(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/262 20110101AFI20250513BHJP
G06Q 30/0242 20230101ALI20250513BHJP
【FI】
H04N21/262
G06Q30/0242
(21)【出願番号】P 2024117175
(22)【出願日】2024-07-22
【審査請求日】2024-07-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (その1)出願人が、令和6年3月29日に、ウェブサイトのアドレス <アドレス1-1>https://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/service/20240329_34703.html <アドレス1-2>https://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2024/03/HDYMP202403291100-1.pdfにおいて公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (その2)出願人が、令和6年4月1日に、月刊「宣伝会議」、2024年5月号、第102-103頁、株式会社宣伝会議において公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (その3)出願人が、令和6年4月11日に、ウェブサイトのアドレス <アドレス3-1>https://x.com/aaas_hakuhodody <アドレス3-2>https://x.com/aaas_hakuhodody/status/1778332161227243530 において公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (その4)出願人が、令和6年4月12日に、ウェブサイトのアドレス <アドレス4-1>https://www.sendenkaigi.com/ <アドレス4-2>https://mag.sendenkaigi.com/senden/202405/media-investment-strategy/029132.php <アドレス4-3>https://www.advertimes.com/ <アドレス4-4>https://www.advertimes.com/20240412/article456374/ において公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (その5)出願人が、令和6年4月12日に、ウェブサイトのアドレス <アドレス5>https://www.hakuhodody-media.co.jp/aaas/news/detail50.html において公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524065479
【氏名又は名称】株式会社博報堂テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤本 良信
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 敬
(72)【発明者】
【氏名】若井 智哉
(72)【発明者】
【氏名】三上 拓真
(72)【発明者】
【氏名】細井 晃貴
【審査官】鈴木 順三
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-144063(JP,A)
【文献】特開2020-102737(JP,A)
【文献】特開2017-004518(JP,A)
【文献】特開2018-019210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
G06Q 30/00 - 30/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して
、前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得するように構成される取得部と、
前記実績情報に基づき
、前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けるように構成される割付部と、
を備え
、
前記複数の放送枠には、前記第1の期間の開始前に前記複数の広告素材が割り付けられ、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付変更を行うように構成され、
前記複数の放送枠には、放送局の異なる複数の放送枠が含まれ、
前記割付変更には、前記複数の広告素材のうちの一つの割付先を、第一の放送局の放送枠から、前記第一の放送局とは異なる第二の放送局の放送枠に変更する、割付変更が含まれる情報処理システム。
【請求項2】
複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して
、前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得するように構成される取得部と、
前記実績情報に基づき
、前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けるように構成される割付部と、
を備え
、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記複数の放送枠における前記複数の広告素材のそれぞれの広告効果の和又は重み付け和が所定条件を満足するように、前記複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付ける情報処理システム。
【請求項3】
複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して
、前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得するように構成される取得部と、
前記実績情報に基づき
、前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けるように構成される割付部と、
を備え
、
前記実績情報は、前記複数の広告素材のうちの二以上の広告素材について、広告素材毎に異なる評価指標で表現された前記広告効果に関する実績値を含み、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記複数の放送枠における前記二以上の広告素材のそれぞれの評価指標が所定条件を満足するように、前記複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付ける情報処理システム。
【請求項4】
複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して
、前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得するように構成される取得部と、
前記実績情報に基づき
、前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けるように構成される割付部と、
を備え
、
前記複数の放送枠は、規定時間に対応する広告放送時間を有する第1時間放送枠と、前記規定時間の二倍以上の整数倍に対応する広告放送時間を有する第2時間放送枠と、を含み、
前記複数の広告素材は、放送に必要な時間が前記規定時間に対応する第1広告素材と、放送に必要な時間が前記規定時間の二倍以上の整数倍に対応する第2広告素材と、を含み、
前記複数の放送枠には、前記第1の期間の開始前に前記複数の広告素材が割り付けられ、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記複数の放送枠における前記広告効果が所定条件を満足するように、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付パターンを探索し、前記割付パターンに従って、前記複数の第2放送枠のうちの少なくとも一部の放送枠に割り付けられた広告素材を、入れ替えるように、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付を変更する構成にされ、
探索対象の割付パターンには、前記第2時間放送枠を分割することにより生成される複数の第1時間放送枠のそれぞれに前記第1広告素材を割り付けるパターン、及び、隣接する複数の第1時間放送枠を統合することにより生成される第2時間放送枠に、前記第2広告素材を割り付けるパターンが含まれる
情報処理システム。
【請求項5】
複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して
、前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得するように構成される取得部と、
前記実績情報に基づき
、前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けるように構成される割付部と、
を備え
、
前記複数の広告素材のそれぞれには、ターゲット属性として、訴求対象の視聴者属性が設定されており、
前記実績情報は、前記複数の第1放送枠を通じて放送された前記複数の広告素材の複数の視聴者サンプルのそれぞれに対するリーチの有無を特定可能な情報を含み、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記複数の放送枠における前記複数の広告素材の前記ターゲット属性に対応する視聴者サンプルへのリーチ数が所定条件を満足するように、前記複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付ける情報処理システム。
【請求項6】
複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して
、前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得するように構成される取得部と、
前記実績情報に基づき
、前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けるように構成される割付部と、
を備え
、
前記複数の広告素材には、接触順が指定され、
前記実績情報は、前記複数の第1放送枠を通じて放送された前記複数の広告素材の複数の視聴者サンプルのそれぞれに対するリーチの有無を特定可能な情報を含み、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記複数の放送枠における前記複数の広告素材が前記指定された前記接触順で視聴者サンプルに視聴される数である接触順リーチ数が所定条件を満足するように、前記複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付ける情報処理システム。
【請求項7】
請求項2、請求項3、請求項5、又は請求項6記載の情報処理システムであって、
前記複数の放送枠には、前記第1の期間の開始前に前記複数の広告素材が割り付けられ、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記複数の第2放送枠のうちの少なくとも一部の放送枠に割り付けられた広告素材を入れ替えるように、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割
付変更を行うことによって、前記複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けるように構成される情報処理システム。
【請求項8】
請求項1~請求項6のいずれか一項記載の情報処理システムであって、
前記割付部は、
前記第1の期間の開始前に、前記複数の広告素材のそれぞれが前記複数の放送枠のうちの割り付けられた一以上の放送枠で放送されるように、前記複数の放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付け、
前記実績情報の取得後に、前記実績情報に基づき、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付変更を行うことによって、前記複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付ける
ように構成される情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して
、前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得することと、
前記実績情報に基づき
、前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることと、
を含
み、
前記複数の放送枠には、前記第1の期間の開始前に前記複数の広告素材が割り付けられ、
前記割り付けることは、前記実績情報に基づき、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付変更を行うことを含み、
前記複数の放送枠には、放送局の異なる複数の放送枠が含まれ、
前記割付変更には、前記複数の広告素材のうちの一つの割付先を、第一の放送局の放送枠から、前記第一の放送局とは異なる第二の放送局の放送枠に変更する、割付変更が含まれる情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して
、前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得することと、
前記実績情報に基づき
、前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることと、
を含
み、
前記割り付けることは、前記実績情報に基づき、前記複数の放送枠における前記複数の広告素材のそれぞれの広告効果の和又は重み付け和が所定条件を満足するように、前記複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることを含む情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して
、前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得することと、
前記実績情報に基づき
、前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることと、
を含
み、
前記実績情報は、前記複数の広告素材のうちの二以上の広告素材について、広告素材毎に異なる評価指標で表現された前記広告効果に関する実績値を含み、
前記割り付けることは、前記実績情報に基づき、前記複数の放送枠における前記二以上の広告素材のそれぞれの評価指標が所定条件を満足するように、前記複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることを含む情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して
