(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-14
(45)【発行日】2025-05-22
(54)【発明の名称】スイッチング可能なフィルタ
(51)【国際特許分類】
H01P 1/207 20060101AFI20250515BHJP
【FI】
H01P1/207 Z
(21)【出願番号】P 2023562295
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 KR2022005582
(87)【国際公開番号】W WO2022225294
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】10-2021-0050702
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0047911
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナム シン パク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ホ キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ヘ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】カン ナム ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ジェ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン スン ヨン
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515336(JP,A)
【文献】特開2014-086839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0035623(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0128054(KR,A)
【文献】特開2001-024434(JP,A)
【文献】特開2009-147766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センター隔壁を基準として、一面には第1周波数帯域の周波数をフィルタリングする第1フィルタ群が備えられ、他面には第2周波数帯域の周波数をフィルタリングする第2フィルタ群が備えられたフィルタ部と、
前記フィルタ部の一面および他面
のうち、一方に近接するとともに、他方から離隔するようにムービングされて、前記第1周波数帯域および第2周波数帯域のいずれか1つの帯域に切替える周波数帯域スイッチング部と、を含む、スイッチング可能なフィルタ。
【請求項2】
前記フィルタ部は、前記第1フィルタ群と第2フィルタ群がそれぞれ一面および他面方向に開口した複数の空洞と、前記複数の空洞それぞれに配置された複数の共振バーチューニングスクリューと、を含むキャビティフィルタで備えられたフィルタボディを含み、
前記周波数帯域スイッチング部は、
前記フィルタボディの一面に隣接ムービングされながら前記第1フィルタ群の前記共振バーチューニングスクリューと接触し、前記フィルタボディの一面から離隔ムービングされながら前記共振バーチューニングスクリューと離隔する第1フィルタ側ショート部と、
前記フィルタボディの他面に隣接ムービングされながら前記第2フィルタ群の前記共振バーチューニングスクリューと接触し、前記フィルタボディの他面から離隔ムービングされながら前記共振バーチューニングスクリューと離隔する第2フィルタ側ショート部と、を含む、請求項1に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項3】
前記第1フィルタ側ショート部および前記第2フィルタ側ショート部は、前記共振バーチューニングスクリューの先端と接触する時、電気的に短絡する金属材質の複数のショートピンモジュールで備えられる、請求項2に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項4】
前記周波数帯域スイッチング部は、
電気的に駆動されて所定のスイッチング駆動力を生成するショート駆動部と、
前記ショート駆動部から前記スイッチング駆動力を受けて前記フィルタ部の厚さ方向に直線往復ムービングされる伝達パネルと、
前記伝達パネルの端部にそれぞれ連結され、前記フィルタボディの一面および他面外側にそれぞれ備えられて、前記第1フィルタ側ショート部および前記第2フィルタ側ショート部を同時に同一の方向にムービングさせる第1フィルタ側ショートパネルおよび第2フィルタ側ショートパネルと、を含む、請求項2に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項5】
前記フィルタボディは、一側アウターカバーパネルおよび他側アウターカバーパネルによって内部空間が外部から遮蔽され、
前記伝達パネルおよび前記第1フィルタ側ショートパネルと前記第2フィルタ側ショートパネルは、前記内部空間でムービングされる、請求項4に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項6】
前記ショート駆動部は、前記フィルタボディの長手方向の一側および長手方向の他側にそれぞれ1つずつ備えられる、請求項4に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項7】
前記周波数帯域スイッチング部は、
前記第1フィルタ側ショートパネルを前記第1フィルタ側ショート部の前記共振バーチューニングスクリューと離隔させると同時に、前記第2フィルタ側ショートパネルを前記第2フィルタ側ショート部の前記共振バーチューニングスクリューと接触させながら、前記第1フィルタ群を活性化させると同時に、前記第2フィルタ群を不活性化させる、請求項4に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項8】
前記ショート駆動部は、
前記フィルタボディの長手方向の一側内部空間および長手方向の他側内部空間に備えられる駆動部ボックスと、
前記駆動部ボックスの内部に備えられ、電気的に駆動される駆動モータと、
前記駆動モータとギヤ噛合して回転するギヤセットと、
前記ギヤセットから伝達された前記スイッチング駆動力を前記伝達パネル側に伝達する伝達ギヤと、を含む、請求項6に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項9】
