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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】器具取付補助部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/00 20060101AFI20250516BHJP
   F16B 21/04 20060101ALI20250516BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20250516BHJP
   F21V 21/04 20060101ALI20250516BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250516BHJP
【FI】
E04B9/00 K
F16B21/04 H
F21S8/02 420
F21V21/04 310
E04B9/00 H
E04B9/00 Z
E04B9/00 G
F21Y115:10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021110017
(22)【出願日】2021-07-01
(65)【公開番号】P2023007047
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 翔平
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-093261(JP,A)
【文献】特開2012-119248(JP,A)
【文献】特開2020-180707(JP,A)
【文献】特開2017-212086(JP,A)
【文献】国際公開第2017/072739(WO,A1)
【文献】特開2013-214442(JP,A)
【文献】特開2009-140650(JP,A)
【文献】特開2009-093836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/56
E04B 2/74
E04B 9/00-9/36
F16B 21/00-21/20
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 21/00-21/40
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に設けられた壁孔に対して、前記壁孔よりも小さい第1の対応取付孔に取付可能である第1の器具、および、前記第1の対応取付孔よりも小さい第2の対応取付孔に取付可能である第2の器具を少なくとも含んで成る器具群から選択された器具を取付可能とする器具取付補助部材であって、
前記壁に固定される固定部、前記固定部が前記壁に固定された状態で前記壁孔を縮小させるように前記壁孔の一部を覆う第1覆い部、および、前記第1覆い部の内側で前記第1の対応取付孔として開口する第1開口部を備える、固定台座と、
前記固定台座に着脱可能に組み付けられる組付部、前記組付部が前記固定台座に組み付けられた状態で、前記第1開口部を縮小させるように前記第1開口部の一部を覆う第2覆い部、および、前記第2覆い部の内側で前記第2の対応取付孔として開口する第2開口部を備える、縮小部材と、
を備えることを特徴とする器具取付補助部材。
【請求項2】
前記縮小部材は、前記壁に固定された前記固定台座に対して壁表側からの操作で組み付け可能であり、かつ、組み付けた状態から壁表側からの操作で取り外し可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の器具取付補助部材。
【請求項3】
前記固定台座は、前記第1開口部の内周部に被組付部をさらに備え、前記縮小部材の前記組付部は、前記第1開口部に挿入されて前記第1開口部の周方向に相対回動することで、前記組付部および前記被組付部の結合状態を形成および解除可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の器具取付補助部材。
【請求項4】
前記縮小部材が前記固定台座に組み付けられた状態で、前記縮小部材の前記固定台座に対する壁裏方向および壁表方向のいずれの移動も規制されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の器具取付補助部材。
【請求項5】
前記固定台座は、前記第1覆い部よりも外側で前記壁孔の壁表側周縁に掛合するように延在する掛け部、および、壁裏に配置されて壁表側へと移動可能であるとともに前記壁孔の壁裏側周縁に当接して前記掛け部と協働して前記壁を挟持する挟持体をさらに備え、
前記第1開口部の内周部の壁表裏方向の幅は、器具を取付可能な最小壁厚よりも大きく、かつ、器具を取付可能な最大壁厚よりも小さいことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の器具取付補助部材。
【請求項6】
前記固定部は、前記壁を壁表裏方向に挟持して前記固定台座を前記壁に固定するための挟持手段を備え、
前記挟持手段は、壁表裏方向に移動して前記壁を挟持する挟持体と、前記挟持体を収容するとともに壁表側に開口した挿入孔を有する収容部と、前記収容部に前記挿入孔を介して壁表側から挿入配置され、前記挟持体に螺着し、壁表側からの螺回動操作によって前記挟持体を壁表裏方向に駆動するビスとを備え、
前記固定台座に組み付けられ、前記ビスおよび前記挿入孔を覆い隠す化粧部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の器具取付補助部材。
【請求項7】
前記縮小部材は、前記固定台座に組み付けられた状態で、前記固定台座の壁表側に露出する箇所の全体または一部を覆い隠すように構成された化粧部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の器具取付補助部材。
【請求項8】
前記器具群は、前記第2の対応取付孔よりも小さい第3の対応取付孔に取付可能である第3の器具をさらに含み、
前記縮小部材は、前記第2覆い部の内側に着脱可能に組み付けられる調整部材を備え、
前記調整部材は、前記第2覆い部の内側に組み付けられた状態で前記第2開口部を縮小させるように前記第2開口部の一部を覆う第3覆い部、および、前記第3覆い部の内側で前記第3の対応取付孔として開口する第3開口部を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の器具取付補助部材。
【請求項9】
前記固定台座または前記縮小部材に組み付けられて、前記縮小部材が形成する開口部を閉塞可能とする閉塞部材をさらに備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の器具取付補助部材。
【請求項10】
前記縮小部材は、円形状の開口部を形成する第1の縮小部材、および、矩形状の開口部を形成する第2の縮小部材を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の器具取付補助部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に形成した壁孔への器具の取着を補助するための器具取付補助部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ダウンライトなどの器具を天井材等の壁の壁孔に取り付けるには、壁孔に器具を挿入し、器具の一部を壁裏(または天井裏)空間に配置した上で器具の取付金具(例えば、板バネ)と器具の一部(例えば、鍔部)とで天井材を厚み方向に挟持することにより、器具を壁に取り付ける。しかしながら、壁孔周縁における壁の形状、厚み、材質等が多岐に亘っている。そして、器具を壁により確実に取り付けるために、器具の壁への取り付けを補助する種々の器具取付補助部材が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1は、壁に形成した壁孔への器具の取着を補助するための器具取付補助部材を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。特許文献1の取付補助部材(100)は、天井材(11)に穿設された取付孔(12)に連通する透孔(101b)を形成し、天井材(101)裏面側から取付孔(12)周縁に当接する当接部(102)を有し、器具(15)の挟持部(18)により天井材(11)とともに挟持される厚みを有する本体部(101)と、当接部(102)が取付孔(12)周縁に当接した状態で、天井材(11)に裏面側に凸設された突条(13)を回避すべく当接部(102)の一部に凹設された回避凹部(108)とを備える。そして、取付孔(12)および透孔(101b)に向けて天井材(11)表面側からダウンライト器具(15)を差し込むことにより、ダウンライト器具(15)が取付補助部材(100)および天井材(11)に対して取り付けられる。具体的には、器具本体(16)上部を取付孔(12)に差し込む際、弾性片(18)を上方および内方に弾性変形させることにより、弾性片(18)を取付孔(12)周縁に当接させずに器具本体(16)を取付孔(12)に通過させることができる。そして、ダウンライト器具(15)の鍔部(17)上面が天井材(11)表面に当接するまで器具本体(16)を差し込むと、弾性片(18)が下方に部分的に回動して受け部(103)に当接する。このとき、弾性片(18)はまだ弾性変形した状態にあるため、弾性片(18)が受け部(103)を下方に付勢している。このようにして、弾性片(18)と鍔部(17)とに天井材(11)および取付補助部材(100)を挟持させることで、ダウンライト器具(15)を天井材(11)の取付孔(12)に対して設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-212086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の器具取付補助部材は、様々な厚みや突条を有する天井材(壁)に対応して、天井材の取付孔(壁孔)に対してダウンライト等の器具を取付可能としたものである。しかしながら、特許文献1の器具取付補助部材では、その透孔の開口径に対応した器具しか取り付けることができず、取り付ける器具のサイズが制限されることが問題として挙げられる。特には、従来の器具取付補助部材では、1つの器具取付補助部材に対して、その透孔の開口径に対応する規格の器具しか取り付けることができず、その規格から外れた形状サイズの器具を取り付けるには、その形状サイズに対応する器具取付補助部材が新たに必要となる。そのため、施工者は、工事の際、複数種類のサイズの器具に対応すべく、常に複数種類の器具取付補助部材を準備するなど、その管理が面倒になることが問題であった。