、前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得することと、
前記実績情報に基づき
、前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることと、
を含
み、
前記複数の放送枠は、規定時間に対応する広告放送時間を有する第1時間放送枠と、前記規定時間の二倍以上の整数倍に対応する広告放送時間を有する第2時間放送枠と、を含み、
前記複数の広告素材は、放送に必要な時間が前記規定時間に対応する第1広告素材と、放送に必要な時間が前記規定時間の二倍以上の整数倍に対応する第2広告素材と、を含み、
前記複数の放送枠には、前記第1の期間の開始前に前記複数の広告素材が割り付けられ、
前記割り付けることは、前記実績情報に基づき、前記複数の放送枠における前記広告効果が所定条件を満足するように、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付パターンを探索し、前記割付パターンに従って、前記複数の第2放送枠のうちの少なくとも一部の放送枠に割り付けられた広告素材を、入れ替えるように、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付を変更することを含み、
探索対象の割付パターンには、前記第2時間放送枠を分割することにより生成される複数の第1時間放送枠のそれぞれに前記第1広告素材を割り付けるパターン、及び、隣接する複数の第1時間放送枠を統合することにより生成される第2時間放送枠に、前記第2広告素材を割り付けるパターンが含まれる情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して
、前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得することと、
前記実績情報に基づき
、前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることと、
を含
み、
前記複数の広告素材のそれぞれには、ターゲット属性として、訴求対象の視聴者属性が設定されており、
前記実績情報は、前記複数の第1放送枠を通じて放送された前記複数の広告素材の複数の視聴者サンプルのそれぞれに対するリーチの有無を特定可能な情報を含み、
前記割り付けることは、前記実績情報に基づき、前記複数の放送枠における前記複数の広告素材の前記ターゲット属性に対応する視聴者サンプルへのリーチ数が所定条件を満足するように、前記複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることを含む情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して
、前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得することと、
前記実績情報に基づき
、前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることと、
を含
み、
前記複数の広告素材には、接触順が指定され、
前記実績情報は、前記複数の第1放送枠を通じて放送された前記複数の広告素材の複数の視聴者サンプルのそれぞれに対するリーチの有無を特定可能な情報を含み、
前記割り付けることは、前記実績情報に基づき、前記複数の放送枠における前記複数の広告素材が前記指定された前記接触順で視聴者サンプルに視聴される数である接触順リーチ数が所定条件を満足するように、前記複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることを含む情報処理方法。
【請求項15】
請求項10、請求項11、請求項13、又は請求項14記載の情報処理方法であって、
前記複数の放送枠には、前記第1の期間の開始前に前記複数の広告素材が割り付けられ、
前記割り付けることは、前記実績情報に基づき、前記複数の第2放送枠のうちの少なくとも一部の放送枠に割り付けられた広告素材を入れ替えるように、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付変更を行うことによって、前記複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることを含む情報処理方法。
【請求項16】
請求項9~請求項14のいずれか一項記載の情報処理方法であって、
前記割り付けることは、
前記第1の期間の開始前に、前記複数の広告素材のそれぞれが前記複数の放送枠のうちの割り付けられた一以上の放送枠で放送されるように、前記複数の放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることと、
前記実績情報の取得後に、前記実績情報に基づき、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付変更を行うことによって、前記複数の第2放送枠に対して前記複数の広告素材を割り付けることと、
を含む情報処理方法。
【請求項17】
請求項
9~請求項
14のいずれか一項記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送局を通じて広告を放送すること、又は、広域通信ネットワークを通じて広告を配信することが行われている。例えば、テレビジョン放送では、コマーシャル(CM:Commercial Message)によって、広告が放送される。
【0003】
コマーシャルは、テレビジョン番組の前後や途中に用意された時間枠で放送される。コマーシャルには、番組スポンサーを広告主とするコマーシャル(いわゆるタイムCM)の他、番組スポンサーに関係なく放送局によって定められた時間枠で放送されるスポットCMが含まれる。以下では、コマーシャルが放送される時間枠のことを、CM放送枠と表現する。
【0004】
従来では、広告代理業者が一以上の放送局から複数のCM放送枠を買い付け、これら複数のCM放送枠に対して、一以上の広告主の広告素材を割り付けることも行われている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
この他、スポットCMに関しては、放送局から与えられた複数のCM放送枠に対して、広告素材を割り付けて、スケジュール表を放送局に提出することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、過去実績に基づくGRP(Gross Rating Point)を指標に、複数のCM放送枠に対して複数の広告素材を割り付ける。しかしながら、CM放送時に観測される実際のGRPは、割付時に想定されるGRPとは通常相違する。
【0008】
このような相違が生じる可能性が高いにもかかわらず、従来技術では、広告キャンペーン開始前に、複数の広告素材を複数のCM放送枠に割り付けた後、広告キャンペーン終了まで、その割付に対する変更を行わない。このため、従来技術では、広告キャンペーンによって当初望んだ広告効果が得られないことがある。
【0009】
そこで、本開示の一側面によれば、広告効果を改善可能な、放送枠又は広告枠に対する広告素材の割付に関する新規技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一側面に係る情報処理システムは、取得部と、割付部と、を備える。取得部は、所定期間における複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して、所定期間における複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得するように構成される。
【0011】
割付部は、実績情報に基づき、所定期間における複数の放送枠のうちの第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、複数の広告素材を割り付けるように構成される。
【0012】
このように構成された情報処理システムによれば、所定期間における第1の期間の実績に基づき、所定期間における第2の期間における複数の放送枠に対する広告素材の割付を行うことができる。したがって、本開示の一側面によれば、広告キャンペーン期間などの所定期間の広告効果を改善可能な情報処理システムを提供することができる。
【0013】
本開示の一側面によれば、所定期間における複数の放送枠には、第1の期間の開始前に複数の広告素材が割り付けられ得る。この場合、割付部は、実績情報に基づき、複数の第2放送枠のうちの少なくとも一部の放送枠に割り付けられた広告素材を入れ替えるように、複数の第2放送枠に対する複数の広告素材の割付を、変更するように構成され得る。
【0014】
本開示の一側面によれば、次のように構成される割付部と、取得部とを備える情報処理システムが提供されてもよい。割付部は、所定期間における複数の放送枠に、複数の広告素材を割り付けるように構成される。割付部は、複数の広告素材のそれぞれが複数の放送枠のうちの割り付けられた一以上の放送枠で放送されるように、複数の放送枠に複数の広告素材を割り付ける構成にされる。
【0015】
取得部は、所定期間における複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得するように構成される。
【0016】
割付部は更に、実績情報に基づき、所定期間における複数の放送枠のうちの第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対する複数の広告素材の割付を、変更するように構成される。割付部は、複数の第2放送枠のうちの少なくとも一部の放送枠に割り付けられた広告素材を入れ替える構成にされ得る。
【0017】
このように構成された情報処理システムによれば、第1の期間の実績に基づき、第2の期間における複数の放送枠に対する広告素材の割付を変更することができる。したがって、本開示の一側面によれば、広告キャンペーン期間などの所定期間の広告効果を改善可能な情報処理システムを提供することができる。
【0018】
本開示の一側面によれば、割付部は、複数の第2放送枠に対する複数の広告素材の割付を、所定期間における複数の広告素材の広告効果が改善するように、変更する構成にされ得る。
【0019】
本開示の一側面によれば、割付部は、複数の第2放送枠に対する複数の広告素材の割付を、所定期間における複数の広告素材のそれぞれの広告効果が目標比率で実現されるように変更する構成にされ得る。目標比率は、予め定められた複数の広告素材間における広告効果の比率であり得る。このように構成された情報処理システムによれば、複数の広告素材間の広告効果に関する調整を行うことが可能である。
【0020】
本開示の一側面によれば、割付部は、複数の第2放送枠に対する複数の広告素材の割付を、所定期間における複数の広告素材のそれぞれの広告効果の重み付け和が増加するように、かつ、複数の広告素材のそれぞれの広告効果が目標比率で実現されるように変更する構成にされ得る。
【0021】
このように構成された情報処理システムによれば、所定期間における複数の放送枠全体についての広告効果を改善しつつ、複数の広告素材間の広告効果に関する調整を行うことが可能である。
【0022】
本開示の一側面によれば、割付部は、実績情報から特定される、複数の第1放送枠における複数の広告素材それぞれのアクチュアル視聴量に基づいて、複数の第2放送枠に対する複数の広告素材の割付を変更するように構成され得る。
【0023】
このように構成された情報処理システムによれば、所定期間のうちの第1の期間におけるアクチュアル視聴量の情報を有効に活用し、所定期間における広告効果を改善可能である。
【0024】
本開示の一側面によれば、実績情報は、異なる評価指標で表現された広告効果に関する複数の実績値を含み得る。割付部は、複数の実績値に基づいて、複数の第2放送枠に対する複数の広告素材の割付を変更し得る。このように構成された情報処理システムによれば、所定期間における広告効果を、多面的に改善可能である。
【0025】
本開示の一側面によれば、実績情報は、複数の広告素材のうちの二以上の広告素材について、広告素材毎に異なる評価指標で表現された広告効果に関する実績値を含み得る。割付部は、所定期間における二以上の広告素材のそれぞれの評価指標が改善するように、複数の第2放送枠に対する複数の広告素材の割付を変更する構成にされ得る。
【0026】
このように構成された情報処理システムによれば、各広告素材に個別の評価指標を用いて、所定期間における広告効果が改善するように各広告素材の放送枠に対する割付を変更することができる。
【0027】
本開示の一側面によれば、情報処理システムは、異なる視聴者属性を有する複数の視聴者サンプルの視聴履歴に基づき、視聴者サンプル毎に、対応する視聴者サンプルの複数の放送枠のそれぞれの視聴割合を算出するように構成される視聴割合算出部を備えていてもよい。複数の広告素材のそれぞれには、ターゲット属性として、訴求対象の視聴者属性が設定されていてもよい。
【0028】
この場合、割付部は、視聴者サンプル毎及び放送枠毎の視聴割合と、複数の広告素材のそれぞれに設定されたターゲット属性とに基づき、複数の広告素材のターゲット属性に対応する視聴者サンプルへのリーチ数を最適化するように、複数の放送枠に、複数の広告素材を割り付ける構成にされ得る。
【0029】
実績情報は、複数の第1放送枠を通じて放送された複数の広告素材の複数の視聴者サンプルのそれぞれに対するリーチの有無を特定可能な情報を含み得る。割付部は、実績情報に基づいて、所定期間における複数の広告素材のターゲット属性に対応する視聴者サンプルへのリーチ数を最適化するように、複数の広告素材の割付を変更する構成にされ得る。
【0030】
このように構成された情報処理システムによれば、第1の期間の実績に基づいて、所定期間における広告素材毎のターゲット属性に対応する視聴者サンプルへのリーチ数を、改善可能である。
【0031】
本開示の一側面によれば、複数の放送枠は、規定時間に対応する広告放送時間を有する第1時間放送枠と、規定時間の二倍以上の整数倍に対応する広告放送時間を有する第2時間放送枠と、を含み得る。複数の広告素材は、放送に必要な時間が規定時間に対応する第1広告素材と、放送に必要な時間が規定時間の二倍以上の整数倍に対応する第2広告素材と、を含み得る。
【0032】
割付部は、所定期間における広告効果が改善する複数の第2放送枠に対する複数の広告素材の割付パターンを探索するように構成され得る。探索対象の割付パターンには、第2時間放送枠を分割することにより生成される複数の第1時間放送枠のそれぞれに第1広告素材を割り付けるパターン、及び、隣接する複数の第1時間放送枠を統合することにより生成される第2時間放送枠に、第2広告素材を割り付けるパターンが含まれ得る。
【0033】
このように構成された情報処理システムによれば、広告効果の改善により良い割付パターンを探索することが可能である。
【0034】
