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特許7681780ベントサッシュユニット及びベントサッシュユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-14
(45)【発行日】2025-05-22
(54)【発明の名称】ベントサッシュユニット及びベントサッシュユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/90 20060101AFI20250515BHJP
【FI】
E04B2/90
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024160270
(22)【出願日】2024-09-17
【審査請求日】2024-09-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧沢 和博
(72)【発明者】
【氏名】清水 健輔
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-158827(JP,A)
【文献】特開2021-155975(JP,A)
【文献】特開2023-115622(JP,A)
【文献】特開2023-132034(JP,A)
【文献】特開2021-151936(JP,A)
【文献】特開2021-152285(JP,A)
【文献】特開2021-152286(JP,A)
【文献】特開2021-152287(JP,A)
【文献】特開2003-082799(JP,A)
【文献】特開平08-189116(JP,A)
【文献】友枝 勝登、岡本 結里子,“種々の支持条件におけるコールドベントガラス その2:解析概要と実験との比較”,日本建築学会大会学術講演梗概集,2022年09月,p.865-866
【文献】岡本 結里子、友枝 勝登,“種々の支持条件におけるコールドベントガラス その3:倍強度合わせガラスの実大破壊実験 概要と結果”,日本建築学会大会学術講演梗概集,2023年09月,p.879-880
【文献】友枝 勝登、岡本結里子,“種々の支持条件におけるコールドベントガラスその4:倍強度合わせガラスの実大破壊実験解析と分析”,日本建築学会大会学術講演梗概集,2023年09月,p.881-882
【文献】岡本 結里子、友枝勝登,“種々の支持条件におけるコールドベントガラスその1:実験概要と測定結果”,日本建築学会大会学術講演梗概集,2022年07月,p.863-864
【文献】清水建設,自由なガラスファサードを実現する「3次元曲面ガラススクリーン構法」,2022年02月21日,[2025年3月4日検索],インターネット<URL:https://www.shimztechnonews.com/hotTopics/news/2022/2022-01.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/88-2/96
E06B 1/12-1/14
E06B 3/54-3/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷間曲げによって湾曲されたガラス板を保持するベントサッシュユニットであって、
少なくとも4つの辺を有する前記ガラス板と、
前記ガラス板の各辺を支持する支持フレームと、
前記支持フレームが取り付けられる取付面を有する保持フレームと、を備え、
前記保持フレームは、枠体を構成する部材同士を接合するすべての接合部において、前記枠体を構成する部材の端面が前記枠体を構成する他の部材に面接触した状態で接合されることにより形成され、
前記保持フレームの前記取付面には、前記支持フレームを介して前記ガラス板が前記取付面に取り付けられる前の状態において、所定の角度で交差する少なくとも2つの平面が設けられており、
前記ガラス板は、前記2つの平面のうち一方の平面に沿って前記支持フレームにより支持される部分と前記2つの平面のうち他方の平面に沿って前記支持フレームにより支持される部分との間の部分において湾曲した状態で保持される、
ベントサッシュユニット。
【請求項2】
前記保持フレームの前記取付面には、第1平面と、前記第1平面と前記所定の角度で交差する第2平面と、の2つの平面が設けられており、
前記保持フレームは、直線状に形成された第1保持部材、第2保持部材、第3保持部材、及び、第4保持部材を有し、
前記第1保持部材の一端部には、前記第2保持部材の一端部が、前記第1保持部材の前記取付面と前記第2保持部材の前記取付面とが前記第1平面上に位置するように接合され、
前記第3保持部材の一端部には、前記第4保持部材の一端部が、前記第3保持部材の前記取付面と前記第4保持部材の前記取付面とが前記第2平面上に位置するように接合され、
前記第1保持部材の他端部と前記第3保持部材の他端部には、前記第1平面と前記第2平面とが前記所定の角度で交差するように、前記第4保持部材の他端部と前記第2保持部材の他端部がそれぞれ接合される、
請求項1に記載のベントサッシュユニット。
【請求項3】
前記支持フレームは、前記第1保持部材に取り付けられる第1支持フレーム、前記第2保持部材に取り付けられる第2支持フレーム、前記第3保持部材に取り付けられる第3支持フレーム、及び、前記第4保持部材に取り付けられる第4支持フレームを有し、
