(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】輸送サービス管理装置、輸送サービス管理方法及び輸送サービス管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20250516BHJP
【FI】
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2022010167
(22)【出願日】2022-01-26
【審査請求日】2024-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良輔
(72)【発明者】
【氏名】横江 隆文
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】吉永 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】永松 明大
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩介
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-272085(JP,A)
【文献】特開2000-067389(JP,A)
【文献】特開2021-060921(JP,A)
【文献】特開2017-084260(JP,A)
【文献】特開2021-028747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両による輸送サービスの需要を時間帯ごとに予測し
、前記輸送サービスの事業者の管理下にある車両である確保車両の車両数では前記輸送サービスの需要を満たせないと予測される時間帯を不足時間帯として抽出する予測部と、
前記確保車両以外の車両の中から、前記不足時間帯に前記輸送サービスを提供可能な車両である補充車両を探索する探索部と、
前記補充車両に前記不足時間帯での前記輸送サービスの提供を依頼する依頼部とを有する輸送サービス管理装置。
【請求項2】
前記予測部は、
複数の地域の各々で前記輸送サービスの需要を時間帯ごと予測し、地域ごとに前記不足時間帯を抽出し、
前記探索部は、
地域ごとに前記補充車両を探索し、
前記依頼部は、
地域ごとに前記補充車両に前記不足時間帯での前記輸送サービスの提供を依頼する請求項1に記載の輸送サービス管理装置。
【請求項3】
前記探索部は、
前記補充車両の探索として、前記不足時間帯に前記輸送サービスを提供可能な車両を募集していることを通知する通信メッセージである募集メッセージを車道に配置された通信機を介して配信し、
前記募集メッセージを受信したいずれかの車両から、前記不足時間帯に前記輸送サービスを提供可能であることを通知する通信メッセージである応答メッセージを受信した場合に、前記応答メッセージの送信元の車両を前記補充車両として扱う請求項1に記載の輸送サービス管理装置。
【請求項4】
前記探索部は、
前記補充車両の探索として、前記補充車両の候補である補充候補車両を管理する管理者宛に、前記不足時間帯に前記輸送サービスを提供可能な車両を募集していることを通知する通信メッセージである募集メッセージを送信し、
前記管理者から、前記不足時間帯に前記補充候補車両により前記輸送サービスを提供可能であることを通知する通信メッセージである応答メッセージを受信した場合に、前記補充候補車両を前記補充車両として扱う請求項1に記載の輸送サービス管理装置。
【請求項5】
前記依頼部は、
前記不足時間帯に前記確保車両よりも優先して前記補充車両に前記輸送サービスの提供を依頼する請求項1に記載の輸送サービス管理装置。
【請求項6】
コンピュータが、車両による輸送サービスの需要を時間帯ごとに予測し
、前記輸送サービスの事業者の管理下にある車両である確保車両の車両数では前記輸送サービスの需要を満たせないと予測される時間帯を不足時間帯として抽出する予測処理と、
前記コンピュータが、前記確保車両以外の車両の中から、前記不足時間帯に前記輸送サービスを提供可能な車両である補充車両を探索する探索処理と、
前記コンピュータが、前記補充車両に前記不足時間帯での前記輸送サービスの提供を依頼する依頼処理とを有する輸送サービス管理方法。
【請求項7】
車両による輸送サービスの需要を時間帯ごとに予測し
、前記輸送サービスの事業者の管理下にある車両である確保車両の車両数では前記輸送サービスの需要を満たせないと予測される時間帯を不足時間帯として抽出する予測処理と、
前記確保車両以外の車両の中から、前記不足時間帯に前記輸送サービスを提供可能な車両である補充車両を探索する探索処理と、
前記補充車両に前記不足時間帯での前記輸送サービスの提供を依頼する依頼処理とをコンピュータに実行させる輸送サービス管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両を用いた輸送サービスの管理に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を用いた輸送サービスとして、サービス利用者(以下、単に利用者ともいう)が必要なときに車両を利用可能なオンデマンド型の輸送サービスがある。
オンデマンド型の輸送サービスに関する技術として、特許文献1に開示の技術がある。
オンデマンド型の輸送サービスでは、利用者がアプリケーションを活用し、利用日時、乗降車位置を予約する。オンデマンド型の輸送サービスは、移動手段を持たない老人、妊婦等の病院への移動、道の駅の活用、農作物の道の駅への運搬等に利用されることが予想される。特に、地方(山間部等)での利用が効果的と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
