(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-13
(45)【発行日】2025-05-21
(54)【発明の名称】電子部品及び電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20250514BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 201A
H01G4/30 311
H01G4/30 513
H01G4/30 517
(21)【出願番号】P 2025506177
(86)(22)【出願日】2024-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2024045748
【審査請求日】2025-02-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 竜也
(72)【発明者】
【氏名】紀 宏俊
(72)【発明者】
【氏名】直川 悟
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2024/210103(WO,A1)
【文献】特開2017-216360(JP,A)
【文献】特開2018-198326(JP,A)
【文献】特開2006-060148(JP,A)
【文献】特開2014-199895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能部と、
前記機能部に対して第1方向の第1側に重なっている第1カバーと、
前記機能部に対して前記第1側とは反対側の第2側に重なっている第2カバーと、
を有しており、
前記第1カバーは、
1層以上の第1セラミック層と、
前記1層以上の第1セラミック層と交互に重なっている1層以上の第1導体層と、を有しており、
前記第2カバーは、
1層以上の第2セラミック層と、
前記1層以上の第2セラミック層と交互に重なっている1層以上の第2導体層と、を有しており、
前記1層以上の第1導体層は、
前記第1方向に交差する第2方向における前記第1カバーの中央に対して前記第2方向の第3側に位置する1層以上の第1電極と、
前記第1カバーの前記中央に対して前記第3側とは反対側の第4側に位置し、前記第2方向において前記1層以上の第1電極と離れている1層以上の第2電極と、を有しており、
前記1層以上の第2導体層は、
前記第2方向における前記第2カバーの中央に対して前記第3側に位置する1層以上の第3電極と、
前記第2カバーの前記中央に対して前記第4側に位置し、前記1層以上の第3電極から前記第4側に離れている1層以上の第4電極と、を有しており、
前記1層以上の第1電極の合計体積が前記1層以上の第3電極の合計体積よりも大きく、
前記1層以上の第2電極の合計体積が前記1層以上の第4電極の合計体積よりも大きい
電子部品。
【請求項2】
前記第1カバー及び前記第2カバーは、互いに対応する層の厚さ、互いに対応する層の材料、及び、導体層の層数の少なくとも1つが互いに異なる
請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第1カバーは、前記第2カバーよりも厚く、
前記1層以上の第1導体層の合計厚さが、前記1層以上の第2導体層の合計厚さよりも厚い
請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記1層以上の第1導体層のうち、最も前記第1側に位置している第1導体層の厚さが、前記1層以上の第2導体層のうち、最も前記第2側に位置している第2導体層の厚さよりも厚い
請求項1に記載の電子部品。
【請求項5】
前記機能部の前記第1方向における厚さが、前
記第2方向の長さ、及び、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の長さのそれぞれよりも小さい
請求項1に記載の電子部品。
【請求項6】
前記第1カバーを覆っている第1外部電極と、
前記第2カバーを覆っている第2外部電極と、
を更に有しており、
前記1層以上の第1導体層それぞれは、前記第1カバーの外側に露出して前記第1外部電極と接合されている部分を有しており、
前記1層以上の第2導体層それぞれは、前記第2カバーの外側に露出して前記第2外部電極と接合されている部分を有している
請求項1に記載の電子部品。
【請求項7】
前記第1カバーを覆っている第1外部電極と、
前記第2カバーを覆っている第2外部電極と、
を更に有しており、
前記第1外部電極は、前記1層以上の第1セラミック層に直接に接している部分を有しているとともに共材を含んでおらず、
前記第2外部電極は、前記1層以上の第2セラミック層に直接に接している部分を有しているとともに共材を含んでいない
請求項1に記載の電子部品。
【請求項8】
前記1層以上の第1導体層の主成分を構成する金属粒子の平均粒子径、及び、前記1層以上の第2導体層の主成分を構成する金属粒子の平均粒子径それぞれは、前記1層以上の第1セラミック層の主成分を構成するセラミック粒子の平均粒子径、及び、前記1層以上の第2セラミック層の主成分を構成するセラミック粒子の平均粒子径のいずれよりも大きい
請求項1に記載の電子部品。
【請求項9】
前記1層以上の第1導体層のうち、最も前記第1側に位置して前記第1カバーから前記第1側に露出している第1導体層の厚さが、前記1層以上の第2導体層のうち、最も前記第2側に位置して前記第2カバーから前記第2側に露出している第2導体層の厚さの1.2倍以上2.5倍以下である
請求項1に記載の電子部品。
【請求項10】
前記1層以上の第1導体層のうち、最も前記第1側に位置して前記第1カバーから前記第1側に露出している第1導体層は、前記1層以上の第1セラミック層のうち、最も前記第1側に位置している第1セラミック層に対して前記第1側から埋め込まれており、
前記1層以上の第2導体層のうち、最も前記第2側に位置して前記第2カバーから前記第2側に露出している第2導体層は、前記1層以上の第2セラミック層のうち、最も前記第2側に位置している第2セラミック層に対して前記第2側から埋め込まれている
請求項1に記載の電子部品。
【請求項11】
前記機能部は、前記第1方向に交互に積層された複数の内部電極及び複数の誘電体層を有しており、
前記第1方向に透視して、前記1層以上の第1導体層及び前記1層以上の第2導体層は、前記複数の内部電極が互いに重なっている領域に重なっている部分を有している
請求項1に記載の電子部品。
【請求項12】
前記1層以上の第1電極の合計厚さが、前記1層以上の第3電極の合計厚さよりも厚く、
前記1層以上の第2電極の合計厚さが、前記1層以上の第4電極の合計厚さよりも厚い
請求項1に記載の電子部品。
【請求項13】
前記1層以上の第1導体層の少なくとも1つは、前記第1電極の前記第2方向の長さが、前記1層以上の第3電極それぞれの前記第2方向の長さよりも長く、前記第2電極の前記第2方向の長さが、前記1層以上の第4電極それぞれの前記第2方向の長さよりも長い
請求項1に記載の電子部品。
【請求項14】
前記機能部は、前記第1方向に交互に積層された複数の内部電極及び複数の誘電体層を有しており、
前記1層以上の第1電極それぞれの厚さは、前記複数の内部電極それぞれの厚さよりも厚く、
前記1層以上の第2電極それぞれの厚さは、前記複数の内部電極それぞれの厚さよりも厚く、
前記1層以上の第3電極それぞれの厚さは、前記複数の内部電極それぞれの厚さよりも厚く、
前記1層以上の第4電極それぞれの厚さは、前記複数の内部電極それぞれの厚さよりも厚い
請求項1に記載の電子部品。
【請求項15】
前記第1カバーは、前記第2カバーよりも厚い
請求項1に記載の電子部品。
【請求項16】
未焼成状態の積層体を得るようにセラミックグリーンシートを積層すること、及び
前記未焼成状態の積層体を焼成すること、
を含み、
前記未焼成状態の積層体は、
未焼成状態の機能部と、
前記未焼成状態の機能部に対して第1側に重なる未焼成状態の第1カバーと、
前記未焼成状態の機能部に対して前記第1側とは反対側の第2側に重なる未焼成状態の第2カバーと、を有し、
前記未焼成状態の第1カバーは、
1層以上の第1セラミックグリーンシートと、
前記1層以上の第1セラミックグリーンシートと交互に重なっている1層以上の第1導電ペーストと、を有しており、
前記未焼成状態の第2カバーは、
1層以上の第2セラミックグリーンシートと、
前記1層以上の第2セラミックグリーンシートと交互に重なっている1層以上の第2導電ペーストと、を有しており、
前記1層以上の第1導電ペーストは、
前記第1方向に交差する第2方向における前記第1カバーの中央に対して前記第2方向の第3側に位置する1層以上の第1電極用ペーストと、
前記第1カバーの前記中央に対して前記第3側とは反対側の第4側に位置し、前記第2方向において前記1層以上の第1電極用ペーストと離れている1層以上の第2電極用ペーストと、を有しており、
前記1層以上の第2導体導電ペーストは、
前記第2方向における前記第2カバーの中央に対して前記第3側に位置する1層以上の第3電極用ペーストと、
前記第2カバーの前記中央に対して前記第4側に位置し、前記第2方向において前記1層以上の第3電極用ペーストと離れている1層以上の第4電極用ペーストと、を有しており、
前記1層以上の第1電極用ペーストの合計体積が前記1層以上の第3電極用ペーストの合計体積よりも大きく、
前記1層以上の第2電極用ペーストの合計体積が前記1層以上の第4電極用ペーストの合計体積よりも大きい
