(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20250516BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20250516BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2022512016
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2021012185
(87)【国際公開番号】W WO2021200446
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2020061462
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003798
【氏名又は名称】パナソニックエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 志旭
(72)【発明者】
【氏名】神川 隆博
【審査官】村上 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-292516(JP,A)
【文献】特開2002-325370(JP,A)
【文献】特開2014-087129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
故障と正常を判定して故障と正常を”High”と”Low”の信号で出力する故障判定部を備える複数の電池モジュールと、
各々の前記電池モジュールの前記故障判定部に接続してなる故障伝送ラインと、
前記故障伝送ラインに接続されて、
前記電池モジュールの故障と正常を判定するモジュール故障判定回路とを備え、
前記モジュール故障判定回路が、
前記故障伝送ラインの”High””Low”を判定する電圧判定回路と、
グランドラインに対するインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、
前記電圧判定回路と前記インピーダンス検出回路の出力から、
前記電池モジュールの故障と正常と、前記故障伝送ラインの異常を判定する演算回路とを備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載する電源装置であって、
前記故障伝送ラインの終端部に直列抵抗を介して接続されて、
前記故障伝送ラインの電圧を”High”にプルアップするプルアップ電源を備え、
前記故障判定部が、
故障
を検出して、
前記故障伝送ラインをグランドラインに接続して”Low”とする短絡スイッチを備えることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載する電源装置であって、
前記故障判定部が、
前記電池モジュールの故障を判定する状態で、
前記短絡スイッチをオン状態として、
前記故障伝送ラインをグランドラインに接続して”Low”とすることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載する電源装置であって、
前記電圧判定回路が、
前記故障伝送ラインの”Low”状態を検出してオン状態、
前記故障伝送ラインの”High”状態と設定インピーダンスよりも高いハイインピーダンスを検出してオフ状態となる第1のスイッチング素子を備え、
前記インピーダンス検出回路が、
前記故障伝送ラインの”High”状態を検出してオン状態、
前記故障伝送ラインの”Low”状態と設定インピーダンスよりも高いハイインピーダンスを検出してオフ状態に切り換えられる第2のスイッチング素子を備え、
前記演算回路が、
前記第1のスイッチング素子がオフ状態にあって、
前記第2のスイッチング素子がオン状態において、
前記電池モジュールを正常と判定し、
前記第1のスイッチング素子がオン態にあって、
前記第2のスイッチング素子がオフ状態において、
前記電池モジュールを異常と判定し、
前記第1のスイッチング素子と
前記第2のスイッチング素子のオフ状態において、
前記故障伝送ラインの異常と判定することを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載する電源装置であって、
前記第1のスイッチング素子がpチャンネルのFETで、
前記FETは、
ドレインを出力として、
ソースを電源に接続して、
ゲートを入力抵抗を介して電源に接続すると共に、
