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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-14
(45)【発行日】2025-05-22
(54)【発明の名称】情報検索プログラム及び情報検索装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20250515BHJP
【FI】
G06Q50/40
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021156185
(22)【出願日】2021-09-24
(62)【分割の表示】P 2020136287の分割
【原出願日】2020-08-12
(65)【公開番号】P2022033059
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-07-27
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】518388498
【氏名又は名称】株式会社MaaS Tech Japan
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】日高 洋祐
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-048559(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111489131(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00ー99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの端末装置と通信可能なコンピュータを、
前記ユーザの出発地、目的地及び予定時刻に関する指定条件を取得する取得手段、
前記指定条件により特定される前記出発地から前記目的地までの移動経路を検索する検索手段、
前記検索手段による検索を通じて抽出された移動経路の混雑度が基準を満たすか否かについて時間帯毎に評価する評価手段、
前記指定条件により特定される前記予定時刻を含む予定時間帯にて前記基準を満たさない旨の評価結果が得られた場合、前記基準を満たす旨の評価結果が得られる別の時間帯にずらして前記移動経路を移動するスケジュールを提案し、時間帯の変更では対処できない場合、前記基準を満たす旨の評価結果が得られ、前記移動経路を迂回する迂回経路を移動するスケジュールを提案する提案手段、
前記検索手段による検索結果又は前記提案手段による提案内容の出力を前記端末装置に指示する出力指示手段、
として機能させるための情報検索プログラム。
【請求項2】
前記提案手段は、交通手段の事業者の選択数が少なくなる前記迂回経路を優先的に提案する、
請求項1に記載の情報検索プログラム。
【請求項3】
ユーザの端末装置と通信可能な情報検索装置であって、
前記ユーザの出発地、目的地及び予定時刻に関する指定条件を取得する取得手段と、
前記指定条件により特定される前記出発地から前記目的地までの移動経路を検索する検索手段と、
前記検索手段による検索を通じて抽出された移動経路の混雑度が基準を満たすか否かについて時間帯毎に評価する評価手段と、
前記指定条件により特定される前記予定時刻を含む予定時間帯にて前記基準を満たさない旨の評価結果が得られた場合、前記基準を満たす旨の評価結果が得られる別の時間帯にずらして前記移動経路を移動するスケジュールを提案し、時間帯の変更では対処できない場合、前記基準を満たす旨の評価結果が得られ、前記移動経路を迂回する迂回経路を移動するスケジュールを提案する提案手段と、
前記検索手段による検索結果又は前記提案手段による提案内容の出力を前記端末装置に指示する出力指示手段と、
を備える情報検索装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報検索プログラム及び情報検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電車やバスを含む交通手段を用いた移動経路の検索に関する様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1には、指定された条件を満たす移動経路が複数存在する場合、各々の移動経路の混雑状況を予測し、その予測結果に基づいてユーザに提案する移動経路を絞り込む技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6667863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1によれば、混雑度が高いエリア及び時間帯をユーザが指定した場合、すべての移動経路の混雑度が基準を満たさず、所望の移動経路をユーザに提案できない可能性がある。
