(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-05-15
(45)【発行日】2025-05-23
(54)【発明の名称】光源ユニット、及び、光学ヘッド
(51)【国際特許分類】
G01J 3/10 20060101AFI20250516BHJP
G01J 3/42 20060101ALI20250516BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20250516BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20250516BHJP
【FI】
G01J3/10
G01J3/42
F21V8/00 220
F21V8/00 241
F21Y101:00 100
(21)【出願番号】P 2022572913
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2021036477
(87)【国際公開番号】W WO2022145098
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2024-09-03
(31)【優先権主張番号】P 2020218444
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智史
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 一雄
(72)【発明者】
【氏名】杉本 達哉
(72)【発明者】
【氏名】柴山 勝己
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/162342(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/190134(WO,A1)
【文献】特許第3423304(JP,B1)
【文献】国際公開第2020/138091(WO,A1)
【文献】特開2015-088283(JP,A)
【文献】特開2001-100113(JP,A)
【文献】特開2018-004498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00-G01J 3/52
G01N 21/00-G01N 21/958
F21V 17/00-F21V 17/20
F21V 8/00
F21Y 101/00
F21Y 115/00-F21Y 115/30
A61B 1/00-A61B 1/32
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に照射される光を出射する複数の光源と、
前記複数の光源を保持しており、前記対象物からの前記光を伝播するための光ファイバが挿通される挿通孔が形成された保持部と、
を備え、
前記保持部は、前記複数の光源のそれぞれの前記光の照射領域が当該保持部の一方側に形成されるように前記複数の光源のそれぞれを保持しており、
前記挿通孔は、前記照射領域に臨む開口である第1開口と、前記第1開口と異なる開口である第2開口と、を含み、前記光ファイバが挿通されたときに前記光ファイバの一端面が前記第1開口から露出して前記照射領域に臨むように前記保持部に形成されており、
前記光ファイバが前記挿通孔に挿通されたときに、前記光ファイバの前記一端面を含む一端部が遮光部材を介して前記複数の光源の間に位置される、
光源ユニット。
【請求項2】
前記挿通孔は、前記光ファイバが挿通されたときに前記光ファイバの一端面が前記第1開口から突出するように前記保持部に形成されている、
請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記保持部は、前記第1開口から前記第2開口に向かう方向に交差する平面部を含み、
前記平面部は、前記第2開口が形成された前記保持部の端面、及び、前記挿通孔の内面の少なくとも一方に形成されている、
請求項1又は2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記保持部は、前記挿通孔に前記光ファイバが挿通されて前記第1開口から突出されたときに前記光ファイバの前記一端部を覆うように、前記第1開口の縁部に沿って突設された前記遮光部材を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記挿通孔の内面は、前記第1開口から前記第2開口に向かうにつれて前記挿通孔が拡大するようにテーパ状に形成されて前記第2開口に接続されるテーパ部を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記保持部は、前記複数の光源のそれぞれの前記照射領域が互いに重複するように前記複数の光源を保持しており、
前記挿通孔は、前記光ファイバが挿通されたときに、前記光ファイバの光軸が、前記複数の光源の前記照射領域が重複した重複領域を通るように形成されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記保持部には、前記複数の光源が配置される孔部が形成されており、
前記保持部は、前記複数の光源の外面が前記孔部の内面に接触された状態で前記複数の光源を保持しており、
前記孔部の内面の少なくとも前記複数の光源の外面と接触する部分は、当該光源の外面の形状に沿った形状に形成されている、
請求項1~6のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記保持部は、前記孔部の内面と前記光源の外面との間に充填された樹脂部を含む、
請求項7に記載の光源ユニット。
【請求項9】
対象物に光を照射すると共に、対象物からの光を光検出器に提供するための光学ヘッドであって、
請求項1~8のいずれか一項に記載の光源ユニットと、
前記光ファイバを保持して前記光ファイバの位置を固定するための固定部と、
前記固定部に固定されつつ前記挿通孔に挿通された前記光ファイバと、
前記光源ユニットの少なくとも一部、前記固定部、前記光ファイバを収容する筐体と、
前記光ファイバの前記一端面に対向するように配置された光透過性の窓部材と、
を備える、
光学ヘッド。
【請求項10】
前記光源ユニットと前記固定部とは、互いに別体に形成されており、
前記固定部は、前記光ファイバの前記一端部が当該固定部から突出した状態で前記光ファイバを保持し、
前記光源ユニットは、前記固定部から突出された前記光ファイバの前記一端部が前記挿通孔に挿通された状態で、着脱可能に前記固定部に取り付けられている、
請求項9に記載の光学ヘッド。
【請求項11】
前記光ファイバの少なくとも前記一端部を、前記一端面を露出させつつ被覆するように前記光ファイバに設けられた前記遮光部材を備える、
請求項9又10に記載の光学ヘッド。
【請求項12】
前記窓部材は、前記複数の光源から出射された前記光が通過するように前記複数の光源に対向すると共に、前記光ファイバの光軸方向について、前記複数の光源から出射されて前記窓部材により反射された前記光が前記光ファイバに入射しない位置に設けられている、
請求項9~11のいずれか一項に記載の光学ヘッド。
【請求項13】
前記窓部材は、前記複数の光源から出射された光が通過するように前記複数の光源に対向して設けられており、
前記複数の光源から出射された前記光の波長領域は、前記光検出器の感度領域に含まれる第1波長領域と、前記光検出器の感度領域と異なる第2波長領域と、を含み、
前記窓部材は、前記第1波長領域の反射率を低減すると共に前記第2波長領域の透過率を低減する、
請求項9~12のいずれか一項に記載の光学ヘッド。
【請求項14】
主面を有し、前記光源に電気的に接続された回路基板と、
前記光源ユニット及び前記固定部を支持する支持部材と、
を備え、
前記光源ユニット及び前記固定部は、前記第1開口から前記第2開口に向かう方向に沿って配列されており、
前記回路基板は、前記主面に沿った方向からみたときに前記光源ユニット及び前記固定部と対向するように配置されており、
前記支持部材は、前記主面に沿った方向からみたとき、前記主面に交差する方向についての前記回路基板と前記光源ユニットとの距離よりも、前記支持部材を介して前記光源ユニットから前記回路基板に向かう経路が長くなるように形成されている、
請求項9~13のいずれか一項に記載の光学ヘッド。
【請求項15】
前記光ファイバの他端部に設けられ、前記光ファイバを別の光ファイバに接続するためのコネクタを備える、
請求項9~14のいずれか一項に記載の光学ヘッド。
【請求項16】
前記コネクタを保持するコネクタ保持部材と、
前記コネクタ保持部材を前記筐体に固定するための固定部材と、
を備え、
前記コネクタ保持部材には長穴が形成されており、
前記コネクタ保持部材は、前記長穴が前記光ファイバの光軸方向に沿うように前記筐体の壁部上に配置され、前記長穴に挿通された前記固定部材により前記壁部に固定される、
請求項15に記載の光学ヘッド。
【請求項17】
前記窓部材を保持するキャップを備え、
前記キャップは、前記筐体の外側に配置されて前記筐体に取り付けられている、