輸送サービスの提供者はサービス提供のために車両を確保しているが、輸送サービスの需要は刻一刻と変動する。このため、車両数を需要の変動に機動的に合致させることは困難である。この結果、利用者がサービスの利用を希望する時間帯に十分な車両が確保できずに、利用者がサービスの利用を断念する事態が発生し得るという課題がある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決することを主な目的の一つとしている。具体的には、本開示は、車両を機動的に補充することで車両による輸送サービスを円滑に提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る輸送サービス管理装置は、
車両による輸送サービスの需要を時間帯ごとに予測し、前記輸送サービスの事業者の管理下にある車両である確保車両の車両数では前記輸送サービスの需要を満たせないと予測される時間帯を不足時間帯として抽出する予測部と、
前記確保車両以外の車両の中から、前記不足時間帯に前記輸送サービスを提供可能な車両である補充車両を探索する探索部と、
前記補充車両に前記不足時間帯での前記輸送サービスの提供を依頼する依頼部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車両を機動的に補充することができ、車両による輸送サービスを円滑に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るシステム構成例を示す図。
【
図2】実施の形態1に係る輸送サービス管理装置のハードウェア構成例を示す図。
【
図3】実施の形態1に係る輸送サービス管理装置の機能構成例を示す図。
【
図4】実施の形態1に係る輸送サービス管理装置の動作の概要を示すフローチャート。
【
図5】実施の形態1に係る輸送サービス管理装置の動作の詳細を示すフローチャート。
【
図6】実施の形態1に係る需要車両数テーブル、確保車両数テーブル及び不足車両数テーブルの例を示す図。
【
図7】実施の形態1に係る輸送サービス管理装置の動作の詳細を示すフローチャート。
【
図8】実施の形態1に係る募集メッセージの例を示す図。
【
図9】実施の形態1に係る応答メッセージの例を示す図。
【
図10】実施の形態1に係る補充車両数テーブルの例を示す図。
【
図11】実施の形態1に係る輸送サービス管理装置の動作の詳細を示すフローチャート。
【
図12】実施の形態1に係る輸送要求メッセージの例を示す図。
【
図13】実施の形態1に係る依頼メッセージの例を示す図。
【
図14】実施の形態1に係る受諾メッセージの例を示す図。
【
図15】実施の形態1に係る配車確認メッセージの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態を図を用いて説明する。以下の実施の形態の説明及び図面において、同一の符号を付したものは、同一の部分又は相当する部分を示す。
【0010】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係るシステム構成例を示す。
輸送サービス管理装置100は、車両による輸送サービスを実現するためのオペレーションを行う。より具体的には、輸送サービス管理装置100は、輸送サービスの需要の予測、需要に応じた車両の補充、配車要求の受付、配車手配等のオペレーションを行う。
輸送サービス管理装置100は、輸送サービスの事業者又は輸送サービスの事業者の業務委託先が利用するサーバ装置である。輸送サービスの事業者とは、車両によるオンデマンド型の輸送サービスを提供する業者である。また、本実施の形態では、輸送サービスとは、車両によるオンデマンド型の輸送サービスを意味する。
【0011】
輸送サービス管理装置100の動作手順は、輸送サービス管理方法に相当する。また、輸送サービス管理装置100の動作を実現するプログラムは、輸送サービス管理プログラムに相当する。
【0012】
輸送サービス管理装置100は、ネットワーク200を介して路側機301、ETCアンテナ302及び無線基地局装置303と接続されている。なお、ETCは「Electronic Toll Collection System」の略称であり、登録商標である。
【0013】
ネットワーク200は、例えばインターネットである。なお、図示を省略しているが、ネットワーク200にはメールサーバ、DNS(Domain Name System)サーバ等の輸送サービス管理装置100が路側機301、ETCアンテナ302及び無線基地局装置303と通信メッセージを送受信するための機構が含まれている。
【0014】
路側機301は、車道に配置されている。路側機301は、例えばDSRC(Dedicated Short Range Communication)により車両401に搭載されている通信デバイス501との無線通信が可能である。
図1では、1つの路側機301のみが示されるが、路側機301は複数の地域に複数存在する。
路側機301は、輸送サービス管理装置100と通信デバイス501との間で通信メッセージを中継する。
路側機301は通信機に相当する。
【0015】
ETCアンテナ302は、ETCレーンに配置されたアンテナである。ETCアンテナ302も、例えばDSRCにより車両401に搭載されている通信デバイス501との無線通信が可能である。
図1では、1つのETCアンテナ302のみが示されるが、ETCアンテナ302は複数の地域に複数存在する。
ETCアンテナ302も、輸送サービス管理装置100と通信デバイス501との間で通信メッセージを中継する。
ETCアンテナ302も通信機に相当する。
【0016】
無線基地局装置303は、例えば、携帯電話サービスの事業者が設置している通信施設である。
図1では、1つの無線基地局装置303のみが示されるが、無線基地局装置303は複数の地域に複数存在する。
無線基地局装置303は、車両管理者402が携帯する携帯端末502、サービス利用者600が携帯する携帯端末502との無線通信が可能である。
無線基地局装置303は、輸送サービス管理装置100と携帯端末502との間で通信メッセージを中継する。
また、無線基地局装置303は、車両401に搭載されている通信デバイス501とも無線通信可能であるが、説明の簡略化のため、本実施の形態では、無線基地局装置303は携帯端末502のみと無線通信を行うものとする。
