(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-14
(45)【発行日】2025-05-22
(54)【発明の名称】ブースの組立構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20250515BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20250515BHJP
【FI】
E04B1/343 M
E04H1/12 302Z
E04H1/12 A
(21)【出願番号】P 2021184674
(22)【出願日】2021-11-12
【審査請求日】2024-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】391063396
【氏名又は名称】株式会社ナイキ
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】小山 裕康
(72)【発明者】
【氏名】高本 順平
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-50571(JP,A)
【文献】実公昭51-045856(JP,Y1)
【文献】実公昭27-5833(JP,Y1)
【文献】特開2020-139286(JP,A)
【文献】特開2011-214313(JP,A)
【文献】特開平10-18475(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0133063(KR,A)
【文献】特開2021-67033(JP,A)
【文献】特開2021-67104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04H 1/12
E04B 2/72
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に立設される第1のパネルと、該第1のパネルの幅方向の両端部に90°の角度で接続される第2のパネル及び第3のパネルとを備えるようにしたブースの組立構造であって、第1のパネル、第2のパネル及び第3のパネルを、幅方向の両端部を
、先端が延びる方向に対して45°に折り曲げ、
さらに、その先端を
、先端が延びる方向に対して135°に折り曲げて折り返し部を形成した2枚の鋼板を、対向する折り返し部の間に隙間が形成されるように向き合わせて一体化したものから構成し、第1のパネルと第2のパネル及び第1のパネルと第3のパネルの幅方向の端部同士を突き合わせた両パネル間に、隙間からの抜け止め部を形成したアングル形状の上部連結具及び下部連結具を架け渡して装着するようにしたことを特徴とするブースの組立構造。
【請求項2】
前記上部連結具が、上部連結具に形成した止め板を介して、第1のパネル及び第2のパネル並びに第1のパネル及び第3のパネルの上部に固定されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のブースの組立構造。
【請求項3】
前記下部連結具が、第1のパネル、第2のパネル及び第3のパネルに配設した接地部材に当接、支持されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のブースの組立構造。
【請求項4】
前記第1のパネルと第2のパネル及び第1のパネルと第3のパネルの幅方向の端部同士を突き合わせた両パネル間に、隙間隠し部材を装着するようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のブースの組立構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブースの組立構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、事務作業の多様化に伴い、複数のパネルを連結して構成したブースによって事務スペースを区画し、集中して作業ができるプライベート空間を構成する要請があり、そのためのブースが提案され、実用化されてきている(例えば、特許文献1~2参照。)。
【0003】
ところで、従来のブースは、隣接するパネルの上下端部を連結具を用いて連結して組み立てる構造のため、組み立てに際して重量のあるパネルを何度も持ち上げたり、上下を逆転させたりする必要があり、重作業を伴うという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-67033号公報
