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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-13
(45)【発行日】2025-05-21
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20250514BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20250514BHJP
【FI】
B01D53/04 230
C01B32/50
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023137418
(22)【出願日】2023-08-25
(62)【分割の表示】P 2023505683の分割
【原出願日】2022-07-15
(65)【公開番号】P2024012202
(43)【公開日】2024-01-25
【審査請求日】2023-08-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】篠木 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】尾中 洋次
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠治
(72)【発明者】
【氏名】川本 誠
(72)【発明者】
【氏名】谷島 誠
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-169079(JP,A)
【文献】特開2020-044504(JP,A)
【文献】特開2020-069424(JP,A)
【文献】特表2019-504985(JP,A)
【文献】特開平06-099034(JP,A)
【文献】特開2016-040025(JP,A)
【文献】特開2005-112005(JP,A)
【文献】特開2016-155987(JP,A)
【文献】特開2011-190949(JP,A)
【文献】特開2015-075271(JP,A)
【文献】特表2022-502241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02-53/12
B01D 53/14-53/18
B01D 53/34-53/73,53/74-53/85,53/92,53/96
B01D 53/22,61/00-71/82
C01B 32/00-32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を導く供給経路と、
前記空気に含まれる二酸化炭素を吸着剤に吸着させる処理領域、および前記吸着剤から脱離した二酸化炭素を再生用流体とともに再生排出流体として排出することにより前記吸着剤を再生させる再生領域を有する二酸化炭素吸着部と、
前記処理領域によって二酸化炭素の濃度が低くなった前記空気を導く導出経路と、
前記再生排出流体から少なくとも一部の二酸化炭素を分離して前記再生用流体を得る二酸化炭素分離器と、
前記二酸化炭素分離器に接続され、分離された二酸化炭素を回収する回収経路と、
前記再生領域と前記二酸化炭素分離器とに接続され、前記再生排出流体を前記二酸化炭素分離器に導く循環経路と、
前記二酸化炭素分離器と前記再生領域とに接続され、前記再生用流体を前記再生領域に導く再生用経路と、
前記循環経路に設けられ、前記再生排出流体の二酸化炭素を選択的に透過する分離膜を有する膜分離器である第1二酸化炭素分離器と、
前記分離膜を透過していない非透過側流体を前記再生用経路に導く経路と、
を備え、
前記再生用流体は、前記二酸化炭素分離器で二酸化炭素濃度が低くされ、前記循環経路および前記再生用経路を循環させることで前記空気に含まれる二酸化炭素を回収
前記二酸化炭素分離器は、前記分離膜を透過した透過側流体の二酸化炭素を液化分離する液化分離器である第2二酸化炭素分離器である、
二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
前記二酸化炭素分離器に導かれる前記再生排出流体の圧力を高める圧縮機と、
前記圧縮機で圧力を高められ、前記二酸化炭素分離器に導かれる前記再生排出流体を冷却する冷却器と、
前記再生用流体を加熱する加熱器と、
をさらに備える、
請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
前記加熱器は、熱媒体流体との熱交換によって前記再生用流体を加熱し、
前記冷却器は、前記熱媒体流体との熱交換によって前記再生排出流体を冷却する、
請求項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
前記熱媒体流体の圧力を高める熱媒体圧縮機と、前記熱媒体流体の圧力を低くする膨張器と、をさらに備え、
前記熱媒体圧縮機と、前記加熱器と、前記膨張器と、前記冷却器とは、この順に前記熱媒体流体が循環するヒートポンプユニットを構成する、
請求項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
中間熱交換器をさらに備え、
前記加熱器は、第1熱媒体流体との熱交換によって前記再生用流体を加熱し、
前記中間熱交換器は、前記第1熱媒体流体との熱交換によって第2熱媒体流体を冷却し、
前記冷却器は、前記第2熱媒体流体との熱交換によって前記再生排出流体を冷却する、
請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項6】
前記熱媒体流体は、二酸化炭素である、
請求項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項7】
前記加熱器および前記冷却器は、少なくとも空気調和装置を構成する、
請求項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項8】
前記加熱器および前記冷却器は、少なくとも冷凍冷蔵庫装置を構成する、
請求項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項9】
前記導出経路に、前記導出経路を流れる前記空気の一部を排出する排気経路が接続されている、
