として大きな可能性を有することを示唆する。
【0288】
実施例7.2:マウス胃腸の通過および生存
上述のインビトロの試験の結果により、ID-L253Tが、マウス小腸の内容物から調製された上清抽出物に存在するプロテアーゼによる不活性化に対して耐性があることが示された。著者の経験では、マウス小腸の上清は、ヒトまたはブタから得られた小腸の上清よりもはるかにタンパク分解性活性である。マウス胃腸系の通過中のID-L253Tの安定性を調査するために、試験を実施した。ID-L253Tは、ミルクと重炭酸塩の混合物中で、抗TNF-αICVD ID-38F(WO2016156465、配列番号8、および実施例8を参照)で製剤化した。ID-38Fは、マウス胃腸の通過中に安定していることが以前に確立され、したがって、ここでは陽性対照として機能する。経口胃管栄養法によって4匹のマウスにICVDを併用投与した後、0時間~3時間と3時間~6時間の間で採取した糞便ペレット中のICVDの濃度を測定した。
【0289】
ID-L253Tは、同じマウスにおいて、投与後0~3時間と3~6時間の両方で、ID-38Fのレベルに匹敵するレベルで検出された。結果は、ID-L253Tが、マウスにおいてID-38Fと同等に、またはID-38Fよりも良好に生存することを示し、投与後3~6時間後に採取した糞便ペレットの上清中で15μMを超える最高回復濃度に到達した。
【0290】
実施例8:ヒトIBD組織におけるID-L210T中和活性の評価
ID-L210TのIL-23中和活性、E1D、R19S、およびR92Vの突然変異のみを欠くID-L253Tの変異体を、Vossenkamperら(2014)およびCroweら(2018)によって記載されたアッセイ系を使用して、炎症を起こした結腸の粘膜組織のエクスビボ培養で調査した。
【0291】
このモデルを使用して、病態生理学的条件下で、IBD疾患組織に存在するシグナル伝達リンタンパク質のレベルの上昇に対する、ID-L210Tの阻害効果を試験した。試験は、活性なUCを有する4人の患者からの生検組織試料を使用して実施した。ID-L210T(150nMの濃度)、またはIL-23に結合しないアイソタイプ対照ICVD(ID-2A、無関係な抗C.ディフィシル毒素ICVD、225nMの濃度)のいずれかと24時間インキュベートした後、生検外植片を、proteome profilerヒトホスホキナーゼアレイ技術を使用して、リンタンパク質のレベルについて分析した。
【0292】
試験した様々なタンパク質に関する全患者の平均リン強度値を、図1~2に示す。アレイ上のほとんどのタンパク質のリン酸化レベルは、ID-L210Tによる処置後に減少した。
【0293】
各生検について検出された総タンパク質リン酸化シグナル(Σn=39リンタンパク質)に対する治療効果も評価した。ID-L210Tによる処置後、UC患者全員からの生検において測定された総リン酸化レベルは、(20~52%;平均32% n=4)だけ阻害された。
【0294】
ID-L253Tは、3つのアミノ酸のみがID-L210Tとは異なり、同様のIL-23-IL-23R阻害効力、インビトロの消化に対する耐性、およびマウスの通過を示す。したがって、ID-L210Tに関するこれらの知見がID-L253Tに実質的に適用可能であることが予想される。
【0295】
実施例9:発酵培養における酵母の生産性
ID-L253Tを発現するS.cerevisiae産生株に、5リットルの発酵を接種した。生産レベルは、クーマシー染色を用いてSDS-PAGEによって評価し、生物学的活性は、IL-23-IL-23R中和ELISAによって評価した。その結果は、適切な分子量で、発酵の終了時(EoF)の上清できれいなバンドを示し、汚染物質は非常に少なかった。ID-L253Tの収率は、0.188g/Lとして測定した。
【0296】
ID-L253Tは、標準酵母発酵技術を使用して、P.pastorisにおける産生についても試験した。生産レベルは、クーマシー染色を用いてSDS-PAGEによって評価し、その結果は、適切な分子量で、EoF上清できれいなバンドを示した。この発酵からのID-L253Tの収率を1.3g/Lとして測定した。完全な中和活性は、IL-23-IL-23R中立ELISAによって実証された。
【0297】
実施例10:ヘテロビヘッド(heterobihead)抗IL-23/抗TNF-α構築物FA1Kの産生および特徴付け
実施例10.1:FA1Kの産生