【0005】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、混雑度が高いエリア及び時間帯をユーザが指定する際に、移動時の混雑を回避するための有用な情報をユーザに提示可能な情報検索プログラム及び情報検索装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様における情報検索プログラムは、ユーザの端末装置と通信可能なコンピュータを、前記ユーザの出発地、目的地及び予定時刻に関する指定条件を取得する取得手段、前記指定条件により特定される前記出発地から前記目的地までの移動経路を検索する検索手段、前記検索手段による検索を通じて抽出された移動経路の混雑度が基準を満たすか否かについて時間帯毎に評価する評価手段、前記指定条件により特定される前記予定時刻を含む予定時間帯にて前記基準を満たさない旨の評価結果が得られた場合、前記基準を満たす旨の評価結果が得られる別の時間帯にずらして前記移動経路を移動するスケジュールを提案する提案手段、前記検索手段による検索結果又は前記提案手段による提案内容の出力を前記端末装置に指示する出力指示手段、として機能させる。
【0007】
本発明の第二態様における情報検索プログラムでは、前記基準は、前記移動経路上の地点、区間又は路線における前記混雑度が閾値を上回らないことであり、前記閾値は、前記移動経路を移動するための交通手段の種別に応じて異なる。
【0008】
本発明の第三態様における情報検索プログラムでは、前記評価手段は、複数のレベルの中から1のレベルを選択するとともに、前記1のレベルに対応付けられる複数の閾値を設定して前記混雑度が前記基準を満たすか否かを評価する。
【0009】
本発明の第四態様における情報検索プログラムでは、前記提案手段は、前記予定時刻からのずれ量が少ない時間帯を優先的に提案する。
【0010】
本発明の第五態様における情報検索プログラムでは、前記指定条件は、複数のユーザにおける個別の出発地及び共通の目的地を含み、前記検索手段は、前記個別の出発地から前記共通の目的地までの移動経路をユーザ毎に検索し、前記評価手段は、抽出された移動経路の前記混雑度をユーザ毎に評価し、前記提案手段は、前記混雑度が前記基準を満たすと評価されたユーザ数に基づいて共通の到着時刻を提案する。
【0011】
本発明の第六態様における情報検索プログラムでは、前記指定条件は、複数のユーザにおける共通の出発地及び個別の目的地を含み、前記検索手段は、前記共通の出発地から前記個別の目的地までの移動経路をユーザ毎に検索し、前記評価手段は、抽出された移動経路の前記混雑度をユーザ毎に評価し、前記提案手段は、前記混雑度が前記基準を満たすと評価されたユーザ数に基づいて共通の出発時刻を提案する。
【0012】
本発明の第七態様における情報検索プログラムは、前記コンピュータを、前記端末装置が前記スケジュールを出力する間に該スケジュールに対する前記ユーザの承認操作を受け付けた場合、前記スケジュールの実行に伴うインセンティブを前記ユーザに付与する付与手段としてさらに機能させる。
【0013】
本発明の第八態様における情報検索装置は、ユーザの端末装置と通信可能な装置であって、前記ユーザの出発地、目的地及び予定時刻に関する指定条件を取得する取得手段と、前記指定条件により特定される前記出発地から前記目的地までの移動経路を検索する検索手段と、前記検索手段による検索を通じて抽出された移動経路の混雑度が基準を満たすか否かについて時間帯毎に評価する評価手段と、前記指定条件により特定される前記予定時刻を含む予定時間帯にて前記基準を満たさない旨の評価結果が得られた場合、前記基準を満たす旨の評価結果が得られる別の時間帯にずらして前記移動経路を移動するスケジュールを提案する提案手段と、前記検索手段による検索結果又は前記提案手段による提案内容の出力を前記端末装置に指示する出力指示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、混雑度が高いエリア及び時間帯をユーザが指定する際に、移動時の混雑を回避するための有用な情報をユーザに提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態における情報検索システムの全体構成図である。
図2図1におけるユーザ端末及び交通検索サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図2における交通検索サーバの機能ブロックの一例を示す図である。
図4】情報検索システムの動作を示すフローチャートである。
図5】ユーザ端末に表示される検索入力画面の一例を示す図である。
図6図3の閾値テーブルが有するデータ構造の一例を示す図である。
図7図3の状況情報が有するデータ構造の一例を示す図である。
図8】混雑回避行動の一例を模式的に示す図である。
図9】ユーザ端末に表示される検索出力画面の一例を示す図である。
図10図3の指定条件が有するデータ構造の一例を示す図である。
図11】自宅及び事業所の位置関係を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対して可能な限り同一の符号を付するとともに、重複する説明を省略する場合がある。
【0017】
[情報検索システム10の構成]
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態における情報検索システム10の全体構成図である。情報検索システム10は、ユーザによる検索の要求に応じて、交通手段の移動経路に関する検索結果を提示する「情報検索サービス」を提供可能に構成される。ここで、「交通手段」は、特定多数の人又は不特定多数の人が共同で利用可能であって乗降所が設けられる移動手段を意味する。交通手段の一例として、鉄道、バス、タクシー、路面電車、航空機、船舶などが挙げられる。
【0018】
