(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】IRAK4阻害剤として有用な三環ヘテロアリール化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20250516BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20250516BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20250516BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20250516BHJP
A61K 31/541 20060101ALI20250516BHJP
C07D 471/14 20060101ALI20250516BHJP
A61K 31/4375 20060101ALI20250516BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250516BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20250516BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250516BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20250516BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20250516BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20250516BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20250516BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20250516BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20250516BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20250516BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20250516BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20250516BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20250516BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20250516BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20250516BHJP
【FI】
C07D471/04 103Z
C07D471/04 CSP
A61K31/437
A61K31/4545
A61K31/5377
A61K31/541
C07D471/14 101
A61K31/4375
A61P29/00 ZNA
A61P37/02
A61P35/00
A61P1/04
A61P11/06
A61P37/06
A61P9/00
A61P5/14
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P13/12
A61P17/00
A61P17/06
A61P25/00
A61P25/04
A61P19/06
(21)【出願番号】P 2022547044
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(86)【国際出願番号】 US2021016126
(87)【国際公開番号】W WO2021158498
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2024-01-19
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】アーマッド,サリーム
(72)【発明者】
【氏名】ネガシュ,リデット エイ
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/060174(WO,A1)
【文献】特表2016-501186(JP,A)
【文献】Expert Opinion on Therapeutic Patents,2016年,Vol. 26,No. 8,pp. 917-932
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または式(II):
【化1】
[式中、
Xは、CR
3aまたはNであり;
R
1は、
(i)-C(O)NR
xR
1a;または
(ii)ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、またはチアジアゾリルであり、それぞれ0~2個のR
1bで置換され;
R
1aは、
(i)0~6個のR
wで置換されたC
1-6アルキル;または
(ii)-(CR
xR
x)
0-3R
1cであり;
各R
wは、独立してF、Cl、-CN、-OH、-OCH
3、-NR
xR
x、-NR
xC(O)(C
1-3アルキル)、-NR
xC(O)(C
3-6シクロアルキル)、またはC
3-6シクロアルキルであり;
各R
1bは、独立して-CR
xR
x(C
3-6シクロアルキル)、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、または0~6個のR
wで置換されたC
1-6アルキルであり;
R
1cは、C
3-6シクロアルキル、オキセタニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、ジオキシドテトラヒドロチオフェニル、ジオキシドチオモルホリニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、またはテトラゾリルであり、それぞれF、Cl、-CN、-OH、-NR
xR
x、C
1-3アルキル、C
1-3フルオロアルキル、C
1-3ヒドロキシアルキル、-NR
xC(O)(C
1-3アルキル)、-NR
xC(O)O(C
1-3アルキル)、および-S(O)
2(C
1-2アルキル)から独立して選択される0~3個の置換基で置換され;
R
2は、
(i)水素;
(ii)C
1-6アルキルであり、F、Cl、-OH、-CN、C
3-6シクロアルキル、およびジメトキシフェニルから独立して選択される0~4個の置換基で置換されるか;または
(
iii)C
3-6シクロアルキル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、およびチアゾリルから選択される環状基であって、前記環状基は、F、Cl、-OH、-CN、C
1-2アルキル、C
1-2フルオロアルキル、C
1-2ヒドロキシアルキル、および-S(O)
2(C
1-2アルキル)から独立して選択される0~3個の置換基で置換され;
R
3は、-CN、-C(O)NR
xR
x、またはフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリジノニル、およびピリミジニルから選択される環状基であり、各環状基は、F、Cl、-OH、-CN、C
1-2アルキル、-CF
3、および-CH
2OHから選択される0~3個の置換基で置換され;
R
3aは、水素またはR
3であり;
各R
xは、水素または-CH
3であり;および
nは、0、1、または2である]
の化合物またはその塩。
【請求項2】
式(I)の構造を有する、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
式(II)の構造を有する、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
式(Ia)または式(IIa):
【化2】
[式中、
Xは、CHまたはNであり;
R
1は、
(i)-C(O)NHR
1a;または
(ii)イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、またはトリアゾリルであり、それぞれR
1bで置換され;
R
1aは、-CH
2CH
2CH
3、-CH
2CH(CH
3)
2、-CH
2CH
2CH(CH
3)
2、-CH
2CH
2CHF
2、-CH
2CH
2CF
3、-CH
2CH
2C(CH
3)
2F、-CH
2CH
2CH(CH
3)OH、-CH
2C(CH
3)
2CH
2OH、-CH
2CH
2C(CH
3)
2OH、-CH
2CHFCH(CH
3)OH、-CH
2CHFC(CH
3)
2OH、-CH
2CH
2OCH
3、-CH
2CH
2C(CH
3)
2NH
2、-CH
2CF
2CH
2NH
2、-CH
2CH
2C(CH
3)
2NHC(O)CH
3、-CH(シクロプロピル)CH
2CH
2OH、-CH
2CH
2C(CH
3)
2NHC(O)(シクロプロピル)、R
1c、-CH
2R
1c、または-CH
2CH
2R
1cであり;
R
1bは、-CH
2CH
2CH
3、-CH
2CH(CH
3)
2、-CH
2CH
2CH(CH
3)
2、-CH
2(シクロプロピル)、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり;
R
1cは、シクロプロピル、シクロブチル、オキセタニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、ジオキシドテトラヒドロチオフェニル、ジオキシドチオモルホリニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、またはテトラゾリルであり、それぞれF、-OH、-NH
2、-CH
3、-CH
2OH、-C(CH
3)
2OH、-NHC(O)CH
3、-NHC(O)OCH
3、および-S(O)
2CH
3から独立して選択される0~3個の置換基で置換され;
R
2は、水素、-CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH(CH
3)CH
2CH
3、-CH
2CHF
2、-CH
2CF
3、-CH(CH
3)CH
2OH、-CH
2(シクロプロピル)、-CH(CH
3)(シクロプロピル)、-CH
2(ジメトキシフェニル)、シクロプロピル、シクロブチル、ジフルオロシクロブチル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、(メチルスルホニル)ピペリジニル、チアゾリル、または(ジフルオロエチル)ピラゾリルであり;および
R
3は、-CN、-C(O)NH
2、ピラゾリル、またはピリジノニルである]
の構造を有する、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
式中、Xが、CHである、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
式中、R
1が、-C(O)NR
xR
1aである、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
式中、R
1が、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、またはチアジアゾリルであり、それぞれR
1bで置換される、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項8】
以下、
(R)-7-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(1);
(R)-7-シアノ-4-(エチルアミノ)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(2);
(R)-7-シアノ-4-((3,3-ジフルオロシクロブチル)アミノ)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(3);
(R)-7-シアノ-4-(シクロブチルアミノ)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(4);
7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(5);
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(6);
7-シアノ-N-((3-(ヒドロキシメチル)オキセタン-3-イル)メチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(7);
7-シアノ-N-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(8);
7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(9);
7-シアノ-N-((1R,4R)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(10);
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(11);
N-((1R,4R)-4-アミノシクロヘキシル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(12);
N-((1R,4R)-4-アセトアミドシクロヘキシル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(13);
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(オキサゾール-4-イルメチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(14);
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-((3-メチルイソキサゾール-5-イル)メチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(15);
7-シアノ-N-(1-シクロプロピル-3-ヒドロキシプロピル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(16);
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(2-メトキシエチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(17);
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(チアゾール-2-イルメチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(18);
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(ピペリジン-4-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(19);
N-((1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)メチル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(20);
7-シアノ-N-イソペンチル-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(21);
(R)-7-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(オキセタン-3-イルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(22);
(R)-7-シアノ-4-((1-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(23);
7-シアノ-N-((1s,3s)-3-ヒドロキシシクロブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(24);
7-シアノ-N-(3-ヒドロキシブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(25);
(R)-7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-((テトラヒドロフラン-3-イル)アミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(26);
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(27);
(S)-7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-((テトラヒドロフラン-3-イル)アミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(28);
(S)-7-シアノ-4-((1-シクロプロピルエチル)アミノ)-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(29);
(S)-7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(30);
7-シアノ-N-(3,3-ジフルオロプロピル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(31);
(R)-4-(sec-ブチルアミノ)-7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(32);
7-シアノ-4-((シクロプロピルメチル)アミノ)-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(33);
7-シアノ-N-(2-シクロプロピルエチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(34);
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(2-モルホリノエチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(35);
7-シアノ-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(36);
7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(37);
7-シアノ-N-(3-フルオロ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(38);
7-シアノ-N-((1R,3R)-3-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)シクロブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(39);
4-(tert-ブチルアミノ)-7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(40);
7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(オキセタン-3-イルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(41);
7-シアノ-4-(オキセタン-3-イルアミノ)-N-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(42);
7-シアノ-N-(2-(3,3-ジフルオロ-1-ヒドロキシシクロブチル)エチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(43);
7-シアノ-4-(シクロプロピルアミノ)-N-((1R,3R)-3-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)シクロブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(44);
7-シアノ-4-(シクロプロピルアミノ)-N-((1R,3R)-3-ヒドロキシシクロブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(45);
7-シアノ-4-(シクロプロピルアミノ)-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(46);
N-((1R,3R)-3-アミノシクロブチル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(47);
N3-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3,7-ジカルボキサミド(48);
N-((1R,3R)-3-アセトアミドシクロブチル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(49);
メチル((1R,3R)-3-(7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド)シクロブチル)カルバメート(50);
N-(3-アミノ-2,2-ジフルオロプロピル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(51);
N-(3-アミノ-3-メチルブチル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(52);
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(2-(ピロリジン-3-イル)エチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(53);
4-アミノ-7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(54);
7-シアノ-4-(エチルアミノ)-N-(2-(ピペリジン-3-イル)エチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(55);
7-シアノ-4-((3,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(56);
7-シアノ-4-(エチルアミノ)-N-(2-(ピロリジン-2-イル)エチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(57);
7-シアノ-4-(エチルアミノ)-N-(2-(ピペリジン-2-イル)エチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(58);
7-シアノ-N-(3-(シクロプロパンカルボキサミド)-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(59);
N-(3-アセトアミド-3-メチルブチル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(60);
7-シアノ-N-((1,1-ジオキシドテトラヒドロチオフェン-3-イル)メチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(61);
7-シアノ-N-(2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(62);
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(63);
(R)-7-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(64);
N-(2-(1H-テトラゾール-5-イル)エチル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(65);
(R)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-7-(チアゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(66);
