(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-13
(45)【発行日】2025-05-21
(54)【発明の名称】版を操作するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B41F 35/00 20060101AFI20250514BHJP
B41C 1/055 20060101ALI20250514BHJP
B41N 3/06 20060101ALI20250514BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20250514BHJP
【FI】
B41F35/00 D
B41C1/055
B41N3/06
B25J13/08 Z
(21)【出願番号】P 2023533936
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2020086857
(87)【国際公開番号】W WO2022128114
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】518216205
【氏名又は名称】エクシス プリプレス エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ワッティン, バート マルク ルック
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-297685(JP,A)
【文献】特開平03-195911(JP,A)
【文献】特開平11-254639(JP,A)
【文献】実開昭60-119039(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0062245(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 35/00
B41C 1/055
B41N 3/06
B25J 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する版(P)、特に印刷版または印刷版原版を、支持面の上で洗浄ステーションなどの処理ステーション(S2)の方向に移動させるためのシステムであって、
当該システムは、支持体(100)と、関節式の動作アーム(200)と、制御手段とを備え、
前記支持体(100)が、前記版を該支持体の支持面上で支持するように構成されており、前記処理ステーションの上流に配置されるように意図されており、
前記動作アーム(200)が、前記支持面に対して実質的に平行に延在しており、少なくとも第1のセグメント(210)および第2のセグメント(220)を備え、
前記第1のセグメント(210)が、
前記支持面に対して実質的に垂直な第1の回転軸線(A1)を中心として前記第2のセグメントに回転可能に連結される第1の端部(211)と、
前記動作アームの移動が前記支持面の上での前記版の摺動を引き起こすよう前記版に接触するように構成された版係合手段(250)が設けられた第2の端部(212)と
を有し、
前記第2のセグメント(220)が、前記支持面に対して実質的に垂直な第2の回転軸線(A2)を中心として回転可能であり、
前記制御手段は、前記版が前記支持体の上で前記処理ステーションの方向に摺動するよう、前記関節式の動作アームの前記第1のセグメントおよび前記第2のセグメントの回転を制御するように、かつ、前記版係合手段を制御するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記版係合手段が、吸着、接着もしくはまたは摩擦またはそれらの組み合わせによって、前記第1のセグメントを前記版に結合するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御手段が、前記版を前記処理ステーションに向かって引っ張るまたは押す間に実質的に90°にわたる回転が実行されるように前記関節式の動作アームを制御するように構成されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記版係合手段が、1つ以上の吸着カップ(251、252
)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記版係合手段が、1つまたは複数の接触ヘッ
ドを備え、前記接触ヘッドの各々が、前記版に押し付けられるように構成された接触面を有し、前記制御手段は、1つまたは複数の前記接触面と前記版との間の摩擦および/または接着が、前記動作アームによって前記支持面上での前記版の摺動を可能にするように、前記1つまたは複数の接触ヘッドを前記版に押し付けるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記支持体は、複数の穴が設けられたテーブルであり、当該システムは、前記版と前記テーブルとの間の摩擦を低減するために、前記テーブル上に支持された前記版の方向に前記穴を通してガスを吹き付けるように構成された吹き付け手段をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記支持体が、前記支持面から突出する、回転可能に取り付けられた複数のボールを備える受動ボール移送コンベヤを具備する、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のボールにおける互いに隣接するボール間の距離が5~50cmであり、および/または、前記複数のボールの直径が5~50mmであり、および/または、前記複数のボールが、10mm未
満の高さにわたって前記支持面から突出している、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記支持体が少なくとも第1のテーブル部分(110)および第2のテーブル部分(120)を備え、前記処理ステーションが第2の処理ステーションであり、第1の処理ステーションが前記第1のテーブル部分の縁に配置され、前記第2のテーブル部分が前記第2の処理ステーションに向かう機械搬送方向に見て前記第1のテーブル部分の下流に配置され、前記第1のテーブル部分が、オペレータが前記第1の処理ステーションにアクセスすることを可能にするために除去または折り畳むことができるように移動可能で
ある、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記支持体が、前記第2のテーブル部分の下流に配置される第3のテーブル部分(130)をさらに備え、前記第2の処理ステーションが前記第3のテーブル部分の縁に配置され、前記第3のテーブル部分が、オペレータが前記第2の処理ステーションにアクセスできるように除去または折り畳むことができるように、移動可能で
ある、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御手段が、前記第2のセグメントに対する前記第1のセグメントの回転を制御するための第1の作動手段(410)と、前記第2の回転軸線(A2)を中心とした前記第2のセグメントの回転を制御するための第2の作動手段(420)とを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記版係合手段が、前記支持面に垂直な第3の回転軸線(A3)を中心に回転可能であるように配置構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御手段が、前記版係合手段(250)を前記第3の回転軸線(A3)を中心として回転させるように構成された作動手段(430)を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも前記版係合手段は、該版係合手段が前記版と接触する接触位置と、該版係合手段が前記版の上方に離れた距離にある非接触位置との間で、前記支持面に垂直な方向に移動可能である、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御手段が、少なくとも前記版係合手段(250)を前記接触位置と前記非接触位置との間で移動させるように構成された作動手段(440)を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御手段は、以下の一連のステップが実行されるよう、すなわち、
前記版の第1の場所(
LC1)において前記版係合手段を前記版に結合するステップと、
第1の軌道(T1)に従って前記版を移動させるステップと、
前記版係合手段を前記版から分離するステップと、
前記第1の場所とは異なる前記版の第2の場所(
LC2)において前記版係合手段を前記版に結合するステップと、
第2の軌道(T2)に従って前記版を移動させるステップと
が実行されるよう、前記動作アームを制御するように構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
第1の軌道(T1)に従って前記版を移動させることは、実質的な直線移動である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