本開示の一側面によれば、複数の広告素材には、接触順が指定されてもよい。この場合、割付部は、視聴者サンプル毎及び放送枠毎の視聴割合と、指定された接触順に基づき、複数の広告素材が指定された接触順で視聴者サンプルに視聴される数である接触順リーチ数を最適化するように、複数の放送枠に、複数の広告素材を割り付ける構成にされ得る。
【0035】
実績情報は、複数の第1放送枠を通じて放送された複数の広告素材の複数の視聴者サンプルのそれぞれに対するリーチの有無を特定可能な情報を含み得る。割付部は、実績情報に基づいて、所定期間における複数の広告素材の接触順リーチ数を最適化するように、複数の広告素材の割付を変更する構成にされ得る。
【0036】
このように構成された情報処理システムによれば、第1の期間の実績に基づいて、所定期間における接触順リーチ数を、改善可能である。
【0037】
本開示の一側面によれば、複数の放送枠は、放送時間帯及び放送局の異なる複数の放送枠を含み得る。この場合、情報処理システムは、放送時間帯及び放送局の異なる複数の放送枠に対する広告素材の割付を適切に行うことができる。
【0038】
本開示の別側面によれば、コンピュータを、上述した情報処理システムにおける取得部と、割付部の少なくとも一部として機能させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されてもよい。
【0039】
本開示の更に別側面によれば、情報処理方法が提供されてもよい。情報処理方法は、コンピュータにより実行され得る。情報処理方法は、所定期間における複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して、所定期間における複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得することを含み得る。情報処理方法は、実績情報に基づき、所定期間における複数の放送枠のうちの第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、複数の広告素材を割り付けることを含み得る。
【0040】
本開示の更に別側面によれば、複数の放送枠には、第1の期間の開始前に複数の広告素材が割り付けられてもよく、割り付けることは、実績情報に基づき、複数の第2放送枠のうちの少なくとも一部の放送枠に割り付けられた広告素材を入れ替えるように、複数の第2放送枠に対する複数の広告素材の割付を、変更することを含んでいてもよい。
【0041】
本開示の更に別側面によれば、次の情報処理方法が提供されてもよい。情報処理方法は、所定期間における複数の放送枠に、複数の広告素材を割り付けることであって、複数の広告素材のそれぞれが複数の放送枠のうちの割り付けられた一以上の放送枠で放送されるように、複数の放送枠に複数の広告素材を割り付けること、を含み得る。
【0042】
情報処理方法は更に、所定期間における複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得することを含み得る。
【0043】
情報処理方法は更に、実績情報に基づき、所定期間における複数の放送枠のうちの第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対する複数の広告素材の割付を、複数の第2放送枠のうちの少なくとも一部の放送枠に割り付けられた広告素材を入れ替えるように、変更することを含み得る。
【0044】
本開示の更に別側面によれば、上述した情報処理方法を少なくとも部分的にコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録され得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】情報処理システムの構成を表すブロック図である。
【
図2】割付及び変更タイミングに関する説明図である。
【
図3】第1実施形態においてプロセッサが実行する割付関連処理を表すフローチャートである。
【
図4】第1実施形態においてプロセッサが実行する変更関連処理を表すフローチャートである。
【
図5】第2実施形態においてプロセッサが実行する割付変更処理を表すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態における割付変更の例を説明する図である。
【
図7】
図7A及び
図7Bは、第3実施形態におけるCM放送枠の分割及び統合を伴う割付変更に関する説明図である。
【
図8】第3実施形態における割付変更処理を表すフローチャートである。
【
図9】第4実施形態における割付変更処理を表すフローチャートである。
【
図10】第5実施形態における複数の評価指標を用いた最適化に関する説明図である。
【
図11】第5実施形態における割付変更処理を表すフローチャートである。
【
図12】CM放送枠の集約及び複数の評価指標を用いた最適化に関する説明図である。
【
図13】第6実施形態においてプロセッサが実行するテーブル作成処理を表すフローチャートである。
【
図14】視聴時間テーブルの構成及び広告素材の割付を説明する図である。
【
図15】第6実施形態においてプロセッサが実行するテーブル再作成処理を表すフローチャートである。
【
図16】第6実施形態における割付変更処理を表すフローチャートである。
【
図17】第7実施形態における接触順に関するスコア算出方法を説明する図である。
【
図18】第7実施形態においてプロセッサが実行する探索割付処理を表すフローチャートである。
【
図19】CM放送枠に限定されない広告枠に対する割付を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1に示す本実施形態の情報処理システム10は、一以上の放送局40から広告主又は広告代理業者に割り当てられた複数の放送枠に対して、複数の広告素材の割付を行うためのシステムである。複数の放送枠のそれぞれでは、割り付けられた広告素材に対応するコマーシャル(CM)が放送される。以下、これらの放送枠のことをCM放送枠と表現する。
【0047】
CM放送枠は、コマーシャルが放送される時間枠である。CM放送枠は、番組の前後又は途中に用意される。放送局40の例には、テレビジョン放送局及びラジオ放送局が含まれる。情報処理システム10が広告素材を割り付けるCM放送枠は、限定されないが、例えばスポットCM用の放送枠であり得る。
【0048】
スポットCMに関しては、放送期間、広告予算、及び/又は目標GRP(グロス・レイティング・ポイント/Gross Rating Point)等の条件を放送局に伝えることで、放送局から、広告主に対して条件に応じたCM放送枠が割り当てられる。
【0049】
情報処理システム10は、このCM放送枠に対して、広告主が用意した複数の広告素材を割り付けるために活用され得る。ここでいう割付は、放送局から提供される案(いわゆる局案)に修正を加えて、各CM放送枠に対する広告素材の割付を決定することを含む。
【0050】
各CM放送枠に対して割り付けられた広告素材の情報は、スケジュール表として放送局に提出される。放送局は、提出されたスケジュール表に従って、CM放送を行う。
【0051】
別例によれば、複数のCM放送枠が広告代理業者により一括購入され得る。この場合、情報処理システム10は、一括購入された複数のCM放送枠に対して、複数の広告主の広告素材を割り付けるために活用される。
【0052】
図1に示す情報処理システム10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、ユーザインタフェース17と、通信インタフェース19と、を備える。プロセッサ11は、ストレージ13に格納されたコンピュータプログラムに従う処理を実行する。
【0053】
メモリ12は、主記憶装置であり、プロセッサ11による処理実行時に作業用メモリとして使用される。ストレージ13は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブなどの補助記憶装置であり、コンピュータプログラムの他、プロセッサ11が実行する処理に供される各種データを記憶する。
【0054】
ユーザインタフェース17は、表示部17A及び操作部17Bを備える。表示部17Aは、プロセッサ11により制御されて、情報処理システム10を操作するユーザ向けの情報を表示する。表示部17Aの例には、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイが含まれる。操作部17Bは、ユーザからの操作信号をプロセッサ11に入力するように構成される。操作部17Bは、例えばキーボード及びマウス等の一以上の操作デバイスにより構成される。
【0055】
通信インタフェース19は、広域ネットワークに接続された外部装置と通信可能に構成される。外部装置の例には、分析システム30、及び、放送局40とのデータファイル授受のためのサーバ装置50が含まれる。
【0056】
分析システム30は、消費者行動を分析するシステムである。消費者行動の例には、消費者の視聴行動、ウェブサイトの閲覧行動、及び購買行動が含まれる。分析システム30は、複数の分析システムで構成され得る。
【0057】
分析システム30は、消費者行動として、調査パネル(以下、単位「パネル」という)に対応する特定消費者群の消費者行動を分析するシステムであり得る。分析システム30は、消費者の行動を観測する機能を備えていてもよいし、観測データを外部システムから取得して、消費者行動を分析するシステムであってもよい。
【0058】
分析システム30は、例えばピープルメータを通じて取得された情報に基づき、消費者群の視聴行動を分析するシステムを含む。分析システム30は、例えば、所定時間単位及び/又は番組単位で、視聴者属性毎の視聴率を算出し得る。
【0059】
視聴者属性は、例えば男性30代、女性20代などの、性別及び年齢層の組合せで定義される視聴者の属性(具体的にはデモグラフィック属性)であり得る。M1層,M2層,M3層,F1層,F2層,F3層,C層,T層などの区分けで消費者属性を定義する手法が特に広告業界では周知である。視聴者属性は、この消費者属性に従う属性であり得る。
【0060】
分析システム30は、例えばPOS(Point of sale)システムを通じて取得した購買データに基づき、消費者群の購買行動を分析するシステムを含む。分析システム30は、例えば、Cookie技術を利用して、消費者群のウェブサイトの閲覧行動を分析するシステムを含む。
【0061】
サーバ装置50は、情報処理システム10と放送局40との間でスケジュール表などのデータファイルを授受するために使用される。サーバ装置50は、例えば、クラウドストレージとして機能するサーバ装置であり得る。
【0062】
本実施形態の情報処理システム10は、例えば
図2に示す場面で活用される。具体的には、情報処理システム10は、広告キャンペーン期間(以下、単に「キャンペーン期間」という)の開始前において、放送局から割り当てられた複数のCM放送枠に、複数の広告素材を割り付ける場面である第1の場面、及び、キャンペーン期間の開始後、終了前において、キャンペーン期間の残りの期間におけるCM放送枠に対する広告素材の割付を変更する場面である第2の場面で活用される。
【0063】
第1の場面において、プロセッサ11は、ユーザインタフェース17を通じて入力されるユーザからの指示に基づき、
図3に示す割付関連処理を実行する。割付関連処理は、ユーザから指定されたキャンペーン期間及び割付対象の広告素材群に対して行われる。
【0064】
割付関連処理において、プロセッサ11は、キャンペーン期間におけるCM放送枠のリストを取得する。すなわち、プロセッサ11は、キャンペーン期間におけるCM放送に関して、放送局から割り当てられたCM放送枠のリストを取得する(S110)。
【0065】
リストは、割り当てられた複数のCM放送枠の情報を含む。例えば、リストは、割り当てられた複数のCM放送枠に関して、CM放送枠毎に、放送局、放送日、及び放送時間帯の情報を含む。以下、このリストで説明される複数のCM放送枠のことを、キャンペーン期間における複数のCM放送枠と表現する。これら複数のCM放送枠は、放送時間帯の異なる複数の放送枠を含む。一例によれば、複数のCM放送枠は、放送時間帯及び放送局の異なる複数の放送枠を含む。複数のCM放送枠は、スポットCM用の複数の放送枠を含む。
【0066】
続くS120において、プロセッサ11は、予め定められた条件を満足するように、キャンペーン期間における複数のCM放送枠のそれぞれに、割付対象の広告素材群のうちの一つの広告素材を割り付ける。すなわち、プロセッサ11は、複数のCM放送枠のそれぞれに、割付対象の広告素材群のうちの一つの広告素材を、対応するCM放送枠で放送されるべき広告素材に決定する。
【0067】
S120において、プロセッサ11は、割付対象の広告素材群に対応する複数の広告素材の、複数のCM放送枠に対する最適な割付パターンを探索する。最適な割付パターンの探索は、所定の評価指標及び評価基準を用いて行われる。プロセッサ11は、探索された最適な割付パターンに従って、複数のCM放送枠のそれぞれに、割付対象の広告素材群のうちの一つの広告素材を割り付ける。
【0068】
評価指標及び評価基準は、割付関連処理の実行時に、ユーザから指定され得る。例えば、S120において、プロセッサ11は、評価指標としてGRPを用いて、キャンペーン期間における複数の広告素材に関するGRPの合計又は重み付け和を最大化する割付パターンを、最適な割付パターンとして探索することができる。
【0069】
GRPの合計は、キャンペーン期間における各広告素材のGRPを合計した値に対応する。広告素材のGRPとは、広告素材に対応するコマーシャルのGRPである。対応する広告素材がキャンペーン期間において二以上のCM放送枠でコマーシャルとして放送される場合、対応する広告素材のGRPは、キャンペーン期間における二以上のCM放送枠での視聴率の累計値(延べ視聴率)である。複数の広告素材に関するGRPの重み付け和は、キャンペーン期間における各広告素材のGRPを重み付けして、これらを合計した値に対応する。
【0070】
最適化に際しては、制約条件が設けられ得る。制約条件の例には、各広告素材に対するGRPの下限が含まれる。この場合、プロセッサ11は、制約条件として与えられた広告素材毎のGRPの下限を下回らない範囲内で、キャンペーン期間における複数の広告素材のGRPの合計又は重み付け和を最大化する割付パターンを、最適な割付パターンとして探索することができる。重みは、割付対象の広告素材群のうちの一部の広告素材を、他の広告素材に対して優先的に割り付けるために設定され得る。
【0071】
GRPは、TARP(Target Audience Rating Point)に読み替えられてもよい。すなわち評価指標はTARPであってもよい。TARPは、ターゲット属性に対応する視聴者層の延べ視聴率である。この場合には、広告素材毎に異なるターゲット属性が定められ得る。ターゲット属性は、広告素材による訴求対象の視聴者の属性(上述したF1層、M1層など)である。この場合、各広告素材に対して用いられるTARPは、対応する広告素材に対して定められたターゲット属性の延べ視聴率であり得る。
【0072】