この情報検索システム10は、具体的には、1又は複数のユーザ端末12(「端末装置」に相当)と、交通検索サーバ14(「情報検索装置」に相当)と、1又は複数の交通管理サーバ16と、作業端末18と、を含んで構成される。各々のユーザ端末12は、ネットワークNTを通じて、交通検索サーバ14と相互に通信可能である。同様に、交通管理サーバ16及び作業端末18は、ネットワークNTを通じて、交通検索サーバ14と相互に通信可能である。
【0019】
ユーザ端末12は、ユーザが所有する据置型又は携帯型のコンピュータである。ユーザ端末12は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン、ウェアラブルデバイスなどから構成される。
【0020】
交通検索サーバ14は、上記した情報検索サービスに関する各種制御を行うサーバコンピュータである。図1の例では、交通検索サーバ14を単体のコンピュータとして示しているが、これに代わって、交通検索サーバ14は、分散システムを構築するコンピュータ群であってもよい。また、交通検索サーバ14は、クラウド型のサーバ(いわゆる、クラウドサーバ)であってもよいし、オンプレミス型のサーバであってもよい。
【0021】
交通管理サーバ16は、交通手段の管理に関わる統括的な制御を行うサーバコンピュータである。交通管理サーバ16は、図示しない通信手段を用いて、様々な外部装置から、交通手段の運行又は利用に関する交通状況を分析するための様々なデータを収集可能に構成される。外部装置の一例として、[1]交通手段としての移動体M、[2]停留所に設けられる交通設備、[3]移動経路の周辺に設けられる交通設備、[4]交通手段の利用者が所持する携帯端末などが挙げられる。得られるデータの一例として、[1]移動体Mの位置・速度・車体荷重の検出信号や、アクセル・ブレーキなどの操作状態を示す操作信号、[2]改札ゲートの通過人数を示す計数信号や、カメラ画像信号・音声信号、[3]移動体Mの存否・地点通過の有無や、移動体Mとの距離を示す検出信号、[4]利用者が所持する携帯端末の測位情報などが挙げられる。
【0022】
作業端末18は、交通検索サーバ14が保持する制御パラメータを設定・変更するためのコンピュータである。この制御パラメータには、例えば、交通システムの運用時の管理レベル(以下、単に「レベル」ともいう)が含まれる。このレベルは、新型コロナウィルスなどの感染症を例に挙げると、[1]外出の自粛が要求される「感染蔓延期」、[2]感染の拡大防止活動と経済活動の両立が要求される「感染移行期」、[3]クラスタ感染に留意すれば元の経済活動を行える「感染終息期」などに分類される。
【0023】
<ハードウェア構成>
図2は、図1におけるユーザ端末12及び交通検索サーバ14のハードウェア構成の一例を示す図である。図面の下側に示すユーザ端末12は、通信I/F21と、入力装置22と、出力装置23と、プロセッサ24と、メモリ25と、記憶装置26と、を含んで構成される。一方、図面の上側に示す交通検索サーバ14は、通信I/F31と、プロセッサ34と、メモリ35と、記憶装置36と、を含んで構成される。
【0024】
通信I/F21,31は、外部装置に対して電気信号を送受信するインターフェースである。これにより、ユーザ端末12は、交通検索サーバ14との間で様々なデータをやり取りできる。
【0025】
入力装置22は、マウス、キーボード、タッチセンサ、マイクロフォンを含むデバイスである。出力装置23は、ディスプレイ、スピーカを含むデバイスからなる。ユーザ端末12は、入力装置22による入力機能と出力装置23による表示機能を組み合わせることで、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を構築する。
【0026】
プロセッサ24,34は、CPU(Central Processing Unit)を含む汎用プロセッサであってもよいし、GPU(Graphics Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)を含む専用プロセッサであってもよい。メモリ25,35は、非一過性の記憶媒体であり、プロセッサ24,34が各構成要素を制御するのに必要なプログラム及びデータを記憶している。記憶装置26,36は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)やソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)を含む非一過性の記憶媒体である。
【0027】
<機能ブロック>
図3は、図2における交通検索サーバ14の機能ブロックの一例を示す図である。交通検索サーバ14は、メモリ35などに格納された情報検索プログラムを読み出して実行することで、取得手段40、検索手段42、評価手段44、提案手段46、出力指示手段48、付与手段50及び記憶手段52として機能する。取得手段40は、図2の通信I/F31及びプロセッサ34によって実現される手段である。検索手段42、評価手段44及び提案手段46はそれぞれ、図2のプロセッサ34により実現される手段である。出力指示手段48は、図2の通信I/F31及びプロセッサ34によって実現される手段である。付与手段50は、図2のプロセッサ34によって実現される手段である。記憶手段52は、図2の記憶装置36によって実現される手段である。
【0028】
取得手段40は、ユーザ端末12との間の通信により、後述する指定条件60を取得する。また、取得手段40は、交通管理サーバ16との間の通信により、後述する予測状況情報68又は予測状況情報68を生成するための様々なデータ(例えば、傾向情報又はリアルタイム情報)を取得する。
