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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-12
(45)【発行日】2025-05-20
(54)【発明の名称】工作機械及び工作システム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20250513BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20250513BHJP
【FI】
B23Q11/00 Z
G05B19/18 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2025505603
(86)(22)【出願日】2024-12-04
(86)【国際出願番号】 JP2024042934
【審査請求日】2025-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】藤本 泰生
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-202275(JP,A)
【文献】特開2015-232838(JP,A)
【文献】特開2015-041274(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0091485(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110488786(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/00-41/08;
G05B 19/00-19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ数値制御(CNC)装置と、
モータを駆動するアンプと、
前記モータを駆動するための電力を前記アンプに供給する電力系統と、
工作機械の加工を補助する周辺機器を駆動するインバータの回生電力の電圧を前記電力系統の電圧に合わせる電圧変換器と
を備える、工作機械。
【請求項2】
複数の周辺機器のうちいずれの周辺機器からの回生電力を前記電圧変換器に入力するかを前記CNC装置からの指令に従って選択するセレクタをさらに備える、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
複数の周辺機器のうちいずれの周辺機器からの回生電力を前記電圧変換器に入力するかを選択するセレクタと、
前記複数の周辺機器にそれぞれ対応付けられた複数の電圧検出部と、をさらに備え、
前記セレクタは、前記複数の電圧検出部のうち電圧を検出した電圧検出部に対応する周辺機器からの回生電力を前記電圧変換器に入力すると選択する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項4】
前記周辺機器からの回生電力の電圧を測定する電圧測定部をさらに備え、
前記電圧変換器は、測定された前記回生電力の電圧と、前記電力系統の電圧とに基づいて変換倍率を設定し、前記変換倍率に基づいて前記回生電力の電圧を前記電力系統の電圧に調節する、請求項1~3のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項5】
前記工作機械が発生させた回生電力を前記周辺機器に分配するための第2の電圧変換器と、第2のセレクタとをさらに備え、
前記第2のセレクタは、前記CNC装置からの指令に従って、前記工作機械が発生させた回生電力の分配先の周辺機器を選択する、請求項2又は3に記載の工作機械。
【請求項6】
前記周辺機器からの回生電力を測定する回生電力測定部さらに備え、
前記CNC装置の表示部は、前記測定した回生電力の情報を表示する、請求項1~3のいずれか一項に記載の工作機械。
【請求項7】
コンピュータ数値制御(CNC)装置と、
モータを駆動するアンプと、
前記モータを駆動するための電力を前記アンプに供給する電力系統と、
工作機械の加工を補助する周辺機器と、
前記周辺機器を駆動するインバータと、
前記インバータの回生電力の電圧を前記電力系統の電圧に合わせる電圧変換器と
を備える、工作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械及び工作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源回生方式を採用し、回生起動時の熱の発生を抑える電力回生装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-103821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、抵抗回生方式を採用している周辺機器の回生電力は、熱として消費されてしまうので、抵抗回生方式の周辺機器を備える工作システムの電力効率は悪い。
【0005】