請求項9~16のいずれか一項に記載の光学ヘッド。
【請求項18】
前記固定部は、前記光ファイバの前記一端部を覆うと共に、前記光ファイバと共に前記挿通孔に挿通されて前記第1開口から突出される前記遮光部材を含む、
請求項9に記載の光学ヘッド。
【請求項19】
前記保持部に着脱可能に取り付けられたスペーサを備え、
前記スペーサには、前記第1開口を露出させると共に前記複数の光源のそれぞれの前記光を通過させるように第3開口が形成され、
前記窓部材は、前記光源と前記スペーサとの間に介在して前記保持部に取り付けられている、
請求項9又は18に記載の光学ヘッド。
【請求項20】
前記筐体の外部から内部に至るように設けられ、前記光源に電力を供給するための電源コネクタと、
前記電源コネクタと前記光源のそれぞれのリード線とを接続する配線と、
を備える、
請求項9,18,19のいずれか一項に記載の光学ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源ユニット、及び、光学ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、近赤外インタラクタンス分光測定装置が記載されている。この測定装置は、装置本体とプローブとを備えている。そして、フレキシブルケーブルが装置本体とプローブとをつなぐようにして設けられており、フレキシブルケーブルには光ファイバが収められている。装置本体内には、分光器や検出器等が設けられている。プローブは、筐体を備えている。筐体内には、光を発する複数の光源が、筐体の一の壁部に設けられた測定用開口に臨んで配置されている。また、当該筐体の別の壁部には光ファイバの入射端が配置されている。光ファイバの入射端には、光源からの光照射を受けた試料からのインタクタンス光が、直角プリズム及び集光レンズを介して入射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の測定装置のプローブでは、光源が筐体の測定用開口に近接して設けられる一方で、光ファイバの入射端が筐体における測定用開口が形成された壁部と異なる壁部に配置されている。したがって、測定用開口及び光源が試料に近接するようにプローブを配置しても、光ファイバの入射端を試料に近接させることができないため、試料からの微弱な光を、光ファイバを介して効果的に検出器に伝播させることが困難である。これに対して、上記の測定装置のプローブにおいて、光ファイバの入射端を測定用開口の近傍に配置することも考えられるが、この場合には、光ファイバに迷光が入射されやすくなる。
【0005】
そこで、本開示は、光ファイバによる対象物からの光の効果的な伝播を図りつつ、光ファイバへの迷光の入射の抑制を図ることを可能とする光源ユニット、及び光学ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る光源ユニットは、対象物に照射される光を出射する複数の光源と、複数の光源を保持しており、対象物からの光を伝播するための光ファイバが挿通される挿通孔が形成された保持部と、を備え、保持部は、複数の光源のそれぞれの光の照射領域が当該保持部の一方側に形成されるように複数の光源のそれぞれを保持しており、挿通孔は、照射領域に臨む開口である第1開口と、第1開口と異なる開口である第2開口と、を含み、光ファイバが挿通されたときに光ファイバの一端面が第1開口から露出して照射領域に臨むように保持部に形成されており、光ファイバが挿通孔に挿通されたときに、光ファイバの一端面を含む一端部が遮光部材を介して複数の光源の間に位置される。
【0007】
この光源ユニットでは、複数の光源を保持する保持部に対して、光ファイバが挿通される挿通孔が形成されている。特に、挿通孔に対して光ファイバが挿通されたときに、光ファイバの一端面を含む一端部が遮光部材を介して複数の光源の間に位置するようにされている。したがって、この光源ユニットを光源が対象物に近接するように配置することにより、光ファイバの一端面も対象物に近接させることが可能であるため、対象物からの微弱な光を光ファイバにより効果的に伝播させることを図ることができる。さらに、光源と光ファイバの一端部との間に遮光部材が介在することにより、光ファイバへの迷光の入射の抑制を図ることが可能となる。
【0008】
本開示に係る光源ユニットでは、挿通孔は、光ファイバが挿通されたときに光ファイバの一端面が第1開口から突出するように保持部に形成されていてもよい。この場合、光ファイバの一端面が突出することで、光ファイバの一端面を対象物により近接させることが可能となる。このため、対象物からの微弱な光を光ファイバにより効果的に伝搬させることが可能となる。
【0009】
本開示に係る光源ユニットでは、挿通孔の内面は、第1開口から第2開口に向かうにつれて挿通孔が拡大するようにテーパ状に形成されて第2開口に接続されるテーパ部を含んでもよい。この場合、挿通孔の第2開口から光ファイバを挿通孔に挿通するときに、挿通孔の内面のテーパ部によって光ファイバの一端部を第1開口に向けてガイドすることが可能となる。
【0010】
本開示に係る光源ユニットでは、保持部は、第1開口から第2開口に向かう方向に交差する平面部を含み、平面部は、第2開口が形成された保持部の端面、及び、挿通孔の内面の少なくとも一方に形成されていてもよい。この場合、光ファイバを挿通孔に挿通させる際に、例えば光ファイバを保持した別部材を保持部の平面部に突き当てることによって、第1開口から第2開口に向かう方向(すなわち、挿通孔に挿通された状態の光ファイバの光軸方向)について光ファイバの位置決めを行うことが可能となる。
【0011】
本開示に係る光源ユニットでは、保持部は、挿通孔に光ファイバが挿通されて第1開口から突出されたときに光ファイバの一端部を覆うように、第1開口の縁部に沿って突設された遮光部材を含んでもよい。このように、遮光部材を保持部に設けることによって、光ファイバへの迷光の入射を抑制するに際して、例えば光ファイバの一端部を遮光部材で被覆する等の作業が必須でなくなる。ただし、光ファイバを遮光部材で被覆してもよい。
【0012】
本開示に係る光源ユニットでは、保持部は、複数の光源のそれぞれの照射領域が互いに重複するように複数の光源を保持しており、挿通孔は、光ファイバが挿通されたときに、光ファイバの光軸が、複数の光源の照射領域が重複した重複領域を通るように形成されていてもよい。この場合、複数の光源の照射領域と、挿通孔に挿通された光ファイバの光軸とが交差する交差点が形成されることとなる。したがって、この交差点に対象物が合わせられるように光源ユニットを配置することにより、対象物からの光を効果的に光ファイバに入射させることが可能となる。
【0013】
本開示に係る光源ユニットでは、保持部には、複数の光源が配置される孔部が形成されており、保持部は、複数の光源の外面が孔部の内面に接触された状態で複数の光源を保持しており、孔部の内面の少なくとも複数の光源の外面と接触する部分は、当該光源の外面の形状に沿った形状に形成されていてもよい。この場合、孔部の内面と光源との接触面積の増加が図られ、光源から保持部への効果的な放熱が可能となる。
【0014】
本開示に係る光源ユニットでは、保持部は、孔部の内面と光源の外面との間に充填された樹脂部を含んでもよい。この場合、光源から保持部へのより効果的な放熱が可能となる。また、上記のように、光源が孔部の内面に接触し、且つ、孔部の内面の形状が光源の外面の形状に沿っている状態で、孔部の内面と光源の外面との間に樹脂を充填すると、樹脂の使用量が削減さる結果、光源への樹脂の歪(応力)がかかりにくくなる。
【0015】
本開示に係る光学ヘッドは、対象物に光を照射すると共に、対象物からの光を光検出器に提供するための光学ヘッドであって、上記の光源ユニットと、光ファイバを保持して光ファイバの位置を固定するための固定部と、固定部に固定されつつ挿通孔に挿通された光ファイバと、光源ユニットの少なくとも一部、固定部、光ファイバを収容する筐体と、光ファイバの一端面に対向するように配置された光透過性の窓部材と、を備える。
【0016】
この光学ヘッドは、上記の光源ユニットを備えている。したがって、上記の光源ユニットと同様の効果を奏することが可能である。さらに、この光学ヘッドは、光ファイバの一端面に対向するように配置された窓部材を備えている。したがって、光ファイバの一端面を清浄に保つことが可能となる。上記のとおり、この光源ユニットによれば、光ファイバの一端面をより対象物に近接させることが可能であるため、窓部材によって光ファイバの一端面の防汚を図ることがより有効となる。
【0017】
本開示に係る光学ヘッドは、光ファイバの少なくとも一端部を、一端面を露出させつつ被覆するように光ファイバに設けられた遮光部材を備えてもよい。このように、遮光部材を光ファイバに設けることによって、光ファイバへの迷光の入射を抑制するに際して、光源ユニットの保持部に遮光部材を設けることが必須でなくなる。ただし、保持部に遮光部材を設けてもよい。
【0018】
