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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-14
(45)【発行日】2025-05-22
(54)【発明の名称】生産設備の管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20250515BHJP
【FI】
G06Q50/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024013622
(22)【出願日】2024-01-31
【審査請求日】2024-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】市瀬 真弓
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-076131(JP,A)
【文献】特開2006-018576(JP,A)
【文献】特開2017-194746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械、搬送装置、段取り装置を含む生産設備における生産計画を生成するための管理システムにおいて、
前記生産設備に係る生産設備情報を記憶する生産設備情報記憶部と、
前記生産設備で勤務するオペレータの勤務シフトを記憶する勤務シフト記憶部と、
ワークの種類、生産数および納期を含むオーダーを記憶するオーダー記憶部と、
前記オーダー記憶部に対して前記オーダーに係る入力を行い、前記勤務シフト記憶部に前記勤務シフトに係る入力を行う入力部と、
少なくとも前記生産設備情報、前記オーダー、前記勤務シフトに基づいて生産計画を生成し、前記生成された生産計画の完了時点を前記納期と照合する生産計画生成部と、
前記生成された生産計画と、前記納期と照合した照合結果とを記憶する生産計画記憶部と、
前記生成された生産計画と、前記納期と照合した照合結果と、前記勤務シフトとを表示する表示部と、
前記生産計画生成部が生産計画を生成しているときに、新たな別のオーダーに係る入力がオーダー記憶部になされたときに、該新たな別のオーダーに係る入力を保留して、スピーカー、表示部および/または端末を介して生産管理者へ、該新たな別のオーダーに係る入力があったことを報知する報知部と、
を含み、
前記生産計画生成部は、前記勤務シフトの変更が入力された場合には再度生産計画の生成を実行することを特徴とする管理システム。
【請求項2】
生産設備情報記憶部は、前記工作機械の稼働状態を含む工作機械情報、搬送装置の搬送能力および稼働状態を含む搬送装置情報、段取り装置の稼働状態を含む段取り装置情報、生産設備が保有するパレットが取付けることのできるワークの種類を含むパレット情報、前記ワークの種類別に加工プログラム番号、段取り時間、加工時間、加工可能な工作機械および段取り可能な段取り装置を含むワーク情報、オペレータの勤務シフトパターンを含む勤務シフトパターン情報とを記憶し、生産計画生成部はこれらの情報に基づいて生産計画を生成する請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
生成された生産計画と勤務シフトとを、表示部に同時に表示するようにした請求項1に記載の管理システム。
【請求項4】
生成された生産計画と勤務シフトは、表示部の生産計画表示領域と勤務シフト表示領域に、同時かつ互いに重なり合わないよう表示される請求項3に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、搬送装置、段取り装置を含む生産設備における生産計画を生成するための管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、オーダーを受付け、製造ラインの負荷状況を考慮して生産計画を生成する生産管理方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2011/121703号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の生産管理方法では、オーダー対象の製品、オーダー数、希望納期および製造期間を含む製造条件を入力し、生産計画記憶部に記憶された生産計画と、製造資源情報記憶部に記憶された製造資源情報とに基づいて、製造期間に含まれる各日の製造ラインの負荷の差が小さくなるようにオーダーの各日への割り当てを行うようにしているが、オペレータの勤務シフトに関連させて生産計画を生成していないので、例えば、勤務シフトが変更された場合に適切な生産計画を生成することができない問題がある。
【0005】
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、オペレータの勤務シフトを考慮して生産計画を生成して、勤務シフトが変更された場合に生産計画を再度生成可能とすることによって、生産計画の決定に係る生産管理者の業務効率を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、工作機械、搬送装置、段取り装置を含む生産設備における生産計画を生成するための管理システムにおいて、前記生産設備に係る生産設備情報を記憶する生産設備情報記憶部と、前記生産設備で勤務するオペレータの勤務シフトを記憶する勤務シフト記憶部と、ワークの種類、生産数および納期を含むオーダーを記憶するオーダー記憶部と、前記オーダー記憶部に対して前記オーダーに係る入力を行い、前記勤務シフト記憶部に前記勤務シフトに係る入力を行う入力部と、少なくとも前記生産設備情報、前記オーダー、前記勤務シフトに基づいて生産計画を生成し、前記生成された生産計画の完了時点を前記納期と照合する生産計画生成部と、前記生成された生産計画と、前記納期と照合した照合結果とを記憶する生産計画記憶部と、前記生成された生産計画と、前記納期と照合した照合結果と、前記勤務シフトとを表示する表示部と、前記生産計画生成部が生産計画を生成しているときに、新たな別のオーダーに係る入力がオーダー記憶部になされたときに、該新たな別のオーダーに係る入力を保留して、スピーカー、表示部および/または端末を介して生産管理者へ、該新たな別のオーダーに係る入力があったことを報知する報知部とを含み、
前記生産計画生成部は、前記勤務シフトの変更が入力された場合には再度生産計画の生成を実行するようにした管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生成した生産計画と納期とを照合した照合結果と、勤務シフトとを表示し、勤務シフトを変更したときに、再度生産計画の生成を行うようにしたので、納期が達成できない場合に、納期を達成するため、不足しているオペレータの勤務シフトを増やすことができる。また、本発明によれば、納期が達成できる場合に、個々のオペレータの負担を低減したり、或いは、人件費削減のために余剰の勤務シフトを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の管理システムの好ましい実施形態を示すブロック図である。