別例によれば、プロセッサ11は、キャンペーン期間における所定の業績評価指標(KPI)を最大化する割付パターンを、最適な割付パターンとして探索することができる。業績評価指標(KPI)は、広告効果に関する評価指標の例である。業績評価指標の例には、上述したGRP及びTARPの他、「ターゲットリーチ」「ウェブCV」「購買」「指名検索」が含まれる。
【0073】
「ターゲットリーチ」は、ターゲット属性に対応する視聴者層に広告素材が到達した数である。ここでいう広告素材の到達は、広告素材に対応するコマーシャルが視聴されたことを意味する。到達数(以下、リーチ数と表現する)は、視聴者数によって表現され得る。広告素材の到達は、コマーシャルが放送された時間帯の番組が視聴されたか否かによって判定され得る。
【0074】
「ウェブCV」は、CM放送に起因すると推定される、広告素材に対応するウェブページへのアクセス数を指数化した数値である。CVは、コンバージョンを意味する。「購買」は、CM放送に起因すると推定される、広告素材に対応する商品の購買数を指数化した数値である。
【0075】
「指名検索」は、CM放送に起因すると推定される、広告素材に対応する検索キーを用いた検索エンジンでの検索数を指数化した数値である。CM放送に起因すると推定される、アクセス数、購入数、及び検索数のそれぞれは、広告素材に対応するコマーシャルの放送前後における、対応する数値の変動を分析することにより算出され得る。
【0076】
最適な割付パターンの探索は、すべての採り得る割付パターンを評価することにより行われてもよいが、高速性のために、タブ-サーチのような局所探索法によって行われてもよい。
【0077】
S120における最適な割付パターンの探索のために、各割付パターンでのGRP、TARP、又はその他のKPIの予測値を算出可能な資料データが、プロセッサ11により参照される。プロセッサ11は、この資料データを、分析システム30から取得し得る、あるいは、分析システム30から取得した情報に基づき生成し得る。
【0078】
例えば、プロセッサ11は、GRP及びTARPの予測に必要な資料データとして、CM放送枠別の視聴率又はターゲット視聴率の予測値を記述した資料データを、分析システム30から取得した過去の視聴率データに基づき生成することができる。このために、予め視聴率又はターゲット視聴率の予測モデルが、機械学習により生成され得る。予測モデルは、過去の視聴率データから、キャンペーン期間における各CM放送枠の視聴率又はターゲット視聴率を予測するためのモデルである。ここでいうターゲット視聴率は、上述した視聴者属性別の視聴率である。
【0079】
S120による処理後、プロセッサ11は、割付結果を説明するスケジュール表を生成し出力する(S130)。その後、プロセッサ11は、割付関連処理を終了する。スケジュール表は、各CM放送枠に対して、放送されるべき広告素材の識別情報を記述したテーブルである。スケジュール表は、放送局毎に、放送局から要求される様式で作成され得る。
【0080】
プロセッサ11は、生成したスケジュール表を、放送局40が受け取り可能であるように、通信インタフェース19を通じて、サーバ装置50に登録することができる。このスケジュール表にしたがって、対応する放送局がコマーシャルを放送することにより、上述した割付対象の広告素材群に対応する複数の広告素材のそれぞれが複数のCM放送枠のうちの割り付けられた一以上のCM放送枠で放送される。
【0081】
また、上述した第2の場面において、情報処理システム10のプロセッサ11は、ユーザインタフェース17を通じて入力されるユーザからの指示に基づき、
図4に示す変更関連処理を実行する。変更関連処理は、ユーザから指定されたキャンペーン期間における複数のCM放送枠に対して行われる。
【0082】
ここでは、キャンペーン期間のうち、変更関連処理の実行時点で、広告素材の割付を変更可能なCM放送枠が存在する期間のことを変更可能期間と表現する。それ以外の期間のことを変更不可期間と表現する。変更不可期間は、キャンペーン期間の開始時から変更関連処理の実行時点の直前までの期間、すなわち過去期間を少なくとも含む。
【0083】
変更関連処理を開始すると、プロセッサ11は、キャンペーン期間のうち、広告素材の割付を変更することが可能な変更可能期間を判別する(S210)。
【0084】
続くS220において、プロセッサ11は、割付関連処理で最適な割付パターンの探索に用いられた評価指標の、キャンペーン期間における実績値を特定可能な実績情報を取得する。
【0085】
例えば、評価指標がGRPである場合、実績情報は、キャンペーン期間における広告素材毎のアクチュアルGRP、すなわち観測された実際のGRPを特定可能な情報であり得る。アクチュアルGRPは、広告素材に対応するコマーシャルの放送によって得られた広告効果の一例であり、アクチュアル視聴量の一例である。実績情報は、実績値として、キャンペーン期間の各CM放送枠で実際に観測された視聴率であるアクチュアル視聴率を説明する情報を含むことができる。
【0086】
評価指標がTARPである場合、実績情報は、実績値として、キャンペーン期間の各CM放送枠で実際に観測された実ターゲット視聴率を説明する情報を含むことができる。評価指標がその他のKPIである場合、実績情報は、実績値として、キャンペーン期間の各CM放送枠において放送されたコマーシャルについて実際に観測されたKPIを説明する情報を含むことができる。
【0087】
実績情報は、キャンペーン期間における変更関連処理の実行時点よりも過去の期間に関して、上述した実績値を説明する情報を含むことができる。
【0088】
続くS230において、プロセッサ11は、実績情報に基づき、変更可能期間についての最適な割付パターンを探索する。例えば、プロセッサ11は、変更不可期間については広告素材の割付を、現在の割付パターンから変更しないという条件、及び、過去期間については評価指標の計算に実績値を用いるという条件で、S120と同様の手法を用いて、キャンペーン期間についての最適な割付パターンを探索する。プロセッサ11は、最適な割付パターンの探索に必要な、過去期間における実績値を、実績情報から特定することができる。
【0089】
別例によれば、プロセッサ11は、割付関連処理での探索により得られた最適な割付パターンにおける各広告素材の評価指標の値(GRP、TARP、又はその他のKPI)を目標値Hに設定する。プロセッサ11は、その目標値Hと、対応する過去期間の実績値H*とに基づき、キャンペーン期間の終了時において見込まれる実績値である見込実績値と目標値Hとの差を最小にする変更可能期間の各CM放送枠に対する割付パターンを探索する。このようにして、プロセッサ11は、キャンペーン期間についての最適な割付パターンを探索することができる。
【0090】
見込実績値は、過去期間の実績値H*と、キャンペーン期間における残り期間の予測値との和から算出され得る。残り期間は、キャンペーン期間における過去期間以外の期間である。ここでいう予測値は、実績値H*に対応する評価指標の残り期間の予測値である。予測値は、変更関連処理の実行時点で得られている最新の過去データを根拠に予測モデルを用いて算出された値であり得る。この過去データには、キャンペーン期間初期のデータが含まれ得る。
【0091】
S230において、プロセッサ11は、上述した手法で得られた最適な割付パターンに従って、変更可能期間の各CM放送枠に、対応する広告素材を割り付ける。これにより、プロセッサ11は、変更可能期間における複数のCM放送枠のうちの少なくとも一部に関して、キャンペーン期間開始前に割り付けられた広告素材を入れ替える。
【0092】
続くS240において、プロセッサ11は、S230での割付結果を説明するスケジュール表を生成し出力する。その後、プロセッサ11は、割付関連処理を終了する。スケジュール表は、変更可能期間の各CM放送枠に対して、放送されるべき広告素材の識別情報を記述したテーブルとして構成され得る。スケジュール表は、放送局40が受け取り可能であるように、通信インタフェース19を通じて、サーバ装置50に登録され得る。
【0093】
以上に説明した本実施形態の情報処理システム10によれば、プロセッサ11は、キャンペーン期間の途中で、キャンペーン期間の第1の期間(具体的には上記過去期間)における評価指標の実績値(例えば広告素材毎のアクチュアルGRP)を、第1の期間における複数の広告素材のCM放送による広告効果として、実績情報から取得する。プロセッサ11は、この実績値に基づき、キャンペーン期間における第1の期間より後の第2の期間(具体的には上記変更可能期間)における各CM放送枠に対する広告素材の割付を変更する。
【0094】
したがって、この情報処理システム10によれば、広告効果に関してキャンペーン開始前の割付により期待された値と実績との乖離が生じたときに、キャンペーン期間の途中での割付変更により、乖離を低減することができる。すなわち、キャンペーン期間における広告効果を割付変更により改善することができる。したがって、本実施形態によれば、キャンペーン期間における複数のCM放送枠に対する広告素材の割付に関する有意義な情報処理システム10を提供することができる。
【0095】
続いて、第2実施形態から第7実施形態までを説明する。第2実施形態以降の各実施形態では、変更関連処理のS230における処理の具体例又は変形例を詳細に説明する。第2実施形態以降の各実施形態では、割付関連処理のS120における処理が、S230での処理と対応するように変更され得る。第2実施形態以降の各実施形態において、情報処理システム10のハードウェア構成は、第1実施形態と同様である。したがって、第2実施形態以降の各実施形態の説明に際しては、情報処理システム10のハードウェア構成についての説明を省略し、各実施形態において特徴的な処理の内容を選択的に説明する。
【0096】
[第2実施形態]
第2実施形態の情報処理システム10では、評価指標としてGRPが用いられる。プロセッサ11は、割付関連処理のS120で、GRPを指標に最適な割付パターンを探索し、キャンペーン期間の各CM放送枠に対して、複数の広告素材の一つを割り付ける。
【0097】
S120において、プロセッサ11は、指定された制約条件を満足する範囲内で、キャンペーン期間における全CM放送枠のGRPの合計が最大である割付パターンを、最適な割付パターンとして探索することができる。
【0098】
各広告素材には、重みが設定されてもよく、プロセッサ11は、キャンペーン期間における広告素材毎のGRPの重み付け和が最大である割付パターンを、最適な割付パターンとして探索してもよい。
【0099】
例えば、第1の広告素材及び第2の広告素材を含む2つの広告素材を、キャンペーン期間における複数のCM放送枠、例えば3以上のCM放送枠に割り付ける場合、プロセッサ11は、評価関数=W1・X1+W2・X2を最大化する割付パターンを、最適な割付パターンとして探索することができる。
【0100】
ここで、X1は、キャンペーン期間における第1の広告素材のGRPの合計であり、X2は、キャンペーン期間における第2の広告素材のGRPの合計である。W1は、第1の広告素材に対する重みであり、W2は、第2の広告素材に対する重みである。
【0101】
すなわち、プロセッサ11は、第1の広告素材から第Nの広告素材までのN個の広告素材を、キャンペーン期間における複数のCM放送枠、例えば(N+1)以上のCM放送枠に割り付ける場合、i=1,2,…,Nについて、評価関数=Σ(Wi・Xi)を最大化する割付パターンを、最適な割付パターンとして探索することができる。
【0102】
iは、広告素材のインデックスである。Σ(Wi・Xi)は、i=1,2,…,Nについての値(Wi・Xi)の和を意味する。Xiは、キャンペーン期間における第iの広告素材のGRPの合計であり、Wiは、第iの広告素材に対する重みである。
【0103】
X1,X2,Xiについては、下限値が制約条件として設定される。すなわち、各広告素材には、GRPの下限値が設定される。各広告素材には、GRPの下限値に加えて上限値が設定されてもよい。各広告素材に対しては、割り付けられるCM放送枠数の下限値及び/又は上限値が設定されてもよい。
【0104】
プロセッサ11は、制約条件として設定された下限値及び/又は上限値を、各広告素材のGRPが満足する範囲内で、キャンペーン期間全体のGRPを最大化する割付パターンを、最適な割付パターンとして探索することができる。
【0105】
本実施形態では、キャンペーン期間の途中において、ユーザからの指示に基づき、プロセッサ11が、変更関連処理を実行するとき、S230において、
図5に示す割付変更処理を実行する。この割付変更処理では、変更可能期間における各CM放送枠に対する広告素材の割付が、キャンペーン期間開始前の割付から、次のように変更される。
【0106】
プロセッサ11は、
図5に示す割付変更処理を開始すると、変更可能期間において達成すべき広告素材毎の残りGRPを算出する(S310)。各広告素材の残りGRPは次式によって算出される。
【0107】
残りGRP=C0-C1-C2
C0は、キャンペーン期間前の割付パターンでの、対応する広告素材のキャンペーン期間におけるGRP(予測値)である。このGRP(予測値)は、目標値に対応する。別例として、C0は、割付関連処理において制約条件として設定された、対応する広告素材のGRPの下限値であってもよい。
【0108】
C1は、キャンペーン期間のうち、変更関連処理の実行時点より前の過去期間における、対応する広告素材のGRP(実績値)、すなわちアクチュアルGRPである。C2は、キャンペーン期間のうちの過去期間より後の変更不可期間における、対応する広告素材のGRP(予測値)である。過去期間と変更不可期間が同じであるとき、すなわち変更関連処理の実行時点直後のCM放送枠に対する割付も変更可能であるとき、C2はゼロである。
【0109】
続くS320において、プロセッサ11は、変更可能期間における複数のCM放送枠に対する複数の広告素材の割付パターンであって、変更可能期間において各広告素材が、残りGRPを実現する割付パターンを、最適な割付パターンとして探索する。
【0110】
プロセッサ11は、各広告素材の残りGRPを、変更可能期間で実現されるべきGRPの下限値に設定して、変更可能期間における複数のCM放送枠に対する複数の広告素材の割付パターンであって、変更可能期間におけるGRPの合計が最大である割付パターンを、最適な割付パターンとして探索することができる。
【0111】
あるいは、C0がキャンペーン期間前の割付パターンでの、対応する広告素材のキャンペーン期間におけるGRP(予測値)であるとき、プロセッサ11は、各広告素材の変更可能期間における見込GRPの残りGRPに対する誤差の二乗和が最小である割付パターンを、最適な割付パターンとして探索することができる。
【0112】
図6に示す例は、キャンペーン開始前においてCM放送枠TS11,TS12,TS13,TS14に対して広告素材A1が割り付けられていること、及び、CM放送枠TS21,TS22,TS23,TS24に対して広告素材A2が割り付けられていること、を説明している。このうち、CM放送枠TS11,TS12,TS21,TS22は、キャンペーン期間のうち過去期間におけるCM放送枠であり、GRPの実績値(すなわちアクチュアル視聴率)が特定されているCM放送枠である。CM放送枠TS13,TS14,TS23,TS24は、キャンペーン期間のうち変更可能期間のCM放送枠である。ここでは変更不可期間と過去期間が同一であると理解されてよい。
