(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】分光分析装置及び分光分析方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/65 20060101AFI20250516BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20250516BHJP
【FI】
G01N21/65
G01N21/27 E
(21)【出願番号】P 2022516899
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2021011564
(87)【国際公開番号】W WO2021215166
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2020077572
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】奥野 義人
(72)【発明者】
【氏名】西村 智椰
(72)【発明者】
【氏名】森村 皓之
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0052118(US,A1)
【文献】特許第3377209(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2004/0218172(US,A1)
【文献】特表2005-515423(JP,A)
【文献】特開2018-128325(JP,A)
【文献】特開2016-180733(JP,A)
【文献】特開2006-071611(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00916981(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/74
G01J 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離隔して
第1方向に並
び、夫々が前記第1方向に交差する第2方向に沿った複数の
線状光を含んでなる一次光を試料へ照射する照射部と、
前記一次光の前記試料への照射により発生し、複数の光を含んでなる二次光を分光する分光器と、
前記分光器で分光された光を検出する撮像素子と、
前記撮像素子での検出結果に基づいて、前記二次光に含まれ
る光のスペクトルを生成する処理を行う処理部と
、
前記一次光による前記試料の走査を行う走査部とを備え、
前記撮像素子の受光面上では、前記試料上で前記線状光を照射された部分に対応する受光位置が前記第2方向に対応する方向に沿った複数の受光ラインが、互いに離隔して前記第1方向に対応する方向に並び、
前記分光器は、含まれる複数の光の夫々の位置の組み合わせが所定の複数のパターンに従って変更された複数種類の二次光を、順次的に入射され、入射された前記複数種類の二次光を分光し、
前記処理部は、前記複数種類の二次光の前記分光器での分光に応じた前記撮像素子での複数回の検出結果に基づいて、前記所定の複数のパターンに応じた処理により、前記スペクトルを生成
し、
前記走査部は、前記処理部が前記スペクトルを生成した後に、前記試料を移動させ、
前記照射部から前記試料への前記一次光の照射、前記複数種類の二次光の前記分光器での分光に応じた前記撮像素子による複数回の検出、前記処理部による前記スペクトルの生成、及び前記走査部による前記試料の移動を繰り返すこと
を特徴とする分光分析装置。
【請求項2】
前記照射部は、含まれる複数の
線状光の夫々の位置の組み合わせを前記所定の複数のパターンに従って変更することによって、互いに異なる複数種類の一次光を順次的に生成し、
前記分光器は、前記複数種類の一次光が前記試料へ照射されることによって発生した前記複数種類の二次光を入射されること
を特徴とする請求項1に記載の分光分析装置。
【請求項3】
前記照射部は、光が透過する複数の位置の組み合わせを前記所定の複数のパターンに従って異ならせた複数のマスクを用いて、前記複数種類の一次光を生成すること
を特徴とする請求項2に記載の分光分析装置。
【請求項4】
前記一次光が前記試料へ照射されることによって発生した複数の光の中の一部の光を、前記分光器へ入射しないように遮蔽し、遮蔽する光及び遮蔽せずに前記分光器へ入射させる複数の光の組み合わせを前記所定の複数のパターンに従って変更することによって、前記複数種類の二次光を順次的に生成する二次光生成部を更に備え、
前記分光器は、前記二次光生成部が生成し
た前記複数種類の二次光を入射されること
を特徴とする請求項1に記載の分光分析装置。
【請求項5】
前記二次光生成部は、前記一次光が前記試料へ照射されることによって発生した複数の光の中で遮蔽せずに透過させる複数の光の組み合わせを前記所定の複数のパターンに従って異ならせた複数のマスクを用いて、前記複数種類の二次光を生成すること
を特徴とする請求項4に記載の分光分析装置。
【請求項6】
前記走査が行われた前記試料上の各部分と各部分から発生した二次光に含まれる光のスペクトルとを関連付けたスペクトル分布を生成し、前記スペクトル分布に基づいて、特定の状態にある物質の分布画像を生成する画像生成部と、
超解像技術により前記分布画像の解像度を向上させる超解像部と
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の分光分析装置。
【請求項7】
前記撮像素子の受光面では、
前記複数の受光
ラインとは異なる位置に、前記分光された光の受光位置が、前記
第1方向に対応する方向に、波長別に並ぶこと
を特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の分光分析装置。
【請求項8】
前記処理部は、
前記スペクトルを、前記二次光に含まれる複数の光の夫々についての個別の処理方法により、生成すること
を特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の分光分析装置。
【請求項9】
前記処理方法は、行列演算を含むこと
を特徴とする請求項8に記載の分光分析装置。
【請求項10】
前記所定の複数のパターンは、4次以上のアダマール行列の要素の+1を0へ変換し-1を1へ変換し1行目及び1列目を除去して得られるS行列の、複数の行又は列に含まれる要素のパターンであり、
前記行列演算は、前記S行列を利用した演算であること
を特徴とする請求項9に記載の分光分析装置。
【請求項11】
前記走査部は、複数の線状光が照射された部分の間の位置に、前記試料が移動した後の線状光が照射されるように、前記試料を前記第1方向に移動させること
を特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載の分光分析装置。
【請求項12】
前記二次光はラマン散乱光を含んでおり、
前記処理部はラマン散乱光のスペクトルを生成すること
を特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載の分光分析装置。
【請求項13】
互いに離隔して
第1方向に並
び、夫々が前記第1方向に交差する第2方向に沿った複数の
線状光を含んでなる一次光を試料へ照射し、
前記一次光の前記試料への照射により発生し、含まれる複数の光の夫々の位置の組み合わせが所定の複数のパターンに従って変更された複数種類の二次光を、順次的に分光し、
分光された光を撮像素子で検出し、
前記複数種類の二次光の分光に応じた前記撮像素子での複数回の検出結果に基づいて、前記所定の複数のパターンに応じた処理により、前記二次光に含まれ
る光のスペクトルを生成
し、
前記スペクトルを生成した後に、前記試料を移動させ、
前記試料への前記一次光の照射、前記複数種類の二次光の分光に応じた前記撮像素子での複数回の検出、前記スペクトルの生成及び前記試料の移動を繰り返すこと
を特徴とする分光分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質へ一次光を照射し、物質から発生する二次光を分析する分光分析装置、分光分析方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物質へ一次光を照射し、物質から発生する二次光を測定し、二次光のスペクトルに基づいて、物質を分析することが行われている。例えば、ラマン散乱光、フォトルミネッセンス、又は蛍光等に基づいた分析が行われる。二次光のスペクトルを取得するために、分光器と撮像素子とを用いた方法が用いられることがある。撮像素子は、例えば、二次元イメージセンサであるCCD(charge-coupled device )イメージセンサ又はCMOS(complementary metal-oxide-semiconductor )イメージセンサである。二次光は、分光器で分光され、波長別に異なる方向へ進行し、撮像素子上の異なる位置で波長別に受光される。例えば、受光位置は撮像素子上でx軸方向に直線状に並ぶ。撮像素子上の受光位置と波長とは相関があるので、撮像素子の検出結果から、二次光のスペクトルが得られる。
【0003】
試料上に点状に一次光を照射し、一次光で試料をx軸方向及び/又はy軸方向に走査し、試料上の各点に各点から得られた二次光のスペクトルを関連付けたスペクトル分布を得る方法がある。スペクトル分布から、特定の状態の物質の分布を分析することができる。試料上に照射する一次光が点状ではなくy軸方向に延伸した線状である場合、撮像素子上では、波長の異なる光の受光位置がx軸方向に並び、線状の一次光に照射された試料上の各点からの二次光の受光位置がy軸方向に並ぶ。このため、撮像素子を用いることで、線状の一次光に照射された複数の点からの二次光のスペクトルを取得することができる。線状の一次光で試料を走査することにより、点状の一次光で試料を走査することに比べて、走査時間を短くすることができる。特許文献1には、撮像素子を利用して分光分析を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