(R)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-7-(1H-ピラゾール-4-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(67);
(R)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-7-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(68);
(R)-7-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボキサミド(69);
3-(5-イソブチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル・TFA(70);
4-(イソプロピルアミノ)-3-(5-プロピル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(71);
4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-プロピル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(72);
3-(1-イソペンチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(73);
3-(1-(シクロプロピルメチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(74);
4-(イソプロピルアミノ)-3-(1-(ピペリジン-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(75);
4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-(ピペリジン-4-イル)イソキサゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(76);
4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イソキサゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(77);
4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-(モルホリン-2-イル)イソキサゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(78);
4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-(ピペリジン-3-イル)イソキサゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(79);
4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-(ピペリジン-2-イル)イソキサゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(80);
(R)-6-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボキサミド(81);または
6-シアノ-N-(2-シクロプロピルエチル)-4-(イソプロピルアミノ)-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボキサミド(82)
の化合物またはその塩。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の1以上の化合物および医薬的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項10】
炎症性疾患、自己免疫疾患、またはがんの治療に用いるための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物またはその塩を含む、医薬組成物。
【請求項11】
疾患が、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、移植片対宿主病、同種移植片拒絶反応、慢性閉塞性肺疾患、バセドウ病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、皮膚ループス、乾癬、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、家族性地中海熱、成人スティル病、全身型若年性特発性関節炎、多発性硬化症、神経障害性疼痛、痛風、および痛風性関節炎から選択される、請求項10に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年2月3日出願の米国仮出願番号第62/969,406号に対する優先権を主張するものであって、その全てを参照により本明細書に組み込むものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は概して、IRAK4の調節などのキナーゼ阻害剤として有用な三環ヘテロアリール化合物に関する。三環ヘテロアリール化合物、化合物を含む組成物、およびそれらの使用方法を提供する。さらに本発明は、キナーゼ調節に関連する症状の治療に有用な、本発明に記載の化合物を少なくとも1つ含む医薬組成物およびキナーゼ活性(哺乳動物におけるIRAK4など)を阻害する方法に関する。
【0003】
Toll/IL-1受容体ファミリーメンバーは、炎症および宿主抵抗における重要な調節因子である。Toll様受容体(TLR)ファミリーは、感染性生物(例えば細菌、真菌、寄生生物、およびウイルス)に由来する分子パターンを認識する(Kawai, T. et al., Nature Immunol., 11:373-384 (2010)のレビュー)。受容体に結合するリガンドは、二量体化を起こし、Toll/IL-1受容体(TIR)ドメインと呼ばれる受容体中に保存されている細胞質モチーフに対してアダプター分子のMyD88を動員させる。TLR3以外の全てのTLRはアダプター分子、MyD88を動員する。また、IL-1受容体ファミリーは細胞質TIRモチーフも含み、リガンド結合の際にMyD88を動員する(Sims, J.E. et al., Nature Rev. Immunol., 10:89-102 (2010)のレビュー)。
【0004】
セリン/トレオニンキナーゼのIRAKファミリーメンバーは、MyD88との相互作用を介してその受容体に会合する。ファミリーは、4つのメンバーから構成されている。いくつかの一連の証拠によって、IRAK4はMyD88依存性TLRおよびIL-1Rファミリーメンバーを介したシグナル伝達の開始において重要かつ必須の役割を担っていることが示された。構造データでは、IRAK4が直接MyD88と相互作用し、次にIRAK1またはIRAK2のいずれかが受容体複合体に会合することで、下流のシグナル伝達を円滑にすることが確認されている(Lin, S. et al., Nature, 465:885-890 (2010))。IRAK4は直接IRAK1をリン酸化し、E3ユビキチンリガーゼTRAF6への下流のシグナル伝達を円滑に行い、その結果セリン/トレオニンキナーゼTAK1が活性化し、その後、NFκB経路およびMAPKカスケードが活性化する(Flannery, S. et al., Biochem. Pharmacol., 80:1981-1991 (2010))。ヒト患者の一部は、IRAK4の発現が欠損していることが確認されている(Picard, C. et al., Science, 299:2076-2079 (2003))。これらの患者の細胞は、TLR3以外の全てのTLRアゴニストならびにIL-1βおよびIL-18などのIL-1ファミリーメンバーに応答しない(Ku, C. et al., J. Exp. Med., 204:2407-2422 (2007))。マウスにおけるIRAK4の欠失は、IL-1、IL-18およびTLR3以外の全てのTLR依存応答を著しく阻害する結果となった(Suzuki, N. et al., Nature, 416:750-754 (2002))。これに対し、IRAK1(Thomas, J.A. et al., J. Immunol., 163:978-984 (1999); Swantek, J.L. et al., J. Immunol., 164:4301-4306 (2000))またはIRAK2(Wan, Y. et al., J. Biol. Chem., 284:10367-10375 (2009))のいずれかの欠失は、シグナル伝達が部分的に消失する結果となった。さらに、IRAK4は、そのキナーゼ活性が、シグナル伝達の開始に必要であることが示されている、IRAKファミリーのうちの唯一のメンバーである。マウスゲノム中の野生型IRAK4をキナーゼ不活性変異体(KDKI)に置換すると、IL-1、IL-18およびTLR3以外の全てのTLRを含む全てのMyD88依存性受容体を介したシグナル伝達が弱められた(Koziczak-Holbro, M. et al., J. Biol. Chem., 282:13552-13560 (2007); Kawagoe, T. et al., J. Exp. Med., 204:1013-1024 (2007);およびFraczek, J. et al., J. Biol. Chem., 283:31697-31705 (2008))。
【0005】
野生型の動物と比較して、IRAK4がKDKIのマウスモデルでは、多発性硬化症(Staschke, K.A. et al., J. Immunol., 183:568-577 (2009))、関節リウマチ(Koziczak-Holbro, M. et al., Arthritis Rheum., 60:1661-1671 (2009))、アテローム性動脈硬化症(Kim, T.W. et al., J. Immunol., 186:2871-2880 (2011)およびRekhter, M. et al., Biochem. Biophys. Res. Comm., 367:642-648 (2008))、および心筋梗塞(Maekawa, Y. et al., Circulation, 120:1401-1414 (2009))の疾患の重症度が著しく減少した。上述の通り、IRAK4阻害剤はMyD88依存性シグナル伝達を全て阻害する。MyD88依存性TLRは、多発性硬化症、関節リウマチ、心血管 疾患、メタボリック症候群、敗血症、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患(例えばクローン病および潰瘍性大腸炎)、自己免疫性ブドウ膜炎、喘息、アレルギー、I型糖尿病、および同種移植片拒絶反応の病因に寄与することが示された(Keogh, B. et al., Trends Pharmacol. Sci., 32:435-442 (2011); Mann, D.L., Circ. Res., 108:1133-1145 (2011); Horton, C.G. et al., Mediators Inflamm., Article ID 498980 (2010), doi:10.1155/2010/498980; Goldstein, D.R. et al., J. Heart Lung Transplant., 24:1721-1729 (2005);およびCario, E., Inflamm. Bowel Dis., 16:1583-1597 (2010))。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫における発がん活性MyD88変異は、IRAK4阻害に敏感であることが確認されている(Ngo, V.N. et al., Nature, 470:115-121 (2011))。また、全ゲノムシークエンシングでは慢性リンパ性白血病に関するMyD88の変異も確認しており、IRAK4阻害剤は、白血病の治療にも有用であり得ることを示唆している(Puente, X.S. et al., Nature, 475:101-105 (2011))。
【0006】
TLRシグナル伝達の阻害に加え、IRAK4阻害剤はIL-1ファミリーメンバーによるシグナル伝達も阻害する。IL-1の中和は、複数の疾患、例えば、痛風;痛風性関節炎;2型糖尿病;自己炎症性疾患(クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)、家族性地中海熱(FMF)、成人スティル病など);全身型若年性特発性関節炎;脳卒中;移植片対宿主病(GVHD);くすぶり型多発性骨髄腫;再発性心膜炎;骨関節症;気腫に対して有効であると示されている(Dinarello, C.A., Eur. J. Immunol., 41:1203-1217 (2011)およびCouillin, I. et al., J. Immunol., 183:8195-8202 (2009))。アルツハイマー病のマウスモデルにおいて、IL-1受容体の阻害により、認知障害が改善し、タウ病理が減少し、アミロイドβオリゴマーが減少した(Kitazawa, M. et al., J. Immunol., 187:6539-6549 (2011))。また、IL-1は、適応免疫と密接に関係し、TH17エフェクターT細胞の一部の分化を活発化することが示されている(Chung, Y. et al., Immunity, 30:576-587 (2009))。それ故、IRAK4阻害剤は、TH17が関連する多発性硬化症、乾癬、炎症性腸疾患、自己免疫性ブドウ膜炎、および関節リウマチなどの疾患に対して有効であることが予測されている(Wilke, C.M. et al., Trends Immunol., 32:603-661 (2011))。
【0007】
症状がタンパク質キナーゼの調節などの治療により改善され得ることから、タンパク質キナーゼ(例えばIRAK4)の調節が可能な新規化合物およびこれらの化合物を用いる方法は、幅広い患者に対して実質的な治療効果を提供し得ることが明らかである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、IRAK4等のタンパク質キナーゼに対して効果的な阻害剤であることが分かった、新規な三環ヘテロアリール化合物に関する。これらの化合物は、望ましい安定性、バイオアベイラビリティ、治療指数、およびそれらのドラッグアビリティに重要な毒性値を有する有用な医薬品を提供する。
【0009】
本発明は、IRAK4の阻害剤として有用かつ、増殖性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患および炎症性疾患の治療に有用な、式(I)および式(II)の化合物またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0010】
また、本発明は、医薬的に許容される担体および少なくとも1つの本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、治療が必要な宿主に、治療上有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグを投与することを特徴とする、IRAK4の阻害方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、治療が必要な宿主に、治療上有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグを投与することを特徴とする、増殖性、代謝性、アレルギー性、自己免疫性および炎症性疾患の治療方法を提供する。
【0013】
ある実施態様は、炎症性および自己免疫疾患の治療方法を提供する。具体的な炎症性疾患および自己免疫疾患には、以下に限らないが、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、移植片対宿主病、同種移植片拒絶反応、慢性閉塞性肺疾患、バセドウ病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、びまん性狼瘡、乾癬、クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)、家族性地中海熱(FMF)、成人スティル病、全身型若年性特発性関節炎、多発性硬化症、神経障害性疼痛、痛風、および痛風性関節炎が挙げられる。
【0014】
ある実施態様は、痛風および痛風性関節炎の治療方法を提供する。
【0015】
別の実施態様は、2型糖尿病およびアテローム性動脈硬化症などの代謝性疾患の治療方法である。
【0016】
ある実施態様は、治療が必要な宿主に、治療上有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグを投与することを特徴とする、がんの治療方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、治療に用いるための、本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグを提供する。
【0018】
また、本発明は、がん治療のための医薬の製造のための、本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグの使用を提供する。
【0019】
また、本発明は、化合物または組成物の使用説明書を含むキット中の、式(I)または式(II)の化合物または医薬組成物を提供する。
【0020】
また、本発明は、本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグを製造するための方法および中間体を提供する。
【0021】
本発明の上記およびその他の特徴は、開示に伴い範囲を広げて記載される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1態様は、式(I)または式(II):
【化1】
[式中、
Xは、CR
3aまたはNであり;
R
1は、
(i)-C(O)NR
xR
1a;または
(ii)ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、またはチアジアゾリルであり、それぞれ0~2個のR
1bで置換され;
R
1aは、
(i)0~6個のR
wで置換されたC
1-6アルキル;または
(ii)-(CR
xR
x)
0-3R
1cであり;
各R
wは、独立してF、Cl、-CN、-OH、-OCH
3、-NR
xR
x、-NR
xC(O)(C
1-3アルキル)、-NR
xC(O)(C
3-6シクロアルキル)、またはC
3-6シクロアルキルであり;
各R
1bは、独立して-CR
xR
x(C
3-6シクロアルキル)、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、または0~6個のR
wで置換されたC
1-6アルキルであり;
R
1cは、C
3-6シクロアルキル、オキセタニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、ジオキシドテトラヒドロチオフェニル、ジオキシドチオモルホリニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、またはテトラゾリルであり、それぞれF、Cl、-CN、-OH、-NR
xR
x、C
1-3アルキル、C
1-3フルオロアルキル、C
1-3ヒドロキシアルキル、-NR
xC(O)(C
1-3アルキル)、-NR
xC(O)O(C
1-3アルキル)、および-S(O)
2(C
1-2アルキル)から独立して選択される0~3個の置換基で置換され;
R
2は、
(i)水素;
(ii)C
1-6アルキルであり、F、Cl、-OH、-CN、C
3-6シクロアルキル、およびジメトキシフェニルから独立して選択される0~4個の置換基で置換されるか;または
(ii)C
3-6シクロアルキル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、およびチアゾリルから選択される環状基であって、前記環状基は、F、Cl、-OH、-CN、C
1-2アルキル、C
1-2フルオロアルキル、C
1-2ヒドロキシアルキル、および-S(O)
2(C
1-2アルキル)から独立して選択される0~3個の置換基で置換され;
R
3は、-CN、-C(O)NR
xR
x、またはフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリジノニル、およびピリミジニルから選択される環状基であり、各環状基は、F、Cl、-OH、-CN、C
1-2アルキル、-CF
3、および-CH
2OHから選択される0~3個の置換基で置換され;
R
3aは、水素またはR
3であり;
各R
xは、水素または-CH
3であり;および
nは、0、1、または2である]
の少なくとも1つの化合物またはその塩を提供する。
【0023】
ある実施態様において、式(I)の化合物またはその塩が提供される。
【0024】
ある実施態様において、式(II)の化合物またはその塩が提供される。
【0025】
ある実施態様において、式中、Xが、CR
3aである式(I)の化合物またはその塩が提供される。この実施態様の化合物は、式(Ia):
【化2】
の構造を有する。この実施態様には、式中、R
3aが、水素である化合物が含まれる。また、この実施態様には、式中、R
3aが、R
3である化合物が含まれる。
【0026】
ある実施態様において、式中、Xが、Nである式(I)の化合物またはその塩が提供される。この実施態様の化合物は、式(Ib)
【化3】
の構造を有する。
【0027】
ある実施態様において、式中、Xが、CR
3aである式(II)の化合物またはその塩が提供される。この実施態様の化合物は、式(IIa):
【化4】
の構造を有する。
この実施態様には、式中、R
3aが、水素である化合物が含まれる。また、この実施態様には、式中、R
3aが、R
3である化合物が含まれる。
【0028】
ある実施態様において、式中、Xが、Nである式(II)の化合物またはその塩が提供される。この実施態様の化合物は、式(IIb):
【化5】
の構造を有する。
【0029】
ある実施態様において、式(Ic):
【化6】
の構造を有する式(I)の化合物またはその塩が提供される。
【0030】
ある実施態様において、式中、Xが、CR
3aである式(Ic)の化合物またはその塩が提供される。この実施態様の化合物は、式(Id):
【化7】
の構造を有する。
【0031】
ある実施態様において、式中、XがCR
3aであり、R
3aが水素である、式(Ic)の化合物またはその塩が提供される。この実施態様の化合物は、式(Ie):
【化8】
の構造を有する。
【0032】
ある実施態様において、式中、Xが、Nである式(Ic)の化合物またはその塩が提供される。この実施態様の化合物は、式(If):
【化9】
の構造を有する。
【0033】
ある実施態様において、式(IIc):
【化10】
の構造を有する、式(II)の化合物またはその塩が提供される。
【0034】
ある実施態様において、式中、Xが、CR
3aである式(IIc)の化合物またはその塩が提供される。この実施態様の化合物は、式(IId):
【化11】
の構造を有する。
【0035】
ある実施態様において、式中、XがCR
3aであり、R
3aが水素である、式(IIc)の化合物またはその塩が提供される。この実施態様の化合物は、式(IIe):
【化12】
の構造を有する。
【0036】
ある実施態様において、式中、Xが、Nである、式(IIc)の化合物またはその塩が提供される。この実施態様の化合物は、式(IIf):
【化13】
の構造を有する。
【0037】
ある実施態様において、式中、Xが、CHである、式(I)または式(II)化合物、あるいはその塩が提供される。
【0038】
ある実施態様において、式中、R1が、-C(O)NRxR1aである式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。この実施態様には、式中、R1が、-C(O)NHR1aである化合物が含まれる。
【0039】
ある実施態様において、式中、R1が、-C(O)NRxR1aであり;およびR1aが、0~6個のRwで置換されたC1-6アルキルである、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。この実施態様には、式中、R1aが、-CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH2CH2CH(CH3)2、-CH2CH2CHF2、-CH2CH2CF3、-CH2CH2C(CH3)2F、-CH2CH2CH(CH3)OH、-CH2C(CH3)2CH2OH、-CH2CH2C(CH3)2OH、-CH2CHFCH(CH3)OH、-CH2CHFC(CH3)2OH、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2C(CH3)2NH2、-CH2CF2CH2NH2、または-CH2CH2C(CH3)2NHC(O)CH3である化合物が含まれる。