抗IL-23 ICVD ID-L253Tおよび抗TNF-α ICVD ID-38Fを含むヘテロビヘッド構築物(WO2016156465、その文献の配列番号8、およびこの開示の配列番号67)を産生した(本明細書で「FA1K」と呼ばれる)。この構築物中のICVDを、中央のリシン残基(配列番号49)を有する柔軟な非免疫原性(GS)リンカーによって分離し、WO2016156466で開示されるタイプのトリプシン切断部位(ID-38F-(GS)K-(GS)-ID-L253T)を作成した。FA1K中で使用されるID-38F群のポリペプチド配列は、上で使用されるID-38Fのもの(配列番号47)と同一であり、FA1K中で使用されるID-L253T群のポリペプチド配列は、D1E置換を除いて、上でID-L253Tに使用されるものと同一であった(配列番号48)。
【0298】
FA1Kを、ベクターpUR9013へとSacI/HindIIIフラグメント上でクローン化し、S.cerevisiae vwkgal1発現株の染色体への安定しているマルチコピーの組み込みを促進する。この組み込みおよび発現系を使用すると、FA1Kは、S.cerevisiae中のガラクトース誘導性プロモーターの制御下にあり、酵母接合因子αシグナル配列によってビヘッド(bihead)分泌が達成された。加えて、同じシグナル配列を有するFA1Kを、メタノール誘導性pAOX1プロモーターの制御下で、P.pastorisの染色体へとクローン化した。S.cerevisiaeからのFA1Kの発現は、50mLの誘導培養物で評価した。
【0299】
これらの振盪フラスコからの上清を精製した。その後、FA1Kのこの精製した製剤は、特に明記されない限り、下記の実験に使用した。
【0300】
FA1KをP.pastorisにクローン化し、50mLのスケールで優れた発現が示された。
【0301】
実施例10.2:FA1Kのインビトロの特徴付け
FA1Kをトリプシンと37℃でインキュベートすると、ID-L253TおよびID-38F単量体群の迅速な分離を結果としてもたらされた。したがって、FA1Kは、ヒト小腸中のトリプシンに曝露すると、両方の単量体群の迅速な放出のために適切にフォーマットされる。
【0302】
TNFαに対するFA1Kの中和効力(トリプシン切断前とトリプシン切断後)を調べた(図3を参照のこと。ここで、「FA1K」はFA1Kトリプシン処置前を指し、「FA1Kトリプシン」はFA1Kトリプシン処置後を指す)。
【0303】
TNF-α上のエピトープについての競合を測定する、ビオチン化されたhumira(アダリムマブ)競合ELISAを実施した。競合が生じる場合、エピトープは、非標識のポリペプチドによって占有され、より少ない数のビオチン化humiraがTNFαに結合し、結果として、アッセイシグナルの低下をもたらす。ELISAプレートは、リン酸緩衝生理食塩水(1×PBS)中で250μg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)中の100ng/mLのヒトTNFαでコーティングされ、1×PBS中の1%のBSAで遮断した。1%のBSAと0.1mMのPMSFは、処理前のトリプシンを有するポリペプチドに対するすべての実験のためのアッセイ希釈液として使用した。それ以外の場合は、1%のBSAをアッセイ希釈液として使用した。ビオチン化アダリムマブ(LGC)を、最終濃度の2nMのビオチン化アダリムマブを得るために、すべての基準および試料と1:1に混合してから、その混合物をプレートに添加した。結合したビオチン化アダリムマブは、ExtrAvidin西洋ワサビペルオキシダーゼ(Sigma E2886)を使用して検出し、TMB Microwell Substrate(KPL 50-76-00)を使用して視覚化してから、0.5M HSOで停止させ、および、450nmのFA1K(トリプシン処理前とトリプシン処理後)での読み取ると、この競合ELISAにおいて、ID-38Fと実質的に同じくらい効力があることが分かった。
【0304】
IL-23に対するFA1K(トリプシン切断前とトリプシン切断後)の中和効力を調べた(図4を参照のこと。図中、「FA1K」は、トリプシン処理前のFA1Kを指し、「FA1Kトリプシン」はトリプシン処理後のFA1Kを指す)。FA1K(トリプシン処理前とトリプシン処理後)は、ID-L253Tと少なくとも同じくらいIL-23に対して効力があった。
【0305】
ID-L253T群が遊離ID-L253T単量体と比べてN末端基伸長を有するように、FA1KのC末端位置にID-L253Tを含めることで、IL-23中和のための利点がもたらされるようにも思われる。
【0306】