【0017】
車両401は、確保車両以外の車両である。
確保車両とは、輸送サービスの事業者が輸送サービスを提供するために確保している車両である。つまり、確保車両は、輸送サービスの事業者の管理下にあり、輸送サービスの事業者の指示による輸送サービスの提供が義務づけられている車両である。
一方、車両401は、輸送サービスの事業者の管理下になく、輸送サービスの提供が義務づけられていない車両である。車両401は、一般車両ともいう。
車両401には、路側機301及びETCアンテナ302と無線通信を行うことできる通信デバイス501が搭載されている。通信デバイス501は、例えばETC車載器、カーナビゲーション装置である。また、携帯端末502を通信デバイス501として用いることもできる。
【0018】
車両管理者402は、車両401を管理する者である。車両管理者402は例えば車両401を所有する個人、企業等である。
車両管理者402は車両401の所有権がなくても、車両401を後述する補充車両として用いるか否かを決定する権限があればよい。
【0019】
また、車両管理者402の中には、輸送サービス業者との間で事前に自己の車両を補充車両として用いることに合意している者もいる。このような車両管理者402が管理する車両を補充候補車両という。補充候補車両は補充車両の候補となる車両である。
このような車両管理者402は、自己の携帯端末502の通信アドレスを輸送サービス管理装置100に登録済みである。このため、輸送サービス管理装置100は車両管理者402が車両401の外にいる場合でも、登録済みの通信アドレスを用いて、後述する募集メッセージ701を携帯端末502宛に送信することができる。
携帯端末502は、例えばスマートフォンである。
本実施の形態では、説明の簡明化のために、車両401内にいる車両管理者402は、車両401を補充車両として利用することに合意しておらず、車両外にいる車両管理者402は、自己の車両を補充車両として利用することに合意しているものとする。
なお、車両管理者402は、単に管理者ということもある。
【0020】
サービス利用者600は、輸送サービスの利用を希望する者である。
サービス利用者600も携帯端末502を携帯しているものとする。
【0021】
なお、輸送サービス管理装置100と車両管理者402又はサービス利用者600との通信方法は
図1に記載のものに限らない。
例えば、輸送サービス管理装置100は、無線基地局装置303の代わりに有線通信網又はWi-fiのアクセスポイント等の他の通信手段を用いて車両管理者402又はサービス利用者600と通信を行ってもよい。
また、車両管理者402又はサービス利用者600は、携帯端末502の代わりに、PC(Personal Computer)等を用いてもよい。
【0022】
募集メッセージ701は、輸送サービスを提供可能な車両を募集していることを通知する通信メッセージである。募集メッセージ701は、輸送サービス管理装置100が輸送サービスの需要を予測した結果、確保車両のみでは需要を満たせないと判定した場合に送信される。
募集メッセージ701は、輸送サービス管理装置100から路側機301、ETCアンテナ302又は無線基地局装置303を介して通信デバイス501又は車両管理者402の携帯端末502に送信される。
募集メッセージ701は、例えば電子メール、ショートメッセージ等である。
【0023】
応答メッセージ702は、募集メッセージ701に応答する通信メッセージである。つまり、応答メッセージ702は、輸送サービスを提供可能であることを通知する通信メッセージである。
応答メッセージ702は、通信デバイス501又は車両管理者402の携帯端末502から路側機301、ETCアンテナ302又は無線基地局装置303を介して輸送サービス管理装置100に送信される。
応答メッセージ702は、例えば電子メール、ショートメッセージ等である。
【0024】
依頼メッセージ703は、輸送サービスの提供を依頼する通信メッセージである。
依頼メッセージ703は、輸送サービス管理装置100から路側機301、ETCアンテナ302又は無線基地局装置303を介して通信デバイス501又は車両管理者402の携帯端末502に送信される。
依頼メッセージ703は、例えば電子メール、ショートメッセージ等である。
【0025】
受諾メッセージ704は、依頼メッセージ703に応答する通信メッセージである。つまり、応答メッセージ702は、輸送サービスの提供を受諾したことを通知する通信メッセージである。
受諾メッセージ704は、通信デバイス501又は車両管理者402の携帯端末502から路側機301、ETCアンテナ302又は無線基地局装置303を介して輸送サービス管理装置100に送信される。
受諾メッセージ704は、例えば電子メール、ショートメッセージ等である。
【0026】
輸送要求メッセージ705は、輸送サービスの提供を要求する通信メッセージである。つまり、輸送要求メッセージ705は、配車を要求する通信メッセージである。
輸送要求メッセージ705は、サービス利用者600の携帯端末502から無線基地局装置303を介して輸送サービス管理装置100に送信される。
輸送要求メッセージ705は、例えば電子メール、ショートメッセージ等である。
【0027】
配車確認メッセージ706は、輸送サービスの提供を確認する通信メッセージである。つまり、配車確認メッセージ706は、配車が行われることを確認する通信メッセージである。
配車確認メッセージ706は、輸送サービス管理装置100から無線基地局装置303を介してサービス利用者600の携帯端末502に送信される。
配車確認メッセージ706は、例えば電子メール、ショートメッセージ等である。
【0028】
図2は、本実施の形態に係る輸送サービス管理装置100のハードウェア構成例を示す。
図3は、本実施の形態に係る輸送サービス管理装置100の機能構成例を示す。
まず、
図2を参照して、輸送サービス管理装置100のハードウェア構成例を説明する。
【0029】
本実施の形態に係る輸送サービス管理装置100は、コンピュータである。