本開示に係る光学ヘッドでは、光源ユニットと固定部とは、互いに別体に形成されており、固定部は、光ファイバの一端部が当該固定部から突出した状態で光ファイバを保持し、光源ユニットは、固定部から突出された光ファイバの一端部が挿通孔に挿通された状態で、着脱可能に固定部に取り付けられていてもよい。この場合、例えば光源が故障した場合等に、光源ユニットごと容易に交換することが可能となる。
【0019】
本開示に係る光学ヘッドでは、窓部材は、複数の光源から出射された光が通過するように複数の光源に対向すると共に、光ファイバの光軸方向について、複数の光源から出射されて窓部材により反射された光が光ファイバに入射しない位置に設けられていてもよい。この場合、対象物を経ることなく窓部材で反射された光が、迷光として光ファイバに入射することを抑制できる。
【0020】
本開示に係る光学ヘッドでは、窓部材は、複数の光源から出射された光が通過するように複数の光源に対向して設けられており、複数の光源から出射された光の波長領域は、光検出器の感度領域に含まれる第1波長領域と、光検出器の感度領域と異なる第2波長領域と、を含み、窓部材は、第1波長領域の反射率を低減すると共に第2波長領域の透過率を低減してもよい。この場合、光源からの光のうちの光検出器の感度領域に含まれる第1波長領域の成分を効率的に対象物に照射可能であると共に、光源からの光のうちの光検出器の感度領域に含まれない第2波長領域の成分が対象物に到達することを抑制し、対象物の損傷を抑制可能である。
【0021】
本開示に係る光学ヘッドでは、主面を有し、光源に電気的に接続された回路基板と、光源ユニット及び固定部を支持する支持部材と、を備え、光源ユニット及び固定部は、第1開口から第2開口に向かう方向に沿って配列されており、回路基板は、主面に沿った方向からみたときに光源ユニット及び固定部と対向するように配置されており、支持部材は、主面に沿った方向からみたとき、前記主面に交差する方向についての回路基板と光源ユニットとの距離よりも、支持部材を介して光源ユニットから回路基板に向かう経路が長くなるように形成されていてもよい。この場合、支持部材によって回路基板と光源ユニット及び固定部とを対向配置することにより、スペースが削減される。このとき、光源ユニットと回路基板との直接的な距離よりも、光源ユニットから回路基板に至る支持部材を介した経路が長くされることにより、光源で発生した熱が回路基板に伝わることを抑制できる。これにより、熱による誤動作や特性の劣化が抑制される。
【0022】
本開示に係る光学ヘッドは、光ファイバの他端部に設けられ、光ファイバを別の光ファイバに接続するためのコネクタを備えてもよい。この場合、コネクタを用いて光ファイバを別の光ファイバに容易に接続することが可能となる。
【0023】
本開示に係る光学ヘッドは、コネクタを保持するコネクタ保持部材と、コネクタ保持部材を筐体に固定するための固定部材と、を備え、コネクタ保持部材には長穴が形成されており、コネクタ保持部材は、長穴が光ファイバの光軸方向に沿うように筐体の壁部上に配置され、長穴に挿通された固定部材により壁部に固定されてもよい。この場合、長穴の延在方向(すなわち、光ファイバの光軸方向)について、光ファイバ、コネクタ、及びコネクタ保持部の位置を容易に調整可能となる。
【0024】
本開示に係る光学ヘッドは、窓部材を保持するキャップを備え、キャップは、筐体の外側に配置されて筐体に取り付けられていてもよい。この場合、筐体の外部において窓部材の着脱が可能となる。
【0025】
本開示に係る光学ヘッドでは、固定部は、光ファイバの一端部を覆うと共に、光ファイバと共に挿通孔に挿通されて第1開口から突出される遮光部材を含んでもよい。このように、遮光部材を固定部に設けることによって、光ファイバへの迷光の入射を抑制するに際して、例えば光ファイバの一端部を遮光部材で被覆したり、保持部に遮光部材を設けたりすることが必須でなくなる。ただし、光ファイバを遮光部材で被覆してもよいし、保持部に遮光部材を設けてもよい。
【0026】
本開示に係る光学ヘッドは、保持部に着脱可能に取り付けられたスペーサを備え、スペーサには、第1開口を露出させると共に複数の光源のそれぞれの光を通過させるように第3開口が形成され、窓部材は、光源とスペーサとの間に介在して保持部に取り付けられていてもよい。この場合、窓部材によって光ファイバの一端面を清浄に保ちつつ、スペーサが取り付けられた状態とスペーサを取り外した状態との両方での使用が可能となる。
【0027】
本開示に係る光学ヘッドは、筐体の外部から内部に至るように筐体に取り付けられ、光源に電力を供給するための電源コネクタと、電源コネクタと光源のそれぞれのリード線とを接続する配線と、を備えてもよい。この場合、電源コネクタと光源とを回路基板等を介して接続する場合と比較して小型化を図ることが可能となる。なお、光源の数を例えば4つ以上と多くして、それぞれの光源を低電力で使用することにより、光源の発熱を抑えることができる。この場合、筐体内にヒートシンクや冷却用のファン等を設けずに、さらなる小型化を図ることができる。また、この場合には、光源の長寿命化も図られる。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、光ファイバによる対象物からの光の効果的な伝播を図りつつ、光ファイバへの迷光の入射の抑制を図ることを可能とする光源ユニット、及び光学ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る測定装置を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された光学ヘッドの外観を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された光学ヘッドの外観を示す別の方向からの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示された光学ヘッドから筐体を省略した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3に示された光学ヘッドから筐体を省略した状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1~3に示された光学ヘッドの断面図である。
【
図7】
図7は、
図1~3に示された光学ヘッドの断面図である。
【
図8】
図8は、
図6,7に示された光源ユニットの拡大断面図である。
【
図9】
図9は、
図1~3に示された光学ヘッドの正面図である。
【
図10】
図10は、光源と光ファイバと窓部材との位置関係を説明するための模式図である。
【
図11】
図11は、プランクの分布の法則より算出された2800Kにおけるハロゲンランプ(放射率ε=1を仮定)の分光放射発散度を示すグラフである。
【
図12】
図12は、ガラス管での光吸収を考慮した場合のハロゲンランプのスペクトルの測定結果を示すグラフ(
図12の(a))、及び、ARコート付きSi材のハイパスフィルタの特性を示すグラフ(
図12の(b))である。
【
図13】
図13は、第1変形例に係る光学ヘッドの一部を分解・拡大して示す断面図である。
【
図14】
図14は、第2変形例に係る光学ヘッドの一部を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、第3変形例に係る光学ヘッドの一部を示す斜視図である。
【
図19】
図19は、第4変形例に係る光学ヘッドの一部を模式的に示す図である。
【
図20】
図20は、第5変形例に係る光学ヘッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、各図には、X軸、Y軸、及びZ軸によって規定される直交座標系を示す場合がある。
【0031】
図1は、一実施形態に係る測定装置を示す図である。
図1に示されるように、測定装置A1は、分光器A2と光学ヘッド1とを備えている。分光器A2は、例えばフーリエ変換型赤外分光器(Fourier Transform Infrared Spectrometer)である。分光器A2は、例えば、光干渉計と制御回路とを有する。光干渉計は、例えば、光入射部、ビームスプリッタ、固定ミラー、可動ミラー、及び、光検出器を含む。光検出器は、可動ミラーの位置によって変化する光強度信号を取得する。分光器A2は、例えばPC等のコンピュータにUSB等を用いて接続され得る。
【0032】
光学ヘッド1は、光ファイバA3によって分光器A2に光学的に接続されている。また、光学ヘッド1には、電源ケーブルA4が接続されている。光学ヘッド1は、対象物の近傍に配置され、電源ケーブルA4を介して電力の供給を受けることにより、対象物に光を照射する。光学ヘッド1から対象物に照射された光のうちの一部の光は、対象物を構成する粒子表面で正反射され、残部の光は対象物の内部に進入する。対象物の内部に進入した光は、対象物の内部で屈折透過、光散乱、表面反射を繰り返しつつ拡散され、その一部が再び対象物の表面から対象物の外部に放射される。
【0033】
この光は、光拡散の過程で対象物の内部を複数回にわたって繰り返し透過するため、その拡散反射スペクトルは透過スペクトルと類似した計測となる。したがって、この光が光学ヘッド1に入射されて光ファイバA3を介して分光器A2に提供されることにより、吸光度を用いた対象物の分析を行うことができる。このように、光学ヘッド1は、対象物に光を照射すると共に、対象物からの戻り光を入射して分光器A2(ひいては分光器A2の光検出器)に提供するためのものである。