ダイオードを介して前記故障伝送ライン
に接続しており、
前記ダイオードは、
前記ゲート側から前記故障伝送ラインに流れる電流を順方向とする向きで接続されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載する電源装置であって、
前記第2のスイッチング素子がnチャンネルのFETで、
前記FETは、
ソースを出力とし、
ゲートを入力抵抗を介してグランドラインに接続すると共に、
ツェナーダイオードを介して前記故障伝送ライン
に接続しており、
前記ツェナーダイオードは、
前記ゲートから前記故障伝送ラインに流れる電流を順方向とする向きであって、
ツェナー電圧を、
前記故障伝送ラインの”High”レベル電圧からツェナー電圧を減算した電圧がゲートに入力されて、
FETをオン状態とする電圧に設定してなることを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の電池モジュールを備える電源装置に関し、とくに各々の電池モジュールの故障と正常を、故障伝送ラインでモジュール故障判定回路に伝送してなる電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池モジュールを備える電源装置は、電池モジュールの個数を多くして充放電容量を大きくして大出力にできることから、電動車両や蓄電装置などの電源装置に使用されている。この電源装置は、各々の電池モジュールの故障を検出して安定な動作を保証している(特許文献1参照)。
【0003】
以上の電源装置は、各々の電池モジュールに自己診断する故障判定部を設けて故障と正常を判定し、各々の電池モジュールは、故障判定部を故障伝送ラインに接続して、全ての電池モジュールの故障と正常を判定するモジュール故障判定回路に接続して、全ての電池モジュールの状態を監視できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電源装置は、モジュール故障判定回路で各々の電池モジュールの故障を判定できる。この電源装置は、各々の電池モジュールに設けた故障判定部を故障伝送ラインに接続して、モジュール故障判定回路でいずれかの電池モジュールが故障したことを検出できる。この電源装置は、故障伝送ラインに接続している各々の電池モジュールの故障判定部が、正常な状態で”High”信号を、故障状態で”Low”信号を出力し、モジュール故障判定回路は、故障伝送ラインが”High”の状態で、全ての電池モジュールを正常と判定し、故障伝送ラインが”Low”の状態では、いずれかの電池モジュールが故障していると判定している。故障伝送ラインの”High””Low”で故障と正常を判定する電源装置は、故障伝送ラインが正常でない状態、たとえば故障伝送ラインの接触不良や断線などの状態では、”High””Low”を検出して、電池モジュールの故障と正常を正確に判定できない。したがって、”High””Low”のみで電池モジュールの故障を判定する電源装置は、常に正確に電池モジュールの故障と正常を判定できない。
【0006】
本発明は、さらに以上の欠点を解消することを目的に開発されたもので、本発明の目的の一は、電池モジュールの故障を確実に判定できる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様に係る電源装置は、故障と正常を判定して故障と正常を”High”と”Low”の信号で出力する故障判定部を備える複数の電池モジュールと、各々の電池モジュールの故障判定部に接続してなる故障伝送ラインと、故障伝送ラインに接続されて、電池モジュールの故障と正常を判定するモジュール故障判定回路とを備えている。モジュール故障判定回路は、故障伝送ラインの”High””Low”を判定する電圧判定回路と、グランドラインに対するインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、電圧判定回路とインピーダンス検出回路の出力から、電池モジュールの故障と正常と、故障伝送ラインの異常を判定する演算回路とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
以上の電源装置は、電池モジュールの故障をより確実に検出できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電源装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0011】