前記第1支持フレーム、前記第2支持フレーム、前記第3支持フレーム及び前記第4支持フレームは、直線状に形成され、互いに接触することなく前記保持フレームに取り付けられ、
前記第1支持フレームと前記第2支持フレームとの間、前記第2支持フレームと前記第3支持フレームとの間、前記第3支持フレームと前記第4支持フレームとの間、及び、前記第4支持フレームと前記第1支持フレームとの間にそれぞれ形成される隙間にはシール部材が設けられる、
請求項2に記載のベントサッシュユニット。
【請求項4】
前記保持フレームは、鋼製であり、
前記支持フレームは、前記保持フレームよりも剛性が低い金属製である、
請求項1から3の何れか1つに記載のベントサッシュユニット。
【請求項5】
冷間曲げによって湾曲されたガラス板を保持するベントサッシュユニットの製造方法であって、
保持フレームを組み立てる組立工程と、
前記保持フレームの取付面に第1支持部材を取り付ける取付工程と、
前記第1支持部材に第2支持部材を組み付けることによって、冷間曲げによって湾曲された少なくとも4つの辺を有する前記ガラス板の各辺を前記第1支持部材と前記第2支持部材とにより挟み込んで支持するガラス板支持工程と、を含み、
前記保持フレームの前記取付面には、所定の角度で交差する少なくとも2つの平面が設けられており、
前記ガラス板支持工程おいて、前記ガラス板は、前記第1支持部材及び前記第2支持部材により前記2つの平面のうち一方の平面に沿って支持される部分と前記第1支持部材及び前記第2支持部材により前記2つの平面のうち他方の平面に沿って支持される部分との間の部分において湾曲した状態で支持される、
ベントサッシュユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベントサッシュユニット及びベントサッシュユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガラス板とガラス板を支持するアルミ製のフレームとを有するサッシュユニットを湾曲させることによって三次元曲面のファサードを構築する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-155975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、三次元曲面のファサードを構築するために、ガラス板とアルミ製フレームとで構成され長方形割付を主とした平板状に形成されたサッシュユニットを建築現場において強制的に押し曲げて躯体に取り付けている。しかしながら、躯体にサッシュユニットを保持させるために設けられたファスナー金物に、サッシュユニットを押し曲げることにより生じた応力(復元力)が作用し続けるため、例えば、地震等による層間変位に対してサッシュユニットを正常に追従させることができず、結果として層間変位によりサッシュユニットが破損するおそれがある。
【0005】
本発明は、層間変位に対するベントサッシュユニットの追従性を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、冷間曲げによって湾曲されたガラス板を保持するベントサッシュユニットであって、少なくとも4つの辺を有するガラス板と、ガラス板の各辺を支持する支持フレームと、支持フレームが取り付けられる取付面を有する保持フレームと、を備え、
保持フレームは、枠体を構成する部材同士を接合するすべての接合部において、枠体を構成する部材の端面が枠体を構成する他の部材に面接触した状態で接合されることにより形成され、保持フレームの取付面には、支持フレームを介してガラス板が取付面に取り付けられる前の状態において、所定の角度で交差する少なくとも2つの平面が設けられており、ガラス板は、2つの平面のうち一方の平面に沿って支持フレームにより支持される部分と2つの平面のうち他方の平面に沿って支持フレームにより支持される部分との間の部分において湾曲した状態で保持される。
【0007】
また、本発明は、冷間曲げによって湾曲されたガラス板を保持するベントサッシュユニットの製造方法であって、保持フレームを組み立てる組立工程と、保持フレームの取付面に第1支持部材を取り付ける取付工程と、第1支持部材に第2支持部材を組み付けることによって、冷間曲げによって湾曲された少なくとも4つの辺を有するガラス板の各辺を第1支持部材と第2支持部材とにより挟み込んで支持するガラス板支持工程と、を含み、保持フレームの取付面には、所定の角度で交差する少なくとも2つの平面が設けられており、ガラス板支持工程おいて、ガラス板は、第1支持部材及び第2支持部材により2つの平面のうち一方の平面に沿って支持される部分と第1支持部材及び第2支持部材により2つの平面のうち他方の平面に沿って支持される部分との間の部分において湾曲した状態で支持される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、層間変位に対するベントサッシュユニットの追従性を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るベントサッシュユニットが取り付けられた建築物の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るベントサッシュユニットの一例を示す図である。