本開示は、抵抗回生方式を採用している周辺機器を備える工作システムにおいて、電力効率を改善する工作機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、コンピュータ数値制御(CNC)装置と、モータを駆動するアンプと、前記モータを駆動するための電力を前記アンプに供給する電力系統と、工作機械の加工を補助する周辺機器を駆動するインバータの回生電力の電圧を前記電力系統の電圧に合わせる電圧変換器とを備える、工作機械である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、抵抗回生方式を採用している周辺機器の回生エネルギーを工作機械で活用でき、システム全体における省電力化を実現する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る工作システムを示す図である。
図2】第2の実施形態に係る工作システムを示す図である。
図3】第3の実施形態に係る工作システムを示す図である。
図4】第4の実施形態に係る工作システムを示す図である。
図5】第5の実施形態に係る工作システムを示す図である。
図6】第6の実施形態に係る工作システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。また、各図面及び本明細書中において、同一の符号は同様の要素を示す。
【0010】
<第1の実施形態>
図1は、本開示の第1の実施形態に係る工作システム1を示す。工作システム1は、工作機械10と、周辺機器20とを備える。工作機械10及び周辺機器20は、電源ライン30に接続されている。
【0011】
工作機械10は、電力供給回路101と、工作機械102と、アンプ103と、モータ104と、CNC(Computer Numerical Control、コンピュータ数値制御)装置105と、電圧変換器106とを備える。
【0012】
電力供給回路101は、電源ライン30から電力系統102に電力を供給するための回路である。
【0013】
電力系統102は、モータ104を駆動するための電力を、サーボアンプ等のアンプ103に供給する。通常、サーボアンプはモータ104をPWM(Pulse Width Modulation)制御するため、電力系統102からの電力は直流で各サーボアンプに供給される。
【0014】
アンプ103は、工作機械10のモータ104を駆動する。例えば、アンプ103はサーボアンプである。少なくとも1つ以上のアンプ103_1~103_n(nは自然数)が、工作機械10に備えられる。
【0015】
モータ104は、例えば、サーボモータである。少なくとも1つ以上のアンプ103_1~103_nのそれぞれに対応する少なくとも1つ以上のモータ104_1~104_n(nは自然数)が、工作機械10に備えられる。
【0016】
CNC装置105は、モータ104の駆動等、工作機械10全体の動作を制御するための装置である。例えば、図1に示されるように、アンプ103_1~103_nに制御信号を送信し、アンプ103_1~103_nのモータ104_1~104_nを駆動させる。
【0017】
電圧変換器106は、周辺機器20のインバータ201からの回生電力の電圧を、電力系統102の電圧に合わせるように構成されている。
【0018】
例えば、電圧変換器106は、インバータ201からの回生電力の電圧を測定し、測定された回生電力の電圧に基づいて変換倍率を設定する。電圧変換器106は、当該変換倍率に基づいて測定された回生電力の電圧が電力系統102の電圧に一致するように調節することによって、インバータ201からの回生電力の電圧を電力系統102の電圧に合わせる。
【0019】
具体的な例として、電力系統102の電圧が200Vであり、インバータ201からの回生電力の電圧が50Vであると仮定する。電圧変換器106は、測定された回生電力の電圧が電力系統102の電圧に一致するように、電力系統102の電圧と、測定された回生電力の電圧とに基づいて、変換倍率を算出する。より具体的には、電力系統102の電圧(200V)を、測定された回生電力の電圧(50V)で割り、変換倍率(4倍)を算出する。電圧変換器106は、設定された変換倍率(4倍)をインバータ201からの回生電力の電圧(50V)を乗じて、測定された回生電力の電圧を電力系統102の電圧(200V)に一致させる。
【0020】
周辺機器20は、クーラント装置や、チップコンベヤのような、工作機械10の加工を補助するための装置である。クーラント装置は、工作機械10の稼働に必要なクーラント液を供給する。周辺機器20はさらに、エアを供給するミストコレクタ、エアコンプレッサ等であってもよい。周辺機器20の種類は、これらに限定されない。
【0021】
インバータ201は、周辺機器20のポンプ等のモータ202を駆動する。インバータ201の制御によって周辺機器20の出力が調節される。インバータ201は、抵抗回生方式である。工作機械10に供給されないインバータ201の回生電力が存在する場合、当該回生電力はインバータ201の外付けの抵抗で消費されてもよい。
【0022】
モータ202は、例えば、クーラント液を工作機械10に供給するポンプのモータである。
【0023】
以上、説明した第1の実施形態に係る工作機械10によれば、以下の効果が奏される。
【0024】