請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項10】
前記再生用流体は、二酸化炭素が液化する圧力および温度の条件において気体として存在できる流体を含む、
請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項11】
前記循環経路において、前記再生領域から導出される前記再生排出流体の圧力は、前記二酸化炭素分離器に導入される前記再生排出流体の圧力より低く、
前記再生用経路において、前記二酸化炭素分離器から導出される前記再生用流体の圧力は、前記再生領域に導入される前記再生用流体の圧力より低い、
請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項12】
前記供給経路に、第2の空気を導入する導入経路が接続され、
前記導入経路に、前記第2の空気を清浄化する空気清浄機が設けられている、
請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項13】
空気を導く供給経路と、
前記空気に含まれる二酸化炭素を吸着剤に吸着させる第1処理領域、空間から排出された排出空気に含まれる二酸化炭素を吸着剤に吸着させる第2処理領域、および前記吸着剤から脱離した二酸化炭素を再生用流体とともに再生排出流体として排出することにより前記吸着剤を再生させる再生領域を有する二酸化炭素吸着部と、
前記第1処理領域によって二酸化炭素の濃度が低くなった前記空気を導く導出経路と、 前記再生排出流体から少なくとも一部の二酸化炭素を分離して前記再生用流体を得る二酸化炭素分離器と、
前記二酸化炭素分離器に接続され、分離された二酸化炭素を回収する回収経路と、
前記再生領域と前記二酸化炭素分離器とに接続され、前記再生排出流体を前記二酸化炭素分離器に導く循環経路と、
前記二酸化炭素分離器と前記再生領域とに接続され、前記再生用流体を前記再生領域に導く再生用経路と、
を備え、
前記再生用流体は、前記二酸化炭素分離器で二酸化炭素濃度が低くされ、前記循環経路および前記再生用経路を循環させて前記空気に含まれる二酸化炭素を回収する、
二酸化炭素回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、空気から二酸化炭素を回収するDAC(Direct Air Capture)技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-169079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記技術では、二酸化炭素の回収効率が低くなる可能性があった。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて、二酸化炭素の回収効率を高めることができる二酸化炭素回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る二酸化炭素回収システムの一つの態様は、空気を導く供給経路と、前記空気に含まれる二酸化炭素を吸着剤に吸着させる処理領域、および再生用流体を用いて前記吸着剤を再生させる再生領域を有する二酸化炭素吸着部と、前記処理領域によって二酸化炭素の濃度が低くなった前記空気を導く導出経路と、前記再生用流体を前記再生領域に導く再生用経路と、前記再生用流体によって前記吸着剤を再生させることにより排出された再生排出流体を導く循環経路と、前記再生排出流体から二酸化炭素の少なくとも一部を分離することによって前記再生用流体を得る二酸化炭素分離器と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、二酸化炭素の回収効率を高めることができる二酸化炭素回収システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図2】実施の形態2に係る二酸化炭素回収システムの一部の模式図である。
図3】実施の形態3に係る二酸化炭素回収システムの一部の模式図である。
図4】実施の形態4に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図5】実施の形態5に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図6】実施の形態6に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図7】実施の形態7に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図8】実施の形態8に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図9】実施の形態9に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図10】実施の形態10に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図11】実施の形態11に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図12】実施の形態12に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における二酸化炭素回収システムを示す模式図である。
図1に示すように、二酸化炭素回収システム1は、供給経路2と、二酸化炭素吸着部3と、導出経路4と、再生用経路5と、循環経路6と、二酸化炭素分離器7と、ヒートポンプユニット(熱交換ユニット)8と、導入経路9と、圧縮機10と、減圧器11とを備える。
【0011】
供給経路2は、二酸化炭素吸着部3の処理領域31に接続されている。供給経路2は、外気などの空気(被処理流体)を処理領域31に導く。供給経路2には、例えば、空気を処理領域31に送るためのブロワ21が設けられている。
【0012】
二酸化炭素吸着部3は、第1領域31Aと第2領域32Aとを備える。図1に示す例では、第1領域31Aは処理領域31である。第2領域32Aは再生領域32である。処理領域31は、例えば、吸着剤と、この吸着剤を収容する容器とを備える。再生領域32は、例えば、再生するべき吸着剤と、この吸着剤を収容する容器とを備える。
【0013】