【0029】
検索手段42は、記憶手段52により構築された経路DB54を参照して、指定条件60に基づく移動経路の検索処理を行う。具体的には、検索手段42は、様々な経路検索手法を用いて、指定された出発地及び目的地をそれぞれ始点及び終点とする経路検索を行い、検索結果として移動経路の候補を1又は複数抽出する。
【0030】
評価手段44は、検索手段42による検索を通じて抽出された移動経路の混雑度が基準を満たすか否かについて時間帯毎に評価する。ここで、「検索を通じて抽出」とは、最終的な検索結果のみならず、暫定的又は中間的な検索結果も含まれる。また、「混雑度」とは、移動体Mの室内又は停留所構内の混み具合(例えば、乗車率や満席率)を意味する。また、「時間帯毎に評価」とは、出発時刻又は到着時刻のいずれかを所定の時間間隔でずらしながら逐次的に評価することを意味する。この時間帯は、例えば時間幅が20分である場合、6:00~6:20、6:20~6:40、・・・のように予め設定されてもよいし、出発時刻=6:15として6:15~6:35、6:35~6:55、・・・のように予定時刻を基準として動的に設定されてもよい。
【0031】
混雑度の「基準」は、定量的な基準であってもよいし、定性的な基準であってもよい。例えば、評価手段44は、路線情報64、時刻表情報66及び予測状況情報68を用いて、移動経路上の地点、区間又は路線における混雑度を算出し、得られた混雑度が閾値以下である場合に基準を満たすものと評価する一方、混雑度が閾値を上回る場合に基準を満たさないものと評価する。また、評価手段44は、複数のレベルの中から1のレベルを選択するとともに、閾値テーブル58を読み出して当該1のレベルに対応付けられる複数の閾値を設定する。
【0032】
提案手段46は、指定条件60により特定される予定時刻を含む予定時間帯にて、移動経路の混雑度が基準を満たさない旨の評価結果が得られた場合、基準を満たす旨の評価結果が得られるスケジュール(つまり、混雑回避行動)を提案する。この混雑回避行動の一例として、時間帯の変更や迂回経路の選択などが挙げられる。[1]前者の例では、提案手段46は、基準を満たす旨の評価結果が得られる別の時間帯にずらして移動経路を移動するスケジュールを提案する。ここで、提案手段46は、複数の時間帯にて基準を満たす場合には、予定時刻からのずれ量が少ない時間帯を優先的に提案してもよい。[2]後者の例では、提案手段46は、検索手段42の検索を通じて抽出された移動経路に代わって、基準を満たす旨の評価結果が得られる別の迂回経路を移動するスケジュールを提案する。ここで、提案手段46は、複数の移動経路にて基準を満たす場合には、交通手段の事業者の選択数及び/又は混雑度が少ない移動経路を優先的に提案してもよい。
【0033】
出力指示手段48は、検索手段42による検索結果又は提案手段46による提案内容の出力をユーザ端末12に指示する。ここで、出力の態様は、人間の五感に訴える態様であればよく、例えば、文字・図形を含む可視情報の表示、音声ガイダンス・警告音を含む可聴情報の出力、又はこれらの組み合わせが考えられる。
【0034】
付与手段50は、提案手段46により提案されたスケジュールをユーザ端末12が出力する間に、該スケジュールに対するユーザの承認操作を受け付けた場合、スケジュールの実行に伴うインセンティブをユーザに付与する。インセンティブの種類は、例えば、電子クーポン、ポイントなどが挙げられる。電子クーポンの対象は、移動経路の周辺にある店舗が販売する商品又はサービスであってもよいし、交通手段の利用に関する商品又はサービスであってもよい。
【0035】
記憶手段52は、交通手段を用いた移動経路に関するデータベース(以下、「経路DB54」という)、地図に関するデータベース(以下、地図DB55)及び交通状況に関するデータベース(以下、交通状況DB56)がそれぞれ構築されている。また、記憶手段52は、閾値テーブル58、指定条件60、及び出力情報62を一時的又は恒久的に記憶する。
【0036】
経路DB54には、例えば、[1]駅(ノード)、区間(リンク)、路線名、区間毎の車線数などの路線情報64、[2]時刻表や列車の種別(普通・快速・特急)などの時刻表情報66が含まれる。地図DB55には、例えば、[1]駅の位置などの乗降所情報、[2]ユーザが利用する施設(例えば、店舗)の位置・種類・商品情報などの施設情報が含まれる。交通状況DB56には、[1]ビッグデータの分析などで得られた交通状況の傾向を示す傾向情報、[2]様々な外部装置の測定により得られたリアルタイム情報、[3]傾向情報及びリアルタイム情報を用いて生成した予測状況情報68などが含まれる。
【0037】
閾値テーブル58は、評価手段44による混雑度の評価に用いられる複数の閾値を格納するテーブルデータである。この閾値は、上記したレベル毎又は交通手段の種別毎に対応付けられている。
【0038】
指定条件60は、ユーザにより指定された検索条件を意味し、例えば、[1]出発地を示す出発地情報、[2]到着地を示す到着地情報、[3]予定出発時刻又は予定到着時刻(以下、まとめて「予定時刻」ともいう)を示す時間情報などが含まれる。この時間情報には、予定時刻に対する前倒し又は後倒しの許容時間がさらに含まれてもよい。
【0039】
出力情報62は、検索手段42による検索結果又は提案手段46による提案内容を含む。提案手段46により混雑回避行動が提案されなかった場合は、出力情報62は、検索手段42による検索結果を示す情報である。一方、提案手段46により混雑回避行動が提案された場合は、出力情報62は、提案手段46による提案内容を示す情報である。