前記ギヤセットは、前記駆動モータのモータ軸先端に備えられたウォームギヤと噛合するウォームホイールギヤ、を含むことで、前記第1フィルタ側ショートパネルおよび前記第2フィルタ側ショートパネルの任意のムービングを防止する、請求項8に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項10】
前記伝達ギヤは、前記ギヤセットに連結されて軸回転する軸部と、
前記軸部の軸に対して偏心して回転運動するカムパネルと、を含み、
前記カムパネルは、前記伝達パネルに形成されたカムスロットの内部に挿入配置される、請求項8に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項11】
前記駆動モータは、
前記フィルタボディに電源を供給するASIGポートから電源を受けて駆動される、請求項8に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項12】
前記第1フィルタ側ショート部および前記第2フィルタ側ショート部は、前記共振バーチューニングスクリューの先端と接触する時、電気的に短絡する金属材質の複数のショートピンモジュールで備えられ、
前記複数のショートピンモジュールは、
前記第1フィルタ側ショートパネルおよび前記第2フィルタ側ショートパネルの内側面に結合される複数の結合ブロックと、
前記複数の結合ブロックからそれぞれ前記共振バーチューニングスクリューに向かうように延びた複数のショートピンと、
前記複数の結合ブロックにそれぞれ備えられ、前記複数のショートピンを中心として環状に配置された複数の信号遮蔽ワッシャと、を含む、請求項4に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項13】
前記第1フィルタ側ショート部および前記第2フィルタ側ショート部は、前記共振バーチューニングスクリューの先端と接触する時、電気的に短絡する金属材質の複数のショートピンモジュールで備えられ、
前記複数のショートピンモジュールは、
前記第1フィルタ側ショートパネルおよび前記第2フィルタ側ショートパネルの内側面に結合される複数の結合ブロックと、
前記複数の結合ブロックからそれぞれ前記共振バーチューニングスクリューに向かうように延びた複数のショートピンと、
前記複数の結合ブロックにそれぞれ備えられ、前記複数のショートピンを中心として環状に配置された複数のEMIガスケットと、を含む、請求項4に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項14】
前記複数の信号遮蔽ワッシャは、
前記複数のショートピンをそれぞれ中心に位置させかつ、前記複数の結合ブロックに対して結合されるリング結合部と、
前記リング結合部の内側縁に沿って形成されかつ、前記第1フィルタ側ショートパネルまたは第2フィルタ側ショートパネルに向かって傾斜して延びる複数の弾性支持部と、を含む、請求項12に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項15】
前記複数のショートピンは、前記
共振バーチューニングスクリューに弾性支持される、請求項12に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項16】
前記複数のショートピンモジュールは、
前記第1フィルタ群の共振バーチューニングスクリューから離隔すると同時に、前記第2フィルタ群の共振バーチューニングスクリューと接触して短絡するか、
前記第1フィルタ群の共振バーチューニングスクリューと接触して短絡すると同時に、前記第2フィルタ群の共振バーチューニングスクリューと離隔する、請求項12に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項17】
前記複数のショートピンモジュールは、前記第1フィルタ群の共振バーチューニングスクリューまたは前記第2フィルタ群の共振バーチューニングスクリューの個数に対応するか、小さい個数で備えられた、請求項12に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項18】
前記周波数帯域スイッチング部は、
電気的に駆動されて所定のスイッチング駆動力を生成するショート駆動部と、
前記ショート駆動部から前記スイッチング駆動力が伝達され、前記フィルタ部の一面および他面外側にそれぞれ備えられて、前記第1フィルタ側ショート部および前記第2フィルタ側ショート部を同時に同一の方向にムービングさせる第1フィルタ側ショートパネルおよび第2フィルタ側ショートパネルと、を含む、請求項2に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項19】
前記ショート駆動部は、前記フィルタボディの中間部分に単数個で備えられる、請求項18に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【請求項20】
前記ショート駆動部は、
前記フィルタボディに連結されたステータと、
前記第1フィルタ側ショートパネルおよび第2フィルタ側ショートパネルのいずれか1つに連結されたロテータと、
前記ロテータに連動して回転し、前記ステータを貫通してスクリュー回動するように備えられた回転と、を含む、請求項18に記載のスイッチング可能なフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング可能なフィルタ(SWITCHABLE FILTER)に関し、より詳しくは、地域または国ごとに異なるように割当てられた任意の周波数帯域範囲に合わせて製造されたデュアル周波数帯域フィルタを、周波数帯域スイッチング部を活用した周波数の切替適用を容易とすることで、製品の汎用性を向上させることができるスイッチング可能なフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信技術の進化に伴い、データの伝送速度は幾何級数的に増加しており、データの伝送増加による送受信感度の改善のために基地局の送出電力が次第に増加する傾向にある。
【0003】
このような基地局で送受信端の干渉防止のために必須の装置として用いられるデュプレクサ(duplexer)は、高電力に耐えるために高耐電力特性を有するアルミニウム材質の同軸(Coaxial)共振器を用いて主に実現される。
【0004】
また、基地局に用いられるデュプレクサは、急なスカート(Skirt)特性を要求するため、機構公差に非常に敏感で、同軸共振器を構成するハウジングの上側カバーに金属チューニングスクリュー(Metal Tuning Screw)を適用して共振周波数を調整することにより、デュプレクサで要求するフィルタ特性を実現することができる。
【0005】
このように、フィルタは、入力される周波数信号のうち特定の周波数帯域の信号のみを通過させるための装置であって、上述したデュプレクサ以外に多様な形態で実現されており、RFフィルタの帯域通過周波数は、フィルタのインダクタンス成分およびキャパシタンス成分によって決定されるが、上述したようにフィルタの帯域通過周波数を調整する作業をチューニング(Tuning)という。