吸着剤としては、アミン、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、珪藻土、アルミナなどが挙げられる。具体的には、空気に含まれる二酸化炭素を吸着剤に吸着させることによって、他の成分と分離することができる。吸着剤は、粒状、粉状などであってよい。粒状は、例えば、ビーズ状(球形)、ペレット状(円柱形)などである。粉状の吸着剤を用いる場合、吸着剤は基材の表面に担持させてもよい。基材は、ハニカム形状であってもよい。
【0014】
処理領域31では、空気に含まれる二酸化炭素の少なくとも一部が吸着により除去されるため、二酸化炭素の濃度が低くなった空気が得られる。
【0015】
再生領域32は、処理領域31で二酸化炭素を吸着した吸着剤を、再生用流体F1を用いて再生させる。再生領域32は、吸着剤から二酸化炭素を脱離させる機能を有する。再生領域32は、例えば、吸着剤を加熱する加熱装置を備える。加熱装置は、再生用流体F1の存在下で吸着剤を加熱することによって吸着剤から二酸化炭素を脱離させる。二酸化炭素が脱離することによって吸着剤は再生する。吸着剤から脱離した二酸化炭素を含む再生用流体F1は、「再生排出流体F2」として再生領域32から排出される。
【0016】
再生領域32は、減圧ポンプなどの減圧装置を備えていてもよい。減圧装置は、吸着剤を減圧下に置くことで、吸着剤からの二酸化炭素の脱離を促す。
【0017】
導出経路4は、処理領域31に接続されている。導出経路4は、処理領域31によって二酸化炭素の濃度が低くなった空気を居住空間(被供給空間)100に供給する。
【0018】
再生用経路5は、二酸化炭素吸着部3の再生領域32と、二酸化炭素分離器7とに接続されている。再生用経路5は、再生用流体F1を二酸化炭素分離器7から再生領域32に導く。再生用流体F1としては、例えば、窒素(N)、水素(H)、メタンなどが挙げられる。
【0019】
循環経路6は、二酸化炭素吸着部3の再生領域32と、二酸化炭素分離器7とに接続されている。循環経路6は、再生領域32から排出された再生排出流体F2を二酸化炭素分離器7に導く。
【0020】
二酸化炭素分離器7は、液化分離、膜分離、吸着分離などの分離手法を用いて、再生排出流体F2に含まれる二酸化炭素の少なくとも一部を分離する。二酸化炭素分離器7では、これらの分離手法のうち1つを採用してもよいし、2以上を組み合わせてもよい。
【0021】
液化分離を用いた二酸化炭素分離器7は、例えば、特定の成分を液化させて他の成分(気体)から分離する。具体的には、例えば、高圧かつ低温の条件で二酸化炭素を液化させて他の成分(気体)から分離する。
【0022】
膜分離を用いた二酸化炭素分離器7は、例えば、分子サイズが小さい成分が透過できる分離膜を用いて、特定の成分を他の成分から分離する。具体的には、例えば、二酸化炭素を選択的に透過させる分離膜を用いる。この分離膜は、二酸化炭素と他の成分(窒素、水素、メタンなど)とを含む混合流体から二酸化炭素を分離する。分離膜としては、有機系膜(デンドリマー膜など)、および無機系膜(ゼオライト膜、シリカ膜、炭素膜など)が挙げられる。
【0023】
吸着分離を用いた二酸化炭素分離器7は、例えば、特定の成分を吸着剤に吸着させて分離する。吸着剤としては、アミン、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、珪藻土、アルミナなどが挙げられる。具体的には、例えば、二酸化炭素を吸着剤に吸着させることによって、他の成分と分離することができる。
【0024】
二酸化炭素が分離されることによって二酸化炭素の濃度が低くなった再生排出流体F2は、「再生用流体F1」として、再生用経路5を通して二酸化炭素分離器7から導出される。
【0025】
ヒートポンプユニット8は、加熱器(第1熱交換器)81と、膨張器82と、冷却器(第2熱交換器)83と、圧縮機84と、循環経路85と、を備える。
加熱器81は、熱媒体流体F3との熱交換によって再生用流体F1を加熱する。
膨張器82は、熱媒体流体F3の圧力を低くする。
冷却器83は、熱媒体流体F3との熱交換によって再生排出流体F2を冷却する。
圧縮機84は、熱媒体流体F3の圧力を高める。
加熱器81、膨張器82、冷却器83および圧縮機84は、循環経路85に設けられている。
【0026】
循環経路85は、環状の経路である。循環経路85は、熱媒体流体F3を循環させる。熱媒体流体F3は、加熱器81、膨張器82、冷却器83、および圧縮機84をこの順に経由するように循環する。熱媒体流体F3としては、二酸化炭素、代替フロン、プロパン、ジメチルエーテルなどが挙げられる。
熱媒体流体F3として二酸化炭素を用いる場合は、加熱器81による適切な加熱温度(例えば、90℃~120℃)、および冷却器83による適切な冷却温度(例えば、-30℃~-20℃)を、既存のヒートポンプユニット8を応用することで実現できる。
【0027】
ヒートポンプユニット8は、例えば、空気調和装置を構成してもよい。空気調和装置は、熱媒体流体F3の吸熱または放熱を利用して、冷房と暖房のうち少なくとも一方を行う。加熱器81は、例えば、室内機と室外機のうち一方に設置される。冷却器83は、例えば、室内機と室外機のうち他方に設置される。
【0028】
ヒートポンプユニット8は、例えば、冷凍冷蔵庫装置を構成してもよい。冷凍冷蔵庫装置は、熱媒体流体F3の吸熱を利用し、冷却器83によって冷却を行う。
【0029】
導入経路9は、供給経路2に接続されている。導入経路9は、居住空間100から排出された室内空気を供給経路2に導入する。
圧縮機10は、循環経路6に設けられている。圧縮機10は再生排出流体F2の圧力を高める。
減圧器11は、再生用経路5に設けられている。減圧器11は再生用流体F1を減圧する。
圧縮機10の下流側には、圧縮機10による昇圧によって高温となった再生排出流体F2の温度を低下させるため、冷却器を設けてもよい。
【0030】
次に、二酸化炭素回収システム1を用いた二酸化炭素回収方法の例について説明する。
供給経路2によって、外気などの空気を二酸化炭素吸着部3の処理領域31に導く。処理領域31では、空気に含まれる二酸化炭素を吸着剤に吸着させることによって、二酸化炭素の少なくとも一部を除去する。二酸化炭素の濃度が低くなった空気は、導出経路4によって居住空間(被供給空間)100に供給される。
処理領域31において二酸化炭素の少なくとも一部を吸着により除去する工程を「吸着工程」という。