【0006】
本発明の目的は、異なるサイズまたは形状の器具を、壁の壁孔に対して取付可能とする器具取付補助部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の器具取付補助部材は、壁に設けられた壁孔に対して、前記壁孔よりも小さい第1の対応取付孔に取付可能である第1の器具、および、前記第1の対応取付孔よりも小さい第2の対応取付孔に取付可能である第2の器具を少なくとも含んで成る器具群から選択された器具を取付可能とする器具取付補助部材であって、
前記壁に固定される固定部、前記固定部が前記壁に固定された状態で前記壁孔を縮小させるように前記壁孔の一部を覆う第1覆い部、および、前記第1覆い部の内側で前記第1の対応取付孔として開口する第1開口部を備える、固定台座と、
前記固定台座に着脱可能に組み付けられる組付部、前記組付部が前記固定台座に組み付けられた状態で、前記第1開口部を縮小させるように前記第1開口部の一部を覆う第2覆い部、および、前記第2覆い部の内側で前記第2の対応取付孔として開口する第2開口部を備える、縮小部材と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の器具取付補助部材は、請求項1に記載の器具取付補助部材において、前記縮小部材は、前記壁に固定された前記固定台座に対して壁表側からの操作で組み付け可能であり、かつ、組み付けた状態から壁表側からの操作で取り外し可能に構成されている。
【0009】
請求項3に記載の器具取付補助部材は、請求項1又は2に記載の器具取付補助部材において、前記固定台座は、前記第1開口部の内周部に被組付部をさらに備え、前記縮小部材の前記組付部は、前記第1開口部に挿入されて前記第1開口部の周方向に相対回動することで、前記組付部および前記被組付部の結合状態を形成および解除可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の器具取付補助部材は、請求項1から3のいずれか一項に記載の器具取付補助部材において、前記縮小部材が前記固定台座に組み付けられた状態で、前記縮小部材の前記固定台座に対する壁裏方向および壁表方向のいずれの移動も規制されることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の器具取付補助部材は、請求項1から4のいずれか一項に記載の器具取付補助部材において、前記固定台座は、前記第1覆い部よりも外側で前記壁孔の壁表側周縁に掛合するように延在する掛け部、および、壁裏に配置されて壁表側へと移動可能であるとともに前記壁孔の壁裏側周縁に当接して前記掛け部と協働して前記壁を挟持する挟持体をさらに備え、
前記第1開口部の内周部の壁表裏方向の幅は、器具を取付可能な最小壁厚よりも大きく、かつ、器具を取付可能な最大壁厚よりも小さいことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の器具取付補助部材は、請求項1から5のいずれか一項に記載の器具取付補助部材において、前記固定部は、前記壁を壁表裏方向に挟持して前記固定台座を前記壁に固定するための挟持手段を備え、
前記挟持手段は、壁表裏方向に移動して前記壁を挟持する挟持体と、前記挟持体を収容するとともに壁表側に開口した挿入孔を有する収容部と、前記収容部に前記挿入孔を介して壁表側から挿入配置され、前記挟持体に螺着し、壁表側からの螺回動操作によって前記挟持体を壁表裏方向に駆動するビスとを備え、
前記固定台座に組み付けられ、前記ビスおよび前記挿入孔を覆い隠す化粧部材をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の器具取付補助部材は、請求項1から6のいずれか一項に記載の器具取付補助部材において、前記器具群は、前記第2の対応取付孔よりも小さい第3の対応取付孔に取付可能である第3の器具をさらに含み、
前記縮小部材は、前記第2覆い部の内側に着脱可能に組み付けられる調整部材を備え、
前記調整部材は、前記第2覆い部の内側に組み付けられた状態で前記第2開口部を縮小させるように前記第2開口部の一部を覆う第3覆い部、および、前記第3覆い部の内側で前記第3の対応取付孔として開口する第3開口部を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の器具取付補助部材は、請求項1から7のいずれか一項に記載の器具取付補助部材において、前記固定台座または前記縮小部材に組み付けられて、前記縮小部材が形成する開口部を閉塞可能とする閉塞部材をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の器具取付補助部材は、請求項1から8のいずれか一項に記載の器具取付補助部材において、前記縮小部材は、前記固定台座に組み付けられた状態で、前記固定台座の壁表側に露出する箇所の全体または一部を覆い隠すように構成された化粧部を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の器具取付補助部材は、請求項1から9のいずれか一項に記載の器具取付補助部材において、前記縮小部材は、円形状の開口部を形成する第1の縮小部材、および、矩形状の開口部を形成する第2の縮小部材を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、器具取付補助部材は、器具を取り付けるための取付孔をその開口部によって壁孔の内側に形成するように構成されている。そして、器具取付補助部材は、第1の器具の第1の対応取付孔として開口する第1開口部を備える固定台座と、固定台座に着脱可能に組み付けられ、第1開口部の内側で第2の器具の第2の対応取付孔として開口する第2開口部を備える縮小部材とを備えてなる。これにより、第1の器具を壁に設置する場合には、固定台座から縮小部材を取り外した状態で器具取付補助部材を壁孔に対して設置することで、壁孔の内側に第1の対応取付孔に対応する第1開口部を形成し、固定台座の第1開口部に対して第1の器具を取り付けることが可能となる。他方、第1の器具と異なる第2の対応取付孔を有する第2の器具を壁に設置する場合には、固定台座に縮小部材を組み付けた状態で器具取付補助部材を壁孔に対して設置することで、壁孔の内側に第2の対応取付孔に対応する第2開口部を形成し、縮小部材の第2開口部に対して第2の器具を取り付けることが可能となる。したがって、本発明の器具取付補助部材は、壁孔を異なる複数のサイズに縮小させることで、異なる対応取付孔を有する第1および第2の器具の両方を壁孔に対して取付可能とするものである。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、縮小部材は、壁に固定された固定台座に対して壁表側からの操作で着脱可能である。これにより、器具取付補助部材を壁に設置した後であっても、壁表側からの簡単な操作で、器具の対応取付孔に応じて、器具取付補助部材によって形成される取付孔を第1開口部と第2開口部とに相互に変更することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2の発明の効果に加えて、縮小部材の組付部および固定台座の被組付部は、互いに周方向に相対回動することで、組付部および被組付部の結合状態を形成および解除可能である。すなわち、縮小部材を固定台座に対して相対的に回動させるといった簡単な操作で、縮小部材および固定台座の組付および分離が可能である。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれかの発明の効果に加えて、縮小部材および固定台座の組付状態で縮小部材および固定台座の壁表裏方向の相対移動が規制されることにより、器具を取付孔に押し込んで取り付ける際、縮小部材および固定台座が壁裏への連れ動きを防止することができる。換言すると、固定台座が壁表裏方向への縮小部材の移動を規制して、固定台座が縮小部材の壁裏への連れ動きを防止することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から4のいずれかの発明の効果に加えて、固定台座の掛け部が壁孔の壁表側周縁に掛合することで、固定台座を壁孔に対して位置決めすることができる。