【0006】
一方、移動通信システムのような通信システムにおいて、事業者には任意の周波数帯域が割当てられ、割当てられた周波数帯域をいくつかのチャネルに分けて使用することができる。従来の通信事業者は、それぞれの周波数帯域に合ったフィルタを別途に製作して使用していた。
【0007】
このような理由から、従来は、一旦割当てられた周波数帯域に合わせてフィルタを製造すれば、異なる周波数帯域のフィルタリングのためには、それに合ったフィルタに取替えたり、各割当てられた周波数帯域に合うように、1つのフィルタアセンブリに2つの帯域フィルタを同時に含めて製造し、RFスイッチを用いて周波数帯域をスイッチングさせるように備えられる。
【0008】
しかし、RFスイッチは、フィルタの入力ポートおよび出力ポートの区間を活用して製造されるが、各ポートごとにRFスイッチが設けられることから、フィルタアセンブリの個数が多い場合、それに相応する個数のRFスイッチが設けられなければならないので、挿入損失が悪くなることはもちろん、PIMDレベルが低くなって、高い規格では使用できない問題点が発生し、RFスイッチの個数の増加による費用が高くなる問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、RF特性を改善するとともに、周波数帯域の選択を容易とする周波数帯域スイッチング部を含むスイッチング可能なフィルタを提供することを目的とする。
【0010】
本発明の技術的課題は以上に言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタは、センター隔壁を基準として、一面には第1周波数帯域の周波数をフィルタリングする第1フィルタ群が備えられ、他面には第2周波数帯域の周波数をフィルタリングする第2フィルタ群が備えられたフィルタ部と、前記フィルタ部の一面および他面のいずれか1つに近接および離隔するようにムービングされて、前記第1周波数帯域および第2周波数帯域のいずれか1つの帯域に切替える周波数帯域スイッチング部とを含む。
【0012】
ここで、前記フィルタ部は、前記第1フィルタ群と第2フィルタ群がそれぞれ一面および他面方向に開口した複数の空洞と、前記複数の空洞それぞれに配置された複数の共振バーチューニングスクリューとを含むキャビティフィルタで備えられたフィルタボディを含み、前記周波数帯域スイッチング部は、前記フィルタボディの一面に隣接ムービングされながら前記第1フィルタ群の前記共振バーチューニングスクリューと接触し、前記フィルタボディの一面から離隔ムービングされながら前記共振バーチューニングスクリューと離隔する第1フィルタ側ショート部と、前記フィルタボディの他面に隣接ムービングされながら前記第2フィルタ群の前記共振バーチューニングスクリューと接触し、前記フィルタボディの他面から離隔ムービングされながら前記共振バーチューニングスクリューと離隔する第2フィルタ側ショート部とを含むことができる。
【0013】
また、前記第1フィルタ側ショート部および前記第2フィルタ側ショート部は、前記共振バーチューニングスクリューの先端と接触する時、電気的に短絡する金属材質の複数のショートピンモジュールで備えられる。
【0014】
また、前記周波数帯域スイッチング部は、電気的に駆動されて所定のスイッチング駆動力を生成するショート駆動部と、前記ショート駆動部から前記スイッチング駆動力を受けて前記フィルタ部の厚さ方向に直線往復ムービングされる伝達パネルと、前記伝達パネルの端部にそれぞれ連結され、前記フィルタボディの一面および他面外側にそれぞれ備えられて、前記第1フィルタ側ショート部および前記第2フィルタ側ショート部を同時に同一の方向にムービングさせる第1フィルタ側ショートパネルおよび第2フィルタ側ショートパネルとを含むことができる。
【0015】
また、前記フィルタボディは、一側アウターカバーパネルおよび他側アウターカバーパネルによって内部空間が外部から遮蔽され、前記伝達パネルおよび前記第1フィルタ側ショートパネルと前記第2フィルタ側ショートパネルは、前記内部空間でムービングされる。
【0016】
また、前記ショート駆動部は、前記フィルタボディの長手方向の一側および長手方向の他側にそれぞれ1つずつ備えられる。
【0017】
また、前記周波数帯域スイッチング部は、前記第1フィルタ側ショートパネルを前記第1フィルタ側ショート部の前記共振バーチューニングスクリューと離隔させると同時に、前記第2フィルタ側ショートパネルを前記第2フィルタ側ショート部の前記共振バーチューニングスクリューと接触させながら、前記第1フィルタ群を活性化させると同時に、前記第2フィルタ群を不活性化させることができる。
【0018】
また、前記ショート駆動部は、前記フィルタボディの長手方向の一側内部空間および長手方向の他側内部空間に備えられる駆動部ボックスと、前記駆動部ボックスの内部に備えられ、電気的に駆動される駆動モータと、前記駆動モータとギヤ噛合して回転するギヤセットと、前記ギヤセットから伝達された前記スイッチング駆動力を前記伝達パネル側に伝達する伝達ギヤとを含むことができる。
【0019】
また、前記ギヤセットは、前記駆動モータのモータ軸先端に備えられたウォームギヤと噛合するウォームホイールギヤを含むことで、前記第1フィルタ側ショートパネルおよび前記第2フィルタ側ショートパネルの任意のムービングを防止することができる。
【0020】
また、前記伝達ギヤは、前記ギヤセットに連結されて軸回転する軸部と、前記軸部の軸に対して偏心して回転運動するカムパネルとを含み、前記カムパネルは、前記伝達パネルに形成されたカムスロットの内部に挿入配置される。
【0021】
また、前記駆動モータは、前記フィルタボディに電源を供給するASIGポートから電源を受けて駆動される。
【0022】
また、前記複数のショートピンモジュールは、前記第1フィルタ側ショートパネルおよび前記第2フィルタ側ショートパネルの内側面に結合される複数の結合ブロックと、前記複数の結合ブロックからそれぞれ前記共振バーチューニングスクリューに向かうように延びた複数のショートピンと、前記複数の結合ブロックにそれぞれ備えられ、前記複数のショートピンを中心として環状に配置された複数の信号遮蔽ワッシャとを含むことができる。
【0023】
また、前記複数の信号遮蔽ワッシャは、前記複数のショートピンをそれぞれ中心に位置させかつ、前記複数の結合ブロックに対して結合されるリング結合部と、前記リング結合部の内側縁に沿って形成されかつ、前記第1フィルタ側ショートパネルまたは第2フィルタ側ショートパネルに向かって傾斜して延びる複数の弾性支持部とを含むことができる。
【0024】
また、前記複数のショートピンは、前記共振バーチューニングスクリュー方向に弾性支持される。
【0025】