輸送サービス管理装置100は、ハードウェアとして、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903及び通信装置904を備える。
また、輸送サービス管理装置100は、
図3に示すように、機能構成として、予測部101、探索部102、依頼部103、通信部104及びデータベース105を備える。これらのうち、予測部101、探索部102、依頼部103及び通信部104の機能は、例えば、プログラムにより実現される。
補助記憶装置903には、予測部101、探索部102、依頼部103及び通信部104の機能を実現するプログラムが記憶されている。
これらプログラムは、補助記憶装置903から主記憶装置902にロードされる。そして、プロセッサ901がこれらプログラムを実行して、後述する予測部101、探索部102、依頼部103及び通信部104の動作を行う。
図3は、プロセッサ901が予測部101、探索部102、依頼部103及び通信部104の機能を実現するプログラムを実行している状態を模式的に表している。
なお、データベース105は、例えば補助記憶装置903により実現される。
【0030】
次に、
図3を参照して、輸送サービス管理装置100の機能構成例を説明する。
【0031】
予測部101は、複数の地域の各々で輸送サービスの需要を時間帯ごとに予測する。
そして、予測部101は、確保車両の車両数では輸送サービスの需要を満たせないと予測される時間帯及び地域を不足時間帯及び不足地域として抽出する。
予測部101により行われる処理は、予測処理に相当する。
【0032】
探索部102は、確保車両以外の車両401の中から、不足地域ごとに、不足時間帯に輸送サービスを提供可能な車両である補充車両を探索する。
探索部102により行われる処理は、探索処理に相当する。
【0033】
依頼部103は、サービス利用者600に対する輸送サービスの提供を確保車両又は補充車両に依頼する。
依頼部103は、不足地域及び不足時間帯では、確保車両よりも優先して補充車両に輸送サービスの提供を依頼する。
依頼部103により行われる処理は、依頼処理に相当する。
【0034】
通信部104は、ネットワーク200との間で募集メッセージ701、応答メッセージ702、依頼メッセージ703、受諾メッセージ704、輸送要求メッセージ705及び配車確認メッセージ706を送受信する。
【0035】
データベース105は、各種データを記憶する。
例えば、データベース105は、携帯端末502の通信アドレスを記憶する。
また、データベース105は、後述する各種テーブルを記憶する。
また、データベース105は、各路側機301がいずれの地域に配置されているかを記憶している。同様に、データベース105は、各ETCアンテナ302がいずれの地域に配置されているかを記憶している。同様に、データベース105は、各無線基地局装置303がいずれの地域に配置されているかを記憶している。
【0036】
***動作の説明***
図4は、本実施の形態に係る輸送サービス管理装置100の動作の概要を示す。
【0037】
まず、ステップS11において、予測部101が輸送サービスの需要を地域及び時間帯ごとに予測する。つまり、予測部101は、地域及び時間帯ごとに、輸送サービスの提供に必要になる車両数である需要車両数を予測する。
そして、予測部101は、需要車両数に満たない確保車両数しか確保できていない不足地域及び不足時間帯を抽出する。
本実施の形態では、説明の簡明のために、「時間帯」は15分を単位とする。また、予測部101は、各「時間帯」が開始する15分前に当該「時間帯」の需要を予測するものとする。例えば、予測部101は、「9:15-9:29」の需要予測は「9:15」の15分前である「9:00」に行うものとする。同様に、予測部101は、「9:30-9:44」の需要予測は「9:30」の15分前である「9:15」に行うものとする。なお、これらは一例であり、「時間帯」は、5分単位、30分単位、1時間単位等の異なる単位であってもよい。また、需要予測も5分単位、30分単位、1時間単位等の異なるタイミングで行ってもよい。
【0038】
次に、ステップS12において、探索部102が補充車両を探索する。
より具体的には、探索部102は、不足地域及び不足時間帯での輸送サービスの提供を募集する募集メッセージ701を生成する。そして、探索部102は、通信部104を用いて募集メッセージ701をネットワーク200に送信する。前述したように、募集メッセージ701は、路側機301、ETCアンテナ302、無線基地局装置303を介して配信され、最終的に車両401(通信デバイス501)及び車両管理者402(携帯端末502)に到達する。
そして、募集メッセージ701を受信した車両401の車両管理者402(通信デバイス501)が応答メッセージ702を送信すると、探索部102は通信部104を用いて応答メッセージ702を受信する。同様に、募集メッセージ701を受信した車両管理者402(携帯端末502)が応答メッセージ702を送信すると、探索部102は通信部104を用いて応答メッセージ702を受信する。
探索部102は、応答メッセージ702の送信元の車両401を補充車両として扱う。また、探索部102は、応答メッセージ702の送信元である車両管理者402が管理する車両(補充候補車両)を補充車両として扱う。
【0039】
次に、ステップS13において、依頼部103が、確保車両又は補充車両に輸送サービルの提供を依頼する。
より具体的には、依頼部103は、サービス利用者600の携帯端末502から輸送要求メッセージ705を受信した場合に、サービス利用者600に対する輸送サービスの提供を確保車両又は補充車両に依頼する。
依頼部103は、確保車両数で需要車両数を充足できるため、補充車両を手配していない場合は、確保車両のみに輸送サービスの提供を依頼する。
一方、不足地域の不足時間帯では、依頼部103は、確保車両よりも優先して補充車両に輸送サービスの提供を依頼する。そして、すべての補充車両に対する依頼が完了した後に、依頼部103は、確保車両への依頼を開始する。