第2の軌道(T2)に従って前記版を移動させることは、実質的に90度にわたる前記版の回転を伴う、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の場所(LC1)が、前記版の前縁(LE)付近の場所で
ある、請求項16~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2の場所(LC2)が、前記版の中心線(L1)の一方の側に位
置する、請求項16~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御手段は、以下の一連のステップが実行されるよう、すなわち、
前記版係合手段を前記版に結合するステップと、
前記版の回転および/または並進を含む軌道に従って前記版を移動させるステップと、
前記版係合手段を前記版から分離するステップと
が実行されるよう、前記動作アームを制御するように構成されている、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記制御手段が、前記版のサイズに応じて前記動作アームを制御するように構成される、請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記制御手段は、前記版が所定のサイズよりも大きいかどうかを判定し、前記版が前記所定のサイズよりも大きいと判定された場合、請求項15~19のいずれか一項に記載の一連のステップを実行し、前記版が前記所定のサイズよりも大きくないと判定された場合、請求項20に記載の一連のステップを実行するように構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記版の位置を表す基準を検出するように構成された検出アセンブリをさらに備え、
前記制御手段が、前記検出アセンブリによって検出された前記基準に応じて、前記版係合手段を制御するように、および/または、前記第1のセグメントおよび/または前記第2のセグメントの回転を制御するように構成されている、請求項1~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記検出アセンブリは、前記版が前記処理ステーションの入口に正しく位置合わせされているかどうかを検出するように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記関節式の動作アームおよび前記制御手段が、6~30kgの範囲内の重量を有する版を移動させるように構成されている、請求項1~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
可撓性を有する版(P)、特に印刷版または印刷版原版を支持面の上で洗浄ステーションなどの処理ステーションの方向に移動させるための方法であって、
前記版を前記処理ステーションの上流に配置される支持面上で支持するステップと、
前記版を、関節式の動作アーム(200)を使用して前記支持面の上で摺動させるステップであって、前記関節式の動作アームが、前記支持面に対して略平行に延在し、かつ版係合手段(250)を有する第1のセグメント(210)と、前記支持面に対して略垂直な第1の回転軸線(A1)を中心として前記第1のセグメントに回転可能に連結された第2のセグメント(220)と、を少なくとも備え、前記第2のセグメントが、前記支持面に対して略垂直な第2の回転軸線(A2)を中心に回転可能で
ある、ステップと、
前記版が前記支持面の上を前記処理ステーションの方向に摺動するように、前記関節式の動作アームの前記第1のセグメントおよび前記第2のセグメントの回転を制御するステップと
を含む、方法。
【請求項28】
前記制御するステップが、以下の一連のステップ、すなわち、
前記版係合手段を前記版の第1の場所(
LC1)で前記版に結合するステップと、
第1の軌道(T1)に従って前記版を移動させるステップと、
前記版係合手段を前記版から分離するステップと、
前記版係合手段を前記第1の場所とは異なる前記版の第2の場所(
LC2)で前記版に結合するステップと、
第2の軌道
(T2)に従って前記版を移動させるステップと
が実行されるように行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の軌道(T1)に従って前記版を移動させることは、実質的な直線移動である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の軌道(T2)に従って前記版を移動させることは、実質的に90度にわたる前記版の回転を伴う、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の場所(LC1)が、前記版の前縁(LE)の近くの場所で
ある、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の場所(LC2)が、前記版の中心線(L1)の一方の側に位
置する、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記制御するステップは、以下の一連のステップが実行されるよう、すなわち、
前記版係合手段を前記版に結合するステップと、
前記版の回転および/または並進を含む軌道に従って前記版を移動させるステップと、
前記版係合手段を前記版から分離するステップと
が実行されるように行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記制御するステップは、前記版のサイズに応じて前記動作アームを制御することを含む、請求項27~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記版が所定のサイズよりも大きいかどうかが判定され、前記版が前記所定のサイズよりも大きいと判定された場合、請求項27~31のいずれか一項に記載の一連のステップが実行され、前記版が前記所定のサイズよりも大きくないと判定された場合、請求項32に記載の一連のステップが実行される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記版の位置を表す基準を検出するステップをさらに含み、
前記制御するステップが、前記検出された基準に応じて前記第1のセグメントおよび/または前記第2のセグメントの回転を制御することを含む、請求項27~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記検出するステップは、前記版が前記処理ステーションの入口において正しく位置合わせされているかどうかを検出することを含む、請求
項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、版(plate)、特に、印刷版または印刷版原版を操作するための装置および方法に関する。より具体的には、本発明は、版の前縁を位置合わせするための装置および方法、ならびに版、特に可撓性を有する版を移動させるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷版は、様々な処理ステーション間で搬送される必要がある。印刷版が施され得る処理の例には、切断、アブレーション、電磁放射線への曝露、現像、洗浄、ブラッシング、すすぎ、噴霧、乾燥、照射、加熱、冷却、材料の除去、ガスまたは液体による処理、サンディング、切断、電磁波による処理、およびそれらの組合せがある。
【0003】
フレキソ印刷に対して、版の自動化された移動は、洗浄ステーション内部での版の搬送および前後のプロセスステップに用いられてきた。例えば、版は、イメージングステーションから硬化ステーション、洗浄ステーションへ移動される。既知のシステムは、コンベヤベルトを使用する場合がある。さらに、搬送バーを使用して、例えば、洗浄ステーションを介して印刷版原版を移動させる場合がある。そのために、印刷版原版のある領域に、パンチングステーションにおいて一連の貫通孔が設けられ得る。搬送バーシステムを備える洗浄装置の一例は、出願人名義のPCT出願PCT/EP2019/060370号明細書に開示されている。しかしながら、コンベヤおよび搬送バーシステムの使用は、プロセスの全ての部分で使用することはできない。
【0004】
異なる処理ステーション間で印刷版を搬送するとき、印刷版は、位置合わせされ、かつ/または並進され、かつ/または回転させられなければならない場合がある。既存の自動化された版搬送システムは、全てのステップに適しているわけではない。特に、版を位置合わせかつ/または回転させる必要があるとき、多くの場合、人間のオペレータは版を操作および配置しなければならない場合がある。
【0005】