【0040】
ある実施態様において、式中、R1が、-C(O)NRxR1aであり;およびR1aが、-(CRxRx)0-3R1cである、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。この実施態様には、式中、R1aが、-(CH2)0-3R1cである化合物が含まれる。また、この実施態様には、式中、R1aが、-CH(シクロプロピル)CH2CH2OH、-CH2CH2C(CH3)2NHC(O)(シクロプロピル)、R1c、-CH2R1c、または-CH2CH2R1cである化合物が含まれる。さらに、この実施態様には、式中、R1cが、シクロプロピル、シクロブチル、オキセタニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、ジオキシドテトラヒドロチオフェニル、ジオキシドチオモルホリニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、またはテトラゾリルであり、それぞれF、-OH、-NH2、-CH3、-CH2OH、-C(CH3)2OH、-NHC(O)CH3、-NHC(O)OCH3、および-S(O)2CH3から独立して選択される0~3個の置換基で置換される化合物が含まれる。
【0041】
ある実施態様において、式中、R1が、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、またはチアジアゾリルであり、それぞれ0~2個のR1bで置換される、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。この実施態様には、式中、R1が、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、またはトリアゾリルであり、それぞれ0~1個のR1bで置換される化合物が含まれる。また、この実施態様には、式中、R1が、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、またはトリアゾリルであり、それぞれR1bで置換される化合物が含まれる。
【0042】
ある実施態様において、式中、R2が、(i)水素、または(ii)C1-6アルキルであり、F、Cl、-OH、-CN、C3-6シクロアルキル、およびジメトキシフェニルから独立して選択される0~4個の置換基で置換される、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。この実施態様には、式中、R2が、水素、-CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-CH2CHF2、-CH2CF3、-CH(CH3)CH2OH、-CH2(シクロプロピル)、-CH(CH3)(シクロプロピル)、または-CH2(ジメトキシフェニル)である化合物が含まれる。
【0043】
ある実施態様において、式中、R2が、C3-6シクロアルキル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピラゾリル、およびチアゾリルから選択される環状基であり、前記環状基は、F、Cl、-OH、-CN、C1-2アルキル、C1-2フルオロアルキル、C1-2ヒドロキシアルキル、および-S(O)2(C1-2アルキル)から独立して選択される0~3個の置換基で置換される、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。この実施態様には、式中、R2が、シクロプロピル、シクロブチル、ジフルオロシクロブチル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、(メチルスルホニル)ピペリジニル、チアゾリル、または(ジフルオロエチル)ピラゾリルである化合物が含まれる。
【0044】
ある実施態様において、式中、R3が、-CN、-C(O)NRxRxであるか、またはフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリジノニル、およびピリミジニルから選択される環状基であり、各環状基は、F、Cl、-OH、-CN、C1-2アルキル、-CF3、および-CH2OHから選択される0~3個の置換基で置換される、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。この実施態様には、式中、R3が、-CN、-C(O)NH2、ピラゾリル、またはピリジノニルである化合物が含まれる。
【0045】
ある実施態様において、式中、R3が、-CNまたは-C(O)NRxRxである、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。この実施態様には、式中、R3が、-CNまたは-C(O)NHRxである化合物が含まれる。また、この実施態様には、式中、R3が、-CNまたは-C(O)NH2である化合物が含まれる。さらに、この実施態様には、式中、R3が、-CNである化合物が含まれる。
【0046】
ある実施態様において、式中、R3が、フェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリジノニル、およびピリミジニルから選択される環状基であり、各環状基は、F、Cl、-OH、-CN、C1-2アルキル、-CF3、および-CH2OHから選択される0~3個の置換基で置換される、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。この実施態様には、式中、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリジノニル、およびピリミジニルから選択される環状基であり、各環状基は、F、Cl、-OH、-CN、C1-2アルキル、-CF3、および-CH2OHから選択される0~2個の置換基で置換される化合物が含まれる。また、この実施態様には、式中、R3が、ピラゾリルまたはピリジノニルである化合物が含まれる。
【0047】
ある実施態様において、式中、Xが、CHまたはNであり;R1が、(i)-C(O)NRxR1a;または(ii)イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、またはトリアゾリルであり、それぞれR1bで置換され; R1aが、-CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH2CH2CH(CH3)2、-CH2CH2CHF2、-CH2CH2CF3、-CH2CH2C(CH3)2F、-CH2CH2CH(CH3)OH、-CH2C(CH3)2CH2OH、-CH2CH2C(CH3)2OH、-CH2CHFCH(CH3)OH、-CH2CHFC(CH3)2OH、-CH2CH2OCH3、-CH2CH2C(CH3)2NH2、-CH2CF2CH2NH2、-CH2CH2C(CH3)2NHC(O)CH3、-CH(シクロプロピル)CH2CH2OH、-CH2CH2C(CH3)2NHC(O)(シクロプロピル)、R1c、-CH2R1c、または-CH2CH2R1cであり; R1bが、-CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH2CH2CH(CH3)2、-CH2(シクロプロピル)、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、またはモルホリニルであり; R1cが、シクロプロピル、シクロブチル、オキセタニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、ジオキシドテトラヒドロチオフェニル、ジオキシドチオモルホリニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、またはテトラゾリルであり、それぞれF、-OH、-NH2、-CH3、-CH2OH、-C(CH3)2OH、-NHC(O)CH3、-NHC(O)OCH3、および-S(O)2CH3から独立して選択される0~3個の置換基で置換され; R2が、水素、-CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-CH2CHF2、-CH2CF3、-CH(CH3)CH2OH、-CH2(シクロプロピル)、-CH(CH3)(シクロプロピル)、-CH2(ジメトキシフェニル)、シクロプロピル、シクロブチル、ジフルオロシクロブチル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、(メチルスルホニル)ピペリジニル、チアゾリル、または(ジフルオロエチル)ピラゾリルであり;およびR3が、-CN、-C(O)NH2、ピラゾリル、またはピリジノニルである、式(Ic)または式(IIe)の化合物、あるいはその塩が提供される。
【0048】
ある実施態様において、式中、R2が、-CH(CH3)2であり;およびR3が、-CNである、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。
【0049】
ある実施態様において、式中、Xが、CHであり; R2が、-CH(CH3)2であり;およびR3が、-CNである、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。
【0050】
ある実施態様において、式中、Xが、CHであり; R2が、-CH(CH3)2であり;およびR3が、-CNである、式(I)の化合物またはその塩が提供される。
【0051】
ある実施態様において、式中、Xが、CHであり; R2が、-CH(CH3)2であり;およびR3が、-CNである、式(II)の化合物またはその塩が提供される。
【0052】
ある実施態様において、式中、Xが、CHであり; R2が、-CH(CH3)2であり;およびR3が、-CNである、式(Ic)の化合物またはその塩が提供される。
【0053】
ある実施態様において、式中、Xが、CHであり; R2が、-CH(CH3)2であり;およびR3は、-CNである、式(IIc)の化合物またはその塩が提供される。
【0054】
ある実施態様において、式中、R2が、-CH(CH3)2であり;およびR3が、-CNである、式(Ie)の化合物またはその塩が提供される。
【0055】
ある実施態様において、式中、R2が、-CH(CH3)2であり;およびR3が、-CNである、式(IIe)の化合物またはその塩が提供される。
【0056】
ある実施態様において、式中、R1が、-C(O)NHR1aであり;およびR1aは、-CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH2CH2CH(CH3)2、-CH2CH2CHF2、-CH2CH2CF3、-CH2CH2C(CH3)2F、-CH2CH2CH(CH3)OH、-CH2C(CH3)2CH2OH、-CH2CH2C(CH3)2OH、-CH2CHFCH(CH3)OH、-CH2CHFC(CH3)2OH、または-CH2CH2OCH3である、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。この実施態様には、式中、R1aが、-CH2CH2C(CH3)2F、-CH2CH2CH(CH3)OH、-CH2C(CH3)2CH2OH、-CH2CH2C(CH3)2OH、-CH2CHFCH(CH3)OH、または-CH2CHFC(CH3)2OHである化合物が含まれる。
【0057】
ある実施態様において、式中、R1が、-C(O)NHR1aであり; R1aが、-CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH2CH2CH(CH3)2、-CH2CH2CHF2、-CH2CH2CF3、-CH2CH2C(CH3)2F、-CH2CH2CH(CH3)OH、-CH2C(CH3)2CH2OH、-CH2CH2C(CH3)2OH、-CH2CHFCH(CH3)OH、-CH2CHFC(CH3)2OH、または-CH2CH2OCH3であり; R2が、-CH(CH3)2であり;およびR3が、-CNである、式(I)または式(II)の化合物、あるいはその塩が提供される。この実施態様には、Xが、CHである化合物が含まれる。
【0058】
ある実施態様において、式中、R1が、-C(O)NHR1aであり; R1aが、-CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH2CH2CH(CH3)2、-CH2CH2CHF2、-CH2CH2CF3、-CH2CH2C(CH3)2F、-CH2CH2CH(CH3)OH、-CH2C(CH3)2CH2OH、-CH2CH2C(CH3)2OH、-CH2CHFCH(CH3)OH、-CH2CHFC(CH3)2OH、または-CH2CH2OCH3であり; R2が、-CH(CH3)2であり;およびR3が、-CNである、式(Ic)または式(IIc)の化合物、あるいはその塩が提供される。この実施態様には、式中、Xが、CHである化合物が含まれる。
【0059】
ある実施態様において、前記化合物が、(R)-7-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(1);(R)-7-シアノ-4-(エチルアミノ)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(2);(R)-7-シアノ-4-((3,3-ジフルオロシクロブチル)アミノ)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(3);(R)-7-シアノ-4-(シクロブチルアミノ)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(4); 7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(5); 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(6); 7-シアノ-N-((3-(ヒドロキシメチル)オキセタン-3-イル)メチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(7); 7-シアノ-N-((1-(ヒドロキシメチル)シクロプロピル)メチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(8); 7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(9); 7-シアノ-N-((1R,4R)-4-ヒドロキシシクロヘキシル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(10); 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(11); N-((1R,4R)-4-アミノシクロヘキシル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(12); N-((1R,4R)-4-アセトアミドシクロヘキシル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(13); 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(オキサゾール-4-イルメチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(14); 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-((3-メチルイソキサゾール-5-イル)メチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(15); 7-シアノ-N-(1-シクロプロピル-3-ヒドロキシプロピル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(16); 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(2-メトキシエチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(17); 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(チアゾール-2-イルメチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(18); 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(ピペリジン-4-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(19); N-((1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)メチル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(20); 7-シアノ-N-イソペンチル-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(21);(R)-7-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(オキセタン-3-イルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(22);(R)-7-シアノ-4-((1-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(23); 7-シアノ-N-((1s,3s)-3-ヒドロキシシクロブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(24); 7-シアノ-N-(3-ヒドロキシブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(25);(R)-7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-((テトラヒドロフラン-3-イル)アミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(26); 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(27);(S)-7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-((テトラヒドロフラン-3-イル)アミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(28);(S)-7-シアノ-4-((1-シクロプロピルエチル)アミノ)-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(29);(S)-7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(30); 7-シアノ-N-(3,3-ジフルオロプロピル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(31);(R)-4-(sec-ブチルアミノ)-7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(32); 7-シアノ-4-((シクロプロピルメチル)アミノ)-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(33); 7-シアノ-N-(2-シクロプロピルエチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(34); 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(2-モルホリノエチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(35); 7-シアノ-4-((2,2-ジフルオロエチル)アミノ)-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(36); 7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-((2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(37); 7-シアノ-N-(3-フルオロ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(38); 7-シアノ-N-((1R,3R)-3-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)シクロブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(39); 4-(tert-ブチルアミノ)-7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(40); 7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(オキセタン-3-イルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(41); 7-シアノ-4-(オキセタン-3-イルアミノ)-N-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(42); 7-シアノ-N-(2-(3,3-ジフルオロ-1-ヒドロキシシクロブチル)エチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(43); 7-シアノ-4-(シクロプロピルアミノ)-N-((1R,3R)-3-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)シクロブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(44); 7-シアノ-4-(シクロプロピルアミノ)-N-((1R,3R)-3-ヒドロキシシクロブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(45); 7-シアノ-4-(シクロプロピルアミノ)-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(46); N-((1R,3R)-3-アミノシクロブチル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(47); N3-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3,7-ジカルボキサミド(48); N-((1R,3R)-3-アセトアミドシクロブチル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(49); メチル((1R,3R)-3-(7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド)シクロブチル)カルバメート(50); N-(3-アミノ-2,2-ジフルオロプロピル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(51); N-(3-アミノ-3-メチルブチル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(52); 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(2-(ピロリジン-3-イル)エチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(53); 4-アミノ-7-シアノ-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(54); 7-シアノ-4-(エチルアミノ)-N-(2-(ピペリジン-3-イル)エチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(55); 7-シアノ-4-((3,4-ジメトキシベンジル)アミノ)-N-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(56); 