走査時間をより短くするためには、複数の線状光を同時に試料へ照射することが考えられる。例えば、一の方向に沿った線状光を一の方向とは交差する方向に複数並べた一次光を照射することが考えられる。しかしながら、撮像素子上では、一次光に含まれる複数の光に起因する二次光に含まれる複数の光の受光位置が重なり、二次光に含まれる複数の光を区別することができない。このため、複数の光からなる一次光に照射された試料からの二次光に含まれる光のスペクトルを取得することができない。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数の光からなる一次光に起因する二次光に含まれる光のスペクトルを取得することができる分光分析装置、分光分析方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る分光分析装置は、互いに離隔して並ぶ複数の光を含んでなる一次光を試料へ照射する照射部と、前記一次光の前記試料への照射により発生し、複数の光を含んでなる二次光を分光する分光器と、前記分光器で分光された光を検出する撮像素子と、前記撮像素子での検出結果に基づいて、前記二次光に含まれる複数の光のスペクトルを生成する処理を行う処理部とを備え、前記分光器は、含まれる複数の光の夫々の位置の組み合わせが所定の複数のパターンに従って変更された複数種類の二次光を、順次的に入射され、入射された前記複数種類の二次光を分光し、前記処理部は、前記複数種類の二次光の前記分光器での分光に応じた前記撮像素子での複数回の検出結果に基づいて、前記所定の複数のパターンに応じた処理により、前記スペクトルを生成することを特徴とする。
【0008】
本発明の一形態においては、分光分析装置は、複数の光が離隔して並んだ一次光を試料へ照射し、複数の光の位置の組み合わせが所定の複数のパターンに従って変更された複数種類の二次光を、順次的に分光器へ入射し、分光器で分光した光を撮像素子により検出する。分光分析装置は、複数回の検出結果に基づいて、所定のパターンに応じた処理により、二次光に含まれる複数の光のスペクトルを生成することができる。複数の光からなる一次光で試料を走査して二次光のスペクトルを得ることができるようになり、単一の照射光で試料を走査することに比べて、走査時間を短くすることができる。
【0009】
本発明に係る分光分析装置では、前記照射部は、含まれる複数の光の夫々の位置の組み合わせを前記所定の複数のパターンに従って変更することによって、互いに異なる複数種類の一次光を順次的に生成し、前記分光器は、前記複数種類の一次光が前記試料へ照射されることによって発生した前記複数種類の二次光を入射されることを特徴とする。
【0010】
本発明の一形態においては、複数の光が所定のパターンに従って並んだ複数種類の一次光を生成し、複数種類の一次光を順次的に試料へ照射する。試料では、複数種類の二次光が順次的に発生する。複数種類の二次光は、順次的に分光器へ入射する。
【0011】
本発明に係る分光分析装置では、前記照射部は、光が透過する複数の位置の組み合わせを前記所定の複数のパターンに従って異ならせた複数のマスクを用いて、前記複数種類の一次光を生成することを特徴とする。
【0012】
本発明の一形態においては、複数の光が所定のパターンに従って並んだ一次光を生成するために、マスクを用いる。マスクを用いることにより、容易に複数種類の一次光を生成することができる。
【0013】
本発明に係る分光分析装置は、前記一次光が前記試料へ照射されることによって発生した複数の光の中の一部の光を、前記分光器へ入射しないように遮蔽し、遮蔽する光及び遮蔽せずに前記分光器へ入射させる複数の光の組み合わせを前記所定の複数のパターンに従って変更することによって、前記複数種類の二次光を順次的に生成する二次光生成部を更に備え、前記分光器は、前記二次光生成部が生成した前記前記複数種類の二次光を入射されることを特徴とする。
【0014】
本発明の一形態においては、一次光の照射によって試料で発生した複数の光の中の一部の光を遮蔽し、他の光を分光器へ入射させる。分光器へ入射する光の組み合わせを所定の複数のパターンに従って変更することによって、複数種類の二次光が順次的に発生する。
【0015】
本発明に係る分光分析装置では、前記二次光生成部は、前記一次光が前記試料へ照射されることによって発生した複数の光の中で遮蔽せずに透過させる複数の光の組み合わせを前記所定の複数のパターンに従って異ならせた複数のマスクを用いて、前記複数種類の二次光を生成することを特徴とする。
【0016】
本発明の一形態においては、試料で発生した複数の光の中の一部の光を遮蔽するために、マスクを用いる。マスクを用いることにより、容易に複数種類の二次光を生成することができる。
【0017】
本発明に係る分光分析装置は、前記一次光による前記試料の走査を行う走査部と、前記走査が行われた前記試料上の各部分と各部分から発生した二次光に含まれる光のスペクトルとを関連付けたスペクトル分布を生成し、前記スペクトル分布に基づいて、特定の状態にある物質の分布画像を生成する画像生成部と、超解像技術により前記分布画像の解像度を向上させる超解像部とを更に備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の一形態においては、分光分析装置は、スペクトル分布を生成し、スペクトル分布に基づいて、特定の状態にある物質の分布画像を生成し、超解像技術により、分布画像の解像度を向上させる。試料の走査を粗く行った場合であっても、分光分析装置は、緻密に走査を行った場合と同等の解像度を有する分布画像を生成することができる。試料の走査を粗く行うことにより、走査時間を短くすることができる。
【0019】
本発明に係る分光分析装置は、前記撮像素子の受光面では、前記試料上で前記複数の光を照射された部分に対応する複数の受光位置が、前記一次光に含まれる複数の光が並ぶ方向に対応する方向に、互いに離隔して並び、前記複数の受光位置とは異なる位置に、前記分光された光の受光位置が、前記複数の光が並ぶ方向に対応する方向に、波長別に並ぶことを特徴とする。
【0020】
本発明の一形態においては、撮像素子の受光面に、試料上で一次光に含まれる複数の光を照射された部分に対応する複数の受光位置が並び、複数の受光位置とは異なる位置に、分光された光の受光位置が波長別に並ぶ。分光された光は、波長別に受光面の異なった位置で受光及び検出され、受光位置及び受光強度に基づいてスペクトルが得られる。
【0021】
本発明に係る分光分析装置では、前記処理部は、前記スペクトルを、前記二次光に含まれる複数の光の夫々についての個別の処理方法により、生成することを特徴とする。
【0022】
本発明の一形態においては、分光分析装置は、試料上で一次光に含まれる複数の光の夫々を照射された部分から発生した二次光に含まれる複数の光の夫々のスペクトルを、個別の処理方法により、生成する。二次光に含まれる複数の光の受光位置は撮像素子の受光面で重なり、重ね合わせの組み合わせは、複数の光の組み合わせのパターン及び複数の光の夫々によって異なる。このため、個別の処理方法により、二次光に含まれる複数の光のスペクトルが計算される。
【0023】
本発明に係る分光分析装置では、前記処理方法は、行列演算を含むことを特徴とする。
【0024】
本発明の一形態においては、複数の光の夫々に起因する二次光のスペクトルを生成するための処理方法は、行列演算を含む。行列演算により、高速に計算を行い、高速でスペクトルを生成することができる。
【0025】
本発明に係る分光分析装置では、前記所定の複数のパターンは、4次以上のアダマール行列の要素の+1を0へ変換し-1を1へ変換し1行目及び1列目を除去して得られるS行列の、複数の行又は列に含まれる要素のパターンであり、前記行列演算は、前記S行列を利用した演算であることを特徴とする。
【0026】
本発明の一形態においては、分光分析装置は、アダマール行列に基づいて得られるパターンを用い、アダマール行列から得られるS行列を用いた行列演算を行う。アダマール行列から得られるパターンは単純であり、S行列を用いた行列演算は容易な演算であるので、スペクトルを生成するための処理を容易に実行することができる。
【0027】
本発明に係る分光分析装置では、前記一次光に含まれる複数の光の夫々は、前記複数の光が並ぶ第1方向に交差する第2方向に沿った線状光であり、前記撮像素子の受光面上では、前記試料上で前記線状光を照射された部分に対応する受光位置が前記第2方向に対応する方向に並んだ複数の受光ラインが、互いに離隔して前記第1方向に対応する方向に並ぶことを特徴とする。
【0028】
本発明の一形態においては、分光分析装置は、一次光に含まれる複数の光として、線状光を利用している。線状光で試料を走査することにより、点状の光で試料を走査することに比べて、走査時間を短くすることができる。
【0029】
本発明に係る分光分析装置では、前記二次光はラマン散乱光を含んでおり、前記処理部はラマン散乱光のスペクトルを生成することを特徴とする。
【0030】
本発明の一形態においては、二次光はラマン散乱光を含んでいる。分光分析装置は、試料を分析するために、ラマンスペクトルの分布を生成することができる。
【0031】
本発明に係る分光分析方法は、互いに離隔して並ぶ複数の光を含んでなる一次光を試料へ照射し、前記一次光の前記試料への照射により発生し、含まれる複数の光の夫々の位置の組み合わせが所定の複数のパターンに従って変更された複数種類の二次光を、順次的に分光し、分光された光を撮像素子で検出し、前記複数種類の二次光の分光に応じた前記撮像素子での複数回の検出結果に基づいて、前記所定の複数のパターンに応じた処理により、前記二次光に含まれる複数の光のスペクトルを生成することを特徴とする。
【0032】
本発明に係るコンピュータプログラムは、互いに離隔して並ぶ複数の光を含んでなる一次光を試料へ照射し、含まれる複数の光の夫々の位置の組み合わせが所定の複数のパターンに従って変更された複数種類の二次光を順次的に分光し、分光された光を撮像素子で検出することにより得られた、複数回の検出結果に基づいて、前記所定の複数のパターンに応じた処理により、前記二次光に含まれる複数の光のスペクトルを生成する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0033】