【0113】
図6は、キャンペーン開始前においてCM放送枠TS11,TS12,TS13,TS14に対して予想されたGRPが25であり、CM放送枠TS11,TS12,TS21,TS22に対して予想されたGRPが20であることを更に説明している。ここで説明する数値「25」「20」等は、説明のためだけに選ばれたものであり、その絶対値に意味はない。
【0114】
この場合、キャンペーン開始前における広告素材A1のGRPの目標値は100GRPであり、広告素材A2のGRPの目標値は80GRPである。一方、過去期間における広告素材A1のGRPの実績値は60GRPであり、過去期間について当初予測された値50GRPより高い。過去期間における広告素材A2のGRPの実績値は30GRPであり、過去期間について当初予測された値40より低い。
【0115】
この場合、プロセッサ11は、S230の処理において、変更可能期間のCM放送枠TS13,TS14に対して割り付ける広告素材を、広告素材A1から広告素材A2に変更し、CM放送枠TS23,TS24に対して割り付ける広告素材を、広告素材A2から広告素材A1に変更するように、最適な割付パターンを探索する。
【0116】
S320において、プロセッサ11は、探索された最適な割付パターンに従って、変更可能期間における各CM放送枠に対し、複数の広告素材の一つを割り付ける。プロセッサ11は、その後、S240の処理(
図4参照)を実行する。
【0117】
本実施形態によれば、キャンペーン期間の途中において変更可能期間の各CM放送枠に対する広告素材の割付を変更することにより、各広告素材のGRPの実績値を、キャンペーン開始前のGRPの予測値又は目標値に調整することができる。
【0118】
図6に示す例によれば、広告素材A1のGRPは、割付変更がなければ、目標値を超える可能性があるが、目標値を超えるGRPについては、GRP1単位当たりの実質的な広告効果が希薄化する傾向がある。本実施形態によれば、割付変更により、GRPの実績値が目標値から不足している広告素材A2に対して、獲得GRPの高いCM放送枠を割り当てることができ、広告素材A2のGRPの実績値を目標値に合わせることができる。
【0119】
[第3実施形態]
周知のように、日本国のテレビジョン放送におけるコマーシャルの長さは、通常15秒である。一方、長尺のコマーシャルとして、30秒のコマーシャル、60秒のコマーシャル等の15秒の倍数単位のコマーシャルも放送可能である。
【0120】
従来では、放送局から割り当てられた複数のCM放送枠の集合に、時間長の異なるCM放送枠が混在しているとき、各CM放送枠に対して、時間長が適合する広告素材のみを割り付けていた。これに対して、第3実施形態では、長尺のCM放送枠を分割したり、隣接するCM放送枠を統合したりすることにより、時間長の異なる複数の広告素材についての自由度の高い割付を実現する。
【0121】
具体的に、本実施形態の情報処理システム10は、キャンペーン期間に時間長の異なるCM放送枠が混在しているとき、変更関連処理において、変更可能期間の複数のCM放送枠を、最小単位に分割した後、時間長の異なる広告素材を、CM放送枠を統合しながら、割り付ける。
【0122】
図7Aは、30秒のCM放送枠TS31に広告素材A3が割り付けられ、隣接する15秒のCM放送枠TS32に広告素材A4が割り付けられている状況で、変更可能期間の各CM放送枠TS31,TS32に対する広告素材の割付を変更するとき、30秒のCM放送枠TS31を、2つの15秒の放送枠TS311,TS312に分割して、分割後の放送枠TS311,TS312のそれぞれに、30秒の広告素材A3とは異なる15秒の広告素材A1,A2を割り付けることを説明している。
【0123】
図7Bは、15秒のCM放送枠TS41,TS42,TS43にそれぞれ広告素材A1,A2,A4が割り付けられている状況で、変更可能期間の各CM放送枠TS41,TS42,TS43に対する広告素材A1,A2,A4の割付を変更するとき、時間的に隣接する15秒のCM放送枠TS41,TS42を統合して30秒のCM放送枠TS40を生成し、統合後の放送枠TS40に、30秒の広告素材A3を割り付けることを説明している。
【0124】
このような処理を、プロセッサ11は、変更関連処理のS230において、
図8に示す割付変更処理を実行することにより実現する。
図8に示す割付変更処理を開始すると、プロセッサ11は、キャンペーン期間のうち、変更可能期間の各CM放送枠を、最小単位に分割する(S410)。分割前における変更可能期間の各CM放送枠は、規定時間(具体的には15秒)の1倍を含む整数倍の時間長を有する放送枠である。最小単位のCM放送枠は、規定時間(具体的には15秒)の時間長を有する放送枠である。
【0125】
ここでは、分割前における変更可能期間における複数のCM放送枠には、規定時間の1倍の時間長(すなわち広告放送時間)を有するCM放送枠である第1時間放送枠、及び、規定時間の2倍以上の時間長(すなわち広告放送時間)を有するCM放送枠である第2時間放送枠が含まれるとの前提を置いている。S410において、プロセッサ11は、変更可能期間に含まれる複数のCM放送枠のうち、第1時間放送枠を分割せず、第2時間放送枠を最小単位のCM放送枠に分割する。
【0126】
その後、プロセッサ11は、変更可能期間における分割された各CM放送枠に対して、最適割付パターンを探索する(S420)。ここでの探索手法は、基本的には第1実施形態又は第2実施形態と同様である。
【0127】
ただし、S420における最適割付パターンの探索において、プロセッサ11は、複数の広告素材のうち、長尺の広告素材を割り付けるCM放送枠を生成するために、隣接する複数の第1時間放送枠を統合して、割付対象の広告素材に対応する時間長のCM放送枠を生成する。
【0128】
すなわち、探索対象の割付パターンには、第2時間放送枠を分割することにより生成される複数のCM放送枠のそれぞれに規定時間の広告素材を割り付けるパターン、及び、隣接する複数のCM放送枠を統合することにより生成される第2時間放送枠に、長尺の広告素材を割り付けるパターンが含まれる。規定時間の広告素材は、放送に必要な時間が規定時間(15秒)である広告素材である。長尺の広告素材は、放送に必要な時間が規定時間の2倍以上の整数倍である広告素材である。
【0129】
プロセッサ11は、これらの割付パターンを上述した評価指標及び評価基準で評価したときの最適な割付パターンに従って、変更可能期間の各CM放送枠に対して、複数の広告素材の一つを割り付けることにより、変更可能期間における複数のCM放送枠に対する複数の広告素材の割付を決定する。その後、プロセッサ11は、
図8に示す割付変更処理を終了し、S240(
図4参照)の処理を実行する。
【0130】
以上に説明した本実施形態の情報処理システム10によれば、キャンペーン期間においてCM放送する広告素材に、放送に必要な時間の異なる複数の広告素材が含まれるとき、割付変更前のCM放送枠を最小単位のCM放送枠に分割した後、隣接するCM放送枠を統合しながら、時間長の異なる複数の広告素材を、複数のCM放送枠に割り付ける。このため、高い自由度で最適な割付パターンを探索することができる。
【0131】
[第4実施形態]
第4実施形態の情報処理システム10は、プロセッサ11が、変更関連処理のS230において、
図9に示す割付変更処理を実行するように構成される。この割付変更処理では、「目標スコア比率」を用いて、複数のCM放送枠に対する複数の広告素材の割付が制御される。
【0132】
「目標スコア比率」の理解のために、まずは「相対TRP」「TRPスコア」について説明する。TRPは、Target Rating Pointの略であり、TARPと同じ指標であると理解されてよい。
【0133】
相対TRPは、放送局、広告素材、及びターゲットの組合せ毎に算出される。具体的には、相対TRPは、対応する放送局における、対応する広告素材が割り付けられた一以上のCM放送枠の、対応するターゲットに関する相対ターゲット視聴率の合計に対応する。ここでいうターゲットは、上述の視聴者属性と理解されてよい。
【0134】
相対TRP[素材,放送局,ターゲット]=Σ相対ターゲット視聴率[枠(素材),放送局,ターゲット]
【0135】
相対ターゲット視聴率[枠(素材),放送局,ターゲット]は、対応する放送局における、対応する広告素材が割り付けられた一つのCM放送枠の、対応するターゲットに関する相対ターゲット視聴率である。
【0136】
相対ターゲット視聴率[枠(素材),放送局,ターゲット]は、対応する放送局における一以上のCM放送枠における、対応するターゲットに関するターゲット視聴率の平均である平均ターゲット視聴率[放送局,ターゲット]を用いて次のように算出される。
【0137】
相対ターゲット視聴率[枠(素材),放送局,ターゲット]=ターゲット視聴率[枠(素材),放送局,ターゲット]÷平均ターゲット視聴率[放送局,ターゲット]
【0138】
ターゲット視聴率[枠(素材),放送局,ターゲット]は、対応する放送局における、対応する広告素材が割り付けられた一つのCM放送枠の、対応するターゲットの視聴率である。相対TRPは、放送局及びターゲットの平均視聴率の差を補正するために使用される。
【0139】
TRPスコアは、広告素材及び放送局の組合せ毎に算出される。具体的に、TRPスコアは、対応する放送局及び広告素材についてのターゲット毎の、すなわち視聴者属性毎の相対TRPの重み付け和に対応する。
【0140】
TRPスコア[素材,放送局]=Σ{TRP優先度[素材,放送局,ターゲット]×相対TRP[素材,放送局,ターゲット]}
【0141】
TRP優先度[素材,放送局,ターゲット]は、対応する放送局及び広告素材に関する、対応するターゲットの重みに対応する。上式に含まれるΣ{TRP優先度[素材,放送局,ターゲット]×相対TRP[素材,放送局,ターゲット]}は、全てのターゲット(すなわち全ての視聴者属性)に関する{TRP優先度[素材,放送局,ターゲット]×相対TRP[素材,放送局,ターゲット]}の合計を意味する。
【0142】
スコア比率[素材,放送局]は、対応する広告素材及び放送局の組合せに関するTRPスコア[素材,放送局]の、全組合せのTRPスコアの合計ΣTRPスコア[素材,放送局]に対する比率に対応する。
【0143】
スコア比率[素材,放送局]=TRPスコア[素材,放送局]÷ΣTRPスコア[素材,放送局]
【0144】
目標スコア比率は、上記スコア比率の目標値である。目標スコア比率は、広告効果としての広告素材及び放送局の組合せ毎のTRPスコア[素材,放送局]が目標比率に近づくように、最適な割付パターンを探索するための指標である。すなわち、目標スコア比率は、複数の広告素材のそれぞれの広告効果が目標比率となるように、最適な割付パターンを探索するための指標である。
【0145】
本実施形態によれば、最適な割付パターンを探索するに際して、目標スコア比率に基づいた次のペナルティが定義される。
ペナルティ=Σ(スコア比率[素材,放送局]-目標スコア比率[素材,放送局])2
【0146】
Σ(スコア比率[素材,放送局]-目標スコア比率[素材,放送局])2は、広告素材及び放送局の全組合せに関する(スコア比率[素材,放送局]-目標スコア比率[素材,放送局])2の合計を意味する。
【0147】
すなわち、ペナルティは、広告素材及び放送局毎のスコア比率と目標スコア比率との差の二乗の和に対応する。このペナルティは、最適な割付パターンの探索の際に、広告素材毎及び放送局毎のTRPスコアの全体に対する比率を目標値に近づけるために使用される。目標スコア比率は、複数の広告素材間における広告効果の比率に対応する。
【0148】
この目標スコア比率は、割付関連処理のS120においても用いられる。プロセッサ11は、S120における最適な割付パターンの探索に際して、主評価関数にペナルティを付した評価関数を用いて、評価関数の出力が最大である割付パターンを、最適な割付パターンとして探索する。
【0149】
評価関数=主評価関数-ペナルティ
TRPを評価指標として用いて、評価指標の値が最大化する割付パターンを最適な割付パターンとして探索するとき、主評価関数は、各広告素材のTRPの重み付け和であり得る。最適な割付パターンの探索に際しては、制約条件が設定されてもよい。例えば広告素材毎にTRPの下限値が設定されてもよい。
【0150】
プロセッサ11は、変更関連処理のS230において
図9に示す割付変更処理を実行する。この割付変更処理において、プロセッサ11は、割付関連処理のS120と同じ評価関数を用いて、キャンペーン期間における評価関数の出力を最大化する最適な割付パターンを探索することができる。この際、プロセッサ11は、変更不可期間に対する広告素材の割付を変更しない。さらに、プロセッサ11は、過去期間のTRPについては、実際に観測されたTRPを使用して、評価関数の出力を算出する。
【0151】
図9に示す割付変更処理を開始すると、プロセッサ11は、予め設定された目標スコア比率を読み出す(S510)。読み出す目標スコア比率は、ユーザから指定され、割付関連処理のS120において用いられた目標スコア比率である。
【0152】
続くS520において、プロセッサ11は、目標スコア比率に基づくペナルティを含んだ上述の評価関数を用いて、変更可能期間における各CM放送枠に対する複数の広告素材の割付パターンを探索する。
【0153】
具体的には、プロセッサ11は、変更不可期間については広告素材の割付を、現在の割付パターンから変更しないという条件、及び、評価関数(=主評価関数-ペナルティ)の出力を算出する際、過去期間については実績値を用いるという条件で、S120と同様の評価関数及び制約条件を用いて、キャンペーン期間についての最適な割付パターンを探索する。主評価関数の出力を算出する際、過去期間のTRPとして実績値が用いられる。
【0154】
その後、プロセッサ11は、探索された最適な割付パターンに従って、変更可能期間における各CM放送枠に対して、複数の広告素材の一つを割り付ける。プロセッサ11は、その後、S240の処理(
図4参照)を実行する。
【0155】
第4実施形態の変形例として、プロセッサ11は、複数の広告主に関する複数の広告素材を、S120又はS520において複数のCM放送枠に割り付けるとき、広告主毎の評価関数(すなわち主評価関数-ペナルティ)を用いて、最適な割付パターンを探索してもよい。この場合、プロセッサ11は、広告主毎の評価関数の出力の総和Σ(主評価関数-ペナルティ)を最大化する割付パターンを、最適割付パターンとして探索することができる。ペナルティに与えられる目標スコア比率は、広告主毎に設定され得る。
【0156】
以上に説明した本実施形態の情報処理システム10によれば、視聴者属性毎のTRPを目標スコア比率に従う比率に維持しながら、複数のCM放送枠全体のTRPを最大化する最適な割付パターンを探索することができ、更には、キャンペーン期間途中において、最適な割付パターンを再探索することができる。
【0157】
したがって、本実施形態によれば、キャンペーン期間における各CM放送枠に対する割付、及び、キャンペーン期間中における割付変更を、より広告主の望みに応じて適切に行うことが可能である。
【0158】
[第5実施形態]