【0040】
[情報検索システム10の動作]
<全体動作>
本実施形態における情報検索システム10は、以上のように構成される。続いて、情報検索システム10の動作、特にユーザ端末12と交通検索サーバ14の間の連携動作について、図4図9を参照しながら説明する。図4のフローチャートのステップSP16~SP26,SP34は交通検索サーバ14により実行される一方、残りのステップはユーザ端末12により実行される。
【0041】
図4のステップSP10において、ユーザ端末12は、情報検索用アプリケーションの起動中、検索条件を指定・入力するための画面(以下、検索入力画面80)を出力装置23に表示させる。
【0042】
図5は、ユーザ端末12の出力装置23に表示される検索入力画面80の一例を示す図である。検索入力画面80上には、経路入力欄82と、第1時間入力欄84と、選択欄86と、第2時間入力欄88と、[検索]と表記されたボタン90と、が設けられている。
【0043】
経路入力欄82は、出発地に関する出発地情報(例えば、駅名)を入力可能なユーザコントロールと、目的地に関する目的地情報(例えば、駅名)を入力可能なユーザコントロールと、を備える。第1時間入力欄84は、予定日時に関する時間情報(例えば、年月日及び時刻)を入力可能な第1ユーザコントロールと、予定日時の定義(例えば、出発時又は到着時)を入力可能な第2ユーザコントロールと、を備える。選択欄86は、混雑回避行動を提案する機能(以下、単に「提案機能」ともいう)のオン・オフを選択可能なユーザコントロールを備える。第2時間入力欄88は、予定日時に対する前倒しの許容時間(例えば、時間・分単位)を入力可能な第1ユーザコントロールと、予定日時に対する後倒しの許容時間(例えば、時間・分単位)を入力可能な第2ユーザコントロールと、を備える。
【0044】
図4のステップSP12において、ユーザ端末12は、ユーザによる検索要求があったか否かを確認する。図5の例では、ユーザ端末12は、検索入力画面80上の[検索]ボタン90をクリック又はタッチする操作を受け付けたか否かを確認する。検索要求がなかった場合(ステップSP12:NO)、ステップSP10に戻って、所定の要求操作を受け付けるまでの間、ステップSP10,SP12を順次繰り返す。一方、検索要求があった場合(ステップSP12:YES)、次のステップSP14に進む。
【0045】
ステップSP14において、ユーザ端末12は、指定条件60に対応する情報の提供を要求する。具体的には、ユーザ端末12は、ステップSP12の要求時刻に検索入力画面80(図5)を介して指定された検索条件(つまり、指定条件60)を取得した後、この指定条件60をユーザ端末12の端末IDと対応付けて交通検索サーバ14に送信する。
【0046】
ステップSP16において、交通検索サーバ14の取得手段40は、ユーザ端末12からの受信を通じて、ユーザにより提示された指定条件60を取得する。
【0047】
ステップSP18において、交通検索サーバ14の検索手段42は、ステップSP16で取得された指定条件60に基づいて移動経路の検索を行う。この検索結果として、1又は複数の移動経路の候補が抽出される。ここで、提案機能が「オン」の場合には、以下のステップSP20~SP24が実行される。一方、提案機能が「オフ」の場合には、以下のステップSP20~SP24の実行がすべて省略される。
【0048】
ステップSP20において、交通検索サーバ14の評価手段44は、ステップSP18で抽出された移動経路の混雑度が基準を満たすか否かについて評価する。ここでは、予定時刻が「出発時刻=7:00」である場合を例に挙げて、図6及び図7を参照しながら詳細に説明する。
【0049】
図6は、図3の閾値テーブル58が有するデータ構造の一例を示す図である。この閾値テーブル58は、[1]混雑度評価用の制御変数を示す「レベル」と、[2]レベルに対応付けられた「定義」と、[3]交通手段毎の「閾値」との間の対応関係を示すテーブル形式のデータである。ここでは、評価手段44が複数のレベルの中から1のレベル(例えば「2」)を選択することで、交通手段の種別毎の閾値(例えば、鉄道=70、新幹線=50、バス=55など)が設定される。
【0050】
図7は、図3の予測状況情報68が有するデータ構造の一例を示す図である。この予測状況情報68は、[1]交通手段の事業者を示す「交通機関」と、[2]駅(ノード)であるか区間(リンク)であるかを示す「種別」、[3]駅又は区間の識別情報である「ID」と、[4]区間の上り/下りを示す「進行方向」と、[5]車内又は駅構内の混み具合(ここでは、定員を基準とする百分率)を示す「混雑度」との間の対応関係を示すテーブル形式のデータである。このデータは、所定の時間間隔(例えば、15分おき)にて予測又は測定される値を示している。
【0051】
まず、評価手段44は、抽出された移動経路の他に、路線情報64、時刻表情報66及び予測状況情報68を参照することで、利用中の交通手段及び混雑度を時間毎に特定する。そして、評価手段44は、閾値テーブル58を読み出した後、混雑度の時系列に対して閾値判定を行うことで移動経路の混雑度を評価する。例えば、すべての混雑度が閾値以下である場合に基準を満たすと評価される一方、1つ以上の混雑度が閾値を上回る場合に基準を満たさないと評価される。
【0052】