また、前記複数のショートピンモジュールは、前記第1フィルタ群の共振バーチューニングスクリューから離隔すると同時に、前記第2フィルタ群の共振バーチューニングスクリューと接触して短絡するか、前記第1フィルタ群の共振バーチューニングスクリューと接触して短絡すると同時に、前記第2フィルタ群の共振バーチューニングスクリューと離隔できる。
【0026】
また、前記複数のショートピンモジュールは、前記第1フィルタ群の共振バーチューニングスクリューまたは前記第2フィルタ群の共振バーチューニングスクリューの個数に対応するか、小さい個数で備えられる。
【0027】
また、前記周波数帯域スイッチング部は、電気的に駆動されて所定のスイッチング駆動力を生成するショート駆動部と、前記ショート駆動部から前記スイッチング駆動力が伝達され、前記フィルタ部の一面および他面外側にそれぞれ備えられて、前記第1フィルタ側ショート部および前記第2フィルタ側ショート部を同時に同一の方向にムービングさせる第1フィルタ側ショートパネルおよび第2フィルタ側ショートパネルとを含むことができる。
【0028】
また、前記ショート駆動部は、前記フィルタボディの中間部分に単数個で備えられる。
【0029】
また、前記ショート駆動部は、前記フィルタボディに連結されたステータと、前記第1フィルタ側ショートパネルおよび第2フィルタ側ショートパネルのいずれか1つに連結されたロテータと、前記ロテータに連動して回転し、前記ステータを貫通してスクリュー回動するように備えられた回転軸とを含むことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタによれば、RF特性を改善し、周波数帯域の選択的な切替が容易な効果を達成することができる。
【0031】
本発明の効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタの外観を示す斜視図である。
【
図1B】本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタの外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタの構成のうちアウターカバーパネルが分離された状態の内部斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタの構成のうち周波数帯域スイッチング部の作動する様子の前後を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタの構成のうちフィルタボディを示す分解斜視図である。
【
図7A】本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタの構成のうち周波数帯域スイッチング部を示す分解斜視図である。
【
図7B】本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタの構成のうち周波数帯域スイッチング部を示す分解斜視図である。
【
図8】
図7Aおよび
図7Bの構成のうちショート駆動部を詳細に示す分解斜視図である。
【
図9A】本発明の他の実施例によるスイッチング可能なフィルタを示す分解斜視図である。
【
図9B】本発明の他の実施例によるスイッチング可能なフィルタを示す分解斜視図である。
【
図10】本発明の他の実施例によるスイッチング可能なフィルタの構成のうちショート駆動部を示す切開斜視図および部分拡大図である。
【
図11】本発明の実施例によるスイッチング可能なフィルタの駆動制御を説明するための状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明によるスイッチング可能なフィルタの実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0035】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または手順などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0036】
図1Aおよび
図1Bは、本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタの外観を示す斜視図であり、
図2は、
図1Aの分解斜視図であり、
図3は、本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタの構成のうちアウターカバーパネルが分離された状態の内部斜視図であり、
図4は、本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタの構成のうち周波数帯域スイッチング部の作動する様子の前後を示す断面図であり、
図5Aおよび
図5Bは、
図1AのA-A線に沿った断面図および切開斜視図であり、
図6は、本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタの構成のうちフィルタボディを示す分解斜視図である。
【0037】
本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタ1は、
図1A~
図6に示すように、センター隔壁150を基準として、一面には第1周波数帯域の周波数をフィルタリングする第1フィルタ群が備えられ、他面には第2周波数帯域の周波数をフィルタリングする第2フィルタ群が備えられたフィルタ部100を含む(特に、
図2参照)。
【0038】
より詳しくは、フィルタ部100は、
図2および
図6に示すように、略直方体の形状に形成されたフィルタボディ110を含む。フィルタボディ110の厚さ方向の一面には複数の空洞120が備えられ、複数の空洞120の内部に共振バー130および共振バーチューニングスクリュー135が設けられる第1フィルタ群50Aが設けられ、フィルタボディ110の厚さ方向の他面にも同じく複数の空洞120が備えられ、複数の空洞120の内部に共振バー130および共振バーチューニングスクリュー135が設けられる第2フィルタ群50Bが設けられる。
【0039】
第1フィルタ群50Aが設けられたフィルタボディ110の一面外側には、一側フィルタカバー160aが複数の空洞120全部を覆うように備えられ、第2フィルタ群50Bが設けられたフィルタボディ110の他面外側には、他側フィルタカバー(160b、
図4参照)が複数の空洞120全部を覆うように備えられる。
【0040】
特定の周波数帯域の信号をフィルタリングするためのフィルタの種類は多様に採用可能であるが、本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタ1では、誘電体材質で備えられたフィルタボディ110内に複数の空洞120が備えられ、各空洞120に共振器の役割を果たす共振バー130および共振バーチューニングスクリュー135が設けられたキャビティフィルタ(Cavity Filter)で備えられたことを前提にして説明する。