続いて、第5実施形態の情報処理システム10を説明する。第5実施形態の情報処理システム10におけるプロセッサ11は、S120において、キャンペーン期間における複数のCM放送枠に複数の広告素材を割り付ける際、広告素材毎に異なる評価指標を用いて、最適な割付パターンを探索する。
【0159】
一例によれば、プロセッサ11は、複数の広告素材に、第1の広告素材及び第2の広告素材が含まれるとき、第1の広告素材に関しては、第1の評価指標(例えば上述の「購買」)を最大化する割付パターンを探索し、第2の広告素材に関しては、第2の評価指標(例えば上述の「ウェブCV」)を最大化する割付パターンを探索する。
【0160】
この探索のために、例えば広告素材Ai毎に、対応する評価指標を用いた評価関数Fiが設定される。ここで用いられるiは、広告素材のインデックスである。プロセッサ11は、広告素材Ai毎の評価関数Fiの出力Yiの合計ΣYi又は重み付け和Σ(Wi×Yi)を最大化する割付パターンを、最適な割付パターンとして探索する。
【0161】
例えば、第1の広告素材の評価関数F1の出力Y1は、第1の広告素材を、キャンペーン期間における複数のCM放送枠のうちの一以上のCM放送枠に割り付けた際の、予測されるCM放送枠毎のKPI、すなわち「購買」を、一以上のCM放送枠について合計した値であり得る。
【0162】
例えば、第2の広告素材の評価関数F2の出力Y2は、第2の広告素材を、キャンペーン期間における複数のCM放送枠のうちの一以上のCM放送枠に割り付けた際の、予測されるCM放送枠毎のKPI、すなわち「ウェブCV」を、一以上のCM放送枠について合計した値であり得る。
【0163】
この場合、プロセッサ11は、W1×Y1+W2×Y2を最大化する割付パターンを、最適な割付パターンとして探索することができる。プロセッサ11は、この探索時、制約条件として、広告素材Ai毎の出力Yiに下限値を設定することができる。
【0164】
図10は、キャンペーン期間における複数のCM放送枠に第1の広告素材及び第2の広告素材を割り付ける際に、合計ΣY
i又は重み付け和Σ(W
i×Y
i)を最大化する割付パターンを探索することにより、第1の広告素材については、第1の評価指標を最大化する割付パターンを探索し、第2の広告素材については、第2の評価指標を最大化する割付パターンを探索して、複数のCM放送枠のそれぞれに、複数の広告素材のうちの一つを割り付けることを説明している。
【0165】
プロセッサ11は、変更関連処理のS230において、
図11に示す割付変更処理を実行することにより、上述したS120と同様の手法で、変更可能期間についての最適な割付パターンを探索する。
【0166】
図11に示す割付変更処理において、プロセッサ11は、複数の広告素材のそれぞれの評価指標を判別する(S610)。S610での処理は、割付関連処理のS120において複数の広告素材のそれぞれに対して用いられた評価指標及び/又は評価関数の情報を読み込む処理と理解されてもよい。S610では、各広告素材に対するその他の制約条件も併せて読み込むことができる。
【0167】
続くS620において、プロセッサ11は、変更不可期間については広告素材の割付を、現在の割付パターンから変更しないという条件、及び、過去期間については評価指標の計算に実績値を用いるという条件で、S120と同じ評価関数及び制約条件を用いて、変更可能期間についての最適な割付パターンを探索する。このために、S220では、実績情報として、過去期間における各CM放送枠についての複数の評価指標のそれぞれの実績値を特定可能な情報が取得される。
【0168】
上記探索により、プロセッサ11は、キャンペーン期間の全体を通して、広告素材Ai毎の評価関数Fiの出力Yiの合計ΣYi又は重み付け和Σ(Wi×Yi)を最大化する割付パターンを、最適な割付パターンとして探索する。
【0169】
S620において、プロセッサ11は、探索された最適な割付パターンに従って、変更可能期間における各CM放送枠に対して、複数の広告素材の一つを割り付ける。プロセッサ11は、その後、S240の処理(
図4参照)を実行する。
【0170】
以上に説明した本実施形態の情報処理システム10によれば、広告素材毎の評価指標に基づいて、最適な割付パターンを探索して、キャンペーン期間における複数のCM放送枠に複数の広告素材を割り付けることができ、さらには、キャンペーン期間途中において実績値を用いて割付を変更することができる。したがって、本実施形態によれば、広告素材毎に異なる目標を考慮した割付を実現可能な優れた情報処理システム10を提供することができる。
【0171】
付言すると、複数の広告素材は、単一の広告主の広告素材であってもよいし、複数の商品の広告素材であってもよいし、複数の広告主の広告素材であってもよい。この場合、上述の情報処理システム10は、商品又は広告主毎に異なる評価指標を用いて最適な割付パターンを探索し、複数の商品又は広告主に対応する複数の広告素材を、キャンペーン期間における複数のCM放送枠に、適切に割り付けることができる。
【0172】
この他、
図12に示すように、情報処理システム10のプロセッサ11は、複数の広告主のそれぞれに対して割り当てられた複数のCM放送枠を集約して、これらの複数のCM放送枠に、複数の広告主の広告素材を割り付けるように構成されてもよい。この場合、プロセッサ11は、広告主毎の評価指標を用いて、集約された複数のCM放送枠に対する、各広告主の広告素材の最適な割付パターンを探索してもよい。
【0173】
[第6実施形態]
続いて、第6実施形態の情報処理システム10を説明する。第6実施形態の情報処理システム10は、評価指標として「ターゲットリーチ」を用いて、キャンペーン期間における複数のCM放送枠に対する最適な割付パターンを探索するように構成される。
【0174】
キャンペーン期間における複数のCM放送枠に割り付けられる複数の広告素材のそれぞれには、訴求対象の視聴者属性であるターゲット属性が設定される。プロセッサ11は、各広告素材に関して、ターゲット属性の視聴者層に対するリーチ数の予測値を算出し、リーチ数を最適化、具体的には最大化する最適な割付パターンを探索する。各広告素材のリーチ数は、対応する広告素材に基づくコマーシャルの視聴者数に対応する。
【0175】
本実施形態によれば、リーチ数を算出するために、プロセッサ11は、分析システム30から取得した、パネルに対応する複数の消費者の視聴履歴データを取得する。視聴履歴データは、過去の所定期間における各消費者のテレビジョン受像機を用いた視聴行動を説明する。パネルは、複数の消費者として、異なる視聴者属性を有する複数の視聴者を含む。パネルは、視聴者のサンプル集合に対応し、パネルに対応する複数の視聴者のそれぞれは、視聴者サンプルに対応する。
【0176】
プロセッサ11は、視聴履歴データに基づき、パネルに対応する複数の消費者のそれぞれについて、放送局、曜日、及び時間帯の組合せ毎の、対応する視聴者による番組の視聴時間割合を算出する。
【0177】
視聴時間割合は、対応する曜日及び時間帯において、対応する消費者が、対応する放送局の番組を視聴した時間の割合に対応する。具体的には、視聴時間割合は、対応する曜日及び時間帯における、対応する放送局の番組についての1時間当たりの平均視聴時間に対応する。例えば、対応する時間帯の1時間当たり視聴時間が平均15分である場合、視聴時間割合として値0.25(すなわち15分÷1時間)が算出される。
【0178】
一人の消費者がキャンペーン期間において、対応する広告素材のコマーシャルに接触する回数、すなわちコマーシャルを見る回数は、対応するコマーシャルが放送される複数のCM放送枠の視聴時間割合の合計を算出することにより判別され得る。
【0179】
具体的に、プロセッサ11は、割付関連処理の実行前に、
図13に示すテーブル作成処理を実行することにより、パネルに対応する複数の消費者のそれぞれの、キャンペーン期間における各CM放送枠に対応する時間帯での視聴時間割合を記述した視聴時間テーブルを生成する。
【0180】
図13に示すテーブル作成処理を開始すると、プロセッサ11は、パネルに対応する複数の消費者から、一人の消費者を、注目消費者として選択する(S710)。続くS720において、プロセッサ11は、キャンペーン期間における複数のCM放送枠のうちの一つを選択する。
【0181】
続くS730において、プロセッサ11は、選択したCM放送枠に対応する放送局、曜日及び時間帯での注目消費者の視聴時間割合を、視聴履歴データに基づき算出する。プロセッサ11は、キャンペーン期間における複数のCM放送枠のすべてについて、CM放送枠毎に、注目消費者の視聴時間割合を算出するまで、S740で否定判断し、CM放送枠の選択(S720)及び視聴時間割合の算出(S730)の処理を繰り返すことにより、CM放送枠毎に、注目消費者の視聴時間割合を算出する。
【0182】
プロセッサ11は、注目消費者について全CM放送枠の視聴時間割合を算出し終えると(S740でYes)、パネルに対応する全消費者を、注目消費者に選択して、視聴時間割合を算出したか否かを判断する(S750)。S750において否定判断すると、プロセッサ11は、S710に移行して、パネルから注目消費者に選択されていない一人の消費者を、新たな注目消費者に選択して、S720~S740の処理を実行することにより、注目消費者のCM放送枠毎の視聴時間割合を算出する。
【0183】
プロセッサ11は、このような処理(S710~S740)の繰返しにより、パネルに対応する全ての消費者について視聴時間割合を算出し得ると、S750で肯定判断し、視聴時間テーブルを作成及び出力し(S760)、テーブル作成処理を終了する。視聴時間テーブルは、パネルに対応する複数の消費者について、消費者毎に、キャンペーン期間における複数のCM放送枠のそれぞれの視聴時間割合を記述したテーブルである。
【0184】
図14の左領域には、視聴時間テーブルの構成を概念的に表す。
図14の左領域に例示される視聴時間テーブルは、合計6人の消費者について複数のCM放送枠TS51,TS52,TS53,TS54のそれぞれに対する視聴時間割合を説明する。6人のうち、テーブル上側において視聴時間割合が説明される3人は、女性であり、テーブル下側において視聴時間割合が説明される3人は男性である。3人の女性のうちの2人は、CM放送枠TS51,TS52での視聴時間割合が高く、3人の男性のうちの2人は、CM放送枠TS53,TS54での視聴時間割合が高い。
【0185】
このため、本実施形態では、プロセッサ11が、割付関連処理において、複数の広告素材のうち、ターゲット属性が女性である広告素材A51を、CM放送枠TS51,TS52に割り付け、ターゲット属性が男性である広告素材A52を、CM放送枠TS53,TS54に割り付けるように、複数のCM放送枠に対して複数の広告素材を割り付ける。
【0186】
具体的には、プロセッサ11は、割付関連処理のS120において、次のように最適な割付パターンを探索し、最適な割付パターンに従って、キャンペーン期間における複数のCM放送枠のそれぞれに対し、複数の広告素材のうちの一つを割り付ける。
【0187】
プロセッサ11はまず、採り得る全ての割付パターンの中から、評価対象の一つの割付パターンを選択する。続いて、選択した割付パターンに従って仮にキャンペーン期間における複数のCM放送枠のそれぞれに一つの広告素材を割り付けた場合の、リーチ数の評価値を算出する。
【0188】
評価値の算出に際し、プロセッサ11は、広告素材毎に、対応する広告素材に対して設定されたターゲット属性を有する視聴者への、対応する広告素材のリーチ数を算出する。対応する広告素材のリーチ数の算出に際し、プロセッサ11は、パネルに属する複数の消費者のうち、対応する広告素材のターゲット属性に対応する視聴者属性を有する一以上の消費者のそれぞれに対して次のリーチ判定処理を実行する。
【0189】
(リーチ判定処理)キャンペーン期間における、対応する広告素材が割り付けられた一以上のCM放送枠における、対応する消費者の視聴時間割合の合計を算出する。合計が閾値以上であるときには、対応する消費者に対して広告素材が到達しているとして、対応する広告素材のリーチ数を1インクリメントする。閾値は、値1であり得る。この場合、対応する消費者の視聴時間割合の合計が1以上であるときに、対応する消費者に対して広告素材が到達していると判別され、リーチ数が1インクリメントされる。閾値は、値2以上の整数値Kであってもよい。この場合、対応する消費者の視聴時間割合の合計がK以上であるときに、対応する消費者に対して広告素材が到達していると判別され、リーチ数が1インクリメントされる。閾値Kは、広告素材毎に設定され得る。
【0190】
プロセッサ11は、上述したターゲット属性に対応する消費者毎のリーチ判定処理の実行により、対応する広告素材のキャンペーン期間におけるリーチ数を算出する。すなわち、キャンペーン期間において、対応する広告素材に基づくコマーシャルが放送される時間帯の視聴時間割合の合計が閾値以上である、ターゲット属性に対応する視聴者属性を有する消費者の数を、リーチ数として算出する。ターゲット属性に対応する視聴者属性を有する消費該当者がいない場合、対応する広告素材のリーチ数はゼロである。
【0191】
プロセッサ11は、上述した処理によって、広告素材毎の、ターゲット属性を有する視聴者へのリーチ数を算出し終えると、これらを合計した値である、キャンペーン期間全体におけるリーチ数の合計を、該当する割付パターンの評価値として算出する。別例として、プロセッサ11は、複数の広告素材のそれぞれのリーチ数に、予め設定された重みをつけて、複数の広告素材についてのリーチ数の重み付け和を、評価値として算出してもよい。
【0192】
プロセッサ11は、採り得る全ての割付パターンについて上述した手法で評価値を算出し、評価値最大の割付パターンを、最適な割付パターンとして採用する。ここで説明した最適な割付パターンの探索は、単純な例である。最適な割付パターンの探索に際しては、各広告素材にリーチ数の下限値及び/又は上限値を設定するなどして、制約条件を設けてもよい。最適な割付パターンの探索について、タブ-サーチなどの局所探索法が採用されてよい。
【0193】
この他、プロセッサ11は、変更関連処理の実行前に、
図15に示すテーブル再作成処理を実行することにより、視聴時間テーブルを実績情報に基づいて補正した再割付テーブルを生成する。
【0194】
テーブル再作成処理を開始すると、プロセッサ11は、キャンペーン期間における現時点より前の過去期間における複数のCM放送枠に関して、対応するCM放送枠でコマーシャルが放送された時間帯の番組をパネルに属する各消費者が視聴したか否かを表す実績情報を取得する(S810)。
【0195】
続くS820において、プロセッサ11は、パネルに対応する複数の消費者から、一人の消費者を、注目消費者として選択する。続くS830において、プロセッサ11は、キャンペーン期間のうち過去期間に位置する複数のCM放送枠のうちの一つを選択する。
【0196】
続くS840において、プロセッサ11は、選択したCM放送枠でコマーシャルが放送された時間帯の番組を注目消費者が視聴したか否かを、実績情報に基づいて判断する。プロセッサ11は、視聴したと判断すると(S840でYes)、注目視聴者のCM放送枠の視聴時間割合を「1」に変更するように、テーブル作成処理で生成された視聴時間テーブルを補正する(S850)。その後、S870の処理を実行する。一方、プロセッサ11は、視聴していないと判断すると(S840でNo)、注目視聴者のCM放送枠の視聴時間割合を「0」に変更するように、視聴時間テーブルを補正する(S860)。その後、S870の処理を実行する。