電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層セラミックコンデンサ等の電子部品、及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック層と内部電極とを交互に積層した積層セラミックコンデンサが知られている(例えば下記特許文献1)。特許文献1では、セラミック層と内部電極とからなる機能部の上面に下地層を設けた構成を開示している。特許文献1では、セラミック成分と金属成分との焼結収縮率に起因してコンデンサに反りが生じるという課題を開示している。特許文献1では、上記課題を解決するために、金属粒子を含むセラミックスによって下地層を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様に係る電子部品は、機能部と、前記機能部に対して第1方向の第1側に重なっている第1カバーと、前記機能部に対して前記第1側とは反対側の第2側に重なっている第2カバーと、を有している。前記第1カバーは、1層以上の第1セラミック層と、前記1層以上の第1セラミック層と交互に重なっている1層以上の第1導体層と、を有している。第2カバーは、1層以上の第2セラミック層と、前記1層以上の第2セラミック層と交互に重なっている1層以上の第2導体層と、を有している。前記第1カバーの構成と前記第2カバーの構成とは前記機能部に対して互いに非対称である。
【0005】
本開示の一態様に係る電子部品の製造方法は、未焼成状態の積層体を得るようにセラミックグリーンシートを積層すること、及び未焼成状態の積層体を焼成すること、を含む。前記未焼成状態の積層体は、未焼成状態の機能部と、前記未焼成状態の機能部に対して第1側に重なる未焼成状態の第1カバーと、前記未焼成状態の機能部に対して前記第1側とは反対側の第2側に重なる未焼成状態の第2カバーと、を有する。前記未焼成状態の第1カバーは、1層以上の第1セラミックグリーンシートと、前記1層以上の第1セラミックグリーンシートと交互に重なっている1層以上の第1導電ペーストと、を有する。前記未焼成状態の第2カバーは、1層以上の第2セラミックグリーンシートと、前記1層以上の第2セラミックグリーンシートと交互に重なっている1層以上の第2導電ペーストと、を有する。前記未焼成状態の第1カバーの構成と前記未焼成状態の第2カバーの構成とは前記未焼成状態の機能部に対して非対称である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図6】比較例及び実施例に係るコンデンサの反りを示す図。
【
図7】他の比較例及び実施例に係るコンデンサの反りを示す図。
【
図8】コンデンサの上下方向における非対称性に関して他の例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものである。従って、例えば、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。また、寸法比率等が図面同士で一致しないこともある。特定の形状及び/又は寸法等が誇張されたり、細部が省略されたりすることがある。ただし、上記は、実際の形状及び/又は寸法が図面のとおりとされたり、図面から形状及び/又は寸法の特徴が抽出されたりしてもよいことを否定するものではない。
【0008】
相対的に後に説明される態様については、基本的に、相対的に先に説明される態様との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項については、先に説明される態様と同様とされたり、先に説明される態様から類推されたりしてよい。異なる態様同士で互いに対応する構成要素については、便宜上、相違点があっても、同一の符号を用いることがある。
【0009】
実施形態の説明において、形状の語は、寸法を含まない場合と、寸法を含む場合とがある。矛盾等が生じない限り、いずれと解釈されてもよい。矩形(若しくは矩形状)又は直方体(若しくは直方体状)というとき、角部が面取りされていてもよい。また、比較的小さい凹部又は凸部(誤差ではなく、意図的なもの)が形成されていてもよい。他の形状についても同様である。所定の層が一定の厚さを有するというとき、製造誤差に起因する厚さの変化が存在しても構わない(一定の厚さが意図されていればよい。)。
【0010】
種々の寸法が実施形態の説明において例示された範囲(μm等の絶対値又は他の寸法に対する相対値)に含まれるか否かの判断は合理的になされてよい。例えば、特異部分の寸法は考慮外とされてもよい。より具体的には、例えば、厚さが所定の範囲に収まるか否かの判断において、面取りされた部分は無視されてよい。また、例えば、一定の厚さが意図されている層において、端部の厚さが他の大部分(例えば面積の60%以上又は80%以上)の厚さに対して著しく異なる(例えば著しく薄くなる)場合においては、端部の厚さは考慮外とされてよい。また、上記の一定の厚さが意図されている所定の層の大部分において厚さの変動が存在する場合においては、例えば、平均値が参照されてよい。なお、例えば、厚さの最小値及び最大値の双方が数値範囲に収まっていれば、わざわざ平均値を特定して参照する必要がないことはもちろんである。
【0011】
材料(導電性材料又は絶縁性材料等)に関して、主成分は、例えば、60wt%以上、80wt%以上又は100wt%(誤差は除く)を占める成分であってよい。実施形態の説明において、主成分の語は、矛盾等が生じない限り、60wt%以上の成分、80wt%以上の成分又は100wt%の成分の語に置き換えられてよい。
【0012】
電子部品の製造過程の進行に伴って、電子部品の各部においては、材料の成分及び微細構造等が変化することがある。便宜上、その変化の前後で同一符号を参照したり、同一の用語を用いたりすることがある。
【0013】
(実施形態の概要)
図1は、実施形態に係るコンデンサ1(電子部品の一例)を示す斜視図である。
図1及び後述する他の図には、便宜上、直交座標系D1D2D3が付されている。コンデンサ1は、いずれが上方又は下方とされて用いられてもよい。ただし、実施形態の説明では、便宜上、+D3側を上方として、上面及び下面等の語を用いることがある。
【0014】
コンデンサ1は、例えば、積層セラミックコンデンサである。コンデンサ1は、概略直方体状の本体部3と、平面視において(D3方向に見て)本体部3の4隅に位置している4つの外部電極5とを有している。外部電極5は、コンデンサ1と他の電子部品(例えば不図示の回路基板)との電気的接続に寄与する。
【0015】
図3は、
図1のIII-III線における断面図である。なお、
図3は、+D2側の外部電極5を切断するD1D3断面を示している。ただし、-D2側の外部電極5を切断するD1D3断面、-D1側の外部電極5を切断するD2D3断面、及び+D1側の外部電極5を切断するD2D3断面も基本的に
図3と同様である。実施形態の説明では、便宜上、特に断りなく、
図3に例示した断面を前提として、D1、D2及びD3の語を用いて構成要素間の位置関係等を説明することがある。
【0016】
図3では、便宜上、後述するセラミック層11及び誘電体層17の境界線を示している。ただし、これらの境界線は、観察不可能であっても構わない。セラミック層11及び誘電体層17は、後述する導体層13及び内部電極19等によって区分されていることに基づいて、互いに異なる層として特定されてよい。
【0017】
本体部3は、例えば、機能部7と、当該機能部7の上面及び下面にそれぞれ重なる2つのカバー9(9A及び9B)と、を有している。機能部7は、電子部品(ここではコンデンサ)としての機能を直接的に果たす部分(その少なくとも一部)である。カバー9は、例えば、機能部7の保護及び/又はコンデンサ1の強度向上に寄与する。
【0018】
2つのカバー9のうち、+D3側のカバー9を第1カバー9Aと称し、-D3側のカバー9を第2カバー9Bと称するものとする。また、第1カバー9Aが有する構成要素については、「第1セラミック層11A」のように「第1」及び「A」を付すことがある。同様に、第2カバー9Bが有する構成要素については、「第2セラミック層11B」のように「第2」及び「B」を付すことがある。さらに、第1カバー9A及び第2カバー9Bのいずれの構成要素であるかを特に区別しないときは、「セラミック層11」のように、「第1」、「第2」、「A」及び「B」を付さないことがある。
【0019】
各カバー9は、交互に積層された1層以上(図示の例では3層)のセラミック層11と1層以上の導体層13(図示の例では3層)とを有している。なお、便宜上、「交互」と表現しているが、1層のセラミック層11及び1層の導体層13のみが設けられていても構わない。セラミック層11は、例えば、機能部7の絶縁に寄与する。導体層13は、例えば、外部電極5となる金属をめっき法によって析出させたり、及び/又は外部電極5の本体部3に対する固着力を向上させたりすることに寄与する。
【0020】
そして、第1カバー9Aの構成と第2カバー9Bの構成とは、機能部7に対して互いに非対称になっている(互いに上下非対称になっている。)。例えば、図示の例では、第1カバー9Aの厚さt1Aは、第2カバー9Bの厚さt1Bよりも厚い。また、最も+D3側に位置する第1導体層13Aの厚さt3Aは、最も-D3側に位置する第2導体層13Bの厚さt3Bよりも厚い。このような上下非対称の構成によって、例えば、後に詳述するように、コンデンサ1の製造過程において、本体部3となる積層体を焼成したときに生じる反りが低減される。
【0021】
なお、上述の効果は、必ずしも奏されなくても構わない。また、本開示からは、上述した観点とは異なる技術的思想が抽出されてもよい。この場合、例えば、上記の説明とは異なる構成が採用されてもよい。例えば、カバー9は、導体層13を含んでいなくてもよい。
【0022】
以上が実施形態の概要である。以下では、概略、下記の順で実施形態の説明を行う。
1.コンデンサの構成(
図1~
図3)
1.1.全体構成
1.2.機能部
1.3.カバー
1.3.1.カバー全体
1.3.2.セラミック層
1.3.3.導体層(ダミー電極及び下地電極)
1.3.4.下地電極の埋め込み構造
1.3.5.上下方向の非対称性及び寸法の例
1.4.外部電極
2.コンデンサの製造方法(
図4)
3.非対称性による作用の例及び粒子径の例(