【文献】特開2021-67104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来のブースが有する問題点に鑑み、重量のあるパネルを何度も持ち上げることなく組み立てることができるブースの組立構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のブースの組立構造は、床面上に立設される第1のパネルと、該第1のパネルの幅方向の両端部に90°の角度で接続される第2のパネル及び第3のパネルとを備えるようにしたブースの組立構造であって、第1のパネル、第2のパネル及び第3のパネルを、幅方向の両端部を、先端が延びる方向に対して45°に折り曲げ、さらに、その先端を、先端が延びる方向に対して135°に折り曲げて折り返し部を形成した2枚の鋼板を、対向する折り返し部の間に隙間が形成されるように向き合わせて一体化したものから構成し、第1のパネルと第2のパネル及び第1のパネルと第3のパネルの幅方向の端部同士を突き合わせた両パネル間に、隙間からの抜け止め部を形成したアングル形状の上部連結具及び下部連結具を架け渡して装着するようにしたことを特徴とする。
【0007】
この場合において、前記上部連結具が、上部連結具に形成した止め板を介して、第1のパネル及び第2のパネル並びに第1のパネル及び第3のパネルの上部に固定されるようにすることができる。
【0008】
また、前記第1のパネルと第2のパネル及び第1のパネルと第3のパネルの幅方向の端部同士を突き合わせた両パネル間に、隙間隠し部材を装着するようにすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のブースの組立構造によれば、隣接するパネルの幅方向の端部同士を突き合わせた状態で、両パネル間に、隙間からの抜け止め部を形成したアングル形状の上部連結具及び下部連結具を架け渡して装着することで、重量のあるパネルを何度も持ち上げたり、上下を逆転させたりすることなくブースを組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のブースの組立構造の一実施例の構成部材及び組立手順1~3の説明図である。
【
図6】上部連結具を示し、(a)は組立手順の説明図、(b)は各部の断面図である。
【
図7】下部連結具を示し、(a)は組立手順の説明図、(b)は各部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のブースの組立構造の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0012】
図1~
図7に、本発明のブースの組立構造の一実施例を示す。
このブースの組立構造は、床面上に立設される第1のパネル1Aと、第1のパネル1Aの幅方向の両端部に90°の角度で接続される第2のパネル1B及び第3のパネル1C(ここで、第1のパネル1A、第2のパネル1B及び第3のパネル1Cを総称してパネル1という。)とを備えるようにしたブースの組立構造であって、第1のパネル1A、第2のパネル1B及び第3のパネル1Cを、幅方向の両端部を
、先端が延びる方向に対して45°に折り曲げ、
さらに、その先端を
、先端が延びる方向に対して135°に折り曲げて折り返し部11a、12aを形成した2枚の鋼板11、12を、対向する折り返し部11a、12aの間に隙間10が形成されるように向き合わせて一体化したものから構成し、第1のパネル1Aと第2のパネル1B及び第1のパネル1Aと第3のパネル1Cの幅方向の端部同士を突き合わせた両パネル間に、隙間10からの抜け止め部21、31を形成したアングル形状の上部連結具2及び下部連結具3を架け渡して装着するようにしている。
【0013】
ここで、パネル1は、
図5に示すように、一方の表面側(通常、ブースの外側)に表面を塗装した鋼板11からなる遮音パネルを、他方の表面側(通常、ブースの内側)に表面をクロス13で覆うようにした鋼板12からなる吸音パネルを配置し、その間に吸音材14を介在させて、鋼板11と鋼板12に形成した嵌合部11b、12b同士を嵌合させて、一体化するようにしている。
そして、2枚の鋼板11、12の幅方向の両端部を
、先端が延びる方向に対して45°に折り曲げ、
さらに、その先端を
、先端が延びる方向に対して135°に折り曲げて折り返し部11a、12aを形成し、対向する折り返し部11a、12aの間に隙間10が形成されるようにしている。
パネル1の下部の両端部には、接地部材15として、固定設置部材やキャスタを選択的に取り付けることができるように、アジャスタスリーブを配設するようにしている。
【0014】
以下、このパネル1を第1のパネル1A、第2のパネル1B及び第3のパネル1Cを用いたブースの組立構造について、その組立手順に沿って説明する。
【0015】
図1の構成部材の欄に示すように、ブースを構成する部材を用意する。
【0016】
第1のパネル1A及び第2のパネル1Bを立ち上げ(
図1の手順1)、第1のパネル1Aと第2のパネル1Bの幅方向の端部同士を突き合わせる(
図1の手順2)。
このとき、第1のパネル1Aと第2のパネル1Bは、略90°の角度をなすようにする。
また、第1のパネル1A及び第2のパネル1Bの上部両端部に形成した雌ねじ部16に螺合していた止めねじ(トラス)17を外しておく。
【0017】