【0034】
図2は、
図1に示された光学ヘッドの外観を示す斜視図である。
図3は、
図1に示された光学ヘッドの外観を示す別の方向からの斜視図である。
図2,3に示されるように、光学ヘッド1は、筐体2と、筐体2に取り付けられたキャップ3と、を備えている。筐体2は、ここでは直方体箱状に形成されている。筐体2は、互いに対向する先端壁部21及び基端壁部22と、先端壁部21と基端壁部22とを接続する4つの側壁部23と、を含む。キャップ3は、先端壁部21に取り付けられている。
【0035】
基端壁部22には、電源スイッチ24、光ファイバA3を接続するための接続部25、電源ケーブルA4を接続するための接続部26、及び、後述する光源40の出力を調整するための調整部(調整つまみ)27が設けられている。ここでは、4つの側壁部23のうちの3つの側壁部23には、基端壁部22よりも先端壁部21側の位置において通気口28が形成されている。
【0036】
図4は、
図2に示された光学ヘッドから筐体の一部を省略した状態を示す斜視図である。
図5は、
図3に示された光学ヘッドから筐体の一部を省略した状態を示す斜視図である。
図6及び
図7は、
図2,3に示された光学ヘッドの断面図である。
図4~7に示されるように、光学ヘッド1は、光源ユニット4、固定部5、光ファイバ6、回路基板7、支持部材8、ヒートシンク9、ファン10、及び、保持部材11を有している。光源ユニット4の固定部5側の一部、固定部5、光ファイバ6、回路基板7、支持部材8、ヒートシンク9、ファン10、及び、保持部材11は、筐体2に収容されている。
【0037】
光源ユニット4は、複数の光源40と複数の光源40を保持する保持部41とを含む。光源40は、一例としてハロゲンランプである。ただし、光源40としては任意のものを使用できる。例えば、光源40は、熱型光源、白熱電球として、ハロゲンランプ、タングステンランプ、グラフェン光源等であり得るし、発光ダイオード、半導体レーザとして、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、SLD(Super Luminescent diode)、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等であり得る。光源40は、それぞれ、回路基板7に電気的に接続されている。これにより、光源40は、電源スイッチ24の操作に応じてON・OFFされる共に、調整部27の操作に応じて出力調整され得る。保持部41には、光ファイバ6が挿通される挿通孔42が形成されている。光源ユニット4の詳細については後述する。
【0038】
固定部5は、光ファイバ6を保持して光ファイバ6の位置を固定する。より具体的には、固定部5には、一方向(ここではY方向)に沿って延びる貫通孔51が形成されている。したがって、固定部5のY方向に交差(直交)する両端面には、貫通孔51の開口が形成されている。特に、固定部5は、Y方向(貫通孔51の延在方向)を長手方向とする長方形板状のベース部52と、Y方向に沿ってベース部52から突出して設けられた突出部53と、を含む。
【0039】
ベース部52は、Y方向に交差(直交)する端面52aと、Y方向に交差(直交)すると共に端面52aの反対側の端面52bとを含む。突出部53は、端面52aに突設されている、突出部53は、Y方向に交差(直交)すると共にベース部52と反対側に臨む端面53aを含む。そして、貫通孔51は、ベース部52の端面52bに開口すると共に、突出部53の端面53aに開口されている。
【0040】
光源ユニット4と固定部5とは、互いに別体に構成されており、且つ、Y方向に沿って配列されている。その状態において、光源ユニット4は、例えばネジ等の固定部材49によって固定部5に固定されている。
【0041】
光ファイバ6は、貫通孔51に挿通された状態において、端面52b及び端面53aから突出されると共に、Y方向に交差する方向に突出部53を貫通して貫通孔51内に至るネジ等の固定部材54によって貫通孔51の内面に押し付けられて固定されている。したがって、貫通孔51の延在方向であるY方向は、光ファイバ6の延在方向であり、光ファイバ6の光軸方向でもある。光ファイバ6の一端部61は、固定部5から突出されて光源ユニット4の保持部41の挿通孔42に挿通されている。光ファイバ6の他端部62は、固定部5から突出されている。
【0042】
光ファイバ6の少なくとも一端部61は、光ファイバ6の一端面61aを露出させつつスリーブ63によって被覆されている。ここでは、スリーブ63は、一端面61aに至るように延在している。すなわち、ここでは、スリーブ63の端部と一端面61aとが面一とされている。スリーブ63は、例えば金属からなる遮光部材である。固定部材54は、光ファイバ6の固定に際して、このスリーブ63に接触するように配置されている。光ファイバ6の他端部62には、光ファイバ6を別の光ファイバ(例えば光ファイバA3)に接続するためのコネクタ64が取り付けられている。
【0043】
回路基板7は、主面7sを含む。回路基板7は、Y方向からみたとき、主面7sが光源ユニット4及び固定部5に対向するように配置されている。すなわち、回路基板7と光源ユニット4及び固定部5とは、Y方向からみたとき、主面7sに交差(直交)する方向であるZ方向に沿って積層されている。その状態において、回路基板7は、筐体2の側壁部23の1つである底板29から離間しつつ底板29に取り付けられている。
【0044】
支持部材8は、光源ユニット4及び固定部5をZ方向に沿って回路基板7から離間させつつ、光源ユニット4及び固定部5を底板29及び回路基板7上に支持している。支持部材8は、底板29に取り付けられている。光源ユニット4は、例えば、固定部5が支持部材8により支持されることにより、固定部5を介して支持部材8に支持され得る。ヒートシンク9は、固定部5における回路基板7側の面と反対側の面に接触して配置されている。ファン10は、ヒートシンク9上に配置されている。これにより、例えば光源ユニット4の光源40で発生した熱の一部は、固定部5を介してヒートシンク9に入力され、ファン10により外部に排出される。
【0045】
保持部材11は、ここでは、L字板状に形成されている。より具体的には、保持部材11は、底板29に沿って延在する板状の固定部111と、固定部111から筐体2の基端壁部22に沿って延在する板状の保持部112と、含む。保持部材11は、固定部111において底板29に接触すると共に、保持部112において基端壁部22に接触している。そして、保持部材11は、固定部111において底板29に固定されると共に、保持部112において接続部25を保持している。光ファイバ6の他端部62に取り付けられたコネクタ64は、保持部112に保持された接続部25に取り付けられている。すなわち、保持部材11は、接続部25を介してコネクタ64を保持するコネクタ保持部材である。
【0046】
また、ここでは、保持部材11を筐体2に固定するための固定部材113が用いられている。固定部111には、長穴111hが形成されている。保持部材11は、長穴111hが光ファイバ6の光軸方向に沿うように筐体2の底板29(壁部)上に配置され、長穴111hに挿通された固定部材113により底板29に固定されている。
【0047】
なお、キャップ3は、
図6に示されるように、光ファイバ6の一端面61a、及び光源40に対向するように配置された光透過性の窓部材31を含み、
図7に示されるように、例えばネジ等の固定部材32によって筐体2の先端壁部21に固定されている。
【0048】
引き続いて、光源ユニットの詳細について説明する。
図8は、
図6,7に示された光源ユニットの拡大断面図である。
図8では、光源ユニット4が固定部5から取り外された状態を示している。
図6~8に示されるように、また上述したように、光源ユニット4は、複数の光源40と光源40を保持する保持部41とを含む。保持部41は、Z方向からみて台形状の板状に形成されている。より具体的には、保持部41は、Z方向からみたとき、固定部5から離れるにつれて縮小する台形状に形成されている。
【0049】
保持部41は、Y方向に交差(直交)すると共に固定部5と反対側に臨む端面43と、Y方向に交差(直交)すると共に固定部5側に臨む端面44と、を含む。また、保持部41には、端面43に開口する凹部45と、端面44に開口すると共に凹部45に接続される複数の孔部46と、が形成されている。複数の孔部46のそれぞれには、光源40が配置されている。したがって、孔部46の数は、少なくとも光源40の数と同一である。孔部46は、端面44から端面43に向かうにつれて、Y方向に沿った保持部41の中心軸(ここでは光ファイバ6の光軸)に近づくように傾斜している。
【0050】
光源40は、保持部41を貫通して孔部46内に至るネジ等の固定部材47によって、孔部46の内面46sに押し付けられて固定されている。すなわち、保持部41は、光源40の外面40sが孔部46の内面46sに接触された状態で光源40を保持している。孔部46の内面46sは、少なくとも光源40の外面40sに接触する部分において、光源40の外面40sの形状に沿った形状とされている。