図4のステップSP22において、評価手段44は、予定時刻を含む予定時間帯にて評価された混雑度が基準を満たすか否かを確認する。当該混雑度が基準を満たす場合(ステップSP22:YES)、ステップSP24の実行をスキップし、ステップSP26に進む。一方、当該混雑度が基準を満たさない場合(ステップSP22:NO)、ステップSP24に進む。
【0053】
ステップSP24において、提案手段46は、移動経路の混雑度が基準を満たすようなスケジュール(つまり、混雑回避行動)を提案する。この混雑回避行動の一例として、時間帯の変更や迂回経路の選択などが挙げられる。以下、この提案方法について図8を参照しながら詳細に説明する。
【0054】
図8は、混雑回避行動の提案方法の一例を模式的に示す図であり、より詳しくは、駅及び路線の位置関係を示している。互いに交差する5本の曲線は鉄道の「路線」(L1~L5)を示すとともに、曲線上にある7個の丸印は「駅」(A,B,S1~S5)を示している。なお、一本線で示すL1~L4は同一の交通事業者により運営される路線であり、二本線で示すL5のみが異なる交通事業者によって運営される路線であるとする。
【0055】
ここで、出発地をA駅、目的地をB駅とする経路検索を行った結果、路線L1,L2(S1駅を経由)を利用する移動経路が最適経路であるとの検索結果が得られる。ところが、出発時刻を7:00に指定した場合、路線L1の混雑区間(時間帯は、7:00~9:00)を通過するため、混雑に巻き込まれる可能性がある。そこで、提案手段46は、[1]A駅の出発時刻を7:00から6:15に早める、又は[2]A駅の出発時刻を7:00から8:45に遅らせる行動を提案してもよい。最適経路を変更せずに移動を行う時間帯をずらすことで、混雑を回避できるのみならず、交通手段の遅延に伴う移動所要時間の増加を抑制する効果もある。
【0056】
ところで、予定時刻が「出発時刻=7:00かつ許容シフト時間=±30分」であり、時間帯の変更では対処できない場合には、提案手段46は、[3]最適経路に代えて迂回経路を選択する行動を提案してもよい。図8の例では、迂回経路は、路線L3,L4,L2(S2駅、S3駅を経由)を利用する移動経路である。時間帯をずらさずに移動経路を変更することで、最適経路と比べて、乗り換え回数が増えて移動所要時間が長くなる欠点もあるが、混雑を回避しつつも当初の計画通りに目的地に到着することができる。
【0057】
なお、迂回経路の候補として、路線L3,L5,L2(S2駅→S4駅、S5駅→S1駅を経由)を利用する移動経路も考えられる。ところが、路線L5は、他の路線とは異なる交通事業者が運営することから、運賃が割高になり、乗り換えが不便になるなどの不利益が生じやすい。そこで、提案手段46は、交通手段の事業者の選択数が少なくなる迂回経路を優先的に提案してもよい。
【0058】
図4のステップSP26において、出力指示手段48は、ステップSP18での検索結果又はステップSP24での提案内容を用いて出力情報62を生成し、該出力情報62の出力をユーザ端末12に指示する。具体的には、出力指示手段48は、該当する端末IDを有するユーザ端末12に出力情報62を送信する。
【0059】
ステップSP28において、ユーザ端末12は、交通検索サーバ14からの受信を通じて、指定条件60に対応する出力情報62を取得する。
【0060】
ステップSP30において、ユーザ端末12は、ステップSP28で取得された出力情報62を出力するための画面(以下、検索出力画面100)を出力装置23に表示させる。
【0061】
図9は、ユーザ端末12の出力装置23に表示される検索出力画面100の一例を示す図である。検索出力画面100上には、検索結果又は提案内容に関する3つの情報欄102,104,106が設けられている。
【0062】
情報欄102は、混雑度の評価情報(例えば、路線名、該当箇所、該当時間帯、混雑の原因、遅延見込時間など)を示している。情報欄104は、出発地(A駅)から目的地(B駅)までの移動経路、出発/到着時刻、路線名、料金を示している。出発時刻をずらした旨をユーザに報知するため、情報欄104内の対応箇所に警告を示すマーク108が重ねて配置されている。情報欄106は、混雑回避行動に伴うアクティビティ(例えば、食事、喫茶、散歩、マッサージなど)の提案内容を示している。
【0063】
図4のステップSP32において、ユーザ端末12は、ユーザによる承認操作に応じて、情報欄106に示す提案内容を承認した旨の通知を行う。図9の例では、ユーザ端末12は、検索出力画面100上のアイコン110をクリック又はタッチする操作を受け付けると、アイコン110の識別情報を端末IDと対応付けて交通検索サーバ14に送信する。
【0064】
ステップSP34において、付与手段50は、ステップSP32にて承認操作を行ったユーザに対してインセンティブを付与する。例えば、付与手段50は、アイコン110の識別情報から承認済みのアクティビティを特定した後、B駅周辺にある該当店舗(ここでは、飲食店)で利用可能な電子クーポンを発行する。ユーザ端末12が交通検索サーバ14から電子クーポンを受信することで、ユーザは、B駅に到着して朝食をとる際にその電子クーポンを使用することができる。
【0065】
以上のようにして、情報検索システム10の動作が終了する。これにより、移動経路の検索結果や混雑回避行動の提案内容が、表示を通じてユーザに提示される。
【0066】
<別の検索例>
上記した例では、1のユーザに対する経路検索について説明したが、複数のユーザに対する経路検索を行ってもよい。以下、従業員の出勤時間を決定するための検索例について、図10及び図11を参照しながら説明する。