図3図2のA-A線に沿う断面を拡大して示す拡大断面図である。
図4】ベントサッシュユニットの保持フレームの一例を示す図である。
図5】支持フレームが取り付けられる保持フレームの取付面の角度について説明するための図である。
図6】保持フレームに対する支持フレームの取り付け状態を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るベントサッシュユニット及びベントサッシュユニットの製造方法について説明する。
【0011】
本発明の実施形態に係るベントサッシュユニット10は、冷間曲げによって湾曲されたガラス板12を保持するものであり、図1に示されるような三次元曲面的なファサードを有する建築物1のカーテンウォールを構成するものである。
【0012】
ベントサッシュユニット10(以下、「ユニット10」という)は、工場において後述の製造方法により製造された後、建築物1の建築現場へと搬入され、建築物1の図示しない躯体に公知の構造のファスナー(取付金物)を介して、例えば、ロッキング方式により層間変位に対して追従可能に取り付けられる。層間変位に追従させる方式としては、ロッキング方式に限定されず、層間に跨って設置されるユニット10の変位を吸収可能な方式であればどのようなものであってもよく、例えば、スウェイ方式であってもよい。
【0013】
このようにユニット10は、いわゆるユニット工法によって建築物1の躯体へと順次取り付けられる。なお、上下方向及び左右方向において隣り合うユニット10の間には、図示しない弾性シール材が適宜設けられる。
【0014】
ユニット10は、取り付けられる場所毎に異なる形状に形成されており、例えば、図1において同じ階層に取り付けられる符号10Aが付されたユニット10と符号10Bが付されたユニット10とは、図2の(a)及び(b)にそれぞれ示されるように異なる外観形状に形成されている。なお、図2は、建築物1に取り付けられた状態のユニット10A,10Bを建築物1の外側から水平方向において見た図である。
【0015】
図2に示される例では、各ユニット10A,10Bは、水平方向視において上辺と下辺とが平行な台形状となっており、各ユニット10A,10Bの鉛直方向高さVH1は、同じ高さとなっている。このように同じ階層に取り付けられるユニット10を、鉛直方向高さが同じ高さである台形状とすることで、ユニット10毎に形状が異なっていても躯体へのユニット10の取り付けを容易に行うことが可能となる。なお、水平方向視における各ユニット10の形状は、台形状に限定されず、4つの頂点と4つの辺を有する単なる四角形状、いわゆる凸四角形状であってもよいが、取り付け性の観点からは、鉛直方向高さが同一の台形状とすることが好ましい。なお、取り付け性をさらに向上させるためには、水平方向視における各ユニット10の形状をすべて同一の長方形状としてもよい。
【0016】
ユニット10により保持されるガラス板12は、後述のように、冷間曲げ(コールドベント)された後、フレーム14の対角線14a周辺において湾曲した状態でフレーム14により支持されており、図2に示される例では、(a)に示されるユニット10Aのガラス板12は、フレーム14の図中左上から右下に向かう対角線14a周辺において湾曲しており、(b)に示されるユニット10Bのガラス板12は、フレーム14の図中右上から左下に向かう対角線14a周辺において湾曲している。なお、ガラス板12は、対角線14aに相当する部分に折れ線が形成されて折れ曲がる訳ではなく、対角線14a周辺において双曲放物面(hyperbolic paraboloid)が形成され湾曲変形した状態でフレーム14内に納まっている。
【0017】
また、ガラス板12の湾曲度合及び湾曲方向(建築物1の外側に向かって凸状に湾曲させるか、あるいは、建築物1の外側に向かって凹状に湾曲させるか)は、後述のように、ユニット10毎に異ならせることが可能であり、例えば、図2の(a)に示される例では、ガラス板12は、フレーム14の図中左上から右下に向かう対角線14a周辺において湾曲させられているが、フレーム14の図中右上から左下に向かう対角線周辺において湾曲させることも可能であり、図2の(b)に示される例では、ガラス板12は、フレーム14の図中右上から左下に向かう対角線14a周辺において湾曲させられているが、フレーム14の図中左上から右下に向かう対角線周辺において湾曲させることも可能である。
【0018】
このようにユニット10毎に外観形状を異ならせることが可能であるとともに、ガラス板12の湾曲状態をユニット10毎に比較的自由に設定することが可能であることから、より複雑な三次元曲面を有するファサードを、複数のユニット10の組み合わせることによって容易に実現することが可能である。
【0019】
続いて、図3から図6を参照し、ユニット10の具体的な構成について説明する。
【0020】
図3は、建築物1に取り付けられた状態のユニット10を示す図2の(a)のA-A線に沿う断面を拡大して示したユニット10の拡大断面図である。
【0021】
ユニット10は、図3に示されるように、ガラス板12と、ガラス板12を保持するフレーム14と、を備えたものであり、フレーム14は、スペーサゴム41,42を介してガラス板12の各辺を支持する支持フレーム20と、支持フレーム20が取り付けられる取付面30aを有する保持フレーム30とにより主に構成されている。