依頼部103は、具体的には、確保車両又は補充車両に、依頼メッセージ703を通信部104を用いて送信する。そして、依頼部103は、通信部104を用いて、確保車両又は補充車両から受諾メッセージ704を受信する。
受諾メッセージ704を受信すると、依頼部103は、通信部104を用いて、サービス利用者600の携帯端末502に配車確認メッセージ706を送信する。
【0040】
図5は、
図4のステップS11の詳細を示す。
図5のステップS111~S115は、地域ごとに行われる。
なお、以下では、輸送サービスの提供地域がAAA、BBB、CCCの3つであるものとする。また、確保車両には、輸送サービスの提供地域としてAAA、BBB、CCCのいずれかが指定されているものとする。
そして、現時刻が「9:00」であり、予測部101は、AAA、BBB、CCCの各地域の「9:15-9:29」の需要予測を行うものとする。
【0041】
まず、ステップS111において、予測部101は、対象となる時間帯の需要車両数を予測する。
前述のように現時刻が「9:00」であるので、予測部101は時間帯「9:15-9:29」の需要車両数を予測する。
予測部101は、例えば、同一地域の同一時間帯での過去の輸送要求数(昨日の輸送要求数、1週間前の輸送要求数等)を参照して需要予測を行うことが考えられる。つまり、予測部101は、昨日の同一地域の「9:15-9:29」の輸送要求数、1週間前の同一地域の「9:15-9:29」の輸送要求数等を参照して需要予測を行ってもよい。輸送要求数は、輸送要求メッセージ705の受信数である。
また、予測部101は、同一地域の直前の時間帯での輸送要求数を参照して需要予測を行ってもよい。つまり、予測部101は、現時刻「9:00」の直前の時間帯である「8:45-8:59」の輸送要求数を参照して需要予測を行ってもよい。
また、予測部101は、隣接地域の同一時間帯での過去の輸送要求数、隣接地域の直前の時間帯での輸送要求数を参照して需要予測を行ってもよい。例えば、地域AAAの「9:15-9:29」の需要予測のために、地域AAAに隣接する地域BBBの昨日の「9:15-9:29」の輸送要求数を参照してもよい。
更に、予測部101は、曜日ごとの特殊性、需要が増大/減少するイベントの有無等を考慮して、需要予測を行ってもよい。
また、予測部101は、上記のパラメータを組み合わせて需要予測を行ってもよい。
予測部101による需要予測の具体的な手法は問わない。
【0042】
次に、ステップS112において、予測部101は、地域ごとに、需要車両数と確保車両数とを比較し、不足車両数を抽出する。
【0043】
図6の(a)は、需要車両数テーブルの例を示す。
図6の(a)は、地域AAAについての需要車両数テーブルを示す。需要車両数テーブルでは、時間帯ごとに需要車両数の予測値が示される。
現時刻が「9:00」であるため、予測部101は、地域AAAの「9:15-9:29」の需要車両数を予測している。
図6の(a)では、地域AAAの「9:15-9:29」の需要車両数として「18」が予測されている。
なお、「9:00-9:14」の需要車両数は「8:45」に予測済であり、予測値として「15」が記載されている。一方、「9:30-9:44」の需要車両数は「9:15」に予測されるため、需要車両数の予測値は記載されていない。
【0044】
図6の(b)は、確保車両数テーブルの例を示す。
図6の(b)は、地域AAAについての確保車両数テーブルを示す。確保車両数テーブルでは、時間帯ごとに確保車両数と確保車両詳細情報が示される。
各確保車両には、サービス提供を依頼する順序である「順位」が設定されている。「順位」の決定方法は問わない。
確保車両詳細情報の欄には、順位の降順に確保車両詳細情報が示される。確保車両詳細情報には、例えば、確保車両の車両ID(Identification)、通信アドレス、ナンバープレートの値、管理者の識別子(管理者の氏名/名称)が含まれる。
【0045】
予測部101は、
図6の(a)の需要車両数テーブルの需要車両数と、
図6の(b)の確保車両数テーブルの確保車両数とを比較する。そして、需要車両>確保車両数の場合に、予測部101は、車両数の差を不足車両数として抽出する。
【0046】
そして、ステップS113において、予測部101は、不足車両数テーブルを生成又は更新する。
つまり、予測部101は、不足車両数テーブルが未生成の場合は、ステップS112で抽出された不足車両数が示される不足車両数テーブルを生成する。
また、不足車両数テーブルが生成済みであれば、予測部101は、データベース105から不足車両数テーブルを読み出す。そして、予測部101は、ステップS112で抽出された不足車両数を不足車両数テーブルに追加して不足車両数テーブルを更新する。
【0047】
図6の(c)は、不足車両数テーブルの例を示す。不足車両数テーブルでは、時間帯ごとに不足車両数が示される。
ここでは、予測部101は、地域AAAの「9:15-9:29」の不足車両数として「8」を追加する。
なお、不足車両数が「1」以上である時間帯が不足時間帯であり、不足車両数テーブルに不足時間帯が存在する地域が不足地域である。
図6の(c)では、「9:00-9:14」と「9:15-9:29」が不足時間帯であり、地域AAAが不足地域である。
【0048】
次に、ステップS114において、予測部101は、不足車両数テーブルをデータベース105に格納する。
【0049】
最後に、ステップS115において、予測部101は、探索指示を探索部102に出力する。探索指示は、探索部102に補充車両を探索するよう指示するコマンドである。
ここでは、予測部101は、地域AAAの「9:15-9:29」の不足車両数を補う補助車両を探索するよう指示する。
【0050】
図7は、
図4のステップS12の詳細を示す。
図7の処理は、
図5のステップS115で出力された探索指示を探索部102が受け取った際に開始する。
図7のステップS121~S127は不足地域ごとに行われる。
以下では、不足地域AAAについての動作を説明する。
【0051】