したがって、オペレータの作業を減らすために、版の搬送および位置合わせのための改良されたシステムが当該技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態の目的は、堅牢かつ単純であり、信頼できる結果をもたらす、版の縁、典型的には版の前縁を位置合わせするための装置および方法を提供することである。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、版、特に、印刷版または印刷版原版の縁を位置合わせするための装置が提供される。装置は、支持体、少なくとも2つの可動要素、検出手段、少なくとも1つの制御可能な構成要素、および制御手段を備える。支持体は、版を支持面において支持するように構成されており、かつ処理ステーション、例えば洗浄ステーションの上流に配置されるように意図されている。少なくとも2つの可動要素は、版の縁、典型的には前縁によって移動させられるように配置構成されている。少なくとも2つの可動要素は、第1および第2の可動要素を備える。検出手段は、第1および第2の可動要素の第1および第2の位置をそれぞれ表す第1および第2の基準(評価値)を検出するように構成されている。少なくとも1つの制御可能な構成要素は、版上で動作を実行するように構成されている。制御手段は、第1および第2の基準に基づいて少なくとも1つの制御可能な構成要素を制御するように構成されている。
【0008】
少なくとも2つの可動要素を検出手段と組み合わせて使用して、第1および第2の可動要素の第1および第2の位置を表す第1および第2の基準を検出することによって、版の縁が位置合わせされているかどうかを判定することができる。これは、任意の支持体に容易に追加することができ、かつ信頼できる結果をもたらす、堅牢かつ単純な手段である。このようにして、プロセスをより速くすることができ、オペレータによる作業の必要性がより少なくなる。さらに、例えば光学センサを使用して縁が直接検出される先行技術の解決策と比較して、本発明の実施形態は、検出手段が可動要素の位置を表す基準を検出するため、版上のイメージなどの環境条件の変化による影響を受けないように検出手段を配置することができるという利点を有する。
【0009】
好ましくは、少なくとも2つの可動要素は、少なくとも2つの可動要素の開始位置において前記支持面を通って突出するように配置されている。このような実施形態は、可動要素が他の構成要素の邪魔にならないこととなり、かつ検出を支持面の下方で行うことができるという利点を有する。しかしながら、他の実施形態では、可動要素は支持面の上方に設けられてもよく、そのとき版は可動要素の下方を通過してもよい。
【0010】
好ましくは、少なくとも1つの制御可能な構成要素は、支持面の上で版を移動させるように構成された移動手段を備える。このようにして、版の移動は、検出手段によって測定された第1および第2の基準に応じて制御手段によって制御され得る。例えば、移動手段は、位置合わせを改善するために支持面に垂直な軸線を中心として版を回転させるように構成され得、第1の基準と第2の基準との差が所定の閾値を下回ると、版が位置合わせされたと判定され得る。
【0011】
好ましい実施形態では、移動手段は、支持面に垂直な軸線を中心として版を回転させ、かつ支持面に対して平行に版を並進させるように構成されている。その場合、制御手段は、縁が少なくとも2つの可動要素と接触するまで版を最初に並進および/または回転させるように構成され得、その後、版は、第1の基準と第2の基準との差が所定の閾値を下回るまでさらに回転させられ得、その後、版は、少なくとも2つの可動要素の上方または下方でさらに並進され得る。
【0012】
好ましくは、少なくとも2つの可動要素は、版の縁によって枢動されるように配置された少なくとも2つの枢動可能ピンである。枢動可能要素は、支持面を通って突出するように支持体内、または支持体の上方のいずれかに装着することが容易であり、枢動可能要素が枢動する角度は、縁との接触点の場所の直接的かつ正確な基準である。
【0013】
より好ましくは、少なくとも2つの枢動可能ピンは、第1および第2の枢動可能ピンを備え、検出手段は、第1および第2の枢動可能ピンの第1および第2の角度を表す第1および第2の基準を検出するように構成されている。少なくとも2つの枢動可能ピンは、支持面の下方および上方に延在し得、例えば角度検出手段などの検出手段は、測定妨害要因の影響を受けない支持面の下方、または支持面から離れた支持体の上方のいずれかに、好ましくは版のイメージもしくは色などの特性の影響を受けないように設けられ得る。
【0014】
例示的な実施形態では、少なくとも2つのピンは、版の縁によって触れられていないときに上流方向に、好ましくは支持面に対して15~75度の角度で少なくとも2つのピン自身を向けるように配置および構成されている。このようにして、例えば、ピンは、ピンが上流方向(すなわち、接近している縁が来る方向)を指し示す第1の開始位置から、支持面に垂直な位置まで、ピンが下流方向に向けられ、かつ版がピンの上を移動することができる位置まで徐々に移動することができる。
【0015】
例示的な実施形態では、少なくとも2つの枢動可能ピンは、開始位置と終了位置との間で移動可能であり、少なくとも2つの枢動可能ピンに取り付けられた釣り合いおもりまたはばね手段などの付勢手段は、版の縁に対して上流方向に力を及ぼすように構成されており、任意選択で、ピストンなどのさらなる付勢手段が、少なくとも2つの枢動可能ピンを終了位置に押し進めるために設けられる。好ましくは、終了位置は、破損を避けるために、支持面の下方または支持面の十分上方の位置である。
【0016】
例示的な実施形態では、少なくとも2つの枢動可能ピンは、枢動軸線を中心に枢動可能に配置されており、枢動軸線は、支持面の下方または上方5cmを超える距離、好ましくは支持面の下方または上方10cmを超える距離に配置される。このようにして、縁は、枢動可能ピンとの接触を維持しながら、支持面の上で比較的大きな距離にわたって移動することができる。実際、枢動軸線と支持面との間の距離が大きいほど、縁が徐々に枢動するピンと接触しながら支持体に対して平行に移動することができる距離が大きくなる。これにより、版の位置合わせの精度がさらに向上することとなる。
【0017】
好ましい実施形態では、少なくとも2つの可動要素および支持体は、版が少なくとも2つの可動要素の上方または下方を通過するときに、少なくとも2つの可動要素が支持面の下方もしくは十分上方でまたは支持面と面一で移動させられ得るように構成されている。このような実施形態は、最初に機械搬送方向に移動している版を位置合わせし、次に少なくとも2つの可動要素の上で版を機械搬送方向にさらに移動させることが望ましい場合に、特に有効である。しかしながら、少なくとも1つの制御可能な構成要素が例えばパンチング手段を備える他の実施形態では、少なくとも2つの可動要素が支持面の下方または十分上方で移動させられることができなくてもよい。その場合、パンチングアクションは、第1の基準と第2の基準との間の差が所定の閾値を下回るときに行われ得、その後、版が、少なくとも2つの可動要素の上または下方を通過する必要なく除去され得る。
【0018】
例示的な実施形態によれば、支持体は、少なくとも2つのスリットが設けられた支持テーブルであり、少なくとも2つの可動要素が少なくとも2つのスリットを通って突出する。可動要素が枢動可能ピンである場合、スリットは、枢動可能ピンが、ピンが上流方向を指し示している休止位置から、ピンが下流方向を指し示す位置まで、かつ任意選択的に、ピンが支持面の下方に配置されるか、または支持面と面一にある終了位置まで移動することができるように寸法決めされ得る。
【0019】
例示的な実施形態によれば、各枢動可能ピンは、第1の細長い部分および第2の細長い部分を備え、第2の細長い部分は、第1の細長い部分に対して120~175度の角度にある。好ましくは、第2の細長い部分は、開始位置にあるときに支持面の上方に少なくとも部分的に延在し、同時に第1の細長い部分は、支持面の下方に延在する。
【0020】
好ましい実施形態によれば、検出手段は、支持面の下方に設けられている。このようにして、検出手段は、版上のイメージのような変化する環境によって妨害されない。例えば、可動要素が枢動可能ピンである場合、検出手段は、好ましくは枢動可能ピンの枢動軸線近くに配置された、各ピン用の角度センサを備え得る。別の実施形態によれば、検出手段は、好ましくは版の特性に影響されないように、支持面の上方に設けられている。
【0021】
例示的な実施形態によれば、支持体は、支持面が傾斜面であるように構成され得る。特に、可動要素の下流の処理ステーションが洗浄ステーションである場合、洗浄ステーションの方向にわずかに下方に傾斜した支持面を有することが有効であり得る。
【0022】
例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの制御可能な構成要素は、以下の、パンチング手段、版結合手段、版把持手段のうちの任意の1つ以上を備える。
【0023】
例示的な実施形態によれば、移動手段は、以下の、少なくとも1つのロボットアーム、ローラのセット、チェーンのセット、ベルトのセットのうちの任意の1つ以上を備え得る。
【0024】
好ましい実施形態によれば、少なくとも2つの可動要素は、版の前縁に係合するように意図されており、前縁が、版が装置を通って移動するように意図されている機械搬送方向に対して略垂直に向けられるように、版を位置合わせするために使用される。
【0025】