本発明の一形態においては、複数の光が離隔して並んだ一次光を試料へ照射し、複数の光の位置の組み合わせが所定の複数のパターンに従って変更された複数種類の二次光を、順次的に分光器へ入射し、分光器で分光した光を撮像素子により検出する。複数回の検出結果に基づいて、所定のパターンに応じた処理により、二次光に含まれる複数の光のスペクトルを生成することが可能である。複数の光からなる一次光で試料を走査して二次光のスペクトルを得ることができるようになり、単一の照射光で試料を走査することに比べて、走査時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明にあっては、分光分析装置は、複数の光を含んでなる一次光を試料へ照射した場合に、試料から発生する二次光のスペクトルを取得することができる。このため、分光分析装置は、走査時間を短くし、短時間で試料の分析を行うことができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】実施形態1に係る分光分析装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】分析部の内部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】試料への一次光の照射と、撮像素子でのラマン散乱光の受光と、ラマンスペクトルとの関係を示す模式図である。
【
図4】線状光を照射された試料とラマン散乱光を受光した撮像素子の受光面とを示す模式図である。
【
図5】複数の線状光を照射された試料とラマン散乱光を受光した撮像素子の受光面とを示す模式図である。
【
図7】一次光を照射された試料を示す模式図である。
【
図8】パターン光の試料への照射に応じてラマン散乱光を受光した撮像素子の受光面を示す模式図である。
【
図9】分光分析装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態2に係る分光分析装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】固定マスクと、一次光を照射された試料と、パターンマスクと、ラマン散乱光を受光した撮像素子の受光面とを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る分光分析装置1の構成を示すブロック図である。分光分析装置1は、分光分析方法を実行する。分光分析装置1は、試料5へ一次光を照射し、試料5から発生する二次光に含まれるラマン散乱光を測定するラマン散乱光測定装置である。
図1では光を矢印で示している。分光分析装置1は、試料5を保持する試料保持部14と、光源11と、マルチスポット光生成部12と、マスク2とを備えている。試料保持部14は、例えば、試料5が載置される試料台である。試料保持部14は試料台以外の形態であってもよい。試料保持部14には、試料保持部14を移動させることによって試料5を移動させる駆動部16が連結されている。光源11は、単色光を発光する。例えば、光源11は、レーザ光源である。マルチスポット光生成部12は、ビームスプリッタ及び複数のミラーを有し、光を複数回分岐させることにより、多数のスポットが面状に分布したマルチスポット光を生成する。
【0037】
マスク2は、フォトマスクであり、所定のパターンに従って光の透過部分と遮光部分とが並んだパターンマスクを複数含んでいる。複数のパターンマスクは、透過部分と遮光部分とが並んだパターンが互いに異なる。マスク2が有するいずれかのパターンマスクへマルチスポット光が入射し、透過部分を光が透過し、遮光部分で光が遮光されることにより、離隔した複数の光が所定のパターンに従って並んだパターン光が生成される。パターン光は、一次光として、試料保持部14に保持された試料5へ照射される。パターン光及びマスク2の詳細は後述する。分光分析装置1は、マスク2を移動させることによりマルチスポット光が入射するパターンマスクを変更するマスク変更部17を備えている。光源11、マルチスポット光生成部12、マスク2及びマスク変更部17は、照射部61を構成する。
【0038】
分光分析装置1は、分光器13と、撮像素子3とを備えている。試料5上で一次光が照射された部分では、二次光としてラマン散乱光が発生し、ラマン散乱光は分光器13へ入射する。分光器13は、入射されたラマン散乱光を分光し、分光した光を出射する。撮像素子3には、分光器13が分光した光が入射される。撮像素子3は、例えば、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサである。撮像素子3は、受光面を有し、受光面に光が入射され、受光面内の各位置での受光強度を検出する。分光分析装置1は、一次光及びラマン散乱光等の光の導光及び集光のためにミラー、レンズ及びフィルタ等の多数の光学部品からなる光学系を備えている。光学系は、試料保持部14の表面又は試料5の表面に一次光が結像し、分光器13の光の入射位置に二次光が結像するように構成されていることが望ましい。
図1では、この光学系を省略している。
【0039】
分光分析装置1は、更に、制御部15及び分析部4を備えている。制御部15は、演算を行う演算部及びデータを記憶するメモリを含んだコンピュータで構成されている。制御部15には、光源11、分析部4、駆動部16及びマスク変更部17が接続されている。制御部15は、分光分析装置1内の各部の動作を制御する。撮像素子3は、分析部4に接続されており、光の検出結果を表すデータを分析部4へ入力する。
【0040】
図2は、分析部4の内部の機能構成例を示すブロック図である。分析部4は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを用いて構成されている。分析部4は、演算部41と、メモリ42と、ドライブ部43と、記憶部44と、操作部45と、表示部46と、インタフェース部47とを備えている。演算部41は、例えばCPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit)、又はマルチコアCPUを用いて構成されている。また、演算部41は、量子コンピュータを用いて構成されていてもよい。メモリ42は、例えばRAM(Random Access Memory)である。記憶部44は、不揮発性であり、例えばハードディスクである。
【0041】
ドライブ部43は、光ディスク等の記録媒体40から情報を読み取る。操作部45は、使用者からの操作を受け付けることにより、テキスト等の情報を受け付ける。操作部45は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス又はタッチパネルである。表示部46は、画像を表示する。表示部46は、例えば液晶ディスプレイ又はELディスプレイ(Electroluminescent Display)である。インタフェース部47は、撮像素子3及び制御部15に接続されている。分析部4は、インタフェース部47で、撮像素子3から入力されるデータを受け付ける。また、分析部4は、インタフェース部47で、制御部15からの制御信号を受け付ける。
【0042】
演算部41は、記録媒体40に記録されたコンピュータプログラム441をドライブ部43に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム441を記憶部44に記憶させる。演算部41は、コンピュータプログラム441に従って、分析部4に必要な処理を実行する。なお、分析部4は通信部を備え、コンピュータプログラム441は通信部を利用して分析部4の外部からダウンロードされてもよい。この場合は、分析部4はドライブ部43を備えていなくてもよい。
【0043】
分析部4は、撮像素子3での検出結果を表すデータを記憶部44に記憶する。演算部41は、撮像素子3での検出結果に基づいて、ラマンスペクトルを生成する等のラマン散乱光を分析するための処理を実行する。表示部46は、処理結果を表示する。制御部15及び分析部4は一体になっていてもよい。
【0044】
図3は、試料5への一次光の照射と、撮像素子3でのラマン散乱光の受光と、ラマンスペクトルとの関係を示す模式図である。
図3には、一次光を照射された試料5の表面と、撮像素子3の受光面30と、ラマンスペクトルとを示している。ラマンスペクトルの横軸はラマンシフトであり、縦軸は光の強度である。試料5の表面には、一次光として、点状の照射光501が照射されている。照射光501が照射されることによって、試料5ではラマン散乱光が発生し、ラマン散乱光は分光器13へ入射する。分光器13はラマン散乱光を分光し、分光された光は受光面30へ入射する。受光面30では、照射光501の照射位置に対応する受光位置301で光が受光される。ラマン散乱光は、一次光とは波長の異なる光である。分光器13は、分光した光を波長別に異なる方向へ出射する。このため、分光された光は、撮像素子3の受光面30上の波長別に異なる位置へ入射し、受光される。即ち、ラマン散乱光は、受光面30上で受光位置301とは異なる位置で受光される。
図3では、ラマン散乱光の受光位置を302で示す。通常、ラマン散乱光には波長の異なる複数の光が混在しているので、複数の受光位置302が発生する。
【0045】
撮像素子3は、受光面30内の各位置での受光強度を検出し、検出結果を表すデータを分析部4へ入力する。検出結果を表すデータは、受光面30内の各位置に、各位置で受光された光の強度が関連付けられたデータである。分析部4は、検出結果から、受光位置302及び受光位置302での受光強度を特定し、受光位置302及び受光強度からラマンスペクトルを生成する。
図3に示すように、受光位置302は、ラマンスペクトルに含まれるピークのラマンシフトに対応し、受光強度は、ラマンスペクトルに含まれるピークの強度に対応する。このようにして、分析部4は、撮像素子3での検出結果に基づいて、試料5で照射光501が照射された部分に関するラマンスペクトルを生成する。
【0046】