7-シアノ-4-(エチルアミノ)-N-(2-(ピロリジン-2-イル)エチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(57); 7-シアノ-4-(エチルアミノ)-N-(2-(ピペリジン-2-イル)エチル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(58); 7-シアノ-N-(3-(シクロプロパンカルボキサミド)-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(59); N-(3-アセトアミド-3-メチルブチル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(60); 7-シアノ-N-((1,1-ジオキシドテトラヒドロチオフェン-3-イル)メチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(61); 7-シアノ-N-(2-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)エチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(62); 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-N-(1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(63);(R)-7-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-((1-(メチルスルホニル)ピペリジン-4-イル)アミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(64); N-(2-(1H-テトラゾール-5-イル)エチル)-7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(65);(R)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-7-(チアゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(66);(R)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-7-(1H-ピラゾール-4-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(67);(R)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-7-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(68);(R)-7-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボキサミド(69); 3-(5-イソブチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル・TFA(70); 4-(イソプロピルアミノ)-3-(5-プロピル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(71); 4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-プロピル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(72); 3-(1-イソペンチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(73); 3-(1-(シクロプロピルメチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(74); 4-(イソプロピルアミノ)-3-(1-(ピペリジン-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(75); 4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-(ピペリジン-4-イル)イソキサゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(76); 4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イソキサゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(77); 4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-(モルホリン-2-イル)イソキサゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(78); 4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-(ピペリジン-3-イル)イソキサゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(79); 4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-(ピペリジン-2-イル)イソキサゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(80);(R)-6-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボキサミド(81);または6-シアノ-N-(2-シクロプロピルエチル)-4-(イソプロピルアミノ)-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボキサミド(82)である、式(I)の化合物またはその塩が提供される。
【0060】
ある実施態様は、IRAK4 IC50の値が≦0.6μMである、式(I)の化合物を提供する。
【0061】
ある実施態様は、IRAK4 IC50の値が≦0.1μMである、式(I)の化合物を提供する。
【0062】
ある実施態様は、IRAK4 IC50の値が≦0.05μMである、式(I)の化合物を提供する。
【0063】
ある実施態様は、IRAK4 IC50の値が≦0.025μMである、式(I)の化合物を提供する。
【0064】
ある実施態様は、IRAK4 IC50の値が≦0.015μMである、式(I)の化合物を提供する。
【0065】
ある実施態様は、IRAK4 IC50の値が≦0.01μMである、式(I)の化合物を提供する。
【0066】
ある実施態様は、IRAK4 IC50の値が≦0.6μMである、式(II)の化合物を提供する。
【0067】
ある実施態様は、IRAK4 IC50の値が≦0.1μMである、式(II)の化合物を提供する。
【0068】
ある実施態様は、IRAK4 IC50の値が≦0.05μMである、式(II)の化合物を提供する。
【0069】
ある実施態様は、IRAK4 IC50の値が≦0.025μMである、式(II)の化合物を提供する。
【0070】
ある実施態様は、IRAK4 IC50の値が≦0.015μMである、式(II)の化合物を提供する。
【0071】
ある実施態様は、IRAK4 IC50の値が≦0.01μMである、式(II)の化合物を提供する。
【0072】
(定義)
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な記載を読むことで、当業者によってさらに容易に理解され得る。明瞭にするために、別の実施態様の文脈の前後に記載される本発明のある特徴を、組み合わせて1つの実施態様を形成してもよいと理解される。逆にまた、簡潔にするために単一の実施態様の文脈に記載される本発明の種々の特徴を、組み合わせてそのサブコンビネーションを形成してもよい。ここで例示または好適として特定される実施態様は、実例を意図とするものであり、制限を目的とするものではない。
【0073】
本明細書において特に断りが無い限り、単数形で表される参照は複数も含んでもよい。例えば、「a」および「an」は「1」、または「1以上」のどちらを指してもよい。
【0074】
本明細書で用いるフレーズ「化合物」は、少なくとも1つの化合物をいう。例えば、式(I)の化合物とは、1つの式(I)の化合物および2以上の式(I)の化合物を含む。
【0075】
特に断りが無い限り、原子価が満たされていないいずれのヘテロ原子にも、原子価を満たすために十分な水素原子が含まれると見なされる。
【0076】
本明細書に記載の定義は、引用により本願明細書に組み込まれたあらゆる特許、特許出願および/または特許出願公報に記載の定義に優先する。
【0077】
本発明を記載するのに使用される種々の用語の定義が以下に列挙される。これらの定義は、(特定の場合で限定されない限り)個々またはより大きなグループの一部として、明細書を通して使用される用語に適用される。
【0078】
本明細書を通して、その基および置換基は、安定した部分および化合物を提供するように当業者により選択され得る。
【0079】
当該分野にて使用される慣習に従って、
【化14】
は、部分または置換基のコアまたは骨格構造への結合点である結合を表すために、本願明細書の構造式にて使用される。
【0080】
本明細書で用いる用語「ハロ」および「ハロゲン」は、F、Cl、Br、およびIをいう。
【0081】
用語「シアノ」は、基-CNをいう。
【0082】
用語「アミノ」は、基-NH2をいう。
【0083】
用語「オキソ」は、基=Oをいう。
【0084】
本明細書で使用される用語「アルキル」とは、例えば、1~12個の炭素原子、1~6個の炭素原子および1~4個の炭素原子を有する、分岐鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基をいう。アルキル基の例は、以下に限定されないが、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n-プロピルおよびi-プロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、およびt-ブチル)、およびペンチル(例えば、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、2-エチルブチル、3-メチルペンチル、および4-メチルペンチルが挙げられる。記号「C」の後に数字が下付きで示される場合、その下付き文字は特定の基が含有し得る炭素原子の数をより具体的に限定する。例えば、「C1-6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖のアルキル基を意味する。
【0085】
本明細書で使用される用語「フルオロアルキル」とは、1つ以上のフッ素原子で置換された、分岐鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を包含することを意図する。例えば、「C1-4フルオロアルキル」とは、1つ以上のフッ素原子で置換された、C1、C2、C3、およびC4アルキル基を包含することを意味する。フルオロアルキル基の代表例は、以下に限定されないが、-CF3および-CH2CF3が挙げられる。
【0086】
用語「ヒドロキシアルキル」とは、1つ以上のヒドロキシル基で置換された、分岐鎖および直鎖の両方の飽和アルキル基を包含する。例えば、「ヒドロキシアルキル」には、-CH2OH、-CH2CH2OH、およびC1-4ヒドロキシアルキルが挙げられる。
【0087】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」とは、飽和環炭素原子より1個の水素原子を取り除くことにより、非芳香族単環式または多環式炭化水素分子より誘導される基をいう。シクロアルキル基の代表例は、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。記号「C」の後に数字が下付きで示される場合、その下付き文字は特定のシクロアルキル基が含有しうる炭素原子の数をより具体的に限定する。例えば、「C3-C6シクロアルキル」は、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。
【0088】
本明細書で使用されるフレーズ「医薬的に許容される」とは、通常の医学的判断の範囲内において、ヒトおよび動物の組織と過度な毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題、もしくは合併症を起こすことなく接触させるのに適しており、合理的なベネフィット/リスク比をもたらす、化合物、物質、組成物、および/または投与剤形のことを示す。
【0089】
式(I)および式(II)の化合物は、非晶質固体または結晶固体として提供され得る。式(I)および式(II)の化合物は、凍結乾燥により非晶質固体として提供され得る。
【0090】
さらに、式(I)および式(II)の化合物の溶媒和物(例えば水和物)も本発明の範囲であると考えられるべきである。用語「溶媒和物」とは、式(I)の化合物または式(II)の化合物と1つまたはそれ以上の有機または無機溶媒分子との物理的結合を意味する。この物理的結合は水素結合を含む。場合によっては、例えば1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれる場合に、溶媒和物を単離することが可能である。「溶媒和物」は溶液相および分離可能な溶媒和物の両方を含む。溶媒和物の例として、水和物、エタノレート、メタノレート、イソプロパノレート、アセトニトリル溶媒和物、および酢酸エチル溶媒和物が挙げられる。溶媒和の方法は当該分野にて公知である。
【0091】
プロドラッグの様々な形態は当該分野にて周知であり、Rautio, J. et al., Nature Review Drug Discovery, 17, 559-587 (2018)に記載されている。
【0092】
加えて、式(I)および式(II)の化合物は、その調製の後で、単離かつ精製され、式(I)および式(II)の化合物を99%以上の量で含有する(「実質的に純粋な」)組成物を得て、次にそれをここに記載されるように使用または製剤化する。かかる「実質的に純粋な」式(I)の化合物および「実質的に純粋な」式(II)の化合物もまた、ここで本発明の一部であると考えられる。
【0093】
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物から有用な純度にまで単離しても、効果的な治療剤に製剤化しても分解しない、十分に強固な化合物であることを意図とする。本発明は安定な化合物を具現化するものとする。
【0094】
「治療上の有効量」とは、IRAK4に対する阻害剤として作用するのに効果的な、または自己免疫性疾患および/または炎症性疾患(例えば多発性硬化症および関節リウマチ)の治療または予防、あるいはがんの治療に効果的な、本発明の化合物単体の量、または特許請求の範囲の化合物を組み合わせた量、あるいは本発明の化合物を他の活性成分と組み合わせた量が含まれることを意図する。
【0095】
本明細書で用いる用語「治療する」または「治療」とは、哺乳類、特にヒトにおける病態の治療において、(a)特に、哺乳類が病態に罹りやすいが、まだ罹患していると診断されていない場合に、該哺乳類が病態に罹患することを防ぐこと;(b)病態を阻害すること、すなわち、病態の進行を阻むこと;および/または(C)病態を緩和すること、すなわち、病態の退行を生じさせることを包含する。
【0096】
本発明の化合物は、化合物に含まれる原子の全ての同位体を含有することを意図する。同位体には、原子番号が同一であるが質量数が異なる原子が含まれる。一般的な例として、以下に限らないが、水素の同位体にはジュウテリウム(D)およびトリチウム(T)が含まれる。炭素の同位体には13Cおよび14Cが含まれる。同位体で標識された本発明の化合物は、一般に当業者に公知の従来の技法、または本明細書に記載されているものと類似の方法により、他で用いられる非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用いて製造することが出来る。例えば、メチル(-CH3)には重水素化メチル基(例えば-CD3)も含む。
【0097】
(有用性)
本発明の化合物は、キナーゼ活性を調節し、これにはIRAK4の調節を含む。本発明の化合物により調節され得るキナーゼ活性のその他のタイプには、以下に限らないが、Pelle/IRAKファミリーおよびその変異体が挙げられる。
【0098】
従って、式(I)および式(II)の化合物はキナーゼ活性の調節(特にIRAK4活性の選択的阻害またはIRAKおよびその他のPelleファミリーキナーゼの阻害)に関する症状を治療するのに有用である。該症状には、細胞内シグナル伝達の結果、サイトカインレベルが調節されたTLR/IL-1ファミリー受容体関連疾患を含む。さらに、式(I)および式(II)の化合物は、RAK4活性に対する有用な選択性を有し、好ましくは、少なくとも20個の折り畳み構造から1,000個以上の折り畳み構造に対するより高い選択性を有する。
【0099】
本明細書で用いる用語「治療する」または「治療」とは、哺乳類、特にヒトにおける病態の治療を包含し、(a)特に、哺乳類が病態に罹りやすいが、まだ罹患していると診断されていない場合に、該哺乳類が病態に罹患することを防ぐこと、または遅延させること;(b)病態を阻害すること、すなわち、病態の進行を阻むこと;および/または(c)症状または病態の完全または部分的軽減を達成すること、および/または疾患または障害および/またはその症状を緩和、改善、軽減、または治癒することを含む。
【0100】
IRAK4の選択的阻害剤としての本発明の化合物の活性を考慮に入れると、式(I)および式(II)の化合物は、TLR/IL-1ファミリー受容体関連疾患の治療に有効である。その疾患とは、以下に限らないが、炎症性疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、移植片対宿主病、同種移植片拒絶反応、慢性閉塞性肺疾患);自己免疫疾患(例えば、バセドウ病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬);自己炎症性疾患(例えば、CAPS、TRAPS、FMF、成人スティル病、全身型若年性特発性関節炎、痛風、痛風性関節炎);代謝性疾患(例えば、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞);骨破壊性疾患(例えば、骨吸収性疾患、骨関節症、骨粗鬆症、多発性骨髄腫関連骨疾患);増殖性障害(例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病);血管新生疾患(例えば、固形腫瘍、眼内血管新生、および小児血管腫を含む血管新生疾患);感染症(例えば敗血症、敗血症性ショック、および細菌性赤痢);神経変性疾患(例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、脳虚血または外傷性神経変性疾患)、腫瘍性疾患(例えば、転移性黒色腫、カポジ肉腫、多発性骨髄腫)およびウイルス性疾患(例えば、HIV感染症およびCMV網膜炎、AIDS)がそれぞれ挙げられる。
【0101】
特に、本発明の化合物で治療されてもよい具体的な症状または疾患には、以下に限らないが、膵炎(急性または慢性)、喘息、アレルギー、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、バセドウ病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、移植片対宿主病、エンドトキシン誘発炎症反応、結核、アテローム性動脈硬化症、筋変性、カヘキシー、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、外傷性関節炎、風疹性関節炎、急性滑膜炎、膵臓β細胞疾患; 大量の好中球浸潤が特徴の疾患;リウマチ性脊椎炎、痛風性関節炎およびその他の関節炎症状、脳マラリア、慢性肺炎症性疾患、珪肺症、肺サルコイドーシス、骨吸収性疾患、同種移植片拒絶反応、感染による発熱および筋肉痛、感染に続くカヘキシー、ケロイド形成、瘢痕組織形成、潰瘍性大腸炎、発熱、インフルエンザ、骨粗鬆症、骨関節炎、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、敗血症、敗血症性ショック、および細菌性赤痢;アルツハイマー病、パーキンソン病、脳虚血または外傷性神経変性疾患; 血管新生疾患(例えば、固形腫瘍、眼内血管新生疾患、および小児血管腫);ウイルス性疾患(例えば、急性肝炎(例えば、A型肝炎、B型肝炎およびC型肝炎)感染、HIV感染症およびCMV網膜炎、AIDS、ARCまたは悪性腫瘍、およびヘルペス;脳卒中、心筋虚血、脳卒中心臓発作における虚血、臓器低酸素症、血管過形成、心臓および腎臓再灌流傷害、血栓症、心肥大、トロンビン誘発血小板凝集、内毒血症および/または毒素性ショック症候群、プロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンダーゼ2関連症状、および尋常性天疱瘡が挙げられる。好ましい治療方法は、症状がクローン病、潰瘍性大腸炎、同種移植片拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、および尋常性天疱瘡から選択されるものである。あるいは、好ましい治療方法は、症状が虚血再灌流障害(例えば、脳卒中による脳虚血再灌流障害および心筋梗塞による心臓虚血再灌流障害)から選択されるものである。その他の好ましい治療方法は、症状が多発性骨髄腫であるものである。
【0102】
ある実施態様において、式(I)および式(II)の化合物は、癌(例えば、ヴァルデンストレーム・マクログロブリン血症(WM)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および原発性CNSリンパ腫)の治療に有効である。
【0103】
さらに、本発明のキナーゼ阻害剤は、誘導型炎症性タンパク質(例えば、プロスタグランジンエンドペルオキシド合成酵素-2(PGHS-2、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)、IL-1、IL-6、IL-18、ケモカインとも称される))の発現を阻害する。従って、さらなるIRAK4関連症状には浮腫、無痛症、発熱および疼痛(例えば神経筋痛、頭痛、がんによる疼痛、歯痛および関節炎痛)が挙げられる。また、本発明の化合物は、動物ウイルス感染症、例えばレンチウイルス感染(例えば、以下に限らないがウマ伝染性貧血ウイルス);またはレトロウイルス感染(ネコ免疫不全ウイルス、ウシ免疫不全ウイルス、およびイヌ免疫不全ウイルス)の治療に用いられてもよい。
【0104】
用語「IRAK4関連症状」または「IRAK4関連疾患または障害」が本明細書で用いられる場合、それぞれは、IRAK4キナーゼ活性の影響を受ける任意の他の症状と同様に、長期間繰り返されるような、上述の全ての症状を包含することを意味する。
【0105】
それ故本発明は、上記の症状を治療する方法を提供し、それは治療上有効量の少なくとも1つの式(I)または式(II)の化合物またはその塩、その治療を必要とする対象に投与することを特徴とする。「治療上の有効量」は、単体で、または組み合わせて投与するときに、IRAK4の阻害および/または疾患の治療に効果的な本発明の化合物の量を含むことを意図する。
【0106】
IRAK4キナーゼ関連症状の治療方法は、式(I)の化合物を単体で、式(II)の化合物を単体で、または互いに組み合わせて、および/またはそのような症状の治療に有効な他の適当な治療剤と組み合わせて投与することを特徴としてもよい。従って、「治療上の有効量」とは、IRAK4の阻害および/またはIRAK4に関連する疾患の治療に効果的な、特許請求された化合物の組み合わせの量を含むことも意図する。
【0107】
その他の治療剤の例として、コルチコステロイド、ロリプラム、カルフォスチン、サイトカイン抑制性抗炎症薬(CSAID)、インターロイキン-10、グルココルチコイド、サリチレート、一酸化窒素、およびその他免疫抑制剤; 核移行阻害剤(例えばデオキシスペルグアリン(DSG))、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(例えば、イブプロフェン、セレコキシブおよびロフェコキシブ)、ステロイド(例えば、プレドニゾンまたはデキサメサゾン)、抗ウイルス薬(例えばアバカビル)、抗増殖剤(例えば、メトトレキサート、レフルノミド、FK506 (タクロリムス、PROGRAF(登録商標)))、抗マラリア薬(例えばヒドロキシクロロキン)、細胞毒性薬(例えば、アザチオプリンおよびシクロホスファミド)、TNF-α阻害剤(例えば、テニダップ、抗TNF抗体または可溶性TNF受容体、およびラパマイシン(シロリムスまたはRAPAMUNE(登録商標)))、またはその誘導体が挙げられる。
【0108】