【0022】
ガラス板12は、合わせガラスであり、冷間曲げ(コールドベント)により湾曲される前のフラットな状態では、4つの頂点と4つの辺を有する四角形状、いわゆる凸四角形状に形成されている。具体的には、冷間曲げ前のガラス板12の形状は、図2に示されるように冷間曲げ後のガラス板12を保持するユニット10が建築物1に取り付けられた状態において、水平方向から見た形状が略台形状となることを想定して設計される。つまり、ガラス板12は、冷間曲げ前の段階で台形状に形成されている訳ではなく、フレーム14に沿って湾曲されてフレーム14内に収められた時点で、水平方向視における形状が略台形状となる形状に形成されている。
【0023】
ガラス板12は、合わせガラスに限定されず、単板ガラスであってもよいが、強度の観点からは、合わせガラスの方が好ましい。また、ガラス板12は、複層ガラスであってもよいが、複層ガラスは湾曲度合が大きくなると、封着部分に隙間が生じ中空層内に外気が入り込むおそれがあることから、湾曲度合を大きくするには、合わせガラスを用いる方が好ましい。また、ガラス板12は、透明ガラスに限定されず、透過と反射の両機能を持つミラーガラスや熱線反射ガラスであってもよい。なお、ガラス板12に代えて、面材として一般的に用いられている板状部材をフレーム14により保持させるようにしてもよい。
【0024】
保持フレーム30は、ステンレス鋼や炭素鋼によって形成された4つの直線状の角材31,32,33,34により構成された鋼製の枠体であり、図4に示されるように、縦枠となる第1保持部材31及び第3保持部材33が、横枠となる第2保持部材32及び第4保持部材34に対して、図示しないボルトを介して、縦勝ちでボルト接合されている。なお、保持フレーム30の納まりは、縦勝ちに限定されず、横勝ちであってもよい。
【0025】
なお、接合方法はボルト接合に限定されず、溶接接合であってもよい。また、各保持部材31,32,33,34は、中実角材及び中空角材の何れであってもよいが、建築物1の躯体に取り付けるためのファスナー(取付金物)が固定される縦枠である第1保持部材31及び第3保持部材33は、中実角材とすることが好ましい。また、炭素鋼によって形成される場合は、接合後に錆止め塗装が施される。
【0026】
各保持部材31,32,33,34には、支持フレーム20が取り付けられる取付面31a,32a,33a,34aが設けれており、第1保持部材31の取付面31aと第2保持部材32の取付面32aとが同一の第1平面S1上に位置するように、第1保持部材31の一端部31bに第2保持部材32の一端部32bが接合され、第3保持部材33の取付面33aと第4保持部材34の取付面34aとが同一の第2平面S2上に位置するように、第3保持部材33の一端部33bに第4保持部材34の一端部34bが接合されている。なお、取付面31a,32a,33a,34aは、何れも捩れのない平面となっている。
【0027】
また、第1保持部材31の他端部31cと第3保持部材33の他端部33cとには、第1平面S1(取付面31a,32a)と第2平面S2(取付面33a,34a)との2つの平面が、図5に示されるように、所定の角度α1,α2で交差した状態となるように、第4保持部材34の他端部34cと第2保持部材32の他端部32cがそれぞれ接合される。これにより、保持フレーム30の取付面30aには、所定の角度α1,α2で交差する2つの平面S1,S2が設けられる。
【0028】
図5は、第1保持部材31の取付面31aの内側端線と第4保持部材34の取付面34aの内側端線とが交差する点と、第3保持部材33の取付面33aの内側端線と第2保持部材32の取付面32aの内側端線とが交差する点と、を結ぶ線分(図4に一点鎖線で示される線分)である保持フレーム30の対角線Lに沿った方向から見た各保持部材31,32,33,34の取付面31a,32a,33a,34aの関係、すなわち、第1平面S1と第2平面S2との関係を示した図である。なお、第1平面S1は、第1保持部材31の取付面31aの内側端線と第4保持部材34の取付面34aの内側端線と対角線Lとの3本の直線で構成される面であり、第2平面S2は、第3保持部材33の取付面33aの内側端線と第2保持部材32の取付面32aの内側端線と対角線Lとの3本の直線で構成される面である。
【0029】
図5の(a)には、第1平面S1と第2平面S2との2つの平面が、取付面31a,32a,33a,34a側に凸状となる所定の角度α1で交差した状態が示されており、図5の(b)には、第1平面S1と第2平面S2との2つの平面が、取付面31a,32a,33a,34aに対して凹状となる所定の角度α2で交差した状態が示されている。
【0030】
第1平面S1と第2平面S2とが交差する角度α1,α2の大きさは、フレーム14によって保持されるガラス板12の湾曲度合及び湾曲方向(建築物1の外側に向かって凸状に湾曲させるか、あるいは、建築物1の外側に向かって凹状に湾曲させるか)に相当するものであり、ガラス板12の湾曲状態は、この角度α1,α2の大きさを変えることによって任意に変更可能である。なお、ガラス板12は、対角線Lに相当する部分に折れ線が形成されて折れ曲がる訳ではなく、図5の(a)及び(b)において破線で示されるように、対角線L周辺において双曲放物面が形成され湾曲した状態となる。図5の(a)及び(b)の破線は、後述のガラス板支持工程において、支持フレーム21,22,23,24によりガラス板12が支持された際のガラス板12の湾曲変形状態のイメージを示している。