別の例示的な実施形態によれば、少なくとも2つの可動要素は、版を中心に置くために使用され得、側縁は、可動要素のうちの1つに接触する。このような実施形態の場合、移動手段は、好ましくは、機械搬送方向に垂直な方向に支持面に対して平行に版を並進させるように構成されており、制御手段は、側縁に接触するピンの基準が所定の範囲内になるまで移動手段を制御するように構成されている。
【0026】
例示的な実施形態によれば、移動手段は、版の縁が少なくとも2つの可動要素の方向に移動するように、版を並進および/または回転させるように構成された関節式動作アームを備える。任意選択的に、移動手段は、関節接合動作アームの端部に版係合手段をさらに備え、前記版係合手段は、動作アームの移動が支持面の上の版の摺動を引き起こすように版に接触するように構成されている。版係合手段は、吸着手段、クランプ手段、または単に版に押し付けられる接触面を有するヘッドであり得る。後者の場合、接触面と版との間の摩擦および/または接着は、版を支持面の上で摺動させることができるのに十分であり得る。
【0027】
好ましくは、制御手段は、第1の基準と第2の基準とを比較し、かつ第1の基準と第2の基準との差が所定の閾値未満の場合、版の縁が位置合わせされているまたは版が中心にあると判定するように構成されている。
【0028】
好ましくは、第1の可動要素と第2の可動要素との距離は、10cm~1000cm、好ましくは10~500cm、より好ましくは10~100cmの範囲内である。
【0029】
好ましい実施形態では、前縁を位置合わせするために2つの可動要素が使用されている。しかしながら、3つ以上の可動要素がまた使用されてもよい。
【0030】
さらに発展した実施形態では、2つの可動要素が、機械搬送方向に移動する版の前縁を位置合わせするために設けられ得、1つまたは2つのさらなる可動要素が、機械搬送方向に対して垂直な方向において版を中心に置くために設けられ得る。枢動可能ピンが使用される場合、前縁を整列させるためのピンは、機械搬送方向に対して平行かつ支持面に垂直な平面内で枢動し得、一方、版を中心に置くために使用されるさらなる1つ以上のピンは、機械搬送方向に対して垂直かつ支持面に対して垂直な平面内で枢動し得る。
【0031】
好ましくは、版は矩形の版である。
【0032】
検出手段は、光学検出手段、近接検出手段、圧力検出手段、電気検出手段、磁気検出手段、機械的検出手段、鉄/非鉄金属検出手段、またはそれらの組合せのうちのいずれか1つを備え得る。好適な検出手段の例には、角度センサ、近接スイッチ、フォトセンサ、機械的スイッチ、磁気スイッチ、カメラなどが含まれる。好ましい実施形態では、検出手段は、それぞれ第1および第2の可動要素で検出を実行するための第1および第2の検出器を備える。しかしながら、カメラなどの特定の検出手段は、第1および第2の可動要素の両方が見られ得る。
【0033】
少なくとも1つの制御可能な構成要素がパンチング手段を備える一実施形態では、パンチング手段は、1つ以上の貫通要素または穿孔要素を版の縁部を通してまたは縁部内に配置するように構成された駆動手段を備え得る。駆動手段は、例えば、1つ以上の貫通要素または穿孔要素を版の縁部を通してまたは縁部内に配置するために、駆動手段がレリーフ版原版の縁部に対して係合することができるように、移動可能に配置されたハンマーであり得る。
【0034】
別の態様によれば、版、特に、印刷版または印刷版原版の縁を検出または配置するための装置であって、前記装置が、版を支持面内で支持するように構成されており、かつ処理ステーションの上流に配置されるように意図されている、支持体と、版の縁によって移動させられるように配置された少なくとも1つの枢動可能ピンと、少なくとも1つの枢動可能ピンの位置を表す少なくとも1つの基準を検出するように構成された検出手段であって、好ましくは、検出手段が、支持面の下方に配置されており、少なくとも1つの制御可能な構成要素が、版上で動作を実行するように構成されている、検出手段と、少なくとも1つの基準に基づいて少なくとも1つの制御可能な構成要素を制御するように構成された制御手段と、を備える、装置が提供される。好ましくは、少なくとも1つの枢動可能ピンは、前記支持面を通って突出する。
【0035】
単一の枢動可能ピンを有する実施形態は、版の縁、特に、版が枢動可能ピンに対して、および任意選択的に枢動可能ピンの上または下を移動するときの版の縁の移動を検出するための単純かつ堅牢な機構を提供し得る。
【0036】
上述した枢動可能ピン、検出手段、制御可能な構成要素、支持体、および制御手段の特徴のうちのいずれか1つが、最後の態様の実施形態においても使用され得る。
【0037】
本発明の一態様によれば、上述の実施形態のうちのいずれか1つの装置と、支持体の下流にあり、かつ位置合わせされた版を受けるように構成された処理ステーションと、を備えるシステムが提供される。
【0038】
例示的な実施形態によれば、処理ステーションにおける処理は、洗浄、ブラッシング、すすぎ、噴霧、乾燥、照射、現像、加熱、冷却、材料の除去、ガスまたは液体による処理、サンディング、切断、電磁波による処理、アブレーション、測定、およびそれらの組合せを含む群から選択される。
【0039】
例示的な実施形態によれば、処理ステーションにおける処理は、レリーフ版原版の液化部分をもたらす熱処理であり、続いて液化部分を、ウェブ、不織布材料、または溶融材料が付着した箔などの移動アクセプタ材料と接触させ、アクセプタ材料で液化部分を連続的に除去する。
【0040】
さらなる態様によれば、縁、典型的には版の前縁を位置合わせするための方法であって、方法が、
・少なくとも1つの略直線状の縁、典型的には前縁を有する版を用意するステップと、
・版を移動手段に結合するステップと、
・版を、縁が少なくとも2つの可動要素に接触しているように支持面の上で移動させるステップと、
・少なくとも2つの可動要素の位置を検出するステップと、
・検出するステップの結果に基づいて、移動手段を制御することと、
を含む、方法が提供される。
【0041】
可動要素は、上述した特徴のうちの任意の1つ以上を有し得る。好ましくは、可動要素は枢動可能要素である。
【0042】
好ましくは、少なくとも2つの可動要素は、少なくとも2つの可動要素の開始位置において支持面を通って突出するように配置されており、移動ステップの間に、少なくとも2つの可動要素は、前記開始位置から終了位置に移動する。あるいは、少なくとも2つの可動要素は、支持面の上方に配置され得、開始位置から終了位置に移動するときに上方に移動し得る。
【0043】
任意選択的に、版は、前縁によって引き起こされる少なくとも2つの可動要素の移動が実質的に同じであることが検出されたときに移動手段から分離される。
【0044】
好ましくは、検出の結果に基づいて移動手段を制御するステップは、少なくとも2つの可動要素のうちの第1の可動要素と第2の可動要素との間の位置の差が所定の閾値未満になるまで、版を回転および/または並進させることを含む。
【0045】
好ましくは、版は、印刷版または印刷版原版である。しかしながら、この方法は、プリント回路基板、ボール紙、金属片または木材片などの他の版にも有用であり得る。
【0046】
好ましくは、移動させるステップは、その前縁が少なくとも2つの可動要素に接触するように版を移動させるステップを含み、方法は、少なくとも2つの可動要素のうちの第1の可動要素と第2の可動要素との間の位置の差が所定の閾値未満であることが検出されたときに、版を処理ユニットに供給するステップをさらに含む。
【0047】
好ましくは、少なくとも2つの可動要素は、版が処理ユニットに供給されるときに、版の上方に配置されるように支持面の下方または十分上方に移動させられる。
【0048】
可能な実施形態では、方法は、少なくとも2つの可動要素の下流に配置された処理ユニットの入口に対して版を中心に置くステップをさらに含む。任意選択的に、少なくとも2つの可動要素は、第1の対の可動要素および第3の可動要素を備え、移動させるステップは、第1の対の可動要素に対して前縁を移動させることと、第3の可動要素に対して版の側縁を移動させることと、をそれぞれ含む。このようにして、前縁の位置合わせおよび版を中心に置くステップの両方が達成され得る。
【0049】
本発明のさらなる実施形態の目的は、可撓性を有する版、特に、印刷版または印刷版原版を支持面の上で洗浄ステーションなどの処理ステーションの方向に移動させるためのシステムおよび方法、より具体的には、版が支持面の上で改善された方法によって摺動させられることを可能にするシステムおよび方法を提供することである。
【0050】
一態様によれば、可撓性を有する版、特に、印刷版または印刷版原版を支持面の上で処理ステーションの方向に移動させるためのシステムが提供される。システムは、支持体、関節式動作アーム、および制御手段を備える。支持体、典型的にはテーブルは、版を支持体の支持面上で支持するように構成されており、かつ処理ステーションの上流に配置されるように意図されている。関節式動作アームは、支持面に対して略平行に延在しかつ少なくとも第1のセグメントおよび第2のセグメントを備える。第1のセグメントは、支持面に対して略垂直な第1の回転軸線を中心として前記第2のセグメントに回転可能に連結された第1の端部と、動作アームの移動が支持面の上での版の摺動を引き起こすように版に接触するように構成された版係合手段が設けられた第2の端部と、を有する。第2のセグメントは、支持面に対して略垂直な第2の回転軸線を中心に回転可能である。制御手段は、版が処理ステーションの方向に支持面の上を摺動するように、版係合手段を制御し、かつ関節式動作アームの第1および第2のセグメントの回転を制御するように構成されている。