図2図1の管理システムを適用する生産設備の一例を示す略図である。
図3】オーダー情報の一例を示す図である。
図4】工作機械情報の一例を示す図である。
図5】段取り装置情報の一例を示す図である。
図6】パレット情報の一例を示す図である。
図7】搬送装置情報の一例を示す図である。
図8】ワーク情報の一例を示す図である。
図9】勤務シフトパターン情報の一例を示す図である。
図10】勤務シフト情報の一例を示す図である。
図11】生産計画生成プロセスを示すフローチャートである。
図12】生成された生産計画の一例を示す図である。
図13】表示部に表示される生産計画としてのガントチャートの一例を示す図である。
図14】納期を達成できる場合に、表示部に表示されるガントチャートと、納期を達成できることを表示するサブウィンドウの一例を示す図である。
図15】納期を達成できない場合に、表示部に表示されるガントチャートと、納期を達成できないことを表示するサブウィンドウの一例を示す図である。
図16】勤務シフトを変更する際にガントチャートに重畳させて表示される勤務シフト変更ダイアログボックスの一例を示す図である。
図17】納期を達成できる場合に、表示部に表示されるガントチャートと、納期を達成できることを表示するサブウィンドウの他の例を示す図である。
図18】納期を達成できない場合に、表示部に表示されるガントチャートと、納期を達成できないことを表示するサブウィンドウの他の例を示す図である。
図19】納期を達成できる場合に、表示部に表示されるガントチャートと、納期を達成できることを表示するサブウィンドウの更に他の例を示す図である。
図20】納期を達成できない場合に、表示部に表示されるガントチャートと、納期を達成できないことを重なり合わない別々のウィンドウまたは領域内に表示する例を示す図である。
図21】報知部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1を参照すると、本発明を適用する生産設備100および該生産設備を管理する管理システム10の概略ブロック図が示されている。図2において、生産設備100は、少なくとも1つの工作機械102、104、少なくとも1つの段取り装置106、108、パレットストッカ112および搬送装置110を主要な構成要素として含んでいる。図2の例では、工作機械102、104は、回転主軸Sを有した横形マシニングセンタであり、パレットP1を固定するテーブル(図示せず)、パレットチェンジャPC、テーブルと回転主軸Sとを少なくともX、Y、Zの直交三軸方向に相対移動する送り装置(図示せず)を含む。送り装置は、回転送り装置(図示せず)を含んでいてもよい。パレットチェンジャは、加工済ワークを取り付けたパレットP1と、未加工ワークを取り付けたパレットP2とを交換する。
【0010】
工作機械102、104は、更に、加工に用いる複数の工具を収納した工具マガジン(図示せず)、工具マガジンと回転主軸Sとの間で工具を交換する自動工具交換装置(図示せず)、工作機械102、104の加工領域にクーラントを供給するクーラント供給装置(図示せず)等を備えることができる。工作機械102、104は、更に、回転主軸Sの駆動モータおよび送り軸装置の駆動モータを制御するNC装置、および、パレットチェンジャ、工具マガジン、自動工具交換装置、クーラント供給装置等の周辺機器を制御する機械制御装置を備えている。
【0011】
段取り装置106、108では、オペレータが、工作物・ワークピースであるワークをパレットに着脱する段取り作業を行うことができる。パレットストッカ112は、ワークWを取り付けたパレットPまたはワークWを取り付けていないパレットPを保管する棚を備えることができる。搬送装置110は、工作機械102、104、パレットストッカ112、及び、段取り装置106、108の間で、ワークWを取り付けたパレットPを搬送する。搬送装置110は、ワークWを取り付けていないパレットPのみを、或いは、パレットPに取り付けられていないワークWを直接搬送するようにしてもよい。搬送装置110は、ワークWまたはパレットP以外の物品、例えば工具を搬送するようにしてもよい。搬送装置110、および、段取り装置106、108は、各々の制御装置(ローカル制御装置)を備えることができる。
【0012】
生産設備100は管理システム10によって制御される。管理システム10は、入力部12、オーダー記憶部14、生産設備情報記憶部16、勤務シフト記憶部30、表示部32、生産計画生成部34、生産計画記憶部36および生産実行部38を主要な構成要素として備えることができる。生産設備情報記憶部16は、工作機械情報記憶部18、段取り装置情報記憶部20、パレット情報記憶部22、搬送設備情報記憶部24、ワーク情報記憶部26および勤務シフトパターン記憶部28を備えることができる。
【0013】
管理システム10は、CPU(中央演算素子)、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)のようなメモリ装置、SSD(ソリッドステートドライブ)のような記憶デバイス、ネットワーク通信デバイス、出入力ポート、および、これらを相互接続する双方向バスを含むコンピュータ装置および関連するソフトウェアから構成することができる。管理システム10は、IEEE802.3(イーサネット)やIEEE802.11(無線LAN)のような通信規格に適合する通信ネットワーク(図示せず)を介して、工作機械102、104のNC装置または機械制御装置、搬送装置110および段取り装置106、108の各々のローカル制御装置に接続することができる。
【0014】
入力部12は、出入力ポートに接続されたキーボード(図示せず)やタッチパネル(図示せず)のような入力デバイスにより構成することができる。ネットワーク通信デバイスに接続された通信ネットワーク上のサーバー(図示せず)やパーソナルコンピュータによって入力部12を形成してもよい。オーダー記憶部14、生産設備情報記憶部16、勤務シフト記憶部30および生産計画記憶部36は、上記のメモリ装置や記憶デバイスに区画されたメモリ領域や格納領域により構成することができる。
【0015】
表示部32は、管理システム10を構成するコンピュータ装置の表示装置(図示せず)により構成することができる。表示部32は、表示装置に表示する画像や文字を生成するプログラムを含んでいてもよい。表示部32は、管理システム10が生産管理する生産設備100の制御盤(図示せず)または生産設備100の各工作機械102、104の制御盤(図示せず)が備えているタッチパネルのような表示装置としてもよい。この場合、入力部12は制御盤のタッチパネルを含んでいてもよい。
【0016】