【0197】
プロセッサ11は、過去期間に位置する複数のCM放送枠のすべてについて、S830~S860の処理を実行するまで、S830~S860の処理を繰返し実行することにより、CM放送枠毎に、注目消費者が、対応するCM放送枠でコマーシャルが放送される時間帯の番組を注目消費者が視聴したか否かを判断し(S840)、視聴している場合には(S840でYes)、視聴時間テーブルにおいて、注目視聴者の、対応するCM放送枠の視聴時間割合を「1」に変更する(S850)。一方、視聴していない場合(S840でNo)、プロセッサ11は、視聴時間テーブルにおいて、注目視聴者の、対応するCM放送枠の視聴時間割合を「0」に変更する(S860)。
【0198】
プロセッサ11は、過去期間に位置する複数のCM放送枠のすべてについて、S830~S860の処理を実行したと判断すると(S870でYes)、パネルに対応する全消費者を、注目消費者に選択して、S830~S870の処理を実行したか否かを判断する(S880)。S880において否定判断すると、プロセッサ11は、S820に移行して、パネルから注目消費者に選択されていない一人の消費者を、新たな注目消費者に選択して、S830~S870の処理を実行することにより、注目消費者のCM放送枠毎の視聴時間割合を、対応する時間帯の番組の視聴有無に基づいて、上述した通り補正する。
【0199】
プロセッサ11は、パネル対応する全消費者について、S830~S870の処理を実行したと判断すると(S880でYes)、上述した手法で実績情報に基づき修正した視聴時間テーブルを、再割付用テーブルとして出力する(S890)。その後、
図15に示すテーブル再作成処理を終了する。
【0200】
その後、プロセッサ11は、再割付用テーブルを用いて、変更関連処理のS230で、
図16に示す割付変更処理を実行する。
【0201】
割付変更処理を開始すると、プロセッサ11は、S120における処理と同様に、採り得る全ての割付パターンの中から、評価対象の一つの割付パターンを選択する(S910)。変更関連処理では、キャンペーン期間における変更不可期間の割付を変更しない。したがって、ここで採り得る割付パターンは、変更不可期間については現在の割付パターンが維持された割付パターンである。
【0202】
続くS920において、プロセッサ11は、選択した割付パターンに関して、再割付用テーブルを参照して、広告素材毎のリーチ数を算出する。リーチ数の算出手法は、視聴時間テーブルに代えて、再割付用テーブルを参照することを除けば、S120での処理と同様である。
【0203】
続くS930において、プロセッサ11は、広告素材毎のターゲット属性に対するリーチ数に基づき、S910で選択した割付パターンの評価値を、S120での処理と同様に算出する。
【0204】
プロセッサ11は、最適な割付パターンとして採り得る割付パターンの全てについて上述した手法で評価値を算出するまで、S910~S930の処理を繰返し実行する。割付パターンの全てについて評価値を算出すると(S940でYes)、プロセッサ11は、割付パターン毎の評価値に基づいて、最適な割付パターンを判別する(S950)。そして、最適な割付パターンに従って、変更可能期間における複数のCM放送枠のそれぞれに対し、複数の広告素材の一つを割り付ける(S950)。プロセッサ11は、その後、S240の処理(
図4参照)を実行する。
【0205】
別例として、プロセッサ11は、最適な割付パターンとして採り得る割付パターンのすべてについて評価値を算出することなく、評価値が高くなることが予想される割付パターンについての評価値を優先的に算出する手法で、所定回又は所定時間、割付パターンを切り替えながら、対応する割付パターンの評価値を算出する動作を繰り返した後、S940で肯定判断して、S950の処理を実行してもよい。プロセッサ11は、評価値を算出した割付パターンのうち、評価値が最大の割付パターンを、最適な割付パターンとして判別することができる(S950)。
【0206】
以上に説明した本実施形態の情報処理システム10によれば、評価指標としてターゲットへのリーチ数、すなわち「ターゲットリーチ」を用いて、リーチ数が全体最適になるようにキャンペーン期間における複数のCM放送枠のそれぞれに対して、複数の広告素材の一つを割り付ける。この情報処理システム10によれば、キャンペーン期間の途中において、キャンペーン期間の初期における実際のリーチの有無を考慮して、キャンペーン期間の後期における複数のCM放送枠に対する広告素材の割付を変更する。
【0207】
したがって、本実施形態によれば、キャンペーン開始前のリーチ数の予測に対して、実際のリーチ数が乖離している状況においても、割付を最適化して、良好な広告効果(すなわちリーチ数)を得ることができる。したがって、本実施形態の情報処理システム10は、リーチ数に基づく広告割付に際して、有意義に機能する。
【0208】
付言すると、最適な割付パターンを探索するとき、パネルに含まれる複数の消費者のうち、リーチしない可能性の高い消費者のリーチに関する計算を省略してもよい。例えば、平日昼間のCM放送枠を通じたコマーシャルの放送は、壮年期の男性にはリーチしない可能性が高い。したがって、パネルに壮年期の男性が含まれる場合、平日昼間のCM放送枠に対する、壮年期男性に関するリーチの計算を省略してもよい。こうした消費者を計算から除外することで、リーチ最適化に関する計算回数を省略することができ、処理を高速化することができる。
【0209】
[第7実施形態]
第7実施形態の情報処理システム10は、広告素材別のリーチ数ではなく、視聴者が、複数の広告素材を特定順序で視聴する可能性を、スコア化し、当該スコアを最大化する割付パターンを、最適な割付パターンとして探索するように構成される。
【0210】
第7実施形態の情報処理システム10において、プロセッサ11は、第6実施形態と同様にテーブル作成処理及びテーブル再作成処理を実行し、それにより視聴時間テーブル及び再割付用テーブルを作成する。
【0211】
プロセッサ11は、視聴時間テーブルを活用して、評価対象の割付パターン毎に、パネルに属する各消費者のスコアを次の規則で算出する。
【0212】
図17は、CM放送枠TS61に広告素材A61を割り付け、CM放送枠TS62に広告素材A62を割り付け、CM放送枠TS63に広告素材A61を割り付ける場合の、注目消費者に対するスコア算出方法を説明する。ここでは、注目消費者の視聴時間割合R1,R2,R3が、CM放送枠TS61では、R1=0.2であり、CM放送枠TS62では、R2=0.5であり、CM放送枠TS63では、R3=0.4である例を取り上げて、スコア算出方法を説明する。
【0213】
この場合、注目消費者が、広告素材A61,A62に対応するコマーシャルを広告素材A61、広告素材A62、広告素材A61の順に接触する確率は、R1×R2×R3=0.04に対応する。本実施形態によれば、注目消費者が広告素材A61、広告素材A62、広告素材A61の順に接触する接触パターンについて、注目消費者のスコアは、0.04として算出される。
【0214】
一方、注目消費者が広告素材A61、広告素材A62の順に接触する接触パターンであって、CM放送枠TS63の広告素材A61に接触しない接触パターンについて、注目消費者のスコアは、R1×R2×(1-R3)=0.06として算出される。
【0215】
注目消費者が広告素材A61、広告素材A61の順に接触する接触パターンであって、CM放送枠TS62の広告素材A62に接触しない接触パターンについて、注目消費者のスコアは、R1×(1-R2)×R3=0.04として算出される。
【0216】
図17において破線で囲むように、注目消費者が広告素材A62、広告素材A61の順に接触する接触パターンであって、CM放送枠TS61の広告素材A61に接触しない接触パターンについて、注目消費者のスコアは、(1-R1)×R2×R3=0.16として算出される。
【0217】
本実施形態によれば、このような規則で、特定の接触パターンについて、評価対象の割付パターンにおける、各消費者のスコアを算出する。特定の接触パターン、すなわち、広告素材の特定の接触順は、情報処理システム10のユーザから指定され得る。
【0218】
プロセッサ11は、CM放送枠TS61,TS62,TS63において、広告素材A62、広告素材A61の順に視聴する視聴者数が最大の割付パターンを最適な割付パターンとして探索するとき、キャンペーン期間において、パネルに対応する複数の消費者に関する、該当する接触パターンのスコアの合計が最大化する割付パターンを、最適な割付パターンとして探索する。
【0219】
プロセッサ11は、割付関連処理において、
図18に示す探索割付処理を実行することができる。すなわち、プロセッサ11は、キャンペーン期間において、採り得る全ての割付パターンの中から、評価対象の一つの割付パターンを選択する(S1010)。
【0220】
続くS1020において、プロセッサ11は、選択した割付パターンに関して、視聴時間テーブルを参照して、パネルに属する消費者毎の、特定接触パターンのスコアを算出する。特定接触パターンに、二以上の接触パターンが含まれる場合、プロセッサ11は、各接触パターンのスコアの合計又は重み付け和を、特定接触パターンのスコアとして算出することができる。特定接触パターン、すなわち、特定の広告素材の接触順は、割付関連処理の実行開始時に、ユーザから指定され得る。
【0221】
続くS1030において、プロセッサ11は、消費者毎のスコアの合計を、選択した割付パターンの評価値として算出する。プロセッサ11は、最適な割付パターンとして採り得る割付パターンの全てについて上述した手法で評価値を算出するまで、S1010~S1030の処理を繰返し実行する。
【0222】
割付パターンの全てについて評価値を算出すると(S1040でYes)、プロセッサ11は、割付パターン毎の評価値に基づいて、最適な割付パターンを判別する(S1050)。最適な割付パターンは、評価値最大の割付パターンであり得る。その後、プロセッサ11は、最適な割付パターンに従って、キャンペーン期間における複数のCM放送枠のそれぞれに対し、複数の広告素材の一つを割り付ける(S1050)。プロセッサ11は、その後、S130の処理(
図3参照)を実行する。
【0223】
別例として、プロセッサ11は、上述したS940の処理の別例と同様に、最適な割付パターンとして採り得る割付パターンのすべてについて評価値を算出することなく、所定回又は所定時間、割付パターンを切り替えながら、対応する割付パターンの評価値を算出する動作を繰り返した後、S1040で肯定判断し、S1050の処理を実行してもよい。
【0224】
プロセッサ11は、変更関連処理のS230においても、再割付用テーブルを参照して、S120と同様の手法で、最適な割付パターンを探索し、変更可能期間における複数のCM放送枠に対して、複数の広告素材の一つを割り付ける。
【0225】
S230において
図18に示す探索割付処理と同様の処理が実行されるとき、S1010に対応する処理では、変更不可期間については現在の割付パターンが維持された割付パターンの中から、評価対象の割付パターンが選択される。
【0226】
S1020に対応する、特定接触パターンに関する消費者毎のスコアを算出する処理は、再割付テーブルに基づいて行われる。S1050に対応する処理では、最適な割付パターンに従って、キャンペーン期間の変更可能期間における複数のCM放送枠のそれぞれに対し、複数の広告素材の一つが割り付けられる。その後、S240(
図4参照)の処理が実行される。
【0227】
以上に説明した本実施形態の情報処理システム10によれば、広告素材の接触順を考慮した最適な割付パターンを探索して、キャンペーン期間における複数のCM放送枠のそれぞれに、広告素材を割り付けることができる。
【0228】
この探索によれば、複数の広告素材が指定された接触順で視聴者に視聴される数である接触順リーチ数を最適化、特には最大化するように、複数のCM放送枠に、複数の広告素材を割り付けることができる。キャンペーン期間の途中では、実際の広告素材に対応するコマーシャルの視聴有無を考慮して、変更可能期間の最適な割付パターンを探索して、広告素材を再割付する。したがって、本実施形態の情報処理システム10は、接触順リーチ数を考慮した広告割付に際して、有意義に機能する。
【0229】
[その他の実施形態]
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、最適な割付パターンの探索では、評価指標の予測値が使用されるが、予測値としては、直近の短い期間についての精度のよい第1の予測値と、長い期間についての第2の予測値とが用意されてもよい。これらの第1の予測値と第2の予測値とを使い分けて、又は、併せて使用して、最適な割付パターンが探索されてもよい。
【0230】
例えば、視聴率については、直近1週間における各放送枠の精度の高い第1の予測値と、直近4週間における各放送枠の第2の予測値と、を用いることが考えられる。この場合には、直近4週間のうち、直近1週間については、第1の予測値を用いて、残りの3週間については第2の予測値を用いて、評価指標としてGRPの予測値やTARPの予測値を算出することができる。
【0231】
更なる別例として、直近1週間における各放送枠の精度の高い第1の予測値と、直近2週間における各放送枠の第2の予測値と、直近3週間における各放送枠の第3の予測値と、直近4週間における各放送枠の第4の予測値と、が用意されてもよい。この場合、第1の予測値の精度が最も高く、第2の予測値、第3の予測値、第4の予測値の精度は、その記載順に低下する。この場合、直近4週間のうち、直近の第1週については、第1の予測値を用いて、第2週については、第2の予測値を用いて、第3週については、第3の予測値を用いて、第4週については、第4の予測値を用いて、評価指標の予測値を算出することができる。
【0232】
この他、上記実施形態の情報処理システム10では、キャンペーン期間の開始前に、キャンペーン期間における複数のCM放送枠に対する広告素材の割付に関して、最適化が行われる。しかしながら、キャンペーン期間開始前の最適化は行われなくてもよい。
【0233】
例えば、情報処理システム10は、キャンペーン期間の開始前には、広告素材の割付に係る処理を実行せずに、キャンペーン期間の途中でユーザからの指示に基づき、変更可能期間の最適な割付パターンを探索し、変更可能期間の複数のCM放送枠に、複数の広告素材を割り付けるシステムとして構成されてもよい。この場合、キャンペーン期間前における複数のCM放送枠に対する複数の広告素材の割付は、別の情報処理システム又は放送局で実行され得る。キャンペーン期間の開始前には、ランダムに複数のCM放送枠に対して、複数の広告素材が割り付けられてもよい。
【0234】
別例として、キャンペーン期間の開始前には、キャンペーン期間の前半に位置する複数のCM放送枠に対する広告素材の割付のみが実行され、後半に位置する複数のCM放送枠に対する広告素材の割付が実行されなくてもよい。この場合、情報処理システム10は、キャンペーン期間の前半の実績情報に基づいて、キャンペーン期間の後半に位置する複数のCM放送枠に対する複数の広告素材の割付を行うシステムとして構成されてもよい。ここでいう前半及び後半は、狭く解釈されるべきではなく、キャンペーン期間を中心又は中心から離れた位置で二つに分割して定義されるキャンペーン期間内の分割された区間であると理解されてよい。