図5)
4.実施例(
図6及び
図7)
5.他の態様(
図8及び
図9)
5.1.上下非対称に係る他の例
5.2.端子に係る他の例
5.3.コンデンサ以外の電子部品の他の例
6.実施形態のまとめ
【0023】
(1.コンデンサの構成)
(1.1.全体構成)
図1に示すコンデンサ1は、例えば、表面実装されるチップ型部品として構成されている。具体的には、例えば、コンデンサ1は、不図示の回路基板に対して-D3側又は+D3側の面を対向させて配置される。そして、回路基板の4つのパッドと4つの外部電極5とがそれぞれ不図示の導電性の接合材(例えばはんだ)によって接合されることによって、回路基板に実装される。
【0024】
コンデンサ1の構成(内部構造及び外形)は、例えば、概略、D3方向に見て180°回転対称である。もちろん、コンデンサ1は、このような対称性を有していなくてもよい。
【0025】
本体部3の形状は、例えば、概略、薄型の直方体状である。薄型は、例えば、本体部3において、D3方向の長さが、D1方向の長さ及びD2方向の長さのそれぞれ(直方体状でない場合は例えば最大長さ)よりも短いことを指す。直方体は、平面視において、正方形であってもいし(図示の例)、長方形(正方形を除くものとする。以下、同様。)であってもよい。特に図示しないが、本体部3は、平面視及び/又は側面視において、角部が比較的大きく面取りされていてもよい。本体部3(又はコンデンサ1)の具体的な寸法は任意である。後に、カバー9の具体的な寸法の説明において、本体部3の具体的な寸法についても例示する。
【0026】
既述のとおり、第1カバー9A及び第2カバー9Bは、上下方向において非対称性を有している。ただし、特に断りが無い限りは、同一種類の複数の構成要素(例えば5、11、13、17及び19等)は、基本的に、互いに同じ(又は対応する)形状、大きさ、材料及び位置等で設けられていてよい。従って、特に断りが無い限り、また、矛盾等が生じない限り、一の構成要素の説明は、同一種類の他の構成要素に共通していると捉えられてよい。
【0027】
1つの層状(膜状)の構成要素(例えば5、11、13、17及び19等)は、その全体が一種の材料によって構成されていてよい。ただし、1つの層状の構成要素は、互いに異なる材料を有する層が重ねられて構成されていても構わない。また、その全体が一種の材料によって構成されている1つの層状の構成要素は、製造過程に着目したときに、1つの層によって構成されていてもよいし、互いに同一の材料からなる複数の層が積層されて構成されていてもよい。
【0028】
(1.2.機能部)
図3に示す機能部7の形状は、例えば、概略、薄型の直方体状である。その平面形状は、基本的に本体部3の平面形状と同じである。機能部7の厚さは任意である。後に、カバー9の具体的な寸法の説明において、機能部7の具体的な厚さについても例示する。機能部7は、上下方向において、概略対称の構成を有している。ここでいう概略対称は、最上層の内部電極19(後述)と最下層の内部電極19とが非対称性を有している態様を含む。
【0029】
機能部7は、交互に重なっている複数の誘電体層17と複数の内部電極19とを有している。これにより、コンデンサとしての機能が実現されている。
【0030】
誘電体層17は、基本的に(少なくとも内部電極19間において)一定の厚さを有している層状である。誘電体層17の平面視における形状及び寸法は、基本的に機能部7の平面視における形状及び寸法と同じである。誘電体層17の厚さは、コンデンサ1に要求される特性等に応じて適宜に設定されてよい。比較的薄い厚さの例を挙げると、D3方向において互いに隣り合う内部電極19の間の厚さは、0.1μm以上又は0.5μm以上とされてよく、また、3.0μm以下、2.0μm以下又は1.0μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、任意のもの同士が組み合わされてもよい。誘電体層17(内部電極19)の積層数は任意である。一例を挙げると、10層以上30層以下である。誘電体層の材料は、例えば、セラミックスであり、その具体的な種類も任意である。
【0031】
内部電極19は、一定の厚さを有している層状である。内部電極19の厚さは任意であり、例えば、誘電体層17のうちの内部電極19間の領域の厚さに対して、薄くてもよいし、同程度でもよいし、厚くてもよい。比較的薄い厚さの例を挙げると、内部電極19の厚さは、0.3μm以上又は0.5μm以上とされてよく、また、3.0μm以下、2.0μm以下又は1.0μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、任意のもの同士が組み合わされてもよい。内部電極19の材料(例えば主成分)は、例えば、金属である。金属の具体的な種類は任意であり、例えば、金属の全部又は主成分は卑金属である。卑金属は、例えば、Ni若しくはCu又はこれらの少なくとも一方を主成分として含む合金である。内部電極19の材料は、セラミックス(共材)を含んでいてもよい。
【0032】
図2は、コンデンサ1の分解斜視図である。
図2は、内部電極19等の平面形状及び相対位置を把握するための模式的なものである。従って、
図2では、種々の層が
図3に比較して少ない数で示されている。
【0033】
内部電極19は、例えば、平面視において、矩形状(図示の例では正方形状)の電極本体19aと、電極本体19aの互いに対向する1対の角部から延び出ている1対の引出電極19bとを有している。各部位の具体的な寸法は任意である。
【0034】
電極本体19aは、D3方向において互いに隣り合う内部電極19同士で互いに重なり合う領域である。電極本体19aは、誘電体層17の外縁よりも内側に位置しており、機能部7の側面から露出していない。
【0035】
1対の引出電極19bは、誘電体層17の外縁に至っており、本体部3の互いに対向する1対の角部に位置している1対の外部電極5に接続されている。D3方向において互いに隣り合う内部電極19は、互いに異なる1対の外部電極5に接続されている。
【0036】
(1.3.カバー)
(1.3.1.カバー全体)
図3に示すカバー9は、例えば、概略、機能部7と過不足無く重なる形状及び寸法を有する層状である。カバー9の厚さは、概略、一定である。
【0037】
既述のとおり、図示の例では、2つのカバー9は、カバー9の厚さ及び最外層の導体層13の厚さが互いに異なっている。また、図示の例では、上記相違点に付随して、最外層のセラミック層11のうちの導体層13の非配置領域(D1方向の中央側)の厚さも2つのカバー9同士で異なっている。これらの相違点を除いて、2つのカバー9の構成は、互いに同一であってもよい。
【0038】
(1.3.2.セラミック層)
セラミック層11は、例えば、導体層(13及び19)との重なりの有無に起因する厚みの変化を除いて、概略、一定の厚さを有している層状である。セラミック層11の平面形状は、例えば、基本的に誘電体層17の平面形状と同じである。
【0039】
セラミック層11の数(別の観点では導体層13の数)は任意である。図示の例では、3層が例示されているが、セラミック層11の数は、1、2又は4以上であっても構わない。
【0040】
セラミック層11の厚さは任意である。例えば、セラミック層11(例えば導体に挟まれた部分の間)の厚さは、誘電体層17の厚さ(内部電極19の間)に対して、厚くてもよいし(図示の例)、同等でもよいし、薄くてもよい。また、例えば、複数のセラミック層11の厚さは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0041】
セラミック層11の材料は任意である。例えば、セラミック層11の材料は、一般に誘電体に分類されるものであってもよいし、そうでなくてもよい。前者の場合、セラミック層11の材料は、誘電体層17の材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。複数のセラミック層11の材料は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。セラミックス(その全部又は主成分)及び誘電体の例としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)、二酸化チタン(TiO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸カルシウム(CaTiO3)及びジルコン酸カルシウム(CaZrO3)が挙げられる。
【0042】
(1.3.3.導体層(ダミー電極及び下地電極))
図2及び
図3に示すように、各導体層13は、コンデンサ1の平面視における4隅に位置する電極(21又は23)を有している。ここで、最外層の導体層13が有する電極については、下地電極21(21A及び21B)と称するものとする。他の導体層13が有する電極については、ダミー電極23(23A及び23B)と称するものとする。
【0043】
ダミー電極23及び下地電極21は、D3方向の位置が異なる点を除いて、互いに同一の構成とされても構わない。従って、本節の説明では、便宜上、ダミー電極23の説明を行い、下地電極21の説明を省略することがある。特に断りが無い限り、また、矛盾が生じない限り、ダミー電極23の語は、下地電極21の語に置換されてよい。
【0044】
ダミー電極23は、例えば、基本的に一定の厚さを有している層状である。各ダミー電極23は、例えば、本体部3の側面(より詳細には2つの側面)にて露出している。各ダミー電極23の露出部分は、1つの外部電極5と固着される。各下地電極21は、本体部3の上面又は下面の一部領域を構成している。各下地電極21は、1つの外部電極5と固着される。
【0045】
平面視において、ダミー電極23の位置、形状及び寸法は任意である。図示の例では、ダミー電極23の位置、形状及び寸法は、平面透視において、概略、外部電極5と過不足なく重なる位置、形状及び寸法とされている(ただし、外部電極5の方が若干広い。)。また、ダミー電極23は、矩形状(図示の例では正方形)のセラミック層11の4辺とそれぞれ平行な4辺を有する矩形状(図示の例では正方形)を呈している。