上記のその他の治療剤は、本発明の化合物と組み合わせて使用する場合、例えば、米医薬品便覧(PDR)に記載の量、または当業者によって定められた量で使用されてもよい。本発明の方法において、その他の治療剤は、本発明の化合物の投与の前、同時、または後に投与されてもよい。また、本発明はIRAK4キナーゼ関連の症状(例えば、上記に記載のTLRおよびIL-1ファミリー受容体介在疾患)の治療が可能な医薬組成物も提供する。
【0109】
本発明の組成物は、例えば、従来の固体または液体ビークルまたは希釈剤、ならびに所望の投与方法に適切なタイプの医薬品添加物(例えば、添加物、結合剤、防腐剤、安定化剤、香味剤など)を用いて、医薬製剤の分野の当業者に周知の技法に従って上記に記載のその他の治療剤を含み、製剤化してもよい。
【0110】
従って、本発明はさらに、1つ以上の式(I)および/または式(II)の化合物および医薬的に許容される担体を包含する組成物を含む。
【0111】
「医薬的に許容される担体」とは、生物学的活性剤を動物、特に哺乳類に運搬する分野において一般に許容される媒体をいう。医薬的に許容される担体は、十分に当業者の専門技術内である多くの要因に従って処方される。これらの要因には、以下に限らないが、処方される活性剤のタイプおよび性質、その活性剤を含有する組成物が投与される患者、その組成物の意図された投与経路、および目標とされる治療指標が挙げられる。医薬的に許容される担体には、水性および非水性の両方の液体媒体、ならびに様々な固体および半固体の投与剤形を包含する。そのような担体は、活性剤に加え、多くの異なる成分および添加剤を包含することができ、かかる付加的な成分は様々な理由で、例えば、当業者に公知の活性剤、結合剤などの安定化の理由で製剤中に含まれる。適当な医薬的に許容される担体、およびそれを選択する際の要因の説明は、入手が容易な様々な文献、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th Edition (1985)に記載され、その内容は全て参照により本明細書に援用される。
【0112】
式(I)に記載の化合物は、治療する症状に対して適切な任意の方法により投与され得て、その方法は、部位に応じて必要とされる治療または運搬されるべき式(I)の化合物の量によって変化し得る。
【0113】
式(II)に記載の化合物は、治療する症状に対して適切な任意の方法により投与され得て、その方法は、部位に応じて必要とされる治療または運搬されるべき式(II)の化合物の量によって変化し得る。
【0114】
また、本発明には、式(I)の化合物および/または式(II)の化合物、および毒性がなく、医薬的に許容される1つ以上の担体および/または希釈剤および/またはアジュバント(本明細書で「担体」と総称される物質)および、所望により他の活性成分とを含む、医薬組成物の類が含まれる。式(I)および式(II)の化合物は、いずれかの適切な経路により、好ましくはそのような経路に適応する医薬組成物の形態、および予定される治療に効果的な投薬量で投与されてもよい。本発明の化合物および組成物は、例えば、経口的、経粘膜的、または血管内的、静脈内的、腹腔内的、皮下的、筋肉内的、および胸骨内的を含む非経口的に、医薬的に許容される従来の担体、アジュバント、およびビークルを含有する投与単位製剤にて投与されてもよい。例えば、医薬担体には、マンニトールまたはラクトースおよび微結晶セルロースの混合物を包含してもよい。該混合物は、例えば滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム)および崩壊剤(例えばクロスポビドン)などの添加成分を包含してもよい。担体混合物はゼラチンカプセルに充填されてもよいか、または錠剤として圧縮されてもよい。医薬組成物は、例えば経口剤形または点滴として投与されてもよい。
【0115】
経口投与用として、医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、液体カプセル、懸濁液、または液体の形態であってもよい。医薬組成物は、好ましくは特定の活性成分量を有する投与単位剤形で製剤化される。例えば、医薬組成物は、約0.1から1000mg、好ましくは約0.25から250mg、より好ましくは約0.5から100mgの範囲の活性成分量を含む錠剤またはカプセルとして提供されてもよい。ヒトまたはその他の哺乳類に投与する適切な1日用量は、患者の病状およびその他の要因によって大幅に変更されてもよいが、慣用的方法を用いて決定され得る。
【0116】
本明細書で検討される医薬組成物はいずれも、例えば、許容され、かつ適切ないずれかの経口製剤を介して経口的に運搬され得る。経口製剤の例として、以下に限らないが、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性および油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルジョン、ハードおよびソフトカプセル、液体カプセル、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。経口投与用の医薬組成物は、経口投与用の医薬組成物を製造する分野で公知のいずれかの方法に従って製造され得る。医薬的に飲みやすい製剤を提供するために、本発明に記載の医薬組成物は、甘味剤、風味剤、着色剤、粘滑剤、抗酸化剤、および防腐剤から選択される少なくとも1つの物質を包含し得る。
【0117】
錠剤は、例えば、少なくとも1つの少なくとも1つの式(I)および/または式(II)の化合物と、少なくとも1つの毒性がなく医薬的に許容される、錠剤の製造に適切な添加剤を混合することで製造され得る。添加剤の例として、以下に限らないが、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、およびリン酸ナトリウム)、造粒剤および崩壊剤(例えば、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、およびアルギン酸)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、およびアラビアガム)、および滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびタルク)が挙げられる。さらに、錠剤は被膜されていないか、または不快な薬物の嫌な味をマスキングするため、またはその消化管での活性成分の崩壊および吸収を遅延させ、より長期間にわたって活性成分の効果を持続させるために、公知の技術で被膜され得る。水可溶性味マスキング材料の例として、以下に限らないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。時間遅延材料の例として、以下に限らないが、エチルセルロースおよび酢酸酪酸セルロースが挙げられる。
【0118】
ハードゼラチンカプセルは、例えば、少なくとも1つの式(I)および/または式(II)の化合物を、少なくとも1つの不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびカオリン)と混合することにより製造され得る。
【0119】
ソフトゼラチンカプセルは、例えば、少なくとも1つの式(I)および/または式(II)の化合物の化合物を、少なくとも1つの水可溶性担体(例えば、ポリエチレングリコール)、および少なくとも1つの油性媒体(例えば、ピーナツ油、液体パラフィン、およびオリーブ油)と混合することに製造され得る。
【0120】
水性懸濁液は、例えば、少なくとも1つの式(I)および/または式(II)の化合物を、少なくとも1つの水性懸濁液の製造に適切な添加剤を混合することにより製造され得る。水性懸濁液の製造に適切な添加剤の例としては、以下に限らないが、例えば、懸濁化剤(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、およびアラビアガム)、分散剤または湿潤剤(例えば、天然に存在するフォスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、およびエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えばポリエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。また、水性懸濁液は、少なくとも1つの防腐剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エチルおよびn-プロピルp-ヒドロキシ安息香酸)、少なくとも1つの着色剤、少なくとも1つの風味剤、および/または少なくとも1つの甘味剤(以下に限らないが、例えば、スクロース、サッカリン、およびアスパルテーム)を包含し得る。
【0121】
油性懸濁液は、例えば、少なくとも1つの式(I)および/または式(II)の化合物を、植物油(例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、およびココナッツ油)、または鉱油(例えば液体パラフィン)のいずれかに懸濁することにより製造され得る。また、油性懸濁液は、少なくとも1つの濃化剤(例えば、蜜蝋、固形パラフィン、およびセチルアルコール)を包含し得る。飲みやすい油性懸濁液を提供するために、少なくとも1つの既に上記に記載の甘味剤、および/または少なくとも1つの風味剤が油性懸濁液に添加され得る。油性懸濁液は、さらに少なくとも1つの防腐剤(以下に限らないが、例えば、抗酸化剤(例えば、ブチルヒドロキシアニソール、およびα-トコフェロール)を包含し得る。
【0122】
分散性粉末および顆粒は、例えば、少なくとも1つの式(I)および/または式(II)の化合物の化合物を、少なくとも1つの分散剤および/または湿潤剤、少なくとも1つの懸濁化剤、および/または少なくとも1つの防腐剤を混合することにより製造され得る。適切な分散剤、湿潤剤、および懸濁化剤は既に上記に記載されている。防腐剤の例として以下に限らないが、例えば、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)が挙げられる。さらに、分散性粉末および顆粒は、また、少なくとも1つの賦形剤(以下に限らないが、例えば、甘味剤、風味剤、および着色剤)を包含し得る。
【0123】
少なくとも1つの式(I)および/または式(II)の化合物の少なくとも1つのエマルジョンは、例えば、水中油型エマルジョンとして製造され得る。式(I)および/または式(II)の化合物を含むエマルジョンの油相は、既知の方法で既知の成分から構成されてもよい。該油相は以下に限らないが、例えば、植物油(例えば、オリーブ油および落花生油)、鉱油(例えば液体パラフィン)、およびその混合物により提供され得る。油相は乳化剤のみを包含するものであってもよいが、少なくとも1つの乳化剤と脂肪または油、または脂肪および油の両方の混合物を包含してもよい。適切な乳化剤には、以下に限らないが、例えば、天然に存在するフォスファチド(例えば大豆レシチン)、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル(例えばソルビタンモノオレエート)、および部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。好ましくは、親水性乳化剤が、安定化剤として作用する親油性乳化剤と共に含まれる。また、油および脂肪の両方を包含することも好ましい。併せて、乳化剤は、安定化剤と共に、または無しで、いわゆる乳化ワックスを作り上げ、およびそのワックスは、油および脂肪と共にクリーム製剤の油性分散相を形成する、いわゆる乳化軟膏基剤を作り上げる。エマルジョンはまた、甘味剤、風味剤、防腐剤、および/または抗酸化剤を包含し得る。本発明の製剤中での使用に適切な乳化剤およびエマルジョン安定化剤には、単体またはワックスと一緒になったTween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、ジステアリン酸グリセリル;または当該分野に公知の他の物質が挙げられる。
【0124】
また、式(I)および/または式(II)の化合物は、例えば、いずれの医薬的に許容され、かつ適切な注射形態を介して静脈内、皮下内、および/または筋肉内に運搬され得る。注射形態の例として、以下に限らないが、例えば、許容されるビークルおよび溶媒(例えば、水、リンゲル液、および塩化ナトリウム等張液)を含む無菌水溶液、無菌水中油型マイクロエマルジョン、および水性または油性懸濁液が挙げられる。
【0125】
非経口投与用製剤は、水性または非水性等張無菌注射液または懸濁液の形態であってもよい。これらの溶液および懸濁液は、経口投与用の製剤中での使用について記載される1つ以上の担体または希釈剤を用いるか、または他の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いることにより、無菌粉末または顆粒から調製されてもよい。該化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、ピーナツ油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、トラガカントガム、および/または様々な緩衝液に溶解させてもよい。その他のアジュバントおよび投与方法は、医薬分野において公知であり、広く知られている。また、その活性成分は適切な担体(例えば、生理食塩水、デキストロース、または水)、またはシクロデキストリン(すなわちCaptisol)、可溶化共溶媒(すなわちプロピレングリコール)、または可溶化ミセル(すなわちTween 80)との組成物として、注射により投与されてもよい。
【0126】
また、無菌注射製剤とは、毒性がなく、非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射溶液または懸濁液(例えば1,3-ブタンジオール中の溶液)であってもよい。許容されるビークルおよび溶媒のうち、使用されてもよいものは、水、リンゲル液、および塩化ナトリウム等張液である。さらに、無菌不揮発油は、溶媒または懸濁媒体として慣例的に用いられている。このために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む、いずれの無菌不揮発油が用いられてもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射製剤として使用される。
【0127】
無菌注射水中油型マイクロエマルジョンは、例えば以下によって製造され得る。1)少なくとも1つの式(I)および/または式(II)の化合物を油相(例えば、ダイズ油およびレシチンの混合物)に溶解し、2)式(I)を含有する油相を、水およびグリセロールの混合物と組み合わせ、3)その組み合わせたものを処理してマイクロエマルジョンを形成する。
【0128】
無菌水性懸濁液または無菌油性懸濁液は、当業者に公知の方法に従って製造され得る。例えば、無菌水溶液または無菌水性懸濁液は、毒性がなく、非経口的に許容される希釈剤または溶媒(例えば1,3-ブタンジオール)を用いて調製され得、無菌油性懸濁液は、無菌の毒性のない許容される溶媒または懸濁媒体(例えば、無菌不揮発油(例えば、合成モノグリセリドまたはジグリセリド)、および脂肪酸(例えばオレイン酸)を用いて製造され得る。
【0129】
本発明の医薬組成物に使用され得る医薬的に許容される担体、アジュバント、およびビークルには、以下に限らないが、イオン交換体、アルミナ、アルミニウムステアレート、レシチン、自己乳化ドラッグデリバリーシステム(SEDDS)(例えばd-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート)、医薬剤形に用いられる界面活性剤(例えば、Tween、ポリエトキシ化ヒマシ油(例えばCREMOPHOR界面活性剤(BASF)、またはその他の類似するポリマーデリバリーマトリックス)、血清タンパク質(例えばヒト血清アルブミン)、緩衝液物質(例えば、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム)、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂)が挙げられる。また、シクロデキストリン(例えば、α-、β-、およびγ-シクロデキストリン、または化学的に修飾された誘導体(例えば、2-および3-ヒドロキシプロピルシクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリン、またはその他の可溶化誘導体))も、本明細書に記載の式の化合物の運搬を増進するために有効利用されてもよい。
【0130】
本発明の医薬的に活性な化合物は、患者(例えば、ヒトおよびその他の哺乳類)に投与する薬剤を調製するために、従来の薬学の方法に従って処理され得る。医薬組成物は、従来の製薬操作(例えば滅菌処理)に供されてもよく、および/または従来のアジュバント(例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝液など)を包含してもよい。錠剤および丸剤は、加えて腸溶性被覆剤を用いて調製され得る。また、そのような組成物は、アジュバント(例えば湿潤剤、甘味剤、風味剤、および芳香剤)も包含し得る。
【0131】
本発明の化合物および/または組成物を用いて病状を治療するために投与される化合物の量、および投与計画は、様々な要因(例えば、年齢、体重、性別、患者の病状、疾患のタイプ、疾患の危篤度、投与経路および投与頻度、および利用される特定の化合物)に依存する。それ故、投与計画は大幅に変更されてもよいが、標準的方法を用いて規定通りに決定され得る。1日用量は、約0.001から100mg/体重kg、好ましくは約0.0025から約50mg/体重kgの間、および最も好ましくは約0.005から10mg/体重kgの間が適切であり得る。1日用量は1日に1から4回投与され得る。その他の投与計画として、週に1回および2日に1回のサイクルが挙げられる。
【0132】
治療のために、本発明の活性化合物は、通常意図された投与経路に適切な1つ以上のアジュバントと組み合わせられる。経口投与される場合、該化合物は、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、マグネシウムオキシド、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはポリビニルアルコールと混合されてもよく、次いで簡便な投与用に錠剤化またはカプセル化されてもよい。そのようなカプセルまたは錠剤は放出制御製剤を包含してもよく、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中に活性化合物を分散して提供されてもよい。
【0133】
本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの式(I)の化合物、およびいずれの医薬的に許容される担体、アジュバント、およびビークルから選択される添加剤を適宜包含する。本発明の別の組成物には、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはそのプロドラッグ、および医薬的に許容される担体、アジュバント、またはビークルを包含する。
【0134】
本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの式(II)の化合物、およびいずれの医薬的に許容される担体、アジュバント、およびビークルから選択される添加剤を適宜包含する。本発明の別の組成物には、本明細書に記載の式(II)の化合物、またはそのプロドラッグ、および医薬的に許容される担体、アジュバント、またはビークルを包含する。
【0135】
また、本発明は製造品を包含する。本明細書で使用される製造品とは、以下に限らないが、キットおよびパッケージを含むことを意図する。本発明の製造品は、(a)第1の容器、(b)第1の容器内に入れられる医薬組成物(ここで該組成物は、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩の形態を含む、第1の治療剤を包含する)、および(c)該医薬組成物が、上記で定義される循環器疾患、利尿、および/またはナトリウム利尿の治療に利用出来ることを記載する添付文書を包含する。その他の実施態様において、添付文書では、該医薬組成物が、第2の治療剤と(上記で定義されるように)組み合わせて、循環器疾患、利尿、および/またはナトリウム利尿の治療に利用できることが記載される。該製造品はさらに、(d)第2の容器(ここで構成要素(a)および(b)は、第2の容器内に入れられ、構成要素(c)は、第2の容器の内または外に位置する)を包含し得る。第1および第2の容器に位置するとは、各容器が該アイテムを領域内に保持することを意味する。
【0136】
第1の容器は、医薬組成物を保持するために用いられる容器である。この容器は、製造、保管、配送、および/または個別/大量販売のためのものであり得る。第1の容器とは、ボトル、ジャー、バイアル、フラスコ、シリンジ、チューブ(例えばクリーム製剤用)、または医薬製剤の製造、保持、保管、または流通に用いられる任意の他の容器を含むことを意図する。
【0137】
第2の容器は、第1の容器、および所望により添付文書を保持するためのものである。第2の容器の例には、以下に限らないが、箱(例えば、ボール紙またはプラスチック)、木箱、段ボール箱、袋(例えば、紙またはプラスチックの袋)、ポーチ、および布袋が挙げられる。添付文書は、第1の容器にテープ、接着剤、ホッチキス、またはその他の付着方法により物理的に付着され得るか、または第1の容器に物理的手段で付着させることなく、第2の容器内に存在し得る。あるいは、添付文書は第2の容器の外側に位置する。第2の容器の外側に位置する場合、添付文書は、テープ、接着剤、ホッチキス、またはその他の付着方法により物理的に付着されることが好ましい。あるいは、物理的に付着させることなく第2の容器の外側に近接または接触し得る。
【0138】
添付文書とは、第1の容器内に配置される医薬組成物に関連する情報を記載するラベル、タグ、マーカー、またはその他の記載物である。記載される情報は、通常、該製造品が販売される地域を管理する規制当局(例えばアメリカ食品医薬品局)により決定される。好ましくは、添付文書は、該医薬組成物が認可されていることの表示を具体的に記載する。添付文書は、人がその中またはその上に含まれる情報を読むことが出来る、任意の材料で作成されてもよい。好ましくは、添付文書は、その上に所望の情報が掲載される(例えば、印刷または貼り付けされる)、印刷可能な材質(例えば、紙、プラスチック、ボール紙、ホイル、接着剤付きの紙またはプラスチック等)である。
【0139】
(製造方法)
本発明の化合物は、有機合成の当業者に周知の様々な方法で製造され得る。本発明の化合物は、下記の方法、および有機化学合成の分野に公知の合成方法、または当業者に理解されるそのバリエーションを用いて製造され得る。好ましい方法には、これに限らないが、下記のものが挙げられる。
【0140】
このセクションに記載の反応および技法は、用いる試薬および物質に適した溶媒中で実施され、もたらされる変換に適切である。また、以下に記載の合成方法の説明において、提示した反応条件(溶媒の選択、反応雰囲気、反応温度、実験時間およびワークアップ方法を含む)は全て、該反応の標準である条件となるように選択されていると理解され、それは当業者によって容易に認識されるべきである。分子の様々な部分に存在する官能基が、提示された試薬および反応に適合しなければならないことは、有機合成の分野の当業者により理解される。反応条件に適合する置換基がそのように制限されることは当業者にとっては容易に明白であり、代替方法が用いられなくてはならない。該反応は本発明の所望の化合物を得るために、合成ステップの順序の変更またはある特定の反応過程を異なるものに選択する判断が必要な場合もある。また、この分野のあらゆる合成経路計画における、もう1つの重要な検討対象は、本発明に記載の所望の化合物に存在する反応性官能基の保護に用いる保護基の賢明な選択であると認識される。熟練した実験者に対し、多くの保護基の代替案を記載している権威ある文献としてGreeneら著のProtective Groups In Organic Synthesis(Third Edition,Wiley & Sons, 1999)が挙げられる。
【0141】
適切に置換されたジクロロピリジン2a-1を出発物質として、一般式Iの化合物を製造し得る別法をスキーム1に略述する。ピリジン2a-1を様々なアミンと反応させ、中間体2a-2が得られうる。さらに、一般的なクロスカップリングの方法を用いて2a-1を反応させ、2-アリールで置換された中間体2a-3が得られうる。2a-3のニトロ基は適切な試薬(例えば水素存在下のパラジウム触媒)を用いてアミンに還元し、アミン2a-4が得られうる。2a-4を適切な溶媒(例えばNMPまたはDMA)中、環化が起こり得る温度(一般に>120℃)で加熱し、最終化合物が製造され得る。
【化15】
【0142】