P.pastorisにおける発現から産生および精製されたFA1Kもまた、ELISAによって、TNF-αとIL-23の両方に対して完全に効力があることが確認された(データは示さず)。FA1Kの単量体群は両方とも、ヒト糞便の上清における4時間のインキュベーション後に、親単量体ID-38FおよびID-L253Tの有利な安定特性を保持することが示された(図5を参照のこと。図中、左から右に、(a)ID-38F、(b)FA1K単量体群形態のID-38F、(c)ID-L253T、および(d)FA1K単量体群形態のID-L253Tの生存%が示される。)
【0307】
まとめると、上記の知見により、FA1Kが、二剤併用療法として高濃度のこれらの単量体の各々を送達するために、適切なフォーマットであることが示された。FA1Kは、親単量体の好意的な効力およびプロテアーゼ安定性の特徴を保持する。不安定リンカーフォーマットゆえに、FA1Kをトリプシンに曝露すると、両方の単量体群の迅速な放出が結果としてもたらされ、これにより、別の群からの干渉なしに、それぞれの標的への独立した結合が可能となる。
【0308】
実施例11:ヒトIBD組織への抗IL-23(ID-L210T)と抗TNF-α(ID-38F)の組み合わせ投与についてのエクスビボの特徴付け
TNF-αの中和活性(ID-38F)およびIL-23の中和活性(ID-L210T)を有するICVDが、IBDと診断された患者から採取した炎症を起こした腸の組織試料中で増加するチロシンキナーゼ受容体およびシグナル伝達タンパク質のリン酸化を抑制することができることが、上でまたは他の出版物で示されている(上記の実施例8、およびWO2016156465、この文献中の実施例9を参照のこと)。
【0309】
UCを有する患者から得られた、炎症を起こした結腸の粘膜組織のエクスビボ培養物中のリンタンパク質のバイオマーカーのレベルに対する、L210TとID-38Fを組み合わせた効果を調べるために、新しい試験を実施した。ID-L210Tは、3つのアミノ酸のみがID-L253Tと異なっており、同様のIL-23-IL-23R阻害効力およびインビトロの消化に対する耐性を示す。
【0310】
異なる抗サイトカインメカニズムを組み合わせることによってどのような効果を達成することができるのかを評価するために、個々のICVDの効果を、2つのICVDの混合物およびアイソタイプ対照ICVD(ID-2A、無関係の抗C.ディフィシル毒素ICVD)と比較した。
【0311】
4人のUC患者の各々からの生検を、様々な抗体(対照ID-2A、ID-38F、ID-L210T、またはID-38F+ID-L210T)と24時間インキュベートし、処理後に、組織溶解物をリンタンパク質抗体アレイ上で分析した。個々のアレイ(1処理当たり4つのアレイ)上で検出された45のリンタンパク質についての、1人の患者当たりの平均シグナル強度データを図6~7に提示する(図中、L210TはID-L210Tを指す)。様々な抗体処理の阻害効果は、対照ICVD ID2Aで処理された生検のリン酸化の優勢的に高いレベルから、抗TNF-αまたは抗IL-23 ICVDあるいはその2つの組み合わせで処理された生検の比較的低いリン強度値への移行によって実証される。
【0312】
本明細書で提供されるデータは、TNF-αとIL-23のGI制限拮抗(restricted antagonism)を組み合わせる治療アプローチが、いずれかの標的のみに対する単独療法と比べて、炎症性腸疾患患者のより高い割合で、より長い持続時間にわたって、より大きな程度の有効性を達成することができることを例証する。
【0313】
雑則
特許と特許出願を含む、本出願で言及される文献はすべて、可能な限り最大限に参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0314】
本明細書全体にわたって、文脈が別段必要としない限り、単語「含む」、および「含む」と「含むこと」などのバリエーションは、記載された整数、工程、整数の群、または工程の群を含むことが暗示されるが、他の整数、工程、整数の群、または工程の群を除外しないことが認識される。
【0315】
この明細書および請求項が一部を形成する本出願は、任意の後の出願に関する優先権の基礎として使用されてもよい。そのような後の出願の請求項は、本明細書に記載される任意の特徴または特徴の組み合わせに関し得る。それらは、プロダクト、組成物、プロセス、または使用のクレームの形態をとってもよく、例として、限定されることなく、以下の請求項を含み得る。
【0316】
参考文献
以下の参考文献は、参照によってそれら全体が本明細書に組み込まれる。
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
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