【0046】
また、
図2及び
図3から理解されるように、ダミー電極23は、平面透視において、複数の内部電極19(互いに異なる外部電極5に接続される内部電極19)が互いに重なっている領域(電極本体19a)と、一部同士が重なっている。なお、上記領域は、静電容量を確保するための領域ということができる。上記領域とダミー電極23との重複面積は任意である。
【0047】
ダミー電極23の厚さは、例えば、内部電極19の厚さに対して、厚くてもよいし(図示の例)、同程度でもよいし、薄くてもよい。また、ダミー電極23の厚さは、セラミック層11の厚さ(例えば電極間における厚さ)に対して、薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。1以上のダミー電極23及び下地電極21の厚さは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。図示の例では、複数のダミー電極23の厚さは、互いに同一とされている。また、下地電極21の厚さ(t3A及びt3Bそれぞれ)は、ダミー電極23の厚さよりも厚くされている。
【0048】
ダミー電極23の材料は任意である。例えば、ダミー電極23の材料は、内部電極19の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。いずれにせよ、内部電極19の材料の説明は、ダミー電極23の材料に援用されてよい。
【0049】
(1.3.4.下地電極の埋め込み構造)
図3の例では、第1下地電極21Aは、最外層の第1セラミック層11Aに対して上方から埋め込まれている。さらに、第1下地電極21Aの上面は、最外層の第1セラミック層11Aの上面(ここでは第1下地電極21Aの非配置領域の上面。本節において以下同様)と面一となっている。
【0050】
面一というとき、例えば、第1下地電極21Aの上面と第1セラミック層11Aの上面とのD3方向の位置の差は、下地電極21の厚さの20%以下、10%以下又は5%以下であってよい。なお、上面の位置は、既述のように合理的に特定されてよく、例えば、端部等の特異部分を除いた平均値であってよく、また、反りを考慮した基準面(平面状又は曲面状)からの距離によって表されてよい(下記の下面の位置も同様。)。
【0051】
第1下地電極21Aの上面と最外層の第1セラミック層11Aの上面とが面一でない態様も考慮したとき、前者の後者に対する埋め込み量は任意である。埋め込み量は、例えば、最外層の第1セラミック層11Aの上面の位置から第1下地電極21Aの下面の位置までの距離である。例えば、埋め込み量は、下地電極21の厚さの50%未満であってもよいし、50%以上であってもよいし、80%以上であってもよい。
【0052】
第1下地電極21Aを最外層の第1セラミック層11Aに埋め込ませる方法は任意である。例えば、最外層の第1セラミック層11Aを2層のセラミックグリーンシートによって形成することとする。そして、2層のうち下層のセラミックグリーンシートの上面に第1下地電極21Aとなる導電ペーストを配置し、2層のうち上層のセラミックグリーンシートには、第1下地電極21Aが位置する領域に孔(切欠き)を設ける。あるいは、このような方法に加えて、又は代えて、セラミックグリーンシートの上面に塗布された導電ペーストをプレスすることによって、第1下地電極21Aを最外層の第1セラミック層11Aに埋め込ませてもよい。
【0053】
第1下地電極21Aを例にとったが、第2下地電極21Bも同様である。上記の説明は、「第1」、「A」及び「上」の語を「第2」、「B」及び「下」の語に置換するなどして、第2下地電極21Bに援用されてよい。また、図示の例とは異なり、下地電極21は、最外層のセラミック層11に対して埋め込まれていなくても構わない。
【0054】
(1.3.5.上下方向の非対称性及び寸法の例)
第1カバー9Aの構成及び第2カバー9Bの構成は、既述のとおり、機能部7に対して非対称とされている。なお、ここでいう非対称性は、意図されていない製造誤差による非対称性は含まない。例えば、コンデンサ1が、焼成のときに、意図されていない反りを生じ、これにより、第1カバー9Aと第2カバー9Bとが上下方向において非対称となっていても、ここでいう非対称には該当しない。
【0055】
図3の例では、既述のとおり、第1カバー9Aの厚さt1Aは、第2カバー9Bの厚さt1Bよりも厚く、第1下地電極21Aの厚さt3Aは、第2下地電極21Bの厚さt3Bよりも厚い。この場合において、厚さt1A、t1B、t3A及びt3Bの具体的な値は任意である。これらの厚さの具体的な値と、これらの厚さ以外の種々の寸法の値とを以下に例示する。
【0056】
なお、以下に示す寸法の範囲は、あくまで例示であって、以下に示す範囲外の値が採用されても構わない。また、互いに種類が異なる寸法の値の例同士は、任意のもの同士が組み合わされてもよい。例えば、本体部3の厚さとカバー9の厚さとは任意の値の例同士が組み合わされてもよい。以下に例示する具体的な値は、矛盾等が生じない限り、後述する他の態様(例えばt1A=t1B及び/又はt3A=t3Bの態様)に援用されてもよい。以下に例示する具体的な値は、図示の例とは異なる態様(例えばダミー電極23が設けられていない態様)も考慮した値であることがある。
【0057】
本体部3(又はコンデンサ1)のD1方向及びD2方向の長さそれぞれは、300μm以上又は400μm以上であってよく、また、2000μm以下、1000μm以下又は700μm以下であってよい。上記の下限と上限とは、任意のもの同士が組み合わされてもよい。本体部3のD3方向の厚さは、30μm以上又は50μm以上であってよく、また、500μm以下、200μm以下又は100μm以下であってよい。上記の下限と上限とは、任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0058】
機能部7の厚さは、本体部3の厚さに対して、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上又は70%以上とされてよく、また、90%以下、80%以下又は70%以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように、任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0059】
なお、機能部7とカバー9との境界は合理的に判断されてよい。例えば、誘電体層17の材料とセラミック層11の材料とが同じ場合においては、最も+D3側に位置する内部電極19の+D3側の面、及び、最も-D3側に位置する内部電極19の-D3側の面が、機能部7の上面及び下面として特定されてよい。
【0060】
各カバー9の厚さ(t1A又はt1B)は、本体部3の厚さに対して、5%以上、10%以上又は15%以上とされてよく、また、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下又は15%以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように、任意のもの同士が組み合わされてもよい。また、各カバー9の厚さ(t1A又はt1B)は、5μm以上、10μm以上又は15μm以上とされてよく、また、50μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下又は10μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように、任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0061】
カバー9の厚さの差(t1A-t1B)は、第2カバー9Bの厚さt1Bに対して、5%以上、10%以上又は15%以上とされてよく、また、40%以下、30%以下又は20%以下とされてよい。上記の下限と上限とは、任意のもの同士が組み合わされてもよい。また、カバー9の厚さの差(t1A-t1B)は、0.5μm以上、1.0μm以上又1.5μm以上とされてよく、また、4.0μm以下、3.0μm以下又は2.5μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、任意のもの同士が組み合わされてもよい。第2カバー9Bの厚さに対する第1カバー9Aの厚さの比(t1A/t1B)は、1.05以上、1.10以上又は1.15以上とされてよく、また、1.40以下、1.30以下又は1.25以下とされてよい。上記の下限と上限とは、任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0062】
各下地電極21の厚さ(t3A又はt3B)は、自己が属するカバー9の厚さの10%以上、20%以上、30%以上又は40%以上とされてよく、また、90%以下、60%以下、50%以下又は40%以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように、任意のもの同士が組み合わされてもよい。また、各下地電極21(t3A又はt3B)の厚さは、1.0μm以上、2.0μm以上、3.0μm以上又は5.0μm以上とされてよく、また、20.0μm以下、10.0μm以下又は5.0μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように、任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0063】