そして、掛け部と挟持体とが協働して壁を挟持することにより、固定台座を壁孔に対して固定することができる。また、第1開口部の内周部の壁表裏方向の幅(つまり、第1開口部の周縁の厚み)は、器具を取付可能な最小の壁厚よりも大きく、かつ、器具を取付可能な最大の壁厚よりも小さいことから、実際の壁厚が器具の取り付けに対応していない場合であっても、固定台座の肉部を利用して器具を取り付けることが可能である。また、実際の壁厚が器具を取付可能な最大壁厚よりも大きい場合、固定台座の肉部が壁孔の壁厚内に留まり、器具取付の邪魔になることはない。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から5のいずれかの発明の効果に加えて、壁表からビスを螺回動操作することにより、挟持体に壁を挟持させることが可能である。そして、化粧部材がビスおよびその挿入孔を覆い隠すことにより、ビスおよび挿入孔による美観の低下を抑えることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から6のいずれかの発明の効果に加えて、縮小部材は、第3の対応取付孔に対応する第3開口部を有する調整部材を備えることにより、第1の器具および第2の器具に加えて、さらに小さい第3の対応取付孔を有する第3の器具をも壁孔に対して取り付けることが可能となる。すなわち、本発明の器具取付補助部材は、壁孔よりも小さい第1の対応取付孔に取付可能である第1の器具、該第1の対応取付孔よりも小さい第2の対応取付孔に取付可能である第2の器具、および、該第2の対応取付孔よりも小さい第3の対応取付孔に取付可能である第3の器具を含む器具群から任意に選択された器具を壁孔に対して取付可能とするものである。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1から7のいずれかの発明の効果に加えて、閉塞部材を固定台座または縮小部材に組み付けることにより、器具を取り付けない場合または器具を撤去した場合、取付孔としての開口部を介して壁裏空間が壁表に臨むことがないように閉塞部材が開口部を塞いで、壁全体の美観を損なうことを防止することができる。さらに、閉塞部材で開口部を閉塞した組付状態の器具取付補助部材は、器具を撤去した壁孔を閉塞する部材としても使用できる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1から8のいずれかの発明の効果に加えて、縮小部材に、固定台座の壁表への露出箇所全体または一部を覆い隠す化粧部が設けられることにより、部品点数を増やすことなく、固定台座の露出による壁全体の美観の低下を抑えることができる。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば、請求項1から9のいずれかの発明の効果に加えて、円形状の開口部を形成する第1の縮小部材、および、矩形状の開口部を形成する第2の縮小部材からいずれかを選択して固定台座に組み付けることができる。これにより、本発明の器具取付補助部材は、器具の対応取付孔が円形状(丸型)または矩形状(角型)のいずれのタイプであっても、器具を壁孔に対して取付可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態の器具取付補助部材の(a)上から見た概略斜視図、および(b)下から見た概略斜視図。
図2図1の器具取付補助部材の(a)平面図、(b)底面図、(c)正面図、および(d)側面図。
図3図2の器具取付補助部材の(a)A-A断面図、および(b)B-B断面図。
図4図2の器具取付補助部材のC-C断面図。
図5図1の器具取付補助部材の分解斜視図。
図6図5の器具取付補助部材の固定台座の(a)上から見た概略斜視図、および(b)下から見た概略斜視図。
図7図6の固定台座の(a)平面図、(b)底面図、(c)正面図、(d)側面図、および(e)D-D断面図。
図8図6の器具取付補助部材の縮小部材(本体、調整部材なし)の(a)上から見た概略斜視図、および(b)下から見た概略斜視図。
図9図8の縮小部材の(a)平面図、(b)底面図、(c)正面図、(d)側面図、および(e)E-E断面図。
図10図5の器具取付補助部材の調整部材(本体、閉塞部材なし)の(a)上から見た概略斜視図、および(b)下から見た概略斜視図。
図11図10の調整部材の(a)平面図、(b)底面図、(c)正面図、(d)側面図、および(e)F-F断面図。
図12図5の器具取付補助部材の閉塞部材の(a)上から見た概略斜視図、および(b)下から見た概略斜視図。
図13図12の閉塞部材の(a)平面図、(b)底面図、(c)正面図、(d)側面図、および(e)G-G断面図。
図14図5の器具取付補助部材の化粧部材の(a)上から見た概略斜視図、および(b)下から見た概略斜視図。
図15図14の化粧部材の(a)平面図、(b)底面図、(c)正面図、(d)側面図、および(e)H-H断面図。
図16】本発明の一実施形態の器具取付補助部材の取付構造の概略斜視図。
図17】本発明の一実施形態において、第1~第3の器具を設置した器具取付補助部材の取付構造の断面図をそれぞれ示す概略断面図。
図18】本発明の一実施形態において、取付孔を閉塞した器具取付補助部材の取付構造の断面図を示す概略断面図。
図19】本発明の一実施形態の器具取付補助部材の取付構造を構築する方法の一工程を示し、器具取付補助部材を壁孔に挿入する工程を示す概略斜視図。
図20】本発明の一実施形態の器具取付補助部材の取付構造を構築する方法の一工程を示し、(a)器具取付補助部材を壁に宛がって挟持体を回動させる工程、および(b)挟持体を壁に対して近接駆動する工程を示す概略断面図。
図21】本発明の一実施形態の器具取付補助部材の取付構造において、(a)第1の対応取付孔に対応する取付孔を形成する工程、(b)第2の対応取付孔に対応する取付孔を形成する工程、および(c)第3の対応取付孔に対応する取付孔を形成する工程を示す概略断面図。
図22】本発明の別実施形態の器具取付補助部材の分解斜視図。
図23】本発明の別実施形態の器具取付補助部材の分解斜視図。
図24】本発明の別実施形態の器具取付補助部材および器具の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0029】
本発明の一実施形態の器具取付補助部材100は、壁に穿設された壁孔に対する器具の取付を補助するように構成されている。より具体的には、器具取付補助部材100は、天井などの壁11に穿設された壁孔12に対して、複数種類の器具からなる器具群から1つを選択して取り付けることを補助する。ここでは、器具は、ダウンライトとして例示される。しかしながら、器具は、スイッチやスピーカや換気扇等の他の器具であってもよい。また、器具群は、壁孔12よりも小さい第1の対応取付孔に取付可能である第1の器具15(図17(a)参照)、第1の対応取付孔よりも小さい第2の対応取付孔に取付可能である第2の器具15’ (図17(b)参照)、および、第2の対応取付孔よりも小さい第3の対応取付孔に取付可能である第3の器具15”を含んで成る(図17(c)参照)。ここで、各対応取付孔は、各器具を取付可能とする最大径および最小径を有する所定の範囲の径またはサイズの取付孔として定義される。そして、本実施形態において、器具取付補助部材100が壁11の壁孔12に対して固定され、器具が設置され得るまたは設置された状態の構造を取付構造10と称する。なお、本実施形態では、壁孔12は円形の貫通孔であるが、角形等の他の形状であってもよい。さらに、器具取付補助部材100と複数種類の器具からなる器具群の1つまたは全てとを組み合わせて発明を実施する場合、これら組み合わせを器具装置と称する。
【0030】
図1(a),(b)は、一実施形態の器具取付補助部材100の上方から見た斜視図および下方から見た斜視図である。図2(a)~(d)は、器具取付補助部材100の平面図、正面図、側面図および底面図である。図3および図4は、器具取付補助部材100のA-A断面図、B-B断面図およびC-C断面図である。図5は、器具取付補助部材100の分解斜視図である。
【0031】
図1乃至図5に示すとおり、器具取付補助部材100は、複数の部材が組み合わさって平面視円板形状をなしている。器具取付補助部材100は、図2(a)の平面視によって示される壁裏空間に臨む後面と、図2(b)の底面視によって示される壁表空間に臨む前面とを有する。そして、器具取付補助部材100は、器具の対応取付孔の大きさ(規格)に応じて異なる大きさ取付孔を形成し、その取付孔に前面から器具を取り付けおよび取り外し可能にするものである。図5に示すとおり、器具取付補助部材100は、固定台座110、縮小部材120、調整部材130、閉塞部材140および化粧部材150を備えてなる。ここで、調整部材130および閉塞部材140は、縮小部材120の開口部の大きさを調整または閉塞するように調整部材130に組み付けられるものであり、調整部材130の構成の一部として解釈され得る。以下、各部材について説明する。
【0032】
図6および図7を参照して、固定台座110について説明する。図6は、固定台座110の上方から見た斜視図および下方から見た斜視図である。図7(a)~(e)は、固定台座110の平面図、底面図、正面図、側面図およびD-D断面図である。
【0033】