【0041】
第1フィルタ群50Aと第2フィルタ群50Bは、それぞれ周波数帯域を異ならせるものであって、例えば、第1フィルタ群50Aは、100MHz帯域の周波数フィルタリングが可能な第1バンドパスフィルタBPF1で設けられ、第2フィルタ群50Bは、280MHz帯域の周波数フィルタリングが可能な第2バンドパスフィルタBPF2で設けられる。
【0042】
第1フィルタ群50Aおよび第2フィルタ群50Bは、それぞれ第1バンドパスフィルタBPF1および第2バンドパスフィルタBPF2の実現のために、各周波数帯域に合わせて予め設計された空洞120の形状に備えられ、一定の地域にアンテナ装置を設置する場合、第1フィルタ群50Aおよび第2フィルタ群50Bのうち当該設置地域の周波数帯域に合ったいずれか1つだけが作動できる。
【0043】
第1フィルタ群50Aは、各フィルタ段に所定の信号が入力されると、複数の空洞120内の共振バー130および共振バーチューニングスクリュー135の周波数フィルタリング作用により、入力信号が第1バンドパスフィルタBPF1の範囲内で所望のRF特性値で実現されるように信号をフィルタリングして出力し、第2フィルタ群50Bは、各フィルタ段に所定の信号が入力されると、複数の空洞120内の共振バー130および共振バーチューニングスクリュー135の周波数フィルタリング作用により、入力信号が第2バンドパスフィルタBPF2の範囲内で所望のRF特性値で実現されるように信号をフィルタリングして出力することができる。
【0044】
ここで、キャビティフィルタで備えられたフィルタボディ110の複数の空洞120の形状設計により、第1フィルタ群50Aおよび第2フィルタ群50Bとしての機能が分離されるように周波数帯域が異なるように割当てられるのであり、複数の空洞120の内部に設けられた共振バー130および共振バーチューニングスクリュー135の微細なチューニング作業により、第1バンドパスフィルタBPF1または第2バンドパスフィルタBPF2の範囲内で微細な周波数調整が行われる。
【0045】
図7Aおよび
図7Bは、本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタの構成のうち周波数帯域スイッチング部を示す分解斜視図であり、
図8は、
図7Aおよび
図7Bの構成のうちショート駆動部を詳細に示す分解斜視図である。
【0046】
本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタ1は、
図1A~
図8に示すように、フィルタ部100のフィルタボディ110の一面および他面のいずれか1つに近接および離隔するようにムービングされて、第1周波数帯域および第2周波数帯域のいずれか1つの帯域に切替える周波数帯域スイッチング部300をさらに含むことができる。
【0047】
フィルタボディ110の長手方向一端部と長手方向他端部には、それぞれ後述する周波数帯域スイッチング部300の構成のうちショート駆動部400および伝達パネル320a、320bが収容設置される一側設置空間140aおよび他側設置空間140bが前後の厚さ方向に貫通する空間として形成される。
【0048】
ここで、周波数帯域スイッチング部300は、
図1Aおよび
図1Bに示すように、フィルタボディ110の一面と他面をそれぞれ覆って遮蔽する一側アウターカバーパネル210および他側アウターカバーパネル220によって外部から観察されないようにフィルタ部100の内部に設けられる。
【0049】
このような周波数帯域スイッチング部300は、フィルタ部100の一面に隣接ムービングされながら第1フィルタ群50Aの共振バーチューニングスクリュー135と接触し、フィルタ部100の一面から離隔ムービングされながら共振バーチューニングスクリュー135と離隔する第1フィルタ側ショート部380aと、フィルタ部100の他面に隣接ムービングされながら第2フィルタ群50Bの共振バーチューニングスクリュー135と接触し、フィルタ部100の他面から離隔ムービングされながら共振バーチューニングスクリュー135と離隔する第2フィルタ側ショート部380bとを含むことができる。
【0050】
ここで、第1フィルタ側ショート部380aおよび第2フィルタ側ショート部380bは、共振バーチューニングスクリュー135の先端と接触する時、電気的に短絡する金属材質の複数のショートピンモジュール360a、360bで備えられる。
【0051】
一方、周波数帯域スイッチング部300は、
図3~
図5Bに示すように、電気的に駆動されて所定のスイッチング駆動力を生成するショート駆動部400、400a、400bと、ショート駆動部400、400a、400bからスイッチング駆動力を受けてフィルタ部100の厚さ方向に直線往復ムービングされる伝達パネル320a、320bと、伝達パネル320a、320bの端部にそれぞれ連結され、フィルタ部100の一面および他面外側にそれぞれ備えられて、第1フィルタ側ショート部380aおよび第2フィルタ側ショート部380bを同時に同一の方向にムービングさせる第1フィルタ側ショートパネル350aおよび第2フィルタ側ショートパネル350bとを含むことができる。
【0052】
一方、周波数帯域スイッチング部300は、第1フィルタ側ショートパネル350aを第1フィルタ側ショート部380aの共振バーチューニングスクリュー135と離隔させると同時に、第2フィルタ側ショートパネル350bを第2フィルタ側ショート部380bの共振バーチューニングスクリュー135と接触させながら、第1フィルタ群50Aを活性化させると同時に、第2フィルタ群50Bを不活性化させることができる。
【0053】
ここで、ショート駆動部400、400a、400bは、フィルタボディ110の長手方向一端部および長手方向他端部にそれぞれ形成された一側設置空間140aと他側設置空間140bに1つずつ一対で備えられる(図面符号400aおよび400b参照)。以下、ショート駆動部400のうち一側設置空間140aに設けられたものを一側ショート駆動部400aと称し、他側設置空間140bに設けられたものを他側ショート駆動部400bと称する。参照として、一側ショート駆動部400aが設けられる一側設置空間140aには、フィルタ部100の作動を制御する制御印刷回路基板410がさらに設けられる。
【0054】
同じく、伝達パネル320a、320bは、フィルタボディ110の長手方向一端部の一側設置空間140aに設けられたものとして、一側ショート駆動部400aのスイッチング駆動力が伝達される一側伝達パネル320aと、フィルタボディ110の長手方向他端部の他側設置空間140bに設けられたものとして、他側ショート駆動部400bのスイッチング駆動力が伝達される他側伝達パネル320bと、の一対で備えられる。
【0055】
一側ショート駆動部400aおよび他側ショート駆動部400bは、それぞれ、