【0067】
(1)まず、取得手段40は、会社の従業員における個別の出発地及び共通の目的地を含む指定条件60を取得する。ここで、「個別の出発地」は従業員の自宅120に相当するとともに、「共通の目的地」は会社の事業所122に相当する。
【0068】
図10は、図3の指定条件60が有するデータ構造の一例を示す図である。この指定条件60は、[1]共通の目的地である「事業所所在地」と、[2]共通の予定時刻である「標準始業時間」及び「標準終業時間」と、[3]事業所の「最寄り駅」及び最寄り駅から事業所までの「移動手段」と、[4]個別の出発地である「従業員住所」との間の対応関係を示すテーブル形式のデータである。ここで、事業所所在地及び従業員住所はそれぞれ、地図DB55によって地図上の位置を特定可能な情報(例えば、住所や緯度・経度)である。
【0069】
(2)次に、検索手段42は、指定条件60によりそれぞれ特定される個別の出発地(つまり、自宅120)から共通の目的地(つまり、事業所122)までの移動経路を従業員毎に検索する。
【0070】
図11は、自宅120及び事業所122の位置関係を模式的に示す図である。分岐点から分岐する2本の実線は鉄道の「路線」(L6,L7)を示すとともに、実線上にある5個の丸印は「駅」(U1~U5)を示している。自宅120からの移動圏内(例えば、半径R以内)には、3つのU1駅,U2駅、U4駅がある。この場合、従業員は、自宅120を出発した後、路線L6及び社バス126を利用して事業所122に向かう移動経路に従って通勤することができる。あるいは、従業員は、自宅120を出発した後、路線L7及び社バス126を利用して事業所122に向かう移動経路に従って通勤することができる。このように、検索手段42は、交通手段の利用地点(乗車地点又は降車地点)の選択肢を拡げつつ、移動経路の候補を複数抽出してもよい。
【0071】
(3)次に、評価手段44は、抽出された移動経路の混雑度が基準を満たすか否かについて、時間帯毎かつ従業員毎に評価する。この評価には、図4のステップSP20で既に説明した手法と同一の又は異なる手法が採用され得る。
【0072】
(4)最後に、提案手段46は、評価がなされた様々な時間帯のうち、混雑度が基準を満たすと評価された従業員数に基づいて共通の到着時刻を提案する。具体的には、提案手段46は、指定された到着時刻を含む時間帯にて基準を満たす旨の評価結果が得られた従業員数を計上することで、到着時刻毎の得点が得られる。そして、提案手段46は、この得点が全従業員数に一致する最も早い到着時刻(共通の到着時刻)を求め、この到着時刻から当該事業所122の始業時刻(あるいは出社時刻)を提案してもよい。これにより、複数の従業員に対してより適した出勤スケジュールを提示することができる。
【0073】
これと同様に、提案手段46は、複数の従業員に共通する出発時刻を提案してもよい。この場合、この場合、提案手段46は、上記した得点が全従業員数に一致する最も遅い出発時刻(共通の出発時刻)を求め、この出発時刻から当該事業所122の終業時刻(あるいは退社時間)を提案する。なお、会社の事業所122が「共通の出発地」になり、従業員の自宅120が「個別の到着地」になる点に留意する。
【0074】
[実施形態による効果]
以上のように、交通検索サーバ14は、少なくとも1台のユーザ端末12と通信可能な情報検索装置である。交通検索サーバ14は、ユーザの出発地、目的地及び予定時刻に関する指定条件60を取得する取得手段40と、指定条件60により特定される出発地から目的地までの移動経路を検索する検索手段42と、検索手段42による検索を通じて抽出された移動経路の混雑度が基準を満たすか否かについて時間帯毎に評価する評価手段44と、指定条件60により特定される予定時刻を含む予定時間帯にて基準を満たさない旨の評価結果が得られた場合、基準を満たす旨の評価結果が得られる別の時間帯にずらして移動経路を移動するスケジュールを提案する提案手段46と、検索手段42による検索結果又は提案手段46による提案内容の出力をユーザ端末12に指示する出力指示手段48と、を備える。
【0075】
また、コンピュータが実行する情報検索プログラム及び情報検索方法によれば、交通検索サーバ14が、ユーザの出発地、目的地及び予定時刻に関する指定条件60を取得し(図4のSP16)、指定条件60により特定される出発地から目的地までの移動経路を検索し(SP18)、検索を通じて抽出された移動経路の混雑度が基準を満たすか否かについて時間帯毎に評価し(SP20)、指定条件60により特定される予定時刻を含む予定時間帯にて基準を満たさない旨の評価結果が得られた場合(SP22:NO)に、基準を満たす旨の評価結果が得られる別の時間帯にずらして移動経路を移動するスケジュールを提案し(SP24)、検索結果又は提案内容の出力をユーザ端末12に指示する(SP26)。
【0076】
このように、基準を満たす旨の評価結果が得られる別の時間帯にずらして移動経路を移動するスケジュールを提案することで、移動経路を変更することなく、移動の時間帯を変更する他の選択肢がユーザに与えられる。これにより、混雑度が高いエリア及び時間帯をユーザが指定する際に、移動時の混雑を回避するための有用な情報をユーザに提示することができる。
【0077】
また、上記した基準が、移動経路上の地点、区間又は路線における混雑度が閾値を上回らないことである場合、閾値は、移動経路を移動するための交通手段の種別に応じて異なってもよい。これにより、交通手段の利用態様が種別毎に異なる点を反映させた適切な評価を行うことができる。