固定台座110は、壁表側に臨む前面および壁裏側に臨む後面を有する円環形状をなしている。固定台座110は、壁11に形成された壁孔12の内側にその一部が配置された状態で壁11(壁孔12周縁)に固定されることで、壁孔12を第1の器具15の第1の対応取付孔(壁孔12よりも小さい)に対応する大きさにまで縮小させるように構成されている。つまり、固定台座110は、第1の器具15の第1の対応取付孔に対応する取付孔を壁孔12の内側に形成するものである。
【0034】
より具体的には、固定台座110は、壁11の壁孔12の周縁に固定するための固定部、該固定部が壁11に固定された状態で壁孔12を縮小させるように壁孔12の一部に覆う第1覆い部111、および、該第1覆い部111の内側で第1の対応取付孔として開口する第1開口部113を備える。
【0035】
第1覆い部111は、所定の幅で円環帯状に延在する部位であり、壁孔12の外周側部位(すなわち外周縁から径方向で所定の距離の範囲)を周方向全体に亘って覆うように構成されている。この第1覆い部111の外径が壁孔12の内径にほぼ一致し、その内径が、第1の対応取付孔に対応するように、第1の対応取付孔の径の範囲内(最大径と最小径との間)に定められた。これにより、第1開口部113は、第1の器具15の第1の対応取付孔として機能し得る。また、第1覆い部111の壁表側を向く前面には、化粧部材150を組み付けるための被圧入部119が設けられている。被圧入部119は、第1内周部112の周方向に等間隔で3箇所に設けられている。被圧入部119は、化粧部材150のピン状の圧入突起152を圧入するように形成された丸孔である。
【0036】
第1覆い部111の内周側には、第1内周部112が設けられている。第1内周部112は、第1覆い部111の後面に凸設された円環状の凸条として形成された。第1内周部112は、径方向中心を向くとともに、壁表裏方向に所定の幅(前面および後面間の厚み)で延在する内周面を有する。第1内周部112の壁表裏方向の幅は、第1開口部113の周縁の厚みを形成する。第1の器具15は、この第1開口部113の周縁を挟持することによって取付孔に対して取り付けられ得る(図17(a)参照)。そして、第1開口部113の第1内周部112の壁表裏方向の幅は、第1の器具15を取付可能な最小壁厚よりも大きく、かつ、第1の器具15を取付可能な最大壁厚よりも小さいように定められた。
【0037】
第1覆い部111の外周側には、第1外周部114が設けられている。第1外周部114は、第1覆い部111の後面に凸設された円環状の凸条として形成された。第1外周部114は、径方向外側を向くとともに、壁表裏方向に所定の幅(前面および後面間の厚み)で延在する外周面を有する。本実施形態では、外周面の幅(凸条の高さ)は、内周面の幅(凸条の高さ)よりも小さい。また、固定台座110が壁孔12に対して固定される際に、第1外周部114の外周面が壁孔12の内周面に摺接するように、第1外周部114の外径は、壁孔12の内径とほぼ一致することが好ましい。そして、第1外周部114の前面側の外周には、径方向外方に延在するフランジ114aが設けられている。フランジ114aは、固定台座110が壁孔12に対して固定されたときに、壁孔12の外側に延在するとともに壁表面に当接して掛けられる掛け部として機能し得る。
【0038】
また、固定台座110は、第1開口部113内に臨むように第1内周部112の内周面に被組付部115を備える。被組付部115は、第1内周部112の周方向に等間隔で3箇所に設けられている。各被組付部115は、被圧入部119の径方向内側に位置している。被組付部115は、縮小部材120の組付部126を着脱可能に組み付けるように構成されている。つまり、被組付部115および組付部126は、固定台座110および縮小部材120を着脱可能に組み付けるための組付手段である。固定台座110および縮小部材120は、縮小部材120が第1開口部113に挿入された状態で第1開口部113の周方向に相対回動することで、組付部126および被組付部115の結合状態を形成および解除可能に構成されている。より具体的には、被組付部115は、第1内周部112内周面に凹設されたL字状凹溝として形成された。被組付部115は、前面側に開放され壁表裏方向に延びる導入路115aと、後面側で導入路115aからL字状に屈折して周方向に延びる連通路115bとを備える。導入路115aは、組付部126が壁表側から進入可能な幅を有する。また、連通路115bの前面側を閉塞するように、規制壁115cが設けられている。該規制壁115cには、導入路115aに隣接する位置で、該規制壁115cから連通路115bに向けて突出する係止爪115dが設けられている。係止爪115dは、組付部126が係止爪115dを乗り越えて連通路115bに一旦移動した後、組付部126を、ある程度の力で係止する戻り止めとして機能する。
【0039】
固定台座110は、固定部として、フランジ114aと協働して、壁を壁表裏方向に挟持して当該固定台座110を壁11に固定するための挟持手段を備える。挟持手段は、壁表裏方向に移動して壁孔12の周縁を挟持する挟持体118と、挟持体118を収容するとともに壁表側に開口した挿入孔を有する収容部117aと、該収容部117aに挿入孔を介して壁表側から挿入配置され、挟持体118に螺着し、壁表側からの螺回動操作によって挟持体118を壁表裏方向に駆動するビス117bとを備える。
【0040】
より詳細には、固定台座110の第1覆い部111の後面から(挟持手段の一部として)立設部117が立設している。立設部117は、中心を隔てて対向する2箇所に設けられている。図3(b)に示すように、立設部117は、中空の角柱として形成され、挟持体118を壁表裏方向に可動式に保持するように構成されている。立設部117は、挟持体118の一部を収容する収容部117aと、該収容部117aに収容されたビス117bとを備える。立設部117の壁表側の面には、挿入孔が穿設され、当該挿入孔からビス117bが収容部117aに収容されている。ビス117bの頭部は、壁表側からの螺回動操作を可能とするように、第1覆い部111の前面側に露出している。また、ビス117bの軸部は、軸方向に螺進および螺退せずにその場で回転するように収容部117aに保持されている。
【0041】
そして、ビス117bの軸部には、(挟持手段の一部として)挟持体118の基端部位が螺着している。挟持体118は、挟持部としての先端部位を有し、フランジ114aと協働して壁11を挟持するように構成されている。つまり、各挟持体118は、第1外周部114よりも径方向外側に突出する形状を有している。また、挟持体118は、第1覆い部111の前面側からのビス117bの回転操作によって壁表裏方向に移動可能である。そして、立設部117の壁裏側の頂部側面には、スリット117cが形成されている。当該スリット117cを介して、挟持体118はビス117bの軸を中心に約90度の範囲で回動可能である。挟持体118が壁裏側に後退した位置にあるとき、挟持体118の先端部位は、径方向外方に突出した第1位置と、周方向に突出した第2位置(図19参照)とに変位可能である。第1位置では、挟持体118がビス117bの操作により壁表側に移動し、(挟持手段の一部である)フランジ114aに対して近接および離間することが可能である。一方、第2位置では、挟持体118がビス117bの操作により壁表側に移動することができない。この第2位置は、固定台座110の一部(第1内周部112および第1外周部114)を壁孔12に対して挿入する工程で選択され、挟持体118が壁表面と干渉することを防止する。
【0042】
また、挟持手段は、固定台座110の壁裏に臨む側に複数箇所に設けられ、その全てが壁孔12に挿入可能に形成されている。さらに、第1外周部114は、挟持手段の全体を取り囲む環状をなし、壁孔12内面に係止する凸条として形成されている。当該第1外周部114(凸条)は、第1内周部112よりも壁裏側(後面側)に突出していない。そのため、板バネ方式の器具(ダウンライト)の取付時、板バネが壁材や器具取付補助部材100の後面に当接して挟持する際に邪魔にならない。しかしながら、本発明は本実施形態に限定されず、第1外周部114の凸条の高さが、第1内周部112の凸条の高さと同じでもよい。または、器具の取付を阻害しないのであれば、第1外周部114の凸条の高さが第1内周部112の凸条の高さより大きくてもよい。
【0043】
図8および図9を参照して、縮小部材120について説明する。図8は、縮小部材120の上方から見た斜視図および下方から見た斜視図である。図9(a)~(e)は、縮小部材120の平面図、底面図、正面図、側面図およびE-E断面図である。
【0044】
縮小部材(または縮小部材本体)120は、壁表側に臨む前面および壁裏側に臨む後面を有する円環形状をなしている。縮小部材120は、固定台座110に組み付けられた状態で、壁孔12および第1開口部113を第2の器具15’の第2の対応取付孔(第1の対応取付孔よりも小さい)に対応する大きさにまで縮小させるように構成されている。つまり、縮小部材120は、第2の器具15’の第2の対応取付孔に対応する取付孔を壁孔12および第1開口部113の内側に形成するものである。説明の便宜上、別々に図示しているが、縮小部材120は、調整部材130および閉塞部材140を着脱可能に備えるものである。
【0045】
より具体的には、縮小部材120は、固定台座110の被組付部115に着脱可能に組み付けられる組付部126、該組付部126が被組付部115に組み付けられた状態で、第1開口部113を縮小させるように第1開口部113の一部を覆う第2覆い部121、および、該第2覆い部121の内側で第2の対応取付孔として開口する第2開口部123を備える。
【0046】