本発明の第1の実施態様の電源装置は、故障と正常を判定して故障と正常を”High”と”Low”の信号で出力する故障判定部を備える複数の電池モジュールと、各々の電池モジュールの故障判定部に接続してなる故障伝送ラインと、故障伝送ラインに接続されて、電池モジュールの故障と正常を判定するモジュール故障判定回路とを備えている。モジュール故障判定回路は、故障伝送ラインの”High””Low”を判定する電圧判定回路と、グランドラインに対するインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、電圧判定回路とインピーダンス検出回路の出力から、電池モジュールの故障と正常と、故障伝送ラインの異常を判定する演算回路とを備えている。
【0012】
以上の電源装置は、電池モジュールの故障をより確実に検出できる特長がある。とくに、電池モジュールの故障と正常と、故障伝送ラインの異常を確実に検出できる。それは、以上の電源装置が、故障伝送ラインの”High””Low”を判定する電圧判定回路と、グランドラインに対するインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路の出力から、電池モジュールの故障と正常と、故障伝送ラインの異常を演算回路が判定するからである。
【0013】
本発明の第2の実施態様の電源装置は、故障伝送ラインの終端部にプルアップ抵抗を介して接続されて、故障伝送ラインの電圧を”High”にプルアップするプルアップ電源を備えており、故障判定部が、故障を検出して、故障伝送ラインをグランドラインに接続して”Low”とする短絡スイッチを備えている。
【0014】
本発明の第3の実施態様の電源装置は、故障判定部が、電池モジュールの故障を判定する状態で、短絡スイッチをオン状態として、故障伝送ラインをグランドラインに接続して”Low”とする。
【0015】
本発明の第4の実施態様の電源装置は、電圧判定回路が、故障伝送ラインの”Low”状態を検出してオン状態、故障伝送ラインの”High”状態と設定インピーダンスよりも高いハイインピーダンスを検出してオフ状態となる第1のスイッチング素子を備え、インピーダンス検出回路が、故障伝送ラインの”High”状態を検出してオン状態、故障伝送ラインの”Low”状態と設定インピーダンスよりも高いハイインピーダンスを検出してオフ状態に切り換えられる第2のスイッチング素子を備えている。この電源装置は、演算回路が、第1のスイッチング素子がオフ状態にあって、第2のスイッチング素子がオン状態において、電池モジュールを正常と判定し、第1のスイッチング素子がオン態にあって、第2のスイッチング素子がオフ状態において、電池モジュールを異常と判定し、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子のオフ状態において、故障伝送ラインの異常と判定する。
【0016】
以上の電源装置は、電圧判定回路の第1のスイッチング素子とインピーダンス検出回路の第2のスイッチング素子のオン状態とオフ状態によって、演算回路が電池モジュールの故障と正常と、故障伝送ラインの異常を判定するので、電池モジュールの故障や故障伝送ラインの異常を簡単かつ確実に検出できる特長がある。
【0017】
本発明の第5の実施態様の電源装置は、第1のスイッチング素子がpチャンネルのFETで、FETは、ドレインを出力として、ソースを電源に接続して、ゲートを入力抵抗を介して電源に接続すると共に、ダイオードを介して故障伝送ライン接続しており、ダイオードは、ゲート側から故障伝送ラインに流れる電流を順方向とする向きで接続している。
【0018】
本発明の第6の実施態様の電源装置は、第2のスイッチング素子がnチャンネルのFETで、FETは、ソースを出力とし、ゲートを入力抵抗を介してグランドラインに接続すると共に、ツェナーダイオードを介して故障伝送ライン接続しており、ツェナーダイオードは、ゲートから故障伝送ラインに流れる電流を順方向とする向きであって、ツェナー電圧を、故障伝送ラインの”High”レベル電圧からツェナー電圧を減算した電圧がゲートに入力されて、FETをオン状態とする電圧に設定している。
【0019】
(実施の形態1)
図1の電源装置100は、複数の電池モジュール2と、各々の電池モジュール2に接続している故障伝送ライン3と、故障伝送ライン3の”High””Low”から電池モジュール2の故障と正常を判定し、さらに故障伝送ライン3のインピーダンスから故障伝送ライン3の異常を判定するモジュール故障判定回路1とを備える。
【0020】
(電池モジュール2)