【0031】
第1平面S1と第2平面S2とが成す角度α1,α2は、縦枠である第3保持部材33に接する横枠である第2保持部材32の端面を切削加工する角度と、縦枠である第1保持部材31に接する横枠である第4保持部材34の端面を切削加工する角度と、を変えることによって変化する。
【0032】
また、第1保持部材31と第2保持部材32との接合や第3保持部材33と第4保持部材34との接合は、直角接合となっている必要はなく、縦枠である第1保持部材31に接する横枠である第2保持部材32の端面を切削加工する角度と、縦枠である第3保持部材33に接する横枠である第4保持部材34の端面を切削加工する角度と、を変えることによって、建築物1に取り付けられた状態のユニット10の水平方向視における形状が変化する。
【0033】
つまり、横枠となる第2保持部材32及び第4保持部材34の両端面の角度をそれぞれ適宜変えることによって、ガラス板12の湾曲状態だけではなく、ユニット10の形状を変更することが可能であり、上述のように、水平方向視におけるユニット10の形状を上辺と下辺とが平行な台形状とすることや凸四角形状とすること、つまり任意の形状とすることが可能である。
【0034】
また、縦枠となる第1保持部材31及び第3保持部材33には、建築物1の躯体に取り付けるためのファスナー(取付金物)が固定される固定面31d,33dが取付面31a,33aの反対側に設けられる。躯体へのユニット10の取り付け性を向上させるには、第1保持部材31の固定面31dと第3保持部材33の固定面33dとが同一平面上に位置するように各固定面31d,33dを各保持部材31,33に形成することが好ましい。換言すれば、第1保持部材31の取付面31aと固定面31dとは平行である必要はなく、また、第3保持部材33の取付面33aと固定面33dとは平行である必要はない。
【0035】
支持フレーム20は、各保持部材31,32,33,34にそれぞれ取り付けられる直線状に形成された4つの支持フレーム21,22,23,24により構成される金属製の枠体であり、保持フレーム30よりも剛性が低い金属、例えば、アルミ合金によって形成される。なお、支持フレーム20は、アルミ合金製に限定されず、他の非鉄金属材料で形成されてもよいし、保持フレーム30と同様に鋼製であってもよいが、軽量化の観点からはアルミ合金等の非鉄金属製とすることが好ましい。
【0036】
支持フレーム20を構成する各支持フレーム21,22,23,24は、図3に示されるように、保持フレーム30の取付面30aに取り付けられる第1支持部材20aと、第1支持部材20aに対して組み付けられる第2支持部材20bと、を有する。なお、第2支持部材20bは、いわゆる押縁であり、第1支持部材20aは、いわゆる押縁受けである。
【0037】
第1支持部材20aは、保持フレーム30の取付面30aに沿って延びる固定片20cと、保持フレーム30に取り付けられた状態で固定片20cから保持フレーム30とは反対側に延びる被係合片20dと、を有し、図示しないビス等によって固定片20cが保持フレーム30に固定されることによって保持フレーム30に取り付けられる。
【0038】
第2支持部材20bは、第1支持部材20aに組み付けられた状態において固定片20cと平行に延びる支持片20eと、支持片20eから固定片20cに向かって延びる係合片20fと、を有し、係合片20fが被係合片20dに係合することによって第1支持部材20aに組み付けられる形状となっている。
【0039】
このような構成の支持フレーム20により、ガラス板12は、図3に示されるように、固定片20cとの間に第1スペーサゴム41が介在し、且つ、支持片20eとの間に第2スペーサゴム42が介在した状態で支持される。なお、固定片20cには、第1スペーサゴム41を所定の位置に保持することが可能な図示しない保持部が設けられており、支持片20eには、第2スペーサゴム42を所定の位置に保持することが可能な図示しない保持部が設けられている。
【0040】
第1スペーサゴム41及び第2スペーサゴム42は、エチレンプロピレンゴムやクロロプレンゴムで形成されたシール部材である。第1スペーサゴム41及び第2スペーサゴム42の硬度は一定であってもよいが、湾曲されたガラス板12から受ける荷重の大きさに応じて部分的に硬度を変えるようにしてもよく、これによりガラス板12への応力集中を低減させ、ガラス板12に割れや欠けが発生するリスクを低減させることが可能である。
【0041】
第1スペーサゴム41及び第2スペーサゴム42が外気に晒されて劣化することを防止するために、固定片20cと第1スペーサゴム41とガラス板12とにより形成される溝部と支持片20eと第2スペーサゴム42とガラス板12とにより形成される溝部とには、これらの溝部を埋めるようにシール材44が設けられる。
【0042】