別の一般式の化合物は、スキーム2に略述する方法に従って製造され得る。Bocアミノ臭化物2b-1は適切な塩基およびアルキル化試薬を用いてアルキル化し、2b-2が得られうる。2b-2から2b-3への環化は、適当な溶媒(例えばTHF)中、強塩基(例えばカリウムtert-ブトキシド)との反応で開始し得る。2b-4への脱カルボキシル化は、強酸(例えばTFA)の存在下で行われ得る。さらに、2-(エトキシメチレン)マロン酸ジエチルとの反応により得られた2b-5は、その高温での処理により環化し、三環化合物2b-6が得られうる。この三環臭化物をシアン化試薬と反応させることにより2b-7が得られ、次いでさらにクロロ化試薬(例えばPOCl
3)と反応させることで、2b-8が得られうる。様々な求核性アミンとの処理により中間体(例えば2b-9)が得られ、そのエステル基を一般的な鹸化条件で加水分解し、2b-10が得られうる。この酸中間体をアミド結合カップリング剤(例えばHATU)の存在下で様々なアミンと処理し、一般式Iの化合物が得られうる。
【化16】
あるいは、スキーム3に略述するように、中間体2b-6をクロロ化試薬(例えばPOCl
3)を用いた処理により塩化物3-1に変換し、次いでさらにアミンと反応させ、3-2のような中間体が得られうる。3-2を、クロスカップリング触媒の存在下、様々なアリールクロスカップリング剤(例えばピラゾール-3-ボロン酸)で反応させ、3-3のような中間体を得てもよい。上述の通り3-4に加水分解し、アミンとカップリングすることでアミド結合を形成し、別の一般式Iの化合物が得られうる。
【化17】
【0143】
さらに別の一般式Iの化合物の製造法をスキーム4に略述する。ニトロアザインドール4-1を還元剤(例えばZnおよびNH
4Cl)と反応させ、アミン4-2が得られうる。このアミンを2-(エトキシメチレン)マロン酸ジエチルで処理して4-3を得て、これをさらに強酸(例えばPPA)の存在下で加熱することにより4-4に環化し得る。続く塩素化およびアミン置換により、4-5のような中間体が得られ、これをさらにシアン化試薬で反応させることにより中間体4-6が得られる。加水分解を行って4-7とし、様々なアミンとの反応によりアミド結合を形成して別の一般式(I)の化合物が得られうる。
【化18】
【0144】
スキーム5は、上述のスキーム中に記載された酸中間体5-1から1,2,4トリアゾール類似体への合成に焦点を当てている。簡潔に述べると、5-1を様々な置換アルキルイミド酸、続いてヒドラジンと反応させることで一般式(I)のトリアゾールが得られうる。
【化19】
【0145】
一般中間体構造6-1のエステルを適当な還元剤(例えばDIBAL-H)によりアルデヒド6-2に変換し、次いでさらに利用可能な文献に記載の一般的な方法を用いてアルキン6-3に変換され得る。銅触媒の存在下、6-3を適切に置換されたアジ化物(例えばシクロプロピルメチルアジド)と処理し、一般式(I)の化合物が得られうる。
【化20】
【0146】
あるいは、スキーム7中の中間体6-3を、アミン(例えばTEA)の存在下、アルキルクロロオキシムと反応させ、別の一般式Iの化合物を得てもよい。
【化21】
【0147】
スキーム8に略述する方法に従って別系統の化合物が製造され得る。アリール臭化物8-1を適切に置換されたピリジンホウ酸エステルと反応させ、中間体8-2が得られうる。溶媒(例えばジクロロベンゼン)中、DPPEの存在下で8-2を加熱することにより、環状中間体8-3が得られうる。酸化剤(例えば過酸化水素)で8-3を処理してN-オキシド(8-4)を得て、これを高温でアミンと処理することで8-5が得られうる。加水分解を行って8-6とし、一般的なアミンとアミド結合を形成し、別の一般式(I)の化合物が得られうる。
【化22】
【0148】
(実施例)
本発明の化合物および本発明の化合物の製造に用いる中間体は、次の実施例に示される方法および関連する方法を用いて製造され得る。これらの実施例に使用される方法および条件、ならびにこれらの実施例で製造される実際の化合物は、限定を意味するものではなく、本発明の化合物がどのように製造され得るかを説明するものであることを意味する。これらの実施例で使用される出発物質および試薬は、本明細書に製造方法が記載されていない場合、一般に商業的に入手可能であるか、または化学文献にて報告されているか、あるいは化学文献に記載の工程を用いることにより調製されてもよい。本発明は、次の実施例においてさらに定義される。該実施例は説明によってのみ与えられると理解されるべきである。上記の検討および実施例から、当業者は本発明に本質的な特徴を解明することが出来、発明の精神および範囲から離れることなく、本発明を幅広い条件および用途に適応させるために変更および修正を行うことが出来る。その結果、本発明は以下で説明する実施例によって制限されず、むしろ本明細書に添付の請求項により定義される。
【0149】
記載の実施例において、フレーズ「乾燥および濃縮した」は、一般に、有機溶媒中の溶液を硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウムのいずれかで乾燥し、続いて濾過し、濾液から溶媒を(一般に減圧下、製造する物質の安定性に適する温度で)除去することをいう。
【0150】
カラムクロマトグラフィーは、Isco中圧クロマトグラフィー装置(Teledyne Corporation)を用いて充填済みシリカゲルカートリッジで、示した溶媒または混合溶媒で溶出して行われた。分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、分離する物質の量に適切なサイズの逆相カラム(Waters Sunfire C
18、Waters XBridge C
18、PHENOMENEX(登録商標)Axia C
18、YMC S5 ODSなど)を用いて行い、一般に、0.05%または0.1%トリフルオロ酢酸または10mM酢酸アンモニウムも含む水中の、メタノールまたはアセトニトリルの濃度を上昇させるグラジエントで溶出し、カラムサイズに適切な溶出速度で分離した。化学名は、ChemDraw Ultra(version 9.0.5(CambridgeSoft))を用いて決定した。以下の略語が用いられる。
【表1】
【0151】
実施例1
(R)-7-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド
【化23】
【0152】
方法1:
中間体1A: 6-クロロ-4-(イソプロピルアミノ)-5-ニトロニコチン酸エチル
【化24】
4,6-ジクロロ-5-ニトロニコチン酸エチル(0.28g、1.06mmol)、プロパン-2-アミン(0.066g、1.11mmol)、およびトリエチルアミン(0.294mL、2.11mmol)/アセトニトリル(5mL)の溶液を室温で2時間撹拌した。この反応混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄し、乾燥(MgSO
4)し、濃縮した。得られた粗製物質をISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘキサン/酢酸エチル 100:0~0:100のグラジエント)で精製し、6-クロロ-4-(イソプロピルアミノ)-5-ニトロニコチン酸エチル(0.297g、98%収率)を黄色の油状物として得た。
1H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 8.92 (d, J=7.7Hz, 1H), 8.73 (s, 1H), 4.39 (q, J=7.1Hz, 2H), 3.65-3.50 (m, 1H), 1.45-1.38 (m, 3H), 1.25 (d, J=6.2Hz, 6H); LCMS m/z 288.2(M+1)
【0153】
中間体1B: 6-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)-4-(イソプロピルアミノ)-5-ニトロニコチン酸エチル
【化25】
6-クロロ-4-(イソプロピルアミノ)-5-ニトロニコチン酸エチル(67mg、0.23mmol)、(4-シアノ-2-フルオロフェニル)ボロン酸(42.2mg、0.26mmol)、炭酸ナトリウム(49.4mg、0.47mmol)、およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(16.4mg、0.023mmol)/EtOH(1.5mL)およびトルエン(2mL)の混合物を窒素で脱気し、80℃で終夜撹拌した。この反応混合物を濃縮し、EtOAcで希釈し、水で洗浄し、有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮した。得られた粗製物を用いてISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘキサン/酢酸エチル 100:0~50:50のグラジエント)を精製し、6-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)-4-(イソプロピルアミノ)-5-ニトロニコチン酸エチル(50.7mg、59%収率)を帯黄色褐色固体得た。
1H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 9.03-8.95 (m, 2H), 7.57-7.43 (m, 3H), 4.43 (q, J=7.1Hz, 2H), 3.54 (dt, J=8.8, 6.3Hz, 1H), 1.47-1.41 (m, 3H), 1.28-1.22 (m, 6H); LCMS m/z 373.1(M+1)
【0154】
中間体1C: 5-アミノ-6-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)-4-(イソプロピルアミノ)ニコチン酸エチル
【化26】
6-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)-4-(イソプロピルアミノ)-5-ニトロニコチン酸エチル(50mg、0.134mmol)および鉄(30mg、0.537mmol)/酢酸(4mL)の混合物を80℃で1時間撹拌し、混合物を室温に冷却し、セライト濾過し、濃縮した。濃縮した濾液をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3、水で洗浄し、有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮し、粗製5-アミノ-6-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)-4-(イソプロピルアミノ)ニコチン酸エチル(40.6mg、88%収率)を褐色粘着性物質として得た。
1H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 8.65 (s, 1H), 7.75-7.67 (m, 1H), 7.60 (dd, J=7.9, 1.5Hz, 1H), 7.51 (dd, J=9.2, 1.3Hz, 1H), 7.05-6.93 (m, 1H), 4.40 (q, J=7.2Hz, 2H), 4.06-3.88 (m, 1H), 1.42 (t, J=7.1Hz, 3H), 1.21 (d, J=6.4Hz, 6H); LCMS m/z 343.2(M+1)
【0155】
中間体1D: 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル
【化27】
5-アミノ-6-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)-4-(イソプロピルアミノ)ニコチン酸エチル(40mg、0.117mmol)および炭酸カリウム(64.6mg、0.467mmol)/DMA(0.5mL)の混合物を140℃で終夜撹拌し、室温に冷却し、EtOAcで希釈した。有機層を飽和NaHCO
3および水で洗浄し、次いで有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮した。得られた粗製生成物は、分取HPLC(Phen Luna Axia C18 5μm; 30x100mmカラム; 検出: 220nm; 流速=40mL/分; グラジエント: 20%B~100%Bに10分かけて溶出後、100%Bで5分間溶出; A=10:90:0.1 MeOH-H
2O-TFAおよびB=90:10:0.1 MeOH-H
2O-TFA)を用いて精製し、7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル・TFA(9.6mg、19%収率)を灰白色固体として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 11.99 (br s, 1H), 8.97 (s, 1H), 8.43 (d, J=8.6Hz, 1H), 8.19 (s, 1H), 7.70 (d, J=8.3Hz, 1H), 4.62 (br s, 1H), 4.41 (q, J=7.0Hz, 2H), 1.49-1.32 (m, 9H); LCMS m/z 323.2(M+1)
【0156】
方法2:
中間体1E: tert-ブチル(5-ブロモ-2-シアノフェニル)カルバメート
【化28】
2-アミノ-4-ブロモベンゾニトリル(5g、25.4mmol)、二炭酸ジ-tert-ブチル(6.65g、30.5mmol)、DMAP(3.10g、25.4mmol)、およびトリエチルアミン(3.54mL、25.4mmol)/DCM(100mL)の混合物を室温で終夜撹拌し、LCMSによりモノBoc生成物およびビスBoc生成物、ならびに出発物質が観測された。さらに0.5当量のBOC
2O(3g)を加え、18時間撹拌を続けた。この反応混合物を次いで水で洗浄し、乾燥(MgSO
4)し、濃縮した。粗製物質をISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘキサン/DCM 100:0~0:100のグラジエント)で精製し、tert-ブチル(5-ブロモ-2-シアノフェニル)カルバメート(4.5g、54%収率)を白色固体として得た。
【0157】
中間体1F: tert-ブチルN-(5-ブロモ-2-シアノフェニル)-N-(tert-ブトキシカルボニル)グリシネート
【化29】
60%NaH(0.727g、18.2mmol)/DMF(80mL)の懸濁液に、tert-ブチル(5-ブロモ-2-シアノフェニル)カルバメート(4.5g、15.1mmol)/DMF(20mL)溶液、続いてtert-ブチル2-ブロモアセテート(2.407mL、16.7mmol)を加え、室温で20分間撹拌し、反応を水でクエンチした。混合物をEtOAcで抽出し、有機層をさらに飽和NaHCO
3および水で洗浄し、有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮し、粗製物質をISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘキサン/酢酸エチル 100:0~50:50のグラジエント)で精製し、tert-ブチルN-(5-ブロモ-2-シアノフェニル)-N-(tert-ブトキシカルボニル)グリシネート(6.05g、78%収率)を黄色の油状物として得た。放置している間に生成物は固化した。
【0158】
中間体1G: ジ-tert-ブチル3-アミノ-6-ブロモ-1H-インドール-1,2-ジカルボキシレート
【化30】
tert-ブチル2-((5-ブロモ-2-シアノフェニル)(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)アセテート(6g、14.6mmol)/THF(100mL)の溶液に、カリウムtert-ブトキシド(1.80g、16.1mmol)を2回に分けて加え、室温で30分間撹拌した。LCMSにて、反応が完了したことが示された。混合物を水に加え、EtOAcで抽出し、乾燥(MgSO
4)し、濃縮した。得られた粗製物をDCMに溶解し、白色沈殿形成後、ソニケーションを行った。固体を回収し、ジ-tert-ブチル3-アミノ-6-ブロモ-1H-インドール-1,2-ジカルボキシレート(2.06g、34%収率)を白色固体として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 7.98 (d, J=1.6Hz, 1H), 7.88 (d, J=8.4Hz, 1H), 7.44 (dd, J=8.4, 1.7Hz, 1H), 6.28-6.23 (m, 2H), 1.54 (d, J=5.6Hz, 18H)
【0159】
中間体1H: 6-ブロモ-1H-インドール-3-アミン
【化31】
ジ-tert-ブチル3-アミノ-6-ブロモ-1H-インドール-1,2-ジカルボキシレート(2.06g、5.0mmol)およびTFA(5mL、65mmol)/DCM(10mL)の溶液を室温で3時間撹拌し、濃縮し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3、次いで水で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮し、6-ブロモ-1H-インドール-3-アミン(1.06g、100%収率)を黄色固体として得た。
1H NMR(400MHz、メタノール-d
4) δ 7.49-7.38 (m, 2H), 7.06 (dd, J=8.4, 1.7Hz, 1H), 6.80 (s, 1H); LCMS m/z 211(M+2)
【0160】
中間体1I: 2-(((6-ブロモ-1H-インドール-3-イル)アミノ)メチレン)マロン酸ジエチル
【化32】
6-ブロモ-1H-インドール-3-アミン(1g、4.74mmol)および2-(エトキシメチレン)マロン酸ジエチル(1.025g、4.74mmol)/DMF(20mL)の溶液を80℃で45分間撹拌し、室温に冷却し、EtOAcで希釈し、水で洗浄した(3x)。有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮し、粗製2-(((6-ブロモ-1H-インドール-3-イル)アミノ)メチレン)マロン酸ジエチル(1.18g、65%収率)を褐色固体として得た。LCMS m/z 383(M+2)
【0161】
中間体1J: 7-ブロモ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル
【化33】
2-(((6-ブロモ-1H-インドール-3-イル)アミノ)メチレン)マロン酸ジエチル(1.18g、3.1mmol)/ジフェニルエーテル(10mL)を250~255℃で15分間撹拌し、次いで室温に冷却し、エーテル/ヘキサン(1:1)で希釈し、10分間撹拌した。固体を濾過により回収し、ヘキサンで洗浄し、7-ブロモ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(1.17g、113%収率)を暗色褐色固体として得た。LCMS m/z 335(M+2)
【0162】
中間体1K: 7-シアノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル
【化34】
7-ブロモ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(1.1g、3.28mmol)、亜鉛(0.150g、2.3mmol)、シアン化亜鉛(0.347g、2.95mmol)、およびPd
2(dba)
3(0.150g、0.164mmol)/DMF(12mL)の混合物を窒素で脱気し、次いでトリ-tert-ブチルホスフィン(0.088mL、0.328mmol)を加え、120℃で2時間撹拌し、次いで室温に冷却した。得られた混合物をセライト濾過し、DMFで洗浄し、濾液を水(80mL)で希釈し、固体を濾過により回収し、水、続いてエーテルで洗浄し、粗製7-シアノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(1.11g、84%収率)を暗色褐色固体として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 12.42 (s, 1H), 8.54 (s, 1H), 8.28 (d, J=8.3Hz, 1H), 7.96-7.90 (m, 1H), 7.56 (dd, J=8.4, 1.4Hz, 1H), 4.26 (q, J=7.1Hz, 2H), 1.31 (t, J=7.1Hz, 3H); LCMS m/z 282(M+1)
別法: 7-ブロモ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(2.35g、7.01mmol)およびシアン化銅(I)(0.942g、10.52mmol)/NMP(15mL)の懸濁液を窒素でパージし、170℃で終夜撹拌した。混合物を室温に冷却し、氷冷水に注ぎ、15分間撹拌した。固体を濾過により回収し、水およびエーテルで洗浄し、粗製7-シアノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(1.8g、5.12mmol、73%収率)を褐色固体として得た。LCMS m/z 282(M+1)
【0163】
中間体1L: 4-クロロ-7-シアノ-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル
【化35】
7-シアノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(1.11g、3.95mmol)、N,N-ジメチルアニリン(0.335g、2.76mmol)、およびPOCl
3(0.368mL、3.95mmol)の懸濁液を70℃で終夜加熱し、反応が完了した。これを濃縮し、POCl
3(0.368mL、3.95mmol)を加え、90℃で5時間加熱した。混合物を冷却後、濃縮し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3、次いで水で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮し、得られた粗製物をISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘキサン/酢酸エチル 100:0~0:100のグラジエント)を用いて精製し、4-クロロ-7-シアノ-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(0.386g、33%収率)を淡褐色固体として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 12.68 (s, 1H), 8.95 (s, 1H), 8.43 (d, J=8.2Hz, 1H), 8.12-8.08 (m, 1H), 7.71 (dd, J=8.2, 1.3Hz, 1H), 4.43 (q, J=7.1Hz, 2H), 1.39 (t, J=7.1Hz, 3H); LCMS m/z 300(M+1)
【0164】
中間体1M: 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル
【化36】
4-クロロ-7-シアノ-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(0.230g、0.77mmol)、プロパン-2-アミン(0.136g、2.3mmol)、およびトリエチルアミン(0.535mL、3.84mmol)/DMA(3mL)の溶液を100℃で6時間撹拌し、混合物を次いで室温に冷却し、EtOAcで希釈し、次いで水および飽和NaHCO
3で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮し、粗製7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(0.244g、99%収率)を褐色固体として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 11.47 (s, 1H), 8.84 (s, 1H), 8.61 (br d, J=8.9Hz, 1H), 8.27 (d, J=8.6Hz, 1H), 8.06 (dd, J=1.3, 0.7Hz, 1H), 7.57 (dd, J=8.2, 1.3Hz, 1H), 4.60-4.44 (m, 1H), 4.35 (q, J=7.2Hz, 2H), 1.41-1.28 (m, 9H); LCMS m/z 323.2(M+1)
【0165】
中間体1N: 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸
【化37】
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(92mg、0.29mmol)およびNaOH(1N、0.86mL、0.86mmol)/ジオキサン(2mL)の溶液を80℃で終夜撹拌し、室温に冷却し、pH~6に酸性化した。得られた混合物を濾過し、濃縮し、塩化ナトリウム(1当量)を含んだ粗製生成物を褐色固体として得た。LCMS m/z 295.1(M+1)