第2覆い部121は、所定の幅で円環帯状に延在する部位であり、第1開口部113の外周側部位を周方向全体に亘って覆うように構成されている。この第2覆い部121の外径が第1開口部113の内径にほぼ一致し、その内径が、(第1の対応取付孔よりも小さい)第2の対応取付孔に対応するように、第2の対応取付孔の径の範囲内(最大径と最小径との間)に定められた。これにより、第2開口部123は、第2の器具15’の第2の対応取付孔として機能し得る。また、第2覆い部121の壁表側を向く前面には、周方向の位置合わせ用のマークである表示部121aが付されている。組み付けの際、表示部121aを目安として、縮小部材120の固定台座110に対する周方向の相対位置が決定され得る。
【0047】
第2覆い部121の内周側には、第2内周部122が設けられている。第2内周部122は、第2覆い部121の後面に凸設された円環状の突条として形成された。第2内周部122は、径方向中心を向くとともに、壁表裏方向に所定の幅(前面および後面間の厚み)で延在する内周面を有する。第2内周部122の壁表裏方向の幅は、第2開口部123の周縁の厚みを形成する。第2の器具15’は、この第2開口部123の周縁を挟持することによって取付孔に対して取り付けられ得る(図17(b)参照)。そして、第2開口部123の第2内周部122の壁表裏方向の幅は、第2の器具15’を取付可能な最小壁厚よりも大きく、かつ、第2の器具15’を取付可能な最大壁厚よりも小さいように定められた。さらに、第2内周部122前面の内周縁には、周方向全体に亘って段差状に凹設された段部122aが設けられている。段部122aは、後述する調整部材130のフランジ134aを収めるように構成されている。
【0048】
第2覆い部121の外周側には、第2外周部124が設けられている。第2外周部124は、第2覆い部121の後面に凸設された円環状の凸条として形成された。第2外周部124は、径方向外側を向くとともに、壁表裏方向に所定の幅(前面および後面間の厚み)で延在する外周面を有する。本実施形態では、外周面の幅は、内周面の幅と同じである。また、縮小部材120が固定台座110に組み付けられたときに、第2外周部124の外周面が第1内周部112の内周面に摺接するように、第2外周部124の外径は、第1開口部113の内径とほぼ一致することが好ましい。そして、第2外周部124の前面側の外周には、径方向外方に延在するフランジ124aが設けられている。フランジ124aは、後述する化粧部材150の段部153に配置され、化粧部151(または段部153)の前面に係合するように構成されている。
【0049】
縮小部材120の組付部126は、第2外周部124の後面側の端部から径方向外側に突出するように形成されている。組付部126は、第2外周部124の周方向に等間隔で3箇所に設けられている。組付部126は、周方向に所定長さで延びる矩形状の張り出しである。そして、組付部126は、被組付部115の導入路115aから進入し、係止爪115dを周方向に乗り越えて連通路115bに移動可能に構成されている。また、組付部126の周方向の一方側の角部が面取りされていることにより、導入路115aから連通路115bへの移動(係止爪115dの乗り越え)がガイドされる。一方で、組付部126の周方向の他方側の角部が面取りされていないので、組付部126が係止爪115dに係止され、連通路115bから導入路115aへの移動(係止爪115dの乗り越え)は相対的に困難となっている。
【0050】
また、縮小部材120は、第2開口部123内に臨むように第2内周部122の内周面に被組付部125を備える。被組付部125は、第2内周部122の周方向に等間隔で3箇所に設けられている。各被組付部125(導入路125a)の位置は、組付部126の径方向内側に位置している。被組付部125は、調整部材130の組付部136を着脱可能に組み付けるように構成されている。つまり、被組付部125および組付部136は、縮小部材120および調整部材130を着脱可能に組み付けるための第2の組付手段である。縮小部材120および調整部材130は、調整部材130が第2開口部123に挿入された状態で第2開口部123の周方向に相対回動することで、組付部136および被組付部125の結合状態を形成および解除可能に構成されている。より具体的には、被組付部125は、第2内周部122内周面に凹設されたL字状凹溝として形成された。被組付部125は、前面側に開放され壁表裏方向に延びる導入路125aと、後面側で導入路125aからL字状に屈折して周方向に延びる連通路125bとを備える。導入路125aは、組付部136が壁表側から進入可能な幅を有する。また、連通路125bの前面側を閉塞するように、規制壁125cが設けられている。該規制壁125cには、導入路125aに隣接する位置で、該規制壁125cから連通路125bに向けて突出する係止爪125dが設けられている。係止爪125dは、組付部136が係止爪125dを乗り越えて連通路125bに一旦移動した後、組付部136を、ある程度の力で係止する戻り止めとして機能する。
【0051】
図10および図11を参照して、調整部材130について説明する。図10は、調整部材130の上方から見た斜視図および下方から見た斜視図である。図11(a)~(e)は、調整部材130の平面図、底面図、正面図、側面図およびF-F断面図である。
【0052】
調整部材130は、壁表側に臨む前面および壁裏側に臨む後面を有する円環形状をなしている。調整部材130は、縮小部材120に組み付けられた状態で、壁孔12および第2開口部123を第3の器具15”の第3の対応取付孔(第2の対応取付孔よりも小さい)に対応する大きさにまで縮小させるように構成されている。つまり、調整部材130は、第3の器具15”の第3の対応取付孔に対応する取付孔を壁孔12および第2開口部123の内側に形成するものである。説明の便宜上、別々に図示しているが、調整部材130は、縮小部材120の一部であり、閉塞部材140を備えるものである。
【0053】
より具体的には、調整部材130は、縮小部材120の被組付部125に着脱可能に組み付けられる組付部136、該組付部136が被組付部125に組み付けられた状態で、第2開口部123を縮小させるように第2開口部123の一部を覆う第3覆い部131、および、該第3覆い部131の内側で第3の対応取付孔として開口する第3開口部133を備える。
【0054】
第3覆い部131は、所定の幅で円環帯状に延在する部位であり、第2開口部123の外周側部位を周方向全体に亘って覆うように構成されている。この第3覆い部131の外径が第2開口部123の内径にほぼ一致し、その内径が、(第2の対応取付孔よりも小さい)第3の対応取付孔に対応するように、第3の対応取付孔の径の範囲内(最大径と最小径との間)に定められた。これにより、第3開口部133は、第3の器具15”の第3の対応取付孔として機能し得る。
【0055】
第3覆い部131の内周側には、第3内周部132が設けられている。第3内周部132は、第3覆い部131の後面に凸設された円環状の突条として形成された。第3内周部132は、径方向中心を向くとともに、壁表裏方向に所定の幅(前面および後面間の厚み)で延在する内周面を有する。第3内周部132の壁表裏方向の幅は、第3開口部133の周縁の厚みを形成する。第3の器具15”は、この第3開口部133の周縁を挟持することによって取付孔に対して取り付けられ得る(図17(c)参照)。そして、第3開口部133の第3内周部132の壁表裏方向の幅は、第3の器具15”を取付可能な最小壁厚よりも大きく、かつ、第3の器具15”を取付可能な最大壁厚よりも小さいように定められた。さらに、第3内周部132前面の内周縁には、周方向全体に亘って段差状に凹設された段部132aが設けられている。段部132aは、後述する閉塞部材140の外周縁を収めるように構成されている。
【0056】
第3覆い部131の外周側には、第3外周部134が設けられている。第3外周部134は、第3覆い部131の後面に凸設された円環状の突条として形成された。第3外周部134は、径方向外側を向くとともに、壁表裏方向に所定の幅(前面および後面間の厚み)で延在する外周面を有する。本実施形態では、外周面の幅は、内周面の幅と同じである。また、調整部材130が縮小部材120本体に組み付けられたときに、第3外周部134の外周面が第2内周部122の内周面に摺接するように、第3外周部134の外径は、第2開口部123の内径とほぼ一致することが好ましい。そして、第3外周部134の前面側の外周には、径方向外方に延在するフランジ134aが設けられている。フランジ134aは、縮小部材120本体の段部122aに配置され、第2覆い部121(または段部122a)の前面に係合するように構成されている。
【0057】
調整部材130の組付部136は、第3外周部134の後面側の端部から径方向外側に突出するように形成されている。組付部136は、第3外周部134の周方向に等間隔で3箇所に設けられている。組付部136は、周方向に所定長さで延びる矩形状の張り出しである。そして、組付部136は、被組付部125の導入路125aから進入し、係止爪125dを周方向に乗り越えて連通路125bに移動可能に構成されている。また、組付部136の周方向の一方側の角部が面取りされていることにより、導入路125aから連通路125bへの移動(係止爪125dの乗り越え)がガイドされる。一方で、組付部136の周方向の他方側の角部が面取りされていないので、組付部136が係止爪125dに係止され、連通路125bから導入路125aへの移動(係止爪125dの乗り越え)は相対的に困難となっている。