【0031】
処理領域31で二酸化炭素を吸着した吸着剤は、再生領域32で再生される。詳しくは、再生領域32では、再生用流体F1の存在下で吸着剤から二酸化炭素を脱離させる。二酸化炭素が脱離することによって吸着剤は再生する。吸着剤から脱離した二酸化炭素を含む再生用流体F1は、「再生排出流体F2」として再生領域32から排出される。
再生領域32において吸着剤を再生する工程を「再生工程」という。
【0032】
二酸化炭素吸着部3における処理領域と再生領域との切り替えについて説明する。
処理領域31で二酸化炭素を吸着した吸着剤を再生領域32で再生する際には、処理領域31と再生領域32との間で、吸着剤を入れ替えることができる。例えば、処理領域31の吸着剤を容器ごと再生領域32に移動させるとともに、再生領域32で再生した吸着剤を容器ごと処理領域31に移動させる。このようにして、処理領域と再生領域とを切り替えることができる。
【0033】
吸着剤の入れ替えは、処理領域31の吸着剤を容器から取り出して再生領域32に移動させるとともに、再生領域32で再生した吸着剤を容器から取り出して処理領域31に移動させる手法も可能である。
【0034】
処理領域と再生領域とは、経路の変更により切り替えることもできる。図1では、二酸化炭素吸着部3の第1領域31A(図1における左部分)は処理領域31である。供給経路2および導出経路4は第1領域31Aに接続されている。第2領域32A(図1における右部分)は再生領域32である。再生用経路5および循環経路6は第2領域32Aに接続されている。
【0035】
図示しない分岐経路に設けられたバルブの操作などにより、供給経路2および導出経路4を第2領域32Aに接続する。再生用経路5および循環経路6を第1領域31Aに接続する。この操作により、第1領域31Aは再生領域となる。第2領域32Aは処理領域となる。このようにして、処理領域と再生領域とを切り替えることができる。バルブの操作などにより、第1領域31Aを処理領域に戻すこともできる。第2領域32Aを再生領域に戻すこともできる。
【0036】
再生排出流体F2は、循環経路6を通して再生領域32から導出される。再生排出流体F2は、圧縮機10によって圧力が高められる。再生排出流体F2は、冷却器83において、熱媒体流体F3との熱交換によって冷却される。冷却器83は、例えば、二酸化炭素分離器7における再生排出流体F2の温度が、後述する二酸化炭素分離器7の仕様に応じた温度まで再生排出流体F2を冷却することができる。
再生排出流体F2は、二酸化炭素分離器7に導かれる。
【0037】
二酸化炭素分離器7は、液化分離、膜分離、吸着分離などの分離手法を用いて、再生排出流体F2に含まれる二酸化炭素の少なくとも一部を分離する。濃縮された二酸化炭素は、回収経路71を通して回収される。
【0038】
二酸化炭素が分離されることによって二酸化炭素の濃度が低くなった再生排出流体F2は、「再生用流体F1」として、再生用経路5を通して二酸化炭素分離器7から導出される。
【0039】
再生用流体F1は、加熱器81において、熱媒体流体F3との熱交換によって加熱される。加熱器81は、例えば、再生領域32における再生用流体F1の温度が90℃~120℃となるように再生用流体F1を加熱することができる。再生用流体F1は、減圧器11において、必要に応じて減圧される。再生用流体F1は、再生用経路5を通して再生領域32に導入される。
【0040】
ヒートポンプユニット8では、熱媒体流体F3は、循環経路85を循環する。熱媒体流体F3は、加熱器81において、再生用流体F1との熱交換によって冷却される。熱媒体流体F3は、膨張器82で減圧される。熱媒体流体F3は、冷却器83において、再生排出流体F2との熱交換によって加熱される。熱媒体流体F3は、圧縮機84によって圧力が高められた後、加熱器81に向かう。このように、熱媒体流体F3は、再生用流体F1の加熱および再生排出流体F2の冷却を行う。
【0041】
二酸化炭素回収システム1は、再生領域32からの再生排出流体F2を導く循環経路6と、再生排出流体F2から二酸化炭素濃度が低い再生用流体F1を生成させる二酸化炭素分離器7と、を備える。二酸化炭素回収システム1は、再生用流体F1を循環させるため、二酸化炭素分離器7における二酸化炭素の回収効率を高めることができる。
【0042】
二酸化炭素回収システム1は、再生用流体F1および再生排出流体F2を循環させて使用するため、再生用流体F1および再生排出流体F2が持つ熱エネルギーを有効に利用できる。よって、システム全体のエネルギー効率を向上させることができる。
二酸化炭素回収システム1は、二酸化炭素吸着部3によって空気から二酸化炭素を回収し、二酸化炭素を含む再生排出流体F2を二酸化炭素分離器7に導くため、二酸化炭素の回収効率を高めることができる。
【0043】
二酸化炭素回収システム1は、圧縮機10と、加熱器81と、冷却器83とを備えている。加熱器81は、再生用流体F1を加熱して再生領域32内の温度を適正にすることによって、吸着剤の再生を効率よく行うことができる。圧縮機10は、再生排出流体F2の圧力を高めることによって、二酸化炭素分離器7での二酸化炭素の分離を効率よく行うことができる。冷却器83は、再生排出流体F2を冷却して二酸化炭素分離器7内の温度を適正にすることによって、二酸化炭素の分離を効率よく行うことができる。
二酸化炭素回収システム1は、圧縮機10および冷却器83によって再生排出流体F2の体積を小さくできるため、装置の小型化を図ることができる。
【0044】
加熱器81は、熱媒体流体F3との熱交換によって再生用流体F1を加熱する。冷却器83は、熱媒体流体F3との熱交換によって再生排出流体F2を冷却する。二酸化炭素回収システム1は、共通の熱媒体流体F3を介して、再生用流体F1および再生排出流体F2との熱交換を行うため、エネルギー効率を高めることができる。
【0045】
液化分離を用いた二酸化炭素分離器7は、二酸化炭素の分離を効率よく行うことができる。液化分離を用いた二酸化炭素分離器7は、液化によって二酸化炭素の体積を小さくできるため、装置の小型化が可能である。
膜分離を用いた二酸化炭素分離器7は、二酸化炭素の分離を効率よく行うことができる。膜分離を用いた二酸化炭素分離器7は、他の分離手法を採用する場合に比べ、圧力、温度などの制約が少ない。そのため、加圧、冷却などのためのエネルギーを抑制できる。よって、低コストで二酸化炭素を回収することができる。