図7A~
図8に示すように、フィルタボディ110の長手方向の一側内部空間である一側設置空間140aおよび長手方向の他側内部空間である他側設置空間140bに備えられる駆動部ボックス420a、420bと、駆動部ボックス420a、420bの内部に備えられ、電気的に駆動される駆動モータ432と、駆動モータ432とギヤ噛合して回転するギヤセット434、435と、ギヤセット434、435から伝達されたスイッチング駆動力を伝達パネル320a、320b側に伝達する伝達ギヤ440とを含むことができる。これとともに、駆動部ボックス420a、420bの内部には、それぞれの駆動モータ432の作動を制御するモータ印刷回路基板431が設けられる。
【0056】
駆動モータ432は、モータ印刷回路基板431によって位置制御が可能なモータで備えられる。
【0057】
ギヤセット434、435は、多様なギヤ比を有する複数のギヤの組合せ体であって、駆動モータ432から伝達されるスイッチング駆動力を所定のギヤ比の組合せによって減速して伝達ギヤ440側に伝達する役割を果たす。
【0058】
より詳しくは、ギヤセット434、435のうち入力ギヤとして機能するいずれか1つのギヤ434は、駆動モータ432のモータ軸先端に備えられたウォームギヤ433に噛合するウォームホイールギヤで備えられ、伝達ギヤ440は、ギヤセット434、435のうち出力ギヤとして機能を行ういずれか1つのギヤ435に連結されて、減速されたスイッチング駆動力が伝達される。入力ギヤの機能を行う前記ギヤ434および出力ギヤの機能を行う前記ギヤ435の間には、複数の減速比ギヤ(図面符号不表記)が連結噛合して、所望の減速比を取得することができる。ここで、駆動モータ432のモータ軸先端に備えられたウォームギヤ433は、上述したウォームホイールギヤで備えられたギヤ434と噛合するように備えられることにより、任意に第1フィルタ側ショートパネル350aおよび第2フィルタ側ショートパネル350bがムービングされることを防止するブレーキの機能を行うことができる。
【0059】
一方、伝達ギヤ440は、ギヤセット434、435のうち出力ギヤとして機能するギヤ435に連結されて軸回転する軸部441と、軸部441の軸に対して偏心して回転運動するカムパネル443とを含むことができる。
【0060】
ここで、伝達ギヤ440の軸部441の先端は、出力ギヤの機能を行うギヤ435に形成された軸溝435’に嵌合する。このような軸部441は、駆動部ボックス420a、420bに形成された貫通ホール425を介して外部に延びることができる。
【0061】
カムパネル443は、固定された状態の軸部441の軸に対して偏心する回転軸を有することにより、回転時、外周端部がフィルタボディ110の厚さ方向に偏心範囲でムービングされる。このようなカムパネル443は、伝達パネル320に形成されたカムスロット325の内部に挿入配置されることにより、カムパネル443の回転ムービング時、伝達パネル320がフィルタボディ110の厚さ方向に上述した偏心範囲で直線ムービングされる。
【0062】
伝達ギヤ440も、一側ショート駆動部400aに連結されるように備えられた一側伝達ギヤ440aと、他側ショート駆動部400bに連結されるように備えられた他側伝達ギヤ440bと、の一対で備えられる。
【0063】
そのため、一側伝達ギヤ440aが一側伝達パネル320aに連結され、他側伝達ギヤ440bが他側伝達パネル320bに連結されて、一対の駆動モータ432がフィルタボディ110の一側端部と他側端部で同時に駆動されて、第1フィルタ側ショートパネル350aおよび第2フィルタ側ショートパネル350bを同時に安定的にムービングさせることができる。
【0064】
ここで、フィルタボディ110の幅方向の一側と他側には、複数の空洞120の組合せで備えられた第1フィルタ群50Aおよび第2フィルタ群50Bに所定の電源を供給および出力するASIGインポート(In-Port)150aおよびASIGアウトポート(Out-Port)150bが備えられ、一側ショート駆動部400aおよび他側ショート駆動部400bの駆動モータ432は、上述したASIGポート150a、150bを介在して電源を供給および出力することができる。
【0065】
このように、一側ショート駆動部400aおよび他側ショート駆動部400bがAISGポート150a、150bを介して電源が供給されると、駆動モータ432が一側に回転駆動され、駆動モータ432のモータ軸先端に備えられたウォームギヤ433が回転しながらスイッチング駆動力がギヤセット434、435を介して減速されて伝達ギヤ440に伝達され、伝達ギヤ440のカムパネル443が一側伝達パネル320aおよび他側伝達パネル320bに形成されたカムスロット325の間で偏心回転しながら一対の伝達パネル320a、320bをフィルタボディ110の厚さ方向にムービングさせかつ同一の方向にムービングさせて、第1フィルタ側ショートパネル350aに備えられたショートピンモジュール360aが第1フィルタ群50Aの共振バーチューニングスクリュー135から離隔して第1バンドパスフィルタBPF1の実現を可能にすると同時に、第2フィルタ側ショートパネル350bに備えられたショートピンモジュール360bが第2フィルタ群50Bの共振バーチューニングスクリュー135と接触して短絡することにより、第2バンドパスフィルタBPF2の実現が不可能になる。
【0066】
一方、複数のショートピンモジュール360a、360bは、
図5Aおよび
図5Bに示すように、第1フィルタ側ショートパネル350aおよび第2フィルタ側ショートパネル350bの内側面に結合される複数の結合ブロック361と、複数の結合ブロック361からそれぞれ共振バーチューニングスクリュー135に向かうように延びた複数のショートピン363と、複数の結合ブロック361にそれぞれ備えられ、複数のショートピン363を中心として環状に配置された複数の信号遮蔽ワッシャ365とを含むことができる。
【0067】
信号遮蔽ワッシャ365は、複数のショートピン363を介して空洞120間の信号の流れを短絡させる時、外部への信号漏れを防止する役割を果たすことができる。
【0068】
また、信号遮蔽ワッシャ365は、仮に、第1フィルタ側ショートパネル350aが第1フィルタ群50Aの一側フィルタカバー160aに近接する時、一側フィルタカバー160aの外側面に弾性接触することにより、第1フィルタ側ショートパネル350aおよび一側フィルタカバー160aの間の作動公差を容易に吸収する役割を果たすことができる。
【0069】
より詳しくは、前記複数の信号遮蔽ワッシャ365は、複数のショートピン363をそれぞれ中心に位置させかつ、複数の結合ブロック361に対して結合されるリング結合部(図面符号不表記)と、リング結合部の内側縁に沿って形成されかつ、第1フィルタ側ショートパネル350aまたは第2フィルタ側ショートパネル350bに向かって傾斜して延びる複数の弾性支持部(図面符号不表記)とを含むことができる。