まず、ステップS121において、探索部102は、募集メッセージ701を生成する。
現時刻が「9:00」であるため、探索部102は、地域AAAの「9:15-9:29」についての募集メッセージ701を生成する。
図8は、募集メッセージ701の例を示す。募集メッセージ701には、募集時間帯として不足時間帯である「9:15-9:29」が示される。また、募集地域として不足地域である「AAA」が示される。
【0052】
次に、ステップS122において、探索部102は通信部104を用いて募集メッセージ701をネットワーク200に送信する。つまり、探索部102は通信部104に募集メッセージ701を出力し、通信部104が募集メッセージ701をネットワーク200に送信する。
通信部104は、不足地域AAAに配置されている路側機301、ETCアンテナ302に募集メッセージ701を送信する。また、通信部104は、不足地域AAAの近隣の地域にいる車両401が募集メッセージ701に応募する可能性を考慮して、近隣の地域に配置されている路側機301、ETCアンテナ302に募集メッセージ701を送信してもよい。
また、通信部104は、不足地域AAAで補充車両を提供可能な車両管理者402宛に募集メッセージ701を送信する。
【0053】
募集メッセージ701を受信した通信デバイス501又は携帯端末502が応答メッセージ702を送信した場合に、ステップS123において、探索部102は通信部104を用いて応答メッセージ702を受信する。つまり、通信部104が応答メッセージ702を受信し、通信部104が探索部102に応答メッセージ702を出力し、探索部102が応答メッセージ702を受け取る。
なお、探索部102は、応答メッセージ702を受け取るごとに、応答メッセージ702の受信数をカウントする。
【0054】
図9は、応答メッセージ702の例を示す。応答メッセージ702において、募集時間帯及び募集地域は募集メッセージ701に示すものと同じである。
車両IDは、募集メッセージ701を受信した通信デバイス501が搭載されている車両401のID又は募集メッセージ701を受信した携帯端末502を携帯する車両管理者402が管理する車両(補充候補車両)のIDである。
ナンバーは、募集メッセージ701を受信した通信デバイス501が搭載されている車両401のナンバープレートの値又は募集メッセージ701を受信した携帯端末502を携帯する車両管理者402が管理する車両(補充候補車両)のナンバープレートの値である。車両管理者402がナンバープレートの値をマニュアル入力してもよいし、車両401のETCカード又は他の記憶媒体に記憶されているナンバープレートの値を応答メッセージ702に転載してもよい。
管理者は、募集メッセージ701を受信した通信デバイス501が搭載されている車両401の車両管理者402の識別子(氏名/名称)又は募集メッセージ701を受信した携帯端末502を携帯する車両管理者402の識別子(氏名/名称)である。
アドレスは、募集メッセージ701を受信した通信デバイス501の通信アドレス又は募集メッセージ701を受信した携帯端末502の通信アドレスである。なお、車両管理者402が利用する通信アドレスであれば、これら以外の通信アドレスを用いてもよい。車両管理者402が通信アドレスをマニュアル入力してもよいし、車両401のETCカード又は他の記憶媒体に記憶されている通信アドレスを応答メッセージ702に転載してもよい。
【0055】
次に、ステップS124において、探索部102は、応答メッセージ702の受信数が補充上限数に達したか否かを判定する。
補充上限数は補充車両数の上限値である。補充上限数は例えば不足車両数の120~150%程度の台数にすることが考えられる。補充上限数をどの程度にするかは輸送サービス事業者が決定する。
【0056】
応答メッセージ702の受信数が補充上限数に達している場合は、処理がステップS125に進む。
一方、応答メッセージ702の受信数が補充上限数に達していない場合は、ステップS123が継続して行われる。
【0057】
ステップS125では、探索部102は、募集終了メッセージを通信部104を用いてネットワーク200に送信する。
募集終了メッセージは補充車両の募集を終了することを通知する通信メッセージである。
募集終了メッセージを受信した通信デバイス501及び携帯端末502は、車両管理者402に補充車両の募集が終了したことを通知する。
【0058】
ステップS126では、探索部102は、補充車両数テーブルを生成又は更新する。
つまり、探索部102は、補充車両数テーブルが未生成の場合は、応答メッセージ702の受信により得られた補充車両数が示される補充車両数テーブルを生成する。
また、補充車両数テーブルが生成済みであれば、探索部102は、データベース105から補充車両数テーブルを読み出す。そして、探索部102は、応答メッセージ702の受信により得られた補充車両数を補充車両数テーブルに追加して補充車両数テーブルを更新する。
そして、ステップS127において、探索部102は、生成又は更新した補充車両数テーブルをデータベース105に格納する。
【0059】
図10は、補充車両数テーブルの例を示す。
図10の補充車両数テーブルは、地域AAAについての補充車両数テーブルである。
補充車両数テーブルでは、時間帯ごとに不足車両数、補充車両数、補充車両詳細情報が示される。
ここでは、探索部102は、地域AAAの「9:15-9:29」の補充車両数「12」を登録する。
補充車両詳細情報の欄には、順位の降順に補充車両詳細情報が示される。補充車両詳細情報には、例えば、補充車両の車両ID、通信アドレス、ナンバープレートの値、管理者の識別子(管理者の氏名/名称)が含まれる。これらは応答メッセージ702から抽出される。
例えば、応答メッセージ702の先着順に補充車両の順位を決定することが考えられる。また、例えば、過去に募集メッセージ701に応じた回数の順に補充車両の順位を決定することが考えられる。補充車両の順位決定方法は任意である。
【0060】