オーダー記憶部14は、入力部12から入力されたオーダー(注文)に関連した情報(オーダー情報)を記憶する。オーダー情報は、一例として図3に示すように、テーブルの形態でオーダー記憶部14に格納することができる。図3では、オーダー情報は、個々のオーダーに割り振られ当該オーダーを特定する番号である「オーダー番号」、生産すべきワークの識別名称(呼称、品種番号など)である「生産ワーク」、生産すべき当該ワークの個数である「生産数」、当該ワークの生産を開始すべき時間的始点である「生産始期」および当該ワークを「生産数」に示される個数をすべて生産すべき期限である「納期」を含んでいる。「納期」は、ワークの加工が終了する時点、加工が終了したワークをパレットから取り外した時点、生産したワークを工場から出荷可能な状態とする時点などと定義することができる。図3の例では、「生産始期」および「納期」は、日付と時間で指定されているが、単に日付のみでもよい。オーダー情報は、オーダーに関連した他の情報を含んでいてもよい。
【0017】
工作機械情報記憶部18は、管理システム10が生産管理する生産設備100が備える全ての工作機械102、104に関連する情報(工作機械情報)を記憶する。工作機械情報は、入力部12から入力することができる。工作機械情報は、一例として図4に示すように、テーブルの形態で工作機械情報記憶部18に格納することができる。図4では、工作機械情報は、「識別名」、「機種名」および「稼働状態」を含んでいる。「識別名」は、生産設備100における工作機械102、104の呼称であり、本実施形態では、識別名MC1、MC2は、それぞれ図2の工作機械102、104に対応している。「機種名」は、工作機械の機種であり、例えば、型番、商品番号または製品番号とすることができる。
【0018】
「稼働状態」は、工作機械が使用できる状態であるか否かを示す。なお、図4では、「稼働」のみが「稼働状態」として示されているが、「稼働状態」は、工作機械が、故障、修理、メンテナンスのような理由で使用できないことを示す、例えば「停止」を含むことができる。「稼働状態」は、オペレータが入力したり、或いは、工作機械102、104のNC装置や機械制御装置から通信ネットワークを介して入力するようにできる。
【0019】
一例として図4に示す工作機械情報は、生産設備100の工作機械102、104は、それぞれ識別名MC1、MC2を有し、a71nxという機種名の同型の工作機械であり、何れも使用可能な状態であることを示している。工作機械情報は、工作機械102、104に関連した他の情報を含んでいてもよい。
【0020】
段取り装置情報記憶部20は、生産設備100が備える全ての段取り装置106、108に関する情報(段取り装置情報)を記憶する。段取り装置情報は、入力部12から入力することができる。段取り装置情報は、一例として図5に示すように、テーブルの形態で段取り装置情報記憶部20に格納することができる。図5では、段取り装置情報は、「識別名」および「稼働状態」を含んでいる。「識別名」は、生産設備100における段取り装置106、108の呼称であり、本実施形態では、識別名WSS1、WSS2は、それぞれ図2の段取り装置106、108に対応している。
【0021】
「稼働状態」は、段取り装置が使用できる状態であるか否かを示す。なお、図5では、「稼働」のみが「稼働状態」として示されているが、「稼働状態」は、段取り装置が、故障、修理、メンテナンスのような理由で使用できないことを示す、例えば「停止」を含むことができる。「稼働状態」は、オペレータが入力したり、或いは、段取り装置106、108のローカル制御装置から通信ネットワークを介して入力するようにできる。一例として図5に示す段取り装置情報は、生産設備100の段取り装置106、108が使用可能な状態であることを示している。段取り装置情報は、段取り装置106、108に関連した他の情報を含んでいてもよい。
【0022】
パレット情報記憶部22は、生産設備100が備える全てのパレットPに関連する情報(パレット情報)を記憶する。パレット情報は、入力部12から入力することができる。パレット情報は、一例として図6に示すように、テーブルの形態でパレット情報記憶部22に格納することができる。図6では、パレット情報は、「識別名」、「対応ワーク」、「格納場所」および「稼働状態」を含んでいる。「識別名」は、生産設備100における個々のパレットPの呼称である。一例として示す図6では、P1、P2、P3、P4、…は、1番のパレット、2番のパレット、3番のパレット、4番のパレット、…を意味している。「識別名」は、P1、P2、P3、P4、…に代えて、単に1、2、3、4、…としてもよい。
【0023】
通常、パレットPには、ワークを取り付けるために特化した治具が固定されている。「対応ワーク」は、それぞれのパレットPに取り付け可能なワークを特定する情報である。一例として示す図6では、「対応ワーク」のフィールドには、当該パレットPに取り付けるワークの呼称、つまり「生産ワーク」の情報が入力されている。「格納場所」は、パレットストッカ112におけるパレットPの格納場所であり、例えば各格納場所に付された番地とすることができる。「稼働状態」は、パレットが使用できる状態であるか否かを示す。なお、図6では、「使用可」のみが「稼働状態」として示されているが、「稼働状態」は、パレットが、故障、修理、メンテナンス、準備中のような理由で使用できないことを示す、例えば「使用不可」を含むことができる。
【0024】
一例として図6に示すパレット情報は、ワークA、B、C、B、…を取り付けるパレットP1、P2、P3、P4、…が、全て使用可能で、それぞれパレットストッカ112の格納場所S1-9、S1-5、S1-8、S1-1、…に格納されていることを示している。実施例においては、パレットストッカは2段・10列の構成であり、パレットP1の格納場所「S1-9」は、パレットP1が「1段目の9列目」に格納されていることを示している。
【0025】
搬送装置情報記憶部24は、生産設備100が備える搬送装置110に関連する情報(搬送装置情報)を記憶する。搬送装置情報は、入力部12から入力することができる。図7を参照すると、搬送装置情報は、生産設備100における搬送装置110の呼称である「識別名」、搬送装置110の機種を示す「機種名」、搬送装置110を使用できるか否かを示す「稼働状態」およびパレットの搬送に要する時間である「搬送時間」を含むことができる。「識別名」は、生産設備100における搬送装置110の呼称である。「機種名」は、搬送装置110の機種であり、例えば、型番、商品番号または製品番号とすることができる。
【0026】
「稼働状態」は、搬送装置110が使用できる状態であるか否かを示す。なお、図7では、「稼働」のみが「稼働状態」として示されているが、「稼働状態」は、搬送装置110が、故障、修理、メンテナンスのような理由で使用できないことを示す、例えば「停止」を含むことができる。「稼働状態」は、オペレータが入力したり、或いは、搬送装置110のローカル制御装置から通信ネットワークを介して入力したりするようにできる。