【0166】
実施例1:
方法1で製造した7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸(6mg、0.020mmol)、BOP(9.0mg、0.02mmol)、(R)-4-アミノ-3-フルオロ-2-メチルブタン-2-オール(2.47mg、0.02mmol)、およびトリエチルアミン(0.014mL、0.102mmol)/DMF(0.5mL)の溶液を室温で1時間撹拌し、得られた粗製物を直接分取HPLC(Phen Luna Axia C18 5μm; 21.2x100mmカラム; 検出: 220nm; 流速=40mL/分; グラジエント: 20%B~100%Bに10分かけて溶出後、100%Bで5分間溶出; A=10:90:0.1 MeOH-H
2O-TFAおよびB=90:10:0.1 MeOH-H
2O-TFA)を用いて精製し、(R)-7-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド・TFA(1.9mg、18%収率)を灰白色固体として得た。
1H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 11.36 (br. s., 1H), 10.21 (br. s., 1H), 8.45 (s, 1H), 8.14 (d, J=8.3Hz, 2H), 7.87 (s, 1H), 7.39-7.34 (m, 1H), 4.70-4.52 (m, 1H), 4.43-4.31 (m, 1H), 4.12-3.95 (m, 1H), 3.78-3.62 (m, 1H), 1.48 (dd, J=10.9, 6.2Hz, 6H), 1.44-1.37 (m, 6H); LCMS m/z 398.2(M+1)
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0167】
実施例66
(R)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-7-(チアゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド
【化38】
【0168】
中間体66A: 7-ブロモ-4-クロロ-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル
【化39】
7-ブロモ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(1.7g、5.07mmol)およびPOCl
3(5mL、53.6mmol)/トルエン(15mL)の懸濁液を110℃で10時間撹拌し、室温に冷却し、濃縮した。得られた混合物をEtOAcで希釈し、リン酸カリウム溶液(1.5M)で洗浄し、乾燥(MgSO
4)し、濃縮した。得られた粗製生成物をISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘキサン/酢酸エチル(10%水酸化アンモニウム含有)100:0~0:100のグラジエント)を用いて精製し、7-ブロモ-4-クロロ-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(1.11g、62%収率)を暗色褐色固体として得た。LCMS m/z 355.0(M+2)
【0169】
中間体66B: 7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル
【化40】
7-ブロモ-4-クロロ-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(0.4g、1.13mmol)、プロパン-2-アミン(0.134g、2.26mmol)、およびトリエチルアミン(0.47mL、3.4mmol)/DMA(4mL)の溶液を110℃で終夜撹拌し、得られた混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、飽和NH
4Clおよび水で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮し、粗製7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(0.412g、97%収率)を褐色固体として得た。LCMS m/z 378.0(M+2)
【0170】
中間体66C: 4-(イソプロピルアミノ)-7-(チアゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル・TFA
【化41】
7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(50mg、0.133mmol)、炭酸ナトリウム(42.3mg、0.4mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(9.33mg、0.013mmol)、およびチアゾール-5-ボロン酸ピナコールエステル(33.7mg、0.16mmol)/THF(1.5mL)および水(0.2mL)の混合物を窒素でパージし、70℃で3日間撹拌した。この混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄し、乾燥(MgSO
4)し、濃縮した。得られた粗製物を分取HPLC(Phen Luna Axia C18 5μ; 30x100mmカラム; 検出: 220nm; 流速=40mL/分; グラジエント: 40%B~100%Bで10分かけて溶出後、100%Bで5分間溶出; A=10:90:0.1 MeOH-H
2O-TFAおよびB=90:10:0.1 MeOH-H
2O-TFA)を用いて精製し、4-(イソプロピルアミノ)-7-(チアゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル・TFAを淡褐色固体として得た(11.8mg、17.96%収率)。
1H NMR(400MHz、クロロホルム-d) δ 11.48 (br s, 1H), 9.66 (d, J=8.2Hz, 1H), 8.89-8.82 (m, 1H), 8.43 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.90 (d, J=8.4Hz, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.22 (dd, J=8.5, 1.4Hz, 1H), 4.63-4.50 (m, 1H), 4.18 (q, J=7.1Hz, 2H), 1.50 (d, J=6.2Hz, 6H), 1.41-1.33 (m, 3H); LCMS m/z 381.1(M+1)
【0171】
中間体66D: 4-(イソプロピルアミノ)-7-(チアゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル・TFA
【化42】
4-(イソプロピルアミノ)-7-(チアゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル・TFA(11.8mg、0.024mmol)およびNaOH(1N、0.119mL、0.119mmol)/ジオキサン(1mL)の溶液を75℃で終夜撹拌し、さらにNaOH(1N、0.1mL)を加え、1時間加熱を続けた。この混合物を室温に冷却し、HCl(1N)を用いて酸性化し、濃縮した(1当量のNaClを含む)。得られた粗製物をDMFに溶解し、(R)-4-アミノ-3-フルオロ-2-メチルブタン-2-オール(2.89mg、0.024mmol)、BOP(10.55mg、0.024mmol)、およびトリエチルアミン(9.98μL、0.072mmol)を加え、45分間撹拌し、濾過し、濃縮した。濃縮した濾液をEtOAcで希釈し、水で洗浄し、乾燥(MgSO
4)し、濃縮した。得られた粗製物質を分取LC/MS(条件: カラム: XBridge C18、19x200mm、粒子径: 5μm; 移動相A: 5:95 アセトニトリル:水(10mM酢酸アンモニウム含有); 移動相B: 95:5 アセトニトリル:水(10mM酢酸アンモニウム含有); グラジエント: 10~60%Bで20分かけて溶出後、次いで100%Bで5分間溶出; 流速: 20mL/分)で精製した。生成物を含むフラクションを合わせて遠心エバポレーターで乾燥し、(R)-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-7-(チアゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボキサミド(2.0mg、18%収率)を得た。
1H NMR(500MHz、DMSO-d
6) δ 11.12 (br s, 1H), 9.28-9.08 (m, 1H), 8.73 (br s, 1H), 8.46 (br d, J=8.7Hz, 2H), 8.19 (br d, J=6.6Hz, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.60 (br s, 1H), 4.49-4.30 (m, 2H), 3.83-3.65 (m, 1H), 1.27 (dd, J=5.9, 2.1Hz, 6H), 1.19 (br d, J=6.5Hz, 6H)(1つのプロトンが水ピークで不明確となった); LCMS m/z 456.1(M+1)
【表11】
【0172】
実施例69
(R)-7-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボキサミド
【化43】
【0173】
中間体69A: 6-ブロモ-3-ニトロ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン
【化44】
6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン(1g、5.08mmol)/硫酸(15mL)の懸濁液に発煙硝酸(0.25mL、5.58mmol)を0℃で加え、0℃で1.5時間撹拌した。氷冷水(20mL)を加え、NaOH(5N)を用いてpHを約pH7~8に調整した。固体を濾過により回収し、水で洗浄し、生成物をMeOHで共沸し、粗製6-ブロモ-3-ニトロ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン(1.21g、99%収率)を橙黄色固体として得た。
1H NMR(400MHz、メタノール-d
4) δ 8.48 (s, 1H), 8.34 (d, J=2.0Hz, 1H), 7.96 (d, J=2.0Hz, 1H); LCMS m/z 242.0(M+2)
【0174】
中間体69B: 6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-3-アミン
【化45】
6-ブロモ-3-ニトロ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン(1.2g、4.96mmol)、亜鉛(1.62g、24.8mmol)、および塩化アンモニウム(1.33g、24.8mmol)/MeOH(9mL)および水(1mL)の混合物を1分間加熱還流し、次いで室温で30分間撹拌した。この混合物を濾過し、濃縮し、EtOAcで希釈し、再度濾過し、不溶性黒色固体を除去した。次いで濾液を飽和NaHCO
3で洗浄し、水層をEtOAc(3x)で抽出した。有機層を合わせて乾燥(MgSO
4)し、濃縮し、粗製6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-3-アミン(1.12g、100%収率)を暗色褐色固体として得た。LCMS m/z 211.9(M+1)
【0175】
中間体69C: 2-(((6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-3-イル)アミノ)メチレン)マロン酸ジエチル
【化46】
6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-3-アミン(1.1g、5.2mmol)および2-(エトキシメチレン)マロン酸ジエチル(1.12g、5.2mmol)の懸濁液を120℃で1時間加熱し、室温に冷却し、10%エーテル/ヘキサンで希釈し、終夜撹拌した。得られた固体を濾過により回収し、粗製2-(((6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-3-イル)アミノ)メチレン)マロン酸ジエチルを得た。
【0176】
中間体69D: 7-ブロモ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸エチル・TFA
【化47】
2-(((6-ブロモ-1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-3-イル)アミノ)メチレン)マロン酸ジエチルおよびPPA(0.485mL)の混合物を110℃で終夜撹拌し、室温に冷却し、NaOH(2M)を用いて中和し、EtOAc(3x)で抽出した。抽出した有機層を乾燥(MgSO
4)し、濃縮し、得られた粗製物質をISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘキサン/酢酸エチル/MeOH 100:0~0:90:10のグラジエント)で精製した。生成物を分取HPLC(Phen Luna Axia C18 5μm; 30x100mmカラム; 検出: 220nm); 流速=40mL/分; グラジエント: 20%B~100%Bに10分かけて溶出後、100%Bで5分間溶出; A=10:90:0.1 MeOH-H
2O-TFAおよびB=90:10:0.1 MeOH-H
2O-TFA)を用いて再精製し、7-ブロモ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸エチル・TFA(20.5mg)を褐色固体として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 12.32 (s, 1H), 8.65 (d, J=2.0Hz, 1H), 8.38 (s, 1H), 8.12 (d, J=2.0Hz, 1H), 4.25 (d, J=7.1Hz, 2H), 1.31 (t, J=7.1Hz, 3H); LCMS m/z 338.0(M+2)
【0177】
中間体69E: 7-ブロモ-4-クロロ-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸エチル
【化48】
7-ブロモ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸エチル(0.103g、0.306mmol)およびPOCl
3(1.5mL、16.1mmol)の溶液を90℃で終夜撹拌し、この混合物を濃縮し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3および水で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮し、粗製7-ブロモ-4-クロロ-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸エチル(0.106g、98%収率)を褐色固体として得た。
【0178】
中間体69F: 7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸エチル
【化49】
7-ブロモ-4-クロロ-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸エチル(0.1g、0.28mmol)、プロパン-2-アミン(0.050g、0.85mmol)、およびトリエチルアミン(0.2mL、1.41mmol)/DMA(1mL)の溶液を120℃で4時間撹拌し、室温に冷却し、EtOAcで希釈し、水および10%LiClで洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮し、粗製7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸エチルを褐色固体として得た。
【0179】
中間体69G: 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸エチル・TFA
【化50】
7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸エチル(80mg、0.212mmol)、シアン化亜鉛(50mg、0.42mmol)、およびPd(Ph
3P)
4(24.5mg、0.021mmol)/DMA(1.5mL)の混合物を窒素でパージし、120℃で終夜撹拌した。この反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、飽和NH
4Clおよび水で洗浄し、有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮した。得られた粗製物を分取HPLC(Phen Luna Axia C18 5μm; 30x100mmカラム; 検出: 220nm; 流速=40mL/分; グラジエント: 20%B~100%Bに10分かけて溶出後、100%Bで2分間溶出; A=10:90:0.1 MeOH-H
2O-TFAおよびB=90:10:0.1 MeOH-H
2O-TFA)を用いて精製し、7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸エチル・TFA(16.4mg、18%収率)を褐色固体として得た。LCMS m/z 324.1(M+1)
【0180】
中間体69H: 7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸
【化51】
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸エチル・TFA(16.4mg、0.037mmol)およびLiOH(0.19mL、0.19mmol)/1,4-ジオキサン(1.2mL)の混合物を90℃で5時間撹拌し、室温に冷却し、HCl(1N)で酸性化し、濃縮した。得られた粗製物を分取HPLC(Phen Luna Axia C18 5μm; 30x100mmカラム; 検出: 220nm; 流速=40mL/分; グラジエント: 10%B~100%Bで10分かけて溶出後、100%Bで2分間溶出; A=10:90:0.1 MeOH-H
2O-TFAおよびB=90:10:0.1 MeOH-H
2O-TFA)を用いて精製し、酸を黄色固体として得た。LCMS m/z 296.1(M+1)
【0181】
実施例69:
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピロロ[3,2-b:4,5-b']ジピリジン-3-カルボン酸・TFA(8mg、0.020mmol)、(R)-4-アミノ-3-フルオロ-2-メチルブタン-2-オール(2.4mg、0.020mmol)、およびBOP(8.64mg、0.020mmol)、およびトリエチルアミン(0.014mL、0.1mmol)/DMF(0.5mL)の溶液を室温で30分間撹拌し、粗製物質を分取LC/MS(条件: カラム: XBridge C18、19x200mm、粒子径: 5μm; 移動相A: 5:95 アセトニトリル:水(10mM酢酸アンモニウム含有); 移動相B: 95:5 アセトニトリル:水(10mM酢酸アンモニウム含有); グラジエント: 10~50%Bで20分かけて溶出後、次いで100%Bで4分間溶出; 流速: 20mL/分)で精製した。生成物を含むフラクションを合わせて遠心エバポレーターで乾燥した。1H NMR(500MHz、DMSO-d6) δ 8.84-8.74 (m, 2H), 8.57 (s, 1H), 8.46 (d, J=1.2Hz, 1H), 8.41 (br d, J=9.2Hz, 1H), 4.49 (br d, J=4.0Hz, 1H), 4.46-4.30 (m, 1H), 3.79-3.38 (m, 2H), 1.29-1.22 (m, 6H), 1.17 (br d, J=5.5Hz, 6H); LCMS m/z 399.2(M+1)
【0182】
実施例70
3-(5-イソブチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル・TFA
【化52】
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸・HCl(20mg、0.06mmol)、3-メチルブタンイミド酸エチル塩酸塩(15mg、0.091mmol)、BOP(29.4mg、0.067mmol)、およびN-メチルモルホリン(0.033mL、0.30mmol)/DMF(1mL)の溶液を室温で終夜撹拌した。ヒドラジン(5.7μL、0.18mmol)を次いで加えると、反応系が濁った。この混合物を1時間室温で撹拌し、次いで50℃で2時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、分取HPLC(Phen Luna Axia C18 5μm; 30x100mmカラム; 検出: 220nm); 流速=40mL/分; グラジエント: 10%B~100%Bで10分かけて溶出後、100%Bで5分間溶出; A=10:90:0.1 MeOH-H
2O-TFAおよびB=90:10:0.1 MeOH-H
2O-TFA)を用いて精製し、3-(5-イソブチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル・TFA(1.2mg、4%収率)を無色粘着性物質として得た。
1H NMR(400MHz、メタノール-d
4) δ 9.09 (s, 1H), 8.35 (dd, J=8.4, 0.7Hz, 1H), 8.18 (t, J=1.0Hz, 1H), 7.68 (dd, J=8.3, 1.3Hz, 1H), 4.79-4.70 (m, 1H), 2.83-2.76 (m, 2H), 2.21 (dt, J=13.6, 6.8Hz, 1H), 1.57 (d, J=6.4Hz, 6H), 1.08-1.02 (m, 6H); LCMS m/z 374.1(M+1)
【表12】
【0183】
実施例72
4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-プロピル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル
【化53】
7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸・TFA(16mg、0.04mmol)、N-ヒドロキシブチルイミドアミド(4.80mg、0.047mmol)、BOP(18.20mg、0.041mmol)、およびN-メチルモルホリン(0.013mL、0.118mmol)/DMF(0.8mL)の溶液を室温で2.5時間撹拌した。得られた混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄(2x)し、次いで乾燥(MgSO
4)し、濃縮した。得られた粗製残渣をトルエン(0.8mL)に溶解し、100℃で1時間加熱した。この反応混合物を濃縮し、得られた粗製物を分取HPLC(Phen Luna Axia C18 5μm; 30x100mmカラム; 検出: 220nm; 流速=40mL/分; グラジエント: 10%B~100%Bで10分かけて溶出後、100%Bで5分間溶出; A=10:90:0.1 MeOH-H
2O-TFAおよびB=90:10:0.1 MeOH-H
2O-TFA)を用いて精製し、4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-プロピル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル・TFA(1.3mg、6%収率)を薄黄色固体として得た。
1H NMR(400MHz、メタノール-d
4) δ 9.09 (s, 1H), 8.39 (dd, J=8.4, 0.7Hz, 1H), 8.22-8.15 (m, 1H), 7.68 (dd, J=8.4, 1.3Hz, 1H), 4.75 (dt, J=12.6, 6.3Hz, 1H), 2.95-2.83 (m, 2H), 1.90 (sxt, J=7.4Hz, 2H), 1.58 (d, J=6.2Hz, 6H), 1.09 (t, J=7.4Hz, 3H); LCMS m/z 361.1(M+1)
【0184】
実施例73