最後に、ステップS127において、探索部102は、補充車両数テーブルをデータベース105に格納する。
【0061】
【0062】
ステップS131において、依頼部103はサービス利用者600から輸送要求メッセージ705を受信したか否かを判定する。
輸送要求メッセージ705を受信している場合は、処理がステップS132に進む。
【0063】
ステップS132では、依頼部103は、輸送要求メッセージ705から、輸送要求地域及び輸送要求時間帯を判定する。
輸送要求地域は、サービス利用者600が輸送サービスを要求している地域である。輸送要求時間帯は、サービス利用者600が輸送サービスを要求している時間帯である。
【0064】
【0065】
要求メッセージ番号は、輸送要求メッセージ705の識別番号である。
乗車時刻は、サービス利用者600が乗車を希望する時刻である。つまり、乗車時刻は、サービス利用者600が希望する輸送サービスの開始時刻を示す。
乗車地点は、サービス利用者600が乗車を希望する地点である。つまり、乗車地点は、サービス利用者600が希望する輸送サービスの開始地点を示す。
降車地点は、サービス利用者600が降車を希望する地点である。つまり、降車地点は、サービス利用者600が希望する輸送サービスの終了地点を示す。
利用者名は、サービス利用者600の氏名又は名称である。
また、輸送要求メッセージ705に乗車人数の欄を追加してもよい。
サービス利用者600が同意する場合は、サービス利用者600の携帯電話番号を輸送要求メッセージ705に含めてもよい。
【0066】
依頼部103は、輸送要求メッセージ705の乗車時刻から輸送要求時間帯を判定する。
図12の例では、乗車時刻が「9:15」であるため、依頼部103は、輸送要求時間帯として「9:15-9:29」を判定する。
また、依頼部103は、乗車地点から輸送要求地域を判定する。
図12の例では、乗車地点が「AAA駅ロータリー」であるため、依頼部103は、輸送要求地域として「AAA」を判定する。
【0067】
次に、ステップS133において、依頼部103は、輸送要求時間帯と輸送要求地域との組み合わせに補充車両が登録されているか否かを判定する。
具体的には、依頼部103は、輸送要求地域の補充車両数テーブルを参照して、輸送要求時間帯に補充車両が登録されているか否かを判定する。
図12の輸送要求メッセージ705の例では、依頼部103は、
図10の補充車両数テーブルの「9:15-9:29」を参照し、補充車両が登録されていると判定する。
【0068】
輸送要求時間帯と輸送要求地域との組み合わせに補充車両が登録されている場合は、処理がステップS134に進む。一方、輸送要求時間帯と輸送要求地域との組み合わせに補充車両が登録されていない場合は、処理がステップS136に進む。
【0069】
ステップS134では、依頼部103は、補充車両数テーブルの補充車両詳細情報の欄の最上位の順位の補充車両宛の依頼メッセージ703を生成する。
【0070】
図13は、依頼メッセージ703の例を示す。
依頼メッセージ703において、依頼メッセージ番号は、依頼メッセージ703の識別番号である。
要求メッセージ番号、乗車時刻、乗車地点、降車地点、利用者名は、輸送要求メッセージ705に示されるものと同じである。
【0071】
次に、ステップS135において、依頼部103は、補充車両数テーブルから最上位の順位の補充車両詳細情報を削除する。また、依頼部103は、補充車両数テーブルの補充車両数を1つ減らす。
【0072】
ステップS136では、依頼部103は、確保車両数テーブルの確保車両詳細情報の欄の最上位の順位の確保車両宛の依頼メッセージ703を生成する。
確保車両宛の依頼メッセージ703も
図13に示す通りである。
【0073】
次に、ステップS137において、依頼部103は、確保車両数テーブルから最上位の順位の確保車両詳細情報を削除する。また、依頼部103は、確保車両数テーブルの確保車両数を1つ減らす。
【0074】
次に、ステップS138において、依頼部103は、通信部104を用いて依頼メッセージ703をネットワーク200に送信する。
この結果、依頼メッセージ703が補充車両又は確保車両に到達する。
【0075】
次に、ステップS139において、依頼部103は、補充車両又は確保車両から受諾メッセージ704を受信したか否かを判定する。
受諾メッセージ704を受信している場合は、処理がステップS140に進む。一方、受諾メッセージ704を受信していない場合は、処理がステップS141に進む。
【0076】
図14は、受諾メッセージ704の例を示す。
受諾メッセージ704には、依頼メッセージ703と同じ内容が示される。
【0077】
ステップS140では、依頼部103は、通信部104を用いて配車確認メッセージ706をネットワーク200に送信する。
この結果、配車確認メッセージ706がサービス利用者600に到達する。
【0078】
【0079】
配車確認メッセージ706において、ナンバーは、補充車両又は確保車両のナンバープレートの値である。管理者は、車両管理者402の氏名又は名称である。
依頼部103は、補充車両数テーブル(
図10)の補充車両詳細情報又は確保車両数テーブル(
図6)の確保車両詳細情報からこれらを抽出する。
依頼メッセージ番号、要求メッセージ番号、乗車時刻、乗車地点、降車地点、利用者名は、依頼メッセージ703に示されるものと同じである。
車両管理者402が同意する場合は、車両管理者402の携帯電話番号を配車確認メッセージ706に含めてもよい。
【0080】
一方、ステップS139において受諾メッセージ704を受信しない場合は、依頼部103はステップS141において受諾不可メッセージを受信したか否かを判定する。
受諾不可メッセージは、依頼メッセージ703の送信先の補充車両又は確保車両が輸送サービスの提供を受諾できないことを通知するメッセージである。
【0081】
受諾不可メッセージを受信した場合は、処理がステップS133に戻り、依頼部103は、輸送要求メッセージ705に対して別の補充車両又は確保車両を割り当てる。