下地電極21の厚さの差(t3A-t3B)の例は、上述したカバー9の厚さの差(t1A-t1B)の例と同じであってもよい。また、下地電極21の厚さの差(t3A-t3B)は、第2下地電極21Bの厚さt3Bに対して、20%以上、30%以上、50%以上又は80%以上であってよく、200%以下、150%以下、100%以下又は80%以下であってよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。第2下地電極21Bの厚さに対する第1下地電極21Aの厚さの比(t3A/t3B)は、1.2以上、1.4以上又は1.5以上とされてよく、また、2.5以下、2.0以下又は1.8以下とされてよい。上記の下限と上限とは、任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0064】
後述する実施例のカバー9及び下地電極21の厚さに近い厚さの範囲として、以下の範囲を例示することもできる。
・第1カバー9Aの厚さt1A:10μm以上16μm以下
・第2カバー9Bの厚さt1B:8μm以上14μm以下
・第1下地電極21Aの厚さt3A:4μm以上8μm以下
・第2下地電極21Bの厚さt3B:2μm以上6μm以下
ただし、t1A>t1Bかつt3A>t3Bである。
【0065】
各下地電極21のD1方向の長さは、例えば、本体部3のD1方向の長さに対して、10%以上、20%以上又は30%以上とされてよく、また、45%以下又は40%以下又は30%以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように、任意のもの同士が組み合わされてもよい。また、例えば、各ダミー電極23のD1方向の長さは、50μm以上、100μm以上又は150μm以上とされてよく、また、500μm以下、300μm以下又は200μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、任意のもの同士が組み合わされてもよい。D1方向の長さの例を挙げたが、当該長さは、D2方向の長さに援用されてよい。また、本段落の下地電極21の寸法の例は、ダミー電極23に援用されてもよい。
【0066】
各ダミー電極23の厚さは、自己が属するカバー9の厚さの5%以上、10%以上又は20%以上とされてよく、また、50%以下、30%以下、又は20%以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように、任意のもの同士が組み合わされてもよい。また、例えば、ダミー電極23の厚さは、0.3μm以上、0.5μm以上、1.0μm以上又は2.0μm以上とされてよく、また、10.0μm以下、5.0μm以下、3.0μm以下又は2.0μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように、任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0067】
各セラミック層11の厚さ(例えば電極間)は、自己が属するカバー9の厚さの5%以上、10%以上又は20%以上とされてよく、また、50%以下、30%以下、又は20%以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように、任意のもの同士が組み合わされてもよい。また、各セラミック層11の厚さ(例えば電極間)は、1.0μm以上又は2.0μm以上とされてよく、また、10.0μm以下又は5.0μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0068】
(1.4.外部電極)
外部電極5は、例えば、基本的に一定の厚さを有している層状である。
図1に示すように、外部電極5は、例えば、概略、本体部3の平面視における角部にて、本体部3の4つの面(上面、下面及び2つの側面)を覆っている。これにより、1つの外部電極5と1つの引出電極19bとの接続が本体部3の2つの側面においてなされ、また、コンデンサ1の上面及び下面のいずれによって表面実装することも可能となっている。また、外部電極5は、既述のように、導体層13のカバー9からの露出部分に固着されている。さらに、外部電極5は、セラミック層11及び誘電体層17にも固着されている。外部電極5の各面における部分の形状及び寸法は任意である。
【0069】
外部電極5の厚さは任意である。例えば、外部電極5の厚さは、内部電極19、ダミー電極23及び下地電極21の厚さよりも厚くされてよい。例えば、外部電極5の厚さは、下地電極21の厚さ(t3A又はt3B)の1.2倍以上、2倍以上又は3倍以上とされてよく、また、10倍以下、5倍以下又は3倍以下とされてよい。上記の下限と上限とは、任意のもの同士が組み合わされてもよい。また、例えば、外部電極5の厚さは、3μm以上、5μm以上又は10μm以上とされてよく、また、30μm以下、20μm以下又は10μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように、任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0070】
外部電極5の材料は、例えば、金属である。金属の具体的な種類は任意であり、例えば、その全部又は主成分は卑金属(例えばNi及び/又はCu)である。また、外部電極5は、必要に応じて、互いに異なる材料を積層して構成されていてもよい。例えば、外部電極5は、下地電極21の側から、Cu、Ni及びSnが積層されて構成されていてもよい。外部電極5の材料は、内部電極19、ダミー電極23及び/又は下地電極21の材料(例えば主成分)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。外部電極5は、例えば、セラミック層11の材料(例えば主成分)と同じ材料(共材)を含まないように構成されていてもよい。
【0071】
なお、
図3に符号を付して示すように、実施形態の説明では、外部電極5のうち第1カバー9A(その少なくとも一部)を覆っている部分を第1外部電極5aと称し、外部電極5のうち第2カバー9B(その少なくとも一部)を覆っている部分を第2外部電極5bと称することがある。
【0072】
(2.コンデンサの製造方法)
コンデンサ1の製造方法は、種々の方法とされてよい。例えば、コンデンサ1の製造方法は、具体的な寸法の設定を除いて、公知の方法と同様とされても構わない。以下に製造方法の例を示す。
【0073】
図4は、製造方法を示す模式図である。
図4の左側は、比較例に係るコンデンサ(より詳細には本体部3Z)の製造方法を示している。
図4の右側は、実施形態に係るコンデンサ1(より詳細には本体部3)の製造方法を示している。
【0074】
まず、誘電体層17及びセラミック層11となるセラミックグリーンシートを作製する。次に、セラミックグリーンシートに内部電極19、ダミー電極23又は下地電極21となる導電ペーストを塗布する(例えば印刷する)。
【0075】
次に、
図4の上から1段目~3段目に示すように、セラミックグリーンシートを積層して本体部3(3Z)となる積層体(未焼成状態の本体部3)を作製する。このときの積層順は任意である。図示の例では、下方(第2カバー9B側)のセラミックグリーンシートから順に1枚ずつ積層されている態様を例示している。図示の例とは異なり、例えば、上方(第1カバー9A側)のセラミックグリーンシートから順に1枚ずつ積層されてもよいし、及び/又は、何枚か積層されたもの同士が互いに重ねられてもよい。
【0076】
なお、既に触れたように、1層のセラミック層11は、2層以上のセラミックグリーンシートから構成されても構わない。このことから理解されるように、セラミックグリーンシートと導電ペーストとが交互に重なっているというとき、セラミックグリーンシートと導電ペーストとは、1層ずつ交互に重なっていなくてもよい。ただし、セラミック層11と同様に、導電ペーストが介在せずに重ねられているセラミックグリーンシートを1層として捉えてもよい。
【0077】
上記の積層体の作製までは、例えば、複数の本体部3が多数個取りされる母基板の大きさで行われる。積層体の作製の後、当該積層体を含む母基板は、概ね本体部3の大きさに対応する大きさに個片化される(例えば切断される。)。
【0078】
次に、
図4の上から3段目に示すように、本体部3の大きさを有する積層体が焼成される。焼成方法は任意である。図示の例では、電気炉25が模式的に示されている。この他、例えば、マイクロ波を積層体に照射して焼成が行われてもよい。
【0079】
焼成前においては脱脂が行われてもよい。焼成は、例えば、還元雰囲気で行われてよい。焼成後に再酸化熱処理が行われてもよい。焼成前及び/又は焼成後において、本体部3の研磨(例えばバレル研磨)が行われてもよい。研磨では、例えば、本体部3の稜線部が面取りされたり、本体部3の側面が研磨されたりしてよい。
【0080】
本体部3の焼成後、外部電極5が形成される。外部電極5は、種々の方法によって形成されてよい。例えば、無電解めっき及び/又は電解めっきによって下地電極21の表面(上面若しくは下面、及び側面)、ダミー電極23の本体部3の側面からの露出部、及び内部電極19の本体部3の側面からの露出部に金属を析出させてよい。また、例えば、ディップ法、印刷法、CVD(Chemical Vapor Deposition)又はPVD(Physical Vapor Deposition)等の薄膜形成法が採用されてもよい。なお、上記から理解されるように、下地電極21、ダミー電極23及び内部電極19は、金属の析出に寄与してもよいし、寄与しなくてもよい。
【0081】
比較例に係る本体部3Zでは、実施形態に係る本体部3とは異なり、第1カバー9Aの厚さと第2カバー9Bの厚さとが同じであり、また、第1下地電極21Aの厚さと第2下地電極21Bの厚さとが同じである。そして、
図4の最下段かつ左側に示すように、本体部3Zは焼成のときに上方が凹となる反りを生じやすい。
【0082】