【0046】
熱媒体流体F3として二酸化炭素を用いる場合は、加熱器81による適切な加熱温度(例えば、90℃~120℃)、および冷却器83による適切な冷却温度(例えば、-30℃~-20℃)を、既存のヒートポンプユニット8を応用することで実現できる。そのため、低コストで二酸化炭素回収システム1を構築できる。
【0047】
加熱器81および冷却器83は、少なくとも空気調和装置を構成してもよい。その場合、空気調和装置の加熱器81および冷却器83を利用して二酸化炭素回収システム1を構築できるため、専用の加熱器および冷却器を用いる場合に比べ、低コスト化が可能である。
加熱器81および冷却器83は、少なくとも冷凍冷蔵庫装置を構成してもよい。その場合、冷凍冷蔵庫装置の加熱器81および冷却器83を利用して二酸化炭素回収システム1を構築できるため、専用の加熱器および冷却器を用いる場合に比べ、低コスト化が可能である。
加熱器81および冷却器83は、空気調和装置と冷凍冷蔵庫装置の両方を構成してもよい。
【0048】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。この実施の形態に係る二酸化炭素回収システムは、実施の形態1と共通の構成を有するため、主に、実施の形態1と異なる点を説明する。実施の形態1と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0049】
図2は、実施の形態2に係る二酸化炭素回収システムの一部の模式図である。
図2に示すように、二酸化炭素回収システム101は、ヒートポンプユニット8(図1参照)に代えてヒートポンプユニット108を備える。ヒートポンプユニット108は、圧縮機84(図1参照)に代えて複数の圧縮機184A,184Bを備える点で、ヒートポンプユニット8(図1参照)と異なる。圧縮機184A,184Bは、循環経路85に設けられている。圧縮機184Aは第1圧縮機184Aである。圧縮機184Bは第2圧縮機184Bである。第2圧縮機184Bは、第1圧縮機184Aに対して、熱媒体流体F3の流れ方向の下流側にある。第1圧縮機184Aと第2圧縮機184Bとは、循環経路85において直列に配置されている。
【0050】
二酸化炭素回収システム101は、ヒートポンプユニット108が複数の圧縮機184A,184Bを備えるため、熱媒体流体F3の圧力を高めることができる。そのため、ヒートポンプユニット108における加熱と冷却の動作範囲を拡大できる。よって、二酸化炭素回収システムとしての性能を高め、二酸化炭素の回収を効率よく行うことができる。
【0051】
なお、図2に示す二酸化炭素回収システム101では、ヒートポンプユニット108の圧縮機の数は2つであるが、圧縮機の数は2つに限定されない。圧縮機の数は複数(2以上の任意の数)であってよい。
【0052】
実施の形態3.
次に、実施の形態3に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。他の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
図3は、実施の形態3に係る二酸化炭素回収システムの一部の模式図である。
図3に示すように、二酸化炭素回収システム201は、ヒートポンプユニット8(図1参照)に代えてヒートポンプユニット208を備える。
ヒートポンプユニット208は、加熱器(第1熱交換器)281と、第1膨張器282と、中間熱交換器287と、第1圧縮機284と、第1循環経路285と、第2膨張器288と、冷却器(第2熱交換器)283と、第2圧縮機289と、第2循環経路290と、を備える。
【0054】
加熱器281は、第1熱媒体流体F3Aとの熱交換によって再生用流体F1を加熱する。
第1膨張器282は、第1熱媒体流体F3Aの圧力を低くする。
中間熱交換器287は、第1熱媒体流体F3Aとの熱交換によって第2熱媒体流体F3Bを冷却する。
第1圧縮機284は、第1熱媒体流体F3Aの圧力を高める。
加熱器281、第1膨張器282、中間熱交換器287および第1圧縮機284は、第1循環経路285に設けられている。
第1循環経路285は、環状の経路である。第1循環経路285は、第1熱媒体流体F3Aを、加熱器281、第1膨張器282、中間熱交換器287、および第1圧縮機284をこの順に経由するように循環させる。
【0055】
第2膨張器288は、第2熱媒体流体F3Bの圧力を低くする。
冷却器283は、第2熱媒体流体F3Bとの熱交換によって再生排出流体F2を冷却する。
第2圧縮機289は、第2熱媒体流体F3Bの圧力を高める。
中間熱交換器287、第2膨張器288、冷却器283および第2圧縮機289は、第2循環経路290に設けられている。
第2循環経路290は、環状の経路である。第2循環経路290は、第2熱媒体流体F3Bを、中間熱交換器287、第2膨張器288、冷却器283、および第2圧縮機289をこの順に経由するように循環させる。
【0056】
第1熱媒体流体F3Aと第2熱媒体流体F3Bとは、沸点などの物理的性質が異なる。第1熱媒体流体F3Aとしては、例えば、二酸化炭素などが挙げられる。第2熱媒体流体F3Bとしては、例えば、代替フロンなどが挙げられる。第2熱媒体流体F3Bは、例えば、第1熱媒体流体F3Aに比べて低温で運用される。
【0057】
ヒートポンプユニット208のうち、第1熱媒体流体F3Aが流れる部分(第1部分)は、例えば、給湯器用のヒートポンプを利用して構築することができる。第1部分は、例えば、加熱器281、第1膨張器282、第1圧縮機284および第1循環経路285を含む。
ヒートポンプユニット208のうち、第2熱媒体流体F3Bが流れる部分(第2部分)は、例えば、冷凍冷蔵用のヒートポンプを利用して構築することができる。第2部分は、例えば、第2膨張器288、冷却器283、第2圧縮機289および第2循環経路290を含む。
中間熱交換器287は、第1部分と第2部分のうち一方に含まれる。
【0058】
二酸化炭素回収システム201は、加熱器281と、中間熱交換器287と、冷却器283とを有するヒートポンプユニット208を備える。ヒートポンプユニット208では、第1熱媒体流体F3Aと第2熱媒体流体F3Bとを用いるため、加熱と冷却の動作範囲を拡大できる。よって、二酸化炭素回収システムとしての性能を高め、二酸化炭素の回収を効率よく行うことができる。
【0059】
実施の形態4.