図4は、線状光を照射された試料5とラマン散乱光を受光した撮像素子3の受光面30とを示す模式図である。ここでは、一次光は、試料5の表面で直線状に分布する線状光51であるとする。試料5の表面に沿った互いに交差する第1方向及び第2方向を仮定する。線状光51は試料5の表面上で第2方向に沿って分布する光であるとする。撮像素子3の受光面30に沿った互いに交差する第3方向及び第4方向を仮定し、第3方向は第1方向に対応する方向であるとし、第4方向は第2方向に対応する方向であるとする。受光面30では、線状光51の照射位置に対応する受光ライン31が生成される。受光ライン31は、第4方向に沿っている。試料5上の光が照射された一点で発生したラマン散乱光を受光する複数の受光位置が第3方向に沿って並ぶように、分光分析装置1が構成されている。
【0047】
試料5上で線状光51を照射された複数の部分においてラマン散乱光が発生し、撮像素子3は、受光面30内の多数の受光位置312でラマン散乱光を受光する。
図4中では一つの受光位置312のみに符号を付しているが、受光面30内には多数の受光位置312が存在する。試料5上で線状光51を照射された部分の中の一点で発生したラマン散乱光を受光する複数の受光位置312が、第3方向に沿って並ぶ。試料5上で線状光51を照射された部分の中の各点について、ラマン散乱光を受光する複数の受光位置312が発生する。このため、第3方向に沿って並んだ複数の受光位置312を一群とする複数群の受光位置312が、第4方向に沿って並んでいる。即ち、複数の受光位置312が面状に分布している。受光位置312の第3方向の位置は、ラマンシフトに対応し、第4方向の位置は、試料5上で線状光51を照射された部分の中でラマン散乱光が発生した位置に対応する。複数の受光位置312が面状に分布している領域を受光領域311とする。
【0048】
撮像素子3は、受光面30内の各位置での受光強度を検出し、検出結果を表すデータを分析部4へ入力する。分析部4は、検出結果に基づいて、試料5上で線状光51を照射された複数の部分の夫々について、ラマンスペクトルを生成する。即ち、分析部4は、試料5上で線状光51を照射された複数の部分に係る複数のラマンスペクトルを生成する。また、分析部4は、試料5上で線状光51を照射された複数の部分にラマンスペクトルを関連付けて、線状のラマンスペクトル分布を生成することができる。
【0049】
図5は、複数の線状光を照射された試料5とラマン散乱光を受光した撮像素子3の受光面30とを示す模式図である。ここでは、一次光は、第2方向に沿って並ぶ互いに離隔した複数の線状光であるとする。
図5には、三本の線状光51、52及び53が試料5に照射された例を示す。複数の線状光51、52及び53の照射によって複数のラマン散乱光が発生し、複数のラマン散乱光は分光器13へ入射し、分光器13は複数のラマン散乱光を夫々に分光し、分光された光は受光面30へ入射する。受光面30では、複数の線状光51、52及び53の照射位置に対応する複数の受光ライン31、32及び33が生成される。図中で左側から順に受光ライン31、32及び33が並ぶとする。また、試料5上で線状光を照射された部分から発生するラマン散乱光の受光位置が、図中で受光ラインの右側に配置されるとする。
【0050】
受光ライン31と受光ライン32との間には、試料5上で線状光51を照射された部分で発生したラマン散乱光を受光する複数の受光位置312が面状に分布している受光領域311が存在する。複数の受光位置312及び各受光位置312での受光強度から、試料5上で線状光51を照射された複数の部分に係る複数のラマンスペクトルを生成することができる。受光ライン32と受光ライン33との間には、複数の受光位置322が面状に分布している受光領域321が存在する。
図5中では一つの受光位置322のみに符号を付しているが、受光領域321には多数の受光位置322が存在する。受光位置322では、試料5上で線状光51を照射された部分で発生したラマン散乱光と、線状光52を照射された部分で発生したラマン散乱光とを受光する。また、受光ライン33の右側には、複数の受光位置332が面状に分布している受光領域331が存在する。複数の受光位置332では、試料5上で線状光51、52及び53を照射された部分で発生したラマン散乱光を受光する。
【0051】
このように、撮像素子3での検出結果は、複数の線状光に起因する検出結果の重ね合わせになる。実施形態1では、一次光としてパターン光を利用することで、複数の線状光に起因する検出結果の重ね合わせから、試料5の各部分に係るラマンスペクトルを生成することを可能にする。
【0052】
実施形態1では、一次光として、アダマール行列に基づいて得られる所定のパターンに従ったパターン光を用いる。アダマール行列は、正方行列であり、要素は1又は-1の何れかであり、任意の二つの行ベクトルは全て直交するという特徴を有する。また、アダマール行列は、エルミート行列かつユニタリ行列である。1次、2次、4次及び8次のアダマール行列を、H1 、H2 、H4 及びH8 とする。H1 、H2 、H4 及びH8 の例は、以下の(1)式~(4)式で示される。
H1 =[1] …(1)
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
n次のアダマール行列の1行目及び1列目を除去し、要素の+1を0へ変換し、要素の-1を1へ変換することにより、n-1次のS行列を作成する。1次、3次及び7次のS行列をS1 、S3 、及びS7 とする。S1 、S3 、及びS7 との例は、以下の(4)式~(6)式で示される。
S1 =[1] …(4)
【0057】
【0058】
【0059】
実施形態1で用いるパターンは、S行列の行又は列に含まれる要素のパターンである。分光分析装置1は、複数種類の一次光として、S行列から得られる所定の複数のパターンに従った、複数種類のパターン光を用いる。分光分析装置1は、パターン光を生成するために、マスク2を利用する。
【0060】
図6は、マスク2の模式的平面図である。マスク2は、光を遮蔽する材料で平板状に形成されている。マスク2は、複数のパターンマスク201、202、…、207から構成されている。パターンマスク201、202、…、207の夫々は、互いに離隔して直線状に並ぶ複数の透過孔21、22、…、27の何れか四つが平板に形成されることによって、構成されている。パターンマスク201、202、…、207は互いに分離していてもよい。
【0061】
パターンマスク201では、行列S7 の1行目又は1列目に含まれる要素のパターンに従って、複数の透過孔が形成されている。行列S7 の要素が1であることに応じて透過孔が形成され、要素が0であることに応じて、透過孔が形成されておらず、遮光部分が位置している。行列S7 の1行目又は1列目に含まれる要素は、1010101の順に並んでいる。これに従って、パターンマスク201では、透過孔21が形成され、透過孔22は形成されておらず、透過孔23が形成され、透過孔24は形成されておらず、透過孔25が形成され、透過孔26は形成されておらず、透過孔27が形成されている。
【0062】
パターンマスク202、203、…、207においても、同様に、行列S7 の所定の行又は列に含まれる要素のパターンに従って、複数の透過孔が形成されている。例えば、パターンマスク202では、行列S7 の2行目又は2列目に含まれる要素のパターンに従って、複数の透過孔が形成されている。行列S7 の2行目又は2列目に含まれる要素は、0110011の順に並んでいる。これに従って、パターンマスク202では、透過孔22、23、26及び27が形成され、透過孔21、24及び25は形成されていない。例えば、パターンマスク207では、行列S7 の7行目又は7列目に含まれる要素のパターンに従って、複数の透過孔が形成されている。行列S7 の7行目又は7列目に含まれる要素は、1101001の順に並んでいる。これに従って、パターンマスク207では、透過孔21、22、24及び27が形成され、透過孔23、25及び26は形成されていない。
【0063】
分光分析装置1は、マルチスポット光生成部12で生成したマルチスポット光をパターンマスク201へ入射する。
図6では、パターンマスク201へ入射したマルチスポット光の範囲を破線で示している。マルチスポット光の一部は、パターンマスク201に形成された透過孔21、23、25及び27を透過し、一次光として試料5へ照射される。マルチポット光の他の部分は、パターンマスク201に遮蔽される。パターンマスク201を透過した一次光が試料5へ照射された状態で、撮像素子3はラマン散乱光の検出を行う。その後、マスク変更部17は、マスク2を移動させることにより、マルチスポット光が入射するパターンマスクをパターンマスク202へ変更する。パターンマスク202を透過した一次光により、試料5へ2回目の照射が行われ、撮像素子3は2回目のラマン散乱光の検出を行う。パターンマスクの変更、試料5への一次光の照射、及びラマン散乱光の検出が繰り返され、試料5への一次光の照射及びラマン散乱光の検出が7回行われる。
【0064】
図7は、一次光を照射された試料5を示す模式図である。
図7には、1回目から7回目までの夫々の照射が行われたときの試料5を示している。1回目の照射では、パターンマスク201に形成された透過孔21、23、25及び27を透過した光が試料5へ照射されるので、試料5には、線状光51、53、55及び57が照射される。他の光はパターンマスク201に遮蔽されるので、線状光52、54及び56は照射されない。2回目の照射では、パターンマスク202に形成された透過孔22、23、26及び27を透過した光が試料5へ照射されるので、試料5には、線状光52、53、56及び57が照射される。同様にして、3回目~7回目の照射においても、複数の線状光からなる一次光が試料5へ照射される。
【0065】
このように、一次光として、複数の線状光が互いに離隔して第1方向に並んだパターン光が試料5へ照射される。複数の線状光は、一次光に含まれる複数の光に対応する。複数の線状光が照射されることによって複数のラマン散乱光が試料5から発生する。複数のラマン散乱光は、二次光に含まれる複数の光に対応する。線状光51、52、…、57の一部が非照射状態になり、試料5へ照射される複数の線状光の位置の組み合わせが異なる7種類のパターン光が生成され、7種類のパターン光が順次的に試料5へ照射される。7種類のパターン光が順次的に試料5へ照射されることによって、発生する複数のラマン散乱光の位置の組み合わせが異なる7種類の二次光が順次的に得られる。複数のラマン散乱光を含む二次光は分光器13へ入射する。このようにして、複数種類の二次光が分光器13へ順次的に入射される。分光器13は、入射された二次光に含まれるラマン散乱光を分光する。撮像素子3は、パターン光が試料5へ照射される都度、ラマン散乱光を検出する。