反りが生じる要因としては、例えば、以下のものが挙げられる。セラミックグリーンシートを積層していく過程においては、1枚のセラミックグリーンシートを重ねるごとに比較的低圧のプレスが行われる。このプレスは、例えば、セラミックグリーンシート同士を圧着させることに寄与する。そして、下方のセラミックグリーンシートほど、プレスの回数が多く、セラミック粒子の密度が高くなる。逆に言えば、上方のセラミックグリーンシートほど、セラミック粒子の密度が低くなる。その結果、焼結のときに、上方ほど収縮度合いが大きい。ひいては、上方ほど層に沿う方向の圧縮応力が大きくなり、上方を凹とする反りが生じる。
【0083】
なお、既述のとおり、本開示において、機能部7に対する第1カバー9Aの構成と第2カバー9Bの構成との非対称性の有無を判断するとき、意図されていない製造誤差による非対称性は対象外とする。上記の積層順及びプレスによるセラミック粒子の密度の相違は製造誤差である。従って、焼成前の密度の相違に起因して焼成後の微細構造に関して第1カバー9Aと第2カバー9Bとが相違していても(そのような従来技術が存在しても)、ここでいう非対称性は存在していないと判断するものとする。
【0084】
(3.非対称性による作用の例及び粒子径の例)
図4の最下段に示しているように、実施形態に係る本体部3は、比較例に係る本体部3Zに比較して、焼成による反りが低減される。その理由は、例えば、以下のとおりである。
【0085】
図5は、第1下地電極21Aを第2下地電極21Bよりも厚くしていることによって反りが低減される理由の例を説明する模式図である。
【0086】
図5において、上段は、導電ペースト(下地電極21)が含む金属粒子27と、バインダ等からなる有機物層29とを示している。下段は、セラミックグリーンシート(セラミック層11)が含むセラミック粒子31と、バインダ等からなる有機物層33とを示している。また、
図5において、左側は、焼成前の状態を示し、右側は、焼成後の状態を示している。
【0087】
一般に、金属粒子27の粒子径は、セラミック粒子31の粒子径よりも大きくされている。また、有機物層29と有機物層33とは、同じ材料、あるいは、類似した材料が用いられることが多い。そして、金属粒子27及びセラミック粒子31の粒子径が互いに異なっていても、有機物層29及び33の厚さt7は、概ね同じである。
【0088】
従って、導電ペーストにおいては、セラミックグリーンシートに比較して、粒子の体積に対する粒子の表面積が小さく、ひいては、粒子の体積に対する有機物の体積が小さい。そして、焼成によって有機物が消失したとき、導電ペーストの方がセラミックグリーンシートよりも有機物の消失に係る体積割合が小さい。その結果、導電ペーストの収縮度合いは、セラミックグリーンシートの収縮度合いよりも小さくなる。
【0089】
一方、
図3に示すように、第1下地電極21Aが第2下地電極21Bよりも厚いことによって、焼成前の第1カバー9Aにおける導電ペーストの体積割合は、焼成前の第2カバー9Bにおける導電ペーストの体積割合よりも大きい。ひいては、第1カバー9Aにおける層に沿う方向の収縮量は、第2カバー9Bにおける層に沿う方向の収縮量よりも小さくなる。その結果、本体部3における上方に凹となる反りが低減される。
【0090】
第1カバー9Aを第2カバー9Bよりも厚くすると、直感的には、厚さの増分に応じて、第1カバー9Aが機能部7に付与する圧縮力(第1カバー9Aの圧縮応力×第1カバー9Aの厚さ)が大きくなり、上方を凹とする反りが助長されそうに思われる。しかし、実際には、上記の推定メカニズムで説明されるように、また、後述する実施例で示されるように、反りが低減される。このように、実施形態に係るコンデンサ1は、直感的な予想に反する作用を生じるものであり、画期的である。
【0091】
図5では表現していないが、焼成によって、金属粒子27及びセラミック粒子31は成長する。ただし、両者の径の相違は比較的大きいことから、焼成前の大小関係は、通常、焼成後においても維持される。従って、焼成後の粒子の大きさから、上記の作用が生じたか否かを判断できる。
【0092】
金属粒子及びセラミック粒子の粒子径の具体的な値は任意である。例えば、下地電極21及びダミー電極23となる導電ペーストが含む金属粒子の平均粒子径は、100nm以上500nm以下、又は、180nm以上370nm以下とされてよい。内部電極19となる導電ペーストが含む金属粒子の平均粒子径は、50nm以上200nm以下とされてよい。誘電体層17及びセラミック層11となるセラミックグリーンシートが含むセラミック粒子の平均粒子径は、20nm以上80nm以下とされてよい。下地電極21及びダミー電極23となる導電ペーストが含む金属粒子の平均粒子径は、セラミック層11及び誘電体層17となるセラミックグリーンシートが含むセラミック粒子の平均粒子径に対して、2倍以上、5倍以上又は8倍以上とされてよい。
【0093】
また、例えば、下地電極21及びダミー電極23の金属粒子(焼成後)の平均粒子径は、200nm以上800nm以下、又は、350nm以上400nm以下とされてよい。内部電極19が含む金属粒子(焼成後)の平均粒子径は、100nm以上300nm以下、又は150nm以上200nm以下とされてよい。誘電体層17及びセラミック層11が含むセラミック粒子(焼成後)の平均粒子径は、50nm以上150nm以下、又は70nm以上80nm以下とされてよい。下地電極21及びダミー電極23が含む金属粒子(焼成後)の平均粒子径は、セラミック層11及び誘電体層17が含むセラミック粒子の平均粒子径に対して、2倍以上、5倍以上又は8倍以上とされてよい。
【0094】
また、焼成前において、金属粒子又はセラミック粒子に対する有機物の割合も任意である。例えば、下地電極21、ダミー電極23及び内部電極19となる導電ペーストにおいて、金属粒子の質量部を100としたとき、10質量部以上40質量部以下の有機物が混ぜられていてよい。また、セラミック層11及び誘電体層17となるセラミックグリーンシートにおいて、セラミック粒子の質量部を100としたとき、10質量部以上40質量部以下の有機物が混ぜられていてよい。
【0095】
(4.実施例)
比較例及び実施例に係るコンデンサの本体部を作製し、その反りを計測した。その結果、実施例は、比較例に比較して反りが低減されることが確認された。具体的には、以下のとおりである。
【0096】
以下のように、上下方向の対称性に関する構成が互いに異なる比較例及び実施例を設定した。
・比較例1:上下対称のコンデンサ
・比較例2:比較例1において第2カバー9B及び第2下地電極21Bを厚くしたコンデンサ
・実施例:比較例1において第1カバー9A及び第1下地電極21Aを厚くしたコンデンサ
なお、比較例及び実施例において、特に記載が無い事項は、実施形態のコンデンサ1と同様である。
【0097】
基準となるサイズが互いに異なるコンデンサの本体部について、上記の比較例1、比較例2及び実施例を設定した。便宜上、比較例1、比較例2及び実施例に「A」又は「B」を付して、以下のように称することがある。
・比較例1A、比較例2A及び実施例A: サイズA
・比較例1B、比較例2B及び実施例B: サイズB
【0098】
サイズA及びBは、以下のとおりである。
・サイズA: 600μm(D1方向)×600μm(D2方向)×90μm(D3方向)
・サイズB: 500μm(D1方向)×500μm(D2方向)×65μm(D3方向)
なお、これらのサイズは、比較例1に係るコンデンサの本体部(焼成後)の設計値である。
【0099】
比較例及び実施例に係るカバー9及び下地電極21の厚さは、以下のとおりである。
・比較例1の各カバー9の厚さ、比較例2の第1カバー9Aの厚さ及び実施例の第2カバー9Bの厚さ:10μm
・比較例2の第2カバー9Bの厚さ及び実施例の第1カバー9Aの厚さ:12μm
・比較例1の各下地電極21の厚さ、比較例2の第1下地電極21Aの厚さ及び実施例の第2下地電極21Bの厚さ:3μm
・比較例2の第2下地電極21Bの厚さ及び実施例の第1下地電極21Aの厚さ:5μm
なお、上記のカバー9及び下地電極21の厚さは、サイズA及びBに共通であり、また、焼成後における設計値である。
【0100】
焼成前及び焼成後における金属粒子及びセラミック粒子の平均粒子径は、先に例示した範囲(2以上の範囲が示されている場合は狭い方の範囲)に収まっている。また、導電ペースト(13及び19)が含む金属粒子の材料はNiとされた。セラミックグリーンシート(11及び17)が含むセラミック粒子の材料はBaTiO3とされた。
【0101】
反りの評価は、以下のように行った。
図4の最下段かつ左側に示すように、上面の最も低い位置と上面の最も高い位置との差を反りの量WPとして計測した。WPを本体部3の厚さTで割るとともに、100を乗じて単位を%にした。比較例及び実施例のそれぞれについて、複数(10個)のサンプルを作製し、WP/T×100(%)の度数分布を調べた。
【0102】
図6及び
図7は、上記の評価結果を示す図である。これらの図において、横軸は、上記のWP/T×100(%)を示している。縦軸は、サンプル数を示している。
図6は、サイズAの比較例及び実施例に対応している。
図7は、サイズBの比較例及び実施例に対応している。各図において、上段は、比較例1に対応し、中段は、比較例2に対応し、下段は、実施例に対応している。
【0103】
これらの図に示されているように、比較例1に対して、比較例2は、反りが大きくなる蓋然性が高くなっている。一方、実施例は、比較例1に対して、反りが小さくなる蓋然性が高くなっている。
【0104】
より詳細には、サイズA(
図6)に着目すると、比較例1Aでは、反りが9%以下であるサンプルは存在しないところ、実施例Aでは、全てのサンプルの反りが9%以下となっている。また、サイズB(
図7)に着目すると、比較例1Bでは、反りが9%以下であるサンプルが1つに留まるところ、実施例Bでは、全てのサンプルの反りが9%以下となっている。
【0105】
(5.他の態様)
(5.1.上下非対称に係る他の例)