また、支持フレーム20を構成する各支持フレーム21,22,23,24は、図6に示されるように、互いに接触することなく所定の大きさの隙間Gを空けた状態で、保持フレーム30に取り付けられている。図6は、保持フレーム30に対する支持フレーム21,24の取り付け状態をわかりやすくするために概略的に示した斜視図である。なお、図6には、第1保持部材31と第4保持部材34と間の接合部における第1支持フレーム21の第1支持部材21aと第4支持フレーム24の第1支持部材24aの取り付け状態が示されているが、各支持フレーム21,22,23,24の第1支持部材21a,22a,23a,24aは、保持フレーム30に対して同様にして取り付けられている。
【0043】
具体的には、第1保持部材31に取り付けられる第1支持フレーム21の第1支持部材21aと第2保持部材32に取り付けられる第2支持フレーム22の第1支持部材22aとの間には、所定の大きさの隙間Gが形成され、この隙間Gには図示しないシール部材が設けられる。なお、シール部材としては、隙間Gに充填される液状のシール材が用いられてもよい。
【0044】
同様に、第2保持部材32に取り付けられる第2支持フレーム22の第1支持部材22aと第3保持部材33に取り付けられる第3支持フレーム23の第1支持部材23aとの間、第3保持部材33に取り付けられる第3支持フレーム23の第1支持部材23aと第4保持部材34に取り付けられる第4支持フレーム24の第1支持部材24aとの間、第4保持部材34に取り付けられる第4支持フレーム24の第1支持部材24aと第1保持部材31に取り付けられる第1支持フレーム21の第1支持部材21aとの間にそれぞれ形成される隙間Gにもシール部材が設けられる。
【0045】
このように支持フレーム21,22,23,24間にシール部材が設けられることにより、隙間Gを通じて雨水等が建築物1の屋内に入り込むことが防止される。
【0046】
上記構成のユニット10が、図3に示されるように、建築物1の屋内に対して、下辺側よりも上辺側が入り込んだ内倒れ状態となっている場合、鋼製の保持フレーム30において結露が生じた際、結露水が床面に滴下するおそれがある。
【0047】
このため、保持フレーム30の下方には、結露水を受けて集めることが可能な形状に形成された樋部材50が設けられる。樋部材50で集められた結露水は、樋部材50に接続された図示しない導水ルートを通じて下枠等に設けられた結露受けに導かれる。樋部材50は、ユニット10の上辺側の保持フレーム30だけではなく、下辺側の保持フレーム30の下方にも設けられることが好ましい。なお、ユニット10が、外倒れ状態となっており、結露水が床面に滴下するおそれが低い場合には、樋部材50を設けなくともよい。
【0048】
続いて、上記構成のユニット10の製造方法について、図3から図6を参照して説明する。
【0049】
まず、保持フレーム30の組み立てが行われる(組立工程)。
【0050】
保持フレーム30は、上述のように、横枠となる第2保持部材32及び第4保持部材34に対して、縦枠となる第1保持部材31及び第3保持部材33を、図示しないボルトを介して接合することによって組み立てられる。なお、第2保持部材32及び第4保持部材34の両端部は、組み立てられた保持フレーム30の第1平面S1(取付面31a,32a)と第2平面S2(取付面33a,34a)とが成す角度が予め設定された所定の角度α1,α2となるように切削されている。
【0051】
続いて、保持フレーム30に対して、各支持フレーム21,22,23,24の第1支持部材21a,22a,23a,24aが取り付けられる(取付工程)。
【0052】
この工程では、各保持部材31,32,33,34の取付面31a,32a,33a,34aに図示しないビスを介して各支持フレーム21,22,23,24の第1支持部材21a,22a,23a,24aが取り付けられるとともに、隣り合う第1支持部材21a,22a,23a,24a間に形成された隙間Gが図示しないシール部材によって封止される。
【0053】
次に、保持フレーム30に取り付けられた第1支持部材21a,22a,23a,24aと、第2支持部材21b,22b,23b,24bと、によりガラス板12が支持される(ガラス板支持工程)。
【0054】
この工程では、まず、保持フレーム30に取り付けられた第1支持部材21a,22a,23a,24aの上に第1スペーサゴム41が載置され、第1スペーサゴム41の上にガラス板12が載置され、ガラス板12の上に第2スペーサゴム42が載置される。
【0055】
そして、第1平面S1を構成する第1保持部材31の取付面31aと第2保持部材32の取付面32aにそれぞれ取り付けられた第1支持部材21a,22aに対して第2支持部材21b,22bが、第1支持部材21a,22aと第2支持部材21b,22bとの間に第1スペーサゴム41とガラス板12と第2スペーサゴム42とが挟み込まれた状態で組み付けられる。
【0056】
このようにガラス板12の2つの辺が第1支持フレーム21及び第2支持フレーム22によって支持され、ガラス板12が第1平面S1に沿っている状態において、保持フレーム30の対角線L周辺においてガラス板12が湾曲するように、ガラス板12の残りの2つの辺が第2平面S2を構成する第3保持部材33の取付面33aと第4保持部材34の取付面34aに向かって押圧される。
【0057】