【0066】
図8は、パターン光の試料5への照射に応じてラマン散乱光を受光した撮像素子3の受光面30を示す模式図である。
図8には、1回目から7回目までの夫々の照射が行われたときの受光面30を示している。1回目の照射では、試料5上での線状光51、53、55及び57の照射位置に対応する受光ライン31、33、35及び37が生成される。2回目の照射では、試料5上での線状光52、53、56及び57の照射位置に対応する受光ライン32、33、36及び37が生成される。同様にして、3回目~7回目の照射においても、複数の受光ラインが受光面30に生成される。
【0067】
図8に示すように、受光ライン31の右側には、ラマン散乱光を受光する複数の受光位置312が面状に分布している受光領域311が存在する。同様に、受光ライン32、33、34、35、36及び37の夫々の右側には、ラマン散乱光を受光する複数の受光位置322、332、342、352、362及び372が夫々に面状に分布している受光領域321、331、341、351、361及び371が夫々存在する。撮像素子3は、パターン光が試料5へ照射される都度、受光面30内の各位置での受光強度を検出し、検出結果を表すデータを分析部4へ入力する。即ち、撮像素子3は、ラマン散乱光の検出を7回行い、7回分の検出結果を表すデータを分析部4へ入力する。分析部4は、7回分の検出結果を表すデータを記憶し、7回分の検出結果に基づいて、試料5の各部分に係るラマンスペクトルを生成する処理を行う。
【0068】
分析部4は、試料5上で複数の線状光を照射された部分について、夫々の線状光についての個別の処理方法により、ラマンスペクトルを生成する。受光ライン31と受光ライン32との間に存在する受光領域311に含まれる受光位置312では、試料5上で線状光51を照射された部分で発生したラマン散乱光を受光する。分析部4は、受光領域311内の各位置での受光強度の検出結果に基づいて、試料5上で線状光51を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成することができる。例えば、分析部4は、データを記憶している検出結果から、1回目の照射における受光領域311内の検出結果を抽出し、抽出した検出結果に基づいて、試料5上で線状光51を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成する。
【0069】
受光ライン32と受光ライン33との間に存在する受光領域321に含まれる受光位置322では、試料5上で線状光51及び52を照射された部分で発生したラマン散乱光を受光し得る。このため、受光領域321内の検出結果は、線状光51及び52に起因する検出結果の重ね合わせになり得る。ところが、2回目及び6回目の照射では、線状光52が照射される一方で、線状光51は照射されない。このため、受光位置322では、試料5上で線状光52を照射された部分で発生したラマン散乱光のみを受光する。受光領域321内の検出結果は、線状光52のみに起因する検出結果となる。分析部4は、2回目又は6回目の照射における受光領域321内の各位置での受光強度の検出結果に基づいて、試料5上で線状光52を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成することができる。分析部4は、データを記憶している検出結果から、2回目又は6回目の照射における受光領域321内の検出結果を抽出し、抽出した検出結果に基づいて、試料5上で線状光52を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成する。
【0070】
受光ライン33と受光ライン34との間に存在する受光領域331に含まれる受光位置332では、1回目の照射時に、試料5上で線状光51及び53を照射された部分で発生したラマン散乱光を受光する。受光領域331内の検出結果は、線状光51及び53に起因する検出結果となる。2回目の照射時には、受光位置332では、試料5上で線状光52及び53を照射された部分で発生したラマン散乱光を受光する。受光領域331内の検出結果は、線状光52及び53に起因する検出結果となる。3回目の照射時には、受光位置332では、試料5上で線状光51及び52を照射された部分で発生したラマン散乱光を受光する。受光領域331内の検出結果は、線状光51及び52に起因する検出結果となる。
【0071】
受光領域331内の各位置での受光強度に含まれる線状光51、52及び53に起因する受光強度を、Result31、Result32及びResult33とする。1回目、2回目及び3回目の照射時に得られる受光領域331内の各位置での受光強度の検出結果を、data31、data32及びdata33とする。ベクトルA3 =(Result31,Result32,Result33)T と、ベクトルB3 =(data31,data32,data33)T とを定義する。ベクトルA3 とB3 との関係は、下記の(7)式で表される
B3 =S3 A3 …(7)
【0072】
(7)式中のS3 は(5)式で表されている。(7)式は、1回目の照射時の検出結果は線状光51及び53に起因する検出結果の重ね合わせであり、2回目の照射時の検出結果は線状光52及び53に起因する検出結果の重ね合わせであり、3回目の照射時の検出結果は線状光51及び52に起因する検出結果の重ね合わせであることを示す。(7)式を変形して以下の(8)式を得ることができる。
A3 =S3
-1B3 …(8)
【0073】
(8)式を用いることにより、1回目~3回目の検出結果に基づいてベクトルA3 を計算することができる。ベクトルA3 に含まれるResult33は、線状光53に起因する受光強度である。分析部4は、1回目~3回目の照射における受光領域331内の各位置での受光強度の検出結果に基づいて、線状光53に起因するラマン散乱光の受光強度を計算し、試料5上で線状光53を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成することができる。分析部4は、データを記憶している検出結果から、1回目~3回目の照射における受光領域331内の検出結果を抽出し、受光領域331内の各位置について、(8)式を用いることにより、線状光53に起因する受光強度を計算する。また、分析部4は、受光領域331内の各位置について計算した受光強度に基づいて、試料5上で線状光53を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成する。なお、分析部4は、5回目~7回目の照射における検出結果に基づいて、同様の処理を行ってもよい。
【0074】
受光ライン34と受光ライン35との間に存在する受光領域341に含まれる受光位置342では、4回目の照射時に、試料5上で線状光54を照射された部分で発生したラマン散乱光のみを受光する。4回目の照射時に、受光領域341内の検出結果は、線状光54のみに起因する検出結果となる。分析部4は、4回目の照射における受光領域341内の各位置での受光強度の検出結果に基づいて、試料5上で線状光54を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成することができる。分析部4は、データを記憶している検出結果から、4回目の照射における受光領域341内の検出結果を抽出し、抽出した検出結果に基づいて、試料5上で線状光54を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成する。
【0075】
受光ライン35と受光ライン36との間に存在する受光領域351に含まれる受光位置352では、試料5上で線状光51、52、53、54及び55を照射された部分で発生したラマン散乱光を受光し得る。受光領域351に関しては、1回目、4回目及び5回目の照射に注目する。1回目及び5回目の照射では、受光領域351内の検出結果には、線状光51及び53に起因する検出結果が含まれ、線状光52に起因する検出結果は含まれない。4回目の照射では、受光領域351内の検出結果には、線状光51、52及び53に起因する検出結果はいずれも含まれない。線状光54に起因する検出結果は、1回目の照射では受光領域351内の検出結果に含まれておらず、4回目及び5回目の照射では受光領域351内の検出結果に含まれている。線状光55に起因する検出結果は、1回目及び4回目の照射では受光領域351内の検出結果に含まれており、5回目の照射では受光領域351内の検出結果に含まれていない。
【0076】
受光領域351内の各位置での受光強度に含まれる線状光51~55の夫々に起因する受光強度を、Result51~Result55とする。1回目~5回目の夫々の照射時に得られる受光領域351内の各位置での受光強度の検出結果を、data51~data55とする。ベクトルA5 =(Result51+Result53,Result54,Result55)T と、ベクトルB5 =(data51,data54,data55)T とを定義する。ベクトルA5 とB5 との関係は、下記の(9)式で表される。
B5 =S3 A5 …(9)
【0077】
(9)式は、1回目の照射時の検出結果は線状光51及び53に起因する検出結果と線状光55に起因する検出結果との重ね合わせであり、4回目の照射時の検出結果は線状光54に起因する検出結果と線状光55に起因する検出結果との重ね合わせであり、5回目の照射時の検出結果は線状光51及び53に起因する検出結果と線状光54に起因する検出結果との重ね合わせであることを示す。(9)式を変形して以下の(10)式を得ることができる。
A5 =S3
-1B5 …(10)
【0078】