【0051】
一例として、ここでは、光源40の外面40sが円筒状であり、孔部46の内面46sの内面は、光源40の外面40sよりも大径の円筒状である。ここでは、孔部46の内面46sと光源40の外面40sとの間は空隙であるが、光源ユニット4は、孔部46の内面46sと光源40の外面40sとの間に充填された樹脂部を有していてもよい。
【0052】
ここで、光ファイバ6が挿通される挿通孔42は、凹部45に接続されて凹部45内に開口(第1開口)を有すると共に、端面44に開口(第2開口)42bを有している。このように、挿通孔42及び孔部46は、いずれも凹部45内に開口されている。そして、光源40は、その光出射部40pが凹部45内に配置され、且つ、光出射部40pが固定部5と反対側に臨むように孔部46内に配置されている。すなわち、保持部41は、複数の光源40のそれぞれの光の照射領域40Aが、保持部41の一方側(固定部5と反対側)に形成されるように複数の光源40を保持している。照射領域40Aは、光源40(光出射部40p)から出射された光が照射される領域である。
【0053】
したがって、挿通孔42の開口42aは、照射領域40Aに臨む開口であり、挿通孔42の挿通された光ファイバ6の一端面61aは、照射領域40Aに臨むこととなる。このように、挿通孔42は、光ファイバ6が挿通されたときに光ファイバ6の一端面61aが開口42aから露出して照射領域40Aに臨むように保持部41に形成されている。特に、ここでは、挿通孔42は、光ファイバ6が挿通されたときに光ファイバ6の一端面61aが開口42aから突出するように形成されている。さらに、光源ユニット4では、挿通孔42に光ファイバ6が挿通されたときに、光ファイバ6の一端面61aを含む一端部61がスリーブ(遮光部材)63を介して複数の光源40の間に位置するようにされている。一例として、挿通孔42に光ファイバ6が挿通された状態において、光源40の端面43側の端部と光ファイバ6の一端面61aとが面一とされている。
【0054】
なお、挿通孔42の内面42sには、Y方向に交差(直交)する平面部42pが形成されている。この平面部42pは、挿通孔42に光ファイバ6を挿通しつつ光源ユニット4を固定部5に取り付けるときに、固定部5の突出部53の端面53aが当接される。また、同様に光源ユニット4を固定部5に取り付けるとき、保持部41の端面44に対して固定部5のベース部52の端面52aが当接される。すなわち、保持部41は、挿通孔42の開口42aから開口42bに向かう方向(Y方向)に交差する平面部を含み、当該平面部は、開口42bが形成された保持部41の端面44、及び、挿通孔42の内面42sの少なくとも一方(ここでは両方)に形成されることとなる。
【0055】
ここで、保持部41にはフランジ部48が形成されている。そして、保持部41は、フランジ部48に挿通された固定部材49により、固定部5に固定される。また、フランジ部48には、位置決めピンBが挿通される孔部が形成されている。
【0056】
この位置決めピンBは、光源ユニット4を固定部5に取り付ける際に使用される。すなわち、光源ユニット4を固定部5に取り付ける際には、予め固定部5に位置決めピンB取り付ける。また、固定部5が、光ファイバ6の一端部61が突出部53の端面53aから突出した状態で光ファイバ6を保持している。この状態において、フランジ部48の孔部に位置決めピンBを挿通させる。そして、光ファイバ6が保持部41の挿通孔42に挿通されるように光源ユニット4を位置決めピンBに沿ってスライドさせ、固定部5に接触させる。
【0057】
その後、固定部材49を用いてフランジ部48を固定部5に固定することにより、光源ユニット4が固定部5に取り付けられる。この後、位置決めピンBを取り外す。このように、光源ユニット4は、固定部5から突出された光ファイバ6の一端部61が挿通孔42に挿通された状態で、着脱可能に固定部5に取り付けられる。また、取り付けの際には、位置決めピンBによってY方向に交差する面内での位置が一定に維持される。したがって、光源40を交換する必要が生じた場合には、光源40のみを取り外して交換することもできるが、光源ユニット4ごと容易且つ正確に脱着して交換することもできる。
【0058】
以上のような光源ユニット4は、
図9に示されるように、回路基板7の主面7sに沿った方向(ここではY方向)からみとき、固定部5と共に回路基板7に対向するように支持部材8によって支持されている。特に、支持部材8は、Y方向からみたとき、主面7sに交差する方向(ここではZ方向)についての回路基板7と光源ユニット4との距離よりも、支持部材8を介して光源ユニット4から回路基板7に向かう経路が長くなるように形成されている。
【0059】
より具体的には、支持部材8は、Y方向からみて、主面7s沿って延びて光源ユニット4及び固定部5が載置される平板状の第1部分81と、第1部分81の両端部からZ方向に沿って底板29に向かって延びる平板状の第2部分82と、第2部分82における第1部分81との接続部と反対側の部分から主面7s内に沿って延びて底板29に固定される平板状の第3部分83と、によってC字板状に形成されている。そして、回路基板7は、第1部分81と第2部分82と第3部分83とによって囲われる空間内に配置されている。これにより、光源ユニット4との回路基板7との直接的な距離よりも、光源ユニット4から支持部材8の各部を経由して回路基板7に向かう経路が長くされている。
【0060】
図10は、光源と光ファイバと窓部材との位置関係を説明するための模式図である。
図10では、各部の位置関係の理解の容易化のため、光源ユニット4の構造が模式化されている。
図9に示されるように、窓部材31は、光ファイバ6の一端面61a、及び光源40の光出射部40pに対向するように、且つ、光源40の光出射部40pから出射された光が通過するように、配置されている。したがって、光源40の光出射部40pから出射された光のうちの一部の光L1は、窓部材31を透過して対象物100に照射される。
【0061】
複数の光源40は、この光L1の照射領域40Aが互いに重複するように保持部41に保持されている。そして、光ファイバ6は、その光軸6xが照射領域40Aの重複する重複領域40xを通るようにされている。換言すれば、挿通孔42は、光ファイバ6が挿通されたときに、光ファイバ6の光軸6xが、複数の光源40の照射領域40Aが重複した重複領域40xを通るように形成されている。
【0062】
さらに、ここでは、光ファイバ6の一端面61aのエッジから最大受光角で広がる円錐台L2の底面と、重複領域40xとが一致させられている。一例として、光ファイバ6のコアの径を600μm、NAを0.22、光源40の傾斜角度を30度、光源40の照射サイズ(例えば光出射部40pの径)を2.58mmとしたとき、光ファイバ6の一端面61aからの距離が4mmであり、対象物100への光L1の潜り込みが0.5mmである位置において、重複領域40x及び底面L2sのサイズが約3mmとなり一致する。
【0063】
一方、光源40の光出射部40pから出射された光のうちの別の一部の光L3は、窓部材31の光源ユニット4側の表面で正反射される。窓部材31は、光ファイバ6の光軸方向について、この窓部材31で正反射された光L3が光ファイバ6の一端面61aに入射しない位置に設けられている。光L3は、遮光部材であるスリーブ63によって遮られる。
【0064】
図11は、プランクの分布の法則より算出された2800Kにおけるハロゲンランプ(放射率ε=1を仮定)の分光放射発散度を示すグラフである。
図11に示されるように、ハロゲンランプは、分光器A2の感度領域W1(分光器A2の光検出器の感度領域)よりも広い波長領域において、光エネルギーを放射している。対象物に入力された光エネルギーは、対象物の吸収率に応じて熱に変換される。このため、光源40として、ハロゲンランプ等を使用する場合には、感度領域W1以外の波長領域の光をカットすることが望ましい。
【0065】
一方で、実際のハロゲンランプにはガラス管が設けられる。
図12の(a)は、ガラス管での光吸収を考慮した場合のハロゲンランプのスペクトルの測定結果を示すグラフである。
図12の(a)のグラフでは、縦軸の数値は波長2μm以上の最大値で正規化されている。
図12の(a)に示されるように、ハロゲンランプからは、ガラス管の光吸収により、波長2.8μm以上の光が放出されにくい。すなわち、感度領域W1に対して、より長波長側の光はガラス管により十分にカットされていると考えられる。
【0066】
このような観点から、窓部材31は、感度領域W1に対してより短波長側の光をカットするための機能を有している。さらに、窓部材31は、感度領域W1に含まれる波長の光に対する反射防止の機能を有している。一例として、光源40がハロゲンランプであり、感度領域W1が1100nm~2500nmである場合には、上記の機能を兼ね備えるために、窓部材31はARコート付きSi材とされ得る。
図12の(b)ば、ARコート付きSi材のハイパスフィルタの特性を示すグラフである。
図12の(a)のハロゲンランプのスペクトルと