そして、第2平面S2を構成する第3保持部材33の取付面33aと第4保持部材34の取付面34aにそれぞれ取り付けられた第1支持部材23a,24aに対して第2支持部材23b,24bが、第1支持部材23a,24aと第2支持部材23b,24bとの間に第1スペーサゴム41とガラス板12と第2スペーサゴム42とが挟み込まれた状態において組み付けられる。
【0058】
これによりガラス板12の各辺が各支持フレーム21,22,23,24により支持され、ガラス板12は、第1支持フレーム21及び第2支持フレーム22の第1支持部材21a,22a及び第2支持部材21b,22bにより第1平面S1(一方の平面)に沿って支持される部分と、第3支持フレーム23及び第4支持フレーム24の第1支持部材23a,24a及び第2支持部材23b,24bにより第2平面S2(他方の平面)に沿って支持される部分と、の間の部分において湾曲した状態、すなわち、図5に破線で示されるように、保持フレーム30の対角線L周辺において凸状または凹状の双曲放物面が形成され湾曲した状態で支持フレーム20により支持される。
【0059】
なお、上記ガラス板支持工程において、ガラス板12を支持させる手順は、上記手順に限定されず、ガラス板12がコールドベントされた状態において、ガラス板12の4つの辺が、第1支持部材21a,22a,23a,24aと第2支持部材21b,22b,23b,24bとにより支持されればよく、例えば、ガラス板12の1つの辺を支持させてから残りの3つの辺を支持させるようにしてもよいし、ガラス板12の4つの辺を同時に支持させるようにしてもよい。
【0060】
そして、第1支持部材21a,22a,23a,24aと第2支持部材21b,22b,23b,24bとによるガラス板12の支持が完了すると、隣り合う第2支持部材21b,22b,23b,24b間に形成された隙間や雨水等が入り込むおそれがある隙間がシール部材によって封止されることによりユニット10は完成する。
【0061】
このようにして工場等において製造されたユニット10は、建築物1の建築現場へと搬入され、ユニット工法によって建築物1の躯体へと順次取り付けられる。なお、取り付け状態と異なる向き、例えば横向きに立てられた状態でユニット10が搬送されると積み荷が不安定になるおそれがあり、また、ガラス板12に作用するガラス板12の自重の方向が建築物1に取り付けられた際とは直交する方向となり、ガラス板12の位置が自重によってユニット10内でずれることでガラス板12が割れてしまうおそれがあるため、ユニット10は平置き状態で搬送される。また、ユニット10を取り付け状態と同じ状態、すなわち縦向きに立てられた状態で搬送することも考えられるが、このような状態でユニット10を搬送すると、積み荷の高さが運搬車両の高さ制限を超えてしまうおそれがあるとともに、積み荷の重心位置が高くなることで積み荷が不安定となるおそれがあり、現実的ではないことから、ユニット10は平置き状態で搬送されることが好ましい。
【0062】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0063】
上記構成のベントサッシュユニット10及びベントサッシュユニット10の製造方法によれば、冷間曲げ(コールドベント)によって湾曲されたガラス板12に生じる応力(復元力)は、支持フレーム20を介して保持フレーム30に作用することになるが、保持フレーム30は剛性が比較的高い鋼製であることから、ガラス板12の変形状態は保持フレーム30によって保持され、ガラス板12で生じた応力が建築物1の躯体にユニット10を取り付けるためのファスナー(取付金物)に対して作用することが抑制される。
【0064】
このようにユニット10は、冷間曲げによって湾曲されたガラス板12を保持しているものの、ガラス板12において生じた応力がユニット10の外部に作用しない構造となっていることから、建築物1の躯体にユニット10を取り付けるためのファスナーの機能にも影響を及ぼすことがない。これにより、地震等による層間変位に対するユニット10の追従性を安定させることができる。
【0065】
また、上記構成のユニット10は、工場等において製造することが可能であり、製造された後に建築物1の建築現場へと搬入され、ユニット工法によって建築物1の躯体へと順次取り付けられる。このため、ガラス板を所定量だけ冷間曲げし、さらに押し曲げられた状態のガラス板を躯体に対して取り付ける作業が建築現場において現場合わせで行われる場合と比較し、冷間曲げによって湾曲されたガラス板12の取り付けに要する作業時間を大幅に短縮することができる。
【0066】
また、ガラス板とアルミ製のフレームとが一体化されたユニットを建築現場において所定量だけ押し曲げることで冷間曲げによって湾曲されたガラス板を躯体に対して取り付ける場合には、ガラス板と同じように押し曲げられたフレームの仕口にガラス板の復元力が作用し続けることになるため、押し曲げられた部分の仕口が開いて雨水等が入り込むおそれがあることから、ガラス板の曲げ量が大幅に制約される。これに対して、上記構成のユニット10では、冷間曲げによって湾曲されたガラス板12を支持するアルミ製の支持フレーム20は、ガラス板12の湾曲に応じて曲げられる部分がなく、直線状に形成された部材で構成されていることから、ガラス板12において生じた応力が支持フレーム20に対して局所的に作用することがない。このため、ガラス板12の湾曲度合を、フレームの仕口の強度等ではなく、ガラス板12自体の応力に応じて比較的大きくすることが可能である。