【0235】
以上には、テレビジョン放送のCM放送枠に対する広告素材の割付に、情報処理システム10を活用する例を説明したが、情報処理システム10は、インターネット放送など、広域通信ネットワークを通じてリアルタイム配信されるコンテンツの広告枠に対する広告素材の割付に活用されてもよい。
【0236】
すなわち、上述した実施形態におけるCM放送枠は、広域通信ネットワークを通じた広告配信枠に読み替えられてもよい。あるいは、CM放送枠は、放送局を通じたコマーシャルの放送枠、及び、広域通信ネットワークを通じた広告配信枠を概念的に包含する広告枠又は広告枠に読み替えらえてもよい。広告素材に対応するコマーシャルの「放送」は、放送及び配信を包含する、広告素材の「出力」又は「提供」に読み替えられてもよい。広告配信枠は、広告素材が広域通信ネットワークを通じて配信される時間枠であり得る。
【0237】
この場合、情報処理システム10は、
図19に示すように、一以上の放送局から割り当てられた一以上のCM放送枠、及び、一以上のネットワーク配信サービスから割り当てられた一以上の広告配信枠を含む、キャンペーン期間における複数の広告枠に対して、複数の広告素材を割り付けることができる。
【0238】
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0239】
[本明細書が開示する技術思想]
本明細書には、次の技術思想が開示されていると理解することができる。
[項目1]
所定期間における複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して、前記所定期間における前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得するように構成される取得部と、
前記実績情報に基づき、前記所定期間における前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けるように構成される割付部と、
を備える情報処理システム。
[項目2]
項目1記載の情報処理システムであって、
前記複数の放送枠には、前記第1の期間の開始前に前記複数の広告素材が割り付けられ、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記複数の第2放送枠のうちの少なくとも一部の放送枠に割り付けられた広告素材を入れ替えるように、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付を、変更する情報処理システム。
[項目3]
所定期間における複数の放送枠に、複数の広告素材を割り付けるように構成される割付部であって、前記複数の広告素材のそれぞれが前記複数の放送枠のうちの割り付けられた一以上の放送枠で放送されるように、前記複数の放送枠に前記複数の広告素材を割り付ける割付部と、
前記所定期間における前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得するように構成される取得部と、
を備え、
前記割付部は更に、前記実績情報に基づき、前記所定期間における前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付を、変更するように構成され、前記複数の第2放送枠のうちの少なくとも一部の放送枠に割り付けられた広告素材を、入れ替える情報処理システム。
[項目4]
項目2又は項目3記載の情報処理システムであって、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付を、前記所定期間における前記複数の広告素材の広告効果が改善するように、変更する情報処理システム。
[項目5]
項目2又は項目3記載の情報処理システムであって、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付を、前記所定期間における前記複数の広告素材のそれぞれの広告効果が目標比率で実現されるように変更する構成にされ、
前記目標比率は、予め定められた前記複数の広告素材間における前記広告効果の比率である情報処理システム。
[項目6]
項目2又は項目3記載の情報処理システムであって、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付を、前記所定期間における前記複数の広告素材のそれぞれの広告効果の重み付け和が増加するように、かつ、前記複数の広告素材のそれぞれの広告効果が目標比率で実現されるように変更する構成にされ、
前記目標比率は、予め定められた前記複数の広告素材間における前記広告効果の比率である情報処理システム。
[項目7]
項目2~項目6のいずれか一項記載の情報処理システムであって、
前記割付部は、前記実績情報から特定される、前記複数の第1放送枠における前記複数の広告素材それぞれのアクチュアル視聴量に基づいて、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付を変更するように構成される情報処理システム。
[項目8]
項目2~項目7のいずれか一項記載の情報処理システムであって、
前記実績情報は、異なる評価指標で表現された前記広告効果に関する複数の実績値を含み、
前記割付部は、前記複数の実績値に基づいて、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付を変更する
情報処理システム。
[項目9]
項目2~項目7のいずれか一項記載の情報処理システムであって、
前記実績情報は、前記複数の広告素材のうちの二以上の広告素材について、広告素材毎に異なる評価指標で表現された前記広告効果に関する実績値を含み、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記所定期間における前記二以上の広告素材のそれぞれの評価指標が改善するように、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付を変更する
情報処理システム。
[項目10]
項目2又は項目3記載の情報処理システムであって、
異なる視聴者属性を有する複数の視聴者サンプルの視聴履歴に基づき、視聴者サンプル毎に、対応する視聴者サンプルの前記複数の放送枠のそれぞれの視聴割合を算出するように構成される視聴割合算出部
を備え、
前記複数の広告素材のそれぞれには、ターゲット属性として、訴求対象の視聴者属性が設定されており、
前記割付部は、前記視聴者サンプル毎及び前記放送枠毎の視聴割合と、前記複数の広告素材のそれぞれに設定された前記ターゲット属性とに基づき、前記複数の広告素材の前記ターゲット属性に対応する視聴者サンプルへのリーチ数を最適化するように、前記複数の放送枠に、前記複数の広告素材を割り付け、
前記実績情報は、前記複数の第1放送枠を通じて放送された前記複数の広告素材の前記複数の視聴者サンプルのそれぞれに対するリーチの有無を特定可能な情報を含み、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記所定期間における前記複数の広告素材の前記ターゲット属性に対応する視聴者サンプルへのリーチ数を最適化するように、前記複数の広告素材の割付を変更する構成にされる情報処理システム。
[項目11]
項目4記載の情報処理システムであって、
前記複数の放送枠は、規定時間に対応する広告放送時間を有する第1時間放送枠と、前記規定時間の二倍以上の整数倍に対応する広告放送時間を有する第2時間放送枠と、を含み、
前記複数の広告素材は、放送に必要な時間が前記規定時間に対応する第1広告素材と、放送に必要な時間が前記規定時間の二倍以上の整数倍に対応する第2広告素材と、を含み、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記所定期間における前記広告効果が改善する前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付パターンを探索するように構成され、
探索対象の割付パターンには、前記第2時間放送枠を分割することにより生成される複数の第1時間放送枠のそれぞれに前記第1広告素材を割り付けるパターン、及び、隣接する複数の第1時間放送枠を統合することにより生成される第2時間放送枠に、前記第2広告素材を割り付けるパターンが含まれる
情報処理システム。
[項目12]
項目2又は項目3記載の情報処理システムであって、
異なる視聴者属性を有する複数の視聴者サンプルの視聴履歴に基づき、視聴者サンプル毎に、対応する視聴者サンプルの前記複数の放送枠のそれぞれの視聴割合を算出するように構成される視聴割合算出部
を備え、
前記複数の広告素材には、接触順が指定され、
前記割付部は、前記視聴者サンプル毎及び前記放送枠毎の視聴割合と、指定された前記接触順に基づき、前記複数の広告素材が前記指定された前記接触順で視聴者サンプルに視聴される数である接触順リーチ数を最適化するように、前記複数の放送枠に、前記複数の広告素材を割り付け、
前記実績情報は、前記複数の第1放送枠を通じて放送された前記複数の広告素材の前記複数の視聴者サンプルのそれぞれに対するリーチの有無を特定可能な情報を含み、
前記割付部は、前記実績情報に基づき、前記所定期間における前記複数の広告素材の前記接触順リーチ数を最適化するように、前記複数の広告素材の割付を変更する構成にされる情報処理システム。
[項目13]
項目1~項目12のいずれか一項記載の情報処理システムであって、
前記複数の放送枠は、放送時間帯及び放送局の異なる複数の放送枠を含む情報処理システム。
[項目14]
項目1~項目13のいずれか一項記載の情報処理システムであって、
前記複数の放送枠は、スポットCM用の複数の放送枠を含む情報処理システム。
[項目15]
所定期間における複数の広告枠に、複数の広告素材を割り付けるように構成される割付部であって、前記複数の広告素材のそれぞれが前記複数の広告枠のうちの割り付けられた一以上の広告枠で放送又は配信されるように、前記複数の広告枠に前記複数の広告素材を割り付ける割付部と、
前記所定期間における前記複数の広告枠のうちの第1の期間における広告枠である複数の第1広告枠を通じた、前記複数の広告素材の放送又は配信による広告効果を、実績情報として取得するように構成される取得部と、
前記実績情報に基づき、前記所定期間における前記複数の広告枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における広告枠である複数の第2広告枠に対する前記複数の広告素材の割付を、変更するように構成される割付部であって、前記複数の第2広告枠のうちの少なくとも一部の広告枠に割り付けられた広告素材を、入れ替える割付部と、
を備える情報処理システム。
[項目16]
項目15記載の情報処理システムであって、
前記複数の広告枠は、複数の放送枠及び複数の配信枠を含む
情報処理システム。
[項目17]
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
所定期間における複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して、前記所定期間における前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得することと、
前記実績情報に基づき、前記所定期間における前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、前記複数の広告素材を割り付けることと、
を含む情報処理方法。
[項目18]
項目17記載の情報処理方法であって、
前記複数の放送枠には、前記第1の期間の開始前に前記複数の広告素材が割り付けられ、
前記割り付けることは、前記実績情報に基づき、前記複数の第2放送枠のうちの少なくとも一部の放送枠に割り付けられた広告素材を入れ替えるように、前記複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付を、変更することを含む情報処理方法。
[項目19]
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
所定期間における複数の放送枠に、複数の広告素材を割り付けることであって、前記複数の広告素材のそれぞれが前記複数の放送枠のうちの割り付けられた一以上の放送枠で放送されるように、前記複数の放送枠に前記複数の広告素材を割り付けることと、
前記所定期間における前記複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、前記複数の広告素材の放送による広告効果を、実績情報として取得することと、
前記実績情報に基づき、前記所定期間における前記複数の放送枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対する前記複数の広告素材の割付を、前記複数の第2放送枠のうちの少なくとも一部の放送枠に割り付けられた広告素材を入れ替えるように、変更することと、
を含む情報処理方法。
[項目20]
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
所定期間における複数の広告枠に、複数の広告素材を割り付けることであって、前記複数の広告素材のそれぞれが前記複数の広告枠のうちの割り付けられた一以上の広告枠で放送又は配信されるように、前記複数の広告枠に前記複数の広告素材を割り付けることと、
前記所定期間における前記複数の広告枠のうちの第1の期間における広告枠である複数の第1広告枠を通じた、前記複数の広告素材の放送又は配信による広告効果を、実績情報として取得することと、
前記実績情報に基づき、前記所定期間における前記複数の広告枠のうちの前記第1の期間よりも後の第2の期間における広告枠である複数の第2広告枠に対する前記複数の広告素材の割付を、前記複数の第2広告枠のうちの少なくとも一部の広告枠に割り付けられた広告素材を入れ替えるように、変更することと、
を含む情報処理方法。
[項目21]
項目17~項目20のいずれか一項記載の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0240】
10…情報処理システム、11…プロセッサ、12…メモリ、13…ストレージ、17…ユーザインタフェース、17A…表示部、17B…操作部、19…通信インタフェース、30…分析システム、40…放送局、50…サーバ装置。
【要約】
【課題】放送枠に対する広告素材の割付に関する新規技術を提供する。
【解決手段】所定期間における複数の放送枠を通じて放送される複数の広告素材に関して、所定期間における複数の放送枠のうちの第1の期間における放送枠である複数の第1放送枠を通じた、複数の広告素材の放送による広告効果が、実績情報として取得される(S220)。実績情報に基づき、所定期間における複数の放送枠のうちの第1の期間よりも後の第2の期間における放送枠である複数の第2放送枠に対して、複数の広告素材が割り付けられる(S230,S240)。
【選択図】
図4