3-(1-イソペンチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル
【化54】
【0185】
中間体73A: 7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボアルデヒド
【化55】
7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボン酸エチル(0.264g、0.70mmol)/DCM(8mL)の溶液を-78℃に冷却し、DIBAL-H(1Mトルエン溶液、1.368mL、1.368mmol)を滴下して加え、-78℃で2時間撹拌した。さらにDIBAL-H(0.702mL、0.702mmol)を加え、この反応混合物を-78℃で30分間撹拌し、30分かけて0℃に加温した。反応をMeOHでクエンチし、DCMおよび飽和NH
4Clで希釈し、15分間撹拌した。クエンチした混合物をDCM(2x)で抽出し、乾燥(MgSO
4)し、濃縮した。得られた残渣をDCE(10mL)に溶解し、二酸化マンガン(0.305g、3.51mmol)を加え、40℃で終夜撹拌した。混合物を冷却し、セライト濾過し、濃縮した。得られた粗製物をISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘキサン/酢酸エチル 100:0~0:100のグラジエント)を用いて精製し、7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボアルデヒド(125mg、54%収率)を淡黄色固体として得た。LCMS m/z 333.7(M+2)
【0186】
中間体73B: 7-ブロモ-3-エチニル-N-イソプロピル-5H-ピリド[3,2-b]インドール-4-アミン
【化56】
新しく調製したLDA/THF(0.5mL)を-78℃に冷却し、(トリメチルシリル)ジアゾメタン(2Mエーテル溶液、0.09mL、0.181mmol)を5分かけて滴下して加えた。混合物を30分間撹拌し、7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-カルボアルデヒド(50mg、0.151mmol)/THF(1.5mL)の溶液をゆっくりと加えた。この反応混合物をゆっくりと室温に戻し、終夜撹拌した。LCMSでモニターし、反応が約40%完了したところで反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出し、乾燥(MgSO
4)し、濃縮した。得られた粗製物をISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘキサン/酢酸エチル 100:0~0:100のグラジエント)を用いて精製し、7-ブロモ-3-エチニル-N-イソプロピル-5H-ピリド[3,2-b]インドール-4-アミン(9mg、18%収率)を淡褐色固体として得た。
1H NMR(400MHz、メタノール-d
4) δ 8.21 (s, 1H), 8.05 (dd, J=8.4, 0.5Hz, 1H), 7.72 (dd, J=1.6, 0.5Hz, 1H), 7.34 (dd, J=8.4, 1.7Hz, 1H), 4.71 (dt, J=12.7, 6.3Hz, 1H), 3.95-3.92 (m, 1H), 1.38-1.33 (m, 6H); LCMS m/z 328.0、330.0(M+1)
【0187】
中間体73C: 7-ブロモ-3-(1-イソペンチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-N-イソプロピル-5H-ピリド[3,2-b]インドール-4-アミン
【化57】
7-ブロモ-3-エチニル-N-イソプロピル-5H-ピリド[3,2-b]インドール-4-アミン(15mg、0.046mmol)、1-アジド-3-メチルブタン(6.72mg、0.06mmol)、アスコルビン酸ナトリウム(3.62mg、0.018mmol)、および硫酸銅(II)(1.46mg、9.14μmol)/t-BuOH(0.5mL)および水(0.5mL)の溶液を60℃で1.5時間加熱し、冷却し、EtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO
4)、濃縮し、粗製7-ブロモ-3-(1-イソペンチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-N-イソプロピル-5H-ピリド[3,2-b]インドール-4-アミン(23mg、100%収率)を褐色粘着性物質として得た。LCMS m/z 443.0(M+2)
【0188】
実施例73:
7-ブロモ-3-(1-イソペンチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-N-イソプロピル-5H-ピリド[3,2-b]インドール-4-アミン(21mg、0.048mmol)、シアン化亜鉛(11.17mg、0.095mmol)、およびPd(Ph
3P)
4(5.5mg、4.76μmol)/DMA(0.8mL)の混合物を100℃で終夜撹拌した。LCMSにて反応が完了したことが示された。混合物を冷却し、濾過し、濾液をEtOAcで希釈し、飽和NH
4Cl、水で洗浄し、乾燥(MgSO
4)し、濃縮した。粗製物質を分取LC/MS(条件: カラム: XBridge C18、19x200mm、粒子径: 5μm; 移動相A: 5:95 アセトニトリル:水(10mM酢酸アンモニウム含有); 移動相B: 95:5 アセトニトリル:水(10mM酢酸アンモニウム含有); グラジエント: 40~80%Bで19分かけて溶出後、次いで100%Bで5分間溶出; 流速: 20mL/分)で精製した。生成物を含むフラクションを合わせて遠心エバポレーターで乾燥し、3-(1-イソペンチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル(8.6mg、44.3%収率)を得た。
1H NMR(500MHz、メタノール-d
4) δ 8.57-8.52 (m, 2H), 8.34 (d, J=8.1Hz, 1H), 7.98 (d, J=0.9Hz, 1H), 7.52 (dd, J=8.1, 1.4Hz, 1H), 4.59-4.51 (m, 2H), 4.42 (quin, J=6.3Hz, 1H), 1.95-1.87 (m, 2H), 1.63 (dt, J=13.4, 6.7Hz, 1H), 1.37 (d, J=6.3Hz, 6H), 1.02 (d, J=6.6Hz, 6H); LCMS m/z 388.2(M+1)
【表13】
【0189】
実施例76
4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-(ピペリジン-4-イル)イソキサゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル
【化58】
【0190】
中間体76A: tert-ブチル4-(5-(7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-イル)イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-カルボン酸・TFA
【化59】
7-ブロモ-3-エチニル-N-イソプロピル-5H-ピリド[3,2-b]インドール-4-アミン(16.5mg、0.05mmol)、tert-ブチル4-(クロロ(ヒドロキシイミノ)メチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(39.6mg、0.151mmol)、およびトリエチルアミン(0.028mL、0.20mmol)/DCE(1.2mL)の溶液を60℃で18時間加熱した。LCMSにて少量の位置異性体が観測された。この混合物を室温に冷却し、DCMで希釈し、水で洗浄し、乾燥(MgSO
4)し、濃縮した。得られた粗製物を分取HPLC(Phen Luna Axia C18 5μm; 21.2x100mmカラム; 検出: 220nm; 流速=40mL/分; グラジエント: 20%B~100%Bで12分かけて溶出後、100%Bで2分間溶出; A=10:90:0.05 MeOH-H
2O-TFAおよびB=90:10:0.05 MeOH-H
2O-TFA)を用いて精製し、tert-ブチル4-(5-(7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-イル)イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-カルボン酸・TFA(8.7mg、26%収率)を褐色粘着性物質として得た。
【0191】
中間体76B: tert-ブチル4-(5-(7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-イル)イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
【化60】
tert-ブチル4-(5-(7-ブロモ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-イル)イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-カルボン酸・TFA(8.7mg、0.013mmol)、シアン化亜鉛(3.06mg、0.026mmol)/DMA(0.5mL)の混合物を窒素でパージし、90℃で18時間撹拌した。さらにシアン化亜鉛(3.06mg、0.026mmol)およびPd(Ph
3P)
4(1.504mg、1.301μmol)を加え、120℃で24時間加熱後、LCMSで生成物が観測された。この反応混合物を室温に冷却し、濾過し、EtOAcで希釈し、飽和NH
4Cl、水で洗浄し、乾燥(MgSO
4)し、濃縮し、粗製tert-ブチル4-(5-(7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-イル)イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートを得た。
【0192】
実施例71:
tert-ブチル4-(5-(7-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-3-イル)イソキサゾール-3-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート/TFA(0.5mL、6.49mmol)およびDCM(0.5mL)の溶液を15分間撹拌し、濃縮した。得られた粗製物を分取HPLC(Phen Luna Axia C18 5μm; 21.2x100mmカラム; 検出: 220nm; 流速=40mL/分; グラジエント: 10%B~100%Bで10分かけて溶出後、100%Bで2分間溶出; A=10:90:0.1 MeOH-H
2O-TFAおよびB=90:10:0.1 MeOH-H
2O-TFA)を用いて精製し、4-(イソプロピルアミノ)-3-(3-(ピペリジン-4-イル)イソキサゾール-5-イル)-5H-ピリド[3,2-b]インドール-7-カルボニトリル・2TFA(3mg、36%収率)を得た。
1H NMR(400MHz、メタノール-d
4) δ 8.53 (s, 1H), 8.37 (dd, J=8.4, 0.6Hz, 1H), 8.19 (s, 1H), 7.69 (dd, J=8.4, 1.3Hz, 1H), 6.92 (s, 1H), 4.15 (d, J=6.1Hz, 1H), 3.53 (dt, J=13.0, 3.6Hz, 2H), 3.29-3.17 (m, 3H), 2.36 (dd, J=14.7, 3.2Hz, 2H), 2.14-1.98 (m, 2H), 1.41 (d, J=6.4Hz, 6H); LCMS m/z 401.1(M+1)
【表14】
【0193】
実施例81
(R)-6-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボキサミド
【化61】
【0194】
中間体81A: 5-(5-シアノ-2-ニトロフェニル)ニコチン酸メチル
【化62】
3-ブロモ-4-ニトロベンゾニトリル(0.59g、2.6mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ニコチン酸メチル(0.684g、2.6mmol)、リン酸三カリウム(1.66g、7.8mmol)、およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(0.091g、0.13mmol)/THF(15mL)および水(3mL)の混合物を90℃で5時間撹拌し、EtOAcで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、乾燥(MgSO
4)し、濃縮した。得られた粗製生成物をISCOフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル/ヘキサン-EtOAc 100:0~0:100のグラジエント)で精製し、5-(5-シアノ-2-ニトロフェニル)ニコチン酸メチル(370mg、50%収率)を得た。LCMS m/z 284.0(M+1)
【0195】
中間体81Bおよび81C: 8-シアノ-5H-ピリド[4,3-b]インドール-4-カルボン酸メチルおよび6-シアノ-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸メチル
【化63】
5-(5-シアノ-2-ニトロフェニル)ニコチン酸メチル(370mg、1.31mmol)、DPPF(651mg、1.63mmol)/1,2-ジクロロベンゼン(1.5mL、13.1mmol)の混合物を窒素で置換し、150℃で1時間撹拌した。この反応混合物を冷却し、濃縮し、得られた残渣をDMFから再結晶し、6-シアノ-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸メチル(130mg、40%収率)を主成生成物として得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 12.80 (br s, 1H), 9.22 (d, J=2.0Hz, 1H), 9.07 (d, J=2.1Hz, 1H), 8.93 (s, 1H), 7.89 (br d, J=8.4Hz, 1H), 7.69 (d, J=8.4Hz, 1H), 3.93 (s, 3H); LCMS m/z 250.0(M+1)
【0196】
中間体81D: 6-シアノ-3-(メトキシカルボニル)-9H-ピリド[2,3-b]インドール1-オキシド
【化64】
セプタムで密封したバイアル中、6-シアノ-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸メチル(130mg、0.517mmol)/酢酸(3mL)の撹拌懸濁液に、過酸化水素(30%、453μL、5.17mmol)を2時間かけて3回に分けて90℃で加えた。この混合物を濃縮し、得られた残渣を半飽和NaHCO
3溶液でソニケーションし、白色固体を濾過により単離した。これを水で洗浄し、乾燥し、粗製6-シアノ-3-(メトキシカルボニル)-9H-ピリド[2,3-b]インドール1-オキシド(130mg、94%収率)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 9.01 (d, J=1.0Hz, 1H), 8.90 (d, J=1.2Hz, 1H), 8.80 (d, J=1.2Hz, 1H), 7.96 (dd, J=8.4, 1.6Hz, 1H), 7.74 (d, J=8.4Hz, 1H), 3.95 (s, 3H); LCMS m/z 267.8(M+1)
【0197】
中間体81Eおよび81F: 4-クロロ-6-シアノ-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸メチルおよび2-クロロ-6-シアノ-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸メチル
【化65】
6-シアノ-3-(メトキシカルボニル)-9H-ピリド[2,3-b]インドール1-オキシド(130mg、0.49mmol)/DMF(4mL)の撹拌懸濁液にPOCl
3(91μL、0.97mmol)を4℃で加え、室温に加温し、4時間撹拌した。混合物を濃縮し、得られた残渣を半飽和NaHCO
3に懸濁し、ソニケーションし、濾過した。得られた固体を水で洗浄し、乾燥し、4-クロロ-6-シアノ-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸メチルおよび2-クロロ-6-シアノ-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸メチルの混合物(1.6:1、130mg)を得た。
得られた塩化物およびプロパン-2-アミン(26.9mg、0.455mmol)の混合物/アセトニトリル(2mL)を90℃で5時間撹拌し、濃縮した。得られた粗製生成物を分取HPLC(ODSカラム/水-CH
3OH-TFA 90:10:0.05~10:90:0.05のグラジエント)で精製し、以下を溶出順に得た。6-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸メチル・TFA(22mg、11%収率);
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6) δ 12.66 (s, 1H), 8.85 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 8.04 (d, J=10.4Hz, 1H), 7.80 (dd, J=8.4, 1.2Hz, 1H), 7.64 (d, J=8.3Hz, 1H), 4.29-4.12 (m, 1H), 3.88 (s, 3H); LCMS m/z 308.9(M+1)および2-クロロ-6-シアノ-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸メチル・TFA(52mg、27%収率);
1H NMR(100℃、400MHz、DMSO-d
6) δ 11.69 (br. s., 1H), 8.87 (s, 1H), 8.34 (d, J=1.2Hz, 1H), 7.59 (dd, J=8.3, 1.6Hz, 1H), 7.47 (d, J=8.3Hz, 1H), 4.40 (spt, J=6.5Hz, 1H), 3.90 (s, 3H), 1.31 (d, J=6.5Hz, 6H); LCMS m/z 308.9(M+1)
【0198】
中間体81G: 6-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸
【化66】
密封したバイアル中、6-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸メチル(16mg、0.052mmol)および水酸化リチウム(0.5N、156μL、0.078mmol)/ジオキサン(0.75mL)の混合物を90℃で5時間加熱した。この混合物を水(1mL)で希釈し、エーテルで洗浄し、水層を濃縮した。得られた残渣をHCl(1N、0.45mL)に溶解し、ソニケーションし、濃縮した。得られた粗製生成物を水でトリチュレートし、6-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸・HCl(14mg、82%収率)を得た。LCMS m/z 295.1(M+1)
【0199】
実施例81:
(R)-4-アミノ-3-フルオロ-2-メチルブタン-2-オール、6-シアノ-4-(イソプロピルアミノ)-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボン酸・HCl(7mg、0.021mmol)、BOP(11.23mg、0.025mmol)およびTEA(8.85μL、0.063mmol)/DMF(0.3mL)の混合物を室温で5時間撹拌した。この反応混合物をメタノールで希釈し、濃縮し、得られた粗製生成物を分取HPLC(ODSカラム/水-MeOH-TFA 90:10:0.1~10:90:0.1のグラジエント)で精製し、(R)-6-シアノ-N-(2-フルオロ-3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)-4-(イソプロピルアミノ)-9H-ピリド[2,3-b]インドール-3-カルボキサミド・TFA(7.4mg、65%収率)を得た。1H NMR(400MHz、メタノール-d4) δ 8.47 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.83 (dd, J=8.4, 1.5Hz, 1H), 7.75 (dd, J=8.4, 0.5Hz, 1H), 4.55-4.32 (m, 2H), 3.91 (ddd, J=36.4, 14.3, 2.0Hz, 1H), 3.55 (ddd, J=15.6, 14.6, 9.5Hz, 1H), 1.44 (d, J=2.7Hz, 3H), 1.42 (d, J=2.7Hz, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.30 (s, 3H); LCMS m/z 398.2(M+1)
【0200】
【0201】
HPLC条件:
方法A: Waters Acquity UPLC BEH C18、2.1x50mm、粒子径: 1.7μm; 移動相A: 5:95 アセトニトリル:水(10mM酢酸アンモニウム含有); 移動相B: 95:5 アセトニトリル:水(10mM酢酸アンモニウム含有); 温度: 50℃; グラジエント: 0~100%Bで3分かけて溶出し、次いで100%Bで0.75分間溶出; 流速: 1.0mL/分; 検出: UV(220nm)
方法B: Waters Acquity UPLC BEH C18、2.1x50mm、粒子径: 1.7μm; 移動相A: 5:95 アセトニトリル:水(0.1%トリフルオロ酢酸含有); 移動相B: 95:5 アセトニトリル:水(0.1%トリフルオロ酢酸含有); 温度: 50℃; グラジエント: 0~100%Bで3分かけて溶出し、次いで100%Bで0.75分間溶出; 流速: 1.0mL/分; 検出: UV(220nm)
方法C: Waters Acquity UPLC BEH C18 2.1x50mm、1.7μm; 移動相A: 2:98 アセトニトリル:水(0.05%トリフルオロ酢酸含有); 移動相B: 98:2 アセトニトリル:水(0.05%トリフルオロ酢酸含有); 温度: 50℃; グラジエント: 0~100%Bで1分かけて溶出し、次いで100%Bで0.50分間溶出; 流速: 1.0mL/分; 検出: UV(220nm)
【0202】
(生物学的アッセイ)
本発明の化合物の薬理学特性は、複数の生物学的アッセイによって決定され得る。以下の例示の生物学的アッセイが、本発明の化合物を用いて行われた。
【0203】
IRAK4阻害アッセイ
本アッセイはU底384ウェルプレート中で行われた。最終アッセイ体積は、酵素ならびに基質(蛍光標識ペプチドおよびATP)および試験化合物/アッセイ緩衝液(20mM HEPES、pH 7.2、10mM MgCl2、0.015%Brij 35および4mM DTT)を15μLずつ添加して30μLに調整した。反応を基質および試験化合物とIRAK4を組み合わせて開始させた。この反応混合物を室温で60分間インキュベートし、35mM EDTA(45μL)を各サンプルに加えて反応を止めた。この反応混合物をCaliper LABCHIP(登録商標)3000(Caliper, Hopkinton, MA))を用いて蛍光基質およびリン酸化生成物の電気泳動分離により分析した。100%阻害された酵素無しのコントロール反応および阻害0%のビークルのみの反応と比較して、阻害データを計算した。アッセイ中の試薬の終濃度は、ATP 500μM、FL-IPTSPITTTYFFFKKKペプチド 1.5μM、IRAK4 0.6nM、およびDMSO 1.6%である。
【0204】
IRAK4全血アッセイ
抗凝固剤ACD-Aを含むヒト全血を384ウェルプレート(25μL/ウェル)中に分注し、5%CO
2インキュベーター中、60分間37℃で化合物と共にインキュベートした。5%CO
2インキュベーター中、血液をTLR2アゴニストである、終濃度10μg/mLのリポタイコ酸(Invivogen, San Diego, CA)/RPMI(25μL、Gibco)で5時間刺激した。インキュベーション終了後、プレートを2300rpmで5分間遠心分離した。上清を収集し、フローサイトメトリービーズアッセイ(BD Biosciences, San Jose, CA)によりIL-6量を分析した。
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【配列表】