【0027】
「搬送時間」は、生産設備100における機器間で搬送装置110がパレットを搬送するために要する時間である。図7では工作機械102(MC1)と、段取り装置106(WSS1)との間でパレットを搬送するために要する時間が示されている。なお、図7では、工作機械102(MC1)と、段取り装置106(WSS1)との間でパレットを搬送するために要する「搬送時間」のみが示されているが、搬送装置情報は、工作機械102(MC1)と、段取り装置108(WSS2)との間でパレットを搬送するために要する「搬送時間」、工作機械104(MC2)と、段取り装置106(WSS1)との間でパレットを搬送するために要する「搬送時間」、および、工作機械104(MC2)と、段取り装置108(WSS2)との間でパレットを搬送するために要する「搬送時間」を含むことができる。工作機械102、104または段取り装置106、108と、パレットストッカ112との間の「搬送時間」も、同様に含むことができる。
【0028】
一例として図7に示す搬送装置情報は、生産設備100の搬送装置110は、識別名AGV1を有し、PZ1-AGVという機種名の搬送装置であり、使用可能な状態であり、工作機械102(MC1)と、段取り装置106(WSS1)との間でパレットを搬送するために要する時間が1分であることを示している。搬送装置情報は、搬送装置110に関連した他の情報を含んでいてもよい。
【0029】
ワーク情報記憶部26は、加工すべきワークに関連した情報(ワーク情報)を記憶する。図8を参照すると、一例として示すワーク情報は、「識別名」、「加工プログラム番号」、「加工時間」、「取付け時間」、「取外し時間」、「MC1加工」、「MC2加工」、「WSS1段取り」および「WSS2段取り」を含んでいる。ワーク情報は、入力部12から入力することができる。なお、本明細書では、「取付け時間」と「取外し時間」とを総称して「段取り時間」とも称する。
【0030】
「識別名」は上記オーダーの「生産ワーク」と同じ情報である。「加工プログラム番号」は、当該ワークを加工するための加工プログラムの番号である。「加工時間」は、当該ワークを加工するために要する時間である。「取付け時間」は、段取り装置WSS1(106)またはWSS2(108)において未加工状態の当該ワークをパレットPに取り付けるために要する時間である。「取外し時間」は、段取り装置WSS1(106)またはWSS2(108)において加工済の当該ワークをパレットPから取り外すために要する時間である。なお、本明細書では、ワークのパレットへの「取付け作業」およびパレットからの「取外し作業」を単に「段取り」とも称する。
【0031】
「MC1加工」および「MC2加工」は、工作機械MC1(102)および/またはMC2(104)で当該ワークを加工可能であるか否か、つまり工作機械の当該ワークへの適合性を示す。「WSS1段取り」および「WSS2段取り」は、段取り装置WSS1(106)および/またはWSS2(108)でパレットPに対してワークの段取りが可能であるか否か、つまり段取り装置の当該ワークへの適合性を示す。
【0032】
一例として図8に示すワーク情報は、生産設備100で加工すべきワークは、ワークA、B、Cであり、それぞれ1つ加工するために30分、45分、60分かかり、未加工ワークをパレットPに取り付けるために5分、15分、15分かかり、加工済ワークをパレットPから取り外すために5分、10分、12分かかり、ワークA、Bは工作機械MC1、MC2で加工でき、ワークCは工作機械MC1で加工できるが、工作機械MC2では加工できず、ワークA、Bは段取り装置WSS1、WSS2でパレットPに対して段取り可能であり、ワークCは段取り装置WSS1でパレットPに対して段取り可能であるか、段取り装置WSS2では段取りできないことを示している。さらに、ワーク情報には、当該ワークの生産に必要なタスクとその順番で構成されるプロセス情報が含まれていてもよい。プロセス情報は例えば「1:取付け(段取り装置)→2:搬送(搬送装置)→3:加工(工作機械)→4:搬送(搬送装置)→5:取外し(段取り装置)」のように、当該ワークの生産に必要なタスク、当該タスクの順番、当該タスクが実行される装置の三つの情報で構成される。ワーク情報は、ワークに関連した他の情報を含んでいてもよい。
【0033】
勤務シフトパターン記憶部28は、オペレータの勤務シフトのパターン、つまり生産設備100に係る業務に従事するオペレータの通常の勤務形態に関連した情報を記憶している。勤務シフトパターン情報は、入力部12から入力することができる。図9を参照すると、一例として示す勤務シフトパターン情報は、「パターン」、「勤務時間1」および「勤務時間2」を含んでいる。
【0034】
「パターン」は、生産設備100または生産設備100が設置されている工場における勤務形態の呼称である。図8に示す例では、「パターン」は、日勤、夜勤の別に加えて残業を含んでいる。「勤務時間1」および「勤務時間2」は、オペレータが生産設備100に係る業務に従事する時間である。「勤務時間1」と「勤務時間2」の間は休憩時間とすることができる。
【0035】
図9に示す勤務シフトパターン情報は、勤務形態として、8:00(午前8時)~12:00(正午)まで勤務し、1時間の休憩の後、13:00(午後1時)~17:00(午後5時)まで勤務する日勤1、16:00(午後4時)~20:00(午後8時)まで勤務し、1時間の休憩の後、21:00(午後9時)~25:00(午前1時)まで勤務する夜勤1、17:15(午後5時15分)~19:15(午後7時15分)まで勤務する残業1、17:15(午後5時15分)~21:15(午後9時15分)まで勤務する残業2を含んでいる。勤務シフトパターン情報は、他の勤務形態、例えば、8:00(午前8時)より前に勤務開始する早番や、午後から勤務を開始する遅番、25:00(午前1時)以降に勤務開始する深夜勤務のような勤務形態を含んでいてもよい。
【0036】
勤務シフト記憶部30は、生産設備100に係る業務に従事するオペレータの勤務シフトに関連した勤務シフト情報を記憶する。勤務シフト情報は、入力部12から入力することができる。勤務シフト情報は、生産管理者が入力したり、或いは、生産設備100が設置されている工場の勤怠管理サーバー(図示せず)から通信ネットワークを介して入力するようにできる。勤務シフト記憶部30が記憶する勤務シフト情報は、表示部32に勤務シフト表として表示させることができる。なお、生産管理者は本発明における管理システムの管理者兼操作者を指すが、オペレータが生産管理者の役割を兼ねてもよい。
【0037】
図10を参照すると、一例として示す勤務シフト情報は、「勤務日」、「オペレータ」、「勤務時間1」および「勤務時間2」を含んでいる。「勤務日」は、個々のオペレータが生産設備100に係る業務に従事する日付である。「オペレータ」は、勤務するオペレータの氏名である。「勤務時間1」および「勤務時間2」は、オペレータが生産設備100に係る業務に従事する時間である。「勤務時間1」と「勤務時間2」の間は休憩時間とすることができる。