図8は、2つのカバー9の非対称性に係る他の例を示す断面図である。なお、既述の非対称性に係る例(カバー9及び/又は下地電極21の厚さの非対称性)及び以下の他の例とは、任意のもの同士が組み合わされても構わない。
【0106】
図8の最上段に示す本体部3Aでは、所定断面において、第1導体層13Aの長さL1Aが、第2導体層13Bの長さL1Bよりも長くなっている。これにより、例えば、焼成前の第1カバー9Aにおける導電ペーストの体積割合が大きくなる。ひいては、第1下地電極21Aを厚くした場合と類似したメカニズムにより、上方を凹とする反りが低減される。
【0107】
この例に示されているように、上下方向の非対称性は、第1導体層13A及び第2導体層13Bの左右方向における構成の相違によって実現されてもよい。長さL1A及び長さL1Bの具体的な差及び比は任意である。左右方向における構成が互いに異なる対象は任意であり、例えば、下地電極21であってもよいし、及び/又は、一部若しくは全部のダミー電極23であってもよい。
【0108】
図8の上から2段目に示す本体部3Bでは、第1ダミー電極23Aの厚さt9Aが第2ダミー電極23Bの厚さt9Bの厚さよりも厚くされている。これにより、例えば、第1下地電極21Aを厚くした場合と同様のメカニズムにより、上方を凹とする反りが低減される。
【0109】
図示の例では、各カバー9におけるダミー電極23が1つのみ図示されている。各カバー9におけるダミー電極23の数が2以上である場合において、t9A>t9Bは、全てのダミー電極23について成立してもよいし、一部のダミー電極23のみについて成立してもよい。厚さt9A及びt9Bの具体的な差及び比等は任意である。下地電極21に係る厚さt3A及びt3Bの差及び比の説明は、厚さt9A及びt9Bの差及び比に援用されてもよい。
【0110】
図8の上から3段目に示す本体部3Cでは、第1導体層13A(第1ダミー電極23A)の層数が第2導体層13B(第2ダミー電極23B)の層数よりも多くされている。これにより、例えば、焼成前の第1カバー9Aにおける導電ペーストの体積割合が大きくなり、第1下地電極21Aを厚くした場合と類似したメカニズムにより、上方を凹とする反りが低減される。
【0111】
図示の例では、第1ダミー電極23Aと第2ダミー電極23Bの層数の差は1層である。ただし、両者の層数の差は、2層以上であってもよい。また、第2ダミー電極23Bの層数に対する第1ダミー電極23Aの層数の比(図示の例では2倍)も任意である。
【0112】
図8の最下段に示す本体部3Dでは、第1カバー9Aとなるセラミックグリーンシートのセラミック粒子31Aの平均粒子径が、第2カバー9Bとなるセラミックグリーンシートのセラミック粒子31Bの平均粒子径よりも大きくされている。
図5の説明から理解されるように、この場合、第1カバー9Aの収縮度合いは、セラミック粒子31Aに代えてセラミック粒子31Bが用いられた場合に比較して小さい。その結果、上方を凹とする反りが低減される。
【0113】
図示の例では、セラミック粒子の平均粒子径を第1カバー9Aと第2カバー9Bとで異ならせている。セラミック粒子の平均粒子径に代えて、又は加えて、導体層13における金属粒子の平均粒子径を第1カバー9Aと第2カバー9Bとで異ならせてもよい。平均粒子径の差及び比は任意である。
【0114】
特に図示しないが、セラミックグリーンシート及び/又は導電ペーストにおける固形分比率に関して、第1カバー9Aを第2カバー9Bよりも大きくして、上方を凹とする反りを低減してもよい。また、導電ペーストが含む共材(セラミック粒子)の割合に関して、第1カバー9Aを第2カバー9Bよりも少なくして、上方を凹とする反りを低減してもよい。
【0115】
図3、並びに、
図8の上から1段目から3段目までの例から理解されるように、上下方向の非対称性は、第1カバー9Aにおける導体層13(未焼成状態の導電ペースト)の体積割合を第2カバー9Bにおけるものよりも大きくすることによって実現されてよい。
【0116】
また、
図3、並びに、
図8の上から2段目及び3段目の例から理解されるように、上下方向の非対称性は、第1カバー9Aにおける導体層13(未焼成状態の導電ペースト)の合計厚さを第2カバー9Bにおけるものよりも厚くすることによって実現されてよい。
【0117】
第1カバー9Aと第2カバー9Bとにおいて、機能部7から何番目の層(11又は13)であるかが互いに同じ層を互いに対応する層と称するものとする。このとき、
図3、
図8の上から2段目から最下段までの例等から理解されるように、上下方向の非対称性は、互いに対応する層の厚さ、互いに対応する層の材料、及び、導体層13の層数の少なくとも1つを互いに異ならせることによって実現されてよい。なお、第1カバー9Aと第2カバー9Bとで導体層13の総数が異なる場合は、第1カバー9Aと第2カバー9Bとの間における互いに対応する層は、特定できなくても構わない。
【0118】
図3、
図8の上から2段目及び3段目の例では、第1導体層13Aを厚くすることに伴って、第1カバー9Aの厚さ(別の観点では、第1導体層13Aの非配置領域における第1セラミック層11Aの厚さ)も厚くされている。ただし、第1カバー9Aの厚さを第2カバー9Bの厚さと同じにしつつ、第1導体層13Aを第2導体層13Bよりも厚くしてもよい。
【0119】
(5.2.端子に係る他の例)
図9は、他の例に係るコンデンサ201の斜視図である。なお、
図3は、コンデンサ201(本体部203)のD1D3断面を示す図として参照されてもよい。
【0120】
コンデンサ201は、概して言えば、2端子タイプである点が4端子タイプであるコンデンサ1と相違する。このようなコンデンサ201においても、これまでに説明した上下方向の非対称性が適用されてよい。特に図示しないが、この他、3端子タイプ等の更に別の端子タイプのコンデンサ1に上下方向の非対称性が適用されても構わない。
【0121】
(5.3.コンデンサ以外の電子部品の他の例)
特に図示しないが、更に他の構成について述べる。
【0122】
コンデンサは、
図1又は
図9に例示された構造の全体を覆う外装樹脂と、外部電極5に接続されているとともに外装樹脂から延び出るリード線とを有していてもよい。別の観点では、コンデンサは、表面実装型のものではなく、スルーホール実装型のものであってもよい。このような態様において、1つの外部電極5は、1つの側面を覆うだけであってもよい。コンデンサは、外部電極5が設けられていない状態(すなわち本体部3)で工場から他の工場へ流通されてもよい。
【0123】
互いに異なる外部電極5に接続される2種の内部電極19は、1枚ずつ交互に積層されるのではなく、2枚ずつ交互に積層されてもよい。この場合、例えば、同一の外部電極5に接続され、互いに対向する内部電極19間の誘電体層17の厚さは、互いに異なる外部電極5に接続され、互いに対向する内部電極19間の誘電体層17の厚さよりも薄くされてよい。このことから理解されるように、複数の誘電体層17は、互いに同じ形状及び大きさを有していなくてもよい。
【0124】
また、互いに異なる外部電極5に接続される2種の内部電極19は、互いに対向していなくてもよい。例えば、互いに異なる外部電極5に接続される2種の内部電極19が同一の層に設けられ、上記2種の内部電極19に対向する内部電極19が設けられることによって、2つの平行平板コンデンサが直列に接続された回路が構成されてもよい。また、3つ以上の平行平板コンデンサが直列に接続された回路が構成されてもよい。
【0125】
図9の例において、内部電極19は、内部電極19のD1方向に平行な2つの長辺よりもD2方向の両側(外側)に広がる誘電体層17によって挟まれ、これにより、上記2つの長辺は本体部203の-D2側の側面及び+D2側の側面から露出しない。ただし、長辺を露出させないようにする構成は、誘電体層17及びセラミック層11によって構成された積層体の-D2側の側面及び+D2側の側面に他の誘電体層を重ねることによって実現されてもよい。別の観点では、本体部は、その全体が積層構造である必要はない。
【0126】
電子部品は、コンデンサに限定されない。例えば、電子部品は、コンデンサ以外の積層型電子部品であってもよいし、積層型でない電子部品であってもよい。積層型電子部品としては、例えば、積層型インダクタ、積層型バリスタ、積層型フェライトビーズ、積層型サーミスタ及び積層型フィルタが挙げられる。積層型でない電子部品は多岐に亘るが、例えば、IC(integrated circuit)が挙げられる。
【0127】
積層型電子部品は、例えば、不導体(例えば誘電体層17)と導体(例えば内部電極19)とが交互に積層されている機能部(7)を有している。このような構成では、例えば機能部を形成する工程の延長上において、1以上のセラミック層11及び1以上の導体層13を有するカバー9を形成できる。従って、実施形態に係るカバー9の構成を採用しても製造工程が複雑化する蓋然性が低減される。
【0128】
積層型セラミックフィルタは、例えば、LC回路を有していてもよい。この例から理解されるように、積層型電子部品は、2以上の機能(コンデンサ及びインダクタ)を実現してもよい。互いに異なる機能を実現する部位は、平面透視において互いに異なる部位であってもよいし、及び/又は側面透視において互いに異なる部位であってもよい。
【0129】
機能部(7)は、上下対称の構成でなくても構わない。反りは、機能部の非対称性に起因して生じてもよい。2つのカバー9の非対称性は、そのような反りの低減に寄与してもよい。
【0130】
(6.実施形態のまとめ)
以下では、実施形態に係る電子部品の構成を抽出して、その抽出された構成の効果を例示する。ただし、以下に例示する効果は、必ずしも奏されなくても構わない。また、以下では、便宜上、いずれかの態様の符号を用いる。ただし、以下で述べる事項は、矛盾等が生じない限り、符号が用いられた態様とは別の態様に援用されてよい。
【0131】