【0067】
また、建築物1の躯体へのユニット10の取り付けやユニット10の製造を容易にするためには、水平方向視における各ユニット10の形状をすべて同一の長方形状とした長方形割付とすることが考えられるが、長方形割付では複雑なファサードを実現することが難しい。また、ガラス板とアルミ製のフレームとを一体化したユニットでは、フレームの仕口を直角以外の角度とした場合、仕口の構造が複雑化するとともに仕口の強度確保が困難となることから、長方形割付以外の割付とすることが難しい。これに対して、上記構成のユニット10では、水平方向視における各ユニット10の形状を台形状や凸四角形状とすること、つまり任意の形状とすることが可能であり、割付寸法を自由に設定することができるため、より複雑な三次元曲面を有するファサードを実現することが可能である。
【0068】
なお、次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の各実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0069】
上記実施形態では、保持フレーム30が4本の保持部材31,32,33,34で構成されており、ユニット10に保持されるガラス板12の形状が4つの辺を有する凸四角形状となっている。これに代えて、ユニット10に保持されるガラス板12の形状は、4つ以上の辺を有する五角形状以上の多角形状であってもよく、この場合、保持フレーム30は、ガラス板12の形状に合わせた本数の保持部材によって構成される。なお、ガラス板12の形状が五角形状以上の多角形状の場合、凸多角形状に限定されず、一部が凹んだ凹多角形状となっていてもよい。
【0070】
例えば、ユニット10に保持されるガラス板12の形状が凸五角形状である場合、保持フレーム30は5本の保持部材により構成され、保持フレーム30の取付面には、所定の角度で交差する2つまたは3つの平面が設けられることになる。
【0071】
具体的には、隣り合う2つの保持部材に設けられる取付面で第1平面を構成し、残りの3つの保持部材に設けられる取付面で第2平面を構成した場合には、2つの平面が所定の角度で交差することとなり、隣り合う2つの保持部材に設けられる取付面で第1平面を構成し、別の隣り合う2つの保持部材に設けられる取付面で第2平面を構成し、残りの1つの保持部材に設けられる取付面で第3平面を構成した場合には、3つの平面が所定の角度でそれぞれ交差することになる。
【0072】
そして、2つの平面が所定の角度で交差する場合、ガラス板12は、第1平面に沿って支持フレーム20により支持される部分と第2平面に沿って支持フレーム20により支持される部分との間の部分において湾曲した状態で保持され、3つの平面が所定の角度でそれぞれ交差する場合、ガラス板12は、第1平面に沿って支持フレーム20により支持される部分と第3平面に沿って支持フレーム20により支持される部分との間の部分において湾曲するとともに、第2平面に沿って支持フレーム20により支持される部分と第3平面に沿って支持フレーム20により支持される部分との間の部分において湾曲した状態で保持される。
【0073】
このようにガラス板12の形状が五角形状以上の多角形状である場合も、ガラス板12は、上記実施形態と同様に、ある平面に沿って支持フレーム20により支持される部分とこの平面と隣り合う別の平面に沿って支持フレーム20により支持される部分との間の部分において湾曲した状態で保持されることになる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0075】
10,10A,10B・・・ベントサッシュユニット
1・・・建築物
12・・・ガラス板
20・・・支持フレーム
21・・・第1支持フレーム(支持フレーム)
22・・・第2支持フレーム(支持フレーム)
23・・・第3支持フレーム(支持フレーム)
24・・・第4支持フレーム(支持フレーム)
20a,21a,22a,23a,24a・・・第1支持部材
20b,21b,22b,23b,24b・・・第2支持部材
30・・・保持フレーム
31・・・第1保持部材
32・・・第2保持部材(12)
33・・・第3保持部材(15)
34・・・第4保持部材(14)
30a,31a,32a,33a,34a・・・取付面
31b,32b,33b,34b・・・一端部
31c,32c,33c,34c・・・他端部
41・・・第1スペーサゴム
42・・・第2スペーサゴム
S1・・・第1平面
S2・・・第2平面
L・・・対角線
【要約】
【課題】層間変位に対するベントサッシュユニットの追従性を安定させる。
【解決手段】ベントサッシュユニット10は、ガラス板12と、ガラス板12の各辺を支持する支持フレーム20と、支持フレーム20が取り付けられる取付面30aを有する保持フレーム30と、を備え、保持フレーム30の取付面30aには、所定の角度で交差する少なくとも2つの平面S1,S2が設けられており、ガラス板12は、2つの平面のうち一方の平面S1に沿って支持フレーム20により支持される部分と2つの平面のうち他方の平面S2に沿って支持フレーム20により支持される部分との間の部分において湾曲した状態で保持される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6