【0058】
また、調整部材130の第3内周部132の内面には、3つの組付部136と周方向の同じ位置に形成された3つの位置表示部132bが設けられている。位置表示部132bは、矩形状の凹溝である。位置表示部132bは第3開口部133を介して目視可能であることから、調整部材130を縮小部材120本体に着脱する際、位置表示部132bによって組付部136の位置を把握することができる。特には、第2覆い部121の表示部121aと、位置表示部132bとが周方向の同じ位置に配置されたとき、調整部材130の組付部136が縮小部材120の被組付部125(導入路125a)に挿入可能となる。
【0059】
図12および図13を参照して、閉塞部材140について説明する。図12は、閉塞部材140の上方から見た斜視図および下方から見た斜視図である。図13(a)~(e)は、閉塞部材140の平面図、底面図、正面図、側面図およびG-G断面図である。
【0060】
閉塞部材140は、壁表側に臨む前面および壁裏側に臨む後面を有する円板形状をなしている。閉塞部材140は、調整部材130本体に組み付けられた状態で、壁孔12および第3開口部133を閉塞するように構成されている。閉塞部材140は、第3開口部133を閉塞可能な径を有している。また、閉塞部材140は、縮小部材120の一部としても解釈され得る。つまり、閉塞部材140は、縮小部材120に間接的に固定され、調整部材130と協働して縮小部材120の第2開口部123を閉塞可能である。あるいは、調整部材130および閉塞部材140の組付体を1つの閉塞部材として捉えることも可能である。
【0061】
閉塞部材140は、円形状に延在する閉塞部141と、該閉塞部141の後面から立設した弾性の係止片142とを備える。係止片142は、1箇所に2つの突出片として形成されている。また、係止片142は、閉塞部141の周縁近傍の2箇所に、中心を隔てて対向するように形成されている。係止片142は、径方向外方に突出する爪を有し、調整部材130の第3内周部132の端面に係合するように構成されている。すなわち、閉塞部材140を調整部材130の第3開口部133に挿入して押し込むことにより、閉塞部材140を調整部材130に組み付けることができる。他方、閉塞部141の周縁には、切り欠き143が形成されている。閉塞部材140を調整部材130に組み付けた状態で、当該切り欠き143にドライバなどの工具を挿入することにより、閉塞部材140をこじ開けることができる。
【0062】
図14および図15を参照して、化粧部材150について説明する。図14は、化粧部材150の上方から見た斜視図および下方から見た斜視図である。図15(a)~(e)は、化粧部材150の平面図、底面図、正面図、側面図およびH-H断面図である。
【0063】
化粧部材150は、壁表側に臨む前面および壁裏側に臨む後面を有する円環形状をなしている。化粧部材150は、固定台座110に組み付けられ、ビス117bの頭部およびその挿入孔を含む第1覆い部111の前面を覆い隠すように構成されている。化粧部材150は、固定台座110の一部として解釈されてもよい。化粧部材150は、第1覆い部111の外径よりも大きい外径を有する化粧部151と、該化粧部151の後面からピン状に突出した圧入突起152とを備える。化粧部151の径方向内側には、化粧部151が第1開口部113を縮小しない大きさの円形の開口が形成されている。また、圧入突起152は、固定台座110の被圧入部119に圧入可能な形状を有するピンである。圧入突起152は、化粧部151の内周縁近傍の周方向に等間隔で3箇所に設けられている。また、化粧部151の壁表側を向く前面には、周方向の位置合わせ用のマークである表示部151aが付されている。表示部151aを目安として、固定台座110と縮小部材120との周方向の相対位置が決定され得る。特には、化粧部材150が固定台座110に組み付けられた状態で、表示部151aと、縮小部材120の表示部121aとが周方向の同じ位置に配置されたとき、縮小部材120の組付部126が固定台座110の被組付部115(導入路115a)に挿入可能となる。さらに、化粧部151の外周には、後面側に突出した外周凸部151bが形成されている。外周凸部151bは、固定台座110の第1覆い部111の径方向外側に延在し、第1覆い部111の外周端面を覆うように構成されている(図3参照)。そして、化粧部151前面の内周縁には、周方向全体に亘って段差状に凹設された段部153が設けられている。段部153は、縮小部材120のフランジ124aを収めるように構成されている。すなわち、化粧部材150が固定台座110に組み付けられて、ビス117bおよびその挿入孔を覆い隠すことにより、ビス117bおよび挿入孔による壁11全体の美観の低下を抑えることができる。
【0064】
以上の説明を踏まえて、本実施形態の器具取付補助部材100についてより詳細に説明する。
【0065】
本実施形態の組付状態の器具取付補助部材100では、固定台座110、縮小部材120、調整部材130、閉塞部材140および化粧部材150が隙間なく一体に組み付けられている。図3に示すように、組付状態の器具取付補助部材100では、段部153,122a,132aに対してフランジ124a,134a、閉塞部141外周縁が収まることで、壁表側を向く前面が面一となっている。図4に示すように、固定台座110および縮小部材120が組み付けられた状態では、組付部126が被組付部115の連通路115bに配置され、係止爪115dが組付部126の導入路115aへの移動を規制している。このとき、組付部126が前面側から規制壁115cに係止され、かつ、フランジ124aが後面側から段部153(または第1覆い部111前面)に係止されることにより、固定台座110と縮小部材120との間の壁表裏方向の相対移動が規制されている。つまり、固定台座110は、器具を取り付ける際、縮小部材120を壁表裏方向に係止し、縮小部材120の壁裏への連れ動きを防止する。また、当該組み付け状態から、固定台座110および縮小部材120を周方向の一方に強引に相対回転させることで、部材を撓み変形させつつ、組付部126を導入路115aへと移動させて、組付部126および被組付部115を分離することができる。
【0066】
縮小部材120および調整部材130の組付状態も同様であり、組付部136および被組付部125が組み合うことにより、縮小部材120と調整部材130との間の壁表裏方向の相対移動が規制されている。同様に、当該組付状態から、縮小部材120および調整部材130を周方向の一方に強引に相対回転させることで、部材を撓み変形させつつ、組付部136および被組付部125を分離することができる。すなわち、固定台座110、縮小部材120および調整部材130は、壁裏方向および壁表方向のいずれの相対移動も規制されるように互いに組み合っていることから、器具押し込み時の壁裏への連れ動きが防止される。
【0067】
そして、閉塞部材140が調整部材130に組み付けられて第3開口部133を塞いでいる。さらに、化粧部材150が、固定台座110の第1覆い部111の前面に組み付けられ、その前面全体を覆い隠している。組付状態の器具取付補助部材100から、いずれかの部材を選択的かつ独立に取り外すことにより、第1開口部113、第2開口部123および第3開口部133のいずれかを器具の取付孔として利用することができる。
【0068】
図16は、器具取付補助部材100の取付構造10を示している。図16の取付構造10では、器具取付補助部材100から縮小部材120が取り外され、第1の対応取付孔として第1開口部113が壁孔12の内側に形成されている。図16に示すように、第1開口部113に対して、第1の器具15を取り付けることが可能である。
【0069】
ここで、図16を参照して、第1の器具15の構成を説明する。第1の器具15は、LED電球などの電灯を内装する器具本体16と、該器具本体16の下面(照光側端面)から側方に張り出した環状の鍔部17とを備える。器具本体16は、壁裏側の先端に近づくにつれて細くなる円筒状に形成されている。そして、器具本体16における鍔部17の裏面側基端から一対の板バネ状の弾性片18が側方に延び出ている。弾性片18は、鍔部17に近接する角度で延在しており、鍔部17と離隔する方向(上方)に弾性変形可能である。離隔方向に弾性変形した弾性片18と、鍔部17とで所定厚の板材(取付孔周縁)を弾性力によって挟み込んで挟持することが可能である。すなわち、鍔部17および弾性片18が協働して挟持部として機能する。第1の器具15の挟持部は、挟持可能な最小壁厚および最大壁厚を有し、最小壁厚および最大壁厚の間の厚みの板材に対して取付可能である。第1の器具15は、取付孔に後面側の部位を挿入し、壁に対して押し込むことにより、容易に取り付けることができる。なお、挟持部の弾性片は板バネに限定されず、爪などの非弾性の部材であってもよい。
【0070】
第1の器具15の第1の対応取付孔の径は、器具本体16の鍔部17に隣接する部位の取付径によって主に定められる。器具本体16の取付径が取付孔よりも大きいと、第1の器具15を取付孔に挿入して取り付けることができない。他方、器具本体16の取付径が取付孔よりも小さい場合であっても、取付径と取付孔の内径との差が大きい場合、取付孔を鍔部17で覆うことができなくなったり、弾性片18による挟持ができなくなったりすることで、同様に、第1の器具15を取付孔に取り付けることができない。すなわち、第1の対応取付孔は、第1の器具15を取付可能な(最大径および最小径を有する)所定の範囲の径またはサイズの取付孔として定義される。