次に、実施の形態4に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。他の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0060】
図4は、実施の形態4に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図4に示すように、二酸化炭素回収システム301は、導入経路9に空気清浄機312が設けられている点で、二酸化炭素回収システム1(図1参照)と異なる。
【0061】
空気清浄機312は、例えば、花粉、塵埃、ウイルス、カビ、細菌、ハウスダスト、煙、臭気物質、揮発性化学物質などの浮遊物質を捕集することによって、空気を清浄化する。空気清浄機312は、例えば、浮遊物質を捕集するフィルタを備える。空気清浄機312は、電極間に電界を形成させる電界生成装置を備えていてもよい。電界生成装置は、花粉、ウイルス、カビ、細菌などを死滅または不活性化することができる。
【0062】
二酸化炭素回収システム301は、空気清浄機312を備えるため、居住空間100から排出された室内空気を清浄化して供給経路2に導入することができる。よって、居住空間100に供給される空気の清浄度を高くすることができる。二酸化炭素回収システム301は、二酸化炭素吸着部3に供給される空気が清浄となるため、二酸化炭素吸着部3における二酸化炭素の回収効率を高めることができる。
【0063】
実施の形態5.
次に、実施の形態5に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。他の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0064】
図5は、実施の形態5に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図5に示すように、二酸化炭素回収システム401は、導出経路4に排気経路413が接続されている点で、二酸化炭素回収システム1(図1参照)と異なる。排気経路413は、導出経路4を流れる空気の一部を系外に排出することができる。排気経路413から排出されたガスは、例えば、大気中に放出される。
【0065】
二酸化炭素回収システム401は、導出経路4を流れる空気の一部を排気経路413から排出することにより、供給経路2から外気を取り入れることができる。空気の排出および取り入れによる換気を行うことによって、居住空間100内の空気の清浄度を高くすることができる。二酸化炭素回収システム401は、二酸化炭素を回収した後のガスを排気経路413から大気中に排出するため、二酸化炭素の排出量を低く抑えることができる。そのため、環境保全性の点で好適である。
【0066】
実施の形態6.
次に、実施の形態6に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。他の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0067】
図6は、実施の形態6に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図6に示すように、二酸化炭素回収システム501は、導入経路9に空気清浄機312が設けられている点、および、導出経路4に排気経路413が接続されている点で、二酸化炭素回収システム1(図1参照)と異なる。
【0068】
二酸化炭素回収システム501は、空気清浄機312を備えるため、清浄な空気を供給経路2に導入することができる。二酸化炭素回収システム501は、排気経路413を備えるため、換気を行うことができる。よって、居住空間100内の空気の清浄度を高くすることができる。二酸化炭素回収システム501は、二酸化炭素を回収した後のガスを排気経路413から大気中に排出するため、二酸化炭素の排出量を低く抑えることができる。そのため、環境保全性の点で好適である。
【0069】
実施の形態7.
次に、実施の形態7に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。他の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0070】
図7は、実施の形態7に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図7に示すように、二酸化炭素回収システム601は、二酸化炭素吸着部3(図1参照)に代えて二酸化炭素吸着部603を備える。二酸化炭素吸着部603は、第1処理領域31と、第2処理領域633と、再生領域32とを備える。
第1処理領域31は、処理領域31(図1参照)と同様の構成である。
第2処理領域633は、第1処理領域31と同様に、吸着剤を備える。第2処理領域633の吸着剤は、第1処理領域31の吸着剤と同じであってよい。
第1処理領域31および第2処理領域633の吸着剤は、再生工程によって再生することができる。
【0071】
第2処理領域633は、導入経路9に接続されている。導入経路9は、居住空間100から排出された空気を第2処理領域633に導く。第2処理領域633は、空気に含まれる二酸化炭素の少なくとも一部を吸着により除去する。二酸化炭素の濃度が低くなった空気は、排気経路634を通して第2処理領域633から系外に排出される。
【0072】
二酸化炭素回収システム601は、第2処理領域633を有するため、居住空間100から排出された空気に含まれる二酸化炭素を回収することができる。よって、二酸化炭素の回収効率を高めることができる。
二酸化炭素回収システム601では、居住空間100から排出された空気を再利用せず、排気経路634を通して系外に排出する。そのため、ウイルス等による感染症の空気感染および飛沫感染のリスクを低減できる。また、居住空間100内の空気の清浄度を高めることができる。二酸化炭素回収システム601は、二酸化炭素を回収した後のガスを排気経路413から大気中に排出するため、二酸化炭素の排出量を低く抑えることができる。そのため、環境保全性の点で好適である。
【0073】
実施の形態8.