(10)式を用いることにより、1回目、4回目及び5回目の検出結果に基づいてベクトルA5 を計算することができる。ベクトルA5 に含まれるResult55は、線状光55に起因する受光強度である。分析部4は、1回目、4回目及び5回目の照射における受光領域351内の各位置での受光強度の検出結果に基づいて、線状光55に起因するラマン散乱光の受光強度を計算し、試料5上で線状光55を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成することができる。分析部4は、データを記憶している検出結果から、1回目、4回目及び5回目の照射における受光領域351内の検出結果を抽出し、受光領域351内の各位置について、(10)式を用いることにより、線状光55に起因する受光強度を計算する。また、分析部4は、受光領域351内の各位置について計算した受光強度に基づいて、試料5上で線状光55を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成する。
【0079】
受光ライン36と受光ライン37との間に存在する受光領域361に含まれる受光位置362では、試料5上で線状光51、52、…、56を照射された部分で発生したラマン散乱光を受光し得る。受光領域361に関しては、2回目、4回目及び6回目の照射に注目する。2回目及び6回目の照射では、受光領域361内の検出結果には、線状光52及び53に起因する検出結果が含まれ、線状光51に起因する検出結果は含まれない。4回目の照射では、受光領域361内の検出結果には、線状光51、52及び53に起因する検出結果はいずれも含まれない。線状光54及び55に起因する検出結果は、2回目の照射では受光領域361内の検出結果に含まれておらず、4回目及び6回目の照射では受光領域361内の検出結果に含まれている。線状光56に起因する検出結果は、2回目及び4回目の照射では受光領域361内の検出結果に含まれており、6回目の照射では受光領域361内の検出結果に含まれていない。
【0080】
受光領域361内の各位置での受光強度に含まれる線状光51~56の夫々に起因する受光強度を、Result61~Result66とする。1回目~6回目の夫々の照射時に得られる受光領域361内の各位置での受光強度の検出結果を、data61~data66とする。ベクトルA6 =(Result62+Result63,Result64+Result65,Result66)T と、ベクトルB6 =(data62,data64,data66)T とを定義する。ベクトルA6 とB6 との関係は、下記の(11)式で表される。
B6 =S3 A6 …(11)
【0081】
(11)式は、2回目の照射時の検出結果は線状光52及び53に起因する検出結果と線状光56に起因する検出結果との重ね合わせであり、4回目の照射時の検出結果は線状光54及び55に起因する検出結果と線状光56に起因する検出結果との重ね合わせであり、6回目の照射時の検出結果は線状光52及び53に起因する検出結果と線状光54及び55に起因する検出結果との重ね合わせであることを示す。(11)式を変形して以下の(12)式を得ることができる。
A6 =S3
-1B6 …(12)
【0082】
(12)式を用いることにより、2回目、4回目及び6回目の検出結果に基づいてベクトルA6 を計算することができる。ベクトルA6 に含まれるResult66は、線状光56に起因する受光強度である。分析部4は、2回目、4回目及び6回目の照射における受光領域361内の各位置での受光強度の検出結果に基づいて、線状光56に起因するラマン散乱光の受光強度を計算し、試料5上で線状光56を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成することができる。分析部4は、データを記憶している検出結果から、2回目、4回目及び6回目の照射における受光領域361内の検出結果を抽出し、受光領域361内の各位置について、(12)式を用いることにより、線状光56に起因する受光強度を計算する。また、分析部4は、受光領域361内の各位置について計算した受光強度に基づいて、試料5上で線状光56を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成する。
【0083】
受光ライン37の右側に存在する受光領域371に含まれる受光位置372では、試料5上で線状光51、52、…、57を照射された部分で発生したラマン散乱光を受光し得る。受光領域371内の各位置での受光強度に含まれる線状光51~57の夫々に起因する受光強度を、Result71~Result76とする。1回目~7回目の夫々の照射時に得られる受光領域371内の各位置での受光強度の検出結果を、data71~data77とする。ベクトルA7 =(Result71,Result72,Result73,Result74,Result75,Result76,Result77)T と、ベクトルB7 =(data71,data72,data73,data74,data75,data76,data77)T とを定義する。ベクトルA7 とB7 との関係は、下記の(13)式で表される。
B7 =S7 A7 …(13)
【0084】
(13)式中のS7 は(6)式で表されている。(13)式は、1回目~7回目の夫々の照射時の検出結果は、線状光51~57の何れかに起因する検出結果の重ね合わせであることを示す。(13)式を変形して以下の(14)式を得ることができる。
A7 =S7
-1B7 …(14)
【0085】
(14)式を用いることにより、1回目~7回目の検出結果に基づいてベクトルA7 を計算することができる。ベクトルA7 に含まれるResult77は、線状光57に起因する受光強度である。分析部4は、1回目~7回目の照射における受光領域371内の各位置での受光強度の検出結果に基づいて、線状光57に起因するラマン散乱光の受光強度を計算し、試料5上で線状光57を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成することができる。分析部4は、データを記憶している検出結果から、1回目~7回目の照射における受光領域371内の検出結果を抽出し、受光領域371内の各位置について、(14)式を用いることにより、線状光57に起因する受光強度を計算する。また、分析部4は、受光領域371内の各位置について計算した受光強度に基づいて、試料5上で線状光57を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成する。
【0086】
以上のようにして、分析部4は、試料5上で線状光51~57を照射された部分について、夫々の線状光についての個別の処理方法により、ラマンスペクトルを生成する。行列演算を利用することにより、分析部4は、高速でラマンスペクトル生成のための計算を行うことができる。なお、ラマンスペクトルを生成するための処理方法は、以上で説明した処理方法に限らない。分析部4は、その他の処理方法を用いることでラマンスペクトルを生成してもよい。例えば、分析部4は、試料5上で線状光55を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成するために、5次のベクトル及び行列を用いた演算を行ってもよい。
【0087】
図9は、分光分析装置1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。以下、ステップをSと略す。試料保持部14に試料5が保持されている状態で、制御部15は、光源11に一次光の照射を開始させる(S1)。光源11は、単色光を発光し、光をマルチスポット光生成部12へ入射する。マルチスポット光生成部12はマルチスポット光を生成し、マルチスポット光はマスク2へ入射する。マルチスポット光はマスク2に含まれるいずれかのパターンマスクへ入射し、マルチスポット光の一部がパターンマスクを透過することにより、パターン光が生成される。パターン光は試料5へ照射される。試料5上でパターン光が照射された部分では、ラマン散乱光が発生する。ラマン散乱光は分光器13へ入射し、分光器13はラマン散乱光を分光し、分光した光を撮像素子3へ入射する。
【0088】
撮像素子3は、入射したラマン散乱光を検出する(S2)。撮像素子3は、ラマン散乱光の検出結果を表すデータを分析部4へ入力する。分析部4は、検出結果を表すデータを記憶部44に記憶する(S3)。制御部15は、次に、ラマン散乱光の検出を終了するか否かを判定する(S4)。S4では、制御部15は、特定の複数のパターンマスクを用いたラマン散乱の検出を全て行った場合に検出を終了すると判定し、まだ行っていない検出がある場合に検出を終了しないと判定する。例えば、制御部15は、パターンマスクを変更しながらラマン散乱光を検出する回数をカウントし、カウントした回数が所定回数になった場合に検出を終了すると判定する。制御部15は、使用者が操作部45を操作することにより検出終了の指示を分析部4が受け付けた場合に、検出を終了すると判定してもよい。
【0089】
ラマン散乱光の検出を終了しない場合は(S4:NO)、制御部15はマスク変更部17を動作させ、マスク変更部17は、マルチスポット光が入射するパターンマスクを変更する(S5)。S5では、マスク変更部17は、マスク2を移動させ、一次光の光軸上にあるパターンマスクを変更する。分光分析装置1は、次に、処理をS2へ戻し、S2~S5の処理を繰り返す。分光分析装置1は、S2~S5の処理を繰り返すことにより、パターンマスク201、202、…、207を用いて7種類のパターン光を試料5へ順次的に照射し、夫々のパターン光によって発生するラマン散乱光を検出する。
【0090】
ラマン散乱光の検出を終了する場合は(S4:YES)、分析部4は、データを記憶した複数回分の検出結果に基づいて、試料5上で線状光51~57を照射された部分に係るラマンスペクトルを生成する(S6)。演算部41がコンピュータプログラム441に従って演算を実行することにより、分析部4は以降の処理を実行する。S6では、分析部4は、前述した処理方法により、試料5上で線状光51~57を照射された部分についてラマンスペクトルを生成する。分析部4は、生成したラマンスペクトルのデータを、試料5上で線状光51~57を照射された部分を示す情報と関連づけて記憶部44に記憶する。制御部15は、マスク変更部17にマスク2を初期状態に戻させる処理を行ってもよく、光源11に発光を一旦停止させてもよい。S6の処理は処理部に対応する。