幅方向の端部同士を突き合わせた第1のパネル1Aと第2のパネル1Bの両パネル間に、隙間10からの抜け止め部31を形成したアングル形状の下部連結具3を架け渡して装着し、隙間10に沿って下方に移動させるようにする(
図1の手順3、
図2の手順4)。
【0018】
幅方向の端部同士を突き合わせた第1のパネル1Aと第2のパネル1Bの両パネル間に、隙間10からの抜け止め部21を形成したアングル形状の上部連結具2を架け渡して装着し、上部連結具2に形成した止め板22が第1のパネル1A及び第2のパネル1Bの天面に当接するまで、隙間10に沿って下方に移動させるようにする(
図2の手順5及び手順6)。
【0019】
下部連結具3を隙間10の下端まで移動させるようにする(
図2の手順7)。
これにより、下部連結具3は、第1のパネル1A及び第2のパネル1Bに接地部材15として配設されているアジャスタスリーブに当接、支持される(
図7)。
【0020】
上部連結具2に形成した止め板22が第1のパネル1A及び第2のパネル1Bの天面に当接するまで移動させた上部連結具2を、第1のパネル1A及び第2のパネル1Bの上部両端部に形成した雌ねじ部16に、止めねじ(皿)18を螺合して固定するようにする(
図2の手順8)。
これにより、上部連結具2は、上部連結具2に形成した止め板22を介して、第1のパネル1A及び第2のパネル1Bの上部に固定される(
図6)。
【0021】
第1のパネル1Aと第3のパネル1Cについて、上記の手順1~手順8を行うことで、平面形状がコ字形をしたブースを組み立てるようにする(
図2の手順9)。
【0022】
第1のパネル1Aと第2のパネル1B及び第1のパネル1Aと第3のパネル1Cの幅方向の端部同士を突き合わせた両パネル間に、隙間隠し部材41~44を装着するようにする(
図3の手順10及び手順11)。
この隙間隠し部材は、隙間10の中間部に配設される帯状のシート材料からなる隙間隠し部材41、42と、上部連結具2及び下部連結具3に嵌着される成形品からなる隙間隠し部材43、44とからなる。
ここで、隙間隠し部材41、42の端部は、隙間隠し部材43、44やシール45を用いて固定するようにする。
これにより、隙間10が目立たず、ブースのデザイン性を向上させることができる。
また、第2のパネル1B及び第3のパネル1Cの幅方向の端部(自由端)の上端部に、キャップ部材46を装着するようにする(
図3の手順12)。
【0023】
ところで、パネル1には、作業台5を取付高さや取付場所を違えて取り付けることができるように、埋め込みナット19を上下2段に亘って設けるようにしている。
そして、埋め込みナット19を設けた位置にブラケット6を取付ねじ(図示省略)を用いて取り付け(
図4の手順13)、ブラケット6に作業台5を、さらに、作業台5に配線支持具7を、順に取り付けるようにしている(
図4の手順14及び手順15)。
ここで、使用しない埋め込みナット19は、目隠しシール8で覆って目立たないようにする。
【0024】
ところで、本実施例では、平面形状がコ字形をしたブースについて説明したが、ブースの解放側、すなわち、第2のパネル1B又は第3のパネル1Cの幅方向の自由端に、パネル1の幅の1/2~1/5の幅の第4のパネル(図示省略)を第1のパネル1Aと平行に、上記の手順1~手順12を行うことで、取り付けることができる。
この場合、作業台5を第2のパネル1B又は第3のパネル1Cの幅方向に沿って取り付けることもできる。
【0025】
このブースの組立構造によれば、隣接するパネル1の幅方向の端部同士を突き合わせた状態で、両パネル1間に、隙間10からの抜け止め部21、31を形成したアングル形状の上部連結具2及び下部連結具3を架け渡して装着することで、重量のあるパネル1を何度も持ち上げたり、上下を逆転させたりすることなくブースを組み立てることができ、ブースの組立作業の作業負担を軽減しながら、ブースを精度高く組み立てることができる。
【0026】
以上、本発明のブースについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のブースの組立構造は、重量のあるパネルを何度も持ち上げることなく組み立てることができることから、事務スペースを区画し、集中して作業ができるプライベート空間を構成するブースの用途に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 パネル
1A 第1のパネル
1B 第2のパネル
1C 第3のパネル
10 隙間
11 鋼板
11a 折り返し部
11b 嵌合部
12 鋼板
12a 折り返し部
12b 嵌合部
13 クロス
14 吸音材
15 接地部材(アジャスタスリーブ)
16 雌ねじ部
17 止めねじ(トラス)
18 止めねじ(皿)
19 埋め込みナット
2 上部連結具
21 抜け止め部
3 下部連結具
31 抜け止め部
41 隙間隠し部材
42 隙間隠し部材
43 隙間隠し部材
44 隙間隠し部材
45 シール
46 キャップ部材
5 作業台
6 ブラケット
7 配線支持具
8 目隠しシール