【0051】
このような関節式動作アームは、版が第1の可動回転軸線および第2の固定回転軸線を中心に回転させられることを可能にしながら、版を支持面の上で摺動させる、すなわち移動させる、または押すもしくは引っ張ることを可能にし、その結果、版の任意の所望の移動パターンが得られる。好ましくは、版は持ち上げられず、反対に、版係合手段は、版が支持面の上を摺動する間に版を支持面に押し付けることが好ましい。
【0052】
好ましくは、版係合手段は、吸着、接着、もしくは摩擦によって、またはそれらの組合せによって第1のセグメントを版に結合するように構成されている。好ましくは、版係合手段は、重力によって版上に載置される。
【0053】
例示的な実施形態では、版係合手段は、1つ以上の吸着カップ、好ましくは少なくとも2つの吸着カップを備える。好ましい実施形態では、各吸着カップは、版と接触するように意図された部分を有し、前記部分は、多孔質材料、好ましくは多孔質金属、セラミック、またはプラスチックで作製されている。好ましくは、版と接触するように意図された部分は、略平坦である。
【0054】
別の例示的な実施形態では、版係合手段は、1つ以上の接触ヘッド、好ましくは少なくとも2つの接触ヘッドを備え、各ヘッドは、版に押し付けられるように構成された接触面を有する。その場合、制御手段は、1つ以上の接触面と版との間の摩擦および/または接着が動作アームによる支持面の上の版の摺動を可能にするように、1つ以上の接触ヘッドを版に押し付けるように構成され得る。例えば、接触面は、版上に跡を生じさせることなく、圧力が加えられたときに版に「粘着する」材料で作製され得る。例えば、感圧接着剤が係合手段に取り付けられ得る。
【0055】
好ましくは、制御手段は、版を処理ステーションに向けて引っ張るまたは押す間に略90°にわたる回転が実行されるように関節式アームを制御するように構成されている。このようにして、版の向きは、版の最短方向が機械搬送方向に向けられる位置から、版の最長方向が機械搬送方向に向けられる位置に、またはその逆に変更され得る。特に大型の版の場合、これは、版が、例えば曝露ステーションから洗浄ステーションに搬送される場合に有用であり得る。
【0056】
例示的な実施形態では、支持体は、複数の穴が設けられたテーブルであり、システムは、テーブル上に支持された版の方向に、版とテーブルとの間の摩擦を低減するために前記穴を通してガスを吹き付けるように構成された、吹き付け手段をさらに備える。このようにして、支持面の上で版を摺動させるのに必要な力がより低減され得る。好ましくは、吹き付けは、支持面と版との間の接触面全体にわたって行われることとなる。
【0057】
例示的な実施形態によれば、支持体は、支持面から突出する複数の回転可能に取り付けられたボールを備える受動ボール移送コンベヤを備える。複数のボールは、規則的な格子に沿って、例えば、機械搬送方向に見て互いに等しい距離に配置され得る。好ましくは、複数のボールの隣接するボール間の距離は、5~50cmである。好ましくは、複数のボールの直径は、5~50mmである。好ましくは、複数のボールは、10mm未満、好ましくは5mm未満、例えば1~4mmの高さにわたって支持面から突出する。好ましくは、複数のボール間の支持面は、平坦面である。好ましくは、版係合手段は、重力によって版上に載置される。版係合手段の下方にボールが存在する場合、版係合手段は、ボールを乗り越えるときにわずかに上方に移動し得る。しかしながら、版は典型的には圧縮可能であるため、そのような上方への移動は通常無視できる。
【0058】
例示的な実施形態によれば、支持体は、少なくとも第1および第2のテーブル部分を備え、処理ステーションは、第2の処理ステーションであり、第1の処理ステーションは、第1のテーブル部分の縁に配置され、前記第2のテーブル部分は、第2の処理ステーションに向かう機械搬送方向に見て、前記第1のテーブル部分の下流に配置され、前記第1のテーブル部分は、オペレータが第1の処理ステーションにアクセスすることを可能にするために前記第1のテーブル部分が除去または折り畳まれ得るように、移動可能であり、好ましくはヒンジ式である。任意選択的に、支持体は、第2のテーブル部分の下流に配置される第3のテーブル部分をさらに備え、第2の処理ステーションは、第3のテーブル部分の縁に配置される。第3のテーブル部分は、オペレータが第2の処理ステーションにアクセスすることを可能にするために第3のテーブル部分が除去または折り畳まれ得るように、移動可能であり、好ましくはヒンジ式である。
【0059】
制御手段は、第2のセグメントに対する第1のセグメントの回転を制御するための第1の作動手段と、第2の回転軸線を中心とした第2のセグメントの回転を制御するための第2の作動手段と、を備え得る。
【0060】
好ましくは、版係合手段は、支持面に垂直な第3の回転軸線を中心に回転可能であるように配置されている。その場合、制御手段は、版係合手段を第3の回転軸線を中心に回転させるように構成された作動手段を備え得る。これにより、版係合手段を任意の所望の方向で版に結合することができることとなり、それによって、版を支持面の上で摺動させながら版上に及ぼされる力を改善し得る。例えば、版係合手段がブラケット上に配置された2つ以上の接触ヘッドまたは吸着カップを備える場合、これは、ブラケットが機械搬送方向に垂直になるような配置を可能にすることとなる。
【0061】
好ましくは、少なくとも版係合手段は、版係合手段が版と接触している接触位置と、版係合手段が版の上方の離れた距離にある非接触位置との間で、支持面に対して垂直な方向に移動可能である。例示的な実施形態では、版係合手段のみが移動可能であり、アームセグメントは移動可能ではない。別の実施形態では、動作アーム全体は、支持面に垂直な方向に移動可能であり得る。その場合、制御手段は、少なくとも版係合手段、および任意選択で動作アーム全体を接触位置と非接触位置との間で移動させるように構成された作動手段を備え得る。
【0062】
例示的な実施形態によれば、制御手段は、第1の動作モードにおいて、以下の一連のステップ、すなわち
・版係合手段を版の第1の場所で版に結合するステップと、
・第1の軌道に従って版を移動させるステップであって、第1の軌道が、例えば、実質的な直線移動であり得る、ステップと、
・版係合手段を版から分離するステップと、
・版係合手段を第1の場所とは異なる版の第2の場所で版に結合するステップと、
・第2の軌道に従って版を移動させるステップであって、任意選択的に、第2の軌道に従って版を移動させるステップが、略90度にわたる版の回転を伴う、ステップと、
が実行されるように、動作アームを制御するように構成されている。
【0063】
このような動作モードは、回転させる必要がある大型の版にとって好ましい場合がある。
【0064】
第1の場所は、版の前縁付近、好ましくは版の前縁の実質的に中央の場所であり得る。第2の場所は、版の中心線の一方の側、好ましくは第2の回転軸線に最も近い、4分の1、例えば先頭4分の1内に配置され得る。このような場所を選択することにより、例えば、第1の軌道が機械搬送方向の直線移動であり、かつ第2の軌道が回転である場合に、力が十分に分散されることとなる。
【0065】
例示的な実施形態によれば、制御手段は、別の動作モードにおいて、以下の一連のステップ、すなわち
・版係合手段を版に結合するステップと、
・版の回転および/または並進を伴う、好ましくは90°にわたるまたは180°にわたる回転を伴う軌道に従って版を移動させるステップと、
・版係合手段を版から分離するステップと、
が実行されるように、動作アームを制御するように構成されている。
【0066】
換言すれば、結合場所を変更することなく、版を連続的な移動で移動させることも可能である。特に、より小型の版の場合または直線移動の場合、このような動作モードが好ましい場合がある。
【0067】
好ましくは、制御手段は、版のサイズに応じて動作アームを制御するように構成されている。例えば、制御手段は、版が所定のサイズよりも大きいかどうかを判定し、版が所定のサイズよりも大きいと判定された場合、上述の第1の動作モードの一連のステップを実行し、版が所定のサイズ以下であると判定された場合、上述の他の動作モードの一連のステップを実行するように構成され得る。
【0068】
例示的な実施形態では、システムは、版の位置を表す基準を検出するように構成された検出アセンブリをさらに備え、制御手段は、検出アセンブリによって検出された基準に応じて版係合手段ならびに/または第1および/もしくは第2のセグメントの回転を制御するように構成されている。検出アセンブリは、版が処理ステーションの入口に正しく位置合わせされているかどうかを検出するように構成され得る。例えば、上述の可動要素を有する装置の一実施形態が、この目的のために使用され得る。
【0069】
好ましくは、関節式動作アームおよび制御手段は、6~30kgの重量を有する版、すなわち移動中に支持面上に載置されている比較的重い版を移動させるように構成されている。