【0091】
制御部15は、次に、試料5の走査を終了するか否かを判定する(S7)。例えば、試料5の表面の中で走査を行う範囲が予め指定されており、指定された範囲を全て走査した場合に、制御部15は、走査を終了すると判定する。制御部15は、使用者が操作部45を操作することにより走査の終了の指示を分析部4が受け付けた場合に、走査を終了すると判定してもよい。走査を終了しない場合は(S7:NO)、制御部15は、駆動部16に試料保持部14を移動させることにより、試料5を移動させ(S8)、処理をS1へ戻す。例えば、駆動部16は、線状光51が照射された部分と線状光52が照射された部分との間の位置に次の線状光51が照射されるように、試料5を第1方向に移動させる。駆動部16は、線状光51が照射された部分から線状光57が照射された部分までの第1方向の距離以上に、試料5を第1方向に移動させてもよい。駆動部16は、線状光51、52、…、57の第2方向の長さ以上に、試料5を第2方向に移動させてもよい。S1~S8を繰り返すことにより、分光分析装置1は、試料5を一次光で走査し、試料5の各部分で発生したラマン散乱光のラマンスペクトルを生成する。S1~S8の処理は走査部に対応する。
【0092】
走査を終了する場合(S7:YES)、分析部4は、試料5の各部分と各部分で発生したラマン散乱光のラマンスペクトルとを関連付けたスペクトル分布を生成し、スペクトル分布に基づいて、特定の状態にある物質の分布画像を生成する(S9)。S9では、分析部4は、ラマンスペクトルに基づいて物質の状態を分析し、特定の状態にある物質の分布画像を生成する。分析部4は、ラマンスペクトルに基づいて試料5に含まれる物質を同定し、同定した物質の分布画像をも生成してもよい。分析部4は、ラマンスペクトルの分布画像を生成してもよい。また、分析部4は、分布画像のデータを記憶部44に記憶する。分析部4は、生成した分布画像を表示部46に表示してもよい。S9の処理は画像生成部に対応する。
【0093】
分析部4は、次に、特定の状態にある物質の分布画像の解像度を向上させる処理を行う(S10)。S10では、分析部4は、超解像技術を用いて、分布画像の解像度を向上させる。例えば、分析部4は、低解像度の画像の特徴と高解像度の画像の特徴との対応関係を予め記憶しておき、分布画像の特徴を計算し、計算した特徴に対応する高解像度の画像の特徴を特定し、特定した特徴から画像を生成することにより、解像度を向上させた分布画像を生成する。例えば、分析部4は、低解像度の画像の特徴を入力した場合に高解像度の画像の特徴を出力する学習済みの学習モデルを用いて、解像度を向上させた分布画像を生成する。分析部4は、解像度を向上させた分布画像のデータを記憶する。制御部15は、解像度を向上させた分布画像を表示部46に表示してもよい。S10の処理は超解像部に対応する。分光分析装置1は、S10の処理を省略してもよい。分光分析装置1は、以上で処理を終了する。
【0094】
以上詳述した如く、分光分析装置1は、複数の線状光が所定のパターンに従って並んだ複数種類のパターン光を生成し、試料5へ順次的に複数種類のパターン光を照射し、試料5から発生したラマン散乱光を分光し、撮像素子3により検出する。分光分析装置1は、複数回の検出結果に基づいて、所定のパターンに応じた処理により、ラマン散乱光のスペクトルを生成することができる。複数の光からなる一次光で試料5を走査することにより、単一の照射光で試料を走査することに比べて、走査時間を短くすることができる。このため、分光分析装置1は、短時間で試料5の分析を行うことができる。また、分光分析装置1は、照射光として、線状光を利用している。線状光で試料5を走査することにより、点状の光で試料を走査することに比べて、走査時間を短くすることができる。このため、分光分析装置1は、より短時間で試料5の分析を行うことができる。
【0095】
更に、分光分析装置1は、スペクトル分布に基づいて、特定の状態にある物質の分布画像を生成し、超解像技術により、分布画像の解像度を向上させる。例えば、試料5の走査を粗く行った場合であっても、分光分析装置1は、緻密に走査を行った場合と同等の解像度を有する分布画像を生成することができる。試料5の走査を粗く行うことにより、走査時間を短くすることができ、分光分析装置1は、より短時間で試料5の分析を行うことができる。
【0096】
<実施形態2>
図10は、実施形態2に係る分光分析装置1の構成を示すブロック図である。実施形態2では、一次光は一種類とし、試料5から発生する複数のラマン散乱光の一部を遮蔽することにより、複数種類の二次光を生成する。マルチスポット光生成部12が生成したマルチスポット光が入射する位置に、固定マスク62が配置されている。固定マスク62は、フォトマスクであり、複数の透過部分が形成されている。複数の透過部分を光が透過することにより、複数の光を含んでなる一次光が生成される。固定マスク62により生成された一次光は、試料5へ照射される。固定マスク62は固定されており、一次光に含まれる複数の光が並ぶパターンは、変更されない。光源11、マルチスポット光生成部12及び固定マスク62は、照射部61を構成する。
【0097】
複数のパターンマスクを含んだマスク2は、試料保持部14を分光器13との間に配置されている。マスク2が有するいずれかのパターンマスクへ試料5からの光が入射し、パターンマスクを透過した光が分光器13へ入射する。マスク2は、試料5からの光が光学系によって結像する位置に配置されていることが望ましい。分光分析装置1は、マスク2を移動させることにより光が入射するパターンマスクを変更するマスク変更部17を備えている。マスク2の構成は、
図6に示す実施形態1と同様の構成である。実施形態2におけるマスク2及びマスク変更部17は、二次光生成部63を構成する。分光分析装置1のその他の部分の構成は実施形態1と同様である。
【0098】
図11は、固定マスク62と、一次光を照射された試料5と、パターンマスクと、ラマン散乱光を受光した撮像素子3の受光面30とを示す模式図である。固定マスク62は、光を遮蔽する材料で平板状に形成されている。
図11に示す例では、固定マスク62は、互いに離隔して直線状に並ぶ七個の透過孔621、622、623、624、625、626、627が平板に形成されることによって、構成されている。固定マスク62に形成された複数の透過孔の数は七以外の数であってもよい。分光分析装置1は、マルチスポット光生成部12で生成したマルチスポット光を固定マスク62へ入射する。マルチスポット光の一部は透過孔621、…、627を透過し、マルチポット光の他の部分は固定マスク62に遮蔽される。これにより、互いに離隔して並んだ七個の線状光を含んだ一次光が生成される。
【0099】
一次光は試料5へ照射される。
図11に示す例では、試料5の表面に、七個の線状光51、52、…、57が照射され、試料5の線状光が照射された部分からはラマン散乱光が発生する。発生した複数のラマン散乱光は、パターンマスクへ入射する。
図11に示す例では、複数のラマン散乱光がパターンマスク201へ入射する。パターンマスク201には透過孔21、23、25及び27が形成されている。線状光51、53、55及び57の照射によって発生したラマン散乱光は、透過孔21、23、25及び27を透過する。しかし、線状光52、54及び56の照射によって発生したラマン散乱光は、パターンマスク201の遮光部分によって遮光される。パターンマスク201を透過した複数のラマン散乱光を含む二次光は分光器13へ入射する。
【0100】
分光器13は、入射された複数のラマン散乱光を分光し、分光された光は撮像素子3で受光される。
図11に示す例では、試料5上での線状光51、53、55及び57の照射位置に対応する受光ライン31、33、35及び37が生成される。しかし、線状光52、54及び56の照射位置に対応する受光ラインは生成されない。受光ライン31、33、35及び37の他に、ラマン散乱光を受光する複数の受光位置312、322、332、342、352、362及び372が夫々に面状に分布している受光領域311、321、331、341、351、361及び371が夫々存在する。
【0101】
図11に示すように、パターンマスク201を透過した二次光が分光器13へ入射する状態で、撮像素子3はラマン散乱光の検出を行う。その後、マスク変更部17は、マスク2を移動させることにより、試料5からのラマン散乱光が入射するパターンマスクをパターンマスク202へ変更する。パターンマスク202を透過した二次光が分光器13へ入射することにより、2回目の二次光の分光器13への入射が行われる。撮像素子3は2回目のラマン散乱光の検出を行う。パターンマスクの変更、分光器13への二次光の入射、及びラマン散乱光の検出が繰り返される。実施形態1同様に、パターンマスク201、202、…、207が順に使用され、分光器13への二次光の入射及びラマン散乱光の検出が7回行われる。
【0102】
このように、パターンマスクを変更することによって、試料5から発生した複数のラマン散乱光の内でパターンマスクを透過して分光器13へ入射される光とパターンマスクに遮蔽される光との組み合わせを変更する。これにより、七種類の二次光が順次的に生成される。生成される二次光は、パターンマスクによって規定された所定のパターンに従って、離隔した複数の光が並んだパターン光である。パターンマスク201、202、…、207によって規定された複数のパターンに従って、二次光に含まれる複数の光の位置の組み合わせが順次的に変更され、複数種類の二次光が順次的に生成される。
【0103】
生成された二次光は、順次的に分光器13へ入射し、分光され、分光された光が撮像素子3で検出される。1回目から7回目までの夫々の二次光の生成が行われたときの受光面30は、
図8に示す実施形態1と同様の状態となる。撮像素子3は、二次光が生成される都度、受光面30内の各位置での受光強度を検出し、検出結果を表すデータを分析部4へ入力する。即ち、撮像素子3は、ラマン散乱光の検出を7回行い、7回分の検出結果を表すデータを分析部4へ入力する。分析部4は、実施形態1と同様に、7回分の検出結果を表すデータを記憶し、7回分の検出結果に基づいて、試料5の各部分に係るラマンスペクトルを生成する処理を行う。
【0104】