次に、実施の形態8に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。他の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0074】
図8は、実施の形態8に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図8に示すように、二酸化炭素回収システム701は、熱交換器714が設けられている点で、二酸化炭素回収システム601(図7参照)と異なる。熱交換器714は、導出経路4と導入経路9とに跨って設けられている。熱交換器714は、導出経路4によって居住空間100に供給される空気と、導入経路9によって居住空間100から導出される空気とを熱交換および湿度交換させる。熱交換器714は、居住空間100に供給される空気を、居住空間100内の環境に応じた温度および湿度とすることができる。
【0075】
二酸化炭素回収システム701は、熱交換器714を備えるため、導出経路4を通して居住空間100に供給される空気を、排出空気との熱交換によって温度調整し、その温度および湿度を適正化することができる。よって、エネルギー効率を高めることができる。
【0076】
二酸化炭素分離器には、液化分離と膜分離の一方または両方を採用するのが好適である。以下、液化分離を採用した場合と、膜分離を採用した場合と、液化分離と膜分離の両方を採用した場合について、二酸化炭素回収システムの構成例を示す。
【0077】
実施の形態9.
実施の形態9に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。他の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0078】
図9は、実施の形態9に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図9に示すように、二酸化炭素回収システム801では、二酸化炭素分離器7は、液化分離によって二酸化炭素を分離する液化分離器である。二酸化炭素分離器7は液化分離器であるため、高圧かつ低温が求められる。再生排出流体F2は圧縮機10によって高圧とされる。再生排出流体F2は冷却器83によって低温とされる。二酸化炭素を液化する条件は、例えば、温度-20~-30℃、圧力2MPaである。
【0079】
二酸化炭素回収システム801は、冷却器815を備えている。冷却器815は、循環経路6において圧縮機10の下流側に設けられる。冷却器815は、例えば、圧縮機10と冷却器83との間に設けられる。冷却器815は、例えば、水冷式の冷却器である。冷却器815は、冷媒(水)との熱交換によって再生排出流体F2を冷却する。再生排出流体F2の温度は、圧縮機10による昇圧によって上昇するが、冷却器815は、再生排出流体F2の温度を低下させる。よって、冷却器83の負荷を軽減することができる。
【0080】
二酸化炭素分離器7は、冷却器83を経た再生排出流体F2に含まれる二酸化炭素の少なくとも一部を液化して分離する。濃縮された二酸化炭素は、回収経路71を通して回収される。
【0081】
二酸化炭素回収システム801は、液化分離を採用するため、二酸化炭素の分離を効率よく行うことができる。二酸化炭素回収システム801は、液化によって二酸化炭素の体積を小さくできるため、装置の小型化が可能である。
【0082】
なお、上述の冷却器815は、水冷式の冷却器として説明したが、冷却器の冷却方式はこれに限定されるものではなく、例えば、再生用流体F1を流通させることによる冷却を採用してもよい。これにより、再生用流体F1が加熱されることから、より熱効率が高いシステムが実現される。
【0083】
実施の形態10.
次に、実施の形態10に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。他の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0084】
図10は、実施の形態10に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図10に示すように、二酸化炭素回収システム901では、二酸化炭素分離器907は、膜分離によって二酸化炭素を分離する膜分離器である。二酸化炭素分離器907は、例えば、二酸化炭素を選択的に透過させる分離膜を備える。二酸化炭素分離器907は、再生排出流体F2に含まれる二酸化炭素の少なくとも一部を、膜分離により分離する。濃縮された二酸化炭素は、回収経路71を通して回収される。
【0085】
二酸化炭素回収システム901は、膜分離を採用するため、二酸化炭素の分離を効率よく行うことができる。二酸化炭素回収システム901は、他の分離手法を採用する場合に比べ、圧力、温度などの制約が少ない。加圧、冷却などのためのエネルギーを抑制できるため、低コストで二酸化炭素を回収することができる。
【0086】
実施の形態11.