【0070】
別の態様によれば、可撓性を有する版、特に、印刷版または印刷版原版を支持面の上で洗浄ステーションなどの処理ステーションの方向に移動させるための方法であって、方法が、
・版を、処理ステーションの上流に配置される支持面上で支持するステップと、
・版を、関節式動作アームを使用して支持面の上で摺動させるステップであって、関節式動作アームが、支持面に対して略平行に延在し、かつ版係合手段を有する第1のセグメントと、支持面に対して略垂直な第1の回転軸線を中心として前記第1のセグメントに回転可能に連結された第2のセグメントと、を少なくとも備え、前記第2のセグメントが、支持面に対して略垂直な第2の回転軸線を中心に回転可能であり、好ましくは、版係合手段が、摩擦、接着、および/または吸着によって版に係合する、ステップと、
・版が支持面の上を処理ステーションの方向に摺動するように、関節式動作アームの第1および第2のセグメントの回転を制御するステップと、
を含む、方法が提供される。
【0071】
例示的な実施形態では、制御するステップが、以下の一連のステップ、すなわち、版係合手段を版の第1の場所で版に結合するステップと、第1の軌道に従って版を移動させるステップと、版係合手段を版から分離するステップと、版係合手段を第1の場所とは異なる版の第2の場所で版に結合するステップと、第2の軌道に従って版を移動させるステップと、が実行されるように行われる。この一連のステップに関する好ましい特徴は、システムの実施形態について上記で説明されており、方法にも適用可能である。
【0072】
例示的な実施形態では、制御するステップが、以下の一連のステップ、すなわち、版係合手段を版に結合するステップと、版の回転および/または並進を伴う、軌道に従って版を移動させるステップと、版係合手段を版から分離するステップと、が実行されるように行われる。
【0073】
好ましくは、制御するステップは、版のサイズに応じて動作アームを制御することを含む。例えば、版が所定のサイズよりも大きい場合、第1の一連のステップが実行され得、版が所定のサイズ以下であると判定された場合、第2の一連のステップが実行され得る。
【0074】
任意選択的に、方法は、版の位置を表す基準を検出するステップをさらに含み、制御するステップは、検出された基準に応じて第1および/または第2のセグメントの回転を制御することを含む。検出するステップは、版が処理ステーションの入口に正しく位置合わせされているかどうかを検出することを含み得る。
【0075】
添付の図面は、本発明の装置、システム、および方法の現在好ましい非限定的で例示的な実施形態を示すために使用される。本発明の特徴および目的の上記および他の利点は、添付の図面と併せて読んだときに、より明らかになり、本発明は以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】印刷版を移動させるためのシステムの例示的な実施形態の概略斜視図である。
【
図2】動作アームが版を回転させるための位置にある、印刷版を移動させるための別のシステムの例示的な実施形態の概略斜視図である。
【
図3】大型の印刷版がたどる軌道を示す、
図2の例示的な実施形態の非常に概略的な上面図である。
【
図4】動作アームが小型の版に結合するための位置にある、
図2の例示的な実施形態の別の概略斜視図である。
【
図5】小型の印刷版がたどる軌道を示す、
図4の例示的な実施形態の非常に概略的な上面図である。
【
図6A】上方位置にある、版を係合する手段の斜視図である。
【
図6B】下方位置にある、版を係合する手段の斜視図である。
【
図7A】テーブルの例示的な実施形態の上面図である。
【
図8A】版の前縁を位置合わせするための装置の例示的な実施形態によって移動している版の斜視図である。
【
図8B】版の前縁を位置合わせするための装置の例示的な実施形態によって移動している版の斜視図である。
【
図8C】版の前縁を位置合わせするための装置の例示的な実施形態によって移動している版の斜視図である。
【
図9】版の前縁を位置合わせするための装置の例示的な実施形態の概略斜視図である。
【
図10】版を位置合わせおよび/または中央に置くための装置の別の実施形態の概略上面図である。
【
図11】版の前縁を位置合わせするための装置の別の例示的な実施形態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図1は、可撓性を有する版P、特に、印刷版または印刷版原版を支持面106の上で、第1の処理ステーションS1(概略的に矩形として示している)から、洗浄ステーションなどの第2の処理ステーションS2(概略的に矩形として示している)の方向に移動させるためのシステムを示している。システムは、支持体100、関節式動作アーム200、および制御手段410、420、430を備える。支持体100、典型的にはテーブルは、テーブル100の支持面106上で版Pを支持するように構成されている。テーブル100は、第2の処理ステーションS2の上流に配置される。関節式動作アーム200は、支持面106に対して略平行に延在し、少なくとも第1のセグメント210および第2のセグメント220を備える。第1のセグメント210は、支持面106に対して略垂直な第1の回転軸線A1を中心として前記第2のセグメント220に回転可能に連結された第1の端部211と、動作アーム200の移動が支持面106の上での版Pの摺動を引き起こすように版Pに接触するように構成された版係合手段250が設けられた第2の端部212と、を有する。第2のセグメント220は、支持面106に対して略垂直な第2の回転軸線A2を中心に回転可能である。制御手段410、420、430は、版が第2の処理ステーションS2の方向に支持面106の上を摺動するように、版係合手段を制御し、かつ関節式動作アーム200の第1および第2のセグメント210、220の回転を制御するように構成されている。アーム200を使用して、版Pを支持面106の上で摺動させる、すなわち移動させる、または押すもしくは引っ張ることができ、その間に、版Pは第1の可動回転軸線A1および第2の固定回転軸線A2を中心に回転させられ得、その結果、版の任意の所望の移動パターンが得られる。好ましくは、版係合手段250の重量は、版が支持面106の上を摺動している間に支持面106上にかかり、したがって版P上に下向きの力を及ぼす。
【0078】
好ましくは、版係合手段250は、吸着、接着、もしくは摩擦によって、またはそれらの組合せによって第1のセグメントを版に結合するように構成されている。好ましくは、版係合手段は、重力によって版上に載置される。
【0079】
図示の実施形態では、支持体は、第1のテーブル部分110、第2のテーブル部分120、および第3のテーブル部分130を備える。第1の処理ステーションS1は、第1のテーブル部分110の縁に配置される。第2のテーブル部分120は、第2の処理ステーションS2に向かう機械搬送方向に見て、前記第1のテーブル部分110の下流に配置される。第1のテーブル部分110は、オペレータが第1の処理ステーションS1にアクセスすることを可能にするために折り畳むことができるように、枢動軸線AT1を中心にヒンジ式とさされている。第3のテーブル部分130は、第2のテーブル部分120の下流に配置され、第2の処理ステーションS2は、第3のテーブル部分130の縁に配置される。第3のテーブル部分130は、オペレータが第2の処理ステーションS2にアクセスすることを可能にするために折り畳むことができるように、枢動軸線AT3を中心にヒンジ式とされている。
【0080】
制御手段は、第2のセグメント220に対する第1のセグメント210の回転を制御するための第1の作動手段410と、第2の回転軸線A2を中心とした第2のセグメント220の回転を制御するための第2の作動手段420と、を備える。版係合手段250は、支持面106に垂直な第3の回転軸線A3を中心に回転可能に配置されている。制御手段は、版係合手段250を第3の回転軸線A3を中心に回転させるように構成された作動手段430を備える。これにより、版係合手段250を任意の所望の方向で版Pに結合することができることとなり、それによって、版を支持面106の上で摺動させながら版上に及ぼされる力を改善し得る。
【0081】
版係合手段250またはアーム200全体のいずれかは、版係合手段250が版に接触する接触位置と、版係合手段250が版の上方にある距離にある非接触位置との間で、支持面106に対して垂直な方向に移動可能であり得る。その場合、制御手段は、少なくとも版係合手段250、および任意選択的に動作アーム200全体を接触位置と非接触位置との間で移動させるように構成された作動手段(図示せず)を備え得る。
【0082】
図2は、
図1の実施形態と同様の例示的な実施形態を示しており、同一または同様の部分は同じ参照番号で示されている。
図2は、制御手段が、版Pを第1の処理ステーションS1から第2の処理ステーションS2に引っ張りながらまたは押しながら、略90°を超える版Pの回転が実行されるように関節式アーム200を制御するように構成され得ることを示している。