工作機械10は、CNC装置105と、モータ104を駆動するアンプ103と、アンプ103を駆動するための電力をアンプ103に供給する電力系統102と、工作機械10の加工を補助する周辺機器20を駆動するインバータ201の回生電力の電圧を電力系統102の電圧に合わせる電圧変換器106とを備える。これによって、周辺機器からの回生エネルギーを工作機械で利用でき、工作システム全体として電力効率を上げることができる。さらに、現在使用されている抵抗回生方式の周辺機器の交換が必要となる場合であっても、電源回生方式の周辺機器へ交換することなく、依然として抵抗回生方式の周辺機器の使用を継続したまま、電力効率を上げ、省エネを実現させることができる。さらに、インバータを有する任意の周辺機器に適用可能であるため、加工内容の要求仕様の変更により周辺機器の交換が生じたとしても、様々な工作システムにおいて電力効率を上げ、省エネを実現させることができる。
【0025】
<第2の実施形態>
図2は、本開示の第2の実施形態に係る工作システム1を示す。主に第1の実施形態との差異点について説明する。
【0026】
工作システム1は、工作機械10と、第1の周辺機器20_1と、第2の周辺機器20_2とを備える。第1の周辺機器20_1及び第2の周辺機器20_2は、第1の実施形態の周辺機器20と同様な装置である。3つ以上の周辺機器20が、工作システム1に備えられてもよい。
【0027】
工作機械10は、セレクタ107をさらに備える。セレクタ107は、第1の周辺機器20_1のインバータ201_1と、第2の周辺機器20_2のインバータ201_2とに接続されている。セレクタ107は、電圧変換器106にさらに接続され、第1の周辺機器20_1及び第2の周辺機器20_2のうちいずれかの回生エネルギーを電圧変換器106に供給する。
【0028】
CNC装置105が周辺機器20の稼働をオンオフ制御している場合は、セレクタ107は、当該オンオフ制御に連動するCNC装置105からの指令に従って、複数の周辺機器のうちいずれかを選択し、選択されたインバータ201を電圧変換器106に接続する。選択されたインバータ201の周辺機器20の回生電力が、電圧変換器106に入力される。
【0029】
以上、説明した第2の実施形態に係る工作機械10によれば、以下の効果が奏される。
【0030】
工作機械10は、複数の周辺機器(20_1、20_2)のうちいずれの周辺機器20からの回生電力を電圧変換器106に入力するかをCNC装置105からの指令に従って選択するセレクタ107をさらに備える。これによって、複数の周辺機器からの回生エネルギーを工作機械で利用でき、工作システム全体として電力効率を上げることができる。
【0031】
<第3の実施形態>
図3は、本開示の第3の実施形態に係る工作システム1を示す。主に第1及び第2の実施形態との差異点について説明する。
【0032】
工作機械10は、周辺機器20_1に対応する電圧検出部108_1と、周辺機器20_2に対応する電圧検出部108_2とをさらに備える。
【0033】
電圧検出部108は、対応するインバータ201と、セレクタ107とに接続されている。電圧検出部108は、対応する周辺機器20からの回生エネルギーを検出する。電圧検出部108が回生電力を検出した場合、電圧検出部108はセレクタ107に当該検出を通知する。
【0034】
セレクタ107は、回生電力を検出した電圧検出部108に対応する周辺機器20を選択し、選択された周辺機器20のインバータ201を電圧変換器106に接続する。当該回生電力が、電圧変換器106に入力される。
【0035】
以上、説明した第3の実施形態に係る工作機械10によれば、以下の効果が奏される。
【0036】
工作機械10は、複数の周辺機器(20_1、20_2)のうちいずれの周辺機器20からの回生電力を電圧変換器106に入力するかを選択するセレクタ107と、複数の周辺機器(20_1、20_2)にそれぞれ対応付けられた複数の電圧検出部(108_1、108_2)と、をさらに備え、セレクタ107は、複数の電圧検出部(108_1、108_2)のうち電圧を検出した電圧検出部108に対応する周辺機器20からの回生電力を電圧変換器106に入力すると選択する。これによって、複数の周辺機器からの回生エネルギーを工作機械で利用でき、工作システム全体として電力効率を上げることができる。
【0037】
<第4の実施形態>
図4は、本開示の第4の実施形態に係る工作システム1を示す。主に第1~第3の実施形態との差異点について説明する。
【0038】
工作機械10は、電圧測定部109をさらに備える。電圧測定部109は、セレクタ107と、電圧変換器106とに接続されている。
【0039】
電圧測定部109は、複数の周辺機器20のうち、セレクタ107によって選択された周辺機器20からの回生電力の電圧を測定する装置である。
【0040】
電圧変換器106は、測定された回生電力の電圧に基づいて変換倍率を設定するようにさらに構成されている。電圧変換器106は、当該変換倍率に基づいて測定された回生電力の電圧が電力系統102の電圧に一致するように調節するようにさらに構成されている。
【0041】