【0071】
第2の器具15’(図17(b)参照)および第3の器具15” (図17(c)参照)は、第1の器具15を小型化したものであり、その構成は共通である。第2の対応取付孔および第3の対応取付孔も同様に、第2の器具15’および第3の器具15”をそれぞれ取付可能な(最大径および最小径を有する)範囲の径またはサイズの取付孔として定義される。
【0072】
図17(a)は、取付構造10に対して第1の器具15を取り付けた構成を示している。図17(a)に示すように、挟持体118およびフランジ114aの間に壁11(壁孔12周縁)が挟持されることによって、固定台座110が壁孔12に対して固定されている。固定台座110には、化粧部材150のみが組み付けられ、固定台座110から縮小部材120が取り外されている。そして、第1覆い部111によって壁孔12が縮小されるとともに、第1の対応取付孔として第1開口部113が壁孔12の内側に形成されている。この第1開口部113は、第1の対応取付孔の最大径および最小径の範囲内の大きさを有し、当該第1開口部113に第1の器具15が取り付けられている。そして、第1内周部112は、器具15を取付可能な最小壁厚と最大壁厚との間の壁表裏方向の幅を有し、これにより、第1の器具15の弾性片18が第1開口部113の周縁(第1内周部112の後面)に圧接している。このように、第1内周部112が、第1の器具15を取付可能な壁厚を確保しているので、実際の壁11の厚みによらず、第1の器具15の挟持部によって挟持される被挟持部になり得る。しかしながら、第1の器具15の挟持部(板バネ)は、固定台座110の後面でなく、壁11を直接的に挟持するように構成されてもよい。
【0073】
図17(b)は、取付構造10に対して第2の器具15’を取り付けた構成を示している。図17(b)に示すように、第2の器具15’は、第1の器具15よりも一回り小さい。つまり、第2の器具15’の第2の対応取付孔の最大径が、第1の器具15の第1の対応取付孔の径の最小径よりも小さい。図17(b)に示すように、挟持体118およびフランジ114aの間に壁11(壁孔12周縁)が挟持されることによって、固定台座110が壁孔12に対して固定されている。また、縮小部材120および化粧部材150が固定台座110に組み付けられ、縮小部材120から調整部材130が取り外されている。そして、第1覆い部111および第2覆い部121の両方によって壁孔12がより縮小されるとともに、第2の対応取付孔として第2開口部123が壁孔12の内側に形成されている。この第2開口部123は、第2の対応取付孔の最大径および最小径の範囲内の大きさを有し、当該第2開口部123に第2の器具15’が取り付けられている。そして、第2内周部122は、第2の器具15’を取付可能な最小壁厚と最大壁厚との間の壁表裏方向の幅を有し、これにより、第2の器具15’の弾性片18が第2開口部123の周縁(第2内周部122の後面)に圧接している。このように、第2内周部122が、第2の器具15’を取付可能な壁厚を確保しているので、実際の壁11の厚みによらず、第2の器具15’ の挟持部によって挟持される被挟持部になり得る。しかしながら、第2の器具15’の挟持部(板バネ)は、縮小部材120の後面でなく、固定台座110または壁11を直接的に挟持するように構成されてもよい。
【0074】
図17(c)は、取付構造10に対して第3の器具15”を取り付けた構成を示している。図17(c)に示すように、第3の器具15”は、第2の器具15’よりも一回り小さい。つまり、第3の器具15”の第3の対応取付孔の最大径が、第2の器具15’の第2の対応取付孔の径の最小径よりも小さい。図17(c)に示すように、挟持体118およびフランジ114aの間に壁11(壁孔12周縁)が挟持されることによって、固定台座110が壁孔12に対して固定されている。また、縮小部材120および化粧部材150が固定台座110に組み付けられているとともに、調整部材130が縮小部材120に組み付けられている。そして、第1覆い部111、第2覆い部121および第3覆い部131が協働することによって壁孔12がより縮小されるとともに、第3の対応取付孔として第3開口部133が壁孔12の内側に形成されている。この第3開口部133は、第3の対応取付孔の最大径および最小径の範囲内の大きさを有し、当該第3開口部133に第3の器具15”が取り付けられている。そして、第3内周部132は、器具15”を取付可能な最小壁厚と最大壁厚との間の壁表裏方向の幅を有し、これにより、第3の器具15”の弾性片18が第3開口部133の周縁(第3内周部132の後面)に圧接している。このように、第3内周部132が、第3の器具15”を取付可能な壁厚を確保しているので、実際の壁11の厚みによらず、第3の器具15”の挟持部によって挟持される被挟持部になり得る。しかしながら、第3の器具15”の挟持部(板バネ)は、調整部材130の後面でなく、固定台座110、縮小部材120または壁11を直接的に挟持するように構成されてもよい。
【0075】
図18は、器具を取り付けない状態または器具を取り外した状態の取付構造10を示している。図18に示すように、挟持体118およびフランジ114aの間に壁11(壁孔12周縁)が挟持されることによって、固定台座110が壁孔12に対して固定されている。固定台座110に対して、縮小部材120、調整部材130、閉塞部材140および化粧部材150の全ての部材が組み付けられている。このように、器具を取り付ける必要がない場合、壁孔12が完全に閉塞されるので、壁11全体の美観を維持することができる。
【0076】
続いて、器具取付補助部材100を壁孔12に対して設置して取付構造10を構築する方法について説明する。
【0077】
図19に示すように、組付状態の器具取付補助部材100を把持し、その後面を壁孔12に向けて壁孔12に壁表側から挿入する。このとき、組付状態の器具取付補助部材100から化粧部材150を取り外し、固定台座110の挟持体118を周方向に回動させ、壁孔12の周縁に干渉しないように変形させる。次いで、立設部117および第1外周部114を壁孔12に挿入し、フランジ114a(掛け部)を壁11表面に宛がう。フランジ114a(掛け部)を壁11表面に宛がうとともに、第1外周部114外面を壁孔12の内周面に摺接することにより、器具取付補助部材100の位置決めをすることができる。この状態で、図20(a)に示すように、ドライバでビス117bを第1方向に回転させるとともに、挟持体118を径方向外側に張り出すように回動させる。他の箇所の挟持体118も径方向外側に張り出すように回動させることで、挟持体118が壁11裏面に引っ掛かり、器具取付補助部材100を壁孔12に対して仮保持させることができる。さらに、ドライバでビス117bを第1方向に回転させることにより、図20(b)に示すように、挟持体118を壁11に近接させる方向に駆動させる。挟持体118とフランジ114aとの間に壁11を挟持させるまでビス117bを第1方向に回転操作する。全ての箇所についても同様の操作をすることにより、器具取付補助部材100を壁孔12に対して挟持手段で固定することができる。そして、化粧部材150の圧入突起152を固定台座110の被圧入部119に圧入させるようにして、固定台座110に化粧部材150を壁表側から組み付ける。これにより、壁孔12が完全に閉塞された状態の取付構造10が構築される。
【0078】
続いて、壁孔12が完全に閉塞された状態の取付構造10から、取り付ける器具の種類または大きさに従って、壁孔12の内側に選択的に取付孔を形成する工程について説明する。図21(a)に示すように、取り付ける器具が第1の器具15である場合、ユーザーが壁表側から縮小部材120を壁表側から回転操作することにより、固定台座110から縮小部材120を取り外して、第1の対応取付孔に対応する第1開口部113を形成することができる。図21(b)に示すように、取り付ける器具が第2の器具15’である場合、ユーザーが壁表側から調整部材130を回転操作することにより、縮小部材120から調整部材130を取り外して、第2の対応取付孔に対応する第2開口部123を形成することができる。図21(c)に示すように、取り付ける器具が第3の器具15”である場合、ユーザーが壁表側から閉塞部材140をドライバでこじ開けて取り外すことにより、第3の対応取付孔に対応する第3開口部133を形成することができる。こうして、取り付ける器具の種類または大きさに応じて、壁孔12の内側に取付孔を適切に設けることができる。なお、ここでは、固定台座110に化粧部材150が組み付けられていないが、化粧部材150の有無によらず、上述した同様の操作が可能である。
【0079】
上記取付構造10の構築方法は、一例にすぎず、他の工程によってもよいことは言うまでもない。例えば、取り付ける器具の種類または大きさが予め決まっている場合、先に器具取付補助部材100から任意の部材を選択的に分離した上で、器具取付補助部材100を壁孔12に対して固定してもよい。また、固定台座110から縮小部材120を壁表側から取り外した後、縮小部材120から調整部材130または閉塞部材140を選択的に取り外した上で、再度、縮小部材120を壁表から固定台座110に組み付けてもよい。
【0080】
すなわち、縮小部材120および調整部材130は、壁11に固定された固定台座110に対して壁表側からの操作で組み付け可能であり、かつ、組み付けた状態から壁表側からの操作で取り外し可能であることから、取付構造10の構築後であっても、組付部材の変更や選択を容易に行うことができる。
【0081】