【0070】
このように、信号遮蔽ワッシャ365は、フィルタリング機能が不活性化される第1フィルタ群50Aまたは第2フィルタ群50B側の信号漏れを遮蔽すると同時に、第1フィルタ側ショートパネル350aまたは第2フィルタ側ショートパネル350bの作動公差を吸収して製品の信頼性を向上させるという利点を提供する。
【0071】
一方、信号遮蔽ワッシャ365は、共振バー130および共振バーチューニングスクリュー135が設けられたキャビティ間の信号漏れまたは信号遮蔽が重要という点で、上述した作動公差機能を行わなくてもEMIガスケット(Gasket)に代替されることも可能である。
【0072】
EMIガスケット(Gasket)は、信号遮蔽ワッシャ365と同じく、図示しないものの、複数のショートピン363を中心として周辺を取り囲む環状に配置され、複数のキャビティを遮蔽する一側フィルタカバー160aおよび他側フィルタカバー160bの外側面に密着することにより、複数の結合ブロック361と共に各キャビティを密閉させる役割を果たすことができる。
【0073】
ここで、複数の結合ブロック361は、
図2に示すように、第1フィルタ側ショートパネル350aおよび第2フィルタ側ショートパネル350bの内側面に溝形状に形成された結合溝355に嵌め込み組立てられる。
【0074】
複数のショートピン363は、上述したように、金属材質で備えられることから、フィルタボディ110の空洞120内に備えられた共振バーチューニングスクリュー135との間に短絡(ショート現象)を起こして、複数の空洞120間の信号流れ過程中に行われる周波数フィルタリングを不可能にする役割を果たす。
【0075】
ここで、第1フィルタ側ショートパネル350aに備えられた複数のショートピン363が第1フィルタ群50A側の共振バーチューニングスクリュー135と接触する場合、第1フィルタ群50Aの第1バンドパスフィルタBPF1は作動不能状態に切替えられ、第2フィルタ群50Bの第2バンドパスフィルタBPF2は作動可能な状態に切替えられる。
【0076】
逆に、第2フィルタ側ショートパネル350bに備えられた複数のショートピン363が第2フィルタ群50B側の共振バーチューニングスクリュー135と接触する場合、第2フィルタ群50Bの第2バンドパスフィルタBPF2は作動不能状態に切替えられ、第1フィルタ群50Aの第1バンドパスフィルタBPF1は作動可能な状態に切替えられる。
【0077】
一方、複数のショートピン363は、共振バーチューニングスクリュー135との間に存在する組立公差などの公差吸収のために、結合ブロック361内に備えられたピンスプリング367によって共振バーチューニングスクリュー135側に弾性支持されるように設けられる。このように、ピンスプリング367によって複数のショートピン363が持続的に共振バーチューニングスクリュー135に弾性接触することにより、任意に不能状態に切替えられたバンドパスフィルタ(BPF1またはBPF2)が作動することを防止できるという利点を有する。
【0078】
本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタ1では、複数のショートピンモジュール360a、360bの個数がフィルタボディ110の一面および他面に形成された複数の空洞120および複数の共振バー130の個数に対応するものとして示して説明するが、必ずしも複数のショートピンモジュール360a、360bの個数が複数の空洞120および複数の共振バー130に対応する必要はなく、周波数フィルタリング経路上の少なくともいくつかの地点に短絡を起こすことにより、所望のバンドパスフィルタの機能が停止される程度の小さい個数で備えられても構わない。
【0079】
図9Aおよび
図9Bは、本発明の他の実施例によるスイッチング可能なフィルタを示す分解斜視図であり、
図10は、本発明の他の実施例によるスイッチング可能なフィルタの構成のうちショート駆動部を示す切開斜視図および部分拡大図である。
【0080】
本発明の一実施例によるスイッチング可能なフィルタ1の場合、ショート駆動部400がフィルタボディ110の長手方向の一側端部および他側端部にそれぞれ1つずつ一対で備えられたことを前提にして説明した。しかし、必ずしもショート駆動部400が一対で備えられる必要はなく、
図9A~
図10に示すように、フィルタボディ110の中間部分に単数個(図面符号1400参照)で備えられて、第1フィルタ側ショートパネル1350aおよび第2フィルタ側ショートパネル1350bを同時にフィルタボディ110の厚さ方向に直線ムービングさせることも可能である。
【0081】
より詳しくは、本発明の他の実施例によるスイッチング可能なフィルタ1aは、
図9Aおよび
図9Bに示すように、フィルタボディ110の中間部分に厚さ方向に貫通する空間である設置空間140が設けられ、設置空間140にショート駆動部1400が設けられ、フィルタボディ110の一面側に相当する第1フィルタ群50Aには第1フィルタ側ショートパネル1350aが備えられ、フィルタボディ110の他面側に相当する第2フィルタ群50Bには第2フィルタ側ショートパネル1350bが備えられる。
【0082】
ここで、第1フィルタ側ショートパネル1350aと第2フィルタ側ショートパネル1350bは、略四角フレーム形状に形成され、各ショートパネル1350a、1350bの対向面には複数のショートピンモジュール1360a、1360bが結合される。
【0083】
また、第1フィルタ側ショートパネル1350aと第2フィルタ側ショートパネル1350bは、各角部分がそれぞれ4つの連結棒1370によって相互連結されて、後述するショート駆動部1400から伝達されるスイッチング駆動力によって第1フィルタ側ショートパネル1350aと第2フィルタ側ショートパネル1350bが同時に同一の方向に直線ムービングされる。
【0084】
より詳しくは、フィルタボディ110を中心として一側には、第1フィルタ側ショートパネル1350aがフィルタボディ110と一側アウターカバーパネル210との間でムービング可能に備えられ、フィルタボディ110を中心として他側には、第2フィルタ側ショートパネル1350bがフィルタボディ110と他側アウターカバーパネル220との間でムービング可能に備えられ、4つの連結棒1370が第1フィルタ側ショートパネル1350aおよび第2フィルタ側ショートパネル1350bの各角部分を連結しかつ、フィルタボディ110を貫通して連結される。
【0085】
一方、フィルタボディ110の一面側および他面側の複数の空洞120を覆うフィルタカバー1160は、フィルタボディ110の中間部分に形成された設置空間140の用意が容易となるように、それぞれフィルタボディ110の長手方向の一端部と他端部に分離されて設けられる。すなわち、一側フィルタカバー1160aは、フィルタボディ110の一側端部およびフィルタボディ110の他側端部に備えられる2つに分けられて備えられ(図面符号1160a-1および1160a-2参照)、他側フィルタカバー1160bは、フィルタボディ110の一側端部およびフィルタボディ110の他側端部に備えられる2つに分けられて備え(図面符号1160b-1および1160b-2参照)られる。