次に、実施の形態11に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。他の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0087】
図11は、実施の形態11に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図11に示すように、二酸化炭素回収システム1001では、二酸化炭素分離器における二酸化炭素の分離手法として液化分離と膜分離の両方を採用する。
【0088】
二酸化炭素回収システム1001は、供給経路2と、二酸化炭素吸着部3と、導出経路4と、再生用経路5と、循環経路6と、ヒートポンプユニット8と、導入経路9と、第1圧縮機10と、第1冷却器1015と、第1二酸化炭素分離器1007と、返送経路1002と、第2圧縮機1010と、第2冷却器1016と、第2二酸化炭素分離器7と、減圧器11と、を備える。第1二酸化炭素分離器1007および第2二酸化炭素分離器7は、二酸化炭素分離器の例である。
【0089】
二酸化炭素回収システム1001は、第1冷却器1015と、第1二酸化炭素分離器1007と、返送経路1002と、第2圧縮機1010と、第2冷却器1016とを備える点で、二酸化炭素回収システム1(図1参照)と異なる。
第1冷却器1015および第2冷却器1016は、例えば、水冷式の冷却器である。第1冷却器1015および第2冷却器1016は、冷媒(水)との熱交換によって流体を冷却する。
第1二酸化炭素分離器1007は、膜分離器である。第1二酸化炭素分離器1007は、例えば、二酸化炭素を選択的に透過させる分離膜を有する。第2二酸化炭素分離器7は、液化分離器である。
【0090】
返送経路1002は、第1二酸化炭素分離器1007の非透過側の出口と、循環経路6(第1圧縮機10より上流側の位置)とを接続する。
【0091】
二酸化炭素回収システム1001では、再生排出流体F2は、第1圧縮機10によって圧力が高められた後、第1冷却器1015によって冷却されて第1二酸化炭素分離器1007に導かれる。再生排出流体F2に含まれる二酸化炭素は、第1二酸化炭素分離器1007によって濃縮される。二酸化炭素が濃縮された透過側流体F4は、第2圧縮機1010に向かう。
【0092】
第1二酸化炭素分離器1007の分離膜を透過していない非透過側流体F5は、返送経路1002によって、循環経路6(第1圧縮機10より上流側の位置)に戻される。これにより、第1二酸化炭素分離器1007における二酸化炭素の分離効率を高めることができる。
【0093】
透過側流体F4は、第2圧縮機1010によって圧力が高められた後、第2冷却器1016および冷却器83によって冷却されて第2二酸化炭素分離器7に導かれる。第2二酸化炭素分離器7は、透過側流体F4に含まれる二酸化炭素の少なくとも一部を液化して分離する。濃縮された二酸化炭素は、回収経路71を通して回収される。
【0094】
二酸化炭素回収システム1001は、液化分離と膜分離の両方を採用することによって、二酸化炭素の回収効率を高めることができる。
【0095】
ここで、第1冷却器1015および第2冷却器1016は、水冷式の冷却として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、再生用流体F1を流通させることによる冷却を採用してもよい。これにより、再生用流体F1が加熱されることから、より熱効率が高いシステムが実現される。
【0096】
実施の形態12.
次に、実施の形態12に係る二酸化炭素回収システムについて説明する。他の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0097】
図12は、実施の形態12に係る二酸化炭素回収システムの模式図である。
図12に示すように、二酸化炭素回収システム1101は、返送経路1002(図11参照)に代えて返送経路1102を有する点で、二酸化炭素回収システム1001(図11参照)と異なる。
返送経路1102は、第1二酸化炭素分離器1007の非透過側の出口と、再生用経路5(加熱器81より上流側の位置)とを接続する。第1二酸化炭素分離器1007から導出された非透過側流体F5は、返送経路1102によって再生用経路5に導かれる。非透過側流体F5は、再生用流体F1の一部として用いられる。
【0098】
二酸化炭素回収システム1101は、液化分離と膜分離の両方を採用することによって、二酸化炭素の回収効率を高めることができる。二酸化炭素回収システム1101は、液化分離に先だって膜分離を行うため、液化分離のための冷却に要するエネルギーを抑制することができる。よって、低コストで二酸化炭素を回収することができる。
二酸化炭素回収システム1101では、二酸化炭素の濃度が低くなった非透過側流体F5を再生用流体F1として利用するため、エネルギー効率を高めることができる。
【0099】
なお、本開示の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、循環経路6には、1または複数の濃縮器を設けてもよい。濃縮器は、例えば、液化分離、膜分離、吸着分離などの手法によって、再生排出流体F2の二酸化炭素の濃度を高める。そのため、二酸化炭素分離器7におけるエネルギー効率を高めることができる。濃縮器は、供給経路2に設けてもよい。また、減圧器11は加熱器81の下流側に設けたが、これに限定されるものではなく、システム機器仕様に応じて、加熱器81の上流側に設けてもよい。
【0100】
加熱器、冷却器、中間熱交換器などの熱交換器としては、公知の熱交換器を使用できる。熱交換器としては、例えば、多管式熱交換器、プレート式熱交換器、コイル式熱交換器、二重管式熱交換器、スパイラル式熱交換器等を使用できる。
被処理流体としては空気を例示したが、実施の形態の二酸化炭素回収システムは、空気以外の被処理流体(窒素ガス、水素ガス、酸素ガス、メタンなど)に適用することもできる。
【符号の説明】
【0101】
1,101,201,301,401,501,601,701,801,901,1001,1101…二酸化炭素回収システム 2…供給経路 3…二酸化炭素吸着部 4…導出経路 5…再生用経路 6…循環経路 7,907…二酸化炭素分離器 7…第2二酸化炭素分離器 9…導入経路 10…圧縮機 31…処理領域 32…再生領域 81,281…加熱器 83,283…冷却器 84…圧縮機 184A…第1圧縮機(圧縮機) 184B…第2圧縮機(圧縮機) 287…中間熱交換器 413…排気経路 1002…返送経路 1007…第1二酸化炭素分離器(二酸化炭素分離器) F1…再生用流体 F2…再生排出流体 F4…透過側流体 F5…非透過側流体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12