以下、本発明に係る一実施形態の器具取付補助部材100の作用効果について説明する。
【0082】
本実施形態の器具取付補助部材100によれば、器具取付補助部材100は、器具を取り付けるための取付孔をその開口部113,123,133によって形成するように構成されている。そして、器具取付補助部材100は、第1の器具15の第1の対応取付孔として開口する第1開口部113を備える固定台座110と、該固定台座110に着脱可能に組み付けられ、第1開口部113の内側で第2の器具15’の第2の対応取付孔として開口する第2開口部123を備える縮小部材120とを備えてなる。これにより、第1の器具15を壁11に設置する場合には、固定台座110から縮小部材120を取り外した状態で器具取付補助部材100を壁孔12に対して設置することで、壁孔12の内側に第1の対応取付孔に対応する第1開口部113を形成し、固定台座110の第1開口部113に対して第1の器具15を取り付けることが可能となる。他方、第1の器具15と異なる第2の対応取付孔を有する第2の器具15’を壁11に設置する場合には、固定台座110に縮小部材120を組み付けた状態で器具取付補助部材100を壁孔12に対して設置することで、壁孔12の内側に第2の対応取付孔に対応する第2開口部123を形成し、縮小部材120の第2開口部123に対して第2の器具15’を取り付けることが可能となる。さらに、縮小部材120に対して、調整部材130および閉塞部材140を追加したことにより、第3の対応取付孔に対応する第3の器具15”の取付も可能であり、かつ、器具を取り付けない場合には、壁孔12を完全に閉塞して壁11全体の美観低下も抑えることができる。したがって、本実施形態の器具取付補助部材100は、壁孔12を異なる複数のサイズに縮小させることで、異なる対応取付孔を有する異なる器具15,15’,15”を壁孔12に対して取付可能とするものである。
【0083】
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例を取り得る。以下、本発明の変形例を説明する。なお、各変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0084】
(1)本発明の器具取付補助部材において、その構成の簡素化のために、器具取付補助部材から調整部材、閉塞部材および化粧部材のうちの1以上が省略されてもよい。図22に示す器具取付補助部材100-1は、上記実施形態の器具取付補助部材100よりも構成を簡素化したものであり、固定台座110、縮小部材120、閉塞部材140’および化粧部材150を備えてなる。すなわち、器具取付補助部材100-1では、調整部材が省略されており、代わりに、縮小部材120の第2開口部123を塞ぐより大径の閉塞部材140’が採用されている。本実施形態の器具取付補助部材100-1も同様に、異なる対応取付孔を有する異なる器具15,15’を壁に対して取付可能とするものである。なお、上記実施形態の器具取付補助部材100に対して、閉塞部材140’が選択部材の1つとして追加されてもよい。換言すると、本発明の縮小部材は、第2開口部を形成することに加えて、複数の選択部材を着脱可能に含み得る構成要素である。
【0085】
(2)本発明の器具取付補助部材において、化粧部材の代わりに、縮小部材が、壁表側に露出する箇所の全体または一部を覆い隠す化粧部を備えるように構成されてもよい。図23に示す器具取付補助部材100-2は、上記実施形態の器具取付補助部材100に対して、縮小部材の一部である調整部材に化粧部材を一体的に構成したものである。そして、器具取付補助部材100-2は、固定台座110、縮小部材120、調整部材130’および閉塞部材140を備えてなる。調整部材130’は、第3開口部133が開口した状態で、固定台座110の壁表側に露出する箇所(第1覆い部111、第2覆い部121および第3覆い部131)の前面全体を覆い隠すように構成された化粧部138を備える。換言すると、縮小部材120は、固定台座110に組み付けられた状態で、固定台座110の壁表側に露出する箇所の全体を覆い隠すように構成された化粧部138を備える。図示しないが、縮小部材120や閉塞部材140に、化粧部が一体的に設けられてもよい。なお、器具取付補助部材100に対して、調整部材130’が選択部材の1つとして追加されてもよい。
【0086】
(3)本発明の器具取付補助部材において、上記実施形態に限定されず、各構成部材は器具の形状に応じて様々な形状寸法をとってもよい。図24に示す器具取付補助部材100-3は、上記実施形態の器具取付補助部材100に対して、縮小部材を角型の開口部を有するように構成したものである。また、図24に例示される第4の器具15”’は、角型のダウンライトであり、取付には角型の第4の対応取付孔を必要とする。すなわち、器具取付補助部材100-3は、固定台座110および第2の縮小部材120’を備えてなる。第2の縮小部材120’は、第4覆い部121’、および、第4の対応取付孔として矩形状の第4開口部123’を有している。すなわち、固定台座110に対して第2の縮小部材120’を組み付けることにより、取付孔を丸型から角型へと変更することができる。よって、この器具取付補助部材100-3では、器具の大きさだけでなく、器具の形状に合わせて、取付孔の形状をも変更することが可能である。
【0087】
また、上記実施形態の器具取付補助部材100に対して、第1の縮小部材120に加えて、第2の縮小部材120’が選択部材の1つとして追加されてもよい。換言すれば、縮小部材は、選択可能な2種の縮小部材から構成されてもよい。すなわち、縮小部材は、円形状の第2開口部123を形成する第1の縮小部材120、および、矩形状の第4開口部123’を形成する第2の縮小部材120’を含んでもよい。この構成にすることにより、ユーザーは、器具のタイプ(丸型または角型)に応じて、2種の縮小部材からいずれかを選択し、確実に器具を取り付けることが可能となる。さらには、調整部材の第3開口部の形状を変更してもよく、また、調整部材が異なる開口形状の複数の調整部材から構成されてもよい。
【0088】
(4)本発明の器具取付補助部材において、縮小部材の調整部材の第3開口部に対して、閉塞部材ではなく、第3開口部よりも小さい開口部を有する1または複数の調整部材がさらに入れ子式に組み付けられてもよい。すなわち、上記実施形態の段数(3段式)に限定されることなく、対応可能な対応取付孔の数または種類を増加させるべく、組付部材の段数を必要に応じて増加させることができる。
【0089】
(5)本発明の器具取付補助部材において、組付部材の組付手段(組付部および被組付部の形態)は上記実施形態に限定されることなく、任意の組付手段から選択されてもよい。例えば、固定台座(または縮小部材)の開口部の内周部内面が雌ねじであり、かつ、縮小部材(または調整部材)の外周部が雄ねじであり、両者が螺回動により着脱されてもよい。また、組付手段は、貼付、接着、嵌合、係止、磁着などの任意の手段から選択されてもよい。
【0090】
(6)上記実施形態では、開口部113,123,133の形状が、フランジ114a、124a、134aの外縁形状が相似形状をなしているが、本発明はこれに限定されず、両者が異なる形状であってもよい。例えば、フランジ114a、124a、134aの外縁形状が矩形状であり、開口部113,123,133の形状が円形状であってもよい。
【0091】
(7)上記実施形態では、固定部は挟持手段として構成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、固定部は、螺着、貼付、接着、嵌合、係止、磁着などの任意の手段から選択されてもよい。
【0092】
(8)上記実施形態では、固定台座の第1開口部、縮小部材の第2開口部および調整部材の第3開口部は、全て同心円状で縮小するように構成されたが、本発明はこれに限定されず、開口部の中心がずれながら縮小するように構成されてもよい。
【0093】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0094】
10 取付構造
11 壁
12 壁孔
15 器具
16 器具本体
17 鍔部(挟持部の一部)
18 弾性片(挟持部の一部)
100 器具取付補助部材
110 固定台座
111 第1覆い部
111a 表示部(マーク)
112 第1内周部
113 第1開口部
114 第1外周部
114a フランジ(掛け部)
115 被組付部(固定台座側)
115a 導入路
115b 連通路
115c 規制壁
115d 係止爪
117 立設部
117a 収容部
117b ビス
117c スリット
118 挟持体
119 被圧入部
120 縮小部材
121 第2覆い部
121a 表示部(マーク)
122 第2内周部
122a 段部
123 第2開口部
124 第2外周部
124a フランジ
125 被組付部(縮小部材側)
125a 導入路
125b 連通路
125c 規制壁
125d 係止爪
126 組付部(縮小部材側)
130 調整部材
131 第3覆い部
132 第3内周部
132a 段部
132b 位置表示部
133 第3開口部
134 第3外周部
134a フランジ
136 組付部(調整部材側)
140 閉塞部材
141 閉塞部
142 係止片
143 切り欠き
150 化粧部材
151 化粧部
151a 表示部(マーク)
151b 外周凸部
152 圧入突起
153 段部
図1
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