【0038】
図10に示す勤務シフト情報は、2023年9月15日にオペレータOP1が、8:00(午前8時)~12:00(正午)までと、13:00(午後1時)~17:00(午後5時)まで勤務し、オペレータOP2が、16:00(午後4時)~20:00(午後8時)までと、21:00(午後9時)~25:00(翌日午前1時)まで勤務し、2023年9月16日にオペレータOP1が、8:00(午前8時)~12:00(正午)までと、13:00(午後1時)~17:00(午後5時)まで勤務し、オペレータOP2が、16:00(午後4時)~20:00(午後8時)までと、21:00(午後9時)~25:00(翌日午前1時)まで勤務することを示している。
【0039】
以下、図11を参照して、本実施形態の作用を説明する。
生産管理者が入力部12から新たなオーダーを入力した後、生産計画生成部34は当該オーダーで指示された生産ワークの生産に必要なタスクの集合であり、生産設備100における各装置の作業手順である生産計画を生成する。生産管理者により、生産計画の生成が指令される(ステップS10)と、生産計画生成部34は、生産設備100の各装置の作業手順である生産計画を生成する(ステップS12)。生産計画の生成は、オーダーが入力されたときに自動で開始するようにしてもよい。更に、例えば、工作機械の稼働状態が変更されたときや、パレットが追加されるような生産設備の状況が変更されたときに、生産計画を生成するようにできる。
【0040】
生産計画生成部34は、オーダー情報に記載されているワークを生産するために、オーダー記憶部14が記憶するオーダー情報、生産設備情報記憶部16が記憶する工作機械情報、段取り装置情報、パレット情報、搬送装置情報、ワーク情報および勤務シフト記憶部30が記憶する勤務シフトに基づいて、生産設備100の工作機械102、104、段取り装置106、108、パレットPおよび搬送装置110の作業手順である生産計画を、図12に一例として示すように表の形態(図12)で生成することができる。生産計画生成部34が生成した生産計画は、生産計画記憶部36に記憶される(ステップS14)。
【0041】
図12に一例として示す生産計画は、「タスク」、「ワーク-加工番号」、「オーダー」、「パレット」、「タスク開始予定時刻」、「タスク終了予定時刻」および「装置」を含んでいる。「タスク」は、生産設備100を構成する装置による作業の呼称である。本例では、「タスク」は、オペレータが段取り装置106または108において未加工ワークをパレットPへ取付ける作業「取付け作業」、パレットPに取付けたワークWをパレットPと共に段取り装置106または108から工作機械102または104へ搬送装置110により搬送する「搬送1」、搬送されたワークWを工作機械102または104において加工する「加工」、加工済ワークWをパレットPと共に工作機械102または104から段取り装置106または108へ搬送装置110により搬送する「搬送2」、段取り装置106または108においてパレットPから加工済ワークWを取り外す「取外し作業」を含んでいる。
【0042】
「ワーク-加工番号」は、オーダー情報に記載されている「生産ワーク」と「生産数」の内、何番目のワークであるかを示す情報である。図12に一例として示す「ワーク-加工番号」は、(生産ワーク)‐(番号)‐(生産数)の組み合わせとなっている。「オーダー」は、オーダー情報に記載されている「オーダー番号」である。「パレット」は、使用されるパレットPの「識別名」(図6参照)である。「タスク開始予定時刻」は、生産計画における当該「タスク」の時間的開始点であり、「タスク終了予定時刻」は、生産計画における当該「タスク」の時間的終了点であり、「装置」は、当該「タスク」を実行するために使用される装置の「識別名」(図4、5、7参照)である。
【0043】
図12の例では、図3のオーダー番号PO-A-0915による生産ワークAについての生産計画は、
(1)2023年9月15日8:00(午前8時)から2023年9月15日8:05(午前8時5分)まで、オペレータが段取り装置WSS1において1番目の生産ワークAである未加工のワークA-1-10のパレットP1への取付け作業を行い、
(2)2023年9月15日8:05(午前8時5分)から2023年9月15日8:06(午前8時6分)まで、パレットP1に取付けられたワークA-1-10を搬送装置AGV1により段取り装置WSS1から工作機械MC1へ搬送し、
(3)2023年9月15日8:06(午前8時6分)から2023年9月15日8:36(午前8時36分)まで、工作機械MC1でワークA-1-10を加工し、
(4)2023年9月15日8:36(午前8時36分)から2023年9月15日8:37(午前8時37分)まで、加工されたワークA-1-10を搬送装置AGV1により工作機械MC1から段取り装置WSS1へ搬送し、
(5)2023年9月15日8:37(午前8時37分)から2023年9月15日8:42(午前8時42分)まで、オペレータが段取り装置WSS1において加工済のワークA-1-10をパレットP1から取り外し、
(6)2023年9月15日8:42(午前8時42分)から2023年9月15日8:47(午前8時47分)まで、オペレータが段取り装置WSS1において2番目の生産ワークAである未加工のワークA-2-10のパレットP1への取付け作業を行い、
(7)2023年9月15日8:47(午前8時47分)から2023年9月15日8:48(午前8時48分)まで、パレットP1に取付けられたワークA-2-10を搬送装置AGV1により段取り装置WSS1から工作機械MC1へ搬送し、
(8)2023年9月15日8:48(午前8時48分)から2023年9月15日9:18(午前9時18分)まで、工作機械MC1でワークA-2-10を加工し、
更に図示しないタスクをおこなった後、最後に
(9)2023年9月15日15:48(午後3時48分)から2023年9月15日15:53(午後3時53分)まで、オペレータが段取り装置WSS1において10番目の生産ワークAである加工済のワークA-10-10をパレットP1から取り外すこと、からなる。
【0044】
生産計画生成部34は、生成された生産計画の完了時点である生産設備100における生産ワークAに対する全ての作業が完了する時間的終点、図12の例では、最後のワークA-10-10がパレットP1から取り外されるタスク終了予定時刻(2023年9月15日15:53(午後3時53分))と、オーダー情報に記載されている納期(2023年9月20日8:00(午前8時))とを照合(ステップS16)する。照合結果は生産計画記憶部36に記憶される。
【0045】