例えば、電力系統102の電圧が200Vであり、インバータ201_1からの回生電力の電圧が50Vであり、インバータ201_2からの回生電力の電圧が100Vであると仮定する。例えば、セレクタ107によってインバータ201_1を有する周辺機器20_1が選択された場合、電圧変換器106は、測定された回生電力の電圧が電力系統102の電圧に一致するように、測定された回生電力の電圧に基づいて変換倍率を4倍に設定する。電圧変換器106は、設定された変換倍率(4倍)をインバータ201_1からの回生電力の電圧(50V)を乗じて、測定された回生電力の電圧を電力系統102の電圧(200V)に一致させる。
【0042】
なお、工作システム1の周辺機器20が1つである場合、工作機械10はセレクタ107を備えなくてもよい。この場合、インバータ201は、直接、電圧測定部109に接続される。さらに、電圧変換器106は、測定された回生電力の電圧に基づいて変換倍率を設定し、変換倍率に基づいて回生電力の電圧を電力系統の電圧に調節する。
【0043】
以上、説明した第4の実施形態に係る工作機械10によれば、以下の効果が奏される。
【0044】
工作機械10は、周辺機器20からの回生電力の電圧を測定する電圧測定部109をさらに備え、電圧変換器106は、測定された回生電力の電圧と、電力系統102の電圧とに基づいて変換倍率を設定し、変換倍率に基づいて回生電力の電圧を電力系統102の電圧に調節する。これによって、複数の周辺機器からの回生エネルギーを工作機械で利用でき、工作システム全体として電力効率を上げることができる。
【0045】
<第5の実施形態>
図5は、本開示の第5の実施形態に係る工作システム1を示す。主に第1~第4の実施形態との差異点について説明する。
【0046】
工作機械10は、第1の電圧変換器106_1と、第2の電圧変換器106_2と、第1のセレクタ107_1と、第2のセレクタ107_2とを備える。第1の電圧変換器106_1は、第1~第4の実施形態の電圧変換器106と同様の機能を有する。第1のセレクタ107_1は、第2~第4の実施形態のセレクタ107と同様の機能を有する。
【0047】
第2の電圧変換器106_2は、電力供給回路101と、第2のセレクタ107とに接続されている。第2の電圧変換器106_2は、工作機械10が発生させた回生電力を電力供給回路101から取得し、周辺機器20のインバータ201の電圧に変換し、周辺機器20に回生電力を分配するように構成されている。
【0048】
第2のセレクタ107_2は、複数のインバータ(201_1及び201_2)のうちいずれかのインバータ201を選択し、選択されたインバータ201と第2の電圧変換器106_2とを接続するように構成される。例えば、第2のセレクタ107_2は、CNC装置からの指令に従って、複数のインバータ(201_1及び201_2)のうちいずれかのインバータ201を選択する。第2の電圧変換器106_2からの回生電力が、第2のセレクタ107_2によって接続されたインバータ201に分配される。
【0049】
なお、工作システム1の周辺機器20が1つである場合、工作機械10は第1のセレクタ107_1及び第2のセレクタ107_2を備えなくてもよい。この場合、インバータ201は、直接、第1の電圧変換器106_1に接続される。さらに、インバータ201は、第2の電圧変換器106_2に接続される。この場合、第2の電圧変換器106_2は、工作機械10が発生させた回生電力を電力供給回路101から取得し、周辺機器20のインバータ201の電圧に変換し、周辺機器20に電力を分配するように構成される。
【0050】
以上、説明した第5の実施形態に係る工作機械10によれば、以下の効果が奏される。
【0051】
工作機械10は、工作機械10が発生させた回生電力を周辺機器20に分配するための第2の電圧変換器106_2と、第2のセレクタ107_2とをさらに備え、第2のセレクタ107_2は、CNC装置105からの指令に従って、工作機械10が発生させた回生電力の分配先の周辺機器20を選択する。これによって、複数の周辺機器からの回生エネルギーを工作機械で利用できるのと同時に、工作機械からの回生エネルギーを複数の周辺機器に利用でき、工作システム全体として電力効率を上げることができる。
【0052】
<第6の実施形態>
図6は、本開示の第6の実施形態に係る工作システム1を示す。主に第1~第5の実施形態との差異点について説明する。
【0053】
工作機械10は、電圧変換器106に接続された回生電力測定部110をさらに備える。回生電力測定部110は、電圧変換器106からインバータ201の回生電力を測定する。回生電力測定部110は、測定した回生電力の値を含む回生電力情報をCNC装置105に送信する。CNC装置105は、表示部111に当該回生電力情報を表示させる。
【0054】
以上、説明した第6の実施形態に係る工作機械10によれば、以下の効果が奏される。
【0055】
電源回生方式では、直接電源にエネルギーを返還するため、工作機械を制御するCNC装置上で回生エネルギーを測定することは困難であり、どのぐらい省エネが実施されているか効果が見えない。これに対して、第6の実施形態に係る工作機械10は、周辺機器20からの回生電力を測定する回生電力測定部110さらに備え、CNC装置の表示部111は、測定した回生電力の情報を表示する。これによって、回生電力の値を視覚的に把握でき、省エネの効果を見ることができる。さらに、回生電力の情報の表示により、ユーザは、電圧変換器106やインバータ201等に発生し得る異常を表示される回生電力の値等を介して認識することが可能となり、これらの異常発生に伴う危険を迅速に回避することができる。