分光分析装置1は、
図9に示すごときS1~S10の処理を実行する。試料保持部14に試料5が保持されている状態で、制御部15は、光源11に一次光の照射を開始させる(S1)。光源11は、単色光を発光し、光をマルチスポット光生成部12へ入射する。マルチスポット光生成部12はマルチスポット光を生成し、マルチスポット光は固定マスク62へ入射する。マルチスポット光の一部が固定マスク62を透過することにより、線状光51、52、…、57を含んだ一次光が生成される。一次光は試料5へ照射され、試料5上で光が照射された複数の部分では、ラマン散乱光が発生する。複数のラマン散乱光を含む光は、マスク2に含まれるいずれかのパターンマスクへ入射し、一部の光がパターンマスクを透過することにより、複数のラマン散乱光を含む二次光が生成される。二次光は分光器13へ入射し、分光器13は二次光に含まれる複数のラマン散乱光を分光し、分光されたラマン散乱光は撮像素子3へ入射する。
【0105】
撮像素子3は、入射したラマン散乱光を検出する(S2)。撮像素子3は、ラマン散乱光の検出結果を表すデータを分析部4へ入力する。分析部4は、検出結果を表すデータを記憶部44に記憶する(S3)。制御部15は、次に、ラマン散乱光の検出を終了するか否かを判定する(S4)。ラマン散乱光の検出を終了しない場合は(S4:NO)、制御部15はマスク変更部17を動作させ、マスク変更部17は、複数のラマン散乱光を含む試料5からの光が入射するパターンマスクを変更する(S5)。S5では、マスク変更部17は、マスク2を移動させ、試料5からの光が入射するパターンマスクを変更する。分光分析装置1は、次に、処理をS2へ戻し、S2~S5の処理を繰り返す。分光分析装置1は、S2~S5の処理を繰り返すことにより、パターンマスク201、202、…、207を用いて7種類の二次光を分光器13へ入射させ、夫々の二次光に含まれるラマン散乱光を検出する。
【0106】
ラマン散乱光の検出を終了する場合は(S4:YES)、実施形態1と同様に、分析部4は、ラマンスペクトルを生成する(S6)。制御部15は、次に、試料5の走査を終了するか否かを判定する(S7)。走査を終了しない場合は(S7:NO)、制御部15は、駆動部16に試料保持部14を移動させることにより、試料5を移動させ(S8)、処理をS1へ戻す。S1~S8を繰り返すことにより、分光分析装置1は、試料5を一次光で走査し、試料5の各部分で発生したラマン散乱光のラマンスペクトルを生成する。
【0107】
走査を終了する場合(S7:YES)、実施形態1と同様に、分析部4は、スペクトル分布を生成し、特定の状態にある物質の分布画像を生成する(S9)。分析部4は、次に、実施形態1と同様に、分布画像の解像度を向上させる処理を行う(S10)。分光分析装置1は、S10の処理を省略してもよい。分光分析装置1は、以上で処理を終了する。
【0108】
以上詳述した如く、実施形態2においては、分光分析装置1は、複数の線状光からなる一次光を試料5へ照射し、試料5で発生した複数の光の内で分光器13へ入射する複数の光の組み合わせが異なる複数種類の二次光を生成する。分光分析装置1は、複数種類の二次光を順次的に分光器13へ入射させ、二次光に含まれる複数のラマン散乱光を分光器13で分光し、撮像素子3で検出し、ラマン散乱光のスペクトルを分析部4で生成する。なお、分光分析装置1は、固定マスク62を用いる方法以外の方法で複数の線状光からなる一次光を生成する形態であってもよい。
【0109】
実施形態2においても、分光分析装置1は、複数の線状光からなる一次光で試料5を走査することにより、単一の照射光で試料を走査することに比べて、走査時間を短くすることができる。このため、分光分析装置1は、短時間で試料5の分析を行うことができる。また、分光分析装置1は、実施形態1と同様に、分布画像の解像度を向上させる処理を行うことにより、走査時間を短くすることができ、より短時間で試料5の分析を行うことができる。
【0110】
なお、実施形態1及び2では、パターンマスク201、202、…、207の全てを利用して処理を行う形態を示したが、分光分析装置1は、複数のパターンマスクの一部を使わずに、分光分析を行ってもよい。例えば、分光分析装置1は、パターンマスク201~206の夫々を用いてS2~S5の処理を実行し、パターンマスク207を用いた処理は行わずに、S6以降の処理を行う。この形態では、ラマンスペクトルを生成することができない部分が発生し、S9で生成した分布画像には、特定の状態にある物質の分布が得られない部分が含まれる。即ち、S行列の一部の行を省略した行列から得られるパターンに応じた分布画像が得られる。分光分析装置1は、S10の処理でラマンスペクトルの分布画像の解像度を向上させることにより、特定の状態にある物質の分布が得られない部分についても、分布を生成する。分光分析装置1は、二つのパターンマスクの使用を省略してもよい。例えば、パターンマスク206及び207を用いた処理を省略してもよい。この場合でも、S10の処理で解像度を向上させることにより、全てのパターンマスクを使用した場合とほぼ同様の解像度で分布画像を生成することができる。マスク2は、使用しないパターンマスクを含んでいない形態であってもよい。このように、分光分析装置1は、S2~S5の処理を繰り返す回数を減少させることができる。S2~S5の処理を繰り返す回数を減少させることにより、処理に必要な時間を短くすることができ、分光分析装置1は、より短時間で試料5の分析を行うことができる。
【0111】
分光分析装置1は、一次光に含まれる複数の線状光の一部を無視した処理を行う形態であってもよい。例えば、分光分析装置1は、線状光57を無視した処理を行ってもよい。より具体的には、分光分析装置1は、受光領域371内の各位置での受光強度を用いずに、S6の処理を行ってもよい。線状光57は、受光領域371以外の受光領域には影響しないので、線状光57を無視した処理を行うことができる。この形態の分光分析装置1が行う処理は、S行列の一部の列を省略した行列から得られるパターンに応じた処理である。また、マスク2は、S行列の一部の列に対応する透過孔及び遮光部分を含んでいない形態であってもよい。この形態に係るマスク2を備える分光分析装置1は、S行列の一部の列を省略した行列から得られるパターンに応じた処理を実行する。これらの形態においても、分光分析装置1は、S10の処理を行うことにより、解像度を低下させないように分布画像を生成することができる。これらの形態では、必要な処理の量が削減され、分光分析装置1は、より短時間で試料5の分析を行うことができる。
【0112】
実施形態1及び2においては、七個の線状光を組み合わせて一次光を生成する形態を示したが、分光分析装置1は、七個以外の数の線状光を組み合わせて一次光を生成する形態であってもよい。例えば、分光分析装置1は、S行列の中の一列に対応する透過孔及び遮光部分を含んでいないマスク2、又は六個の透過孔を有する固定マスク62を備えることにより、六個の線状光を組み合わせて一次光を生成してもよい。例えば、分光分析装置1は、3次のS行列に応じて形成されたマスク2、又は三個の透過孔を有する固定マスク62を備えることにより、三個の線状光を組み合わせて一次光を生成してもよい。例えば、分光分析装置1は、八個以上の数の線状光を組み合わせて一次光を生成する形態であってもよい。分光分析装置1は、8次よりも高次のアダマール行列に基づいて得られるパターンを利用する形態であってもよい。
【0113】
実施形態1及び2においては、アダマール行列に基づいて得られる所定のパターンに従ったパターン光を用いる形態を示したが、分光分析装置1は、その他のパターンに従ったパターン光を用いる形態であってもよい。実施形態1及び2においては、マスク2を用いてパターン光を生成する形態を示したが、分光分析装置1は、マスク以外の光学部品を用いてパターン光を生成する形態であってもよい。例えば、分光分析装置1は、DMD(digital mirror device )を用いてパターン光を生成する形態であってもよい。実施形態1及び2においては、マルチスポット光生成部12を用いる形態を示したが、分光分析装置1は、マルチスポット光生成部12を用いる方法以外の方法で幅広に分布する光を生成する形態であってもよい。
【0114】
実施形態1及び2においては、試料5から発生する二次光に含まれるラマン散乱光を検出する形態を示した。蛍光等の他の種類の二次光のスペクトルに比べて、ラマンスペクトルでは、波長幅が小さく鋭いピークが発生する。このため、受光面30内での受光位置の広がりが小さく、受光強度が高いので、受光位置及び受光強度の特定がし易く、二次光の波長及びスペクトル中のピークの強度を取得することが容易である。このように、二次光に含まれるラマン散乱光を検出する形態では、スペクトルを容易に取得できるという効果が大きい。なお、分光分析装置1は、二次光に含まれるラマン散乱光以外の光を検出する形態であってもよい。例えば、分光分析装置1は、二次光に含まれるフォトルミネッセンス又は蛍光を検出する形態であってもよい。実施形態1及び2においては、一次光に含まれる複数の光は線状光であるとしたが、一次光に含まれる複数の光はスポット光であってもよい。一次光に含まれる複数の光がスポット光である形態でも、分光分析装置1は走査時間を短くすることができる。
【0115】
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1 分光分析装置
11 光源
12 マルチスポット光生成部
13 分光器
14 試料保持部
15 制御部
2 マスク
21、22、23、24、25、26、27 透過孔
201、202、203、204、205、206、207 パターンマスク
3 撮像素子
30 受光面
31、32、33、34、35、36、37 受光ライン
311、321、331、341、351、361、371 受光領域
301、302、312、322、332、342、352、362、372 受光位置
4 分析部
40 記録媒体
41 演算部
44 記憶部
441 コンピュータプログラム
5 試料
51、52、53、54、55、56、57 線状光
501 照射光
61 照射部
62 固定マスク
621、622、623、624、625、626、627 透過孔
63 二次光生成部