図2には、版の向きが、ステーションS1から来るときに版の最短方向が機械搬送方向に向けられる位置から、S2に入るときに版の最長方向が機械搬送方向に向けられる位置に変更される、大型の版Pが示されている。例えば、第1のステーションS1は曝露ステーションであり得、第2のステーションS2は洗浄ステーションであり得る。
【0083】
図3は、
図2の実施形態の第1の動作モードの一例であって、以下の一連のステップ、すなわち
・版係合手段250を、版の第1の場所LC1で版Pに結合するステップと(
図3の左側の版の位置1を参照)、
・第1の軌道T1、ここでは実質的な直線移動に従って版Pを移動させるステップと、
・版係合手段250を版から分離するステップであって、これが、版の第2の位置2で行われるステップと、
・版が依然として第2の位置2にある間に、版係合手段250を第1の場所とは異なる版の第2の場所LC2で版に結合するステップと、
・版を、略90度にわたる版の回転を含む第2の軌道T2に従って移動させるステップと(
図3に示す位置3および4を参照)、
が実行される、一例を示している。
【0084】
このような動作モードは、回転させる必要がある大型の版Pに使用され得る。
【0085】
第1の場所LC1は、版Pの前縁LE付近、好ましくは版の前縁LEの実質的に中央の場所である。第2の場所LC2は、版の中心線L1、L2の一方の側、好ましくは第2の回転軸線A2(
図2を参照)に最も近い先頭4分の1Q内に配置される。
【0086】
図4は、動作アーム200の異なる位置における
図4の実施形態を示している。
図2は、制御手段が、小型の版Pに対して版係合手段250の吸着手段のうちの一方のみ(
図6Aおよび
図6Bの以下の説明も参照)が使用されるように関節式アーム200を制御するように構成され得ることを示している。
【0087】
図5は、
図2および
図4の実施形態の第2の動作モードの一例であって、以下の一連のステップ、すなわち
・版係合手段を版に結合するステップと(
図5の版位置1’を参照)、
・版の回転および並進を伴う軌道に従って版を移動させるステップと(
図5の版位置2’および3’を参照)、
・版係合手段を版から分離するステップと(
図5の版位置4’を参照)、
が実行される、一例を示している。
【0088】
換言すれば、ここでは、版Pは、結合場所を変更することなく連続的な移動をたどる。特に、より小型の版の場合、このような動作モードが好ましい可能性がある。
【0089】
好ましくは、制御手段は、版Pのサイズに応じて動作アーム200を制御するように構成されている。例えば、制御手段は、版が所定のサイズよりも大きいかどうかを判定し、版が所定のサイズよりも大きいと判定された場合、
図3の一連のステップを実行し、版が所定のサイズ以下であると判定された場合、
図5の一連のステップを実行するように構成され得る。
【0090】
図6Aおよび
図6Bは、好適な版係合手段250の例示的な実施形態を示している。版を係合する手段250は、ブラケット253を備え、2つの吸着カップ251、252がブラケット253上に配置されている。好ましい実施形態では、各吸着カップ251、252は、版と接触するように意図されており、かつ多孔質材料、例えば多孔質金属、セラミック、またはプラスチックで作製された、平坦な下側を有する部分を有する。しかしながら、概要に記載されているように、他の版係合手段250が使用されてもよい。例えば、吸着カップ251、252は、各々が版に押し付けられるように構成された接触面を有する2つの接触ヘッドに置き換えられ得る。その場合、制御手段は、ヘッドと版との間の摩擦および/または接着が動作アーム200による支持面106の上の版の摺動を可能にするように、1つ以上の接触ヘッドを版に押し付けるように構成され得る。
【0091】
図6Aおよび
図6Bにおいて、版係合手段250は、版係合手段250が版と接触している接触位置と、版係合手段250が版の上方にある距離にある非接触位置との間で、支持面106に対して垂直な方向に移動可能である。制御手段は、接触位置と非接触位置との間で版係合手段250を移動させるように構成された作動手段440を備える。
【0092】
図1~
図5の実施形態では、支持テーブル100に複数の穴(図示せず)が設けられ得、システムは、版Pとテーブル100との間の摩擦を低減するために、テーブル100上に支持された版Pの方向に前記穴を通してガスを吹き付けるように構成された吹き付け手段(図示せず)をさらに備え得る。このようにして、支持面106の上で版を摺動させるのに必要な力がより低減され得る。加えてまたは代替的に、
図7Aおよび
図7Bに示されるように、テーブル100は、支持面106から突出する複数の回転可能に装着されたボール105を備える受動ボール移送コンベヤを備え得る。複数のボール105は、規則的な格子に沿って、例えば、機械搬送方向に見て互いに等しい距離に配置され得る。好ましくは、複数のボールの隣接するボール105間の距離は、5~50cmである。好ましくは、複数のボール105の直径は、5~50mmである。好ましくは、複数のボール105は、10mm未満、好ましくは5mm未満、例えば1~4mmの高さにわたって支持面106から突出する。好ましくは、複数のボール105間の支持面106は、平坦面である。
【0093】
任意選択的に、
図1~
図6のシステムは、版の位置を表す基準を検出するように構成された検出アセンブリをさらに備え、制御手段は、検出アセンブリによって検出された基準に応じて版係合手段250ならびに/または第1および/もしくは第2のセグメント210、220の回転を制御するように構成されている。検出アセンブリは、版が第2の処理ステーションS2の入口に正しく位置合わせされているかどうかを検出するように構成され得る。可能な検出アセンブリの一実施形態を以下に説明する。
【0094】
好ましくは、関節式動作アーム200および制御手段410、420、430、440は、6~30kgの重量を有する版、すなわち移動中に支持面106上に載置されている比較的重い版を移動させるように構成されている。
【0095】
図8A~
図8Cおよび
図9は、版P、特に、印刷版または印刷版原版の縁を位置合わせするための装置の第1の例示的な実施形態を示している。
図8A~
図8Cは、連続する方法ステップを示しており、
図9は、装置の可動要素501、502をよりよく示すために部分的に切断された斜視図を示している。装置は、支持体100、ここではテーブル、2つの可動要素501、502、検出手段601、602、少なくとも1つの制御可能な構成要素200(例えば、
図1~
図6に示す動作アーム200)、および制御手段700を備える。支持体100は、支持面106において版を支持するように構成されており、処理ステーション、例えば、
図1および
図2に概略的に示す第2のステーションS2の上流に配置されるように意図されている。2つの可動要素501、502は、版Pの前縁LEによって移動させられるように配置されている。2つの可動要素は、第1および第2の可動要素501、502を備える。検出手段601、602は、第1および第2の可動要素の第1および第2の位置をそれぞれ表す第1および第2の基準を検出するように構成されている。少なくとも1つの制御可能な構成要素200、例えば、移動手段は、版上で動作を実行するように構成されている。制御手段700は、第1および第2の基準に基づいて少なくとも1つの制御可能な構成要素を制御するように構成されている。例えば、版Pの移動は、検出手段601、602によって測定された第1および第2の基準に応じて制御手段によって制御され得る。例えば、移動手段200は、位置合わせを改善するために支持面106に垂直な軸線を中心として版を回転させるように構成され得、第1の基準と第2の基準との差が所定の閾値を下回ると、版が位置合わせされたと判定され得る。
【0096】
移動手段200は、支持面106に垂直な軸線を中心として版を回転させ、かつ支持面106に対して平行に版を並進させるように構成され得る。その場合、制御手段は、縁が少なくとも2つの可動要素と接触するまで版を最初に並進および/または回転させるように構成され得、その後、版は、第1の基準と第2の基準との差が所定の閾値を下回るまでさらに回転させられ得、その後、版は、少なくとも2つの可動要素の上方または下方でさらに並進され得る。
【0097】
可動要素501、502は、可動要素501、502の開始位置Psにおいて支持面106を通って突出するように配置されている。このような実施形態は、可動要素が他の構成要素の邪魔にならないこととなり、かつ検出を支持面106の下方で行うことができるという利点を有する。
【0098】
図8A~
図8Cおよび
図9の実施形態では、可動要素501、502は、版の縁によって枢動させられるように配置された2つの枢動可能ピンである。枢動可能要素は、支持面106を通って突出するように支持体内、または支持体の上方のいずれかに装着することが容易であり、枢動可能要素が枢動する角度は、縁との接触点の場所の直接的かつ正確な基準である。検出手段601、602は、第1および第2の枢動可能ピン501、502の第1および第2の角度を表す第1および第2の基準を検出するように構成されている。枢動可能ピン501、502は、開始位置Psにおいて支持面106の下方および上方に部分的に延在し、例えば角度検出手段などの検出手段601、602は、測定妨害要因の影響を受けない支持面106の下方に設けられている。