【0056】
<その他の実施形態>
本開示について詳述したが、本開示は上述した個々の実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、又は、特許請求の範囲に記載された内容とその均等物から導き出される本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、置き換え、変更、部分的削除等が可能である。また、これらの実施形態は、組み合わせて実施することもできる。例えば、上述した実施形態において、各動作の順序や各処理の順序は、一例として示したものであり、これらに限定されるものではない。また、上述した実施形態の説明に数値又は数式が用いられている場合も同様である。
【0057】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0058】
(付記1)
コンピュータ数値制御(CNC)装置(105)と、
モータ(104)を駆動するアンプ(103)と、
前記モータ(104)を駆動するための電力を前記アンプ(103)に供給する電力系統(102)と、
工作機械(10)の加工を補助する周辺機器(20)を駆動するインバータ(201)の回生電力の電圧を前記電力系統(102)の電圧に合わせる電圧変換器(106)と
を備える、工作機械(10)。
【0059】
(付記2)
上記の工作機械(10)は、
複数の周辺機器(20)のうちいずれの周辺機器(20)からの回生電力を前記電圧変換器(106)に入力するかを前記CNC装置(105)からの指令に従って選択するセレクタ(107)をさらに備える。
【0060】
(付記3)
上記の工作機械(10)は、
複数の周辺機器(20)のうちいずれの周辺機器(20)からの回生電力を前記電圧変換器(106)に入力するかを選択するセレクタ(107)と、
前記複数の周辺機器(20)にそれぞれ対応付けられた複数の電圧検出部(108)と、をさらに備え、
前記セレクタ(107)は、前記複数の電圧検出部(108)のうち電圧を検出した電圧検出部(108)に対応する周辺機器(20)からの回生電力を前記電圧変換器(106)に入力すると選択する。
【0061】
(付記4)
上記の工作機械(10)は、
前記周辺機器(20)からの回生電力の電圧を測定する電圧測定部(109)をさらに備え、
前記電圧変換器(106)は、測定された前記回生電力の電圧と、前記電力系統(102)の電圧とに基づいて変換倍率を設定し、前記変換倍率に基づいて前記回生電力の電圧を前記電力系統(102)の電圧に調節する。
【0062】
(付記5)
上記の工作機械(10)は、
前記工作機械(10)が発生させた回生電力を前記周辺機器(20)に分配するための第2の電圧変換器(106)と、第2のセレクタ(107_2)とをさらに備え、
前記第2のセレクタ(107_2)は、前記CNC装置(105)からの指令に従って、前記工作機械(10)が発生させた回生電力の分配先の周辺機器(20)を選択する。
【0063】
(付記6)
上記の工作機械(10)は、
前記周辺機器(20)からの回生電力を測定する回生電力測定部(110)さらに備え、
前記CNC装置(105)の表示部(111)は、前記測定した回生電力の情報を表示する。
【0064】
(付記7)
コンピュータ数値制御(CNC)装置(105)と、
モータ(104)を駆動するアンプ(103)と、
前記モータ(104)を駆動するための電力を前記アンプ(103)に供給する電力系統(102)と、
工作機械(10)の加工を補助する周辺機器(20)と、
前記周辺機器(20)を駆動するインバータ(201)と、
前記インバータ(201)の回生電力の電圧を前記電力系統(102)の電圧に合わせる電圧変換器(106)と
を備える、工作システム(1)。
【符号の説明】
【0065】
1 工作システム
10 工作機械
101 電力供給回路
102 電力系統
103 アンプ
104 モータ
105 CNC装置
106 電圧変換器
107 セレクタ
108 電圧検出部
109 電圧測定部
110 回生電力測定部
111 表示部
20 周辺機器
201 インバータ
202 モータ
30 電源ライン
【要約】
抵抗回生方式を採用している周辺機器の回生エネルギーを工作機械で活用でき、システム全体における省電力化を実現する技術を提供する。工作機械(10)は、コンピュータ数値制御(CNC)装置(105)と、モータ(104)を駆動するアンプ(103)と、モータ(104)を駆動するための電力をアンプ(103)に供給する電力系統(102)と、工作機械(10)の加工を補助する周辺機器(20)を駆動するインバータ(201)の回生電力の電圧を電力系統(102)の電圧に合わせる電圧変換器(106)とを備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6