実施形態に係るコンデンサ1(電子部品の一例)は、機能部7と、機能部7に対して+D3側(第1方向の第1側の一例)に重なっている第1カバー9Aと、機能部7に対して-D3側(第2側の一例)に重なっている第2カバー9Bと、を有している。第1カバー9Aは、1層以上の第1セラミック層11Aと、1層以上の第1セラミック層11Aと交互に重なっている1層以上の第1導体層13Aと、を有している。第2カバー9Bは、1層以上の第2セラミック層11Bと、1層以上の第2セラミック層11Bと交互に重なっている1層以上の第2導体層13Bと、を有している。第1カバー9Aの構成と第2カバー9Bの構成とが機能部7に対して互いに非対称である。
【0132】
また、実施形態に係るコンデンサ1の製造方法は、未焼成状態の積層体(本体部3)を得るようにセラミックグリーンシート(11)を積層すること(
図4の上から1段目~3段目)、及び未焼成状態の積層体(本体部3)を焼成すること(
図4の上から3段目)、を含む。未焼成状態の本体部3は、機能部7(例えば未焼成状態)と、機能部7に対して+D3側に重なる未焼成状態の第1カバー9Aと、機能部7に対して-D3側に重なる未焼成状態の第2カバー9Bと、を有している。未焼成状態の第1カバー9Aは、1層以上の第1セラミックグリーンシート(11A)と、1層以上の第1セラミックグリーンシート(11A)と交互に重なっている1層以上の第1導電ペースト(13A)と、を有している。未焼成状態の第2カバー9Bは、1層以上の第2セラミックグリーンシート(11B)と、1層以上の第2セラミックグリーンシート(11B)と交互に重なっている1層以上の第2導電ペースト(13B)と、を有している。未焼成状態の第1カバー9Aの構成と未焼成状態の第2カバー9Bの構成とは、機能部7に対して非対称である。
【0133】
この場合、例えば、既に述べたように、焼成の反りを低減できる。また、第1カバー9A及び第2カバー9Bにおいて生成又は反射される構造的又は電磁気的な振動の周波数又は位相を互いに異ならせ、機能部7内において意図されていない共振が生じる蓋然性を低減できる。また、機能部7が上下非対称でない場合において、製造過程の反りに関して、又は製造後の強度に関して、非対称性を補償することができる。
【0134】
第1カバー9A及び第2カバー9Bは互いに対応する層(11及び/又は13)の厚さ、及び、互いに対応する層(11及び/又は13)の材料、及び、導体層13の層数の少なくとも1つが互いに異なっていてもよい。
【0135】
この場合、例えば、
図8の最上段の本体部3Aのように、平面方向における導体層13の寸法によって上下方向の非対称性を実現する場合に比較して、導体層13が、意図されていない電磁気的な作用を機能部7に及ぼす蓋然性を低減しやすい。あるいは、意図されていない電磁気的な作用の可能性を予測しやすい。また、基準となる設計(比較例1)からの設計変更が容易である。
【0136】
第1カバー9Aは、第2カバー9Bよりも厚くされていてもよい。1層以上の第1導体層13Aの合計厚さは、1層以上の第2導体層13Bの合計厚さよりも厚くされていてもよい。
【0137】
この場合、例えば、既述のとおり、第1カバー9Aの導電ペーストの体積割合を相対的に大きくして、反りを低減できる。また、第1導体層13Aを厚くすることに伴って、第1カバー9Aを厚くしているから、第1セラミック層11Aを薄くする必要性が低減される。その結果、絶縁性が確保されやすい。また、基準となる設計(比較例1)からの設計変更、又は製造工程の変更が容易である。
【0138】
1層以上の第1導体層13Aのうち、最も+D3に位置している第1導体層13A(第1下地電極21A)の厚さは、1層以上の第2導体層13Bのうち、最も前-D3側に位置している第2導体層13B(第2下地電極21B)の厚さよりも厚くされていてもよい。
【0139】
この場合、機能部7から最も離れた位置にて上下方向の非対称性が実現されるから、非対称性に起因して機能部7において意図されていない作用が生じる蓋然性が低減される。また、セラミックグリーンシートは、反り(撓み)の中立面から離れほど、層に沿う方向の圧縮力が反りのモーメントとして作用しやすい。最外層の導体層13を厚くすることによって、そのような圧縮力を低減できる。
【0140】
機能部7のD3方向における厚さは、D3方向に直交するD1方向(第2方向の一例)の長さ、及び、D2方向(第3方向の一例)の長さのそれぞれよりも小さくされていてもよい。
【0141】
この場合、例えば、D3方向への反りが生じやすい。従って、実施形態の反りの低減に寄与可能な構成が有効である。
【0142】
コンデンサ1は、第1カバー9Aを覆っている第1外部電極5aと、第2カバー9Bを覆っている第2外部電極5bと、を更に有していてもよい。1層以上の第1導体層13Aそれぞれは、第1カバー9Aの外側に露出して第1外部電極5aと接合されている部分を有していてもよい。1層以上の第2導体層13Bそれぞれは、第2カバー9Bの外側に露出して第2外部電極5bと接合されている部分を有していてもよい。なお、上記の接合されている部分は、例えば、下地電極21においては機能部7とは反対側の面及び平面視における端部であってよく、ダミー電極23においては平面視における端部であってよい。
【0143】
この場合、例えば、その厚さ等の調整によって反りの低減に寄与し得る導体層13は、外部電極5と本体部3との接着強度の向上に寄与したり、及び/又は、無電解めっき又は電解めっきによって外部電極5を析出させることに寄与したりできる。従って、反りの低減のためだけに導体層13を設けるのではないことから、コンデンサ1の構成が簡素化される。
【0144】
第1外部電極5aは、1層以上の第1セラミック層11Aに直接に接している部分を有しているとともに共材を含んでいないように構成されてもよい。第2外部電極5bは、1層以上の第2セラミック層11Bに直接に接している部分を有しているとともに共材を含んでいないように構成されてもよい。
【0145】
この場合、例えば、外部電極5は、その全面に亘る下地層を必要としない方法によって形成されている。ひいては、反りの低減のための導体ペースト(例えば下地電極21)の非対称性と、外部電極5の構成とを切り離しやすい。その結果、例えば、内部的には非対称でありつつも、外観上は上下対称のコンデンサ1を作製することが容易である。
【0146】
1層以上の第1導体層13Aの主成分を構成する金属粒子27の平均粒子径、及び、1層以上の第2導体層13Bの主成分を構成する金属粒子27の平均粒子径それぞれは、1層以上の第1セラミック層11Aの主成分を構成するセラミック粒子31の平均粒子径、及び、1層以上の第2セラミック層11Bの主成分を構成するセラミック粒子31の平均粒子径のいずれよりも大きくされていてもよい。
【0147】
この場合、例えば、
図5を参照して説明したメカニズムにより反りを低減することができる。
【0148】
1層以上の第1導体層13Aのうち、最も+D3側に位置して第1カバー9Aから+D3側に露出している第1導体層13A(第1下地電極21A)の厚さt3Aは、1層以上の第2導体層13Bのうち、最も-D3側に位置して第2カバー9Bから-D3側に露出している第2導体層13B(第2下地電極21B)の厚さt3Bの1.2倍以上2.5倍以下であってもよい。
【0149】
この場合、例えば、厚さt3Aが厚さt3Bの1.2倍以上であることによって、既述の効果が得られやすい。また、厚さt3Aが厚さt3Bの2.5倍以下であることによって、非対称性に起因する意図されていない不都合が生じる蓋然性が低減される。
【0150】
第1下地電極21Aは、1層以上の第1セラミック層11Aのうち、最も+D3側に位置している第1セラミック層11Aに対して+D3側から埋め込まれていてもよい。第2下地電極21Bは、1層以上の第2セラミック層11Bのうち、最も-D3側に位置している第2セラミック層11Bに対して-D3側から埋め込まれていてもよい。
【0151】
この場合、例えば、別の観点では、最外層のセラミック層11の一部に置換して下地電極21が配置されているから、下地電極21がカバー9に占める割合が大きくなっている。その結果、例えば、第1下地電極21Aと第2下地電極21Bとの構成の相違による上下の非対称性の影響が現れやすい。
【0152】
機能部7は、D3方向に交互に積層された複数の内部電極19及び複数の誘電体層17を有していてもよい。D3方向に透視して、1層以上の第1導体層13A及び1層以上の第2導体層13Bは、複数の内部電極19が互いに重なっている領域(電極本体19a)に重なっている部分を有していてもよい。
【0153】
この場合、例えば、導体層13は、比較的広い面積を有しているということができる。従って、例えば、導体層13を厚くすることによる効果が向上する。
【0154】
なお、以上の実施形態において、コンデンサ1及び201は、それぞれ、電子部品の一例である。D3方向は第1方向の一例である。+D3側は第1側の一例である。-D3側は第2側の一例である。D1方向は第2方向の一例である。D2方向は第3方向の一例である。本開示に係る技術は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【符号の説明】
【0155】
1…コンデンサ(電子部品)、7…機能部、9A…第1カバー、9B…第2カバー、11A…第1セラミック層、11B…第2セラミック層、13A…第1導体層、13B…第2導体層。
【要約】
電子部品は、機能部と、機能部に対して第1方向の第1側に重なっている第1カバーと、機能部に対して第1側とは反対側の第2側に重なっている第2カバーと、を有している。第1カバーは、1層以上の第1セラミック層と、1層以上の第1セラミック層と交互に重なっている1層以上の第1導体層と、を有している。第2カバーは、1層以上の第2セラミック層と、1層以上の第2セラミック層と交互に重なっている1層以上の第2導体層と、を有している。第1カバーの構成と第2カバーの構成とは機能部に対して互いに非対称である。