電池モジュール2は、複数の充電できる電池セル(図示せず)を内蔵し、さらに電池セルの電圧や残容量などを検出する保護回路などを実装する回路基板(図示せず)等を備えている。電池モジュール2は、正常な状態にあるか故障しているかを判定する故障判定部21を備えている。故障判定部21は、たとえば、電池セルや回路基板などの故障を検出して、故障伝送ライン3の接続端子22を”High”又は”Low”とする。故障判定部21は、接続端子22とグランドライン23との間に短絡スイッチ24を接続している。短絡スイッチ24は、FETやトランジスタなどの半導体スイッチング素子が使用できるが、
図1の故障判定部21は、短絡スイッチ24をFET24Aとして、故障と判定する状態ではゲートにオン電圧を入力して、FET24Aをオン状態に切り換え、正常な状態ではFET24Aのゲート電圧をオフ電圧として、FET24Aをオフ状態とする。
【0021】
(故障伝送ライン3)
故障伝送ライン3は、終端部に、プルアップ抵抗25を介してプルアップ電源10のプラス側に接続して、短絡スイッチ24のオフ状態で、故障伝送ライン3の接続端子22は”High”となる。
図1の電源装置100は、プルアップ電源10をモジュール故障判定回路1に設けており、電源ライン9とプルアップ抵抗25を介して、故障伝送ライン3の終端に接続している。電源装置100は、プルアップ電源10の電圧を特定するものでないが、例えば12Vに設定する。
【0022】
電池モジュール2の故障判定部21の短絡スイッチ24のFET24Aは、正常な状態でオフ状態となるので、電池モジュール2が正常な状態では接続端子22を”High”レベルとする。電池モジュール2の故障状態で、短絡スイッチ24のFET24Aはオン状態に切り換えられるので、故障判定部21が故障と判定する状態で、接続端子22が短絡スイッチ24のFET24Aでグランドライン23に接続されて”Low”レベルとなる。
【0023】
各々の電池モジュール2は、故障判定部21の接続端子22を故障伝送ライン3に接続している。したがって、いずれかの電池モジュール2の故障判定部21が、故障を検出して短絡スイッチ24をオン状態に切り換えると、オン状態の短絡スイッチ24を介して故障伝送ライン3はグランドライン23に接続されて”Low”レベルとなる。全ての電池モジュール2が正常に動作する状態では、全ての電池モジュール2の短絡スイッチ24がオフ状態に保持されて、故障伝送ライン3は”High”状態に保持される。
【0024】
(モジュール故障判定回路1)
モジュール故障判定回路1は、故障伝送ライン3の”High””Low”を判定する電圧判定回路4と、故障伝送ライン3のグランドライン23に対するインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路5と、電圧判定回路4とインピーダンス検出回路5の出力から、電池モジュール2の故障と正常と、故障伝送ライン3の異常を判定する演算回路6とを備えている。
【0025】
(電圧判定回路4)
電圧判定回路4は、故障伝送ライン3の電圧を検出して各々の電池モジュール2の故障と正常を判定する。電圧判定回路4は、故障伝送ライン3の”Low”状態を検出してオン状態、”High”状態を検出してオフ状態となる第1のスイッチング素子11を備える。第1のスイッチング素子11はpチャンネルのFET11Aである。このFET11Aは、ドレインを出力側として演算回路6に接続して、ソースを電源13に接続し、ゲートを入力抵抗14を介して電源13に接続すると共に、ダイオード15を介して故障伝送ライン3に接続している。ダイオード15は、ゲート側から故障伝送ライン3に流れる電流を順方向とする向きで接続されている。
【0026】
以上の電圧判定回路4は、故障伝送ライン3の電圧の”High”レベルでダイオード15に電流は流れず、pチャンネルのFET11Aのゲートはソースに接続されてオフ状態となる。故障伝送ライン3が”Low”レベルになると、電源13から入力抵抗14と順方向のダイオード15を介して故障伝送ライン3に通電されて、FET11Aのゲートに、電源13に対してマイナスのオン電圧が入力されて、FET11Aがオン状態になる。また、故障伝送ライン3は、異常な状態でハイインピーダンスとなるので、ハイインピーダンスの故障伝送ライン3には電源13からダイオード15の順方向に通電できず、FET11Aのゲートは”High”となってFET11Aはオフ状態となる。この電圧判定回路4は、電池モジュール2が故障した状態、すなわちいずれかの電池モジュール2が故障した状態に限って第1のスイッチング素子11のFET11Aがオン状態となって、FETのドレインから”High”信号を演算回路6に出力する。全ての電池モジュール2が正常な状態、あるいは故障伝送ライン3が異常な状態では第1のスイッチング素子11のFET11Aがオフ状態となって、”High”を出力しない。