図12の(b)のフィルタの特性とを合わせると、窓部材31をARコート付きSi材とすることにより、1100nm~2500nmの波長の光を好適に対象物100に照射可能であることが理解される。
【0067】
このように、複数の光源40から出射された光の波長領域が、分光器A2(分光器A2の光検出器)の感度領域W1に含まれる第1波長領域と、分光器A2の感度領域W1と異なる第2波長領域と、を含む場合には、窓部材31は、第1波長領域の反射率を低減すると共に第2波長領域の透過率を低減するように構成され得る。
【0068】
なお、以上のような窓部材31を保持するキャップ3は、上述したように、筐体2の外側に配置されて筐体2に取り付けられている。そして、
図7に示されるように、Y方向におけるキャップ3の厚さH3は、キャップ3を対象物100に接触させたときに、光ファイバ6の一端面61aから対象物100までの距離を規定する。一例として、キャップ3の厚さH3は、キャップ3の筐体2と反対側の端面3sが、光ファイバ6の一端面61aのエッジから最大受光角で広がる円錐台L2の底面と重複領域40xとが一致する位置(或いは、当該位置から、光L1の対象物100への潜り込みの分だけ筐体2側の位置)となるように決定され得る。このようにすると、キャップ3の端面3sを対象物100に接触させることにより、光源40と光ファイバ6の一端面61aと対象物100との距離を容易且つ適切に設定することが可能となる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る光源ユニット4では、複数の光源40を保持する保持部41に対して、光ファイバ6が挿通される挿通孔42が形成されている。特に、挿通孔42に対して光ファイバ6が挿通されたときに、光ファイバ6の一端面61aを含む一端部61が遮光部材(スリーブ63)を介して複数の光源40の間に位置するようにされている。したがって、光源ユニット4を光源40が対象物100に近接するように配置することにより、光ファイバ6の一端面61aも対象物100に近接させることが可能であるため、対象物100からの微弱な光を光ファイバ6により効果的に伝播させることを図ることができる。さらに、光源40と光ファイバ6の一端部61との間に遮光部材が介在することにより、光ファイバ6への迷光の入射の抑制を図ることが可能となる。
【0070】
また、光源ユニット4では、保持部41は、開口42aから開口42bに向かう方向に交差する平面部(平面部42p及び端面44)を含み、平面部は、開口42bが形成された保持部41の端面44、及び、挿通孔42の内面42sの少なくとも一方(ここでは両方)に形成されている。このため、光ファイバ6を挿通孔42に挿通させる際に、例えば光ファイバ6を保持した別部材(固定部5)を保持部41の平面部に突き当てることによって、開口42aから開口42bに向かう方向(すなわち、挿通孔42に挿通された状態の光ファイバ6の光軸方向であって、ここではY方向)について光ファイバ6の位置決めを行うことが可能となる。
【0071】
また、光源ユニット4では、保持部41は、複数の光源40のそれぞれの照射領域40Aが互いに重複するように複数の光源40を保持しており、挿通孔42は、光ファイバ6が挿通されたときに、光ファイバ6の光軸6xが、複数の光源40の照射領域40Aが重複した重複領域40xを通るように形成されている。このため、複数の光源40の照射領域40Aと、挿通孔42に挿通された光ファイバ6の光軸6xとが交差する交差点が形成されることとなる。したがって、この交差点に対象物100が合わせられるように光源ユニット4を配置することにより、対象物100からの光を効果的に光ファイバ6に入射させることが可能となる。
【0072】
また、光源ユニット4では、保持部41には、複数の光源40が配置される孔部46が形成されており、保持部41は、複数の光源40の外面40sが孔部46の内面46sに接触された状態で複数の光源40を保持しており、孔部46の内面46sの少なくとも複数の光源40の外面40sと接触する部分は、当該光源40の外面40sの形状に沿った形状に形成されている。このため、孔部46の内面46sと光源40との接触面積の増加が図られ、光源40から保持部41への効果的な放熱が可能となる。
【0073】
また、光源ユニット4では、保持部41は、孔部46の内面46sと光源40の外面40sとの間に充填された樹脂部を含んでもよい。この場合、光源40から保持部41へのより効果的な放熱が可能となる。なお、ここでは、保持部41は、光ファイバ6の光軸6xに直交する直線上に2つの光源40が配置されるように2つの光源40を保持している。
【0074】
ここで、本実施形態に係る光学ヘッド1は、対象物100に光を照射すると共に、対象物100からの光を分光器A2(ひいては分光器A2の光検出器)に提供するためのものである。光学ヘッド1は、光源ユニット4と、光ファイバ6を保持して光ファイバ6の位置を固定するための固定部5と、固定部5に固定されつつ挿通孔42に挿通された光ファイバ6と、光源ユニット4の少なくとも一部、固定部5、光ファイバ6を収容する筐体2と、光ファイバ6の一端面61aに対向するように配置された光透過性の窓部材31と、を備える。
【0075】
光学ヘッド1は、上記の光源ユニット4を備えている。したがって、上記の光源ユニット4と同様の効果を奏することが可能である。さらに、光学ヘッド1は、光ファイバ6の一端面61aに対向するように配置された窓部材31を備えている。したがって、光ファイバ6の一端面61aを清浄に保つことが可能となる。上記のとおり、光源ユニット4によれば、光ファイバ6の一端面61aをより対象物100に近接させることが可能であるため、窓部材31によって光ファイバ6の一端面61aの防汚を図ることがより有効となる。
【0076】
また、光学ヘッド1は、光ファイバ6の少なくとも一端部61を、一端面61aを露出させつつ被覆するように光ファイバ6に設けられたスリーブ63を備えている。このように、遮光部材を光ファイバ6に設けることによって、光ファイバ6への迷光の入射を抑制するに際して、光源ユニット4の保持部41に遮光部材を設けることが必須でなくなる。ただし、保持部41に遮光部材を設けてもよい。
【0077】
また、光学ヘッド1では、光源ユニット4と固定部5とは、互いに別体に形成されており、固定部5は、光ファイバ6の一端部61が当該固定部5から突出した状態で光ファイバ6を保持し、光源ユニット4は、固定部5から突出された光ファイバ6の一端部61が挿通孔42に挿通された状態で、着脱可能に固定部5に取り付けられている。このため、例えば光源40が故障した場合等に、光源ユニット4ごと容易に交換することが可能となる。
【0078】
また、光学ヘッド1では、窓部材31は、複数の光源40から出射された光L1が通過するように複数の光源40に対向すると共に、光ファイバ6の光軸方向について、複数の光源40から出射されて窓部材31により反射された光L3が光ファイバ6に入射しない位置に設けられている。このため、対象物100を経ることなく窓部材31で反射された光L3が、迷光として光ファイバ6に入射することを抑制できる。
【0079】
また、光学ヘッド1では、窓部材31は、複数の光源40から出射された光が通過するように複数の光源40に対向して設けられている。複数の光源40から出射された光の波長領域は、光検出器の感度領域W1に含まれる第1波長領域と、光検出器の感度領域W1と異なる第2波長領域と、を含む。窓部材31は、第1波長領域の反射率を低減すると共に第2波長領域の透過率を低減する。このため、光源40からの光のうちの光検出器の感度領域W1に含まれる第1波長領域の成分を効率的に対象物100に照射可能であると共に、光源40からの光のうちの光検出器の感度領域W1に含まれない第2波長領域の成分が対象物100に到達することを抑制し、対象物100の損傷を抑制可能である。
【0080】
また、光学ヘッド1は、主面7sを有し、光源40に電気的に接続された回路基板7と、光源ユニット4及び固定部5を支持する支持部材8と、を備える。光源ユニット4及び固定部5は、開口42aから開口42bに向かう方向(Y方向)に沿って配列されている。回路基板7は、主面7sに沿った方向(例えばY方向)からみたときに光源ユニット4及び固定部5と対向するように配置されている。支持部材8は、主面7sに沿った方向(例えばY方向)からみたとき、主面7sに交差する方向(例えばZ方向)についての回路基板7と光源ユニット4との距離よりも、支持部材8を介して光源ユニット4から回路基板7に向かう経路が長くなるように形成されていている。
【0081】
このように、支持部材8によって回路基板7と光源ユニット4及び固定部5とを対向配置することにより、スペースが削減される。このとき、光源ユニット4と回路基板7との直接的な距離よりも、光源ユニット4から回路基板7に至る支持部材8を介した経路が長くされることにより、光源40で発生した熱が回路基板7に伝わることを抑制できる。これにより、熱による誤動作や特性の劣化が抑制される。
【0082】
また、光学ヘッド1は、光ファイバ6の他端部62に設けられ、光ファイバ6を別の光ファイバに接続するためのコネクタ64を備えている。このため、コネクタ64を用いて光ファイバ6を別の光ファイバに容易に接続することが可能となる。