【0086】
これとともに、ASIGポート150a、150bも、ショート駆動部1400が備えられたフィルタボディ110の中間部位に位置して、電源の供給および出力が容易となるように設計される。
【0087】
一方、ショート駆動部1400は、
図10に示すように、ステータ1410は、設置空間140が形成されたフィルタボディ110側に連結され、ロテータ1420は、第1フィルタ側ショートパネル1350aおよび第2フィルタ側ショートパネル1350bのいずれか1つ(本発明の他の実施例では、第1フィルタ側ショートパネル1350aに連結される)に連結され、ロテータ1420に連動して回転する回転軸1430がステータ1410を貫通してスクリュー回動するように結合されることにより、ステータ1410とロテータ1420が同時にフィルタボディ110の厚さ方向に直線ムービングされながら、結果として、第1フィルタ側ショートパネル1350aおよび第2フィルタ側ショートパネル1350bが同一の方向にムービングされる。
【0088】
図11は、本発明の実施例によるスイッチング可能なフィルタの駆動制御を説明するための状態図である。
【0089】
本発明の実施例によるスイッチング可能なフィルタ1、1aは、事業者に異なる周波数帯域で割当てられても、割当てられた地域の特性に合った周波数帯域範囲内で円滑に周波数フィルタリングが可能にいずれか1つの帯域に切替えることが可能であることから、フィルタの取替および変更なくても汎用的に使用できることはもちろん、各入力ポートおよび出力ポートの区間ごとにRFスイッチを備える必要がないので、挿入損失が悪くなることを防止してRF特性を改善できるという利点を有する。
【0090】
より詳しくは、本発明の実施例によるスイッチング可能なフィルタ1、1aの構成のうち周波数帯域スイッチング部300は、サービス提供しようとする周波数帯域(BPF1またはBPF2)によってスイッチングを行う機能部であって、例えば、第1バンドパスフィルタBPF1の帯域(100MHz)で周波数フィルタリングが必要な場合には、第2フィルタ群50Bを不活性化するために、ショートピンモジュール360a、360b、1360a、1360bのうち第2フィルタ側ショートパネル350b、1350b側に備えられたショートピンモジュール360b、1360bを第2フィルタ群50Bの共振バーチューニングスクリュー135に接触し、逆に、第2バンドパスフィルタBPF2の帯域(280MHz)で周波数フィルタリングが必要な場合には、第1フィルタ群50Aを不活性化するために、ショートピンモジュール360a、360b、1360a、1360bのうち第1フィルタ側ショートパネル350a、1350a側に備えられたショートピンモジュール360a、1360aを第1フィルタ群50Aの共振バーチューニングスクリュー135に接触させるようにスイッチング切替えることができる。
【0091】
すなわち、本発明の実施例によるスイッチング可能なフィルタ1、1aは、
図11中のPhase1に示すように、周波数帯域スイッチング部300の作動によって第1フィルタ側ショートパネル350a、1350aのショートピンモジュール360a、1360aが第1フィルタ群50Aの共振バーチューニングスクリュー135から離隔し、同時に第2フィルタ側ショートパネル350b、1350bのショートピンモジュール360b、1360bが第2フィルタ群50Bの共振バーチューニングスクリュー135に接触すれば、第1バンドパスフィルタBPF1の帯域(100MHz)は周波数フィルタリング可能な状態に切替えられるとともに、第2バンドパスフィルタBPF2の帯域(280MHz)は周波数フィルタリング不可能な状態に切替えられる。
【0092】
ここで、周波数帯域スイッチング部300が反対に作動する場合、
図11中のPhase2に示すように、第1バンドパスフィルタBPF1の帯域(100MHz)は周波数フィルタリング不可能な状態に切替えられるとともに、第2バンドパスフィルタBPF2の帯域(280MHz)は周波数フィルタリング可能な状態に切替えられる。
【0093】
このように、本発明の実施例によるスイッチング可能なフィルタ1、1aは、周波数帯域スイッチング部300の簡単なスイッチング動作により、選択的に第1バンドパスフィルタBPF1の帯域周波数および第2バンドパスフィルタBPF2の帯域周波数の運用が可能という利点を有する。
【0094】
また、本発明の実施例によるスイッチング可能なフィルタ1、1aは、別のRFスイッチを適用しなくても、機構的に複数のショートピンモジュール360a、360bを用いた共振バーチューニングスクリュー135に対する電気的なショート(short)が起こるようにしてスイッチ切替をするように備えられることにより、RF特性のうち挿入損失およびPIMDの改善が可能であり、各Portごとに適用するRFスイッチを排除するので、費用を節減できる効果を創出することができる。
【0095】
以上、本発明の実施例によるスイッチング可能なフィルタ1、1aを、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは言うまでもない。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、RF特性を改善するとともに、周波数帯域の選択を容易とする周波数帯域スイッチング部を含むスイッチング可能なフィルタを提供する。
【符号の説明】
【0097】
1:スイッチング可能なフィルタ 50A:第1フィルタ群
50B:第2フィルタ群 100:フィルタ部
110:フィルタボディ 120:空洞
130:共振バー 135:共振バーチューニングスクリュー
140a、140b:設置空間 150a:ASIGインポート
150b:ASIGアウトポート 160a:一側フィルタカバー
160b:他側フィルタカバー 210:一側アウターカバーパネル
220:他側アウターカバーパネル 300:周波数帯域スイッチング部
320:伝達パネル 325:カムスロット
350a:第1フィルタ側ショートパネル 350b:第2フィルタ側ショートパネル
360a、360b:ショートピンモジュール 361:結合ブロック
363:ショートピン 365:信号遮蔽ワッシャ
367:ピンスプリング 400:ショート駆動部
400a:一側ショート駆動部 400b:他側ショート駆動部
410:制御印刷回路基板 420a、420b:駆動部ボックス
431:モータ印刷回路基板 432:駆動モータ
433:ウォームギヤ 434、435:ギヤセット
440:伝達ギヤ 441:軸部
443:カムパネル