【0099】
版の縁によって接触される前の開始位置Psでは、少なくとも2つのピン501、502は、上流方向Duに、好ましくは支持面106に対して15~75度の角度で向けられている(
図8Aおよび
図9を参照)。このようにして、例えば、ピンは、ピンが上流方向Duを指し示す開始位置Psから、支持面106に垂直な位置まで、ピンが下流方向Ddに向けられ、かつ版がピンの上を移動することができる終了位置Peまで徐々に移動することができる(
図8Cおよび
図9を参照)。
【0100】
付勢手段、ここでは各枢動可能ピン501、502に取り付けられた釣り合いおもり505は、版の縁に対して上流方向Duに力を及ぼすように構成されている。任意選択のさらなる付勢手段、ここではピストン520が設けられて、例えばピンが使用されていないときに、枢動可能ピン501、502を終了位置Peに押し進める。終了位置Peは、破損を避けるために、支持面106よりも下方の位置であることが好ましい。
【0101】
枢動可能ピン501、502は、枢動軸線Aを中心に枢動可能に配置されており、枢動軸線は、支持面106の下方または上方5cmを超える距離、好ましくは支持面106の下方または上方10cmを超える距離dに配置される。このようにして、版Pは、枢動可能ピン501、502との接触を維持しながら、支持面106の上で比較的大きな距離にわたって移動することができる。これにより、版の位置合わせの精度がさらに向上することとなる。
【0102】
支持体100は、2つのスリット101、102が設けられた支持テーブルであり、2つの枢動可能ピン501、502が2つのスリット101、102を通って突出する。スリット501、502は、枢動可能ピンが、ピンが上流方向Duを指し示している開始位置Psから、ピンが下流方向Ddを指し示す位置まで、かつ任意選択的に、ピンが支持面106の下方に配置されるか、または支持面106と面一にある終了位置Peまで移動することができるように寸法決めされた細長いスリットである。
【0103】
各枢動可能ピンは、第1の細長い部分510および第2の細長い部分511を備え、第2の細長い部分511は、第1の細長い部分510に対して120~175度の角度にある。第2の細長い部分511は、開始位置Psにあるときに支持面106の上方に少なくとも部分的に延在し、同時に第1の細長い部分510は、支持面106の下方に延在する。これにより、ピン501、502が支持体100内に見えなくなることを依然として許容しながら、スリットの長さを短くすることができる。
【0104】
任意選択的に、
図9に示すように、支持体100は、例えば可動要素501、502の下流の処理ステーションが洗浄ステーションである場合に、支持面106が傾斜面であるように構成され得る。
【0105】
任意選択的に、少なくとも1つの制御可能な構成要素は、以下の、移動手段、パンチング手段、版結合手段、版把持手段のうちの任意の1つ以上を備える。移動手段200は、前述のように動作アームであり得るが、以下の、少なくとも1つのロボットアーム、ローラのセット、チェーンのセット、ベルトのセットのうちの任意の1つ以上もまた備え得る。
【0106】
好ましくは、制御手段700は、第1の基準と第2の基準とを比較し、かつ第1の基準と第2の基準との差が所定の閾値未満の場合、版の縁が位置合わせされているまたは版が中心にあると判定するように構成されている。
【0107】
好ましくは、第1の可動要素501と第2の可動要素502との距離は、10cm~1000cm、好ましくは10~500cm、より好ましくは10~100cmの範囲内である。
【0108】
図10は、機械搬送方向に移動する版の前縁を位置合わせするための2つの可動要素501、502と、機械搬送方向に対して垂直な方向において版を中心に置くための1つまたは2つのさらなる可動要素503、504と、を有する例示的な実施形態を上面図で示している。可動要素503、504のうちの一方のみが使用可能であることに留意されたい。ここで、可動要素501、502は、機械搬送方向に対して平行かつ支持面106に垂直な平面内で枢動する枢動可能ピンであり、一方、版を中心に置くために使用されるさらなる1つ以上のピン503、504は、機械搬送方向に対して垂直かつ支持面106に対して垂直な平面内で枢動し得る。より一般的には、枢動可能ピン501は、実行したい検出に応じて任意の好適な方向に向けられ得る。
【0109】
図11は、版P、特に、印刷版または印刷版原版を検出または配置するための装置の別の例示的な実施形態を示している。装置は、支持体100、ここではテーブル、枢動可能ピン501、例えば角度検出器などの検出手段601、制御可能な構成要素200、および制御手段700を備える。支持体100は、版を支持面上に支持するように構成されている。枢動可能ピン501は、版Pの縁によって移動させられるように配置されている。検出手段601は、枢動可能ピン501の位置を表す基準を検出するように構成されている。例えば移動手段などの制御可能な構成要素200は、版上で動作を実行するように構成されている。制御手段700は、基準に基づいて制御可能な構成要素を制御するように構成されている。例えば、移動手段200は、版を支持面内で並進させるように、かつ/または版を、基準に応じて支持面106に垂直な軸線を中心として回転させるように構成され得る。この例では、ピン501は、ピン501の枢動軸線が支持面の上方に配置されており、また、検出は支持面の上方で行われる。しかしながら、表面の下方に検出手段601を設けることも可能である。
図8A~
図8Cの実施形態のように、版Pの縁がピン501に接触したとき、ピン501は開始位置Psから終了位置Peに移動することとなる。ここでは、終了位置Peは、版Pが下方を通過するのに十分高い、支持体100の上方の位置である。任意選択的に、ピン501を開始位置Psまたは終了位置Peに付勢する付勢手段(図示せず)が設けられ得る。
【0110】
好適な検出手段601、602の例には、角度センサ、近接スイッチ、フォトセンサ、機械的スイッチ、磁気スイッチ、カメラなどが含まれる。好ましい実施形態では、検出手段は、それぞれ第1および第2の可動要素で検出を実行するための第1および第2の検出器601、602を備える。しかしながら、カメラなどの特定の検出手段は、第1および第2の可動要素の両方が見られ得る。
【0111】
図8~
図11の装置は、支持体の下流に処理ステーションをさらに備え、かつ位置合わせされた版を受容するように構成された、システム内で使用され得る。処理ステーションにおける処理は、洗浄、ブラッシング、すすぎ、噴霧、乾燥、照射、現像、加熱、冷却、材料の除去、ガスまたは液体による処理、サンディング、切断、電磁波による処理、アブレーション、測定、およびそれらの組合せを含む群から選択され得る。
【0112】
レリーフ版原版は、一般に、第1の材料で作製された支持層と、前記第1の材料とは異なる第2の材料で作製された追加の層と、を含む。支持層は、可撓性金属、天然もしくは人工ポリマー、紙、またはそれらの組合せであり得る。好ましくは、支持層は、可撓性金属またはポリマーフィルムもしくはシートである。可撓性金属の場合、支持層は、薄膜、ふるい状構造体、メッシュ状構造体、織布もしくは不織布構造体、またはそれらの組合せを備え得る。鋼、銅、ニッケル、またはアルミニウムシートが好ましく、約50~1000μmの厚さであり得る。ポリマーフィルムの場合、フィルムは寸法的に安定しているが屈曲可能であり、例えば、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドおよびポリカーボネート、織布、不織布、もしくは層状繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維)で強化されたポリマー、またはそれらの組合せから作製され得る。好ましくは、ポリエチレンおよびポリエステル箔が使用され、ポリエチレンおよびポリエステル箔の厚さは、約100~300μmの範囲、好ましくは100~200μmの範囲であり得る。レリーフ版原版は、追加の層を支持し得る。例えば、追加の層は、以下の、直接彫り可能な層(例えば、レーザによる)、溶剤または水現像可能な層、熱現像可能な層、感光層、感光層とマスク層との組合せのうちのいずれか1つであり得る。任意選択で、追加の層の最上部上に1つ以上の追加の層が設けられてもよい。そのような1つ以上のさらなる追加の層には、イメージ形成可能層がイメージ形成される前に除去される全ての他の層の最上部のカバー層が含まれ得る。1つ以上の追加の層には、レリーフ層と、支持層とレリーフ層との間、またはレリーフ層の反対側の支持層の側にあるハレーション防止層と、が含まれ得る。1つ以上の追加の層には、レリーフ層と、イメージ形成可能層と、レリーフ層とイメージ形成可能層との間の酸素の拡散を防止する1つ以上のバリア層と、が含まれ得る。上述の異なる層の間には、異なる層の適切な接着を確実にする1つ以上の接着層が配置され得る。
【0113】
本発明の原理は特定の実施形態に関連して上述されているが、この説明は単なる例としてなされたものであり、添付の特許請求の範囲によって決定される保護範囲の限定としてではないことを理解されたい。