【0083】
また、光学ヘッド1は、コネクタ64を保持する保持部材11と、保持部材11を筐体2に固定するための固定部材113と、を備える。保持部材11には長穴111hが形成されており、保持部材11は、長穴111hが光ファイバ6の光軸方向に沿うように筐体2の底板29上に配置され、長穴111hに挿通された固定部材113により底板29に固定されている。このため、長穴111hの延在方向(すなわち、光ファイバ6の光軸方向であって、Y方向)について、光ファイバ6、コネクタ64、及び保持部材11の位置を容易に調整可能である。
【0084】
さらに、光学ヘッド1は、窓部材31を保持するキャップ3を備え、キャップ3は、筐体2の外側に配置されて筐体2に取り付けられている。このため、筐体2の外部において窓部材31の着脱が可能となる。
【0085】
以上の実施形態は、本開示の一態様を説明したものである。したがって、本開示は、上記実施形態に限定されず、任意に変形され得る。引き続いて、変形例について説明する。
[第1変形例]
【0086】
図13は、第1変形例に係る光学ヘッドの一部を分解・拡大して示す断面図である。
図13に示されるように、第1変形例に係る光学ヘッド1は、光源ユニット4に代えて光源ユニット4Aを備えることができる。光源ユニット4Aは、光源ユニット4と比較して、挿通孔42の形状が異なっている点で光源ユニット4と相違している。光源ユニット4Aでは、挿通孔42は、その内面42sが、開口42aから開口42bに向かうにつれて挿通孔42が拡大するようにテーパ状に形成されて開口42bに接続されるテーパ部42rを含んでいる。
【0087】
この構成によれば、挿通孔42の開口42bから光ファイバ6を挿通孔42に挿通するときに、挿通孔42の内面42sのテーパ部42rによって光ファイバ6の一端部61を開口42aに向けてガイドすることが可能となる。このとき、光ファイバ6にスリーブ63が設けられていれば、スリーブ63がテーパ部42rに摺動されることとなり、挿通孔42の内面42sに光ファイバ6の一端面61aが接触することが抑制される。
[第2変形例]
【0088】
図14は、第2変形例に係る光学ヘッドの一部を示す斜視図である。
図15は、
図14に示された光学ヘッドの断面図である。
図14,15に示されるように、第2変形例に係る光学ヘッド1は、光源ユニット4に代えて光源ユニット70を備えている。光源ユニット70は、光源ユニット4と固定部5とが一体化されて構成されている。したがって、光源ユニット70は、光源ユニット4の構成に加えて、少なくとも光ファイバ6と遮光部材としてのスリーブ63とをさらに備えることとなる。このような光源ユニット70では、例えば光源40が故障した際には、光源40のみを交換することができる。
[第3変形例]
【0089】
図16は、第3変形例に係る光学ヘッドの一部を示す斜視図である。
図17及び
図18は、
図16に示された光学ヘッドを分解して示す断面図である。
図16~18に示されるように、第3変形例に係る光学ヘッド1は、光源ユニット4に代えて光源ユニット4Bを備える点、及び、2つの回路基板7を備える点、並びに、ヒートシンク9とファン10とを備えない点で、実施形態に係る光学ヘッド1と相違している。光源ユニット4Bは、光源ユニット4と比較して、より多くの光源40を有している点で光源ユニット4と相違している。
【0090】
ここでは、光源ユニット4Bは、4つの光源40を有している。4つの光源40は、光ファイバ6の光軸6xを中心とする円周上に等間隔(等間隔でなくもよい)となるように配置されている。このように、光源ユニット4Bでは、より多くの光源40を有することにより、1つの光源40の出力を抑えることが可能となる。その結果、光源40の発熱量を抑えることが可能となる。このため、第3変形例に係る光学ヘッド1では、ヒートシンク9及びファン10が不要となると共に、ヒートシンク9及びファン10のためのスペースを利用して、固定部5のZ方向の両側に回路基板7を配置することが可能となる。このように、光源ユニットでは、2つ以上の任意の数の光源40を備えることができる。
[第4変形例]
【0091】
図19は、第4変形例に係る光学ヘッドの一部を模式的に示す図である。上記の実施形態及び他の変形例では、光ファイバ6への迷光の入射を抑制するための遮光部材が、スリーブ63として光ファイバ6のみに設けられる場合を例示した。しかし、
図19に示されるように、光ファイバ6への迷光の入射を抑制するための遮光部材は、保持部41に設けられていてもよい。すなわち、ここでは、保持部41は、挿通孔42に光ファイバ6が挿通されて開口42aから突出されたときに、光ファイバ6の一端部61を覆うように、開口42aの縁部に沿って突設された遮光部(遮光部材)90を含む。この構成によれば、光ファイバ6への迷光の入射を抑制するに際して、光ファイバ6の一端部61をスリーブ63で被覆する等の作業が必須でなくなる。ただし、光ファイバ6をスリーブ63で被覆してもよい。
[第5変形例]
【0092】
図20は、第5変形例に係る光学ヘッドを示す図である。
図20の(a)は斜視図であり、
図20の(b)は上面図である。
図21は、
図20の(b)のXXI-XXI線に沿っての断面図であり、
図22は、
図20の(b)のXXII-XXII線に沿っての断面図である。
【0093】
図20~22に示されるように、光学ヘッド1Aは、光源ユニット4、固定部5、及び、光ファイバ6を備えている。光源ユニット4は、複数(ここでは4つ)の光源40と及び光源40を保持する保持部41を有している。光学ヘッド1Aは、光学ヘッド1と比較して、回路基板7、支持部材8、ヒートシンク9、ファン10、及び、保持部材11を備えていない。光学ヘッド1Aは、筐体120、スペーサ130、及び、蓋部材140を備えている。筐体120は、両端が開放された筒状(ここでは円筒状)に形成されている。筐体120の一端にはスペーサ130が設けられ、筐体120の他端には蓋部材140が設けられている。
【0094】
保持部41は、筐体120の一端に挿入されて筐体120内に配置されている。保持部41は、筐体120の内側面に沿った外形を有している。すなわち、保持部41は、柱状(ここでは円柱状)を呈している。保持部41は、筐体120の一端に挿入された状態において、例えばネジ等の固定部材121により筐体120の固定されている。
【0095】
蓋部材140には、電源コネクタ150が貫設されている。つまり、電源コネクタ150は、筐体120の外部から内部に至るように設けられ、蓋部材140を介して筐体120に取り付けられている。電源コネクタ150には、筐体120の外部側において、例えば電源ケーブルA4が接続される。一方、電源コネクタ150には、筐体120の内部側において、光源40が接続される。光源40と電源コネクタ150とは、配線W40により(回路基板等を介さずに)直接的に接続されている。ここでは、配線W40は、一端が電源コネクタ150に接続されると共に他端が光源40のリードピン(リード線)に接続される。すなわち、光学ヘッド1Aは、電源コネクタ150と光源40のそれぞれのリード線とを接続する配線W40を備えている。
【0096】
また、蓋部材140には、ネジ等の固定部材141の頭部が露出されている。蓋部材140と保持部41との間には、複数の支柱170が設けられている。支柱170は、軸部171と、軸部171の一端面171aから突出する突出部172と、を含む。支柱170は、軸部171の一端面171aが保持部41の端面44に当接されると共に突出部172が保持部41に結合(例えば螺合)されることにより、保持部41に固定されている。一方、支柱170は、軸部171の他端面が蓋部材140に当接されると共に固定部材141により蓋部材140に固定されている。これにより、支柱170は、保持部41上において、軸部171の長さに応じたスペースを生じさせつつ、蓋部材140を支持している。
【0097】
さらに、蓋部材140には、光ファイバコネクタ160が貫設されている。つまり、光ファイバコネクタ160は、筐体120の外部から内部に至るように、蓋部材140を介して筐体120に取り付けられている。光ファイバコネクタ160は、筐体120の外部に突出して蓋部材140に固定され、例えば光ファイバA3等の他の光ファイバとの接続を受ける接続部161を含む。また、光ファイバコネクタ160は、筐体120の内部において接続部161に保持され、内部に光ファイバ6を保持する保持部162を含む。
【0098】
固定部5は、保持部162の接続部161と反対側の端部に設けられており、保持部162から突出した光ファイバ6を保持している。固定部5には、一方向(ここではY方向)に沿って延びる貫通孔51が形成されている。固定部5は、貫通孔51の延在方向を長手方向とする筒状のベース部52と、当該延在方向に沿ってベース部52から突出して設けられた突出部53と、を含む。光ファイバ6は、貫通孔51に挿通されて突出部53の先端まで至っている。ここでは、突出部53の端面53aと光ファイバの一端部61の一端面61aとが略面一とされている。これにより、光ファイバ6の一端部61は、一端面61aを除いて突出部53に覆われる。