表示部32は、以下に説明するように、生産計画記憶部36にアクセスして、照合結果とともに生産計画を表示する。生産計画を表示する際、表示部32は、図12に示す表形態で生産計画を表示してもよいが、図13に示すようなガントチャートの形態で生産計画を表示することが好ましい。なお、生産計画に係る日程が長い場合や、表示すべき装置が多数の場合には、表示を拡大、縮小できたり、スクロールバーで縦横に表示を切り替えたりできるようにすることが好ましい。更には、生産計画の生成が終了して最初に表示するときに、最後のワークの最後のタスクの部分が必ず表示されるようにすることによって、納期の達成を確認し易くなる。
【0046】
図13を参照すると、表示部32が表示する生産計画としてのガントチャート50は、一例として、勤務時間チャート52、加工計画チャート54、搬送計画チャート56、段取り計画チャート58およびオペレータ勤務時間チャート60を含んでいる。生産計画を示すガントチャート50は、更に、生成された生産計画の完了時点、ここでは生産計画の完了時刻を示すアイコン(完了時アイコン)62を含んでいる。図13図19では、完了時アイコン62は、最終の生産ワークAの加工が終了し、ワークWのパレットPからの取り外し作業が終了する時刻を示しているが、最終の生産ワークAの加工が終了する時刻を示すようにしてもよい。なお、本実施例では納期や完了時点は分単位の時刻としているが、納期及び完了時点の両方又は一方を、月のみ・月日・時間単位の時刻・秒単位の時刻など、別の単位にしてもよい。
【0047】
図13において、勤務時間チャート52は、生産設備100に従事する全てのオペレータの勤務時間を重畳して示すチャートであり、白抜きで示す勤務時間と、ハッチングで示す非勤務時間とを含んでいる。図13の勤務時間チャート52が示す勤務時間は、8:00(午前8時)~12:00(正午)までと、13:00(午後1時)~17:00(午後5時)を含んでいる。なお、図13の勤務時間チャート52が示す勤務時間では、17:00(午後5時)以降、オペレータは勤務していない。
【0048】
加工計画チャート54は工作機械MC1、MC2の各々について生成するようにできるが、図13では工作機械MC1についてのみ生成されている。加工計画チャート54は、時系列順に配置された複数のタスクアイコン(加工タスクアイコン)を含んでいる。図13の例では、工作機械MC1のための加工計画チャート54は加工タスクアイコンT1~T10を含んでいる。加工タスクアイコンT1~T10は、工作機械MC1における加工に対応している。図13の例では、加工タスクアイコンT1~T10には、工作機械MC1で加工すべきワークを取り付けたパレットのパレット番号が付されているが、パレット番号に代えて「ワーク-加工番号」や「生産ワーク」が付されていてもよい。
【0049】
搬送計画チャート56は、時系列順に配置された複数のタスクアイコン(搬送タスクアイコン)を含んでいる。図13の例では、搬送計画チャート56は搬送タスクアイコンC1~C20を含んでいる。搬送タスクアイコンC(1+2i):i=0~9は図12の搬送1、つまり段取り装置WSS1から工作機械MC1への未加工ワークの搬送作業に対応しており、搬送タスクアイコンC(2i):i=1~10は、図12の搬送2、つまり工作機械MC1から段取り装置WSS1への加工済ワークの搬送作業に対応している。
【0050】
段取りチャート58は、タスクアイコン(段取りタスクアイコン)WS1~WS20を含んでいる。段取りタスクアイコンWS(1+2i)i=0~9は図12の取付け作業に対応しており、段取りタスクアイコンWS(2i)i=1~10は、図12の取外し作業に対応している。図13図20では、段取り装置WSS1における段取りについてのみ図示されているが、段取り装置WSS2についても同様に表示することができる。
【0051】
オペレータ勤務時間チャート60は、個々のオペレータの勤務時間を示すチャートであり、白抜きで示す勤務時間と、ハッチングで示す非勤務時間とを含んでいる。勤務時間は、8:00(午前8時)~12:00(正午)までと、13:00(午後1時)~17:00(午後5時)を含んでいる。図13では、勤務しているのは、オペレータOP1のみであるので、勤務時間チャート52と、オペレータ勤務時間チャート60は、オペレータOP1の勤務時間において一致している。
【0052】
納期を達成可能な場合(ステップS16でYesの場合)、表示部32は、生産計画と共に納期を達成できる旨表示する(ステップS18)。図14を参照すると、表示部32は、図13のガントチャートとともに、納期達成可能の表示を含むサブウィンドウ64を表示する。図14に一例として示す納期を達成できる旨の表示は、オーダー番号「PO-A-0915」と、納期「2023/9/15 8:00(2023年9月15日午前8時)」とを含んでいる。サブウィンドウ64には、また、生産管理者に当該生産計画を承認するか否かを問うためのボタン66a、66bが表示される。
【0053】
納期を達成できない場合(ステップS16でNoの場合)、表示部32は、生産計画と共に納期を達成できない旨表示する(ステップS20)。図15を参照すると、納期を達成できない場合に表示部32に表示される生産計画としてのガントチャートは、図13のガントチャートと同様に、勤務時間チャート52、加工計画チャート54、搬送計画チャート56、段取り計画チャート58およびオペレータ勤務時間チャート60を含んでいる。図15のガントチャートは、更に納期を線とテキストボックスで示すアイコン(納期アイコン)68を含んでいる。納期の時点に合わせて線が表示され、納期の年月日・時刻がテキストボックスに表示されている。納期アイコン68は、当該アイコンが納期を示すことを明瞭にするために「納期」の表示を含んでいるが、他の態様のアイコン、例えば、完了時アイコン62と異なる色や形状のアイコンとしてもよい。図15のガントチャートでは、完了時点を示す完了時アイコン62が納期アイコン68よりも右側にあるので、完了時点が納期を超過しており納期を達成できないことが生産管理者に容易に理解される。更に図15のガントチャートでは、特に3つの加工タスクアイコンT13~T15が納期アイコン68の右側にあるので、加工タスクアイコンT13~T15に対応したオーダーPO-A-0918の生産ワークA-13-15~A-15-15の生産が、納期に間に合わないことが生産管理者に容易に理解される。
【0054】
納期を達成できない場合、表示部32は、生産計画としてのガントチャートとともに、納期達成不可の表示を含むサブウィンドウ70を表示する。図15に一例として示す納期を達成できない旨の表示は、オーダー番号「PO-A-0918」と、納期「2023/9/18 23:00(2023年9月18日午後11時)」とを含んでいる。サブウィンドウ70には、また、生産管理者に勤務シフトを変更するか否かを問うためのボタン72a、72bが表示される。
【0055】