【0027】
(インピーダンス検出回路5)
インピーダンス検出回路5は、第2のスイッチング素子12を備えている。第2のスイッチング素子12は、故障伝送ライン3の”High”レベルを検出してオン、故障伝送ライン3の”Low”レベルと、ハイインピーダンスを検出してオフに切り換えられる。以上の動作をする第2のスイッチング素子12はnチャンネルのFET12Aで、このFET12Aは、ドレインを入力側として電源16に接続すると共に、ソースを出力側として演算回路6に接続し、ゲートは入力抵抗17を介してグランドライン19と、ツェナーダイオード18を介して故障伝送ライン3に接続している。ツェナーダイオード18は、ゲートから故障伝送ライン3に流れる電流を順方向とする向きとして、故障伝送ライン3の”Low”レベルでFET12Aをオフ状態とする。さらに、ツェナーダイオード18のツェナー電圧は、故障伝送ライン3の”High”レベル電圧からツェナー電圧を減算した電圧がFET12Aのゲートに入力されて、FET12Aをオン状態とする電圧に設定している。さらにまた、ツェナーダイオード18のツェナー電圧は、故障伝送ライン3がハイインピーダンスな状態において、電圧判定回路4の電源13から順方向のダイオード15を介して入力される電圧よりも高く設定される。
【0028】
以上のインピーダンス検出回路5は、故障伝送ライン3が”High”レベルの状態では、ツェナーダイオード18を介してFET12Aのゲートにオン電圧が入力されてFET12Aがオン状態となる。故障伝送ライン3が”Low”レベルの状態では、ツェナーダイオード18と入力抵抗17を介してゲートがグランドライン23に接続されて、FET12Aのゲート電圧はカットオフ電圧となってオフ状態となる。さらに、故障伝送ライン3の断線や接触不良で、故障伝送ライン3がハイインピーダンス状態になると、FET12Aのゲートは、故障伝送ライン3でグランドライン23に接続されないが、入力抵抗17を介してグランドライン23に接続されて、ゲート電圧がカットオフ電圧となってオフ状態に切り換えられる。第2のスイッチング素子12であるFET12Aは、オン状態でソースから”High”レベルを演算回路6に出力し、オフ状態ではソースがドレインに接続されず、”High”レベルを出力しない。
【0029】
(演算回路6)
演算回路6は、電圧判定回路4の第1のスイッチング素子11とインピーダンス検出回路5の第2のスイッチング素子12のオンオフ、すなわち電圧判定回路4とインピーダンス検出回路5から出力される”High”信号を検出して、電池モジュール2の故障と、故障伝送ライン3の異常を判定する。演算回路6は、以下の状態で電池モジュール2と故障伝送ライン3の故障を判定する。
【0030】
1.電圧判定回路4の第1のスイッチング素子11がオフ状態で、インピーダンス検出回路5の第2のスイッチング素子12がオン状態で”High”を出力する状態において、全ての電池モジュール2を正常と判定する。
2.電圧判定回路4の第1のスイッチング素子11がオン態で”High”を出力し、インピーダンス検出回路5の第2のスイッチング素子12がオフ状態においては、いずれかの電池モジュール2が異常であると判定する。
3.電圧判定回路4の第1のスイッチング素子11とインピーダンス検出回路5の第2のスイッチング素子12の両方がオフ状態にあって、両方から”High”が出力されない状態では、故障伝送ライン3の異常と判定する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、複数の電池モジュールを備える大出力の電源装置の用途において有効に使用できる。
【符号の説明】
【0032】
100…電源装置
1…モジュール故障判定回路
2…電池モジュール
3…故障伝送ライン
4…電圧判定回路
5…インピーダンス検出回路
6…演算回路
9…電源ライン
10…プルアップ電源
11…第1のスイッチング素子
11A…FET
12…第2のスイッチング素子
12A…FET
13…電源
14…入力抵抗
15…ダイオード
16…電源
17…入力抵抗
18…ツェナーダイオード
19…グランドライン
21…故障判定部
22…接続端子
23…グランドライン
24…短絡スイッチ
24A…FET
25…プルアップ抵抗