【0099】
図23は、
図21,22の一部大図である。
図23に示されるように、固定部5のベース部52の一部及び突出部53は光ファイバ6を保持した状態において、保持部41の挿通孔42に挿通されている。そして、突出部53の一部、及び光ファイバ6の一端部61の一部は、凹部45内に突出されている。これにより、光ファイバ6は、その一端面61aを含む一端部61が突出部53を介して複数の光源40の間に位置するようにされている。したがって、ここでは、固定部5の突出部53が、光ファイバ6への迷光の入射を抑制するための遮光部材として機能する。換言すれば、ここでは、固定部5が、光ファイバ6の一端部61を覆うと共に、光ファイバ6と共に挿通孔42に挿通されて開口42aから突出される遮光部材(突出部53)を含むこことなる。なお、ここでは、保持部41には4つの孔部46が形成されており、それぞれの孔部46に光源40が配置されている。したがって、ここでは、光ファイバ6の一端部61は突出部53を介して4つの光源40に囲われるように配置される。なお、固定部5のベース部52の端面52aと、保持部41の挿通孔42の内面42sに設けられた平面部42pとは、接触していてもよいが、図示の例では互いの間に間隙が形成されて離間している。この例では、光ファイバ6を保持する固定部5が、蓋部材140に取り付けられた光ファイバコネクタ160に取り付けられ、蓋部材140と保持部41とが支柱170によって互いに固定されている。これにより、固定部5に保持された光ファイバ6の位置が固定され得る。換言すれば、この場合には、固定部5は、他の部材を介して光ファイバ6の位置を固定している。或いは、固定部5が保持部41の挿通孔42に嵌め合されることによって、他の部材に依らずに、光ファイバ6の位置を固定してもよい。すなわち、固定部5の端面52aと端面52aに対向する保持部41の平面部42pとが離間している場合であっても、固定部5は光ファイバ6の位置を固定するための部材と見做され得る。また、固定部5の端面52aと端面52aに対向する保持部41の平面部42p、およびベース部52の外面(側面)と挿通孔42の内面42sとが接触せずクリアランスが設けられている場合であっても、固定部5は保持部41との協働によって、光ファイバ6の位置を固定するための部材と見做され得る。
【0100】
スペーサ130は、保持部41の端面43に接触した状態において保持部41に取り付けられている。端面43には、凹部45に繋がる凹部43pが形成されている。凹部43pは、スペーサ130側に臨む底面43sを含む。底面43sは、端面43に交差する方向からみて凹部45の開口部を囲むように環状に形成されている。窓部材31は、凹部43p内に配置されて底面43sに取り付けられている。このように、窓部材31は、光源40とスペーサ130との間に介在して保持部41(底面43s)に取り付けられている。
【0101】
スペーサ130には、端面43に交差する方向からみて挿通孔42の開口42aを露出させると共に、複数の光源40からのそれぞれの光L1及び光ファイバ6の端面61sに向かう光L4を通過させるように開口(第3開口)130hが形成されている。したがって、保持部41にスペーサ130を取り付けた状態において、対象物100への光L1の照射及び対象物100からの光L4の検出が可能である。一方で、窓部材31が保持部41に取り付けられた状態において、スペーサ130は、保持部41に対して着脱可能とされている。したがって、スペーサ130を取り外した状態においても、窓部材31を介して、対象物100への光L1の照射及び対象物100からの光L4の検出が可能である。
【0102】
以上説明したように、本変形例に係る光学ヘッド1Aによれば、上記光学ヘッド1と同様の効果を奏する。さらに、光学ヘッド1Aでは、固定部5が、光ファイバ6の一端部61を覆うと共に、光ファイバ6と共に挿通孔42に挿通されて開口42aから突出される遮光部材(突出部53)を含む。このように、遮光部材を固定部5に設けることによって、光ファイバ6への迷光の入射を抑制するに際して、例えば光ファイバ6の一端部61を遮光部材で被覆したり、保持部41に遮光部材を設けたりすることが必須でなくなる。ただし、光ファイバ6を遮光部材で被覆してもよいし、保持部41に遮光部材をさらに設けてもよい。
【0103】
また、光学ヘッド1Aは、保持部41に対して、ネジ等の固定部材131によって着脱可能に取り付けられたスペーサ130を備え、スペーサ130には、開口42aを露出させると共に複数の光源40のそれぞれの光L1を通過させるように開口130hが形成されている。そして、窓部材31は、光源40とスペーサ130との間に介在して保持部41に取り付けられている。このため、窓部材31によって光ファイバの一端面61aを清浄に保ちつつ、スペーサ130が取り付けられた状態とスペーサ130を取り外した状態との両方での使用が可能となる。一例として、スペーサ130が取り付けられた状態では、スペーサ130を試料(対象物100)に接触させての計測により、光源40と試料との距離を簡便に決定することができる。一方、スペーサを取り外した状態では、光源40と試料との距離を維持しつつ、例えば流体等の流れる試料との間に空間を設けての計測を行うことができる。
【0104】
さらに、光学ヘッド1Aは、筐体120の外部から内部に至るように筐体120に取り付けられ、光源40に電力を供給するための電源コネクタ150と、電源コネクタ150と光源40のそれぞれのリード線とを接続する配線W40と、を備えている。このため、電源コネクタ150と光源40とを回路基板等を介して接続する場合と比較して小型化を図ることが可能となる。なお、光源40の数を例えば4つ以上と多くして、それぞれの光源40を低電力で使用することにより、光源40の発熱を抑えることができる。この場合、筐体120内にヒートシンクや冷却用のファン等を設けずに、さらなる小型化を図ることができる。また、この場合には、光源40の長寿命化も図られる。
【0105】
なお、光学ヘッド1Aでは、小型化が図られた筐体120の外側に、ヒートシンクを設けることができる。この場合、一例として、ヒートシンクを筐体120の外形と同様の内側形状を有する筒状に形成し、ヒートシンクの内側面と筐体120の外周面とが接触するように筐体120をヒートシンク内に挿入すればよい。このとき、蓋部材140のフランジ部142をヒートシンクの固定に利用することができる。ヒートシンクの外周面には、ヒートシンクの軸方向からみて放射状に配列された複数のフィンを形成することができる。その場合、当該フィンのそれぞれは、軸方向に沿ってヒートシンクの略全体にわたって延在するように構成されてもよい。
[他の変形例]
【0106】
上記実施形態では、保持部41は、光ファイバ6の光軸6xに直交する直線上に2つの光源40が配置されるように2つの光源40を保持している場合について例示した。しかし、複数の光源40は、少なくとも光ファイバ6の直径(スリーブ63が設けられる場合にはスリーブ63の外径)以上に互いに離間して配置されていればよく、その配置は任意である。一例として、保持部41は、光ファイバ6の光軸方向(Y方向)からみて、2つの光源40と光ファイバ6の光軸6xとを結ぶ角の角度が90°以上となるように複数の光源40を保持することもできる。
【0107】
また、上記実施形態では、光源ユニット4及び光学ヘッド1,1Aを、分光器A2と共に利用される例を挙げたが、これに限定されず、光源ユニット4及び光学ヘッド1,1Aは、対象物に光を照射すると共に対象物からの光を光検出器に提供するための任意の装置に利用され得る。さらに、光源ユニット4及び光学ヘッド1,1Aを分光器A2と共に利用する場合であっても、400nm~800nm程度の可視光を分光器A2の光検出器に提供するように構成されてもよい。
【0108】
その他、上記の実施形態及び第1~5変形例の構成の少なくとも一部を、任意に交換して採用してもよい。例えば、第3変形例に係る光源ユニット4Bを、第2変形例に係る光源ユニット70のように、固定部5と一体に構成してもよい。また、第4変形例に係る遮光部90を、他の変形例に係る保持部41に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
光ファイバによる対象物からの光の効果的な伝播を図りつつ、光ファイバへの迷光の入射の抑制を図ることを可能とする光源ユニット、及び光学ヘッドを提供することができる。
【符号の説明】
【0110】
1,1A…光学ヘッド、2…筐体、3…キャップ、4,4A,4B…光源ユニット、5…固定部、6…光ファイバ、6x…光軸、7…回路基板、7s…主面、8…支持部材、11…保持部材(コネクタ保持部材)、31…窓部材、40…光源、41…保持部、42…挿通孔、42a…開口(第1開口)、42b…開口(第2開口)、42s…内面、42p…平面部、42r…テーパ部、43,44…端面、46…孔部、46s…内面、61…一端部、61a…一端面、62…他端部、63…スリーブ(遮光部材)、64…コネクタ、90…遮光部(遮光部材)、120…筐体、130…スペーサ、130h…開口(第3開口)、150…電源コネクタ、W40…配線。