受諾不可メッセージを受信しない場合は、依頼部103は既定時間を待ち、ステップS142において既定時間が経過したか否かを判定する。既定時間が経過しても受諾メッセージ704又は受諾不可メッセージを受信しない場合は、処理がステップS133に戻り、依頼部103は、輸送要求メッセージ705に対して別の補充車両又は確保車両を割り当てる。
【0082】
配車確認メッセージ706を受信したサービス利用者600は乗車時刻に乗車地点に向かう。そして、サービス利用者600は、配車確認メッセージ706に示されるナンバーに対応する補充車両又は確保車両を見つけ、配車確認メッセージ706に示される車両管理者402であることを確認し、輸送サービスを受ける。
一方、受諾メッセージ704を送信した車両管理者402は、依頼メッセージ703に示される乗車時刻に乗車地点に向かう。そして、車両管理者402は、依頼メッセージ703に示されるサービス利用者600であることを確認し、輸送サービスを提供する。
【0083】
本実施の形態では、課金処理については言及しない。輸送サービス管理装置100は、どのような課金処理を行ってもよい。
また、輸送サービスの料金についても特に定めない。例えば、サービス利用者600が、事前に決定している固定料金を車両管理者402に支払うことが考えられる。
同様に、本実施の形態では、輸送サービス管理装置100の利用料金(手数料)についても特に定めない。例えば、輸送サービス管理装置100の利用料金を無料にすることが考えられる。
【0084】
***実施の形態の効果の説明***
以上のように、本実施の形態によれば、車両を機動的に補充することができ、車両による輸送サービスを円滑に提供することができる。
つまり、刻一刻と変動する需要に応じて機動的に車両を補充することで、車両の不足により利用者がサービスの利用を断念する事態を回避することができ、利用者に輸送サービスを円滑に提供することができる。
【0085】
なお、以上では、輸送サービス管理装置100が複数の地域の輸送サービスを管理する例を説明した。輸送サービス管理装置100が1つの地域の輸送サービスのみを管理する場合は、
図5及び
図7の処理は当該1つの地域についてのみ行えばよい。
【0086】
また、本実施の形態で説明した手順の一部のみを実施しても構わない。
また、本実施の形態で説明した手順の少なくとも一部と、本実施の形態で説明していない手順とを組み合わせて実施しても構わない。
また、本実施の形態に記載された構成及び手順を必要に応じて変更してもよい。
【0087】
***ハードウェア構成の補足説明***
最後に、輸送サービス管理装置100のハードウェア構成の補足説明を行う。
図2に示すプロセッサ901は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。
プロセッサ901は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等である。
図2に示す主記憶装置902は、RAM(Random Access Memory)である。
図2に示す補助記憶装置903は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等である。
図2に示す通信装置904は、データの通信処理を実行する電子回路である。
通信装置904は、例えば、通信チップ又はNIC(Network Interface Card)である。
【0088】
また、補助記憶装置903には、OS(Operating System)も記憶されている。
そして、OSの少なくとも一部がプロセッサ901により実行される。
プロセッサ901はOSの少なくとも一部を実行しながら、予測部101、探索部102、依頼部103及び通信部104の機能を実現するプログラムを実行する。
プロセッサ901がOSを実行することで、タスク管理、メモリ管理、ファイル管理、通信制御等が行われる。
また、予測部101、探索部102、依頼部103及び通信部104の処理の結果を示す情報、データ、信号値及び変数値の少なくともいずれかが、主記憶装置902、補助記憶装置903、プロセッサ901内のレジスタ及びキャッシュメモリの少なくともいずれかに記憶される。
また、予測部101、探索部102、依頼部103及び通信部104の機能を実現するプログラムは、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD等の可搬記録媒体に格納されていてもよい。そして、予測部101、探索部102、依頼部103及び通信部104の機能を実現するプログラムが格納された可搬記録媒体を流通させてもよい。
【0089】
また、予測部101、探索部102、依頼部103及び通信部104の「部」を、「回路」又は「工程」又は「手順」又は「処理」又は「サーキットリー」に読み替えてもよい。
また、輸送サービス管理装置100は、処理回路により実現されてもよい。処理回路は、例えば、ロジックIC(Integrated Circuit)、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)である。
この場合は、予測部101、探索部102、依頼部103及び通信部104は、それぞれ処理回路の一部として実現される。
なお、本明細書では、プロセッサと処理回路との上位概念を、「プロセッシングサーキットリー」という。
つまり、プロセッサと処理回路とは、それぞれ「プロセッシングサーキットリー」の具体例である。
【符号の説明】
【0090】
100 輸送サービス管理装置、101 予測部、102 探索部、103 依頼部、104 通信部、105 データベース、200 ネットワーク、301 路側機、302 ETCアンテナ、303 無線基地局装置、401 車両、402 車両管理者、501 通信デバイス、502 携帯端末、600 サービス利用者、701 募集メッセージ、702 応答メッセージ、703 依頼メッセージ、704 受諾メッセージ、705 輸送要求メッセージ、706 配車確認メッセージ、901 プロセッサ、902 主記憶装置、903 補助記憶装置、904 通信装置。