生産管理者が、勤務シフト変更のために、「はい」のボタン72aをタップまたはクリックすると、生産計画のガントチャートに勤務シフト変更ダイアログボックス74(図16)が表示される。勤務シフト変更ダイアログボックス74は、現状の勤務シフトを示す表(現状勤務シフト表)76と、現状の勤務シフトに追加される勤務シフトを示す表(追加勤務シフト表)78と、追加ボタン80およびキャンセルボタン82を含んでいる。現状勤務シフト表76は、勤務シフト記憶部30に記憶されている現在の勤務シフト情報に基づいて生成される。追加勤務シフト表78は、追加の勤務を可能なオペレータを生産管理者が選定、さらに勤務日である年月日、勤務時間を入力または選択することによって生成される。生成された生産計画と勤務シフトとを表示部32に同時に表示することによって、管理システム操作者は、生産計画を確認しながら、勤務シフトを調整できる。ここで、追加勤務シフト表78は、勤務日・オペレータ・勤務時間1・勤務時間2の見出しと、入力ルールが設定された入力行が最初に表示され、生産管理者が入力ルールに従いながら直接入力することができる。例えば、勤務日は年月日のフォーマットであることを入力ルールとしてもよい。さらに、入力ルールは、管理システム100の各記憶部を参照して設定されてもよい。例えば、上記勤務シフトパターン記憶部28を参照し、勤務シフトパターン情報をリスト形式で追加勤務シフト表78の勤務時間1または勤務時間2に関連付けて表示し、生産管理者がリストの中から所望の勤務シフトパターンをタップ又はクリックして選択すると、追加勤務シフト表78の勤務時間1または勤務時間2に選択した勤務シフトパターンが入力されるようにしてもよい。
【0056】
なお、管理システム10は、生産管理者による追加の勤務を可能なオペレータの選定、入力を補助するために、納期を達成するための勤務シフトを計算し、管理システム操作者に提案する勤務シフト計算部(図示せず)を備えることができる。更に、管理システム10は、オペレータ情報を記憶するオペレータ情報記憶部(図示せず)を備えていてもよい。オペレータ情報は、個々のオペレータに応じた勤務可否情報(例えばオペレータOP1は、残業は週5時間まで可、夜勤は不可、日曜出勤は不可)や、オペレータごとのスキル情報(例えば.オペレータOP1は、ワークA、Bの段取りが可能、ワークCの段取りは不可能)を含むことができる。オペレータ情報に基づいて、勤務シフト選択や生成計画生成、或いは、勤務シフト計算を行ってもよい。
【0057】
図16の実施例において、生産管理者が、勤務日は2023年9月18日、オペレータはP1、勤務時間1は17:15-21:15(午後5時15分から午後9時15分まで)、勤務時間2は設定無し、という内容で、追加勤務シフト表78を作成し、追加ボタン80をタップまたはクリックすると(ステップS22でYes)、フローチャートはステップS12へ戻り、生産計画生成部34は、追加された勤務シフトを加味して、新たな生産計画を生成する。生成された新たな生産計画は、生産計画記憶部36に記憶される(ステップS14)。次いで、生産計画生成部34は、再び納期を達成できるか否かを判定し(ステップS16)、納期を達成可能な場合(ステップS16でYesの場合)、表示部32は、図17に示すように、新たな生産計画を示すガントチャートとともに、納期達成可能の表示を含むサブウィンドウ64を表示する(ステップS18)。
【0058】
ステップS16でNoの場合、つまり、勤務シフトを変更して生産計画を再生成しても納期を達成できない場合には、表示部32は、新たに生成された生産計画としてのガントチャートとともに、納期達成不可の表示を含むサブウィンドウ70を再び表示する(ステップS20)。ここで、生産管理者が、勤務シフト変更のために、「はい」のボタン72aをタップまたはクリックすると、表示部32は、勤務シフト変更ダイアログボックス74を再び表示する。生産管理者は、再び勤務シフトを検討することができる。
【0059】
図18及び図19は、図16及び図17とは異なる実施例を示す。図18の勤務シフト変更ダイアログボックス74は、追加勤務シフト表84を含む。図16の追加勤務シフト表78では、オペレータOP1が17:15(午後5時15分)~21:15(午後9時15分)まで勤務するのに対して、図18に示す追加勤務シフト表84では、オペレータOP2が15:20(午後3時)~20:00(午後8時)までと、21:00(午後9時)~25:00(翌日午前1時)まで勤務するようになっている。
【0060】
生産管理者が、追加ボタン80をタップまたはクリックすると(ステップS22でYes)、フローチャートはステップS12へ戻り、生産計画生成部34は、追加された勤務シフトを加味して、新たな生産計画を生成する。生成された新たな生産計画は、生産計画記憶部36に記憶される(ステップS14)。次いで、生産計画生成部34は、再び納期を達成できるか否かを判定し(ステップS16)、納期を達成可能な場合(ステップS16でYesの場合)、表示部32は、図19に示すように、新たな生産計画を示すガントチャートとともに、納期達成可能の表示を含むサブウィンドウ64を表示する(ステップS18)。図17のガントチャートでは、オペレータ勤務時間チャート60はオペレータOP1のみが勤務していることを示しているが、図19のガントチャートでは、オペレータ勤務時間チャート60は、オペレータOP1に加えて、オペレータOP2が勤務することを示している。
【0061】
なお、ステップS16で、新たな生産計画でも納期を達成できない場合には、納期を達成できるまで上述のプロセスを繰り返してもよいが、処理を中断して、生産管理者にオーダーの見直しや生産設備の手配を候補とした、抜本的な解決を促すダイヤログを表示するようにできる。
【0062】
納期を達成できる場合(ステップS16でYesの場合)において、納期達成可能の表示を含むサブウィンドウ64の「はい」のボタン66a(図14、17、19)をタップまたはクリックして、生成された生産計画を生産管理者が承認すると(ステップS24でYesの場合)、当該生産計画の生成に当たって、勤務シフトの変更がなされたか否かが判定される。勤務シフトの変更がなされていなければ(ステップS26でNoの場合)、表示部32に「実行ボタン(図示せず)」を表示して(ステップS30)、生産管理者に生産計画の実行を促すようにできる。勤務シフトの変更があった場合(ステップS26でYesの場合)、ステップS28で勤務シフトの変更を勤務シフト記憶部が記憶している勤務シフトに反映させた後に、ステップS30で生産管理者に生産計画の実行を促すようにできる。
【0063】
生産管理者が、実行ボタンをタップまたはクリックして、生産実行部38に生産計画の実行を指示すると(ステップS32でYesの場合)、生産実行部38は、生産計画記憶部36から承認された生産計画を読み出し、生産設備100に対して、読み出した生産計画に従って生産を実行するよう指示し(ステップS34)、生産計画生成プロセスが終了する(ステップS36)。生産管理者が生産計画の実行を指示しない場合(ステップS32でNoの場合)、生産設備100が生産計画を実行することなく、承認された生産計画が生産計画記憶部36に記憶された状態で、生産計画生成プロセスが終了する(ステップS36)。