【0078】
また、評価手段44は、複数のレベルの中から1のレベルを選択するとともに、1のレベルに対応付けられる複数の閾値を設定して混雑度が基準を満たすか否かを評価してもよい。これにより、個別に設定する場合と比べて、閾値の設定及び管理が容易になる。
【0079】
また、提案手段46は、予定時刻からのずれ量が少ない時間帯を優先的に提案してもよい。これにより、スケジュールの変更による影響を可能な限り小さくすることができる。
【0080】
また、指定条件60が、複数のユーザにおける個別の出発地及び共通の目的地を含み、検索手段42が、個別の出発地から共通の目的地までの移動経路をユーザ毎に検索し、評価手段44が、混雑度が基準を満たすか否かについて時間帯毎かつユーザ毎に評価する場合、提案手段46は、混雑度が基準を満たすと評価されたユーザ数に基づいて共通の到着時刻を提案してもよい。これにより、複数のユーザに対してより適した集合スケジュールを提示することができる。
【0081】
また、指定条件60が、複数のユーザにおける共通の出発地及び個別の目的地を含み、検索手段42が、共通の出発地から個別の目的地までの移動経路をユーザ毎に検索し、評価手段44が、混雑度が基準を満たすか否かについて時間帯毎かつユーザ毎に評価する場合、提案手段46は、混雑度が基準を満たすと評価されたユーザ数に基づいて共通の出発時刻を提案してもよい。これにより、複数のユーザに対してより適した解散スケジュールを提示することができる。
【0082】
また、付与手段50は、ユーザ端末12がスケジュールを出力する間に該スケジュールに対するユーザの承認操作を受け付けた場合、スケジュールの実行に伴って利用可能なインセンティブをユーザに付与してもよい。これにより、交通手段の利用時における混雑の緩和を促進することができる。
【0083】
[変形例]
なお、本発明は上記の具体例に限定されるものではない。すなわち、上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、前述した実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0084】
上記した実施形態では、混雑度を示す指標として乗車率を例に挙げて説明したが、指標の定義はこれに限られない。例えば、数値が小さくなるほど混雑度が高くなるように定義される指標(具体的には、空席率など)が用いられてもよい。この場合、基準は、乗車率とは逆に、空席率が閾値を下回らないことになる。
【0085】
上記した実施形態では、取得手段40が、手動により入力された指定条件60を取得する場合を例示して説明したが、指定条件60の取得方法はこれに限られない。例えば、交通検索サーバ14がスケジュール管理アプリと連携可能である場合、取得手段40は、予め登録されているスケジュール情報に基づいて指定条件60を取得してもよい。例えば、取得手段40は、スケジュールに組み込まれているイベントの指定に応じて、当該イベントを計画通りに遂行するための指定条件60を自動的に生成してもよい。
【0086】
上記した実施形態では、移動経路の検索を行う前に、ユーザが、図5の検索入力画面80(具体的には、選択欄86)を介して提案機能のオン・オフを選択する場合を例示して説明したが、これに代えて、ユーザ端末12が、検索出力画面100のユーザコントロールの操作に応じて、提案内容の表示/非表示を切替可能に構成されてもよい。この場合、交通検索サーバ14が、移動経路の検索結果及び混雑回避行動の提案内容の両方を含む出力情報62をユーザ端末12に送信すればよい。
【0087】
上記した実施形態では、ユーザが、図5の検索入力画面80(具体的には、第2時間入力欄88)を介して時間ずれ量の許容値を指定する場合を例示して説明したが、許容値の指定方法はこれに限られない。例えば、この許容値が予め固定されてもよいし(例えば、予定時刻±2時間)、そもそも時間ずれ量の制限が設けられない場合もあり得る。
【0088】
上記した実施形態では、提案手段46が、最適経路を変更せずに時間帯の変更を試み、時間帯の変更では対処できない場合には、最適経路に代えて迂回経路を選択する行動を提案する場合を例示して説明したが、混雑回避行動の提案方法はこれに限られない。例えば、提案手段46は、混雑度の基準及び他の追加条件を同時に満たす迂回経路の有無を確認して該当する迂回経路がない場合に、最適経路を変更せずに時間帯を変更する行動を提案してもよい。あるいは、提案手段46は、ユーザ(例えば、操作、嗜好、属性など)に応じて、[1]時間帯を変更する提案、又は[2]迂回経路を選択する提案の優先度を変更してもよい。
【0089】
上記した実施形態では、従業員の出勤時間を決定する検索例において、提案手段46は、到着時刻毎の得点が全従業員数に一致する最も早い到着時刻を「共通の到着時刻」として求めているが、混雑度の基準を満たす従業員の割合は100%に限られない。例えば、当該割合が閾値(例えば、80%)以上である最も早い到着時刻を「共通の到着時刻」として求めてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10…情報検索システム、12…ユーザ端末(端末装置)、14…交通検索サーバ(情報検索装置)、40…取得手段、42…検索手段、44…評価手段、46…提案手段、48…出力指示手段、50…付与手段、52…記憶手段、60…指定条件、62…出力情報

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11