【0064】
納期を達成できる場合でも、生産管理者は、生成された生産計画を承認しないこともできる(ステップS24でNoの場合)。つまり、生産管理者は、図14、17、19の納期達成可能の表示を含むサブウィンドウ64が表示されたときに、そこに含まれている「いいえ」のボタン66bをタップまたはクリックすることによって、勤務シフト変更ダイアログボックス74を表示させて、勤務シフトを変更することができる。これにより、納期が達成できる場合でも更なる改善を行うことができる。例えば、人件費削減のため、図17に示すように1人のオペレータによって納期を達成するようにして余剰の勤務シフトを削減したり、図19に示すようにオペレータの人数を増やしてオペレータの負担を低減したりできる。
【0065】
なお、ステップS22で「いいえ」のボタン72bをタップまたはクリックすると(ステップS22でNoの場合)、生成された生産計画を生産計画記憶部36に記憶させた状態で、生産計画生成プロセスは終了する(ステップS36)。この場合、生成された生産計画は実行されない。
【0066】
本実施形態によれば、生成した生産計画と納期とを照合した照合結果と、勤務シフトとを表示し、勤務シフトを変更したときに、再度生産計画の生成を行う。納期が達成できない場合に、納期を達成するため、不足しているオペレータの勤務シフトを増やすことができる。納期が達成できる場合に、オペレータの負担低減・人件費削減のため、余剰の勤務シフトを削減することができる。
【0067】
また、生産設備情報記憶部16は、工作機械102、104の稼働状態を含む工作機械情報、段取り装置106、108の稼働状態を含む段取り装置情報、生産設備100が保有するパレットPの種類と数を含むパレット情報、搬送装置110の搬送能力および稼働状態を含む搬送装置情報、ワーク種類別に加工プログラム番号、段取り時間(取付け時間及び取外し時間)、加工時間、加工可能な工作機械、段取り可能な段取り装置を含むワーク情報、勤務シフトパターンを含む勤務シフトパターン情報とを記憶し、生産計画生成部34はこれらの情報に基づいて生産計画を生成する。これにより、生成される生産計画の精度が向上するとともに、勤務シフトが変更されたとき、勤務シフトパターンを表示して、勤務シフトの変更を補助することができる。
【0068】
既述の実施形態では、勤務シフト変更ダイアログボックス74は、生産計画のガントチャートに重畳するように表示(ポップアウト)されるようになっているが、生産計画と、勤務シフトは、図20に示すように、重なり合わない別々のウィンドウまたは領域内に表示するようにしてもよい。図20に示す実施形態では、表示部32には、生産計画表示領域90、勤務シフト表示領域92および納期達成不可の表示を含むサブウィンドウ70が同時に重なり合わないように表示されている。
【0069】
なお、生産計画を生成している途中で、新たなオーダーが入力されると、生産管理者の予期しない生産計画が生成されてしまう可能性がある。そうした事態が生じないように、管理システム10は、生産計画生成部34が生産計画を生成している間に、別のオーダーがオーダー記憶部14に入力された場合に、それを生産管理者に報知する報知部を備えることができる。
【0070】
図21を参照すると、報知部40は、生産計画生成部34およびオーダー記憶部14を監視し、生産計画生成部34が生産計画を生成中に、当該生産計画に係るオーダーとは別のオーダーが入力部12に入力された場合に、このオーダーに係る入力を保留した上で、スピーカー42、表示部32、スマートフォンやタブレットのような、好ましくは可搬型の端末44等によって、別のオーダーの入力があったことを生産管理者へ報知する。生産管理者は、新たな別のオーダーの入力があった旨の報知を確認した上で、この別のオーダーの入力を続行するか中止するかを選択できる。
【0071】
生産管理者が、別のオーダーの入力の続行を選択すると、現在進行中の生産計画の生成は強制的に停止され、別のオーダーの入力の中止を選択すると、現在進行中の生産計画の生成が続行されるようにできる。現在進行中の生産計画の生成を強制的に停止した後に、別のオーダーを加味した新しい生産計画の生成を開始するようにしてもよい。
【0072】
更に、生産計画の生成は、実際の生産設備に付帯した管理システム10上でなく、管理システム10の各種記憶部の情報を複製した仮想管理システム(図示せず)上で行ってもよい。これにより、実際の生産に干渉することなく、様々なオーダーや生産設備の状況、数などの変動に応じて自由に生産計画の生成を行うことができる。
【符号の説明】
【0073】
10 管理システム
12 入力部
14 オーダー記憶部
16 生産設備情報記憶部
18 工作機械情報記憶部
20 段取り装置情報記憶部
22 パレット情報記憶部
24 搬送装置情報記憶部
26 ワーク情報記憶部
28 勤務シフトパターン記憶部
30 勤務シフト記憶部
32 表示部
34 生産計画生成部
36 生産計画記憶部
38 生産実行部
40 報知部
42 スピーカー
44 端末
50 ガントチャート
52 勤務時間チャート
54 加工計画チャート
56 搬送計画チャート
58 段取り計画チャート
60 オペレータ勤務時間チャート
62 完了時アイコン
64 サブウィンドウ
66a ボタン
66b ボタン
68 納期アイコン
70 サブウィンドウ
72a ボタン
72b ボタン
74 勤務シフト変更ダイアログボックス
76 現状勤務シフト表
78 追加勤務シフト表
80 追加ボタン
82 キャンセルボタン
84 追加勤務シフト表
90 生産計画表示領域
92 勤務シフト表示領域
102 工作機械
104 工作機械
106 段取り装置
108 段取り装置
110 搬送装置
112 パレットストッカ
【要約】
【課題】複数の装置を含む生産設備の管理システムにおいて、オペレータの勤務シフトが変更された場合に生産計画を再度生成可能とすること。
【解決手段】生産設備100における生産計画を生成するための管理システム10が、生産設備に係る生産設備情報を記憶する生産設備情報記憶部16と、生産設備で勤務するオペレータの勤務シフトを記憶する勤務シフト記憶部30と、ワークの種類、生産数および納期を含むオーダー情報を記憶するオーダー記憶部14と、オーダー記憶部および勤務シフト記憶部に入力を行う入力部12と、生産設備情報、オーダー、勤務シフトに基づいて生産計画を生成し、生成された生産計画の完了時を納期と照合する生産計画生成部34と、生成された生産計画と納期とを照合した照合結果とを記憶する生産計画記憶部36と、生成された生産計画と、納期と照合した照合結果と、勤務シフトとを表示する表示部32とを含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21